説明

オクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物及びその調製方法

65〜98質量%のジオクチルジフェニルアミン、29質量%以下のモノオクチルジフェニルアミン、5質量%以下のオクチルブチルジフェニルアミン、1.5質量%以下のトリオクチルジフェニルアミン及び1質量%以下のジフェニルアミンを含むオクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物を、酸性触媒の存在下、ジイソブチレンによるジフェニルアミンのアルキル化によって調製する。それらは、単独で又は抗分解系及びそれに基づく物質の成分としてポリマー材料、潤滑剤及び油の有効な安定剤として使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、オクチル化ジフェニルアミンをベースとする抗酸化組成物及びその調製方法に関する。該組成物は、ポリマー材料、潤滑剤及び油のための有効な安定剤として使用され得る。それらは、酸化的、熱的又は光誘起分解を起こす有機製品の安定化のための添加剤として使用される。
(背景技術)
ほとんどの工業生産されるポリマー材料、油及び潤滑剤は、意図的に添加された物質の存在によって特定の製品の加工、保存及び使用の間に必要とされる安定性を確保することを必要とする。これらの物質は、それらが、酸素、増加温度、UV放射及び機械的圧力の影響による完全な劣化を防ぐように、特定の基質において、好ましくない酸化現象を遅らせ又は抑制する。
上記要件は、抗酸化効果を示す物質が満たす。最も既知の及び最も頻繁に使用されるこれらに対して、アミン抗-分解剤(aminic anti-degradant)の群、例えば、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-ナフチルアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン(CS AO 261 085及びCS AO 226 248)が存在する。それらは、容易に修飾され得また種々の材料の広域スペクトル、処理及び使用開発条件が必要とする特性を有する物質を得ることが可能である。
アルキル化ジフェニルアミンは、油、タービン機、航空機及び高い運転温度である至る所での潤滑剤中で、及び他の添加剤と組み合わせて有効であり、これらは、高い抗酸化性及び熱保護を確保する(CS AO 226 248, US 3 414 618)。これらは、通常少し着色し、抗酸化特性が、ゴム混合物を黄変させる傾向がある未置換ジフェニルアミンと比較してさらに黄変に対する耐性を有する。
アルキル化ジフェニルアミンは、芳香族アミンのオレフィンによるアルキル化の代表的なフリーデルクラフツ反応によって最も頻繁に調製される。工業的なアルキル化は、代表的なフリーデル-クラフツ触媒AlCl3を利用する。更に、他の触媒、例えば、H2SO4、無水HF、キャリヤ上のH3PO4、種々のアルミノシリケート、ゼオライト、柱のクレー(pillared clay)が好適である。AlCl3の利点は、その高触媒活性及び有機物質中での不溶性であり、不利点は、水の存在に対する高敏感性、腐食性、反応混合物からそれを除去する困難な方法、及び大量の排水が生じること、生成物中の塩素の存在及び望ましくない副生成物の存在であり、窒素下でアルキル化されることを含む。
【0002】
AlCl3は、ジフェニルアミンに対する有効なアルキル化触媒に属し、ジフェニルアミンの4,4'位へのアルキル化を加速するという事実に加えて、この反応剤がジイソブチレンであるという条件で分裂反応をさらに触媒する。tert-ブチル誘導体が、生じ、引き続く反応において、相当量のトリオクチルジフェニルアミンが、所望の4,4'-ジオクチルジフェニルアミンの量を減少させる。この弱点は、ベントナイトをベースとする触媒の使用によって部分的に解決される(US 6 315 925)。先述の活性化を欠く、いくらかのアルミノシリケートの使用は、SU 443 026に記載される。この方法の欠点は、触媒の低活性及びたとえ同一の源に由来しても、その変わりやすい質である。天然のアルミノシリケートは、さらに酸によって活性化され、その触媒有効性を増加させる(US 2 943 112、US 4 163 757、US 4 824 601)。上記米国特許のベントナイトをベースとする触媒の使用の欠点は、低濃度の4,4'-ジオクチルジフェニルアミン及び5%以下の高含有量の未反応ジフェニルアミンである。
