説明

エンジンフードの開閉構造

【課題】建設機械のエンジンフードの開角度を十分に大きくしても、エンジンフードの保持を確実に行うことができるエンジンフードの開閉構造を提供する。
【解決手段】エンジンフードの開閉構造21は、油圧ショベル1のエンジンルーム6の上部を覆うエンジンフード20の開閉構造であって、エンジンフード20と、ガススプリング33と、最大開角度拡張機構(34,35)とを備えている。エンジンフード20は、建設機械のエンジンルーム6に回動自在に支持されている。ガススプリング33は、エンジンフード20を開くときにエンジンフード20に付勢力を与える。最大開角度拡張機構(34,35)は、ガススプリング33が最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフード20を開くことを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に搭載されたエンジン等の動力源を収納するエンジンルームの一部を覆うように取り付けられたエンジンフードの開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設機械においては、動力源を含む動力室から発生する騒音を遮断するために、これらを格納する動力室を外装カバーによって覆った構造が一般的に用いられている。
【0003】
一方、外装カバーによって覆われた動力室内の動力源は、定期的な整備点検が必要であり、緊急を要するメンテナンス等が必要な場合もある。この場合、例えば、ボルトやナット等の締結部材によってフレームに固定された外装カバーをその都度取り外して作業を行うことは非常に非効率であり、オペレータに負担がかかるおそれがある。
【0004】
そこで、動力室内に格納された機器類のメンテナンス等が必要になった場合でも、容易に外装カバーの内部のメンテナンス等を行うことを可能とするために、外装カバーの上面を覆うように取り付けられたエンジンフードの開閉構造が提案されている。
【0005】
例えば、水平方向に沿って配置された軸回りに回動可能なヒンジを介してエンジンフードの開閉を行うエンジンフードの開閉構造が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
また、エンジンフードを開く際に人が操作する作業をアシストするために、エンジンフードの開閉構造の一部としてガススプリングが設けられているエンジンフードの開閉構造も知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0007】
ガススプリングは、ガススプリング内の圧縮ガスによる付勢力によって開操作時の操作力をアシストする装置である。また、ガススプリングの反力を大きく設定しておくと、不作為な力がエンジンフードを閉じる方向に作用しても、エンジンフードは閉じない。つまり、ガススプリングはエンジンフードを開いた状態で保持する機能も有している。
【0008】
ガススプリングは、チューブと、チューブ内で軸方向に摺動可能ピストン及びロッドとから構成されている。ガススプリングのチューブ内はピストンによって二室に分割され、両室には圧縮ガスが充填されている。両室はオリフィスによって連通しており、ロッド側の室が他の室に比べてガスの圧力を受ける面積が小さいので、ロッドは常に伸び方向に反発力を有している。
【特許文献1】特開2006−056326号公報(平成18年3月2日公開)
【特許文献2】特開2007−169926号公報(平成19年7月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のエンジンフードの開閉構造では、以下に示すような問題点を有している。
【0010】
一般にガススプリングは、破損防止のために、引張り力が作用しないように用いられる必要がある。そのため、建設機械のエンジンフードは、ガススプリングに引張り力が作用する手前で、それ以上開かないように用いられている。
【0011】
しかし、建設機械において整備性向上のためにはエンジンフードの開き角度をさらに大きくすることが検討されており、その場合には例えば以下のような問題が懸念される。
【0012】
例えば、エンジンフードの重心がエンジンフードの回動軸より開き側に位置するまでエンジンフードが傾いてしまうと、エンジンフードが自重によってさらに開こうとして、ガススプリングが最大長状態からさらに引っ張られてしまう。このように大きな引張り荷重が作用すると、ガススプリングが破損しやすい。ガススプリングが破損するとエンジンフードの保持が十分にできなくなる。
【0013】
本発明の課題は、建設機械のエンジンフードの開角度を十分に大きくしても、エンジンフードの保持を確実に行うことができるエンジンフードの開閉構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明に係るエンジンフードの開閉構造は、建設機械のエンジンルームの上部を覆うエンジンフードの開閉構造であって、エンジンフードと、ガススプリングと、最大開角度拡張機構とを備えている。エンジンフードは、エンジンルームに回動自在に支持されている。ガススプリングは、エンジンフードを開くときにエンジンフードに付勢力を与える。最大開角度拡張機構は、ガススプリングが最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフードを開くことを許容する。
【0015】
この構造では、エンジンフードを開くときには、ガススプリングが操作力をアシストする。エンジンフードの開角度が大きくなるにつれて、ガススプリングは伸びていく。ガススプリングが最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフードが開こうとすると、最大開角度拡張機構によって、エンジンフードがさらに開く。そのため、最大長状態のガススプリングに引張り荷重が作用することがなく、したがって、ガススプリングが破損しにくい。この結果、建設機械のエンジンフードの開角度を十分に大きくしても、エンジンフードの保持を確実に行うことができる。
