説明

エレベータ装置

【課題】乗客の乗降時におけるかごの振動を抑制して乗り心地の向上を図りつつ、かごの異常動作を防止して安全性を高めたエレベータ装置を提供する。
【解決手段】いわゆるトラクション方式のエレベータ装置のかご8にかごブレーキ19を付設する。かごブレーキ19のブレーキシュー24は、ダンパー30付きのブレーキアーム22を介してかご8に連結され、かごガイドレール12に当接して制動力を発生するようになっている。そして、このかごブレーキ19をかご8の着床時に作動させることにより、乗客の乗降によって上下動するかご8の振動をダンパー30をもって抑制するとともに、両ブレーキアーム22の伸縮動作範囲を超えるかご8の異常動作を制止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ装置に関し、特に、かごを制動するためのかごブレーキが当該かごに付設されたエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるトラクション方式のエレベータ装置では、巻上機の駆動シーブに巻き掛けた主索にかごとカウンターウエイトとをつるべ式に吊り下げ、上記駆動シーブを回転駆動することでかごを昇降させるようになっており、かごの着床時には巻上機ブレーキをもって駆動シーブを制動することになる。しかしながら、このようなエレベータ装置では、所定の行先階に着床したかごに乗客または荷物が乗降し、そのかごの積載荷重が変化すると、かごを吊り下げている主索の伸縮によってかごが上下に振動してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の発明のように、かごにかごブレーキを付設したエレベータ装置が提案されている。この特許文献1に記載のかごブレーキは、かごの昇降を案内するかごガイドレールを挟んで両側に揺動自在な一対のレバーを対向配置したものであって、それら両レバーの先端同士の間にかごガイドレールを挟み込むことでかごに制動力を与えるようになっている。そして、かごが着床するときに巻上機ブレーキに加えてかごブレーキを作動することにより、主索の伸縮によって上下動するかごに制動力を与え、かごの振動を減衰させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−124281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、かごブレーキによる制動力をかごの移動を許容し得る程度に弱く設定していて、かごとともに上下動する上記かごブレーキの両レバーを上記かごガイドレールに摺動させることでかごの振動を減衰するようになっているため、乗客または荷物の乗降時に万が一かごが異常動作した場合にそのかごの移動を阻止することができず、好ましくない。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、乗客または荷物の乗降時におけるかごの振動を防止して乗り心地の向上を図りつつも、乗客または荷物の乗降時におけるかごの異常動作をより確実に防止して安全性を高めたエレベータ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、主索に吊り下げられたかごにかごブレーキが付設されていて、そのかごブレーキの制動部材が昇降路周壁に固定された固定部材に当接してかごを制動するエレベータ装置において、かごを上記かごブレーキの制動部材に対してかご昇降方向における所定の可動範囲内で相対移動可能とするとともに、上記制動部材に対するかごの振動を減衰する減衰器が上記かごブレーキに設けられていることを特徴としている。
【0008】
より具体的には請求項2に記載の発明のように、上記かごブレーキの制動部材がかご昇降方向で伸縮動作可能な減衰器を介してかごに連結されていて、その減衰器が減衰力を発生しつつ伸縮動作することにより、かごが上記かごブレーキの制動部材に対してかご昇降方向で相対移動するようになっているとよい。
【0009】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、上記かごブレーキの作動状態で乗客または荷物がかごに乗降すると、主索の伸縮によってかごが上下動することになるが、このときに上記減衰器が減衰力を発生して上下動するかごの振動が減衰されることになる。さらに、上記かごブレーキの作動状態でかごが万が一異常動作した場合には、上記可動範囲を超えるかごの移動が上記かごブレーキをもって阻止されることになる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、上記かごブレーキの開放時において、上記かごブレーキの制動部材は、上記かごブレーキの制動部材に対するかごの相対位置が上記可動範囲内の中間位置となる位置に保持されていて、上記かごブレーキの作動後にかごが上記かごブレーキの制動部材に対して昇降両方向に相対移動可能になっていると、乗客または荷物の乗降時におけるかごの振動をより効果的に防止できるようになる。
