エレベータのかご保持装置
【課題】かごの自走による上昇を短時間で停止させることのできるエレベータのかご保持装置を得ることを目的とする。
【解決手段】かごガイドレール13aとの間に楔状空間19を形成する基台17と、かご移動許可位置と、かご上昇規制位置との間を移動可能に配設された楔ブロック32と、楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動鉄板25と、可動鉄板25を第1位置に保持する第1のコイルばね30aと、電磁力を発生して可動鉄板25を第2位置に保持する第1の電磁石22と、かご4の移動速度に応じた第1及び第2の速度情報データを送信する速度情報提供機構40と、上昇するかごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると第1の電磁石22に通電させるエレベータ制御盤と、を備えている。
【解決手段】かごガイドレール13aとの間に楔状空間19を形成する基台17と、かご移動許可位置と、かご上昇規制位置との間を移動可能に配設された楔ブロック32と、楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動鉄板25と、可動鉄板25を第1位置に保持する第1のコイルばね30aと、電磁力を発生して可動鉄板25を第2位置に保持する第1の電磁石22と、かご4の移動速度に応じた第1及び第2の速度情報データを送信する速度情報提供機構40と、上昇するかごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると第1の電磁石22に通電させるエレベータ制御盤と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの保守作業時、かごの自走による上昇を短時間に停止させるエレベータのかご保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータのかご保持装置は、保守員がかご上で保守作業を行う際に主ガイドレールと対向するかご上部の位置に設置された頂部ストッパーと、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間に形成される隙間に上方からセットされるかごロックキーと、かごロックキーの上部と対向するように主ガイドレールの上端部に固定された作動アームと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
このとき、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間には、テーパ状の隙間が上方に向かって幅広になるように形成され、楔状のかごロックキーがテーパ状の隙間に主ガイドレールから隙間をあけてセットされている。
【0003】
ここで、保守員が、かごを昇降路内の所定位置に停止させてかご上で保守作業を行う際、かごを昇降路内の所定位置に停止させておくためのブレーキが故障したりすると、かごは昇降路の最上部に向かって自走する。そして、かごロックキーが作動アームの位置までくると、かごロックキーの頂部が作動アームに当接して、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間に食い込むようになっている。これにより、かごの自走による上昇が停止され、このとき、かごの上面と昇降路の頂部との間には保守時頂部安全スペースが確保されていた。即ち、かご上で保守作業を行っていた保守員のかご上での居場所が確保されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−343579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエレベータのかご保持装置では、かごロックキーの頂部が作動アームに当接されるまでの間かごの自走による上昇を停止させることができない。従って、
保守員が昇降路の最上部以外にかごを停止させて保守作業を行っているときにかごが自走した場合、かごの自走による上昇が停止するまでには長時間を要し、かご上の保守員に計り知れない緊張感を長時間に渡って与えるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、かごの自走による上昇を短時間で停止させることのできるエレベータのかご保持装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるエレベータのかご保持装置は、かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、かごガイドレールと傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に楔状空間に配設された楔ブロックと、楔ブロックに連結され、楔ブロックをかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロックをかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、可動部材を第1位置に移動させる方向に付勢するように配設され、可動部材を第1位置に保持する第1の弾性部材と、第1の弾性部材の付勢力に抗して可動部材を第2位置に移動させる電磁力を発生し、可動部材を第2位置に保持する第1の電磁石と、かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、速度演算用データに基づいてかごの移動速度を演算し、かごが停止した状態から上昇したときに、上昇するかごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると第1の電磁石に通電させる信号処理通電手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、信号処理通電手段が、かごが自走によって上昇したか否かを判断可能であり、かごが自走によって上昇したと判断すると楔ブロックをかご上昇規制位置に位置させているので、かごの自走による上昇を短時間で停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1係るかご保持装置が配設されたエレベータの模式図、図2は図1のII−II矢視断面図であり、楔ブロックがかご移動許可位置にあるときを示している。図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のA方向から見た正面図である。図5は図2のV−V矢視断面図であり、可動鉄板、楔ブロック、及び回動軸部材のみを図示している。図6は図3のB部拡大断面図、図7はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置のシステム構成図、図8はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご上昇規制位置にあるときを示している。図9はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置のエレベータ制御盤が行う第1のエンコーダ及び第2のエンコーダの故障診断の動作フロー図、図10はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置の動作フロー図である。
【0010】
図1において、エレベータ1は機械室レスタイプのものであり、昇降路壁2に囲まれた昇降路3内を昇降自在に配設されたかご4、駆動綱車6と電動機(図示せず)を有する巻上機5、一対のかごガイドレール13a,13b、メインロープ8、つり合いおもり9、及びエレベータ制御盤10などを備えている。
【0011】
巻上機5は、昇降路3のピット3aに配設されている。そして、駆動綱車6は電動機の回転に連動して軸まわりに回転するようになっている。
また、メインロープ8は、その一端が昇降路3の天井に固着されて天井から垂下され、かご4の下部に設けられている一対の転向プーリ11a,11bに掛け渡されて反転している。さらに、メインロープ8は、昇降路3の天井に設置されたプーリ12aに掛け渡されて再び反転し、駆動綱車6に巻きかけられて再び反転し、さらに、昇降路3の天井に設置されたプーリ12bに掛け渡されて再び反転し、つり合いおもり9に固着されたプーリ12cに掛け渡されて再び反転している。そして、メインロープ8の他端が昇降路3の天井に固定されている。
【0012】
また、一対のかごガイドレール13a,13bのそれぞれが、長手方向を鉛直方向に一致させ、かご側壁面4a,4bのそれぞれと所定の間隔をあけてピット3aの床から昇降路3の天井近傍に至るまで延設されている。なお、かご側壁面4a,4bに垂直な方向をかご幅方向とし、かご幅方向に垂直かつ水平な方向を奥行き方向とする。即ち、かご側壁面4a,4bの上縁の長さ方向は、奥行き方向に一致している。
【0013】
また、エレベータ制御盤10は、昇降路壁2に固定されている。エレベータ制御盤10は、エレベータ1の運行を制御するためのプログラムが書き込まれたROM10a、当該プログラムの内容に従ってエレベータ1の運行を制御するためのCPU10b、CPU10bがエレベータ1の運行を制御する際に行われる各種演算のワーキングエリアに用いられるRAM10c、及びタイマ10d等を有している。そして、エレベータ制御盤10はプログラムに基づいたエレベータ1の運行制御を行っている。また、CPU10bは、タイマ10dにタイムカウントを開始させたり、タイムカウントをリセットさせたりすることができ、かつ、タイマ10dのタイムカウントを認識可能になっている。
【0014】
また、エレベータ制御盤10は、電動機を介した駆動綱車6の回転を任意に制御することが可能になっている。そして、駆動綱車6とメインロープ8との間には摩擦力が働いているので、メインロープ8は駆動綱車6の回転に応じて移動される。これにより、かご4及びつり合いおもり9が昇降路3内を昇降するようになっている。また、図示しないが、ブレーキが駆動綱車6の回転を停止可能に配設されている。そして、エレベータ制御盤10は、任意にかご4の昇降移動とその停止を制御することができるようになっている。なお、後述するように、エレベータ制御盤10は、かご保持装置15Aの構成要素にもなっている。そして、かご保持装置15Aの主要部が、かご4の上部外壁面に配設されている。
【0015】
また、かごガイドレール13aは、図3及び図4に示されるように、断面T字状に形成されている。そして、T字の突出側を形成するレール突出部14は、一方のかご側壁面4aと所定の間隔をあけて対面するレール突出端面14aと、レール突出端面14aに垂直かつ互いに平行なレール側壁面14b,14cと、を有している。なお、図示しないが、かごガイドレール13bもかごガイドレール13aと同様の形状を有している。
【0016】
図2〜図4において、かご保持装置15Aは、かご上昇規制機構16、第1の速度情報提供手段40Aと第2の速度情報提供手段40Bとを有する速度情報提供機構40、及び信号処理通電手段としてのエレベータ制御盤10を有している。
そして、かご上昇規制機構16、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bは、かご4の上部外壁面に一方のかごガイドレール13aの位置に合わせて常設されている。
【0017】
次いで、かご上昇規制機構16の詳細について説明する。
図2〜図4において、かご上昇規制機構16は、基台17、支持部材20、第1の電磁石22、可動部材としての可動鉄板25、第1の弾性部材としての第1のコイルばね30a、楔ブロック32、及び回動軸部材35を有している。
基台17は、直方体状に形成され、凹部18が直方体の一面に開口するように、かつ、当該一面を形成する4辺のうち、平行な2辺間を接続するように形成されている。そして、基台17は、凹部18の溝方向を鉛直方向(かごガイドレール13aの長さ方向)に一致させ、凹部18を形成する両基台側壁面17a,17bと底面17cとで、レール突出部14を囲むようにかご4の上部外壁面に固定されている。
【0018】
そして、一方の基台側壁面17aは、かごガイドレール13aの上方から下方に向かうにつれて一方のレール側壁面14bとの間の距離が漸次短くなるように傾斜されている。つまり、楔状空間19が、かごガイドレール13aの上方から下方に向かって間隔が漸次狭くなるように、レール側壁面14bと基台側壁面17aとの間に形成されている。また、他方の基台側壁面17bと他方のレール側壁面14cとの隙間、及び突出端面14aと底面17cとの隙間は均一になっている。
【0019】
支持部材20は、矩形平板状に形成され、楔状空間19から所定距離だけ離間した位置でレール側壁面14bと相対するように、基台17に固定されている。また、上方に開口する嵌合凹部21が、支持部材20の突出端側を所定の深さに切り欠いて形成され、図3及び図4に示されるように、切り欠きの両側に第1の差込部20a,20bが形成されている。また、嵌合凹部21の底面が、上方に向けて水平に配置されて支持面20cを構成している。
【0020】
第1の電磁石22は鉄心23及びコイル24を有している。そして、鉄心23は、支持部材20よりレール側壁面14b側で、一端面を基台17の上面に合わせて固定されている。このとき、鉄心23の他端面の高さは、支持面20cの高さに一致している。また、コイル24は、鉄心23の外周面に巻回されている。
【0021】
また、可動鉄板25は矩形平板状に形成されている。そして、可動鉄板25は、長手方向を奥行き方向に一致させて一面を基台17の上面に向け、長手方向の一端側が楔状空間19の上方に位置するように配置されている。また、一対の差込凹部26a,26bのそれぞれが、図3に示されるように、可動鉄板25の両長辺に、当該長辺の長手中心より他端側で長手方向の位置を一致させて開口するように形成されている。そして、第1の差込部20a,20bのそれぞれが、差込凹部26a,26bのそれぞれに遊嵌状態に差し込まれている。さらに、可動鉄板25が、嵌合凹部21に遊嵌されて、支持面20cに係合している。
