説明

エレベータのピット装置

【課題】ピット内での作業の安全性及び作業性を向上させることができるエレベータのピット装置を提供する。
【解決手段】ピット基台20は、緩衝器当接部としての一対の緩衝器当接板21,22、連結板23、及びレール取付部としての一対のレール取付部材24,25を有している。ピット基台20は、緩衝器当接板21,22の上面がピット床面1bと面一になるようにピット1aの床に埋めて設けられている。緩衝器当接板21,22の上面は、緩衝器4A,4Bと当接するための緩衝器当接面をなしている。緩衝器当接板21,22、連結板23及びレール取付部材24,25は、直線状に並べて配置されている。レール取付部材24,25の形状は、断面L字状であり、レール取付部材24,25は、それぞれL字第1面部24a,25aと、L字第2面部24b,25bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの昇降路の底部であるピットに設けられるエレベータのピット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータでは、かごや釣合おもりの所定位置からの行き過ぎによる衝突の衝撃を緩和するために、ピットの床に緩衝器及び緩衝器台が設置されている(例えば、特許文献1参照)。また、従来のエレベータでは、ガイドレールの下端部を支持するレール取付台がピット床面から突出するようにピットの床に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−124076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータでは、緩衝器及び緩衝器台がピットの床に設置されている。また、ガイドレールの下端部を支持するレール取付台がピット床面から突出するようにピットの床に設置されている。このため、ピット床面が平坦でなく、作業員がピットで作業する場合に、作業員がピット内で緩衝器、緩衝器台及びレール取付台につまずかないように注意を払う必要があり、これらの緩衝器、緩衝器台及びレール取付台が作業の障害となっていた。また、これらの緩衝器、緩衝器台及びレール取付台によって、ピット内での作業スペースを十分に確保できない場合があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ピット内での作業の安全性及び作業性を向上させることができるエレベータのピット装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータのピット装置は、昇降路内を昇降される昇降体と、前記昇降路内に立てて設けられ、かつ互いに間隔をおいて配置され、前記昇降体の昇降を案内する一対のガイドレールと、前記昇降体の底部に下方へ向けて突出するように取り付けられた緩衝器とを備えるエレベータの昇降路のピットに設けられるものであって、前記昇降路のピット床面における前記緩衝器から臨む箇所に配置され前記緩衝器と当接するための緩衝器当接面部と、前記緩衝器当接面部を挟むように互いに間隔をおいて対向配置され前記一対のガイドレールの下端部がそれぞれ取り付けられる一対のレール取付面部とを有し、前記緩衝器当接面部の上面が前記ピット床面と面一となるように前記ピットの床に埋めて設けられたピット基台を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータのピット装置によれば、緩衝器当接面部の上面がピット床面と面一となるように、ピット基台がピットの床に埋めて設けられているので、従来のエレベータに比べてピット内で作業員がつまずきにくくなるとともに、ピット床面で比較的広い作業スペースを確保できることから、ピット内での作業の安全性及び作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット装置を示す構成図である。
【図2】図1のエレベータのピット装置を示す側面図である。
【図3】図1,2のピットの床を示す平面図である。
【図4】図1,2のピットの床を示す断面図である。
【図5】図1,2のピットの床を示す斜視図である。
【図6】図3〜5の油受け部材を示す平面図である。
【図7】図3〜5の油受け部材を示す斜視図である。
【図8】図1,2のレール保護機構のレール保護解除状態を示す斜視図である。
【図9】図8のレール保護機構を示す分解斜視図である。
【図10】図8のレール保護機構のレール保護解除状態を示す平面図である。
【図11】図1,2のレール保護機構のレール保護状態を示す斜視図である。
【図12】図1,2のレール保護機構のレール保護状態を示す平面図である。
【図13】ガイド部材及びガイドシューを示す斜視図である。
【図14】ガイド部材及びガイドシューを示す正面図である。
【図15】図2の昇降路終点スイッチ及びスイッチ取付腕を示す平面図である。
【図16】図2のレール保護機構及びスイッチ取付腕を示す斜視図である。
