説明

エレベータ装置

【課題】乗りかごの走行時に発生する空力騒音を低減する。
【解決手段】昇降路35内を走行する乗りかご31の下端部に設けられた落下防止板32の先端部を凸形状するなどして、乗りかご31の走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を持たせる。これにより、乗りかご31がホールシル36に差し掛かった際に、そのときの流れが先端部で一度に堰き止められることなく、周囲に拡散され、結果的にかご正面への急激な流れ込みを抑えて、空力騒音を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行時の空力騒音を低減可能なエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの高層化に伴い、縦の交通機関であるエレベータに関する要求が高まっている。その一つがエレベータの高速化である。なお、エレベータの定格速度は、建築基準法によって、「かごに積載荷重を作用させて上昇するときの最高速度をいう」と規定されている。速度に応じてエレベータを分類すると、定格速度が毎分45m以下のエレベータを「低速」、毎分60m〜105mのエレベータを「中速」、毎分120m以上のエレベータを「高速」、毎分360m以上のエレベータを「超高速」と規定されている。
【0003】
エレベータの定格速度が400m/分以上になるに従い、乗りかご周りの気流によって発生する空力騒音がエレベータの快適化に関連して問題になっている(例えば非特許文献1)。そこで、こうした超高速のエレベータの空力騒音低減のために、例えば特許文献1に示されるような整風カバーの装着が具体化され効果を上げている。
【0004】
しかしながら、狭い昇降路を高速走行するエレベータにあっては、昇降階に応じて昇降路内にホールシルなどの狭隘部が存在することになるため、この狭隘部を通過する毎に局所的な空力騒音(バフ音)が発生し、乗りかご内乗客はもとより、通過階で待機している乗客に対しても大きな騒音源となって不快感を与える問題が残されている。
【0005】
そこで、更なるエレベータの高速化に対応するため、整風カバーの上に整風スポイラーを取り付ける技術が開発され(例えば特許文献2参照)、世界最高速のエレベータ(例えば、非特許文献2参照)にも適用されて成果を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−333486号公報
【特許文献2】特開2005−162496号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本機械学会論文集(B編),59巻564号(1993−8),論文No.92−1876.
【非特許文献2】世界最高速1010m/minエレベータ、東芝レビュー,vol.57,No.6,(2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年のバリアフリー化に伴い、車椅子やベビーカーのタイヤが脱輪しないように昇降階床と乗りかごの隙間間隔をより一層低減することが要求されている。このため、昇降路内部の狭隘部隙間がいっそう小さくなり、従来では問題にならなかった低〜高速のエレベータでも、昇降路内の狭隘部通過時に局所的な空力騒音(バフ音)が発生するようになってきた。
【0009】
低〜高速のエレベータでは、乗りかごの下端部に、通称「エプロン」と呼ばれる落下防止板が取り付けられている。この落下防止板は、乗場のホールシルとかごドアとの間の隙間から物が落下することを防止するための部材であって、かごドアの縁から下降方向に向けて所定の長さを持って延出されている。
【0010】
このような形状を有する低〜高速のエレベータについて、下降時における空力騒音を乗りかごの位置を計測しながら観測した結果、上記落下防止板の先端部分が昇降路内の狭隘部分に差し掛かった際に大きな騒音を発生することが明らかになった。また、上昇時でも同様に、乗りかごの先端部が昇降路内の狭隘部分に差し掛かった際に大きな騒音を発生する。
【0011】
しかしながら、このような空力騒音に関しては現状有効な対応策がなく、例えば狭隘部分をなくすために全走行路に亘って板を貼って平面化するなど、昇降路構造を改良するしかなかった。
【0012】
また、通常、エレベータは、乗りかご本体と同重量のカウンタウェイト(吊り合い重り)がバランスを取りながら走行している。このため、中間階付近でカウンタウェイトと乗りかご本体とが高速ですれ違ったときに、乗りかごが狭隘部を通過するのと同様に、乗りかご周りに大きな空力騒音が発生する。
【0013】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、乗りかごの走行時に発生する空力騒音を低減することのできるエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るエレベータ装置は、昇降路内を走行する乗りかごと、この乗りかごの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記乗りかごの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する整風板とを具備したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るエレベータ装置は、昇降路内を走行する乗りかごと、この乗りかごに連動して上記昇降路内をつるべ式に走行するカウンタウェイトと、このカウンタウェイトの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記カウンタウェイトの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する整風板とを具備したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るエレベータ装置は、昇降路内を走行する乗りかごと、この乗りかごの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記乗りかごの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する第1の整風板と、この第1の整風板に設置され、走行時に上記乗りかごの正面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの第1の気流発生装置と、上記乗りかごに連動して上記昇降路内をつるべ式に走行するカウンタウェイトと、このカウンタウェイトの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記カウンタウェイトの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する第2の整風板と、この第2の整風板に設置され、走行時に上記カウンタウェイトの上記乗りかごとの対向面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの第2の気流発生装置とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、乗りかごに設けられた整風板の作用により、乗りかごが昇降路内の狭隘部を通過するときにかご正面への急激な流れ込みが抑えられて、空力騒音を低減することができる。
【0018】
また、カウンタウェイトに設けられた整風板の形状の作用により、乗りかごとカウンタウェイトが擦れ違うときにカウンタウェイトの乗りかごとの対向面への急激な流れ込みが抑えられて、空力騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はエレベータの走行時に発生する空力騒音の観測結果を示す図である。
【図2】図2はエレベータの走行速度と狭隘部通過時の騒音との関係を示す図である。
【図3】図3はエレベータの乗りかごが昇降路内のホールシルを通過する際のかご周りの流れを数値流体解析によって調べた結果を示す図であり、通過直前の状態を示している。
【図4】図4はエレベータの乗りかごが昇降路内のホールシルを通過する際のかご周りの流れを数値流体解析によって調べた結果を示す図であり、通過途中の状態を示している。
【図5】図5は本発明の第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図5(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。
【図6】図6は同実施形態における乗りかごが昇降路内のホールシルを通過する際のかご正面の流れを数値流体解析によって調べた結果を示す図であり、通過直前の状態を示している。
