説明

エレクトロルミネッセンス及びエレクトロルミネッセンス・エレメント

【課題】複数のセグメントを有し、そのセグメント単位に独立して発光する新規な駆動回路を備えたエレクトロルミネッセンスの提供に関する。
【解決手段】本発明のエレクトロルミネッセンスは、複数のセグメント単位で発光する発光素子と、複数のタッチパネルスイッチとを備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、当該発光素子点灯回路によって複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成したマイクロコンピュータを備え、さらに複数のタッチパネルスイッチの内のどのスイッチが操作されたかを感知するタッチセンサICを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセグメントを有し、そのセグメント単位に独立して発光する新規な駆動回路、及びその駆動回路を備えたエレクトロルミネッセンス(electroluminescence、以下単に「EL」と称す)に関する。さらに、本発明は、複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路と一体化して構成したエレクトロルミネッセンス・エレメント、及びそのエレクトロルミネッセンス・エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ELに関して、インターネット上で使用可能なフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、以下のように解説している。
エレクトロルミネセンス(Electroluminescence;EL)とは、主に半導体中において、電界を印加することによって得られるルミネセンスを指す。注入型と真性に区別される。
注入型ELは、電界によって電子と正孔を注入し、その再結合によって発光をさせるものである。一方真性ELは、電界によって加速した電子が何らかの発光中心に衝突し、その発光中心が励起されて発光するものである。
なお発光物が有機物か無機物かで区別され、前者は有機EL、後者は無機ELと呼ばれる。
【0003】
本発明は、無機ELを対象として開発したものであるが、特に無機ELに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で有機ELにも適用可能なものである。
【0004】
ELは薄型タイプの光源として有効で、さまざまな製品を薄型にすることを可能にしてきた。つまり、面発光を利用することにより既存製品の厚みを薄くすることが可能となったものである。既存製品の厚みを薄くした代表例は携帯電話だと言える。携帯電話では、ELはスイッチ用光源として採用されている。
また、ELは、従来光源を持たなかった製品にも採用されており、自動車のナンバープレートや交通標識などに採用されている。これは、ELが従来の光源よりも軽量であることが採用を可能にしている。
このように、ELの他の特徴は、形状を自由に設計することが可能であり、色の選択も自由であり、採用する製品側の希望に沿うよう設計することができるものである。また、ELは発熱せず、折り曲げることはできないが、通常の使用であれば割れない等の特徴から設計の自由度を上げている。
【0005】
このような特徴を備えたELは、面発光であるので発光面全体から均一な光が得られ、薄型・軽量であるので携帯型の製品などの光源として最適である。また、消費電力が小さく、均一で薄い面光源で、発熱しない事からデザイン照明や電子機器のバックライトとして普及してきた。また最近では、艶色性やデザイン性に優れ、耐久性が高く、低コストで生産できる事から、携帯電話のキースイッチ照明としてのフレキシブル型ELの需要が健在化している。
【0006】
このような薄型のELの製造方法は印刷で製造可能なものであり、例えば、非特許文献1にその製造方法の概要が記載されている。
【0007】
ELを用途と特徴から分類すれば、(1)モノクロ液晶のバックライト、船舶メーター、屋外看板、道路標識などの照光に用いられる、背面電極にアルミニウムを使用し、防湿フィルムにてラミネートした高耐湿、高寿命タイプのパッケージタイプのEL(0.7mm〜)、(2)ICカード読取機(簡易設置型)、ナンバープレート、自動車サイドステップ、電子辞書などの薄型機器のモノクロ液晶バックライトなどに用いられる、ITOフィルムをベースの印刷工法にて製作する薄型タイプのフレキシブルタイプのEL(0.3mm〜)、(3)携帯電話、携帯端末、リモコンなどのキースイッチ照光などに用いられる、有機材料を使用し、超薄型でメカニカルストレスに優れたタイプのEL、スイッチ用として均一で見易い照光、クリック感触と打鍵耐久性を有するEL(0.1mm〜)のようになる。
そして、携帯電話用キースイッチに用いられるELの一般的な層構造は、保護フィルム、発光層、絶縁層、背面電極、レジスト層、電極の順に構成されており、現在では全体でも100μm以下の厚みである。
【0008】
このように多くの用途に用いられるELの製品適用年の一例を年代順に上げれば、1981年 カメラ用フラッシュ、1985年 コピー機、1986年 露出計、1987年 自動車用エンブレム、1988年 ハンディーターミナル、1989年 計測器、1990年 時計、1992年 交通標識、1994年 ページャー、1996年 自動車ステップガイド、1998年 PDA、2000年 携帯電話LCDバックライト、2001年 自動車ナンバープレート、2002年 内視鏡用コントローラ、2003年 RFIDスキャナー、2006年 携帯電話用キースイッチのように多くの分野での使用されている。
【0009】
このようなELの用途において、ELの発光部分をセグメント構成にして、夫々を発光させることは知られており、そのための工夫も様々にされている。例えば、特許文献1(特開2000−252059号公報)には以下のように記載されている。
ELパネルは蛍光体層の一方に透明電極層、他方に背面電極層を設け、これらの両電極に電圧を印加することにより発光を行っている。このELパネルの透明電極層には、通常1本の供電部が配置されており、これにリードが接続され、リードを介して外部電源と接続される。一方、背面電極層は表示を行う形状に合わせて、複数のセグメントに分割されている。さらに背面電極層の複数のセグメントには、それぞれに供電部が設けられ、さらに供電部にはリードが接続され、リードを介して外部電源と接続される。
