説明

エーテル化合物の製造方法

【課題】 プロペニルエーテル基含有化合物に活性水素含有化合物を付加させる反応において、プロペニルエーテル基における2位の炭素原子に活性水素含有化合物を高選択的に付加させることにより、アセタール基を有しない耐水性及び安定性に優れたエーテル化合物を製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A1)と、一般式(2)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B1)を触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(4)で表されるエーテル化合物(D1)の製造方法;及び一般式(5)で表される活性水素含有化合物(A2)と、一般式(7)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B2)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(8)で表されるエーテル化合物(D2)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エーテル化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビニルエーテル基又はアリルエーテル基を有する化合物に活性水素含有化合物を付加させる反応は、種々の化合物を製造する方法として応用が試みられている。例えば、酸触媒の存在下、ビニルエーテル基を有する化合物に、水酸基等の活性水素を有する化合物を付加反応させると、活性水素含有化合物はビニルエーテル基における1位の炭素原子に高選択的に付加し、アセタール基を有する生成物が得られることが知られている(非特許文献1)。しかしながら、得られた生成物のアセタール基は、容易に加水分解してしまい耐水性が悪いという問題があった。そこで、活性水素含有化合物をビニルエーテル基における2位の炭素原子に高選択的に付加させる方法が種々検討されているが、未だ成功していない。
一方、アリルエーテル基を有する化合物に活性水素含有化合物を付加させる反応では、付加反応がほとんど起こらず、反応物が得られないということが知られている。
【0003】
また、プロペニルエーテル基を有する化合物に活性水素含有化合物を付加させる反応についても、プロペニルエーテル基における2位の炭素原子に活性水素含有化合物を高選択的に付加させることにより、アセタール基を有しない反応物が得られると考えられるが、そのような付加反応を制御した方法は未だ成功していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T.Hashimoto,K.Ishizuka,A.Umehara,T.Kodaira:J.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.,40,4053(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プロペニルエーテル基を有する化合物に活性水素含有化合物を付加させる反応において、プロペニルエーテル基における2位の炭素原子に活性水素含有化合物を高選択的に付加させることにより、アセタール基を有しない耐水性及び安定性に優れたエーテル化合物を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A1)と、一般式(3)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B1)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(4)で表されるエーテル化合物(D1)の製造方法;及び一般式(5)で表される活性水素含有化合物(A2)と、一般式(7)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B2)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(8)で表されるエーテル化合物(D2)の製造方法である。
【化1】

式中、R1は、炭素数1〜22の炭化水素基;R2は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;Xは水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22のアルコキシ基、炭素数1〜22のアシル基又は一般式(2)で表される基;Yは−O−又は−S−で表される基である。
【化2】

式中、R3は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;mは0〜100の数である。
【化3】

式中、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;pは0〜200の数;R4は炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基;kは1〜6の整数である。
【化4】

式中、R1、R2、X及びYは、一般式(1)におけるR1、R2、X及びYと同様の基;R4、A2O、p及びkは一般式(3)におけるR4、A2O、p及びkと同様の基又は数である。
【化5】

式中、R1は炭素数1〜22の炭化水素基;R2は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;R5は炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基;Yは−O−又は−S−で表される基;Zは炭素数1〜22のアルキレン基又は一般式(6)で表される基;qは1〜6の整数である。]
【化6】

式中、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;mは0〜100の数である。
【化7】

式中、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;pは0〜200の数;R6は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基である。
【化8】

