説明

オイルパルス締付工具

【課題】中実軸のモータを用いて締結部材の締付トルクを制御できるオイルパルス締付工具を提供する。
【解決手段】オイルパルスユニット4の作動油が所定の油圧力に達すると、作動油の油圧力の作用により、軸心孔63に配置されるピストンロッド7が電動モータ1側へ移動する。そうすると、ピストンロッド7により閉塞されていた軸交孔64が開通する。もしくは、開通していた軸交孔64が、ピストンロッド7により閉塞される。この軸交孔64の状態変化は、光センサ8により検出される。そして、光センサ8は軸交孔64の状態変化を検出すると、制御手段9に検出信号を出力する。ここで、制御手段9は、光センサ8から出力された検出信号に基づき電動モータ1の回転を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付工具、特に油圧力による間欠的な打撃力を用いてボルト等の締結部材を締め付けることができるオイルパルス締付工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オイルパルス締付工具による締結部材の締付トルク制御手段として、例えば特許文献1には、シャットオフバルブ機構について記載されている。このシャットオフバルブ機構は、締結部材に所定値の締付トルクが作用すると、エアモータの駆動源であるエアの供給が遮断されるものである。具体的には、所定値の締付トルクが締結部材に作用すると、間欠的打撃力を発生させる作動油が昇圧する。そして、作動油が所定圧力まで昇圧すると、作動油の油圧力により、エアモータの前方に配置されているピストンがエアモータ側へ移動する。一方、エアモータの後方に配置されているバルブは、ピストンの動力を受けてエアモータへのエアの供給路を閉塞する。さらに、特許文献1によると、ピストンの動力をバルブに伝達するピストンロッドの移動スペースをエアモータの内部に確保している。つまり、エアモータの内部にピストンロッドの移動スペースを確保するために、中空軸エアモータを使用している。
【特許文献1】特開2002−66946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、中空軸エアモータを含む中空軸のモータは、中実軸のモータに比べて高価であった。そのため、オイルパルス締付工具の部品コストが上がる要因となっていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、中実軸のモータを用いて締結部材の締付トルクを制御できるオイルパルス締付工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明のオイルパルス締付工具は、略円筒状からなるハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され回転力を発生するモータと、一端側が前記モータの出力軸に結合され前記モータの回転軸の軸心方向に形成される軸心孔および前記軸心孔に交差して貫通する軸交孔が形成される略筒状からなるシリンダシャフトと、前記ハウジングの内部で前記シリンダシャフトの他端側に結合され、前記モータの回転力および内部に有する作動油の作用により間欠的な打撃力を略棒状の出力シャフトに発生させ、前記出力シャフトに所定トルクが作用する場合に前記作動油の油圧力が所定圧力に達する間欠的打撃力発生手段と、略棒状からなり前記軸心孔に軸方向往復移動可能に配置され、前記間欠的打撃力発生手段の前記作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合に前記軸交孔を開通または閉塞のいずれか一方の第1状態にし、前記作動油の油圧力が所定圧力に達する場合に前記モータ側へ移動して前記軸交孔を開通または閉塞のいずれか他方の第2状態にするピストンロッドと、前記ハウジングの内周面に固定され前記軸交孔に光を発信し前記軸交孔の前記第1状態と前記第2状態との変化を検出する光センサと、前記光センサから出力される検出信号に基づき前記モータの回転を停止する制御手段と、を備える。
【0006】
ここで、軸心孔とは、モータの回転軸の軸心方向に形成される孔である。そして、軸心孔には、ピストンロッドがシリンダシャフトに対して軸方向往復移動可能に配置されている。また、軸交孔とは、軸心孔に交差してシリンダシャフトの内部を貫通し形成される孔である。
【0007】
そして、本発明のオイルパルス締付工具は、油圧力が所定圧力に達すると第1状態から第2状態へ変化する構成である。
【0008】
具体的には、本発明のオイルパルス締付工具は、軸交孔が開通している第1状態から軸交孔がピストンロッドの側面により閉塞されている第2状態に状態変化可能な構成である。もしくは、本発明のオイルパルス締付工具は、軸交孔がピストンロッドの側面により閉塞されている第1状態から軸交孔が開通している第2状態に状態変化可能な構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のオイルパルス締付工具によれば、ピストンロッドの移動を光センサを用いて検出している。そして、光センサがピストンロッドの移動を検出すると、制御手段はモータの回転を停止する。これにより、ピストンの動力をモータの後方に伝達させる必要性がなくなり、ピストンロッドの移動スペースをモータの外部に確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のオイルパルス締付工具は、上述したように、ハウジングと、モータと、シリンダシャフトと、間欠的打撃力発生手段と、ピストンロッドと、光センサと、制御手段とを備える。ここで、モータは、エアを駆動源とするエアモータでもよいし、電気を駆動源とする電動モータでもよい。
【0011】
ここで、前記光センサは、前記ハウジングの内周面に固定され軸心側に向かって光を発信する発信手段と、前記ハウジングの内周面で前記発信手段に対向して配置されるとともに前記発信手段から発信され前記軸交孔を通過する光を受信する受信手段と、を有するようにしてもよい。
【0012】
ここで、発信手段および受信手段はハウジングの内周面に固定され、シリンダシャフトはモータの出力軸に結合している。このため、シリンダシャフトに形成されている軸交孔は、発信手段および受信手段に対して相対的に回転する。そこで、シリンダシャフトが1回転する間に、少なくとも1回、発信手段、受信手段および軸交孔が略一直線上になるように、発信手段と受信手段は配置されている。具体的には、軸交孔が軸心孔に直交している場合、シリンダシャフトが1回転する間に2回、発信手段、受信手段および軸交孔が略一直線上になるように、発信手段と受信手段は配置されている。一方、軸交孔が軸心孔に直交していない場合、シリンダシャフトが1回転する間に1回、発信手段、受信手段および軸交孔が略一直線上になるように、発信手段と受信手段は配置されている。そして、軸交孔は発信手段より軸心側に配置されており、発信手段は軸心側に向かって光を発信している。これにより、軸交孔が開通状態である場合、シリンダシャフトが1回転する間に、発信手段から軸心側に向かって発信された光は軸交孔を少なくとも1回通過する。その結果、光センサは、第1状態から第2状態への状態変化をより早く検出することができる。
【0013】
さらに、シリンダシャフトが1回転する間に、発信手段、受信手段および軸交孔が複数回、略一直線上になるようなシリンダシャフトの形状にするようにしてもよい。例えば、軸交孔をシリンダシャフトに複数カ所形成するようにしてもよい。これにより、軸交孔が開通状態である場合、シリンダシャフトが1回転する間に、発信手段から発信された光は軸交孔を複数回通過する。その結果、光センサは、第1状態から第2状態への状態変化をより確実に検出することができる。
【0014】
また、前記光センサは、前記ハウジングの内周面に固定され軸心側に向かって光を発信しかつ軸心側からの光を受信する発受信手段と、前記ハウジングの内周面で前記発受信手段に対向して配置され前記発受信手段から発信され前記軸交孔を通過する光を前記発受信手段側に反射する反射手段と、を有するようにしてもよい。