【0022】
そして、第1のコイルばね30aが、奥行き方向に関し、第1の電磁石22との間に支持部材20が位置するように配置されている。そして、第1のコイルばね30aの両端は、可動鉄板25の一面(下面)と基台17の上面にそれぞれ固定されている。このとき、第1のコイルばね30aの付勢力は、可動鉄板25の長手方向の他端を引き下げるように働いている。
【0023】
楔ブロック32は、断面楔状に形成され、その主要部が楔状空間19内に配置されている。このとき、楔ブロック32は、基準面32a、及び基準面32aとの間隔が漸次広くなる摺接面32bを有し、基準面32aに対する摺接面32bの傾斜角度が、レール側壁面14bに対する基台側壁面17aの傾斜角度と同じになるように形成されている。そして、楔ブロック32は、基準面32aがレール側壁面14bと相対するように、かつ、摺接面32bが基台側壁面17a上に載置されるように楔状空間19に配置されている。
【0024】
このとき、楔ブロック32は、図5に示されるように、回動軸部材35を用いて可動鉄板25の一端側の下面に取り付けられている。
即ち、貫通孔32cが、楔ブロック32の上端近傍を基準面32aに平行かつ水平方向に貫通するように形成されている。また、回動軸部材35は、軸部35a、及び軸部35aの両端をそれぞれ同方向に垂直に折り曲げて形成した取付部35b,35cを有している。そして、軸部35aが貫通孔32cに遊嵌状態に挿通され、取付部35b,35cの先端のそれぞれが、可動鉄板25の長手方向の一端側の下面に固定されている。これにより、楔ブロック32は、回動軸部材35の軸部35a周りに回動可能に可動鉄板25に取り付けられている。
【0025】
次いで、第1の速度情報提供手段40Aについて説明する。
図2,図3及び図6において、第1の速度情報提供手段40Aは一対の軸保持部材41a,41b、第1軸42A、一対の可動アーム43a,43b、第1の速度検出用ローラ44A、第2軸45A、一対の軸受46a,46b、取付金具47a及び第1のエンコーダ48aを有している。
【0026】
一対の軸保持部材41a,41bは、かご幅方向に所定の間隔をあけて、他方のレール側壁面14cから奥行き方向に所定距離離間した基台17の上面の部位に基台17の上方に突出するように固定されている。
そして、第1軸42Aはその軸方向をかご幅方向に一致させて配置され、その両端が基台17の上方で一対の軸保持部材41a,41bに固定されている。
【0027】
一対の可動アーム43a,43bは、それぞれ長尺平板状に形成されている。そして、可動アーム43a,43bのそれぞれは、第1軸42Aの軸方向に所定の間隔をあけて対面するように配置されている。そして、第1軸42Aが可動アーム43a,43bのそれぞれの一端側を遊嵌状態に貫通している。
また、第1軸42Aには、軸方向移動規制部42a,42bのそれぞれが、軸保持部材41a,41bのそれぞれとの間に可動アーム43a,43bが略隙間なく配置されるように第1軸42Aの軸方向の所定の位置で径方向に突出するように形成されている。
以上により、一対の可動アーム43a,43bのそれぞれは、第1軸42Aの軸方向の移動が規制され、かつ、第1軸42Aの軸周りに回動自在となっている。
【0028】
また、第1の速度検出用ローラ44Aは、ローラ基部44a、及び被覆部材44bを有している。ローラ基部44aは、厚肉円盤状に形成されている。そして、被覆部材44bが、ローラ基部44aの外周面全域を覆うように配設されている。なお、被覆部材44bには、ゴムなどの樹脂が用いられている。そして、第2軸45Aがローラ基部44aに同軸に、かつローラ基部44aの両端面から突出するように固定されている。
また、一対の軸受46a、46bが一対の可動アーム43a,43bの他端側の相対する壁面に、軸方向がかご幅方向に一致する軸を支持可能なように固定されている。
そして、第2軸45Aは、その両端のそれぞれが軸受46a,46bのそれぞれに支持されて、第1の速度検出用ローラ44Aが一対の可動アーム43a,43bの間に配置されている。
【0029】
このとき、可動アーム43a,43bは、その他端側が一端側より上方に配置され、レール側壁面14c側に回転するように配置されて第1の速度検出用ローラ44Aがレール側壁面14cに当接している。また、第1の速度検出用ローラ44Aの外周面とレール側壁面14cとの間には摩擦力が働いており、かご4が昇降したときには、第1の速度検出用ローラ44Aが第2軸45Aの軸心周りに第2軸45Aと一体に回転するようになっている。このとき、レール側壁面14cの表面が多少歪んでいても、可動アーム43a,43bは第1軸42A周りに回動自在であるので、第1の速度検出用ローラ44Aは、レール側壁面14cの表面に常に当接しながら回転する。
【0030】
また、第2軸45Aの一端は、一方の軸受46a及び可動アーム43aの他端側を貫通している。そして、取付金具47aは、その一端が一方の可動アーム43aの他端に固定されて、他端が他方の可動アーム43bとは反対側に向かって延在されている。
さらに、第1のエンコーダ48aが、第2軸45Aの回転量及び回転方向、即ち第2軸45Aの軸周りに回転する第1の速度検出用ローラ44Aの回転量及び回転方向を検出可能に取付金具47aの他端に支持固定されている。
【0031】
また、第2の速度情報提供手段40Bは、図2〜図4及び図6に示されるように、第1の速度情報提供手段40Aと同じ構成であり、一対の軸保持部材41c,41d、第1軸42B、一対の可動アーム43c,43d、第2の速度検出用ローラ44B、第2軸45B、一対の軸受46c,46d、取付金具47b及び第2のエンコーダ48bを有している。
【0032】
そして、一対の軸保持部材41c,41dが、奥行き方向に所定の間隔をあけて、レール突出端面14aからかご幅方向に所定距離離間した基台17の上面の部位に基台17の上方に突出するように固定されている。
そして、第1軸42Bは、軸方向を奥行き方向に一致させて配置され、その両端が一対の軸保持部材41c,41dに固定されている。
【0033】
一対の可動アーム43c,43dは、第1軸42Bの軸方向に所定の間隔をあけて対面するように配置されている。そして、第1軸42Bが可動アームのそれぞれの一端側を遊嵌状態に貫通している。
【0034】
また、第1軸42Bには、軸方向移動規制部42c,42dのそれぞれが、軸保持部材41c,41dのそれぞれとの間に可動アーム43a,43bが略隙間なく配置されるように第1軸42Bの軸方向の所定の位置で径方向に突出するように形成されている。これにより、一対の可動アーム43c,43dのそれぞれは、第1軸42Bの軸方向の移動が規制され、かつ、第1軸42Bの軸周りに回動自在となっている。
【0035】
また、第2の速度検出用ローラ44Bは、ローラ基部44a及び被覆部材44bと同様のローラ基部44c及び被覆部材44dを有している。そして、第2軸45Bがローラ基部44cに同軸に、かつローラ基部44cの両端面から突出するように固定されている。
また、一対の軸受46c,46dが、一対の可動アーム43c,43dの他端側の相対する壁面に、軸方向がかご奥行き方向に一致する軸を支持可能なように固定されている。
そして、第2軸45Bの両端が軸受46c,46dのそれぞれに支持され、第2の速度検出用ローラ44Bが一対の可動アーム43c,43dの間に配置されている。
【0036】
このとき、可動アーム43c,43dは、それぞれの他端側が一端側より上方に配置され、レール突出端面14a側に回転するように配置されて第2の速度検出用ローラ44Bがレール突出端面14aに当接している。また、第2の速度検出用ローラ44Bの外周面とレール突出端面14aとの間には摩擦力が働いており、かご4が昇降したときには、第2の速度検出用ローラ44Bが第2軸45Bの軸心周りに第2軸45Bと一体に回転するようになっている。このとき、レール突出端面14aの表面が多少歪んでいても、可動アーム43c,43dは第1軸42B周りに回動自在であるので、第2の速度検出用ローラ44Bは、レール突出端面14aの表面に常に当接しながら回転する。
【0037】
また、第2軸45Bの一端は、一方の軸受46c及び可動アーム43cの他端側を貫通している。
そして、取付金具47bは、その一端が一方の可動アーム43cの他端に固定されて、他端が他方の可動アーム43dとは反対側に向かって延在している。
さらに、第2のエンコーダ48bが、第2軸45Bの回転量、即ち第2軸45Bの軸心周りに回転する第2の速度検出用ローラ44Bの回転量及び回転方向を検出可能に取付金具47bの他端に支持固定されている。
【0038】
次いで、かご保持装置15Aのシステム構成について図7を参照しつつ説明する。
第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは、エレベータ制御盤10に電気配線によって接続されている。
【0039】
そして、第1のエンコーダ48aは、第1の速度検出用ローラ44Aの単位時間当たりの回転量及びその回転方向に関する情報を速度演算用データとしての第1の速度情報データとして送信している。また、第2のエンコーダ48bは、第2の速度検出用ローラ44Bの単位時間当たりの回転量及び回転方向に関する情報を速度演算用データとしての第2の速度情報データとして送信している。第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bの回転速度は、かご4の移動速度に応じて変化するので、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データには、かご4の移動速度に関する情報が反映されている。
【0040】
そして、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データはエレベータ制御盤10で受信されている。そして、上述のエレベータ制御盤10のROM10aには、CPU10bに、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのそれぞれに基づいて、かご4の移動速度を第1の速度値及び第2の速度値として演算させるプログラムも格納されている。
【0041】
また、エレベータ制御盤10は、コイル24に電気配線によって接続され、コイル24への通電のON/OFFを任意に切替可能になっている。さらに、図示しないが、エレベータ制御盤10は、管理者が常駐する情報センタに通信ケーブルなどによって接続されて、情報センタとの間で情報を送受できるようになっている。
【0042】
上記のように構成されたかご保持装置15Aにおいて、かご上昇規制機構16の動作について説明する。
図2及び図3において、コイル24への通電が遮断されているときは、可動鉄板25は、第1のコイルばね30aの付勢力により支持面20cとの接点を支点として、長手方向の他端側が下方に向かうように回動する。これにより、可動鉄板25は、その一端側が上方、かつ、レール側壁面14bと離反する方向に回動する。
【0043】
また、楔ブロック32も可動鉄板25の回動に連動する。このとき、楔ブロック32は、回動軸部材35の軸部35a周りに回動自在となっているので、摺接面32bは基台側壁面17aに摺接しながら上昇し、かつ、基準面32aはレール側壁面14bから離反する方向に移動する。
【0044】
そして、可動鉄板25が所定角度回動すると、差込凹部26a,26bそれぞれの相対する側壁のそれぞれが、支持部材20の表裏両面に当接して、可動鉄板25の回動動作が停止する。このときの可動鉄板25の位置を第1位置とする。即ち、第1のコイルばね30aは可動鉄板25を第1位置に移動させる方向に付勢し、可動鉄板25を第1位置で保持している。
そして、可動鉄板25が第1位置で保持されているとき、楔ブロック32は、図2に示されるように、基台側壁面17a上に載置された状態で、かつ、基準面32aがレール側壁面14bから所定距離離間したかご移動許可位置に位置している。
【0045】
また、楔ブロック32がかご移動許可位置にあるときに、コイル24に通電すると、第1の電磁石22は、第1のコイルばね30aの付勢力に抗して可動鉄板25の長手方向の一端側を引き下げる方向に付勢する電磁力を発生し、可動鉄板25を鉄心23側に吸引する。このとき、可動鉄板25は、その一端側が下方、かつ、レール側壁面14bに接近する方向に回動する。そして、可動鉄板25の回動動作は、可動鉄板25の下面が鉄心23の上端面に当接したところで規制される。これにより、可動鉄板25は第1の電磁石22によって鉄心23の上端面に当接した第2位置に保持される。
【0046】
このとき、楔ブロック32は可動鉄板25の回動に連動して下方に移動する。そして、楔ブロック32の摺接面32bは、基台側壁面17aに摺接しながら下降し、かつ、基準面32aはレール側壁面14bに接近する方向に移動する。そして、可動鉄板25が第2位置で保持されると同時に、楔ブロック32は、レール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置に配置されるようになっている。
【0047】
また、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置されたときには、摩擦力が楔ブロック32の基準面32aとレール側壁面14bとの間に働くようになっている。従って、楔ブロック32がかご上昇規制位置にある状態で、かご4が上昇しようとしても、楔ブロック32はかご4の上昇に連動せずに楔状空間19に食い込むので、かご4の上昇が規制される。
【0048】
