説明

オキサジアゾール化合物

【課題】抗肥満薬として有用な化合物を提供する。
【解決手段】本発明者らは、DGAT1阻害作用を有する化合物について検討し、本発明のオキサジアゾール化合物が優れたDGAT1阻害作用を有することを確認し、本発明を完成した。本発明のオキサジアゾール化合物はDGAT1阻害作用を有し、肥満、II型糖尿病、脂肪肝、及びそれらの周辺疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。式(I)の化合物は、1,3,4-オキサジアゾールの5位のアミノ基が少なくとも1つのsp3炭素で置換されている点に構造上の特徴を有し、ベンゼン環の環構成炭素を含むsp2炭素で置換されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物、殊に肥満治療用医薬組成物の有効成分として有用なオキサジアゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は生体においてエネルギー摂取とエネルギー消費のバランスが崩れ、余剰エネルギーが脂肪組織に中性脂肪、主としてトリグリセライドとして過剰に蓄積した状態であり、インスリン抵抗性、糖尿病、動脈硬化、非アルコール性脂肪性肝炎、あるいは高血圧といった疾患の発症、進展に深く関わっている。また脂肪組織以外においても肝臓、筋肉などへの過剰なトリグリセリドの蓄積は、それら組織における機能障害を引き起こすことも知られている。近年、生活習慣の変化に伴い肥満症患者は増加しているが、それらに対する治療方法は限定されており、新たな肥満治療薬の開発が望まれている。
【0003】
DGATはトリグリセリド生合成経路の最終段階、即ちジアシルグリセロールと脂肪酸アシルCoAよりトリグリセリドを生成させる反応に関与する酵素でありDGAT1、DGAT2のサブタイプが報告されている。DGAT1はDGAT2とのアミノ酸配列のホモロジーは低く、ACATとホモロジーが高いことが明らかとなっている(Proc. Nat. Acad. Sci. 95:13018-13023, 1998; J. Biol. Chem. 276:38870-38876, 2001)。DGAT1ノックアウトマウスの表現型として、高脂肪食により誘導される肥満に対して耐性、インスリン抵抗性改善、レプチン感受性亢進、肝臓中脂肪量低下、エネルギー消費亢進なども報告されている(Nature Genetics 25:87-90, 2000; J. Clin. Invest. 109:1049-1055, 2002)。またDGAT1ヘテロノックアウトマウスは、野生型とホモ欠損マウスの中間の表現型を示していることから(Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 25;482-486, 2005)、DGAT1阻害は肥満、II型糖尿病、脂肪肝、及びそれらの周辺疾患の薬物治療の標的として有望であると考えられる。
【0004】
例えば、下記式で示される化合物が、DGAT1阻害作用を有することが報告されている(特許文献1)。
【化2】

[式中、R1は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを示す。その他の記号は当該公報を参照のこと。]
【0005】
また、下記式で示される化合物が、DGAT1阻害作用を有することが報告されている(特許文献2)。
【化3】

[式中の記号は当該公報を参照のこと。]
【0006】
また、下記式で示される化合物が、DGAT1阻害作用を有することが報告されている(特許文献3)。
【化4】

[式中の記号は当該公報を参照のこと。]
【0007】
また、下記式で示される化合物が、DGAT1阻害作用を有することが報告されており、その製造中間体として、本発明に係るオキサジアゾール化合物と共通の構造を有する化合物が開示されている(特許文献4)。
【化5】

[式中の記号は当該公報を参照のこと。]
【0008】
しかし、本発明に係るオキサジアゾール化合物についての開示や示唆は、上記のいずれの文献にもない。
【0009】
【特許文献1】国際公開第WO 2006/064189号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO 2007/138311号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO 2007/138304号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO 2007/141517号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医薬組成物、殊に肥満治療用医薬組成物の有効成分として有用なオキサジアゾール化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、DGAT1阻害作用を有する化合物について鋭意検討した結果、本発明のオキサジアゾール化合物がDGAT1阻害作用を有することを知見して本発明を完成した。
即ち、本発明は、式(I)の化合物又はその塩、並びに、式(I)の化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化6】

