説明

エレベータシステム

【課題】乗客がセンサを用いて任意の方向の乗場呼び登録を確定可能なエレベータシステムを得る。
【解決手段】乗場に設置された乗場呼び登録装置10は、乗場呼び登録を確定する乗場呼び登録部11と、乗客を検知するセンサ13と、センサ13からの検知信号に応答して乗場呼び登録予定方向を報知する登録方向判定部12および登録予定方向報知部14とを備えている。乗場で乗客が検知されると乗場呼びの登録予定方向を報知するとともに、乗客検知状態が所定時間だけ継続した場合に、現在の報知中の登録予定方向の乗場呼び登録を確定する。センサ13による検知が所定時間だけ継続せずに一旦中止された後、再度行われた場合には、登録予定方向を反転させて改めて報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗客を検知するセンサを用いて、乗場呼びの登録をほぼ自動的に行うエレベータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータシステムにおいて、乗場呼びは、乗客がエレベータの乗場出入り口に設けられている乗場釦を押すことにより登録される。
しかし、乗場へ来た乗客が荷物で両手がふさがっていたり、或いは手の動作に不自由がある老人や身体障害者等であったりする場合には、乗場呼び登録用の乗場釦を押すことが困難なことがある。
【0003】
そこで、従来から、乗場呼び登録装置に乗客を検知するセンサを組み込み、乗場に接近して来た乗客を検知して乗場呼び登録を自動的に行うエレベータシステムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、乗場出入口の左右に上下方向別のセンサを設置し、乗客の接近を検知すると、センサに対応した乗場呼び登録予定方向を報知し、さらに乗客検知状態が継続した場合に、乗場呼びを確定する技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、利用者の視線を検知するセンサを設け、検知された視線から目的階を判定し、行先呼びを自動的に登録する技術も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−305651号公報
【特許文献2】特開2005−162463号公報
【特許文献3】特開2009−196785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のエレベータシステムは、特許文献1に記載の技術では、乗場に設置された乗客検知センサにより乗場へ来た乗客に応答して自動的に乗場呼び登録が行われるものの、乗場に設置された方向切替スイッチにより登録方向が一方向に設定されているので、登録方向を変更する場合には乗場釦を手で押す必要があるという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、乗場出入り口の左右に設置された上方向登録用センサと下方向登録用センサとの2種類のセンサにより、利用者が乗場釦を操作せずに登録方向を決定可能であるものの、方向ごとに各センサを離れて設置する必要があるので、装置の設置作業が煩雑になるうえ、一般的なセンサ非設置の乗場と比べて構造が大きく異なることから、利用者の混乱を招くという課題があった。
【0009】
さらに、特許文献3に記載の技術では、センサにより検知された利用者の視線に応じて自動的に乗場呼び登録が行われるものの、視線の誤検知により無駄な呼びが生じて運行効率を低下させる可能性があるので、誤検知を回避するために、わずかな視線の違いを判定可能な高度なセンサおよび処理装置が必要となるうえ、視覚障害者には利用できないという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、利用者の希望する方向の乗場呼びをほぼ自動的に登録可能とし、利用者の利便性を低下させずに、また意図しない登録による運行効率の低下を抑制することのできるエレベータシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るエレベータシステムは、サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴと、乗場に設置された乗場呼び登録装置と、乗場呼び登録装置により確定された乗場呼び登録に応答してエレベータカゴを割当てるエレベータ制御装置とからなるエレベータシステムであって、乗場呼び登録装置は、乗場に接近して来た乗客を検知するセンサと、センサからの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部と、登録方向判定部による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部と、登録方向判定部により最終的に判定された登録予定方向を乗場呼び登録として確定してエレベータ制御装置に転送する乗場呼び登録部と、を備え、登録予定方向報知部は、センサにより検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知し、登録方向判定部および乗場呼び登録部は、センサによる乗客の検知状態が第1の所定時間だけ継続した場合には、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、登録方向判定部は、乗場呼びの登録確定前にセンサによる検知状態が第1の所定時間の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間内にセンサによる検知が再度行われた場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、登録予定方向報知部により反転後の登録予定方向を報知させるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、乗場の構造を大きく変えることなく、エレベータの乗場で乗客が任意の方向の乗場呼び登録を釦操作なしで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による処理手順を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1において、エレベータシステムは、乗場(図示せず)に設置された乗場呼び登録装置10と、ビル最上階または管理室に設置されたエレベータ制御装置20と、エレベータ制御装置20により昇降駆動される任意数のエレベータカゴ30と、を備えている。