【0015】
ここで、上述したように、シリンダシャフトは、ハウジングに対して相対的に回転する。そこで、シリンダシャフトが1回転する間に、少なくとも1回、発受信手段、反射手段および軸交孔が略一直線上になるように、発受信手段と反射手段は配置されている。そして、軸交孔は発受信手段より軸心側に配置されており、発受信手段は軸心側に向かって光を発信している。これにより、軸交孔が開通状態である場合、シリンダシャフトが1回転する間に、発受信手段から軸心側に向かって発信された光は、軸交孔を少なくとも1回往復する。具体的には、発受信手段により軸心側に向かって発信された光は、軸交孔を通過して反射手段に到達する。つづいて、反射手段に到達した光は、反射手段により軸心側に向かって反射され軸交孔を通過し、発受信手段に戻る。
【0016】
さらに、上記同様に、シリンダシャフトが1回転する間に、発受信手段、反射手段および軸交孔が複数回、略一直線上になるようなシリンダシャフトの形状にするようにしてもよい。これにより、光センサは、第1状態から第2状態への状態変化をより確実に検出することができる。
【0017】
また、前記ピストンロッドは、前記軸心孔のうち前記軸交孔が形成される部分の径に略同一の径からなり前記軸交孔を閉塞する大径部と、前記大径部の径より小さい径からなり前記大径部の端側に配置され前記軸交孔を開通する小径部と、を有していてもよい。
【0018】
ここで、大径部の径は、軸心孔のうち軸交孔が形成される部分の径に略同一である。そのため、大径部が軸交孔に配置されている場合、軸交孔は大径部により閉塞状態にある。この場合、発信手段もしくは発受信手段から軸心側に向かって発信される光は、軸交孔を通過できない。一方、小径部の径は、軸交孔の径より小さい。そのため、小径部の少なくとも一部が軸交孔に配置されている場合、軸交孔は、大径部と小径部の隙間により開通状態にある。この場合、発信手段もしくは発受信手段から軸心側に向かって発信される光は、軸交孔を通過できる。これにより、第1状態と第2状態の変化を光センサにより確実に検出することができる。さらに、ピストンロッドの成形なども容易に行えるので、低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、前記ピストンロッドは、前記軸心孔のうち前記軸交孔が形成される部分の径に略同一の径からなり前記軸交孔の少なくとも一部に一致可能な貫通孔が形成される貫通孔形成部を有していてもよい。
【0020】
ここで、ピストンロッドは、軸交孔の径に略同一である。そして、ピストンロッドには軸交孔の少なくとも一部に一致可能な貫通孔が形成されている。そのため、ピストンロッドのうち貫通孔以外の部分が軸交孔に配置されている場合、軸交孔はピストンロッドにより閉塞状態にある。この場合、発信手段もしくは発受信手段から軸心側に向かって発信される光は、軸交孔を通過できない。一方、ピストンロッドの貫通孔が軸交孔に介在している場合、軸交孔は開通状態にある。この場合、発信手段もしくは発受信手段から軸心側に向かって発信される光は、軸交孔を通過できる。これにより、第1状態と第2状態の変化を光センサにより確実に検出することができる。さらに、ピストンロッドの成形なども容易に行えるので、低コスト化を図ることができる。
【実施例】
【0021】
実施例を示し本発明のオイルパルス締付工具について具体的に説明する。
【0022】
(第1実施例)
以下、第1実施例におけるオイルパルス締付工具について説明する。
【0023】
(1−1)オイルパルス締付工具の構成
まず、第1実施例におけるオイルパルス締付工具の構成について、主に図1を用いて説明する。図1は、第1実施例におけるオイルパルス締付工具全体の軸方向断面図を示す。ここで、オイルパルス締付工具の外観構成は、図1に示すように、略円筒状からなるハウジング5と、ハウジング5の後端側(図1の右側)から下方に向かって配置された把持部10とを備える。
【0024】
ここで、オイルパルス締付工具は、ハウジング5内に、電動モータ(モータ)1と、オイルパルスユニット(間欠的打撃力発生手段)4と、シャフト部2と、光センサ8と、制御手段9とを備えている。ここで、オイルパルス締付工具のハウジング5内の概略構成は、電動モータ1、シャフト部2、オイルパルスユニット4の順に後方から配置されている。なお、オイルパルスユニット4は、作動油の油圧力を用いて、電動モータ1で発生した回転力を間欠的打撃力に変換し締結部材に出力する部分である。また、シャフト部2は、電動モータ1とオイルパルスユニット4との間に介在し、電動モータ1の回転力をオイルパルスユニット4に伝達する部分である。以下に、オイルパルス締付工具を構成する各部について詳細に説明する。
【0025】
(1−1−1)ハウジング5
ハウジング5は、略円筒状からなり、電動モータ1と、オイルパルスユニット4の大部分と、シャフト部2と、光センサ8と、制御手段9とを包囲するように配置されている。
【0026】
(1−1−2)電動モータ1
電動モータ1は、ハウジング5の内部の後端側(図1の右側)に配置されている。すなわち、電動モータ1は、把持部10の直上に配置されている。この電動モータ1は、中実軸のモータからなり、電動モータ回転出力軸(出力軸)12が前方側(図1の左側)に突出している。そして、電動モータ1には、把持部10にある操作レバー11が押圧されることにより、電流が供給される。そうすると、電動モータ1は、供給された電流により電動モータ回転出力軸12に回転力を発生する。なお、電動モータ回転出力軸12の回転方向は、切替可能である。
【0027】
(1−1−3)オイルパルスユニット4
オイルパルスユニット4は、ハウジング5の内部で前端側(図1の左側)に配置されている。そして、このオイルパルスユニット4は、シャフト部2を介して電動モータ回転出力軸12に連結され、電動モータ回転出力軸12の同軸上に配置されている。そして、オイルパルスユニット4は、内部に作動油を有しており、電動モータ1の回転力に基づき作動油の作用により間欠的打撃力を発生させる。ここで、オイルパルスユニット4は、オイルパルス出力部4aと、油圧力伝達部4bとから構成されている。なお、オイルパルス出力部4aは、作動油の油圧力により間欠的打撃力を発生させ締結部材に出力する部分である。そして、油圧力伝達部4bは、間欠的打撃力の発生にともない所定値に達した作動油の油圧力をシャフト部2に伝達する部分である。
【0028】
(a)オイルパルス出力部4a
まず、オイルパルス発生部4aについて、図1、図2および図3を用いて説明する。なお、図2は、オイルパルスユニット4の作動状態を示す図1のA−A断面矢視図を示す。さらに、図3は、オイルパルスユニット4の部分拡大断面図を示す。ここで、オイルパルス発生部4aは、ライナケース40と、ライナ下蓋41と、ライナ42と、出力シャフト43とから構成されている。
【0029】
ライナケース40は、図1に示すように、有底筒状からなり、底部が前方側に配置されるとともに、電動モータ回転出力軸12と同軸上に配置されている。このライナケース40は、オイルパルスユニット4の外枠を形成している。ここで、ライナケース40の前端側の底部の中央には、円形状の第1軸挿入孔44aが電動モータ回転出力軸12と同軸上に形成されている。
【0030】
ライナ下蓋41は、中央に円形状の第2軸挿入孔44bが形成されている円盤形状からなり、ライナケース40の前端側の底部に結合している。ここで、ライナ下蓋41の中央に形成されている第2軸挿入孔44bは、ライナケース40に形成されている第1軸挿入孔44aに略合致し軸方向に連通している。
【0031】
