説明

エポチロン化合物およびアナログの製造方法

本発明は、エポチロン化合物ならびにそのアナログ、例えばエピ-エポチロンAまたはエピ-エポチロンB、およびアジリジニル-エポチロンアナログの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、エポチロン化合物およびそのアナログ(例えばエピ-エポチロンAまたはエピ-エポチロンB)、およびアジリジニル-エポチロンアナログの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
エポチロンAおよびBは、Hofle et al.によって、微生物、Sorangium cellulosumの発酵生成物から単離されて発見された天然の化合物である(例えば、特許文献1参照)。Hofle et al.は、37種の天然のエポチロン変異体およびSorangium cellulosumにより生成された関連化合物(エポチロンC、D、E、Fならびに他の異性体および変異体が含まれる)も発見した。例えば、特許文献2参照。
【0003】
エポチロンAおよびBはSorangium cellulosumの主要な代謝生成物および天然物であり、以下の立体特異的形態を有する。
【化1】

【0004】
天然のエポチロンの様々な誘導体およびアナログがBristol-Myers Squibb Companyで発見されている。そのようなエポチロンアナログの例としては、イクサベピロンとして知られるアザ-エポチロンBアナログおよびアジリジニル-エポチロンアナログが挙げられる。例えば、特許文献3; 特許文献4; 特許文献5; 特許文献6; 特許文献7;および特許文献8を参照。
【0005】
引用により援用される、2006年3月25日に出願された特許文献9、および該特許出願人に譲渡された特許文献9の優先権を主張する、表題「Azirdinyl-Epothilone Compounds」の特許文献10(2007年11月29日公開の特許文献11)に記載の通り、特定のアジリジニル-エポチロンは、癌治療における標的薬物療法のための組成物の製造に特に有用であることが見いだされている。
【0006】
オキシラニルエポチロンからのアジリジニル-エポチロンアナログの製造方法が、Borzilleri et al.の特許文献12において開示されており、該特許出願人に譲渡されている。Borzilleriにおいて、アジリジニル-エポチロンは、エポチロンAまたはBと一致した立体構造を有する化合物から製造される。次いで、これらの立体特異的化合物を用い、金属ハライドとの反応によるエポキシド環の切断、アジド塩との反応による該ハライドのアジドへの変換、光延反応の実施による中間体エステルの形成、該エステルの開裂による中間体アジドアルコールの形成、その後のアジドアルコールの環化によってアジリジニル-エポチロン化合物を得ることを含むいくつかの工程を経てアジリジニル-エポチロンを製造する。例えば、特許文献13、段落2-3を参照。報告では、この複数工程の方法を用いて該出発物質の立体構造を保持するアジリジニル-エポチロン化合物が得られる(段落1、57-60行)。
【0007】
非特許文献1において、中間体ジアステレオマーのエポチロンA、またはエピ-エポチロンA (「エピ-エポ(epi-epo)A」)を介したアジリジニル-エポチロンの製造スキームが開示されている。Regueiro-Ren et al.は以下のスキームを報告する。
【化2】

【0008】
Regueiro-Ren et al.は、3のエポキシ化により目的の12β,13β-エポキシド5(エピ-エポA)が得られるが、エポチロンA:12β,13β-エポチロンAの比は3:1であると記述する。Regueiro-Ren et al.はさらに、目的の12β,13β-エポキシド5に有利になるようにこの比を変化および改善する試みは失敗であり、低温、溶媒変化、および別のジオキシラン供給源などの他の反応条件はジアステレオ選択性に効果がなかったことを報告する(非特許文献1、2694ページ、脚注8)。
【0009】
従って、エポチロンおよびアナログの製造のための効率的な方法、例えば、改良された比のエピ-立体特異型のエピ-エポチロン(例えばエピ-エポAまたはエピ-エポB)を製造する有効な方法、および中間体としてエピ-エポチロンを用いてエポチロンアナログ(例えばアジリジニル(azirdinyl)-エポチロンアナログ)を製造する効率的な方法の開発における技術的問題が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第93/10121号
【特許文献2】米国特許第6,624,310号
【特許文献3】米国特許第6,605,599号
【特許文献4】米国特許第6,262,094号
【特許文献5】米国特許第6,399,638号
【特許文献6】米国特許第6,498,257号
【特許文献7】米国特許第6,380,395号
【特許文献8】米国特許第6,800,653号
【特許文献9】米国仮特許出願第60/808,366号
【特許文献10】米国特許出願第11/735,785号
【特許文献11】米国特許出願公開第2007/0276018(A1)号
【特許文献12】米国特許第6,291,684号
【特許文献13】米国特許第6,291,684(B1)号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Regueiro-Ren et al., Organic Letters, 3:2693-2696 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、顕著に改善された比のエピ-立体特異型(例えば、主要な天然の立体配置異性体と比べて)を供する、中間体として有用なエピ-エポチロン(例えば、エピ-エポA/Bおよび保護された形態のエピ-エポA/B)を製造するための改良方法、およびエピ-エポチロンをアジリジニル-エポチロン化合物に変換するための改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
一実施態様において、本発明は、
(i)式(C):
【化3】

[式中、
R1は水素であるか、Z1と結合を形成し;
Z1はヒドロキシル、シアノであるか、R1と一緒になって結合を形成するか、またはORpであり;
Z2はヒドロキシルまたはORpであり;ここで各Rpは保護基であり;
R2、R3、およびR5は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか; あるいはR2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって、適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、または置換アリールであり;
R6は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R12は水素、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;そして
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである]
を有する化合物を;
(ii)ハロゲン化剤と反応させて、式(B.1)および(B.2):
【化4】