芳香族アミンのアルキル化は、オレフィン、特にイソブテン、ジイソブテン、ノネン、スチレン、アルファメチルスチレンによって主に構成されるアルキル化剤によってなされ(US 2 943 112、US 3 714 258、公開SK PP 743-98)、さらに上記アルケンは、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクタン-1、ノネン-1又はその混合物であり得る。例えばノネンによる芳香族アミンのアルキル化は、SK PP 743-98に記載され、ここでは、4〜10倍のモル過剰のノネン、ジフェニルアミン、0.8〜4質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.1〜1.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.1〜1質量%のジフェニルアミンであり、同様に92〜94.5質量%のジオクチルジフェニルアミン、2.5〜4.5質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.4〜2質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.3〜1質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び最大0.5質量%のジフェニルアミンを含む組成物、及び96〜98質量%のジオクチルジフェニルアミン、0.6〜2.1質量%のモノオクチルジフェニルアミン、0.8〜1.1質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.1〜0.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び最大0.3質量%のジフェニルアミンを含む組成物である。
オクチル化ジフェニルアミンの組成物が、少なくとも83質量%のジオクチルジフェニルアミン、10質量%以下のモノオクチルジフェニルアミン、4質量%以下のオクチルブチルジフェニルアミン、1.5質量%以下のトリオクチルジフェニルアミン及び1質量%以下のジフェニルアミンを含む場合、好ましいことが分かる。
【0003】
上記組成物が、少なくとも92質量%のジオクチルジフェニルアミン、5質量%以下のモノオクチルジフェニルアミン、2質量%以下のオクチルブチルジフェニルアミン、1質量%以下のトリオクチルジフェニルアミン及び0.5質量%以下のジフェニルアミンを含む場合、さらに好ましい。
さらにより好ましい抗酸化剤組成物は、少なくとも95質量%のジオクチルジフェニルアミン、2質量%以下のモノオクチルジフェニルアミン、1質量%以下のオクチルブチルジフェニルアミン、0.5質量%以下のトリオクチルジフェニルアミン及び最大0.3質量%以下のジフェニルアミンを含む。
本発明の抗酸化組成物の利点は、それらが、非常に減少した含有量のトリオクチルジフェニルアミン及び非常に低含有量のジフェニルアミン(トリオクチルジフェニルアミン及びジフェニルアミンが抗酸化組成物の抗酸化有効性を減少させ、またさらにジフェニルアミンが望まない特性、例えば毒性を生成物に与える)であることである。
従って、この組成物の増加した純度により、ゴム混合物のより良い保護作用を明らかにする。
固体状態で該組成物が生じる事実は、さらに利点として考えられ得、これは、保存能力及び移動の観点から特に好ましい。
本発明は、さらにアルキル化触媒の存在下のアルケンによる、ジフェニルアミンの触媒的アルキル化によるオクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物の調製方法に関し、その性質は、140〜160℃の温度で、ジフェニルアミンに対して5〜30質量%の量の触媒としての酸性クレーの存在下、ジフェニルアミンの触媒的アルキル化がジフェニルアミンに対して過剰量のジイソブチレンであるジイソブチレンによりなされることにある。触媒に含有される水を除去し、引き続き、ジフェニルアミンを残したままジイソブチレンとの反応を完了させ、反応が終了後、反応混合物を触媒から分離し、また未反応のジイソブチレンをオクチル化ジフェニルアミンを含む反応生成物から除去する。
ジイソブチレンによるジフェニルアミンのアルキル化の触媒反応は、大気圧又は0.6MPa以下の加圧下、5〜30質量%の触媒濃度でなされる。
【0004】
好適な触媒は、層状シリケート、例えばモントモリロナイトをベースとする活性化酸性クレーであり、鋼酸、例えば硫酸又は塩酸によって活性化され、湿度量は、好ましくは10%未満であり、例えば、表示Fulcat 22B、酸性クレーK5、K10、Jeltar 100、Jeltar 300又はNobelin FF及びNobelin GFを有する市場において入手可能な種類である。
本発明のオクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物の調製方法の利点は、より高いアルケン由来の混合物の製造方法(SK PP 743-98)に比べて、ジイソブチレンが分岐鎖を有し、分裂し得るという事実にかかわらず、低モル過剰量のアルキル化剤又はその混合物を必要とすることにあり、これはより緩和反応条件によって成される。より柔和な反応条件及びより少量の未反応ジイソブチレンの除去の必要性によって、4及び4,4'位のジフェニルアミンの成分の純度及び含有量の観点から、好ましい抗酸化剤組成物が得られ、それらによって技術的に安価になる。
さらなる利点は、この触媒は、反応媒体からの分離後再利用されるか、又は新たな触媒の添加の有無によらず、次のバッチにおいての触媒の分離をすることなく、再利用され得るということである。この製造方法に使用される触媒は、濾過、遠心分離又はデカンテーションによって反応混合物から除去され得、またそれらは、再び、ジイソブチレンによるジフェニルアミンのアルキル化の触媒反応において使用され得る。使用された触媒は、2〜9バッチで再利用され、また新たな触媒の添加される量は、最初のアルキル化バッチにおける触媒装入に対して、0.01質量%〜70質量%の範囲である。
