説明

エラストマー組成物の熱加工方法及び加工性が改良されたエラストマー組成物

本発明は、約0.01〜約0.5質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む、改良されたエラストマー組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
この発明は、エラストマー組成物及びエラストマー組成物の熱加工性を改良する方法にに関する。
〔発明の背景〕
今日、多くの製品は高度に操作された弾性部品を必要とすると同時に、限られた使用又はディスポーザビリティーに見合ったコストで製造されなければならない。限られた使用又はディスポーザビリティーとは、該製品及び/又は部品が処分される前に少ない回数しか使用されず、1回しか使用されないこともあることを意味する。このような製品の例として、オムツ、トレーニングパンツ、失禁用衣料などのような個人の介護用吸収製品が挙げられるが、これらに限定されない。これら製品は部品として弾性フィルム、弾性布、弾性フィラメント及び/又は弾性積層品を利用でき、かつ利用する。
【0002】
弾性フィラメント、弾性フィルム、弾性不織布及び弾性積層品の製造は、ダイの先端上に押し出される組成物が蓄積するという持続的な問題を伴っており、これが清掃のための機械の作業中止時間をもたらし、多くの場合、たった数時間の操作後に起こる。ポリマー材料の押出し加工で使用されるダイの清掃と保守を、作業中止時間を最小限にしながら容易にするための種々の機構が知られている。溶融ポリマーをダイに通して押し出してフィルム、ストランド、不織ウェブ、及び他の完成ポリマー形態を形成する。特にエラストマーを含有する弾性ポリマー組成物では、ポリマーがダイを出るとき、多少のポリマー組成物がダイ開口又は“リップ”にくっついてダイの外面上に蓄積する。ダイリップ蓄積(build-up)は徐々に増し、それが折れる時点まで蓄積し、それが折れると、製品に欠陥をもたらす可能性があり、例えば、薄いしみ若しくはしずくの形態で、そうでなくても製品のテクスチャー又は他の審美的特性に有害な影響を及ぼすのみならず、他の欠陥、すなわち中止という結果をもたらす。相当な工学技術がこの蓄積を最小限にするためのダイの設計と押出組成物の選択を調査している。末広、収束、放射状(radiused)、及び曲がったダイリップ幾何学はすべてこの蓄積を最小限にするために開発された方法の例である。押出し操作を一時的に停止してダイ上の保守を行ってこの蓄積を除去することが一般的プラクティスである。中止は、製造収率に不利な影響を及ぼし、コストを高め、製品の均質性にも逆効果を及ぼしうる。従って、作業の中止を最小限にすることが有利である。
押出し中のダイリップ蓄積又は押出物混入の蓄積の低減方法が試みられている。例えば、米国特許第6,245,271号は、曲率半径が約0.01mm〜約0.08mm(約0.5ミル〜約3ミル)のダイリップを有するダイを利用する押出し中のダイリップ蓄積を低減する方法を開示している。押出し中のダイリップ蓄積の低減方法を開発することが有利だろう。特に、既存設備の改変を必要としない、弾性組成物の押出し中のダイリップ蓄積の低減方法を開発することも有利だろう。
さらに、商業プロセスは、同じダイで一連のフィラメント基準重量の複数製品を作るので、製造用の広いプロセスウィンドウが必要になる。例えば、ダイから特有の処理能力で9g/m2(gsm)のフィラメントシートを押し出すことができる。フィラメント重量を増やすためには、より高い処理能力が同じダイで必要である。処理能力の増加は剪断速度を高め、ダイ出口での流れを不安定にしうる。この現象は、押出しフィラメントの表面上のメルトフラクチャー又はサメ肌化と共に一般的に見られる。複数のダイを投入せずにプロセスの処理能力範囲を高めることも有利だろう。
【0003】
〔発明の概要〕
本発明は、エラストマー組成物の熱加工方法及び加工性が改良されたエラストマー組成物に関する。一般的に、本発明は、加工助剤としてポリオルガノシロキサンを含むエラストマー組成物を提供する。提案するポリオルガノシロキサンはSILQUEST(登録商標)PA-1シリコーン添加剤である。例えば、本発明は、エラストマーブロックコポリマーと、約0.01〜約0.5質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含むエラストマー組成物を提供する。さらに望ましくは、エラストマー組成物は約0.01〜約0.2質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む。なおさらに望ましくは、エラストマー組成物は約0.01〜約0.1質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む。なおさらに望ましくは、エラストマー組成物は約0.02〜約0.08質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む。エラストマーブロックコポリマーは、スチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン/エチレン-プロピレンテトラブロックコポリマー又はスチレン/エチレン-ブチレン/スチレン/エチレン-ブチレンテトラブロックコポリマーでよいが、これらに限定されない。このようなコポリマーの市販例として、種々のKRATONTMスチレンブロックコポリマーが挙げられる。エラストマーブロックコポリマーとして、スチレン成分ブロックとポリマー中間ブロックを有するブロックコポリマーが挙げられる。エラストマーは熱可塑性ポリウレタン又は他のいずれの弾性ブロックコポリマーでもよい。望ましくは、本発明のエラストマー組成物は溶融押出し可能な熱可塑性組成物であり、ポリオルガノシロキサンを添加するとポリオルガノシロキサンのないエラストマーブロックコポリマーの溶融押出し温度に対して該組成物の押出し温度を下げる。
ポリオルガノシロキサンの例として下記式のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0004】
【化1】

【0005】
式中、Rはアルキル基であり、R1は、少なくとも1つのエチレンオキシド基、隣接エポキシ基又はアミノ基を含有する一価の有機基であり、x及びyは、正の整数の群から独立的に選択される。本発明の組成物は、チタン酸塩若しくはジルコン酸塩又はこれらの混合物をさらに含んでよい。提案濃度は、約0.01〜約3質量%の範囲のチタン酸塩、ジルコン酸塩又はこれらの混合物である。提案チタン酸塩として、Kenrich Petrochemicals, Inc. of Bayonne, New Jerseyによって供給されるKen-React(登録商標) LICA(登録商標)01、Ken-React(登録商標) CAPOW(登録商標)、及びKen-React(登録商標) CAPSが挙げられる。
本発明は、エラストマーブロックコポリマーの押出し温度を下げる方法をも提供し、この方法は、ポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物をエラストマーブロックポリマーに添加する工程を含む。1,000,000部のエラストマーブロックコポリマーにつき、約100〜約1000質量部のポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物をエラストマーブロックポリマーに添加することができる。本発明は、エラストマーブロックポリマーと、該エラストマーブロックポリマーの質量に対して約0.01質量%〜約0.2質量%のポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物とを含むフィルム、繊維、及び不織布をも提供する。
エラストマー組成物にポリオルガノシロキサンを含めると該エラストマー組成物の熱加工性を改良し、より広い範囲の押出し操作温度、剪断速度及び/又は操作圧力下での熱加工を容易にすることによってプロセスウィンドウを増やす。例えば、このプロセスウィンドウを広げるとは、より広範な処理能力かつ対応するより高い圧力範囲で、より良い品質のフィラメントを押し出すことができることを意味する。特定の実施態様では、本発明の方法及び組成物は、ストランド、フィルム、及び繊維の押出し中のそれぞれダイリップ蓄積、ダイ汚れ及び紡糸口金汚れを減らす。高速加工は、一般的に引取共振によって制限される。この現象は、プロセス速度が増して該ライン速度に組成物が応じられないことによってネッキング(necking)が生じるにつれて起こる。ポリオルガノシロキサンの添加は引取共振を減少させ、組成物がダイから出現しうる速度を増す。ポリオルガノシロキサンを含めることは、ダイの寿命及びエラストマー組成物を押し出すために使用する装置のパック寿命(pack life)を延ばすというさらなる利点をも有する。
【0006】
〔定義〕
本明細書では、用語“連続フィラメント”は、連続的に形成されるポリマーフィラメントのストランドを指す。該フィラメントは、典型的に、中に特定の型と配置のキャピラリー孔を有するダイヘッドを通して溶融材料を押し出すことによって形成される。