(式中、Yはハロゲンであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、Z1およびZ2は前述の通りである)を有する化合物を得ること;そして、
(iii)式(B.1)および/または(B.2)の化合物のエポキシド閉環により、式(A.1):
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、Z1およびZ2は前述の通りである)の化合物を得ること、
を含む方法を提供する。
【0014】
式(A.1)の化合物は、以下に記載のとおり、微小管安定化効果を有するアジリジニル-エポチロン化合物(例えば、式(H)を有するもの)の製造に特に有用である。
【0015】
別の実施態様において、上記に慨述した通りに適宜製造した式A.1を有する化合物を、塩基の存在下でアルキルハライドを用いて処理することにより、アジリジニル(azirdinyl)-エポチロンアナログ(例えば、以下の式GまたはHを有するもの)を製造する方法を提供する。
【0016】
本発明の上記概要は非限定的なものであり、本発明のさらなる実施態様を以下に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な記載)
(用語の定義)
以下は、本明細書で用いられる用語の定義である。本明細書における基または用語に与えられた最初の定義を、他に指示のない限り、個々にまたは別の基の一部として本明細書全体にわたって適用する。
【0018】
アジド供与剤はアジド基を供与することができる求核剤であり、無機アジド塩、例えばリチウムもしくはナトリウムアジド、またはテトラ-アルキルアンモニウムアジド、例えばテトラブチルアンモニウムアジド、トリアルキルシリルアジド、例えばトリメチルシリルアジドなどが挙げられる。好ましいアジド供与剤(agent)はナトリウムアジドおよびテトラブチルアンモニウムアジドである。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「塩基」には、金属酸化物、水酸化物もしくはアルコキシド、水素化物、またはアンモニアなどの化合物が含まれ、それは水または溶媒中でプロトンを受け取る。従って、塩基の例としては、限定はされないが、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド(すなわち、MOR、ここでMはカリウム、リチウム、またはナトリウムなどのアルカリ金属であり、上記の通りRは水素またはアルキルであり、より好ましくはRは直鎖または分枝鎖C1-5アルキルであり、従って、制限はされないが、水酸化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ペントキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、水酸化リチウムなどが含まれる); 他の水酸化物(例えば水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)または水酸化カルシウム(Ca(OH)2)); アルカリ金属水素化物(すなわち、MH、ここでMは上記の通りであり、従って、制限はされないが、水素化ナトリウムおよび水素化リチウムが含まれる); アルキル化ジシラジド(例えば、ヘキサメチルジシラザンカリウムおよびヘキサメチルジシラザンリチウムなど); 炭酸塩(例えば炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))、アルキルアンモニウムヒドロキシド(例えばn-テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH));などが挙げられる。本明細書における好ましい塩基としては、有機塩基、より具体的には第三級アミン(例えばN-メチルモルホリン、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミン(別名ヒューニッヒ塩基))が挙げられる。
【0020】
本明細書で用いられる用語「カップリング試薬」とは、カルボン酸とアミンまたはアニリンをカップリングさせてアミド結合を形成するために用いる試薬を言う。それには、別のカップリング試薬と組み合わせて用いてカップリング過程を迅速化して副反応を阻害するカップリング用添加剤(coupling additive)、例えばCDI、HOBt、HOAt、HODhbt、HOSu、またはNEPISが挙げられ得る。具体的なペプチドカップリング試薬としては、DCC、EDC、BBC、BDMP、BOMI、HATU、HAPyU、HBTU、TAPipU、AOP、BDP、BOP、PyAOP、PyBOP、TDBTU、TNTU、TPTU、TSTU、BEMT、BOP-Cl、BroP、BTFFH、CIP、EDPBT、Dpp-Cl、EEDQ、FDPP、HOTT-PF6、TOTT-BF4、PyBrop、PyClop、およびTFFHが挙げられ得る。引用により援用される、Peptide Coupling Reagents: Names, Acronyms and References, Albany Molecular Research, Inc., Technical Reports, Vol. 4, No. 1 を参照。
【0021】
本明細書における高温(Elevated temperature)は、室温以上の温度(すなわち、約25℃以上)、好ましくは約30℃以上の温度、より好ましくは約30-40℃以上の温度を意味する。いずれか特定の反応工程について選択される温度は、該特定の工程に用いる溶媒または他の試薬の選択により(例えば、それらの沸点または融点により)制限され得ることが、当業者には認識されるであろう。
【0022】
用語「ハロゲン化剤」または「ハロゲン化試薬」は、本明細書において、式(C)(C'を含む)の化合物をハロゲン化することができる剤を意味する。ハロゲン化試薬としては、無機および有機ハロゲン化試薬が挙げられる。無機ハロゲン化試薬の例としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、および次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。有機ハロゲン化試薬としては、N-ハロコハク酸イミド、例えばN-クロロコハク酸イミド(NCS)、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-ヨードコハク酸イミド(NIS); またはヒダントイン(hydantion)、例えば1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、および1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。
【0023】
本明細書で用いられる「高収率」とは、60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上、そして最も好ましくは90%以上の収率を意味する。
【0024】
「脱離基」とは、I、Br、Cl、ReSO2O-(本明細書に記載の通り、ここでReはアルキル、置換アルキル、アリール、またはヘテロアリールである)、および弱塩基、例えばHSO4-など、を含む求核剤との反応により置換され得る基を意味する。好ましい脱離基としては、メチルスルフェート、メシレート(メタンスルホナート)、トリフルオロメタンスルホナート(trifluromethanesulfonate)、トシレート(p-トルエンスルホナート)、およびノシレート(nosylate)のイオンが挙げられる。
【0025】
本明細書で用いられる「保護基」とは、例えばGreene, T.W. et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Incに記載のような、当分野において公知のいずれの保護基を意味する。官能基が「保護された」と言われる場合、これは、該基が、保護部位での望ましくない副反応を減少とりわけ除く、修飾された形態であることを意味する。従って保護基は、アルキル、置換アルキル(例えばアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)、アルコキシカルボニル、または-Si(Rf)3(ここでRfは互いに独立してアルキルまたはアリールから選択される)から選択されてもよい。好ましい保護基は、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルなどといったシリル保護基である。
【0026】
アジド還元剤としては、有機ホスフィン(organophospine)、例えば、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、およびトリ(アルキル/アリール)ホスフィン(またはその混合物)、より好ましくはトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)-ホスフィンおよび/もしくはトリプロピルホスフィン、ならびに/またはその混合物が挙げられる。
【0027】
本明細書で用いられる「適切な溶媒」は、単一の溶媒だけでなく溶媒の混合物も言及することを意図する。溶媒は、例えば、非プロトン性極性溶媒(例えばDMF、DMA、DMSO、ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン、およびヘキサメチルリン酸トリアミド); エーテル溶媒(例えばジエチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、メチル t-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、およびエチレングリコールジメチルエーテル); アルコール溶媒(例えばMeOH、EtOH、およびイソプロパノール); およびハロゲン-含有溶媒(例えば 塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および1,2-ジクロロエタン)から、所定の反応工程に適するように選択され得る。
【0028】
「極性溶媒」は、双極子モーメントを有し、イオン化合物または共有結合化合物をイオン化して溶解させることができる溶媒である。例えば、本明細書における極性溶媒としては、水、アセトニトリル、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、およびアルコール(例えばMeOH、EtOH、IPA、tert-ブタノールなど)、ならびにそれら混合物が挙げられ得る。アセトニトリル、水、EtOH、およびそれらの混合物を含む極性溶媒が好ましい。
【0029】
本明細書において低温(Reduced temperature)とは、室温以下(すなわち、約25℃以下)、好ましくは約10℃以下の温度、そしてより好ましくは約0℃以下の温度を意味する。いずれか特定の反応工程について選択される温度は、該特定の工程に用いる溶媒または他の試薬の選択により(例えば、それらの凝固点により)制限され得ることが、当業者には認識されるであろう。
【0030】
単独か他の基との組み合わせかに関わらず、用語「アルキル」および「アルカ(alk)」とは、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を含有する、いずれの可能な炭素原子で結合した直鎖または分枝鎖アルカン(炭化水素)基を言う。そのような基の例としては、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチルなどが挙げられる。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。アルキルまたは他の基に関して下付き文字が用いられる場合、該下付き文字は、該基が有し得る炭素原子の数を指す。例えば、用語「C0-4アルキル」は結合および1から4個の炭素原子のアルキル基を含み、用語「C1-4アルキル」は1から4個の炭素原子のアルキル基を意味する。
【0031】
用語「アルキレン」とは、「アルキル」に関して上記した通りであるが2つの結合点を有する二価の炭化水素基を言う。例えば、メチレン基は-CH2-基であり、エチレン基は-CH2-CH2-基である。
【0032】
ヘテロシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルのように、該用語アルキルが別の基とつなげて用いられる場合、これは他の特定の(先頭の名称の)基が上記のアルキル基を介して直接結合していることを意味する(例えば、それは分枝鎖または直鎖であってよい)。従ってこの場合、用語「アルキル」は、アルキレン、例えば2つの結合可能点を有する二価のアルキル基を指すように用いられる。例えば、シクロプロピルC1-4アルキルは、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレンを介して結合したシクロプロピル基を意味し、ヒドロキシアルキルは、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレンを介して結合した基OHを意味する。「置換シクロアルキルアルキル」におけるような置換基の場合、該基のアルキレン部分は、分枝鎖または直鎖であることに加えて、置換アルキル基について以下に記載の通りに置換されていてよく、および/または先頭の名称の基(例えばシクロアルキル)は、その名称の基(例えばシクロアルキル)について本明細書に記載した通りに置換されてもよい。
【0033】
「置換アルキル」とは、いずれの結合可能な点において、1つ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換されたアルキル基を言う。しかしながら、アルキル基が複数のハロ置換基で置換されている場合、該アルキルは、原子価が許容する最大10個の置換基、より好ましくは最大7個の置換基を含み得る。アルキル置換基は以下の基のうちの1つ以上を含み得る: ハロ(例えば、1つのハロ置換基もしくは複数のハロ置換基、後者の場合、ペルフルオロアルキル基またはCl3もしくはCF3を有するアルキル基などの基を形成する)、シアノ、-ORa、-SRa、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-OC(=O)Ra、-OC(=O)ORa、-NRaRb、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-S(=O)Ra、-S(O)2Ra、-NHS(O)2Ra、-NHS(O)2NHRa、-NHC(=O)NHRa、-NHC(=O)Ra、-NHC(O)2Ra、-NHC(=N-CN)Ra、アリール、ヘテロ環、シクロアルキル、および/またはヘテロアリール、ここで、該基RaおよびRbは独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールから選択され、各Raおよび/またはRbはまた、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、C3-7シクロアルキル、5もしくは6員ヘテロシクロもしくはヘテロアリール、および/または低級アルキルもしくは低級アルケニル(ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、ハロC1-4アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1-4アルキルアミノ、アミノC1-4アルキル、ヒドロキシC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、チオール、および/またはC1-4アルキルチオから選択される1から4個の基で置換される)から選択される1から4個の基で適宜置換されている。誤解を避けるために、「置換低級アルキル」は、1から4個の炭素原子と、置換アルキル基について直上に記載したものから選択される1から4個の置換基を有するアルキル基を意味する。置換低級アルキルの場合、好ましくは、該基RaおよびRbは水素、低級アルキル、低級アルケニル、C3-7シクロアルキル、フェニル、ならびに5から6員単環式ヘテロシクロおよび/またはヘテロアリール(同様に上記の通り適宜置換されている)から選択される。
【0034】
用語「アルケニル」とは、2から12個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を言う。そのような基の例としては、エテニルまたはアリルが挙げられる。「置換アルケニル」とは、いずれの結合可能な点において、1つ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換されたアルケニル基を言う。置換基の例としては、アルキル、置換アルキル、およびアルキル置換基として上記した基が挙げられる。
【0035】
用語「アルコキシ」および「アルキルチオ」とは、各々酸素結合(-O-)または硫黄結合(-S-)を介して結合した上記のアルキル基を言う。用語「置換アルコキシ」および「置換アルキルチオ」とは、各々酸素または硫黄結合を介して結合した上記の置換アルキル基を言う。「低級アルコキシ」またはC1-4アルコキシは基ORであり、ここでRは低級アルキル(1から4個の炭素原子のアルキル)である。
【0036】
「アミノ」はNH2である。アルキルアミノは-NRcRdであり、ここでRcおよびRdの少なくとも1つはアルキルまたは置換アルキルであり、RcおよびRdの他方は水素、アルキル、または置換アルキルから選択される。「アミノアルキル」はアルキレン基を介して結合するアミノ基(-アルキレン-NH2)を意味し、アルキルアミノアルキルはアルキレン基を介して結合する上記のアルキルアミノ(-アルキレン-NRcRd)を意味する。
【0037】
用語「アリール」とは、1から3個の芳香環を有する環式芳香族炭化水素基、とりわけフェニルまたはナフチルのような単環式もしくは二環式基を言う。二環式または三環式のアリール基は、少なくとも1つの完全芳香族炭素環を含まなければならないが、他の縮合環は芳香族もしくは非芳香族であってよく、ヘテロ原子を適宜含んでいてよいが、ただし、 そのような場合、該結合点は芳香族炭素環である。さらに、ヘテロ環またはシクロアルキル環がアリール基に縮合している場合、該ヘテロ環および/またはシクロアルキル環は1つ以上のカルボニル炭素原子を有し得る(すなわち、二重結合を介して酸素原子に結合し、カルボニル基を決定づける)。従って、「アリール」の例としては、限定されることなく:
【化6】

などが挙げられ得る。
【0038】
用語「アリーレン」とは、二価のアリール基、すなわち、アリール環のいずれの結合可能な点において、2個の他の基に対する2つの結合点を有する上記のアリール基を言う。アリーレン環はまた、本明細書に記載のアリール基上での置換に適した基のいずれかで置換されていてよい。
【0039】
「置換アリール」とは、いずれの結合点において、1つ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換された、上記のアリールまたはアリーレン基を言う。置換基としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ならびにアルキル置換基として上記した基が挙げられる。
【0040】
用語「炭素環」とは、全ての環の全ての原子が炭素である、飽和または不飽和の単環式、二環式、もしくは三環式環(好ましくは単環式もしくは二環式)を言う。従って、該用語はシクロアルキル環およびアリール環を含む。炭素環は置換されていてよく、その場合、置換基はシクロアルキル基およびアリール基について上記したものから選択される。
【0041】
用語「シクロアルキル」とは、1から3つの環を含有し、1つの環あたり3から7個の炭素原子を有する完全飽和または部分飽和環状炭化水素基を言う。完全飽和シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。部分飽和シクロアルキル基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。用語「シクロアルキル」は、3から4個の炭素原子の架橋を有するような基を包含する。さらに、二環式もしくは三環式であるシクロアルキル基は少なくとも1つの完全飽和または部分飽和炭化水素環を含まなければならないが、他の縮合環は芳香族もしくは非芳香族であってもよく、ヘテロ原子を含み得るが、ただしそのような場合、該結合点は環式非芳香族炭化水素基である。さらに、シクロアルキル基の1つ以上の炭素原子は炭素-酸素二重結合を形成してカルボニル基を決定づける。従って、「シクロアルキル」基の例としては、限定されることなく:
【化7】

などが挙げられ得る。
【0042】
用語「シクロアルキレン」とは、二価のシクロアルキル基、すなわち、シクロアルキル環のいずれの可能な2つの結合点に、2つの他の基に対する2つの結合点を有する上記のシクロアルキル基を言う。
【0043】
「置換シクロアルキル」とは、いずれの可能な結合点において、1つ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換された上記のシクロアルキル基を言う。シクロアルキル置換基としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、およびアルキル置換基として上記した基が挙げられる。
【0044】
用語「グアニジニル」とは、基
【化8】

を意味する。従って、グアニジニルアルキルは、式:
【化9】

を有する基などのグアニジニルに結合したアルキル基を意味する。
【0045】
用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を言う。
【0046】
用語「ヘテロ原子」としては、酸素、硫黄および窒素が挙げられる。
【0047】
用語「ハロアルキル」は1つ以上のハロ置換基を有するアルキルを意味し、制限はされないが、-CH2F、-CHF2および-CF3などの基が含まれる。
【0048】
用語「ハロアルコキシ」は、1つ以上のハロ置換基を有するアルコキシ基を意味する。例えば、「ハロアルコキシ」としては-OCF3が挙げられる。
【0049】
用語「不飽和」が本明細書において環または基に対して用いられる場合、該環または基は完全不飽和もしくは部分不飽和であってよい。
【0050】
用語「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個のヘテロ原子を有する少なくとも1つの環を有する、4から7員単環式、7から11員二環式、または10から15員三環式の環系である芳香族基を言う。ヘテロ原子を含有するヘテロアリール基の各環は、1または2個の酸素もしくは硫黄原子および/または1から4個の窒素原子を含有することができるが、ただし、各環のヘテロ原子の総数は4個以下であり、各環は少なくとも1個の炭素原子を有する。二環式および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含んでよく、飽和、部分飽和、または不飽和であってよい。該窒素原子および硫黄原子は適宜酸化されていてよく、該窒素原子は適宜四級化されていてよい。二環式もしくは三環式であるヘテロアリール基は少なくとも1つの完全芳香環を含まなければならないが、他の縮合環は芳香族もしくは非芳香族であってよく、炭素環であってもよいが、ただし、そのような場合、該結合点は、芳香族ヘテロ原子-含有環のいずれの可能な窒素または炭素原子であり得る。さらに、ヘテロアリール基自体の定義には、該炭素原子の1つ以上が二重結合を介して酸素原子に結合してカルボニル基を決定づける(ただし、ヘテロアリール基は芳香族である)環が含まれ、また、ヘテロ環またはシクロアルキル環がヘテロアリール基に縮合している場合、該ヘテロ環および/またはシクロアルキル環は1つ以上のカルボニル基を有していてよい。
【0051】
単環式ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル(すなわち、
【化10】