ライナ42は、略円筒形状からなる。また、ライナ42の外周面がライナケース40の内周面に結合し、ライナ42の前端側がライナ下蓋41に結合している。また、ライナ42は、電動モータ回転出力軸12と同軸上に配置されている。そして、ライナ42の内部には、図2に示すように、繭形断面形状(中央部がわずかにくびれた長円形状)の第3軸挿入孔44cが形成されている。ここで、第3軸挿入孔44cは、第1軸挿入孔44aおよび第2軸挿入孔44bに軸方向に連通している。さらに、ライナ42の内側面から径方向の内方に向かってわずかに突出する山形状の4つのライナシール面45がライナ42とともに軸方向に延在している。ここで、4つのライナシール面45のうち互いに対向する一方のライナシール面45aは、180°回転対称に形成されている。一方、4つのライナーシール面45のうち互いに対向する他方のライナシール面45bは、180°回転非対称に形成されている。
【0032】
出力シャフト43は、断面円形状の略棒状からなり、第1軸挿入孔44aと、第2軸挿入孔44bと、第3軸挿入孔44cとを貫通している。ここで、第3軸挿入孔44cの断面形状は、図2に示すように、繭形であるのに対し、第3軸挿入孔44cに挿入する出力シャフト43の断面形状は円形である。そのため、第3軸挿入孔44cを内部に形成するライナ42と、第3軸挿入孔44cを貫通する出力シャフト43との間に空洞部419が形成されている。ここで、空洞部419には、作動油が充填されている。さらに、出力シャフト43は、ライナ42に同心的かつライナ42に対して相対回転可能に配置されている。
【0033】
ここで、出力シャフト43の前端側は、ハウジング5の外部に配置され、ソケット499が取り付けられている。一方、出力シャフト43の後端側には、図3に示すように、中央にチェックバルブ挿入孔52aが形成されている。このチェックバルブ挿入孔52aは、前端側にてライナ42と出力シャフト43との間に形成されている空洞部419に連通している。また、出力シャフト43のうち第3軸挿入孔44cに対向する部分の円周上には、径方向の外方に向かってわずかに突出する山形状の2つの軸シール面46が出力シャフト43とともに軸方向に延在している。ここで、2つの軸シール面46は、互いに180°回転非対称になるように配置されている。さらに、出力シャフト43には、軸方向に沿って2つのブレード挿入溝47が形成されている。この2つのブレード挿入溝47は、互いに180°回転対称に形成されている。さらに、2つのブレード挿入溝47は、軸中心にて連通されている。
【0034】
そして、それぞれのブレード挿入溝47には、略板状のブレード49が配置されている。さらに、それぞれのブレード挿入溝47のうち、ブレード49の内側には、ライナ用バネ48が配置されている。ここで、ライナ用バネ48は、ブレード49を出力シャフト43に対して径方向の外方に向かって付勢している。つまり、ブレード49は、ブレード挿入溝47において出没可能な状態にある。
【0035】
(b)油圧力伝達部4b
つぎに、油圧力伝達部4bについて、主に図3および図4を用いて説明する。なお、図4は、図3のB−B断面矢視図を示す。ここで油圧力伝達部4bは、ライナ上蓋50と、凸部51と、リリーフバルブ52と、チェックバルブ53と、ピストン54とから構成されている。
【0036】
ライナ上蓋50は、中央に軸心孔が形成されている略円筒形状からなる。ライナ上蓋50の前端側は、ライナ42の後端側に結合している。さらに、ライナ上蓋50の外周面は、ライナケース40の内周面に結合している。
【0037】
ここで、ライナ上蓋50の中央に形成されている軸心孔は、出力シャフト挿入孔41aと、第1分岐通路42aと、第2分岐通路42bと、ピストン挿入孔43aとからなる。出力シャフト挿入孔41aは、ライナ上蓋50の前端側に形成され、上述した出力シャフト43の後端側を回転可能に支持している。第1分岐通路42aは、出力シャフト挿入孔41aの後端側に連通して形成されており、出力シャフト挿入孔41aよりも小さな径からなる。第2分岐通路42bは、第1分岐通路42aの後端側に連通して形成されている。ここで、第2分岐通路42bは、第1分岐通路42aと略同一径からなる。ピストン挿入孔43aは、第2分岐通路42bの後端側に連通して形成されており、第2分岐通路42bのよりも大きい径からなる。
【0038】
さらに、ライナ上蓋50には、径方向に貫通するリリーフバルブ挿入孔417が形成されている。このリリーフバルブ挿入孔417は、ライナ上蓋50の第1分岐通路42aと第2分岐通路42bの中間であって、第1分岐通路42aと第2分岐通路42bとに直交するように形成されている。
【0039】
さらに、ライナ上蓋50には、軸心から偏心した位置に軸心方向に平行な第1連通路409が2つ形成されている。この第1連通路409の一端側は、上述したライナ42と出力シャフト43との間に形成される空洞部419に連通している。さらに、ライナ上蓋部40には、2つの第1連通路409の他端側を連通させる第2連通路410が形成されている。この第2連通路410は、中央部でリリーフバルブ挿入孔417に直交するように連通している。
【0040】
凸部51は、ライナ上蓋50の外径より小さい外径からなる略円筒状に形成されており、ライナ上蓋50の後端側に結合されている(図1参照)。この凸部51の中央の軸孔は、ピストン挿入孔43aに連通しており、ピストン挿入孔43aよりも大きない径からなる。
【0041】
リリーフバルブ52は、全体としては略円柱形状からなり、ライナ上蓋50のリリーフバルブ挿入孔417内に配置されている。ここで、リリーフバルブ52は、バルブシート404と、トルク調節ネジ405とから構成されている。
【0042】
バルブシート404は、略円柱形状からなり、リリーフバルブ挿入孔417の中心から一方外方側(図3の下側)に固定されている。ここで、バルブシート404の内方端側には、縮径されたピン404aが形成されている。このピン404aの軸中心には、ピン404aの先端側(内方端側)から径方向外方側に向かって軸孔404cが形成されている。さらに、ピン404aには、軸孔404cに直交するようにピン404aを貫通する長孔404bが形成されている。長孔404bは、ライナ上蓋50の第2連通路410に連通している。
【0043】
トルク調節ネジ405は、全体としては略円柱形状からなり、リリーフバルブ挿入孔417の中心から他方外方側(図3の上側)に径方向(図3の上下方向)に移動可能に配置されている。つまり、トルク調節ネジ405は、バルブシート404のピン404aに対向するように配置されている。このトルク調節ネジ405の内方端側には、内部にスプリング挿入孔415が形成されている略円筒形状からなるスリーブ405aを有している。このスリーブ405aは、バルブシート404のピン404aの外周側に径方向(図3の上下方向)に移動可能に嵌合している。さらに、スリーブ405aには、スプリング挿入孔415の略中央にスプリング挿入孔415に直交して貫通するように連通孔408が形成されている。この連通孔408は、ライナ上蓋50の第1分岐通路42aに少なくとも一部分が連通している。また、連通孔408は、ライナ上蓋50の第2分岐通路42bにも少なくとも一部分が連通している。
【0044】
そして、スリーブ405aに形成されているスプリング挿入孔415には、第1スプリング407が径方向(図3の上下方向)に伸縮可能に配置されている。さらに、第1スプリング407とバルブシート404との間には、軸孔404cの径より大きい径からなる球形状のボール406が介在している。すなわち、第1スプリング407は、一端側(図3の上側)がスリーブ405aの底面に当接し、他端側(図3の下側)がボール406に当接している。つまり、第1スプリング407がボール406を径方向外方へ押圧して軸孔404cの内方端側をボール406により閉塞するようにしている。
【0045】
なお、トルク調節ネジ405を径方向(図3の上下方向)に移動させることにより第1スプリング407の付勢力を調節することができる。さらに、トルク調節ネジ405を径方向に移動させることにより、トルク調節ネジ405のスリーブ405aとバルブシート404のピン404aとの重複部分の大きさが変化する。そして、スリーブ405aの長孔404bを閉塞する面積が変化すると、第2連通路410から長孔404bへ連通する面積が変化する(図3、図4参照)。
【0046】
