エレクトロルミネッセンス装置及び電子機器
【課題】広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することが可能なエレクトロルミネッセンス装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置1は、基板10と、基板10上に画素40ごとに形成された、有機発光層20を含む発光素子70と、基板10に貼り合わされた基板30とを有する。基板30は、対向面に、画素40Gの中央部に配置された色要素34g、及び画素40Gのうち当該画素40Gの外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された色要素34Gを有するカラーフィルタを備えている。ここで、色要素34gの透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率は色要素34gの透過率より低くなっている。画素40R,40Bについても同様である。
【解決手段】有機EL装置1は、基板10と、基板10上に画素40ごとに形成された、有機発光層20を含む発光素子70と、基板10に貼り合わされた基板30とを有する。基板30は、対向面に、画素40Gの中央部に配置された色要素34g、及び画素40Gのうち当該画素40Gの外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された色要素34Gを有するカラーフィルタを備えている。ここで、色要素34gの透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率は色要素34gの透過率より低くなっている。画素40R,40Bについても同様である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス装置(以下、EL装置とも呼ぶ)の一つの態様として、トップエミッション型と呼ばれる構成が知られている(特許文献1参照)。図11は、トップエミッション型の有機EL装置の例を示す断面図である。この有機EL装置は、接着剤28によって互いに対向して貼り合わされた基板10、基板30を有している。基板10上には、反射膜12、絶縁層14、画素電極16、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22、陰極24、薄膜封止層26がこの順に積層され、基板30上には、赤、緑、青の色要素34R,34G,34Bが、遮光層32に区画されて形成されている。有機発光層20からの光は、一部は直接基板30を透過して射出され、また一部は反射膜12によって反射されて基板30を透過して射出される。色要素34は、射出光の色純度を向上させる役割を果たす。
【0003】
ここで、陰極24はハーフミラーであり、反射膜12及び陰極24は、光共振器を構成している。この光共振器により、特定の波長域の光を高効率で取り出すことができ、有機EL装置の発光スペクトルの幅を狭めることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−302748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記光共振器から斜めに射出される光(以下、広角光と呼ぶ)は、正面に射出される光(以下、正面光と呼ぶ)よりも光共振器内の光路長が長いため、発光スペクトルが正面光より短波長側にシフトしてしまうという問題点がある。例えば、ある緑の発光素子の正面における発光スペクトルが図12の曲線58である場合に、当該発光素子から50度の射出角で射出された広角光の発光スペクトルは同図の曲線59のように短波長側にシフトする。このとき、正面光の色度は図13のプロット67であるのに対し、広角光の色度は、同図のプロット68のようにシフトしてしまう。このように、トップエミッション型の有機EL装置においては、広角光の、正面光に対する色相のずれが生じやすいという問題点がある。なお、ハーフミラーを用いた光共振器を積極的に設けない構成であっても、トップエミッション型の有機EL装置では、発光層を挟むいずれかの2層間で光共振器が構成されるため、上記問題点が生じる。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の奏する効果の一つにより、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、有色発光を行う画素を有するエレクトロルミネッセンス装置であって、第1の基板と、前記第1の基板上に前記画素ごとに形成された、発光層を含む発光素子と、前記第1の基板の前記発光素子が形成された面に対向して、前記第1の基板と貼り合わされた透光性を有する第2の基板と、前記第2の基板の対向面に形成され、前記画素の中央部に配置された第1の色要素、及び前記画素のうち当該画素の外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された第2の色要素を有するカラーフィルタと、を備え、前記第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低いことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、正面光と広角光との間で、カラーフィルタのうち第2の色要素を透過する割合を変えることができる。より詳しくは、広角光は、正面光と比較して、画素の外周に沿う領域に配置された第2の色要素を透過する割合が高くなる。ここで、第2の色要素の透過率は、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第1の色要素の透過率より低い。このため、広角光のうちスペクトルが短波長側にシフトした波長成分は、第2の色要素によって一定量吸収される。この結果、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。上記構成において「透過スペクトル」とは、可視光域についての透過スペクトルを指す。また、「前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低い」との事項については、必ずしも上記波長域のすべての波長に対して満たされていなくともよく、上記波長域における第2の色要素の透過スペクトルの、波長についての積分値が、第1の色要素の同積分値より小さい構成となっていれば足りる。
【0009】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記画素は長方形又は長円形であり、前記第2の色要素は、前記画素のうち、当該画素の外周の長辺に沿う領域に少なくとも配置されていることが好ましい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光について、第2の色要素を透過する割合を高めることができる。このため、観察方向を画素の短軸の延在方向に傾けた場合の色相のずれを抑制することができ、エレクトロルミネッセンス装置の視角特性を向上させることが可能となる。上記構成において「長円形」とは、2つの向かい合う半円を2つの長辺で繋いだトラック状の図形をいう。
【0010】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記発光素子の発光領域は、前記画素の短軸方向の幅が、前記画素の短軸より短い構成であることが好ましい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光のうち、射出角が小さい広角光についても、第2の色要素を透過する割合を高くすることができる。
【0011】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記発光素子の発光領域と、前記第1の色要素とは、前記画素の短軸方向の幅が等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が前記第1の基板の法線方向から見て重なっていてもよい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光のうち、正面光以外のすべての広角光について、第2の色要素を透過する割合を、正面光より高くすることができる。これにより、正面光以外のすべての広角光について、色相のずれを抑制する効果を得ることができる。
【0012】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記第2の色要素の色純度は、前記第1の色要素の色純度より高い構成であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素の透過率は、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第1の色要素の透過率より低くなる。このため、広角光のうちスペクトルが短波長側にシフトした波長成分を、第2の色要素によって一定量吸収することができ、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することが可能となる。
【0013】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記第2の色要素は、その透過スペクトルにおいて最大の透過率を与える波長が前記第1の色要素より大きい構成であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素は、第1の色要素と比較して、長波長側においてより透過率が高い透過スペクトルを有することとなる。これにより、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第2の色要素の透過率を第1の色要素の透過率より容易に低くすることができる。
【0014】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記第1の色要素と前記第2の色要素とは、同一の材料からなり、前記第2の色要素の厚さは、前記第1の色要素の厚さより大きい構成であってもよい。また、前記第1の色要素は透明であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素の透過スペクトルは、第1の色要素の透過スペクトルに対し、可視光領域の全体にわたって透過率が低くなる。これにより、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第2の色要素の透過率を第1の色要素の透過率より容易に低くすることができる。