【図7】図7は同実施形態における乗りかごが昇降路内のホールシルを通過する際のかご正面の流れを数値流体解析によって調べた結果を示す図であり、通過途中の状態を示している。
【図8】図8は同実施形態における昇降路内のホールシルの壁面上における圧力変動を調べた結果を示したのである。
【図9】図9は同実施形態の変形例1として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図10】図10は同実施形態の変形例2として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図11】図11は同実施形態の変形例3として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図12】図12は同実施形態の変形例4として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図13】図13は同実施形態の変形例5として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図14】図14は同実施形態の変形例6として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図15】図15は同実施形態の変形例7として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図16】図16は同実施形態の変形例8として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図17】図17は同実施形態の変形例9として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図18】図18は本発明の第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図18(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。
【図19】図19は同実施形態の変形例として整風板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【図20】図20は本発明の第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図20(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。
【図21】図21は同実施形態における気流発生装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図22】図22は本発明の第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図22(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。
【図23】図23は同実施形態における乗りかご走行時における気流発生装置の駆動制御を示すフローチャートである。
【図24】図24は同実施形態の変形例として端部形状と気流発生装置の配置・個数を変えた場合の乗りかごの構成を示す図である。
【図25】図25は本発明の第5の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図25(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトの構成を側面から見た図、同図(b)はそのカウンタウェイトをA方向から見た正面図である。
【図26】図26は同実施形態の変形例として整風板の先端部形状を変えた場合のカウンタウェイトの正面の構成を示す図である。
【図27】図27は本発明の第6の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図27(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトを側面から見た図、同図(b)はそのカウンタウェイトをA方向から見た正面図である。
【図28】図28は本発明の第7の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図28(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA1方向から見た正面図、同図(c)はそのカウンタウェイトをA2方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の実施形態を説明する前に、エレベータの走行時における空力騒音(バフ音)の発生メカニズムについて、低〜高速のエレベータを例にして詳しく説明する。
【0021】
低〜高速のエレベータでは、箱型形状を有する乗りかごの下端部の乗場側に、通称「エプロン」と呼ばれる落下防止板が取り付けられている。この落下防止板は、かごドアの縁から下降方向に向けて所定の長さを持って延出されている。
【0022】
このような形状を有する低〜高速のエレベータについて、走行時に発生する空力騒音をかご位置を計測しながら観測した結果を図1に示す。図1において、横軸は時間、縦軸は騒音の大きさを表している。乗りかごを所定速度で下降させると、落下防止板の先端部分がホールシルなどの狭隘部に差し掛かった瞬間に、大きな圧力変動が生じて空力騒音が発生する(図中の矢印参照)。
【0023】
ここで、エレベータの走行時におけるかご周辺の空気の流れを数値流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)により調べた結果を図3および4に示す。
【0024】
図3および図4はエレベータの乗りかごが昇降路内のホールシルを通過する際のかご周りの流れを数値流体解析によって調べたものであり、図3は通過直前の状態、図4は通過途中の状態を示している。なお、図中の31は乗りかご、32は落下防止板(エプロン)、33はホールシルである。
【0025】
乗りかご31の下降時において、落下防止板32の先端部がホールシル36などの狭隘部に差し掛かったときに、落下防止板32の先端部分で流れが堰き止められ、これが大きな圧力変動を生じさせることによって空力騒音が発生する。
【0026】
特に、落下防止板32の先端部分には剥離泡が存在しており、これが圧力変動を助長していることが数値流体解析によって明らかになった。
【0027】
すなわち、この落下防止板32の先端部分に生じる剥離泡によって乗りかご31とホールシル36との間隙の圧力損失が増大し、堰き止め効果が助長される。その結果、図4に示すように、落下防止板32の両側から縦渦2が急成長して入り込み、その縦渦2によって先端部からの流れ込みが乗りかご31の正面の中央部分に集約され、これが縮流増速流1となって加速する。これらの縦渦2と縮流増速流1がベルヌーイの定理によってかご正面の圧力を急激に低下させ、大きな圧力変動を生じさせることになる。
【0028】
一方、エレベータや自動車の走行時に発生する空力騒音は、走行によって乱された気流中に存在する渦の非定常運動に起因して発生し、走行速度の増加に伴って急激に増大する。こうした空力騒音は、流体の基礎方程式であるナビエ・ストークス方程式を変形することによって得られる波動方程式(Lighthill方程式)から求めることができる。この波動方程式を(1)式に示す。
【数1】

【0029】
上記(1)式において、cは音速、pは圧力、ρは密度、xは座標、vは速度、μは粘性係数、Fは外力、δijはクロネッガーのデルタ、TijはLighthillの音響テンソルである。なお、iは行成分を表しi=1,2,3、jは列成分を表しj=1,2,3である。
【0030】
上記(1)式をさらに変形し、次元解析を行って各項のオーダーを評価することで、空力騒音源からの放射音を次にように表すことができる。
【数2】

【0031】
上記(2)式において、音圧p=cρ、ρは密度の平均値、rは音源からの距離、lは渦のスケール、uは速度である。
【0032】
上記(2)式の第1項は湧き出しや吸込み流れなど気流の体積変化が伴う空力騒音が速度の4乗に比例して発生することを示している。また、第2項は高速走行時の自動車や新幹線騒音のように運動量の変化によって発生する騒音は速度の6乗に比例すること、第3項はジェットエンジンの噴射音のように乱れの非定常運動による騒音は速度の8乗に比例して発生することを示している。
【0033】
