説明

エンタテインメント装置、コンピュータプログラムおよび敵キャラクタ制御方法

【課題】 プレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームにおいて、娯楽性を高める。
【解決手段】 プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行するエンタテインメント装置であって、プレイヤからの指示を受け付ける入力受付手段と、受け付けたプレイヤからの指示に基づいてプレイヤキャラクタの動作を制御するプレイヤキャラクタ制御手段と、複数の敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの動画像を生成する画像生成手段とを備え、前記敵キャラクタ制御手段は、それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードと、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードとを有し、前記個別モードから前記統一モードへの遷移は、プレイヤからの指示に基づいて行なうことを特徴とするエンタテインメント装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンタテインメント装置に係り、特に、プレイヤキャラクタの挑発行為に敵キャラクタが反応するアクションゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
エンタテインメントシステムにおけるアクション型ゲームの一分野として剣術を取り扱ったものが知られている。剣術を取り扱ったゲームでは、一般に、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとが互いに刀等の武器を持ち、対決することでシナリオが進行していく。ここで、プレイヤキャラクタはプレイヤの操作対象となるキャラクタであり、敵キャラクタは、エンタテインメントシステムがその動作を制御するキャラクタである。
【0003】
一般的に、プレイヤキャラクタは、複数の敵キャラクタと同時に対決することが多いが、このような場合、複数の敵キャラクタはそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれの敵キャラクタ自身の状態、動作履歴、あるいは、プレイヤキャラクタの動作等に基づいて、敵キャラクタ毎に演算を行ない、その演算結果に基づいて個々の敵キャラクタの行動が定められる。このため、戦闘シーンでの敵キャラクタの行動に統一性が無かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、剣術を取り扱った娯楽ものとしては、いわゆる時代劇が広く知られており、映画、テレビドラマ、舞台等を通じて、一般にそのイメージが定着している。
【0005】
時代劇において、刀等を用いた戦闘シーンは、殺陣(たて)と呼ばれ、演出上の特徴が表われるものである。殺陣の演出には、そのパターンが広く知られ、馴染み深いものも数多くある。
【0006】
例えば、主人公が複数の悪役と対峙したとき、悪役達は一斉ににかかってくるのではなく、1人ずつ順番に主人公に攻撃を仕掛けていき、主人公が次々に悪役を倒していくというパターンがよく知られている。
【0007】
また、従者を引き連れた悪役の親分と主人公とが一騎打ちを行なう際に、従者達が一斉に後ろに引いて、一対一の戦闘を引き立てる演出パターンも知られている。
【0008】
このように時代劇では、敵役達が統率のとれた動きを見せ、ドラマ性を高めるようにしているが、さらにドラマ性を高めるためにいわゆるお決まりのパターンを用意している時代劇も多い。
【0009】
すなわち、敵役達は、最初は統率無く混沌と行動しているが、主人公が所定の動作をおこなったり、所定のアイテムを取り出したり、いわゆる決めの行動をとったことを起因として、敵役達が上述の統率のとれた動きを開始することがよく行なわれている。
【0010】
アクション型ゲームでも、より娯楽性を高めるために、このような馴染みの深い敵役の行動を再現したいという要求がある。
【0011】
本発明は、プレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームにおいて、娯楽性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための、本発明の第1の態様であるエンタテインメント装置は、
プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行するエンタテインメント装置であって、
プレイヤからの指示を受け付ける入力受付手段と、
受け付けたプレイヤからの指示に基づいてプレイヤキャラクタの動作を制御するプレイヤキャラクタ制御手段と、
複数の敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの動画像を生成する画像生成手段とを備え、
前記敵キャラクタ制御手段は、それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードと、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードとを有し、前記個別モードから前記統一モードへの遷移は、プレイヤからの指示に基づいて行なうことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、プレイヤの指示に基づいて、敵キャラクタ達が統率のとれた動きを見せることにより、馴染み深いシーンを再現することができゲームの娯楽性を高めることができる。