【0015】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記発光素子は、前記第1の基板と前記発光層との間に形成された反射膜と、前記発光層を挟んで前記反射膜の反対側に形成された半透過反射膜とを有し、前記反射膜と前記半透過反射膜との間で、前記発光層からの光を共振させる光共振器構造を有していてもよい。このような光共振器からの広角光の発光スペクトルは、正面光に対して短波長側にシフトする。また、当該広角光は、正面光と比較して第2の色要素を透過する割合が高くなる。ここで、広角光のうち短波長側にシフトした波長成分は、第2の色要素によって一定量吸収される。このため、上記構成によれば、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記エレクトロルミネッセンス装置を表示部に備えることを特徴とする。このような構成によれば、視角による色相のずれの少ない、高品位な表示が可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置1を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。図1(b)に示すように、有機EL装置1は、透明な接着剤28を介して互いに対向して貼り合わされた、第1の基板としての基板10と、第2の基板としての基板30を有している。このうち、基板30は透光性を有しており、例えばガラスからなる。基板10と基板30とは、基板10の外縁部に配置された枠状のシール剤52によっても固着されている。シール剤52には、球状のギャップ材54が含まれている。ギャップ材54は、基板10と基板30とを支持しており、これらの基板間隔を一定に保つ役割を果たす。
【0019】
基板10のうち基板30に対向する面(対向面)には、画素電極16を含む薄膜層50が形成されている。基板30のうち基板10に対向する面(対向面)には、カラーフィルタが形成されている。カラーフィルタは、遮光層32と、当該遮光層32によって区画された領域に配置された色要素34r,34R,34g,34G,34b,34B(以下、まとめて色要素34とも呼ぶ)とを含んでいる。色要素34は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収することによって透過光を所定の色(例えば赤、緑、青等)とすることが可能な物質である。色要素34r,34Rは赤色系の光を透過し、色要素34g,34Gは緑色系の光を透過し、色要素34b,34Bは青色系の光を透過する。色要素34は、例えば、色要素材料としての顔料を含む感光性樹脂を塗布して露光現像することにより形成される。ここで、顔料に代えて染料を用いてもよい。
【0020】
図1(a)に示すように、遮光層32は格子状に配置されており、この格子によって枠取られた長方形の領域が、画素40に相当する。画素40は、赤、緑、青の発光をそれぞれ行う画素40R,40G,40Bの3種類からなる。画素40は、マトリクス状に配置されており、行方向には画素40R,40G,40Bがこの順に繰り返し配列され、列方向には同一の色に対応する画素40がストライプ状に配列されている。
【0021】
上記した色要素34rは、画素40Rの中央部の長方形の領域に配置されている。一方、色要素34Rは、画素40Rのうち、画素40Rの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。換言すれば、画素40Rのうち、色要素34rが配置されていない領域に排他的に配置されている。同様に、色要素34gは、画素40Gの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Gは、画素40Gのうち、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。また、色要素34bは、画素40Bの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Bは、画素40Bのうち、画素40Bの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。色要素34r,34g,34bは、本発明における第1の色要素に対応し、色要素34R,34G,34Bは、本発明における第2の色要素に対応する。
【0022】
図4は、色要素34g及び色要素34Gの透過スペクトルを示す図である。この図において、符号61を付した曲線は色要素34Gの透過スペクトルを示し、符号62を付した曲線は色要素34gの透過スペクトルを示す。このように、色要素34gと色要素34Gとは、透過スペクトルが互いに異なっている。
【0023】
具体的には、色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62より色純度が高いものとなっている。ここで、色純度とは、単色光と特定の白色光とを加法混色して試料の色と等しくなったときの単色光の刺激と、この特定の白色光の刺激との比をいう。したがって、透過スペクトルが単色光に近いほど色純度が高いと言え、簡易的には透過スペクトルの半値幅が小さいほど色純度が高いとも言える。図4から明らかなように、色要素34Gの透過スペクトル61の半値幅は、色要素34gの透過スペクトル62の半値幅より狭く、色純度が高くなっている。
【0024】
加えて、色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62と比較して、最大の透過率を与える波長(以下では主透過波長とも呼ぶ)が大きくなっている(長波長側にシフトしている)。
【0025】
以上から、色要素34Gは、色要素34gの主透過波長を長波長側にシフトさせるとともに、色純度を向上させたものであると言える。この結果、色要素34gの透過スペクトル62のうち最大の透過率を与える波長(図4では約500nm)より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率(透過スペクトル61参照)は、色要素34gの透過率(透過スペクトル62参照)より低くなっている。色要素34rと色要素34Rの関係、及び色要素34bと色要素34Bの関係も、上記の色要素34gと色要素34Gの関係と同様となるように構成されている。
【0026】
図1に戻り、画素電極16の形成領域について説明する。画素電極16は、画素40ごとに形成されており、その形成領域は、図1(a)において破線で表されている。具体的には、画素電極16の形成領域は、色要素34r,34g,34bの形成領域全体を内包するとともに、画素40に内包される大きさの長方形である。画素電極16は、基板10上に形成された薄膜層50に含まれる構成要素である。以下では、薄膜層50の構成要素について詳述する。
【0027】
図2は、図1(b)の断面図を拡大した図である。この図において、反射膜12から薄膜封止層26までの層が、薄膜層50に相当する。
【0028】
基板10上には、反射膜12、絶縁層14、陽極としての画素電極16、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22、陰極24、薄膜封止層26がこの順に積層されており、これらの要素により、素子基板が構成されている。また、基板30上には、上記したように遮光層32及び色要素34を含むカラーフィルタが形成されており、これらの要素により封止基板が構成されている。上記素子基板と上記封止基板とは、接着剤28を介して貼り合わされている。上記において、有機発光層20は、本発明における発光層に対応する。有機EL装置1は、有機発光層20において発光した光を基板30側から取り出す構成のいわゆるトップエミッション型の発光装置であり、観察者は、基板30の側から表示を観察する。上記のうち、画素40ごとに形成された、反射膜12から陰極24までの構成要素からなる素子が、発光素子70に相当する。
【0029】
上記のうち、基板10は、ガラス基板や石英基板等の上に公知の技術を用いてTFT(Thin Film Transistor)素子や各種配線(TFT素子を駆動するためのデータ線、走査線等)、絶縁膜等が形成された、いわゆるTFT素子基板である。反射膜12は、アルミニウム又は銀等から構成することができる。画素電極16は、反射膜12上に、反射膜12との短絡を防止するためのSiN等からなる絶縁層14を挟んで配置された、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極である。画素電極16は、各画素40に一つずつ配置されており、それぞれの画素電極16は、基板10に含まれるTFT素子を介して、データ線(不図示)に接続されている。陰極24は、マグネシウムと銀の合金を薄く形成してハーフミラー状としたものであり、光反射性及び光透過性を兼ね備えている。
【0030】
画素電極16と陰極24との間には、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22がこの順に積層されている。有機発光層20は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。画素電極16と陰極24との間に電圧を印加することによって、有機発光層20には、正孔輸送層18から正孔が、また、電子輸送層22から電子が注入され、有機発光層20においてこれらが再結合したときに発光が行われる。有機発光層20からの光は、一部は直接陰極24を透過し、一部は反射膜12によって反射されてから陰極24を透過する。いずれにせよ、有機発光層20からの光は、陰極24を透過し、その後薄膜封止層26、接着剤28、色要素34、基板30を順に透過する。
【0031】
ここで、反射膜12及び陰極24は、いわゆる光共振器を構成している。このため、有機発光層20において発せられた光は、反射膜12と陰極24との間を往復し、共振波長の光だけが基板30側から取り出される。よって、ピーク強度が高く幅が狭いスペクトルを有する光を取り出すことができ、有機EL装置1による発光の色再現性を向上させることができる。
【0032】
上記共振波長は、光共振器の長さを変えることによって調整可能である。有機EL装置1においては、画素電極16の厚さを変えることによって光共振器の長さを調整している。より詳細には、画素40R,40G,40Bにおいてこの順に画素電極16を薄くしていく構成により、光共振器の長さ、及び共振波長がこの順に長くなるようになっている。具体的には、画素40R,40G,40Bにおける画素電極16の厚さはそれぞれ90nm,50nm,20nmとなっている。これにより、共振波長は、画素40Rにおいては赤色、画素40Gにおいては緑色、画素40Bにおいては青色に相当する波長に設定される。この結果、陰極24からは、共振波長に応じて赤、緑、または青の光が選択的に射出される。
【0033】
陰極24を覆って形成された薄膜封止層26は、SiON等からなる透光性を有する部材であり、発光素子70を保護するとともに、光共振器の形成のためにできた陰極24の段差を埋めて平滑にする役割を果たす。
【0034】
基板30上に形成された色要素34は、上記したように、入射した光のうちの特定の波長成分を吸収することによって透過光を着色する部材である。色要素34を配置することによって、有機EL装置1から取り出される光の色純度が向上するとともに、視野角による色の変化を抑えることができ、かつ外光の反射をある程度遮断することができる。色要素34は、エポキシ樹脂からなる接着剤28を介して薄膜封止層26と対向している。
【0035】
色要素34を区画する遮光層32は、上述したようにカラーフィルタの一部を構成する。遮光層32は、光をほとんど透過させない樹脂であり、各画素40間の表示の混色を防止する役割を果たす。遮光層32は、色要素34と同様に、フォトリソグラフィー法等によって形成される。
【0036】
続いて、図3を用いて、有機EL装置1の視角特性について説明する。図3は、図1(a)中のA−A線に沿った断面のうち、緑に対応する画素40Gを拡大して示す断面図である。この図においては、基板10上に形成された要素のうち、画素電極16、有機発光層20、陰極24を除く構成要素は省略されている。
