説明

エレベーター装置

【課題】
昇降路を広くすることなく調速機に速度検出手段を設けることのできるエレベーター装置を提供する。
【解決手段】
テンションプーリ13を、かご8がピット50に設けられた緩衝器30に接触した位置より下方になるように設け、かつ、テンションプーリ13の固定軸18に設けられるブラケット19に一片が取付けられ、他片がテンションプーリ13の上方を跨ぎ固定軸18の反突出側に位置するU字形ブラケット20を設け、一方、テンションプーリ13に、反固定軸側に突出する回転軸24を備えた連結体22を設け、更に、U字形ブラケット20の他片に、回転軸24の回転を検出してかごの位置あるいは速度を検出するエンコーダ16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にかごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたエレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーター装置においては、調速機プーリに接触させたローラを介して、かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたもの(例えば、特許文献1参照)あるいは、調速機プーリの同軸上にかごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】特開平6−144734号公報
【特許文献2】実開昭61−154267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、機械室のない、いわゆる機械室レスエレベーターが増大してきた。この機械室レスエレベーターにおいては、かご外法サイズに対して、昇降路サイズを極力押さえ、昇降路を狭くすることがその特長を最大限活かすことになる。そして、機械室レスエレベーターでは、調速機を昇降路内のかごとすれ違う位置に配置するのが一般的である。
【0005】
このため、上記従来技術のように、調速機に速度検出手段を設けるものでは、昇降路が狭く、昇降するかごとのすき間や、他の塔内機器とのすき間が十分に取れない場合があり、昇降路を広くせざるをえなかった。
【0006】
本発明の目的は、昇降路を広くすることなく調速機に速度検出手段を設けることのできるエレベーター装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、昇降路内を昇降するかごと、このかごに搭載した非常止め装置と連結されて、かごの昇降とともに移動する無端体の調速機ロープと、この調速機ロープに張力を与えるテンションプーリと、このテンションプーリを軸受を介して支持する固定軸と、この固定軸の突出側に取付けられるウエートと、かごが規定速度を超えた時に調速機ロープを把持し、非常止め装置を作動させる調速機を備えたエレベーター装置において、テンションプーリを、かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、テンションプーリの固定軸に設けられるブラケットに一片が取付けられ、他片がテンションプーリの上方を跨ぎ固定軸の反突出側に位置するU字形ブラケットを設け、一方、テンションプーリに、反固定軸側に突出する回転軸を備えた連結軸を設け、更に、U字形ブラケットの他片に、回転軸の回転を検出してかごの位置あるいは速度を検出するエンコーダを備える。
【発明の効果】
【0008】
テンションプーリを、かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、テンションプーリの固定軸に設けられるブラケットに一片が取付けられ、他片がテンションプーリの上方を跨ぎ固定軸の反突出側に位置するU字形ブラケットを設け、一方、テンションプーリに、反固定軸側に突出する回転軸を備えた連結軸を設け、更に、U字形ブラケットの他片に、回転軸の回転を検出してかごの位置あるいは速度を検出するエンコーダを備えたため、昇降路内の他の機器との干渉を生じることがなく、昇降路を広くする等の問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態であるエレベーター装置を示す全体構成図、図2は図1の調速機とかごの位置関係を示す昇降路縦断面図、図3はテンションプーリ部分の詳細図(図1中A断面)である。
【0011】
図において、エレベーター装置は、巻上機の駆動シーブ1に主ロープ2を巻き掛け、プーリ3〜7を介して、主ロープ2の両端部にかご8とつり合おもり9とをつるべ式に連結している。そして、駆動シーブ1を回転させることにより、巻き掛けた主ロープ2を移動してかご8をガイドレール(図示せず)に沿って昇降させる。30は緩衝器、10は調速機である。この調速機10のプーリ11にはエンドレス状の調速機ロープ12が巻き掛けられており、この調速機ロープ12の下端には、かご8がピット50に設けられた緩衝器30に接触した位置より下方になるようにテンションプーリ13が設けられている。