本明細書では、用語“弾性”又は“弾性化(elasticized)”は、バイアス力を加えると伸張しうる材料で、少なくとも約60%に(すなわち、その弛緩したバイアスがかからない長さの少なくとも約160%である、伸張したバイアスのかかった長さに)伸長することができ、かつ伸張力の解放によってその伸びの少なくとも55%が回復する材料を指す。弾性材料の仮想例は、少なくとも4.06cm(1.60インチ)に伸長することができ、かつ解放されると3.23cm(1.27インチ)以下の長さに回復する2.54cm(1インチ)サンプルの材料である。多くの弾性材料は、60%を超える(すなわち、その弛緩した長さの160%を超える)まで伸長しうる。例えば、100%以上伸長しうる弾性材料もあり、これらの多くは実質的にその最初の弛緩した長さ、例えば、伸張力の解放によってその元の弛緩した長さの105%以内の長さに回復する。
本明細書では、用語“ポリマー”として、一般的にホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマー、ターポリマー等、並びにこれらのブレンド及び変形が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、用語“ポリマー”は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称のような該材料のすべての可能な幾何学的コンフィギュレーションを包含する。
本明細書では、用語“複合不織布”、“複合不織物”、“積層品”、又は“不織積層品”は、別に定義されない限り、少なくとも1種のシート材料に少なくとも1種の弾性材料が結合している材料を指す。多くの実施態様では、該積層品又は複合布は、弾性層又は弾性材料に結合する収縮性(gatherable)層を有し、該収縮性層は結合位置間で収縮しうる。本明細書で述べる場合、複合弾性積層品は、結合位置間で収縮した収縮性材料が弾性材料を伸長させる程度まで伸張しうる。このタイプの複合弾性積層品は、例えば、Vander Wielenらに対する米国特許第4,720,415号(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)で開示されている。
【0007】
本明細書では、用語“不織ウェブ”は、特定できる繰り返し様式ではないが個々の繊維又は糸が相互に縒られている構造を有するウェブを指す。従来、不織ウェブは、例えばメルトブロー成形法、スパンボンディング法及びボンドカードウェブ法のような種々の方法で形成されている。
本明細書では、用語“メルトブロー成形繊維”は、溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くしてその直径を小さくする(ミクロファイバーの直径になりうる)高速ガス(例えば空気)流中への溶融熱可塑性材料又はフィラメントとして、複数の微細な、通常円形のダイキャピラリーに通して溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成された繊維を意味する。その後、メルトブロー成形繊維は高速ガス流によって運ばれて収集面上に沈積し、ランダムにメルトブロー成形繊維が分散しているウェブを形成する。このような方法は、例えば、Butinにに対する米国特許第3,849,241号(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)で開示されている。
本明細書では、用語“スパンボンド繊維”は、紡糸口金の複数の微細な、通常円形のキャピラリーから溶融熱可塑性材料をフィラメントとして押し出してから、例えば引き出す伸張機構又は他の周知のスパンボンディング機構によってのように、押し出されたフィラメントの直径を急速に小さくすることによって形成される小径の繊維を指す。スパンボンド不織ウェブの製造は、例えばAppelらに対する米国特許第4,340,563号及びDorschnerらに対する米国特許第3,692,618号で説明されている。これら特許の開示は、参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。
【0008】
〔発明の詳細な説明〕
以下、本発明の実施態様について述べ、その1以上の実施例について後述する。各実施例は、本発明の限定としてではなく、本発明を説明するために与えたものである。実際、本技術の当業者は本発明の範囲又は精神から逸脱することなくこの発明に種々の修正及び変更を為しうることは明白である。例えば、一実施態様の部分として説明又は記載される特徴は、別の実施態様で使用してさらなる実施態様を得ることができる。従って、本発明は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に入る限りこのような修正及び変更を包含するものとする。本発明の他の目的、特徴及び局面は、以下の詳細な説明に開示され、或いは該説明から明白である。当業者は、本議論が単に典型的実施態様の説明であり、より広い局面が典型的構成で具体化されている本発明のより広い局面を限定することを意図していないことを理解するだろう。
【0009】
一般的に、本発明は、加工性が改良されたエラストマー組成物及びエラストマー組成物の熱加工を改良する方法を提供する。ポリオルガノシロキサンをエラストマー組成物に添加すると、例えば、ダイからの流涎(drool)によって生じるダイリップの汚れや覆いを低減又は排除し、溶融加工温度を下げ、及び/又は特有の組成物とプロセスのプロセスウィンドウを増やすことによってエラストマー組成物の加工性を改良し、ひいては高速加工を可能にすることでプロセスウィンドウを増やしてコストを大いに低減することが見出された。高速加工は、引取共振によって一般的に制限される。この現象は、プロセス速度が増して該ライン速度に組成物が応じられないことによってネッキングが生じるにつれて起こる。本発明の改良の結果、時間と廃棄物を減らし、製造コストを低減し、かつ収率を高められる。
【0010】
本発明のエラストマー組成物は、エラストマーと、ポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物を含み、任意にチタン酸塩及び/又はジルコン酸塩を含んでも含まなくてもよい。望ましくは、本発明のエラストマー組成物は、50質量%を超える一以上のエラストマーを含み、さらに望ましくは75質量%を超え、なおさらに望ましくは80質量%を超える一以上のエラストマーを含む。提案する市販エラストマーとして、限定するものではないが、種々のKRATONTM樹脂が挙げられる。本方法で利用しうる1つの特定クラスのポリマーは、KRATONTM Polymers, LLC of Houston, Texasによって配給されるKRATONTM Gシリーズのポリマーである。種々の他のKRATONTMポリマーを利用できる。提案するKRATONTMポリマーとしてKRATONTM G2838及びKRATONTM MD6665ポリマーが挙げられる。KRATONTMポリマーは、望ましいエラストマー特性を有する熱的に加工しうるエラストマーコポリマーであり、スチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-/エチレン/-プロピレン-/スチレン-/エチレン/-プロピレンブロックコポリマー、スチレン-/エチレン/-ブチレン-/スチレン-/エチレン/-ブチレンブロックコポリマー、スチレン-/エチレン/-ブチレン-/スチレンブロックコポリマー又はスチレン-/エチレン/-プロピレン-/スチレンブロックコポリマーである。このような熱可塑性スチレンブロックコポリマーの例は、米国特許出願公開番号2003/0187137に開示されている。この組成物には広範なマルチブロックコポリマーを使用でき、ポリスチレンエラストマーブロックコポリマー、例えば上記KRATONTMポリマー、ポリウレタンエラストマーブロックコポリマー、例えばESTANE及びROYLARポリマー、ポリエーテルエラストマーブロックコポリマー、例えばHYTRELポリマー、並びにポリアミドエラストマーブロックコポリマー、例えばMONTACポリマーを含む熱可塑性エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のエラストマー組成物は、約0.01質量%〜約0.5質量%、さらに望ましくは約0.01〜約0.1質量%のポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物を含む。提案するポリオルガノシロキサンとして、限定するものではないが、下記式のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0011】
【化2】

【0012】