チェックバルブ53は、出力シャフト43の後端側の中央に形成されているチェックバルブ挿入孔52aにわずかな隙間を設けて配置されている。ここで、チェックバルブ挿入孔52aには、チェックバルブ53を軸方向後方に向かって付勢する第2スプリング414が配置されている。したがって、チェックバルブ53は、第2スプリング414により、第1分岐通路42aの前端側を閉塞するように付勢されている。
【0047】
ピストン54は、略円柱状に形成され、ピストン挿入孔43aに軸方向に摺動可能に配置されている。
【0048】
ここで、油圧力伝達部4bに形成されている通路は、ボール406により軸孔404cの内方端側が閉塞されていなければ、オイルパルス出力部4aの空洞部419から第1連通路409、第2連通路410、長孔404b、軸孔404c、スプリング挿入孔415、連通孔408、第2分岐通路42b、ピストン挿入孔43aの順に連通されている。さらに、油圧力伝達部4bに形成されている通路は、ボール406により軸孔404cの内方端側が閉塞されておらず、チェックバルブ53により第1分岐通路42aの前端側が閉塞されていなければ、オイルパルス出力部4aの空洞部419から第1連通路409、第2連通路410、長孔404b、軸孔404c、スプリング挿入孔415、連通孔408、第1分岐通路42a、チェックバルブ挿入孔52a、空洞部419の順に連通されている。
【0049】
(1−1−4)シャフト部2
シャフト部2について、図1および図5(a)を用いて説明する。なお、図5は、作動油の油圧力が所定圧力に達する前後のシャフト部2の軸方向断面図を示す。ここで、図5(a)は、作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。一方、図5(b)は、作動油の油圧力が所定圧力に達した場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。
【0050】
シャフト部2は、全体としては略円柱形状からなり、ハウジング5内の略中央に配置されている。具体的には、シャフト部2は、電動モータ1とオイルパルスユニット4との間に介在している。ここで、シャフト部2は、シリンダシャフト65と、ピストンロッド66と、鋼球67と、コイルスプリング68とから構成されている。
【0051】
(a)シリンダシャフト65
シリンダシャフト65は、略円筒状からなり、電動モータ回転出力軸12と同軸上に配置されている。このシリンダシャフト65は、後端側が電動モータ1の電動モータ回転出力軸12に結合され、前端側がオイルパルスユニット4の後端側に結合されている。具体的には、シリンダシャフト65の後端側の中央に形成されている出力軸挿入孔62に電動モータ回転出力軸12が嵌挿されて、シリンダシャフト65と電動モータ回転出力軸12とが結合されている。また、シリンダシャフト65の前端側が油圧力伝達部4bの凸部51の軸孔に嵌挿されて、シリンダシャフト65と油圧力伝達部4bとが結合されている。
【0052】
さらに、シリンダシャフト65の内部には、電動モータ回転出力軸12の軸心方向に形成されている軸心孔63と、軸心孔63に直交して貫通する軸交孔64とが形成されている。
【0053】
軸心孔63は、シリンダシャフト65の前端側から軸心上を後端側に向かって形成されている。ここで、軸心孔63は、第1中径軸心孔63aと、第1小径軸心孔63bと、大径軸心孔63cと、第2小径軸心孔63dと、第2中径軸心孔63eとからなる。
【0054】
第1中径軸心孔63aは、略円形に形成されており、シリンダシャフト65の前端側に形成されている。さらに、第1中径軸心孔63aは、前端側でピストン挿入孔43aに連通している。なお、第1中径軸心孔63aは、ピストン54が挿入可能な径からなる。
【0055】
第1小径軸心孔63bは、略円形に形成されており、第1中径軸心孔63aの後端側に形成されている。ここで、第1小径軸心孔63bは、第1中径軸心孔63aよりわずかに小さい径からなる。
【0056】
大径軸心孔63cは、略円形に形成されており、第1小径軸心孔63bの後端側に形成されている。この大径軸心孔63cは、シリンダシャフト65の軸方向の略中央に形成されている。ここで、大径軸心孔63cは、第1中径軸心孔63aよりわずかに大きい径からなる。
【0057】
第2小径軸心孔63dは、略円形に形成されており、大径軸心孔63cの後端側に形成されている。ここで、第2小径軸心孔63dは、第1小径軸心孔63bと略同一径からなる。
【0058】
第2中径軸心孔63eは、略円形に形成されており、第2小径軸心孔63dの後端側に形成されている。ここで、第2中径軸心孔63eは、第1中径軸心孔63aと略同一径からなる。
【0059】
軸交孔64は、略矩形に形成されており、シリンダシャフト65を径方向に貫通する貫通孔である。具体的には、軸交孔64は、大径軸心孔63cに直交するように大径軸心孔63cの前方端側に形成されている。ここで、軸交孔64の断面形状である矩形は、大径軸心孔63cの直径に略同一の長辺と、長辺より小さい短辺とからなる。
【0060】
(b)ピストンロッド66
ピストンロッド66は、全体としては略棒状からなり、軸心孔63に軸方向往復摺動可能に配置されている。ここで、ピストンロッド66は、ロッド第1小径部71と、ロッド大径部72と、ロッド第2小径部73とから構成されている。
【0061】
ロッド第1小径部71は、略円柱状に形成されている。このロッド第1小径部71は、大部分が第1小径軸心孔63bと略同一径からなる。さらに、ロッド第1小径部71は、第1小径軸心孔63bを貫通し、ロッド第1小径部71の前端部分が、第1中径軸心孔63aを摺動可能に配置されている。さらに、ロッド第1小径部71の前端面は、ピストン54の後端面に当接している。
【0062】
ロッド大径部72は、略円柱状に形成されており、ロッド第1小径部71の後端側に結合されている。このロッド大径部72は、大径軸心孔63cと略同一径からなる。すなわち、ロッド大径部72は、ロッド第1小径部71の径より大きい径からなる。さらに、ロッド大径部72の軸方向長さは、大径軸心孔63cの軸方向深さの略半分程度である。さらに、ロッド大径部72の軸方向長さは、軸交孔64の短辺長さよりも長い。そして、ロッド大径部72は、軸交孔64を閉塞している。
【0063】
ロッド第2小径部73は、略円柱状に形成されており、ロッド大径部72の後端側に結合されている。このロッド第2小径部73は、第2小径軸心孔63dと略同一径からなる。そして、ロッド第2小径部73は、第2小径軸心孔63dを貫通している。
【0064】
(c)鋼球67
鋼球67は、第2中径軸心孔63eの内周面に摺動可能な大きさからなる球状に形成されている。この鋼球67は、第2中径軸心孔63eに配置されている。そして、鋼球67は、ロッド第2小径部73の後端側に当接されている。
【0065】
(d)コイルスプリング68
コイルスプリング68は、第2中径軸心孔63eの内径よりも小さな径からなる。そして、このコイルスプリング68は、第2中径軸心孔63eのうち鋼球67の後端側に配置されている。すなわち、コイルスプリング68は、後端側が第2中径軸心孔63eの後端面に当接し、前端側が鋼球67に当接している。つまり、コイルスプリング68は、鋼球67、さらには、ピストンロッド66およびピストン54を前方側に付勢している。そのため、ピストン54は、コイルスプリング68の付勢力により、ピストン挿入孔43aの前端側に連通する第2分岐通路42bの後端側を閉塞するように配置されている。
【0066】
(1−1−5)光センサ8
光センサ8について、ひきつづき、図1および図5(a)を用いて説明する。光センサ8は、発信手段81と、受信手段82とから構成されている。
【0067】
発信手段81は、軸交孔64と同一の軸方向位置にあり、かつハウジング5の内周面のうち最下点に固定されている。ここから、発信手段81は、軸心側にある軸交孔64に向かって光を発信している。
【0068】
