説明

エリスロポエチン模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩、それらの製造並びに使用

式(I)で示されるEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩、並びにその製造方法の提供。
(式I)
R1-R2-(CH2)n1-R3-(CH2)n2-R4-R5 (I)
〔式I中、R1、R2、R3、R4、R5、n1及びn2は明細書中の記載により定義される。〕
式(I)で定義されるEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩を含む組成物の提供。また、EPOの欠損、又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患の治療における該誘導体及びその薬学的に許容される塩の使用、並びに上記組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリスロポエチン(EPO)受容体に結合し、EPO受容体を活性化する、又はEPOアゴニスト作用を有するEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩に関する。本発明は、特に活性化メトキシポリエチレングリコールにより修飾されたEPO模倣ペプチド誘導体及びその製造方法に関するものであり、また低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患の、前記模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩を用いる治療に関する。
【背景技術】
【0002】
EPOは分子量約34キロダルトンの糖タンパク質ホルモンである。血漿中でEPOは高度に糖鎖付加された165個のアミノ酸から成り、主要な糖鎖成分はシアル酸である。天然に存在するEPOは糖質含量に基づきαタイプとβタイプの2種類に分けられ、αタイプは34%の糖質を含み、βタイプは26%の糖質を含む。これら2つのタイプは同じ生物学的特徴、抗原性及び臨床効果を有する。ヒトEPO遺伝子は第7染色体の長腕に位置している。そのcDNAのクローン化は1985年に成功し、組み換えヒトEPO(rHuEPO)は主に遺伝子組み換え技術を用いて製造され、臨床的に広く使用されている。EPOは組み換えDNA技術を用いて生合成されおり(Egrie, JC, Strickland, TW,
Lane, J et al. (1986) Immunobiology 172: 213-224(非特許文献1))、これはチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)に組み込まれたクローン化ヒトEPO遺伝子の産物であり、CHO細胞中で発現される。天然に存在するヒトEPOは、初めに166位がアルギニンである166個のアミノ酸を含むポリペプチドに翻訳される。翻訳後修飾において、166位のアルギニンはヒドロキシルペプチダーゼにより分解される。糖鎖付加されていないヒトEPOの分子量は18,236ダルトンである。未変化のEPO分子において、糖鎖は全分子量の約40%を占める(Sasaki, H et al. (1987) J.Biol.Chem.
262: 12059-12076(非特許文献2))。
【0003】
EPOは臨床応用された最初のサイトカインであり、単一の安全な効果を有し、最もよく知られたヘモグロビン増加製剤である。EPOは腎性貧血、再生不良性貧血、多発性骨髄腫及び発作性夜間血色素尿症に対して一定の効果を有する。さらにEPOの適用により、手術時の輸血量を減らすことができ、また悪性腫瘍、化学療法及び関節リウマチによって引き起こされる貧血をある程度治療することができる。EPOは主に腎尿細管内皮細胞によって作り出されるので、腎疾患により引き起こされる貧血はEPOの最初の適応症である。腎性貧血に対するEPOの治療効果はほとんど100%であるが、EPOは腎機能を改善しない。EPOによる治療は安全かつ効果的であり、長期治療に適しており、さらに輸血用血液の不足問題に対応する。世界的なバイオテクノロジー薬の2006年の市場において、組み換えEPO薬は119億米国ドルであった。その市場規模は巨大である。
【0004】
1989年には組み換えヒトEPO(エポジェン、EPOGEN)が腎性貧血の治療に対して米国食品医薬品局(FDA)に承認されたが、エポジェンが中国市場に投入されたのは1992年以降に過ぎない。中国における慢性腎炎の年間罹患率は約0.25%であり、このうちの相当な割合の患者が最終的に腎不全を発症する。腎性貧血患者数は、毎年およそ50〜60万人である。他の癌関連貧血での消費量と合算した消費量の控えめな試算によれば、中国国内の市場規模はおよそ12〜16億人民元又はそれ以上である(現行価格を投与量あたり30〜40人民元、患者の平均体重を50 kgとして算出)。1990年代後半から、EPOは中国主要都市で最もよく売れている薬として位置付けられている。消費量は、中国全土の主要都市におけるサンプル病院において6,213万人民元であり、第56位に位置付けられている。中国全土の主要都市におけるサンプル病院において、2004年のEPO経費は8,049万人民元に増加し、対前年比で30%の上昇であった。
【0005】
骨髄造血細胞に作用し、赤血球前駆細胞の増殖、分化及び最終的な成熟を促進する内在性のホルモンとして、EPOは身体の酸素状態の調節に重要な役割を果たしている。EPOは初期の胚の段階では肝臓で作り出され、それから徐々に腎臓に移る。生後では、EPOは主に腎尿細管間質細胞により分泌される。
【0006】
EPOにより赤血球前駆細胞の分化が誘導される間にグロブリンが誘導される。グロブリンは細胞に鉄合成機能を有するヘモグロビンをより多く形成させ、ヘモグロビンは成熟した赤血球中で酸素と結合する。したがって、赤血球とヘモグロビンは身体に酸素を供給する上で重要な役割を果たしている。この経過は、EPOと赤血球前駆細胞の表面受容体との間の相互作用により引き起こされる。
【0007】
身体が健康な状態にある場合、組織は既に存在する赤血球から十分な酸素を得ることができる。この時、身体のEPO濃度は非常に低い。この低いが正常であるEPO濃度は、赤血球の生成を促進する上で十分である。赤血球は通常加齢とともに失われる。
【0008】
循環系において赤血球による酸素運搬レベルが減少し低酸素症が現れた場合、身体のEPO量は増加する。身体の低酸素状態は以下の原因により引き起こされることがある:すなわち、過度の放射線、高緯度又は長期昏睡による酸素吸入量の低下、種々のタイプの貧血などである。身体の低酸素ストレスへの反応として、高レベルのEPOは赤血球前駆細胞の分化を促進し、赤血球を産生する能力を高めることができる。身体の赤血球数が、正常組織が必要とするものを上回る場合、循環系のEPOレベルは減少する。EPOは赤血球の形成に重要な役割を果たすため、このホルモンが赤血球の産生低下及び欠損に特徴付けられた血液疾患の治療と診断に対して非常に大きな可能性を持つことは確かである。最近の研究により、種々の疾患や血液学的異常におけるEPO治療の効果を予測する基礎的知見が得られている。これらの疾患については、慢性腎不全(CRF)患者の貧血治療におけるEPOの使用、AIDS(後天性免疫不全症候群)患者及び化学療法を受けている患者へのEPO投与が含まれている(Danna, RP, Rudnick, SA, Abels,
RI:edited by MB,
Garnick, EPO in Clinical Applications - An International Perspective. Marcel
Dekker; 1990: p301-324(非特許文献3))。
【0009】
EPOの生物学的効果の一端は、細胞膜上にある表面受容体の内部での機能によって調節されている。以前、マウス脾臓から単離された未成熟な赤血球を用いて、細胞表面へのEPOタンパク質の結合を研究していた際に、このタンパク質は2つのポリペプチドから構成されており、その分子量はおよそ85〜100キロダルトンであることが見いだされた(より詳細な記述については、Sawyer, et al. (1987) Proc.
Natl. Acad. Sci.USA 84: 3690-3694(非特許文献4)を参照のこと)。EPOの結合部位数も算出された。各細胞膜には800〜1,000の結合部位がある。これらの結合部位のうち、約300の結合部位のKd(結合解離定数)レベルは90pMである。この残りの結合部位の結合性は弱く、Kdレベルは570pMである。フレンドウイルス貧血株に感染したマウスの脾臓から単離した赤血球のEPOに対する反応から、結合部位は約400あり、100pMという高レベルのKdを有するものと、800pMという低レベルのKdを有するものがあることが、いくつかの研究により示された。
【0010】
その後の研究では、2つのタイプのEPO受容体が単一の遺伝子から転写されるということが示されている。今では前記遺伝子はクローン化されている。例えば、マウス及びヒトEPO受容体のDNA配列及びペプチドをコードする配列は、国際公開第90/08822号パンフレット(特許文献1)に記載されている。現在のモデルでは、EPOがEPO受容体に結合すると、2つのEPO受容体を活性化し、二量体化させることが示されている。この二量体化はさらに、シグナル伝達の開始へと至る。
【0011】
EPOのクローン化遺伝子を応用することは、これらの重要な受容体のアゴニスト及びアンタゴニストの探索に有用である。EPO受容体にある程度作用することができるペプチドが同定され記述されている。特にその主要ペプチド断片を含み、EPO受容体に結合することができ、かつEPO細胞の分化と増殖を促進するペプチドの一群が同定された。しかしながら、EPO細胞の分化と増殖を促進するペプチドのEC50(50%有効濃度)は非常に弱く、20nMから250nMの範囲である。したがって、これらのペプチドの臨床応用は非常に限られる。既存技術に不足する点を克服するため、本発明はより優れた生物学的活性とより高い生物学的利用率を有するEPO模倣ペプチド誘導体、及びその薬学的に許容される塩並びにそれらの製造方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第90/08822号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Egrie, JC, Strickland, TW, Lane, J et al.(1986) Immunobiology 172: 213-224
【0014】
【非特許文献2】Sasaki, H et al. (1987) J.Biol.Chem.262: 12059-12076
【0015】
【非特許文献3】Danna, RP, Rudnick, SA, Abels,RI:edited by MB,Garnick, EPO in Clinical Applications - An International Perspective. Marcel Dekker; 1990: p301-324
【0016】
【非特許文献4】Sawyer, et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci.USA 84: 3690-3694
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、より優れた生物学的活性とより高い生物学的利用率を有するEPO模倣ペプチド誘導体、及びその薬学的に許容される塩並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明はまた、低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患の治療のために、上記のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、インビボでの生物活性を有する一般式(I)で示されるEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩を開示する。
R1-R2-(CH2)n1-R3-(CH2)n2-R4-R5 (I)
ここで、R1及びR5はそれぞれ独立して、インビボでの生物活性を有するEPO模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体から選ばれ;n1及びn2はそれぞれ独立して0〜10から選ばれる整数であり;R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ;R3は、O, S, CH2, N(CH2)n3NHR6,
NCO(CH2)n4NHR6, CHOCONH(CH2)n5NHR6,
CHSCON(CH2)n5NHR6 及びCHNHCON(CH2)n5NHR6から選ばれ;ここで、n3は1〜10から選ばれる整数であり、n4は2〜10から選ばれる整数であり、n5は2〜10から選ばれる整数であり、R6はH及びメトキシポリエチレングリコール誘導体から選ばれる。
【0020】
この態様において、好ましい実施態様は:R1及びR5はそれぞれ独立して、インビボでの生物活性を有し一般式Y1X1X2X3GX4X5TWX6X7Y2Y3であるEPO模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体から選ばれる。ここで、該単量体ペプチドの各アミノ酸は標準一文字略号で示され、R1及びR5のアミノ酸配列は一致又は不一致であってもよいが、好ましくはR1及びR5のアミノ酸配列は一致しており、R1及びR5のN末端はアセチル化されている;X2, X3,
X4, X5, X6 及びY3はそれぞれ独立して、遺伝的にコードされた20種のL-アミノ酸及び非天然アミノ酸のうちのいずれか1種から選ばれる;Y1及びY2はそれぞれ独立して、遺伝的にコードされた20種のL-アミノ酸及び非天然アミノ酸並びにこれらのアミノ酸より形成されるペプチドのうちのいずれか1種から選ばれる;X1及びX7はそれぞれ独立して、C, K, D, E, Orn及びHocから選ばれる。
【0021】
上記の好ましい実施態様をさらに最適化すると、R1及びR5は、ジスルフィド結合又はアミド結合により環化した環状ペプチドである;ここで、R1及びR5がジスルフィド結合により環化した環状ペプチドである場合、X1及びX7はそれぞれ独立して、C及びHocから選ばれる;同様に、R1及びR5がアミド結合により環化した環状ペプチドである場合、X1及びX7はそれぞれ独立して、K, D, E及びOrnから選ばれる。
【0022】
上記の好ましい実施態様を含む態様において、Y3は、好ましくはK, H及びRから選ばれ、より好ましくは、Y3はKである。
【0023】
上記の好ましい実施態様を含む態様において、R1及びR5のアミノ酸配列長はさらに最適化され、すなわち、好ましくは13〜40個のアミノ酸から選ばれ、より好ましくは22個のアミノ酸であり、さらに好ましくは、限定されないが以下に記載される構造の環状ペプチドであり、また、限定されないが最も好ましくはSEQ ID NO:1〜NO:8に記載の環状ペプチドである。
【0024】
【化1】