ここで、エレベータの走行速度を変えながら、狭隘部通過時の空力騒音を計測したところ、図2に示すように、走行速度の4乗に比例して空力騒音が大きくなることがわかった。このことは、狭隘部通過時の空力騒音が、図4に示したように乗りかご31の落下防止板32の先端がホールシル36に差し掛かった時の急激な吸込み流れによる気流の体積変化(つまり、圧力変動)に起因して発生していることを示している。従って、空力騒音を低減するには、圧力変動を緩和させることが効果的であると考えられる。
【0034】
以下に、空力騒音を低減するための具体的な方法について詳しく説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
図5は本発明の第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図5(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。
【0036】
本実施形態におけるエレベータ装置は、主として低速エレベータに用いられる箱型形状の乗りかご31を備える。この乗りかご31は、図示せぬ巻上機の駆動によりロープ34を介して昇降路35内を昇降動作する。
【0037】
また、この乗りかご31の下端部の乗場側に、通称「エプロン」と呼ばれる落下防止板32が取り付けられている。この落下防止板32は、乗場のホールシル36とかごドア33との間の隙間から物が落下することを防止するための板状の部材であって、かごドア33の縁から下降方向に向けて所定の長さを持って延出されている。
【0038】
一方、昇降路35には、各階の乗場毎にホールシル36が配設されており、そのホールシル36の上にホールドア38が開閉自在に設けられている。乗りかご31の正面には、かごドア33が開閉自在に設けられており、乗りかご31が各階の乗場で停止したときに、乗場ドア38に係合して開閉動作する。図中の37は昇降路35内のホールシル36によって形成される狭隘部である。
【0039】
このような構成において、乗りかご31の下降時に、乗りかご31の下端部つまり落下防止板32の先端部が昇降路35内の狭隘部37を通過するときに、局所的な空力騒音(バフ音)が発生し、乗りかご31内の乗客や、乗場で待機している乗客に対して不快感を与える問題がある。
【0040】
そこで、本実施形態では、乗りかご31に下端部に備えられている落下防止板32の形状を工夫することにより、走行時に「整風板」として用いて空力騒音を低減化するものである。
【0041】
具体的には、図5(b)に示すように、落下防止板32の先端部の中央付近に下降方向に向けて凸部32aを形成する。このような形状とすることで、乗りかご31の下降時に落下防止板32の先端部がホールシル36などの狭隘部37に差し掛かった際に、その先端部での堰き止め現象が緩和されて、かご正面への急激な流れ込みを抑えることができる。
【0042】
この様子を図6および図7に示す。
図6および図7は乗りかご31が昇降路35内のホールシル36を通過する際のかご正面の流れを数値流体解析によって調べた結果を示す図であり、図6は通過直前の状態つまり落下防止板32の先端部分がホールシル36に差し掛かったときの状態、図7は通過途中の状態つまり落下防止板32の全体がホールシル36を通過しているときの状態を示している。
【0043】
ここで、落下防止板32の先端部を凸形状にておくと、乗りかご31がホールシル36に差し掛かった際に、そのときの流れが落下防止板32の先端部で一度に堰き止められることがなくなり、周囲に拡散されることになる。その結果、かご正面(乗場と対向する面)への急激な流れ込みが抑えられ、それに伴い圧力変動が緩和されることになる。
【0044】
図8は昇降路35内のホールシル36の壁面上における圧力変動を調べた結果を示したのである。図中の時間0は落下防止板32の先端部がホールシル36に差し掛かった時刻を示している。また、点線が従来型、実線が凸型の特性を示している。
【0045】
時間0の前後に見られる圧力の急激な増大と、これに続く急激な圧力低下の現象が狭隘部通過時の空力騒音の発生と強い相関を持つことが発明者らの研究によって明らかになっている。したがって、この圧力変動の大きさを調べることで、空力騒音の低減効果を評価することができる。
【0046】
落下防止板32の先端部が平らであった従来型の場合に比べ、凸型の場合には落下防止板32の先端部がホールシル36に差し掛かった際の圧力変動が緩和されている。よって、圧力変動を起因とした空力騒音が低減されていることがわかる。
このように、乗りかご31の落下防止板32を整風板として用い、その先端部を凸形状にすることで、狭隘部通過時にかご正面への急激な流れ込みを抑えて、圧力変動を緩和することができる。したがって、乗りかご31に圧力変動を抑えるための特別な機器を備えたり、昇降路の構造を改良するなどの大がかりな対策を施さなくとも、走行時の空力騒音を低減することができる。
【0047】
なお、落下防止板32の先端部に形成された凸部32aの突出幅などは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0048】
また、上記第1の実施形態では、落下防止板32の先端部を凸形状とした例を示したが、乗りかご31の走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状であれば、他の形状であっても同様の効果が得られる。
【0049】
以下に、上記第1の実施形態の変形例について説明する。
【0050】
(変形例1)
図9は上記第1の実施形態の変形例1として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0051】
図9の変形例1では、落下防止板32の先端部に凸部材32bを後付けで設けた例が示されている。この凸部材32bは、落下防止板32と同じ材質でも良いし、異なる材質を用いて構成しても良い。この凸部32bは、接着剤や溶接の他、リベット等を用いて固定される。
【0052】
このように、落下防止板32の先端部に凸部材32bを後付けにて設けた構成であっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、凸部材32bを後付けにすれば、既存の落下防止板32をそのまま流用できるといったメリットがある。
【0053】
(変形例2)
図10は上記第1の実施形態の変形例2として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0054】
図10の変形例2では、落下防止板32の先端部を台形状に突出させた例が示されている。この突出部32cは、乗りかご31の下降方向に向けて横幅(水平方向の幅)が徐々に狭められている。なお、この突出部32cの傾斜角度などは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0055】
このように、落下防止板32の先端部を台形状に突出させた構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。しかも、台形状とすることで、落下防止板32の先端部で受けた流れを乗りかご31の外側に円滑に逃がすことができる。これにより、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を効果的に緩和して空力騒音を低減することができる。
【0056】
(変形例3)
図11は上記第1の実施形態の変形例3として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0057】
図11の変形例3では、落下防止板32の先端部を三角形状に突出させた例が示されている。この突出部32dは、乗りかご31の下降方向に向けて横幅(水平方向の幅)が徐々に狭められている。なお、この突出部32dの傾斜角度などは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0058】
このように、落下防止板32の先端部を三角形状に突出させた構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。しかも、上記台形状の突出部32cと同様に、落下防止板32の先端部で受けた流れを乗りかご31の外側に円滑に逃がすことができる。これにより、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を効果的に緩和して空力騒音を低減することができる。
【0059】
(変形例4)
図12は上記第1の実施形態の変形例4として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0060】