【0014】
ここで、前記敵キャラクタ制御手段の統一モードにおけるあらかじめ定めた規則には、それぞれの敵キャラクタが順番にプレイヤキャラクタに攻撃を行なう規則、1の敵キャラクタがプレイヤキャラクタに向かって前進し、他の敵キャラクタはプレイヤキャラクタから離れる規則、1の敵キャラクタ以外の敵キャラクタがプレイヤキャラクタに順次または一斉に攻撃を行なう規則、それぞれの敵キャラクタが一斉にプレイヤキャラクタに向かっていく規則を含めることができる。
【0015】
上記課題を解決するための、本発明の第2の態様であるコンピュータプログラムは、
情報処理装置に、プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行させるためのコンピュータプログラムであって、
プレイヤからの指示を受け付ける入力受付手段と、
受け付けたプレイヤからの指示に基づいてプレイヤキャラクタの動作を制御するプレイヤキャラクタ制御手段と、
複数の敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの動画像を生成する画像生成手段として情報処理装置を機能させ、
前記敵キャラクタ制御手段は、それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードと、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードとを有し、前記個別モードから前記統一モードへの遷移は、プレイヤからの指示に基づいて行なうことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための、本発明の第3の態様である敵キャラクタ制御方法は、
プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行するエンタテインメント装置における敵キャラクタ制御方法であって、
複数の敵キャラクタの動作の制御を行なう敵キャラクタ制御手段が、
それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードから、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードに、プレイヤの指示に基づいて遷移する処理を行なうことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るエンタテインメントシステムについて、図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、エンタテインメントシステムの構成の概要を示す図である。本図に示すように、エンタテインメントシステム1は、エンタテインメント装置2と、操作装置(コントローラ)35と、画像音声出力用ケーブル41を介して接続される画像音声出力装置40を備えて構成される。ここで、エンタテインメント装置2は、コンピュータプログラムにより所要の機能を実現する情報処理装置を用いることができる。また、画像音声出力装置40は、一般的な家庭用テレビを用いることができる。
【0019】
操作装置35は、エンタテインメント装置2の接続端子32に接続される。操作装置35には、ボタン等の操作子が複数個設けられており、エンタテインメントシステム1のプレイヤは、操作装置35を操作することでエンタテインメントシステム1に対する指示を入力することができる。
【0020】
エンタテインメント装置2は、CD−ROM、DVD−ROMの光ディスク等に記憶されているプログラムを読み出して、ゲーム等を実行する。ここで、ゲーム等の実行とは、主として、操作装置35を介して入力されるプレイヤからの指示に応じて、画像音声出力装置40に表示されているプレイヤキャラクタ等の操作対象オブジェクトを動作させ、これに伴い、他のキャラクタ、背景等の画像を変化させ、また音声を出力して、ゲーム等のシナリオを進行させることをいう。
【0021】
図2は、エンタテインメント装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本図に示すように、エンタテインメント装置2は、それぞれ固有の機能を有する複数の半導体デバイスが接続されたメインバスB1とサブバスB2の2本のバスを有している。これらのバスB1、B2は、バスインタフェースINTを介して互いに接続され又は切り離されるようになっている。
【0022】
メインバスB1には、主たる半導体デバイスであるメインCPU10と、RAMで構成されるメインメモリ11と、メインDMAC(Direct Memory Access Controller)12と、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ(MDEC)13と、描画用メモリとなるフレームメモリ15を内蔵する描画処理装置(Graphic Processing Unit:GPU)14が接続される。GPU14には、フレームメモリ15に描画されたデータを画像音声出力装置40で表示できるようにするためのビデオ信号を生成するCRTC(CRT Controller)16が接続される。
【0023】