式中、Rはアルキル基であり、R1は、少なくとも1つのエチレンオキシド基、隣接エポキシ基又はアミノ基を含有する一価の有機基であり、x及びyは、正の整数の群から独立的に選択される。このようなポリオルガノシロキサンは米国特許第4,535,113号に記載されている。他の提案するポリオルガノシロキサンは米国特許第4,857,593号;第4,925,890号;第4,931,492号;及び第5,003,023号に記載されている。このようなポリオルガノシロキサンの提案する市販例は、SILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサンである。エラストマー組成物中のポリオルガノシロキサン添加剤の提案する濃度は、約0.01質量%〜0.5質量%、さらに望ましくは約0.01〜約0.2質量%、なおさらに望ましくは約0.01〜約0.1質量%、なおさらに望ましくは約0.02〜約0.08質量%、なおさらに望ましくは約0.025〜約0.075質量%のポリオルガノシロキサン添加剤である。ポリオルガノシロキサン添加剤が溶融加工装置の金属面を覆うことによって、加工装置の金属面に比べて有益なポリオルガノシロキサン被覆面に対して溶融ポリマー組成物を加工できると考えられる。最初はポリオルガノシロキサンを約0.1質量%に設定して装置の調子を整えてから所望範囲、例えば、約0.05又は約0.0050質量%に減らしてエラストマー樹脂中に過剰なポリオルガノシロキサン添加剤がない状態で押出面の連続被覆を維持することによって、最終製品の機械特性に及ぼすポリオルガノシロキサン添加剤の影響を最小限にすることを提案する。
【0013】
また、エラストマー組成物は、ポリオルガノシロキサン添加剤の添加によって観察される粘着度のいずれの損失をも改善するためチタン酸塩又はジルコン酸塩をさらに含んでよい。提案するチタン酸塩として、Kenrich Petrochemicals, Inc. of Bayonne, New Jerseyによって供給されるKen-React(登録商標) LICA(登録商標) 01、Ken-React(登録商標) LICA(登録商標) 12、Ken-React(登録商標) CAPOW(登録商標)、及びKen-React(登録商標) CAPS(登録商標)が挙げられる。提案するジルコン酸塩として、限定するものではないが、Kenrich Petrochemicals, Inc.によって供給されるKen-React(登録商標) CAPS NZ 01/Lが挙げられる。Ken-React(登録商標) LICA(登録商標) 01は、チタニウム(IV)テトラキス2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート、トリスネオデカノアート-Oである。Ken-React(登録商標) LICA(登録商標) 12は、チタニウム(IV)テトラキス2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート,トリス(ジオクチル)ホスファート-Oである。Ken-React(登録商標) LZ 01は、ジルコニウム(IV)テトラキス2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート,トリスネオデカノアート-Oである。Ken-React(登録商標) LZ 12は、ジルコニウム(IV)テトラキス2,2(ビス2-プロパノラートメチル)ブタノラート,トリス(ジオクチル)ホスファート-Oである。本発明の組成物及び方法で任意に含めうるチタン酸塩及び/又はジルコン酸塩の提案する量は、約0.01〜約3質量%の1種以上のチタン酸塩、ジルコン酸塩又はその組合せ、さらに望ましくは、約0.01〜約0.3質量%のチタン酸塩、ジルコン酸塩又はその組合せである。
【0014】
ここで、本発明のエラストマー組成物から押し出されたエラストマーフィラメントを含む垂直フィラメント積層品の製造方法を参照して本発明を説明する。ここで述べる垂直フィラメント積層システムは、米国特許出願公開番号US 2002/0104608及びPCT国際公開番号WO 01/88245(両文献は参照によって本明細書に取り込まれる)に詳述されている。この方法は、トレーニングパンツのサイドパネルやある程度の弾性を必要とする他の製品のような種々の用途で利用しうる伸縮性積層品を製造する。この垂直フィラメント積層システムは、垂直方向プロセスを用いて伸縮性積層品を製造する。具体的には、このプロセスは、弾性連続フィラメントの多数のストランドを供給して本発明のエラストマー組成物から伸縮性部品を形成するための押出機を利用する。複合布の形成で利用する連続フィラメントの実際の数は、最終製品で望まれる個々の性質によって変わりうる。例えば多くの場合、素材の幅に対して100ストランドより多く、215程度の別個のストランドを利用し、総計で2600ストランド程度、又はそれより多くのストランドが利用されうる。
【0015】
押出機のダイは、第1ローラーに対して、連続フィラメントがこの第1ローラーに所定角度で交わるように位置づけられる。このストランド押出しの幾何学的配列は、溶融押出物を回転ロール又は回転ドラム上に沈積させるのに有利である。曲がった、つまり傾いた方向は、ロール接点に対してある角度のダイからフィラメントが現れる機会を与え、その結果、回転が改良され、より効率的なエネルギー移動をもたらし、一般的にダイの寿命を延ばす。このコンフィギュレーションは、フィラメントがダイから現れ、相対的に直線の経路に従ってロール面の接点と接触できるようにする。押出機のダイと垂直軸(又は測定される角度によっては第1ローラーの水平軸)との角度は数度程度でよく、或いは90°のように大きくてもよい。例えば、ローラーに対して押出物出口の角度90°は、第1ローラーの下流縁の真上に押出機を位置づけて、押出機上に側面出口ダイチップを有することで達成できる。さらに、垂直から約20°、約35°、又は約45°のような角度も利用しうる。後述するように、12-フィラメント/2.54cm(1インチ)のスピンプレート孔密度を利用する場合、約45°の角度が該システムを効率的に操作できることが分かった。しかし、最適な角度は、押出物出口速度、ローラー速度、ダイからローラーまでの垂直距離、及びダイの中心線からローラーの上死点までの水平距離の関数として変わる。回転効率を高め、かつフィラメント破損を減らすことになる種々の幾何学的配列を利用することによって最適性能を達成することができる。多くの場合、この結果、ロールラップが強力に増すことになり、押出物が押出機ダイのキャピラリーから離れてチルドロールに進むときの押出物の抗力と剪断力が減少するので、より効率的なエネルギー移動と長いダイ寿命につなる。一般的に、上述したシリコーン添加剤の1種を含む本発明のエラストマー組成物は、このようなシリコーン添加剤を含まない同エラストマー組成物より回転効率を高め、フィラメント破損を減らし、押出物の抗力と剪断力を減らした。
【0016】
連続フィラメントを運ぶローラーは、連続フィラメントが積層システムを通って垂直に流れるとき、連続フィラメントを伸張させるように位置づけて操作される。いくつかのローラーを利用する場合、それぞれ連続するローラーは、連続フィラメントのストランドがローラーからローラーに渡されるように、直前のローラーに対して反対の方向に向けられる。さらに、それぞれ連続するローラーの速度は、所望の伸縮特性及び伸び特性を得るように、前のローラーと異なる。例えば、いずれの特定ローラーもいずれの先行するローラーの速度の1〜10倍、またそれ以上の速度で操作しうる。典型的には、別個のコントローラー、例えばサーボモーター又はターナー(Turner)ドライブを利用して各ロールについて個々の速度を制御してそれぞれ個々のロールを作動させる。速度を変える場合、垂直プロセスでは、ストランドが下向きに移動するとき、連続するローラーを高速で回してストランドを引き伸ばし又は伸長しうる。さらに、連続フィラメントは、究極的に直径が約0.2032〜1.016mm(約0.008〜0.040インチ)、場合によっては、直径が約0.381〜0.508mm(約0.015〜0.020インチ)の繊維サイズまで細くなる。
【0017】
連続フィラメントを結合位置まで運ぶために使用する別個のローラーの数は、最終製品で望まれる特定の属性によって変わりうる。例えば、少なくとも4つのローラー−第1チルド(又は位置決め)ローラー、第2チルドローラー、第3非チルドローラー、及び第4非チルドローラー−を利用しうる。或いは、ローラーニップ内の連続フィラメントにスパンボンド表面仕上げ材(facing)を結合する該システムのラミネーター部分に連続フィラメントを供給する前には2つのチルドローラーだけが必要なこともある。
ローラーをプラズマ被覆して良い剥離特性を与えることができる。また、ローラーにさらに溝を付け又は溝を掘って、フィラメントがロールの表面を通過してシステムを流れるときに、押し出された連続フィラメントが個々のフィラメント間の正確な分離を確実に維持することができる。1つ又はすべてのロールについて平滑なロールを使用しうる。プラズマ被覆ロールを利用する場合、連続フィラメントは、平滑な非被覆ロールほどには滑らない。プラズマ被覆はストランドをしっかりつかんで連続フィラメントストランド間の距離の高い均一性を促す。
種々の機構を利用して連続フィラメントをクエンチすることができる。例えば、繊維に外気を押しつけて繊維の硬化を制御することができるだろう。或いは、十分な表面積を有する1つの大きいロールを用いて繊維をクエンチできるだろう。
【0018】
一連のローラーを通過して伸びた状態になった後、連続フィラメントは、シート材料がラミネーター部分で該連続フィラメントに結合できるような位置に運ばれる。このシート材料は、連続フィラメントより低弾性だろう。シート材料は種々のメルトブロー成形不織ウェブ、スパンボンド不織ウェブ、カードウェブ、又は織ウェブでさえよい。しかし、一定の強化特性及び製造効率は、ポリマースパンボンド不織ウェブから生じる。1つの特定の実施態様では、約14g/m2(約0.4オンス/平方ヤード(“osy”))の基準重量を有するポリプロピレンスパンボンド表面仕上げ材を利用しうる。