)、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニルなどが挙げられる。さらに、ヘテロアリール基自体の定義にはその炭素原子の1つ以上がカルボニル基を決定づける環が含まれるので、例えば2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-オン(すなわち、
【化11】

)などの環が含まれる。
【0052】
二環式ヘテロアリール基の例としては、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾオキソリル(benzoxaxolyl)、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル、ジヒドロイソインドリル、テトラヒドロキノリニルなどが挙げられる。
【0053】
三環式ヘテロアリール基の例としては、カルバゾリル、ベンゾインドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0054】
用語「ヘテロアルキレン」とは、二価のヘテロアリール基、すなわち、ヘテロアリール環のいずれの可能な2つの結合点に、2つの他の基への2つの結合点を有する、上記のヘテロアリール基を言う。
【0055】
「置換ヘテロアリール」基は、いずれの可能な結合点において、1つ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換された上記のヘテロアリール基である。置換基の例としては、限定はされないが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ならびにアルキル置換基として上記した基が挙げられる。
【0056】
用語「ヘテロ環(heterocycle)」、「ヘテロ環式(heterocyclic)」および「ヘテロシクロ」は互換的に用いることができ、各々完全飽和または部分飽和非芳香族環式基を言い、置換または無置換であってよく、例えば、4から7員単環式、7から11員二環式、または10から15員三環式環系であり、少なくとも1つの炭素原子-含有環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含有するヘテロ環基の各環は、窒素、酸素または硫黄原子から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有していてよく、ここで該窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子はまた適宜酸化されていてもよく、該窒素原子はまた適宜四級化されていてもよい。好ましくは、2個の隣接するヘテロ原子は酸素または窒素から同時に選択されない。二環式または三環式のヘテロ環基は少なくとも1つの非芳香族非炭素環を含まなくてはならないが、他の縮合環は芳香族または非芳香族であってよく、炭素環であってよいが、ただし、そのような場合、該結合点は非芳香族ヘテロ原子含有環のいずれの可能な窒素もしくは炭素原子であり得る。さらに、ヘテロ環基自体の定義には炭素原子のうち1つ以上が二重結合を介して酸素原子に結合してカルボニル基を決定づけている環 (ただし該ヘテロ環基は非芳香族である)が含まれ、また、ヘテロ環基にさらなる環が縮合している場合、該さらなる環は1つ以上のカルボニル基を有していてよい。
【0057】
単環式ヘテロ環基の例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニルなどが挙げられる。
【0058】
「置換ヘテロ環(substituted heterocycle)」、「置換ヘテロ環式(substituted heterocyclic)」および「置換ヘテロシクロ」とは、いずれの可能な結合点において1個以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換された上記のヘテロ環(heterocycle)基、ヘテロ環式(heterocyclic)基、またはヘテロシクロ基を言う。置換基の例としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ならびにアルキル置換基の例として上記した基が挙げられる。
【0059】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは-OHを言う。
【0060】
「チオール」は基-SHを意味する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「葉酸結合部分またはそのアナログもしくは誘導体」は、癌細胞で過剰に発現もしくは選択的に発現する葉酸受容体タンパク質(モノクローナル抗体ではない)に結合し得る部分を意味する。例えば、該葉酸受容体(FR)は卵巣癌細胞および他のガン細胞において過剰発現することが知られている。葉酸の例示的なアナログおよび誘導体は、Vlahov et al., (以降「Vlahov」)の米国特許出願第2005/0002942号に開示されている。
【0062】
本明細書で用いられる用語「解離可能なリンカー」は、生理学的条件下において開裂され得る、少なくとも1つの開裂性結合(例えば、pH-不安定、還元-不安定、酸-不安定、酸化-不安定、または酵素-不安定結合)を含む二価のリンカーを意味する。結合の開裂をもたらすような生理学的条件としては、例えば、生理学的pHで、または細胞器官(例えば、細胞質pHよりも低いpHを有するエンドソーム)への区画化の結果として、あるいは細胞の還元剤(例えばグルタチオン)との反応の結果として生じる標準的な化学的加水分解反応が含まれると理解されるべきである。
【0063】
開裂性結合は、解離可能なリンカー内で2個の隣接する原子を結合できる、および/または、リンカーのいずれかもしくは両方の末端で、本明細書に記載のQおよびKなどの解離可能なリンカーに他の基を結合できることが理解される。
【0064】
用語「第四級窒素」とは、例えば、テトラアルキルアンモニウム基(例えば、テトラメチルアンモニウムまたはN-メチルピリジニウム)の正に荷電した窒素、プロトン化アンモニウム種 (例えば、トリメチルヒドロアンモニウムまたはN-ヒドロピリジニウム)の正に荷電した窒素、アミンN-オキシド(例えば、N-メチル-モルホリン-N-オキシドまたはピリジン-N-オキシド)の正に荷電した窒素、およびN-アミノ-アンモニウム基(例えば、N-アミノピリジニウム) の正に荷電した窒素を含む、4価の正に荷電した窒素原子を言う。
【0065】
(一般的方法)
【化12】

スキーム1は、式Cの化合物から式A.1およびA.2の化合物を製造する本発明の方法、とりわけ、式A.1の化合物の立体選択的な優先性を有する方法の実施態様を説明し、ここで該種々の基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、Z1およびZ2は本明細書の他(例えば、発明の概要および別の実施態様中など)に記載の通りである。式Cの化合物は公知であり、例えば、発酵により(例えば、Gerth et al., “Studies on the Biosynthesis of Epothilone: The Biosynthetic Origin of the Carbon Skeleton,” Journal of Antibiotics, 53(12):1373-1377 (Dec. 2000); Hofle et al., “Epothilone A and B- Novel 16-Membered Macrolides: Isolation, Crystal Structure, and Conformation in Solution”, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35(13/14):1567-1569 (1996)を参照; また、国際公開第03/072730号、米国特許第6,410,301号; 米国特許第6,303,342号; および米国特許第2002/0137152(A1)号を参照、それらの開示は援用により本明細書に援用される)、または全もしくは半合成により(例えば、Vite et al. 米国特許第6,605,599号; 第6,242,469号; 第6,867,333号、米国特許出願公開第2006/004065号を参照、製造方法に関するそれらの開示は引用により本明細書に援用される)、当分野で公知の方法を用いて得ることができる。例えば、式Cの化合物は、R1が水素であり、R2、R3、R4、R5およびR12がメチルであり、Z1およびZ2がヒドロキシルである場合、エポチロンC(ここでR6は水素である)であり、R1が水素でありR12が2-メチルチアゾール-4-イルである場合、エポチロンD(ここでR6はメチルである)であり、両者ともSorangium cellulosumの発酵から得ることができる。Z1およびZ2が保護された(例えば式ORpの基を含む)式Cの化合物は公知であり、当分野において周知の方法により容易に得ることができる。例えば、国際公開第93/10121号; 独国特許第19542986(A1)号; 国際公開97/19086号; 国際公開第98/22461号を参照; また、米国特許第6,369,234号および第6,972,335号を参照。1つのそのような方法は、塩基(例えばヒューニッヒ塩基)の存在下、クロロトリエチルシランで処理して保護された化合物(Rpはトリエチルシランである)を得ることである。また、B., “Silylation as a Protective Method In Organic Synthesis,” Chemistry & Industry, 20:794-797 (1978); Lalonde, et al., “Use of Organosilicon Reagents As Protective Groups In Organic Synthesis,” Synthesis, 9:817-845 (1985); およびOlsson, “Silicon-Based Protective Groups in Organic Synthesis,” Acta Pharmaceutical Suecica, 23(6):370-385 (1986)を参照。
【0066】
B.1およびB.2のハロヒドリン(YはCl、Br、またはIである)は、ハロゲン化剤で処理することにより、式Cの化合物から製造することができる。例えば、ハロゲン(Y2)(好ましくは、Y =ヨウ素)を用いた極性溶媒中における求電子付加により、式B.1およびB.2の位置異性体ハロヒドリン(ここでYはハロゲン(好ましくはヨウ素)である)を立体選択的に得ることができる。あるいは、N-ハロコハク酸イミド(例えば、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、またはN-ヨードコハク酸イミド(NIS)など)もまた同様の変換に用いることができる。該工程用の極性溶媒としては、アセトニトリル、水、NMP、DMA、DMF、THF、およびアルコール(例えば、MeOH、EtOH、IPA、tert-ブタノールなど)、ならびにそれらの混合物が挙げられ、好ましくはアセトニトリル、水、EtOH、およびそれらの混合物、より好ましくはアセトニトリルを含む。
【0067】
Cのエポチロン化合物をハロゲン化する工程は、低温、好ましくは10℃以下の温度、より好ましくは0℃以下の温度、さらに好ましくは約0℃と-15℃の間、そして最も好ましくは-5℃から-10℃の範囲内で実施するのが好ましい。
【0068】
さらに、この工程で過剰量のハロゲン化試薬を用いた後、クエンチ剤を用いて過剰分を除去することが好ましい。例えばハロゲン化試薬を、2〜5(ハロゲン化剤):1(化合物C)のモル比、より好ましくは約5:1(ハロゲン化剤:化合物C)(モル比)で添加した後、当分野で周知のクエンチ剤でクエンチしてよい。例えば、クエンチ剤は、March, Advanced Organic Chemistry, Reactions, Mechanisms and Structures, J. Wiley & Sons, New York, p. 813 (1992)およびその引用文献;およびZanger, M. et al., J. Org. Chem., 40:248 (1975)(両者ともクエンチ剤についての開示に関して引用により本明細書に援用される)に記載のとおり用いてよい。非限定的な例として、15%二亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite)溶液を用いてよい。
【0069】
次いで、塩基の存在下で式B.1およびB.2の化合物の環を閉鎖し、式A.1およびA.2のエポキシドエポチロン化合物を得る。本願の発明者らは、この反応に関して、中間体B.1およびB.2の単離精製は必要ではなく、むしろ塩基の添加により、式A.1の化合物の立体選択的優位性をもって、両方の中間体が式A.1およびA.2の化合物に変換されることを発見した。それにより、化合物A.1A.2の望ましい比率、例えば2:1以上、さらには5:1以上、そしてさらには9:1以上を得ることができる。塩基は上記の中から選択してよく、この変換に好ましい塩基は第三級アミン(例えばN-メチルモルホリン、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミン(別名 ヒューニッヒ塩基))、より好ましくはトリエチルアミンもしくはヒューニッヒ塩基である。該反応は、極性/水性溶媒系を含む極性溶媒中で行うことが好ましい。極性溶媒としては上記のものが挙げられ、好ましくはアセトニトリル、水、EtOH、およびそれらの混合物であり、より好ましくはアセトニトリル/水である。
【0070】
さらに、B.1およびB.2A.1およびA.2への変換反応は、反応が促進される高温で実施することが好ましい。当業者は、溶媒の選択により高温が制限されることを認識し、それに応じて温度/溶媒系を最適化することができるであろう。例えば、アセトニトリル/水を用いる場合、約40℃から60℃、より好ましくは約50℃から60℃の温度で反応させることが好ましい。当分野で公知の方法(例えば、Regueiro-Ren et al., Organic Letters, 3:2693-2696 (2001)に記載のような)またはより好ましくは、本明細書(例えば、以下のスキーム2およびスキーム3ならびに実施例)に示す別の方法により、式A.1の化合物を主要な天然エポチロン(例えば、エポチロンA、B、C、Dなど)と一致する立体特異性(stereospecifity)を有するアジリジニルエポチロンに変換することができる。
【0071】
【化13】

