説明

エレベータのドア制御装置

【課題】 エレベータのドアの開閉動作時の加減速中に乗り場ドアが進行方向に振動するのを抑制する。
【解決手段】 ドアモータにより駆動されるかごドアと乗り場ドアとを係合する係合機構を備えたドア装置を制御するためのエレベータのドア制御装置であって、かごドアの開閉パターンに応じた速度指令とドアモータの実速度に基づいてモータ11のトルクを決定する速度制御部14と、乗り場ドアに関する機構部の定数に基づいて、係合機構に作用する力が一定方向となるように、かごドアの開閉時の加減速度を算出する加減速度算出部22と、加減速度算出部22により算出された加減速度に基づいて、開閉パターンを補正するための加減速度指令を出力する加減速度出力部23と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのドアの開閉を制御するエレベータのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのドアは、昇降路内に収容されたかごに設けられたかごドアと、各フロアに設けられた乗り場ドアで構成されている。カゴドアには係合カミソリが設置され、乗り場ドアには係合カミソリに係合する係合ローラーが設置されている。かごの停止階で、駆動用モータの回転によりかごドアが動き始めると、係合ローラーに対して係合カミソリが接触、即ち係合して、乗り場ドアの開閉が可能となる。
【0003】
しかしながら、係合機構のカミソリの形状が開閉しないタイプや係合ローラーを挟み込む開閉タイプでも機械的な遊びが大きい場合には、ドア開閉動作時の加減速中に乗り場ドアが進行方向に振動する可能性がある。この振動は、エレベータの乗り心地の低下を招くと共に、各種機構部の劣化を招く要因となる。なお、ドア開閉時の加減速度を十分に遅くしておけば振動の発生を回避することは可能であるが、この場合はドアの開閉に長い時間を要することになる。
【0004】
また、乗り場ドアに関する機構部定数について真の定数との間に誤差がある場合には、加減速度の変化点で乗り場ドアが振動する場合がある。さらに、乗り場ドアの走行抵抗が異常となっていたり、ウェイトクローザーが不足したりしている場合には、加減速度が必要以上に低下する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−298191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように従来のエレベータのドア制御装置においては、ドア開閉動作時の加減速中に乗り場ドアが進行方向に振動する可能性があると云う問題があった。
【0007】
本発明の一実施形態は、ドアの開閉動作時の加減速中に乗り場ドアが進行方向に振動するのを抑制できるエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、ドアモータにより駆動されるかごドアと乗り場ドアとを係合する係合機構を備えたドア装置を制御するためのエレベータのドア制御装置であって、前記かごドアの開閉パターンに応じた速度指令と前記ドアモータの実速度に基づいて前記モータのトルクを決定する速度制御部と、前記乗り場ドアに関する機構部の定数に基づいて、前記係合機構に作用する力が一定方向となるように、前記かごドアの開閉時の加減速度を算出する加減速度算出部と、前記加減速度算出部により算出された加減速度に基づいて、前記開閉パターンを補正するための加減速度指令を出力する加減速度出力部と、を具備したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるドア部分の構成を説明するためのもので、(a)はドア機構部を示す図、(b)はかごドアと乗り場ドアの係合機構を示す図、(c)はウェイトクローザーを示す図。
【図3】第2の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】第2の実施形態において加減速時に係合カミソリと係合ローラーとの間に隙間が生じた場合のトルク波形を示す図。
【図5】第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】第3の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】第4の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第4の実施形の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0012】
ドア駆動用モータ11にはパルスエンコーダ12が接続されており、このパルスエンコーダ12の出力を基に所定の開閉パターンに追従して制御する速度フィードバック制御系が構成されている。
【0013】
パルスエンコーダ12の出力であるモータ回転角から、実速度が算出される。開閉パターン出力部13からはドアの開閉パターンに応じた速度指令が出力され、この速度指令と実速度との偏差が速度制御器14に入力される。速度制御器14は、速度偏差に応じたトルク指令を出力し、電力変換器15に供給する。そして、電力変換器15により、トルク指令を基にドア駆動用モータ11への電力供給を行うようになっている。
【0014】
図2は、ドア部分に関する構成を説明するためのもので、(a)はドア機構部を示す図、(b)はかごドアと乗り場ドアの係合機構を示す図、(c)は乗り場ドアのウェイトクローザーの設置例を示す図である。