(式中、
R1Aは、
(1)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC2-10アルキル、
(2)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル、又は、
(3)-X1-R1Cで示される基であり、
群Zは、ハロゲン、-R0、-O-R0、シアノ、-OH、-SO2-C1-6アルキル、-O-SO2-C1-6アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群であり、
R0は、-OH、-O-C1-6アルキル、-SO2-C1-6アルキル、及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
X1は、C1-6アルキレン、C2-3アルキレン-O-C0-3アルキレン、C3-6シクロアルカンジイル、又はC3-6シクロアルカンジイル-O-C0-3アルキレンであり、
R1Cは、
(1)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル、
(2)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC6-14アリール、又は、
(3)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環であり、
R1Bは、-H、又はC1-6アルキルであり、
X2は、結合、又はC1-6アルキレンであり、
R2Aは、-CO2H、-CO2-C1-6アルキル、又は-CONH2であり、
R2Bは、-H、又はC1-6アルキルであり、
R11、R12、R13、及びR14は、同一又は異なって、-H、C1-6アルキル、又はハロゲンである。)
なお、特に記載がない限り、本明細書中のある化学式中の記号が他の化学式においても用いられる場合、同一の記号は同一の意味を示す。
【0012】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を含有する肥満治療用医薬組成物に関する。なお、この医薬組成物は、式(I)の化合物又はその塩を含有する肥満治療剤を包含する。
また、本発明は、肥満治療用医薬組成物の製造のための式(I)の化合物又はその塩の使用、並びに、式(I)の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなる肥満治療方法に関する。
【0013】
式(I)の化合物は、1,3,4-オキサジアゾールの5位のアミノ基が少なくとも1つのsp3炭素で置換されている点に構造上の特徴を有し、ベンゼン環の環構成炭素を含むsp2炭素で置換されることはない。
【発明の効果】
【0014】
式(I)の化合物又はその塩は、DGAT1阻害作用を有し、肥満の予防及び/又は治療剤として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「アルキル」とは、直鎖又は分枝状のアルキルであり;「C2-10アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数2〜10のアルキルであり、例えばエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニル等であり、別の態様としてはエチル、イソブチル、ネオペンチルであり;「C1-6アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数1〜6のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等であり、別の態様としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、さらに別の態様としてはメチル、エチルであり、またさらに別の態様としてはメチルである。
「アルキレン」とは、直鎖又は分枝状のアルキレンであり;「C0-3アルキレン」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が0〜3のアルキレンであり、例えば結合、メチレン、エチレン、トリメチレン、メチルメチレン、メチルエチレン等であり、別の態様としては、結合、メチレン、エチレンであり;「C2-3アルキレン」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が2〜3のアルキレンであり、例えばエチレン、トリメチレン、メチルメチレン、メチルエチレン等であり、別の態様としてはエチレンであり;「C1-6アルキレン」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が1〜6のアルキレンであり、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチルメチレン、メチルエチレン、ジメチルエチレン、エチルエチレン等であり、別の態様としてはメチレン、エチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、ジメチルメチレン、メチルエチレンであり、さらに別の態様としてはメチレン、エチレンである。
「シクロアルキル」とは、飽和炭化水素環基であり、当該シクロヘキシルは架橋を有していてもよく、ベンゼン環と縮合していてもよく、環を構成する1つ又は2つの元素がO、N、及びSから選択されるヘテロ原子で置き換えられていてもよい。従って、「C3-8シクロアルキル」とは、炭素数3〜8の飽和炭化水素環基であり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等である。また、「C3-10シクロアルキル」とは、炭素数3〜10の飽和炭化水素環基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデカニル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、インダニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル等である。
「C3-6シクロアルカンジイル」とは、上記シクロアルキルのうちの炭素数3〜6のシクロアルキルの2価基であり、例えばシクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,3-ジイル、シクロペンタン-1,1-ジイル、シクロペンタン-1,2-ジイル、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,1-ジイル、シクロヘキサン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル等であり、別の態様としてはシクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,3-ジイルであり、さらに別の態様としてはシクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイルである。
「C6-14アリール」とは、炭素数6〜14の単環ないし三環式芳香族炭化水素環基であり、例えばフェニル、ナフチルであり、別の態様としてはフェニルである。
「芳香族ヘテロ環」とは、O、N、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を環構成原子として含む、単環ないし二環の芳香族ヘテロ環基であり、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チオキサゾリル、オキサジアゾリル、チオキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル等であり、別の態様としてはピリジルである。
「ハロゲン」とは、-F、-Cl、-Br、-Iを意味し、別の態様としては-F、-Cl、-Brであり、さらに別の態様としては-F、-Clであり、またさらに別の態様としては-Fである。
【0016】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、無置換、若しくは置換基を1〜5個有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
「群Z」のある態様としてはハロゲン、-R0、-O-R0、シアノ、及び-OHからなる群であり、別の態様としては、ハロゲン、1つ以上のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル、及びシアノからなる群であり、さらに別の態様としては、ハロゲン、及び1つ以上のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群である。なお、R1Aが群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC4-10アルキルである場合、当該群Zのある態様として、ハロゲン、及び-O-R0からなる群であり、別の態様としてはハロゲン、及び1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい-O-C1-6アルキルからなる群であり、さらに別の態様としてはハロゲン、及び-O-C1-6アルキルからなる群である。
【0017】
式(I)の化合物のある態様を以下に示す。
(1)R1Aが群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキルである化合物。別の態様として、R1Aが-X1-R1Cで示される基であり、X1がメチレン、メチルメチレン、エチレン、1-メチルエチレン、若しくは2-メチルエチレンであり、R1Cが群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル、若しくは群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいフェニルである化合物。
(2)R1Bが-Hである化合物。別の態様としてR1Bがメチルである化合物。
(3)R11が-Hである化合物。別の態様としてR11がメチルである化合物。さらに別の態様としてR11がフルオロである化合物。
(4)R12が-Hである化合物。別の態様としてR12がメチルである化合物。さらに別の態様としてR12がフルオロである化合物。
(5)R13が-Hである化合物。別の態様としてR13がメチルである化合物。さらに別の態様としてR13がフルオロである化合物。
(6)R14が-Hである化合物。別の態様としてR14がメチルである化合物。さらに別の態様としてR14がフルオロである化合物。
(7)X2が結合である化合物。別の態様としてX2がメチレンである化合物。
(8)R2Aが-CO2Hである化合物。別の態様としてR2Aが-CO2-C1-6アルキルである化合物。さらに別の態様としてR2Aが-CONH2である化合物。
(9)R2Bが-Hである化合物。別の態様としてR2Bがメチルである化合物。
(10)上記(1)〜(9)に記載された基のうち二以上の組み合わせである化合物。
【0018】
本発明に包含される具体的化合物の例として、以下の化合物が挙げられる。
トランス-4-[4-({[5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸、
シス-4-(4-{[(5-{[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸、
シス-4-{4-[({5-[(2,4,6-トリフルオロベンジル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸、
シス-4-(4-{[(5-{[(2S)-2-フェニルプロピル]アミノ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸、
シス-4-(4-{[(5-{[4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]アミノ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸、
シス-4-{4-[({5-[(2-シクロヘキシルエチル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸。
【0019】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0020】
さらに、本発明は、式(I)で示される化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161(1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0021】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0022】
さらに、本発明は、式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0023】
(製造法)
式(I)の化合物及びその塩は、その基本構造あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料から中間体へ至る段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、ウッツ(P. G. M. Wuts)及びグリーン(T. W. Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第4版、2006年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行ったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0024】
(第一製法)
【化7】