スキーム1.1は、中間体保護基を介さずに、式Cの化合物(ここにはエポチロンC/Dとして図示)を式A.1の化合物(ここにはエピ-エポA/Bとして図示)へ直接的に変換する例を示す。スキーム1に例示の一般的な条件に従って、好ましくは極性溶媒において低温で、エポチロンCおよび/またはD化合物をハロゲン化剤(好ましくは過剰量のハロゲン化剤)により処理した後、クエンチし、それにより中間体ハロヒドリン化合物が得られ(単離または生成が必要)、次いで、好ましくは極性/水性溶媒系において高温で塩基により処理し、ジアステレオマーのエポチロンA/Bに比べて高収率でエピ-エポチロンA/Bを得る。
【0072】
【化14】

スキーム2は、式A.1の化合物の、式Gを有するアジリジニル-エポチロン化合物への変換の例を示す。式A.1の化合物において、該基Z1および/またはZ2はヒドロキシルであってよく、また保護基を含んでいてもよく、例えば、Z1および/またはZ2の少なくとも1つは基ORpであってよい。どちらの場合でも、アルコール溶媒中、アジド供与剤(例えば無機のアジド塩またはテトラ-アルキルアンモニウムアジド)の存在下で、アジド置換により式A.1の化合物を式E.1およびE.2のアジド-アルコールに変換することができる。都合よく、アンモニウムハライド(アンモニウムクロリド、アンモニウムブロミド)のようなアンモニウム塩をアジド供与剤とともに用いてアジドの溶解性を高め、反応を促進させる。Z1 = OH、CN、またはR1との結合であり、Z2がヒドロキシルである場合、式Gの化合物は、極性溶媒、より好ましくは無水極性溶媒(例えば無水アセトニトリル)中において、有機ホスフィン(例えば、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、およびトリ(アルキル/アリール)ホスフィン、またはそれらの混合物、より好ましくはトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)-ホスフィンおよび/もしくはトリプロピルホスフィン、ならびに/またはそれらの混合物、そしてさらに好ましくはトリフェニルホスフィン)のようなアジド還元剤を用いてアジド基を還元することにより、直接製造されるのが好ましい。Z1および/またはZ2が保護基を含有する場合、副生成物の反応を最少化して収率を高めること、当分野で公知の方法、例えば、適切な有機溶媒(例えばジクロロメタン)中において塩化メタンスルホニルおよびトリエチルアミンでの処理により、C12、C13ヒドロキシル基を式F.1およびF.2の化合物中の脱離基OG(例えばメシレート、トシレート、ノシレート、トリフレートなど)に第一に変換することが式Gの化合物の製造においては有利である。上記のとおり、極性溶媒中におけるアジド還元剤での還元により、F.1およびF.2の化合物を式Gの化合物に変換することができる。従って、式A.1の化合物がエピ-エポのAおよび/またはBを含有する場合(スキーム1.1のように)、アジド置換に続いて、極性溶媒中でアジド還元剤(例えば有機ホスフィン)を用いてアジド基を還元することにより、式Gのアジリジニル化合物を直接製造することができる。好ましくは、スキーム2の反応は、室温付近、または約20℃から40℃の範囲の温度、および無水環境で行う。その後、式Gの化合物を用いて、当分野で公知の方法(例えば、米国特許第6,800,653号; およびRegueiro-Ren et al., Organic Letters, 3:2693-2696 (2001)を参照)により、あるいは好ましくはスキーム3に示すとおり、さらなるアジリジニルエポチロンアナログ、例えば以下の式HまたはXの化合物を製造することができる。
【0073】
【化15】

スキーム3は、式Gの化合物から式Hのアジリジニルアナログを製造する改良方法を説明する(式中、種々の基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、R40およびB1は本明細書において他に記載の通りである)。この方法は前述の方法と比べて、より単純であり、十分に精製された最終生成物をより高い収率で得られ、また保護基の使用に関して、よりフレキシブルである。例えば、塩基の存在下、ハライド試薬R40-Y(Yはハライドである)を用いて(好ましくは過剰量のハライドで)アジリジン環を処理することにより、式Hの化合物を式Gの化合物から直接製造することができる。例えば、アジリジンを2-ブロモエタノールおよび第三級アミンまたは炭酸カリウムのような塩基により処理することによって、式Hの化合物(R40は2-ヒドロキシエチルである)を製造することができる。該反応は、極性溶媒、最も好ましくはアセトニトリル中において、高温(例えば、好ましくは40℃以上、より好ましくは約50℃〜75℃の間、最も好ましくは70〜75℃の間)で行うことが好ましい。出願人らは、不純物を減らして収率を高めるためのこの反応に対するハライド対アジリジニル-エポチロンの好ましい比は、約5-7:ハライド対1:式Gの化合物(モル比)であり、より好ましくは6:1(ハライド:式Gの化合物)の比が用いられ; より高い比であるとより多くの不純物が生じ、より低い比(ハライドが少ない)であると、不完全な反応物がより多いことを見いだした。この方法によって、例えば90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは約96〜98%もしくは97〜99%の純度の、実質的に純粋な式Hの結晶化合物を得ることができる。さらに、この方法は、Z1および/またはZ2の位置の保護基は必要でなく、保護基が式Gの化合物上に位置する場合、式Gの化合物を式Hの化合物に変換する反応のいずれのポイントで、当業者に公知の方法を用いてこれらの保護基を除去することができる(例えばRpがトリエチルシリルである場合、ジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸を用いて処理することにより脱保護して式Hの化合物が得られる)ので、フレキシブルである。
【0074】
【化16】

スキーム4は、葉酸アナログまたは誘導体V、および下記の式XIを有する二価のリンカーT-Q(本発明により製造した化合物とともに用いて、例えば以下に記載の式Iのような、標的ドラッグデリバリー用の接合分子(conjugated molecule)を製造し得る)の製造方法を示す。とりわけ、Vが例えばet al., Advanced Drug Delivery Rev., 56:1111-1125 (2004)(その開示は引用により援用される)により記載の葉酸または葉酸アナログであり、T-Qがペプチドである場合、スキーム4に示す通り、当分野で公知の方法を用いて、葉酸アナログおよび二価のリンカーを構築することができる。カップリング剤としてPyBOPを用い、Fmoc-脱保護剤としてピペリジンを用いて、システイン-担持ポリスチレン樹脂とFmoc-保護アスパルテート、アルギニン、アスパルテート、次いでグルタメートとの連続したペプチドカップリングを達成することができる。N10-トリフルオロアセトアミド-保護プテロイン酸は、葉酸からプテロイン酸への酵素(カルボキシペプチダーゼ G)による変換、それに続くトリフルオロ酢酸無水物を用いたN10-保護の2工程で製造することができる。次いで、N10-保護プテロイン酸の樹脂-結合ペプチドへのカップリングの後、トリフルオロ酢酸による樹脂からの切断および水酸化アンモニウムを用いたN10-トリフルオロアセチル基の除去によって、式Iの化合物のV-T-Qフラグメント(ここでVは葉酸であり、T-Qは-Asp-Arg-Asp-Cys-OHである)を得ることができる。別法として、プテロイン酸アナログは、プテロイン酸および他のアミノ酸の代わりにを用いることができ、スキーム4に示されたものの代わりに用いることができる。
【0075】
【化17】

上記スキーム5は、本発明により製造したエポチロン誘導体を用いて、標的ドラッグデリバリーに用いるための式Iの接合分子を製造する方法を示す。スキーム5に示すとおり、式Iの化合物の構築は、解離可能なリンカーMの段階的取り込みによって式Xの化合物をフラグメントV-T-Qにカップリングさせることにより、達成することができる。例としては、式XIIの活性化ベンゾトリアゾール化合物を用いて、式Xの化合物(ここで-A-K-Hは-CH2CH2OHである)をジスルファニルエチルカーボネートXIIIに変換することができる。式XIIの化合物をメルカプトエタノール、メトキシカルボニルスルフェニルクロリド、および適宜置換された2-メルカプトピリジンから製造し、中間体2-(2-ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エタノールを得ることができ、次いでそれを、ジホスゲンおよび適宜置換された1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いた処理により、式XIIの化合物に変換することができる。その後、ペプチジルフォレート(例えばXI)を用いたジスルフィド交換により、式Iの化合物(ここでVは葉酸であり、T-Qは-Asp-Arg-Asp-Cys-OHであり、Mは-SCH2CH2O(C=O)-であり、Aは-CH2CH2-かつKはOであり、そしてR6は水素またはメチルである)が得られる。
【0076】
(本発明の実施態様)
本発明の一実施態様によると、
(a)式(C'):
【化18】

[式中、
R1は水素であるか、Z1と結合しており;
Z1はヒドロキシル、シアノであるか、R1と一緒になって結合を形成するか、またはORpであり;
Z2はヒドロキシルまたはORpであり;ここでRpは保護基であり;
R2、R3、およびR5 は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか;あるいはR2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって、適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであり;
R6は水素またはアルキルであり;
R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;そして
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである]
を有する化合物を、
(b)ハロゲン化試薬と反応させて、式(B.1')および(B.2'):
【化19】

(式中、Yはハロゲンであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R12、R13、Z1およびZ2は前述のとおりである)を有する化合物を提供すること;そして、
(c)式(B.1')および(B.2')の化合物のエポキシド環閉環により、式(A.1')および(A.2'):
【化20】

の化合物(ここで式(A.1')の化合物が高収率で得られる)を得ること、
を含む方法を提供する。
【0077】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R1は水素である。
【0078】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、Z1およびZ2はヒドロキシルであり、該反応はいずれの保護基も伴わずに行われるが、ここでZ1およびZ2はORpから選択され; 好ましくは、Rpはアルキル、置換アルキル(例えばアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)、アルコキシカルボニル、または-Si(Rf)3(ここでRfは互いに独立してアルキルまたはアリールから選択される)から選択される保護基であり; さらに好ましい保護基はシリル保護基、例えばトリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルであり、より好ましくはTESである。
【0079】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R2、R3、およびR5は独立して、水素または低級アルキル、より好ましくはメチルである。
【0080】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R4は水素、アルキル、アルケニル、またはアルキニル、より好ましくは低級アルキル、低級アルケニル、または低級アルキニル、さらに好ましくはメチルである。
【0081】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R6は水素またはアルキル、より好ましくは水素またはメチルである。
【0082】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R12はH、低級アルキル、またはハロゲン、より好ましくはハロゲンまたはメチル、最も好ましくはメチルである。
【0083】
本明細書中の各々の別法において、好ましくは、R13は適宜置換された5または6員ヘテロアリール、より好ましくは適宜置換されたチアゾリル、ピリジル、またはオキサゾリル、そして最も好ましくは2-メチル-4-チアゾリルである。
【0084】
上記の好ましい選択のうちのいずれか1つ、または上記の好ましい選択のうちのいずれかの組み合わせを、そのような基が出現する本明細書に記載の方法のいずれかに対して選択してもよい。
【0085】
本発明の方法を用いて、米国特許第6,800,653号、米国特許第6,399,638(B1)号、および/または2006年5月25日に出願された米国仮特許出願第60/808,366号の優先権を主張する、本出願と同時に出願された米国特許出願第11/753,785号(US2007/0276018A1、2007年11月29日公開)(それら3つの全ての特許および出願は引用により本明細書に援用される)に記載のアジリジニル-エポチロン化合物を製造してもよい。
【0086】
一実施態様によると、本発明の方法は、式Hの化合物、とりわけ式H':
【化21】