【0025】
この態様において、以下の4種の好ましい実施態様がある。
(1)n1及びn2は2であり、R2及びR4は-COであり、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2であり、R6はH又はメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(2)n1及びn2は1であり、R2及びR4は-COであり、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2であり、R6はH又はメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(3)n1及びn2は2であり、R2及びR4は-CH2であり、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2であり、R6はH又はメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(4)n1及びn2は1であり、R2及びR4は-CH2であり、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2であり、R6はH又はメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
【0026】
上記4種の好ましい実施態様は並列したものであり、包含するもの又は階層関係にあるものではない。
【0027】
上記4種の好ましい実施態様をさらに最適化すると、R6はメトキシポリエチレングリコール誘導体であり、最も好ましくは、R6は、メトキシポリエチレングリコール誘導体の分子量が5,000〜100,000ダルトンであるメトキシポリエチレングリコール誘導体であり、メトキシポリエチレングリコール誘導体の構造は分岐及び直鎖タイプから選ばれる。
【0028】
この態様においてさらに包括的な最適化により、以下に示される4種の好ましい実施態様を得ることができる。
(1) n1及びn2は2であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、ここでn5は2〜10から選ばれる整数であり、好ましくは2であり、R6は直鎖構造を有し、分子量約20,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(2) n1及びn2は1であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、ここでn4は2〜10から選ばれる整数であり、好ましくは2であり、R6は直鎖構造を有し、分子量約20,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(3) n1及びn2は2であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、ここでn5は2〜10から選ばれる整数であり、好ましくは2であり、R6 は分岐構造を有し、分子量約40,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
(4) n1及びn2は1であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3は NCO(CH2)n4NHR6であり、ここでn4は2〜10から選ばれる整数であり、好ましくは2であり、R6は分岐構造を有し、分子量約40,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である。
【0029】
最も好ましいEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の構造は、
【化2】