【0037】
この図において、画素40Gの幅(すなわち短軸方向の幅)は、80μmである。このうち、色要素34gが占める部分の幅L1は32μmであり、色要素34Gが占める幅L2は左右それぞれ24μmである。また、色要素34の表面から、発光素子70の発光面までの距離Dは、43μmである。一方、画素電極16の幅Wは40μmである。ここで、発光素子70の発光領域の幅は、画素電極16の幅によって規定されるため、発光素子70の発光領域の幅も40μmとなる。以上から分かるように、発光素子70の発光領域のうち画素40Gの短軸の延在方向についての幅は、画素40の短軸方向の幅より小さくなっている。
【0038】
このような構成によれば、発光素子70から射出された正面光(図3中の一点鎖線)は、80%が色要素34gを透過し、20%が色要素34Gを透過する。ここで、画素40Gの発光素子70から正面に射出する光の発光スペクトルは、図12の曲線58に示されている。そして、色要素34g,34Gを透過した後の光は、曲線58と、透過する色要素34g,34Gの透過スペクトルとの積によって得られるスペクトルを有することとなる。具体的には、上記曲線58で示された発光スペクトルと、図4の透過スペクトル62との積、及び透過スペクトル61との積について、8:2の重み付けがなされて足し合わされたスペクトルを有する光が取り出される。
【0039】
一方、図3において、発光素子70からの光の射出方向が正面からずれ、射出角が所定値より大きくなると、射出光は、色要素34gの一部を透過しなくなるとともに、色要素34Gを透過する成分が増加していく。ここで、射出角の上記所定値とは、射出光が図3中の片側の色要素34Gに入射しなくなる最小の角度である。射出角がさらに大きくなり、50度に達すると、このような広角光(図3中の二点鎖線)では、色要素34gを透過する成分は30%にとどまり、残る70%が色要素34Gを透過するようになる。
【0040】
画素40Gの発光素子70から50度の広角で射出する光の発光スペクトルは、図12の曲線59に示されている。そして、色要素34g,34Gを透過した後の光は、上記曲線59で示された発光スペクトルと、図4の透過スペクトル62との積、及び透過スペクトル61との積について、3:7の重み付けがなされて足し合わされたスペクトルを有する。ここで、図12から明らかなように、広角光の発光スペクトル(曲線59)は、正面光の発光スペクトル(曲線58)から短波長側にシフトしている。しかしながら、その光の多くの部分は、短波長側の透過率の小さい透過スペクトル61を有する色要素34Gを透過するため、上記のように短波長側にシフトした成分が一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置の視角特性を向上させることができる。
【0041】
図5は、緑に対応する画素40Gから取り出される光の色度を示す図であり、プロット65は有機EL装置1から外部に取り出される正面光の色度、プロット66は有機EL装置1から外部に取り出される50度の広角光の色度、プロット68は図13に示した従来の構成の有機EL装置から取り出される50度の広角光の色度を示している。この図から分かるように、色要素34g,34Gの配置、及び画素電極16の配置に工夫を加えた本実施形態の有機EL装置1は、正面光に対する広角光の色相のずれが従来と比較して小さく抑えられている。
【0042】
以上は、緑に対応する画素40Gを例に説明したが、赤、青に対応する画素40R,40Bにおいても同様の作用によって広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、基板10上の構成要素の配置に変更を加えたものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の各図においては第1の実施形態と同じ要素には同じ符号を付して示すことにして、重複する説明は省略する。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る有機EL装置1Aの断面図であり、第1の実施形態における図1(b)に相当する図である。有機EL装置1Aは、基板10上の画素電極16が形成されていない領域に配置された、樹脂等からなるバンク55を有している。換言すれば、画素電極16は、基板10とバンク55とが形作る凹部に形成されている。また、薄膜層50のうち、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22も上記凹部に形成されている。したがって、発光素子70はバンク55に囲まれた領域に形成されることとなり、当該領域が発光素子70の発光領域となる。
【0045】
そして、バンク55と遮光層32との間には、ギャップ材56が配置されている。ギャップ材56は、ギャップ材54より直径の小さい樹脂等からなり、ギャップ材54と同様に、基板10と基板30とを支持してこれらの基板間の距離を一定に保つ役割を果たす。ギャップ材56のこのような効果により、図3における距離Dがすべての画素40にわたって略一定となる。このとき、すべての画素40において、ある角度で射出された広角光の、色要素34gを透過する成分と色要素34Gを透過する成分との比率が略等しくなる。このことは、色要素34rと色要素34R、及び色要素34bと色要素34Bについても同様である。このため、場所による視角特性のムラを生じにくくすることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、基板30上に形成されたカラーフィルタの構成に変更を加えたものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0047】
図7は、第3の実施形態に係る有機EL装置1Bの拡大断面図であり、第1の実施形態における図1(b)に相当する図である。有機EL装置1Bにおいては、カラーフィルタは、遮光層32と、色要素34R,34G,34Bと、透光性を有するオーバーコート36とから構成され、第1の実施形態における色要素34r,34g,34bを含んでいない。オーバーコート36は、色要素34R,34G,34Bの上に積層されており、色要素34R,34G,34Bの表面を保護し、かつその凹凸を平坦化する役割を果たす。
【0048】
このうち、例えば色要素34Gは、画素40G内において凹状となるような凹凸を有している。より詳しくは、色要素34Gのうち、画素40Gの中央部の長方形の領域、すなわち第1の実施形態において色要素34gが形成されている領域における厚さがmとなっている。また、当該長方形以外の領域であって、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域、すなわち第1の実施形態において色要素34Gが形成されている領域における厚さがMとなっている。そして、mとMの間には、m<Mの関係がある。ここで、本実施形態では、色要素34Gのうち、厚さmを有する部分が本発明における第1の色要素に相当し、厚さMを有する部分が本発明における第2の色要素に相当する。すなわち、本実施形態における第1の色要素及び第2の色要素は、同一の材料からなり、第2の色要素の厚さが、第1の色要素の厚さより大きくなっている。上記は、画素40G及び色要素34Gについての説明であるが、画素40R,40B及び色要素34R,34Bについても同様の構成となっている。
【0049】
色要素34を厚くすると、可視光領域の全体にわたって透過率が低下する。したがって、上記構成によれば、色要素34R,34G,34Bのうち、厚さMを有する部分の透過スペクトルは、厚さmを有する部分の透過スペクトルに対し、可視光領域の全体にわたって透過率が低くなる。また、第1の実施形態と同様の作用により、発光素子70から射出された広角光は、正面光に比べて、厚さMを有する部分を多く透過する。このため、広角光のうち短波長側にシフトした成分は、色要素34R,34G,34Bのうち厚さMを有する部分によって一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置1Bの視角特性を向上させることができる。
【0050】
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、基板30上に形成されたカラーフィルタが、遮光層32を持たない点で第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0051】
図8は、第4の実施形態に係る有機EL装置1Cを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B線における断面図である。有機EL装置1Cにおいては、基板30上に遮光層32が形成されておらず、色要素34は、互いに隣接するように形成されている。色要素34gは、画素40Gの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Gは、画素40Gのうち、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。換言すれば、色要素34Gは、画素40Gのうち、色要素34gが配置されていない領域に配置されている。以上の構成は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。
【0052】
このような構成によっても、広角光は、正面光と比較して、色要素34R,34G,34Bを透過する割合が大きくなる。このため、第1の実施形態と同様、広角光のうち短波長側にシフトした成分が、色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置1Cの視角特性を向上させることができる。
【0053】
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態と比較して、色要素34及び画素電極16の配置領域が異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0054】
図9は、第5の実施形態に係る有機EL装置1Dの平面図である。有機EL装置1Dにおいては、色要素34Gは、長方形の画素40Gのうち、外周の長辺に沿う領域に配置されている。そして、色要素34gは、画素40Gの中央部に加えて、画素40Gの外周の短辺に沿う領域にまで延設されている。換言すれば、画素40Gには、画素40Gの長辺と同じ長さを有する帯状の1つの色要素34gと2つの色要素34Gが含まれており、色要素34gが色要素34Gに挟まれるように配置されている。以上の構成は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。
【0055】
このような構成によれば、画素40の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光について、色要素34R,34G,34Bを透過する割合を高めることができる。このため、観察方向を画素40の短軸の延在方向に傾けた場合の色相のずれを効果的に抑制することができ、有機EL装置1Dの視角特性を向上させることが可能となる。
【0056】
(電子機器)