[式中、
R40はアリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、または基H-K1-A1-であり;
K1は非存在であるか、または-O-、-S-もしくは-NR7-であり、
A1は-(CR8R9)r-(CH2)s-Zであり、ここでZは-(CHR10)-、-C(=O)-、-C(=O)-C(=O)-、-OC(=O)-、-N(R11)C(=O)-、-SO2-、または-N(R11)SO2-であり;
B1はヒドロキシルまたはシアノであってR1は水素であるか、あるいはB1およびR1は一緒になって二重結合を形成し;
R2、R3およびR5は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか;あるいは、R2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは置換アリールであり;
R6は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R7、R8、R9、R10およびR11は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;そして、
rおよびsは各々独立して、0〜6から選択される]
による立体特異的形態を有する化合物、ならびにそれらの医薬的に許容される塩および/または溶媒和物の製造に用いられる。当業者は、安定な化合物および部分を得るように上記の基から選択するであろう(例えば、K1が-O-または-S-であり、Zが-C(=O)-C(=O)-、-N(R11)C(=O)-、-SO2-、または-N(R11)SO2-である場合;rおよびsは両方とも好ましくは0および1でなく、K1が-NR7-であり、Zが-C(=O)-C(=O)-である場合、rおよびsは両方とも好ましくは0ではない;など)。
【0087】
別の実施態様において、本発明の方法は、式X、より具体的には立体特異的な式X':
【化22】

[式中、種々の基は上記のとおり選択され、KはK1、AはA1であるか、より好ましくは、Kは-O-であり; AはC2-4アルキレンであり; B1は-OHであり;そして、該残余基R2、R3、R4、R5、R6、R12およびR13は、例えば「本明細書中の各々の別法において」上記したようなこれらの基に対する好ましい選択肢(これらの好ましい選択のいずれの組み合わせも含む)から選択される]
を有する化合物の製造に適用される。
【0088】
別の実施態様において、式XaまたはXa':
【化23】

[式中、Kは-O-、-S-、または-NR7-(より好ましくはO)であり; AはC2-4アルキレンであり; R6は水素またはメチルであり; R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲン(より好ましくはメチル)であり;そしてR13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリール(より好ましくは、適宜置換されたチアゾリルまたは上記のR13に対する他の好ましい選択肢から選択される)である]
を有する化合物の製造方法を提供する。
【0089】
本発明の方法を用いて、式XbまたはXb':
【化24】

[式中、R6は水素またはメチルである(より好ましくは水素)]
を有する化合物、ならびに医薬的に許容されるそれらの塩および/または溶媒和物を製造してもよい。
【0090】
本発明の別の実施態様は、本明細書に記載の方法のいずれかを用いて、患者における癌の治療用の医薬組成物の製造において、とりわけ葉酸受容体を過剰に発現または選択的に発現する腫瘍に対する標的ドラッグデリバリー用の接合化合物を含有する医薬組成物の製造における使用のための、式XXaXa'Xb、および/またはXb'(ここで基K、A、B1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は本明細書中において他に記載されたとおり選択されてよい)の化合物を製造することを含む。
【0091】
例または好ましいとして本明細書に示される実施態様は例示目的であり、限定するものではない。
【0092】
本発明の他の実施態様は、例えば、上記の実施態様の組み合わせについて考慮した場合、本発明明細書の範囲内に包含されると考えられることは、当業者においては明らかであろう。
【0093】
(有用性)
本発明の方法は、微小管-安定化剤およびそのようなものとして有用なエポチロン化合物およびアナログの製造に用いてもよく、本発明により製造された化合物は癌および他の増殖性疾患の治療に用いられ得る。例えば、本発明に従って製造した式GおよびHを有する化合物は、Regueiro-Ren et al., Organic Letters, 3:2693-2696 (2001)および、本発明と同時に出願され、本出願人に譲渡されており、2006年5月25日に出願された米国仮特許出願第60/808,366号の優先権を主張する、表題「Azirdinyl-Epothilone Compounds」の米国特許出願第11/753,785号(US2007/0276018A1、2007年11月29日公開) に記載のとおり、微小管安定化効果を有する。
【0094】
本発明の方法に従って製造した化合物により治療され得る疾病としては、限定されることなく、以下、
−上記のものおよび/または膀胱、膵臓、胃、甲状腺、および前立腺のものを含む、カルシノーマ;
−急性リンパ性白血病および急性リンパ芽球性白血病などの白血病、およびB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫(hairy cell lymphoma)、およびバーキットリンパ腫などのリンパ腫を含む、リンパ系の造血器腫瘍;
−急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む、骨髄系の造血器腫瘍;
−星状細胞腫、神経芽細胞腫、グリオーマ、およびシュワン腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍;
−線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む、間葉系由来の腫瘍; そして、
−メラノーマ、色素性乾皮症、セミノーマ、ケラトアカントーマ、甲状腺濾胞癌、およびテラトカルシノーマを含む、他の腫瘍、
が挙げられる。
【0095】
さらに、本発明に従って製造した化合物を、葉酸受容体を発現する癌細胞または腫瘍により特徴づけられる癌への運搬用の葉酸複合体(folate conjugate)のための化合物の製造に用いてもよい。本明細書で用いる用語「葉酸受容体関連症状」には、葉酸受容体の発現により特徴づけられる疾患もしくは障害、または言い換えると、正常組織を対照とした病変組織における葉酸受容体の発現レベルに基づいて診断もしくは治療が可能な疾患もしくは障害が含まれる。本発明の方法は、複合体(とりわけ葉酸複合体)の形成に特に有用な特定の化合物の製造に有用である。
【0096】
該葉酸受容体は、特定の癌細胞において過剰に発現または選択的に発現しているタンパク質の1つである。葉酸はDNA合成に必要とされ、特定のヒト腫瘍細胞が葉酸結合タンパク質を過剰発現することが知られている。例えば、Campbell et al., “Folate Binding Protein is a Marker for Ovarian Cancer,” Cancer Research, 51:5329-5338 (Oct. 1, 1991)、およびConey et al., “Cloning of a Tumor-Associated Antigen: MOv18 and MOv19 Antibodies Recognize Folate-binding Protein,” Cancer Research, 51:6125-6131 (Nov. 15, 1991)の両者とも、葉酸結合タンパク質は卵巣癌のマーカーであると報告している。非限定的な例として、そのような葉酸受容体関連癌としては、卵巣癌および皮膚癌、乳癌、肺癌、大腸(colon)癌、鼻の癌、咽頭癌、乳腺癌、肝臓癌、腎臓癌、脾臓癌、および/または脳の悪性腫瘍; 中皮腫、下垂体腺腫、子宮頚癌、腎細胞癌または他の腎臓癌、脈絡叢癌(choroid plexus carcinoma)、および上皮性腫瘍(Asok, A., “Folate Receptors: Reflections on a Personal Odyssey and a Perspective on Unfolding Truth,” Advanced Drug Delivery Reviews, 56:1059-1066 (2004)を参照)が挙げられる。葉酸受容体の過剰発現は、皮膚癌、腎臓癌、乳癌、肺癌、大腸癌、鼻の癌、咽頭癌、乳腺癌および脳の悪性腫瘍、ならびに本明細書に記載の他の癌において知られている。
【0097】
本発明を用いて製造した化合物を用いて、以下の式I:
【化25】

[式中、
Vは葉酸、またはそのアナログもしくは誘導体であり;
QはO、S、またはNR7であり;
Mは解離可能なリンカーであり;
KはO、S、またはNR7aであり;
Aは-(CR8R9)-(CH2)m-Z-(ここでZは-(CHR10)-、-C(=O)-、-C(=O)-C(=O)-、-OC(=O)-、-N(R11)C(=O)-、-SO2-、または-N(R11)SO2-である)であり;
B1はヒドロキシルまたはシアノであってR1は水素であるか、あるいはB1およびR1は一緒になって二重結合を形成し;
R2、R3、およびR5は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか;あるいはR2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、アルケニル、置換アルキル、置換アルケニル、アリールまたは置換アリールであり;
R6は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R7a、R7、R8、R9、R10、およびR11は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;
mは0から6であり;
Tは式:
【化26】

(式中、
R14は各々、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、または置換ヘテロシクロアルキルであり;
qは1から10であり;そして、
R15、R16およびR17は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、またはシクロアルキルである)
を有する]
の接合化合物を形成してもよい。
【0098】
別の非限定的な例として、本発明を用いて、Vが式:
【化27】

(式中、WおよびXは独立してCHまたは窒素であり; R20は水素、アミノまたは低級アルキルであり; R21は水素、低級アルキルであるか、またはR23とシクロアルキル基を形成し; R22は水素、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルであり; そして、R23は水素であるか、またはR21とシクロアルキルを形成する)を有する葉酸受容体結合部(folate-receptor binding moiety)であるか; あるいは、より好ましくは、Vが、
【化28】

である、上記式Iを有する接合化合物を製造してもよい。
【0099】
別の実施態様によると、本発明の方法を用いて、以下の式Ib:
【化29】

[式中、Vは葉酸受容体結合部 (より好ましくは、Vは上記のとおりである)であり; QはO、S、またはNR7であり; Mは以下の式:
【化30】

より好ましくは、
【化31】

を有する解離可能なリンカーであり; R14は各々、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、または置換ヘテロシクロアルキル; 好ましくは、H、メチル、グアニジニルプロピル、-(CH2)1-2-CO2H、-CH2-SH、-CH2-OH、イミダゾリル(メチル)、アミノブチル、または-CH(OH)-CH3から選択される基であり; より好ましくは-C(=O)-OHまたは-NH-C(=NH)-NH2のうちの1つで置換されたC1〜C3アルキルであり; qは1から10であり; 好ましくは1から5(より好ましくは1から3)であり; R6は水素またはメチルであり; R15、R16およびR17は独立して、水素、低級アルキルまたは置換低級アルキルであり; R18、R19、R31、R32、R33、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は各々、独立して、H、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるか、あるいは、R18とR19; R31とR32; R19とR31; R33とR24; R25とR26; R24とR25; もしくはR27とR28のいずれかは一緒になって、シクロアルキルを形成してもよい]
を有する接合化合物を形成することができる。
【0100】
本発明の方法は、標的ドラッグデリバリー用の接合化合物、例えば、以下の式:
【化32】

(式中、R6は水素またはメチルである)を有する接合化合物を形成するのに用いられ得る特定のアジリジニルアナログを製造するのに特に有用である。本明細書に記載された式の化合物に挿入可能な、本明細書に記載されたいずれの二価の基について、該挿入は左から右へなされるべきである。例えば、Aが-(CR8R9)-(CH2)m-Z-と定義される以下の場合、以下の通り、該メチレン基はKに結合し、該Z基はアジリジニル環の窒素に結合している。
【化33】