【0015】
図2(a)に示すように、ドア駆動用モータ11は駆動プーリー31a,31bの何れか一方と連結される。プーリー31a,31b間には、駆動用ベルト32が架け渡されている。一方、かごドアパネル33a,33bは、ドアハンガー34a,34bにより駆動用ベルト32と締結される。従って、ドア駆動用モータ11によりプーリー31a,31bを回転させることにより、ドア駆動用モータ11の動力が駆動用ベルト32を介してかごドアパネル33a,33bに伝達されるようになっている。
【0016】
図2(b)に示すように、かごドアパネル33a,33bのうちの一方33aに係合カミソリ35が設置され、乗り場ドアパネル43a,43bのうちの一方43aに係合ローラー45が設置される。ドア駆動用モータ11の回転によりかごドアパネル33a,33bが動き始めると、係合ローラー45に対して係合カミソリ35が接触し、これらが係合することにより、乗り場ドアパネル43a,43bの開閉が可能となる。
【0017】
図2(c)に示すように、乗り場ドアパネル43aに対してプーリー41a,41b、駆動用ベルト42、及びウェイトクローザー46が設けられ、乗り場ドアパネル43aはウェイトクローザー46により閉じる方向のトルクが常に加えられている。乗り場ドアパネル43bはパネル43aと連動して動くため、パネル43bにも同様にウェイトクローザー46により閉じる方向のトルクが加えられている。
【0018】
ここまでの基本構成は従来装置と同様であるが、本実施形態ではこれに加えて、定数記憶部21、加減速度算出部22、及び加減速度出力部23が設けられている。
【0019】
定数記憶部21には、乗り場ドアパネル43a,43bの重量、ウェイトクローザ46の重量、及び走行抵抗等の定数が格納されている。加減速度算出部22では、定数記憶部21に記憶された各定数に基づき、かごドアに要求される加減速度が算出される。そして、加減速度出力部23から開閉パターン出力部13に加減速度指令が供給され、開閉パターン出力部13による開閉パターンが補正され、開閉パターン出力部13からの速度指令が補正されるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態による加減速度の補正方法について、更に詳しく説明する。なお、ここでは説明を簡単にするために、ドアを閉じる場合(戸閉時)について説明する。
【0021】
定数記憶部21に記憶された定数として、乗り場ドアパネル重量をMh(ドアパネル1枚当りの重量)、ウェイトクローザ46の重量をMcl、走行抵抗をFhとする。乗り場ドアパネル43a,43bの加減速度をAhとすると、ドアに関するトルクとして以下の式が成り立つ。
【0022】
2×Mh×Ah=Mcl×g−Fh …(1)
ここで、“2×Mh”はドアパネル2枚分の重量、gは重力加速度である。
【0023】
係合カミソリ35に対して係合ローラー45が常に接触している条件は、かごドアパネル33a,33bの加減速度Acに対して乗り場ドアパネル43a,43bの加減速度Ahが大きい場合であり、かごドア加減速度Ac<乗り場ドア加減速度Ahとなる。
【0024】
以上から、加減速度算出部22では、
Ac<Ah=(Mcl×g−Fh)/(2×Mh)…(2)
を満たす加減速度Acを算出する。加減速度出力部23は加減速度算出部22により算出された加減速度Acを開閉パターン出力部13に対して出力する。以上により、乗り場ドアパネル43aに取り付けられた係合ローラー45は係合カミソリ35に対して常に接触した状態となり、加減速時に乗り場ドアが振動することはなくなる。即ち、係合カミソリ35と係合ローラー45の接触位置が固定されるため、機構部の遊びに起因した振動が発生することはなくなる。
【0025】
なお、Acはあまり小さくするとドアの開閉に要する時間が長くなるため、(2)式を満足する範囲でAhに近い値とすればよい。また、上記ではドアを閉じる場合で説明したが、ドアを開く場合(戸開時)にも同様に適用することが可能である。
【0026】
このように本実施形態によれば、エレベータドアの係合機構において隙間が発生する場合に、乗り場ドアに関する機構部の定数に基づき係合機構に作用する力が一定方向となるようにかごドアの開閉時の加減速度を最適に調整することにより、振動の無いスムーズな開閉動作を実現することができる。即ち、ドアの開閉動作時の加減速中に乗り場ドアが進行方向に振動するのを抑制することができる。
【0027】
また、乗り場ドアの機構部の構造や材料によらず自動的に開閉パターンの調整が可能となるため、ドア制御装置としての初期設定か不要となる。さらに、階床毎にドア機構部の定数と加減速度を記憶しておくことで、階床毎にドアパネル重量が異なる場合でも最適な加減速度で開閉動作を行うことができる利点もある。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0029】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態の構成に加え、加減速度調整部26を設けたことにある。この加減速度調整部26は、速度制御器14からのトルク指令をモニタし、モニタ結果に応じて加減速度出力部23を制御するようになっている。
【0030】
先に説明した第1の実施形態で示した機構部定数について真の定数との間に誤差がある場合には、加減速時に係合カミソリ35と係合ローラー45との間に隙間が発生し、ドアパネルが振動する可能性がある。
【0031】