ここで、保守点検時にかご4が自走した時のかごの移動速度と、通常運転時のかご4の移動速度について説明する。
つり合いおもり9の質量は、かご4の質量及びかご4に配設された各種機器の質量を合わせたものに、かご4の定格積載量の半分の質量を加えた値に調整されることが一般的である。従って、保守作業時には、かご4内に乗客はいないので、かご4の質量、かご4に配設された各種機器の質量、及び保守作業を行う保守員の質量の総和は、つり合いおもり9の質量より小さい。従って、かご4が保守作業時に自走するときは、昇降路3の頂部に向けて上方に自走する。このときのかご4の自走による移動速度は非常に低速であり、3m/分を超えるようなことはない。
【0049】
一方、かご4が通常に昇降運転されている場合、停止した階床から次の目的階の階床に昇降する場合、少なくとも3秒より短い時間で3m/分より速い速度に到達するようになっている。即ち、3m/分以下のかご4の移動速度が3秒以上継続したときには、かご4は自走により上昇していることになる。
【0050】
次いで、エレベータ制御盤10が行う第1のエンコーダ48aと第2のエンコーダ48bの故障診断の動作について、図9を参照しつつ説明する。
なお、図9中、ステップ101及びステップ102を説明の便宜上S101及びS102と記す。
【0051】
ステップ101でエレベータ制御盤10のCPU10bは、第1の速度情報データと第2の速度情報データに基づいてそれぞれ演算した第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であるか否かを判断する。
ステップ101でCPU10bは、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であると判断した場合、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが共に正常に動作しているものとみなしステップ101を繰り返す。
【0052】
即ち、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bは、同じ速度で回転するので、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが正常に動作していれば、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データは理論的には同じである。しかし、実際には、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの間の性能の差は皆無でないため、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データを完全に一致させることは困難である。従って、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが正常に動作していても、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのわずかなずれによって、第1の速度値と第2の速度値とはわずかに異なる値として演算される。そして、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であれば第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは正常に動作しているものとCPU10bに判断させている。上述した規定の値は、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの仕様により決定される第1の速度値と第2の速度値との差の許容範囲に応じて適宜決定されるものである。
【0053】
ステップ101でCPU10bは、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下でない(規定した値より大きい)と判断すると、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障しているものと判断し、エレベータ1の管理者が常駐する情報センタに、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれかが故障したことを知らせるための警告信号を送信する(ステップ102)。
従って、速度情報提供機構40を常設した場合、エレベータ1の管理者は、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの一方が故障したときに、故障した第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの一方を交換するなどの対応を速やかに行うことができる。
【0054】
次いで、かご保持装置15Aの全体動作について図10を参照しつつ説明する。
なお、図10中、ステップ201〜ステップ206のそれぞれを説明の便宜上それぞれS201〜S206と記す。
【0055】
初期状態として、かご4は昇降動作を停止しており、また、コイル24への通電は遮断されて楔ブロック32はかご移動許可位置に位置しているものとする。
ステップ201では、エレベータ制御盤10のCPU10bは、第1の速度値及び第2の速度値を参照し、かご4が昇動作(上昇)を開始したか否かを判断する。なお、CPU10bは第1の速度値及び第2の速度値の平均値をかご4の移動速度としている。
ステップ201でCPU10bは、かご4が昇動作を開始したと判断すると、タイマ10dにタイムカウントを開始させ(ステップ202)、ステップ203に進む。
ステップ201でCPU10bは、かご4が昇動作を開始していないと判断すると、かご4が昇動作を開始するまでステップ201を繰り返す。
【0056】
ステップ203では、CPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下か否かを判断する。
ステップ203でCPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下でない(3m/分より大きい)と判断した場合、タイマ10dにタイムカウントをリセットさせ(ステップ204)、ステップ201に戻る。
ステップ203でCPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下であると判断した場合、ステップ205に進む。
【0057】
ステップ205では、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したか否かを判断する。
ステップ205で、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続していないと判断した場合、ステップ203に戻る。
ステップ205で、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したと判断した場合、ステップ206に進む。
【0058】
ステップ206では、CPU10bは、コイル24に通電して楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させ、かご4の昇動作を停止させる。
【0059】
この実施の形態1によれば、楔ブロック32が、レール側壁面14bから離反したかご移動許可位置と、レール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置との間を移動可能に配設されている。さらに、可動鉄板25が、楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設されている。
そして、エレベータ制御盤10のCPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下のまま、3秒以上継続したと判断した場合に、かご4が自走によって上昇したものと判断して第1の電磁石22に通電し、可動鉄板25を第2位置にむけて移動させて楔ブロック32をかご上昇規制位置に配置させている。
従って、かごの自走による上昇を短時間で停止させることができる。即ち、万一、かご4が保守員による保守作業中に自走によって上昇しても、かご4の自走による上昇を短時間に停止させることができる。
【0060】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご移動許可位置にあるときを示している。図12はこの発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご上昇規制位置にあるときを示している。
【0061】
図11において、付勢部材かつ弾性部材としての第2のコイルばね30bの両端が可動鉄板25の長手方向の一端側の下面と基台17の上面のそれぞれに固定されている。このとき、第2のコイルばね30bの付勢力は、可動鉄板25の長手方向の一端を引き下げるように働いている。また、第1の電磁石22が、奥行き方向に関し、第2のコイルばね30bとの間に支持部材20が位置するように配置されている。また、鉄心23の上端面の高さ位置は、支持面20cの高さ位置より下方に配置されている。また、可動鉄板25の長手方向の他端側は、第1の電磁石22の鉄心23の上方に配置されている。
なお、他のかご保持装置15Bの構成は上記実施の形態1と同様である。
【0062】
次いで、上記のように構成されたかご保持装置15Bにおいて、コイル24が通電されているときのかご上昇規制機構16の動作について説明する。
第1の電磁石22は、第2のコイルばね30bの付勢力に抗して可動鉄板25の長手方向の他端側を下方に付勢する電磁力を発生する。そして、可動鉄板25は、その他端側が支持面20cとの接点を支点として下方に向かうように回動する。
【0063】
従って、可動鉄板25の長手方向の一端側は、上方、かつ、レール側壁面14bから離間する方向に移動するので、楔ブロック32も上方、かつ、レール側壁面14bから離間する方向に移動する。
【0064】
そして、可動鉄板25が所定角度回動すると、差込凹部26a,26bそれぞれの相対する側壁のそれぞれが、支持部材20の表裏両面に当接する。即ち、第1の電磁石22は、可動鉄板25を第1位置に移動させる付勢力を発し、可動鉄板25を第1位置で保持するようになっている。このとき、楔ブロック32は、基準面32aがレール側壁面14bから所定距離離間したかご移動許可位置で基台側壁面17a上に保持される。
【0065】
次いで、コイル24への通電が遮断されたときのかご上昇規制機構16の動作について説明する。
コイル24への通電が遮断されると、第1の電磁石22の電磁力が消失する。このとき、可動鉄板25は、その長手方向の一端側が第2のコイルばね30bの付勢力により、支持面20cとの接点を支点として下方に向かうように回動する。そして、楔ブロック32は、可動鉄板25の回動に連動して、レール側壁面14bに接近するように、基台側壁面17aに摺接しながら移動する。
【0066】
そして、可動鉄板25の回動動作は、楔ブロック32がレール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置に移動したところで停止する。このとき、可動鉄板25は水平な状態で第2位置に保持される。また、摩擦力が楔ブロック32の基準面32aとレール側壁面14bとの間に働いている。従って、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置されているときにかご4が上昇しても楔ブロック32が楔状空間19に食い込むので、かご4の上昇が速やかに停止する。
【0067】
次いで、かご保持装置15Bの全体動作について説明する。
初期状態として、かご4の昇降動作は停止されており、また、コイル24が通電されて、楔ブロック32はかご移動許可位置に位置しているものとする。
かご保持装置15Bの全体動作は、上述のステップ201〜206と同様であるが、ステップ206における楔ブロック32のかご上昇規制位置への移動方法が以下のようになっている。
即ち、CPU10bは、ステップ206で、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したと判断した場合、コイル24への通電を遮断している。そして、可動鉄板25が第2のコイルばね30bによって第2位置に移動する方向に付勢されて第2位置に移動し、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置される。
なお、他のかご保持装置15Bの動作は上記実施の形態1と同様である。
【0068】
この実施の形態2によれば、可動鉄板25が楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設されている。そして、第1の電磁石22が通電されたときには、第1の電磁石22の電磁力によって可動鉄板25が第1位置に保持されるようになっている。また、第1の電磁石22の電磁力が消失したときには、第2のコイルばね30bが、可動鉄板25を第2位置に移動させる方向に付勢して可動鉄板25を第2位置に保持するようになっている。
【0069】
そして、CPU10bは、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが送信する第1の速度情報データ及び第2の速度情報データから第1の速度値及び第2の速度値を演算し、かご4が3m/分以下で3秒以上上昇したと判断すると、第1の電磁石22への通電を遮断するようになっている。これにより、可動鉄板25が第2位置に向かって移動し、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置される。従って、万一、かご4が保守員による保守作業中に自走によって上昇しても、楔ブロック32が楔状空間19に食い込むので、かご4の自走による上昇を短時間に停止させることができる。
