説明

エーロゲル組成物ならびにその製造および使用方法

エーロゲル成分を含み、そして低熱伝導率を有する組成物。例えば、エーロゲル成分を界面活性剤、バインダーおよび他の成分、例えば繊維と混合することを含む、スラリーあるいは複合材の調製方法。該組成物は、コーティング用途において用いることができるスラリーまたは自立性硬質複合材であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年4月27日出願の、米国仮出願第61/173,046号に対する合衆国法典第35巻第119条e項の下での利益を主張し、これをその全体を参照することにより本明細書の内容とする。
【背景技術】
【0002】
グリーン建築は、優れた特徴を提供し、なお製造と使用することが簡単で容易な材料および活動を支持する。例えば、良好な断熱は、エネルギー要求を低減させ、多くの建築プロジェクトにおいて重要な考慮事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、低熱伝導率を有するおよび/または2つもしくは3つ以上の所望の特性、例えば音響および/または機械特性を組み合わせた材料への必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、全体として、エーロゲル成分を含む組成物、ならびにその組成物を製造する方法および使用する方法に関する。
【0005】
態様によっては、本組成物は、スラリーの形態であり、そして界面活性剤、有機もしくは無機バインダー、および所望により他の成分、例えば、繊維を含んでいる。他の態様では、本組成物は、スラリーの形態であり、そしてエーロゲル成分および高いpHの水を含んでいる。乾燥によって、スラリー組成物は、複合材を形成して、これはコーティングまたは自立性硬質複合材になることができる。好ましくは、この複合材は、ASTM C518に従って測定して、約50mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している。例えば、自立性硬質複合材としては、粒子状の形態のエーロゲルを含んでおり、そしてASTM C518に従って測定して、約20mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している。
【0006】
ここに記載された組成物の多くは、容易に製造でき、そして簡単に使用できる。本発明の態様は、建築業界で用いられる材料に優れた絶縁特性を与え、そしてそのような材料に組み込む、またはそのような材料の表面を覆う、もしくは結合するように用いることができる。ここに開示した幾つかの組成物に関連付けられる疎水性は、湿潤な環境を伴うファサード製作または他の例に利用することができる。エーロゲルの存在は、多くの建築プロジェクトにおいて重要な考慮事項である、材料の総質量を低減させることができる。粘着性と軽量は、共に天井プラスター塗りなどで、特に有利であることができ、それらは剥がれやずれを低減させることができる。多くの態様では、ここに記載された複合材は、優れた耐炎性および/または、音もしくは騒音低減用途に好適な音響減衰特性を有している。
【0007】
態様によっては、ここに開示されている組成物は、優れた特性を維持しながら、低減された数の成分を用いて調製される。例えば、無機バインダーまたは無機バインダー含有配合品のいずれかを用い、しかしながらその両方は用いないことで、調製手順を簡素化し、そして費用を低減することができる。また、成分の数は、エーロゲルを高いpHの水性相と組み合わせることによって、および/または結合性と表面活性特性の両方を有する化合物を用いることによって、低減することができる。
【0008】
添付の図面において、参照符号は、異なる図を通して同じ部品を表している。これらの図面は、必ずしも測定するためのものでなく、むしろ本発明の原理を説明するために強調が加えられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、超低熱伝導率を有しており、そして本発明の態様に従って作られた、20cm×20cmの自立性硬質複合材の写真である。
【図2】図2は、本発明の態様による複合材中のエーロゲルおよびグラウトを示している走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図3】図3は、本発明の態様による、繊維を含み、高いpHの水を用いて調製された複合材のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
建築の種々の詳細および部品の組み合わせを含めた本発明の上記の、および他の特徴、ならびに他の利点を、添付の図面を参照してより具体的に説明し、そして特許請求の範囲に示した。本発明を用いる特定の方法および装置は、説明のために示されるのであり、そして本発明を限定するものではないことが理解されなければならない。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々のそして多くの態様において用いることができる。
【0011】
本発明は、包括的には、組成物、その組成物の製造方法、およびその使用方法に関している。
【0012】
ここに開示されている組成物は、乾燥混合物、溶液、分散液、懸濁液、スラリー、ペースト、乾燥したまたは硬化した製品、例えば固体、例えば、自立性硬質複合材、例えばエーロゲルブランケットを一緒にラミネートすることによって作られる、多層複合材などの形態であることができる。本組成物は、種々の物品に形成する、種々の物品上に適用する、または種々の物品中に組み込むことができる。
【0013】
包括的には、本組成物は、エーロゲル成分を含んでいる。エーロゲルは、低密度の多孔質固体であり、大きな粒子内細孔体積を有しており、そして典型的には湿潤ゲルから細孔液体を取り除くことによって生成される。しかしながら、この乾燥プロセスは、ゲル細孔中の毛細管力によって複雑化されている可能性があり、これがゲル収縮または高密度化を生じさせる可能性がある。1つの製造上の取り組みでは、三次元構造の崩壊は、超臨界的な乾燥を用いることによって本質的に排除することができる。また、湿潤ゲルは、周囲圧を用いて乾燥することもでき、非超臨界的乾燥プロセスとも称される。例えば、シリカ系の湿潤ゲルに適用される場合には、表面改質、例えば末端キャッピングが、乾燥の前に行なわれ、乾燥製品中の永久的な収縮を防止する。このゲルは、乾燥の間に、なお収縮する可能性があるが、しかしながら跳ね戻って、その元の開孔度を回復する。
【0014】
また、「キセロゲル」と称される製品が、液体が除去された湿潤ゲルから得られる。この用語は、しばしば、乾燥の間に毛細管力によって圧縮された乾燥ゲルを示しており、永久的な変化と三次元的なネットワークの崩壊によって特徴付けられる。
【0015】
便宜上、用語「エーロゲル」は、ここでは広い意味で用いられており、「エーロゲル」と「キセロゲル」の両方を表している。
【0016】
エーロゲルは、典型的には低い嵩密度(約0.15g/cm以下、好ましくは約0.03〜0.3g/cm)、非常に大きな表面積(通常は、約300〜約1000平方メートル/グラム(m/g)、およびより高い、好ましくは約600〜約1000m/g)、高い開孔度(約90%以上、好ましくは約95%超)、ならびに比較的に大きな細孔体積(例えば、約3ミリリットル/グラム(mL/g)、好ましくは約3.5mL/g以上、例えば7mL/g)を有している。エーロゲルは、1ミクロン(μm)未満の細孔を備えた、ナノ多孔質構造を有することができる。しばしば、エーロゲルは、約20ナノメートル(nm)の平均細孔直径を有していることができる。無定形構造におけるこれらの性質の組み合わせは、いずれかのまとまった固体材料としては、最小の熱伝導率値(例えば、37℃の平均温度と1気圧の圧において、9〜16mW/m−K)を与える。エーロゲルは、ほぼ透明または半透明であることができ、青色光を散乱させるか、または不透明であることができる。
【0017】
通常の種類のエーロゲルは、シリカ系である。ケイ素以外の金属、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、イットリムなど、またはそれらの組み合わせ、の酸化物を主成分とするエーロゲルも同様に用いることができる。
【0018】
他に知られているのは、有機エーロゲル、例えば、ホルムアルデヒドと組み合わされたレソルシノールまたはメラミン、樹脂状ポリマーなどであり、そして本発明は、これらの材料を用いても実施することができる。
【0019】
好適なエーロゲル材料およびその調製方法が、例えば、2001年10月25日発行のSchwertfegerらの米国特許出願公開第2001/0034375号明細書中に記載されており、その全体を参照することにより本明細書の内容とする。
【0020】
好ましくは、エーロゲル成分は、疎水性エーロゲルを含んでいる。ここで用いられる用語「疎水性」および「疎水化された」は、部分的に、ならびに完全に疎水化されたエーロゲルを表している。部分的に疎水化されたエーロゲルの疎水性は、更に増大させることができる。完全に疎水化されたエーロゲルでは、最大程度の達成度に到達しており、そして本質的に全ての化学的に達成可能な基が改質されている。
【0021】
疎水性は、当技術分野で知られている方法、例えば、接触角測定、またはメタノール(MeOH)濡れ性によって測定することができる。エーロゾルに関連した疎水性の議論を、例えば、2004年3月23日にHrubeshらに発行された、米国特許第6,709,600号明細書中に見出すことができ、その教示を参照することによって本明細書の内容とする。
【0022】
疎水性エーロゲルは、疎水化剤、例えばシリル化剤、ハロゲンおよび特にフッ素含有化合物、例えば、フッ素含有アルコキシシランもしくはアルコキシシロキサン、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(TFPTMOS)、および当技術分野で知られている他の疎水化化合物を用いることによって生成することができる。疎水化剤は、エーロゲルの形成の間に用いることができ、および/または続く工程、例えば表面処理において用いることができる。
【0023】
シリル化化合物、例えば、シラン、ハロシラン、ハロアルキルシラン、アルコキシシラン、アルコキシアルキルシラン、アルコキシハロシラン、ジシロキサン、ジシラザンなどが好ましい。好適なシリル化剤の例としては、ジエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、エチルフェニルジクロロシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、例えば、トリメチルブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、sym-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルジクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス{3−(トリエトキシシリル)プロピル}テトラスルフィド、へキサメチルジシラザンおよびそれらの組み合わせが挙げられるがそれらには限定されない。
【0024】
例によっては、このエーロゾルは、例えば、疎水性エーロゲルを表面活性剤(ここでは界面活性剤、分散剤または湿潤剤とも表される)で処理することによって得た、親水性の表面または殻を有している。
【0025】
界面活性剤は、イオン性(アニオン性およびカチオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、および高分子化合物などから選択することができる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩および高級アルキルエーテル硫酸塩、より具体的には、ラウリル硫酸アンモニウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを挙げることができる。
【0026】
カチオン性界面活性剤としては、例えば脂肪族のアンモニウム塩およびアミン塩、より具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0027】
両性の界面活性剤は、ベタイン型のもの、例えば、アルキルジメチルベタイン、またはオキシド型のもの、例えば、アルキルジメチルアミンオキシドなど、であることができる。
【0028】
ノニオン性界面活性剤としては、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0029】
一般には、エーロゾルと相溶性であるいずれかの界面活性剤を用いることができる。用いることができる界面活性剤の具体的な例としては、以下全てはBASFからのPluronic P84、PE6100、PE6800、L121、Emulan EL、Lutensol FSAlO、Lutensol XP89、MichelmannからのMP5490、AEROSOL OT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)、BARLOX 12i(分岐アルキルジメチルアミンオキシド)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)およびTRITON 100(オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール)、TWEEN界面活性剤、例えばTWEEN 100界面活性剤、ならびにBASF pluronic界面活性剤などが挙げられるが、それらには限定されない。一般的な分類としては、グリコール、アルコキシレートポリオキシアルキレン脂肪族エーテル、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族エーテル、ソルビタンエステル、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、高分子界面活性剤、例えばHypermenポリマー界面活性剤、ナトリムココ−PG−ジモニウムクロリドホスファートおよびコアミドプロピルPG−ジモニウムクロリドホスファート、リン酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、Renexノニオン性界面活性剤(エチレンオキシドおよび不飽和脂肪酸および複素環式樹脂酸の反応によって形成されたノニオン性エステル)、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体あるいはそれらの組み合わせがある。
【0030】
界面活性剤の量の増加は、水性相が侵入することができる深さを増大させ、そして従って、疎水性エーロゲルの核を取り囲む親水性の被覆の厚さを増大させる傾向にある。
【0031】
エーロゲル材料は、1種もしくは2種以上の添加剤、例えば繊維、不透明剤、着色顔料、染料およびそれらの混合物を含むことができる。例えば、シリカエーロゲルは、添加剤、例えば繊維および/または1種もしくは2種以上の金属もしくはその化合物を含むように調製することができる。具体的な例としては、アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、または他の非珪質(non-siliceous)金属、ならびにそれらの酸化物が挙げられる。不透明剤の限定するものではない例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、およびそれらの混合物が挙げられる。添加剤は、例えば、所望の性質および/または特定の用途に応じて、いずれかの好適な量で与えることができる。
【0032】
好ましいエーロゲル材料は、顆粒、ペレット、ビーズ、粉末、または他の粒子状形態に、そして意図された用途に好適な粒径に、製造される。例えば、これらの粒子は、約0.01ミクロン〜約10.0ミリメートル(mm)の範囲内であることができ、そして好ましくは、0.3〜3.0mmの範囲の平均粒径を有している。多くの態様においては、より大きな粒子が好ましい。また、好ましいのは、効率的な充填を促進する粒径分布(PSD)を有するエーロゾル粒子である。
【0033】
商業的に入手可能な粒子状形態のエーロゲル材料の例としては、Cabot Corporation(ビルリカ、マサチューセッツ州)によってNanogel(登録商標)の商標名の下に供給されているものがある。Nanogel(登録商標)エーロゲル顆粒は、大きな表面積を有しており、約90%超の多孔性であり、そして例えば、約8ミクロン(μm)〜約10mmの範囲の粒径で入手可能である。半透明のNanogel(登録商標)エーロゲルの具体的な品種としては、例えば、TLD302、TLD301またはTLDlOOと称されるものが挙げられ;IR−不透明化Nanogel(登録商標)エーロゲルの具体的な品種としては、例えば、RGD303またはCBTLD 103の名称のものが挙げられ;不透明なNanogel(登録商標)エーロゲルの具体的な品種としては、例えば、0GD303と称されるものが挙げられる。
【0034】
また、このエーロゲル成分は、好適な大きさに切り刻まれた(chopped)、または分割されたモノリスのエーロゲルの断片からなる、断片から本質的になる、あるいは断片を含んでいてもよい。
【0035】
また、エーロゲル成分は、1種または2種以上のエーロゲルを主成分とする複合材材料から形成することができる。エーロゲルを主成分とする複合材材料は、繊維およびエーロゲル(例えば、繊維強化エーロゲル)ならびに、所望により、少なくとも1種のバインダーを含むことができる。これらの繊維は、いずれかの好適な構造を有していることができる。例えば、これらの繊維は、平行の方向、直交の方向、共通の方向またはランダムな方向に向いていることができる。1種または2種以上の種類の繊維が存在することができる。これらの繊維は、それらの組成、大きさまたは構造の点からは異なっていることができる。複合材においては、1種類の繊維が、異なる寸法(長さおよび直径)を有していてもよく、そしてそれらの方向は異なっていてよい。例えば、長繊維は、平面内に整列されており、一方でより短い繊維が、ランダムに分布している。
【0036】
特定の実施態様では、例えば、Frankらに2005年5月3日に発行された米国特許第6,887,563号明細書(参照することによってその教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、用いられるエーロゲル成分は、エーロゲル材料、バインダーおよび少なくとも1種の繊維材料を含む複合材である。
【0037】
好適なエーロゲル成分の他の例としては、少なくとも1種のエーロゲルおよび少なくとも1種のシンタクチックフォームが挙げられる。このエーロゲルは、例えば、エーロゲルを主成分とする複合材(Aerogel Based Composites)の表題である国際公開第WO2007/047970号(参照することによってその教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、ポリマーがそのエーロゲルの細孔中へ侵入することを防ぐためにコーティングすることができる。
【0038】
エーロゲル成分は、構成物中のブランケットの形態であることができ、その中では、ブランケットシートは、互いにラミネートされて多層複合材を形成する。用いることができるエーロゲルを主成分とする材料の例としては、Frankらに1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,075号明細書(参照することによってその教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、砕かれたモノリスを挙げることができるが、それには限定されない。好ましくは、砕片(cracks)は、エーロゲル断片を含んでおり、これらは繊維によって連結されている。エーロゲル断片は、0.001mm〜1cmの平均体積を有することができる。1つの場合には、エーロゲル断片は、0.1mm〜30mmの平均体積を有している。用いることができる他のエーロゲル成分としては、例えば、Frankらに2005年5月3日に発行された米国特許第6,887,563号明細書(参照することによってその教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、エーロゲル材料、バインダーおよび少なくとも1種の繊維材料の複合材が挙げられる。用いることができる他の好適なエーロゲル成分としては、Frankらに1998年7月28日に発行された米国特許第5,786,059号明細書(参照することによってその教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、2成分繊維を含む繊維ウエブ/エーロゲル複合材である。そのような複合材は、繊維ウエブの少なくとも1つの層とエーロゾル粒子を用いており、この繊維ウエブは、少なくとも1種の2成分繊維材料を含み、この2成分繊維材料は、より低い溶融性領域とより高い溶融性領域を有しており、そしてこのウエブの繊維はエーロゲル粒子に結合されているだけでなく、この繊維材料の低溶融性領域によって互いに結合されている。特定の実施態様では、エーロゲル成分は、例えば、ともにLeeらの、2005年3月3日公開の米国特許出願公開第2005/0046086号明細書および2005年8月4日公開の米国特許出願公開第2005/0167891号明細書(これらを参照することによってそれらの教示を本発明の内容とする)中に記載されているように、湿潤ゲル構造から生成されたシートまたはブランケットを含んでいる。商業的には、エーロゲル型のブランケットまたはシートは、Cabot Corporation(ビルリカ、マサチューセッツ州)から、またはAspen Aerogels, Inc.(ノースバラ、マサチューセッツ州)から入手可能である。