【図17】図2のレール保護機構及び張り車取付腕を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータのピット装置を示す正面図である。図2は、図1のエレベータのピット装置を示す側面図である。
図1,2において、昇降路1内には、断面T字状の一対のガイドレール2A,2B(以下、総称として「ガイドレール2」ともいう)が立てて設けられている。昇降路1内の一対のガイドレール2A,2B間には、昇降体としてのかご3が設けられている。
【0010】
かご3は、巻上機(図示せず)の駆動力によって昇降路1内を昇降される。また、かご3の昇降は、一対のガイドレール2A,2Bによって案内される。かご2のかご枠における下梁3aの下面には、一対の緩衝器4A,4Bが下方へ突出するように取り付けられている。
【0011】
昇降路1における最下階床面と底面との間には、ピット1aが形成されている。ピット1aの床には、ピット基台(レール取付台)20が埋めて設けられている。ピット基台20は、その一部がピット床面1bから露出するように配置されている。
【0012】
ピット1aの床におけるガイドレール2A,2Bの背面側には、それぞれ油回収容器収容穴1c,1dが設けられている。一対のガイドレール2A,2Bにおけるピット1a内の箇所には、それぞれ一対のレール保護機構(レール被せ部材)50A,50B(以下、総称として「レール保護機構50」ともいう)が取り付けられている。
【0013】
また、ガイドレール2Aにおけるピット1a内の箇所には、スイッチ取付腕5及びスイッチ取付枠6を介して一対の昇降路終点スイッチ7A,7Bが取り付けられている。昇降路終点スイッチ7A,7Bは、かご3に取り付けられたカム8(図15参照)によって操作される。さらに、ガイドレール2Aの下端部には、張り車取付腕9を介して、張り車10が取り付けられている。張り車10の外周面には、ガバナロープ11が巻き掛けられている。
【0014】
次に、ピット基台20の構成について、より具体的に説明する。図3は、図1,2のピット1aの床を示す平面図である。図4は、図1,2のピット1aの床を示す断面図である。図5は、図1,2のピット1aの床を示す斜視図である。なお、図5では、一部の構成を分解して示し、床の建築材の一部を省略して示す。図3〜5において、ピット基台20は、緩衝器当接部としての一対の緩衝器当接板21,22、連結板23、及びレール取付部としての一対のレール取付部材24,25を有している。
【0015】
緩衝器当接板21,22、連結板23及びレール取付部材24,25は、直線状に並べて配置されている。緩衝器当接板21,22の厚み寸法は、例えば16〜20mmであり、連結板23及びレール取付部材24,25の厚み寸法は、例えば6〜10mmである。緩衝器当接板21,22の上面は、緩衝器4A,4Bと当接するための緩衝器当接面をなしている。また、緩衝器当接板21,22は、その上面がピット床面1bと面一となるように配置されている。つまり、ピット基台20は、緩衝器当接板21,22の上面がピット床面1bと面一になるようにピット1aの床に埋めて設けられている。
【0016】
緩衝器当接板21,22の下面の端部と連結板23の上面の端部とは、互いに接続されている。即ち、緩衝器当接板21,22は、連結板23を介して連結されている。連結板23には、建築材(例えばモルタル等)を通すための複数の開口23aが設けられている。
【0017】
レール取付部材24,25の形状は、断面L字状であり、レール取付部材24,25は、それぞれL字第1面部24a,25aと、L字第2面部24b,25bとを有している。L字第1面部24a,25aの上面の端部は、緩衝器当接板21,22の下面の端部(連結板23の反対側の端部)に接続されている。
【0018】
L字第2面部24b,25bには、複数のボルト通し孔24c,25cが設けられている。L字第1面部24a,25aにおける緩衝器当接板21,22側の箇所には、それぞれ建築材を通すための開口24d,25dが設けられている。L字第1面部24a,25aのL字第2面部24b,25b側の箇所は、ピット床面1bから露出されている。
【0019】
L字第2面部24b,25bは、L字第1面部24a,25aの上面から上方へ突出するように配置されている。即ち、L字第2面部24b,25bは、互いに間隔をおいて対向配置されている。また、L字第2面部24b,25bの間の寸法(対向幅)は、ガイドレール2A,2B間の間隔寸法に対応するように予め設定されている。このL字第2面部24b,25bの位置がガイドレール2A,2Bの設置の際の基準となる。
【0020】
L字第2面部24b,25bには、それぞれボルト通し孔24c,25cに挿入されたボルト26と、そのボルト26に螺合されたナット27とによって、レールクリップ28が取り付けられている。レールクリップ28は、ガイドレール2の側端部に引っ掛けられている。ガイドレール2A,2Bの下端部は、それぞれの側端部がL字第2面部24b,25bとレールクリップ28とによって挟み込まれることにより、それぞれレール取付部材24,25に固定されている。