上述した有機EL装置1(有機EL装置1Aから1Dを含む)は、例えば、図10に示すような「電子機器」としての携帯電話機100に搭載して用いることができる。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた有機EL装置1によって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報をはじめとする様々な情報について、広角光において色相のずれの少ない、高品位な表示を行うことができる。
【0057】
なお、本発明を適用した有機EL装置1は、上記携帯電話機100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0059】
(変形例1)
本発明の実施にあたっては、図3における、色要素34の表面から発光素子70の発光面までの距離Dを任意に変更することができる。距離Dを変更するためには、図1(b)に示すギャップ材54や、図6に示すギャップ材56の直径を変更すればよい。距離Dを小さくすると、射出角を変化させたときの、色要素34R,34G,34Bを透過する割合の変化率が小さくなる。換言すれば、射出角の大きな広角光についても、射出角に応じた色相ずれの抑制効果を持たせることが可能となる。一方、距離Dを大きくすると、射出角を変化させたときの、色要素34R,34G,34Bを透過する割合の変化率が大きくなる。この場合は、比較的狭い範囲の射出角について広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0060】
(変形例2)
上記実施形態において、色要素34r,34g,34bを透明にしてもよい。このような構成によっても、射出角が大きいほど色要素34R,34G,34Bを透過する割合が増加するため、広角光のうち短波長側にシフトした成分を色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収することができる。これにより、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0061】
(変形例3)
図4に示すように、上記実施形態の色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62の主透過波長を長波長側にシフトさせるとともに、色純度を向上させたものであるが、これに限定する趣旨ではない。このような構成に代えて、例えば色要素34gと色要素34Gとを同一の色相とし、色純度のみを変える構成としてもよい。この場合は、色要素34g,34Gの主透過波長が略同一となる。また、色要素34Gの透過スペクトルは、色要素34gの透過スペクトルと略同一の半値幅とし、主透過波長を色要素34gより長波長側にシフトさせたものとすることもできる。これらの構成によっても、色要素34gの透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率を色要素34gの透過率より低くすることができる。上記のような構成は、色要素34rと色要素34R、又は色要素34bと色要素34Bにも適用可能である。本変形例の構成によっても、広角光のうち短波長側にシフトした成分を色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収し、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0062】
(変形例4)
上記実施形態では、画素電極16の形成領域は、基板10の法線方向から見て、色要素34r,34g,34bの形成領域全体を内包するとともに、画素40に内包される大きさの長方形であるが、これに限定する趣旨ではない。上記構成に代えて、例えば、画素電極16の配置領域(すなわち発光素子70の発光領域)と、色要素34gとが、画素40Gの短軸方向の幅が互いに等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が基板10の法線方向から見て重なるような配置としてもよい。この場合は、画素40Gの発光素子70からの正面光は、すべて色要素34gに入射し、正面光以外の広角光は、射出角に応じた割合で必ず色要素34Gに一部が入射する。したがって、正面光以外のすべての広角光について、色相のずれを抑制する効果を得ることができる。上記は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。また、上記構成に代えて、画素電極16を画素40の全体にわたって形成してもよく、この場合でも広角光の色相のずれを抑制することが可能である。
【0063】
(変形例5)
上記実施形態では、例えば画素40Gに配置される色要素は、色要素34g,34Gの2種のみであるが、これ以外の緑系の色要素を加えて3種以上の色要素から構成するようにしてもよい。追加する色要素は、例えば、色要素34gと色要素34Gの中間の透過スペクトルを有する色要素とし、色要素34gと色要素34Gに挟まれるような領域に配置する。上記は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。このような構成によれば、射出角に応じてよりきめ細かく色相ずれの抑制効果を得ることができる。
【0064】
(変形例6)
上記実施形態は、陰極24をハーフミラー状とし、積極的に光共振器を形成する構成であるが、光共振器を形成しない構成としてもよい。光共振器を積極的に設けない構成であっても、トップエミッション型の有機EL装置では、有機発光層20を挟むいずれかの2層間で光共振器が構成されるため、広角光の色相ずれの問題が生じる。このとき、上記実施形態に示したような色要素34の配置等によって、当該色相ずれを抑制することができる。
【0065】
(変形例7)
本発明の第2の色要素に対応する色要素34R,34G,34Bは、画素40のうち当該画素40の外周に沿う領域のすべてに配置されていなくともよく、この領域の少なくとも一部に配置されていればよい。このようにすれば、発光素子70から射出された広角光は、正面光に比べて、色要素34R,34G,34Bをより多く透過する。このため、広角光のうち短波長側にシフトした成分が一定量吸収され、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0066】
(変形例8)
上記第1の実施形態は、格子状の遮光層32を有する構成であり、また、第4の実施形態は、遮光層32をもたない構成である。遮光層32の配置はこれに限られず、例えば、遮光層32を部分的に設ける構成としてもよい。一例としては、長辺を挟んで隣接する画素40の間にのみ遮光層32を設け、短辺を挟んで隣接する画素40の間には設けない構成とすることができる。このような構成によっても、広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0067】
(変形例9)
上記実施形態は、画素40が長方形をなしているが、これに限定する趣旨ではなく、例えば長円形とすることができる。ここで長円形とは、2つの向かい合う半円を2つの長辺で繋いだトラック状の図形をいう。このような構成においても、画素40のうち上記長辺に沿う領域に色要素34R,34G,34Bを配置することにより、広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0068】
(変形例10)
上記実施形態において、画素40及び色要素34は、赤、緑、青の3色に対応する構成であるが、これに代えて、4色以上の色に対応する構成としてもよい。例えば、赤、青、の2色に、青から黄までの色相の中で選択された2種の色を加えた4色に対応する構成とすることができる。後者の2色は、例えば緑及びシアンとすることができる。
【0069】
(変形例11)
上記実施形態において、発光素子70に含まれる正孔輸送層18、電子輸送層22は、必要に応じて配置すればよく、必ずしも形成しなくてもよい。また、薄膜封止層26も、接着剤28が同様の機能を兼ねる場合は省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。
【図2】図1(b)の断面図を拡大した図。
【図3】図1(a)中のA−A線に沿った断面のうち、緑に対応する画素を拡大して示す断面図。
【図4】色要素34g及び色要素34Gの透過スペクトルを示す図。
【図5】緑に対応する画素から取り出される光の色度を示す図。
【図6】第2の実施形態に係る有機EL装置の断面図。
【図7】第3の実施形態に係る有機EL装置の拡大断面図。
【図8】第4の実施形態に係る有機EL装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。
【図9】第5の実施形態に係る有機EL装置の平面図。
【図10】電子機器としての携帯電話機の模式斜視図。
【図11】トップエミッション型の有機EL装置の例を示す断面図。
【図12】正面光及び広角光の発光スペクトルを示す図。
【図13】正面光及び広角光の色度を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,1C,1D…エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置、10…第1の基板、12…反射膜、14…絶縁層、16…画素電極、18…正孔輸送層、20…有機発光層、22…電子輸送層、24…陰極、26…薄膜封止層、28…接着剤、30…第2の基板、32…遮光層、34r,34g,34b…第1の色要素、34R,34G,34B…第2の色要素、36…オーバーコート、40,40R,40G,40B…画素、50…薄膜層、52…シール剤、54,56…ギャップ材、55…バンク、70…発光素子、100…携帯電話機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス装置(以下、EL装置とも呼ぶ)の一つの態様として、トップエミッション型と呼ばれる構成が知られている(特許文献1参照)。図11は、トップエミッション型の有機EL装置の例を示す断面図である。この有機EL装置は、接着剤28によって互いに対向して貼り合わされた基板10、基板30を有している。基板10上には、反射膜12、絶縁層14、画素電極16、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22、陰極24、薄膜封止層26がこの順に積層され、基板30上には、赤、緑、青の色要素34R,34G,34Bが、遮光層32に区画されて形成されている。有機発光層20からの光は、一部は直接基板30を透過して射出され、また一部は反射膜12によって反射されて基板30を透過して射出される。色要素34は、射出光の色純度を向上させる役割を果たす。
【0003】