【0005】
本発明の方法の利点は、さらに有機溶媒の添加なしに反応がなされることである。得られる混合物の所望の化学組成物は、アルキル化の後に、処理、即ち大気圧又は低圧における低沸点組成物の蒸留、精留、抽出及び/又は溶媒又は抽出剤を使用する結晶化によって得られる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン及び/又はジイソブチレンが、溶媒として好適である。
記載されている製造方法の生成物は、出発のジフェニルアミンの高度な変換を伴う抗酸化組成物であり、これは、使用された触媒系及び非常に低含有量のトリアルキル化ジフェニルアミンを有する反応条件の結果、使用された触媒から容易に分離し得る。さらに、触媒として使用される酸性クレーの漂白特性によって、AlCl3を使用して調製された組成物と比較して組成物の顕著なより明るい色合いを確保する。有効な固体触媒としての市販の触媒は、Fullerクレー-Fulcat 22B、Fulmont 237、モンモトリロナイトをベースとするクレーKSF、K10、触媒Sud Chemie K5及びベントナイトをベースとする酸活性化クレー、さらに天然酸性クレーZikijevska opokaである。
AlCl3に比較して、これらの利点は、濾過による反応混合物からの単純な分離の可能性及びAlCl3によるよりも相当に色の薄い生成物が得られるという漂白特性の使用にある。
この組成物の製造は、不連続な連続な又は場合によって半連続な方法によってなされ得る。
以下の例は、さらに示すが、本発明の主題を制限しない。
【実施例】
【0006】
本発明の態様例
(実施例1)
100gのジフェニルアミン(DFA)溶融物を攪拌機、共沸性部品を備える冷却器、分離漏斗及び温度計を備えるガラス反応器中に装入した。その後ベントナイトNobelin FF(DFAに対して30質量%)をベースとする触媒30gを添加した。触媒を攪拌した後、この混合物を160℃に加熱し、5時間の間に397gのジイソブチレンを均等に添加した。ジイソブチレンの添加の開始から最初の1時間の間、この触媒から発生する水を共沸的に蒸留した。
すべてのジイソブチレンを使用した後、この反応混合物をそのまま更に14時間反応させた。この反応が完了した後、触媒を放置して静め、この混合物をデカントした。ジイソブチレンを留去した後、70.2質量%のジオクチルジフェニルアミン、25.8質量%のモノオクチルジフェニルアミン、2.8質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン、0.4質量%のジフェニルアミンを含む組成物を得た。100質量%に対する残りは、ジイソブチレンの分解産物から成っていた。
【0007】
(実施例2-比較)
実施例1の装置に、0.2モルのAlCl3を1モルのジフェニルアミン溶融物に対して添加した。この混合物を115℃に加熱した。全てのジイソブチレンをこの温度で供給し、また触媒を除去した後、未反応のジイソブチレンを蒸留して、6時間後、66.2質量%のジオクチルジフェニルアミン、25.4質量%のモノオクチルジフェニルアミン、0.2質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、1.79質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び3.3質量%のジフェニルアミンを含む反応混合物を得た。残りは、同様に、DIBの分解生成物から成る。
【0008】
(実施例3-比較)
実施例2のようなジフェニルアミン溶融物の量を有する実施例1の装置に、0.25モルのAlCl3を添加した。この混合物を115℃まで加熱した。全てのジイソブチレンをこの温度で供給した。触媒を除去した後、未反応のジイソブチレンを蒸留して、またこの反応が完了した後、反応混合物を得て、これは、67.3質量%のジオクチルジフェニルアミン、23.1質量%のモノオクチルジフェニルアミン、0.3質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、2.2質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び2.7質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
(実施例4)
実施例1のような量の原料を有する実施例1の装置に、ジフェニルアミン溶融物を実施例1で使用された触媒に対して装入し、最初のバッチに由来する触媒量に対して20質量%の新たな触媒Nobelin FFを添加した。この混合物を140℃の温度に加熱し、5時間の間、ジイソブチレンを添加した。21時間後、この反応を止め、この混合物を実施例1のように処理した。得られた組成物は、65.8質量%のジオクチルジフェニルアミン、29.1質量%のモノオクチルジフェニルアミン、2.0質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.3質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.4質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