メインCPU10は、エンタテインメント装置2の起動時にサブバスB2上のROM23から、バスインタフェースINTを介して起動プログラムを読み込み、その起動プログラムを実行してオペレーティングシステムを動作させる。また、メディアドライブ27を制御するとともに、このメディアドライブ27に装着されたメディア28からアプリケーションプログラムやデータを読み出し、これをメインメモリ11に記憶させる。さらに、メディア28から読み出した各種データ、例えば複数の基本図形(ポリゴン)で構成された3次元オブジェクトデータ(ポリゴンの頂点(代表点)の座標値など)に対して、オブジェクトの形状や動き等を表現するためのジオメトリ処理(座標値演算処理)を行い、そして、ジオメトリ処理によるポリゴン定義情報(使用するポリゴンの形状及びその描画位置、ポリゴンを構成する素材の種類、色調、質感等の指定)をその内容とするディスプレイリストを生成する。
【0024】
GPU14は、描画コンテクスト(ポリゴン素材を含む描画用のデータ)を保持しており、メインCPU10から通知されるディスプレイリストに従って必要な描画コンテクストを読み出してレンダリング処理(描画処理)を行い、フレームメモリ15にポリゴンを描画する機能を有する半導体デバイスである。フレームメモリ15は、これをテクスチャメモリとしても使用できる。そのため、フレームメモリ上のピクセルイメージをテクスチャとして、描画するポリゴンに貼り付けることができる。
【0025】
メインDMAC12は、メインバスB1に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行うとともに、バスインタフェースINTの状態に応じて、サブバスB2に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行う半導体デバイスであり、MDEC13は、メインCPU10と並列に動作し、MPEG(Moving Picture Experts Group)方式あるいはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式等で圧縮されたデータを伸張する機能を有する半導体デバイスである。
【0026】
サブバスB2には、マイクロプロセッサなどで構成されるサブCPU20、RAMで構成されるサブメモリ21、サブDMAC22、オペレーティングシステムなどの制御プログラムが記憶されているROM23、サウンドメモリ25に蓄積された音データを読み出してオーディオ出力として出力する音声処理用半導体デバイス(SPU(Sound Processing Unit))24、図示しないネットワークを介して外部装置と情報の送受信を行う通信制御部(ATM)26、CD−ROMやDVD−ROMなどのメディア28を装着するためのメディアドライブ27が接続されている。
【0027】
サブCPU20は、ROM23に記憶されている制御プログラムに従って各種動作を行う。サブDMAC22は、バスインタフェースINTがメインバスB1とサブバスB2を切り離している状態においてのみ、サブバスB2に接続されている各回路を対象としてDMA転送などの制御を行う半導体デバイスである。また入力機構として、操作装置35からの入力信号が入力される接続端子32、USB等の汎用的な接続端子として用いられる接続端子33、接続端子34を備える。
【0028】
図3は、本実施形態におけるエンタテインメント装置2の機能構成を示すブロック図である。これらの機能部は、エンタテインメント装置2が読み込んだゲームプログラムにしたがって、ソフトウェア的に構成することができる。このようなゲームプログラムは、CD−ROM等のメディア28に記録することで市場に流通させることができる。また、メモリカートリッジ等の半導体記憶装置あるいはインターネット等のコンピュータネットワークを介して市場に流通させることもできる。
【0029】
本図に示すように、エンタテインメント装置2には、入力受付部110、制御部120、画像生成部130、ゲームデータ部140が構築される。
【0030】
ゲームデータ部140は、ゲームを実行するための各種データ、例えば、シナリオデータ、キャラクタ制御用データ、画像データ、音声データ等を記憶する。
【0031】
なお、本実施形態において、エンタテインメント装置2で実行するゲームは、剣術を扱ったアクションゲームに関するものであり、プレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決する内容である。すなわち、プレイヤが操作装置35を操作して刀等の武器を持ったプレイヤキャラクタを動作させ、場面に登場する複数の敵キャラクタと戦い、敵キャラクタを倒していくことでゲームシナリオが進行していく。本発明は、剣術を扱ったアクションゲームのうち、特に、いわゆる時代劇を模したゲームに効果的に適用することができる。
【0032】
刀等を用いた戦闘シーンは、時代劇において殺陣(たて)と呼ばれ、演出上の特徴が表われるものである。殺陣の演出には、そのパターンが広く知られ、馴染み深いものも数多くある。本実施形態におけるエンタテインメント装置2は、このような殺陣の演出を効果的に再現するものである。
【0033】
入力受付部110は、プレイヤの操作に基いて生成される操作装置35からの入力信号を受け付ける。入力信号には、あらかじめそれぞれの意味が定義されており、エンタテインメント装置2は、プレイヤからどのような指示が入力されたかを把握することができる。
【0034】
制御部120は、入力受付部110が受け付けたプレイヤからの指示およびゲームデータ部140にしたがって、キャラクタ等を動作させ、ゲームシナリオを進行させるための処理を行なう。
【0035】