受信手段82は、軸交孔64と同一の軸方向位置にあり、かつハウジング5の内周面のうち最上点に固定されている。すなわち、受信手段82は、シリンダシャフト65を介して発信手段81に対向するように配置されている。ここで、受信手段82は、軸交孔64を通過する光を受信する。また、受信手段82は、受信した光を電気信号に変換し、制御手段9に出力する。
【0069】
(1−1−6)制御手段9
制御手段9について、図6を用いて説明する。図6は、制御手段9による電動モータ停止処理を示すフローチャートである。制御手段9は、受信手段82から出力される検出信号に基づき電動モータ1の回転を停止する。具体的には、制御手段9は、まず、受信手段82から出力された電気信号を読み込む(ステップS1)。つづいて、制御手段9は、電気信号の入力があった否かを判定する(ステップS2)。そして、電気信号の入力があった場合には(ステップS2:Yes)、制御手段9は電動モータ1の回転を停止する(ステップS3)。具体的には、制御手段9は、電動モータ1への電流の供給を遮断する。一方、制御手段9に電気信号の入力がなかった場合には(ステップS2:No)、制御手段9は受信手段82から出力される電気信号を再度読み込む(ステップS1)。
【0070】
(1−2)オイルパルス締付工具により締結部材を締め付ける際の動作
つぎに、第1実施例におけるオイルパルス締付工具により締結部材を締め付ける際の動作について説明する。ここで、第1実施例のオイルパルス締付工具の動作は、オイルパルス出力工程と、間欠的打撃力のトルク制御工程とからなる。ここで、オイルパルス出力工程は、電動モータ1により発生した回転力をオイルパルスユニット4で間欠的打撃力に変換し、この間欠的打撃力を出力シャフト43さらには締結部材に発生させる工程である。また、間欠的打撃力のトルク制御工程は、出力シャフト43に作用する間欠的打撃力による締付トルクを制御する工程である。
【0071】
(1−2−1)オイルパルス出力工程
オイルパルス出力工程は、上述したように、電動モータ1により発生した回転力をオイルパルスユニット4で間欠的打撃力に変換し、この間欠的打撃力を出力シャフト43さらには締結部材に発生させる工程である。以下、オイルパルス出力工程について図1および図2を用いて説明する。
【0072】
まず、把持部10にある操作レバー11を押圧することにより、電動モータ1に外部からの電流が供給される。そうすると、電動モータ1は、供給された電流により電動モータ回転出力軸12に回転力を発生させる。このとき、電動モータ回転出力軸12に発生した回転力の回転方向は、締結部材の締付方向、すなわち、電動モータ1からソケット499に向かって時計回り方向としている。
【0073】
そして、電動モータ回転出力軸12に発生した回転力は、電動モータ回転出力軸12の前端側に結合しているシリンダシャフト65に伝達される。つづいて、シリンダシャフト65に伝達された回転力は、シリンダシャフト65の前端側に結合しているオイルパルスユニット4に伝達される。具体的には、シリンダシャフト65に伝達された回転力は、シリンダシャフト65の前端側の外周面に結合している油圧力伝達部4bの凸部51に伝達される。それから、凸部51に伝達された回転力は、凸部51の前端側に結合しているライナ上蓋50に伝達される。つづいて、ライナ上蓋50に伝達された回転力は、ライナ上蓋50の前端側に結合しているオイルパルス出力部4aに伝達される。具体的には、ライナ上蓋50に伝達された回転力は、ライナ上蓋50の前端側に結合しているライナ42およびライナ上蓋50の外周面を覆うように結合しているライナケース40に伝達される。そして、ライナ42に伝達された回転力により、出力シャフト43に間欠的打撃力を発生する。ここで、ライナ42に伝達された回転力により、オイルパルスユニット4の状態は、図2(a)→(b)→(c)→(d)→(a)→(b)→・・・のように変化する。
【0074】
図2(a)に示す状態では、ブレード49は、ブレード挿入溝47に没入している。さらに、ライナシール面45bとブレード49の先端とが合致するが、ライナシール面45aと軸シール面46とが合致していない。そのため、作動油により充填されている空洞部419は、高圧室Hと低圧室Lとに区画されない。結果として、出力シャフト43には間欠的打撃力が発生しない。そして、ライナ42は、電動モータ回転出力軸12から伝達される回転により、時計回り方向(図2の白抜き矢印方向)に約90°回転し、図2(b)に示す状態になる。
【0075】
図2(b)に示す状態では、ブレード49がブレード挿入溝47から突出し、ブレード49の先端がライナシール面45aに合致している。さらに、ライナシール面45bと軸シール面46とが合致している。そのため、作動油により充填されている空洞部419は、高圧室Hと低圧室Lとの4室(ただし、高圧室H同士は、ブレード挿入溝47を介して連通している。)に区画されている。このとき、高圧室H内の作動油と低圧室L内の作動油の差圧力によりブレード49は低圧室Lの方向へ瞬間的に押圧される。結果として、ブレード49に挿入されている出力シャフト43に間欠的打撃力が発生する。そして、ライナ42は、電動モータ回転出力軸12から伝達される回転により、さらに時計回り方向に約90°回転し、図2(c)に示す状態になる。
【0076】
図2(c)に示す状態では、ブレード49は、ブレード挿入溝47に没入している。さらに、ライナシール面45bとブレード49の先端とが合致するが、ライナシール面45aと軸シール面46とが合致していない。そのため、作動油により充填されている空洞部419は、高圧室Hと低圧室Lとに区画されない。結果として、入力側軸43には間欠的打撃力が発生しない。そして、ライナ42は、エアモータ出力軸31の回転によりさらに時計回り方向に約90°回転し、図2(d)に示す状態になる。
【0077】
図2(d)に示す状態では、ブレード49がブレード挿入溝47から突出し、ブレード49の先端がライナシール面45aに合致している。しかしながら、2つのライナシール面45bが、180°回転非対称に形成され、かつ2つの軸シール面46も、180°回転非対称に形成されている。そのため、図2(b)の状態とは異なり、ライナシール面45bと軸シール面46とが合致していない。そのため、作動油により充填されている空洞部419は、高圧室Hと低圧室Lとに区画されない。結果として、出力シャフト43には間欠的打撃力が発生しない。そして、ライナ42は、電動モータ回転出力軸12から伝達される回転により、さらに時計回り方向に約90°回転し、図2(a)に示す状態に戻る。
【0078】
以上、説明したように、ライナ42の1回転につき1回の間欠的打撃力が、出力シャフト43に発生する。そして、出力シャフト43に発生した間欠的打撃力は、出力シャフト43の前端側に取り付けられているソケット499に伝達される。つづいて、ソケット499に伝達された間欠的打撃力は、ソケット499に嵌合する六角形の頭部を有する六角ボルト、六角ナットなどの締結部材に伝達される。
【0079】
(1−2−2)間欠的打撃力のトルク制御工程
間欠的打撃力のトルク制御工程は、上述したように、出力シャフト43に作用する間欠的打撃力による締付トルクを制御する工程である。以下、間欠的打撃力のトルク制御工程について説明する。上述したオイルパルス出力工程の中で、ライナ42が1回転する間に1回、オイルパルス出力部4aは、図2(b)に示す状態になる。このとき、作動油により充填されている空洞部419は、高圧室Hと低圧室Lとの4室に区画される。このように、空洞部419内で圧力差が生じるため、高圧室Hに充填されている作動油の一部は、高圧室Hに連通している第1連通路409を通過する(図4参照、なお、図4の矢印は作動油の流動方向を示す)。つづいて、第1連通路409を通過した作動油は、第1連通路409に連通する第2連通路410を流動し、第2連通路410の中央部に連通する長孔404bに到達する。
【0080】
ここで、長孔404bに到達した作動油は、長孔404bを通過し第2連通路410の他端側に向かって流動する作動油と、長孔404bに直交し連通する軸孔404cに流入する作動油との二方向に分流する。以下、二方向に分流した作動油の経路をそれぞれ分けて説明する。