図12の変形例4では、落下防止板32の先端部に円弧形状に突出させた例が示されている。この突出部32eは、乗りかご31の下降方向に向けて円弧状をなす。なお、この突出部32eの曲率などは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0061】
このように、落下防止板32の先端部を円弧形状に突出させた構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。しかも、この突出部32eの先端から乗りかご31の外側に向けてなだらかな曲面をなしているので、先端部で受けた流れを乗りかご31の外側に円滑に逃がすことができる。これにより、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を効果的に緩和して空力騒音を低減することができる。
【0062】
(変形例5)
図13は上記第1の実施形態の変形例5として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0063】
図13の変形例5では、落下防止板32の先端部に複数の凸部32fを形成した例が示されている。なお、これらの凸部32fの個数や突出幅などは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。また、これらの凸部32fを別部材で構成し、落下防止板32の先端部に接着剤や溶接、リベット等で固定することで良い。
【0064】
このように、落下防止板32の先端部に複数の凸部32fを形成しておくことにより、ホールシル36に差し掛かったときの流れを図5の構成よりも効率的に拡散することができる。これによりね、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を効果的に緩和して空力騒音を低減することができる。
【0065】
(変形例6)
図14は上記第1の実施形態の変形例6として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0066】
図14の変形例6では、落下防止板32の先端部を乗りかご31の一方側から他方側にかけて傾斜させた例が示されている。なお、この傾斜部32gの傾斜角度は、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0067】
このように、落下防止板32の先端部を乗りかご31の片側に傾斜させた構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。しかも、落下防止板32の先端部で受けた流れを乗りかご31の片側に円滑に逃がすことができるので、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0068】
(変形例7)
図15は上記第1の実施形態の変形例7として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0069】
図15の変形例7では、落下防止板32の先端部に複数の切欠き部32hを形成した例が示されている。なお、これらの切欠き部32hの個数や深さなどは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0070】
このように、落下防止板32の先端部に複数の切欠き部32hを形成した構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。したがって、かご正面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0071】
(変形例8)
図16は上記第1の実施形態の変形例8として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0072】
図16の変形例8では、落下防止板32の先端部に複数の小孔部32iを形成した例が示されている。なお、これらの小孔部32iの個数やサイズなどは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0073】
このように、落下防止板32の先端部に複数の小孔部32iを形成することで、ホールシル36に差し掛かったときの流れを各小孔部32iを通して他の方向へ逃がすことができるので、結果的にかご正面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0074】
(変形例9)
図17は上記第1の実施形態の変形例9として落下防止板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0075】
図17の変形例9では、落下防止板32の先端部の中央付近に上記第1の実施形態と同様の凸部32aを設けると共に、その凸部32aに小孔部32jを形成した例が示されている。なお、凸部32aの突出幅や、小孔部32jのサイズなどは、落下防止板32の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0076】
このように、落下防止板32の先端部に小孔部32iを有する凸部32aを形成した構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを落下防止板32の先端部で拡散することができる。しかも、凸部32aに小孔部32iが形成されているので、落下防止板32の先端部での堰き止められた流れをその小孔部32jを通して他の方向へ逃がすことができる。これにより、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0077】
なお、上記第1の実施形態では、「エプロン」と呼ばれる落下防止板32が標準装備されている乗りかご31を想定し、その落下防止板32を「整風板」として用いる場合について説明したが、落下防止板を持たない乗りかごであれば、上述した各種形状のいずれかを適用した板状の部材を「整風板」として乗りかごの下端部の乗場側面に取り付けることで上記同様の騒音低減効果を得ることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0079】
第2の実施形態では、乗りかごの下降時だけでなく、上昇時の空力騒音も低減可能な構成としたものである。
【0080】
図18にその構成を示す。
図18は本発明の第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図18(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。なお、上記第1の実施形態における図5と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0081】
上記第1の実施形態と異なる点は、箱形形状の乗りかご31の上端部の乗場側の縁に、下端部に取り付けられた落下防止板32と対にして板状の整風板39が取り付けられている点である。この整風板39は、乗りかご31の上端部における乗場側の縁から所定の長さを有して上昇方向に延出されている。
【0082】
ここで、第2の実施形態では、この整風板39の先端部の中央付近に上昇方向に向けて凸部39aが形成されている。この凸部39aは、落下防止板32に形成された凸部32aと同様に、乗りかご31の上端部が昇降路35内のホールシル36などの狭隘部37を通過するときに整風板39の先端部に生じる剥離流を抑制するための作用を持つ。
【0083】
このような構成によれば、乗りかご31の上昇時であっても、下降時と同じ理屈で、ホールシル36に差し掛かったときの流れを整風板39の先端部で拡散することができるので、かご正面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0084】
なお、一般的には下降時の方が上昇時に比べて圧力変動が大きくなる。これは、建物の構造によるが、通常、昇降路35内では下から上へ空気が吹き抜けており、そこに乗りかご31が下降してくると、ホールシル36などの狭隘部37で乗りかご31の先端部が受ける気流の力が大きいからである。
【0085】
また、上記第2の実施形態では、整風板39の先端部を凸形状とした例を示したが、乗りかご31の走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状であれば、他の形状であっても同様の効果が得られる。
【0086】
以下に、上記第2の実施形態の変形例について説明する。
【0087】
(変形例)
図19は上記第2の実施形態の変形例として整風板の先端部形状を変えた場合の乗りかごの正面の構成を示す図である。
【0088】