【0015】
エレベータカゴ30には、周知のカゴ呼び登録装置(図示せず)が設置されている。
エレベータの乗場呼び登録装置10は、乗場呼び登録部11と、登録方向判定部12と、乗場に接近して来た乗客を検知するセンサ13と、登録予定方向報知部14と、を備えている。
【0016】
以下、図2を参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による動作について説明する。
図2は図1内の乗場呼び登録装置10の処理手順を示すフローチャートである。
【0017】
図2において、まず、乗場呼び登録装置10内の登録方向判定部12は、センサ13が乗客を検知したか否かを判定し(ステップS1)、乗客を検知した(すなわち、YES)と判定されれば、登録予定方向報知部14を動作させて、乗場に接近した乗客に対して登録予定方向を報知する(ステップS2)。
【0018】
なお、センサ13としては、画像認識により乗客を検知するカメラを用いてもよく、距離センサ(超音波や赤外線)を用いてもよく、光線の遮断により乗客を検知する光電センサを用いてもよく、乗場に来た乗客の重量を検知する重量センサを用いてもよい。
【0019】
また、登録予定方向報知部14による登録予定方向の報知方法としては、たとえば、乗場呼び登録装置10が通常有している乗場釦(図示せず)を登録予定方向報知部14として、乗場釦を点滅または点灯させてもよく、スピーカやブザーを登録予定方向報知部14として、音声またはブザー音を発生してもよく、ディスプレイを登録予定方向報知部14として、文字や画像で表示してもよく、さらに、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0020】
次に、登録方向判定部12は、センサ13による検知が第1の所定時間T1にわたって継続しているか否かを判定し(ステップS3)、検知状態が第1の所定時間T1にわたって継続した(すなわち、YES)と判定されれば、登録予定方向報知部14による現在の報知方向が乗客の希望方向であると見なして、最終的な決定方向を乗場呼び登録部11に入力する。
これにより、乗場呼び登録部11は、乗場呼び登録を確定し(ステップS4)、図2の処理ルーチンを終了する。
【0021】
一方、ステップS3において、センサ13の検知状態が第1の所定時間T1だけ継続しなかった(すなわち、NO)と判定されれば、続いて、第2の所定時間T2(たとえば、T2<T1)以内にセンサ13が再度乗客を検知したか否かを判定する(ステップS5)。
【0022】
ステップS5において、第2の所定時間T2以内に再検知しなかった(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返し実行する。
一方、ステップS5において、センサ13が検知中止から第2の所定時間T2内に再度乗客を検知した(すなわち、YES)と判定されれば、乗場呼び登録方向判定部12は、直前に報知していた乗場呼び登録予定方向を反転させて(ステップS6)、ステップS2に戻り、反転された乗場呼び登録予定方向を、登録予定方向報知部14により報知させる。
【0023】
以下、ステップS3において、第1の所定時間T1にわたって検知状態が継続すれば、ステップS4に移行して、乗場呼び登録部11により乗場呼び登録を確定させ、図2の処理ルーチンを終了する。
【0024】
図2のように、乗場呼び登録装置10によって登録決定された乗場呼びは、エレベータ制御装置20に転送され、最適なエレベータカゴ30が乗場呼びに割当てられて、乗客が待つ階床の乗場にサービス駆動される。
【0025】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1、図2)に係るエレベータシステムは、サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴ30と、乗場に設置された乗場呼び登録装置10と、乗場呼び登録装置10により確定された乗場呼び登録に応答してエレベータカゴ30を割当てるエレベータ制御装置20と、を備えている。
【0026】
乗場呼び登録装置10は、乗場に接近して来た乗客を検知するセンサ13と、センサ13からの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部12と、登録方向判定部12による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部14と、登録方向判定部12による最終的な登録予定方向の乗場呼び登録を確定してエレベータ制御装置20に転送する乗場呼び登録部11と、を備えている。
【0027】
登録予定方向報知部14は、センサ13により検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知する。
登録方向判定部12および乗場呼び登録部11は、センサ13による乗客の検知状態が第1の所定時間T1だけ継続した場合に、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定する。
【0028】
登録方向判定部12は、乗場呼びの登録確定前にセンサ13による検知状態が第1の所定時間T1の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間T2内にセンサ13による検知が再度行われた場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、反転後の登録予定方向を登録予定方向報知部14により報知させる。
【0029】
これにより、乗客がセンサ13に手をかざしたときに、登録予定方向報知部14から最初に報知される登録予定方向が乗客の希望方向と一致していれば、乗客がセンサ13に手をかざすことを第1の所定時間T1だけ継続させることにより、報知方向の乗場呼び登録を確定させることができる。