【0021】
L字第1面部24a,25aの上面(建築材から露出された箇所)とガイドレール2の下端面との間には、それぞれ油受け部材40,41が介在されている。ここで、かご枠に取り付けられたガイドシュー12(図13,14参照)から、ガイドレール2に沿って油が流出する。油受け部材40は、ガイドシュー12から流出する油を受ける。
【0022】
油受け部材40の形状は、ガイドレール2の断面形状に対応している。油受け部材40の外縁には、ガイドレール2の下端を囲むように、壁部40aが形成されている。また、油受け部材40の壁部40aの一部には、水平面に対して下方へ傾斜する折曲部(油誘導板)40bが形成されている。油受け部材41の構成は、油受け部材41の構成と同様である。なお、図6は、図3〜5の油受け部材40を示す平面図であり、図7は、図3〜5の油受け部材40を示す斜視図である。
【0023】
油回収容器収容穴1c,1dには、油回収容器42,43が収容されている。この油回収容器42,43は、それぞれ油受け部材40,41の下方に(段差をおいて)配置されている。油受け部材40が受けた油は、折曲部40bを通って、油回収容器42へと流れる。これと同様に、油受け部材41が受けた油は、油受け部材41の折曲部を通って、油回収容器43へと流れる。
【0024】
次に、レール保護機構50の構成について、より具体的に説明する。図8は、図1,2のレール保護機構50のレール保護解除状態を示す斜視図である。図9は、図8のレール保護機構50を示す分解斜視図である。図10は、図8のレール保護機構50のレール保護解除状態を示す平面図である。図11は、図1,2のレール保護機構50のレール保護状態を示す斜視図である。図12は、図1,2のレール保護機構50のレール保護状態を示す平面図である。
【0025】
図8〜12において、レール保護機構50は、複数の取付金(取付ベース)51、複数のレールクリップ52、一対の第1上下繋ぎ金53,54、一対の第2上下繋ぎ金55,56、複数のヒンジ57、複数の長尺状の保護体58〜61、及び一対のガイド部材(破損防止板)62,63を有している。
【0026】
また、レール保護機構50は、レール保護解除状態とレール保護状態との一方から他方へ変形可能である。レール保護解除状態とは、図8,10に示すように、保護体60,61の先端部同士が離れた状態であり、この状態では、ガイドレール2の正面が、その正面視において露出される。
【0027】
他方、レール保護状態とは、図11,12に示すように、保護体60,61の先端部同士が接近した状態であり、この状態では、ガイドレール2の正面全体が、その正面視において保護体58〜61によって覆われる。なお、レール保護機構50は、レール保護状態のときに、例えばL字第2面部24b,25bの上端から高さ2m程度(作業員の背丈よりもやや高い程度)の範囲でガイドレール2の正面を覆っている。なお、レール保護機構50は、ピット1a内での作業の際に作業員によって、レール保護状態とされる。
【0028】
複数の取付金51は、それぞれ上下方向に間隔をおいて配置されている。また、取付金51の形状は、コ字状である。取付金51のコ字の奥部には、複数のボルト通し孔51aが設けられている。また、取付金51のコ字の奥部内面は、ガイドレール2の背面に接しており、取付金51のコ字の両端部は、ガイドレール2の正面側に突出するように配置されている。
【0029】
レールクリップ52は、取付金51のボルト通し孔51aに挿入されたボルト64と、そのボルト64に螺合されたナット65とによって、取付金51に取り付けられている。また、レールクリップ52は、ガイドレール2の側端部に引っ掛けられている。取付金51及びレールクリップ52は、互いにガイドレール2の側端部を挟み込むことにより、ガイドレール2に取り付けられている。
【0030】
第1上下繋ぎ金53,54は、ガイドレール2の上下方向に沿って配置されている。また、第1上下繋ぎ金53,54は、平面視において、へ字状に曲げられている。さらに、第1上下繋ぎ金53,54のへ字の一端部は、それぞれ取付金51のコ字の一端部及び他端部に取り付けられている。
【0031】
第2上下繋ぎ金55,56の形状は、長板状である。また、第2上下繋ぎ金55,56の基端部は、ヒンジ57を介して、それぞれ第1上下繋ぎ金53,54のへ字の他端部に接続されている。さらに、第2上下繋ぎ金55,56の先端部は、ヒンジ57によって、ガイドレール2の先端部に対して接近・開離する方向へ変位可能である。
【0032】
保護体58〜61は、例えばゴムやウレタン等の軟質材によって形成されている。また、保護体58〜61の形状は、長尺状である。保護体58,59は、第1上下繋ぎ金53,54の外面(反ガイドレール2側の面)に貼り付けられている。また、保護体58,59の一端部(図12の右端部)は、ガイドレール2の背面側へ突出し、保護体突出部58a,59aを構成している。保護体突出部58a,59aは、撓み変形可能である。