式中、R1、R2、R5、Y、Z及びqは、一般式(5)におけるR1,R2、R5、Y、Z及びqと同様の基又は数;A2O、R6及びpは、一般式(7)におけるA2O、R6及びpと同様の基又は数である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエーテル化合物の製造方法は、プロペニルエーテル基を有する化合物に活性水素を有する化合物を付加させる反応において、プロペニルエーテル基における2位の炭素原子に活性水素含有化合物を高選択的に付加させることにより、アセタール基を有しない耐水性及び安定性に優れたエーテル化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一般式(4)で表されるエーテル化合物(D1)の製造方法は、一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A1)と一般式(3)で表されるプロペニルエーテル基を含有化合物(B1)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする。
【0009】
一般式(1)におけるR1は、炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数5〜22のシクロアルキル基及びシクロアルケニル基等が挙げられる。これらのうち、入手し易さの観点から好ましいのは、炭素数1〜22のアルキル基及び炭素数2〜22のアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数1〜22のアルキル基であり、特に好ましいのはメチル基である。
【0010】
炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコシル基及びn−ドコシル基等が挙げられる。
【0011】
炭素数3〜22のアルケニル基としては、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基、イコセニル基及びドコセニル基等が挙げられる。
【0012】
炭素数6〜22のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、1,3,5−トリメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、ベンジルフェニル基、p−クミルフェニル基、α―ナフチル基、β―ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基、インデニル基、アズレニル基、フェナントレニル基及びアントラセニル基等が挙げられる。
【0013】
炭素数5〜22のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル基、ドデシルシクロヘキシル基及びヘキサデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
炭素数5〜22のシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基、ドデシルシクロヘキセニル基、ヘキサデシルシクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、2,3,4−トリメチルシクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0015】
一般式(1)におけるR2は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、プロペニルエーテル基含有化合物(B1)との反応性の観点から好ましいのは水素原子である。炭素数1〜22の炭化水素基としては、R1と同様の基が挙げられる。
【0016】
一般式(1)におけるXは、水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22のアルコキシ基、炭素数2〜22のアシル基又は一般式(2)で表される基であり、入手し易さの観点から好ましいのは水素原子及び炭素数1〜22の炭化水素基である。炭素数1〜22の炭化水素基としては、一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられる。炭素数1〜22のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、オクタデシロキシ基、4−メチルシクロペンチロキシ基、4−ブチルシクロヘキシロキシ基、4−t−ブチルシクロヘキシロキシ基、4−メチルシクロヘプチロキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基、2−メチルペンタクロロフェノキシ基及び2−メチル−4−デシルフェノキシ基等が挙げられる。炭素数2〜22のアシル基としては、アセチル基、プロピノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イコシノイル基及びドコシノイル基等が挙げられる。
【0017】
一般式(2)におけるR3は、炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。一般式(2)におけるA1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。これらのうち、入手し易さの観点から好ましいのは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基である。炭素数2〜4のオキシアルキレン基は1種でも2種以上の併用でもよく、2種以上の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。一般式(2)におけるmは0〜100の数であり、プロペニルエーテル基含有化合物(B1)との反応性の観点から好ましいのは0〜80であり、更に好ましいのは0〜60である。
【0018】
一般式(1)におけるYは−O−又は−S−で表される基であり、入手し易さの観点から好ましいのは−O−である。
【0019】
一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A1)化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):2−ブチルアルコール[一般式(1)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xがメチル基、Yが−O−で表される基である化合物]
(2):t−ブチルアルコール[一般式(1)におけるR1及びR2がメチル基、Xが水素原子、Yが−O−で表される基である化合物]
(3):メタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物[一般式(1)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であって、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが1、Yが−O−で表される基である化合物]
(4):メタノールのプロピレンオキサイド(6モル)付加物[一般式(1)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが5、Yが−O−で表される基である化合物]
(5):酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキシド(3モル)ブロック付加物[一般式(1)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がアセチル基、A1Oがオキシエチレン基(3モル)とオキシプロピレン基(2モル)がブロック付加した基、mが4、Yが−O−で表される基である化合物]
(6):9−ブトキシメチル−9−ステアリルアルコール[一般式(1)におけるR1がn−オクチル基、R2がn−ノニル基、Xがブトキシ基、Yが−O−で表される基である化合物]
(7):2−ステアロイルメチル−2−プロピルアルコール[一般式(1)におけるR1及びR2がメチル基、Xがステアロイル基、Yが−O−で表される基である化合物]
(8):2−ブチルメルカプタン[一般式(1)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xがメチル基、Yが−S−で表される基である化合物]
(9):1−ブトキシメチル−1−n−オクチルメチルメルカプタン[一般式(1)におけるR1がn−ヘキシル基、R2が水素原子、Xがブトキシ基、Yが−S−で表される基である化合物]
(10):1−ステアロイルメチル−n−プロピルメルカプタン[一般式(1)におけるR1がエチル基;R2が水素原子、Xがステアロイル基、Yが−S−で表される基である化合物]
(11):t−ブチルメルカプタン[一般式(1)におけるR1及びR2がメチル基、Xが水素原子、Yが−S−で表される基である化合物]
(12):9−ブトキシメチル−9−ステアリルメルカプタン[一般式(1)におけるR1がn−オクチル基、R2がn−ノニル基、Xがブトキシ基、Yが−S−で表される基である化合物]
(13):2−ステアロイルメチル−2−プロピルメルカプタン[一般式(1)におけるR1及びR2がメチル基、Xがステアロイル基、Yが−S−で表される基である化合物]
これらは市販品を入手することができる。
【0020】
一般式(3)におけるA2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、一般式(1)におけるA1Oと同様の基が挙げられ、好ましい範囲もA1Oと同様である。
【0021】
一般式(3)におけるR4は、炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、これらのうち、入手し易さの観点から好ましいのは、炭素数1〜22の1〜4価アルコールからすべての水酸基を除いた残基である。炭素数1〜22の1価アルコールから水酸基を除いた残基としては、一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられる。炭素数1〜22の2〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基としては、以下の2〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基が挙げられる。
炭素数1〜22の2価アルコール: エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,2−ペンタンジオール等