【0081】
長孔404bから第2連通路410の他端側に向かって流動する作動油は、第2連通路410を通過して、第2連通路410の他端側に連通する第1連通路409を通過する。つづいて、第1連通路409を通過した作動油は、第1連通路409に連通する空洞部419の低圧室Lに到達する。
【0082】
一方、長孔404bから軸孔404cに流入した作動油は、軸孔404cの内方端側に到達する(図3参照)。ここで、軸孔404cの内方端側は、ボール406により閉塞されている。このとき、ボール406は、第1スプリング407の付勢力により径方向外方側に押圧されている。
【0083】
以下、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合と、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合とに分けて説明する。
【0084】
(a)作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合
作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合について、図1、図3および図5(a)を用いて説明する。なお、図5(a)は、上述したように、作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。すなわち、図5(a)は、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。また、図5(a)および図5(b)の白抜き矢印は光の進行方向を示す。
【0085】
この場合、まず、軸孔404c内方端側に到達した作動油は、油圧力により、第1スプリング407の付勢力に抗してボール406を径方向内方側へ押圧する。しかし、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さいため、作動油がボールを押し退けることができない。そのため、作動油は、スプリング挿入孔415に流入することができない。したがって、作動油は、連通孔408と第1分岐通路42aとを通過して、スプリング挿入孔415に連通するピストン挿入孔43aに到達することができない。そのため、ピストン挿入孔43aに配置されているピストン54と、ピストン54に当接しているピストンロッド66とに油圧力は作用されない(図5(a)参照)。このとき、ピストンロッド66のロッド大径部72により、軸交孔64は閉塞状態(第1状態)である。
【0086】
ところで、発信手段81は、軸心側にある軸交孔64に向かって光を発信し続けている。しかし、軸交孔64は閉塞状態であるため、発信手段81から発信されている光は、シリンダシャフト65の側面およびロッド大径部72の側面に衝突し、軸交孔64を通過できない。つまり、受信手段82は、発信手段81から発信されている光を受信できない。そのため、受信手段82は、電気信号を制御手段9に出力できない。したがって、制御手段9に電気信号の入力があるまで、オイルパルス出力部4aからの間欠的打撃力は、ソケット499を介して締結部材に伝達され続ける。
【0087】
(b)作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合
作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合について、図1、図3、図5(a)および図5(b)を用いて説明する。なお、図5(b)は、上述したように、作動油の油圧力が所定圧力に達した場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。すなわち、図5(b)は、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合のシャフト部2の軸方向断面図を示す。ここで、空洞部419の高圧室Hから流出した作動油が軸孔404cの内方端側に到達し、ボール406を径方向内方側へ押圧するまでは、上述した、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合と同様である。この場合、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達しているため、作動油がボール406を押し退け軸孔404cに連通しているスプリング挿入孔415を通過する。つづいて、スプリング挿入孔415を通過した作動油は、スプリング挿入孔415に連通する連通孔408を通過する。さらに、連通孔408を通過した作動油は、連通孔408に連通する第2分岐通路42bに到達する。
【0088】
ここで、第2分岐通路42bの後端側はピストン挿入孔43aに連通し、さらに、このピストン挿入孔43aの前端側には、ピストン54が配置されている。そこで、第2分岐通路42bの後端側に到達した作動油は、ピストン挿入孔43aに対してピストン54を後方側に摺動させるとともに、ピストン挿入孔43aに流入する。
【0089】
ここで、ピストン54の後方側への摺動により、軸交孔64は開通状態(第2状態)になる(図5(b)参照)。具体的には、ピストン54に結合するピストンロッド66が、軸心孔63に対して後方側に摺動することにより、ロッド第1小径部71の介在する軸交孔64は開通状態になる。
【0090】
ところで、発信手段81は、発信手段81に対向している受信手段82に向かって光を発信し続けている。そして、発信手段81から発信された光は、発信手段81と受信手段82との間に介在し発信手段81に対して回転しているシリンダシャフト65に衝突する。しかし、シリンダシャフト65の1回転につき2回、発信手段81、受信手段82および軸交孔64が一直線上に配置される。このときに、受信手段82は、発信手段81から発信され軸交孔64を通過した光を受信する。そして、受信手段82は、受信した光を電気信号に変換し、制御手段9に出力する。
【0091】
そして、制御手段9は、電気信号の入力があったので、電動モータ1の回転を停止する。具体的には、制御手段9は、外部から電動モータ1に供給される電流を遮断することにより、電動モータ1の回転を停止させる。
【0092】
ここで、電動モータ1の停止により、オイルパルス発生部4aからの間欠的打撃力が出力シャフト43に発生しなくなる。さらに、電動モータ1の回転が停止すると、ライナ42の回転も停止する。これにより、高圧室Hと低圧室Lとに区画されることなく空洞部419内の油圧力は一定になる。一方、第1分岐通路42a内の作動油、連通孔408内の作動油、第2分岐通路42b内の作動油およびピストン挿入孔43a内の作動油の油圧力は、チェックバルブ挿入孔52a内の油圧力より大きい。そのため、第1分岐通路42a内の作動油、連通孔408内の作動油、第2分岐通路42b内の作動油およびピストン挿入孔43a内の作動油は、第2スプリング414の付勢力に抗してチェックバルブ53を前方側へ押圧し、チェックバルブ挿入孔52aに流入する。つづいて、チェックバルブ挿入孔52aに流入した作動油は、チェックバルブ53とチェックバルブ挿入孔52aとのわずかな隙間を通過して、チェックバルブ挿入孔52aの前端側に連通している空洞部419に到達する(図3参照)。
【0093】
(第2実施例)
以下、第2実施例におけるオイルパルス締付工具について、図1および図7を用いて説明する。図7は、作動油の油圧力が所定圧力に達する前後のシャフト部20の軸方向断面図を示す。ここで、図7(a)は、作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合のシャフト部20の軸方向断面図を示す。さらに、図7(b)は、作動油の油圧力が所定圧力に達した場合のシャフト部20の軸方向断面図を示す。
【0094】
(2−1)オイルパルス締付工具の構成