図19の変形例では、整風板39の先端部を乗りかご31の一方側から他方側にかけて傾斜させた例が示されている。なお、この傾斜部39aの傾斜角度は、整風板39の先端部で受ける流れを効率的に拡散できるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0089】
このように、整風板39の先端部を乗りかご31の片側に傾斜させた構成であっても、上記第1の実施形態と同様に、ホールシル36に差し掛かったときの流れを整風板39の先端部で拡散することができる。しかも、整風板39の先端部で受けた流れを乗りかご31の片側に逃がすことができるので、かご正面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動を緩和して空力騒音を低減することができる。
【0090】
なお、ここでは、整風板39の先端部を傾斜させた場合の例を示したが、図9〜13、図15〜17に示したような形状を適用しても良い。さらに、乗りかご31の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。
【0091】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0092】
第3の実施形態では、上記第2の実施形態の構成に加え、狭隘部通過時の空隙騒音が大きい下降時に対処するために、乗りかごの下端部に気流発生装置を備えるようにしたものである。
【0093】
図20にその構成を示す。
図20は本発明の第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図20(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。なお、上記第2の実施形態における図18と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0094】
上記第2の実施形態と同様に、乗りかご31の下端部に「整風板」としての機能を持つ凸形状の落下防止板32が設けられ、また、上端部には落下防止板32と対にして凸形状の整風板39が設けられている。これにより、乗りかご31の下降時と上昇時において、かご正面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動に伴う空力騒音を低減する構成となっている。
【0095】
ここで、第3の実施形態では、さらに乗りかご31の下端部の落下防止板32に対して、気流発生装置10a,10bが設置されている。この気流発生装置10a,10bは、放電プラズマを利用して所定の方向(ここでは上昇方向)に向けて誘起流25を発生する。
【0096】
なお、放電プラズマを利用した気流発生装置については、特開2007−317656号公報や特開2008−1354号公報などで周知であるため、ここでは詳しい説明を省略するものとする。
【0097】
この気流発生装置10a,10bはセラミックなどの絶縁物を基盤としたモジュール構造で構成できるので、落下防止板32にモジュール部分をねじ止めあるいは接着剤で簡単に固定することができる。
【0098】
また、この気流発生装置10a,10bは、乗りかご31の走行時に駆動装置11によって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご51の下降時に乗りかご31の下端部がホールシル36を通過するときである。
【0099】
すなわち、落下防止板32に設けられた気流発生装置10a,10bは、乗りかご31の下降時に落下防止板32の先端部がホールシル36を通過するときに駆動され、乗りかご31の走行方向とは逆の方向つまり上昇方向に向けて誘起流25を発生する。
【0100】
図21は気流発生装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【0101】
駆動装置11は、乗りかご31上に設置されており、気流発生装置10a,10bの駆動に必要な電力を供給するためのバッテリなどを備える。この駆動装置11は、制御装置12から出力される駆動信号に基づいて気流発生装置10a,10bに電力を供給して駆動する。
【0102】
また、制御装置12は、ビルの機械室などに設置されている。この制御装置12は、CPU、ROM、RAMなどを搭載したコンピュータによって構成され、所定のプログラムの起動によりエレベータ全体の運転制御を行うと共に、ここでは気流発生装置10a,10bの駆動制御を行う。なお、制御装置12と乗りかご31上の駆動装置11は、図示せぬテールコードあるいは無線により電気的に接続されている。
【0103】
かご位置検出装置13は、図示せぬパルスエンコーダから巻上機の回転に同期して出力されるパルス信号に基づいて、昇降路35内を走行中の乗りかご31の位置をリアルタイムで検出する。
【0104】
このような構成において、乗りかご31の下降時に、制御装置12は、かご位置検出装置13を通じて乗りかご31の位置を検出し、その乗りかご31の落下防止板32の先端部がホールシル36などの狭隘部37に差し掛かるタイミングで気流発生装置10a,10bを駆動する。これにより、気流発生装置10a,10bから上昇方向に向けて誘起流25が噴射される。
【0105】
この誘起流25によって、落下防止板32の先端部の剥離流れが抑制されると共に縦渦の発生が弱められる。その結果として、狭隘部通過時に生じる気流の乱れが整流化され、圧力変動をより効果的に抑えて空力騒音を低減することができる。
【0106】
なお、放電プラズマを利用した気流制御は、航空機の分野などで利用が研究され始めている。しかし、通常、移動中の空気抵抗を軽減するために用いられるものであり、常にプラズマがON状態にあるのが一般的である。
【0107】
これに対し、エレベータ装置では、航空機等の移動体と違って、昇降路35といった限られた空間の中で乗りかご31が高速で移動するものであり、その途中に各階毎のホールシル36で急激な圧力変動による空力騒音が発生する。したがって、このような空力騒音を低減するためには、昇降路内におけるかご位置を検出しながら、所定のタイミングでプラズマをONするといったエレベータ特有の駆動制御が必要となる。
【0108】
さらに、走行時にプラズマをON/OFF制御することは、省エネルギーの観点からも推奨される。
【0109】
また、プラズマ誘起流の発生はわずか数Wの電力である。したがって、乗りかご31から駆動電力をまかなうことが容易である。駆動装置11も小型なもので良いため、乗りかご31に容易に設置することができる。
【0110】
このように、落下防止板32の先端部を凸形状として、さらに、気流発生装置10a,10bを備えることで、下降時の騒音低減効果を上げることができ、エレベータの走行環境をより快適化できる。
【0111】
なお、図20の例では、乗りかご31の下端部と上端部ともに、先端部を凸形状とした場合を示したが、図9〜17に示したような形状にしても良い。さらに、乗りかご31の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。また、気流発生装置10a,10bの配置や個数などについても図20の例に限らず、適宜変更可能である。
【0112】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0113】
第4の実施形態では、乗りかごの下降時と上昇時の空力騒音に対処するために、乗りかごの下端部と上端部に対して気流発生装置を設けるようにしたものである。
【0114】
図22にその構成を示す。
図22は本発明の第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図22(a)は昇降路内を走行する乗りかごを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA方向から見た正面図である。なお、上記第2の実施形態における図18と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0115】
上記第2の実施形態と同様に、乗りかご31の下端部に「整風板」としての機能を持つ凸形状の落下防止板32が設けられ、また、上端部には落下防止板32と対にして凸形状の整風板39が設けられている。これにより、乗りかご31の下降時と上昇時において、かご正面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動に伴う空力騒音を低減する構成となっている。
【0116】
ここで、第4の実施形態では、さらに乗りかご31の下端部の落下防止板32に対して、気流発生装置10a,10bが設置されている。また、乗りかご31の上端部の整風板39に対して、同様の気流発生装置10c,10dが設置されている。