【0025】
本製法は、化合物1-aにアミノカルボニル基を付加し、得られる化合物1-bを環化して本発明化合物を製造する方法である。なお、これらの工程は工程1のあと生成物を単離して工程2を行うこともできるし、工程1と工程2を連続的に行うこともできる。
【0026】
(工程1)
本工程は、化合物1-aにアミノカルボニル基を付加する工程である。
アミンHN(-R1A)(-R1B)を用いる場合、カルボニル源としてカルボニルジイミダゾール、ホスゲン、トリホスゲン等を用いることができる。この反応は、反応に不活性な溶媒中若しくは無溶媒下、0℃〜加熱下、好ましくは室温〜加熱下において、通常1時間〜120時間攪拌することにより行われる。この際、反応を円滑に進行させるため、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基を添加してもよい。ここで用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒類;等が挙げられる。
また、R1Bが-Hである場合には、イソシアナートR1A-N=C=Oを用いることができ、この場合、この反応は、反応に不活性な溶媒中若しくは無溶媒下、室温〜加熱下、好ましくは加熱下において、通常1時間〜120時間攪拌することにより行われる。ここで用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、エーテル類;ハロゲン化炭化水素類;非プロトン性極性溶媒類;等が挙げられる。なお、イソシアナートは、例えば、対応するカルボン酸とジフェニルリン酸アジドを用いたクルチウス転位により反応系中にて生成させて使用することもできる。
【0027】
(工程2)
本工程は、化合物1-bを環化して本発明化合物を製造する工程である。
反応は、不活性な溶媒中若しくは無溶媒下、塩化p-トルエンスルホニル、塩化ホスホリル、塩化チオニル、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド等の活性化剤;ポリリン酸等の酸;又はBurgess試薬等の脱水剤;あるいは工程1でイソシアナートに代えてイソチオシアナートを用いた場合には1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド若しくはその塩、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、室温〜加熱下、好ましくは加熱下において、通常1時間〜120時間攪拌することにより行われる。ここで用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、エーテル類;ハロゲン化炭化水素類;非プロトン性極性溶媒類;等が挙げられる。
【0028】
なお、本製造法で製造された本発明化合物は、加水分解反応、アミド化反応、エステル化反応等、当業者によく知られた方法にさらに付すことにより、別の本発明化合物に誘導することができる。例えば、R2Aが-CO2-C1-6アルキルである化合物は、加水分解反応に付すことによりR2Aが-CO2Hである化合物に誘導することができる。また、このR2Aが-CO2Hである化合物をアミド化反応に付せばR2Aが-CONH2である化合物に、エステル化反応に付せばR2Aが-CO2-C1-6アルキルである別の化合物に誘導することができる。
【0029】
また、原料化合物である化合物1-aは、公知の方法(例えば、上述の特許文献1を参照)若しくはこれに準じた方法により、又は製造例に記載の方法若しくはこれに準じた方法により製造することができる。
【0030】
式(I)の化合物は、遊離化合物、その塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(I)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造できる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。
【0031】
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
【0032】
試験例1 DGAT1阻害活性試験
(1)Bacmid-hDGAT1の作成
ヒトDGAT1(hDGAT1)をコードする塩基配列(Genbank Accession No.NM_012079におけるCDSの1467塩基)をクローニングし、pFastBacTM1(Invitrogen社)にライゲーションし、pFastBac1-hDGAT1を作成した。このプラスミドから、Bac-to-Bac(登録商標) Baculovirus Expression System(Invitrogen社)を用いて組換えバキュロウイルス液(Bacmid-hDGAT1)を調製した。
【0033】
(2)Sf9細胞由来DGAT1発現ミクロゾーム画分の調製
Sf9細胞を80% confluencyになるよう225cm2 Flask Angled Neck(CORNING社)に播種し、EX-CELLTM 420 INSECT SERUM-FREE MEDIUM(SAFC Biosciences社)を用いて27℃恒温培養器にて静置培養した。24時間後に培養液を抜き、組換えバキュロウイルス液(Bacmid-hDGAT1)1.67mLをEX-CELLTM 420 INSECT SERUM-FREE MEDIUM3.33mLにて希釈した液を添加し、恒温培養器で27℃にて1時間振とう培養した。その後、EX-CELLTM 420 INSECT SERUM-FREE MEDIUMを25mL添加し、恒温培養器で27℃にて72時間培養した。感染細胞を回収し、Complete Protease Inhibitor Cocktail(Roche Diagnostics K.K.)を含む緩衝液A(100mM Sucrose、50mM KClを含む40mMリン酸緩衝液(pH7.2))1.5mLに懸濁し、SONIFER 250(BRANSON社)を用いてソニケーションを行った。この懸濁液を10000×gで5分間遠心分離し上清を回収した。この上清を100000×gで60分間遠心分離して得た沈殿を600μLの緩衝液Aに溶解し、再びソニケーションを行い、懸濁液を調製した。この懸濁液をhDGAT1発現Sf9細胞マイクロソームとした。
【0034】
(3)DGAT1活性測定
