説明

オゾンインジケーター

【課題】被処理体が曝露されたオゾン濃度レベル(又はCT値)を把握できるインジケーターを提供する。
【解決手段】基材上に、オゾンにより変色する変色層の2以上が互いに重ならないように形成されてなるオゾンインジケーターであって、前記変色層がオキサジン系染料、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含むことを特徴とするオゾンインジケーターに係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンインジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは、その殺菌性等に優れているため、食品、器具類等の殺菌・消毒、或いは病院の手術室のような一定雰囲気中における殺菌・消毒或いは消臭に利用されている。
【0003】
最近では、内視鏡、胃カメラ等の医療器具を殺菌・消毒するためにオゾンが使用されている。そして、これに伴い、種々のオゾン殺菌装置(滅菌装置)も開発されている。この装置としては、気相中でオゾンガスにより殺菌する方法、オゾン水に医療器具を浸漬する方法等の方式が提案されている。この場合、被処理体である医療器具がオゾンによる所定の殺菌処理を受けたか否かを確認するためのインジケーターが必要となる。このようなオゾン検知体としては、変色層を基材上に設けてなるインジケーターが知られている(特許文献1など)。
【特許文献1】特開平11−140360
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、医療器具等のオゾン処理では、数百ppmというレベルの高濃度オゾンガスが使用されるが、従来のオゾンインジケーターでは低濃度で変色層が変色してしまい、実際に高濃度オゾンに晒されたかどうかを知ることが困難になる。このため、低濃度のオゾンから高濃度のオゾンをそれぞれ検知することができれば、被処理体が曝露されたオゾン濃度レベル(又はCT値)を把握することができる。
【0005】
従って、本発明の主な目的は、被処理体が曝露されたオゾン濃度レベル(又はCT値)を把握できるインジケーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、オゾンにより変色する変色層を特定の層構成で設計することにより上記目的を達成できることを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のオゾンインジケーターに係る。
1. 基材上に、オゾンにより変色する変色層の2以上が互いに重ならないように形成されてなるオゾンインジケーターであって、前記変色層がオキサジン系染料、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含むことを特徴とするオゾンインジケーター。
2. 各変色層が、異なるオゾン濃度及び/又はオゾン曝露時間で変色する、前記項1に記載のオゾンインジケーター。
3. 前記変色層の少なくとも1層がオキサジン系染料を含む第1変色層である、前記項1又は2に記載のオゾンインジケーター。
4. 第1変色層がカチオン系界面活性剤をさらに含有する、前記項3に記載のオゾンインジケーター。
5. カチオン系界面活性剤が、4級アンモニウム塩型のカチオン系界面活性剤である、前記項4に記載のオゾンインジケーター。
6. カチオン系界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム塩である、前記項5に記載のオゾンインジケーター。
7. 第1変色層が、CT値として1000ppm・min以上のオゾンガス雰囲気下で変色する、前記項1又は2に記載のオゾンインジケーター。
8. 前記雰囲気中の湿度が90%以上である、前記項7に記載のオゾンインジケーター。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオゾンインジケーターは、2つの以上の変色層が独立したかたちで設けられているため、被処理体が曝露されたオゾン濃度レベル(又はCT値)を把握することができる。
【0009】
特に、オキサジン染料を含む変色層を採用することにより、より高い濃度のオゾンまで検知することが可能となるので、1つのインジケーターで幅広いオゾン濃度領域でオゾンを検知することができる。しかも、水蒸気を含む雰囲気中でも、精度良くオゾン検知を実行することができる。これにより、医療器具等の高濃度オゾンでの滅菌処理において用いられるオゾンインジケーターとして好適に用いることができる。特に、オゾン水で滅菌処理する装置において、オゾン水からのオゾンガスを検知するためのオゾンインジケーターとして最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.オゾンインジケーター
本発明のオゾンインジケーターは、基材上に、オゾンにより変色する変色層の2以上が互いに重ならないように形成されてなるオゾンインジケーターであって、前記変色層がオキサジン系染料、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0011】
基材としては、特に制限されず、例えば紙、木質材料、プラスチックス、金属・合金、セラミックス、セメント・コンクリート、あるいはこれらの複合材料等のいずれにも適用することができ、使用場所、用途等に応じて適宜選択すれば良い。
【0012】
各変色層は、異なるオゾン濃度及び/又はオゾン曝露時間で変色するように設計することが望ましい。すなわち、高濃度オゾンで変色する第1変色層と低濃度オゾンで変色する第2変色層とをそれぞれ1つずつ又はそれ以上設けることが好ましい。
【0013】
特に、第1変色層は、オキサジン系染料を含む層であることが好ましい。このような第1変色層は、CT値(オゾン濃度×曝露時間)が300ppm・min以上という高濃度領域ではじめて変色できる層であり、かかる高濃度オゾンを検知することができる。
【0014】
また、第1変色層は、オゾン雰囲気中の湿度が90%以上であっても変色するので、高湿度雰囲気下でオゾン処理する場合等にも好適に用いることができる。
【0015】
第2変色層は、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含む層であることが好ましい。これらの染料によれば、比較的低濃度のオゾンでも検知することが可能となる。
【0016】
各変色層の数は、所望の検知精度等に応じて適宜設定することができる。本発明では、少なくとも第1変色層と第2変色層の2つの層を設けるが、検知精度の違いにより両層の中間層を設けることもできる。例えば、1)第1変色層、中間層、第2変色層、3)第1変色層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、第2変色層等のように細分化することができる。
【0017】
各変色層の配置は限定ではないが、例えば第1変色層から第2変色層までをそれぞれ検知できる濃度に応じて順に配置することができる。すなわち、オゾン検知濃度の高い層から低い層あるいはその逆というように段階的に配置することができる。
【0018】
各変色層は、互いに重ならないようにすれば良い。特に、それぞれ独立したかたちで配置されることが望ましい。例えば、スポット状(円形)に点在させることができる。
【0019】
2.オゾンインジケーターの製造
次に各層の形成方法について説明する。各層は、オゾン検知用インキ組成物により形成することができる。すなわち、オキサジン系染料、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含むオゾン検知用インキ組成物により好適に変色層を形成することができる。
【0020】
オキサジン系染料は、下記式(I)〜(III)の少なくとも1つのオキサジン環を有するものであれば特に限定されない。例えば、オキサジン環を1つ有するモノオキサジン系染料、オキサジン環を2つ有するジオキサジン系染料等も包含される。
【0021】
【化1】

