説明

エレクトロルミネッセンス光源

適用される層構造を有する基板(1)を有するエレクトロルミネッセンス光源であって、層構造は、陽極(3)としての少なくとも1つの電極と、陰極(7)としての1つの電極及び光を発光するために陽極と陰極との間に位置付けられているエレクトロルミネッセンス層(5)を有する第1副層構造であって、陽極及び陰極の一は光を反射するために備えられ、そして他の電極は光を透過するために備えられている、第1副層構造と、透過のために備えられている電極に隣接する第2副層構造(2)であって、第2副層構造は、光を部分的に反射するために少なくとも1つの半透過層を有する、第2副層構造と、光の出射方向からみえ、第2副層構造の後に備えられている第3副層構造であって、前記第3副層構造は、閾値波長より短い波長の光の一部を吸収するように、閾値波長より長い波長の光を出射するように及び非吸収光を散乱するように粒子(10)を有する少なくとも1つの層(9)とを有する、第3副層構造を有する、エレクトロルミネッセンス光源について開示している。その結果、マイクロキャビティ構成の場合の出射の角度依存性は補償され、吸収により短波長の方への出射のシフト及び長波長における再出射は、演色性を改善するように用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロキャビティ構成を有するエレクトロルミネッセンス光源に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス薄膜を有する光源(EL光源)全ては、発光層において等方的に生成される光の一部が、光学的に密な媒体(屈折率n1)から光学的に粗な媒体(屈折率n2<n1)への界面における全反射のために外側の方に出射されないという問題点を有する。光共振器、所謂、マイクロキャビティ構成のために、全反射される光の割合は減少し、それ故、光源の効率は高くなる。この場合、マイクロキャビティ構成は2つのミラーを有し、それらのミラーの間に、エレクトロルミネッセンス層(EL層)が、波長Lにおいて最大強度を有する光を発光するように備えられている。2つのミラーの間の距離(マイクロキャビティ長)が発光光の波長Lに略等しい場合、その光はもはや、等方的ではなく、全反射の角度より小さい入射角で、好適に、ミラーの方向に出射される。
【0003】
米国特許第5405710号明細書においては、平らなスクリーン又はLEDプリンタで用いられるエレクトロルミネッセンス光源のためのマイクロキャビティ構成について記載されている。この場合、異なる色を生成するために空間的に間隔を置いた領域が備えられるように、層構成が構造化され、その構成において、マイクロキャビティ長はそれぞれの波長に局所的に適合されている。それらのマイクロキャビティ構成の1つの重大な不利点は、既知の発光強度の角度依存性(ファブリ−ペロー効果)である。
【0004】
欧州特許第0683623号明細書においては、異なる波長の効率を同時に高くするための非構造化マルチカラー発光誘起エレクトロルミネッセンス層のためのマイクロキャビティ構成について記載されている。この場合、マイクロキャビティ長は、個々の波長には対応しないが、ルーメン出力における改善を得るように発光される放射線の波長に非常に正確に適用される必要があるという妥協に対応する。マイクロキャビティ長は全ての発光波長について最適にならないため、ルーメン出力で得られる改善が小さければ小さい程、発光されるべき異なる波長領域の数は多くなる。発光強度の角度依存性の不利点は、欧州特許第0683623号明細書においては、粗い表面を有する透明基板を有する又は透明基板に組み込まれた泡状石英ガラスの粒子を有する散乱層により、少なくとも軽減される。マイクロキャビティ構成についての技術的詳細については、欧州特許第0683623号明細書を参照されたく、その文献の援用により、本発明の説明の一部を代替する。しかしながら、マイクロキャビティ構成の他の重大な不利点、即ち、輝線の短波長側へのシフト及びそれに関連する演色性の低下が、そのようなマイクロキャビティ構成においては、尚も存在している。
【0005】
粒子による光の変換、即ち、一波長の光の吸収及びその後の長波長を有する光の再発光は従来技術の一部であり、例えば、蛍光灯において、粒子層が、紫外線スペクトル領域から可視光スペクトル領域の光に変換するために使用されている。
【特許文献1】米国特許第5405710号明細書