【0033】
保護体60,61は、第2上下繋ぎ金55,56の外面(ヒンジ57の外面)に貼り付けられている。保護体60,61は、第2上下繋ぎ金55,56の先端部同士が接近した状態において、保護体60,61の先端面同士が接合するように配置されている。従って、第2上下繋ぎ金55,56の先端部同士が接近した状態では、ガイドレール2の正面は、その正面視において保護体58〜61によって覆われる。
【0034】
ガイド部材62,63は、それぞれ第2上下繋ぎ金55,56の上端部(又は保護体60,61の上端部)に、上方へ突出するように取り付けられている。また、ガイド部材62,63は、鉛直面に対して傾斜する傾斜面を有している。
【0035】
ここで、図13,14に示すように、ガイド部材62,63の傾斜面にかご3のガイドシュー12が当接した際には、ガイドレール2の先端部に対して開離する方向へ向けた力が第2上下繋ぎ金55,56に作用し、その力の向きへ第2上下繋ぎ金55,56が変位する。つまり、レール保護状態のレール保護機構50は、かご3のガイドシュー12が当接した際に、レール保護状態からレール保護解除状態に変形する。
【0036】
次に、レール保護機構50と、スイッチ取付腕5及び張り車取付腕9との位置関係について具体的に説明する。図15は、図2の昇降路終点スイッチ7A,7B及びスイッチ取付腕5を示す平面図である。図16は、図2のレール保護機構50及びスイッチ取付腕5を示す斜視図である。図17は、図2のレール保護機構50及び張り車取付腕9を示す平面図である。
【0037】
図15〜17に示すように、スイッチ取付腕5及び張り車取付腕9は、レール保護機構50における取付金51と上下方向で位置をずらして配置されている。保護体突出部58a,59aは、スイッチ取付腕5及び張り車取付腕9に当って撓み変形しており、スイッチ取付腕5及び張り車取付腕9の一部(張り車取付腕9を構成する棒材9Aの両端)を覆っている。つまり、レール保護機構50は、ガイドレール2の背面側にスイッチ取付腕5及び張り車取付腕9等のレール取付機器の取付スペースを形成するように、ガイドレール2に取り付けられている。
【0038】
以上のように、実施の形態1のエレベータのピット装置によれば、緩衝器当接板21,22の上面がピット床面1bと面一となるように、ピット基台20がピットの床に埋めて設けられている。この構成により、特許文献1に示すような従来のエレベータに比べて、ピット1a内で作業員がつまずきにくくなることから、ピット1a内での作業の安全性を向上させることができる。これとともに、作業員がピット内で緩衝器、緩衝器台及びレール取付台につまずかないように注意を払う必要がなくなり、また、ピット床面1bで比較的広い作業スペースを確保できることから、ピット1a内での作業性を向上させることができる。
【0039】
また、レール保護解除状態とレール保護状態との一方から他方へ変形可能なレール保護機構50がガイドレール2に取り付けられている。この構成により、作業員のピット1a内での作業の際のふらつきによるガイドレール2への衝突を防ぐことができ、ピット1a内での作業の安全性をより向上させることができる。これに加えて、作業員のガイドレール2への接触による油汚れを防ぐことができる。
【0040】
さらに、ガイドシュー12のようなガイドレール2に沿って降下する物体がガイド部材62,63に当接した際に、レール保護状態のレール保護機構50がレール保護状態からレール保護解除状態に変形する。この構成により、ピット1a内での作業終了後に、作業員によってレール保護機構50がレール保護解除状態とされなかった場合に、かご3やガイドシュー12との接触によるレール保護機構50の破損を防止できる。
【0041】
また、保護体58,59の端部は、ガイドレール2の正面側から背面側へ突出し撓み変形可能な保護体突出部58a,59aを構成している。この構成により、スイッチ取付腕5及び張り車取付腕9等のレール取付機器への干渉を防ぐことができる。
【0042】
さらに、L字第1面部24a,25aの上面とガイドレール2の下端面との間に、それぞれ油受け部材40,41が介在されている。これに加えて、ピット1aの床におけるガイドレール2A,2Bの背面側でかつ油受け部材40,41よりも下方に、油回収容器42,43が設けられている。この構成により、ピット床面1bが平坦であっても、油回収容器42,43にガイドシュー12から流出する油が溜まることから、比較的容易に油を回収することができる。これとともに、ピット1aの床におけるガイドレール2A,2Bの背面側に油回収容器42,43が配置されており、油回収容器42,43がピット1a内での作業の邪魔になりにくく、ピット1a内の作業性の低下を抑えることができる。
【0043】
なお、実施の形態1では、昇降体としてかご3を用いた例について説明したが、この例に限定するものではなく、昇降体として釣合おもりを用いてもよい。つまり、釣合おもりの底部に緩衝器を設けて、ピット基台20のレール取付部材24,25に釣合おもり用のガイドレールを取り付けてもよい。