【0039】
また、エーロゾルからなる、エーロゾルから本質的になる、またはエーロゾルを含む材料の組み合わせも、エーロゾル成分を形成するために用いることができる。例えば、本発明の組成物は、異なる種類のエーロゾル材料を用いて、例えば、異なる粒径および/または光透過性を有する顆粒状のエーロゾルを組み合わせることによって、生成することができる。1つの例では、この組み合わせとしては、TLD302およびTLD203のNanogel(登録商標)エーロゲルが挙げられる。
【0040】
エーロゲル成分は、本組成物中に、いずれかの好適な量で存在している。例によっては、エーロゲル成分は、本組成物中に、約40〜約95体積%の範囲内の量で、好ましくは約60〜約95体積%の範囲内の量で、存在している。質量%では、エーロゲル成分は、約5〜約95質量%の範囲内、より好ましくは約30〜約90質量%の範囲内であることができる。好ましい態様では、本組成物は、エーロゲルの高い水準の充填量、すなわち少なくとも50質量%、を有している。特定の例では、エーロゲルは、本組成物中に、約50質量%〜約75質量%の範囲内の量で存在する。
【0041】
エールゲル成分に加えて、本発明の多くの態様は、界面活性剤をも含む組成物を指向している。エーロゲルと相溶性である界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、イオン性(アニオン性およびカチオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、および高分子化合物などから選択することができる。また、異なる種類の界面活性剤の組み合わせも用いることができる。
【0042】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩および高級アルキルエーテル硫酸塩、より具体的には、ラウリル硫酸アンモニウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを挙げることができる。カチオン性界面活性剤としては、例えば脂肪族のアンモニウム塩およびアミン塩、より具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。両性の界面活性剤は、ベタイン型のもの、例えば、アルキルジメチルベタイン、またはオキシド型のもの、例えば、アルキルジメチルアミンオキシドなど、であることができる。ノニオン性界面活性剤としては、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0043】
用いることができる界面活性剤の具体的な例としては、以下全てはBASFからのPluronic P84、PE6100、PE6800、L121、Emulan EL、Lutensol FSAlO、Lutensol XP89、MichelmannからのMP5490、AEROSOL OT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)、BARLOX 12i(分岐アルキルジメチルアミンオキシド)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)およびTRITON 100(オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール)、TWEEN界面活性剤、例えばTWEEN 100界面活性剤、ならびにBASF pluronic界面活性剤などが挙げられるが、それらには限定されない。一般的な分類としては、グリコール、アルコキシレートポリオキシアルキレン脂肪族エーテル、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族エーテル、ソルビタンエステル、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、高分子界面活性剤、例えばHypermenポリマー界面活性剤、ナトリムココ−PG−ジモニウムクロリドホスファートおよびコアミドプロピルPG−ジモニウムクロリドホスファート、リン酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、Renexノニオン性界面活性剤(エチレンオキシドおよび不飽和脂肪酸および複素環式樹脂酸の反応によって形成されたノニオン性エステル)、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体あるいはそれらの組み合わせがある。
【0044】
1つの態様では、本組成物は、(i)エーロゲル成分;(ii)界面活性剤および(iii)バインダー、からなる、から本質的になる、あるいは、を含んでいる。
【0045】
無機ならびに有機バインダーを用いることができる。バインダー材料の具体的な例としては、セメント、石灰、石膏、ハイドロタルサイト、混合マグネシウム塩、ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウム、プラスター(plaster)、アクリレートおよび他のラテックス組成物、エポキシポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレンポリマー、例えばテフロン(商標)の名称の下に入手可能なもの、が挙げられるが、それらには限定されない。
【0046】
多くの例では、バインダーは、特定の条件下で、固化する、硬化する(hardens)または硬化される(cured)材料である。便宜上、これらの、そして同様のプロセスを、ここでは「乾燥(drying)」と称している。好ましくは、これらの「乾燥」プロセスは、不可逆性であり、そしてエーロゲル成分とバインダーとを含む固体材料をもたらす。
【0047】
セメントは、しばしば石灰石、粘土および他の成分、例えばアルミナの含水ケイ酸塩を含んでいる。例えば、水硬性セメントは、水と組み合わされた後に、混合する水との化学反応の結果として、固化し、そして硬化する材料であり、そして硬化の後に、水中でさえも強度と安定性を保持する材料である。この強度および安定性への要求の鍵は、水との即座の反応で形成される水和物が、本質的に水に不溶であることである。水硬性セメントの固化および硬化は、水含有化合物の形成によって引き起こされ、それはセメント成分と水との間の反応の結果として形成される。この反応および反応生成物は、それぞれ水和および水和物もしくは水和相と称される。この反応の即座の開始の結果として、硬化が観察でき、それは初期にはわずかであるが、しかしながら、時間と共に増大する。この硬化が所定の水準に到達した時点が、固化の開始と表される。更なる緻密化は、固化と呼ばれ、その後に、硬化段階が始まる。この材料の圧縮強度は、次いで、「超速硬」セメントの場合の数日間から普通セメントの数年までの範囲である一定期間に亘って、着実に増大する。
【0048】
石膏プラスターは、硫酸カルシウム半水化物(CaSO−0.5HO)を主成分とする建築材料の1種である。典型的には、プラスターは、乾燥粉末から出発して、それが水と混合されて、ペーストを形成し、それが熱を放出し、そして次いで硬化する。モルタルまたはセメントと異なり、プラスターは、乾燥後も極めて柔軟なままであり、そして金属用具または紙やすりで容易に処理することができる。石灰プラスターは、水酸化カルシウムと砂(または他の不活性な充てん材)との混合物である。大気中の二酸化炭素が、水酸化カルシウムを炭酸カルシウムへと変えることによって、この種類のプラスターの固化を引き起こす。
【0049】
多くの有機バインダーが、例えば、当技術分野で知られているように、重合または硬化プロセスを通じて、固化または硬化を生じる。
【0050】
バインダーは、エーロゲル成分と、いずれかの好適な比率で組み合わせることができる。例としては、約150〜約5の範囲内、好ましくは約150〜約10の範囲内、より好ましくは90〜30の範囲内の、バインダーに対するエーロゲルの体積比が挙げられるが、それらには限定されない。
【0051】
1つの態様では、界面活性剤および/またはバインダーは、エーロゲル層、例えば、上記のようなブランケットもしくはシートを互いに結合して、多層複合材を形成するために用いられる。
【0052】
本発明の幾つかの例では、バインダーとして作用し、そしてまた界面活性特性を与えるように材料を選択することもができる。そのような材料の好ましい例としては、アクリレートが挙げられる。
【0053】
本発明の態様によっては、界面活性剤またはバインダーのいずれか、あるいはそれらの両方が、配合品中に、例えばモルタル配合品、例えば、グラウト配合品、プラスター配合品、およびそれらのいずれかの組み合わせの中に与えられる。
【0054】
モルタルは、レンガ、石、タイル、コンクリートブロックなどを、構造物へと結合するために用いられる試剤であり、そして砂およびセメント、例えばメーソンリー(masonry)セメント、ポルトランドセメント、オキシクロリドセメントなどを含んでいる。水とともに、砂−セメント混合物は、可塑性の、加工できる混合物を形成し、それが後に固化するか、または硬化する。一般には、モルタルは、コンクリートの場合と同様に、ケイ酸カルシウム系化学物質と共に機能するが、しかしながら、コンクリートとは異なり、それらは粗い凝集体を含まない傾向にある。隣接部分を固体塊へと統合するために、タイル工事において用いられ、または、目地(masonry joint)もしくは他の割れ目に見られるような隙間を充てんするための、例えば、セメント、石灰または石膏の薄いモルタルは、しばしば他の成分、例えば砂および水と共に、しばしば「グラウト」と称される。
【0055】
プラスターは、一般には、石膏または石灰と砂との混合物を表し、これは水と共に、ペースト様の材料を形成し、それはその可塑性の状態で、レンガに、または天井、内壁に用いられる他の表面に、または建物の外部に、直接に適用され、この場合には、プラスターはまた「化粧しっくい(stucco)」として知られている。水が蒸発すると、この材料は、被覆された、またはコーティングされた表面上に、硬いライニングを形成する。
【0056】
モルタル、例えばグラウト、配合品ならびにプラスター配合品は、しばしば、促進剤、遅延剤、流動化剤、空気同伴化合物、顔料、バインダー、ポンプ送出性助剤(pumping aid)などとして作用する付加的な化合物を含んでいる。
【0057】
促進剤は、例えば、コンクリートの水和(硬化)の速度を速める。用いられる典型的な材料の例は、CaClおよびNaClである。遅延剤は、コンクリートの水和の速度を遅くし、そして注入が完了する前の部分的な固化が望ましくない、大規模なまたは困難な注入に用いられる。典型的な遅延剤は、糖(C12)である。
【0058】
空気同伴剤は、コンクリート中に小さな気泡を加え、そして分配し、これが凍結−融解サイクルの間の損傷を低減させ、それによってコンクリートの耐久性を増大させる。しばしば、同伴された空気は、空気の1%当たりに、圧縮強度の5%の低下をもたらす可能性があるので、強度とトレードオフを呈する。
【0059】
流動化剤(減水添加剤)は、可塑性の、または「できたての」コンクリートの加工性を増大させ、より容易に、より小さな充てんの労力で、それを打設することを可能にする。高流動化剤(高性能減水添加剤)は、有意に加工性を増大させるように用いられた場合に、有害な影響がより少ない、流動化剤の1分類である。あるいは、流動化剤は、加工性を維持しながら、コンクリートの水含量を低下させるために用いることができる(そしてこの用途のために減水剤と呼称されている)。このことは、コンクリートの強度および耐久性を向上させる。
【0060】
美的感覚のために、顔料を、コンクリートの色を変えるために用いることができる。典型的な例は、二酸化チタンである(TiO)。腐食防止剤が、コンクリート中の鋼および鋼棒の腐食を最小化するために用いられる。結合剤は、古いコンクリートおよび新しいコンクリートの間に結合を生み出すように用いられる。ポンプ送出性助剤は、ポンプ送出性を向上させ、ペーストを増粘させ、そして脱水性(水が、ペーストから分離してしまう傾向)を低減する。
【0061】
モルタル、例えばグラウト、またはプラスター配合品中に存在することができる他の化合物としては、界面活性剤(tenside)、セルロース、有機ポリマー、例えばアクリレートなどが挙げられる。
【0062】
用いることができる好適なモルタル、例えば、グラウト、またはプラスター配合品としては、特定の用途、例えば乾燥壁パネルの結合、タイルもしくはレンガ工事、ファサード被覆、内装もしくは外装プラスター工事、および当技術分野で知られている多くの他の用途について商業的に入手可能なものが挙げられる。1つの態様では、モルタル(グラウト)配合品は、欧州規格EN13888に従った配合品である。1つの例としては、SAKRET Trockenbaustoffe Europa GmbH & Co. KG(Otto-von-Guericke-Ring 3、D-65205 ウィースバーデン、独国)によって製造され、"Fugenweiss"(Mortier de jointoiement blancまたはImpasto sigillante per giunti bianco)の名称で、欧州において入手可能なグラウト配合品がある。商業的に入手可能な他の好適なグラウト配合品としては、Custom Building Products(米国)からのグラウドポリブレンドがある。また、誂えて作られたモルタル、例えばグラウトまたはプラスター配合品も用いることができる。Custom Building Products(米国、カリフォルニア州)によって製造されたSimplefix Premixed Adhesive and Grout、Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたWaterplug Hydraulic Cement、Elmer's Products(オハイオ州、米国)によって製造されたElmer's Probond Concrete Bonder、Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたThorocrete、は、用いることができるグラウト配合品の限定するものではない他の例である。
【0063】
バインダーとバインダー含有配合品、例えばモルタル、プラスターまたはグラウト配合品の組み合わせを用いることができる。調製を簡素化するために、用いられる成分の数を低減することができ、そして態様によっては、本組成物は、(i)無機バインダー、例えばセメント、または(ii)無機バインダー含有配合品、例えば上記のようなグラウト、モルタルもしくはプラスター配合品、のいずれかを含むことができ、しかしながらこれらの両方は含まない。
【0064】
所望により、本組成物は、他の成分を含むことができる。ここで用いられる用語「他の成分(another ingredient)」または「他の成分(other ingredients)」は、本組成物を形成するのに用いられるエーロゲル成分の外の化合物または材料を表している。例えば、Nanogel(登録商標)エーロゲル粒子が用いられた場合には、用語「他の成分」は、Nanogel(登録商標)エーロゲル粒子中、またはその表面に既に存在している成分ではなく、用いられるNanogel(登録商標)エーロゲル粒子と組み合わせることができる成分を表す。また、一般には、この用語は、バインダー含有配合品、例えばグラウト、プラスターまたはモルタル配合品中に、これらの配合品が用いられている場合に、既には存在していない材料も表している。
【0065】
これらの他の成分は、最終製品を補強するために、エーロゲル粒子の外側表面を湿潤させるために、基材への接着力を増加させて、本組成物が表面により固着し易くするために、本組成物またはそれを用いて仕上げられた物品に所望の他の特徴を与える、もしくは促進するために、あるいは他の理由のために用いることができる。
【0066】
用いることができる他の成分の例としては、不透明剤、粘度調節剤、硬化剤、バインダーが硬化する速度を速める、または遅くする試薬、機械的強度を向上させる試薬もしくは材料、粘度調節剤、流動化剤、滑剤、補強剤、難燃剤、及びその他の多くのものが挙げられるが、それらには限定されない。また、これらの成分の組み合わせも用いることができる。用いられる量は、特定の用途および他の因子に依存する可能性がある。
【0067】
好ましい態様では、本組成物は、エーロゲル成分、界面活性剤、バインダー(または結合と界面活性の両方の性質を有する材料)および1種もしくは2種以上の他の成分を含んでおり、他の成分の少なくとも1種は、シリカ(例えばフュームドシリカ、コロイド状シリカもしくは沈降シリカが挙げられるが、それらには限定されない)、不透明剤(例えばカーボンブラック、二酸化チタンが挙げられるが、それらには限定されない)、パーライト、微小球、例えばガラスもしくはポリマー微小球、ケイ酸塩、例えばケイ酸カルシウム、共重合体、界面活性剤(tensides)、鉱物粉末、膜形成成分、界面活性剤(surfactants)、繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される。
【0068】
他の特定の例では、本組成物は、エーロゲル成分、界面活性剤、バインダー(または結合と界面活性の両方の性質を有する材料)、および繊維からなる、繊維から本質的になる、もしくは繊維を含む他の成分を含んでいる。繊維は、典型的には、直径に対する長さのアスペクト比が、1超の、好ましくは5超の、より好ましくは8超の、長手に延在した、例えば円筒形の、形状を有している。多くの例では、好適な繊維は、少なくとも20である直径に対する長さの比を有している。この繊維は、織られた、不織の、切り刻まれた(chopped)または連続のものであることができる。これらの繊維は、単一成分、2成分、例えば1つの材料で作られた核および他の材料で作られた鞘、あるいは多成分であることができる。これらの繊維は、中空または中実であることができ、そして扁平な、矩形の、円柱状の、または不規則な断面を有していることができる。これらの繊維は、束ねられていない、切り刻まれて(chopped)、束ねられて、またはウエブもしくはスクリムへと互いに連結されていてもよい。
【0069】
繊維が用いられる本発明による態様では、それらの繊維は、無機繊維、例えばミネラルウール繊維、例えばガラス、石もしくは鉱滓繊維;生体溶解性セラミック繊維;あるいは織られた、連続的に作られたガラスまたは石繊維(stone fiber)の、不織のもしくは切り刻まれた(chopped)形態であることができる。繊維の好適な種類の具体的な例が、Rockwool International A/S(デンマーク)から、RB260の名称で入手可能である。
【0070】
例によっては、繊維の量は、本組成物、例えば乾燥混合物、スラリー、ペースト、複合材、例えば自立性硬質複合材または固体複合材など、の総質量に対する量で表して、0質量%超、例えば2質量%超、好ましくは5質量%超、そして25質量%未満、例えば20質量%未満、例えば15質量%未満、または10質量%未満である。他の例では、これらの繊維は、少なくとも25質量%、例えば40質量%超の量で存在する。特定の態様では、これらの繊維は、本組成物中に、25質量%以上、そして約90質量%未満、例えば75質量%未満、または50質量%未満の量で存在する。態様によっては、上記の量は、エーロゲル成分の外部の量を反映しており、例えば、本組成物を形成するようにエーロゲル成分に加えられる。他の態様では、上記の量は、エーロゲル成分中に既に存在している可能性がある繊維量と共に、エーロゲル成分の外側の繊維量を反映している。
【0071】
繊維の他の例としては、炭素繊維、ポリマー系繊維、金属、例えばスチール繊維、セルロース繊維、植物由来の、例えば、綿、木または麻(hemp)繊維が挙げられる。そのような繊維は、ここに記載した本組成物、例えば複合材、スラリー、ペースト、自立性硬質複合材、固体複合材などの中に、0質量%超、例えば2質量%超、例えば5質量%超、10質量%超、20質量%超、または25質量%超の量で含まれることができる。これらの繊維は、本組成物中に、約90質量%未満、例えば約75質量%未満または50質量%未満の量で存在することができる。