DGAT1活性は100 mM Tris-HCl(pH8.0), 2 mM MgCl2, 0.01 % BSA、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた被検物質(DMSO最終濃度2%)、及びhDGAT1発現Sf9細胞マイクロソーム、200μM ジオレオイルグリセロール若しくはジパルミトイルグリセロール、8.9μM [14C]oleoyl-CoA、1.68%アセトンをphospholipid FlashPlate (PerkiElmer Life Science)に加えた。反応を30℃で60分行った後、反応液の2倍量(100μL)のイソプロピルアルコール:0.1 M 炭酸緩衝液(pH 9.0)=1:1を添加し反応を停止させた。翌日、トップカウントマイクロプレートシンチレーションカウンター(PerkinElmer Life Science)によりカウントを測定した。
被検物質非添加の際のカウントを対照(DMSO添加時TG)とした。被検物質、及びマイクロソームを非添加の際のカウントをブランクTGとした。被検物質のDGAT1阻害率を次の計算式により算出した。
阻害率(%)=(被検物質添加時TG−ブランクTG)÷(DMSO添加時TG−ブランクTG)×100
被検物質は反応液中の濃度が1、10、100、1000 nMの際のDGAT1阻害率を算出した。得られた阻害率を用いて線形回帰を行い、DGAT1活性を50%阻害するのに必要な被検物質濃度(IC50)をSAS 8.2 software package (SAS Institute Japan, Ltd., Tokyo, Japan)により算出した。
【0035】
その結果、式(I)の化合物のいくつかは、上記試験において、IC50値として50nM以下のDGAT1阻害作用を示した。表1に、いくつかの式(I)の化合物の本試験における結果を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
試験例2 脂肪投与による血漿中トリグリセリド(TG)上昇抑制作用
10週齢の雄性C57BL/6Jマウスを18時間絶食し、被検物質1mg/kgを経口投与した。被検物質は0.5%メチルセルロース液に懸濁させ投与した。1時間後に脂肪(イントラリピッド20%、テルモ(フレゼニウス)、10mL/kg)を経口投与した。脂肪投与直前、及び2時間後に尾静脈より採血を行い、血漿を得た。血漿中TGの測定は、トリグリセリドEテストワコー(和光純薬)を用い、脂肪投与による血漿中TG上昇値を算出した。0.5%メチルセルロース投与群の血漿中TG上昇値を対照とし、被検物質を投与した際のTG上昇抑制率を求めた。
【0038】
その結果、式(I)の化合物のいくつかは対照群に対する有意な血漿中TG上昇抑制作用が見られ、いくつかの式(I)の化合物は80%以上の血漿中TG上昇抑制作用を示した。
【0039】
試験例3 DIOマウスにおける抗肥満作用
9週齢の雄性C57BL/6Jマウスに高脂肪食(リサーチダイエットD12492、60 kcal% fat)を与えた。マウスの馴化を目的として4週間目より試験に用いる溶媒の投与を行った。5週間目より被検物質を1日1回あるいは2回経口投与した。被検物質は0.5%メチルセルロース液に懸濁させ投与した。4週間反復投与を行い、被検物質投与による体重変動を観察した。
【0040】
その結果、いくつかの式(I)の化合物が高脂肪食による体重増加に対する抑制作用を示した。
【0041】
上記試験の結果、式(I)の化合物は食餌性肥満モデルにおいて抗肥満作用を有することが確認された。従って、肥満、II型糖尿病、脂肪肝等の予防及び/又は治療に使用できる。
【0042】
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち、薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0043】
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0044】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0045】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0046】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0047】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0048】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0050】
また、実施例、製造例及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。
Rf:製造例番号、Ex:実施例番号、Structure:化学構造式(Me:メチル、Et:エチル、iPr:イソプロピル、tBu:tert-ブチル、nPen:ノルマルペンチル。なお、立体配置が示されている化合物のうち、製造例番号若しくは実施例番号に「*」が付されているものは、光学活性体であることを示す。)、Syn:製造方法(当該化合物が、その欄に記載されている実施例番号の化合物と同様の製造法により製造されたことを示す。)、Rsy:製造方法(当該化合物が、その欄に記載されている製造例番号の化合物と同様の製造法により製造されたことを示す。)、Data:物理学的データ(当該化合物の以下のデータを示す。NMR1:DMSO-d6中の1H-NMRにおけるピークのδ(ppm)、NMR2:CDCl3中の1H-NMRにおけるピークのδ(ppm)、ESP:ESI-MS[M+H]+、ESN:ESI-MS[M-H]-。)
【0051】
製造例1
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オール(6.3g)、1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(5.1g)、DMF(51ml)の混合物に、氷冷下で60%油性水素化ナトリウム(1.6g)を加え、室温で2時間攪拌した。この反応混合物に水を加え、出てきた固体をろ取し、ヘキサンで洗浄して、淡黄色固体(9.5g)を得た。この固体(9.5g)とTHF(70ml)の混合物に、室温で1M 塩酸(40ml)を加え、70℃(オイルバス温度)で14時間攪拌した。その後、反応混合物を放冷した後、THFを減圧下で留去し、出てきた固体をろ取し、水、ジイソプロピルエーテルで順次洗浄して、黄色固体の4-(4-ニトロフェノキシ)シクロヘキサノンを7.1g得た。
【0052】
製造例2