【特許文献2】欧州特許第0683623号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、本発明の目的は、改善された演色性を有する白色光を発光する一方、同時に、上記の不利はマイクロキャビティ効果を回避するためのマイクロキャビティ構成を有する高効率のエレクトロルミネッセンス光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、基板(1)に適用される層構造を有するエレクトロルミネッセンス光源であって、前記層構造は、(a)陽極(3)としての少なくとも1つの電極と、陰極(7)としての1つの電極と、光を発光するそれらの電極間に位置付けられたエレクトロルミネッセンス層(5)とを有し、それら2つの電極の一は光を反射するために備えられ、それぞれの他の電極は光を透過するために備えられ、(b)透過のために備えられている電極に隣接する第2副層構造(2)であって、前記第2副層構造は、光を部分的に反射するために少なくとも1つの半透過層を有する、第2副層構造を有し、そして(c)光の出射方向にあり、第2副層構造の後に備えられている第3副層構造であって、前記第3副層構造は、閾値波長より短い波長で光の一部を吸収するための、閾値波長より長い波長で光を出射するための、及び非吸収光を散乱するための粒子(10)を有する少なくとも1つの層(9)を有する、第3副層構造を有する、エレクトロルミネッセンス光源により達成される。第3副層構造は、所望の特性にしたがった粒子材料の選択により設定される、光の一部を吸収させ、その場合に長波長の光を再発光させることにより、演色性、色点及び輝度のような発光特性における改善を伴って光散乱により非吸収光の一様な分配によりマイクロキャビティ構成を有するEL光源のカラー分配と角度依存性強度の補償を、1つの層において兼ね備えている。
【0008】
この場合、第1及び第2副層構造は共に、マイクロキャビティ構成を構成している。ここでは、エレクトロルミネッセンス層は、有機材料又は無機材料を有し、1つ又はそれ以上の別個の層を有することが可能である。マイクロキャビティ構成が光を発光する方向は、光の発光方向と呼ばれる。
【0009】
下記においては、用いられる吸収帯における吸収強度の20%に達する波長は、吸収についての閾値と呼ばれる。用語“吸収帯”は、固体についてのエネルギー帯モデルに基づいていて、その“吸収帯”とは、電子が光吸収により励起されるエネルギー帯のことをいう。
【0010】
光の発光方向においてみられる第3副層構造が基板の後側に適用されていることは有利である。この場合、第3副層構造は、マイクロキャビティ構成の正の効果を維持するように、基板から光学的に分離される必要はなく、このことは、第3副層構造の形成及び安定性に関して有利点である。
【0011】
第3副層構造、特に、粒子の体積百分率、粒子の最小粒径及び第3副層構造の厚さが、光が無方向的にその層を出射するように構成されることは有利である。このように、マイクロキャビティ構成における角度依存性発光の効果のみが効果的に補償される。
【0012】
このために、第3副層構造の粒子の体積百分率が、十分な散乱を確実にするように、5%乃至60%の範囲内であることは有利である。
【0013】
第3副層構造にける粒子が0.5μmより大きい粒径を有することは、更に有利である。小さい粒子の場合、吸収対後方散乱の比はかなり不利である。
【0014】
第3副層構造が、非吸収光の光路長が、平均でその層の厚さの2倍に相当するように構成されることは更に有利である。適切に長い光路長は、平均で光線当たり少なくとも1つの発生する散乱事象を、それ故、マイクロキャビティ構成における角度依存性発光のために補償するように十分な散乱を、確実にする。しかしながら、その層の厚さは、ここでは、粒子のサイズ及び体積の割合の関数である。最小の層の厚さは、光路長は層体積当たりに増加する散乱のために長くなるために、例えば、第2副層構造における粒子の体積の割合が増加するにつれて減少する。
【0015】
エレクトロルミネッセンス層が第1及び/第2波長においてそれぞれの最大強度を有する光を発光し、第1波長が第2波長より短いことは更に有利である。実施例として、白色光を生成するために抜けるスペクトル成分は、適切な粒子の出射により付加されることが可能である。これに関して、エレクトロルミネッセンス層は3つ又はそれ以上のスペクトル領域で発光する必要はない。マルチカラーマイクロキャビティ構成の長さは、それ故、この場合、3つ以上の発光領域を有する発光部の場合に比べて、より最適に選択されることができる。
【0016】
エレクトロルミネッセンス層が青色及び赤色スペクトル領域で発光することは更に有利である。発光波長における短い波長領域の方へのシフトのマイクロキャビティの効果は、第3副層構造における吸収の不足のために、赤色スペクトル領域において残る。このように、輝度(照度)は、眼の感知曲線にしたがって増加する。青色のスペクトル領域における発光は、最短波長の可視スペクトル領域における光吸収を可能にし、このことは、粒子によるスペクトルの何れの可視成分の生成を可能にする。
【0017】
特に有利であることには、特に、第1波長が青色スペクトル領域にある場合、第3副層構造の材料の選択により設定される吸収及び再出射による短波長スペクトル領域の透過は、演色性の改善に繋がるため、粒子の閾値波長は第1波長、即ち、エレクトロルミネッセンス層の最短波長発光より短い。
【0018】