【0011】
ここで、請求項4に記載の発明のように、上記かごブレーキの制動部材がかごの昇降を案内する上記固定部材としてのガイドレールに対向配置されていて、その制動部材がガイドレールに当接してかごを制動するようになっている場合、一般に上記ガイドレールの表面には潤滑油が塗布されているため、上記かごブレーキの制動部材と当該ガイドレールとの間の摩擦力が比較的小さくなってしまう。そこで、この場合には請求項5に記載の発明のように、上記制動部材のうち少なくとも上記ガイドレールに当接することになる当接面が永久磁石材料をもって形成されていて、かごブレーキの作動時に上記制動部材がその磁力をもって上記ガイドレールに吸着するようになっていることが上記かごブレーキの制動力を向上させる上で望ましい。
【0012】
また、エレベータ装置の安全性を考慮すると、請求項6,7に記載の発明のように、上記主索が巻き掛けられた駆動シーブを有する巻上機が、上記駆動シーブを制動する巻上機ブレーキを上記かごブレーキとは別に有していて、かごが所定の行先階に着床した後、上記かごブレーキおよび巻上機ブレーキの両者を作動させた上でかごの出入口を開放するようになっていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、かごブレーキの作動時に乗客または荷物がかごに乗降すると、上記減衰器をもって主索の伸縮に伴うかごの振動が抑制されることになるから、かごの乗り心地が向上する。その上、乗客または荷物の乗降時にかごが異常動作して上記可動範囲を超えて移動しようとした場合に、そのかごの移動がかごブレーキによって阻止されることになるから、エレベータ装置の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態としてエレベータ装置の概略を示す図。
【図2】かごの詳細を示す側面図。
【図3】かごブレーキの詳細を示す正面図。
【図4】かごブレーキの詳細を示す平面図。
【図5】エレベータコントローラの処理内容を示すフローチャート。
【図6】かごが着床してから走行を開始するまでのかごブレーキの動作を示す説明図。
【図7】積載荷重変化に伴うかごの変位を示すグラフであって、同図(a)は比較例におけるかごの変位を示すグラフ、同図(b)は本発明の実施の形態におけるかごの変位を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜7の図面は本発明の好適な実施の形態を示す図であって、そのうち図1はエレベータ装置の概略を示す図である。図1に示すエレベータ装置はいわゆるトラクション方式のものであって、当該エレベータ装置の巻上機1は、主索2が巻き掛けられた駆動シーブ3およびそらせシーブ4と、駆動シーブ3と一体に回転する駆動軸5と、その駆動軸5を回転駆動するための巻上機モータ6と、駆動軸5を制動する巻上機ブレーキ7と、を備えている。そして、周知のように、主索2の一端にかご8が吊り下げられている一方、主索2の他端にカウンターウエイト9が吊り下げられていて、エレベータコントローラ10が巻上機ブレーキ7を開放した状態で巻上機モータ6を回転駆動することにより、かご8が昇降路11内で昇降移動するようになっている。
【0016】
巻上機ブレーキ7はいわゆる電磁ブレーキであって、駆動軸5と一体に回転するブレーキドラム7aにブレーキシュー7bを圧接させることで制動力を発生するようになっている。つまり、かご8の停止時にはブレーキスプリング7cによってブレーキシュー7bをブレーキドラム7aに押し付けている一方、かご8の走行時にはブレーキコイル7dへの通電により発生する電磁力をもってブレーキシュー7bをブレーキドラム7aから引き離すことになる。
【0017】
一方、昇降路11には上下方向に延びる一対のかごガイドレール12が固定部材として設けられている。両かごガイドレール12は磁性体である鋼材をもって断面略T字状に形成されたものであって、昇降路11の幅方向で所定の間隔を隔てて対向配置されている。より詳しくは、かごガイドレール12は、図1のほか図4に示すように、複数のレールブラケット13を介して昇降路11の周壁11aに固定された基部12aと、その基部12aの幅方向略中央部から突設された案内部12bと、を備えていて、かご8に設けられた図示外のガイドシューがかごガイドレール12の案内部12bに係合することにより、かご8がかごガイドレール12に案内されるようになっている。