ここで、陰極24はハーフミラーであり、反射膜12及び陰極24は、光共振器を構成している。この光共振器により、特定の波長域の光を高効率で取り出すことができ、有機EL装置の発光スペクトルの幅を狭めることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−302748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記光共振器から斜めに射出される光(以下、広角光と呼ぶ)は、正面に射出される光(以下、正面光と呼ぶ)よりも光共振器内の光路長が長いため、発光スペクトルが正面光より短波長側にシフトしてしまうという問題点がある。例えば、ある緑の発光素子の正面における発光スペクトルが図12の曲線58である場合に、当該発光素子から50度の射出角で射出された広角光の発光スペクトルは同図の曲線59のように短波長側にシフトする。このとき、正面光の色度は図13のプロット67であるのに対し、広角光の色度は、同図のプロット68のようにシフトしてしまう。このように、トップエミッション型の有機EL装置においては、広角光の、正面光に対する色相のずれが生じやすいという問題点がある。なお、ハーフミラーを用いた光共振器を積極的に設けない構成であっても、トップエミッション型の有機EL装置では、発光層を挟むいずれかの2層間で光共振器が構成されるため、上記問題点が生じる。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の奏する効果の一つにより、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、有色発光を行う画素を有するエレクトロルミネッセンス装置であって、第1の基板と、前記第1の基板上に前記画素ごとに形成された、発光層を含む発光素子と、前記第1の基板の前記発光素子が形成された面に対向して、前記第1の基板と貼り合わされた透光性を有する第2の基板と、前記第2の基板の対向面に形成され、前記画素の中央部に配置された第1の色要素、及び前記画素のうち当該画素の外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された第2の色要素を有するカラーフィルタと、を備え、前記第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低いことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、正面光と広角光との間で、カラーフィルタのうち第2の色要素を透過する割合を変えることができる。より詳しくは、広角光は、正面光と比較して、画素の外周に沿う領域に配置された第2の色要素を透過する割合が高くなる。ここで、第2の色要素の透過率は、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第1の色要素の透過率より低い。このため、広角光のうちスペクトルが短波長側にシフトした波長成分は、第2の色要素によって一定量吸収される。この結果、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。上記構成において「透過スペクトル」とは、可視光域についての透過スペクトルを指す。また、「前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低い」との事項については、必ずしも上記波長域のすべての波長に対して満たされていなくともよく、上記波長域における第2の色要素の透過スペクトルの、波長についての積分値が、第1の色要素の同積分値より小さい構成となっていれば足りる。
【0009】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記画素は長方形又は長円形であり、前記第2の色要素は、前記画素のうち、当該画素の外周の長辺に沿う領域に少なくとも配置されていることが好ましい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光について、第2の色要素を透過する割合を高めることができる。このため、観察方向を画素の短軸の延在方向に傾けた場合の色相のずれを抑制することができ、エレクトロルミネッセンス装置の視角特性を向上させることが可能となる。上記構成において「長円形」とは、2つの向かい合う半円を2つの長辺で繋いだトラック状の図形をいう。
【0010】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記発光素子の発光領域は、前記画素の短軸方向の幅が、前記画素の短軸より短い構成であることが好ましい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光のうち、射出角が小さい広角光についても、第2の色要素を透過する割合を高くすることができる。
【0011】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記発光素子の発光領域と、前記第1の色要素とは、前記画素の短軸方向の幅が等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が前記第1の基板の法線方向から見て重なっていてもよい。このような構成によれば、画素の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光のうち、正面光以外のすべての広角光について、第2の色要素を透過する割合を、正面光より高くすることができる。これにより、正面光以外のすべての広角光について、色相のずれを抑制する効果を得ることができる。
【0012】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記第2の色要素の色純度は、前記第1の色要素の色純度より高い構成であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素の透過率は、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第1の色要素の透過率より低くなる。このため、広角光のうちスペクトルが短波長側にシフトした波長成分を、第2の色要素によって一定量吸収することができ、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することが可能となる。
【0013】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記第2の色要素は、その透過スペクトルにおいて最大の透過率を与える波長が前記第1の色要素より大きい構成であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素は、第1の色要素と比較して、長波長側においてより透過率が高い透過スペクトルを有することとなる。これにより、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第2の色要素の透過率を第1の色要素の透過率より容易に低くすることができる。
【0014】
上記エレクトロルミネッセンス装置においては、前記第1の色要素と前記第2の色要素とは、同一の材料からなり、前記第2の色要素の厚さは、前記第1の色要素の厚さより大きい構成であってもよい。また、前記第1の色要素は透明であってもよい。このような構成によれば、第2の色要素の透過スペクトルは、第1の色要素の透過スペクトルに対し、可視光領域の全体にわたって透過率が低くなる。これにより、第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、第2の色要素の透過率を第1の色要素の透過率より容易に低くすることができる。
【0015】
上記エレクトロルミネッセンス装置において、前記発光素子は、前記第1の基板と前記発光層との間に形成された反射膜と、前記発光層を挟んで前記反射膜の反対側に形成された半透過反射膜とを有し、前記反射膜と前記半透過反射膜との間で、前記発光層からの光を共振させる光共振器構造を有していてもよい。このような光共振器からの広角光の発光スペクトルは、正面光に対して短波長側にシフトする。また、当該広角光は、正面光と比較して第2の色要素を透過する割合が高くなる。ここで、広角光のうち短波長側にシフトした波長成分は、第2の色要素によって一定量吸収される。このため、上記構成によれば、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記エレクトロルミネッセンス装置を表示部に備えることを特徴とする。このような構成によれば、視角による色相のずれの少ない、高品位な表示が可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置1を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。図1(b)に示すように、有機EL装置1は、透明な接着剤28を介して互いに対向して貼り合わされた、第1の基板としての基板10と、第2の基板としての基板30を有している。このうち、基板30は透光性を有しており、例えばガラスからなる。基板10と基板30とは、基板10の外縁部に配置された枠状のシール剤52によっても固着されている。シール剤52には、球状のギャップ材54が含まれている。ギャップ材54は、基板10と基板30とを支持しており、これらの基板間隔を一定に保つ役割を果たす。
【0019】
基板10のうち基板30に対向する面(対向面)には、画素電極16を含む薄膜層50が形成されている。基板30のうち基板10に対向する面(対向面)には、カラーフィルタが形成されている。カラーフィルタは、遮光層32と、当該遮光層32によって区画された領域に配置された色要素34r,34R,34g,34G,34b,34B(以下、まとめて色要素34とも呼ぶ)とを含んでいる。色要素34は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収することによって透過光を所定の色(例えば赤、緑、青等)とすることが可能な物質である。色要素34r,34Rは赤色系の光を透過し、色要素34g,34Gは緑色系の光を透過し、色要素34b,34Bは青色系の光を透過する。色要素34は、例えば、色要素材料としての顔料を含む感光性樹脂を塗布して露光現像することにより形成される。ここで、顔料に代えて染料を用いてもよい。
【0020】
図1(a)に示すように、遮光層32は格子状に配置されており、この格子によって枠取られた長方形の領域が、画素40に相当する。画素40は、赤、緑、青の発光をそれぞれ行う画素40R,40G,40Bの3種類からなる。画素40は、マトリクス状に配置されており、行方向には画素40R,40G,40Bがこの順に繰り返し配列され、列方向には同一の色に対応する画素40がストライプ状に配列されている。
【0021】
上記した色要素34rは、画素40Rの中央部の長方形の領域に配置されている。一方、色要素34Rは、画素40Rのうち、画素40Rの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。換言すれば、画素40Rのうち、色要素34rが配置されていない領域に排他的に配置されている。同様に、色要素34gは、画素40Gの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Gは、画素40Gのうち、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。また、色要素34bは、画素40Bの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Bは、画素40Bのうち、画素40Bの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。色要素34r,34g,34bは、本発明における第1の色要素に対応し、色要素34R,34G,34Bは、本発明における第2の色要素に対応する。
【0022】
図4は、色要素34g及び色要素34Gの透過スペクトルを示す図である。この図において、符号61を付した曲線は色要素34Gの透過スペクトルを示し、符号62を付した曲線は色要素34gの透過スペクトルを示す。このように、色要素34gと色要素34Gとは、透過スペクトルが互いに異なっている。