【0016】
第2の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第1の発明において、エンジンフードは、エンジンフードの重心位置がエンジンフードの回動中心より開き側に位置する状態まで開くことができる。また、エンジンフードの重心位置がエンジンフードの回動中心より開き側に位置するときには、ガススプリングは最大長になっている。
【0017】
この構造では、エンジンフードの重心がエンジンフードの回動中心より開き側に傾いてエンジンフードが自重でさらに開こうとしても、最大長状態のガススプリングに引っ張り荷重が作用しない。さらに、エンジンフードを閉じる際にエンジンフードの重心位置がエンジンフードの回動中心より閉じ側に位置するまでは、ガススプリングの反力が作用しないため操作力が少なくてすむ。
【0018】
第3の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第1の発明または第2の発明において、最大開角度拡張機構は、エンジンフードを開くときにガススプリングが最大長まで伸びるまでガススプリングの付勢力を受け、ガススプリングが最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフードを開くときにガススプリングが離れることを許容する支持部を有している。
【0019】
この構造では、エンジンフードを開く際に最大角度拡張機構の支持部はガススプリングの付勢力を受けている。そして、この構造は、ガススプリングが最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフードを開くときにガススプリングが支持部から離れることを許容する。
【0020】
第4の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第1または第2の発明において、最大開角度拡張機構は、ガススプリングをエンジンルームに連結するリンク機構を有する。
【0021】
この構造では、リンク機構が、ガススプリングが最大長まで延びた状態から、さらにエンジンフードを開くことを許容する。
【0022】
第5の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第4の発明において、リンク機構は、ガススプリングの一端に回動自在に連結された第1端部とエンジンルームに回動自在に連結された第2端部を有するリンク部材と、エンジンルームに固定されエンジンフードが所定角度開くまでリンク部材を介してガススプリングの付勢力を受ける支持部とを有する。
【0023】
この構造では、エンジンフードを開く際にリンク機構の支持部がリンク部材を介してガススプリングの付勢力を受けている。そして、ガススプリングが最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフードを開くときに、リンク部材が第2端部を中心に回動する。つまり、ガススプリングが最大長のまま引っ張り力を受けることなく、エンジンフードに追従する。
【0024】
第6の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第1または第2の発明において、最大開角度拡張機構は、ガススプリングをエンジンルームに支持するガイドレールを有する。
【0025】
この構造では、ガイドレールが、ガススプリングが最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフードを開くことを許容する。
【0026】
第7の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第6の発明において、ガイドレールは、エンジンフードを開くまでガススプリングの付勢力を受ける支持部と、支持部からエンジンフードの開き側に延びるガイド部とを有する。
【0027】
この構造では、エンジンフードを開く際に、支持部がガススプリングの付勢力を受けている。そして、ガススプリングが最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフードを開くときに、ガススプリングが支持部から離れる。つまり、ガススプリングが最大長のまま引張り力を受けることなくエンジンフードに追従する。
【0028】
第8の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第1〜第7の発明のいずれかにおいて、エンジンフードの最大開き角度を制限するとともに、エンジンフードが所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることを制限するステー機構をさらに備えている。
【0029】
この構造では、ステー機構によって、エンジンフードは所定角度開いた状態でそれ以上開くことを防止される。さらに、ステー機構によって、エンジンフードが所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることが防止される。
【0030】
第9の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第8の発明において、ステー機構は、一端がエンジンルームに回動自在に連結され、他端がエンジンフードに連結されたステーを有する。ステーの他端には突起が形成されている。エンジンフードは、突起がガイドされるガイドレールを有している。
【0031】
この構造では、エンジンフードが開かれるときに、ステーの突起がエンジンフードのガイドレールによってガイドされながら、ステーはエンジンルームに対して回動する。
【0032】
第10の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第9の発明において、ガイドレールは、エンジンフードが所定角度開いた状態でそれ以上開かないように突起から反力を受ける第1支持部と、エンジンフードが所定角度開いた状態から閉じる方向に不作為な力が作用したときに閉じないように突起から反力を受ける第2支持部とを有する。