図4は、加減速時に係合カミソリ35と係合ローラー45との間に隙間が生じた場合のトルク波形を示している。(a)は開閉パターン、(b)はトルクであり、細線は調整前、太線は調整後である。例えば、定数記憶部21において設定した乗り場ドア重量が実重量よりも小さい場合、最適な加減速度よりも大きな加減速度が設定される。このため、加減速中に係合カミソリ35に対して係合ローラー45が一旦、離れることになり、加減速終了後に乗り場ドア、即ち係合ローラー45が係合カミソリ35に衝突してドアパネルの振動(図4(b)中にPで示す)が発生する。
【0032】
そこで本実施形態では、加減速度調整部26により速度制御器14の出力から加減速時のトルク振動を監視し、振動が所定値以上の場合に加減速度を下げるよう加減速度の調整を行う。逆に、トルク振動が無い状態では加減速度を上げていき、トルク振動が所定値以下となるような加減速度に調整することもできる。
【0033】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の動作を更に詳しく説明する。
【0034】
まず、定数記憶部21,加減速度算出部22,及び加減速度出力部23から得られた加減速度を開閉パターン出力部13に与え(ステップS1)、この速度に基づいて開閉パターン出力部13から速度指令を出す(ステップS2)。そして、速度制御器14では、速度指令と実速度との偏差によりトルクが調整され、必要なトルク指令が出力される(ステップS3)。このトルク指令によりドア駆動モータ11が駆動されるが、このとき加減速度調整部26によりトルク指令をモニタし、トルク振動を検出する(ステップS4)。そして、トルク振動が許容値以内か否かを判定する(ステップS5)。許容値としては、例えば駆動トルクの5%とする。
【0035】
トルク振動が許容値を超えた場合は、加減速度調整部26から加減速度出力部23に指令を出し、加減速度を低下させる(ステップS6)。具体的には、開閉パターン出力部13における開閉パターンを変更し、速度指令を低速側に変更する。トルク振動が許容値以内の場合は、ドア停止か否かを判定し(ステップA7)、そうでない場合はS3に戻りドアの開閉を続ける。
【0036】
このように本実施形態によれば、加減速中のトルク振動を監視し、トルク振動が所定値以下となるように加減速度を再調整することにより、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、加減速度が変化する領域におけるドアの振動を抑制することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0038】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態の構成に加え、異常検出部27を設けたことにある。この異常検出部27は、加減速度算出部22の算出結果をモニタし、算出結果が予想値から大きく外れた場合には警報を出力するようになっている。
【0039】
走行抵抗が異常となっていたり、ウェイトクローザーが不足したりしている場合には加減速度が必要以上に低下する可能性がある。異常検出部27は加減速度の下限値Alim と加減速度算出部22から算出した加減速度Acとの比較を行い、AcがAlim を下回る場合には異常発報する。
【0040】
このように本実施形態によれば、加減速度算出部22の算出結果をモニタすることにより、走行抵抗の異常やウェイトクローザーの不足を検知することができる。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、エレベータの異常を速やかに伝えることができる。
【0041】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係わるエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0042】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態の構成に加え、係合機構判別部28を設けたことにある。この係合機構判別部28は、据え付け調整の段階で用いるものであり、速度制御器14からのトルク指令をモニタし、トルク指令に基づいて開閉パターン出力部13における速度指令を制御するようになっている。
【0043】
図8は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
係合カミソリ35が開閉しないタイプや開閉するタイプであっても係合カミソリ35と係合ローラー45との間に隙間が生じる場合は、先の実施形態と同様に加減速度の設定は必要となる。一方、係合カミソリ35が開閉するタイプで係合カミソリ35と係合ローラー45との間に隙間が生じない場合には、加減速度の設定は不要となる。
【0045】
そこで、係合機構判別部28では、ドアの工事調整段階において所定の加減速度で開閉するよう開閉パターン出力部13に対して高めの加減速度を設定する(ステップS11)。開閉パターン出力部13では、この加減速度に応じて開閉パターンを決定し(ステップS12)、開閉パターンに応じた速度指令を出力する。速度制御器14及び電力変換器15は、この速度指令に基づいてドア駆動用モータ11を駆動し、ドアを開閉制御する。
【0046】