【0072】
また、繊維の組み合わせも用いることができる。
【0073】
本発明の態様によっては、本組成物は、繊維を含まない。用いられるのであれば、繊維は、仕上げられた製品の機械的性質を増大することができるが、しかしながら断熱性の損失の原因となる可能性がある。他の成分、例えば網目または外皮(skin)を補強のために加えることができる。
【0074】
態様によっては、本組成物は、乾燥混合物(mixture)または混合物(blend)の形態である。乾燥混合物を形成するには、エーロゲル成分、界面活性剤、バインダーおよび所望により1種もしくは2種以上の成分、例えば繊維を、1工程で、または所望の順序で組み合わせて、そして互いに混合することができる。乾燥前駆体混合物を、用いられる2種または3種以上の成分を組み合わせることによって、形成することができる。必要であれば、別々の成分または別々の前駆体混合物を、例えばキットとして、利用可能にすることもできる。
【0075】
これらの成分および/または前駆体混合物は、1工程プロセスで一緒に、または所望の順序で加えることができ、そして例えば、当技術分野で知られている混合技術および/または装置を用いて、混合して、乾燥混合物を形成することができる。
【0076】
他の態様では、本組成物は、流体、好ましくは液体、例えば水または水含有相を含んでいる。また、この液相は、水以外の1種もしくは2種以上の材料、例えば1種もしくは2種以上の有機溶媒からなる、から本質的になる、または、を含んでいることができる。便宜上、液体または液体含有組成物は、一般には、ここでは「スラリー」と称され、そしてここで用いられる用語「スラリー」は、溶液、分散液、懸濁液、ペーストなどを含むことが意図されている。
【0077】
1つの例では、エーロゲル成分は、界面活性剤の水性相に加えられる。他の成分、例えば、バインダーおよび/または繊維は、エーロゲル成分の導入の前および/または間に加えることができる。また、エーロゲル成分は、バインダーを含んだスラリーに加えることができる。
【0078】
固体バインダーと共に、固体バインダーの水溶液を、用いることができ、または調製プロセスの間に生成させることができる。疎水性のエーロゲルと組み合わされた場合には、水性バインダー溶液は、エーロゲルの細孔に侵入しないという利点を有している。多くの場合において、エーロゲル成分の水中の分散液または懸濁液は、モルタル、例えば上記のようなグラウトまたはプラスター配合品の存在によって促進される。好ましくは、例えばグラウト配合品中に存在するような粒子状エーロゲルおよびバインダーを含むスラリーは、均一であり、そして良好に分散されたエーロゲルおよび/またはバインダーを有している。
【0079】
特定の例では、他の成分、例えば繊維を、流体相へと加えて、分散液、懸濁液または溶液を形成させ、これを次いでエーロゲル成分を含んだスラリー前駆体または乾燥前駆体中に混合する、もしくは混ぜ込む。繊維が用いられる場合には、それらをスラリーまたは液体前駆体に加えることは、それらの分散を促進する可能性がある。
【0080】
用いられる量は、用いられる材料の性質、例えば粒径または水、空気、界面活性剤などへの暴露に利用できる表面積、混合技術、本組成物の凝固点までの時間間隔、固化前のスラリーの所望の粘度、および他の因子、に基づいて選択することができる。
【0081】
態様によっては、本組成物は、例えば70もしくは75質量%のNanogel(登録商標)型のエーロゲルおよび25もしくは30質量%の上記のようなグラウト配合品を含んでいる。Nanogel(登録商標)型のエーロゲルの具体的な例としては、TD302の名称で入手可能なもの、TD302とTLD203の混合物などがある。加えられる水の量は、スラリーの所望の粘度、所望の用途および/または他の因子を基準にして選択することができる。例えば、スラリーは、40質量%のNanogel(登録商標)型のエーロゲル、10質量%のグラウト配合品および50質量%の水を含むことができる。
【0082】
界面活性剤、pH調節剤および他の材料を、スラリーの性質を適応させるために導入することができる。例えばスラリー粘度は、加える液体の量、機械的操作、添加技術、例えば加える成分の順序、乾燥および流体相の全体量の連続的な、断続的なまたは1工程の混合、希釈剤の存在、ならびに当技術分野で知られている他の手段によって、制御することができる。多くの場合において、スラリーは、チキソトロピーであり、言い換えれば、せん断力の下では、スラリーはより液体状(より低粘性)になる。
【0083】
特定の態様では、スラリー前駆体は、高いpH、例えば少なくとも10、好ましくは少なくとも13を有している。他の態様では、本組成物は、約10、好ましくは約13のpHを有する水性スラリーであり、そしてエーロゲル成分を含んでいる。態様によっては、高いpHの組成物は、エーロゲル成分および界面活性剤、例えばPluronic P84、または上記のものの1つのような他の好適な界面活性剤を含んでいる。
【0084】
本発明の1つの態様では、本組成物は、エーロゲル成分および高いpHの液体(典型的には水である)を組み合わせることによって形成される。特定の例では、本組成物は、エーロゲル成分、例えば顆粒状エーロゲル、および少なくとも10、そして好ましくは更に高い、例えば13のpHの水、を含んでいる。また、特定の態様では、界面活性剤も存在している。バインダーおよび/または他の成分、例えば、繊維も、同様に組み込むことができる。態様によっては、本組成物は、エーロゲル成分、高いpHの水、および結合に加えて界面活性特性を有する化合物もしくは材料、からなる、から本質的になる、または、を含むことができる。1つの態様では、本組成物は、エーロゲル成分、高いpHの水、およびアクリレート、からなる、から本質的になる、または、を含み、このアクリレートは、界面活性特性ならびに結合特性を有していると考えられる。他の態様では、組成物は、エーロゲル成分、高いpHの水および繊維、からなる、から本質的になる、または、を含む。更なる態様では、本組成物は、エーロゲル成分、高いpHの水、およびバインダーもしくはバインダー含有配合品、からなる、から本質的になる、または、を含む。更に他の態様では、本組成物は、エーロゲル成分、高いpHの水、界面活性剤および繊維、からなる、から本質的になる、または、を含む。
【0085】
例によっては、このスラリーは、乾燥、例えば硬化(curing)またはバインダーの硬化(hardening)の速度を増加させる、あるいは遅くすることができる、更なる成分を含んでいる。
【0086】
振とう、攪拌および/または他の技術を、液体および固体材料を混合するために用いることができる。特定の例では、軽い粒子、例えばエーロゲル粒子は、液体相中に押し込まれる。他の例では、水滴が、より軽い粒子へと持ち上げられる。
【0087】
混合は、手動の攪拌またはブレンダーもしくは混合機、例えばセメント混合機、手持ち型の羽根、リボンブレンダーなどによって実施することができる。二重リボン翼を有する混合機、遊星形混合機などの混合機を用いることができる。場合によっては、翼の設計および/または性質、例えば翼の尖鋭度の増加、が混合プロセスを完結するに要する時間の長さを低減することができ、そして場合によっては、最終製品の性質を低下させる。
【0088】
混合速度、温度、せん断の程度、順番および/または液体および/または固体材料の添加速度、ならびに多くのその他のものなどのパラメータは、調整することができ、そして操作の規模、化合物の物理的および/または化学的性質などに依存する。また、混合技術は、エーロゲル粒子の粒径分布を変化させ、結果として得られる複合材に種々の充てん効率をもたらす。
【0089】
混合は、室温で、または他の好適な温度で行なうことができる。典型的には、これらの成分は、周囲空気中で混合されるが、しかしながら特別な雰囲気を与えることもできる。
【0090】
本発明の更に他の態様では、本組成物は固体である。本明細書で「乾燥(drying」と称しており、例えばポリマー硬化、セメント硬化、水の蒸発などを含めた適切な物理的および/または化学的プロセスを通して、上記のようなスラリーは、エーロゲル成分を含んだ複合材を生じさせる。ここで用いられる用語「複合材」は、その複合材を形成するために用いられた物質の性質から異なる構造的または機能的性質を有する材料を表す。好ましくは、この組成物はまた、界面活性剤および/またはバインダー、および所望により他の成分、例えば繊維をも含んでいる。
【0091】
温度、時間、乾燥条件、湿度、浸漬およびランピング(ramping)手順、特殊な雰囲気、それらのプロセスに影響を及ぼすように用いられる試薬の性質などのパラメータは、調整することができ、そして当技術分野で知られているように、もしくは日常的な実験で決められたように最適化することができる。
【0092】
多くの場合において、スラリーは室温で乾燥するが、しかしながら、スラリーの固化または硬化はまた、室温より高い温度で行なうことができ、例えば、スラリーをオーブン中に、例えば約30℃〜約90℃の範囲の温度で置くことによって行なうことができる。乾燥は、数分間のような短時間またはより長い時間間隔を要する可能性があり、そして組成物は、特定の用途に向けて、より短時間またはより長時間の固化時間に配合することができる。多くの例では、スラリーは、約5分間〜約24時間の範囲内、例えば約30分間の時間間隔で固化する。
【0093】
本複合材は、仕上げられた製品を生成するために、更なる養生および/または焼成サイクル、および更なる処理、例えば更なる成形、研磨などに掛けることができる。
【0094】
本組成物は、特定の浸透性を有するように形成することができる。多くの場合には、本複合材は疎水性であり、そして所望の撥水性、接触角、水浸漬または水吸着特性を有することができる。
【0095】
本発明の態様によっては、本複合材は、高いpH、例えば少なくともpH10、そして好ましくはより高い、例えば少なくとも約13の水を用いて形成することができる。そのような自立性複合材の例は、エーロゲル成分と繊維、例えばミネラルウール繊維を含んでいる。添加される場合には、界面活性剤は、エーロゲル粒子の湿潤性を高めることができる。
【0096】
他の態様では、本複合材は、エーロゲル成分および1種もしくは2種以上のポリマー、からなる、から本質的になる、または含んでいる。例えば、アクリレートは、固体製品の機械的性質、例えば、可撓性、引張強度、破断強度などに影響を及ぼす可能性がある。特定の例では、バインダーとしては、スチレンアクリル共重合体、例えば、Wacker Polymer Systems, GmbH & Co. KG(Johannes Hess Strasse 24, 84489 Burghausen、独国)から、Vinnapasの名称で入手可能なもの、がある。
【0097】
特定の態様では、固体複合材は硬質である。一般には、硬質物は、それら自体の質量の力の下では目に見える変形は受けない。他の特定の態様では、本複合材は自立性であり、すなわち、それ自体の質量に耐え、または支えることができ、そして本発明の特定の態様では、それは成形可能な前駆体から誘導される。例えば、スラリー、例えばペーストは、好適な型を用いて、次いで硬化プロセス、例えば硬化によって、またはセメントもしくはプラスター硬化用の化学物質を含んだプロセスによって、成形することができる。所望により、硬化された製品は、室温で、またはオーブン中で、型から取り出す前に、もしくは取り出した後に、乾燥することができ、そして更なる成形、研磨または他の工程によって処理することができる。また、自立性複合材は、彫刻(sculpting)によって、または押出機を用いることによって、調製することができる。本発明の1つの態様による自立性硬質複合材の写真が、図1に示されている。
【0098】
他の態様では、コーティングの形態の複合材が、スラリーを、基材、例えば壁、天井、ドア、枠、配管、乾燥壁、ファサード、絶縁ボード、例えばミネラルウール板もしくは小板(bats)、仕上げられた物品および多くの他の種類の表面に適用して、そしてそのスラリーもしくはペーストを乾燥(硬化)させて、この基材上に複合材のコーティングを形成することによって生成される。スラリーまたはペーストの基材上への適用は、粘度の考慮および他の因子に依存する可能性があり、そして塗装、噴霧、ポンプ送出などを含むことができる。塗装、噴霧および他の技術を用いることができる。用途によっては、スラリーは、1つもしくは2つ以上の導管、例えばホースまたはパイプを通して、ポンプ送出によって基材に適用される。他の用途では、スラリーは、例えば、表面または空洞または割れ目に噴霧される。更なる用途では、スラリーまたはペーストは、塗装される。また、スラリーまたはペーストは、成型、彫刻、キャスティング、または押出成形して成形された物品を得ることができる。
【0099】
また、複合材は、例えば、断熱目的で建造物の空間の中に、または他の用途で、スラリーを囲いの内部に、ポンプ送出または噴霧することによって形成することができる。
【0100】
特定の態様では、本発明は、特定の性質、例えば熱伝導率、機械的、音響的、炎への抵抗力および/または他の有用な特徴を有する複合材に関する。本複合材は、好ましくは自立性であり、そして例えば顆粒状の形態であるエーロゲル成分を含んでいる。また、本複合材は、界面活性剤、バインダーおよび/または他の成分を含んでいてもよい。例によっては、本複合材は、エーロゲル成分を高いpHの水で処理することによって形成される。他の例では、本複合材は、エーロゲル成分およびアクリレートを含んでいる。
【0101】
特定の態様では、本発明は、好ましくは硬質および/または自立性の、そして低熱伝導率、例えば、米国標準試験法(ASTM) C518(Standard Test Method for Steady-State Thermal Transmission Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus)で測定して、23℃で50mW/m−K以下、好ましくは約30mW/m−K以下、そして好ましくは約20mW/m−K以下を有する複合材に向けられている。熱伝導率は、材料の固有の性質であり、熱の流れを維持する能力の尺度となる。熱伝導率を表すのに用いられる記号は、k(またはラムダ、λ)である。熱伝導率と相反する関係にあるものは、熱抵抗率であり、1次元の熱の流れに抵抗する、材料の固有の性質である。熱抵抗率は、m−K/mW(ミリワットで割り算したメートル掛けるケルビン)の単位を有している。好ましくは、本組成物は、粒子状エーロゲルを用いて作られる。特定の例では、本組成物は、約20mW/m−K〜約30mW/m−Kの範囲内である熱伝導率を有している。
【0102】
空気は、26mW/m−Kの熱伝導率を有しているので、超低ラムダ複合材中の空気の存在は、その熱性能を低下させる。態様によっては、本複合材は、効率的に充てんされたエーロゲル成分を含んでいる。特定の例では、空気は、約40%体積/体積以下の量で存在している。好ましくは、空気は、約30体積%未満、より好ましくは約20体積%未満で存在している。最終の複合材中の空気体積比の低下をもたらす方法としては、粒径分布(PSD)選択/設定、振動法充てん、真空充てん、脱泡剤の使用などが挙げられる。小粒子と大粒子の比率の幅広いPSDの使用は、効率的な充てんを促進する。球形の、またはほぼ球形の粒子は、非球形の、例えばランダムな形状、もしくは細長い粒子である粒子と組み合わせることができる。PSDは、出発のエーロゲル材料で導入することができ、または混合のプロセスの間に、例えば高せん断混合を用いることによって作り出すことができる。
【0103】
固体複合材の密度は、しばしば加えられる添加剤に依存する。高密度成分、例えばTiOまたはある種の繊維などは、これらの成分なしで調製された同様の複合材に比べて、複合材の密度の増大をもたらす可能性がある。複合材、例えば、本発明の自立性硬質複合材は、約0.06〜約0.35g/cmの範囲内、好ましくは約0.08〜約0.25g/cmの範囲内、より好ましくは0.1〜0.15g/cmの密度を有することができる。他の例では、本複合材の密度は、約2.5g/cm以下、好ましくは1.5g/cm以下、そしてより好ましくは1g/cm以下である。
【0104】
本発明による自立性複合材は、特定の用途に好適な機械的性質を有していることができる。特定の例では、成型された複合材は、例えばASTM C203中に設定されたガイドラインによって測定して、約0.05MPa〜約0.3MPaの範囲内の圧縮強度および約0.05MPa以下の曲げ強度を有している。他の場合には、成型された複合材は、異なる機械的性質を有している。
【0105】
多くの場合において、固体複合材は、耐炎性および/または防火性能を有している。特定の例では、複合材材料は、多層複合材へと、互いにラミネートされたエーロゲルブランケットを含んでおり、それは耐火性を有している。更なる難燃剤または膨張性材料を、多層複合材に導入することができる。
【0106】
他の例では、複合材、例えば上記の自立性硬質複合材は、有意な温度範囲、例えば、極低温もしくは低温から高温までに亘って用いることができる。
【0107】
また、本複合材は、良好な防音性能を有していることができる。
【0108】
関与するメカニズムのいずれかの特定の解釈に捉われることは望まないが、1つまたは2つ以上の因子が均一な混合物の形成に寄与している可能性があると信じられる。例えば、バインダー含有配合品、例えばグラウト配合品中に存在するポリマー添加剤は、界面活性剤として作用して、水生分散液と多くのエーロゲル材料との間の相溶性を高めることが信じられる。また、バインダー含有配合品中に存在する粒子は、界面活性特性を有することができ、それによって、エーロゲルと水性相の媒介となることができる。セメントの水和に伴う高粘度の形成は、物理的な混合を促進する可能性があり、そしてpHの増加は、エーロゲル表面での疎水性を低下させると信じられ、場合によっては、この表面を親水性にする。
【0109】
結合は、自立性に寄与すると考えられ、そしてこの結合は、バインダー含有配合品中のCaCO/CaO成分とある種のエーロゲルのシリカ表面との間の、恐らくはカルシウム−ケイ酸塩−水和物の形成を伴う反応によって促進されまたは高められる。セメントは、エーロゲル粒子の周りにマトリックスを形成して、それによってそれらの粒子を保持すると信じられる。
【0110】
組成物、例えばここに開示された複合材で観察される超低熱伝導率は、混合の間に粒子にせん断力を掛けて広い粒径分布(PSD)を生み出すことによって促進され、または高められる。そして、広いPSDは、粒子のより効率的な充てんをもたらす。本発明の態様によっては、バインダーは、低体積比で存在しており、そして浸出しない。他の態様では、バインダーはより高い水準で存在し、そして浸出する。更に、無機バインダーによっては、固有の不透明化性を有しており、それが本複合材を通したIR透過を妨げる。
【0111】
ここに開示された組成物は、慣用のモルタル、プラスター、グラウトなどを必要とする事例と同様の事例において用いることができる。他の用途では、本組成物、例えば乾燥混合物またはスラリーは、レンガ、乾燥壁、サイジングもしくは屋根葺き材料、タイル、天井タイル、塗料など、を製造するのに用いられる原料中に組み入れることができる。塗料またはコーティング用途は、微細な粉末に粉砕することによって利益を与えることができ、例えば表面の膚目(texture)を回避することができる。粉砕された粒径は、好ましくはコーティングの厚さと同じか、またはそれより小さい。
【0112】
粘着性のある本発明の組成物は、昆虫または小動物を防ぐために、間隙や割れ目を充てんするのに用いることができる。残存する表面が疎水性である場合には、昆虫の脂肪シールドを取り除くことによって、昆虫を乾燥させ、そして死亡させることによって、表面上を這って行く昆虫を殺す。多くの態様では、ここに記載された組成物は、疎水性を有しており、それはファサード製作、シャワー、および他の湿潤な環境に役立つ可能性がある。
【0113】
他の用途では、本組成物は、硬質の、自立性物品またはその部品を形成するように成形することができる。
【実施例】
【0114】
以下の例は、例証となるものであり、そして限定することを意図するものではない。
【0115】
比較例1
NanogelエーロゲルTD302、グラウト、セメントおよびアクリレートを混合し、そして型の中に配置し、そこでそれらを、室温で約30分間硬化させた。それらを型から取り出し、そしてHesto Electronik GmbH(独国)からのLambda-Control A 50装置で、熱伝導率測定に掛けた。冷板および熱板をそれぞれ10℃と36℃に保持し、そして平均温度は23℃であった。用いた比率(質量で)および測定した熱伝導率(mW/m−Kでのラムダ)を表I中に示した。
【0116】
【表1】