結合は、自己的又は別個の接着剤を用いて、或いは自己接着と接着剤結合の組合せとして達成しうる。典型的に、本プロセスは、連続フィラメントが結合ステーションに達する時までに十分に連続フィラメントをクエンチするので、自己(つまり接着剤なしの結合)のみでは不可能だろう。通常、接着剤、例えばメルト-スプレータイプの接着剤を利用する。しかし、後述するように、十分な粘着付与樹脂、又は他の接着剤成分を表面仕上げ材又は連続フィラメントのどちらかに利用する場合は、自己結合が可能だろう。
連続フィラメントに結合する予定のシート材料上に接着剤を直接噴霧することができる。しかし、接着剤塗布の他の配置、例えば、ブラッシング等も利用しうる。また、連続フィラメントと結合する前にシート材料に直接接着剤を塗布し、或いは結合前に連続フィラメントとシート材料の両方に接着剤を塗布し、或いは結合圧を加えながらフィラメントとシート材料の一方又は両方に接着剤を塗布することができる。本発明は、いずれの特定の結合機構にも限定されない。
【0019】
利用しうる特定のメルトスプレー接着剤として、Findley-ブランドH2525AとFindley-ブランドH2096が挙げられ、両方ともFindley Adhesives(Bostik Findleyとしても知られる)から入手可能である。これら接着剤は、約149〜191℃(約300〜375゜F)の温度のホットメルトスプレーダイで表面仕上げ材の内面に塗布することができる。メルトスプレー接着剤は、通常、最終複合材中、約3g/m2("gsm")の接着剤という非常に軽量層を形成する。これら特定のFindley接着剤も弾性である。
本システムは、ニップロールを利用して接着剤被覆表面仕上げ材と連続フィラメントに圧力を加えて必要な積層品とする。外側の表面仕上げ材は、かなり高い面圧力で連続フィラメントと結合する。この圧力は約3.6〜54kg/cm(約20〜300ポンドリニアーインチ("pli"))でよい。典型的な結合圧力は、約8.9kg/cm(約50pli)又は約18kg/cm(約100pli)でよい。
積層装置のボンダー、つまりニップロール(“ラミネーター”と呼ぶこともある)部分は、連続フィラメントに一次延伸を果たす。ボンダー又はニップロールのチルドロールに対する速度比は変化しうる。多くの場合、約2:1〜8:1であり、ある場合には約4:1〜6:1である。
【0020】
代替案として、延伸前にポリマーウェブに弾性ストランドを結合してよく、ストランドを単シート形態で取り扱うことができる。この方法では、1セットの平行弾性フィラメント上に粘着性を増したメルトブロー成形ウェブを適用することができる。このウェブ/ストランドシートを延伸してから、接着剤系の使用でシートに表面仕上げ材を結合できるようにカレンダーニップ中に供給する。この特定プロセスを利用する場合、この特定プロセスは、製造プロセスを中断せずに時折のフィラメント破損又は不完全さを斟酌する。
一定の場合、1以上のさらなる表面仕上げ材を、延伸した連続フィラメントの他方の非結合面に結合して、連続フィラメントが少なくとも2つの外側表面仕上げ材間に挟まれた伸縮性品を達成しうる。この場合もやはり、特定の結合機構及び方法は本発明の教示によって制限されない。多くの場合、単にスプレー接着剤を一方の外側表面仕上げ材の一面に塗布してからこの接着剤を有する表面仕上げ材を、延伸された連続フィラメント及び第2の外側表面仕上げ材と接触させると、二表面仕上げ材/連続フィラメント積層製品用の十分な結合力をもたらす。
【0021】
連続フィラメントに表面表面仕上げ材を結合してスパンボンド/エラストマー連続フィラメント/スパンボンド積層品を形成後、この積層品を非伸張状態又は低伸張状態に弛緩及び収縮させることができる。次に、表面作動巻取り機で積層品を巻取りロール上に巻き取る。巻取り機のボンダーローラーに対する速度比が、積層品がロール上に巻き取られるときに延伸された連続フィラメントの弛緩と積層品の収集状態への収縮をもたらす。例えば、ボンダーロール速度に対する巻取り機速度は約0.3〜約1.0でよく、また約0.5〜1.0でよい。連続フィラメントの収縮の結果、外側の表面仕上げ材が結合点の間で収縮している収縮した伸縮性積層品となる。
積層品の総基準重量は変化しうるが、ある用途では、約68〜約136g/m2(約2〜約4オンス/平方ヤード(“oz/yd2”))である。1つの特定の実施態様では、基準重量は約96.9〜約109g/m2(約2.85〜約3.2oz/yd2)である。
【0022】
種々のタイプの組成物及び種々の加工条件を利用して弾性連続フィラメントを形成することができる。例えば、KRATONTMブランドの弾性ポリマーを押出機に供給することができ、そこでは約127℃〜249℃(260゜F〜480゜F)、ある場合には約196℃(約385゜F)の制御された温度でポリマーが溶融される。他の実施態様では、利用する個々のポリマーによって、溶融温度は約243℃〜249℃(約470゜F〜480゜F)でよい。ポリオルガノシロキサンを添加すると10〜38℃(50〜100゜F)まで押出し温度を下げることができる。次に、通常下向きの方向で別個の連続フィラメント中にダイヘッド内の所定数の開口を通じて2.1×106〜2.8×107Pa(約300〜4000psi)(典型的には1.0×107〜1.4×107Pa(約1500〜約2000psi))の圧力でポリマーが押し出される。後述するように、本発明では種々のダイホールコンフィギュレーションを利用しうる。
表面仕上げ材は、弾性及び非弾性の繊維又は粒子の混合物でよい。例えば、米国特許第4,209,563号は参照によってその全体が本明細書に取り込まれており、この特許はエラストマー又は非エラストマー繊維が混ざり合ってランダムに分散した繊維の単一の密着(coherent)ウェブを形成する方法を開示している。このような弾性複合材の別の例は米国特許第4,741,949号に示されており(この特許も参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)、この特許では、メルトブロー成形した熱可塑性繊維と他の材料の混合物を含むとして弾性不織材料が開示されている。この繊維及び他の材料を成形気流中で混ぜ合わせることができ、繊維は、収集装置による繊維の収集前に繊維と他の材料、例えば、ウッドパルプ、ステープルファイバー又は粒子、例えば活性炭、粘土、デンプン、若しくはハイドロコロイド(ハイドロゲル)粒子との密接に絡み合った混ざり合いが起こってランダムに分散した繊維の密着ウェブを形成するように運ばれる。
【0023】
本発明で用いるエラストマーポリマーに種々の加工助剤を添加してもよい。例えば、ポリオレフィンをエラストマーポリマー(例えば、A-B-Aエラストマーブロックコポリマー)とブレンドして組成物の加工性を高めることができる。ポリオレフィンは、そのようにブレンドして適切な組合せの高温高圧条件に供給したとき、エラストマーポリマーとブレンド状態で押し出しうるものでなければならない。有用なブレンド用ポリオレフィン材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブチレンが挙げられ、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー及びブテンコポリマーが含まれる。特に有用なポリエチレンは、U.S.I. Chemical Companyから商標名Petrothene NA 601(本明細書ではPE NA 601又はポリエチレンNA 601と称することもある)で得られる。別に提案するワックスとしてEastman Chemical of Kingsport, Tennessee製のElpolene C-10 PEワックスが挙げられる。2種以上のポリオレフィンを利用してもよい。エラストマーポリマーとポリオレフィンの押出し可能ブレンドは、例えば、米国特許第4,663,220号(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に開示されている。
【0024】
メルト-スプレー接着剤及び/又はエラストマーフィラメントを形成するために利用するエラストマー材料は、自己結合を可能にし、或いは増強するのに十分な粘着性を有しうる。例えば、繊維及び/又はフィラメントに形成されるとき、エラストマーポリマー自体が粘性でよく、或いは、粘着付与適合性樹脂を上述した押出し可能なエラストマー組成物に添加して、自己結合する粘着性のエラストマー繊維及び/又はフィラメントとすることができる。種々の公知の粘着付与樹脂及び粘着性が増した押出し可能なエラストマー組成物、例えば米国特許第4,787,699号(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されている組成物を利用することができる。
【0025】