【0117】
これらの気流発生装置10a,10b,10c,10dは、放電プラズマを利用して所定の方向に向けて誘起流25を発生する。この場合、気流発生装置10a,10bは上昇方向に向けて誘起流25を発生し、気流発生装置10c,10dは下降方向に向けて誘起流25を発生する。
【0118】
また、これらの気流発生装置10a,10b,10c,10dは、乗りかご31の走行時に図21に示した制御装置12によって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご31の下降時に乗りかご31の下端部がホールシル36を通過するときと、乗りかご31の上昇時に乗りかご31の上端部がホールシル36を通過するときである。
【0119】
図23は乗りかご走行時における気流発生装置の駆動制御を示すフローチャートである。
【0120】
乗りかご31が所定の速度で上昇方向に移動中にあるとする(ステップS11のYes)。制御装置12は、かご位置検出装置13から出力される位置信号に基づいて乗りかご31の位置を検出し(ステップS12)、乗りかご31の上端部に取り付けられた整風板39の先端部がホールシル36を通過する直前に(ステップS13のYes)、駆動装置11を通じて気流発生装置10c,10dを所定時間だけ駆動する(ステップS14)。なお、上記所定時間は、乗りかご31の先端部分がホールシル36を通過するまでの時間であり、乗りかご31の速度にもよるが、約0.3〜0.5秒程度である。
【0121】
一方、乗りかご31が所定の速度で下降方向に移動中の場合には(ステップS11のNo)、制御装置12は、かご位置検出装置13から出力される位置信号に基づいて乗りかご31の位置を検出し(ステップS16)、乗りかご31の下端部に取り付けられた落下防止板32の先端部がホールシル36を通過する直前に(ステップS17のYes)、駆動装置11を通じて気流発生装置10a,10bを所定時間だけ駆動する(ステップS18)。
【0122】
このように、乗りかご31の上下端部を凸形状にすることに加え、乗りかご31の下端部に気流発生装置10a,10b、上端部に気流発生装置10c,10dを設け、これらを乗りかご31の下降時と上昇時で個別に駆動することで、狭隘部通過時に生じる圧力変動をプラズマ気流の作用により確実に緩和して、空力騒音を低減することができる。
【0123】
なお、上記第4の実施形態では、乗りかご31の下端部と上端部ともに先端部を凸形状とした例を示したが、図9〜17に示したような形状にしても良い。さらに、乗りかご31の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。また、気流発生装置10a,10b,10c,10dの配置や個数などについても図22の例に限らず、適宜変更可能である。
【0124】
以下に、第4の実施形態の変形例について説明する。
【0125】
(変形例)
図24は第4の実施形態の変形例として端部形状と気流発生装置の配置・個数を変えた場合の乗りかごの構成を示す図である。
【0126】
図24の変形例では、乗りかご31の下端部に設けられた落下防止板32の先端部が三角形状をなし、乗りかご31の上端部に設けられた整風板39の先端部が片側に傾斜した形状をなす。
【0127】
さらに、下端側の落下防止板32には、3個の気流発生装置10a,10b,10cが上昇方向に向けて誘起流25を発生するように配置されている。上端側の整風板39には3個の気流発生装置10d,10e,1fcが下降方向に向けて誘起流25を発生するように配置されている。
【0128】
気流発生装置10a,10b,10cと、気流発生装置10d,10e,1fcは、図21に示した制御装置12によって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご31の下降時に乗りかご31の下端部がホールシル36を通過するときと、乗りかご31の上昇時に乗りかご31の上端部がホールシル36を通過するときである。
【0129】
このように、端部形状と気流発生装置の配置・個数を変えた場合であっても、上記第3の実施形態と同様に、狭隘部通過時に生じる圧力変動を端部形状に加えて、プラズマ気流の作用により確実に緩和して、空力騒音を低減することができる。
【0130】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0131】
上記第1〜第4の実施形態では、乗りかごの先端部の形状を工夫して狭隘部通過時の空力騒音を低減するものであったが、第5の実施形態では、カウンタウェイトの先端部の形状を工夫して、カウンタウェイトと乗りかごがすれ違うときに発生する空力騒音と振動を低減するものである。
【0132】
図25は本発明の第5の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図25(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトの構成を側面から見た図、同図(b)はそのカウンタウェイトをA方向から見た正面図である。なお、図25において、上記第2の実施形態における図18の構成(乗りかご31の下端部と上端部を凸形状した構成)と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0133】
図25では、乗りかご31の下降時に乗りかご31とカウンタウェイト41とが擦れ違う状態が示されている。カウンタウェイト41は、ロープ34の他端に取り付けられており、図示せぬ巻上機の駆動により乗りかご31と共に昇降路35内をつるべ式に移動する。
【0134】
ここで、昇降路35の中間階で、カウンタウェイト41が乗りかご31と擦れ違うときに、カウンタウェイト41の先端部に局所的な剥離流れが生じ、大きな圧力変動が生じて空力騒音が発生すると共に、乗りかご31に振動を与える問題がある。
【0135】
そこで、図25(b)に示すように、カウンタウェイト41の下端部に下降方向に突出させた凸部43aを有する整風板42を設けると共に、カウンタウェイト41の上端部に上昇方向に突出させた凸部43aを有する整風板43を設けておく。この整風板42,43の先端部に形成された凸部42a,43aは、乗りかご31とカウンタウェイト41が擦れ違ったときに整風板42,43の先端部に生じる剥離流を抑制するための作用を持つ。なお、整風板42,43は接着や溶接、ビス止め等で固定されている。
【0136】
このように、カウンタウェイト41の上端部と下端部の先端部を凸形状にしておくことで、昇降路35の中間階でカウンタウェイト41が乗りかご31と擦れ違ったときに、先端部で受ける流れを拡散することができる。その結果、カウンタウェイト41の乗りかご31との対向面への急激な流れ込みが抑えられ、それに伴い圧力変動が緩和される。これにより、擦れ違い時の空力騒音や振動を低減することが可能となる。
【0137】
なお、上記第5の実施形態では、カウンタウェイト41の両端部に設けた整風板42,43の先端部の形状を凸形状としたが、カウンタウェイト41の走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状であれば、他の形状であっても同様の効果が得られる。具体的には、乗りかご31の変形例として説明したように、図9〜17に示したような形状にしても良いし、上端部側と下端部側で各種形状を組み合わせて構成することでも良い。
【0138】
以下に、上記第5の実施形態の変形例について説明する。
【0139】
(変形例)
図26は上記第5の実施形態の変形例として整風板の先端部形状を変えた場合のカウンタウェイトの正面の構成を示す図である。
【0140】
図26の変形例では、カウンタウェイト41の上端部側に設けられた整風板43の先端部を三角形状にした例が示されている。この突出部43bは、カウンタウェイト41の上昇方向に向けて横幅(水平方向の幅)を徐々に狭めて三角形状をなす。なお、この突出部43bの傾斜角度などは、乗りかご31との擦れ違い時における急激な流れ込みを効果的に抑えられるように、予め実験や数値解析などによって最適な値に設計されている。
【0141】
このように、整風板39の上端部を片側に傾斜させた構成であっても、中間階で乗りかご31と連れ違ったときの流れを先端部で拡散することができる。しかも、先端部で受けた流れをカウンタウェイト41の片側に逃がすことができるので、乗りかご31との対向面への急激な流れ込みをより一層抑えることができ、そのときの圧力変動に伴う空力騒音や振動を低減することができる。
【0142】