まず、第2実施例におけるオイルパルス締付工具の構成について説明する。オイルパルス締付工具は、ハウジング5内に、電動モータ1と、オイルパルスユニット4と、シャフト部20と、光センサ80と、制御手段9とを備えている。ここで、同一構成は、同一符号を付して説明を省略する。第2実施例のオイルパルス締付工具は、第1実施例のオイルパルス締付工具に対して、シャフト部と光センサが異なる。以下、異なる構成要素であるシャフト部20と光センサ80について説明する。
【0095】
(2−1−1)シャフト部20
シャフト部20について、図7を用いて説明する。シャフト部20は、第1実施例と同様に、全体としては略円柱形状からなり、電動モータ1とオイルパルスユニット4との間に介在している。ここで、シャフト部20は、シリンダシャフト60と、ピストンロッド70と鋼球67と、コイルスプリング68とから構成されている。
【0096】
(a)シリンダシャフト60
シリンダシャフト60は、略円筒状からなる。このシリンダシャフト60は、後端側が電動モータ1の電動モータ回転出力軸12に結合され、前端側がオイルパルスユニット4の後端側に結合されている。ここで、シリンダシャフト60の内部には、第1実施例の軸心孔63と軸交孔64とは異なる、軸心孔630と軸交孔640とが形成されている。
【0097】
軸心孔630は、シリンダシャフト60の前端側から軸心上を後端側に向かって形成されている。ここで、軸心孔630は、第1中径軸心孔630aと、小径軸心孔630bと、第2中径軸心孔630cとからなる。
【0098】
第1中径軸心孔630aは、略円形に形成されており、シリンダシャフト60の前端側に形成されている。さらに、第1中径軸心孔630aは、前端側でピストン挿入孔43aに連通している。なお。第1中径軸心孔630aは、ピストン54が挿入可能な径からなる。
【0099】
小径軸心孔630bは、略円形に形成されており、第1中径軸心孔630aの後端側に形成されている。ここで、小径軸心孔630bは、第1中径軸心孔630aよりわずかに小さい径からなる。
【0100】
第2中径軸心孔630cは、略円形に形成されており、小径軸心孔630bの後端側に形成されている。ここで、第2中径軸心孔630cは、第1中径軸心孔630aの径と略同一の大きさの径からなる。
【0101】
軸交孔640は、略円形状に形成されており、シリンダシャフト60を径方向に貫通する貫通孔である。具体的には、軸交孔640は、小径軸心孔630bに直交するように小径軸心孔630bの中央に形成されている。
【0102】
(b)ピストンロッド70
ピストンロッド70は、略棒状に形成されている。このピストンロッド70は、大部分が小径軸心孔630bと略同一径からなる。さらに、ピストンロッド70は、小径軸心孔630bを貫通し、ピストンロッド70の前端部分が、第1中径軸心孔630aを摺動可能に配置されている。また、ピストンロッド70には、径方向に軸交孔640に略一致する径からなる貫通孔(貫通孔形成部)75が形成されている。なお、貫通孔75は、ピストンロッド70のうち軸交孔640よりわずかに前方に形成されている。
【0103】
なお、ピストンロッド70の後端側は、第1実施例と同様に、第2中径軸心孔630cに配置されている鋼球67に当接している。さらに、鋼球67は、第1実施例と同様に、コイルスプリング68に当接している
(2−1−2)光センサ80
光センサ80は、光を発受信する発受信手段83と、発受信手段83により発信された光を反射する反射手段84とから構成されている。
【0104】
発受信手段83は、軸交孔640と同一の軸方向位置にあり、かつハウジング5の内周面のうち最上点に配置されている。ここから、発受信手段83は、軸心側に向かって光を発信している。さらに、発受信手段83は、軸心側からの光を受信する。そこで、発受信手段83は、第1実施例の受信手段82と同様に、受信した光を電気信号に変換し、制御手段9に出力する。
【0105】
反射手段84は、軸交孔640と同一の軸方向位置にあり、かつハウジング5の内周面のうち最下点に配置されている。すなわち、反射手段84は、ハウジング5の内周面で発受信手段83に対向して配置されている。ここで、反射手段84は、発受信手段83から発信され軸交孔64を通過する光を発受信手段83に反射する。
【0106】
(2−2)オイルパルス締付工具により締結部材を締め付ける際の動作
つぎに、第2実施例におけるオイルパルス締付工具により締結部材を締め付ける際の動作について説明する。ここで、オイルパルス締付工具の動作は、第1実施例と同様にオイルパルス出力工程と、間欠的打撃力のトルク制御工程とからなる。ここで、第2実施例のオイルパルス出力工程は、第1実施例のオイルパルス出力工程と同一であるため説明を省略する。以下、第1実施例の間欠的打撃力出力工程とは異なる第2実施例の間欠的打撃力のトルク制御工程について説明する。
【0107】
上述したように、オイルパルス出力工程の中で、ライナ42が1回転する間に1回、オイルパルス出力部4aは、図2(b)に示す状態になる。このとき、高圧室Hに充填されている作動油の一部は、軸孔404cに到達し、第1スプリング407の付勢力に抗してボール406を径方向内方側へ押圧する。以下、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合と、作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合とに分けて説明する。
【0108】
(a)作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合
作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合について、主に図7(a)を用いて説明する。この場合、第1実施例の作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合と同様に、作動油の油圧力は、ピストン54およびピストン54に当接しているピストンロッド70に作用しない。そのため、ピストンロッド70により、軸交孔640は閉塞状態(第1状態)である。したがって、発受信手段83から軸心側に向かって発信されている光は、軸交孔640を通過できない。つまり、発受信手段83は、軸心側からの光を受信できない。そのため、発受信手段83は、電気信号を制御手段9に出力できない。したがって、第1実施例の作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力より小さい場合と同様に、制御手段9に電気信号の入力があるまで、オイルパルス出力部4aからの間欠的打撃力は、ソケット499を介して締結部材に伝達され続ける。
【0109】
(b)作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合
作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合について、主に図7(a)および図7(b)を用いて説明する。この場合、第1実施例の作動油の油圧力が第1スプリング407の付勢力に達した場合と同様に、ピストン挿入孔43aに対してピストン54が後方側へ摺動することにより、軸交孔640は開通(第2状態)状態になる(図7(b)参照)。具体的には、ピストン54に結合するピストンロッド70が、軸心孔630に対して後方側に摺動することにより、ピストンロッド70の貫通孔75が軸交孔640に連通する。これにより、軸交孔640は開通状態になる。
【0110】
ところで、発受信手段83は、発受信手段83に対向している反射手段84に向かって光を発信し続けている。そして、発受信手段83から発信された光は、発受信手段83と反射手段84との間に介在し発受信手段83に対して回転しているシリンダシャフト60に衝突する。しかし、シリンダシャフト60の1回転につき2回、発受信手段83、反射手段84および軸交孔640が一直線上に配置される。このときに、発受信手段83は、発受信手段83から発信され反射手段84に反射された光を受信する。具体的には、発受信手段から発信された光は、貫通孔75により開通した軸交孔640を通過して反射手段84で反射される。反射手段84で反射された光は、再び軸交孔640を通過して発受信手段83に受信される。そして、発受信手段83は、受信した光を電気信号に変換し、制御手段9に出力する。そして、制御手段9は、第1実施例と同様に、電動モータ1への電流の供給を遮断することにより、電動モータ1の回転を停止する。