【0010】
しかしながら、これでは、ELパネルを複数のセグメントに分割した上で夫々のセグメントを発光させることは可能であるが、複数のセグメントを独立して別々に発光させることはできない。
【0011】
これに対して、特許文献2(特表2005−505802号公報)には、ディスプレイパネルはマトリックス状に配置された多数の発光セルを有し、発光セルには少なくとも1つの駆動回路が設けられており、各セルの発光素子駆動回路を構成するカレントミラー回路は、基準電流源を駆動する1次側トランジスタと発光素子を駆動する2次側トランジスタを所定のパルス信号で切り換える操作によって、各セルにおけるペアトランジスタ間のミラー比のバラツキを均一化する技術が開示されている。
【0012】
また、特許文献3(特表2005−503588号公報)には、表示パネルはマトリックス状に配置された複数の発光素子を有し、この表示パネルに用いられる駆動装置は、各発光素子間の輝度のバラツキを少なくすることができ、クロック信号によりキャパシタの充放電を行い、かかる放電電流を利用して発光素子を駆動するパルス供給回路を形成し、表示パネルを構成する各々の発光素子の駆動電流の大きさをTFT回路のトランジスタ素子に依らず、主にパルス供給回路の駆動電源電圧やクロック周波数など表示パネルの外部から正確に決定することのできる要因によって定める技術が開示されている。
【0013】
さらに、フォト・トライアックの用途にとして、燃焼装置等に用いるモータ等の交流負荷の位相制御装置に関して特許文献4(特開平5−284767号公報)が知られており、フォト・トライアックカプラのフォトダイオードに流れる電流を断続化してフォトダイオードの長寿命化を図ることに関して特許文献5(特開平7−253820号公報)が知られている。
【0014】
各文献は以下のとおりである。
【非特許文献1】印刷で製造できる無機EL 寿命と色で有機ELに挑戦 MIT発のベンチャー企業が開発(日経エレクトロニクス 2007.3.26)
【特許文献1】特開2000−252059号公報
【特許文献2】特表2005−505802号公報
【特許文献3】特表2005−503588号公報
【特許文献4】特開平5−284767号公報
【特許文献5】特開平7−253820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする基本的な課題は、複数のセグメントを、そのセグメント単位に独立して発光する新規な駆動回路を提供することであり、そのような駆動回路を備えたELを提供することである。また、本発明は、そのようなセグメントELをエレメントとしてのパーツで提供できるようにし、それによって各種の電気機器の筐体に貼り付けて簡単に操作できる操作パネルを供えた電気機器を提供するものである。
【0016】
つまり、本発明は、本願発明者等が既に出願したフレキシブル型EL(特開2005−190893号公報)の持つ低コスト生産性と耐久性に加えて、単なるキー照明としてのELの活用法から、パイロットランプに代えてELをセグメント単位に独立して点滅駆動(本発明において「点滅駆動」とは、ELを点灯したり、消灯したり、点滅させたり、長い時間点灯させたりする駆動制御を意味する)できるように構成したことによって、セグメントELとキースイッチやタッチスイッチを一体にして組合せる事を可能とし、家電品や自動車機器などの超薄型の表示・操作パネルとして広く活用できる事に着目して、研究・開発と用途開拓を始めた中から生まれたものである。現在の多くの情報機器や家電装置においては、表示・操作パネルも複雑化し高度化しており、操作方法が分かり易いとは言えず、ユーザフレンドリーでマニュアルを必要としない簡単で分かり易い操作パネルの需要が健在化しており、本発明はそれに答えるものである。
【0017】
そして、本発明においては、最終的な解決課題として、基本的な解決課題であるセグメントELとタッチパネルを組み合わせることによって、より薄型で製品に組み込む場合に取扱が容易であり、製造においても安価の方法が実現可能なELを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のELは、少なくとも複数のセグメント単位で発光する発光素子と、複数のフォトカプラ等の発光素子点灯回路と、複数のタッチパネルスイッチとを備え、前記複数のタッチパネルスイッチの内のどのスイッチが操作されたかを感知するタッチセンサICからの信号に基づいてマイクロコンピュータによって前記発光素子点灯回路を制御し、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明のELは、複数のタッチパネルスイッチの内の特定のスイッチが押されたことが前記タッチセンサICによって感知された際には、前記マイクロコンピュータにより前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明のELは、複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路、タッチパネルスイッチ制御回路と一体化して構成したことを特徴とする。
【0021】
本発明のELは、ELエレメントを構成するタッチパネルスイッチが静電容量を検知するスイッチ構成であり、複数の発光素子の上面に配置した透明電極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォトカプラ等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行う構成により、ELをセグメント単位に自由に点滅制御するという従来のELにはなかった格別な効果を奏するものである。
【0023】
さらに、本発明は、タッチセンサICの感知によってマイクロコンピュータが特定の発光素子セグメントの点滅制御を行う構成により、小型で薄型のELを提供できるという効果を奏するものである。
【0024】
また、本発明は、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォトカプラ等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成し、前記複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路と一体化してELエレメントを構成したことにより、従来のパイロットランプとスイッチの組合せとは異なり、筐体の型加工が大幅に簡素化でき、電子基板やLED、スイッチなどの個別部品が一体化できる事から、大幅な型代の削減と部品・加工工程の大幅な削減が可能である。