【0023】
具体的には、色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62より色純度が高いものとなっている。ここで、色純度とは、単色光と特定の白色光とを加法混色して試料の色と等しくなったときの単色光の刺激と、この特定の白色光の刺激との比をいう。したがって、透過スペクトルが単色光に近いほど色純度が高いと言え、簡易的には透過スペクトルの半値幅が小さいほど色純度が高いとも言える。図4から明らかなように、色要素34Gの透過スペクトル61の半値幅は、色要素34gの透過スペクトル62の半値幅より狭く、色純度が高くなっている。
【0024】
加えて、色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62と比較して、最大の透過率を与える波長(以下では主透過波長とも呼ぶ)が大きくなっている(長波長側にシフトしている)。
【0025】
以上から、色要素34Gは、色要素34gの主透過波長を長波長側にシフトさせるとともに、色純度を向上させたものであると言える。この結果、色要素34gの透過スペクトル62のうち最大の透過率を与える波長(図4では約500nm)より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率(透過スペクトル61参照)は、色要素34gの透過率(透過スペクトル62参照)より低くなっている。色要素34rと色要素34Rの関係、及び色要素34bと色要素34Bの関係も、上記の色要素34gと色要素34Gの関係と同様となるように構成されている。
【0026】
図1に戻り、画素電極16の形成領域について説明する。画素電極16は、画素40ごとに形成されており、その形成領域は、図1(a)において破線で表されている。具体的には、画素電極16の形成領域は、色要素34r,34g,34bの形成領域全体を内包するとともに、画素40に内包される大きさの長方形である。画素電極16は、基板10上に形成された薄膜層50に含まれる構成要素である。以下では、薄膜層50の構成要素について詳述する。
【0027】
図2は、図1(b)の断面図を拡大した図である。この図において、反射膜12から薄膜封止層26までの層が、薄膜層50に相当する。
【0028】
基板10上には、反射膜12、絶縁層14、陽極としての画素電極16、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22、陰極24、薄膜封止層26がこの順に積層されており、これらの要素により、素子基板が構成されている。また、基板30上には、上記したように遮光層32及び色要素34を含むカラーフィルタが形成されており、これらの要素により封止基板が構成されている。上記素子基板と上記封止基板とは、接着剤28を介して貼り合わされている。上記において、有機発光層20は、本発明における発光層に対応する。有機EL装置1は、有機発光層20において発光した光を基板30側から取り出す構成のいわゆるトップエミッション型の発光装置であり、観察者は、基板30の側から表示を観察する。上記のうち、画素40ごとに形成された、反射膜12から陰極24までの構成要素からなる素子が、発光素子70に相当する。
【0029】
上記のうち、基板10は、ガラス基板や石英基板等の上に公知の技術を用いてTFT(Thin Film Transistor)素子や各種配線(TFT素子を駆動するためのデータ線、走査線等)、絶縁膜等が形成された、いわゆるTFT素子基板である。反射膜12は、アルミニウム又は銀等から構成することができる。画素電極16は、反射膜12上に、反射膜12との短絡を防止するためのSiN等からなる絶縁層14を挟んで配置された、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極である。画素電極16は、各画素40に一つずつ配置されており、それぞれの画素電極16は、基板10に含まれるTFT素子を介して、データ線(不図示)に接続されている。陰極24は、マグネシウムと銀の合金を薄く形成してハーフミラー状としたものであり、光反射性及び光透過性を兼ね備えている。
【0030】
画素電極16と陰極24との間には、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22がこの順に積層されている。有機発光層20は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。画素電極16と陰極24との間に電圧を印加することによって、有機発光層20には、正孔輸送層18から正孔が、また、電子輸送層22から電子が注入され、有機発光層20においてこれらが再結合したときに発光が行われる。有機発光層20からの光は、一部は直接陰極24を透過し、一部は反射膜12によって反射されてから陰極24を透過する。いずれにせよ、有機発光層20からの光は、陰極24を透過し、その後薄膜封止層26、接着剤28、色要素34、基板30を順に透過する。
【0031】
ここで、反射膜12及び陰極24は、いわゆる光共振器を構成している。このため、有機発光層20において発せられた光は、反射膜12と陰極24との間を往復し、共振波長の光だけが基板30側から取り出される。よって、ピーク強度が高く幅が狭いスペクトルを有する光を取り出すことができ、有機EL装置1による発光の色再現性を向上させることができる。
【0032】
上記共振波長は、光共振器の長さを変えることによって調整可能である。有機EL装置1においては、画素電極16の厚さを変えることによって光共振器の長さを調整している。より詳細には、画素40R,40G,40Bにおいてこの順に画素電極16を薄くしていく構成により、光共振器の長さ、及び共振波長がこの順に長くなるようになっている。具体的には、画素40R,40G,40Bにおける画素電極16の厚さはそれぞれ90nm,50nm,20nmとなっている。これにより、共振波長は、画素40Rにおいては赤色、画素40Gにおいては緑色、画素40Bにおいては青色に相当する波長に設定される。この結果、陰極24からは、共振波長に応じて赤、緑、または青の光が選択的に射出される。
【0033】
陰極24を覆って形成された薄膜封止層26は、SiON等からなる透光性を有する部材であり、発光素子70を保護するとともに、光共振器の形成のためにできた陰極24の段差を埋めて平滑にする役割を果たす。
【0034】
基板30上に形成された色要素34は、上記したように、入射した光のうちの特定の波長成分を吸収することによって透過光を着色する部材である。色要素34を配置することによって、有機EL装置1から取り出される光の色純度が向上するとともに、視野角による色の変化を抑えることができ、かつ外光の反射をある程度遮断することができる。色要素34は、エポキシ樹脂からなる接着剤28を介して薄膜封止層26と対向している。
【0035】
色要素34を区画する遮光層32は、上述したようにカラーフィルタの一部を構成する。遮光層32は、光をほとんど透過させない樹脂であり、各画素40間の表示の混色を防止する役割を果たす。遮光層32は、色要素34と同様に、フォトリソグラフィー法等によって形成される。
【0036】
続いて、図3を用いて、有機EL装置1の視角特性について説明する。図3は、図1(a)中のA−A線に沿った断面のうち、緑に対応する画素40Gを拡大して示す断面図である。この図においては、基板10上に形成された要素のうち、画素電極16、有機発光層20、陰極24を除く構成要素は省略されている。
【0037】
この図において、画素40Gの幅(すなわち短軸方向の幅)は、80μmである。このうち、色要素34gが占める部分の幅L1は32μmであり、色要素34Gが占める幅L2は左右それぞれ24μmである。また、色要素34の表面から、発光素子70の発光面までの距離Dは、43μmである。一方、画素電極16の幅Wは40μmである。ここで、発光素子70の発光領域の幅は、画素電極16の幅によって規定されるため、発光素子70の発光領域の幅も40μmとなる。以上から分かるように、発光素子70の発光領域のうち画素40Gの短軸の延在方向についての幅は、画素40の短軸方向の幅より小さくなっている。
【0038】
このような構成によれば、発光素子70から射出された正面光(図3中の一点鎖線)は、80%が色要素34gを透過し、20%が色要素34Gを透過する。ここで、画素40Gの発光素子70から正面に射出する光の発光スペクトルは、図12の曲線58に示されている。そして、色要素34g,34Gを透過した後の光は、曲線58と、透過する色要素34g,34Gの透過スペクトルとの積によって得られるスペクトルを有することとなる。具体的には、上記曲線58で示された発光スペクトルと、図4の透過スペクトル62との積、及び透過スペクトル61との積について、8:2の重み付けがなされて足し合わされたスペクトルを有する光が取り出される。
【0039】
一方、図3において、発光素子70からの光の射出方向が正面からずれ、射出角が所定値より大きくなると、射出光は、色要素34gの一部を透過しなくなるとともに、色要素34Gを透過する成分が増加していく。ここで、射出角の上記所定値とは、射出光が図3中の片側の色要素34Gに入射しなくなる最小の角度である。射出角がさらに大きくなり、50度に達すると、このような広角光(図3中の二点鎖線)では、色要素34gを透過する成分は30%にとどまり、残る70%が色要素34Gを透過するようになる。
【0040】
画素40Gの発光素子70から50度の広角で射出する光の発光スペクトルは、図12の曲線59に示されている。そして、色要素34g,34Gを透過した後の光は、上記曲線59で示された発光スペクトルと、図4の透過スペクトル62との積、及び透過スペクトル61との積について、3:7の重み付けがなされて足し合わされたスペクトルを有する。ここで、図12から明らかなように、広角光の発光スペクトル(曲線59)は、正面光の発光スペクトル(曲線58)から短波長側にシフトしている。しかしながら、その光の多くの部分は、短波長側の透過率の小さい透過スペクトル61を有する色要素34Gを透過するため、上記のように短波長側にシフトした成分が一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置の視角特性を向上させることができる。
【0041】
図5は、緑に対応する画素40Gから取り出される光の色度を示す図であり、プロット65は有機EL装置1から外部に取り出される正面光の色度、プロット66は有機EL装置1から外部に取り出される50度の広角光の色度、プロット68は図13に示した従来の構成の有機EL装置から取り出される50度の広角光の色度を示している。この図から分かるように、色要素34g,34Gの配置、及び画素電極16の配置に工夫を加えた本実施形態の有機EL装置1は、正面光に対する広角光の色相のずれが従来と比較して小さく抑えられている。
【0042】