少なくとも第1スペクトル領域と第1スペクトル領域と同じでない第2スペクトル領域とにおいてそれぞれ出射する少なくとも第1粒子及び第2粒子を第3副層構造が有することは更に有利である。例示として、白色光の生成は、短い波長の青色スペクトル領域における吸収並びに黄色スペクトル領域又は緑色及び赤色スペクトル領域における再出射により得られる。第1粒子及び第2粒子の適切な選択及び混合比により、例えば、演色性、色点及び輝度等の出射特性は、エレクトロルミネッセンス光源の必要条件に適合される。
【0019】
本発明については、以下、図に示されている例示としての実施形態を参照して説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
エレクトロルミネッセンス光源は、通常、平坦な透明基板1(ガラス又はポリマー)に適用される層構造を有し、前記層構造は、陽極3と陰極7との間に備えられた有機又は無機のエレクトロルミネッセンス層5(EL層)を有する。EL層はまた、複数の副層を有することが可能である。低仕事関数を有する材料から成る電子注入層6が、陰極とEL層との間に更に備えられることが可能である。正孔輸送層4が、陽極とEL層との間に更に備えられることが可能である。発光光が結合される(下部発光部:基板を透過する発光、上部発光部:基板から離れる、この場合、陰極7を透過する発光)方向に応じて、陰極7か又は陽極3のどちらかが反射材料から成る。反射電極は、反射性そのものであるか又は反射層構造を更に有することが可能である。したがって、他の電極は透過性材料から成る。複数の層3乃至7は、本明細書においては、第1副層構造と呼ばれる。
【0021】
図1は、波長及び発光角の関数としての、マイクロキャビティ構成を有しないエレクトロルミネッセンス光源(下部発光部)の典型的な発光特性を示している。各々の場合に示されている線は等電力線を表している。図1に示すように、かなりの電力量が、ガラス基板の垂直方向に対して41°以上の角度において発光されている。この電力は、生じる全反射のためにEL光源に結合されない。
【0022】
図2は、マイクロキャビティ構成を有するEL光源の層構造を示している。その光源においては、エレクトロルミネッセンス層5は、反射電極7(第1ミラー)と部分反射層2(第2ミラー)との間に備えられている。マイクロキャビティ構成は光共振器を構成し、その結果、エレクトロルミネッセンス層により発光される光が基板の垂直方向に対して小さい角度で主に出射される。できるだけ最適である共振器を得るように、第1ミラーと第2ミラーとの間の距離8(マイクロキャビティ長)は、EL層により発光される光の最大強度の波長に対応している。基板を透過する発光の場合、半透過性第2ミラーが、透明電極とEL層との間又は透明電極と基板(下部発光部)又は陰極(上部ミラー)との間に備えられることが可能である。第1ミラー及び第2ミラーは、1つの層又は交互に変わる屈折率を有する層パッケージを有することが可能である。
【0023】
図3は、マイクロキャビティ構成を有するEL光源(下部発光部)の発光特性を示している。ここでは、ガラス基板の方に出射される電力が、波長及び出射角度の関数として示されている。EL層から出射された光はもはや、等方的に出射されてはいないが、ミラーの方向に好適に出射されている。図3から理解できるように、殆どの電力は、ガラス基板の垂直方向に対して41°(ガラスにおける全反射角)より大きい角度においては出射されない。マイクロキャビティは光源の効率への非常に有利な影響を有するが、図3は、マイクロキャビティ構成の不利点、即ち、(a)出射高度の著しい角度依存性及び(b)短い波長の方への強度のシフトを明確に示している。
【0024】
光/不導体散乱層は、マイクロキャビティ構成を有するEL光源の出射強度の角度依存性の正の効果を有するが、短い波長の方への出射におけるシフトの効果における変化は存在しない。そのような発光強度におけるシフトは赤色スペクトル領域においてはかなり好ましく、白色光を出射するためのEL光源における同じ効果は、同様に青色スペクトル領域において起こる波長のシフトのために演色性の低下に繋がる。赤色スペクトル領域における出射の強度におけるシフトについての要求は、眼の感度曲線(V(λ)曲線、DIN5031を参照されたい)により与えられる。眼の感度は、長波長の方への600nmより長い波長においてかなり低下するため、人間により感知される輝度は、光源の赤色強度を減少させることなく、短い波長の方に赤色出射特性をシフトさせることによりかなり改善される。しかしながら、図3から理解できるように、波長におけるシフトより、電力の一部のみが短波長の方にシフトされる。
【0025】