この触媒を、新たな出発材料を装入して、また各回ごとに30質量%の新たな触媒を添加した後、全体として9回の更なる実験において使用し、ここで、使用済みの触媒に対する30%の新たな触媒の4回目の添加後、Nobelin FFをNobelin GFに替えた。21時間の反応後、得られた組成物は、70.86質量%のジオクチルジフェニルアミン、21.5質量%のモノオクチルジフェニルアミン、2.2質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.2質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
9回目繰り返された触媒の使用及び新たな触媒の添加の後、得られた組成物は、66.0質量%のジオクチルジフェニルアミン、28.0質量%のモノオクチルジフェニルアミン、2.0質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.33質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.2質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
【0009】
(実施例5)
実施例1におけるようにジフェニルアミン溶融物の量を有する実施例1の装置に、15gの触媒Fulcat 22(DFAに対して15質量%)を添加した。この触媒を混合した後、この混合物を160℃の温度に加熱し、10時間の間、397gのジイソブチレンを均一に添加した。ジイソブチレンの添加の開始から最初の1時間、触媒から生じる水を共沸的に蒸留した。18時間後、反応を止め、この反応混合物を実施例1に従って処理した。
得られた反応混合物は、68.5質量%のジオクチルジフェニルアミン、24.9質量%のモノオクチルジフェニルアミン、4.9質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、1.4質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.3質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
(実施例6)
実施例1の反応装置に、実施例1のような量のジフェニルアミン溶融物を装入し、20gの触媒Jeltar300(DFAに対して20質量%)を添加した。この触媒を混合した後、この混合物を140℃の温度まで加熱し、5時間の間、ジイソブチレンを均一に添加した。最初の1時間の間、この触媒から生じる水を共沸的に蒸留し、28時間後、反応を止めて、反応混合物を実施例1のように処理した。
得られた反応混合物は、67.9質量%のジオクチルジフェニルアミン、28.7質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.3質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.2質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.4質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
【0010】
(実施例7)
実施例1のような量のジフェニルアミン及びジイソブチレンを有する実施例1の装置にジフェニルアミン溶融物を装入し、20gの触媒K5 Sud Chemie(DFAに対して20質量%)を添加した。この触媒を混合した後、この混合物を140℃の温度に加熱し、5時間の間、ジイソブチレンを均一に添加した。最初の1時間の間、この触媒から生じる水を共沸的に蒸留して、21時間後に反応を止めて、この混合物を実施例1のように処理した。
得られた組成物は、69.8質量%のジオクチルジフェニルアミン、25.0質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.0質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.3質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.2質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
(実施例8)
実施例1の反応混合物から触媒をデカンテーションによって除去して、未反応のジイソブチレンを103〜107℃の温度かつ101kPaの圧力下で(代わりに68℃の温度でかつ20kPaの圧力で)液相から蒸留した。
得られた混合物を引き続き、148〜153℃の温度かつ8〜10Paの圧力下で充填カラム上の軽フラクションの精留によって所望の化学組成物に調節した。この蒸留残渣によって形成された所望の組成物が得られ、これは、84.3質量%のジオクチルジフェニルアミン、9.9質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.6質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.01質量%のジフェニルアミンを含んでいた。