【0070】
また、通常、エレベータ1には、かご4の速度検出手段を有する周知の調速機(図示せず)が配設されている。そして、調速機は、かご4の移動速度が所定の速度を超過したことを検出すると、かご4の昇降動作を停止させるように動作している。第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは、調速機のかごの速度検出手段として兼用させることもできる。
【0071】
なお、上記実施の形態2では、付勢部材として、第2のコイルばね30bを用いるものとして説明したが、付勢部材は第2のコイルばね30bを用いるものに限定されない。付勢部材として、第1の電磁石と同様の構成を有する第2の電磁石を用いても良い。即ち、第2の電磁石は、通電時に発生する電磁力が、可動鉄板25を第2位置に移動させる方向に付勢するように配設すればよい。このとき、第2の電磁石の通電のON/OFFをエレベータ制御盤10により任意に切り替え可能なように配設する。そして、かご4が3m/分で3秒以上継続して上方に移動したときに、第1の電磁石22への通電を遮断し、第2の電磁石に通電させるようにエレベータ制御盤10に制御させればよい。
【0072】
また、上記各実施の形態では、CPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下を3秒以上継続したときに楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させてかご4の上昇を規制するものとして説明した。しかし、楔ブロック32のかご上昇規制位置への移動は、CPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下を3秒以上継続したと判断したときに行われるものに限定されない。例えば、通常のかご4の運転時、かご4が停止した階床から次の目的階に移動するときに、かご4の移動速度が少なくとも2秒より短い時間内に、4m/分に達するエレベータであれば、4m/分以下を2秒以上継続したときに楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させるなどすればよい。即ち、CPU10bは、通常運転でのかご4の上昇時に、楔ブロック32を上昇規制位置に移動させることのないように、上昇するかご4の移動速度が所定の設定値以下のまま所定の時間継続したと判断したときに、楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させるものであればよい。つまり、所定の設定値及び所定の時間はかご4の通常運転時における昇降運転の速度パターンの仕様に応じて適宜決定すればよい。
【0073】
また、上記各実施の形態では、速度情報提供機構40は、第1の速度情報提供手段40Aと第2の速度情報提供手段40Bとで構成されて常設され、エレベータ制御盤10bは、第1の速度値及び第2の速度値を比較することにより、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの故障診断を行うものとして説明した。そして、CPU10bは、第1の速度値及び第2の速度値の差が規定した値より大きいときには、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障したと判断し、情報センタに第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障したことを報知する警告信号を発するようになっている。しかし、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bは常設するものに限定されない。第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bを常設しない場合、予め第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bがメンテナンスされていて、かご4上での保守作業に要する時間内に故障する心配がなければ、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bのいずれか一方のみを保守作業時に取り付けて使用してもよい。
【0074】
また、上記各実施の形態では、信号処理通電手段はエレベータ制御盤10であるものとして説明したが、信号処理通電手段は、エレベータ制御盤10であるものに限定されない。信号処理通電手段はROM10a、CPU10b、RAM10c、及びタイマ10dと同様の構成を有するユニットをエレベータ制御盤10と別個に設けても良い。
【0075】
また、上記各実施の形態では、かごガイドレール13a,13bは長手方向を鉛直方向に一致させて設置するものとして説明したが、かごガイドレール13a,13bの長手方向は鉛直方向に一致させるものに限定されず、鉛直方向から所定角度傾くように設置されたかごガイドレール13a,13bに対しても本発明を適用できる。
【0076】
また、上記各実施の形態において、第1の弾性部材、及び付勢部材のそれぞれには、第1のコイルばね30a、及び第2のコイルばね30bを用いるものとして説明したが、第1の弾性部材、及び第1の付勢部材には、板ばねなど、弾性を有する他の部材を用いてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態では、楔状空間19は、傾斜壁面としての基台側壁面17aとレール側壁面14bとの間に形成されるものとして説明したが、楔状空間19は、基台17の底面17cとレール突出端面14aとの間、又は基台側壁面17bとレール側壁面14cとの間に形成されるものでもよい。つまり、楔状空間19は、かごガイドレール13a,13bのいずれかの壁面との間に形成されていればよく、かごガイドレール13a,13bとの間に楔状空間19を形成する基台17の壁面を傾斜壁面として定義する。
【0078】
また、上記各実施の形態では、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれは、レール側壁面14c、及びレール突出端面14aのそれぞれに当接するように配設するものとして説明したが、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれは、レール突出端面14a及びレール側壁面14b,14cのいずれかに当接するように配設されていればよい。例えば、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれを高さ方向に位置をずらして配置させ、レール突出端面14aまたはレール側壁面14b,14cのいずれか一つに当接させているものなどでもよい。
【0079】
また、上記各実施の形態では、可動部材は、磁性材料の鉄により形成された可動鉄板25を用いるものとして説明したが、可動部材は可動鉄板25を用いるものに限定されない。可動部材には、ニッケルなどの他の磁性材料を用いて形成したものや、可動部材と同様の形状を有する非磁性体に対し、第1の電磁石22との間に電磁力が働くように永久磁石を固定したものなどを用いてもよい。
【0080】
また、各実施の形態では、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのそれぞれは、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれの単位時間当たりの回転量及びその回転方向に関する情報を第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのそれぞれとして送信するものとして説明した。しかし、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bのそれぞれは、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれの回転角度に関する情報を第1の速度情報データ及び第2の速度情報データとしてそれぞれ送信するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施の形態1係るかご保持装置が配設されたエレベータの模式図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図2のA方向から見た正面図である。
【図5】図2のV−V矢視断面図である。
【図6】図3のB部拡大断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置のシステム構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置の断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置のエレベータ制御盤が行う第1のエンコーダ及び第2のエンコーダの故障診断の動作フロー図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置の動作フロー図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図である。
【符号の説明】
【0082】
4 かご、10 エレベータ制御盤(信号処理通電手段)、13a,13b かごガイドレール、15A,15B かご保持装置、17a 基台側壁面(傾斜壁面)、19 楔状空間、22 第1の電磁石、25 可動鉄板(可動部材)、30a 第1のコイルばね、30b 第2のコイルばね(付勢手段、弾性部材)、32 楔ブロック、40 速度情報提供機構、44A 第1の速度検出用ローラ、44B 第2の速度検出用ローラ、48a 第1のエンコーダ、48b 第2のエンコーダ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの保守作業時、かごの自走による上昇を短時間に停止させるエレベータのかご保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータのかご保持装置は、保守員がかご上で保守作業を行う際に主ガイドレールと対向するかご上部の位置に設置された頂部ストッパーと、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間に形成される隙間に上方からセットされるかごロックキーと、かごロックキーの上部と対向するように主ガイドレールの上端部に固定された作動アームと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
このとき、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間には、テーパ状の隙間が上方に向かって幅広になるように形成され、楔状のかごロックキーがテーパ状の隙間に主ガイドレールから隙間をあけてセットされている。
【0003】
ここで、保守員が、かごを昇降路内の所定位置に停止させてかご上で保守作業を行う際、かごを昇降路内の所定位置に停止させておくためのブレーキが故障したりすると、かごは昇降路の最上部に向かって自走する。そして、かごロックキーが作動アームの位置までくると、かごロックキーの頂部が作動アームに当接して、頂部ストッパーと主ガイドレールとの間に食い込むようになっている。これにより、かごの自走による上昇が停止され、このとき、かごの上面と昇降路の頂部との間には保守時頂部安全スペースが確保されていた。即ち、かご上で保守作業を行っていた保守員のかご上での居場所が確保されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−343579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエレベータのかご保持装置では、かごロックキーの頂部が作動アームに当接されるまでの間かごの自走による上昇を停止させることができない。従って、
保守員が昇降路の最上部以外にかごを停止させて保守作業を行っているときにかごが自走した場合、かごの自走による上昇が停止するまでには長時間を要し、かご上の保守員に計り知れない緊張感を長時間に渡って与えるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、かごの自走による上昇を短時間で停止させることのできるエレベータのかご保持装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるエレベータのかご保持装置は、かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、かごガイドレールと傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に楔状空間に配設された楔ブロックと、楔ブロックに連結され、楔ブロックをかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロックをかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、可動部材を第1位置に移動させる方向に付勢するように配設され、可動部材を第1位置に保持する第1の弾性部材と、第1の弾性部材の付勢力に抗して可動部材を第2位置に移動させる電磁力を発生し、可動部材を第2位置に保持する第1の電磁石と、かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、速度演算用データに基づいてかごの移動速度を演算し、かごが停止した状態から上昇したときに、上昇するかごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると第1の電磁石に通電させる信号処理通電手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、信号処理通電手段が、かごが自走によって上昇したか否かを判断可能であり、かごが自走によって上昇したと判断すると楔ブロックをかご上昇規制位置に位置させているので、かごの自走による上昇を短時間で停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1係るかご保持装置が配設されたエレベータの模式図、図2は図1のII−II矢視断面図であり、楔ブロックがかご移動許可位置にあるときを示している。図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のA方向から見た正面図である。図5は図2のV−V矢視断面図であり、可動鉄板、楔ブロック、及び回動軸部材のみを図示している。図6は図3のB部拡大断面図、図7はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置のシステム構成図、図8はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご上昇規制位置にあるときを示している。図9はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置のエレベータ制御盤が行う第1のエンコーダ及び第2のエンコーダの故障診断の動作フロー図、図10はこの発明の実施の形態1に係るかご保持装置の動作フロー図である。
