説明

エンドトキシンの測定方法及び測定用試薬キット

【課題】リムルステストに代わる新規なエンドトキシン(ET)の測定法を提供する。つまり測定手法としてET測定法として従来不可能とされたEIA法を利用することで、より容易なETの測定法を提供するものである。
【解決手段】EIAを使ってETを測定する際に、ポリミキシンB等のETを特異的に吸着する能力を有する物質を担体上に固定化しておき、それをEIAの原理及び選択された酵素を用いれば検体からETを極めて容易に迅速に測定可能であることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンドトキシン(以下ETという)の測定方法及び測定用試薬キットに関する。本発明のETの測定法は、ETの酵素免疫測定法(EIA)であって、特に、発光基質を使用する方法によるものである。
【背景技術】
【0002】
ETは、大腸菌、コレラ、緑膿菌、サルモネラ、赤痢菌などの出すリポ多糖の高分子複合体で細菌菌体の構成成分であって細胞の破壊により遊離される。その作用は、毒性は比較的弱く、強い発熱性、耐熱性、腫瘍細胞への破壊作用等が特徴ある性質である。
医薬品や血液に直接接触する医療用具がETで汚染された場合、ごく微量でも重篤な結果を招くことがあり、これらのET汚染量は厳密に管理されなければならず、米国や日本の薬局方にもET試験法が収載されている。また、グラム陰性菌感染による敗血症の早期診断、グラム陰性菌感染症の治療効果及び予後の判定のため、血中のETを定量する試みも行われている。
このようにETは様々な分野で関心が持たれ種々のETを測定する手法が提案されてきた。
【0003】
ETを測定する手法として、従来、ウサギ発熱試験、鶏胚致死試験、ラジオイムノアッセイ、ガスマススペクトル、リムルステストがあり、これらの中で最も鋭敏、簡便かつ迅速なのはリムルステストであり、医薬品、水、透析液などの汚染試験、臨床検査などで使用されている。
このリムルステストを用いたET測定法は、カブトガニの血球抽出液(ライセート)にETが加わると、C因子(ET感受性因子)が活性化され、それに続く連鎖的酵素反応がそれぞれ別の経路によって順次惹起され、最終的に活性化された凝固酵素が反応基質を加水分解することを利用した方法である。一般的には、1)ETとライセート中のC因子系反応によって最終的に活性化された凝固酵素が、そのプロテアーゼ活性により、コアグロゲンをコアグリンに変換してゲル化させる過程で生じる濁度変化を光学分析装置により測定する比濁法と、2)ETとライセート中のC因子系反応によって最終的に活性化された凝固酵素が、そのプロテアーゼ活性により、コアグロゲンをコアグリンに変換する際のコアグロゲンの水解部位のアミノ酸配列と類似の配列を持つ合成ペプチドに、発色基p-ニトロアニリン(pNA)を結合させた発色合成基質を用い、凝固酵素のアミダーゼ活性によって遊離するpNAの吸光度を測定する比色法の2種類が使用されている。
しかし、従来のリムルステストを用いたET測定は、用手法であるため、測定者により、測定値のばらつきが生じ、また、測定毎にセンサが必要になるなどの問題点があった。
【0004】
さらにリムルステストの改良としてβ−1,3−グルカナーゼを含んでなるET測定用試薬(特許文献1)、比濁時間分析法を利用したETの測定方法(特許文献2)、或はET吸着体を用いた測定方法(特許文献3)等も提案されている。その他、ET活性を中和する物質としてポリミキシンB(以下PMXという)が知られておりその相互作用をSPRで分析する方法が報告されている(非特許文献1及び2)。その他、ETと親和性のあるリガンド(主に抗生物質)を共有結合させた担体および発色試薬からなる試薬の提案もあるが、透析液に必要な測定感度には達していない(特許文献4)。
【特許文献1】特開平11−178599
【特許文献2】特開平8−211063
【特許文献3】特開平2−193072
【特許文献4】特開平6−66806
【非特許文献1】FEBS Letters 445(1999)420-424
【非特許文献2】J.B.C. 274(42) 29624-29627(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、リムルステストに代わる新規なETの測定法を提供するものである。つまり測定手法としてET測定法として従来不可能とされたEIA法を利用することで、より容易なETの測定法を提供しようとするものである。従来技術では、EIA方法を使い検体から迅速に容易にETを測定する手段を開示も示唆もしていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、EIA法を使ってETを測定する際に、ポリミキシンB(以下PMX)等のETを特異的に吸着する能力を有する物質を担体上に固定化しておき、それをEIA法の原理及び選択された酵素を用いれば検体からETを極めて容易に迅速に測定可能であることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下よりなる。