【0030】
また、登録予定方向報知部14から最初に報知される登録予定方向が乗客の希望方向と異なる場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを第1の所定時間T1以内に一旦中断した後、第2の所定時間T2内にセンサ13に再度手をかざし、前回の報知方向とは反対方向の報知を改めて行わせ、さらに第1の所定時間T1にわたって手をかざし続けることにより、報知方向の乗場呼び登録を確定させることができる。
【0031】
この結果、乗場に来た乗客は、乗場釦を操作することなく、センサ13のみを用いて、希望する任意の方向の乗場呼びを登録することができる。
したがって、乗場の構造を大きく変えることなく、エレベータ乗場で乗客が任意の方向の乗場呼び登録を実現することができる。
【0032】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図2)では、乗客検知状態が第1の所定時間T1の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間T2内に乗客が再度検知された場合に、反転後の登録予定方向を改めて報知させたが、図3のように、乗客再検知による反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに最終的な乗場呼び登録として確定させてもよい。
【0033】
図3はこの発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図2参照)と同様の処理(ステップS1〜S6)については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0034】
この場合、登録予定方向の反転処理(ステップS6)に続いて、直ちに最終の登録確定処理(ステップS4)に移行する点のみが前述と異なる。
また、この発明の実施の形態2に係るエレベータシステムの全体構成は、図1に示した通りである。
【0035】
図3において、まず、前述と同様の処理(ステップS1〜S5)が行われる。
ステップS5において、第2の所定時間T2内にセンサ13が乗客を再度検知した(すなわち、YES)と判定された場合には、前述と同様に、登録方向判定部12は、乗場呼び登録予定方向を反転させる(ステップS6)。
【0036】
この場合、次に、登録予定方向報知部14による登録予定方向の報知(ステップS2)に移行することなく、乗場呼び登録部11は、反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し(ステップS4)、図3の処理ルーチンを終了する。
【0037】
以上のように、この発明の実施の形態2(図1、図3)によれば、登録方向判定部12および乗場呼び登録部11は、乗場呼びの登録確定前にセンサ13による検知状態が第1の所定時間T1の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間T2内にセンサ13による検知が再度行われた場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに最終的な乗場呼び登録として確定する。
【0038】
これにより、乗客がセンサ13に手をかざしたときに報知される登録予定方向が乗客の希望と一致している場合には、前述と同様に、乗客がセンサに手をかざすことを継続することにより、報知方向の乗場呼び登録を確定させることができる。
【0039】
一方、最初に手をかざしたときに報知された登録予定方向が乗客の希望と異なる場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを中断した後、センサ13に再度手をかざすことにより、最初の報知方向とは反対方向の乗場呼び登録を確定することができる。
この結果、この発明の実施の形態2においても、前述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0040】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1(図2)では、乗客の検知状態が継続した場合に乗場呼び登録を確定させたが、逆に、図4のように、乗客の検知状態が継続しなかった場合に乗場呼び登録を確定させてもよい。
【0041】
図4はこの発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図2参照)と同様の処理(ステップS1〜S4、S6)については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0042】
この場合、乗客検知状態の継続判定処理(ステップS3)からの分岐先の処理が前述と異なる。
また、この発明の実施の形態3に係るエレベータシステムの全体構成は、図1に示した通りである。
【0043】
図4において、まず、前述と同様の処理(ステップS1〜S3)が行われる。
この場合、ステップS3において、乗客検知状態が所定時間(=T1)の継続前に中止され、所定時間だけ検知が継続しなかった(すなわち、NO)と判定されれば、乗場呼び登録部11は、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を確定して(ステップS4)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0044】
一方、ステップS3において、乗客検知状態が所定時間だけ継続した(すなわち、YES)と判定されれば、登録方向判定部12は、乗場呼び登録予定方向を反転させて(ステップS6)、ステップS2に戻る。
【0045】
ステップS2において、登録予定方向報知部14は、反転後の乗場呼び登録予定方向の報知を改めて行う(ステップS2)。
以下、再度のステップS3において、センサ13が所定時間にわたる検知を継続しなかった(すなわち、NO)と判定された場合に、登録方向判定部12が選択していた方向の乗場呼びを乗場呼び登録部11が確定し(ステップS4)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0046】