【化3】


【化4】


及び、
【化5】


から選ばれる。
【0030】
ここに提供されたEPO模倣ペプチド誘導体は両親媒性化合物であり、該化合物は当業者に一般に知られている技術により酸性又はアルカリ性化合物と反応させ、塩を形成することができる。一般に使用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸;及び以下の塩を含む形成された塩、すなわち、硫酸塩、ピロリン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、重リン酸塩、ジヒドロリン酸塩、メタリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリル酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、プロピオール酸、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,6-ジカルボン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、フェンプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロピルスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩及び類似物、好ましくはトリフルオロ酢酸塩である。
【0031】
アルカリ性物質もEPO模倣ペプチド誘導体と反応し、塩を形成することができる。これらのアルカリ性物質は、アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩から選ばれ、通常は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどから選ばれる。
【0032】
本発明はさらに、上記のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の製造方法を開示し、該製造方法には以下のステップが含まれる:
(1)遺伝子工学又は化学合成法によるR1及びR5の調製。R1及びR5は、EPOの生物学的機能を有する模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体である。
(2)一般式(II)で示される機能小分子の調製。
R7-CO-(CH2)n1-Z2-(CH2)n2-CO-R8 (II)
ここでn1及びn2はそれぞれ独立して0〜10から選ばれる整数であり;
R7及びR8はそれぞれ独立してOH及びHから選ばれ;
Z2はO, S, CH2, N(CH2)n6NHR9,
NCO(CH2)n7NHR9, CHOCONH(CH2)n8NHR9,
CHSCON(CH2)n8NHR9及びCHNHCON(CH2)n8NHR9から選ばれ、ここでn6は1〜10から選ばれる整数であり、n7は2〜10から選ばれる整数であり、n8は2〜10から選ばれる整数であり、 R9はBoc及びCbzから選ばれる。
(3)式(III)で示される化合物を調製するため、式(II)で示される機能小分子のR1及びR5誘導体化。
R1-R2-(CH2)n1-Z2-(CH2)n2-R4-R5 (III)
ここでR2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2,から選ばれる。
(4)Boc又はCbzの除去後、共有結合によって活性メトキシポリエチレングリコールとの結合。
【0033】
また本発明は、
(1)一般式(I)で示された上記のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の治療量;及び、
(2)薬学的に許容される薬物担体;
を含む医薬組成物に関する。
【0034】
また本発明は本薬物の使用、すなわち低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患、特に以下の疾患、すなわち進行性腎不全又は透析;AIDSによる貧血、自己免疫疾患又は悪性腫瘍;嚢胞性線維症;早期早産児貧血;慢性炎症性疾患による貧血;脊髄損傷;急性失血;赤血球の異常産生を伴う加齢及び癌の治療のため、前記模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩のいずれかの、治療効果のある量での使用を開示する。

【発明の効果】
【0035】
本発明において提供されるEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩は、マウス末梢血網状赤血球の増加を著しく促進することができる。これは該EPO模倣ペプチド誘導体(複合体)及びその薬学的に許容される塩が赤血球生成を促進することを示し、同時に該複合体の身体中での半減期を大きく延長することができる。EPO模倣ペプチド誘導体及びEPOタンパク質は、成熟した赤血球、血液細胞ヘマトクリット及びヘモグロビン含量にはほとんど影響せず、また末梢白血球数にもほとんど影響しない。

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】マカクのヘマトクリット値に対するEPO模倣ペプチド誘導体(HH-EPO-018)の影響を示す図である。
【図2】マカクのヘモグロビン量に対するEPO模倣ペプチド誘導体(HH-EPO-018)の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
EPO模倣ペプチド単量体の合成には固相合成を用いる。固相合成の基本原理は次の通りである。初めに、合成すべきペプチド鎖のヒドロキシル末端アミノ酸のヒドロキシル基を共有結合により不溶性ポリマーに結合させる。次に、固相担体に結合させたアミノ酸をアミノ成分として使用し、アミノ保護基の除去と過剰の活性化カルボキシル成分との反応によりポリペプチド鎖を伸長させる。所望の合成ペプチド鎖長を得るために操作(縮合→洗浄→脱保護→洗浄→次の縮合)を繰り返す。最後に、ペプチド鎖を樹脂から切り離す。精製処理後、所望のペプチドが生成される。縮合と脱保護の反応ステップの中間制御にはニンヒドリン検出法を用いる。すなわち、樹脂ペプチドが遊離アミノ基を有していれば、ニンヒドリン試薬で染色後に青色が出現する。遊離アミノ基がない場合、発色反応は生じない(ニンヒドリン試薬そのものは黄色である)。したがって、縮合反応を行い、さらにニンヒドリンによる検出を行った後に黄色(ニンヒドリン試薬そのものの色)が存在するのであれば、この結合ステップは完了しており、次のアミノ酸を結合させる前の脱保護操作を実行できることになる。青色が存在する場合には、ペプチド鎖に遊離アミノ基がまだあることになる。樹脂に結合したペプチドがニンヒドリンによる検出後に黄色を呈するまで、さらに縮合反応を繰り返すか、又は用いている縮合試薬を交換する必要がある。
【0038】
単量体ペプチドの環化方法は当業者によく知られている。ジスルフィド結合による環化は主に、単量体ペプチドのアミノ酸の側鎖にあるスルフヒドリル基を、酸化剤によりジスルフィド結合へ酸化することによる。特に単量体ペプチドは、DMSO溶液又は5%炭酸水素アミン溶液中に放置して自動酸化させるか、又はヨウ素(I2)を含む酢酸溶液中に添加して酸化させるが、好ましくは、ヨウ素を含む酢酸溶液中に添加して酸化させる。アミド結合による環化は主に、カルボキシル基と単量体ペプチドのアミノ側鎖にあるアミノ基間に、縮合試薬の存在下でアミド結合を形成することによる。添加される縮合剤は当業者によく知られており、通常DIC、EDC、HATU、PyBOPなどが用いられる。
【0039】
二量体ペプチドの合成は主に、EPO模倣ペプチド単量体のアミノ酸残基の側鎖にあるアミノ基と機能小分子との間で、-NH-CH2-結合又は-NH-CO-結合を形成させることによる。当業者であれば機能小分子を容易に合成し、既存技術を用いて該機能低分子と単量体ペプチド環状ペプチドとを結合させることができる。
【0040】
二量体ペプチドと活性メトキシポリエチレングリコール誘導体が得られる。反応系には有機溶媒及び入手可能な緩衝系から選ぶことができる。二量体ペプチドのペグ化反応を有機溶媒中で行う場合、アルカリを適当量加えることができる。該アルカリには、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン及び2,4,6-トリメチルピリジンが含まれるが限定するものではない。ポリエチレングリコール誘導体化反応を緩衝系で行う場合、緩衝系は入手可能な種々の公知の緩衝液から選ぶことができるが、好ましくはリン酸緩衝液(pH 7.7)である。
【0041】
EPO又は本発明により提供されるEPO模倣ペプチド誘導体若しくはその薬学的に許容される塩の生物活性は、この分野で知られた種々の試験により測定することができる。インビボ活性の試験は次のように行われる:EPO並びに本発明により提供されるEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩を、3日間連続でマウスに皮下注する。次いでマウスを屠殺する。全血を採取して、末梢血細胞及び網状赤血球の数を数える。血液細胞数は自動血液細胞カウンターにより計測する。薬力学的研究は、1.35 mg/kgの投与量でマカクに静脈内投与することにより行う。対照薬としてのEPOタンパク質の投与量は240 μg/kgである。この薬物は週に3回投与し、6週間継続した。血液試料は血液学的指標分析を行うために採取する。
【0042】
【表1】