【0033】
この構造では、エンジンフードが所定角度開いた状態で、ステーの突起が、ガイドレールの第1支持部に反力を付与して、それにより、エンジンフードをそれ以上開かせないように支持している。また、エンジンフードが所定角度開いた状態で、ステーの突起が、ガイドレールの第2支持部に反力を付与しており、それにより、エンジンフードを閉じさせないように支持している。以上より、エンジンフードは、所定角度開いた状態で人の手による特別な操作をされない限りは、その開いた状態を維持される。
【0034】
第11の発明に係るエンジンフードの開閉構造では、第10の発明において、ガイドレールは、直線状に延びるガイド部を有している。第1支持部と第2支持部はガイド部の一端に設けられている。
【0035】
この構造では、ステーの突起は、エンジンフードが開かれるときはガイドレールのガイド部を移動して、エンジンフードが所定角度開いた状態では第1支持部及び第2支持部の近傍に位置する。さらに、ステーの突起は、エンジンフードが閉じられる際にはガイドレールの第1支持部および第2支持部近傍から離れて、ガイド部を移動する。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るエンジンフードの開閉構造によれば、建設機械のエンジンフードの開角度を十分に大きくしても、エンジンフードの保持を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係るエンジンフードの開閉構造を搭載した油圧ショベル1について、図1〜図11を用いて説明すれば以下の通りである。
【0038】
1.油圧ショベル1全体の構成
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1に示すように、下部走行体2と、旋回台3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジンルーム6と、機器室9と、キャブ10と、エンジンフード20の開閉構造21と、メインフレーム(図示せず)と、を備えている。
【0039】
下部走行体2は、進行方向左右両端部分に巻き掛けられた履帯Pを回転させることで、油圧ショベル1を前進、後進させるとともに、上面側に旋回台3を旋回可能な状態で搭載している。
【0040】
旋回台3は、下部走行体2上において、任意の方向に旋回可能であって、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジンルーム6と、キャブ10とを搭載している。
【0041】
作業機4は、ブーム11と、ブーム11の先端に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端に取り付けられたバケット13とを含むように構成されている。そして、作業機4は、図示しない油圧回路に含まれる各油圧シリンダ11a,12a,13a等によって、ブーム11やアーム12、バケット13等を上下に移動させながら、土砂や砂礫等の掘削を行う土木工事の現場において作業を行う。
【0042】
カウンタウェイト5は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリート等を入れて固めたものであって、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回台3上におけるエンジンルーム6の後方に設けられている。
【0043】
エンジンルーム6は、カウンタウェイト5に隣接するように、メインフレーム(図示せず)上における旋回台3の後端部に配置されている。また、エンジンルーム6は、外装フレームによって外郭部分が形成され、内部にエンジン等の収納空間を形成している。そして、エンジンルーム6は、下部走行体2や作業機4を駆動するための動力源であるエンジンやアフタークーラ等を内部の収納空間に収納している。
【0044】
さらに、エンジンルーム6は、図2および図3に示すように、上面にメンテナンス用の開口部を有しており、メンテナンス時以外はこの開口は、ヒンジ22を介して開閉可能なエンジンフード20によって覆われている。
【0045】
機器室9は、作業機4の後方に配置されており、図示しない燃料タンク、作動油タンクおよび操作弁等を収容する。
【0046】
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、旋回台3上における作業機4の側方となる左側前部に配置されている。
【0047】
2.エンジンフードの開閉構造
エンジンフード20の開閉構造21は、図2に示すように、エンジンルーム6の上面の一部を覆うように取り付けられたエンジンフード20のエンジンルーム6上への開閉構造である。
【0048】
エンジンフード20は、図2に示すように、エンジンルーム6内のメンテナンス時等に開閉される略箱型形状の蓋部材であって、カウンタウェイト5側に取り付けられたヒンジ22を回動中心として前後方向に開閉される。
【0049】
ロック部23は、エンジンフード20におけるキャブ10側の面に一対取り付けられており、エンジンフード20が閉状態のときに開状態へと移行しないように、エンジンルーム6の上面に対してエンジンフード20を固定する。
【0050】
取っ手24は、エンジンフード20における一対のロック部23の間に配置されており、エンジンフード20の開閉を行う際に持ち手として利用される。
【0051】
エンジンフード20の開閉構造21は、図3および図4に示すように、主に、エンジンフード20と、ガススプリング支持機構32と、ステー支持機構41とから構成されている。
【0052】
(1)ガススプリング支持機構
ガススプリング支持機構32は、エンジンフード20の両側に設けられた一対の構造から構成されている。以後の説明では、片側の構造のみを説明して両側の構造の説明に代える。
【0053】