【0117】
例2
Cabot CorporationからのNanogel(登録商標)エーロゲルTD302およびグラウトを含んだ第2の成分を、水と混合した。具体的には、160gの水を、70gのNanogel(登録商標)エーロゲルおよび23gのSAKRET Trockenbaustoffe Europa GmbH & Co. KG(Otto-von-Guericke-Ring 3、D- 65205 Wiesbaden、独国)によって製造されたFugenweissグラウト配合品と混合した。混合した成分は、短い時間、セメント混用用翼を装備した手で持ったドリルで激しく混合して、ペーストまたはスラリーを形成し、これは均一で、そして粘着性であると思われた。このスラリーを、振とうまたはせん断によってより流動性にした。
【0118】
このスラリーを、熱伝導率測定に好適なレンガ様の形状のタイルを作るために、型の中に配置して、そして摂氏85度(℃)のオーブン中に36時間置いた。結果として得られた組成物の熱伝導率は、Hesto Electronik GmbH(独国)からのLambda-Control A 50装置によって測定した。冷板および熱板をそれぞれ10℃と36℃に保持し、そして平均温度は23℃であった。測定したラムダは、15.5mW/(m−K)であった。
【0119】
例3
更なる例では、150gの水、90gのTLD302の名称のNanogel(登録商標)エーロゲルおよび30gのFugenweissグラウト配合品を混合して、スラリーを形成させた。このスラリーを、熱伝導率測定に好適なレンガ様の形状のタイルもしくは枠を作るために、型の中に配置して、そして摂氏45度(℃)のオーブン中に48時間置いた。結果として得られた自立性複合材の熱伝導率を、Hesto Electronik GmbH(独国)からのLambda-Control A 50装置を用いて測定した。冷板および熱板をそれぞれ10℃と36℃に保持し、そして平均温度は23℃であり、そしてラムダは、14.6mW/m−Kであると測定された。
【0120】
例4
200gの水、169gのTLD302の名称のNanogel(登録商標)エーロゲルおよび41gのFugenweissグラウト配合品を組み合わせ、そして混合して、スラリーを形成させた。このスラリーを、熱伝導率測定に好適なレンガ様の形状のタイルもしくは枠を作るために、型の中に配置して、そして摂氏45度(℃)のオーブン中に48時間置き、14.4mW/m−Kのラムダを有する自立性複合材を結果として得た。測定は、Hesto Electronik GmbH(独国)からのLambda-Control A 50装置で行なった。冷板および熱板をそれぞれ10℃と36℃に保持し、そして平均温度は23℃であった。
【0121】
例5
幾つかの試料を、下記の表2中に列挙した成分を用いて作った。用いたエーロゲルは、Cabot Corporation(ビルリカ、マサチューセッツ州)から得られたNanogel(登録商標)エーロゲルTLD302の名称の、半透明のエーロゲルであった。グラウト配合品は、LATICRETE International, Inc.(コネチカット州、米国)から得たLaticrete Beigeグラウトであった。界面活性剤は、Pluronic P84の名称でBASF(米国)から得たが、これはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体を主成分とするノニオン性界面活性剤であった。用いた繊維は、Rockwool International(デンマーク)からのRockwool fibres(RB260)であり、Belcotex型の繊維は、Lauscha Fiber International(サウスカロライナ州、米国)から得た。Aldrich Chemicals(米国)からの水酸化ナトリウム(NaOH)の0.1M溶液を、pH13の水溶液として用いた。Pluronic P84の脱イオン水(DI水)中の50%g/g溶液を使い易さのために作った。硫酸カルシウム半水和物およびケイ酸ナトリウムをAldrich Chemicals(米国)から得た。
【0122】
表2中に示した具体的な組み合わせを用いてペーストまたはスラリーを作り、8×8インチ(204mm×204mm)の寸法を有するステンレス鋼の型中に配置し、そして85℃で一晩乾燥させた。熱伝導率を、LaserComp,Inc.(マサチューセッツ州、米国)からのLasercomp Model Fox 200で測定した。この装置は、ASTM C518に適合していた。測定の平均温度は25℃であり、そして底板および上板は、それぞれ38℃と12℃に保持した。
【0123】
これらの試料の調製についての具体的な詳細は下記の通りである。
【0124】
試料5Aは、水を混合容器に加え、そしてこの混合機、二重螺旋の付属部品を備えたオーバーヘッド混合機を、750〜800rpmで始動させた。エーロゲルTLD302とLaticrete Beigeグラウトから作った乾燥混合物に、水をゆっくりと加えた。それぞれの添加毎に、rpmが40〜50rpm低下した。このrpmが初期のrpmに戻ったら、他の添加を行なった。より多くが加えられるにつれて、初期のrpm値を保持するためには、混合機の速度は増加させることが必要であった。結果として得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。
【0125】
試料5B、5Cを、水、TLD302エーロゲルおよびLaticrete Beigeグラウトを、この順序で、混合容器へと加えることによって調製した。二重螺旋混合付属部品を備えたハンドドリルを用いた。混合は、400rpmで30秒間で開始し、1400rpmで30秒間に増加させ、そして更に400rpmに低減させて30秒間行なった。結果として得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。試料5Dは、水、CBTLD 103エーロゲル(これは、カーボンブラックとNanogelエーロゲルの混合物である);およびLaticrete Beigeグラウトを、この順序で混合容器に加えることによって調製した。二重螺旋混合付属部品を備えたハンドドリルを用いた。混合は、400rpmで30秒間で開始し、1400rpmで30秒間に増加させ、そして更に400rpmに低減させたて30秒間行なった。結果として得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。
【0126】
試料5Eは、水と界面活性剤溶液を混合容器中に配置することによって調製した。繊維を、均一な粘調な液体が形成されるまでゆっくりと加えた。
【0127】
用いた混合機は、二重螺旋付属部品を備えたオーバーヘッド混合機であった。その速度を、850〜900rpmに増加させた。TLD302をゆっくりと加え、そしてRPMは、それぞれの添加毎に40〜50低下した。結果として得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。エーロゲルと繊維の一体化された複合材が得られ、これはある程度の層間剥離を示した。
【0128】
試料5Fを、水、界面活性剤溶液およびケイ酸ナトリウム溶液から始めて調製し、これらを混合容器に加えた。混合機(二重螺旋付属部品を備えたオーバーヘッド混合機)を始動させた(750〜800rpm)。繊維を、均一で粘調な液体が形成されるまでゆっくりと加えた。TLD302エーロゲルをゆっくりと加え、そして混合速度は、それぞれの添加毎に40〜50低下した。得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。エーロゲルと繊維の一体化された複合材が得られた。
【0129】
試料5Gでは、水と界面活性剤溶液を混合容器に加えた。繊維を、均一で粘調な液体が形成されるまでゆっくりと加えた。
【0130】
混合機(二重螺旋付属部品を備えたオーバーヘッド混合機)の回転速度を、850〜900rpmに増加させた。TLD302エーロゾルと硫酸カルシウム半水和物の乾燥混合物を作り、そしてゆっくりと加えた。混合機の速度は、それぞれの添加毎に40〜50低下した。得られた均一な混合物を型の中に配置し、そして一晩乾燥させた。エーロゲルと繊維の一体化された複合材が得られた。
【0131】
試料5A〜5Dの熱伝導率を測定し、そしてその結果を表II中に示した。
【0132】
【表2】