【0010】
図1において、エレベータ1は機械室レスタイプのものであり、昇降路壁2に囲まれた昇降路3内を昇降自在に配設されたかご4、駆動綱車6と電動機(図示せず)を有する巻上機5、一対のかごガイドレール13a,13b、メインロープ8、つり合いおもり9、及びエレベータ制御盤10などを備えている。
【0011】
巻上機5は、昇降路3のピット3aに配設されている。そして、駆動綱車6は電動機の回転に連動して軸まわりに回転するようになっている。
また、メインロープ8は、その一端が昇降路3の天井に固着されて天井から垂下され、かご4の下部に設けられている一対の転向プーリ11a,11bに掛け渡されて反転している。さらに、メインロープ8は、昇降路3の天井に設置されたプーリ12aに掛け渡されて再び反転し、駆動綱車6に巻きかけられて再び反転し、さらに、昇降路3の天井に設置されたプーリ12bに掛け渡されて再び反転し、つり合いおもり9に固着されたプーリ12cに掛け渡されて再び反転している。そして、メインロープ8の他端が昇降路3の天井に固定されている。
【0012】
また、一対のかごガイドレール13a,13bのそれぞれが、長手方向を鉛直方向に一致させ、かご側壁面4a,4bのそれぞれと所定の間隔をあけてピット3aの床から昇降路3の天井近傍に至るまで延設されている。なお、かご側壁面4a,4bに垂直な方向をかご幅方向とし、かご幅方向に垂直かつ水平な方向を奥行き方向とする。即ち、かご側壁面4a,4bの上縁の長さ方向は、奥行き方向に一致している。
【0013】
また、エレベータ制御盤10は、昇降路壁2に固定されている。エレベータ制御盤10は、エレベータ1の運行を制御するためのプログラムが書き込まれたROM10a、当該プログラムの内容に従ってエレベータ1の運行を制御するためのCPU10b、CPU10bがエレベータ1の運行を制御する際に行われる各種演算のワーキングエリアに用いられるRAM10c、及びタイマ10d等を有している。そして、エレベータ制御盤10はプログラムに基づいたエレベータ1の運行制御を行っている。また、CPU10bは、タイマ10dにタイムカウントを開始させたり、タイムカウントをリセットさせたりすることができ、かつ、タイマ10dのタイムカウントを認識可能になっている。
【0014】
また、エレベータ制御盤10は、電動機を介した駆動綱車6の回転を任意に制御することが可能になっている。そして、駆動綱車6とメインロープ8との間には摩擦力が働いているので、メインロープ8は駆動綱車6の回転に応じて移動される。これにより、かご4及びつり合いおもり9が昇降路3内を昇降するようになっている。また、図示しないが、ブレーキが駆動綱車6の回転を停止可能に配設されている。そして、エレベータ制御盤10は、任意にかご4の昇降移動とその停止を制御することができるようになっている。なお、後述するように、エレベータ制御盤10は、かご保持装置15Aの構成要素にもなっている。そして、かご保持装置15Aの主要部が、かご4の上部外壁面に配設されている。
【0015】
また、かごガイドレール13aは、図3及び図4に示されるように、断面T字状に形成されている。そして、T字の突出側を形成するレール突出部14は、一方のかご側壁面4aと所定の間隔をあけて対面するレール突出端面14aと、レール突出端面14aに垂直かつ互いに平行なレール側壁面14b,14cと、を有している。なお、図示しないが、かごガイドレール13bもかごガイドレール13aと同様の形状を有している。
【0016】
図2〜図4において、かご保持装置15Aは、かご上昇規制機構16、第1の速度情報提供手段40Aと第2の速度情報提供手段40Bとを有する速度情報提供機構40、及び信号処理通電手段としてのエレベータ制御盤10を有している。
そして、かご上昇規制機構16、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bは、かご4の上部外壁面に一方のかごガイドレール13aの位置に合わせて常設されている。
【0017】
次いで、かご上昇規制機構16の詳細について説明する。
図2〜図4において、かご上昇規制機構16は、基台17、支持部材20、第1の電磁石22、可動部材としての可動鉄板25、第1の弾性部材としての第1のコイルばね30a、楔ブロック32、及び回動軸部材35を有している。
基台17は、直方体状に形成され、凹部18が直方体の一面に開口するように、かつ、当該一面を形成する4辺のうち、平行な2辺間を接続するように形成されている。そして、基台17は、凹部18の溝方向を鉛直方向(かごガイドレール13aの長さ方向)に一致させ、凹部18を形成する両基台側壁面17a,17bと底面17cとで、レール突出部14を囲むようにかご4の上部外壁面に固定されている。
【0018】
そして、一方の基台側壁面17aは、かごガイドレール13aの上方から下方に向かうにつれて一方のレール側壁面14bとの間の距離が漸次短くなるように傾斜されている。つまり、楔状空間19が、かごガイドレール13aの上方から下方に向かって間隔が漸次狭くなるように、レール側壁面14bと基台側壁面17aとの間に形成されている。また、他方の基台側壁面17bと他方のレール側壁面14cとの隙間、及び突出端面14aと底面17cとの隙間は均一になっている。
【0019】
支持部材20は、矩形平板状に形成され、楔状空間19から所定距離だけ離間した位置でレール側壁面14bと相対するように、基台17に固定されている。また、上方に開口する嵌合凹部21が、支持部材20の突出端側を所定の深さに切り欠いて形成され、図3及び図4に示されるように、切り欠きの両側に第1の差込部20a,20bが形成されている。また、嵌合凹部21の底面が、上方に向けて水平に配置されて支持面20cを構成している。
【0020】
第1の電磁石22は鉄心23及びコイル24を有している。そして、鉄心23は、支持部材20よりレール側壁面14b側で、一端面を基台17の上面に合わせて固定されている。このとき、鉄心23の他端面の高さは、支持面20cの高さに一致している。また、コイル24は、鉄心23の外周面に巻回されている。
【0021】
また、可動鉄板25は矩形平板状に形成されている。そして、可動鉄板25は、長手方向を奥行き方向に一致させて一面を基台17の上面に向け、長手方向の一端側が楔状空間19の上方に位置するように配置されている。また、一対の差込凹部26a,26bのそれぞれが、図3に示されるように、可動鉄板25の両長辺に、当該長辺の長手中心より他端側で長手方向の位置を一致させて開口するように形成されている。そして、第1の差込部20a,20bのそれぞれが、差込凹部26a,26bのそれぞれに遊嵌状態に差し込まれている。さらに、可動鉄板25が、嵌合凹部21に遊嵌されて、支持面20cに係合している。
【0022】
そして、第1のコイルばね30aが、奥行き方向に関し、第1の電磁石22との間に支持部材20が位置するように配置されている。そして、第1のコイルばね30aの両端は、可動鉄板25の一面(下面)と基台17の上面にそれぞれ固定されている。このとき、第1のコイルばね30aの付勢力は、可動鉄板25の長手方向の他端を引き下げるように働いている。
【0023】
楔ブロック32は、断面楔状に形成され、その主要部が楔状空間19内に配置されている。このとき、楔ブロック32は、基準面32a、及び基準面32aとの間隔が漸次広くなる摺接面32bを有し、基準面32aに対する摺接面32bの傾斜角度が、レール側壁面14bに対する基台側壁面17aの傾斜角度と同じになるように形成されている。そして、楔ブロック32は、基準面32aがレール側壁面14bと相対するように、かつ、摺接面32bが基台側壁面17a上に載置されるように楔状空間19に配置されている。
【0024】
このとき、楔ブロック32は、図5に示されるように、回動軸部材35を用いて可動鉄板25の一端側の下面に取り付けられている。
即ち、貫通孔32cが、楔ブロック32の上端近傍を基準面32aに平行かつ水平方向に貫通するように形成されている。また、回動軸部材35は、軸部35a、及び軸部35aの両端をそれぞれ同方向に垂直に折り曲げて形成した取付部35b,35cを有している。そして、軸部35aが貫通孔32cに遊嵌状態に挿通され、取付部35b,35cの先端のそれぞれが、可動鉄板25の長手方向の一端側の下面に固定されている。これにより、楔ブロック32は、回動軸部材35の軸部35a周りに回動可能に可動鉄板25に取り付けられている。
【0025】
次いで、第1の速度情報提供手段40Aについて説明する。
図2,図3及び図6において、第1の速度情報提供手段40Aは一対の軸保持部材41a,41b、第1軸42A、一対の可動アーム43a,43b、第1の速度検出用ローラ44A、第2軸45A、一対の軸受46a,46b、取付金具47a及び第1のエンコーダ48aを有している。
【0026】
一対の軸保持部材41a,41bは、かご幅方向に所定の間隔をあけて、他方のレール側壁面14cから奥行き方向に所定距離離間した基台17の上面の部位に基台17の上方に突出するように固定されている。
そして、第1軸42Aはその軸方向をかご幅方向に一致させて配置され、その両端が基台17の上方で一対の軸保持部材41a,41bに固定されている。
【0027】
一対の可動アーム43a,43bは、それぞれ長尺平板状に形成されている。そして、可動アーム43a,43bのそれぞれは、第1軸42Aの軸方向に所定の間隔をあけて対面するように配置されている。そして、第1軸42Aが可動アーム43a,43bのそれぞれの一端側を遊嵌状態に貫通している。
また、第1軸42Aには、軸方向移動規制部42a,42bのそれぞれが、軸保持部材41a,41bのそれぞれとの間に可動アーム43a,43bが略隙間なく配置されるように第1軸42Aの軸方向の所定の位置で径方向に突出するように形成されている。
以上により、一対の可動アーム43a,43bのそれぞれは、第1軸42Aの軸方向の移動が規制され、かつ、第1軸42Aの軸周りに回動自在となっている。
【0028】
また、第1の速度検出用ローラ44Aは、ローラ基部44a、及び被覆部材44bを有している。ローラ基部44aは、厚肉円盤状に形成されている。そして、被覆部材44bが、ローラ基部44aの外周面全域を覆うように配設されている。なお、被覆部材44bには、ゴムなどの樹脂が用いられている。そして、第2軸45Aがローラ基部44aに同軸に、かつローラ基部44aの両端面から突出するように固定されている。
また、一対の軸受46a、46bが一対の可動アーム43a,43bの他端側の相対する壁面に、軸方向がかご幅方向に一致する軸を支持可能なように固定されている。
そして、第2軸45Aは、その両端のそれぞれが軸受46a,46bのそれぞれに支持されて、第1の速度検出用ローラ44Aが一対の可動アーム43a,43bの間に配置されている。
【0029】
このとき、可動アーム43a,43bは、その他端側が一端側より上方に配置され、レール側壁面14c側に回転するように配置されて第1の速度検出用ローラ44Aがレール側壁面14cに当接している。また、第1の速度検出用ローラ44Aの外周面とレール側壁面14cとの間には摩擦力が働いており、かご4が昇降したときには、第1の速度検出用ローラ44Aが第2軸45Aの軸心周りに第2軸45Aと一体に回転するようになっている。このとき、レール側壁面14cの表面が多少歪んでいても、可動アーム43a,43bは第1軸42A周りに回動自在であるので、第1の速度検出用ローラ44Aは、レール側壁面14cの表面に常に当接しながら回転する。
【0030】
また、第2軸45Aの一端は、一方の軸受46a及び可動アーム43aの他端側を貫通している。そして、取付金具47aは、その一端が一方の可動アーム43aの他端に固定されて、他端が他方の可動アーム43bとは反対側に向かって延在されている。
さらに、第1のエンコーダ48aが、第2軸45Aの回転量及び回転方向、即ち第2軸45Aの軸周りに回転する第1の速度検出用ローラ44Aの回転量及び回転方向を検出可能に取付金具47aの他端に支持固定されている。
【0031】
また、第2の速度情報提供手段40Bは、図2〜図4及び図6に示されるように、第1の速度情報提供手段40Aと同じ構成であり、一対の軸保持部材41c,41d、第1軸42B、一対の可動アーム43c,43d、第2の速度検出用ローラ44B、第2軸45B、一対の軸受46c,46d、取付金具47b及び第2のエンコーダ48bを有している。