水素化ナトリウム(660mg)とTHF(44ml)の混合物に、氷冷下でジエチルホスホノ酢酸エチル(3.3ml)を10分間かけて滴下した後、同温で15分間攪拌した。この混合物に氷冷下で4-(4-ニトロフェノキシ)シクロヘキサノン(3.7g)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に1M 塩酸(200ml)を加え、酢酸エチルを用いて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5〜50:50)にて精製して、無色固体のエチル [4-(4-ニトロフェノキシ)シクロヘキシリデン]アセタートを3.9g得た。
【0053】
製造例3
エチル [4-(4-ニトロフェノキシ)シクロヘキシリデン]アセタート(2g)とTHF(40ml)の混合物に、10% パラジウム担持活性炭(800mg)を加え、水素雰囲気下(風船圧)にて室温で6時間攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、THFで洗浄後、得られた濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜10:90)にて精製して、油状物のエチル [トランス-4-(4-アミノフェノキシ)シクロヘキシル]アセタート(製造例3)を390mgと、油状物のエチル [シス-4-(4-アミノフェノキシ)シクロヘキシル]アセタート(製造例6)を560mg得た。
【0054】
製造例4
エチル [トランス-4-(4-アミノフェノキシ)シクロヘキシル]アセタート(390mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.538ml)、塩化メチレン(20ml)の混合物に、0℃でクロログリオキシル酸エチル(0.17ml)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を1M 塩酸に加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して、黄色固体を得た。この固体とエタノール(35ml)の混合物に、室温でヒドラジン 一水和物(0.136ml)を加え、室温で2時間攪拌した。その後、反応混合物から固体をろ取し、エタノール(EtOH)で洗浄し、減圧下で乾燥させ、無色固体のエチル [トランス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキシル]アセタートを350mg得た。
【0055】
製造例5
N-シクロブチル-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド(47mg)とTHF(2ml)の混合物に、エチル [シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキシル]アセタート(100mg)とTHF(1ml)の混合物、酢酸(0.016ml)を加え、40℃で終夜攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール(MeOH)=95:5)にて精製して、油状物のエチル シス-4-[4-({[2-(シクロブチルカルバモイル)ヒドラジノ](オキソ)アセチル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボキシラートを120mg得た。
【0056】
実施例1
エチル トランス-4-[4-({[5-(ベンジルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボキシラート(183mg)、EtOH(5ml)、THF(5ml)の混合物に、室温で1M 水酸化ナトリウム水溶液(2ml)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加えた。その後、10% クエン酸水溶液をpH3になるまで加え、出てきた固体をろ取した。この固体に加温しながらEtOHを加え、放冷撹拌した後、固体をろ取して、無色固体のトランス-4-[4-({[5-(ベンジルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸を87mg得た。
【0057】
実施例2
トランス-4-[4-({[5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸(85mg)とDMF(3ml)の混合物に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 一塩酸塩(49mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 一水和物(35mg)を加えて、室温で30分間攪拌した後、塩化アンモニウム(13mg)、トリエチルアミン(0.036ml)を順次加え、室温で18時間攪拌した。その後、反応混合物に水に加え、出てきた固体をろ取した。この固体に加温しながらEtOHを加え、放冷撹拌した後、固体をろ取して、無色固体のN-{4-[(トランス-4-カルバモイルシクロヘキシル)オキシ]フェニル}-5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-カルボキサミドを25mg得た。
【0058】
実施例3
トランス-4-[4-({[5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸(1g)とMeOH(40ml)の混合物に、濃硫酸(0.025ml)を加え、24時間加熱還流した。空冷後、半分量程度になるまで減圧濃縮した後、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に反応混合物を加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して、無色固体のメチル トランス-4-[4-({[5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボキシラートを558mg得た。
【0059】
実施例4
エチル トランス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)、クロロホルム(10ml)の混合物に、室温で(R)-(+)-イソシアン酸-α-メチルベンジル(0.06ml)を加えた後、60℃(オイルバス温度)で4時間攪拌した。その後、この反応混合物に塩化p-トルエンスルホニル(60mg)、トリエチルアミン(0.1ml)を順次加え、60℃(オイルバス温度)で24時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、無色固体のエチル トランス-4-(4-{[(5-{[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラートを108mg得た。