炭素数1〜22の3価アルコール:グリセリン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、2,3,4−トリヒドロキシペンタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン及び1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,3−トリヒドロキシヘプタン等
炭素数1〜22の4価アルコール:ペンタエリスリトール等
炭素数1〜22の5価アルコール:キシリトール及びアラビトール等
炭素数1〜22の6価アルコール:ソルビトール及びマンニトール等
【0022】
一般式(3)におけるpは0〜200の数であり、活性水素含有化合物(A1)との反応性の観点から好ましいのは0〜150であり、更に好ましいのは0〜100である。
【0023】
一般式(3)におけるkは1〜6の整数であり、活性水素含有化合物(A1)との反応性の観点から好ましいのは1〜4である。
【0024】
プロペニルエーテル基含有化合物(B1)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):メチルプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がメチル基、pが0、kが1である化合物]
(2):メタノールのエチレンオキサイド(7モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がメチル基、A2Oがオキシエチレン基、pが7、kが1である化合物]
(3):ジプロピレングリコールのプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物]
(4):エチレングリコールのプロピレンオキサイド(14モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がエチレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが7、kが2である化合物]
(5):グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが3である化合物]
(6):ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド(68モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がペンタエリスリトールからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが4である化合物]
(7):キシリトールのプロピレンオキサイド(25モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がキシリトールからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが5、kが5である化合物]
(8):ソルビトールのエチレンオキサイド(30モル)プロピレンオキサイド(30モル)ランダム付加物のプロペニルエーテル[一般式(3)におけるR4がソルビトールからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシエチレン基及びオキシプロピレン基、pが10、kが6である化合物]
【0025】
一般式(3)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B1)は、1〜6価の水酸基を有する化合物のすべての水酸基をアリルクロライドでアリルエーテル化し、得られたアリルエーテル基を有する化合物におけるアリルエーテル基をプロペニルエーテル基に異性化することで得ることができ、具体的には以下の方法が挙げられる。
<アリルエーテル化合物の製造>
撹拌機、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート及びストリッピング装置を備えた耐圧反応容器に、1〜6価の水酸基を有する化合物及び触媒(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)を仕込み、反応温度70〜120℃でアリルクロライドを滴下し、1〜6価の水酸基を有する化合物のアリルエーテル化を行う。1〜6価の水酸基を有する化合物と触媒の仕込みモル比は1:1〜1:1.3が好ましく、前記1〜6価の水酸基を有する化合物とアリルクロライドの仕込みモル比は1:1〜1:1.5が好ましい。また、反応時には、必要により溶媒[炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びn−オクタン等)及びエーテル化合物(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びジオキサン等)等]を使用してもよい。反応終了後は、副生した塩(塩化ナトリウム又は塩化カリウム等)を吸着処理剤で処理した後ろ過することにより除去することができ、必要により溶媒を減圧下除去することもできる。
<プロペニルエーテル化合物の製造>
次いで、攪拌機、加熱冷却装置、温度計及びストリッピング装置を備えた耐圧反応容器に、上記の方法で得られたアリルエーテル基を有する化合物及び触媒を仕込み、窒素置換後、反応温度90〜200℃、反応時間1〜30時間でアリルエーテル基をプロペニルエーテル基に異性化する。触媒としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及び水酸化フランシウム等)、アルカリ金属のアルコキシ化物(t−ブトキシカリウム等)、金属錯体化合物[トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジクロリド等]及び有機金属化合物(n−ブチルリチウム等)]等が挙げられる。触媒の使用量は、アリルエーテル基を有する化合物の重量に基づき、0.1〜10重量%が好ましい。また、反応時には、必要により溶媒[エーテル化合物(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びジオキサン等)及び極性有機溶媒(ジメチルスルホキシド等)]を使用してもよい。反応終了後は、触媒を吸着処理剤で処理した後ろ過することにより除去することができる。
【0026】
本発明におけるエーテル化合物(D1)としては、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。一般式(4)におけるR1、R2、X及びYは、一般式(1)におけるR1、R2、X及びYと同様の基であり、R4、A2O、p及びkは一般式(3)におけるR4、A2O、p及びkと同様の基又は数である。
【0027】
エーテル化合物(D1)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がアセチル基、A1Oがオキシエチレン基(3モル)とオキシプロピレン基(2モル)がブロック付加した基、mが5、Yが−O−で表される基、R4がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが3である化合物。
(2):一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが6、Yが−O−で表される基、R4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物。
(3):一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが2、Yが−O−で表される基、R4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物。
(4):一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xがメチル基、Yが−O−で表される基、R4がメチル基、pが0、kが1である化合物。
(5):一般式(4)におけるR1がn−オクチル基、R2がn−ノニル基、Xがブトキシ基、Yが−O−で表される基、R4がメチル基、pが0、kが1である化合物。
(6):一般式(4)におけるR1及びR2がメチル基、Xがステアロイル基、Yが−O−で表される基、R4がエチレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが7、kが2である化合物。
(7):一般式(4)におけるR1及びR2がメチル基、Xがステアロイル基、Yが−S−で表される基、R4がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが3である化合物。
(8):一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xがメチル基、Yが−S−で表される基、R4がメチル基、pが0、kが1である化合物。
【0028】
本発明における酸触媒(C)としては、無機プロトン酸、有機プロトン酸及びルイス酸等が挙げられる。これらのうち反応性の観点から好ましいのは、有機プロトン酸及びルイス酸である。
【0029】
無機プロトン酸としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸及びそれらの酸性塩等が挙げられる。
【0030】
有機プロトン酸としては、1〜6価の脂肪酸、硫酸エステル基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、リン酸エステル類及びフェノール類等が挙げられる。1〜6価の脂肪酸としては、モノカルボン酸及び2〜6価の多価カルボン酸等が挙げられる。モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、エチル安息香酸、桂皮酸及びt−ブチル安息香酸等が挙げられる。2〜6価の多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸、アスパラギン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、s−アスパラギン酸二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、リンゴ酸及びグルタル酸等が挙げられる。硫酸エステル基含有化合物としては、オクチル硫酸エステル、2−エチルヘキシル硫酸エステル、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、テトラデシル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル及びオレイル硫酸エステル等が挙げられる。スルホン酸基含有化合物としては、p−トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、p−ブチルベンゼンスルホン酸、p−オクチルベンゼンスルホン酸及びp−ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。リン酸エステル類としては、オクチル燐酸エステル、2−エチルヘキシル燐酸エステル、デシル燐酸エステル、ドデシル燐酸エステル、ステアリル燐酸エステル及びオレイル燐酸エステル等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、p−クロロフェノール、β−ナフトール、o−又はp−ニトロフェノール、p−アミノフェノール、カテコール及びレゾルシン等が挙げられる。