【0101】
本発明の方法を用いて製造した医薬組成物はまた、上記症状に関する投与療法におけるそれらの特有の有用性のために選択された他の治療薬とともに製剤化または共投与することができる。例えば、該医薬組成物を、制吐剤、ならびにH1およびH2抗ヒスタミン剤などの薬剤とともに製剤化して、悪心、過敏症および胃刺激を防ぎ得る。
【0102】
本発明の一実施態様は、癌の治療用医薬組成物の製造における本発明の方法の使用、とりわけ、葉酸受容体を過剰に発現または選択的に発現する腫瘍に対する標的ドラッグデリバリーに用いる医薬組成物の製造における使用を包含する。本発明の医薬組成物を、本明細書に記載された使用のいずれかについて、いずれか適切な方法により(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内注射もしくは注入技法(例えば、無菌注射溶液もしくは非水溶液または懸濁液として)などといった非経口的に、および/または無毒の医薬的に許容可能なベヒクルまたは希釈剤を含有する用量単位剤形で)投与することができる。該医薬組成物は、例えば、即放または徐放に適した形態で投与することができる。即放または徐放は、本発明の化合物を含有する適切な医薬組成物の使用により、あるいは、特に徐放の場合、皮下植込みまたは浸透圧ポンプなどのデバイスの使用により、達成することができる。
【0103】
非経口投与用組成物の例としては、例えば、適切な無毒の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒(マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンガー液、等張食塩水(0.9%塩化ナトリウム注射剤[生理食塩水]もしくは5%ブドウ糖注射剤)など)、または他の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤、ならびに合成モノもしくはジグリセリド、および脂肪酸を含むことができる、注射液もしくは懸濁液が挙げられる。医薬的に許容可能な組成物および/または本発明を用いて製造した化合物の投与方法としては、共溶媒(限定はされないが、エタノール、N,N ジメチルアセトアミド、プロピレングリコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール 300および/またはポリエチレングリコール 400)が含まれる)の使用が挙げられ、サーファクタント(その表面張力を低下させることにより化合物の拡散もしくは湿潤特性の増大に用いられ得る医薬的に許容可能な界面活性剤)(限定はされないが、CREMOPHOR(登録商標)、SOLUTOL HS 15(登録商標)、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー、ピロリドン(例えばN-アルキルピロリドン (例えば、N-メチルピロリドン)および/またはポリビニルピロリドン)が含まれる)の使用を含んでもよく;1つ以上の「バッファー」(例えば、酸または塩基の増量添加による媒体の有効酸性度またはアルカリ度の変化を抑制する能力を分与する成分)(限定はされないが、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、L-アルギニン、L-リジン、L-ヒスチジン、L-アラニン、グリシン、炭酸ナトリウム、トロメタミン (別名、トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタンもしくはトリス)、および/またはそれらの混合物が含まれる)の使用も含み得る。
【0104】
当業者は、本発明を用いて製造した化合物の有効な量を決定することができ、それには成人ヒトに対する典型的な投与量である1日当たり約0.01-10 mg/kg体重の化合物が挙げられ、それは単回投与または個々に分割された投与形態、例えば1日当たり1から4回で投与することができる。好ましい範囲としては、約0.02から5 mg/kg体重の投与量であり、約0.05-0.3の範囲が最も好ましい。いずれの特定の対象に対する具体的な投与量および投与回数は変化させることができ、様々な因子(用いた特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、対象の種、年齢、体重、全般的健康、性別および食餌、投与様式および時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、および特定症状の重篤性が含まれる)に依存しうることが理解されよう。好ましい治療対象としては、動物、最も好ましくは哺乳類種(例えばヒト、およびイヌ、ネコなどの家畜)が挙げられ、微小管安定化関連症状を対象とする。
【0105】
(略語)
参照しやすいように、本明細書中のスキームおよび実施例において以下の略語を用いる。
CBZ-OSu = N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)コハク酸イミド
DCM = ジクロロメタン
DEA = ジエチルアミン
DIAD = アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン
DMA = ジメチルアミン
DMF = ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド(dimethylsufoxide)
EDC = 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
EtOH = エタノール
EtOAc = 酢酸エチル
FR = 葉酸受容体
HOBt = n-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPCL = 高速液体クロマトグラフィー
iPr-OHまたはIPA = イソプロピルアルコール
LC/MS = 液体クロマトグラフィー/質量スペクトル
LDA = リチウムジイソプロピルアミド
MeOH = メタノール
OTES = o-トリエチルシリル
OMs = メシレート
Ph = フェニル
Pd/C = パラジウム炭素
PyBOP = ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Py = ピリジル
RT = 室温
Sat'd = 飽和
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
TLC = 薄層クロマトグラフィー
TESCL = クロロトリエチルシラン
UV = 紫外線
【0106】
本発明を、以下の例示的実施例を参照してさらに記載する。
【実施例】
【0107】
(実施例)
実施例1
(i)[4S,7R,8S,10R,9S,13R,16S]-4,8,13-トリヒドロキシ-14-ヨード-5,5,7,9-テトラメチル-16-[(E)-1-[2-メチルチアゾール-4-イル]プロパ-1-エン-2-イル]オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンの製造。
【化34】

【0108】
エポチロンC(54.3 g, 113.7 mmol)を、アセトニトリル(480 mL)および水(50 mL)に溶解した。該溶液を-5℃から-10℃に冷却した。ヨウ素(144.3 g, 568.4 mmol)を該反応液に添加し、該反応液を少なくとも15時間ホールドした。
【0109】
該反応液を、15%二亜硫酸ナトリウム溶液(900 mL)でクエンチした。該混合液を酢酸エチル(2 x 1.1 L)で抽出した。有機相を集めて、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(675 mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(675 mL)で連続的に洗浄した。該溶媒を減圧下でエバポレートして、粗化合物Aを黄色の油状物として得た(85.6 g)。該化合物Aを、さらなる精製を行わずに次の工程に用いた。
【0110】
HPLC: Phenomex Luna C8 (2) 3μm、4.6 x 150mm、イソクラティック、18分、36%B、 17分、56%B、(移動相A = 0.01M NH4OAc/ACN:水(5:95)、移動相B = 0.01M NH4OAc/ACN:水 (95:5))、流速 1.0ml/分、UV 245、保持時間 = 22.4分。
【0111】
(ii)[1R,3S,7S,10R,11S,12S,16S]-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-[(E)-1-[2-メチルチアゾール-4-イル]プロパ-1-エン-2-イル]-4,17-ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオンの製造。
【化35】

【0112】
[4S,7R,8S,10R,9S,13R,16S]-4,8,13-トリヒドロキシ-14-ヨード-5,5,7,9-テトラメチル-16-[(E)-1-[2-メチルチアゾール-4-イル]プロパ-1-エン-2-イル] オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオン(85.6 g)を、アセトニトリル(670 mL)および水(130 mL)に溶解させた。トリエチルアミン(135 mL, 968.5 mmol)を該溶液に添加した。該反応液を50℃から60℃に少なくとも8時間加熱した。
【0113】
室温に冷却した後、該溶液を減圧濃縮した。該残渣をEtOAc(1.2 L)で希釈し、飽和塩化ナトリウム溶液(3 x 500 mL)で洗浄した。該溶媒を減圧下でエバポレートして、粗生成物を黄色の油状物として得た。シリカゲルパッド濾過(シリカゲル 700 g、66% EtOAc/ヘプタン、2 x 4 L、および1 x 3 L)により精製して、HPLC AP 80で化合物Bを泡状物質として得た(50.3 g, 90%収率)。HPLC: Phenomex Luna C8 (2) 3μm、4.6 x 150mm、イソクラティック、18分、36%B、17分、56%B、(移動相A = 0.01M NH4OAc/ACN:水(5:95)、移動相B = 0.01M NH4OAc/ACN:水(95:5))、流速 1.0ml/分、UV 245、保持時間 = 15.0分。
【0114】
実施例2
(i)(4S,7R,8S,9S,13R,14R,16S)-13-アジド-4,8,14-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンおよび(4S,7R,8S,9S,13S,14S,16S)-14-アジド-4,8,13-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンの製造。
【化36】

【0115】
撹拌した、エタノール(240 mL)および水(48 mL)中のエピ-エポチロン-A(14.35 g, 29.07 mmol)溶液に、アジ化ナトリウム(11.45 g, 174.41 mmol)および塩化アンモニウム(3.14g, 58.14 mmol)を添加した。該混合液を60℃で17-20時間撹拌した。揮発物を、50℃以下、減圧下でロータリーエバポレーターによりエバポレートした。該残渣を、酢酸エチル(287 mL)と水(50 mL)の混合液に溶解させた。相を分離し、下部の水相を酢酸エチル(115 mL)で抽出した。有機相を合わせて、25%塩化ナトリウム(食塩水)水溶液で洗浄した。溶媒を減圧下でエバポレートして、該残渣を酢酸エチル/n-ヘプタン(2:1)混合液で溶出するシリカゲルのパッドに通した。溶媒を減圧下でエバポレートして、アジドアルコール、(4S,7R,8S,9S,13R,14R,16S)-13-アジド-4,8,14-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンおよび(4S,7R,8S,9S,13S,14S,16S)-14-アジド-4,8,13-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンの〜6:1の比率の位置異性体混合物(12.8 g, 82%)を白色の泡状物質として得た。
【0116】
LC-MS: Phenomenex Luna C8(2) カラム: 3 μm, 4.6 x 50 mm. グラジエント: 15分, 10分で0%Bから100%B, 次いで5分間の100%B. 移動相: A = CH3CN/H2O 5:95中の0.01 M NH4OAc; B = CH3CN/H2O 95:5中の0.01 M NH4OAc. 流速: 3.0 mL/分. 波長: UV 250 nm. 保持時間= 5.52 分. MS (ESI) (M+H)+ = 537.69.
【0117】
該反応は、例えば、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、ジメチルホルムアミド、メチルスルホキシドおよびN-メチル-ピロリジノンを用いた、上記のような他の溶媒中でも進行する。
【0118】
テトラブチルアンモニウムアジド試薬を含む、上記のような他のアジド供与剤を用いることができる。
【0119】
(ii)(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-4-オキサ-17-アザビシクロ(14.1.0)ヘプタデカン-5,9-ジオンの製造。
【化37】

【0120】
撹拌した、無水アセトニトリル(90 mL)中の(4S,7R,8S,9S,13R,14R,16S)-13-アジド-4,8,14-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンおよび(4S,7R,8S,9S,13S,14S,16S)-14-アジド-4,8,13-トリヒドロキシ-5,5,7,9-テトラメチル-16-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロヘキサデカン-2,6-ジオンの混合(12.8 g, 23.85 mmol)溶液に、トリフェニルホスフィン(9.48 g, 35.77 mmol)を、窒素雰囲気下において添加した。該澄明な溶液を20-40℃で19-40時間撹拌した。該反応混合液を0-5℃に3-4時間冷却し、生成物を濾過した。該ケーキをヘプタン(64 mL)で洗浄し、減圧下において40℃で15-18時間乾燥させて、(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-4-オキサ-17-アザビシクロ(14.1.0)ヘプタデカン-5,9-ジオンを白色の固形物として得た(5.41 g, 46%)。
【0121】
LC-MS: Phenomenex Luna C8(2) カラム: 3 μm, 4.6 x 50 mm. グラジエント: 15分, 10分で0%Bから100%B, 次いで5分間の100%B. 移動相: A = CH3CN/H2O 5:95 中の0.01 M NH4OAc; B = CH3CN/H2O 95:5 中の0.01 M NH4OAc. 流速: 3.0 mL/分. 波長: UV 250 nm. 保持時間= 4.43分. MS (ESI) (M+H)+ = 493.68.
【0122】
該反応は、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィンおよびトリス(4-メトキシフェニル)-ホスフィンのような他のホスフィン、ならびに別の溶媒テトラヒドロフランを用いても進行する。
【0123】
実施例3
[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7,11-ジヒドロキシ-17-[2-ヒドロキシエチル]-8,8,10,12-テトラメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオンの製造
【化38】