1.エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、捕捉されたETに対して酵素標識物質を直接または間接的に結合させ、酵素活性を測定することによりETを測定することを含むETの測定方法。
2.ETと特異的に結合する能力を有する物質が、ポリミキシンB(以下PMX)又は抗ET抗体である前項1に記載のETの測定方法。
3.担体が、金薄膜である前項1又は2に記載のETの測定方法。
4.酵素が、アルカリフォスファターゼ又はペルオキシダーゼである前項1〜3のいずれか一に記載のETの測定方法。
5.基質が、発光基質であり、発光反応を導き、発光量により酵素活性を測定する前項1〜4のいずれか一に記載のETの測定方法。
6.発光基質が、1,2−ジオキセタン系化合物である前項5に記載のETの測定方法。
7.発光量が、光電子倍増管で増幅される前項5又は6に記載のETの測定方法。
8.ETが、Lipopolysaccharides、内毒素、リポ多糖、発熱物質、又はパイロジェンである前項1〜7の何れか一に記載のETの測定方法。
9.検体が、培養液、血液透析液及びその廃液、注射用水、医薬品、純水から選ばれる前項1〜8のいずれか一に記載のETの測定方法。
10.エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、これと測定すべきETに対して反応性をもつ酵素標識物質を接触させて反応させ、その後、酵素に対する基質を接触させて反応を導き、酵素活性を測定することによりETを測定することを含む前項1〜9に記載のETの測定方法。
11.エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、これと測定すべきETに対して反応性をもつ物質(第一物質)を接触させて反応させ、さらに第一物質と特異的に反応する酵素標識物質(第二物質)を接触させて反応させ、その後、酵素に対する基質を接触させて反応を導き、酵素活性を測定することによりETを測定することを含む前項1〜9に記載のETの測定方法。
12.前項1〜11の何れか一に記載のETの測定方法によるET夾雑の判定方法。
13.前項1〜11の何れか一に記載のETの測定方法に用いることができる試薬を含むETの測定用試薬測定キット。
【発明の効果】
【0008】
本発明のETの測定方法は、ETと特異的に結合するPMX等を担体に固定化したEIA法の原理を使うものであり、検体にETが含まれている場合、担体上のPMX等によってETが捕捉され、これをEIA法のサンドイッチ技術を使い、酵素活性を測定することによるETの測定法を提供するものである。本発明を用いたETの測定法は簡便で、かつ、従来不可能とされたEIA法をETの測定方法に適用可能であることを初めて見出したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のETの測定方法に用いられる基本試薬は、PMX等のETを特異的に吸着する能力を有する物質を担体上に固定化して固相として調製される。ETと特異的に結合する能力を有する物質は、PMX又は抗ET抗体が好適であるが、特異的にETとの結合能力を有する限りこれらに限定されない。たとえば、ヒスチジン、ヒスタミンおよびアデニンから選ばれる含窒素複素環式化合物も利用可能である。PMXは市販されており、それをそのまま或は精製して使用可能である。抗ET抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を適宜公知の手法により調製可能であるが、これらも市販されているので容易に入手可能である。例えば、抗ET抗体はナノツール社(Nanotools Antikorpertechnik:独)、キューイーティ-社(QED Bioscience, Inc.:米)、標識抗ET抗体はバイオジェネシス社(Biogenesis LTD.:英)がある。なお、ETは多様な呼び名で一般的に呼称されるが、LPS、内毒素、リポ多糖、発熱物質、パイロジェン等が対象であり、抗体を作るためにはこれらを適当なアジュバントと共に動物に投与し調製するか、さらにその後ハイブリドーマの調製技術によって調製可能である。
【0010】
担体は、EIA法において公知のプラスチック、ガラス、紙、樹脂等が広く用いることができるが、より好ましくは、金属薄膜、特に金薄膜が好適である。容器の形状は自体公知のチューブ状、ペトリ皿状、マイクロチューブまたは膜状等特に限定されるものではない。
【0011】