以上のように、この発明の実施の形態3(図1、図4)によれば、登録方向判定部12および乗場呼び登録部11は、センサ13による乗客の検知状態が所定時間(=T1)内に中止された場合には、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定する。
登録方向判定部12は、乗場呼びの登録確定前にセンサ13による検知状態が所定時間だけ継続した場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、反転後の登録予定方向を登録予定方向報知部14により報知させる。
【0047】
これにより、乗客がセンサ13に手をかざしたときに最初に報知される登録予定方向が乗客の希望と一致している場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを所定時間内に中止し、報知方向の乗場呼び登録を確定させることができる。
【0048】
また、最初に報知された登録予定方向が乗客の希望と異なる場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを所定時間だけ継続することにより、前回の報知方向とは反対方向の報知を行わせることができ、さらに所定時間内に手をかざすことを中止することにより、呼び登録を確定させることができる。
この結果、この発明の実施の形態3においても、前述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0049】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態3(図4)では、乗客検知が所定時間(=T1)だけ継続した場合に、反転後の登録予定方向を改めて報知させたが、図5のように、反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに最終的な乗場呼び登録として確定させてもよい。
【0050】
図5はこの発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理(ステップS1〜S4、S6)については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0051】
この場合、登録予定方向の反転処理(ステップS6)に続いて、直ちに最終の登録確定処理(ステップS4)に移行する点のみが前述と異なる。
また、この発明の実施の形態2に係るエレベータシステムの全体構成は、図1に示した通りである。
【0052】
図5において、まず、前述と同様の処理(ステップS1〜S3)が行われる。
ステップS3において、乗客検知状態が所定時間(=T1)だけ継続しなかった(すなわち、NO)と判定されれば、前述と同様に、乗場呼び登録部11は、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を確定して(ステップS4)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0053】
一方、ステップS3において、乗客検知状態が所定時間だけ継続した(すなわち、YES)と判定されれば、登録方向判定部12は、乗場呼び登録予定方向を反転させる(ステップS6)。
この場合、次に、登録予定方向報知部14による登録予定方向の報知(ステップS2)を行うことなく、直接乗場呼び登録部11は、登録方向判定部12による現在の登録予定方向の乗場呼び登録を確定して(ステップS4)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0054】
以上の通り、この発明の実施の形態4(図1、図5)によれば、登録方向判定部12および乗場呼び登録部11は、センサ13による乗客の検知状態が所定時間(=T1)内に中止された場合には、現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、乗場呼びの登録確定前にセンサ13による検知状態が所定時間だけ継続した場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに最終的な乗場呼び登録として確定する。
【0055】
これにより、乗客がセンサ13に手をかざしたときに最初に報知される登録予定方向が乗客の希望と一致している場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを所定時間内に中止することにより、報知方向の乗場呼び登録を確定させることが期待できる。
【0056】
また、報知された登録予定方向が乗客の希望と異なる場合には、乗客がセンサ13に手をかざすことを継続することにより、前回の報知方向とは反対方向の乗場呼び登録を確定させることが期待できる。
この結果、この発明の実施の形態4においても、前述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0057】
10 乗場呼び登録装置、11 乗場呼び登録部、12 登録方向判定部、13 センサ、14 登録予定方向報知部、20 エレベータ制御装置、30 エレベータカゴ、T1 第1の所定時間、T2 第2の所定時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴと、
前記乗場に設置された乗場呼び登録装置と、
前記乗場呼び登録装置により確定された乗場呼び登録に応答して前記エレベータカゴを割当てるエレベータ制御装置とからなるエレベータシステムであって、
前記乗場呼び登録装置は、
前記乗場に接近して来た乗客を検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部と、
前記登録方向判定部による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部と、
前記登録方向判定部により最終的に判定された登録予定方向を乗場呼び登録として確定して前記エレベータ制御装置に転送する乗場呼び登録部と、を備え、