【0060】
実施例5
シクロプロパンアミン(0.06ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.35ml)、クロロホルム(20ml)の混合物に、0℃でトリホスゲン(85mg)を加え、室温で1時間攪拌した後、エチル トランス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(200mg)を加え、60℃(オイルバス温度)で2時間攪拌した。その後、この反応混合物に塩化p-トルエンスルホニル(120mg)、トリエチルアミン(0.2ml)を順次加え、60℃(オイルバス温度)で14時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄し、無色固体のエチル トランス-4-[4-({[5-(シクロプロピルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボキシラートを123mg得た。
【0061】
実施例6
シクロペンチル酢酸(0.054ml)とトルエン(1ml)の混合物に、室温でトリエチルアミン(0.068ml)とジフェニルリン酸アジド(0.099ml)を加え、室温で30分撹拌した後、90℃で10分撹拌した。反応混合物を室温に戻し、クロロホルム(9ml)とエチル シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)を加え、60℃で6時間撹拌した。その後、室温に戻した反応混合物に塩化p-トルエンスルホニル(60mg)とトリエチルアミン(0.1ml)を加え、60℃で18時間撹拌した。この混合物をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15〜65:35)にて精製して、無色固体のエチル シス-4-{4-[({5-[(シクロペンチルメチル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボキシラートを65mg得た。
【0062】
実施例7
エチル シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)、THF(5ml)の混合物にカルボニルジイミダゾール(84mg)を加えて室温で終夜撹拌した。この反応混合物に2-(アミノメチル)ピリジン(0.075ml)を加えて2時間撹拌した。その後、不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮してからクロロホルムで希釈した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣に、クロロホルム(10ml)、塩化p-トルエンスルホニル(142mg)、トリエチルアミン(0.14ml)を順次加えて60℃で終夜撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することで得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50〜クロロホルム:メタノール=90:10)にて精製して、褐色固体のエチル シス-4-{4-[({5-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボキシラートを61mg得た。
【0063】
実施例8
2,4,5-トリフルオロベンジルアミン(51mg)、THF(5ml)の混合物にカルボニルジイミダゾール(51mg)を加えて室温で30分撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、クロロホルム(10ml)を加えた後、エチル シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)を加え、60℃で終夜撹拌した。その後、2,4,5-トリフルオロベンジルアミン(135mg)とカルボニルジイミダゾール(135mg)を用いて上記と同様の方法で試薬を調整し、反応混合物に加えた後、60℃で終夜撹拌した。その後、室温に戻した反応混合物を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することで得られた残渣にクロロホルム(10ml)を加えた後、塩化p-トルエンスルホニル(60mg)とトリエチルアミン(0.1ml)を加えて60℃で終夜撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=65:35)にて精製して、無色固体のエチル シス-4-{4-[({5-[(2,4,5-トリフルオロベンジル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボキシラートを61mg得た。
【0064】
実施例9
エチル シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)、イソシアン酸ベンジル(0.041ml)、クロロホルム(8ml)の混合物を60℃(オイルバス温度)で2時間攪拌した。その後、この反応混合物に塩化p-トルエンスルホニル(60mg)、トリエチルアミン(0.088ml)を順次加え、60℃(オイルバス温度)で終夜攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH=100:0〜90:10)にて精製して、無色固体を得た。この固体と、EtOH(2ml)、THF(3ml)の混合物に、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加えた。その後、10% クエン酸水溶液をpH3になるまで加え、出てきた固体をろ取した後、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、無色固体のシス-4-[4-({[5-(ベンジルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸を54mg得た。
【0065】
実施例10