この処理を行なうため、制御部120は、プレイヤキャラクタ制御部121と敵キャラクタ制御部122と、シナリオ制御部123とを含んでいる。
【0036】
プレイヤキャラクタ制御部121は、プレイヤの操作にしたがってプレイヤキャラクタを動作させるための処理を行なう。プレイヤキャラクタの動作としては、代表的には、移動したり、敵キャラクタを攻撃したり、防御したりすること等があげられる。本実施形態においては、さらに、敵キャラクタに対して挑発する動作を行なうことができる。この処理については後述する。
【0037】
敵キャラクタ制御部122は、プレイヤキャラクタの動作、シナリオデータ等に基づいて、敵キャラクタを動作させるための処理を行なう。本実施形態において、敵キャラクタは複数存在し、敵キャラクタ制御部122は、それぞれの敵キャラクタを独立に制御するモードと、統一的に制御するモードとを有している。
【0038】
シナリオ制御部123は、シナリオデータに従い、プレイヤキャラクタの動作等に応じて、ゲームシナリオを進行させるための処理を行なう。
【0039】
画像生成部130は、ゲームデータ部140に含まれる画像データに従い、シナリオ進行、プレイヤの操作等に応じた動画像を生成し、画像音声出力装置40に表示させるための処理を行なう。
【0040】
つぎに、本実施形態における敵キャラクタ制御部122の特徴的な処理動作について、図4のフロー図を参照して説明する。
【0041】
本処理は、複数の敵キャラクタがプレイヤキャラクタとともに登場している場面に関するものである。このような場合、まず、敵キャラクタ制御部122は、従来通り、それぞれの敵キャラクタを個別に制御する(S101)。
【0042】
図5は、このときの敵キャラクタ制御部122の処理内容を示している。すなわち、それぞれの敵キャラクタ(敵キャラクタ1、敵キャラクタ2、…)について、敵キャラクタ自身の状態(履歴を含む)、プレイヤキャラクタの情報、シナリオ情報等に基づいて個別に制御用演算を行なう。
【0043】
図6は、それぞれの敵キャラクタについて個別に制御用演算を行なった結果の動作の一例を示している。本図の例は、プレイヤキャラクタPと3体の敵キャラクタ(敵キャラクタE1、敵キャラクタE2、敵キャラクタE3)が登場して、対峙している場面である。
【0044】
本図では、敵キャラクタE1は、プレイヤキャラクタPに向かって前進し、敵キャラクタE2は、プレイヤキャラクタPに対して攻撃を行ない、敵キャラクタE3は、プレイヤキャラクタPから離れるように後退している。このように、敵キャラクタを個別に制御した場合には、それぞれの敵キャラクタは他の敵キャラクタの行動とは無関係に独自の行動をとることになる。もちろん、結果として複数の敵キャラクタが同一の行動等をとることはあり得る。
【0045】
このような状態において、プレイヤは、敵キャラクタを挑発するために、操作装置35で特定の操作を行なうことができる。特定の操作は、例えば、あらかじめ定められた特定のボタンを押したり、所定の組み合わせのボタン操作等とすることができる。なお、この敵キャラクタを挑発するための特定の操作は、ゲームシナリオに応じて、行なうことができる場合とできない場合とを設定するようにしてもよい。また、一度行なうと、一定期間は行なえなくなるようにしてもよい。このような場合、特定の操作が可能な状態か不可の状態かをプレイヤに告知するような画面表示を行なうことが望ましい。
【0046】
敵キャラクタ制御部122は、プレイヤが特定の操作を行なうことを監視しており(図4:S102)、特定の操作を検知しない場合(S102:N)には、上述の敵キャラクタの個別制御(S101)を繰り返す。
【0047】
一方、敵キャラクタ制御部122は、プレイヤが特定の操作を行なったことを検知すると(S102:Y)、敵キャラクタの統一制御を行なう(S103)。これは、敵キャラクタがプレイヤキャラクタの挑発に乗った状態である。
【0048】
図7は、このときの敵キャラクタ制御部122の処理内容を示している。すなわち、それぞれの敵キャラクタ(敵キャラクタ1、敵キャラクタ2、…)について、プレイヤキャラクタの情報、シナリオ情報等に基づいて統一的な制御用演算を行なう。
【0049】
ここで、統一的な制御用演算では、それぞれの敵キャラクタのそれまでの動作を中断して個別の制御用演算をいったんリセットする。そして、後述するようなあらかじめ定められた動作パターンにしたがって、各敵キャラクタを互いに関連性を持って動作するように制御する。敵キャラクタ群の動作パターンは複数種類用意されており、その場面、状況にあった動作パターンが選択される。
【0050】
なお、ユーザキャラクタ制御部121は、プレイヤが上述の特定の操作を行なった場合には、ユーザキャラクタに敵キャラクタを挑発するような動作を行なわせるようにすることができる(S201)。これにより、一層ゲームのドラマ性を高めることができる。
【0051】
敵キャラクタを挑発するような動作は、例えば、プレイヤキャラクタに見得を切らせたり、所定のポーズをとらせたり、セリフを叫んだりすることが挙げられる。また、背景等も、例えば、落ち葉が舞い上がったり、色を変化させたりして、緊張感を高めるような表示を行なうようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、敵キャラクタ群の動作をパターン化することで、プレイヤは、敵キャラクタの動作を予測したり、敵キャラクタの行動を誘導させたりすることもできるようになり、一層、ゲームの娯楽性が高まることになる。
【0053】