【0032】
そして、一対の軸保持部材41c,41dが、奥行き方向に所定の間隔をあけて、レール突出端面14aからかご幅方向に所定距離離間した基台17の上面の部位に基台17の上方に突出するように固定されている。
そして、第1軸42Bは、軸方向を奥行き方向に一致させて配置され、その両端が一対の軸保持部材41c,41dに固定されている。
【0033】
一対の可動アーム43c,43dは、第1軸42Bの軸方向に所定の間隔をあけて対面するように配置されている。そして、第1軸42Bが可動アームのそれぞれの一端側を遊嵌状態に貫通している。
【0034】
また、第1軸42Bには、軸方向移動規制部42c,42dのそれぞれが、軸保持部材41c,41dのそれぞれとの間に可動アーム43a,43bが略隙間なく配置されるように第1軸42Bの軸方向の所定の位置で径方向に突出するように形成されている。これにより、一対の可動アーム43c,43dのそれぞれは、第1軸42Bの軸方向の移動が規制され、かつ、第1軸42Bの軸周りに回動自在となっている。
【0035】
また、第2の速度検出用ローラ44Bは、ローラ基部44a及び被覆部材44bと同様のローラ基部44c及び被覆部材44dを有している。そして、第2軸45Bがローラ基部44cに同軸に、かつローラ基部44cの両端面から突出するように固定されている。
また、一対の軸受46c,46dが、一対の可動アーム43c,43dの他端側の相対する壁面に、軸方向がかご奥行き方向に一致する軸を支持可能なように固定されている。
そして、第2軸45Bの両端が軸受46c,46dのそれぞれに支持され、第2の速度検出用ローラ44Bが一対の可動アーム43c,43dの間に配置されている。
【0036】
このとき、可動アーム43c,43dは、それぞれの他端側が一端側より上方に配置され、レール突出端面14a側に回転するように配置されて第2の速度検出用ローラ44Bがレール突出端面14aに当接している。また、第2の速度検出用ローラ44Bの外周面とレール突出端面14aとの間には摩擦力が働いており、かご4が昇降したときには、第2の速度検出用ローラ44Bが第2軸45Bの軸心周りに第2軸45Bと一体に回転するようになっている。このとき、レール突出端面14aの表面が多少歪んでいても、可動アーム43c,43dは第1軸42B周りに回動自在であるので、第2の速度検出用ローラ44Bは、レール突出端面14aの表面に常に当接しながら回転する。
【0037】
また、第2軸45Bの一端は、一方の軸受46c及び可動アーム43cの他端側を貫通している。
そして、取付金具47bは、その一端が一方の可動アーム43cの他端に固定されて、他端が他方の可動アーム43dとは反対側に向かって延在している。
さらに、第2のエンコーダ48bが、第2軸45Bの回転量、即ち第2軸45Bの軸心周りに回転する第2の速度検出用ローラ44Bの回転量及び回転方向を検出可能に取付金具47bの他端に支持固定されている。
【0038】
次いで、かご保持装置15Aのシステム構成について図7を参照しつつ説明する。
第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは、エレベータ制御盤10に電気配線によって接続されている。
【0039】
そして、第1のエンコーダ48aは、第1の速度検出用ローラ44Aの単位時間当たりの回転量及びその回転方向に関する情報を速度演算用データとしての第1の速度情報データとして送信している。また、第2のエンコーダ48bは、第2の速度検出用ローラ44Bの単位時間当たりの回転量及び回転方向に関する情報を速度演算用データとしての第2の速度情報データとして送信している。第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bの回転速度は、かご4の移動速度に応じて変化するので、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データには、かご4の移動速度に関する情報が反映されている。
【0040】
そして、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データはエレベータ制御盤10で受信されている。そして、上述のエレベータ制御盤10のROM10aには、CPU10bに、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのそれぞれに基づいて、かご4の移動速度を第1の速度値及び第2の速度値として演算させるプログラムも格納されている。
【0041】
また、エレベータ制御盤10は、コイル24に電気配線によって接続され、コイル24への通電のON/OFFを任意に切替可能になっている。さらに、図示しないが、エレベータ制御盤10は、管理者が常駐する情報センタに通信ケーブルなどによって接続されて、情報センタとの間で情報を送受できるようになっている。
【0042】
上記のように構成されたかご保持装置15Aにおいて、かご上昇規制機構16の動作について説明する。
図2及び図3において、コイル24への通電が遮断されているときは、可動鉄板25は、第1のコイルばね30aの付勢力により支持面20cとの接点を支点として、長手方向の他端側が下方に向かうように回動する。これにより、可動鉄板25は、その一端側が上方、かつ、レール側壁面14bと離反する方向に回動する。
【0043】
また、楔ブロック32も可動鉄板25の回動に連動する。このとき、楔ブロック32は、回動軸部材35の軸部35a周りに回動自在となっているので、摺接面32bは基台側壁面17aに摺接しながら上昇し、かつ、基準面32aはレール側壁面14bから離反する方向に移動する。
【0044】
そして、可動鉄板25が所定角度回動すると、差込凹部26a,26bそれぞれの相対する側壁のそれぞれが、支持部材20の表裏両面に当接して、可動鉄板25の回動動作が停止する。このときの可動鉄板25の位置を第1位置とする。即ち、第1のコイルばね30aは可動鉄板25を第1位置に移動させる方向に付勢し、可動鉄板25を第1位置で保持している。
そして、可動鉄板25が第1位置で保持されているとき、楔ブロック32は、図2に示されるように、基台側壁面17a上に載置された状態で、かつ、基準面32aがレール側壁面14bから所定距離離間したかご移動許可位置に位置している。
【0045】
また、楔ブロック32がかご移動許可位置にあるときに、コイル24に通電すると、第1の電磁石22は、第1のコイルばね30aの付勢力に抗して可動鉄板25の長手方向の一端側を引き下げる方向に付勢する電磁力を発生し、可動鉄板25を鉄心23側に吸引する。このとき、可動鉄板25は、その一端側が下方、かつ、レール側壁面14bに接近する方向に回動する。そして、可動鉄板25の回動動作は、可動鉄板25の下面が鉄心23の上端面に当接したところで規制される。これにより、可動鉄板25は第1の電磁石22によって鉄心23の上端面に当接した第2位置に保持される。
【0046】
このとき、楔ブロック32は可動鉄板25の回動に連動して下方に移動する。そして、楔ブロック32の摺接面32bは、基台側壁面17aに摺接しながら下降し、かつ、基準面32aはレール側壁面14bに接近する方向に移動する。そして、可動鉄板25が第2位置で保持されると同時に、楔ブロック32は、レール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置に配置されるようになっている。
【0047】
また、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置されたときには、摩擦力が楔ブロック32の基準面32aとレール側壁面14bとの間に働くようになっている。従って、楔ブロック32がかご上昇規制位置にある状態で、かご4が上昇しようとしても、楔ブロック32はかご4の上昇に連動せずに楔状空間19に食い込むので、かご4の上昇が規制される。
【0048】
ここで、保守点検時にかご4が自走した時のかごの移動速度と、通常運転時のかご4の移動速度について説明する。
つり合いおもり9の質量は、かご4の質量及びかご4に配設された各種機器の質量を合わせたものに、かご4の定格積載量の半分の質量を加えた値に調整されることが一般的である。従って、保守作業時には、かご4内に乗客はいないので、かご4の質量、かご4に配設された各種機器の質量、及び保守作業を行う保守員の質量の総和は、つり合いおもり9の質量より小さい。従って、かご4が保守作業時に自走するときは、昇降路3の頂部に向けて上方に自走する。このときのかご4の自走による移動速度は非常に低速であり、3m/分を超えるようなことはない。
【0049】
一方、かご4が通常に昇降運転されている場合、停止した階床から次の目的階の階床に昇降する場合、少なくとも3秒より短い時間で3m/分より速い速度に到達するようになっている。即ち、3m/分以下のかご4の移動速度が3秒以上継続したときには、かご4は自走により上昇していることになる。
【0050】
次いで、エレベータ制御盤10が行う第1のエンコーダ48aと第2のエンコーダ48bの故障診断の動作について、図9を参照しつつ説明する。
なお、図9中、ステップ101及びステップ102を説明の便宜上S101及びS102と記す。
【0051】
ステップ101でエレベータ制御盤10のCPU10bは、第1の速度情報データと第2の速度情報データに基づいてそれぞれ演算した第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であるか否かを判断する。
ステップ101でCPU10bは、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であると判断した場合、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが共に正常に動作しているものとみなしステップ101を繰り返す。
【0052】
即ち、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bは、同じ速度で回転するので、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが正常に動作していれば、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データは理論的には同じである。しかし、実際には、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの間の性能の差は皆無でないため、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データを完全に一致させることは困難である。従って、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが正常に動作していても、第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのわずかなずれによって、第1の速度値と第2の速度値とはわずかに異なる値として演算される。そして、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下であれば第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは正常に動作しているものとCPU10bに判断させている。上述した規定の値は、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの仕様により決定される第1の速度値と第2の速度値との差の許容範囲に応じて適宜決定されるものである。
【0053】
ステップ101でCPU10bは、第1の速度値と第2の速度値の差が規定した値以下でない(規定した値より大きい)と判断すると、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障しているものと判断し、エレベータ1の管理者が常駐する情報センタに、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれかが故障したことを知らせるための警告信号を送信する(ステップ102)。
従って、速度情報提供機構40を常設した場合、エレベータ1の管理者は、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの一方が故障したときに、故障した第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの一方を交換するなどの対応を速やかに行うことができる。
【0054】
次いで、かご保持装置15Aの全体動作について図10を参照しつつ説明する。
なお、図10中、ステップ201〜ステップ206のそれぞれを説明の便宜上それぞれS201〜S206と記す。
【0055】
初期状態として、かご4は昇降動作を停止しており、また、コイル24への通電は遮断されて楔ブロック32はかご移動許可位置に位置しているものとする。
ステップ201では、エレベータ制御盤10のCPU10bは、第1の速度値及び第2の速度値を参照し、かご4が昇動作(上昇)を開始したか否かを判断する。なお、CPU10bは第1の速度値及び第2の速度値の平均値をかご4の移動速度としている。
ステップ201でCPU10bは、かご4が昇動作を開始したと判断すると、タイマ10dにタイムカウントを開始させ(ステップ202)、ステップ203に進む。
ステップ201でCPU10bは、かご4が昇動作を開始していないと判断すると、かご4が昇動作を開始するまでステップ201を繰り返す。
【0056】
ステップ203では、CPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下か否かを判断する。