なお、ここでは、整風板39の先端部を傾斜させた場合の例を示したが、図9〜13、図15〜17に示したような形状を適用しても良い。さらに、カウンタウェイト41の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。
【0143】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0144】
第6の実施形態では、乗りかごの下降時と上昇時の空力騒音に対処するために、乗りかごの下端部と上端部に対して気流発生装置を設けるようにしたものである。
【0145】
図27にその構成を示す。
図27は本発明の第6の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図27(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトを側面から見た図、同図(b)はそのカウンタウェイトをA方向から見た正面図である。なお、上記第5の実施形態における図25と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0146】
上記第5の実施形態と同様に、カウンタウェイト41の下端部に凸形状の整風板42が設けられ、また、上端部に対しても凸形状の整風板43が設けられている。これにより、中間階で乗りかご31と擦れ違うときに、乗りかご31との対向面への急激な流れ込みを抑えて、そのときの圧力変動に伴う空力騒音を低減する構成となっている。
【0147】
ここで、第6の実施形態では、さらにカウンタウェイト41の下端部の整風板42に対して、気流発生装置10a,10bが設置されている。また、乗りかご31の上端部の整風板43に対して、同様の気流発生装置10c,10dが設置されている。
【0148】
これらの気流発生装置10a,10b,10c,10dは、放電プラズマを利用して所定の方向に向けて誘起流25を発生する。この場合、気流発生装置10a,10bは上昇方向に向けて誘起流25を発生し、気流発生装置10c,10dは下降方向に向けて誘起流25を発生する。上述したように、気流発生装置10a,10b,10c,10dはセラミックなどの絶縁物を基盤としたモジュール構造で構成できるので、カウンタウェイト41にモジュール部分をねじ止めあるいは接着剤で簡単に固定することができる。
【0149】
また、これらの気流発生装置10a,10b,10c,10dは、乗りかご31の走行時に図21に示した制御装置12によって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご31の上昇時にカウンタウェイト41の下端部が乗りかご31とすれ違うときと、乗りかご31の下降時にカウンタウェイト41の上端部が乗りかご31とすれ違うときである。
【0150】
駆動装置11は、カウンタウェイト41の上に設置されている。図21に示した制御装置12は、かご位置検出装置13から出力される位置信号に基づいて乗りかご31の位置を検出し、乗りかご31とカウンタウェイト41とがすれ違うタイミングで、駆動装置11を通じて気流発生装置10a,10bと気流発生装置10c,10dを駆動制御する。なお、制御装置12とカウンタウェイト41上の駆動装置11は、図示せぬケーブルあるいは無線により電気的に接続されている。
【0151】
このような構成において、乗りかご31の上昇時にカウンタウェイト41の下端部が乗りかご31とすれ違うときに、気流発生装置10a,10bが駆動され、カウンタウェイト41の走行方向とは逆方向(上昇方向)に向けて誘起流25を発生する。一方、乗りかご31の下降時にカウンタウェイト41の上端部が乗りかご31とすれ違うときに、気流発生装置10c,10dが駆動され、カウンタウェイト41の走行方向とは逆方向(下降方向)に向けて誘起流25を発生する。
【0152】
このように、カウンタウェイト41の上下端部を凸形状にすることに加え、カウンタウェイト41の下端部に気流発生装置10a,10b、上端部に気流発生装置10c,10dを設け、これらを乗りかご31の下降時と上昇時で個別に駆動することで、乗りかご31とカウンタウェイト41とのすれ違い時に発生する圧力変動をプラズマ気流の作用により確実に緩和して、空力騒音ならびに振動を抑制することができる。
【0153】
なお、図27の例では、カウンタウェイト41の下端部と上端部ともに先端部を凸形状とした場合を示したが、図9〜17に示したような形状にしても良い。さらに、カウンタウェイト41の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。また、気流発生装置10a,10b,10c,10dの配置や個数などについても図22の例に限らず、適宜変更可能である。
【0154】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0155】
第7の実施形態では、乗りかごとカウンタウェイトの両方に気流発生装置を設けるようにしたものである。
【0156】
図28にその構成を示す。
図28は本発明の第7の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示す図であり、図28(a)は昇降路内を走行する乗りかごとカウンタウェイトを側面から見た図、同図(b)はその乗りかごをA1方向から見た正面図、同図(c)はそのカウンタウェイトをA2方向から見た正面図である。なお、上記第5の実施形態における図25と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0157】
第7の実施形態では、乗りかご31とカウンタウェイト41の両方に気流発生装置が設けられている。すなわち、乗りかご31に対しては、下端部の落下防止板32に気流発生装置10a,10b、上端部の整風板39に気流発生装置10c,10dがそれぞれ昇降路35の乗場側の壁面に対向させるようにして設けられている。
【0158】
また、カウンタウェイト41に対しては、下端部の整風板42に気流発生装置10e,10f、上端部の整風板43に気流発生装置10g,10hがそれぞれ乗りかご31との対向面に設けられている。
【0159】
乗りかご31に設けられた気流発生装置10a,10b,10c,10dは、乗りかご31の走行時に第1の駆動装置11aによって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご31の上昇時に整風板39の先端部がホールシル36を通過するときと、乗りかご31の下降時に落下防止板32の先端部がホールシル36を通過するときである。
【0160】
第1の駆動装置11aは、乗りかご31の上に設置されている。図21に示した制御装置12は、第1の制御手段として、かご位置検出装置13から出力される位置信号に基づいて乗りかご31の位置を検出し、乗りかご31が所定の位置を通過するときに第1の駆動装置11aを通じて気流発生装置10a,10bと気流発生装置10c,10dを駆動制御する。
【0161】
このような構成において、乗りかご31の上昇時に整風板39の先端部がホールシル36を通過するときに、気流発生装置10c,10dが駆動され、乗りかご31の下降方向に向けて誘起流25を発生する。一方、乗りかご31の下降時に落下防止板32の先端部がホールシル36を通過するときに、気流発生装置10a,10bが駆動され、乗りかご31の上昇方向に向けて誘起流25を発生する。
【0162】
また、カウンタウェイト41に設けられた気流発生装置10e,10f,10g,10hは、カウンタウェイト41の走行時に第2の駆動装置11bによって所定のタイミングで駆動される。所定のタイミングとは、具体的には、乗りかご31の上昇時にカウンタウェイト41の下端部が乗りかご31とすれ違うときと、乗りかご31の下降時にカウンタウェイト41の上端部が乗りかご31とすれ違うときである。
【0163】
第2の駆動装置11bは、カウンタウェイト41の上に設置されている。図21に示した制御装置12は、第2の制御手段として、かご位置検出装置13から出力される位置信号に基づいて乗りかご31の位置を検出し、乗りかご31とカウンタウェイト41とがすれ違うタイミングで、第2の駆動装置11bを通じて気流発生装置10e,10fと気流発生装置10g,10hを駆動制御する。なお、制御装置12とカウンタウェイト41上の第2の駆動装置11bは、図示せぬケーブルあるいは無線により電気的に接続されている。
【0164】
このような構成において、乗りかご31の上昇時にカウンタウェイト41の下端部が乗りかご31とすれ違うときに気流発生装置10e,10fが駆動され、カウンタウェイト41の走行方向とは逆方向(上昇方向)に向けて誘起流25を発生する。
【0165】