以下に、プレイヤキャラクタに挑発された敵キャラクタ群の動作パターンの例として第1〜第4の動作パターンを説明する。ただし、本発明はこれらの動作パターンに限られず、種々の動作パターンを採用することができる。
【0054】
図8は、敵キャラクタ群について第1の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の一例を示している。本図の例も、プレイヤキャラクタPと3体の敵キャラクタ(敵キャラクタE1、敵キャラクタE2、敵キャラクタE2)が登場している場面である。
【0055】
第1の動作パターンでは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを挑発すると、図8(a)に示すように、各敵キャラクタは、いったん、一斉に後ずさりするように後退し、その後、図8(b)に示すように、敵キャラクタE1、敵キャラクタE2、敵キャラクタE3の順でプレイヤキャラクタPに攻撃を仕掛けるようにしている。
【0056】
これにより、プレイヤキャラクタが見得を切る等の挑発行為を行なうと、敵キャラクタは、ひるんで一歩引き下がり、そして、冷静さを失って1人ずつ次々にプレイヤキャラクタに襲いかかるという馴染み深い時代劇のシーンを再現することができる。
【0057】
図9は、敵キャラクタ群について第2の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示している。本図の例も、プレイヤキャラクタPと3体の敵キャラクタとが登場している場面であるが、敵キャラクタのうち1体は、敵キャラクタのなかでも特に重要な役割の、いわゆるボスキャラクタBEである。
【0058】
第2の動作パターンでは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを挑発すると、敵キャラクタE1と敵キャラクタE2とは一歩引き下がり、ボスキャラクタBEは、プレイヤキャラクタPに向かって前進するようにしている。この際、ボスキャラクタBEも挑発に受けて立つようなポーズをとることが望ましい。
【0059】
これにより、プレイヤキャラクタPが所定のポーズ等の挑発行為を行なうと、従者共は後ろに引き、悪玉の親分との一騎打ちになるという馴染み深い時代劇のシーンを再現することができる。
【0060】
図10は、敵キャラクタ群について第3の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示している。本図の例は、プレイヤキャラクタPと1体のボスキャラクタBEと3体の敵キャラクタとが登場している場面である。ここで、3体の敵キャラクタE1〜E3はボスキャラクタBEの手下とする。
【0061】
第3の動作パターンでは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタ、特にボスキャラクタBEを挑発すると、ボスキャラクタBEは、手下の敵キャラクタE1〜E3に対してプレイヤキャラクタを攻撃するようにけしかける。この際、ボスキャラクタBEは、手下に向かって指示を出すポーズをとることが望ましい。この指示を受けて敵キャラクタE1〜E3は、プレイヤキャラクタに向かって前進し、攻撃を行なう。このとき、一斉に攻撃を行なうようにしても、順番に攻撃を行なうようにしてもよい。
【0062】
これにより、プレイヤキャラクタPが敵の親分を挑発すると、まずは手下の雑魚共がプレイヤキャラクタに襲いかかるという馴染み深い時代劇のシーンを再現することができる。
【0063】
図11は、敵キャラクタ群について第4の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示している。本図の例も、敵キャラクタE1、敵キャラクタE2、敵キャラクタE3が登場している場面であり、敵キャラクタE1、E2、E3はいずれもプレイヤキャラクタPから離れて存在している。
【0064】
第4の動作パターンでは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを挑発すると、すべての敵キャラクタE1、E2、E3が一斉にプレイヤキャラクタPに向かって駈け寄ってくる。
【0065】
これにより、プレイヤキャラクタPが遠くにいる敵キャラクタ達を挑発すると、敵キャラクタ達が走って集まって来るという馴染み深い時代劇のシーンを再現することができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】エンタテインメントシステムの構成の概要を示す図である。
【図2】エンタテインメント装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態におけるエンタテインメント装置2の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における敵キャラクタ制御部122の特徴的な処理動作について説明するためのフロー図である。
【図5】個別制御を行なうときの敵キャラクタ制御部122の処理内容を示す図である。
【図6】敵キャラクタ群について第1の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示す図である。
【図7】統一制御を行なうときの敵キャラクタ制御部122の処理内容を示す図である。
【図8】敵キャラクタ群について第2の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示す図である。
【図9】それぞれの敵キャラクタについて個別に制御用演算を行なった結果の動作の別例を示す図である。