以上は、緑に対応する画素40Gを例に説明したが、赤、青に対応する画素40R,40Bにおいても同様の作用によって広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、基板10上の構成要素の配置に変更を加えたものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の各図においては第1の実施形態と同じ要素には同じ符号を付して示すことにして、重複する説明は省略する。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る有機EL装置1Aの断面図であり、第1の実施形態における図1(b)に相当する図である。有機EL装置1Aは、基板10上の画素電極16が形成されていない領域に配置された、樹脂等からなるバンク55を有している。換言すれば、画素電極16は、基板10とバンク55とが形作る凹部に形成されている。また、薄膜層50のうち、正孔輸送層18、有機発光層20、電子輸送層22も上記凹部に形成されている。したがって、発光素子70はバンク55に囲まれた領域に形成されることとなり、当該領域が発光素子70の発光領域となる。
【0045】
そして、バンク55と遮光層32との間には、ギャップ材56が配置されている。ギャップ材56は、ギャップ材54より直径の小さい樹脂等からなり、ギャップ材54と同様に、基板10と基板30とを支持してこれらの基板間の距離を一定に保つ役割を果たす。ギャップ材56のこのような効果により、図3における距離Dがすべての画素40にわたって略一定となる。このとき、すべての画素40において、ある角度で射出された広角光の、色要素34gを透過する成分と色要素34Gを透過する成分との比率が略等しくなる。このことは、色要素34rと色要素34R、及び色要素34bと色要素34Bについても同様である。このため、場所による視角特性のムラを生じにくくすることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、基板30上に形成されたカラーフィルタの構成に変更を加えたものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0047】
図7は、第3の実施形態に係る有機EL装置1Bの拡大断面図であり、第1の実施形態における図1(b)に相当する図である。有機EL装置1Bにおいては、カラーフィルタは、遮光層32と、色要素34R,34G,34Bと、透光性を有するオーバーコート36とから構成され、第1の実施形態における色要素34r,34g,34bを含んでいない。オーバーコート36は、色要素34R,34G,34Bの上に積層されており、色要素34R,34G,34Bの表面を保護し、かつその凹凸を平坦化する役割を果たす。
【0048】
このうち、例えば色要素34Gは、画素40G内において凹状となるような凹凸を有している。より詳しくは、色要素34Gのうち、画素40Gの中央部の長方形の領域、すなわち第1の実施形態において色要素34gが形成されている領域における厚さがmとなっている。また、当該長方形以外の領域であって、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域、すなわち第1の実施形態において色要素34Gが形成されている領域における厚さがMとなっている。そして、mとMの間には、m<Mの関係がある。ここで、本実施形態では、色要素34Gのうち、厚さmを有する部分が本発明における第1の色要素に相当し、厚さMを有する部分が本発明における第2の色要素に相当する。すなわち、本実施形態における第1の色要素及び第2の色要素は、同一の材料からなり、第2の色要素の厚さが、第1の色要素の厚さより大きくなっている。上記は、画素40G及び色要素34Gについての説明であるが、画素40R,40B及び色要素34R,34Bについても同様の構成となっている。
【0049】
色要素34を厚くすると、可視光領域の全体にわたって透過率が低下する。したがって、上記構成によれば、色要素34R,34G,34Bのうち、厚さMを有する部分の透過スペクトルは、厚さmを有する部分の透過スペクトルに対し、可視光領域の全体にわたって透過率が低くなる。また、第1の実施形態と同様の作用により、発光素子70から射出された広角光は、正面光に比べて、厚さMを有する部分を多く透過する。このため、広角光のうち短波長側にシフトした成分は、色要素34R,34G,34Bのうち厚さMを有する部分によって一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置1Bの視角特性を向上させることができる。
【0050】
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、基板30上に形成されたカラーフィルタが、遮光層32を持たない点で第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0051】
図8は、第4の実施形態に係る有機EL装置1Cを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B線における断面図である。有機EL装置1Cにおいては、基板30上に遮光層32が形成されておらず、色要素34は、互いに隣接するように形成されている。色要素34gは、画素40Gの中央部の長方形の領域に配置されており、色要素34Gは、画素40Gのうち、画素40Gの外周に沿う矩形の枠状の領域に配置されている。換言すれば、色要素34Gは、画素40Gのうち、色要素34gが配置されていない領域に配置されている。以上の構成は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。
【0052】
このような構成によっても、広角光は、正面光と比較して、色要素34R,34G,34Bを透過する割合が大きくなる。このため、第1の実施形態と同様、広角光のうち短波長側にシフトした成分が、色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収される。これにより、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができ、有機EL装置1Cの視角特性を向上させることができる。
【0053】
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態と比較して、色要素34及び画素電極16の配置領域が異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0054】
図9は、第5の実施形態に係る有機EL装置1Dの平面図である。有機EL装置1Dにおいては、色要素34Gは、長方形の画素40Gのうち、外周の長辺に沿う領域に配置されている。そして、色要素34gは、画素40Gの中央部に加えて、画素40Gの外周の短辺に沿う領域にまで延設されている。換言すれば、画素40Gには、画素40Gの長辺と同じ長さを有する帯状の1つの色要素34gと2つの色要素34Gが含まれており、色要素34gが色要素34Gに挟まれるように配置されている。以上の構成は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。
【0055】
このような構成によれば、画素40の短軸の延在方向に傾いて射出された広角光について、色要素34R,34G,34Bを透過する割合を高めることができる。このため、観察方向を画素40の短軸の延在方向に傾けた場合の色相のずれを効果的に抑制することができ、有機EL装置1Dの視角特性を向上させることが可能となる。
【0056】
(電子機器)
上述した有機EL装置1(有機EL装置1Aから1Dを含む)は、例えば、図10に示すような「電子機器」としての携帯電話機100に搭載して用いることができる。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた有機EL装置1によって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報をはじめとする様々な情報について、広角光において色相のずれの少ない、高品位な表示を行うことができる。
【0057】
なお、本発明を適用した有機EL装置1は、上記携帯電話機100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0059】
(変形例1)
本発明の実施にあたっては、図3における、色要素34の表面から発光素子70の発光面までの距離Dを任意に変更することができる。距離Dを変更するためには、図1(b)に示すギャップ材54や、図6に示すギャップ材56の直径を変更すればよい。距離Dを小さくすると、射出角を変化させたときの、色要素34R,34G,34Bを透過する割合の変化率が小さくなる。換言すれば、射出角の大きな広角光についても、射出角に応じた色相ずれの抑制効果を持たせることが可能となる。一方、距離Dを大きくすると、射出角を変化させたときの、色要素34R,34G,34Bを透過する割合の変化率が大きくなる。この場合は、比較的狭い範囲の射出角について広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0060】
(変形例2)
上記実施形態において、色要素34r,34g,34bを透明にしてもよい。このような構成によっても、射出角が大きいほど色要素34R,34G,34Bを透過する割合が増加するため、広角光のうち短波長側にシフトした成分を色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収することができる。これにより、広角光の、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0061】
(変形例3)
図4に示すように、上記実施形態の色要素34Gの透過スペクトル61は、色要素34gの透過スペクトル62の主透過波長を長波長側にシフトさせるとともに、色純度を向上させたものであるが、これに限定する趣旨ではない。このような構成に代えて、例えば色要素34gと色要素34Gとを同一の色相とし、色純度のみを変える構成としてもよい。この場合は、色要素34g,34Gの主透過波長が略同一となる。また、色要素34Gの透過スペクトルは、色要素34gの透過スペクトルと略同一の半値幅とし、主透過波長を色要素34gより長波長側にシフトさせたものとすることもできる。これらの構成によっても、色要素34gの透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、色要素34Gの透過率を色要素34gの透過率より低くすることができる。上記のような構成は、色要素34rと色要素34R、又は色要素34bと色要素34Bにも適用可能である。本変形例の構成によっても、広角光のうち短波長側にシフトした成分を色要素34R,34G,34Bによって一定量吸収し、正面光に対する色相のずれを抑制することができる。
【0062】
(変形例4)
上記実施形態では、画素電極16の形成領域は、基板10の法線方向から見て、色要素34r,34g,34bの形成領域全体を内包するとともに、画素40に内包される大きさの長方形であるが、これに限定する趣旨ではない。上記構成に代えて、例えば、画素電極16の配置領域(すなわち発光素子70の発光領域)と、色要素34gとが、画素40Gの短軸方向の幅が互いに等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が基板10の法線方向から見て重なるような配置としてもよい。この場合は、画素40Gの発光素子70からの正面光は、すべて色要素34gに入射し、正面光以外の広角光は、射出角に応じた割合で必ず色要素34Gに一部が入射する。したがって、正面光以外のすべての広角光について、色相のずれを抑制する効果を得ることができる。上記は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。また、上記構成に代えて、画素電極16を画素40の全体にわたって形成してもよく、この場合でも広角光の色相のずれを抑制することが可能である。