【0018】
また、図1に示すように、昇降路11にはかご8の高さ位置を検出するかご位置検出器14が設けられている。このかご位置検出器14は、かご8の着床時に図示外の乗場の床面位置に対するかご8の床面位置のずれを検出するためのものであって、そのずれ量の情報をエレベータコントローラ10に送出するようになっている。なお、図示は省略しているが、かご位置検出器14はエレベータ装置の各サービス階に対応してそれぞれ設けられている。
【0019】
図2はかご8の詳細を示す側面図である。図1のほか図2に示すように、かご8は、正面視略矩形状のかご枠15を中心として構成されているものであって、そのかご枠15の内側に略直方体形状のかご室16が設けられている。かご室16における出入口16aの戸開閉形式はいわゆる二枚両開き式であって、一対のスライドドア17,17によって開閉されるようになっている。また、かご8には両スライドドア17,17を開閉駆動するためのドアオペレータ18が設けられており、そのドアオペレータ18がエレベータコントローラ10からの指令に基づいてかご室16の出入口16aを開閉することになる。
【0020】
かご枠15は、上下方向に延びる左右一対の縦枠15aと、それら両縦枠15aの下端同士を連結する下枠15bと、両縦枠15aの上端同士を連結する上枠15cと、を備えており、上枠15cの長手方向両端部にかごブレーキ19がそれぞれ設けられている。
【0021】
図3,4はかごブレーキ19の詳細を示す拡大図であって、そのうち図3はかごブレーキ19の正面図、図4はかごブレーキ19の平面図である。なお、図3,4はかごブレーキ19の作動状態を示している。
【0022】
図3,4に示すように、かごブレーキ19は、上枠15cの上面に固定されたベースプレート20と、そのベースプレート20から上方に向けて延びる一対のブレーキアーム22と、それら両ブレーキアーム22にそれぞれ装着された制動部材たる一対のブレーキシュー24と、両ブレーキアーム22を開閉するアクチュエータとしての電動シリンダ26と、を備えている。そして、両ブレーキシュー24間にかごガイドレール12の案内部12bが挿通しており、そのかごガイドレール12の案内部12bを両ブレーキシュー24間に挟持することによってかご8を制動するようになっている。なお、両ブレーキアーム22は、当該両ブレーキアーム22とベースプレート20とをそれぞれ連結するように斜めに配置された一対のリターンスプリング27によって互いに離間する方向に付勢されている。また、ベースプレート20にはかごガイドレール12の案内部12bが挿通する切欠部20aが形成されている。
【0023】
両ブレーキアーム22は、ベースプレート20にピン21をもって連結され、そのピン21を中心とした回転方向で揺動可能なピストンロッド28と、所定の粘性流体が封入されたシリンダ本体29aを有するシリンダ部材29と、をそれぞれ備えている。そして、ピストンロッド28の上端に設けられたピストン28aをシリンダ部材29のシリンダ本体29aに挿入することにより、伸び工程と縮み工程の両工程で減衰力が作用するいわゆる両効きタイプの減衰器たるダンパー30が構成されている。また、シリンダ部材29およびピストンロッド28にはそれぞれスプリングシート31,32が設けられており、それら両スプリングシート31,32間にコイルスプリング33が介装されている。
【0024】
両ブレーキアーム22のシリンダ部材29は、シリンダ本体29aから上方に延びるロッド部29bを有していて、そのロッド部29bの長手方向中間部にはガイドレール12側に向けて突設されたブラケット部29cが形成されている。そして、それら両ブレーキアーム22におけるブラケット部29cの先端にそれぞれブレーキシュー24が装着されている。
【0025】
さらに、両シリンダ部材29におけるロッド部29bの上端には電動シリンダ26の長手方向両端部がそれぞれピン25をもって揺動可能に連結されている。そして、エレベータコントローラ10が電動シリンダ26のモータ26aを回転駆動することにより、その電動シリンダ26が図示外のボールねじ機構をもって伸縮動作し、両ブレーキアーム22が接近・離間方向に揺動することになる。
【0026】
両ブレーキシュー24は、略平板状を呈するシュー本体34を中心として構成されており、そのシュー本体34の背面側に突設された連結部34aがブレーキアーム22のブラケット部29cにピン23をもって揺動可能に連結されている。また、シュー本体34の前面側には、かごブレーキ19の作動時にかごガイドレール12と当接することになる当接面24aを有するブレーキライニング35が装着されている。このブレーキライニング35は、永久磁石材料からなる略平板状のものであって、当該ブレーキライニング35とシュー本体34との間にはゴム製の緩衝プレート36が介装されている。