【0011】
(実施例9)
実施例1に従って調製された抗酸化組成物を、100mlの溶媒を50℃で攪拌しながらそれに添加し、10℃まで冷却後混合物を結晶化するように、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン及び/又はジイソブチレン中、実施例1〜8の反応混合物から再結晶によって所望の化学組成物に調節した。この結晶生成物を濾過して乾燥した。
種々の溶媒から結晶化した組成物の化学的組成を表Iに示した。















表I:結晶化後の抗酸化組成物の化学組成物

【0012】
(実施例10)
100mlのメタノールを実施例4の反応生成物60gに添加した。得られた懸濁液を60℃の温度に加熱し、また10℃で濾過した。メタノールで濾過ケークを洗浄した後、以下の組成:93.8質量%のジオクチルジフェニルアミン、3.8質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.8質量%オクチルブチルジフェニルアミン、0.3質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.0質量%のジフェニルアミンを有する蒸留残渣を得た。
(実施例11)
実施例6の反応混合物200gを上記蒸留装置に装入し、この反応混合物を加熱し、また240℃の温度かつ大気圧でジイソブチレンのダイマーを留去し、175℃の温度でかつ20kPaの圧でジフェニレンアミンとモノオクチルジフェニルアミンの一部を蒸留し、以下の組成:92.6質量%のジオクチルジフェニルアミン、2.5質量%のモノオクチルジフェニルアミン、1.8質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.3質量%のトリオクチルジフェニルアミン及び0.0質量%のジフェニルアミンを有する蒸留残渣を得た。
150℃の温度に冷却しまた10kPaに圧を低下させた後、別の10gのオクチルブチルジフェニルアミンとモノオクチルジフェニルアミン混合物を蒸留した。エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、ジイソブチレン及びメタノールの等モル混合物10gを添加した後、この混合物を60℃に調節し、20℃に冷却して、濾過した。得られた濾過ケークは、以下の組成:97.5質量%のジオクチルジフェニルアミン、0.9質量%のモノオクチルジフェニルアミン、0.9質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、0.2質量%のトリオクチルジフェニルアミン、0.01質量%のジフェニルアミンを有していた。
【0013】
(実施例12)
実施例2、8及び11のオクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物を100部のゴムに対して2質量部の濃度で使用して天然ゴムを安定化した。DODFA1、DODFA2、DODFA3と命名されるこれらの抗酸化組成物及び他の抗酸化剤であるDusantox 86及びTMQ(Flectol)をカーボンブラック充填したNRベース(SMR5、Vulkan3、ZnO、ステアリン)に混合した。
このような方法で調製及び安定化した加硫ゴムの熱酸化的エージングの経過を70℃の温度で空気流中5〜12日間の間、ISO3417の方法を使用して、145℃の温度で加硫したサンプル片の基本的な物理機械的な特性の変化に基づいて観測した。この結果を表IIに示した。
表II:熱酸化的エージング(70℃)の前後における加硫ゴムの物理-機械的特性

使用した抗酸化剤:
1. DODFA 1 実施例2の組成物
2. DODFA 2 実施例8の組成物
3. DODFA 3 実施例11の組成物
4. TMQ 重合化2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン
5. Dusantox 86 4-(1,1-ジメチルベンジル)-ジフェニルアミン及び4,4'-(1,1-ジメチルベンジル)-ジフェニルアミン
【0014】
表III:熱酸化的エージング(100℃で3日間)前後の動力学的圧に対する加硫ゴムの耐性

説明文:
kc-キロサイクル
得られた結果から、オクチル化ジフェニルアミンの組成物の抗酸化効果は、より長い暴露(exposition)時間で増加することが明白である。
(工業的適用性)
オクチル化ジフェニルアミンの混合物を化学的、ゴム及び油工業で利用して、ポリマー材料、潤滑剤、油及び燃料を安定化し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物であって、以下、
65〜98質量%のジオクチルジフェニルアミン、
29質量%以下のモノオクチルジフェニルアミン、
5質量%以下のオクチルブチルジフェニルアミン、
1.5質量%以下のトリオクチルジフェニルアミン、及び
1質量%以下のジフェニルアミン、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
83〜89質量%のジオクチルジフェニルアミン、
7〜13質量%のモノオクチルジフェニルアミン、