エチル [シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキシル]アセタート(150mg)、DMF(7ml)の混合物に、室温でイソチオシアン酸シクロヘキシル(0.067ml)を加えた後、65℃で1時間攪拌した。その後、この反応混合物に1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 一塩酸塩(95mg)を加え、85℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、水を加え、出てきた固体をろ取した。この固体をエーテルで洗浄し固体を得た。これを1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.2ml)、THF(2.5ml)、EtOH(2.5ml)に溶解させ、攪拌した(夜間は冷蔵保管した)。その後、反応混合物を減圧濃縮し、10% クエン酸水溶液をpH3になるまで加え、出てきた固体をろ取した。これをEtOHに加熱溶解させ、室温に戻し、出てきた固体をろ取し、無色固体の{シス-4-[4-({[5-(シクロヘキシルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキシル}酢酸を44mg得た。
【0066】
実施例11
エチル シス-4-[4-({[2-(シクロブチルカルバモイル)ヒドラジノ](オキソ)アセチル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボキシラート(120mg)に、クロロホルム(10ml)、塩化p-トルエンスルホニル(56mg)、トリエチルアミン(0.082ml)を加え、60℃で終夜攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて分液操作を行い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH=100:0〜90:1)にて精製して、無色固体(76mg)を得た。この固体(76mg)と、EtOH(2ml)、THF(3ml)の混合物に、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、室温で4日間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加えた後、10% クエン酸水溶液をpH3になるまで加えた。その後、出てきた固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄して、無色固体のシス-4-[4-({[5-(シクロブチルアミノ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]カルボニル}アミノ)フェノキシ]シクロヘキサンカルボン酸を6mg得た。
【0067】
実施例12
4,4-ジフルオロシクロヘキサンアミン 塩酸塩(73mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02ml)、クロロホルム(10ml)の混合物に、0℃でトリホスゲン(42mg)のTHF(2ml)溶液をゆっくり加え、室温で45分攪拌した後、エチル トランス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(100mg)、クロロホルム(8ml)を加え、60℃(オイルバス温度)で2時間攪拌した。その後、この反応混合物に塩化p-トルエンスルホニル(60mg)、トリエチルアミン(0.1ml)を順次加え、60℃(オイルバス温度)で14時間攪拌した。反応混合物を水に加え、クロロホルム-MeOH(=10:1)を用いて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH=100:0〜90:10)にて精製して、油状物を得た。この油状物とEtOH(2ml)、THF(2ml)の混合物に、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加えた後、10% クエン酸水溶液をpH4-5になるまで加えた。その後、出てきた固体をろ取し、イソプロパノールで洗浄して、無色固体のトランス-4-{4-[({5-[(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸を49mg得た。
【0068】
実施例13
エチル シス-4-(4-{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシラート(200mg)、THF(10ml)の混合物にカルボニルジイミダゾール(170mg)を加えて室温で2時間撹拌した。この反応混合物にネオペンチルアミン(0.18ml)を加えて終夜撹拌した。その後、不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮してからクロロホルムで希釈した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。その後、この残渣にクロロホルム(20ml)、塩化p-トルエンスルホニル(284mg)、トリエチルアミン(0.28ml)を順次加えて60℃で終夜撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することで得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50〜クロロホルム:MeOH=90:10)にて精製して、無色固体(145mg)を得た。この固体(145mg)とEtOH(3ml)、THF(3ml)の混合物に、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.4ml)を加え、室温で8時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加えた後、10% クエン酸水溶液をpH4-5になるまで加えた。その後、出てきた固体をろ取し、エーテルで洗浄した。この固体をEtOH-水の混合溶媒で加熱溶解させた後、室温で放置し、出てきた固体をろ取し、さらにEtOHで洗浄して、無色固体のシス-4-{4-[({5-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸を85mg得た。
【0069】
以下の表2に製造例化合物の化学構造式を示す。また、以下の表3〜表17に実施例化合物の化学構造式を示す。
また、以下の表18に製造例化合物の製造方法及び物理学的データを示す。また、以下の表19〜表23に実施例化合物の製造方法及び物理学的データを示す。
また、以下の表24〜表39に、式(I)の化合物の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例に記載の方法、及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に製造することができる。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
【表10】