ステップ203でCPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下でない(3m/分より大きい)と判断した場合、タイマ10dにタイムカウントをリセットさせ(ステップ204)、ステップ201に戻る。
ステップ203でCPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下であると判断した場合、ステップ205に進む。
【0057】
ステップ205では、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したか否かを判断する。
ステップ205で、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続していないと判断した場合、ステップ203に戻る。
ステップ205で、CPU10bは、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したと判断した場合、ステップ206に進む。
【0058】
ステップ206では、CPU10bは、コイル24に通電して楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させ、かご4の昇動作を停止させる。
【0059】
この実施の形態1によれば、楔ブロック32が、レール側壁面14bから離反したかご移動許可位置と、レール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置との間を移動可能に配設されている。さらに、可動鉄板25が、楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設されている。
そして、エレベータ制御盤10のCPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下のまま、3秒以上継続したと判断した場合に、かご4が自走によって上昇したものと判断して第1の電磁石22に通電し、可動鉄板25を第2位置にむけて移動させて楔ブロック32をかご上昇規制位置に配置させている。
従って、かごの自走による上昇を短時間で停止させることができる。即ち、万一、かご4が保守員による保守作業中に自走によって上昇しても、かご4の自走による上昇を短時間に停止させることができる。
【0060】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご移動許可位置にあるときを示している。図12はこの発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図であり、楔ブロックがかご上昇規制位置にあるときを示している。
【0061】
図11において、付勢部材かつ弾性部材としての第2のコイルばね30bの両端が可動鉄板25の長手方向の一端側の下面と基台17の上面のそれぞれに固定されている。このとき、第2のコイルばね30bの付勢力は、可動鉄板25の長手方向の一端を引き下げるように働いている。また、第1の電磁石22が、奥行き方向に関し、第2のコイルばね30bとの間に支持部材20が位置するように配置されている。また、鉄心23の上端面の高さ位置は、支持面20cの高さ位置より下方に配置されている。また、可動鉄板25の長手方向の他端側は、第1の電磁石22の鉄心23の上方に配置されている。
なお、他のかご保持装置15Bの構成は上記実施の形態1と同様である。
【0062】
次いで、上記のように構成されたかご保持装置15Bにおいて、コイル24が通電されているときのかご上昇規制機構16の動作について説明する。
第1の電磁石22は、第2のコイルばね30bの付勢力に抗して可動鉄板25の長手方向の他端側を下方に付勢する電磁力を発生する。そして、可動鉄板25は、その他端側が支持面20cとの接点を支点として下方に向かうように回動する。
【0063】
従って、可動鉄板25の長手方向の一端側は、上方、かつ、レール側壁面14bから離間する方向に移動するので、楔ブロック32も上方、かつ、レール側壁面14bから離間する方向に移動する。
【0064】
そして、可動鉄板25が所定角度回動すると、差込凹部26a,26bそれぞれの相対する側壁のそれぞれが、支持部材20の表裏両面に当接する。即ち、第1の電磁石22は、可動鉄板25を第1位置に移動させる付勢力を発し、可動鉄板25を第1位置で保持するようになっている。このとき、楔ブロック32は、基準面32aがレール側壁面14bから所定距離離間したかご移動許可位置で基台側壁面17a上に保持される。
【0065】
次いで、コイル24への通電が遮断されたときのかご上昇規制機構16の動作について説明する。
コイル24への通電が遮断されると、第1の電磁石22の電磁力が消失する。このとき、可動鉄板25は、その長手方向の一端側が第2のコイルばね30bの付勢力により、支持面20cとの接点を支点として下方に向かうように回動する。そして、楔ブロック32は、可動鉄板25の回動に連動して、レール側壁面14bに接近するように、基台側壁面17aに摺接しながら移動する。
【0066】
そして、可動鉄板25の回動動作は、楔ブロック32がレール側壁面14bと基台側壁面17aとに密接したかご上昇規制位置に移動したところで停止する。このとき、可動鉄板25は水平な状態で第2位置に保持される。また、摩擦力が楔ブロック32の基準面32aとレール側壁面14bとの間に働いている。従って、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置されているときにかご4が上昇しても楔ブロック32が楔状空間19に食い込むので、かご4の上昇が速やかに停止する。
【0067】
次いで、かご保持装置15Bの全体動作について説明する。
初期状態として、かご4の昇降動作は停止されており、また、コイル24が通電されて、楔ブロック32はかご移動許可位置に位置しているものとする。
かご保持装置15Bの全体動作は、上述のステップ201〜206と同様であるが、ステップ206における楔ブロック32のかご上昇規制位置への移動方法が以下のようになっている。
即ち、CPU10bは、ステップ206で、タイマ10dのタイムカウントが3秒以上継続したと判断した場合、コイル24への通電を遮断している。そして、可動鉄板25が第2のコイルばね30bによって第2位置に移動する方向に付勢されて第2位置に移動し、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置される。
なお、他のかご保持装置15Bの動作は上記実施の形態1と同様である。
【0068】
この実施の形態2によれば、可動鉄板25が楔ブロック32をかご移動許可位置に位置させる第1位置と楔ブロック32をかご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設されている。そして、第1の電磁石22が通電されたときには、第1の電磁石22の電磁力によって可動鉄板25が第1位置に保持されるようになっている。また、第1の電磁石22の電磁力が消失したときには、第2のコイルばね30bが、可動鉄板25を第2位置に移動させる方向に付勢して可動鉄板25を第2位置に保持するようになっている。
【0069】
そして、CPU10bは、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bが送信する第1の速度情報データ及び第2の速度情報データから第1の速度値及び第2の速度値を演算し、かご4が3m/分以下で3秒以上上昇したと判断すると、第1の電磁石22への通電を遮断するようになっている。これにより、可動鉄板25が第2位置に向かって移動し、楔ブロック32がかご上昇規制位置に配置される。従って、万一、かご4が保守員による保守作業中に自走によって上昇しても、楔ブロック32が楔状空間19に食い込むので、かご4の自走による上昇を短時間に停止させることができる。
【0070】
また、通常、エレベータ1には、かご4の速度検出手段を有する周知の調速機(図示せず)が配設されている。そして、調速機は、かご4の移動速度が所定の速度を超過したことを検出すると、かご4の昇降動作を停止させるように動作している。第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bは、調速機のかごの速度検出手段として兼用させることもできる。
【0071】
なお、上記実施の形態2では、付勢部材として、第2のコイルばね30bを用いるものとして説明したが、付勢部材は第2のコイルばね30bを用いるものに限定されない。付勢部材として、第1の電磁石と同様の構成を有する第2の電磁石を用いても良い。即ち、第2の電磁石は、通電時に発生する電磁力が、可動鉄板25を第2位置に移動させる方向に付勢するように配設すればよい。このとき、第2の電磁石の通電のON/OFFをエレベータ制御盤10により任意に切り替え可能なように配設する。そして、かご4が3m/分で3秒以上継続して上方に移動したときに、第1の電磁石22への通電を遮断し、第2の電磁石に通電させるようにエレベータ制御盤10に制御させればよい。
【0072】
また、上記各実施の形態では、CPU10bは、かご4の移動速度が3m/分以下を3秒以上継続したときに楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させてかご4の上昇を規制するものとして説明した。しかし、楔ブロック32のかご上昇規制位置への移動は、CPU10bが、かご4の移動速度が3m/分以下を3秒以上継続したと判断したときに行われるものに限定されない。例えば、通常のかご4の運転時、かご4が停止した階床から次の目的階に移動するときに、かご4の移動速度が少なくとも2秒より短い時間内に、4m/分に達するエレベータであれば、4m/分以下を2秒以上継続したときに楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させるなどすればよい。即ち、CPU10bは、通常運転でのかご4の上昇時に、楔ブロック32を上昇規制位置に移動させることのないように、上昇するかご4の移動速度が所定の設定値以下のまま所定の時間継続したと判断したときに、楔ブロック32をかご上昇規制位置に移動させるものであればよい。つまり、所定の設定値及び所定の時間はかご4の通常運転時における昇降運転の速度パターンの仕様に応じて適宜決定すればよい。
【0073】
また、上記各実施の形態では、速度情報提供機構40は、第1の速度情報提供手段40Aと第2の速度情報提供手段40Bとで構成されて常設され、エレベータ制御盤10bは、第1の速度値及び第2の速度値を比較することにより、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bの故障診断を行うものとして説明した。そして、CPU10bは、第1の速度値及び第2の速度値の差が規定した値より大きいときには、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障したと判断し、情報センタに第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのいずれか一方が故障したことを報知する警告信号を発するようになっている。しかし、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bは常設するものに限定されない。第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bを常設しない場合、予め第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bがメンテナンスされていて、かご4上での保守作業に要する時間内に故障する心配がなければ、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bのいずれか一方のみを保守作業時に取り付けて使用してもよい。
【0074】
また、上記各実施の形態では、信号処理通電手段はエレベータ制御盤10であるものとして説明したが、信号処理通電手段は、エレベータ制御盤10であるものに限定されない。信号処理通電手段はROM10a、CPU10b、RAM10c、及びタイマ10dと同様の構成を有するユニットをエレベータ制御盤10と別個に設けても良い。
【0075】
また、上記各実施の形態では、かごガイドレール13a,13bは長手方向を鉛直方向に一致させて設置するものとして説明したが、かごガイドレール13a,13bの長手方向は鉛直方向に一致させるものに限定されず、鉛直方向から所定角度傾くように設置されたかごガイドレール13a,13bに対しても本発明を適用できる。
【0076】
また、上記各実施の形態において、第1の弾性部材、及び付勢部材のそれぞれには、第1のコイルばね30a、及び第2のコイルばね30bを用いるものとして説明したが、第1の弾性部材、及び第1の付勢部材には、板ばねなど、弾性を有する他の部材を用いてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態では、楔状空間19は、傾斜壁面としての基台側壁面17aとレール側壁面14bとの間に形成されるものとして説明したが、楔状空間19は、基台17の底面17cとレール突出端面14aとの間、又は基台側壁面17bとレール側壁面14cとの間に形成されるものでもよい。つまり、楔状空間19は、かごガイドレール13a,13bのいずれかの壁面との間に形成されていればよく、かごガイドレール13a,13bとの間に楔状空間19を形成する基台17の壁面を傾斜壁面として定義する。
【0078】