図5において、図左側が、油圧ショベル1の前側であり、また、エンジンフード20の閉じ側である。また、図右側が、油圧ショベル1の後側であり、また、エンジンフード20の開き側である。図5において、エンジンフード20は、閉じ姿勢が破線で示され、開き姿勢が実線で示されている。
【0054】
ガススプリング支持機構32は、ガススプリング内の圧縮ガスによって開操作時の操作力をアシストする装置である。ガススプリング支持機構32は、図5に示すように、エンジンフード20が閉じた状態でエンジンフード20の下方でヒンジ22の近傍に配置されている。ガススプリング支持機構32は、ガススプリング33と、リンク機構34と、支持プレート35とを有している。ガススプリング33とリンク機構34は、ヒンジ22よりエンジンフード閉じ側に配置されている。
【0055】
ガススプリング33は、一般的な構造を有しており、チューブ33aと、そこから伸縮可能なロッド33bとを有している。図5に示すように、ガススプリング33のチューブ33aの端部は、エンジンフード20に回動自在に連結されている。また、ガススプリング33のロッド33bの端部は、リンク機構34に連結されている。リンク機構34は、リンクプレート34aを有している。リンクプレート34aの第1端は、ロッド33bの端部にピンによって回動自在に連結されている。リンクプレート34aの第2端は、エンジンルーム6の外装フレームにピンによって回動自在に連結されている。これにより、リンクプレート34aは第2端を中心に回動可能である。支持プレート35は、エンジンルーム6の外装フレームに固定された部材である。
【0056】
エンジンフード20が閉じ姿勢である状態では、ガススプリング33は、ロッド33bの端部がチューブ33aの端部より下方でかつヒンジ22側に位置している。リンクプレート34aの第1端は、第2端より下方でかつヒンジ22側と反対側に位置している。この状態で、リンクプレート34aは、ガススプリング33側と反対側の面が、支持プレート35に当接している。以上の配置により、ガススプリング33の反力は、エンジンフード20に作用し、さらにリンクプレート34aを介して支持プレート35に作用している。
【0057】
エンジンフード20を開く際には、例えば、図3および図4に示すように、操作者31がエンジンルーム6の上部に乗ってエンジンフード20を開く。このときに、ガススプリング33の反力によってエンジンフード20を開くときの操作力がアシストされる。
【0058】
図5の実線で示す位置までエンジンフード20を開くと(約65度)、ガススプリング33は最大長まで伸びており、図では鉛直方向に伸びている。なお、このとき、エンジンフード20の重心37はエンジンフード20の回動中心であるヒンジ22よりエンジンフード閉じ側(図5の左側)に位置している。この状態からさらにエンジンフード20が開き側に傾くと、ガススプリング33は最大長まで伸びた状態でエンジンフード20の動きに追従する。図6に示すように、リンクプレート34aは第1端を中心に回動して、第2端がロッド33bに追従する。このように、エンジンフード20の開き角度が所定角度以上になってガススプリング33が最大長になると、それ以降にガススプリング33に引っ張り力が作用しない。そのため、ガススプリング33が破損しにくい。なお、図6に示す状態では、エンジンフード20が鉛直方向に伸びるように開いており、エンジンフード20の重心37がエンジンフード20の回動中心であるヒンジ22よりエンジンフード20の開き側(図6の右側)に位置している。この場合エンジンフード20は自重によってさらに開く側に傾こうとするが、その場合でもガススプリング33には引張り力が作用していない。以上より、ガススプリング33の破損が生じにくい。
【0059】
エンジンフード20を閉じる際には、所定角度(例えば、約65度)まではガススプリング33からの反力が作用しないため、閉じるために大きな力を必要としない。そして、エンジンフード20の重心37が回動中心であるヒンジ22より閉じ側に移動すると、以後はエンジンフード20の自重が作用することでガススプリング33の反力による抵抗が減らされる。
【0060】
(2)ステー支持機構
ステー支持機構41は、エンジンフード20の最大開き角度を制限するとともに、エンジンフード20が所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることを制限するための機構である。図4に示すように、ステー支持機構41は、エンジンフード20の幅方向中間の位置(図では中心からやや右側)に配置されている。
【0061】
図7において、図左側が、油圧ショベル1の前側であり、また、エンジンフード20の閉じ側である。また、図右側が、油圧ショベル1の後側であり、また、エンジンフード20の開き側である。図7において、エンジンフード20は、閉じ姿勢が破線で示され、開き姿勢が実線で示されている。
【0062】
ステー支持機構41は、主に、ステー本体42と、ガイドレール44とから構成されている。ステー本体42は、細長く延びる棒状の部材である。ステー本体42の下端の突起43はエンジンルームの一部に回動自在に支持されている。ステー本体42の上端の突起42aは、円柱形状であり、ガイドレール44に係合している(後述)。
【0063】
ガイドレール44は、エンジンフード20の裏側面に取りつけられた板状の部材である。ガイドレール44は、エンジンフード20の前後方向(図7の左右方向)に延びるスリット状のガイド部45を有している。ガイド部45は、図7の破線で示す状態において、エンジンフード20の前後方向に延びる直線部46と、その一端(図7の右側端)に形成された支持部47とを有している。支持部47は、直線部46より広い概ね円形状の部分である。より詳細には、図7の破線で示す状態において、直線部46の図7左側端(油圧ショベル1の前側端)が、図7右側端(油圧ショベル1の後側端)より下方に位置しており、さらに、支持部47は直線部46より若干上側に位置している。つまり、支持部47は、直線部46に対して図7の状態で下側に突出する部分を有しておらず、上側にのみ突出している。