図4は、本発明にしたがった第3副層構造9及びマイクロキャビティ構成を有するEL光源についての本発明にしたがった層構造を示し、光の出射方向においてみられる第3副層構造は、基板の後側に備えられている。第3副層構造は、閾値波長より長い波長において出射光を吸収し、閾値波長より短い光を散乱するために粒子10を有する。この場合、リン粒子10が不導体担体材料(バインダ)から成るマトリクス中に組み込まれている。その層の粒子の体積百分率は、好適には、5%乃至30%である。この体積百分率のために、光の十分な吸収が達成できる一方、実際的な層の厚さを有することができる。粒径は500nmより小さく、そうでない場合、吸収と後方散乱との間の比はかなり好ましくないものとなる。吸収光は、粒子10の種類(出射過程)に依存する長い波長において等方的に出射される。粒子層9により後続して出射される光は、理想的には、余弦(ランバートの)法則にしたがって分布する。第3層の好適な層の厚さはまた、個々の粒子10の散乱挙動、粒子の体積の割合及び決定される層9における散乱光の光路長に依存する。散乱光の光路長は、出射の角度依存性のマイクロキャビティ効果が補償されるように、その層の厚さの少なくとも2倍に対応する。そのような第3副層構造の典型的な厚さは、数十μmの範囲にある。このような第3副層構造のために、一方では、マイクロキャビティ構成を用いるときの出射強度の著しい角度依存性(図3を参照されたい)は、散乱及び等方的再出射により更に回避される。他方、出射スペクトル(例えば、白色EL光源の)は、好ましい長い波長の再出射及びスペクトルの最短波長成分の吸収により更に変化され、それにより、例えば、演色性、効率及び/又は製造条件のようなEL光源の発光特性は更に改善/単純化されることが可能である。
【0026】
他の実施形態においては、第3副層構造はまた、基板と半透過第2ミラー2との間に備えられることが可能である。この場合、第3副層構造の基板への光結合は、マイクロキャビティ構成のために改善された光出射の効果が維持されるように、非常に小さいものとなる。非常に小さい光結合は、粒子を取り巻く担体材料を用いることなく、多孔質粒子により達成され、この場合、第3散乱層と電極との間の界面において平坦な接着促進中間層を更に適用することは有利である。そのような多孔質層中の粒子の体積百分率は60%以下であることが可能である。
【0027】
好適な一実施形態においては、高効率な均一な白色EL光源が、青色スペクトル領域で発光するEL層5により製造されることが可能である。改善されたルーメン出力が、マイクロキャビティ構成により最適化された光出射により達成される。マイクロキャビティ長8は、まさに1発光波長を有するEL層5のために最適に設定されることが可能である。全反射による光損失は、それ故、そのようなEL光源のために最小化される。同時に、出射の破壊的角度依存性は、粒子10における光の非吸収部分の散乱により回避される。均一な白色光を生成するように、損なわれた光は、出射された青色光の短波長成分の吸収及び続く黄色スペクトル領域における均一な再出射により生成される。
【0028】
更なる好適な実施形態においては、第3副層構造は、演色性を更に改善するように、同じ吸収波長であるが異なる再出射波長を有する粒子の第2クラスを更に有することが可能である。同じ粒子サイズ及び分散の場合、散乱特性は、それらにより影響されないまま、維持される。白色光は、例えば、緑色及び赤色スペクトル領域での発光を有する第1及び第2粒子と、EL層の青色発光とにより生成されることが可能である。
【0029】
他の好適な実施形態においては、欧州特許第0683623号明細書にしたがったマルチカラーのマイクロキャビティ構成が、本発明にしたがって、EL光源により、改善された演色性及び改善された効率を有する高効率白色EL光源を提供するために製造されることが可能であり、そのEL光源は、青色又は青色及び赤色スペクトル領域(例えば、適切にドープされた有しEL層による)を発光し、これについては図5を参照されたい。演色性及び色点は、粒子10を適切に選択することにより適切に設定されることが可能である。粒子により可能になる発光スペクトル領域の数の減少のために、マイクロキャビティ長8は、1つ又は2つの波長(例えば、青色及び赤色スペクトル領域のための定在波51及び52のモード)のみについて同時に最適化される必要がある。これは、例えば、3つの異なる波長の場合に比べて、マイクロキャビティ長8について良好な成分による、それ故、良好なマイクロキャビティ効果による増加した光出射に繋がる。
【0030】
電極材料、第2層構造及び無機EL層を形成するためには、通常、例えば、コーティング、スパッタリング及び/又はCVD(化学的気相成長法)のような化学的方法のような真空方法を使用する。有機EL層については、例えば、液体の有機溶液をコーティングされるようになっている構造物にスプレーし、次いで、溶剤をベーキングにより除去するコーティング又は湿式化学方法を用いる。基板の回転により材料を分布させる場合、スピンコーティングという用語が用いられる。
【0031】