【0043】
好ましい実施態様
本発明のより詳細な記述のため、以下の実施例により証明する。しかしながら本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0044】
EPO模倣ペプチド単量体ペプチドの合成
EPO模倣ペプチド単量体ペプチドの合成は、固相ペプチド合成法により行う。このペプチド合成法は多くの文献に報告されており、「Stewart, J.M., and Young,
J.D., Solid Phase Peptide Synthesis 2d edition, Novabiochem Peptide Synthesis Notes」を参照できる。本発明で提供されるEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドの合成は、手動合成法により行われる。樹脂にはリンクアミド樹脂(rink amind resin)を用いた。アミノ酸誘導体のα−アミノ基はFmoc(フルオレン−ホルミルカルボニル基)により保護される。システイン側鎖のチオール基、グルタミン側鎖のアミノ基及びヒスチジン側鎖のイミダゾール基はTrt(トリチル基)により保護される。アルギニン側鎖のグアニジン基はPbf (2,2,4,6,7- ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル基)により保護される。トリプトファン側鎖のインドール基及びリジン側鎖のアミノ基はBoc(tert-ブトキシカルボニル基)により保護される。スレオニン側鎖のヒドロキシル基、チロシン側鎖のフェノール基及びセリン側鎖のヒドロキシル基はtBu(tert-ブチル基)により保護される。合成されるEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドのペプチド鎖C末端のカルボキシル基は、共有結合により不溶性樹脂(リンクアミド樹脂(rink amind resin))に結合させる。
【0045】
その後、固相担体に結合させたアミノ酸は、20%ピペリジン/DMF溶液によりアミノ保護基を除去した後、過剰のアミノ酸誘導体と反応させて、ポリペプチド鎖を伸長させるためのアミノ成分として使用される。繰り返し操作(縮合→洗浄→脱保護→洗浄→次の縮合)により、所望の合成ペプチド鎖長を得る。最後に、トリフルオロ酢酸、水、エチレンメルカプタン及び3−イソプロピルシラン(92.5:2.5:2.5:2.5)混合溶液を用いて、ペプチド鎖を樹脂から切り離す。エーテル沈殿後、EPO模倣ペプチド誘導体の粗製単量体ペプチドが得られる。
【0046】
粗製単量体ペプチドは、C18逆相調製カラムにより分離、精製される。その後、EPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドが得られる。縮合と脱保護の反応ステップの中間制御にはニンヒドリン検出法を用いる。すなわち、樹脂ペプチドが遊離アミノ基を有していれば、ニンヒドリン試薬で染色後に青色が現れる。遊離アミノ基がない場合、発色反応は生じない(ニンヒドリン試薬そのものは黄色である)。したがって、縮合反応を行い、さらにニンヒドリンによる検出を行った後に黄色(ニンヒドリン試薬そのものの色)が存在するのであれば、この結合ステップは完了しており、次のアミノ酸を結合させる前の脱保護操作を実行できることになる。青色が存在する場合には、ペプチド鎖に遊離アミノ基がまだあることになる。樹脂に結合したペプチドがニンヒドリンによる検出後に黄色を呈するまで、さらに縮合反応を繰り返すか、又は用いている縮合試薬を交換する必要がある。

【実施例2】
【0047】
機能小分子(LG-1)の調製
【化6】

【0048】
ステップ1:LG-1-Aの調製
イミノ二酢酸ジエチルエステル(10.0g,
52.8 mmol)及びBoc-β-アラニン(10.0g, 52.8 mmol)を100 mLのジクロロメタンに溶解し、そこへDIC(8.0 mL, 52.8 mmol)を添加し、一晩室温で攪拌した。反応液を濾過し、濾液を100 mLの飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、50 mLの0.5 N塩酸溶液、100 mLの飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を分離し、該有機層を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させた。該有機層を濾過し、濾液を濃縮すると、無色オイル状の液状物質LG-1-Aが17 g得られた。
【0049】
ステップ2:LG-1-Bの調製
17 gのLG-1-Aを100 mLのメタノール:テトラヒドロフラン(1:1)混合液に溶解し、そこへ25 mLの水及び5 gの水酸化ナトリウム(125 mmol)を添加した。これを室温で2時間攪拌後、6 N塩酸溶液によりpH値を1に調整した。この反応液を酢酸エチルで4回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ、減圧濃縮すると白色半固形物が得られた。この産物を50 mLのジクロロメタンに溶解し、300 mLのn−ヘキサンを添加した。この溶液は白色ペーストであった。減圧濃縮後、白色固体LG-1-Bが14 g得られた(収率:約90%)。
【0050】
ステップ3:LG-1-Cの調製
7 gのLG-1-B (23 mmol)を80 mLのテトラヒドロフランに溶解し、攪拌しながら4.6 gのN, N-メトキシ-メチル-アミン塩酸塩(46 mmol)及び5.1 gのトリエチルアミン(51 mmol)を添加し、次いで4.4 gのDIC(32mmol)及び4.7 gのHOBT(32 mmol)を添加した。反応液は一晩室温で攪拌した。翌日、反応液を水中に加え、350 mLの酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を200 mLの2 N塩酸水溶液、200 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、100 mLの飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を分離し、該有機層を無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥させ、次いで濾過した。濾液は減圧濃縮するとオイル状物質となった。カラムクロマトグラフィーを行った後、目的産物LG-1-Cが4.2 g回収された(収率:約70%)。
【0051】
ステップ4:LG-1の調製
4.0
gのLG-1-C(10.2 mmol)を60 mLのテトラヒドロフランに溶解し、氷塩浴で0℃まで冷却した。ここに(LiAlH4)(340 mg, 8.9 mmol)を添加した。これを0℃で30分反応させた後、4 mLの水、4 mLの15%水酸化ナトリウム溶液をこの順で加えた。この反応液を濾過し、濾液はテトラヒドロフランで洗浄した。該濾液を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った後、LG-1が1.63 g得られた(6 mmol、収率:58.8%)。