【0064】
図7左側の破線で示すエンジンフード20の閉姿勢では、ステー本体42の突起42aは、ガイド部45の直線部46の一端(支持部47側と反対側の端部)に位置している。エンジンフード20を開くと、エンジンフード20がヒンジ22を中心に回動する。このとき、ステー本体42の突起42aは、ガイド部45の直線部46を支持部47側に移動していく。なお、図7に一点鎖線で示すのが、ステー本体42の突起42aの軌道である。
【0065】
図7右側の実線で示すエンジンフード20の開姿勢では、エンジンフード20は概ね鉛直方向に延びている。このとき、ステー本体42の突起42aはガイド部45の支持部47にまで移動している。このため、エンジンフード20はステー本体42によって開き側にも閉じ側にも移動不能になっている(後述)。なお、この状態で、エンジンフード20の重心37は、エンジンフード20のヒンジ22よりエンジンフード20の開き側(図7の右側)に位置している。このため、エンジンフード20は自重によってさらに開こうとしている。
【0066】
図8に、エンジンフード20が自重によってさらに開こうとしている場合の支持関係を示す。なお、図に示す一点鎖線Qがステー本体42の突起42aの軌道であり、突起42aはこの軌道以外の位置をとることができない。図8において、支持部47は、直線部46から右側になめらかに湾曲しながら連続している。特に、ガイド部45の図8左側壁はステー本体42の突起42aがエンジンフード開き時に摺動する部分であり、直線部46から支持部47にかけてなめらかに連続している。一方、ガイド部45の図8右側壁において直線部46と支持部47の境界は、支持部47側から見て、突出部形状となっている。これは、支持部47が概ね円形状であり、しかも直線部46の進行方向から図8右側にずれて配置されているからである。
【0067】
図8において、ステー本体42の突起42aは支持部47の第1支持部47aに当接している。支持部47の第1支持部47aは、図8における下側部分(直線部46の図8左側壁から連続する部分)である。この状態で、エンジンフード20がヒンジ22を中心にさらに開き側に回動しようとしており、第1支持部47aがステー本体42の突起42aに荷重を付与している(図8の破線Mがエンジンフード20の回動軌道であり、第1支持部47aはそれに沿って突起42aに力を与えている。)。その結果、ステー本体42の突起42aが支持部47の第1支持部47aに反力を与えている。この状態では、支持部47の構造がステー本体42の突起42aの軌道を塞いでいるため、エンジンフード20は図8の状態からさらに開くことができない。
【0068】
次に、図8の状態から不作為の外力によってエンジンフード20が閉じようとする場合の支持関係について説明する。エンジンフード20がヒンジ22を中心に閉じる側に回動すると、エンジンフード20とステー本体42がわずかに回動した時点で、図9に示すように、ステー本体42によってエンジンフード20の回動が停止する(後述)。つまり、不作為の外力によってエンジンフード20が閉じてしまうことはない。
【0069】
詳細には、図9に示すように、支持部47の第2支持部47bが、ステー本体42の突起42aによって支持されている。この状態で第2支持部47bは、エンジンフード20の回動方向に沿って突起42aに荷重を付与している(図9の破線Mがエンジンフード20の回動軌道であり、第2支持部47bはそれに沿って突起42aに力を与えている。)。その結果、ステー本体42の突起42aが、支持部47の第2支持部47bに反力を与えている。この状態では、支持部47の構造がステー本体42の突起42aの軌道を塞いでいるため、エンジンフード20は図9の状態からさらに閉じることができない。
【0070】
なお、図8の状態からエンジンフード20を閉じるためには、操作者31はステー本体42とエンジンフード20の両方を操作する必要がある。具体的には、図8の状態からステー本体42をエンジンフード閉じ側に回動させて突起42aを支持部47から直線部46側に移動させつつ、同時にエンジンフード20を閉じる側に傾けていく。それにより、ステー本体42の突起42aは支持部47から直線部46に移行する。
【0071】
3.フロントカバーの開閉動作のまとめ
(1)エンジンフード20を開く動作
エンジンフード20を開くときは、操作者31は、エンジンフード20の先端を持ち上げていく。第1の所定角度まではガススプリング支持機構32のガススプリング33の反力によって、エンジンフード20を開く操作力がアシストされる。
【0072】
エンジンフード20が第1の所定角度以上になると、ガススプリング33には引っ張り力が作用しない状態でエンジンフード20は開いていく。特に、エンジンフード20はある角度以上は自重によって開き側に傾くため、エンジンフード20の開動作の操作力が小さくて済む。
【0073】
エンジンフード20が第2の所定角度に達すると、ステー支持機構41のステー本体42の突起42aがガイドレール44のガイド部45の支持部47にはまりこむ。それにより、エンジンフード20はそれ以上開くことがない。また、その状態でエンジンフード20に対して閉じる方向に不作為の外力が作用しても、突起42aと支持部47の係合によってエンジンフード20が閉じることはない。
【0074】
(2)エンジンフード20を閉じる動作
エンジンフード20を閉じるときは、操作者31は、ステー本体42を手前に引くとともにエンジンフード20を前側に倒す。それにより、突起42aと支持部47の係合が外れ、エンジンフード20は閉じる側に回動することができるようになる。
【0075】
エンジンフード20が第1の所定角度に達するまでは、エンジンフード20にはガススプリング支持機構32のガススプリング33からの反力を受けない。したがって、操作者31は少ない力でエンジンフード20を回動させることができる。さらに、第2の所定角度に達すると、それ以降はガススプリング33からの反力がエンジンフード20に作用するが、この角度以下ではエンジンフード20が自重によって閉じ側に傾くため、エンジンフード20の閉動作の操作力が小さくて済む。