【0025】
また、本発明は、ELエレメントをタッチパネルスイッチによって構成するものであるので、セグメントELを発光素子として組み込んだ極めて薄型のスイッチシートを構成することが可能であり、その製造においても極めて安価な構造を提供できるものである。さらに、本発明は、ELエレメントを構成するタッチパネルスイッチが静電容量を検知するスイッチ構成であり、複数の発光素子の上面に配置した透明電極であることから、発光素子を組み込んだ極めて薄型のスイッチシートを構成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。図1は本発明のELの駆動回路の構成の概要を示す回路図であり、図2はその動作を説明するために一つのELセグメントのみを抜き出して描いた回路図である。
【0027】
図1において、10,11,12,13はELの発光素子群、20,21,22,23は交流電源制御素子群、30,31,32,33はスイッチ素子群、40はCPUインターフェース、60は交流のインバータ電源である。図1に示したEL駆動回路は、発光素子群が複数の発光素子(ELセグメント)10,11,12,13・・・から成り、夫々のELセグメントに対して、交流電源制御素子群及びスイッチ素子群は、フォトカプラとして複数のフォト・トライアック20,21,22,23・・・、及び複数のタッチセンサキースイッチ30,31,32,33・・・を備えている。夫々のELセグメント10,11,12,13・・・は、CPUインターフェース40からの制御によってインバータ電源60からの電源を制御することにより点滅される。タッチセンサキースイッチ30,31,32,33・・・はタッチセンサIC40によってどのスイッチが操作されたかを感知し、CPUインターフェース40に対してその信号を伝達する。
【0028】
CPUインターフェース40は、公知のキーマトリックス・スキャン回路を備えており、入出力ポート側にプルアップ抵抗の構成を備えている。インバータ電源60は全てのELセグメント10,11,12,13・・・に対して共通に設けられている。インバータ電源60から供給される交流電源は100V、400Hzである。
【0029】
図1のELの点滅制御回路に対して、フォト・トライアック(交流を制御するための公知のフォトカプラであるので、特にその詳細の説明はしない)20,21,22,23・・・の発光素子側を並列接続し、受光素子側を交流インバータ電源60とELセグメント10,11,12,13・・・に直列接続した回路構成になっており、タッチパネルの特定のキーが押されたことはタッチパネル回路のタッチセンサIC50からの信号を監視しているマイクロコンピュータにより検知する回路構成になっている。
【0030】
図1に示された実施例の回路の動作を、図2の一つのELセグメントのみを抜き出して描いた回路図によって説明する。今、マイクロコンピュータに、タッチパネルスイッチ30を押した際にELセグメント10を点灯させるというプログラムが設定されているとして、その際の動作を説明する。
【0031】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の駆動回路の動作の概略を説明する。ELの点滅制御はインバータ電源で生成した交流電源のゼロクロス点をCPUの割り込みとして、このタイミングでCPUの出力ポート(O1〜O4)からフォト・トライアックの受光部のアノード側に対してHi信号を出力する。また、同様にCPUの入出力ポート(I1〜I4)からフォト・トライアックの受光部のカソード側に対してLow信号を出力しフォトトラアックをオンする。フォト・トライアックのターンオン保持特性を利用して、この割り込みのタイミングの時だけフォト・トライアックの制御をするだけでELの点灯/点滅/消灯を制御することができる。
【0032】
一方、図2において、フォト・トライアック20と交流インバータ電源60とELセグメント10とが直列で接続された回路を抜き出して、ELセグメント10を点灯させる動作の説明をする。
【0033】
フォト・トライアックは、交流信号をON・OFFするための素子であり、本発明においてはフォト・トライアックを利用したが、特にフォト・トライアックに限定されるものではない。図6(A)に示すように、本発明では、インバータ電源60から、例えば100V、400Hz(1周期2.5msec)の交流電源が供給されており、その交流電源のゼロクロスのポイント(a)で、フォト・トライアック20の入力側のLEDにパルスを出してやれば受光側のトライアックが半周期(1.25msec)の期間はオンし、それに繋がったELセグメント10は点灯することになる。しかしながら、ELは電流が供給され続けないと点灯を連続させることができない。そこで、インバータ電源60からの交流の次のゼロクロスのポイント(b)で、次のパルスを出してやればフォト・トライアック21の受光側のトライアックを次の半周期(1.25msec)の期間もオンさせることが可能となる。
【0034】
このように、図6(A)図に示す如く、インバータ電源の負荷電圧がゼロクロス電圧以下のポイントでフォト・トライアックの入力側LEDに対してパルス信号を出力することにより受光側のトライアックをオンさせることができる。この動作を、セグメント単位で、インバータ電源のゼロクロスのポイントで毎回制御を行うことで、各セグメントELの点灯、点滅、消灯を制御することが可能となる。
【0035】
次に、タッチパネルスイッチ30のスキャンニングとフォト・トライアック20の点滅制御との関係を説明すると、タッチパネル側回路で検出したスイッチスキャン信号をマイクロコンピュータに出力し、マイクロコンピュータからフォト・トライアックを動作させることでELを点灯制御するものである。
【0036】
つまり、ELの点滅制御はインバータ電源で生成した交流電源のゼロクロス点をCPUの割り込みとして、このタイミングでCPUの出力ポート(O1〜O4)からフォト・トライアックの受光部のアノード側に対してHi信号を出力する。また、同様にCPUの入出力ポート(I1〜I4)からフォト・トライアックの受光部のカソード側に対してLow信号を出力しフォトトラアックをオンする。前述したように、フォト・トライアックのターンオン保持特性を利用して、この割り込みのタイミングの時だけフォト・トライアックの制御をするだけでELの点灯/点滅/消灯を制御することができる。
【0037】