このドアの開閉時に、速度制御器14の出力であるトルク指令から加減速のタイミングにおけるトルク振動を検出し、トルク振動が許容値内か否かを判定する(ステップS13)。トルク振動が大きい場合には、係合装置に隙間が生じている、又は係合カミソリ35が開閉しないタイプを使用していると判断して、係合機構判別部28で加減速度の調整を行い(ステップS14)、開閉パターン出力部13によるパターン出力を変更する。そして、トルク振動が許容値内に収まるように制御する。一方、振動が発生しない場合には開閉タイプの係合機構を使用していると判断して加減速度の調整は実施しない。
【0047】
そして、加減速度の調節を行ったか否かを判定することにより(ステップS16)、開閉タイプの係合機構(ステップS16)であるか、開閉タイプでない係合機構(ステップS17)であるかを判別する。
【0048】
このように本実施形態によれば、ドア装置の据え付け調整の段階でドアの開閉を行いながら速度制御器14からのトルク指令をモニタすることにより、係合機構に機構的な遊びがあるか否かを判別することができる。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、ドア装置の据え付け調整の段階で係合機構の種類を自動的に判別することができ、係合機構に合わせたスムーズな開閉動作の実現が可能となる。
【0049】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0050】
実施形態では、乗り場ドアに関する機構部定数として、乗り場ドアパネル重量、ウェイトクローザの重量、及び走行抵抗を用いたが、これに限らず、乗り場ドアの運動に関係するものを設定すればよい。さらに、乗り場ドアに関する機構部の定数は必ずしも定数記憶部に予め記憶させておく必要はなく、開閉中のモータトルクから機構定数を同定して求めることもできる。この場合は、定数記憶部を省略することが可能となる。
【0051】
また、実施形態では、ドアの振動を検出するために速度制御部からのトルク指令をモニタしたが、この代わりに、かご内のマイク等を設置し、騒音の発生をモニタするようにしても良い。さらに、係合機構の構成は前記図2に何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0052】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
11…ドア駆動用モータ
12…パルスエンコーダ
13…開閉パターン出力部
14…速度制御器
15…電力変換器
21…定数記憶部
22…加減速度算出部
23…加減速度出力部
26…加減速度調整部
27…異常検出部
28…係合機構判別部
31a,31b,41a,41b…プーリー
32,42…駆動用ベルト
33a,33b…かごドアパネル
34a,34b…ハンガー
35…係合カミソリ
43a,43b…乗り場ドアパネル
45…係合ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアモータにより駆動されるかごドアと乗り場ドアとを係合する係合機構を備えたドア装置を制御するためのエレベータのドア制御装置であって、
前記かごドアの開閉パターンに応じた速度指令と前記ドアモータの実速度に基づいて前記モータのトルクを決定する速度制御部と、
前記乗り場ドアに関する機構部の定数に基づいて、前記係合機構に作用する力が一定方向となるように、前記かごドアの開閉時の加減速度を算出する加減速度算出部と、
前記加減速度算出部により算出された加減速度に基づいて、前記開閉パターンを補正するための加減速度指令を出力する加減速度出力部と、
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
前記乗り場ドアに関する機構部の定数を記憶する定数記憶部を、更に有することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
前記定数は、前記乗り場ドアの重量Mh、走行抵抗Fh、及びウェイトクローザーの重量Mclであり、前記加減速度算出部は、前記かごドアの加減速度Acを、
Ac<(Mcl×g−Fh)/(2×Mh)
g:重力加速度
を満足する値に設定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
前記速度制御部の出力から前記ドアモータに発生するトルクを監視し、加減速パターンの切り換えの期間に生じるトルク振動が所定値以下となるように前記かごドアの加減速度を調整する加減速度調整部を、更に有することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項5】
前記加減速度算出部により算出された加減速度が所定値以下となった場合に、前記乗り場ドアに関する機構部に異常があると判断して異常報知を行う異常検出部を、更に有することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項6】
前記乗り場ドアの据付調整段階で所定以上の加減速度により開閉を行うと共に、前記ドアモータに発生するトルクを監視することにより、前記係合機構に機構的な遊びがあるか否かを判別する係合機構判別部を、更に有することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240791(P2012−240791A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112460(P2011−112460)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】