【0076】
4.本発明の特徴
(1)エンジンフードの開閉構造21は、油圧ショベル1のエンジンルームの上部を覆うエンジンフード20の開閉構造であって、エンジンフード20と、ガススプリング33と、最大角度拡張機構(34,35)とを備えている。エンジンフード20は、油圧ショベル1のエンジンルーム6に回動自在に支持されている。ガススプリング33は、エンジンフード20を開くときにエンジンフード20に付勢力を与える。最大開角度拡張機構(34,35)は、ガススプリング33が最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフード20を開くことを許容する。
【0077】
この構造では、エンジンフード20を開くときには、ガススプリング33が操作力をアシストする。エンジンフード20の開角度が大きくなるにつれて、ガススプリング33は伸びていく。ガススプリング33が最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフード20が開こうとすると、最大開角度拡張機構(34,35)によって、エンジンフード20がさらに開く。そのため、最大長状態のガススプリング33に引張り荷重が作用することがない。以上より、ガススプリング33が破損しにくい。この結果、油圧ショベル1のエンジンフード20の開角度を十分に大きくしても、エンジンフード20の保持を確実に行うことができる。
【0078】
(2)エンジンフード20は、エンジンフード20の重心37がエンジンフード20の回動中心(22)より開き側に位置する状態まで開くことができる。また、エンジンフード20の重心位置がエンジンフードの回動中心(22)より開き側に位置するときには、ガススプリング33は最大長になっている。
【0079】
この構造では、エンジンフード20の重心37がエンジンフード20の回転中心より開き側に傾いてエンジンフード20が自重でさらに開こうとしても、最大長状態のガススプリング33に引っ張り荷重が作用しない。
【0080】
(3)最大開角度拡張機構(34,35)は、エンジンフード20を開くときにガススプリング33が最大長まで伸びるまでガススプリング33の付勢力を受け、ガススプリング33が最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフード20を開くときにガススプリング33が離れることを許容する支持プレート35を有している。
【0081】
この構造では、エンジンフード20を開く際に、最大開角度拡張機構(34,35)の支持プレート35は、ガススプリング33の付勢力を受けている。そして、支持プレート35は、ガススプリング33が最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフード20を開くときにガススプリング33が支持プレート35から離れることを許容する。
【0082】
(4)最大開角度拡張機構(34,35)は、ガススプリング33をエンジンルーム6に連結するリンク機構34を有する。
【0083】
この構造では、リンク機構34が、ガススプリング33が最大長まで延びた状態から、さらにエンジンフード20を開くことを許容する。
【0084】
(5)リンク機構34は、ガススプリング33の一端に回動自在に連結された第1端部とエンジンルーム6に回動自在に連結された第2端部を有するリンクプレート34aと、エンジンルーム6に固定されエンジンフード20が所定角度開くまでリンクプレート34aを介してガススプリング33の付勢力を受ける支持プレート35とを有する。
【0085】
この構造では、エンジンフード20を開く際にリンク機構34の支持プレート35が、リンクプレート34aを介して、ガススプリング33の付勢力を受けている。そして、ガススプリング33が最大長まで伸びた状態からさらにエンジンフード20を開くときに、リンクプレート34aが第2端部を中心に回動する。つまり、ガススプリング33は、最大長のまま引張り力を受けることなく、エンジンフード20に追従する。
【0086】
(6)エンジンフードの開閉構造21は、エンジンフード20の最大開き角度を制限するとともに、エンジンフード20が所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることを制限するステー支持機構41をさらに備えている。
【0087】
この構造では、ステー支持機構41によって、エンジンフード20は所定角度開いた状態でそれ以上開くことを防止される。さらに、ステー支持機構41によって、エンジンフード20が所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることが防止される。
【0088】
(7)ステー支持機構41は、一端がエンジンルーム6に回動自在に連結され、他端がエンジンフード20に連結されたステー本体42を有する。ステー本体42の他端には突起42aが形成されている。エンジンフード20は、突起42aがガイドされるガイド部45を有している。
【0089】
この構造では、エンジンフード20が開かれるときに、ステー本体42の突起42aがエンジンフード20のガイド部45によってガイドされながら、ステー本体42は油圧ショベル1のエンジンルーム6に対して回動する。
【0090】
(8)ガイド部45は、エンジンフード20が所定角度開いた状態でそれ以上開かないように突起42aから反力を受ける第1支持部47aと、エンジンフード20が所定角度開いた状態から閉じる方向に不作為な力が作用したときに閉じないように突起42bから反力を受ける第2支持部47bとを有する。
【0091】
この構造では、エンジンフード20が所定角度開いた状態で、ステー本体42の突起42aが、ガイド部45の第1支持部47aに反力を付与しており、それにより、エンジンフード20をそれ以上開かせないように支持している。また、エンジンフード20が所定角度開いた状態で、ステー本体42の突起42aが、ガイド部45の第2支持部47bに反力を付与しており、それにより、エンジンフード20を閉じさせないように支持している。以上より、エンジンフード20は、所定角度開いた状態で、人の手による特別な操作をしない限りは、その状態を維持される。