【0027】
したがって、以上のように構成したかごブレーキ19では、電動シリンダ26をもって両ブレーキアーム22を互いに近接する方向に揺動させ、両ブレーキシュー24間にかごガイドレール12の案内部12bを挟持しつつ、それら両ブレーキシュー24のブレーキライニング35をその磁力をもってかごガイドレール12の案内部12bに吸着させることで制動力を発生することになる。一方、かごブレーキ19を開放すべく電動シリンダ26を伸長させると、リターンスプリング27によって両ブレーキシュー24がガイドレール12から引き離されることになる。
【0028】
そして、かごブレーキ19の作動時には、両ブレーキアーム22が最伸長状態となる下限位置から両ブレーキアーム22が最短縮状態となる上限位置までの可動範囲内において、かご昇降方向で両ブレーキシュー24に対するかご8の相対移動が許容される一方、その可動範囲を超える両者の相対移動が規制されることになる。なお、かごブレーキ19の開放時、すなわちかごブレーキ19の無負荷時には、両ブレーキシュー24が、当該両ブレーキシュー24に対するかご8の相対位置が上記可動範囲内の中間位置となる位置でコイルスプリング33によって保持されるようになっている。言い換えれば、かごブレーキ19の作動後にかご8が両ブレーキシュー24に対して昇降両方向に相対移動可能になっている。
【0029】
図5は、かご8が所定の行先階に着床してから走行を開始するまでの間におけるエレベータコントローラ10の処理内容を示すフローチャートである。また、図6は、かご8が所定の行先階に着床してから走行を開始するまでの間におけるかごブレーキ19の動作を示す図である。
【0030】
エレベータコントローラ10は、図6の(a)に示すようにかごブレーキ19を開放した状態でかご8を走行させて所定の行先階に着床すると(図5のステップS1)、図6の(b)に示すように巻上機ブレーキ7に加えてかごブレーキ19を作動させた上で(図5のステップS2)、ドアオペレータ18をもって両スライドドア17を戸開動作させてかご室16の出入口16aを開放する(図5のステップS3)。
【0031】
ここで、当然のことながら、かご室16の出入口を開放した後に乗客または荷物がかご室16に乗降すると、主索2が伸縮することでかご8が上下動することになるが、このかご8の変位に伴って両ブレーキアーム22が伸縮作動しつつ減衰力を発生することでかご8の振動が抑制されることになる。具体的には、例えば乗客または荷物が乗降した結果、かご8の積載荷重が増加した場合、かご8が主索2の伸びによって下方に変位することになるが、この場合には図6の(c)に示すように両ブレーキアーム22がそれぞれ伸長しつつ減衰力を発生してかご8の振動が抑制される。
【0032】
また、図7は、積載荷重変化に伴うかごの変位を示すグラフであって、図7の(a)は比較例としてかごブレーキを備えていないエレベータ装置におけるかごの変位を示すグラフ、図7の(b)は本実施の形態におけるかご8の変位を示すグラフである。この図7に示すように、図7の(a)に示す比較例ではかご8が積載荷重の変化によって比較的大きく振動することになる一方、図7の(b)に示す本実施の形態では、両ブレーキアーム22のダンパー30により、かご8の積載荷重変化に伴う振動が比較例と比べて大幅に抑制されることが明らかである。
【0033】
そして、エレベータコントローラ10は、このようにかご8が変位した結果、かご位置検出器14から受信したかご8の床面位置のずれ量が所定のしきい値を超えた場合(図5のステップS4)、かご8の床面位置を図示外の乗場の床面位置に合わせるリレベル動作(再床合わせ動作)を行うことになる(図5のステップS5〜7)。なお、図5のステップS4において判断の結果がNOであった場合にはリレベル動作を行うことなく図5のステップS8に進む。
【0034】
具体的には、このリレベル動作は、巻上機ブレーキ7を開放する一方でかごブレーキ19を作動させた状態で巻上機モータ6を回転駆動することで行われる。つまり、このリレベル動作時においても、図6の(d)に示すようにかご8の移動に伴って両ブレーキアーム22が減衰力を発生しつつ伸縮動作し、かご8の振動が抑制されることになる。
【0035】