図1及び図2の回路図では、特定のタッチパネルスイッチが押されたことを監視しているマイクロコンピュータにより点灯制御を行う実施例が説明されている。これによると、タッチパネル回路で検出されるスイッチスキャン信号と各セグメント単位の発光素子の点灯制御とが関連性を持っていなければならない(例えば、タッチパネルスイッチ30が押されたらELセグメント10が点灯する)ようにも理解されがちであるが、これら二つの動作は全く関係なく操作することも可能なものである。つまり、タッチパネルスイッチ30が押されたら、それに対応するELセグメント10を点灯するように制御することも可能であるし、タッチパネルスイッチ30が押されたら、次に押すべきスイッチ、例えばタッチパネルスイッチ31に対応するELセグメント11を点灯するように制御することも可能なものである。
【0038】
以上の回路構成を備えることにより、マイクロコンピュータからの信号により点灯制御するため、キースイッチON/OFFとは全く関係なく、マイコンでのプログラミングにより任意のELセグメントを点滅制御することも可能である。
【0039】
つまり、複数のタッチパネルスイッチに対応して、位置的には各々の複数のタッチパネルスイッチの下に一つずつのELセグメントを配置しておけば、特定のタッチパネルスイッチが押されたら、その下に配置してあるELセグメントを点灯させて、押したタッチパネルスイッチが何であるかをユーザに分からしめることも可能であるし、特定のタッチパネルスイッチが押されたら、次に操作すべきタッチパネルスイッチの下に配置してあるELセグメントを点滅させて、ユーザによる次の操作のガイダンスに用いてもよいし、タッチパネルスイッチの操作とは全く関係なく、例えば、時間により或いは操作モードにより、ユーザに注意を喚起すべきタッチパネルスイッチの下に配置してあるELセグメントを点滅させても良い。このように自由な、制御動作が一つの回路構成により達成できるものである。
【0040】
以上の回路構成の他に図3に示すように、タッチパネルスイッチ30からの信号で直接フォト・トライアック20を制御してセグメント単位のEL10を点滅制御する方法でも良い。
【0041】
以上の説明から、タッチパネルスイッチはELの点滅用として専用に設けたスイッチではなく、ELの点滅以外においても何らかの制御をするスイッチとして構成することができることが容易に理解される。勿論、EL点滅用のスイッチとしても使用するのが可能であることは言うまでもない。
【0042】
以上のように、駆動回路をセグメントELとスイッチング回路とを一体化して構成することにより、電子情報機器や家電製品等の筐体に貼り付けて利用することも可能とするものである。そこで、以上の回路構成を組み込んだユニットの具体的な外観構成を説明すると、図9の通りである。また、このユニット構成の層構成は図10に示すとおりである。このように構成することにより、本発明者等は、本発明の駆動回路を最終的にはカスタムIC化してELと共に供給することを可能としたものである。
【0043】
このような実施例においては、本発明者等が、今までに蓄積したフレキシブル型ELの設計・製造技術に加えて、EL上でセグメントに分けた文字や図柄やアイコンをマイコンと親和性の高い制御回路で制御し、キー配線とEL配線を共有化して、低コストで信頼性の高い制御用ICと共に供給することで、低コストのマンマシンインターフェイスを可能とする最新型の表示・操作パネルを提供することが可能となったものである。
【0044】
本実施例のセグメントELスイッチユニットに用いられるセグメントELの代表的な基本層構造は、クリック感に優れるEL背面側に金属ドームSWを一体化した構造が望ましい。一体化したセグメントEL100は、図9に示すように、一体化セグメントEL100内に、EL駆動用IC101とスイッチ制御用IC102を組み込んでおり、それ等ICを制御するCPU103を外部に設けている。従って、どのような電気機器に対しても、筐体にこの一体化セグメントEL100を貼り付けることによって、表示・操作パネルを提供することができるものである。
【0045】
図10(A)は、スイッチ構成としてドーム型のスイッチ構成を採用した場合のセグメントELの層構造であり、基板9上に複数のドーム型をしたドームスイッチ13を配置し、接着層8を介してEL絶縁層7を設け、その上にEL背面電極&給電極層6、EL誘電体層5、EL蛍光体層4、EL透明電極&給電極層3から成る複数のセグメント単位のEL素子を配置し、さらにその上に、加飾印刷層2を配置して、その上に銘板1及びキー凸部0を配置している。またこのセグメントELの点滅制御のための制御回路も基板9上に配置される。この制御回路は、配線構成は図示されていないが、EL駆動用IC10とEL発光制御CPU12とから構成されており、外部のCPUとの接続のためにゴムコネクタ或いはACF14が設けられている。これにより約3mmの厚みの一体化したセグメントELが構成できる。
【0046】
また、図10(B)は、スイッチ構成としてタッチパネル型のスイッチ構成を採用した場合のセグメントELの層構造であり、ELベースフィルム1にタッチパネル0を貼り合わせた構成である。この場合は、1mm以下の厚みの一体化したセグメントELが構成できる。具体的に静電容量型のタッチパネルスイッチを採用した場合の例を図12に示す。図12において、90がタッチパネルシートであり、透明電極層92及び93からタッチパネルスイッチが構成されている。その上に指等が触れると透明電極層92及び93間の静電容量が変化してスイッチを触れたことを検知するものである。通常は透明電極92側を共通電極側とし、配線94によって複数のセグメント単位の配線を行う。ELベースフィルムはセグメント単位のEL発光素子91が図示されており、配線95によって複数のセグメント単位の配線を行う。それぞれの配線構成は、図1に示した回路構成によって配線される。この場合は、EL発光素子とスイッチ構成がシート状で構成されるために、IC等の制御回路はインターフェースを配置してシートの外に設けることが望ましい。
【0047】