【0124】
Et3N(4.95 mL, 35.52 mmol)および2-ブロモエタノール(3.02 mL, 42.62 mmol)を(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン(3.50 g, 7.10 mmol)/アセトニトリル(35 mL)に添加し、72.5℃に加熱した。20時間後、該反応混合液を室温に冷却し、回転減圧蒸留(rotary vacuum distillation)により乾固するまで濃縮した。該粗生成物を酢酸エチル(50 mL)に溶解させ、脱イオン水(35 mL)と混合した。該混合液を酢酸エチル(3 x 35 mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、アセトニトリル(35 mL)中で結晶化させ、アセトニトリル(2 x 5 mL)で洗浄し、真空オーブンにおいて45.5℃で終夜乾燥させて、(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシエチル)-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオンを白色の結晶性粉末として単離した(2.60g, HPLC AP 97.1, 68.2%収率)。
【0125】
LC-MS: Phenomenex C8, 3 μm, 4.6 x 150mm, グラジエント, 10分かけて10から50%B, および20分で停止. (A= 5% MeCN/H2O + 0.01 M NH4OAc; B = 95% MeOH/H2O + 0.01 M NH4OAc), 流速 1.0 mL/分, UV 254 nm. 保持時間= 9.43分. MS (ESI) M+H = 537.21.
【0126】
実施例4
[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7,11-ジヒドロキシ-17-[2-ヒドロキシエチル]-8,8,10,12-テトラメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオンの製造
【化39】

【0127】
K2CO3(1.4g, 10.2 mmol)および2-ブロモエタノール(0.52 mL, 7.3 mmol)を、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-8,8,10,12-テトラメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-7,11-ビス[(トリエチルシリル)オキシ]-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン(1.05 g, 1.46 mmol)/アセトニトリル(20 mL)に添加し、82℃に加熱した。4時間後、さらなる2-ブロモエタノール(0.52 mL, 7.3 mmol)およびK2CO3(1.4 g, 10.2 mmol)を添加した。5時間後、さらなる2-ブロモエタノール(0.21 mL, 2.92 mmol)を添加した。3時間後、該反応混合液を室温に冷却し、セライトにより濾過し、アセトニトリル(5 X 5 mL)、ジクロロメタン(2 X 5 mL)で洗浄し、濃縮して、さらなる精製は行わずに次の工程に用いた。
【0128】
該粗反応生成物をジクロロメタン(40 mL)に溶解させ、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(8.0 mL)を添加した。1時間後、該反応混合液を濃縮し、飽和NaHCO3(200 mL)に溶解し、ジクロロメタン(3 X 100 mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(10%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7,11-ジヒドロキシ-17-[2-ヒドロキシエチル]-8,8,10,12-テトラメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン(化合物G)を、澄明な膜状物質として単離した(0.62g, 79% 2工程で)。
【0129】
LC-MS: Waters Sunfire C18, 4.6 x 50mm, グラジエント, 4分かけて0から100%B. (A= 10% MeOH/H2O + 0.1% TFA; B = 90% MeOH/H2O + 0.1% TFA), 流速 4.0 mL/分, UV 220 nm. 保持時間= 2.12分. MS (ESI) M+H = 537.52.
【0130】
実施例5
(S)-2-(4-((2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)メチルアミノ)ベンズアミド)-5-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-((S)-3-カルボキシ-1-((R)-1-カルボキシ-2-(2-(2-((2-((1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-5,9-ジオキソ-4-オキサ-17-アザ-ビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-17-イル)エトキシ)カルボニルオキシ)エチル)ジスルファニル)エチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸の製造
【化40】

【0131】
(i)(S)-2-(4-((2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)メチルアミノ)ベンズアミド)-5-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-カルボキシ-2-メルカプトエチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸の製造。
【化41】

【0132】
(S)-2-(4-((2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)メチルアミノ)ベンズアミド)-5-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-カルボキシ-2-メルカプトエチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸を、H-Cys(4-メトキシトリチル)-2-クロロトリチル-樹脂から開始して5工程のペプチド固相合成により合成した。表1は、合成に用いた試薬の量を示す。
表1
【表1】

【0133】
以下の方法を用いた。
【0134】
カップリング工程:
ペプチド合成容器中の樹脂に、アミノ酸溶液、DIPEA、およびPyBOPを添加した。該混合液を1時間バブルし、DMFおよびイソプロピルアルコールで3回洗浄した。20%ピペリジン/DMFで2回(10分)処理した後、各アミノ酸カップリングによって、FMOC脱保護を達成した。この順序を、各アミノ酸カップリング工程において繰り返した。
【0135】
N10-TFA-保護プテロイン酸の合成:
加熱マントルを備えた22 Lの機械的に撹拌された丸底フラスコ中の10 Lの0.1 Mトリス塩基溶液(121.1 g トリス塩基/10 L水)に、200 g(0.453 mole)の葉酸を添加した。該混合液を撹拌して葉酸を溶解させ、次いで500 mg(3.67 mmole)の塩化亜鉛を添加した。カルボキシペプチダーゼG(13 x 20ユニットバイアル Sigma製)を添加し、該pHを1N HClを用いて7.3に調整し、反応の間維持した。該混合液を遮光し、30℃で8-10日間加熱した(自動滴定装置を用いてpHを一定に維持することによって変換時間を4-5日短縮した)。該反応を、80%の変換が達成されるまで(さらなる変換が望ましいが、最適化されていない)、分析HPLCによりモニターした。6N HClを用いてpH=3.0に調整することにより、該反応混合液から生成物を沈降させた。該スラリーを遠心用容器に移し入れ、4000 rpmで10分間遠心分離した。上清をデカントした。次いで、湿潤固形物を以下のとおり直接精製した(湿潤固形物は保存のため凍結できるか、または最初に凍結乾燥することができるが; しかしながら、溶解までフリーザー中で湿潤固形物を保存するのがより効果的である)。粗プテロイン酸40 g/水700 mLに、pH=11.5になるまで1.0 M NaOHを添加した。該混合液を濾過した(Whatman タイプ1)後、クロマトグラフィー処理した(カラム: 10 x 120 cm; 固定相: 8 kg DEAEセルロース; 移動相: 1.0 M NaCl/0.01 M NaOH, pH=11.5; 流速: 17 ml/分)。1リットルの黄色の画分を集めてHPLCにより分析した。純粋なプテロイン酸を含有する画分を6 M HClでpH=3に調整し、プテロイン酸を沈降させた。該混合液を3000 rpmで20分間遠心分離した。上清をデカントし、水(3x)で洗浄した。該固形物を少なくとも72時間凍結乾燥させた。次の反応における残留水の影響は不明である。
【0136】
該プテロイン酸を、高真空下においてP2O5で24時間以上さらに乾燥させた(このさらなる乾燥工程なしで、保護工程において同様の結果が得られたことに留意すべきである)。次に、100g(0.32 mol)のプテロイン酸を、機械的攪拌機およびアルゴン注入口を備えた5 Lの丸底フラスコに添加し、高真空下において終夜保存した。アルゴンガスを添加し、次いで3500 g(2316 mL)のトリフルオロ酢酸無水物を添加した。該フラスコをゴム栓またはアルゴン注入口アダプターで密閉した後、激しく撹拌した。該フラスコを遮光し、アルゴン雰囲気下において室温で7日間撹拌した(該反応を、各々水およびDMSOで20倍に希釈したアリコートのHPLCによりモニターした)。該混合液を乾固するまでロータリーエバポレーターで処理し、2.5 Lの3%トリフルオロ酢酸/水で処理した。該混合液を室温で終夜撹拌して無水物の副生成物を加水分解した。ロータリーエバポレーターで処理して乾燥固形物を得た。該固形物を2 Lの水に懸濁した後、250-mLの遠心ボトルにおいて3000 rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、該固形物を水で洗浄し、遠心分離した(4回)。該固形物を3日間凍結乾燥させ、茶色遮光瓶(amber bottle)に移し入れ、P2O5の存在下、高真空下において2日間乾燥させた(純度≧95%; 元素分析により評価した残留TFA)。
【0137】
切断工程:
保護された中間体を、92.5%(50mL)TFA、2.5%(1.34mL)H2O、2.5%(1.34mL)トリイソプロピルシラン、および2.5%(1.34mL)エタンジチオールから調製した切断試薬を用いて樹脂から遊離した。該切断試薬を反応容器に添加した(25mL)。該混合液にアルゴンを1.5時間バブルした。該液体を容器から排出し、樹脂を残りの試薬で洗浄した(3 X 8mL)。揮発物をロータリーエバポレーターにより10 mLの量まで濃縮した。ジエチルエーテル(35.0 mL)を添加して沈降させた。該固形物を遠心分離により集め、乾燥させて1.25 gの切断生成物を得た。
【0138】
脱保護工程:
プテロイン酸部分のN10-トリフルオロアセチル保護基を塩基性条件下で除去した。保護された中間体250 mg/水10 mLで開始し、4:1 H2O:水酸化アンモニウム (1-2 mL)を用いて該pHを9.3に調整して1時間維持した。1時間後、該pHを1N HCl(〜1 mL)で5に調整し、該生成物をプレパラティブHPLCで精製して125 mgの化合物Hを得た。
【0139】
HPLC精製条件:
カラム: Waters NovaPak C18 300x19mm
溶媒A: バッファー 10mM 酢酸アンモニウム, pH=5
溶媒B: アセトニトリル
溶出: 15mL/分、40分で1%Bから20%B
合わせた反応からの総収量: 625 mg
【0140】
(ii)2-((1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-5,9-ジオキソ-4-オキサ-17-アザ-ビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-17-イル)エチル 2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エチルカーボネートの製造。
【化42】

【0141】
A.2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エタノールの製造。
【化43】

0℃に冷却したメトキシカルボニルスルフェニルクロリド(10 mL, 110 mmol)/ジクロロメタン(100 mL)溶液に、メルカプトエタノール(7.6 mL, 110 mmol)を滴加した。該反応混合液を0℃で30分間撹拌した。その後、2-メルカプトピリジン(12.2 g, 110 mmol)/ジクロロメタン(160 mL)溶液を添加した。該溶液を0℃で1時間反応させた後、さらに1時間、室温に昇温させた。固体生成物が該溶液から析出するのが観察された。TLC(1:1 石油
(Pet)エーテル/EtOAc)により、目的の生成物が形成されたことが示された。該反応混合液を125 mLの量まで濃縮した。該混合液をブフナー漏斗により濾過した。該濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した後、終夜減圧乾燥させて、2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エタノール(23.6 g)を、HCl塩として得た。
TLC: Rf = 0.45
プレート - EMD Silica Gel 60 F254, 5 X 10 cm, 250 M
【0142】
B.ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル 2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エチルカーボネート(化合物I)の製造。
【化44】

ジホスゲン(2.28 g, 11.5 mmol)/15 mL無水ジクロロメタン溶液を、アルゴン下、丸底フラスコ中で撹拌し、氷/塩浴で冷却した。65 mL無水ジクロロメタン中の2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エタノール(5.01 g, 22.4 mmol)およびトリエチルアミン(2.25 g, 22.2 mmol)の混合液を入れた滴加漏斗を、丸底フラスコに設置した。該混合液を20分間にわたって滴加した。該反応混合液を室温に昇温させ、さらに1時間撹拌した。該反応混合液のTLC分析により、出発物質は消費され、極性がより低い「条痕色(streaking)」のクロロホルメート生成物の形成が示された(TLC(6:4 EtOAc:ヘキサン): 出発物質のRF 0.4;クロロホルメート生成物のRF: 0.8)。
【0143】
該反応混合液を、丸底フラスコ中、アルゴン下で撹拌し、氷/塩浴により冷却した。10 mLの無水ジクロロメタン中の、3.02 g、22.4 mmolのHOBtおよび2.23 g、22.0 mmolのトリエチルアミンの混合液を、丸底フラスコに取り付けた滴下漏斗に加えた。該混合液を、反応温度を2℃に維持した丸底フラスコにゆっくりと添加した。該反応混合液を室温に昇温させて終夜撹拌した。次いで、大気圧で、該反応混合液から約27 mLのジクロロメタンを蒸留した。その後、該混合液を室温に冷却し、2時間撹拌した。該固形物を濾過により集め、該濾過ケーキを20 mLのジクロロメタンで洗浄した。該固形物を、ロータリーエバポレーターにより40℃で減圧乾燥させて7.81 gのオフホワイト色の固形物を得た。この生成物を1H-NMRにより分析して、目的の生成物であると決定した。
【0144】
C.2-((1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-5,9-ジオキソ-4-オキサ-17-アザ-ビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-17-イル)エチル 2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エチルカーボネートの製造。
【化45】