【0133】
例6
試料5Bについて記載したような方法で作成したグラウト−エーロゲル複合材の走査型電子顕微鏡写真を、図2に示した。図3に示されているのは、試料5Eについて記載したように、高いpHの水を用いて調製したエーロゲル−鉱物繊維複合材の走査型電子顕微鏡写真である。
【0134】
例7
10質量%のAcronal、50質量%のNanogel(登録商標)エーロゲル、15質量%のセメント、25質量%の繊維から調製した自立性硬質複合材の熱伝導率は、20.2mW/(m−K)であった。測定は、Hesto Electronik GmbH(独国)からのLambda-Control A 50装置で行なった。冷板および熱版は、それぞれ10℃と36℃に保持し、そして平均温度は23℃であった。
【0135】
例8
Rockwool RB260/Nanogel複合材を以下の方法によって作った。水および界面活性剤を固定されたプラスチック容器に加えた。二重螺旋付属部品を備えたオーバーヘッド混合機を始動させた。速度を200〜300rpmに調節した。RB260をゆっくりと加えた。Nanogelと乾燥バインダー(ここでは硫酸カルシウム半水和物)との乾燥混合物を調製した。この混合機の速度を、約350rpmに増加させ、そしてNanogelとバインダーの乾燥混合物をゆっくりと加えた。均一なペースト様の混合物が得られるまで、混合を継続した。この混合物を、次いで矩形の、そして円形の型中に注いだ。これらを一晩、約16時間、85℃のオーブン中で乾燥させた。エーロゲルに対するバインダーの比率および繊維に対するエーロゾルの比率を下記の表III中に与えた。熱伝導率を、Lasercomp Model Fox 200で測定した。測定の平均温度は23℃であり、そして底板および上板は、それぞれ36℃と10℃に保持した。圧縮強度の測定を、円形の成形物で行い、そしてInstron model 4204で測定した。
【0136】
示された種々のパラメータについて測定された値を表III中に与えた。
【0137】
【表3】

