説明

エレベータの敷居溝清掃具

【課題】エレベータの敷居溝の清掃を効率よく行えるエレベータの敷居溝清掃具を提供する。
【解決手段】敷居溝清掃具10は、スコップ部材12と、ふた部材14と、を備える。スコップ部材12は、敷居溝に沿って移動させ敷居溝内のゴミを収集するスコップ部16と、スコップ部16の基端部16aから延伸された第1の把持部18と、を有し、ふた部材14は、スコップ部16を覆うふた部20と、ふた部20の基端部20aから延伸された第2の把持部22と、を有する。これらスコップ部材12とふた部材14が、第1の把持部18と第2の把持部22の間にバネ部材26を設けて、スコップ部16の基端部16aとふた部20の基端部20aで連結軸24を介して互いに相対回転可能に連結されている。このような構成により、作業者は、片手でふた部20の開け閉めを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの敷居溝清掃具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータ乗場又は乗りかごのドアは、上部の案内レールに吊り下げられ、その下側にドアから突出したドアシューが設けられている。一方、かごや乗場の床面には、このドアシューをガイドする敷居溝が形成されおり、ドアシューは敷居溝にガイドされ、これによってドアが開閉する。このような敷居溝に、砂、ほこり、異物等のゴミが混入し、更に混入したゴミは、次第に敷居溝に固着することもある。このように敷居溝に溜まったゴミは、ドアの開閉に支障をきたしてしまうので、保守員は定期的に敷居溝を清掃する必要がある。このため、敷居溝の清掃に適した種々の敷居溝清掃具が提案されている。
【0003】
特許文献1の敷居溝清掃具では、管材の縦片面先方に開口形成したスコップ部を敷居溝に沿って移動させて敷居溝内のゴミを収集することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2に開示された清掃装置は、互いに付き合わせられ1つの掬い上げ容器を構成する固定側半容器と可動側半容器とを有している。この固定側半容器に、固定ロッドが立設されこの固定ロッド内に可動側半容器に連結された摺動ロッドが設けられている。この摺動ロッドの取っ手を操作し摺動ロッドを上下に摺動させると、可動側半容器が回転し開け閉めすることができる。例えば、摺動ロッドを押し下げ可動側半容器を開き、ゴミを収集し、その後ゴミがこぼれない様に摺動ロッドを引き上げて可動側半容器を閉じて、敷居溝から清掃装置を引き上げる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−79899号公報
【特許文献2】特開2003−3438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の敷居溝清掃具では、スコップ部を覆う部材がないので、スコップ部に収集されたゴミを捨てる場合に、一方の手で敷居溝清掃具を持ちつつ片方の手で、ゴミがスコップ部から落ちないように補助する必要がある。したがって、両方の手を使わなければならず、操作性が悪いという問題があった。また、病院内のエレベータの敷居溝には、注射針等が混入していることが考えられ、補助する手に触れてしまう可能性がある。
【0007】
これに対して、特許文献2の清掃装置は、可動側半容器で固定側半容器のふたをすることができるが、可動側半容器を回転させるときに、一方の手で固定ロッドを持ち片方の手で取手を操作する必要がある。ゴミの収集、廃棄を繰り返して敷居溝を清掃する場合には、この両手での操作は操作性が悪いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、エレベータの敷居溝の清掃を効率よく行えるエレベータの敷居溝清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベータの敷居溝清掃具は、エレベータ乗場又は乗りかごの床面に設けられ、乗場ドア又はかごドアの移動をガイドする敷居溝を清掃するエレベータの敷居溝清掃具であって、敷居溝に沿って移動させ敷居溝内のゴミを収集するスコップ部と、その基端部から延伸された第1の把持部と、を有するスコップ部材と、スコップ部を覆うふた部と、その基端部から延伸された第2の把持部と、を有するふた部材と、を備え、スコップ部材とふた部材とが基端部において連結軸を介して互いに相対回転可能に連結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のエレベータの敷居溝清掃具は、第1の把持部と第2の把持部との間に設けられ、スコップ部とふた部を開放状態に付勢するバネ部材を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のエレベータの敷居溝清掃具は、ふた部を閉じた状態で、スコップ部の先端部はふた部の先端部から突き出ていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゴミを収集するスコップ部を有するスコップ部材と、スコップ部を覆うふた部材を有するふた部材と、が連結軸を介して互いに相対回転可能に連結されているので、作業者は片手でふた部の開け閉めを操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、図面を参照し説明する。図1は、本実施形態のエレベータの敷居溝清掃具(以下、敷居溝清掃具という)を示す斜視図であり、敷居溝清掃具のふた部が開けられた状態を示しており、図2は、敷居溝清掃具のふた部が閉められた状態を示す図である。
【0014】
図1に示す様に、敷居溝清掃具10は、エレベータ乗場又は乗りかごの床面に設けられた敷居溝を清掃する清掃具であり、全体が鉄又はステンレスで形成されている。敷居溝清掃具10は、大別して、スコップ部材12と、ふた部材14と、を備え、これらが連結軸24を介して互いに相対回転可能に連結されている。
【0015】