[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7,11-ジヒドロキシ-17-[2-ヒドロキシエチル]-8,8,10,12-テトラメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-オキサ-17-アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン/無水ジクロロメタン溶液に、0℃でDMAP(1.2当量)およびベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル 2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エチルカーボネート(1.0当量)を順次添加した。該反応混合液をアルゴン下において0℃で撹拌し、TLCにより10分ごとにモニターした。全ての化合物Gが消費されるまで、さらなるDMAP(1.2当量)および化合物I(2)(1.0当量)を必要に応じて添加した。該反応液を0℃でMeOH(1 mL)によりクエンチし、該溶媒を減圧除去し、該残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル, 2.5-5% MeOH/DCM)により精製して、表題の化合物をベージュ色の固形物として得た。化合物の量および回収率を以下の表2に記載する。2.95 gの化合物Gからの総収量は2.80 g(67.9%)の化合物Iであった。
表2
【表2】

* 各クロマトグラフィー精製により、典型的には、いくらかの純粋でない(80-90%純度)生成物とともに純粋な生成物が得られた。純粋でない生成物を、クロマトグラフィー精製のための次のバッチからの粗生成物と合わせた。バッチ#2および4において、2回のクロマトグラフィー精製を行った。
【0145】
(iii)(S)-2-(4-((2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)メチルアミノ)ベンズアミド)-5-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-((S)-3-カルボキシ-1-((R)-1-カルボキシ-2-(2-(2-((2-((1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-5,9-ジオキソ-4-オキサ-17-アザ-ビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-17-イル)エトキシ)カルボニルオキシ)エチル)ジスルファニル)エチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸の製造。
【化46】

【0146】
50 mLサイズの遠心管中で、15 mLのH2O(使用前にアルゴンで10分間バブルした)に、(S)-2-(4-((2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)メチルアミノ)ベンズアミド)-5-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-((S)-3-カルボキシ-1-((S)-1-カルボキシ-2-メルカプトエチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸(498 mg, 0.534 mmol)を添加した。この懸濁液に、アルゴンでバブルしながら、飽和NaHCO3溶液(使用前にアルゴンで10分間バブルした)を得られた溶液のpHが6.9になるまで滴加した。2-((1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12-テトラメチル-3-((E)-1-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-5,9-ジオキソ-4-オキサ-17-アザ-ビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-17-イル)エチル 2-(2-(ピリジン-2-イル)ジスルファニル)エチルカーボネート(400 mg, 0.534 mmol)/THFをすばやく添加し、得られた均質な溶液を、アルゴン下で30分間撹拌した。反応の進行を、15分の時点で分析HPLCにより確認した。該生成物のピークは、分析HPLC条件下において〜6.4分で現れた。該混合液を〜15 mLの リン酸バッファーで希釈し、THFを減圧除去した。濁った溶液を遠心して濾過した。黄色の濾液を2部に分け、プレパラティブHPLCにより精製した。純粋な画分(>98% 純度)をプールし凍結乾燥させた。尾部の画分(Tail fraction)(<98% 純度)を集め、3-6回のクロマトグラフィー処理ごとの再精製により、700 mgの表題の化合物を白色の粉末として得た(カールフィッシャー分析および元素分析による測定で、11.8重量%の水と8.7重量%のナトリウムおよびリン酸ナトリウム塩を含む)。
【0147】
プレパラティブHPLCパラメーター:
カラム: Waters Nova-Pak HR C18 6μm 30x300 mm
移動相A: 7.0 mM リン酸ナトリウムバッファー, pH=7.2
移動相B: アセトニトリル
メソッド: 30分で10%B-50%B、流速: 40 mL/分
分析HPLCパラメーター:
カラム: Waters Symmetry C18 3.5μm 4.6x75 mm
移動相A: 10 mM トリエチルアンモニウムアセテート(TEAOAc)バッファー, pH=7.5
移動相B: アセトニトリル
メソッド: 10分で20%B-40%B、流速: 1.0 mL/分
精密質量 m/z (C67H92N16O22S3):
計算値: 1570.58907 (M+2H), 785.29454 (M+2H)2+, 523.86563 (M+3H)3+, 393.15118 (M+4H)4+
実測値: 785.29100 (4.5 ppm)で(M+2H)2+, 523.86431 (2.5 ppm)で(M+3H)3+, 393.14996 (3.1 ppm)で(M+4H)4+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.1:
【化1】

[式中、
R1は水素であるか、Z1と結合を形成し;
Z1はヒドロキシル、シアノであるか、R1と一緒になって結合を形成するか、またはORpであり;
Z2はヒドロキシルまたはORpであり;ここで各Rpは保護基であり;
R2、R3、およびR5は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか;あるいはR2およびR3はそれらが結合している炭素と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、または置換アリールであり;
R6は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;そして、
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである]
を有する化合物の製造方法であって、
式(C):
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、Z1およびZ2は上記の通りである)を有する化合物を、少なくとも1つのハロゲン化剤と反応させた後、塩基で処理することにより式A.1(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13 Z1およびZ2は上記の通りである)の化合物を得ることを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのハロゲン化剤と反応させて、式(B.1)および/または(B.2):
【化3】

(式中、Yはハロゲンであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、Z1およびZ2は請求項1に記載の通りである)を有する中間体ハロヒドリン化合物を得て;塩基で処理することによりエポキシドの閉環を達成して、式(A.1)および(A.2):
【化4】

の化合物(ここで、式(A.1)の化合物は式(A.2)の化合物に比べて高収率で製造される)を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Cの化合物をハロゲン化する工程が極性溶媒中において低温で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該低温が約0℃から-15℃の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
塩基で処理してエポキシドの閉環を行う工程が、式(B.1)および(B.2)の化合物を単離することなく行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
塩基による処理が、極性溶媒または極性/水性溶媒系において、高温で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該高温が約40℃から溶媒または溶媒系の沸点の間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
出発物質が、式:
【化5】

を有するエポチロンCまたはDである、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
式A.1の化合物が、式:
【化6】

を有するエピ-エポチロンAまたはエピ-エポチロンBである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
G:
【化7】

(式中、Z1、Z2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12およびR13は請求項1または9に記載の通りである)を有する化合物、ならびにその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物の製造方法であって、
(i) 請求項1から9のいずれか1つに記載の方法に従って、式(A.1):
【化8】

(式中、基Z1、Z2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12およびR13は請求項1または9に記載の通りである)を有するエピ-エポチロン中間体化合物を製造すること;
(ii)式(A.1)のエピ-エポチロン中間体をアルコール溶媒中でアジド供与剤により処理して式(E.1)および(E.2):
【化9】

のアジドアルコールを得ること;および、
(iii)工程(ii)により得られた中間体化合物を極性溶媒中でアジド還元剤により処理して式(G)の化合物を得ること、
を含む方法。
【請求項11】
式(A.1)の化合物中、該基Z1がシアノであるか、R1と結合を形成するか、または基ORpであり、Z2が基ORpであり;工程(ii)からの式(E.1)および(E.2)の化合物の該C12、C13ヒドロキシ基をまず脱離基に変換して、式(F.1)および(F.2):
【化10】

の化合物を得た後、工程(iii)においてアジド還元剤により処理する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、工程(i)のエピ-エポチロン中間体が、式:
【化11】

(式中、Z1は-ORpであり、-ORpはトリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、またはトリイソプロピルシリルから選択される)を有するエピ-エポA、エピ-エポB、保護されたエピ-エポAもしくはエピ-エポBであり;該方法により製造された式(G)の化合物が式:
【化12】

を有する、方法。
【請求項13】
式(G)を有する化合物を、式(H)または(H'):
【化13】

[式中、
R40はアリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、または基H-K1-A1-であり;
K1は非存在であるか、または-O-、-S-、もしくは-NR7-であり、
A1は-(CR8R9)r-(CH2)s-Zであり、ここでZは-(CHR10)-、-C(=O)-、-C(=O)-C(=O)-、-OC(=O)-、-N(R11)C(=O)-、-SO2-、または-N(R11)SO2-であり;
B1はヒドロキシルまたはシアノであってR1は水素であるか、あるいはB1およびR1は一緒になって二重結合を形成し;
R2、R3、およびR5は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールであるか;あるいはR2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルを形成してもよく;
R4は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、または置換アリールであり;
R6は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R7、R8、R9、R10、およびR11は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
R12はH、アルキル、置換アルキル、またはハロゲンであり;
R13はアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;そし、
rおよびsは各々独立して0〜6から選択される]
を有するアジリジニル-エポチロン化合物、ならびにその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物に変換することをさらに含む、請求項10から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
Hの化合物が式:
【化14】

を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
HまたはH':
【化15】

(式中、R40、B1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R12およびR13は請求項12に記載の通りである)を有する化合物の製造方法であって、式GまたはG':
【化16】

を有する化合物のアジリジン環を、塩基存在下において、ハライド試薬R40-Y(ここでYはハライドである)、好ましくは過剰量のハライドにより処理することを含む、方法。
【請求項16】
該ハライド試薬がアルキルハライドであり、該塩基が第三級アミンまたは炭酸カリウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式:
【化17】

(式中、Z1およびZ2はヒドロキシルまたはORpであり; ここでRpは保護基であり、R6は水素またはメチルである)を有する化合物の製造方法であって、
(i)式:
【化18】

(式中、Z1およびZ2はヒドロキシルまたはORpであり; R6は水素またはメチルである)を有する出発物質を提供すること、
(ii)工程(i)の出発物質を少なくとも1つのハロゲン化剤で処理した後、塩基で処理して式A.3を有する化合物を得ること、
を含む方法。
【請求項18】
A.3の化合物を、式G.1:
【化19】

(式中、Z1およびZ2はヒドロキシルまたはORpであり; R6は水素またはメチルである)の化合物に変換することをさらに含む請求項17に記載の方法であって、実質的な無水または無水である極性溶媒中において式A.3の化合物をアジド還元剤により処理することを含む方法。
【請求項19】
G.1の化合物を式:
【化20】

(式中、Z1およびZ2はヒドロキシルまたはORpであり; R6は水素またはメチルである)の化合物に変換することをさらに含む請求項18に記載の方法であって、請求項18に記載の式G.1の化合物を2-ブロモエタノールおよび塩基により処理すること(ここで、基Rpはアルキル、置換アルキル、アルコキシカルボニル、および-Si(R41)3から選択され、R41は互いに独立して、アルキルまたはアリールから選択される)を含む方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1つに記載の方法を用いて製造した、式:
【化21】

(式中、Z1およびZ2はヒドロキシルまたはORpであり; R6は水素またはメチルである)を有する化合物。

【公表番号】特表2010−528115(P2010−528115A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510433(P2010−510433)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/064627
【国際公開番号】WO2008/147941
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】