エラストマーポリマーと適合性であり、かつ押出し加工条件に耐えられるいずれの粘着付与剤樹脂も使用できる。エラストマーポリマー(例えば、A-B-Aエラストマーブロックコポリマー)を加工助剤、例えばポリオレフィン又は増量油とブレンドする場合、粘着付与剤樹脂はそれら加工助剤とも適合性でなければならない。一般に水素化炭化水素樹脂は温度安定性の向上を示すので望ましい粘着付与剤である。REGALREZTM炭化水素及びARKONTMシリーズの粘着付与剤は水素化炭化水素樹脂の例である。ZONATAKTM501 liteはテルペン炭化水素の例である。REGALREZTM炭化水素樹脂はEastman Chemical Company of Kingsport, Tennesseeから入手可能である。ARKONTMシリーズの樹脂は、Arakawa Chemical (U.S.A.) Incorporatedから入手可能である。当然、本発明は、このような粘着付与樹脂の使用に限定されず、本組成物の他の成分と適合性であり、かつ加工条件に耐えうる他の粘着付与樹脂も使用することができる。
一実施態様では、エラストマー連続フィラメント及び表面仕上げ材を形成するために使用するブレンドは、例えば、約40〜約80質量%のエラストマーポリマー、約5〜約40質量%のポリオレフィン、及び約5〜約40質量%の樹脂粘着付与剤を含む。例えば、特定の組成物は、約61〜約65質量%のKRATONTM 1657(一例では、約63質量%)、約17〜約23質量%のポリエチレンNA 601-04ワックス(一例では、約20質量%)、及び約15〜約20質量%のREGALREZTM 1126(一例では、約17質量%)を含みうる。特に、KRATONTM 1657は、スチレン-エチルブチレン-スチレン(S-EB-S)トリブロックベースゴムポリマーである。
【0026】
別の実施態様では、約85%のA-B-A'-B'テトラブロックベースゴムポリマー(G1730としてKRATONTM Polymersによって販売されている)及び15%のEPOLENE C10ポリエチレンワックス(Eastman Chemical Company of Kingsport, Tennessee)を利用しうる。この特定例では、ゴムポリマー中のA及びA'はスチレン成分を含有する熱可塑性ブロックでよく、B及びB'はポリ(エチレン-プロピレン)から成るエラストマーポリマーブロックでよい。
さらなる実施態様では、約80%のA-B-A'-B'テトラブロックベースゴムポリマー、7質量%のEPOLENE C10ポリエチレンワックス、及び13質量%のREGALREZTM 1126粘着付与剤から成る別のポリマーブレンドを使用しうる。上記のように、ゴムポリマー中のA及びA'はスチレン成分を含有する熱可塑性ブロックでよく、B及びB'はポリ(エチレン-プロピレン)から成るエラストマーポリマーブロックでよい。
別の実施態様では、約70質量%のA-B-A'-B'テトラブロックベースゴムポリマーと30質量%のC10ポリエチレンワックスから成るポリマーブレンドを利用しうる。上記のように、ゴムポリマー中のA及びA'はスチレン成分を含有する熱可塑性ブロックでよく、B及びB'はポリ(エチレン-プロピレン)から成るエラストマーポリマーブロックでよい。
【0027】
これら種々の組成物を利用して連続フィラメントとスパンボンド外側表面仕上げ材の両方を形成することができる。
多くの用途において、このタイプの複合材は、一方向だけ、例えば、添付図面に示されるように、機械方向に伸張かつ回復するように適合させることによって、並行して連続フィラメントが得られる。従って、複合材の弾性成分は等方性でなくてよい。すなわち、弾性成分はあらゆる方向に同一の伸張及び回復特性を有する必要はない。望ましくは、弾性成分は、収縮した非弾性材が該複合材を伸張させる方向だけに必要な伸張及び回復特性を有するだろう。例えば、弾性材料のフィラメント、繊維及び/又はストランドが一方向だけに形成されれば、弾性材料が等方性の場合より一方向という点で、相対的に小量の弾性材料を用いて一定レベルの弾性特性、例えば張力が得られるだろう。複合材中の弾性材料の量を減らせばそのコストを下げ、例えばオムツ等の使い捨ての個人用介護製品のような単回使用又は有限使用製品を魅力的にする。
【0028】
図1には、上記方法を実施するための典型的な装置が示される。図1に示されるように、VFLシステム11は垂直に構成される。チルド位置決めローラー12上に傾いた角度でダイから下向きに連続溶融フィラメント14を押し出すため押出機15が取り付けられている。チルド位置決めローラー12は、フィラメントを広げながらシステム残部の始めから終わりまで正確なアラインメントを保証する。フィラメントがチルド位置決めローラー12の表面上を移動するとき、フィラメントは第1チルドローラー13に向け、かつその上を移動するにつれて冷却されて凝固する。次に、フィラメントは下向きに第2ローラー16、次いで第3ローラー17、第4ローラー18を横断し、ニップローラー19とニップローラー20によって形成されるニップへと“S形状”で進行する。
ニップにおいて、種々のタイプの表面仕上げ材と連続フィラメントを結合させることができる。図1に示した実施態様では、第1不織スパンボンド表面仕上げ材22と第2不織スパンボンド表面仕上げ材24を連続フィラメントの対向する面に結合して結合積層品25を形成する。いくつかの実施態様では1種だけの表面仕上げ材を用い、他の実施態様では弾性連続フィラメントを3、4、又はそれ以上の層の表面仕上げ材と結合することができる。
表面仕上げ材の連続フィラメントへの結合は、通常、スプレータイプの接着剤を用いて行われる。ニップでの圧縮とラミネーションの前に、少なくとも1つの不織スパンボンド表面仕上げ材(図1では第1スパンボンド表面仕上げ材22)の表面にスプレーヘッド23が接着剤を供給する。実施態様によっては、特に比較的大量の接着剤が必要な場合、又はより大きい弾性ストランドが存在する場合、別の不織スパンボンド表面仕上げ材に接着剤を塗布する第2のスプレーヘッドを使用することもある。いくつかの実施態様では、不織スパンボンド中に弾性成分を固定するために大量の接着剤を要する。図1に示されるように、貯蔵用の結合したスパンボンド/連続フィラメント/スパンボンド積層品25を受けて巻き取るため巻取りロール21を使用することができる。
【0029】
図2は、システムの種々の部品を取り付ける支持フレーム26を含むVFL組立品の側面図を示す。参照番号は、種々の図中の同一部品を示すために図面全体で一貫して使用する。最初に図2に示されるように、第1の外側表面仕上げロール27と第2の外側表面仕上げロール28が組立品に所望の表面仕上げ材22と24を与える。支材29がニップローラー20を適所に支持する。ローラーが連続フィラメントを下向きにニップまで移動し、そこでフィラメントが表面仕上げ材といっしょになって結合した積層品を形成するのが側面から見える。
図3には、図1で示した実施態様の組立品の端面図が描かれ、支持フレーム26に取り付けられたローラーを示している。この特定の実施態様は、5つのローラーを利用するが、他の実施態様はそれより少ないか又は多いローラーを使用することができ、連続フィラメント弾性組成物の性質、最終製品で必要な弾性度、製品の層の数などによって決まる。
図4は、キャピラリー孔31を有する典型的な押出機ダイヘッド30を示す。図5では、ダイヘッドの拡大図32が示されている。押出機ダイヘッド上のキャピラリー孔のパターン及び直径を変えて、高価な梳き具などを利用することなく、適切な間隔のフィラメントを供給して正しい弾性の幾何学的配列を有する布を形成することができる。距離d1(列のキャピラリー孔中心間の距離)、d2(対向する列の近接した対角キャピラリー孔中心間の距離)及びd3(同列の近接したキャピラリー孔中心間の距離)は、最終製品で望まれる個々の特徴によって変えることができる。例えば、本方法では種々の孔密度を利用しうる。12-フィラメント/2.54cm(1インチ)例では、ダイ孔の中心線間の距離(d1)は約2.12mmでよい。18-フィラメント/2.54cm(1インチ)の孔密度を用いる場合、ダイ孔中心線間の距離(d1)は約1.41mmである。
【0030】
図6は、ローラー12の垂直軸に対して傾いた位置にある押出機15の側面図を示す。図で示される角度45°は、許容しうる製品を生じさせ、かつ上述したように、連続フィラメントをローラー12と咬み合わせて、破損フィラメントを再び織り混ぜることを可能にする1つの角度であることが分かった。
一定のローラー速度を維持すると、適切な度合の弾性のある伸張を可能にしてその縮みが最終製品を形成できるようにする。位置決めチルドローラー12は、通常約0.9〜3m/分(“mpm”)(約3〜10フィート/分(“fpm”))の範囲の表面速度で回転し、第1の垂直に置いたチルドローラーは約1.5〜約4.6mpm(約5〜約15fpm)で回転する。次のローラーは約2.1〜約5.5mpm(約7〜約18fpm)で回転し、最後のローラー(適用かつ使用する場合)は、約3.7〜約30mpm(約12〜約100fpm)の速度で回転する。これら範囲は近似であり、条件及び所望の最終製品の構成によって変えることができる。
【0031】