前記登録予定方向報知部は、前記センサにより検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知し、
前記登録方向判定部および前記乗場呼び登録部は、前記センサによる乗客の検知状態が第1の所定時間だけ継続した場合には、前記現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、
前記登録方向判定部は、乗場呼びの登録確定前に前記センサによる検知状態が前記第1の所定時間の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間内に前記センサによる検知が再度行われた場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、前記反転後の登録予定方向を前記登録予定方向報知部により報知させることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴと、
前記乗場に設置された乗場呼び登録装置と、
前記乗場呼び登録装置により確定された乗場呼び登録に応答して前記エレベータカゴを割当てるエレベータ制御装置とからなるエレベータシステムであって、
前記乗場呼び登録装置は、
前記乗場に接近して来た乗客を検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部と、
前記登録方向判定部による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部と、
前記登録方向判定部により最終的に判定された登録予定方向を乗場呼び登録として確定して前記エレベータ制御装置に転送する乗場呼び登録部と、を備え、
前記登録予定方向報知部は、前記センサにより検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知し、
前記登録方向判定部および前記乗場呼び登録部は、
前記センサによる乗客の検知状態が第1の所定時間だけ継続した場合には、前記現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、
乗場呼びの登録確定前に前記センサによる検知状態が前記第1の所定時間の継続前に一旦中止された後に、第2の所定時間内に前記センサによる検知が再度行われた場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、前記反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに前記最終的な乗場呼び登録として確定することを特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴと、
前記乗場に設置された乗場呼び登録装置と、
前記乗場呼び登録装置により確定された乗場呼び登録に応答して前記エレベータカゴを割当てるエレベータ制御装置とからなるエレベータシステムであって、
前記乗場呼び登録装置は、
前記乗場に接近して来た乗客を検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部と、
前記登録方向判定部による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部と、
前記登録方向判定部により最終的に判定された登録予定方向を乗場呼び登録として確定して前記エレベータ制御装置に転送する乗場呼び登録部と、を備え、
前記登録予定方向報知部は、前記センサにより検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知し、
前記登録方向判定部および前記乗場呼び登録部は、前記センサによる乗客の検知状態が所定時間内に中止された場合には、前記現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、
前記登録方向判定部は、乗場呼びの登録確定前に前記センサによる検知状態が前記所定時間だけ継続した場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、前記反転後の登録予定方向を前記登録予定方向報知部により報知させることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項4】
サービス階床の乗場に運転されるエレベータカゴと、
前記乗場に設置された乗場呼び登録装置と、
前記乗場呼び登録装置により確定された乗場呼び登録に応答して前記エレベータカゴを割当てるエレベータ制御装置とからなるエレベータシステムであって、
前記乗場呼び登録装置は、
前記乗場に接近して来た乗客を検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に応答して乗場呼びの登録方向を判定する登録方向判定部と、
前記登録方向判定部による現在の乗場呼びの登録状況を報知する登録予定方向報知部と、
前記登録方向判定部により最終的に判定された登録予定方向を乗場呼び登録として確定して前記エレベータ制御装置に転送する乗場呼び登録部と、を備え、
前記登録予定方向報知部は、前記センサにより検知された乗客に対して現在の登録予定方向を報知し、
前記登録方向判定部および前記乗場呼び登録部は、
前記センサによる乗客の検知状態が所定時間内に中止された場合には、前記現在の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに確定し、
乗場呼びの登録確定前に前記センサによる検知状態が前記所定時間だけ継続した場合には、前回報知していた登録予定方向を反転させて、前記反転後の登録予定方向の乗場呼び登録を直ちに前記最終的な乗場呼び登録として確定することを特徴とするエレベータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−56733(P2013−56733A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195223(P2011−195223)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】