【0092】
(9)ガイド部45は、直線状に延びる直線部46を有しておいる。第1支持部47aと第2支持部47bは直線部46の一端に設けられている。
【0093】
この構造では、ステー本体42の突起42aは、エンジンフード20が開かれるときはガイド部45の直線部46を移動して、エンジンフード20が所定角度開いた状態では第1支持部47a及び第2支持部47bの近傍に位置する。さらに、ステー本体42の突起42aは、エンジンフード20が閉じられる際には、ガイド部45の第1支持部47aおよび第2支持部47b近傍から離れて、直線部46を移動する。
【0094】
(10)油圧ショベル1は、建設機械として、工事現場で用いられることが多い。したがって、時にはエンジンフード20を開いた状態で移動をしなければならないことがある。その場合に、エンジンフード20がステー支持機構41によって開き側にも閉じ側にも確実に保持されているため、エンジンフード20が突然回動することがない。つまり、エンジンフード20が突然閉じたりガススプリング33が破損したりするような不具合が生じにくい。
【0095】
さらに、油圧ショベル1が傾斜地で使われる場合は、前述のようにエンジンフード20を開いた状態でも使われることがありえる。その場合に、平坦地を基準に設定されたエンジンフード20の重心と回動中心との位置関係が、逆転することが考えられる。しかし、エンジンフード20がステー支持機構41によって開き側にも閉じ側にも確実に保持されているため、エンジンフード20が突然回動することがない。つまり、エンジンフード20が突然閉じたりガススプリング33が破損したりするような不具合が生じにくい。
【0096】
3.第2実施形態
図10および図11に、本発明に係るガススプリング支持機構の別の実施形態を示す。
ガススプリング支持機構61は、ガススプリング内の圧縮ガスによって開操作時の操作力をアシストする装置である。
【0097】
ガススプリング支持機構61は、図10に示すように、エンジンフード20が閉じた状態でエンジンフード20の下方に配置されている。ガススプリング支持機構61は、ガススプリング62と、ガイドレール63とを有している。
【0098】
ガススプリング62は、一般的な構造を有しており、チューブ62aと、そこから伸縮可能なロッド62bとを有している。図10に示すように、ガススプリング62のチューブ62aの端部は、エンジンフード20に回動自在に連結されている。また、ガススプリング62のロッド62bの端部は、ガイドレール63に支持されている(後述)。
【0099】
ガイドレール63は、ガススプリング62をエンジンルーム6に支持するための部材であり、ガススプリング62が最大長まで伸びた状態から、さらにエンジンフード20を開くことを許容する。
【0100】
ガイドレール63は、エンジンルーム6の外装フレームの上部に設けられた部材であり図10の左右方向(油圧ショベル1の前後方向)に長く伸びるプレート部材である。ガイドレール63には、図10左右方向に伸びるガイド部64が形成されている。ガイド部64はスリットであり、ガイド部64にはガススプリング62のロッド62bの端部に設けられた突起62cが係合している。ガイド部64の図10左側端は、エンジンフード20を開いてガススプリング62が最大長になるまでガススプリング62の反力を受ける支持部となっている。
【0101】
次に、エンジンフード20を開くときの動作について説明する。エンジンフード20を開く際には、ガイド部64の図10左側端がガススプリング62の付勢力を受けている。図10の右側に示す位置までエンジンフード20を開いた時、ガススプリング62は最大長まで伸びる。なお、このとき、エンジンフード20の重心はエンジンフード20の回動中心であるヒンジ22よりエンジンフード20の閉じ側(図10の左側)に位置している。この状態からさらにエンジンフード20が開き側に傾くと、ガススプリング62は最大長まで伸びた状態でエンジンフード20の動きに追従する。つまり、ガススプリング62のロッド62bの突起62cは、ガイドレール63のガイド部64内を図右側に移動する。このように、エンジンフード20の開き角度が所定角度以上になってガススプリング62が最大長になると、それ以降にガススプリング62に引っ張り力が作用しない。そのため、ガススプリング62が破損しにくい。
【0102】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0103】
(A)前記実施形態では、本発明のエンジンフードの開閉構造が適用される建設機械として、油圧ショベルを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ホイルローダのエンジンルームに対しても同様に本発明を適用可能である。
【0104】
(B)前記実施形態では、一台の建設機械にガススプリング支持機構とステー支持機構の両方が適用されていたが、いずれか一方のみが設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のエンジンフードの開閉構造は、建設機械のエンジンフードの開角度を十分に大きくしても、エンジンフードの保持を確実に行うことができるという効果を奏することから、エンジンフードの開閉機構を備えた各種建設機械に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンフードの開閉構造を採用した油圧ショベルの外観の構成を示す斜視図。
【図2】図1の油圧ショベルの後方に搭載されたエンジンフードの開閉構造を含むエンジンルームおよびカウンタウェイト周辺の構成を示す斜視図。
【図3】エンジンフードの開状態を示す側面図。
【図4】エンジンフードの開状態を示す、図4の左側から見た図。