0.8〜4質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、
0.1〜1.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン、及び
0.1〜1質量%のジフェニルアミン、
を含む請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項3】
92〜94.5質量%のジオクチルジフェニルアミン、
2.5〜4.5質量%のモノオクチルジフェニルアミン、
1.4〜2質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、
0.3〜1質量%のトリオクチルジフェニルアミン、及び
0.5質量%以下のジフェニルアミン、
を含む請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項4】
96〜98質量%のジオクチルジフェニルアミン、
0.6〜2.1質量%のモノオクチルジフェニルアミン、
0.8〜1.1質量%のオクチルブチルジフェニルアミン、
0.1〜0.5質量%のトリオクチルジフェニルアミン、及び
0.3質量%以下のジフェニルアミン、
を含む請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項5】
アルキル化触媒の存在下のアルケンによるジフェニルアミンの触媒アルキル化による、請求項1〜4のいずれかに記載のオクチル化ジフェニルアミンの抗酸化組成物の調製方法であって、ジフェニルアミンの触媒的アルキル化を、140〜160℃の温度において、ジフェニルアミンに対して5〜30質量%の触媒としての酸性クレーの存在下、過剰量のジイソブチレンのジイソブチレンによって行いながら、その間に、触媒に含有される水を、除去し、次いで、ジフェニルアミンを放置してジイソブチレンとの反応を完了させ、前記反応が終了した後、反応混合物を触媒から分離し、未反応のジイソブチレンを反応混合物から除去して、反応生成物を得る方法。
【請求項6】
前記ジフェニルアミンの触媒的アルキル化が、ジフェニルアミンに対して多くとも3倍過剰量のジイソブチレンでなされる請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記ジフェニルアミンの触媒的アルキル化が、大気圧下でなされる請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
前記ジフェニルアミンの触媒的アルキル化が0.6MPa以下の過圧下でなされる請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
前記ジフェニルアミンの触媒的アルキル化が、18〜28時間の間になされる請求項5に記載の調製方法。
【請求項10】
前記ジフェニルアミンの触媒的アルキル化が、Nobelin FF、Nobelin GF、Jeltar 100、Jeltar 300、catalyst K5、K10Sud Chemie及びFulcat22Bからなる群から選択される触媒の存在下なされる請求項5に記載の調製方法。
【請求項11】
未反応のジイソブチレン及び場合によって存在する低沸点成分が、共沸蒸留によって除去される請求項5に記載の調製方法。
【請求項12】
前記触媒を、前記反応媒体からの分離後再利用するか、又は新たな触媒の添加の有無によらずさらなるバッチにおいて触媒の分離をすることなく再利用し、前記触媒を、2〜9番目のバッチで使用しまた添加される新たな触媒の量が、最初のアルキル化バッチでの触媒装入に対して0.01〜70質量%である請求項5に記載の調製方法。
【請求項13】
前記反応生成物が、148〜153℃の温度で、8〜10Paの圧力で充填カラム上での精留によってさらに処理される請求項5に記載の抗酸化組成物の調製方法。
【請求項14】
前記反応生成物を放置して、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、ジイソブチレン及びメタノール、又はこれらの溶媒の混合物から選択される溶媒から結晶化する請求項5に記載の調製方法。
【請求項15】
前記反応生成物が、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、ジイソブチレン及びメタノールからなる群から選択される一種以上の溶媒によって抽出される請求項5に記載の調製方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗酸化組成物を含むことを特徴とする安定化ポリマー材料の調製用混合物。

【公表番号】特表2007−512409(P2007−512409A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541105(P2006−541105)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際出願番号】PCT/SK2004/000013
【国際公開番号】WO2005/052050
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506177741)
【Fターム(参考)】