スコップ部材12は、敷居溝に沿って移動させ敷居溝内のゴミを収集するスコップ部16と、スコップ部16の基端部16aから延伸された第1の把持部18と、を有している。スコップ部16は、全体として細長い椀形状をしており、スコップ部16の先端部16bが、敷居溝の底面に沿って摺動させられ、スコップ部16に敷居溝のゴミを取り入れる。先端部16bは、敷居溝に固着したゴミを削り取れる様に、刃状としても良い。スコップ部16の基端部16aから延伸された第1の把持部18は、作業者に把持される。
【0016】
ふた部材14は、スコップ部材12と全体として同じような形状をしており、スコップ部16を覆うふた部20と、ふた部20の基端部20aから延伸された第2の把持部22と、を有する。後述する様に、このふた部20がスコップ部16を覆い、スコップ部16とふた部20とでスコップ部16内に収集されたゴミを保持する。図2に示す様に、ふた部20が閉じられた状態で、ふた部20の先端部20bは、スコップ部16の先端部16bより短い。言い換えると、スコップ部16の先端部16bは、ふた部20の先端部20bより突き出ている。これにより、ふた部20を閉じた状態でも、敷居溝に固着したゴミを削り取ることができる。第2の把持部22は、第1の把持部18と同様に、作業者に把持される。
【0017】
これらスコップ部材12とふた部材14が、スコップ部16の基端部16aとふた部20の基端部20aで連結軸24を介して互いに相対回転可能に連結されている。本実施形態においては、更に、第1の把持部18と第2の把持部22の間にバネ部材26が設けられている。このバネ部材26は、第1の把持部18と第2の把持部22とを外側に離反させる方向に付勢、すなわち、スコップ部16とふた部20を開放状態に付勢している。
【0018】
したがって、作業者が、図1に示す矢印A方向に、第1の把持部18と第2の把持部22とを内側に接近させると、バネ部材26が圧縮し、図2に示す様に、スコップ部16とふた部20が突き合わされ、ふた部20はスコップ部16を覆うことができる。次に、第1の把持部18と第2の把持部22の何れかを離すと、図1に示す様に、バネ部材26が復帰し、ふた部20はスコップ部16を開放させる。
【0019】
次に、本実施形態の敷居溝清掃具10の作用について説明する。図3は、本実施形態の敷居溝清掃具10を用いた清掃作業の様子を示す図である。
【0020】
図3(右)に示す様に、作業者Sは、第1の把持部18(若しくは、第2の把持部22)を把持し、ふた部20を開放させて、敷居溝30の底面30aにスコップ部16の先端部16bを当接させる。この状態で、図3の矢印A方向に、敷居溝清掃具10を敷居溝30に沿って移動させ敷居溝30内のゴミをスコップ部16に収集させる。ふた部20は、バネ部材26により開放状態が維持されるので、作業者Sが特にふた部20を操作することなくスコップ部16にゴミを収集することができる。
【0021】
図3(左)に示す様に、ゴミの収集が終了したら、作業者Sは、第1の把持部18と第2の把持部22を握り、ふた部20を閉める。作業者Sは、敷居溝清掃具10を敷居溝30から引き上げ、スコップ部16内に収集されたゴミをゴミ箱等に捨てる。このように、本実施形態においては、作業者Sは、片手で敷居溝清掃具10のふた部20を閉めることができるので、ゴミの収集・廃棄を繰り返して清掃する場合に操作性を向上させることができる。
【0022】
なお、敷居溝30にゴミが固着している場合には、作業者Sは、第1の把持部18と第2の把持部22を握り、ふた部20を閉める。このとき、スコップ部16の先端部16bはふた部20の先端部20bから突き出ているので、スコップ部16の先端部16bで敷居溝30から固着物を削り取ることができる。また、作業者Sは、第1の把持部18と第2の把持部22を握ることになるので、力を込めやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態のエレベータの敷居溝清掃具を示す斜視図であり、敷居溝清掃具のふた部を開けた状態を示している。
【図2】敷居溝清掃具のふた部を閉めた状態を示す図である。
【図3】実施形態の敷居溝清掃具を用いた清掃作業の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10 敷居溝清掃具、12 スコップ部材、14 ふた部材、16 スコップ部、16a 基端部、16b 先端部、18 第1の把持部、20 ふた部、20a 基端部、20b 先端部、22 第2の把持部、24 連結軸、26 バネ部材、30 敷居溝、30a 底面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗場又は乗りかごの床面に設けられ、乗場ドア又はかごドアの移動をガイドする敷居溝を清掃するエレベータの敷居溝清掃具であって、
敷居溝に沿って移動させ敷居溝内のゴミを収集するスコップ部と、その基端部から延伸された第1の把持部と、を有するスコップ部材と、
前記スコップ部を覆うふた部と、その基端部から延伸された第2の把持部と、を有するふた部材と、を備え、
前記スコップ部材と前記ふた部材とが前記基端部において連結軸を介して互いに相対回転可能に連結されていることを特徴とするエレベータの敷居溝清掃具。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの敷居溝清掃具であって、
第1の把持部と第2の把持部との間に設けられ、前記スコップ部と前記ふた部を開放状態に付勢するバネ部材を備えることを特徴とするエレベータの敷居溝清掃具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレベータの敷居溝清掃具であって、
ふた部を閉じた状態で、スコップ部の先端部はふた部の先端部から突き出ていることを特徴とするエレベータの敷居溝清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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