担体とETと特異的に結合する能力を有する物質の結合は、直接又はスペーサーを介して行われる。スペーサーとしては、一端にチオール基やジチオール基を有し、もう一端にETと特異的に結合する能力を有する物質と結合可能な官能基を有する直鎖アルキル化合物による単分子層膜等が挙げられるがこれに限らない。ETと特異的に結合する能力を有する物質を、10~600μg/mLのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液とし、これを2~12時間接触させて固定化することが好適である。さらに、ブロッキング処理などを行ってもよい。
【0012】
本発明のET測定用の基本試薬である固相は、予め担体とETと特異的に結合する能力を有する物質の固定化されたものをとして提供してもよいが、用時調製用に、担体及びETと特異的に結合する能力を有する物質を少なくとも含む試薬をキット化して提供することも可能である。
【0013】
本発明のET測定方法は、捕捉されたETに対して酵素標識物質を直接または間接的に結合させ、酵素活性を測定することによりETを測定する。反応概念図は、実施例に基づき図3に示した。
捕捉されたETに酵素標識物質を直接結合させる場合、該物質は、前記PMX又は抗ET抗体等のETを特異的に吸着する能力を有する物質に酵素標識物質を修飾した物質が使用可能である。酵素は、EIA法で広く使用される系が利用可能であるが、特に好ましくはアルカリフォスファターゼ又はペルオキシダーゼ(POD)であり、より好ましくはアルカリフォスファターゼ(ALP)である。捕捉されたETに酵素標識物質を直接結合させる場合における該物質の添加量は、例えば、抗ET抗体を選択した場合、固相(表面積約10〜50mm2)に対して添加後の系全体の濃度が約0.01-300μg/ml、好ましくは約1-100μg/mlとなるように加えることが好ましい。
【0014】
一方、捕捉されたETに酵素標識物質(第二物質)を間接的に結合させる場合、捕捉されたETと、第二物質との間に介在する物質として、測定すべきETに対して反応性をもつ物質(第一物質)が使用される。該第一物質は、前記ETを特異的に吸着する能力を有する物質と同じく、PMX又は抗ET抗体が使用可能であるが、抗ET抗体が好ましい。該第二物質を間接的に結合させる場合における第一物質の添加量は、例えば該物質に抗ET抗体を選択した場合、固相(表面積約10〜50mm2)に対して添加後の系全体の濃度が約10-1000ng/ml、好ましくは約50-500ng/mlとなるように加えることが好ましい。
【0015】
さらに、上記第一物質と特異的に反応する酵素標識物質(第二物質)が使用され、この酵素反応系を使ってETを検出する。
第二物質は、例えば第一物質として抗ET抗体を選択した場合、抗ET抗体に対する抗体であり、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を適宜公知の手法により調製可能であるが、これらも市販されているので容易に入手可能であり、広く市販の抗IgG抗体が利用できる。酵素標識には酵素等の抗体の標識化において繁用されている手段をそのまま利用出来る(臨床検査提要 免疫的定量法 金原出版)。該第二物質を間接的に結合させる場合における第二物質の添加量は、例えば該物質に抗IgG抗体を選択した場合、固相(表面積約10〜50mm2)に対して添加後の系全体の濃度が約0.01-300μg/ml、好ましくは約1-100μg/mlとなるように加えることが好ましい。
【0016】
固相化された酵素標識化物質は、洗浄して余計な酵素標識化合物を除去した後、酵素に対する基質を接触させて酵素反応を導き、酵素活性を測定することによりETを測定する。酵素反応は、各酵素の至適条件下でおこなわれ、添加した酵素標識化物質2μgに対して、基質の量は2-20μg、好ましくは3-10μg添加する。
基質は、酵素反応によって色素、蛍光、発光等のマーカー物質を遊離させ、それを光学的、物理的、化学的に測定する。最適な方法は、化学発光反応を用いる方法である。発光法に使用する基質は、例えばALP用基質であるアダマンチル−1,2−ジオキセタン誘導体(富士レビオ:商品名ルミパルス)、アルカリ性下の酸化剤(H2O2,HClO,O2,MnO4-,I2等)反応用基質であるルミノール(5−アミノ−2,3ジヒドロ−1,4フタラジンイオン)誘導体(オーソ:商品名ビストロECi)(Fe,Co,Mn,Cu等の金属やミクロペロオキシダーゼで発光が増強)、酸化反応基質のN-メチルアクリジニウム誘導体(カイロン:商品名ACS:180)等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、酵素反応によって発光反応がおこる系は広く利用できる。