【0079】
【表11】

【0080】
【表12】

【0081】
【表13】

【0082】
【表14】

【0083】
【表15】

【0084】
【表16】

【0085】
【表17】

【0086】
【表18】

【0087】
【表19】

【0088】
【表20】

【0089】
【表21】

【0090】
【表22】

【0091】
【表23】

【0092】
【表24】

【0093】
【表25】

【0094】
【表26】

【0095】
【表27】

【0096】
【表28】

【0097】
【表29】

【0098】
【表30】

【0099】
【表31】

【0100】
【表32】

【0101】
【表33】

【0102】
【表34】

【0103】
【表35】

【0104】
【表36】

【0105】
【表37】

【0106】
【表38】

【0107】
【表39】

【産業上の利用可能性】
【0108】
式(I)の化合物又はその塩は、DGAT1阻害作用を有し、肥満、II型糖尿病、脂肪肝、及びそれらの周辺疾患の予防及び/又は治療剤として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩。
【化1】

(式中、
R1Aは、
(1)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC2-10アルキル、
(2)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル、又は、
(3)-X1-R1Cで示される基であり、
群Zは、ハロゲン、-R0、-O-R0、シアノ、-OH、-SO2-C1-6アルキル、-O-SO2-C1-6アルキル、及びC3-8シクロアルキルからなる群であり、
R0は、-OH、-O-C1-6アルキル、-SO2-C1-6アルキル、及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
X1は、C1-6アルキレン、C2-3アルキレン-O-C0-3アルキレン、C3-6シクロアルカンジイル、又はC3-6シクロアルカンジイル-O-C0-3アルキレンであり、
R1Cは、
(1)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル、
(2)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよいC6-14アリール、又は、
(3)群Zより選択される1つ以上の基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環であり、
R1Bは、-H、又はC1-6アルキルであり、
X2は、結合、又はC1-6アルキレンであり、
R2Aは、-CO2H、-CO2-C1-6アルキル、又は-CONH2であり、
R2Bは、-H、又はC1-6アルキルであり、
R11、R12、R13、及びR14は、同一又は異なって、-H、C1-6アルキル、又はハロゲンである。)

【公開番号】特開2010−132590(P2010−132590A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309045(P2008−309045)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】