【0138】
例9
この例は、複合材の機械的性質を向上させるために切り刻んだ(chopped)ガラス繊維を用いた。全ての場合において、用いたバインダーの種類は、硫酸カルシウム半水和物であった。2つの異なる構成を用いて種々の混合物を作った。
【0139】
水(約250mL)および2g未満の切り刻んだガラス繊維をブレンダー中に加え、そしてこれらの成分を良好に分散するまで混合し、そして更なる2g未満の切り刻んだガラス線を加えた。混合は、良好に分散した製品が得られるまで継続し、そして必要な量の全ての繊維が加えられるまで、繊維の添加を繰り返した。全ての繊維が混合されたら、このガラス繊維溶液をプラスチックのネジ付きビン中に注ぎ、そして界面活性剤をこのビンに加え、そして繊維を再分散させるように振とうした。結果として得られた繊維/界面活性剤混合物を固定したプラスチック容器に移し、そして追加の水(処方当たりに50〜100mL)をこのプラスチック容器に加えた。Nanogel(登録商標)型のエーロゲルとバインダーをプラスチック容器に加えた。試料9Aと9Bでは、二重螺旋付属部品を備えたオーバーヘッド混合機を始動させ、そして成分を、均一なペーストが得られるまで混合した。
【0140】
試料9C〜9Fでは、混合は、手で保持した動力ドリルに付けた二重螺旋付属部品で、2〜3分間に亘り、ペースト様の組成物が形成されるまで行なった。この高トルク混合装置(表中では「ドリル」と表されている)は、繊維が高充てんで用いられた場合に、混合を促進することが見出された。
【0141】
この混合物を、次いで矩形および円形の型中に注いだ。それらを、85℃のオーブン中で、一晩約16時間に亘り乾燥させた。エーロゲルに対するバインダーの比率および繊維に対するエーロゾルの比率を下記の表IVA中に与えた。熱伝導率を、Lasercomp Model Fox 200で測定した。測定の平均温度は23℃であり、そして底板および上板は、それぞれ36℃と10℃に保持した。圧縮強度の測定を、円形の成形物で行い、そしてInstron model 4204で測定した。種々のパラメータおよび測定した値を、表IVAおよびIVB中に与えた。
【0142】
試料9Bは、非常に弱く、そしてこの試料は、型中で、熱によって崩壊した。このことは、不十分な混合によるものと信じられた。高トルク混合機、手で保持するドリル、に切り替えた場合には、試料9Cの圧縮強度によって立証されるように、同じ配合で、均一に混合された。
【0143】
【表4】