1つの特定プロセスでは、第1チルドロールが約1.5mpm(約5fpm)で回転し;第2チルドロールが約1.8mpm(約6fpm)で回転し;第3非チルドロールが約3.4mpm(約11fpm)で回転し;かつ第4非チルドロールが約7.9mpm(約26fpm)で回転する。別のプロセスは、3mpm(10fpm)の第1ロール速度;6mpm(20fpm)の第2ロール速度;12mpm(40fpm)の第3ロール速度;及び24mpm(80fpm)の第4ロール速度を利用する。このプロセスでは、ニップローラーの速度は約23mpm(約75fpm)である。さらなるプロセスでは、第1チルドロールの速度は約122mpm(約400fpm);その次のロールの速度は連続フィラメントを伸張するため約229mpm(約750fpm);複合材がニップローラーで形成される速度は約457mpm(約1500fpm);かつ巻取りローラー速度(スパンボンド表面仕上げ材の弛緩、ひいては収縮を許す)は約213mpm(約700fpm)でよい。
【0032】
また、多くの積層品では、不織層の表面に不連続な接着剤ラインで接着剤成分を塗布する。接着剤ラインが弾性フィラメントラインを横切って種々のタイプの結合ネットワークを形成するように、種々のパターンで接着剤を塗布することができる。この結合ネットワークとしては、接着剤と弾性フィラメントの結合、又は接着剤と弾性フィラメントの結合及び接着剤と接着剤の結合の両方が挙げられる。これら結合ネットワークがかなり大きい総数の接着剤と弾性フィラメントの結合及び接着剤と接着剤の結合を含むことができ、最小量の接着剤を使用しながら、高い強度の積層品を提供する。このような強化は、所定の特有パターンで不織面上に接着剤を噴霧して形成される接着剤を置くパターン又は噴霧パターンの使用によって達成される。多くの場合、接着剤が少ない最終製品は望ましくない堅さの減少を示し、接着剤の多い製品より一般的に可撓性かつ柔軟である。
接着剤ラインが弾性成分に対して垂直又はほぼ垂直になるパターンで接着剤を塗布すると、特に有利であることが分かった。実際には正確な90°の結合角は不可能だが、50°又は60°程度の平均結合角は、一般的に弾性ストランドと表面仕上げ材との好適な結合を生じさせるだろう。このタイプの結合角の概念図が米国特許出願公開番号US 2002/0104608の図12D及び14に示されている。接着剤及び弾性ストランドのラインが接合又は交差するところで接着剤と弾性ストランドの結合が形成される。
【0033】
また、連続接着剤フィラメントと弾性ストランドの交差は、弾性ストランドの単位長さ当たり所定数の交差に調節される。垂直方向にこのような接着剤ラインを有し、かつ弾性ストランドの単位長さ当たりの結合数を最適化することによって、最小量の接着剤とエラストマーストランド材料で最終弾性ストランド積層品を製造することができ、低コストで所望の製品特性を与えられる。
本発明では種々の結合技術を利用しうる。例えば、上述したメルトスプレーの代わりに指定ラインに接着剤を塗布することができる。本発明で有用な典型的な接着剤ラインスクリムパターンは、米国特許出願公開番号US 2002/0104608の図13Aに示されている。本明細書では、“スクリム(scrim)”は、一般的に弾性又は非弾性でよい素材の布又は不織ウェブを指し、製造中の製品が流れる経路に沿った製品機械方向(“MD”)配向のストランド成分と、布の幅を横切る交差機械方向(“CD”)のストランド成分を有する。交差機械方向で接着剤ラインが減衰する接着剤ラインパターンを該積層品に適用することができる。図13に示されるスクリムパターンは、スクリムパターン136と弾性フィラメント130を含む。図13Bは、弾性ストランド130に塗布される接着剤ライン139を有する別の典型的なスクリムパターン138を示す。この態様では、結合角が非常に大きく、接着剤と弾性フィラメントの交差点で90°に近づく。図13Cは、接着剤ライン142と連続弾性ストランド130を有する別のスクリムパターン141を示す。
【0034】
外側表面仕上げ材のラミネーション前に弾性ストランドを伸ばすことによって、クロスデッケル、つまり交差機械方向の制御、基準重量変化が生じうる。一定の前処理では、フィラメントが伸張しているとき、位置効果のためフィラメントは縁に移動する傾向があるので、弾性ストランドの基準重量は、ウェブの幅の至る所で変化しうる。このような場合、ある材料がx方向に伸びているとき、y及びz方向に収縮する傾向がある。
特定の実施態様では、本プロセスは、伸張したストランドのネッキングプロファイルとストランドの基準重量プロファイルを補正することによって、このような移動を阻止することができる。クロスデッケル基準重量の所望シフトを決定してからこの所望シフトにマッチングするように押出機ダイを調整することができる。特に、個々のフィラメント径を制御するようにダイキャピラリーの長さを調整することができる。ダイの縁上の長いキャピラリー孔は、基準重量が少ない薄いフィラメントを生じさせるだろう。引き続いてストランドが伸張して、中間フィラメントが移動するにつれ、この生じたままの均一でない基準重量プロファイルは、相対的に均一なクロス-デッケル基準重量プロファイルにシフトするだろう。このような均一性が、より調和したロール構築及び素材の外部スリットの変換を可能にする。
米国特許出願公開番号US 2002/0104608の図9に示されているダイプレートを利用できる。本VFLで利用しうる1つの特定のダイは、所望により、ダイ中心に6:1の長さ-対-距離(“L/D”)のキャピラリーを有し、このキャピラリーは徐々に長くなり、縁では8:1のL/Dである。米国特許出願公開番号US 2002/0104608の図9は、このようなプロファイルデザインの代表的ダイを示している。
本発明の典型的なエラストマー組成物の比較を提供する以下の実施例の参照によって、本発明をより良く理解できるだろう。
【0035】
〔実施例〕
〔対照例A〕
対照例Aは、エラストマー組成物を押し出し、ワイヤー織りパターンで熱的に点結合した2枚の14g/m2(0.4オンス/平方ヤード(osy))のスパンボンド布層の間に、2.54cm(1インチ)当たり12孔の12g/m2(gsm)のフィラメントを形成することよって作製した。孔径は0.9mmだった。エラストマー組成物はKRATONTM Polymers of Houston, Texasから得た約80質量%のKRATONTM G1730エラストマー;Eastman Chemical Companyから得た約13質量%のREGALREZTM 1126粘着付与剤及びEastman Chemical Companyから得た約7質量%のEPOLENE C10ポリエチレンワックスから成った。エラストマー組成物を弾性フィラメント中に押し出し、約300%伸張させ、ニップにて2枚の点結合スパンボンド層中に導入して垂直フィラメント積層品(VFL)を形成した。ライン速度の約90%にニップ速度を設定することによって、該積層品をトータル10%弛緩させた。溶融温度は218℃(425゜F)だった。
1rpmの処理能力で、溶融圧力は3.2×105Pa(46psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。3rpmの処理能力では、溶融圧力は6.7×106Pa(970psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.1×107Pa(1,621psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,080psi)であり、生成されたフィラメントはひどいメルトフラクチャーを有していた。
対照例Aの積層品を周囲条件、約 ℃( ゜F)及び相対湿度 %で2週間エイジング後、剥離強度について試験した。対照例Aの積層品の剥離強度は、175g、標準偏差6だった。対照例Aの積層品は、9回転/分(rpm)の速度で押し出された。
【0036】
〔実施例1〕
実施例1は、250ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤をエラストマーKRATONTM G2838組成物に含めて用いることを除き、上記対照例Aと同様にして実施例1のフィラメントを形成した。溶融温度は218℃(425゜F)だった。SILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤は、1質量%のSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサンと99質量%のKRATONTM G2838エラストマーから成る2.5%の濃縮物を添加することによって、エラストマー樹脂に濃縮物として含ませた。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は5.2×106Pa(750psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。6rpmの処理能力では、溶融圧力は8.7×106Pa(1,260psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.2×107Pa(1,700psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。12rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,040psi)であり、生成されたフィラメントはひどいメルトフラクチャーを有していた。
実施例1の積層品の剥離強度は129gで標準偏差7だった。