【0044】
また、実施の形態1において、ピット床面1bがゴムやウレタン等のマット状の軟質材からなる床面保護体によって覆われていてもよい。この場合、ピット1a内は足下が暗く、作業員がピット1a内で転倒した際に、その作業員の怪我を最小限に抑えることができ、ピット1a内での作業の安全性をより向上させることができる。
【0045】
さらに、実施の形態1では、ピット1aにピット基台20及びレール保護機構50の両方が設けられていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、レール保護機構50を省略して、ピット1aにピット基台20のみを設けてもよい。
【0046】
また、実施の形態1では、ガイドレール2A,2Bにそれぞれレール保護機構50A,Bが取り付けられていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、ガイドレール2A,2Bのいずれか一方にのみレール保護機構50を取り付けてもよい。
【0047】
さらに、実施の形態1において、保護体58,59から保護体突出部58a,59aを省略してもよい。
【0048】
また、実施の形態1において、保護体60,61の先端部に例えば磁石等の接触状態保持手段を設けて、レール保護機構50のレール保護状態を保持してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 昇降路、1a ピット、1b ピット床面、1c,1d 油回収容器収容穴、2,2A,2B ガイドレール、3 かご(昇降体)、4A,4B 緩衝器、20 ピット基台、21,22 緩衝器当接板(緩衝器当接部)、24,25 レール取付部材(レール取付部)、40,41 油受け部材、42,43 油回収容器、50,50A,50B レール保護機構、58〜61 保護体(保護体)、58a,59a 保護体突出部、62,63 ガイド部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降される昇降体と、
前記昇降路内に立てて設けられ、かつ互いに間隔をおいて配置され、前記昇降体の昇降を案内する一対のガイドレールと、
前記昇降体の底部に下方へ向けて突出するように取り付けられた緩衝器と
を備えるエレベータの昇降路のピットに設けられるエレベータのピット装置であって、
前記昇降路のピット床面における前記緩衝器から臨む箇所に配置され前記緩衝器と当接するための緩衝器当接面部と、前記緩衝器当接面部を挟むように互いに間隔をおいて対向配置され前記一対のガイドレールの下端部がそれぞれ取り付けられる一対のレール取付面部とを有し、前記緩衝器当接面部の上面が前記ピット床面と面一となるように前記ピットの床に埋めて設けられたピット基台
を備えることを特徴とするエレベータのピット装置。
【請求項2】
前記ガイドレールの高さ方向に沿って配置されかつ軟質材からなる長尺状の保護体を有し、前記ガイドレールの下端部における背面に取り付けられ、前記ガイドレールの下端部における正面を前記保護体で覆うレール保護状態と、前記ガイドレールの下端部における正面をその正面視において露出するレール保護解除状態との一方から他方へ変形可能なレール保護機構
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータのピット装置。
【請求項3】
前記レール保護機構は、
前記保護体の上端部に設けられたガイド部材をさらに有し、
前記レール保護状態のときに、前記ガイドレールに沿って降下する物体が前記ガイド部材に当接した際に、前記レール保護状態から前記レール保護解除状態に変形する
ことを特徴とする請求項2記載のエレベータのピット装置。
【請求項4】
前記保護体は、前記ガイドレールの正面側から背面側へ突出し撓み変形可能な保護体突出部を有する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のエレベータのピット装置。
【請求項5】
前記レール取付面部と前記緩衝器当接面部との間に配置され、かつ前記ガイドレールの下端に接続され、前記ガイドレールに沿って流れる油を受ける油受け部材と、
前記ピットの床における前記ガイドレールの背面側に設けられ、かつ前記油受け部材よりも下方に配置され、前記油受け部材が受けた油を回収するための油回収容器と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエレベータのピット装置。
【請求項6】
前記ピット床面を覆うように設けられ、軟質材からなるマット状の床面保護体
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエレベータのピット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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