発光は、酵素と基質の接触によって例えば励起状態がおこり、これが基底状態に遷移する際に発光がおこる(図3下部参照)。この発光量をET量として換算するのである。発光はさらに、光電子倍増管を使うことでより高感度の測定が可能である。この系は、光を真空管内で増幅を行う。感光剤を塗布した光電面2に入斜窓1より入った光があたると電子が飛び出す。この電子が集極電極3による電場により加速して1番目の電子増倍部41に導き、衝突させる。その衝突により、電極から複数個の電子がたたき出され(二次電子放出効果)、それは2番目の電子増倍部42に加速されて衝突する。後は電子増倍部4内でこのプロセスを繰り返して、最終ダイノード6に達し、最終段階までには、各々の電極の増幅率の電極数乗倍となり、100万〜1000万倍の増倍となって効果的な測定が可能となる。測定は市販のフォトカウンター(浜松ホトニクス社製およびアイ・ティ・リサーチ社製など)によって行うことが可能である。図4に光電子増倍管の概念図を示した。
【0017】
本発明のET測定用の検体は、ETが夾雑する可能性ある対象物である限り特に限定されない。血液や尿などの生体試料、培養液、血液透析液およびその廃液、注射用水、医薬品、純水等広く適用可能である。なお、脂質成分中のET測定には、予め界面活性剤等による前処理を必要とするが、いずれも検体が液体化している限り、好適に測定に付すことが出来る。測定対象のETは、LPS、内毒素、リポ多糖、発熱物質、パイロジェン等が本質的に同等物として検出できる。
【0018】
検体と固相の接触時の混合比は、例えば固相(表面積 約10〜50mm2)に対して検体50-5000μlを2-60分、好ましくは1000-3000μlを6-40分かけて接触させることで行う。
【0019】
本発明による測定で、検体中のETの増加は、図1及び図2に示すような検量線を提供可能であり、ETの定量分析に本発明の測定法は極めて有用であることが確認された。
【0020】
かくして本発明の測定法は、広くETが夾雑している検体の測定に応用可能であり、特にET夾雑判定法等(培養液、血液透析液およびその廃液、注射用水、医薬品、純水等)に利用でき、特に血液透析液のET夾雑判定法に格別な効果を発揮する。その測定感度は、従来なし得なかった約1EU/lレベルの測定を可能とする。
【実施例】
【0021】
以下に本発明を実施例及び実験例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、EIAの系を使ってETを測定する際に、ETを特異的に吸着する能力を有する物質を担体上に固定化しておき、ETを発光法を用いて測定する限り全て本発明の技術思想に包含される。
【0022】
実施例1 ET測定反応用固相の作製
クリーンベンチ内で金薄膜を、ピランハ液を用いて洗浄した後、エタノールで超音波洗浄を行った。その後、1mMアミノエタンチオールのエタノール溶液に、金薄膜を浸し(室温、12時間)、エタノールで洗浄後、1mM ジカルボイミジルスベリン酸(以下DSS)/ジメチルスルホキシド(以下DMSO)溶液に2時間浸漬し、 DMSOにて洗浄した。次に、10〜1000μg/mLポリミキシンB(以下PMX)/DMSO溶液に2時間浸漬し、DMSOとETフリー水で洗浄をした。最後に、ブロックエース(大日本製薬)の希釈溶液を2時間浸漬後、ETフリーの0.05%ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル含有のPBS(塩化ナトリウム137mM、リン酸水素2ナトリウム12水和物8.1mM、リン酸2水素カリウム1.47mM、塩化カリウム2.68mM)(以降PBST)で洗浄を行いET反応用固相を作製した。
【0023】
実施例2 ET測定方法
予備的準備として、測定に用いるフォトンカウンター(アイ・ティ・リサーチ社製)は暗室内に設置し、フォトンカウンターを囲うシールドボックスをさらに暗幕で覆い、計測用のパソコン等光を発するものはすべて暗室外に配置した。
次にクリーンベンチ内で実施例1で作製した反応用固相に、測定用検体3mLを室温で30分接触させた後、PBSTで洗浄し、その後1μg/mLのanti-ET IgG抗体溶液1mLを30分間接触させ、PBSTで洗浄した。次に、anti-Mouse IgG アルカリホスファターゼコンジュゲート(シグマ社製)の100倍希釈溶液1mLを30分間接触させた後、PBSTで十分洗浄を行い、3-(2'-スピロアダマンチル)-4-メトキシ-4-(m-ホスホリルオキシフェニル)-1,2ジオキセタン(和光純薬社製、以下、AMPPD)50μLと接触させた後、暗室に配置したフォトンカウンターで測定した。試料はフォトンカウンターの受光面から約2cm離して配置し、金基板とAMPPDを接触させてから80秒後に測定を開始した。