【図10】敵キャラクタ群について第3の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示す図である。
【図11】敵キャラクタ群について第4の動作パターンしたがい統一的な制御用演算を行なった場合の動作の例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…エンタテインメントシステム
2…エンタテインメント装置
10…メインCPU
11…メインメモリ
12…メインDMAC
13…MDEC
14…GPU
15…フレームメモリ
16…CRTC
20…サブCPU
21…サブメモリ
22…サブDMAC
23…ROM
24…SPU
25…サウンドメモリ
26…ATM
27…メディアドライブ
28…メディア
32…接続端子
33…接続端子
34…接続端子
35…操作装置
40…画像音声出力装置
41…画像音声出力用ケーブル
110…入力受付部
120…制御部
121…プレイヤキャラクタ制御部
121…ユーザキャラクタ制御部
122…敵キャラクタ制御部
123…シナリオ制御部
130…画像生成部
140…ゲームデータ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行するエンタテインメント装置であって、
プレイヤからの指示を受け付ける入力受付手段と、
受け付けたプレイヤからの指示に基づいてプレイヤキャラクタの動作を制御するプレイヤキャラクタ制御手段と、
複数の敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの動画像を生成する画像生成手段とを備え、
前記敵キャラクタ制御手段は、それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードと、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードとを有し、前記個別モードから前記統一モードへの遷移は、プレイヤからの指示に基づいて行なうことを特徴とするエンタテインメント装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンタテインメント装置であって、
前記敵キャラクタ制御手段の統一モードにおけるあらかじめ定めた規則には、それぞれの敵キャラクタが順番にプレイヤキャラクタに攻撃を行なう規則が含まれることを特徴とするエンタテインメント装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエンタテインメント装置であって、
前記敵キャラクタ制御手段の統一モードにおけるあらかじめ定めた規則には、1の敵キャラクタがプレイヤキャラクタに向かって前進し、他の敵キャラクタはプレイヤキャラクタから離れる規則が含まれることを特徴とするエンタテインメント装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエンタテインメント装置であって、
前記敵キャラクタ制御手段の統一モードにおけるあらかじめ定めた規則には、1の敵キャラクタ以外の敵キャラクタがプレイヤキャラクタに順次または一斉に攻撃を行なう規則が含まれることを特徴とするエンタテインメント装置。
【請求項5】
請求項1に記載のエンタテインメント装置であって、
前記敵キャラクタ制御手段の統一モードにおけるあらかじめ定めた規則には、それぞれの敵キャラクタが一斉にプレイヤキャラクタに向かっていく規則が含まれることを特徴とするエンタテインメント装置。
【請求項6】
情報処理装置に、プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行させるためのコンピュータプログラムであって、
プレイヤからの指示を受け付ける入力受付手段と、
受け付けたプレイヤからの指示に基づいてプレイヤキャラクタの動作を制御するプレイヤキャラクタ制御手段と、
複数の敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの動画像を生成する画像生成手段として情報処理装置を機能させ、
前記敵キャラクタ制御手段は、それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードと、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードとを有し、前記個別モードから前記統一モードへの遷移は、プレイヤからの指示に基づいて行なうことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記録した情報処理装置読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタとが対決するゲームを実行するエンタテインメント装置における敵キャラクタ制御方法であって、
複数の敵キャラクタの動作の制御を行なう敵キャラクタ制御手段が、
それぞれの敵キャラクタの動作を個別に制御する個別モードから、あらかじめ定めた規則にしたがって、それぞれの敵キャラクタの動作を互いに関連性を持たせて制御する統一モードに、プレイヤの指示に基づいて遷移する処理を行なうことを特徴とする敵キャラクタ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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