【0063】
(変形例5)
上記実施形態では、例えば画素40Gに配置される色要素は、色要素34g,34Gの2種のみであるが、これ以外の緑系の色要素を加えて3種以上の色要素から構成するようにしてもよい。追加する色要素は、例えば、色要素34gと色要素34Gの中間の透過スペクトルを有する色要素とし、色要素34gと色要素34Gに挟まれるような領域に配置する。上記は、色要素34r,34R,34b,34Bについても同様である。このような構成によれば、射出角に応じてよりきめ細かく色相ずれの抑制効果を得ることができる。
【0064】
(変形例6)
上記実施形態は、陰極24をハーフミラー状とし、積極的に光共振器を形成する構成であるが、光共振器を形成しない構成としてもよい。光共振器を積極的に設けない構成であっても、トップエミッション型の有機EL装置では、有機発光層20を挟むいずれかの2層間で光共振器が構成されるため、広角光の色相ずれの問題が生じる。このとき、上記実施形態に示したような色要素34の配置等によって、当該色相ずれを抑制することができる。
【0065】
(変形例7)
本発明の第2の色要素に対応する色要素34R,34G,34Bは、画素40のうち当該画素40の外周に沿う領域のすべてに配置されていなくともよく、この領域の少なくとも一部に配置されていればよい。このようにすれば、発光素子70から射出された広角光は、正面光に比べて、色要素34R,34G,34Bをより多く透過する。このため、広角光のうち短波長側にシフトした成分が一定量吸収され、正面光に対する広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0066】
(変形例8)
上記第1の実施形態は、格子状の遮光層32を有する構成であり、また、第4の実施形態は、遮光層32をもたない構成である。遮光層32の配置はこれに限られず、例えば、遮光層32を部分的に設ける構成としてもよい。一例としては、長辺を挟んで隣接する画素40の間にのみ遮光層32を設け、短辺を挟んで隣接する画素40の間には設けない構成とすることができる。このような構成によっても、広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0067】
(変形例9)
上記実施形態は、画素40が長方形をなしているが、これに限定する趣旨ではなく、例えば長円形とすることができる。ここで長円形とは、2つの向かい合う半円を2つの長辺で繋いだトラック状の図形をいう。このような構成においても、画素40のうち上記長辺に沿う領域に色要素34R,34G,34Bを配置することにより、広角光の色相のずれを抑制することができる。
【0068】
(変形例10)
上記実施形態において、画素40及び色要素34は、赤、緑、青の3色に対応する構成であるが、これに代えて、4色以上の色に対応する構成としてもよい。例えば、赤、青、の2色に、青から黄までの色相の中で選択された2種の色を加えた4色に対応する構成とすることができる。後者の2色は、例えば緑及びシアンとすることができる。
【0069】
(変形例11)
上記実施形態において、発光素子70に含まれる正孔輸送層18、電子輸送層22は、必要に応じて配置すればよく、必ずしも形成しなくてもよい。また、薄膜封止層26も、接着剤28が同様の機能を兼ねる場合は省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。
【図2】図1(b)の断面図を拡大した図。
【図3】図1(a)中のA−A線に沿った断面のうち、緑に対応する画素を拡大して示す断面図。
【図4】色要素34g及び色要素34Gの透過スペクトルを示す図。
【図5】緑に対応する画素から取り出される光の色度を示す図。
【図6】第2の実施形態に係る有機EL装置の断面図。
【図7】第3の実施形態に係る有機EL装置の拡大断面図。
【図8】第4の実施形態に係る有機EL装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。
【図9】第5の実施形態に係る有機EL装置の平面図。
【図10】電子機器としての携帯電話機の模式斜視図。
【図11】トップエミッション型の有機EL装置の例を示す断面図。
【図12】正面光及び広角光の発光スペクトルを示す図。
【図13】正面光及び広角光の色度を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,1C,1D…エレクトロルミネッセンス装置としての有機EL装置、10…第1の基板、12…反射膜、14…絶縁層、16…画素電極、18…正孔輸送層、20…有機発光層、22…電子輸送層、24…陰極、26…薄膜封止層、28…接着剤、30…第2の基板、32…遮光層、34r,34g,34b…第1の色要素、34R,34G,34B…第2の色要素、36…オーバーコート、40,40R,40G,40B…画素、50…薄膜層、52…シール剤、54,56…ギャップ材、55…バンク、70…発光素子、100…携帯電話機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色発光を行う画素を有するエレクトロルミネッセンス装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板上に前記画素ごとに形成された、発光層を含む発光素子と、
前記第1の基板の前記発光素子が形成された面に対向して、前記第1の基板と貼り合わされた透光性を有する第2の基板と、
前記第2の基板の対向面に形成され、前記画素の中央部に配置された第1の色要素、及び前記画素のうち当該画素の外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された第2の色要素を有するカラーフィルタと、
を備え、
前記第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記画素は長方形又は長円形であり、
前記第2の色要素は、前記画素のうち、当該画素の外周の長辺に沿う領域に少なくとも配置されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子の発光領域は、前記画素の短軸方向の幅が、前記画素の短軸より短いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子の発光領域と、前記第1の色要素とは、前記画素の短軸方向の幅が等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が前記第1の基板の法線方向から見て重なっていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第2の色要素の色純度は、前記第1の色要素の色純度より高いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第2の色要素は、その透過スペクトルにおいて最大の透過率を与える波長が前記第1の色要素より大きいことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第1の色要素と前記第2の色要素とは、同一の材料からなり、
前記第2の色要素の厚さは、前記第1の色要素の厚さより大きいことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第1の色要素は透明であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子は、前記第1の基板と前記発光層との間に形成された反射膜と、前記発光層を挟んで前記反射膜の反対側に形成された半透過反射膜とを有し、
前記反射膜と前記半透過反射膜との間で、前記発光層からの光を共振させる光共振器構造を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
有色発光を行う画素を有するエレクトロルミネッセンス装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板上に前記画素ごとに形成された、発光層を含む発光素子と、
前記第1の基板の前記発光素子が形成された面に対向して、前記第1の基板と貼り合わされた透光性を有する第2の基板と、
前記第2の基板の対向面に形成され、前記画素の中央部に配置された第1の色要素、及び前記画素のうち当該画素の外周に沿う領域の少なくとも一部に配置された第2の色要素を有するカラーフィルタと、
を備え、
前記第1の色要素の透過スペクトルのうち最大の透過率を与える波長より短波長側の波長域において、前記第2の色要素の透過率は前記第1の色要素の透過率より低いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記画素は長方形又は長円形であり、
前記第2の色要素は、前記画素のうち、当該画素の外周の長辺に沿う領域に少なくとも配置されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子の発光領域は、前記画素の短軸方向の幅が、前記画素の短軸より短いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子の発光領域と、前記第1の色要素とは、前記画素の短軸方向の幅が等しく、かつ当該幅方向についての延在位置が前記第1の基板の法線方向から見て重なっていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第2の色要素の色純度は、前記第1の色要素の色純度より高いことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第2の色要素は、その透過スペクトルにおいて最大の透過率を与える波長が前記第1の色要素より大きいことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第1の色要素と前記第2の色要素とは、同一の材料からなり、
前記第2の色要素の厚さは、前記第1の色要素の厚さより大きいことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記第1の色要素は透明であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光素子は、前記第1の基板と前記発光層との間に形成された反射膜と、前記発光層を挟んで前記反射膜の反対側に形成された半透過反射膜とを有し、
前記反射膜と前記半透過反射膜との間で、前記発光層からの光を共振させる光共振器構造を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−282602(P2008−282602A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124205(P2007−124205)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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