一体化セグメントEL100は、その層構成が図11に詳細に示されているように、上面より、所定の配置で所定数のキー凸部104、104、104・・・を形成したベースフィルム105、銘板或いはキー表示部から成る加飾印刷層106、各ELセグメント単位に対して共通して給電を行う回路構成を備えた透明電極層107、ELセグメント単位に所定の配置で所定数のセグメントからなるEL蛍光体層108、EL蛍光体層108に対応した所定数で所定配置に形成された絶縁及び耐圧性向上のための誘電体層109、各ELセグメント単位に対して独立して給電を行う背面電極層110、これより上の回路構成と、これより下の回路構成間での絶縁を達成するための絶縁層111、基板貼り付け用の接着層(粘着層)112、ドーム型をした所定数で所定配置に置かれた金属ドーム(メタルドーム)113、113、113・・・、所定のキーに対応した回路構成が印刷されたプリント基板(PCB)114から成っている。この一体化セグメントEL100には、その背面電極層110の回路構成中に、EL駆動用回路を構成するEL駆動用IC101と、スイッチ制御用IC102とが設けられている。スイッチ制御用IC102内には所定数のフォト・トライアックが組み込まれている。この一体化セグメントEL100からは、発光制御用CPU103との接続を取るために、ゴムコネクタ(ACF)115がプリント基板114上に設けられている。
【0048】
この一体化セグメントEL100の製造工程においては、所定のキーに対応した回路構成が印刷されたプリント基板114のキー対応の位置にドーム型をした金属ドーム113、113、113・・・を配置し、粘着層112を形成した上に、順次、各層を印刷して形成し、最後に、キー凸部104、104、104・・・を形成したベースフィルム105を貼り合わせれば良い。このように、セグメントELは銘板に加飾印刷と同様に直接印刷形成するか貼り合わせて形成することができる。また、詳細に説明することはしないが、EL発光面側にタッチパネルスイッチを貼り合わせた構造で、安価な照光タッチパネルスイッチを提供することもできる。
【0049】
これにより、形成した一体化セグメントELは、基板上のドームスィッチに接着して一体化され、十分のキー打鍵耐久性を有しており、キー部を独立して直接照光でき、3mm程度の厚みで各種電気機器の照光スイッチボタンを実現できるものである。
【0050】
以下、本発明の別の実施例を説明する。本発明の別の実施例のセグメントELスイッチ駆動制御回路は、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0051】
本発明の別の実施例のELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0052】
また、本発明の別の実施例のELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の前記発光素子点灯回路に前記発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことが前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知された際には、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0053】
また、本発明の別の実施例のELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の前記発光素子点灯回路に前記発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことを前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知する回路構成の線路と前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行う回路構成の線路とが同一の線路により達成している。
【0054】
また、本発明の別の実施例のELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の発光素子点灯回路に発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことが前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知された際には、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成し、前記キーボードマトリックス回路のスキャンニングの際に、各キーボードが押されたことを確認するスキャンニングの期間と各セグメント単位の発光素子の点灯制御の期間とを別の期間でシリアルに制御して、セグメント単位の発光素子の点滅制御を行うように構成している。
【0055】
また、本発明の別の実施例のELエレメントは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成し、前記複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路と一体化して構成している。
【0056】
さらに、本発明の別の実施例の電気機器は、ELエレメントを筐体に貼り付けた構成としている。
【0057】
本発明の基礎となるセグメントELスイッチ駆動制御回路は、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0058】
本発明の基礎となるELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0059】
また、本発明の基礎となるELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の前記発光素子点灯回路に前記発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことが前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知された際には、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成している。
【0060】
また、本発明の基礎となるELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の前記発光素子点灯回路に前記発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことを前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知する回路構成の線路と前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行う回路構成の線路とが同一の線路により達成している。