【0111】
(第3実施例)
第3実施例におけるオイルパルス締付工具は、第1実施例のオイルパルス締付工具のシャフト部2および制御手段9に変形を加えたものである。具体的には、作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合に軸交孔を開通状態とし、作動油の油圧力が所定圧力に達した場合に軸交孔を閉塞状態とするように、シリンダシャフト6に形成される軸交孔の位置を変えたものである。
【0112】
これにより、作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合には、受信手段82は発信手段81からの光を受信する。そして、受信手段82は、受信した光を電気信号に変換し制御手段に出力する。一方、作動油の油圧力が所定圧力に達した場合には、受信手段82は、発信手段81からの光を受信しない。
【0113】
ところで、第3実施例のオイルパルス締付工具の制御手段は、受信手段82から信号を読み込む。そして、電気信号の入力があった場合には、制御手段は受信手段82から出力される電気信号を読み込む。一方、電気信号の入力がなかった場合には、制御手段は電動モータ1の回転を停止する。
【0114】
(その他の実施例)
その他の実施例のオイルパルス締付工具を以下に示す。
【0115】
第1実施例のオイルパルス締付工具の光センサ8を第2実施例の光センサ80に置換してもよいし、第2実施例のオイルパルス締付工具の光センサ80を第1実施例の光センサ8に置換してもよい。
【0116】
また、第2実施例のオイルパルス締付工具に対して、第3実施例に示したように軸交孔の位置を変え、さらに第3実施例の制御手段に置換してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】第1実施例におけるオイルパルス締付工具全体の軸方向断面図である。
【図2】オイルパルスユニット4の作動状態を示す図1のA−A断面矢視図である。
【図3】オイルパルスユニット4の部分拡大断面図である。
【図4】図3のB−B断面矢視図である。
【図5】第1実施例における作動油の油圧力が所定圧力に達する前後のシャフト部2の軸方向断面図である。
【図6】制御手段9による電動モータ停止処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施例における作動油の油圧力が所定圧力に達する前後のシャフト部20の軸方向断面図である。
【符号の説明】
【0118】
1:電動モータ(モータ) 2:シャフト部
4:オイルパルスユニット(間欠的打撃力発生手段) 5:ハウジング
65:シリンダシャフト 66:ピストンロッド 8:光センサ 9:制御手段
10:把持部 11:操作レバー 12:電動モータ回転出力軸(出力軸)
40:ライナケース 41:ライナ下蓋 42:ライナ 43:出力シャフト
44a:第1軸挿入孔 44b:第2軸挿入孔 44c:第3軸挿入孔
45:ライナシール面 45a:ライナシール面 45b:ライナシール面
46:軸シール面 47:ブレード挿入溝 48:ライナ用バネ 49:ブレード
419:空洞部 H:高圧室 L:低圧室
50:ライナ上蓋 51:凸部 52:リリーフバルブ 53:チェックバルブ
54:ピストン 405:トルク調節ネジ 407:第1スプリング
415:スプリング挿入孔 417:リリーフバルブ挿入孔 4a:オイルパルス出力部4b:油圧力伝達部 42a:第1分岐通路 42b:第2分岐通路 408:連通孔 405a:スリーブ 43a:ピストン挿入孔 406:ボール 409:第1連通路 410:第2連通路 404:バルブシート 404a:ピン 404b:長孔
404c:軸孔 414:第2スプリング 41a:出力シャフト挿入孔
52a:チェックバルブ挿入孔 499:ソケット 62:出力軸挿入孔
68:コイルスプリング 63:軸心孔 63a:第1中径軸心孔
63b:第1小径軸心孔 64:軸交孔 63c:大径軸心孔
63d:第2中径軸心孔 63e:第2中径軸心孔 67:鋼球
71:ロッド第1小径部(小径部) 72:ロッド大径部(大径部)
73:ロッド第2小径部 60:シリンダシャフト 75:貫通孔(貫通孔形成部)
80:光センサ 81:発信手段 82:受信手段 20:シャフト部
70:ピストンロッド 630a:第1中径軸心孔 630b:小径軸心孔
630c:第2中径軸心孔 640:軸交孔 83:発受信手段 84:反射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状からなるハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され回転力を発生するモータと、
一端側が前記モータの出力軸に結合され前記モータの回転軸の軸心方向に形成される軸心孔および前記軸心孔に交差して貫通する軸交孔が形成される略筒状からなるシリンダシャフトと、
前記ハウジングの内部で前記シリンダシャフトの他端側に結合され、前記モータの回転力および内部に有する作動油の作用により間欠的な打撃力を略棒状の出力シャフトに発生させ、前記出力シャフトに所定トルクが作用する場合に前記作動油の油圧力が所定圧力に達する間欠的打撃力発生手段と、
略棒状からなり前記軸心孔に軸方向往復移動可能に配置され、前記間欠的打撃力発生手段の前記作動油の油圧力が所定圧力より小さい場合に前記軸交孔を開通または閉塞のいずれか一方の第1状態にし、前記作動油の油圧力が所定圧力に達する場合に前記モータ側へ移動して前記軸交孔を開通または閉塞のいずれか他方の第2状態にするピストンロッドと、
前記ハウジングの内周面に固定され前記軸交孔に光を発信し前記軸交孔の前記第1状態と前記第2状態との変化を検出する光センサと、
前記光センサから出力される検出信号に基づき前記モータの回転を停止する制御手段と、
を備えるオイルパルス締付工具。
【請求項2】
前記光センサは、
前記ハウジングの内周面に固定され軸心側に向かって光を発信する発信手段と、
前記ハウジングの内周面で前記発信手段に対向して配置されるとともに前記発信手段から発信され前記軸交孔を通過する光を受信する受信手段と、
を有する請求項1に記載のオイルパルス締付工具。
【請求項3】
前記光センサは、
前記ハウジングの内周面に固定され軸心側に向かって光を発信しかつ軸心側からの光を受信する発受信手段と、
前記ハウジングの内周面で前記発受信手段に対向して配置され前記発受信手段から発信され前記軸交孔を通過する光を前記発受信手段側に反射する反射手段と、
を有する請求項1に記載のオイルパルス締付工具。
【請求項4】
前記ピストンロッドは、
前記軸心孔のうち前記軸交孔が形成される部分の径に略同一の径からなり前記軸交孔を閉塞する大径部と、
前記大径部の径より小さい径からなり前記大径部の端側に配置され前記軸交孔を開通する小径部と、
を有する請求項1〜3のいずれかに記載のオイルパルス締付工具。
【請求項5】
前記ピストンロッドは、
前記軸心孔のうち前記軸交孔が形成される部分の径に略同一の径からなり前記軸交孔の少なくとも一部に一致可能な貫通孔が形成される貫通孔形成部を有する請求項1〜4のいずれかに記載のオイルパルス締付工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−88280(P2006−88280A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278057(P2004−278057)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】