【0144】
【表5】

【0145】
例10
本複合材に不透明化を与えるために、この混合物に付加的なTiOルチルを加えた。ルチルTiOは、5ミクロン未満の粒径を有しており、そしてAldrich Chemicals(米国)から得た。また、Laushua Fibersからの、2つの異なる寸法のBelcotex繊維、6mmと12mmの長さ、も用いた。Nanogel(登録商標)TLDl00は、0.1〜4mmの範囲の広い寸法分布を有していた。
【0146】
水(約250mL)および2g未満の切り刻んだガラス繊維をブレンダー中に加えて、この繊維が良好に分散するまで混合した。これに次いで、2g未満の切り刻んだ繊維を更に加えた。これらの成分を、再度良好に分散した組成物になるまで混合した。これらの工程を、繊維の全体量が加えられるまで繰り返した。全ての繊維が混合されたら、ガラス繊維溶液を、プラスチック製のネジ付きビン中に注いだ。界面活性剤およびルチルTiOを、このビンに加えて、これを次いで繊維を再分散させるように振とうした。結果として得た繊維/界面活性剤/TiO混合物を、固定したプラスチック用に容れた。いずれかの残りを除去するように、追加の水(50〜100mL)をこのネジ付きビンに加えて、そして内容物をプラスチック容器に移した。
【0147】
Nanogel(登録商標)エーロゲル、TiOおよびバインダーをプラスチック容器へ加えた。試料10Dでは、バインダーは、Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造された、Waterplug Hydraulic Cementによって与えられた。この例中の全ての他の試料を調製するのに用いたこのバインダーは、硫酸カルシウム半水和物であった。混合は、二重螺旋付属部品を有する螺旋型のセメント混合機を備えた手持ち型のドリルで行ない、これを低速(400rpm未満)での約1分間で開始し、その後に速度を増加(約400rpm)させ、そして混合を更に2〜3分間、ペースト様の混合物が形成されるまで行なった。
【0148】
このペースト様混合物を、矩形および円形型中に注ぎ、そして一晩(約16時間)、85℃のオーブン中で乾燥させた。熱伝導率を、Lasercomp Model Fox 200で測定した。測定の平均温度は、23℃であり、底板および上板はそれぞれ36℃と10℃に保持した。圧縮強度の測定は、円形成形物で行い、そしてInstron model 4204で測定した。エーロゲルに対するバインダーの比率および繊維に対するエーロゲルの比率、測定した測定値および他のパラメータの値を表VAおよびVB中にまとめた。
【0149】
【表6】

【0150】
【表7】

【0151】
例11
この例では、バインダーは、グラウト配合品、具体的には、LATICRETE International, Inc.(コネチカット州、米国)から得た、Laticrete Beige Grout中に与えられた。
【0152】
これらの試料は、水を、次いで界面活性剤溶液を、プラスチック容器に加えることによって調製した。Nanogel(登録商標)エーロゲルおよびバインダー含有配合品を、次いで加えて、そしてこれらの成分を、螺旋型セメント混合機を備えた手持ち型ドリルで、約2分間に亘り混合して、均一な混合物をもたらしたが、これは乾燥した脆い混合物であった。
【0153】
この混合物を、矩形および円形型中に注ぎ、そして一晩(約16時間)、85℃のオーブン中で乾燥させた。この試料の熱伝導率を、Lasercomp Model Fox 200で測定した。測定の平均温度は、12.5℃であり、底板および上板はそれぞれ25℃と0℃に保持した。圧縮強度の測定は、Instron model 4204を用いて、円形成型物で行った。エーロゲルに対するバインダーの比率および繊維に対するエーロゲルの比率を含めた用いられたパラメータを、種々の測定で測定した値と共に、表VI中に示した。
【0154】
【表8】

【0155】
例12
以下のバインダーまたはバインダー含有配合品を試験した:(a)Custom Building Products(カリフォルニア州、米国)によって製造されたSimplefix Premixed Adhesive and Grout;(b)Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたWaterplug Hydraulic Cement;(c)Elmer's Products, Inc. (オハイオ州、米国)によって製造されたElmer's Probond Concrete Bonder;(d)Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたThorocrete。
【0156】
具体的には、試料12Aおよび12Bは、Waterplug Hydraulic Cementを用いた。試料12Cおよび12Dは、LATICRETE International, INC(コネチカット州、米国)から得た、等量のWaterplug Hydraulic CementおよびLaticrete Beige Groutを用いた。試料12Eは、25%(g/g)のElmer's Probond Concrete Bonderおよび75%(g/g)のWaterplug Hydraulic Cementを用いた。試料12Fは、50%(g/g)のElmer's Probond Concrete Bonderおよび50%(g/g)のWaterplug Hydraulic Cementを含んでいた。試料12Gは、Thorocreteを用い、一方で、試料12Hは、Simplefix Premixed Adhesive and Groutを用いた。
【0157】
これらの試料を調製するために、水を、次いで界面活性剤溶液を、プラスチック容器中に加え、そしてこの2つを混合した。試料12C〜12Gでは、界面活性剤を加えなかった、何故ならば、用いた配合品は、界面活性であると信じられる添加剤(例えば、ポリマー添加剤または成分)を含んでいたからである。例えば、12Hでは、水およびバインダー含有配合品は、エーロゲルの添加の前に、1分間未満、予備混合した。
【0158】
Nanogel(登録商標)およびバインダー含有配合品を、次いで加えて、そしてこれらの成分を、手持ち型のセメント混合機で約2分間に亘り混合して、ポンプ送出可能であり、そして放置により固化する均一な組成物をもたらした。
【0159】
この組成物を、矩形および円形の型中に注いでそして圧縮し、そして一晩(約16時間)85℃のオーブン中で乾燥させた。試料12Bおよび12Dでは、この混合物ペーストを、約4mmのメッシュの大きさを有する2層の乾燥壁テープを、型の厚さの1/3と2/3の位置に備えた型中に、配置した。
【0160】
熱伝導率測定は、Lasercomp Model Fox 200を用いて行なった。測定の平均温度は、12.5℃であり、底板および上板はそれぞれ25℃と0℃に保持した。圧縮強度の測定は円形成型物で行ない、そしてInstron model 4204で測定した。表VIIに、エーロゲルに対するバインダーもしくはバインダー含有配合品(この表中では「バインダー」と表示している)および繊維に対するエーロゲルの比率、種々のパラメータ、ならびに測定した値を示した。
【0161】
【表9】

【0162】
例13
水を、次いで界面活性剤溶液を、そして次にNanogel(登録商標)エーロゲルおよびバインダーもしくはバインダー含有配合品を、プラスチック容器に加えた。これらの成分を、螺旋型セメント混合機を備えた手持ち型ドリルで、約2分間に亘り混合して、均一な混合物を得たが、これは乾燥しており、そして脆かった。試料13Aを、25.0gのThoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたWaterplug Hydraulic Cementを用いて調製した;試料13Bは、25.0gのThoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたThorocreteを用いて調製した。
【0163】
この混合物を、矩形および円形の型に注ぎ、そして一晩(約16時間)、85℃のオーブン中で乾燥させた。熱伝導率測定は、Lasercomp Model Fox 200を用いて行なった。測定の平均温度は、12.5℃であり、底板および上板はそれぞれ25℃と0℃に保持した。種々の成分の比率、測定したパラメータおよび種々の測定値を、下記の表VIII中にまとめた。
【0164】
【表10】

【0165】
例14
1275gの水、5gの50%(g/g)P84溶液、126gのCustom Building Products(カリフォルニア州、米国)によって製造されたSimplefix Premixed Adhesive and Grout、および501gのNanogel(登録商標)aerogel TLD302を混合することによって、大量の混合物を調製した。先ず、水とSimplefix Premixed Adhesive and Groutを、1分間に亘り混合した。次いで、Nanogel(登録商標)を、螺旋型のセメント混合機を備えた手持ち型ドリルで、約6分間に亘り混合して、ポンプ送出可能な均一な混合物をもたらした。
【0166】
この混合物を、矩形および円形の型中に移し、その幾つかを一晩(約16時間)、85℃のオーブン中で乾燥させた。その他は、室温で、約16時間に亘り乾燥させた。熱伝導率を、Lasercomp Model Fox 200を用いて測定した。測定の平均温度は、12.5℃であり、底板および上板はそれぞれ25℃と0℃に保持した。種々のパラメータの値を下記の表IX中に与えた。
【0167】
【表11】

【0168】
顕著な収縮が、室温で乾燥させた試料、すなわち試料14Aおよび14Cで見られた。この収縮は、200mmの線寸法上で、4mmであると測定された。
【0169】
例15
以下のバインダーまたはバインダー含有配合品を試験した:(a)Custom Building Products(カリフォルニア州、米国)によって製造されたSimplefix Premixed Adhesive and Grout;(b)Thoro Consumer Products, BASF Construction Chemicals(オハイオ州、米国)によって製造されたWaterplug Hydraulic Cement;(c)Elmer's Products, Inc.(オハイオ州、米国)によって製造されたElmer's Probond Concrete Bonder;および(d)上記のFugenweissグラウト配合品。試料12Fは、25%(g/g)のElmer's Probond Concrete Bonderと75%(g/g)のWaterplug Hydraulic Cementの組み合わせを用いた。試料12Hは、Simplefix Premixed Adhesive and Groutを用いた。試料15Aおよび15Bは、Fugenweissグラウト配合品を用いた。
【0170】
これらの試料を調製するために、水を、次いで界面活性剤溶液をプラスチック容器に加え、そしてこの2つを混合した。
【0171】
試料12C、15A、15Bでは、界面活性剤は加えなかった、何故ならば、用いたバインダー含有配合品がポリマー添加物を含んでおり、これが界面活性であると信じられたからである。試料15Aは、半ガロンのプラスチック容器を用いて、2つの半分量のバッチを作った。試料15Bは、混合翼の直径により近い、より背の高いそしてより細い容器中で作った。
【0172】
試料12C、12F、15Aでは、Nanogel(登録商標)エーロゲルおよびバインダーもしくはバインダー含有配合品が加えられたら、これらの成分を、螺旋型セメント混合機を備えた手持ち型ドリルで、約2分間に亘って混合して、ポンプ送出可能で、そして放置すると固化する均一な組成物をもたらした。
【0173】
試料15Bでは、Nanogel(登録商標)エーロゲルおよびバインダーもしくはバインダー含有配合品が加えられたら、これらの成分を、手持ち型セメント混合機で、約10分間に亘って混合して、放置すると急速に固化する均一な組成物をもたらした。この試料は、試料15Aに比べてより硬く、粒子の有意なせん断が起こっていた。結果として得た成型品は、15Aに比べて、より平滑な表面の仕上がりを有していた。試料15Bは、試料15Aに比べて、より滑らかな、プラスター様の混合物であり、試料15Aは湿潤した、脆いペーストであった。試料15Aは、型中に注ぎ込まなければならなかったが、一方で試料15Bは、型中に広がった。試料15Bの体積は、混合の後に最初の体積の約55%に減少した。
【0174】
結果として得た組成物を、矩形および円形の型中に注いで、そして一晩(約16時間)、85℃のオーブン中で乾燥させた。これらの試料の密度を、質量と型の体積とを測定することによって測定した。
【0175】
(mW/m−K)での熱伝導率測定は、Lasercomp Model Fox 200を用いて行なった。測定の平均温度は12.5℃であり、底板および上板は、それぞれ25℃と0℃に保持した。また、表XA中に列挙されている他の平均温度も測定した。23℃の平均温度では、上板および底板は、それぞれ10℃および36℃に保持した。62.5℃の平均温度では、上板および底板は、それぞれ50℃および75℃に保持した。試料12Fおよび12Hでは、試料調製から約26日間後に、再び測定を行い、性能のいずれかの変化を確かめた。下記の表中に記したように、誤差範囲内の無視できる変化が見出された。
【0176】
圧縮強度の測定は、円形の成型物で行い、そしてInstron model 4204で測定した。曲げ測定を、ASTM C203に概略を述べられた指針を用いてInstron model 4204で行なった。エーロゲルに対するバインダーおよび繊維に対するエーロゲルの比率、種々のパラメータおよび測定値を、表XAおよびXB中にまとめた。
【0177】
【表12】