【0037】
〔実施例2〕
実施例2は、使用するエラストマー組成物に500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を含めることを除き、上記対照例Aと同様にして実施例2のフィラメントを形成した。溶融温度は218℃(425゜F)だった。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は5.5×106Pa(800psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。6rpmの処理能力では、溶融圧力は9.0×106Pa(1,300psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。12rpmの処理能力では、溶融圧力は1.5×107Pa(2,140psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。
実施例2の積層品の剥離強度は138gで標準偏差12だった。
【0038】
〔実施例3〕
実施例3は、使用するエラストマー組成物に1000ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を含めることを除き、上記対照例Aと同様にして実施例3のフィラメントを形成した。溶融温度は218℃(425゜F)だった。
6rpmの処理能力で、溶融圧力は8.9×106Pa(1,285psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.2×107Pa(1,740psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。12rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,100psi)であり、生成フィラメントはひどいメルトフラクチャーを有していた。
実施例3の積層品の剥離強度は103gで標準偏差6だった。
【0039】
〔対照例B〕
対照例Bは、エラストマー組成物を押し出し、ワイヤー織りパターンで熱的に点結合した2枚の14g/m2(0.4オンス/平方ヤード(osy))のスパンボンド布層の間に12g/m2(gsm)のフィラメントを形成することよって作製した。エラストマー組成物は約80質量%のKRATONTM MD6665エラストマー、約13質量%のREGALREZTM 1126粘着付与剤及び約7質量%のEPOLENE C10ポリエチレンワックスから成った。エラストマー組成物をフィラメント中に押し出し、約300%伸張させ、ニップにて2枚の点結合スパンボンド層中に導入してからトータル約10%のニップ速度弛緩させた。溶融温度は238℃(460゜F)だった。
1rpmの処理能力で、溶融圧力は4.1×106Pa(600psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。3rpmの処理能力では、溶融圧力は8.6×106Pa(1,247psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,100psi)であり、生成されたフィラメントはひどいメルトフラクチャーを有していた。
対照例Bの積層品の剥離強度は224g、標準偏差50だった。
【0040】
〔実施例4〕
実施例4は、使用するKRATONTM MD6665エラストマー組成物に250ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を含めることを除き、上記対照例Bと同様にして実施例4のフィラメントを形成した。溶融温度は238℃(460゜F)だった。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は8.1×106Pa(1180psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.3×107Pa(1,870psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.7×107Pa(2,400psi)であり、フィラメントはひどいメルトフラクチャーのある表面を有していた。
実施例4の積層品の剥離強度は234gで標準偏差100だった。250ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤をKRATONTM MD6665エラストマー組成物に添加することによって実施例4で観察された剥離強度の低減は、加工助剤を含まない対照例Bに比べて無視できた。
【0041】
〔実施例5〕
実施例5は、使用するKRATONTM MD6665エラストマー組成物に500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を含めることを除き、上記対照例Bと同様にして実施例5のフィラメントを形成した。溶融温度は238℃(460゜F)だった。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は7.6×106Pa(1100psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.2×107Pa(1,800psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.7×107Pa(2,450psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。
実施例5の積層品の剥離強度は162gで標準偏差21だった。500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤をKRATONTM MD6665エラストマー組成物に添加することによって実施例5で観察された剥離強度の低減は、対照例Bより約35%低減し、許容しうると考えられる。一般的に、対照のグラム数に匹敵する剥離強度は許容しうる。
【0042】
〔実施例6〕
実施例6は、使用するKRATONTM MD6665エラストマー組成物に1000ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を含めることを除き、上記対照例Bと同様にして実施例6のフィラメントを形成した。溶融温度は238℃(460゜F)だった。
1rpmの処理能力で、溶融圧力は4.1×106Pa(590psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。3rpmの処理能力では、溶融圧力は8.6×106Pa(1,250psi)であり、サメ肌化せずに平滑な表面のフィラメントが生成された。メルトフラクチャーは観察されなかった。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,000psi)であり、フィラメントはメルトフラクチャーのある表面を有していた。
実施例6の積層品の剥離強度は164gで標準偏差18だった。500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤をKRATONTM MD6665エラストマー組成物に添加することによって実施例6で観察された剥離強度の低減は、対照例Bより約35%低減し、許容しうると考えられる。
【0043】
〔実施例7〕
実施例7は、使用するKRATONTM MD6665エラストマー組成物に500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤と、2,000ppmのKen(登録商標) CAPS L01/Lチタン酸塩を含めることを除き、上記対照例Bと同様にして実施例7のフィラメントを形成した。溶融温度は238℃(460゜F)だった。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は9.7×106Pa(1,400psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。6rpmの処理能力では、溶融圧力は1.5×107Pa(2,170psi)であり、フィラメントはひどいメルトフラクチャーのある表面を有していた。
【0044】
〔実施例8〕
実施例8は、使用するKRATONTM MD6665エラストマー組成物に500ppmのSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤と、2,000ppmのKen(登録商標) CAPS L01/Lチタン酸塩を含めることを除き、上記対照例Bと同様にして実施例8のフィラメントを形成し、溶融温度を249℃(480゜F)に高めた。
3rpmの処理能力で、溶融圧力は6.6×106Pa(950psi)であり、わずかに表面が破損したが他はきれいなフィラメントが生成された。7rpmの処理能力では、溶融圧力は1.2×107Pa(1,760psi)であり、フィラメントはひどいメルトフラクチャーのある表面を有していた。また9rpmの処理能力では、溶融圧力は1.4×107Pa(2,080psi)であり、フィラメントはひどいメルトフラクチャーのある表面を有していた。