【実施例3】
【0052】
機能小分子(LG-2)の調製
【化7】

【0053】
4 gのLG-1-B(13 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そこへヒドロキシサクシニミド(3.1 g, 21 mmol)、DIC(4 mL, 26 mmol)及びDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)(12 mg, 0.08 mmol)を添加した。この反応液を一晩攪拌した後、減圧濃縮した。濃縮残渣を80 mLの酢酸エチルに溶解し、不溶物を濾過により除いた。得られた有機層を、順に40 mLの飽和炭酸水素ナトリウム、40 mLの飽和食塩水、40 mLの0.5 N塩酸溶液、40 mLの飽和食塩水で1回洗浄した。該有機層は分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。得られた濾液は減圧濃縮した。白色固体のLG-2が4.4 g得られた(収率:68%)。

【実施例4】
【0054】
機能小分子(LG-3)の調製
【化8】

【0055】
ステップ1:LG-3-Aの調製
7.0
gのピメリン酸ペンタノン(0.04
mol)を100 mLのメタノールに溶解した。そこへ5%炭酸セシウム(CsCO3)メタノール溶液を攪拌しながら添加した。この際、反応液のpHが約8.5(正確なpH試験紙により測定)になるように添加量を調節した。添加終了後30分間攪拌し、次いで反応液を濾過した。得られた濾液を減圧濃縮すると、オイル状物質となった。該オイル状物質を約100 mLのDMSOに溶解し、60℃まで加温した後、14 g(0.08 mol)の臭化ベンジルを加えた。これを8時間反応させた後、反応液を濾過し、固体物を少量のエーテルで洗浄した。母液に400 mLのエーテルを加え、これを200 mLの飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、該有機層を無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥させた後、濾過した。得られた濾液を、最初の容量の5分の1になるまで減圧濃縮し、結晶化させるため−20℃のフリーザーに一晩置いた。翌日、固形物を濾取し、乾燥させると、白色固体LG-3-Aが10.5 g得られた(収率:74%)。
【0056】
ステップ2:LG-3-Bの調製
2 gのLG-3-A(0.0056 mol)を20 mLのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液の内部温度を−10℃以下に保ちながら攪拌し、626 mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)(0.0168 mol)を添加した。これを1時間反応させた後、200 mLの冷やしたエーテルを加え、次いで150 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応を停止させた。層剥離するように静置した。有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)で2時間乾燥させ、濾過した。得られた濾液は減圧濃縮すると、LG-3-Bが1.9 g得られた(収率:94.6%)。
【0057】
ステップ3:LG-3-Cの調製
3.2
gのLG-3-B(0.009 mol)を50 mLのジクロロメタンに溶解し、4.34 gのトリエチルアミン(0.043 mol)を0℃以下で攪拌しながら添加した。1.33 g(0.0045 mol)のトリホスゲン.を25 mLのジクロロメタンに溶解し、前記LG-3-B溶液中へ滴下した。1時間後、2.8 gのtert‐ブトキシカルボニル‐エチレンジアミンを添加した。これを3時間反応させた後、氷酢酸により反応混合液を中性に調節した。この時、沈殿物が生成した。該沈殿物を濾過により除き、濾液は減圧濃縮後、エーテルに溶解した。次いで水で3回洗浄し、さらに飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥させた後、濾過した。濾液をオイル状となるまで減圧濃縮した。オイル状物質はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相、石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により精製した。目的産物を合わせて回収し、濃縮すると、白色固体LG-3-Cが1.5 g得られた(収率:38.8%)。
【0058】
ステップ4:LG-3-Dの調製
13 gのLG-3-C(0.031 mol)を8 mLのメタノールに溶解し、約200 mg の10%パラジウム炭素(Pd-C)を加え撹拌した。大気圧の水素下で4時間反応後、活性炭を濾過により除き、濾液を濃縮するとオイル状物質LG-3-Dが8.28 g得られた(収率:96.7%)。
【0059】
ステップ5:LG-3の調製
5 gのLG-3-D(0.018 mol)を10 mLのテトラヒドロフランに溶解する。ここへ4.7 gのp-ニトロフェノール(0.043 mol)を加え、さらに4.2 gのDIC溶液(0.043 mol)を撹拌しながら添加した。反応液は一晩撹拌した。翌日、生成した沈殿物を濾過して除き、その濾過ケーキは少量の酢酸エチルで洗浄し、濾液は減圧濃縮乾固した。得られた残渣に100 mLの酢酸エチルを加え、残渣を溶解した。この溶液を50 mLの飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥させた。次いで、これを濾過し、濾液を減圧濃縮すると、オイル状物質が生成した。このオイル状物質はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル20:1=10:1)により精製した。目的産物を合わせて回収し、減圧濃縮乾固すると、白色固体LG-3が3.5 g得られた(収率:32%)。

【実施例5】
【0060】
機能小分子(LG-4)の調製
【化9】



【0061】
ステップ1:LG-4-Aの調製
5 gのLG-3-D(0.018 mol)を60 mLのテトラヒドロフランに溶解する。攪拌しながら3.51 gのN, N-メトキシ-メチル-アミン塩酸塩(0.036 mol)及び4.0 gのトリエチルアミン(0.04 mmol)を添加し、次いで3.4 gのDIC(0.027 mol)及び3.65 gのHOBT(0.027 mol)を添加した。反応液は一晩室温で攪拌した。翌日、反応液を200 mLの水中に加え、酢酸エチルで2回抽出(各回200 mL)した。有機層を合わせ、順に50 mLの2 N塩酸溶液、100 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、100 mLの飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を取り出し、該有機層を無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥させ、次いで濾過した。この濾液を減圧濃縮すると、オイル状物質が生成した。該オイル状物質はカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製した。目的成分を合わせると、白色固体LG-4-Aが6.24 g生成した(収率:80%)。
【0062】
ステップ2:LG-4の調製
4.0 gのLG-4-A(9 mmol)を50 mLのテトラヒドロフランに溶解した。ここへ、氷塩浴で0℃以下にして、300 mgの(LiAlH4)(7.9 mmol)を添加した。この反応液を30分間0℃に保った。その後、順に0.3 mLの水、0.9 mLの15%水酸化ナトリウム溶液、0.3 mLの水を加えた。この時、沈殿物が生成した。この沈殿物は濾過して除き、その濾過ケーキをテトラヒドロフランで1回洗浄した。濾液を合わせ、減圧濃縮乾固する。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、LG-4が1.65 g得られた(収率:55.5%)。