【0061】
また、本発明の基礎となるELは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設け、各交点の発光素子点灯回路に発光素子をセグメント単位に接続し、前記キーボード上の特定のキーが押されたことが前記キーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知された際には、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成し、前記キーボードマトリックス回路のスキャンニングの際に、各キーボードが押されたことを確認するスキャンニングの期間と各セグメント単位の発光素子の点灯制御の期間とを別の期間でシリアルに制御して、セグメント単位の発光素子の点滅制御を行うように構成している。
【0062】
また、本発明の基礎となるELエレメントは、複数のセグメント単位で発光する発光素子を備え、複数のキー構成を備えたキーボードのキーボードマトリックス回路の各交点に一つずつフォト・トライアック等の発光素子点灯回路を設けて、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成し、前記複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路と一体化して構成している。
【0063】
さらに、本発明の基礎となる電気機器は、ELエレメントを筐体に貼り付けた構成としている。
【0064】
以下、図面を用いて本発明の別の実施例について説明する。図4は本発明の別の実施例のELの駆動回路の構成の概要を示す回路図であり、図5はその動作を説明するために一つのELセグメントのみを抜き出して描いた回路図である。
【0065】
図4において、10,11,12,13はELの発光素子群、20,21,22,23は交流電源制御素子群、30,31,32,33はスイッチ素子群、40はCPUインターフェース、60は交流のインバータ電源である。図4に示したEL駆動回路は、発光素子群が複数の発光素子(ELセグメント)10,11,12,13・・・から成り、夫々のELセグメントに対して、交流電源制御素子群及びスイッチ素子群は、複数のフォト・トライアック20,21,22,23・・・、及び複数のキースイッチ30,31,32,33・・・を備えている。夫々のELセグメント10,11,12,13・・・は、CPUインターフェース40からの制御によってインバータ電源60からの電源を制御することにより点滅される。
【0066】
CPUインターフェース40は、公知のキーマトリックス・スキャン回路を備えており、入出力ポート側にプルアップ抵抗の構成を備えている。インバータ電源60は全てのELセグメント10,11,12,13・・・に対して共通に設けられている。インバータ電源60から供給される交流電源は100V、400Hzである。
【0067】
図4のELの点滅制御及びキースイッチスキャン回路は、格子状に接続されたキーボード回路上のキースイッチ(これについては周知の構成であるので、詳細の説明はしない)に対して、フォト・トライアック(交流を制御するための公知のフォトカプラであるので、特にその詳細の説明はしない)20,21,22,23・・・の発光素子側を並列接続し、受光素子側を交流インバータ電源60とELセグメント10,11,12,13・・・に直列接続した回路構成になっており、キーボード上の特定のキーが押されたことをキーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知する回路構成の線路と複数のELセグメントの内の特定のELセグメントの点滅制御を行う回路構成の線路とが同一の線路により達成されるように、キーボード回路上にELの点滅回路を重ねた構成になっている。
【0068】
図4に示された実施例の回路の動作を、図5の一つのELセグメントのみを抜き出して描いた回路図によって説明する。今、マイクロコンピュータに、キースイッチ30を押した際にELセグメント10を点灯させるというプログラムが設定されているとして、その際の動作を説明する。
【0069】
まず、図4及び図5を用いて、本発明の別の実施例の駆動回路の動作の概略を説明する。ELの点滅制御はインバータ電源で生成した交流電源のゼロクロス点をCPUの割り込みとして、このタイミングでCPUの出力ポート(O1〜O4)からフォト・トライアックの受光部のアノード側に対してHi信号を出力する。また、同様にCPUの入出力ポート(I1〜I4)からフォト・トライアックの受光部のカソード側に対してLow信号を出力しフォトトラアックをオンする。フォト・トライアックのターンオン保持特性を利用して、この割り込みのタイミングの時だけフォト・トライアックの制御をするだけでELの点灯/点滅/消灯を制御することができる。このように、ELの点滅制御にはほとんど時間が掛からないので、この空き時間にキースイッチスキャンを実効する。キースイッチスキャンは、CPUの出力ポート(O1〜O4)から順次Low信号を出力して入出力ポート(I1〜I4)でスイッチが押されていればLow、スイッチが押されていなければHiを検出することができる。このように、ELとキースイッチが同一配線上に存在するがそれぞれ制御が独立しているので、あるスイッチ入力を検出して、ある特定のELを点灯させるといったような制御を行うことができる。
【0070】
つまり、図5において、キースイッチ30が押されると、キースイッチ30の接点は閉じる。ここで出力ポート(OUT)の一番目の端子O1からプラスの信号を出すと、出力ポート(OUT)の一番目の端子O1からキースイッチ30を通して電流が流れ、その立ち上がりを入力ポート(IN)で所定のスキャンニングタイムで見ていれば、キースイッチ30が押されたことが検出できる。
【0071】
一方、図5において、フォト・トライアック20と交流インバータ電源60とELセグメント10とが直列で接続された回路を抜き出して、ELセグメント10を点灯させる動作の説明をする。
【0072】
フォト・トライアックは、交流信号をON・OFFするための素子であり、本発明においてはフォト・トライアックを利用したが、特にフォト・トライアックに限定されるものではない。図6(A)に示すように、本発明では、インバータ電源60から、例えば100V、400Hz(1周期2.5msec)の交流電源が供給されており、その交流電源のゼロクロスのポイント(a)で、フォト・トライアック20の入力側のLEDにパルスを出してやれば受光側のトライアックが半周期(1.25msec)の期間はオンし、それに繋がったELセグメント10は点灯することになる。しかしながら、ELは電流が供給され続けないと点灯を連続させることができない。そこで、インバータ電源60からの交流の次のゼロクロスのポイント(b)で、次のパルスを出してやればフォト・トライアック21の受光側のトライアックを次の半周期(1.25msec)の期間もオンさせることが可能となる。