第3副層構造9には、通常、粒子10間の空間を完全に又は一部を満たすバインダが適用される。例示として、アクリレート、ポリシロキサン、シリコーン又はゾルゲル材料をバインダとして用いることが可能であることは有利である。粒子10及びバインダ材料の懸濁は、例えば、プリンティング、スプレー法、ナイフコーティング又はスピンコーティングのような種々の方法が適用されることが可能である。堆積方法に応じて、必要な特性を有する懸濁が形成される。例示としては、スクリーンプリンティングペーストに関して、12gの粒子粉末が、2.6gのModaflowチクソトロピック剤と、エチルセルロースN100を重量で5%を有する100gのテルピネオールとを有するペーストに混合された。粒子粉末は、第1粒子、又は第1、第2及び有効な他の粒子を有することが可能である。
【0032】
第1の例示としての実施例:第3副層構造においてYAG:Ce粒子を有する青色発光有機エレクトロルミネッセンス光源
層の厚さ 材料
100nm 反射性アルミニウム陰極
LiF電子注入層
8−ヒドロキシキノリンを有する電子輸送層(Alq)
Alqを有する発光層(例えばPyryleneがドープされた)(青色)
アミン、例えば、TPDを有する正孔輸送層
120nm ITOを有する透明陽極
143nm SiO
46nm TiO
384nm SiO
137nm TiO
ガラス基板
30μmのYAG:Ce粒子層、平均粒径5μm
白色光は、青色発光光の混合、青色光の短波長成分の吸収及び黄色スペクトル領域における再出射により生成される。出射特性を更に改善するように、粒子層はまた、YAG:Ce粒子に加えて、20%のCaS:Euの粒子を有することが可能である。YAG:Ceは、青色領域で460nmにおいて吸収し、そしてCaS:Euは約580nm以下で吸収する。SiO/TiO層構造は、マイクロキャビティ構成の第2ミラーを構成し、本明細書においては第2副層と呼ばれる。
【0033】
第2の例示としての実施例:第3副層構造においてCaS:Eu/SrGa:Eu粒子を有する青色発光有機エレクトロルミネッセンス光源
層の厚さ 材料
100nm 反射性アルミニウム陰極
LiF電子注入層
8−ヒドロキシキノリンを有する電子輸送層(Alq)
Alqを有する発光層(例えばPyryleneがドープされた)(青色)
アミン、例えば、TPDを有する正孔輸送層
120nm ITOを有する透明陽極
143nm SiO
46nm TiO
384nm SiO
137nm TiO
ガラス基板
20μmのCaS:Eu/SrGa:Eu粒子層、平均粒径5μm
白色光は、青色発光光の混合、青色光の短波長成分の吸収及び緑色(SrGa:Eu)及び赤色(CaS:Eu)スペクトル領域における再出射により生成される。上記粒子材料の代替として、430nmより小さい吸収閾値波長を有するBaMgAl1627:Eu,Mn(緑色発光)及びMgGeO5.5F:Mn(赤色発光)がまた、可能である。粒子層の厚さ及び赤色及び緑色発光粒子の混合は、有機EL層の発光光と共に、所望の白色光点を設定するように、設定されるようになる。SiO/TiO層構造は、マイクロキャビティ構成の第2ミラーを構成し、本明細書においては第2副層と呼ばれる。
【0034】
第3の例示としての実施例:第3副層構造においてSrGa:Eu粒子を有する青色及び赤色発光有機エレクトロルミネッセンス光源
層の厚さ 材料
100nm 反射性アルミニウム陰極
LiF電子注入層
8−ヒドロキシキノリンを有する電子輸送層(Alq)
Alqを有する発光層(例えばPyrylene(青色)及びDOM(赤色)がドープされた)
アミン、例えば、TPDを有する正孔輸送層
120nm ITOを有する透明陽極
143nm SiO
46nm TiO
384nm SiO
137nm TiO
ガラス基板
20μmのSrGa:Eu粒子層、平均粒径5μm
白色光は、青色及び赤色発光光の混合、青色光の吸収及び緑色(SrGa:Eu)スペクトル領域における再出射により生成される。SrGa:Euの代替として、430nmより小さい吸収閾値波長を有するBaMgAl1627:Eu,Mn(緑色発光)がまた、可能である。SiO/TiO層構造は、マイクロキャビティ構成の第2ミラーを構成し、本明細書においては第2副層と呼ばれる。
【0035】
430nmより短い波長における吸収光及び再出射光のための更なる有利な材料は、ZnS:Ag(青色発光)又はSrAl:Eu(緑色発光)である。必要に応じて、長波長青色スペクトル領域で発光する材料がまた、高い吸収の場合に青色スペクトル成分を増幅するように、第3副層構造に添加されることが可能である。
【0036】
図及び記載を参照して明らかにした実施形態は、単なるエレクトロルミネッセンス光源の例示であり、それらの例示に対して特許請求の範囲を制限するように理解されるべきではない。同日提出の特許請求の保護範囲によって同様に包含される代替の実施形態はまた、当業者にとって可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ガラス基板の垂直方向に対する発光角度及び波長の関数として、マイクロキャビティ構成を有しないでエレクトロルミネッセンス光源のガラス基板の方に出射されるパワーを示す図である。