【実施例6】
【0063】
HH-EPO-005の調製
【化10】



【0064】
ステップ1:SEQ
ID NO:5の環状ペプチドの調製
9 gのEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドSEQ ID NO:5(実施例に記載された方法により合成)を3000 mLの20%氷酢酸に溶解し、次いで5%ヨウ素メタノール溶液を、黄色が消えなくなるまでゆっくりと滴下した。この反応液を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製に直接かけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりSEQ ID NO:5の環状ペプチドが3.0 g得られた(収率:15.6%)。
【0065】
ステップ2:HH-EPO-005の調製
SEQ
ID NO:5の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。そこへ、147 mg(1.46 mmol)のトリエチルアミン及び368 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-3)を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、N,N-ジメチルホルムアミド部を濃縮除去した。得られる残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。該白色固体を50 mLの20%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液に溶解した。これを30分間室温で撹拌後、溶媒部を減圧濃縮除去した。得られる残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。得られた白色固体を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-005が1.0 g得られた(収率:約33%)。

【実施例7】
【0066】
HH-EPO-006の調製
【化11】



【0067】
ステップ1:SEQ
ID NO:6の環状ペプチドの調製
9 gのEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドSEQ ID NO:6(実施例に記載された方法により合成)を3000 mLの20%氷酢酸に溶解し、次いで5%ヨウ素メタノール溶液を、黄色が消えなくなるまでゆっくりと滴下した。この反応液を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製に直接かけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりSEQ ID NO:6の環状ペプチドが3.0 g得られた(収率:15.3%)。
【0068】
ステップ2:HH-EPO-006の調製
SEQ
ID NO:6の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。そこへ、147 mg(1.46 mmol)のトリエチルアミン及び368 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-3)を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、N,N-ジメチルホルムアミド部を濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。該白色固体を50 mLの20%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液に溶解した。これを30分間室温で撹拌後、溶媒部を減圧濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離する。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。得られた白色固体を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収する。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-006が3.98 g得られた(収率:約32.7%)。

【実施例8】
【0069】
HH-EPO-007の調製
【化12】

【0070】
ステップ1:SEQ
ID NO:7の環状ペプチドの調製
9 gのEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドSEQ ID NO:7(実施例に記載された方法により合成)を3000 mLの20%氷酢酸に溶解し、次いで5%ヨウ素メタノール溶液を、黄色が消えなくなるまでゆっくりと滴下した。この反応液を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製に直接かけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりSEQ ID NO:7の環状ペプチドが3.15 g得られた(収率:16.4%)。
【0071】
ステップ2:HH-EPO-007の調製
SEQ
ID NO:7の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。そこへ、147 mg(1.46 mmol)のトリエチルアミン及び368 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-3)を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、N,N-ジメチルホルムアミド部を濃縮除去した。得られる残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。該白色固体を50 mLの20%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液に溶解した。これを30分間室温で撹拌後、溶媒部を減圧濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。得られた白色固体を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-007が1.0 g得られた(収率:約33%)。

【実施例9】
【0072】
HH-EPO-008の調製
【化13】

【0073】
ステップ1:SEQ
ID NO:8の環状ペプチドの調製
27 gのEPO模倣ペプチド誘導体単量体ペプチドSEQ ID NO:8(実施例に記載された方法により合成)を3000 mLの20%氷酢酸に溶解し、次いで5%ヨウ素メタノール溶液を、黄色が消えなくなるまでゆっくりと滴下した。この反応液を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製に直接かけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりSEQ ID NO:8の環状ペプチドが9.3 g得られた(収率:15.7%)。
【0074】
ステップ2:HH-EPO-008の調製
SEQ
ID NO:8の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。そこへ、147 mg(1.46 mmol)のトリエチルアミン及び368 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-3)を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、N,N-ジメチルホルムアミド部を濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。該白色固体を50 mLの20%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液に溶解した。これを30分間室温で撹拌後、溶媒部を減圧濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。得られた白色固体を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-008が1.12 g得られた(収率:約33%)。

【実施例10】
【0075】
HH-EPO-008Aの調製
【化14】

【0076】
SEQ
ID NO:8の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLの20 mmol酢酸緩衝液(pH 5.0)に溶解し、そこへ、201 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-4)及び10 mLのアセトニトリルを添加した。この反応液を室温で30分間撹拌後、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-008Aが0.75 g得られた(収率:25%)。

【実施例11】
【0077】
HH-EPO-008Bの調製
【化15】

【0078】
SEQ
ID NO:8の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。そこへ、147 mg(1.46 mmol)のトリエチルアミン及び322 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-2)を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、N,N-ジメチルホルムアミド部を濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。該白色固体を50 mLの20%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液に溶解した。これを30分間室温で撹拌後、溶媒部を減圧濃縮除去した。得られた残渣に200 mLのエーテルを加え、これを冷蔵庫内に2時間放置し、その後遠心分離した。得られた沈渣を減圧乾固すると、白色固体が得られた。得られた白色固体を、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-008が1.3 g得られた(収率:約43%)。

【実施例12】
【0079】
HH-EPO-008Cの調製
【化16】

【0080】
SEQ
ID NO:8の環状ペプチド3.0
g(1.22 mmol)を150 mLの20 mmol酢酸緩衝液(pH 5.0)に溶解し、そこへ、165 mg(0.61 mmol)の機能小分子(LG-1)及び10 mLのアセトニトリルを添加した。この反応液を室温で30分間撹拌後、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーによる調製的精製にかけた。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-008Cが0.8 g得られた(収率:27%)。

【実施例13】
【0081】
HH-EPO-018の調製
【化17】

【0082】
0.5
gのHH-EPO-008(0.98 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そこへ39.6 mg(0.196 mmol)のトリエチルアミン及び3.8 g(0.96 mmol)のmPEG2-OSU(40K) を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、該反応液を600 mLの冷エーテル中に直接注ぎ込んだ。固形物が沈殿した。これを冷蔵庫中に2時間放置後、該固形物を遠心分離し、減圧乾固すると、粗HH-EPO-018が得られた。粗HH-EPO-018は、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーにより精製した。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-018が1.8 g得られた(収率:約47%)。

【実施例14】
【0083】
HH-EPO-018Aの調製
【化18】

【0084】
0.5 gのHH-EPO-008(0.98 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そこへ39.6 mg(0.196 mmol)のトリエチルアミン及び3.8 g(0.96 mmol)のmPEG2-OSU(40K) を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、該反応液を600 mLの冷エーテル中に直接注ぎ込んだ。固形物が沈殿した。これを冷蔵庫中に2時間放置後、該固形物を遠心分離し、減圧乾固すると、粗HH-EPO-018が得られた。粗HH-EPO-018は、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーにより精製した。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-018Aが1.5 g得られた(収率:約39%)。

【実施例15】
【0085】
HH-EPO-018Bの調製
【化19】

【0086】
0.5
gのHH-EPO-008(0.98 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そこへ39.6 mg(0.196 mmol)のトリエチルアミン及び3.8 g(0.96 mmol)のmPEG2-OSU(40K) を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、該反応液を600 mLの冷エーテル中に直接注ぎ込んだ。固形物が沈殿した。これを冷蔵庫中に2時間放置後、該固形物を遠心分離し、減圧乾固すると、粗HH-EPO-018が得られた。粗HH-EPO-018は、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーにより精製した。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-018Bが1.7 g得られた(収率:約45%)。