【0073】
このように、図6(A)図に示す如く、インバータ電源の負荷電圧がゼロクロス電圧以下のポイントでフォト・トライアックの入力側LEDに対してパルス信号を出力することにより受光側のトライアックをオンさせることができる。この動作を、セグメント単位で、インバータ電源のゼロクロスのポイントで毎回制御を行うことで、各セグメントELの点灯、点滅、消灯を制御することが可能となる。
【0074】
次に、キースイッチ40のスキャンニングとフォト・トライアック20の点滅制御との関係を説明する必要がある。そのためには、それら二つの動作は同一のスキャンニングマトリックス回路により構成されているために、キーボードマトリックス回路のスキャンニングの際に、各キーボードが押されたことを確認するスキャンニングの期間と各セグメント単位の発光素子の点灯制御の期間とを別の期間でシリアルに制御して、セグメント単位の発光素子の点滅制御を行うように構成する必要がある。それを説明しているものが、図6(B)図である。本実施例では、インバータ電源60からの交流電源は100V、400Hz(1周期2.5msec)であるので、その半周期の十分短い時間をELセグメントの点滅制御期間とし、残りの時間を各キーボードのスキャンニング期間とするものである。
【0075】
つまり、ELの点滅制御はインバータ電源で生成した交流電源のゼロクロス点をCPUの割り込みとして、このタイミングでCPUの出力ポート(O1〜O4)からフォト・トライアックの受光部のアノード側に対してHi信号を出力する。また、同様にCPUの入出力ポート(I1〜I4)からフォト・トライアックの受光部のカソード側に対してLow信号を出力しフォトトラアックをオンする。前述したように、フォト・トライアックのターンオン保持特性を利用して、この割り込みのタイミングの時だけフォト・トライアックの制御をするだけでELの点灯/点滅/消灯を制御することができる。このように、ELの点滅制御にはほとんど時間が掛からないので、この空き時間にキースイッチスキャンを実効することが可能である。キースイッチスキャンは、CPUの出力ポート(O1〜O4)から順次Low信号を出力して入出力ポート(I1〜I4)でスイッチが押されていればLow、スイッチが押されていなければHiを検出することができる。このように、ELとキースイッチが同一配線上に存在するがそれぞれ制御が独立しているので、あるスイッチ入力を検出して、ある特定のELを点灯させるといったような制御を行うことができる。
【0076】
このように、ELの点灯を制御するためには、図6(B)のように、PortAからHi信号を出力しているタイミングでPortBからLow信号を出力することにより、ELの点灯を制御することができる。また、PortAからLow信号を出力しているタイミングでPortBを入力ポートに設定することでスイッチがONの時はLow、OFFの時はHiをPortBで検出することができる。
【0077】
図4及び図5の回路図では、キーボード上の特定のキーが押されたことをキーボードマトリックス回路の入出力を監視しているマイクロコンピュータにより検知する回路構成の線路と複数のELセグメントの内の特定のELセグメントの点滅制御を行う回路構成の線路とが同一の線路により達成されているので、その回路構成により達成される二つの操作、つまり、各キーボードが押されたことを確認するスキャンニングと各セグメント単位の発光素子の点灯制御とが関連性を持っていなければならない(例えば、キースイッチ30が押されたらELセグメント10が点灯する)ようにも理解されがちであるが、これら二つの動作は全く関係なく操作することも可能なものである。つまり、キースイッチ30が押されたら、それに対応するELセグメント10を点灯するように制御することも可能であるし、キースイッチ30が押されたら、次に押すべきスイッチ、例えばキースイッチ31に対応するELセグメント11を点灯するように制御することも可能なものである。
【0078】
図7において、ELセグメント10を点灯させる際の操作を説明する。図7に示すように、点灯すべきELセグメント10のマトリックス構成のPortAからHi信号を出力し、PortBからLow信号を出力する。これにより、ォト・トライアック20の入力側LEDに電流が流れる回路が構成される。このように、PortAからHi信号、PortBからLow信号を出力しない限り、フォト・トライアック20の入力側LEDに給電することができないため、単にスイッチ30のON/OFFではELセグメントの点灯を制御することができない回路構成になっている。また、スイッチと直列に大きな値の抵抗Rswを配置することでELセグメント10の点灯制御時にスイッチ30を押下しても、スイッチ30側に流れる電流を抑制しフォト・トライアック20の入力側LEDに安定して電流を供給できるのでスイッチ30のON/OFFの影響を受けずELセグメント10の点灯制御を行うことが可能である。
【0079】
以上の回路構成を備え、二つの操作の制御期間を分けることにより、一つの回路構成により、キーボードが押されたことを確認するスキャンニングと各セグメント単位の発光素子の点灯制御とを別々に制御することが可能となるものである。つまり、押されたキースイッチと同一線路上に配置されたELセグメントを点滅制御することも可能であるし、押されたキースイッチとは同一線路上に配置されていない別のELセグメントを点滅制御することも可能である。勿論、キースイッチON/OFFとは全く関係なく、マイコンでのプログラミングにより任意のELセグメントを点滅制御することも可能である。
【0080】
つまり、複数のキースイッチに対応して、位置的には各々の複数のキースイッチの下に一つずつのELセグメントを配置しておけば、特定のキースイッチが押されたら、その下に配置してあるELセグメントを点灯させて、押したキースイッチが何であるかをユーザに分からしめることも可能であるし、特定のキースイッチが押されたら、次に操作すべきキースイッチの下に配置してあるELセグメントを点滅させて、ユーザによる次の操作のガイダンスに用いてもよいし、キースイッチの操作とは全く関係なく、例えば、時間により或いは操作モードにより、ユーザに注意を喚起すべきキースイッチの下に配置してあるELセグメントを点滅させても良い。このように自由な、制御動作が一つの回路構成により達成できるものである。