また、上記各実施の形態では、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれは、レール側壁面14c、及びレール突出端面14aのそれぞれに当接するように配設するものとして説明したが、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれは、レール突出端面14a及びレール側壁面14b,14cのいずれかに当接するように配設されていればよい。例えば、第1の速度検出用ローラ44A、及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれを高さ方向に位置をずらして配置させ、レール突出端面14aまたはレール側壁面14b,14cのいずれか一つに当接させているものなどでもよい。
【0079】
また、上記各実施の形態では、可動部材は、磁性材料の鉄により形成された可動鉄板25を用いるものとして説明したが、可動部材は可動鉄板25を用いるものに限定されない。可動部材には、ニッケルなどの他の磁性材料を用いて形成したものや、可動部材と同様の形状を有する非磁性体に対し、第1の電磁石22との間に電磁力が働くように永久磁石を固定したものなどを用いてもよい。
【0080】
また、各実施の形態では、第1のエンコーダ48a及び第2のエンコーダ48bのそれぞれは、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれの単位時間当たりの回転量及びその回転方向に関する情報を第1の速度情報データ及び第2の速度情報データのそれぞれとして送信するものとして説明した。しかし、第1の速度情報提供手段40A及び第2の速度情報提供手段40Bのそれぞれは、第1の速度検出用ローラ44A及び第2の速度検出用ローラ44Bのそれぞれの回転角度に関する情報を第1の速度情報データ及び第2の速度情報データとしてそれぞれ送信するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施の形態1係るかご保持装置が配設されたエレベータの模式図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図2のA方向から見た正面図である。
【図5】図2のV−V矢視断面図である。
【図6】図3のB部拡大断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置のシステム構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置の断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置のエレベータ制御盤が行う第1のエンコーダ及び第2のエンコーダの故障診断の動作フロー図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るかご保持装置の動作フロー図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るかご保持装置の断面図である。
【符号の説明】
【0082】
4 かご、10 エレベータ制御盤(信号処理通電手段)、13a,13b かごガイドレール、15A,15B かご保持装置、17a 基台側壁面(傾斜壁面)、19 楔状空間、22 第1の電磁石、25 可動鉄板(可動部材)、30a 第1のコイルばね、30b 第2のコイルばね(付勢手段、弾性部材)、32 楔ブロック、40 速度情報提供機構、44A 第1の速度検出用ローラ、44B 第2の速度検出用ローラ、48a 第1のエンコーダ、48b 第2のエンコーダ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、
上記かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、上記かごガイドレールと上記傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に上記楔状空間に配設された楔ブロックと、
上記楔ブロックに連結され、該楔ブロックを上記かご移動許可位置に位置させる第1位置と該楔ブロックを上記かご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、
上記可動部材を上記第1位置に移動させる方向に付勢するように配設され、該可動部材を上記第1位置に保持する第1の弾性部材と、
上記第1の弾性部材の付勢力に抗して上記可動部材を上記第2位置に移動させる電磁力を発生し、該可動部材を上記第2位置に保持する第1の電磁石と、
上記かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、
上記速度演算用データに基づいて上記かごの移動速度を演算し、上記かごが停止した状態から上昇したときに、上昇する上記かごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると上記第1の電磁石に通電させる信号処理通電手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのかご保持装置。
【請求項2】
かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、
上記かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、上記かごガイドレールと上記傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に上記楔状空間に配設された楔ブロックと、
上記楔ブロックに連結され、該楔ブロックを上記かご移動許可位置に位置させる第1位置と該楔ブロックを上記かご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、
電磁力を発生して上記可動部材を上記第1位置に保持する第1の電磁石と、
上記電磁力の消失時、上記可動部材を上記第2位置に移動させる方向に付勢して該可動部材を上記第2位置に保持する付勢部材と、
上記かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、
上記速度演算用データに基づいて上記かごの移動速度を演算し、上記かごが停止した状態から上昇したときに、上昇する上記かごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると上記第1の電磁石への通電を遮断する信号処理通電手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのかご保持装置。
【請求項3】
上記付勢部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項2記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項4】
上記付勢部材は、通電させたときに上記可動部材を第2位置に移動させる方向に付勢する電磁力を発生する第2の電磁石であり、
上記信号処理通電手段は、上記第1の電磁石への通電を遮断すると同時に、上記第2の電磁石に通電させることを特徴とする請求項2記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項5】
上記速度情報取得機構は、上記かごガイドレールに外周面が当接するように配設され、当該外周面と上記かごガイドレールとの間の摩擦力により上記かごの移動に連動して軸周りに回転する第1の速度検出用ローラと、
上記第1の速度検出用ローラの回転に応じた情報を上記速度演算用データとして送信する第1のエンコーダと、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項6】
上記速度情報取得機構は、上記かごガイドレールに外周面が当接するように配設され、当該外周面と上記かごガイドレールとの間の摩擦力により上記かごの移動に連動して軸周りに回転する第2の速度検出用ローラと、
上記第2の速度検出用ローラの回転に応じた情報を上記速度演算用データとして送信する第2のエンコーダと、を備え、
上記信号処理通電手段は、上記第1のエンコーダ及び上記第2のエンコーダのそれぞれの上記速度演算用データに基づいて演算した上記かごの移動速度の差が、規定した値より大きいと判断すると上記第1のエンコーダ及び上記第2のエンコーダのいずれか一方が故障したことを知らせる警告信号を発することを特徴とする請求項5記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項1】
かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、
上記かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、上記かごガイドレールと上記傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に上記楔状空間に配設された楔ブロックと、
上記楔ブロックに連結され、該楔ブロックを上記かご移動許可位置に位置させる第1位置と該楔ブロックを上記かご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、
上記可動部材を上記第1位置に移動させる方向に付勢するように配設され、該可動部材を上記第1位置に保持する第1の弾性部材と、
上記第1の弾性部材の付勢力に抗して上記可動部材を上記第2位置に移動させる電磁力を発生し、該可動部材を上記第2位置に保持する第1の電磁石と、
上記かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、
上記速度演算用データに基づいて上記かごの移動速度を演算し、上記かごが停止した状態から上昇したときに、上昇する上記かごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると上記第1の電磁石に通電させる信号処理通電手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのかご保持装置。
【請求項2】
かごの上部に配設され、かごガイドレールとの間に上方から下方に向かって漸次狭くなる楔状空間を形成する傾斜壁面を有する基台と、
上記かごガイドレールから離間するかご移動許可位置と、上記かごガイドレールと上記傾斜壁面とに密接するかご上昇規制位置との間を移動可能に上記楔状空間に配設された楔ブロックと、
上記楔ブロックに連結され、該楔ブロックを上記かご移動許可位置に位置させる第1位置と該楔ブロックを上記かご上昇規制位置に位置させる第2位置との間を移動可能に配設された可動部材と、
電磁力を発生して上記可動部材を上記第1位置に保持する第1の電磁石と、
上記電磁力の消失時、上記可動部材を上記第2位置に移動させる方向に付勢して該可動部材を上記第2位置に保持する付勢部材と、
上記かごの移動速度に応じた速度演算用データを送信する速度情報提供機構と、
上記速度演算用データに基づいて上記かごの移動速度を演算し、上記かごが停止した状態から上昇したときに、上昇する上記かごの移動速度が、所定の設定値以下のまま所定時間継続したと判断すると上記第1の電磁石への通電を遮断する信号処理通電手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのかご保持装置。
【請求項3】
上記付勢部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項2記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項4】
上記付勢部材は、通電させたときに上記可動部材を第2位置に移動させる方向に付勢する電磁力を発生する第2の電磁石であり、
上記信号処理通電手段は、上記第1の電磁石への通電を遮断すると同時に、上記第2の電磁石に通電させることを特徴とする請求項2記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項5】
上記速度情報取得機構は、上記かごガイドレールに外周面が当接するように配設され、当該外周面と上記かごガイドレールとの間の摩擦力により上記かごの移動に連動して軸周りに回転する第1の速度検出用ローラと、
上記第1の速度検出用ローラの回転に応じた情報を上記速度演算用データとして送信する第1のエンコーダと、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータのかご保持装置。
【請求項6】
上記速度情報取得機構は、上記かごガイドレールに外周面が当接するように配設され、当該外周面と上記かごガイドレールとの間の摩擦力により上記かごの移動に連動して軸周りに回転する第2の速度検出用ローラと、
上記第2の速度検出用ローラの回転に応じた情報を上記速度演算用データとして送信する第2のエンコーダと、を備え、
上記信号処理通電手段は、上記第1のエンコーダ及び上記第2のエンコーダのそれぞれの上記速度演算用データに基づいて演算した上記かごの移動速度の差が、規定した値より大きいと判断すると上記第1のエンコーダ及び上記第2のエンコーダのいずれか一方が故障したことを知らせる警告信号を発することを特徴とする請求項5記載のエレベータのかご保持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−67494(P2009−67494A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235151(P2007−235151)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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