【実施例16】
【0087】
HH-EPO-018Cの調製
【化20】

【0088】
0.5
gのHH-EPO-008(0.98 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そこへ39.6 mg(0.196 mmol)のトリエチルアミン及び3.8 g(0.96 mmol)のmPEG2-OSU(40K) を添加した。反応液を室温で6時間撹拌後、該反応液を600 mLの冷エーテル中に直接注ぎ込んだ。固形物が沈殿した。これを冷蔵庫中に2時間放置後、該固形物を遠心分離し、減圧乾固すると、粗HH-EPO-018が得られた。粗HH-EPO-018は、カラム充填剤としてオクタデシルシラン結合シリカゲル(ウォーターズ、SymmetryShield(登録商標)RP18、粒径3.5μm、4.6×100 mm)を用いる逆相クロマトグラフィーにより精製した。ここで、カラム温度は60℃、検出波長は214 nmであり、移動相として、水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とアセトニトリル(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)とを異なる比率で使用した。目的画分を合わせて回収した。大部分のアセトニトリルを減圧下で留去後、凍結乾燥によりHH-EPO-018Cが1.4 g得られた(収率:約37%)。

【実施例17】
【0089】
マウスに対するEPO模倣ペプチド誘導体の効果
(本試験の目的)
マウスの赤血球生成に対するEPO模倣ペプチド誘導体及びEPOタンパク質の効果を評価し、比較することである。
【0090】
(材料と方法)
HH-EPO-001、HH-EPO-002、HH-EPO-003、HH-EPO-004、HH-EPO-005、HH-EPO-006、HH-EPO-007、HH-EPO-008、HH-EPO-015、HH-EPO-016、HH-EPO-017 及びHH-EPO-018を含むEPO模倣ペプチド誘導体は、Jiangsu Hansoh製薬株式会社より提供された。EPOはShenyangSansheng製薬株式会社より購入した。昆明マウス(体重25〜30 g、雌)は中国科学アカデミー上海実験動物センターより購入した。各群の動物数は10であった。
【0091】
EPO模倣ペプチド誘導体及びEPOタンパク質を、3日間連続でマウスに皮下注した。該マウスを屠殺し、全血を採取して、末梢血細胞及び網状赤血球の数を数えた。血液細胞数は自動血液細胞カウンターにより計測した。
【0092】
(結果と考察)
用いた投与計画に従うと、EPO模倣ペプチド誘導体とEPOタンパク質のいずれとも、マウス末梢血網状赤血球数を顕著に増加させ、これらが赤血球生成を促進したことが示された(表2参照)。EPO模倣ペプチド誘導体及びEPOタンパク質は、成熟した赤血球、血液細胞ヘマトクリット及びヘモグロビン含量にはほとんど影響せず(表3参照)、また末梢白血球数にもほとんど影響しなかった(表4参照)。
【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【実施例18】
【0096】
マカクに対するEPO模倣ペプチド誘導体の効果
(本試験の目的)
マカクの赤血球生成に対するEPO模倣ペプチド誘導体の効果を評価することである。
【0097】
(材料と方法)
EPO模倣ペプチド誘導体HH-EPO-018は含むはJiangsu Hansoh製薬株式会社より提供された。EPOはShenyangSansheng製薬株式会社より購入した。これらは使用前に0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む生理食塩液で希釈した。体重5.5〜8.5 kgのマカク(雄又は雌)は、Suzhou Xishan Zhongkeラボラトリー動物センターより購入した。マカクは、各群3匹のマカクについて、ヘモグロビンの基準に従って群分類した。HH-EPO-018(1.35 mg/kg)を1回静脈内投与した。EPO(240μg/kg)は週3回、5週間連続して静脈内投与した。血液学的指標は週に1〜2回測定した。
【0098】
(結果と考察)
HH-EPO-018をマカクに単回静脈内投与すると、末梢血ヘモグロビン含量が増加し、また、血液細胞ヘマトクリットが増加した。これはHH-EPO-018が赤血球生成を促進したことを示している。この促進作用は投与後35日でピークとなり、その後徐々に減少した。ヘモグロビン含量に対する促進作用は約33%であった。陽性対照としてのEPOも、マカク末梢血ヘモグロビン含量及び血液細胞ヘマトクリットを同様に増加させた。EPOの作用は、本薬の投与中止後、徐々に低下した。用いた投与計画に従うと、マカクのヘモグロビン生成に対するHH-EPO-018とEPOの促進作用は顕著である(図1及び図2を参照)。
【実施例19】
【0099】
EPO模倣ペプチド誘導体HH-EPO-015、HH-EPO-018、HH-EPO-018B及び陽性対照 AF37702のマウスに対する効果の評価と比較
(材料と方法)
HH-EPO-015、HH-EPO-018、HH-EPO-018B及びAF37702は、Jiangsu Hansoh製薬株式会社より提供された。AF37702は、アフィマックス(Affymax)により製造されるEPO模倣ペプチド誘導体(商標名:ヘマタイド(Hematide))である。試料は、使用前に0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む生理食塩液で調製した。昆明マウス(体重25〜30 g、雌)は中国科学アカデミー上海実験動物センターより購入した。各群の動物数は10であった。馴化後、マウスにHH-EPO-015、HH-EPO-018、HH-EPO-018B及びAF37702を皮下注した。最初の投与後6日目にマウスを屠殺し、全血を採取して、末梢血細胞及び網状赤血球の数を数えた。血液細胞数はADVIA自動血液細胞カウンターにより計測した。
【0100】
(結果と考察)
HH-EPO-015、HH-EPO-018、HH-EPO-018B及びAF37702を単回皮下注すると、いずれについてもマウス末梢血網状赤血球の割合と数が顕著に増加した。ここで、HH-EPO-018Bの効果は比較的強く、HH-EPO-018及びAF37702がこれに続き、HH-EPO-015の効果が最も弱かった。HH-EPO-018とAF37702の効果はほぼ同等であった(表5参照)。HH-EPO-015、HH-EPO-018、HH-EPO-018B及びAF37702は、マウス末梢血細胞ヘマトクリット及びヘモグロビン含量を増加させた。これらの効果はほぼ同等であったが、これらはすべて末梢赤血球数にほとんど影響しなかった(表6参照)。
【0101】
【表5】