【図5】エンジンフードを閉状態と約65度開いた状態でのガススプリングとリンク機構の関係を示す側面図。
【図6】エンジンフードを約90度開いた状態でのガススプリングとリンク機構の関係を示す側面図。
【図7】エンジンフードが閉状態と約90度開いた状態でのステー支持機構の姿勢の変化を示す側面図。
【図8】エンジンフードが約90度程度開いた状態で、エンジンフードをさらに開こうとする力がエンジンフードに作用したときのステー支持機構とガイドレールとの関係を示す側面図。
【図9】エンジンフードが約90度開いた状態で、エンジンフード閉じようとする力がエンジンフードに作用したときのステー機構とガイドレールとの関係を示す側面図。
【図10】第2実施形態において、エンジンフードが約60度開いた状態における、ガススプリングとガイドレールとの関係を示す側面図。
【図11】第2実施形態において、エンジンフードが約90度開いた状態における、ガススプリングとガイドレールとの関係を示す側面図。
【符号の説明】
【0107】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 旋回台
4 作業機
5 カウンタウェイト
6 エンジンルーム
9 機器室
20 エンジンフード
21 エンジンフードの開閉構造
22 ヒンジ
23 ロック部
24 取っ手
32 ガススプリング支持機構
33 ガススプリング
33a チューブ
33b ロッド
34 リンク機構
34a リンクプレート
35 支持プレート
41 ステー支持機構
42 ステー本体
42a 突起
44 ガイドレール
45 ガイド部
46 直線部
47 支持部
47a 第1支持部
47b 第2支持部
61 ガススプリング支持機構
62 ガススプリング
62a チューブ
62b ロッド
63 ガイドレール
64 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のエンジンルームの上部を覆うエンジンフードの開閉構造であって、
前記エンジンルームに回動自在に支持されたエンジンフードと、
前記エンジンフードが開くときに前記エンジンフードに付勢力を与えるガススプリングと、
前記ガススプリングが最大長まで伸びた状態から、さらに前記エンジンフードが開くことを許容する最大開角度拡張機構と、
を備えたエンジンフードの開閉構造。
【請求項2】
前記エンジンフードは、前記エンジンフードの重心位置が前記エンジンフードの回動中心より開き側に位置する状態まで開くことができ、
前記エンジンフードの重心位置が前記エンジンフードの回動中心より開き側に位置するときには、前記ガススプリングは最大長になっている、請求項1に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項3】
前記最大開角度拡張機構は、前記エンジンフードが開くときに前記ガススプリングが最大長まで伸びるまで前記ガススプリングの付勢力を受け、前記ガススプリングが最大長まで伸びた状態からさらに前記エンジンフードが開くときに前記ガススプリングが離れることを許容する支持部を有している、請求項1または2に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項4】
前記最大開角度拡張機構は、前記ガススプリングを前記エンジンルームに連結するリンク機構を有する、請求項1または2に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記ガススプリングの一端に回動自在に連結された第1端部と前記エンジンルームに回動自在に連結された第2端部を有するリンク部材と、前記エンジンルームに固定され前記エンジンフードが所定角度開くまで前記リンク部材を介して前記ガススプリングの付勢力を受ける支持部とを有する、請求項4に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項6】
前記最大開角度拡張機構は、前記ガススプリングを前記エンジンルームに支持するガイドレールを有する、請求項1または2に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項7】
前記ガイドレールは、前記エンジンフードが開くまで前記ガススプリングの付勢力を受ける支持部と、前記支持部から前記エンジンフードの開き側に延びるガイド部とを有する、請求項6に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項8】
前記エンジンフードの最大開き角度を制限するとともに、前記エンジンフードが所定角度開いた状態から不作為な力によって閉じることを制限するステー機構をさらに備えている、請求項1〜7のいずれかに記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項9】
前記ステー機構は、一端が前記エンジンルームに回動自在に連結され、他端が前記エンジンフードに連結されたステーを有しており、
前記ステーの前記他端には突起が形成されており、
前記エンジンフードは、前記突起がガイドされるガイドレールを有している、請求項8に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項10】
前記ガイドレールは、前記エンジンフードが所定角度開いた状態でそれ以上開かないように前記突起から反力を受ける第1支持部と、前記エンジンフードが所定角度開いた状態で閉じる方向に不作為な力が作用したときに閉じないように前記突起から反力を受ける第2支持部とを有する、請求項9に記載のエンジンフードの開閉構造。
【請求項11】
前記ガイドレールは、直線状に延びるガイド部を有しており、
前記第1支持部と前記第2支持部は前記ガイド部の一端に設けられている、請求項10に記載のエンジンフードの開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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