次いで、エレベータコントローラ10は、かご室16の出入口16aを閉止するか否かを判断し(図5のステップS8)、その判断の結果がYESの場合、かご室16の出入口16aを閉止した上で(図5のステップS9)、図6の(e)に示すようにかごブレーキ19および巻上機ブレーキ7を開放し(図5のステップS10)、かご8の走行を開始する(図5のステップS11)。なお周知のように、図5のステップS8では、かご室16内に設けられた図示外のドア閉止ボタンが押圧操作されるか、或いはかご室16の出入口16aを開放してから所定の時間が経過した場合に、出入口16aを閉止するようになっている。また、図5のステップS8における判断の結果がNOであった場合には図5のステップS4に戻る。
【0036】
ここで、本実施の形態では、上述したようにかご8の積載荷重の変化を主索2が伸縮することで吸収するようになっているから、かごブレーキ19の負担する荷重は著しく小さいものとなり、図5のステップS10でかごブレーキ19を開放したときにかご8が移動するいわゆる起動ショックを低減することができる。
【0037】
また、かごブレーキ19の作動中に万が一かご8が異常動作して当該かご8の可動範囲を超えて移動しようとした場合には、両ブレーキアーム22が最伸長状態または最短縮状態となってさらなるかご8の移動を阻止することができる。
【0038】
したがって、本実施の形態によれば、乗客または荷物の乗降時におけるかご8の振動を両ブレーキアーム22に形成したダンパー30によって抑制することができる上に、かごブレーキ19開放時におけるいわゆる起動ショックをも低減することができるから、エレベータ装置の乗り心地が飛躍的に向上する。
【0039】
また、乗客の乗降中に万が一かご8が異常動作した場合には、当該かご8の可動範囲を超える移動がかごブレーキ19によって阻止されることになるから、エレベータ装置の安全性が飛躍的に向上する。
【符号の説明】
【0040】
1…巻上機
2…主索
7…巻上機ブレーキ
8…かご
12…かごガイドレール(固定部材)
19…かごブレーキ
24…ブレーキシュー(制動部材)
24a…ブレーキシューの当接面
30…ダンパー(減衰器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主索に吊り下げられたかごにかごブレーキが付設されていて、そのかごブレーキの制動部材が昇降路周壁に固定された固定部材に当接してかごを制動するエレベータ装置において、
かごを上記かごブレーキの制動部材に対してかご昇降方向における所定の可動範囲内で相対移動可能とするとともに、上記制動部材に対するかごの振動を減衰する減衰器が上記かごブレーキに設けられていることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
上記かごブレーキの制動部材がかご昇降方向で伸縮動作可能な減衰器を介してかごに連結されていて、その減衰器が減衰力を発生しつつ伸縮動作することにより、かごが上記かごブレーキの制動部材に対してかご昇降方向で相対移動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
上記かごブレーキの開放時において、上記かごブレーキの制動部材は、上記かごブレーキの制動部材に対するかごの相対位置が上記可動範囲内の中間位置となる位置に保持されていて、
上記かごブレーキの作動後にかごが上記かごブレーキの制動部材に対して昇降両方向に相対移動可能になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
上記かごブレーキの制動部材がかごの昇降を案内する上記固定部材としてのガイドレールに対向配置されていて、その制動部材がガイドレールに当接してかごを制動するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータ装置。
【請求項5】
上記制動部材のうち少なくとも上記ガイドレールに当接することになる当接面が永久磁石材料をもって形成されていて、かごブレーキの作動時に上記制動部材がその磁力をもって上記ガイドレールに吸着するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
上記主索が巻き掛けられた駆動シーブを有する巻上機が、上記駆動シーブを制動する巻上機ブレーキを上記かごブレーキとは別に有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエレベータ装置。
【請求項7】
かごが所定の行先階に着床した後、上記かごブレーキおよび巻上機ブレーキの両者を作動させた上でかごの出入口を開放するようになっていることを特徴とする請求項6に記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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