【0102】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示されるエリスロポエチン(EPO)模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩であって、
R1-R2-(CH2)n1-R3-(CH2)n2-R4-R5 (I)
R1及びR5はEPO模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体から選ばれ;n1及びn2は、それぞれ独立して0〜10から選ばれる整数であり;R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ;R3は、O, S, CH2, N(CH2)n3NHR6,
NCO(CH2)n4NHR6, CHOCONH(CH2)n5NHR6,
CHSCON(CH2)n5NHR6 及びCHNHCON(CH2)n5NHR6から選ばれ;n3は1〜10から選ばれる整数であり、n4は2〜10から選ばれる整数であり、n5は2〜10から選ばれる整数であり、R6はH及びメトキシポリエチレングリコール誘導体から選ばれる;
EPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩であって、
R1及びR5はそれぞれ独立して、一般式Y1X1X2X3GX4X5TWX6X7Y2Y3であるEPO模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体から選ばれ;該単量体ペプチドの各アミノ酸は標準一文字略号で示され;X2, X3,
X4, X5, X6 及びY3はそれぞれ独立して、遺伝的にコードされた20種のL-アミノ酸及び非天然アミノ酸のうちのいずれか1種から選ばれ;Y1及びY2はそれぞれ独立して、遺伝的にコードされた20種のL-アミノ酸及び非天然アミノ酸並びに該アミノ酸より形成されるペプチド断片のうちのいずれか1種から選ばれ;X1及びX7はそれぞれ独立して、C, K, D, E, Orn及びHocから選ばれる;
EPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R1及びR5のアミノ酸配列は一致又は不一致であってもよい、請求項2に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R1及びR5のN末端はアセチル化されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R1及びR5は、ジスルフィド結合により環化した環状ペプチドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Y3がK, H及びRから選択され、好ましくはY3がKである、請求項2に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R1及びR5のアミノ酸配列長が13〜40個のアミノ酸である、好ましくは22個のアミノ酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R1及びR5が、SEQ ID NO:1〜NO:30に記載の配列を有する環状ペプチドから選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【化21】

【請求項9】
R1及びR5が、それぞれ独立してSEQ ID NO:1〜NO:8に記載の配列を有する環状ペプチドから選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【化22】

【請求項10】
EPO模倣ペプチドが下記のペプチド(1)〜(4):
(1)n1及びn2は2であり、R2及びR4は-COであり、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2であるペプチド;
(2)n1及びn2は1であり、R2及びR4は-COであり、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2であるペプチド;
(3)n1及びn2は2であり、R2及びR4は-CH2であり、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2であるペプチド;及び、
(4)n1及びn2は1であり、R2及びR4は-CH2であり、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2であるペプチド;
から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R6がHである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R6がメトキシポリエチレングリコール誘導体であり、好ましくは、該メトキシポリエチレングリコール誘導体の分子量が5,000〜100,000ダルトンから選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
メトキシポリエチレングリコール誘導体の構造は分岐及び直鎖タイプから選択され、好ましくは、メトキシポリエチレングリコール誘導体は分子量約20,000ダルトンの直鎖構造である、又はメトキシポリエチレングリコール誘導体は分子量約40,000ダルトンの分岐構造である、請求項12に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
EPO模倣ペプチド誘導体が、
(1)n1及びn2は2であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2〜10から選ばれる整数であり、R6は直鎖構造を有する、分子量約20,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である、EPO模倣ペプチド誘導体;
(2)n1及びn2は1であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はNCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2〜10から選ばれる整数であり、R6は直鎖構造を有し、分子量約20,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である、EPO模倣ペプチド誘導体;
(3)n1及びn2は2であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3はCHOCONH(CH2)n5NHR6であり、n5は2〜10から選ばれる整数であり、R6 は分岐構造を有し、分子量約40,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である、EPO模倣ペプチド誘導体;又は、
(4)n1及びn2は1であり、R1及びR5はそれぞれ独立してSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:8から選ばれ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2から選ばれ、R3は NCO(CH2)n4NHR6であり、n4は2〜10から選ばれる整数であり、R6は分岐を有し、分子量約40,000ダルトンのメトキシポリエチレングリコール誘導体である、EPO模倣ペプチド誘導体;
である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
EPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩が、
【化23】


【化24】


【化25】


又は、
【化26】


である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の製造方法であって、該製造方法が下記(1)〜(4)の工程を含む製造方法:
(1)R1H及びR5Hの調製工程であって、R1及びR5はEPO模倣ペプチド単量体ペプチド及びその類縁体から選ばれる、調製工程;
(2)一般式(II)で示される機能小分子の調製工程であって、
R7-CO-(CH2)n1-Z2-(CH2)n2-CO-R8 (II)
n1及びn2はそれぞれ独立して0〜10から選ばれる整数であり、R7及びR8はそれぞれ独立してOH及びHから選ばれ、Z2はO, S, CH2, N(CH2)n6NHR9,
NCO(CH2)n7NHR9, CHOCONH(CH2)n8NHR9,
CHSCON(CH2)n8NHR9及びCHNHCON(CH2)n8NHR9から選ばれ、n6は1〜10から選ばれる整数であり、n7は2〜10から選ばれる整数であり、n8は2〜10から選ばれる整数であり、R9はBoc及びCbzから選ばれる、調製工程;
(3)式(III)で示される化合物の調製工程であって、
R1-R2-(CH2)n1-Z2-(CH2)n2-R4-R5 (III)
R1及びR5と前記式(II)で示される機能小分子とをアミド化又は還元的アミノ化により反応させ、R2及びR4はそれぞれ独立して-CO及び-CH2,から選ばれる、調製工程;及び、
(4)Boc又はCbzの除去後、活性メトキシポリエチレングリコールとアミド化反応を行う工程。
【請求項17】
請求項16に記載の製造方法であって、前記一般式(II)で示される機能小分子が、
(1)n1
及びn2 はそれぞれ独立して1及び2から選ばれ、R7 及びR8 はOHであり、Z2 はNCO(CH2)n7NHR9
又はCHOCONH(CH2)n8NHR9であり、n7 は2〜10から選ばれる整数であり、n8 は2〜10から選ばれる整数であり、R9 はBocである、機能小分子;又は、
(2)n1
及びn2 はそれぞれ独立して1及び2から選ばれ、R7 及びR8 はHであり、Z2はNCO(CH2)n7NHR9
又はCHOCONH(CH2)n8NHR9であり、n7 は2〜10から選ばれる整数であり、n8 は2〜10から選ばれる整数であり、R9はBocである、機能小分子;
である製造方法。
【請求項18】
(1)請求項1〜15のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の治療的有効量、及び、
(2)薬学的に許容される薬物担体、
を含む医薬組成物。
【請求項19】
低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患の治療用の薬剤製造における、請求項1〜15のいずれか1項に記載のEPO模倣ペプチド誘導体及びその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる疾患の治療用の薬剤製造における、請求項18に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の使用であって、低EPOレベル又は赤血球集団の不足若しくは欠損に特徴付けられる前記疾患が、進行性腎不全又は透析;AIDSによる貧血、自己免疫疾患又は悪性腫瘍;嚢胞性線維症;早期早産児貧血;慢性炎症性疾患による貧血;脊髄損傷;急性失血;赤血球の異常産生を伴う加齢及び癌である、使用。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−506350(P2011−506350A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537234(P2010−537234)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001909
【国際公開番号】WO2009/079910
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(509152219)ジエンス ハンセン ファーマセウティカル カンパニー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】