【図2】マイクロキャビティ構成を有するエレクトロルミネッセンス光源の層システムを示す図である。
【図3】マイクロキャビティ構成を有するエレクトロルミネッセンス光源に関連して、ガラス基板の垂直方向に対する発光角度及び波長の関数として、ガラス基板の方に出射されるパワーを示す図である。
【図4】マイクロキャビティ構成及び第3副層構造を有するエレクトロルミネッセンス光源の本発明にしたがった層システムを示す図である。
【図5】定在波の2つのモードのマイクロキャビティの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に適用される層構造を有するエレクトロルミネッセンス光源であって、前記層構造は:
陽極としての少なくとも1つの電極と、陰極としての1つの電極と、光を発光するために前記陽極と前記陰極との間に位置付けられているエレクトロルミネッセンス層とを有する第1副層構造であって、前記陽極及び前記陰極の一は光を反射するために備えられ、そして他の電極は光を透過するために備えられている、第1副層構造;
透過のために備えられている前記電極に隣接する第2副層構造であって、前記第2副層構造は、光を部分的に反射するために少なくとも1つの半透過層を有する、第2副層構造;並びに
光の出射方向からみえ、前記第2副層構造の後に備えられている第3副層構造であって、前記第3副層構造は、閾値波長より短い波長の光の一部を吸収するように、前記閾値波長より長い波長の光を出射するように及び非吸収光を散乱するように粒子を有する少なくとも1つの層を有する、第3副層構造;
を有する、エレクトロルミネッセンス光源。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造は、光の出射方向からみえ、前記基板の後側に備えられている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造は、特に、前記粒子の体積百分率、前記粒子の最小粒径及び前記第3副層構造の厚さが、光が無方向的に前記第3副層構造から出射するようになっている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項4】
請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造の前記粒子の前記体積百分率は5%乃至60%の範囲内にある、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造の前記粒子は0.5μmより大きい直径を有する、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造は、非吸収光の光路長が前記第3副層構造の厚さの2倍に相当するようになっている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記エレクトロルミネッセンス層は第1波長及び/又は第2波長でそれぞれ最大強度を有する光を発光し、前記第1波長は前記第2波長より短い、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項8】
請求項7に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第1波長は青色スペクトル領域にあり、前記第2波長は赤色スペクトル領域にある、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記閾値波長は、特に、前記第1波長が前記青色スペクトル領域にある場合に、前記第1波長より短い、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。
【請求項10】
請求項3乃至9の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセンス光源であって、前記第3副層構造は、少なくとも第1スペクトル領域、特に黄色又は緑色スペクトル領域において、そして前記第1スペクトル領域と同じでない第2スペクトル領域、特に赤色スペクトル領域においてそれぞれ発光する、少なくとも第1及び第2粒子を有する、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−516405(P2008−516405A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536299(P2007−536299)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053213
【国際公開番号】WO2006/040704
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】