【0081】
このように、キーボードが押されたことを確認するスキャンニングと各セグメント単位の発光素子の点灯制御とを時分割で別々に制御するためには、本発明の最適な実施例としては、二つの制御動作を同一の線路上で達成できる構成のものを説明しているが、次善の策としては、図8に示すように、その二つの制御動作を夫々達成する回路構成を別々に形成しても良い。
【0082】
図8(A)及び(B)に示すように、PortAにフォト・トライアック群20,21,22、PortBにスイッチ群30,31,32を別々に接続して、各ELセグメント10,11,12の点灯消灯を制御する場合はPortAから各ELセグメント10,11,12に対応するフォト・トライアック20,21,22の入力側LEDに対してHi信号を出力することで点灯させ、Low信号を出力することで消灯させることができる。また、PortBに接続した各スイッチ30,31,32はスイッチOFF時にHiを検出、スイッチON時にLowを検出することができる。これらのPortAとPortBの制御を時分割で行うことで同一配線上にスイッチとフォト・トライアックを接続した回路と同等の機能が得られる。
【0083】
このような構成により、ELの点滅制御とキースイッチスキャン制御を同一配線でタイムシェアリングして使用している。また、キースイッチはELの点滅用として専用に設けたスイッチではなく、ELの点滅以外においても何らかの制御をするスイッチとして構成することができる。勿論、EL点滅用のスイッチとしても使用するのが可能であることは言うまでもない。
【0084】
また、本発明は実施例として静電式タッチパネルSWに限定して説明し、別実施例としてドーム型スイッチの例を説明しているが、セグメント単位にELを発光させることが本発明の基本的技術思想であり、これに対応して配置されているスイッチの構成は特定の構成に限定されるものではなく、従来公知のスイッチであればどのようなスイッチであっても応用が可能なものである。例えば、タッチパネルSWであっても、抵抗膜式や光電管式の場合でも、どのスイッチが操作されたかの信号を取り込んでマイクロコンピュータによりセグメント単位のEL点滅制御を行うことが出来るものである。また、抵抗膜式タッチパネルSWの場合には、別実施例として説明したドームSWと同じように、EL下層面にスイッチを配置することも可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のELの駆動回路の概要を示す回路図である。
【図2】本発明のELの駆動回路の動作説明のために一つのセグメントELのみを抜き出して描いた回路図である。
【図3】本発明の別実施例を示す回路図である。
【図4】本発明の別実施例のELの駆動回路の概要を示す回路図である。
【図5】本発明の別実施例のELの駆動回路の動作説明のために一つのセグメントELのみを抜き出して描いた回路図である。
【図6】(A)(B) 本発明のEL点灯制御とスイッチ検出制御の説明図である。
【図7】本発明の別実施例のEL点灯制御の詳細説明図である。
【図8】(A)(B) 本発明の別実施例を示す回路図である。
【図9】本発明の回路構成を組み込んだユニットの外観構成図である。
【図10】(A)(B) 本発明のセグメントELユニットの層構造を示す断面図であり、(A)は別実施例のドーム型のスイッチを採用した場合であり、(B)は本発明のタッチパネル型のスイッチを採用した場合である。
【図11】本発明の別実施例のセグメントELユニットの層構造を示す詳細斜視図である。
【図12】本発明のタッチパネル型のスイッチを採用した場合の要部詳細図である。
【符号の説明】
【0086】
10,11,12,13・・・ELの発光素子群(ELセグメント)
20,21,22,23・・・交流電源制御素子群(フォト・トライアック)
30,31,32,33・・・スイッチ素子群(キースイッチ、タッチパネルスイッチ)
40・・・CPUインターフェース、60・・・交流のインバータ電源
90・・・タッチパネルスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数のセグメント単位で発光する発光素子と、複数のフォトカプラ等の発光素子点灯回路と、複数のタッチパネルスイッチとを備え、前記複数のタッチパネルスイッチの内のどのスイッチが操作されたかを感知するタッチセンサICからの信号に基づいてマイクロコンピュータによって前記発光素子点灯回路を制御し、前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス。
【請求項2】
前記複数のタッチパネルスイッチの内の特定のスイッチが押されたことが前記タッチセンサICによって感知された際には、前記マイクロコンピュータにより前記複数の発光素子の内の特定の発光素子セグメントの点滅制御を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセンス。
【請求項3】
前記複数のセグメントから成る発光素子及びその駆動制御回路をスイッチング回路、タッチパネルスイッチ制御回路と一体化して構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレクトロルミネッセンス・エレメント。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の内の一つの請求項に記載のエレクトロルミネッセンス・エレメントを構成するタッチパネルスイッチは静電容量を検知するスイッチ構成であり、複数の発光素子の上面に配置した透明電極であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス・エレメント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−123524(P2009−123524A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296307(P2007−296307)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(307037624)株式会社 函館セコニック (8)
【Fターム(参考)】