【0045】
KRATONTMエラストマー組成物にSILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤を添加して、許容しうる機械特性、すなわち、エラストマーフィラメントで形成されるVFL積層品の剥離強度を維持しながら加工条件を改良できることが観察された。SILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤の添加によって、KRATONTMエラストマー樹脂の押出し成形中の圧力とメルトフラクチャーについての処理能力の限界が大いに低減され、かつ速い製造速度と低い操作温度、例えば、10〜38℃(50〜100゜F)程度低い操作温度が可能である。有利には、SILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤をKRATONTMエラストマー組成物に添加すると処理加工を改善し、以下の利益の1つ以上が得られる:剪断力を低減し、処理能力を高めながらメルトフラクチャーの発生を遅らせ、ダイリップ蓄積を減少させ、かつ、通常、例えば、押出し圧力及び/又は押出し温度を下げることによって特定のエラストマー樹脂及び装置のプロセスウィンドウを増やす。これら利益は、ダイの寿命及びパック寿命をも延ばしうる。さらに、SILQUEST(登録商標) PA-1ポリオルガノシロキサン加工助剤の添加は、接着剤の使用を少なくすることができる。さらに、フィラメントの押出し中のメルトフラクチャーの低減は、ダイから押し出されるエラストマーフィラメントの安定性を高め、かつフィラメントの重なりとフィラメントの折り返しを減らし、フィラメント及び該エラストマーフィラメントを含む積層品の加工性を向上させた。
【0046】
本発明の好ましい実施態様について具体的な用語、装置、及び方法を用いて述べたが、このような説明は、例示目的のためだけである、使用した言葉は、限定ではなく説明の言葉である。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、当業者は変更及び修正を為しうることを理解すべきである。さらに、種々の実施態様の局面はその全体又は部分的に相互に交換しうることを理解すべきである。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる好ましいバージョンの説明に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】垂直フィラメント積層(VFL)システムの斜視図である。
【図2】図1のVFLシステムの側面図である。
【図3】図2の右手側から見たVFLシステムの端面図である。
【図4】典型的な押出機ヘッドの押出面の部分図である。
【図5】押出機キャピラリー開口部を示す図4の押出面の一部の拡大図である。
【図6】本発明のローラーについて押出機ヘッドの典型的な位置を示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーブロックコポリマーと、約0.01〜約0.5質量%の一以上のポリオルガノシロキサンとを含む組成物。
【請求項2】
該組成物が、50質量%を超える一以上のエラストマーブロックコポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、75質量%を超える一以上のエラストマーブロックコポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該組成物が、80質量%を超える一以上のエラストマーブロックコポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
該組成物が、約0.01〜約0.2質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項6】
該組成物が、約0.01〜約0.1質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項7】
該組成物が、約0.02〜約0.08質量%の一以上のポリオルガノシロキサンを含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項8】
前記エラストマーブロックコポリマーが、ポリスチレンエラストマーブロックコポリマー、ポリウレタンエラストマーブロックコポリマー、ポリエーテルエラストマーブロックコポリマー、及びポリアミドエラストマーブロックコポリマーから成る群より選択される、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項9】
前記エラストマーブロックコポリマーが、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン/プロピレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン-エチレン/ブチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー又はスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマーから成る群より選択されるスチレンのブロックコポリマーである、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項10】
該組成物が、溶融押出し可能な熱可塑性組成物であり、かつ前記ポリオルガノシロキサンが、ポリオルガノシロキサン不存在下でのエラストマーブロックコポリマーの溶融押出し温度に対して該組成物の押出し温度を下げるものである、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項11】
前記エラストマーブロックコポリマーが、スチレン成分ブロックとポリマー中間ブロックを有するブロックコポリマーを含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項12】
該組成物が、チタン酸塩若しくはジルコン酸塩又はその混合物をさらに含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項13】
該組成物が、約0.01〜約3質量%のチタン酸塩、ジルコン酸塩又はその組合せをさらに含む、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリオルガノシロキサンが、下記式のポリオルガノシロキサンの群から選択される、請求項1、2、3又は4記載の組成物。
【化1】

(式中、Rはアルキル基であり、R1は、少なくとも1つのエチレンオキシド基、隣接エポキシ基又はアミノ基を含有する一価の有機基であり、x及びyは、正の整数の群から独立的に選択される。)
【請求項15】
エラストマーブロックコポリマーの押出し温度の低減方法であって、ポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物を前記エラストマーブロックコポリマーに添加する工程を含む方法。
【請求項16】
前記ポリオルガノシロキサンが、下記式のポリオルガノシロキサンの群から選択される、請求項15記載の方法。
【化2】

(式中、Rはアルキル基であり、R1は、少なくとも1つのエチレンオキシド基、隣接エポキシ基又はアミノ基を含有する一価の有機基であり、x及びyは、正の整数の群から独立的に選択される。)
【請求項17】
1,000,000部のエラストマーブロックコポリマーにつき、約100〜約1000質量部のポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物を前記エラストマーブロックコポリマーに添加する、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
エラストマーブロックコポリマーと、該エラストマーブロックコポリマーの質量に対して約0.01質量%〜約0.2質量%のポリオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンの混合物とを含むフィルム、繊維又は不織布。
【請求項19】
前記フィルム、繊維又は不織布が、50質量%を超える一以上のエラストマーブロックコポリマーを含む、請求項18記載のフィルム、繊維又は不織布。
【請求項20】
前記フィルム、繊維又は不織布が、75質量%を超える一以上のエラストマーブロックコポリマーを含む、請求項18記載のフィルム、繊維又は不織布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−515518(P2007−515518A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542559(P2006−542559)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029257
【国際公開番号】WO2005/061616
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】