【0031】
ルイス酸としては、ハロゲン化物、アルキル化物及び錯体化合物等が挙げられる。ハロゲン化物としては、ハロゲン化ホウ素(三フッ化ホウ素及び三塩化ホウ素等)、ハロゲン化アルミニウム(塩化アルミニウム及び臭化アルミニウム等)、ハロゲン化錫(四フッ化錫及び四塩化錫等)、ハロゲン化アンチモン(塩化アンチモン等)、ハロゲン化鉄(塩化第二鉄等)、ハロゲン化リン(五フッ化リン等)、ハロゲン化亜鉛(塩化亜鉛及び臭化亜鉛等)、ハロゲン化チタン(四塩化チタン等)、ハロゲン化ジルコニウム(塩化ジルコニウム等)等が挙げられる。アルキル化物としては、アルキル化ホウ素[トリフェニルホウ素、トリ(t−ブチル) ホウ素及びトリ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等]、アルキル化アルミニウム[トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム及びジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム等]及びアルキル化亜鉛(ジエチル亜鉛等)等が挙げられる。錯体化合物としては、BF3・ジエチルエーテル錯体及びBF3・テトラヒドロフラン錯体等が挙げられる。
【0032】
活性水素含有化合物(A1)とプロペニルエーテル基含有化合物(B1)を酸触媒(C)の存在下に反応させてエーテル化合物(D1)を製造する方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。撹拌機、冷却器、温度計及び不活性ガス導入管を備えた反応容器に、活性水素含有化合物(A1)及びプロペニル基含有化合物(B1)を順不同で仕込み、不活性ガス導入管から不活性ガス(窒素ガス及びアルゴンガス等)を通気しながら触媒(C)を仕込み反応を行う。反応温度は反応性及び副生成物の生成し難さの観点から好ましいのは0℃〜50℃であり、更に好ましいのは10℃〜40℃であり、特に好ましいのは20℃〜30℃である。反応時間は通常1〜20時間であるが、反応混合物の水酸基価をJIS K 1557の方法で測定することにより反応の終点を確認し、反応時間を適宜調整することができる。また反応時には、必要により溶媒を使用してもよい。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びn−オクタン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば塩化メチレン、ジクロロエタン及びトリクロロエタン等)、エーテル化合物(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びジオキサン等)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用してもよい。反応終了後、触媒(C)は、吸着処理剤で処理した後ろ過する方法、又は触媒(C)を中和した後ろ過する方法等により除去することができる。また反応終了後、必要により溶媒を減圧下除去することもできる。
【0033】
活性水素含有化合物(A1)及びプロペニルエーテル基含有化合物(B1)の仕込みモル比率[(A1):(B1)]は、(B1)が有するプロペニルエーテル基の数に応じで適宜変更する必要があり、一般式(3)におけるkが1の場合、[(A1):(B1)]は1:1〜1.2:1が好ましく、一般式(3)におけるkが2の場合は2:1〜2.4:1が好ましく、一般式(3)におけるkが3の場合は3:1〜3.6:1が好ましく、一般式(3)におけるkが4の場合は4:1〜4.8:1が好ましく、一般式(3)におけるkが5の場合は5:1〜6:1が好ましく、一般式(3)におけるkが6の場合は6:1〜7.2:1が好ましい。
【0034】
前記酸触媒(C)の使用量は、(A1)及び(B1)の合計重量に基づき、反応性の観点から好ましいのは0.005〜10重量%であり、更に好ましいのは0.01〜5重量%であり、特に好ましいのは0.05〜1重量%である。
【0035】
前記吸着処理剤としては、キョーワード600及びキョーワード700等[いずれも協和化学工業(株)製]が挙げられる。吸着処理剤の使用量は(A1)及び(B1)の合計重量に基づき、好ましいのは0.1〜5重量%であり、更に好ましいのは0.2〜1重量%であり、特に好ましいのは0.3〜0.5重量%である。
【0036】
本発明における他の実施態様である、本発明の一般式(8)で表されるエーテル化合物(D2)の製造方法は、一般式(5)で表される活性水素含有化合物(A2)と一般式(7)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B2)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする。
【0037】
一般式(5)におけるR1は炭素数1〜22の炭化水素基であり、一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。一般式(5)におけるR2は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、これらのうち、プロペニルエーテル基含有化合物(B2)との反応性の観点から好ましいのは水素原子である。炭素数1〜22の炭化水素基としては、一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられる。
【0038】
一般式(5)におけるR5は、炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、炭素数1〜22の1価アルコールの残基としては,一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。炭素数1〜22の2〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基としては、一般式(3)におけるR4と同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0039】
一般式(5)におけるZは、炭素数1〜22のアルキレン基又は一般式(6)で表される基である。炭素数1〜22のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、イコシレン基及びドコシレン基等が挙げられる。
【0040】
一般式(5)におけるYは−O−又は−S−で表される基であり、入手し易さの観点から好ましいのは−O−である。
【0041】
一般式(5)におけるqは1〜6の整数であり、プロペニルエーテル基含有化合物(B2)との反応性の観点から好ましいのは1〜4である。
【0042】
一般式(5)で表される活性水素含有化合物(A2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):1−ブトキシメチル−1−ヘキサノール[一般式(5)におけるR1がn−ヘキシル基、R2が水素原子、R5がブチル基、Zが一般式(6)で表される基であってmが0、Yが−O−で表される基、qが1である化合物]
(2):エチレングリコールのプロピレンオキサイド(10モル)付加物[一般式(5)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、R5がエチレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが4、Yが−O−で表される基、qが2である化合物]
(3):グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物[一般式(5)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、R5がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが16、Yが−O−で表される基、qが3である化合物]
(4):ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド(68モル)付加物[一般式(5)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、R5がペンタエリスリトールからすべての水酸基を除いた残基、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが16、Yが−O−で表される基、qが4である化合物]
(5):キシリトールのプロピレンオキサイド(50モル)付加物[一般式(5)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、R5がキシリトールからすべての水酸基を除いた残基、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが9、Yが−O−で表される基、qが5である化合物]
(6):ソルビトールのプロピレンオキサイド(60モル)付加物[一般式(5)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、R5がソルビトールからすべての水酸基を除いた残基、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが9、Yが−O−で表される基、qが6である化合物]
(7):1−ブトキシメチル−1−ヘキシルメチルメルカプタン[一般式(5)におけるR1がn−ヘキシル基、R2が水素原子、R5がブチル基、Zが一般式(6)で表される基であってmが0、Yが−S−で表される基、qが1である化合物]
これらは市販品を入手することができる。
【0043】
プロペニルエーテル基含有化合物(B2)を表す上記一般式(7)において、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては,一般式(3)におけるA2Oと同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。R6は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては,一般式(1)におけるR1と同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。pは0〜200の数であり、活性水素含有化合物(A2)との反応性の観点から好ましいのは0〜150であり、更に好ましいのは0〜100である。