一方、乗りかご31の下降時には、カウンタウェイト41の上端部が乗りかご31とすれ違うときに気流発生装置10g,10hが駆動され、カウンタウェイト41の走行方向とは逆方向(下降方向)に向けて誘起流25を発生する。
【0166】
このように、乗りかご31とカウンタウェイト41の両方に気流発生装置10a〜10d,気流発生装置10e〜10hを設けておけて、それぞれのタイミングで適宜誘起流25を発生させることで、乗りかご31がホールシル36などの狭隘部37を通過する際に発生する空力騒音、ならびに、乗りかご31とカウンタウェイト41がすれ違う際に発生する空力騒音と振動を抑制することができる。これにより、常に快適なエレベータ装置を提供できる。
【0167】
なお、図28の例では、乗りかご31とカウンタウェイト41の下端部と上端部ともに先端部を凸形状とした場合を示したが、図9〜17に示したような形状にしても良い。さらに、乗りかご31とカウンタウェイト41の上端部側と下端部側で、各種形状を組み合わせて構成することでも良い。また、気流発生装置10a〜10d,気流発生装置10e〜10hの配置や個数などについても図28の例に限らず、適宜変更可能である。
【0168】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0169】
10a〜10h…気流発生装置、11…駆動装置、11a…第1の駆動装置、11b…第2の駆動装置、12…制御装置、13…かご位置検出装置、25…誘起流、31…乗りかご、32…落下防止板、32a…凸部、32b…凸部材、32c…台形状突出部、32d…三角形状突出部、32e…円弧形状突出部、32f…凸部、32g…傾斜部、32h…切欠き部、32i…小孔部、32j…小孔部、33…かごドア、34…ロープ、35…昇降路、36…ホールシル、37…狭隘部、38…乗場ドア、39…整風板、41…カウンタウェイト、42…整風板、42a…凸部、43…整風板、43a…凸部、43b…三角形状突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を走行する乗りかごと、
この乗りかごの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記乗りかごの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する整風板と
を具備したことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
上記整風板は、先端部が上記乗りかごの走行方向に向けて部分的に突出した形状を有することを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項3】
上記整風板は、先端部が上記乗りかごの走行方向に向けて部分的に切欠いた形状を有することを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項4】
上記整風板は、先端部に小孔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項5】
上記整風板は、先端部が上記乗りかごの走行方向に向けて部分的に突出した形状を有すると共に、その突出部分に小孔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項6】
上記整風板に設置され、走行時に上記乗りかごの正面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの気流発生装置を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項7】
上記乗りかごの位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段によって検出された位置に基づいて、上記乗りかごの先端部が上記昇降路内のホールシルを通過するタイミングで上記気流発生装置を駆動制御する制御手段と、
この制御手段から出力される駆動信号に基づいて上記気流発生装置に電力を供給する駆動手段と
を具備したことを特徴とする請求項6記載のエレベータ装置。
【請求項8】
昇降路内を走行する乗りかごと、
この乗りかごに連動して上記昇降路内をつるべ式に走行するカウンタウェイトと、
このカウンタウェイトの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記カウンタウェイトの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する整風板と
を具備したことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項9】
上記整風板は、先端部が上記カウンタウェイトの走行方向に向けて部分的に突出した形状を有することを特徴とする請求項8記載のエレベータ装置。
【請求項10】
上記整風板は、先端部が上記カウンタウェイトの走行方向に向けて部分的に切欠いた形状を有することを特徴とする請求項8記載のエレベータ装置。
【請求項11】
上記整風板は、先端部に小孔部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のエレベータ装置。
【請求項12】
上記整風板は、先端部が上記カウンタウェイトの走行方向に向けて部分的に突出した形状を有すると共に、その突出部分に小孔部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のエレベータ装置。
【請求項13】
上記整風板に設置され、走行時に上記カウンタウェイトの上記乗りかごとの対向面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの気流発生装置を具備したことを特徴とする請求項4記載のエレベータ装置。
【請求項14】
上記乗りかごの位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段によって検出された位置に基づいて、上記カウンタウェイトの先端部が上記乗りかごとすれ違うタイミングで上記気流発生装置を駆動制御する制御手段と、
この制御手段から出力される駆動信号に基づいて上記気流発生装置に電力を供給する駆動手段と
を具備したことを特徴とする請求項5記載のエレベータ装置。
【請求項15】
昇降路内を走行する乗りかごと、
この乗りかごの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記乗りかごの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する第1の整風板と、
この第1の整風板に設置され、走行時に上記乗りかごの正面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの第1の気流発生装置と、
上記乗りかごに連動して上記昇降路内をつるべ式に走行するカウンタウェイトと、
このカウンタウェイトの上端部と下端部のうちの少なくとも一方に設置され、上記カウンタウェイトの走行方向に対して水平方向の断面積が部分的に異なる形状を有する第2の整風板と、
この第2の整風板に設置され、走行時に上記カウンタウェイトの上記乗りかごとの対向面に流れ込む空気の流れを整流化するための気流を発生させる少なくとも1つの第2の気流発生装置と
を具備したことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項16】
上記乗りかごの位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段によって検出された位置に基づいて、上記乗りかごの先端部が上記昇降路内のホールシルを通過するタイミングで上記第1の気流発生装置を駆動制御する第1の制御手段と、
この第1の制御手段から出力される駆動信号に基づいて上記第1の気流発生装置に電力を供給する第1の駆動手段と、
上記位置検出手段によって検出された位置に基づいて、上記カウンタウェイトの先端部が上記乗りかごとすれ違うタイミングで上記第2の気流発生装置を駆動制御する第2の制御手段と、
この第2の制御手段から出力される駆動信号に基づいて上記第2の気流発生装置に電力を供給する第1の駆動手段と
を具備したことを特徴とする請求項15記載のエレベータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2011−57318(P2011−57318A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206335(P2009−206335)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】