【0178】
【表13】

【0179】
例16
バインダーとしてケイ酸ナトリウムを備えた試料を、300gのpH13の水、6gの50%P84水溶液、および25.1gのケイ酸ナトリウム溶液(米国Aldrich Chemicals)を混合容器中に加えることによって作った。二重螺旋型付属部品を備えたオーバーヘッド混合機を、750〜800rmpで始動させた。100gのRB260 Rockwool fibersを、均一な粘調液体が形成されるまで、ゆっくりと加えた。100gのTLD302エーロゲルを、ゆっくりと加え、そしてそれぞれの添加に伴って混合速度は、40〜50rpm低下した。この均一な混合物を、型中に配置して、そして一晩、85℃で乾燥させた。この複合材の圧縮強度は、0.075MPaであった。
【0180】
例17
100gのTLD 302、25gのPortland cement(Quickrete、米国)、250gの水を、螺旋型ドリルで、2分間に亘って混合した。この水を、「乾燥水(dry water)」に換え、その状態とは、液体の水が固体によって封じ込められていて、粉末様の材料をもたらしているものである。この混合物は、1gの50%P84が加えられるまで、乾燥粉末の形態に維持されていて、そして更なる1分間の混合で、湿ったスラリー様の試料12Aがもたらされた。
【0181】
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し、また記載してきたが、形態および詳細に置ける種々の変化が、添付の特許性球の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく可能であることが、当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エーロゲル成分;
b)界面活性剤;
c)無機バインダーもしくは無機バインダー含有配合品のいずれか、但し両方ともではない;
を含んでなる組成物であって、ASTM C518に従って測定した、該組成物の熱伝導率が、約50mW/(m−K)以下である、組成物。
【請求項2】
他の成分を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
a)エーロゲル成分;
b)セメント、石膏、石灰、アクリレート、およびそれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれたバインダー;ならびに
c)界面活性剤;
から本質的になる複合材であって、該複合材がASTM C518に従って測定した、約50mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している、複合材。
【請求項4】
ASTM C518に従って測定した前記熱伝導率が、約35mW/(m−K)以下である、請求項3の複合材。
【請求項5】
ASTM C518に従って測定した前記熱伝導率が、約25mW/(m−K)以下である、請求項3の複合材。
【請求項6】
a)エーロゲル成分;
b)セメント、石膏、石灰、アクリレート、およびそれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれたバインダー;
c)界面活性剤;ならびに
c)シリカ、不透明剤、微小球、ケイ酸塩、繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた他の成分;から本質的になる複合材であって、該複合材が、ASTM C518に従って測定した、約50mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している、複合材。
【請求項7】
前記他の成分が、ガラス繊維、石繊維、鉱滓繊維、生体溶解性セラミック繊維、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項6記載の複合材。
【請求項8】
前記繊維が、前記複合材中に、該複合材の0質量%超〜25質量%未満の範囲内の量で存在する、請求項7記載の複合材。
【請求項9】
前記繊維が、前記複合材中に、該複合材の25質量%以上の量で存在する、請求項7記載の複合材。
【請求項10】
前記他の成分が、炭素繊維、ポリマー系繊維、金属繊維、セルロース繊維、植物由来の繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項6記載の複合材。
【請求項11】
粒子状形態であるエーロゲル成分を含み、かつASTM C518に従って測定した、約20mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している、自立性硬質複合材。
【請求項12】
前記自立性硬質複合材がバインダーを含んでいる、請求項11記載の自立性硬質複合材。
【請求項13】
前記バインダーが、セメント、石膏、石灰、アクリレートおよびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項12記載の自立性硬質複合材。
【請求項14】
前記複合材が、少なくとも1種の他の成分を含む、請求項11〜13のいずれか1項記載の自立性硬質複合材。
【請求項15】
前記少なくとも1種の他の成分が、ガラス繊維、石繊維、鉱滓繊維、生体溶解性セラミック繊維、ミネラルウール繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた繊維を含む、請求項14記載の自立性硬質複合材。
【請求項16】
前記他の成分が、ガラス繊維、石繊維、鉱滓繊維、生体溶解性セラミック繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項14記載の自立性硬質複合材。
【請求項17】
前記繊維が、前記複合材中に、前記複合材の0質量%超〜25質量%未満の範囲内の量で存在している、請求項16記載の自立性硬質複合材。
【請求項18】
前記繊維が、前記複合材中に、前記複合材の25質量%以上の量で存在している、請求項16記載の自立性硬質複合材。
【請求項19】
前記他の成分が、炭素繊維、ポリマー系繊維、金属繊維、セルロース繊維、植物由来の繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項16記載の自立性硬質複合材。
【請求項20】
前記複合材が、難燃性を有している、請求項11〜19のいずれか1項記載の自立性硬質複合材。
【請求項21】
前記複合材が、約0.05MPa〜約0.3MPaの範囲内の圧縮強度を有する、請求項11〜19のいずれか1項記載の自立性硬質複合材。
【請求項22】
前記複合材が、約0.04MPa以下の曲げ強度を有する、請求項11〜19のいずれか1項記載の自立性硬質複合材。
【請求項23】
固体複合材の調製方法であって、
a.繊維、エーロゲル粒子、および10以上のpHを有する水を混合してスラリーを形成すること;
b.該スラリーを、乾燥させて、それによって該固体複合材を形成すること、
を含んでなる、方法。
【請求項24】
前記スラリーが、界面活性剤を更に含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記pHが13以上である、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記繊維が、ガラス繊維、石繊維、鉱滓繊維、生体溶解性セラミック繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項23〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記繊維が、前記組成物中に、前記組成物の0質量%超〜25質量%未満の範囲内の量で存在している、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記繊維が、前記組成物中に、前記組成物の25質量%以上の量で存在している、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記繊維が、炭素繊維、ポリマー系繊維、金属繊維、セルロース繊維、植物由来の繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項23または24記載の方法。
【請求項30】
請求項23〜29のいずれか1項記載の方法によって調製された、自立性硬質複合材。
【請求項31】
請求項23〜29のいずれか1項記載の方法によって調製されたコーティング。
【請求項32】
a)エーロゲル成分;
b)11%未満の量のアクリレート;
c)バインダーもしくはバインダー含有配合品;および
d)任意である、少なくとも1種の他の成分;
を含んでなる組成物であって、該組成物は、ASTM C518に従って測定した、20mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している、組成物。
【請求項33】
a)エーロゲル成分;
b)界面活性剤;
c)バインダーもしくはバインダー含有配合品;および
d)他の成分;
を含んでなる組成物であって、該組成物は、ASTM C518に従って測定した、50mW/(m−K)以下の熱伝導率を有している、組成物。
【請求項34】
前記他の成分が、シリカ、不透明剤、微小球、ケイ酸塩、繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
前記他の成分が、ガラス繊維、石繊維、鉱滓繊維、生体溶解性セラミック繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項33記載の組成物。
【請求項36】
前記繊維が、前記組成物中に、乾燥した場合に、該組成物の0質量%超〜25質量%未満の範囲内の量で存在している、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
前記繊維が、前記組成物中に、乾燥した場合に、該組成物の25質量%以上の量で存在している、請求項35記載の組成物。
【請求項38】
前記他の成分が、炭素繊維、ポリマー系繊維、セラミック繊維、金属繊維、セルロース繊維、植物由来の繊維およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた、請求項33記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、乾燥混合物、スラリーまたは複合材である、請求項33〜38のいずれか1項記載の組成物。
【請求項40】
前記スラリーが、ポンプ送出可能であり、噴霧可能であり、または塗装可能である、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、ASTM C518に従って測定した、約35mW/(m−K)以下の熱伝導率を有する複合材である、請求項39記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物が、ASTM C518に従って測定した、約20mW/(m−K)以下の熱伝導率を有する複合材である、請求項39記載の組成物。
【請求項43】
前記複合材が、自立性硬質複合材である、請求項39記載の組成物。
【請求項44】
前記複合材が、コーティングである、請求項39記載の組成物。
【請求項45】
前記エーロゲルが、疎水性の粒子状シリカエーロゲルである、請求項33〜44のいずれか1項記載の組成物。
【請求項46】
前記バインダー含有配合品が、欧州規格EN13888に従ったグラウト配合品である、請求項33〜45のいずれか1項記載の組成物。
【請求項47】
基材に複合材をコーティングする方法であって:
a.水、エーロゲル成分および無機バインダーもしくは無機バインダー含有配合品のいずれか、但し両方ともではない、を混合してスラリーを形成すること;
b.該スラリーを該基材に適用すること;ならびに
c.該適用したスラリーを乾燥させて、それによって該基材上に複合材コーティングを形成させること、
を含んでなる、方法。
【請求項48】
前記基材が、壁、天井、扉、枠、配管、乾燥壁または絶縁ボードである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記スラリーが、界面活性剤を更に含む、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記スラリーが、塗装すること、または噴霧することによって適用される、請求項47〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記スラリーを、導管を通してポンプ送出することを更に含む、請求項47〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
エーロゲル粒子、界面活性剤、バインダーおよび任意の少なくとも1種の他の成分を混合することを含んでなるスラリーの調製方法であって、該エーロゲル粒子が、液相中に押し込まれるか、または液滴が該エーロゲル粒子へと持ち上げられる、方法。
【請求項53】
前記エーロゲル粒子および前記バインダーが、前記液相に加えられ、前記液相が前記界面活性剤を含んだ水性の液相である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記液相が、少なくとも1種の他の成分を更に含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
混合が、螺旋型セメント混合機を用いて行なわれる、請求項52〜54のいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
自立性硬質複合材の生成方法であって:
a)エーロゲル粒子、界面活性剤、バインダーおよび、任意の少なくとも1種の他の成分を混合すること、該エーロゲル粒子は、液相中に押し込まれるか、または液滴が該エーロゲル粒子へと持ち上げられてスラリーを生成する;
b)スラリーを成形すること;ならびに
c)該成形されたスラリーを乾燥させ、それによって自立性硬質複合材を生成させること、
を含んでなる方法。
【請求項57】
前記スラリーが、成型、キャスティング、彫刻または押出によって成形される、請求項46記載の方法。
【請求項58】
請求項46記載の方法によって調製した、ASTM C518に従って測定した、約20mW/(m−K)以下の熱伝導率を有する、自立性硬質複合材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−525290(P2012−525290A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508549(P2012−508549)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032227
【国際公開番号】WO2010/126792
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】