【0044】
プロペニルエーテル基含有化合物(B2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):n−ヘキシルプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がn−ヘキシル基、pが0である化合物]
(2):イソプロピルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がイソプロピル基、A2Oがオキシエチレン基、pが10である化合物]
(3):メタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がメチル基、A2Oがオキシプロピレン基、pが2である化合物]
(4):メタノールのエチレンオキサイド(5モル)プロピレンオキサイド(5モル)ブロック付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がメチル基、A2Oがオキシエチレン基(5モル)とオキシプロピレン基(5モル)がブロック状に付加した基、pが10である化合物]
(5):ステアリルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がステアリル基、A2Oがオキシエチレン基、pが10である化合物]
(6):オレイルアルコールのプロピレンオキサイド(100モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がオレイル基、A2Oがオキシプロピレン基、pが100である化合物]
(7):フェノールのエチレンオキサイド(100モル)付加物のプロペニルエーテル[一般式(7)におけるR6がフェニル基、A2Oがオキシエチレン基、pが100である化合物]
【0045】
プロペニルエーテル基含有化合物(B2)は、前記プロペニルエーテル基含有化合物(B1)と同様に、1〜6価の水酸基を有する化合物のすべての水酸基をアリルクロライドでアリルエーテル化し、得られたアリルエーテル基を有する化合物におけるアリルエーテル基を、プロペニルエーテル基に異性化することで得ることができる。
【0046】
本発明におけるエーテル化合物(D2)としては、一般式(8)で表される化合物が挙げられる。一般式(8)におけるR1、R2、R5、Y、Z及びqは、一般式(5)におけるR1、R2、R5、Y、Z及びqと同様の基又は数であり、R6、A2O、及びpは一般式(7)におけるR6、A2O、及びpと同様の基又は数である。
【0047】
エーテル化合物(D2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(1):一般式(8)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが16、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシエチレン基、pが10、R5がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、R6がステアリル基、qが3である化合物。
(2):一般式(8)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが1、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシプロピレン基、pが2、R5がブトキシ基、R6がメチル基、qが1である化合物。
(3):一般式(8)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるmが0、Yが−O−で表される基、pが0、R5がブトキシ基、R5がn−ヘキシル基、qが1である化合物。
(4):一般式(8)におけるR1がn−ヘキシル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるmが0、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシエチレン基、pが10、R5がブチル基、R6がイソプロピル基、qが1である化合物。
(5):一般式(8)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが9、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシエチレン基、pが10、R5がキシリトールからすべての水酸基を除いた残基、R6がイソプロピル基、qが5である化合物。
(6):一般式(8)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であってA1Oがオキシプロピレン基、mが9、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシエチレン基、pが10、R5がソルビトールからすべての水酸基を除いた残基、R6がイソプロピル基、qが6である化合物。
(7):一般式(8)におけるR1がメチル基;R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが1、Yが−S−で表される基、A2Oがオキシプロピレン基、pが2、R5がブトキシ基、R6がメチル基、qが1である化合物。
【0048】
活性水素含有化合物(A2)とプロペニルエーテル基含有化合物(B2)を触媒(C)の存在下に反応させてエーテル化合物(D2)を製造する方法としては、前記活性水素含有化合物(A1)とプロペニルエーテル基含有化合物(B1)を酸触媒(C)の存在下に反応させてエーテル化合物(D1)を製造する方法と同様の方法が挙げられ、また反応条件も同様の条件で行うことができる。
【0049】
活性水素含有化合物(A2)及びプロペニルエーテル基含有化合物(B2)の仕込みモル比率[(A2):(B2)]は、(A2)が有する一般式(5)におけるqの数字によって適宜変更する必要があり、一般式(5)におけるqが1の場合、[(A2):(B2)]は1:1〜1.2:1が好ましく、一般式(5)におけるqが2の場合は1:2〜1.4:2が好ましく、一般式(5)におけるqが3の場合は1:3〜1.6:3が好ましく、一般式(5)におけるqが4の場合は1:4〜1.8:4が好ましく、一般式(5)におけるqが5の場合は1:5〜2:5が好ましく、一般式(5)におけるqが6の場合は1:6〜2.2:6が好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0051】
<製造例1>グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)の製造
温度計、加熱冷却装置、撹拌機、滴下ロート及びストリッピング装置を備えたステンレス製耐圧容器に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物610部(0.2モル部)、水酸化ナトリウム30部(0.75モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、25〜35℃に温度を調整しながら、アリルクロライド64.3部(0.84モル)を滴下し、滴下後80〜85℃で15時間反応させた後、減圧下(20mmHg)で未反応のアリルクロライドを除去した。次いで水700部を仕込み、室温で1時間攪拌後1時間静置し、二層に分離したうちの下層を取り除き、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]7部を加え、95〜105℃で1時間撹拌後吸着処理剤をろ過して、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のアリルエーテル615部を得た。
次に、温度計、加熱冷却装置及び撹拌機を備えたステンレス製耐圧反応容器にグリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のアリルエーテル600部及び水酸化セシウムの50重量%水溶液22.5部を仕込み、窒素置換後密閉し、160〜180℃で20時間異性化反応をした。吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]7部を加え、95〜105℃で1時間撹拌後、吸着処理剤をろ過して、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)597部を得た[一般式(3)におけるR4がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが3である化合物]。
【0052】
<製造例2>ジプロピレングリコールのプロペニルエーテル(B1−2)の製造
グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物610部(0.2モル部)をジプロピレングリコール26.8部(0.2モル部)に、水酸化ナトリウムの部数30部(0.76モル部)を20部(0.50モル部)に、アリルクロライドの部数64.3部(0.84モル)を42.9部(0.56モル部)に変更した以外は、製造例1と同様にしてジプロピレングリコールのプロペニルエーテル(B1−2)41部を得た[一般式(3)におけるR4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物]。
【0053】
<製造例3>ステアリルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−1)の製造
グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物610部(0.2モル部)をステアリルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物142部(0.2モル部)に、水酸化ナトリウムの部数30部(0.75モル部)を10部(0.25モル部)に、アリルクロライドの部数64.3部(0.84モル)を21.3部(0.28モル部)に変更した以外は、製造例1と同様にして、ステアリルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−1)147部を得た[一般式(7)におけるR6がステアリル基、A2Oがオキシエチレン基、pが10である化合物]。
【0054】
<製造例4>メタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−2)の製造
グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物610部(0.2モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物29.6部(0.2モル部)に、水酸化ナトリウムの部数30部(0.75モル部)を10部(0.25モル部)に、アリルクロライドの部数64.3部(0.84モル)を21.3部(0.28モル部)に変更した以外は、製造例1と同様にしてメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−2)101部を得た[一般式(7)におけるR6がメチル基、A2Oがオキシエチレン基、pが2である化合物]。
【0055】
<実施例1>
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)及び製造例1で得たグリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を仕込み、撹拌下窒素を液中に通気しながら10〜20℃でp−トルエンスルホン酸一水和物1.1部を投入し、10〜20℃で3時間反応した。反応終了後、水酸化ナトリウム0.2部を投入して中和した。次いで吸着処理剤「キョーワード2000」[協和化学工業(株)製]2部を加え、95〜105℃で1時間撹拌後吸着処理剤をろ過して、エーテル化合物(D1−1)204部を得た[一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がアセチル基、A1Oがオキシエチレン基(3モル)とオキシプロピレン基(2モル)がブロック付加した基、mが5、Yが−O−で表される基、R4がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、A2Oがオキシプロピレン基、pが17、kが3である化合物]。
【0056】
<実施例2>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(6モル)付加物(A1−2)136.8部(0.36モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を製造例2で得たジプロピレングリコールのジプロペニルエーテル(B1−2)32.1部(0.15モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D1−2)を得た[一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが5、Yが−O−で表される基、R4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物]。
【0057】
<実施例3>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(6モル)付加物(A1−2)136.8部(0.36モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を製造例2で得たジプロピレングリコールのプロペニルエーテル(B1−2)32.1部(0.15モル部)に、p−トルエンスルホン酸一水和物1.1部をBF3のテトラヒドロフラン40重量%溶液2.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D1−3)を得た[一般式(4)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Xが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR3がメチル基、A1Oがオキシプロピレン基、mが5、Yが−O−で表される基、R4がジプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基、pが0、kが2である化合物]。
【0058】
<実施例4>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をグリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物(A2−1)153部(0.05モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を製造例3で得たステアリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(10モル)のプロペニルエーテル(B2−1)112.5部(0.15モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D2−1)を得た[一般式(8)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが16、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシエチレン基、pが10、R5がグリセリンからすべての水酸基を除いた残基、R6がステアリル基、qが3である化合物]。
【0059】
<実施例5>
酢酸のエチレンオキシド(3モル)プロピレンオキシド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物(A2−2)88.8部(0.6モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を製造例4で得たメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−2)113.4部(0.6モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D2−2)を得た[一般式(8)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが1、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシプロピレン基、pが2、R5及びR5がメチル基、qが1である化合物]。
【0060】
<実施例6>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物(A2−2)88.8部(0.6モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)を製造例4で得たメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−2)113.4部(0.6モル部)に、p−トルエンスルホン酸一水和物をBF3のテトラヒドロフラン40重量%溶液2.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D2−3)を得た[一般式(8)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Zが一般式(6)で表される基であり、一般式(6)におけるA1Oがオキシプロピレン基、mが1、Yが−O−で表される基、A2Oがオキシプロピレン基、pが2、R5及びR5がメチル基、qが1である化合物]。
【0061】
<比較例1>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)を酢酸のエチレンオキサイド(3モル)付加物32.5部(0.17モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、エーテル化合物(D’−1)を得た。
【0062】
<比較例2>
酢酸のエチレンオキサイド(3モル)プロピレンオキサイド(2モル)ブロック付加物(A1−1)52.4部(0.17モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物(A2−2)88.8部(0.6モル部)に、グリセリンのプロピレンオキサイド(51モル)付加物のプロペニルエーテル(B1−1)159部(0.05モル部)をメタノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のプロペニルエーテル(B2−2)112.8部(0.6モル部)に、p−トルエンスルホン酸一水和物1.1部を水酸化ナトリウム0.3部に変更した以外は実施例1と同様にしたが、エーテル化合物は得られなかった。
【0063】
実施例1〜6及び比較例1、2のエーテル化合物の製造方法において、(1)活性水素含有化合物とプロペニルエーテル基含有化合物との反応率(P1)、(2)活性水素含有化合物がプロペニルエーテル基含有化合物の有するプロペニルエーテル基の1位の炭素原子に付加した比率(P2)、及び(3)活性水素含有化合物がプロペニルエーテル基含有化合物の有するプロペニルエーテル基の2位の炭素原子に付加した比率(P3)、を以下の方法で計算した。結果を表1に示す。
(1)活性水素含有化合物とプロペニル基含有化合物との反応率(P1)
実施例1〜6及び比較例1〜2において、反応容器内に仕込んだ酸触媒投入前の活性水素含有化合物とプロペニルエーテル基含有化合物の混合物の1H−NMR(E)、並びに実施例1〜6及び比較例1〜2で得られたエーテル化合物の1H−NMR(F)を測定し、以下の計算式で算出した。
(P1)(モル%)=(E1−F1)/E1×100
E1:(E)におけるプロペニルエーテル基含有化合物が有するプロペニルエーテル基の酸素原子に隣接した炭素原子上のプロトン(δ=5.2ppm付近)の積分値
F1:(F)におけるエーテル化合物が有するプロペニルエーテル基の酸素原子に隣接した炭素原子上のプロトン(δ=5.2ppm付近)の積分値
(2)活性水素含有化合物が、プロペニルエーテル基含有化合物の有するプロペニルエーテル基の1位の炭素原子に付加した比率(P2)
(1)で測定した(E)及び(F)の1H−NMRから、以下の計算式で算出した。
(P2)(モル%)=F2/E1×100
F2:(F)におけるエーテル化合物が有する−Y−CH−O−に由来するプロトン(δ=4.5ppm付近)の積分値
(3)活性水素含有化合物が、プロペニルエーテル基含有化合物の有するプロペニルエーテル基の2位の炭素原子に付加した比率(P3)
(2)で得られた(P2)から、以下の計算式で算出した。
(P3)(モル%)=100−(P2)
なお、(1)及び(2)における1H−NMRは、以下の方法で測定した。
試料約30mgを直径5mmの1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化アセトン、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等が挙げられ、試料を溶解させることができる溶媒を適宜選択する。
【0064】
【表1】