計測結果は、図1及び図2に検量線として示した。ここで、検量線における0秒は、AMPPDを接触させてから80秒後を意味する。この結果、直線の有用な検量線が達成できた。なお、測定法及び発光反応の概念図は、図3に示した。図中PMBはPMXを、anti-ETはanti-ET IgG抗体を、二次抗体・逆Y-ALPはanti-Mouse IgG アルカリホスファターゼコンジュゲートを、ALPはアルカリフォスファターゼを、発光基質の具体例は3-(2'-スピロアダマンチル)-4-メトキシ-4-(m-ホスホリルオキシフェニル)-1,2ジオキセタンを、Lightは酵素基質の反応によって生じる発光を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明による測定系で、検体中のETの増加は、直線の検量線を提供可能であり、ETの定量分析に本発明の測定法は極めて有用である。かくして本発明の測定法は、広くETが夾雑している検体の測定に応用可能であり、特に細菌感染症の診断方法、ET夾雑判定法等(培養液、血液透析液およびその廃液、注射用水、医薬品、純水等)に好適に利用出来る。特に血液透析液におけるET夾雑判定法にその効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例2で0,1,10,50,250EU/LのETサンプルを測定した時の、横軸を時間、縦軸をフォトンとしたときの関係図である。
【図2】実施例2で0,1,10,50,250EU/LのETサンプルを測定した時の、横軸をET濃度、縦軸をフォトンとしたときの関係図である。
【図3】反応概念図である。
【図4】光電子増倍管概念図である。
【符号の説明】
【0026】
1 … 入斜窓
2 … 光電面
3 … 集束電極
4 … 電子増倍部
41 … 第一の電子増倍部
42 … 第二の電子増倍部
5 … 陽極
6 … 最終ダイノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、捕捉されたETに対して酵素標識物質を直接または間接的に結合させ、酵素活性を測定することによりETを測定することを含むETの測定方法。
【請求項2】
ETと特異的に結合する能力を有する物質が、ポリミキシンB(以下PMX)又は抗ET抗体である請求項1に記載のETの測定方法。
【請求項3】
担体が、金薄膜である請求項1又は2に記載のETの測定方法。
【請求項4】
酵素が、アルカリフォスファターゼ又はペルオキシダーゼである請求項1〜3のいずれか一に記載のETの測定方法。
【請求項5】
基質が、発光基質であり、発光反応を導き、発光量により酵素活性を測定する請求項1〜4のいずれか一に記載のETの測定方法。
【請求項6】
発光基質が、1,2−ジオキセタン系化合物である請求項5に記載のETの測定方法。
【請求項7】
発光量が、光電子倍増管で増幅される請求項5又は6に記載のETの測定方法。
【請求項8】
ETが、Lipopolysaccharides、内毒素、リポ多糖、発熱物質、又はパイロジェンである請求項1〜7の何れか一に記載のETの測定方法。
【請求項9】
検体が、培養液、血液透析液及びその廃液、注射用水、医薬品、純水から選ばれる請求項1〜8のいずれか一に記載のETの測定方法。
【請求項10】
エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、これと測定すべきETに対して反応性をもつ酵素標識物質を接触させて反応させ、その後、酵素に対する基質を接触させて反応を導き、酵素活性を測定することによりETを測定することを含む請求項1〜9に記載のETの測定方法。
【請求項11】
エンドトキシン(以下ET)と特異的に結合する能力を有する物質を担体に固定化してえられる固相を検体と接触させ、検体中のETを固相に捕捉し、これと測定すべきETに対して反応性をもつ物質(第一物質)を接触させて反応させ、さらに第一物質と特異的に反応する酵素標識物質(第二物質)を接触させて反応させ、その後、酵素に対する基質を接触させて反応を導き、酵素活性を測定することによりETを測定することを含む請求項1〜9に記載のETの測定方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一に記載のETの測定方法によるET夾雑の判定方法。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか一に記載のETの測定方法に用いることができる試薬を含むETの測定用試薬測定キット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−200961(P2006−200961A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11108(P2005−11108)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】