【0012】
かご8と調速機ロープ12の一部は、非常止め装置14,15を引上げるためのレバー(図示せず)を介して連結されており、平常運転では、かご8の速度で調速機10のプーリ11を回転駆動し、何らかの原因により、規定の過速を検出した場合には、調速機ロープ12によりレバーを動作させて非常止め装置14,15を作動させ、かご8を非常停止させるように構成してある。テンションプーリ13に、かごの位置あるいは速度を検出する手段であるエンコーダ16を備えている。
【0013】
このエンコーダ16の取り付け構造について図3を用いて詳しく説明する。
【0014】
テンションプーリ13は、軸受17を介して固定軸18によって支持されている。この固定軸18は、突出部分がブラケット19によって支持されており、このブラケット19は、図示しないレールに固定されたブラケット(図示せず)に回転的、または上下自由に摺動できるように取付けられている。ブラケット19には、調速機ロープ12に張力を与えるために、ウェート(図示せず)が取り付けられる。また、このブラケット19には、U字形ブラケット20の1片がボルト21により固定され、このU字形ブラケット20の他片は固定軸18の反突出側に位置するようになっており、この他片にエンコーダ16が設けられている。22はテンションプーリ13にボルト23により固定された連結体で、この連結体22には固定軸18の反突出側に突出するように回転軸24が設けられ、この回転軸24の回転をエンコーダ16で検出し、かごの位置あるいは速度を検出するようになっている。25はエンコーダ16を保護するカバーである。
【0015】
図2に示すように、昇降路100において、テンションプーリ13が配置される位置まで、かご8は下降しないので、テンションプーリ13の同軸上にかごの位置あるいは速度を検出するエンコーダ16を備えても他の機器との干渉はない。
【0016】
また、テンションプーリ13に設けたエンコーダ16によりかごの位置,速度を検出することができるので、終端階強制減速装置にも適用できる。
【0017】
また、エンコーダ16は、テンションプーリ13の固定軸18の反突出側に位置して設けられるため、取付け作業が容易になるばかりか点検し易いものとすることができる。
【0018】
なお、調速機10を昇降路頂部40に配置した例を示したが、調速機10の配置はこれに限定するものではなく、例えばピット50に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態であるエレベーター装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の調速機とかごの位置関係を示す昇降路縦断面図である。
【図3】テンションプーリ部分の詳細図である(図1中A断面)。
【符号の説明】
【0020】
1 巻上機の駆動シーブ
2 主ロープ
3〜7,11 プーリ
8 かご
9 つり合おもり
10 調速機
12 調速機ロープ
13 テンションプーリ
14,15 非常止め装置
16 エンコーダ
17 軸受
18 固定軸
19 ブラケット
20 U字形ブラケット
22 連結体
24 回転軸
25 カバー
30 緩衝器
40 降路頂部
50 ピット
100 昇降路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するかごと、このかごに搭載した非常止め装置と連結されて、前記かごの昇降とともに移動する無端体の調速機ロープと、この調速機ロープに張力を与えるテンションプーリと、このテンションプーリを軸受を介して支持する固定軸と、この固定軸の突出側に取付けられるウエートと、前記かごが規定速度を超えた時に調速機ロープを把持し、非常止め装置を作動させる調速機を備えたエレベーター装置において、
前記テンションプーリを、前記かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、前記テンションプーリの固定軸に設けられるブラケットに一片が取付けられ、他片が前記テンションプーリの上方を跨ぎ前記固定軸の反突出側に位置するU字形ブラケットを設け、一方、前記テンションプーリに、反固定軸側に突出する回転軸を備えた連結軸を設け、更に、前記U字形ブラケットの他片に、前記回転軸の回転を検出して前記かごの位置あるいは速度を検出するエンコーダを備えたことを特徴とするエレベーター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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