【0065】
表1から明らかなように、実施例1〜6で得られたエーテル化合物は、活性水素含有化合物がプロペニルエーテル基含有化合物の有するプロペニル基の2位の炭素原子に高選択的に付加して生成したエーテル化合物であり、アセタール基をほとんど有しないエーテル化合物であった。一方、比較例1で得られたエーテル化合物(D’−1)は、すべての活性水素含有化合物がプロペニルエーテル基含有化合物が有するプロペニルエーテル基の1位の炭素原子に付加したエーテル化合物であった。また、比較例2の結果から、触媒として塩基性触媒を用いた場合には、付加反応が進行しないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のエーテル化合物の製造方法は、アセタール基を有しないエーテル化合物を製造する方法として有用である。また、得られたエーテル化合物はアセタール基を有しないため加水分解し難く、耐水性に優れることから、例えば、冷動機油、特種溶剤、硬質又は軟質ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤、床材、エラストマー、シーリング材、潤滑剤、作動液、樹脂改質剤及び金属イオン吸収剤等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A1)と、一般式(3)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B1)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(4)で表されるエーテル化合物(D1)の製造方法。
【化9】

[式中、R1は、炭素数1〜22の炭化水素基;R2は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;Xは水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22のアルコキシ基、炭素数1〜22のアシル基又は一般式(2)で表される基;Yは−O−又は−S−で表される基である。]
【化10】

(式中、R3は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;mは0〜100の数である。)
【化11】

(式中、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;pは0〜200の数;R4は炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基;kは1〜6の整数である。)
【化12】

[式中、R1、R2、X及びYは、一般式(1)におけるR1、R2、X及びYと同様の基;R4、A2O、p及びkは一般式(3)におけるR4、A2O、p及びkと同様の基又は数である。]
【請求項2】
一般式(5)で表される活性水素含有化合物(A2)と、一般式(7)で表されるプロペニルエーテル基含有化合物(B2)を酸触媒(C)の存在下に反応させることを特徴とする一般式(8)で表されるエーテル化合物(D2)の製造方法。
【化13】

[式中、R1は炭素数1〜22の炭化水素基;R2は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基;R5は炭素数1〜22の1〜6価アルコールからすべての水酸基を除いた残基;Yは−O−又は−S−で表される基;Zは炭素数1〜22のアルキレン基又は一般式(6)で表される基;qは1〜6の整数である。]
【化14】

(式中、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;mは0〜100の数である。)
【化15】

(式中、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;pは0〜200の数;R6は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基である。)
【化16】

[式中、R1、R2、R5、Y、Z及びqは、一般式(5)におけるR1,R2、R5、Y、Z及びqと同様の基又は数;A2O、R6及びpは、一般式(7)におけるA2O、R6及びpと同様の基又は数である。]
【請求項3】
一般式(1)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Yが−O−で表される基である請求項1記載のエーテル化合物(D1)の製造方法。
【請求項4】
一般式(5)におけるR1がメチル基、R2が水素原子、Yが−O−で表される基である請求項2記載のエーテル化合物(D2)の製造方法。

【公開番号】特開2011−26245(P2011−26245A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173876(P2009−173876)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】