【0022】
また、本発明では、助色団として少なくとも1つの置換又は未置換のアミノ基を有する塩基性染料、置換基としてさらにOH基、COOH基等を有するクロム媒染染料等のいずれも使用することができる。
【0023】
これらのオキサジン系染料は、1種又は2種以上で使用することができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。より具体的には、染料番号で言えば染料番号で言えば、C.I. Basic Blue 3、C.I. Basic Blue 12、C.I. Basic Blue 6、C.I. Basic Blue 10、C.I. Basic Blue 96 等のオキサジン系染料を用いることが望ましい。特に、C.I. Basic Blue 3 等がより望ましい。
【0024】
アントラキノン系染料はアントラキノンを基本骨格とするものであれば限定的でなく、公知のアントラキノン系分散染料等も使用できる。特にアミノ基を有するアントラキノン系染料が好ましい。より好ましくは、第一アミノ基及び第二アミノ基の少なくとも1種のアミノ基を有するアントラキノン系染料である。この場合、各アミノ基は、2以上有していても良く、これらは互いに同種又は相異なっても良い。
【0025】
より具体的には、例えば1,4−ジアミノアントラキノン(C.I.Disperse Violet 1)、1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−メチルアミノアントラキノン(C.I.Disperse Red 4)、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン(C.I.Disperse Violet 4)、1,4−ジアミノ−2−メトキシアントラキノン(C.I.Disperse Red 11)、1−アミノ−2−メチルアントラキノン(C.I.Disperse Orange 11)、1−アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン(C.I.Disperse Red 15)、1,4,5,8−テトラアミノアントラキノン(C.I.Disperse Blue 1)、1,4−ジアミノ−5−ニトロアントラキノン(C.I.Disperse Violet 8)等を挙げることができる(カッコ内は染料番号)。その他にも C.I.Solvent Blue 14、C.I.Solvent Blue 35、C.I.Solvent Blue 63、C.I.Solvent Violet 13、C.I.Solvent Violet 14、C.I.Solvent Red 52、C.I.Solvent Red 114、C.I.Vat Blue 21、C.I.Vat Blue 30、C.I.Vat Violet 15、C.I.Vat Violet 17、C.I.Vat Red 19、C.I.Vat Red 28、C.I.Acid Blue 23、C.I.Acid Blue 80、C.I.Acid Violet 43、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Red 81、C.I.Acid Red 83、C.I.Reactive Blue 4、C.I.Reactive Blue 19、C.I.Disperse Blue 7 等として知られている染料も使用することができる。これらのアントラキノン系染料は、単独で又は2種以上併用することができる。これらアントラキノン系染料の中でも、C.I Disperse Blue 7、C.I Disperse Violet 1 等が好ましい。また、本発明では、これらのアントラキノン系染料の種類(分子構造等)を変えることによって検知感度の制御を行うこともできる。
【0026】
アゾ系染料は、発色団としてアゾ基−N=N−を有するものであれば限定されない。例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料等が挙げられる。より具体的に染料番号で表記すれば、C.I.Solvent Red 1、C.I.Solvent Red 3、C.I.Solvent Red 23、C.I.Disperse Red 13、C.I.Disperse Red 52、C.I.Disperse Violet 24、C.I.Disperse Blue 44、C.I.Disperse Red 58、C.I.Disperse Red 88、C.I.Disperse Yellow 23、C.I.Disperse Orange 1、C.I.Disperse Orange 5等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0027】
メチン系染料としては、メチン基を有する染料であれば良い。従って、本発明において、ポリメチン系染料、シアニン系染料等もメチン系染料に包含される。これらは、公知又は市販のメチン系染料から適宜採用することができる。具体的には、C.I.Basic Red 12、C.I.Basic Red 13、C.I.Basic Red 14、C.I.Basic Red 15、C.I.Basic Red 27、C.I.Basic Red 35、C.I.Basic Red 36、C.I.Basic Red 37、C.I.Basic Red 45、C.I.Basic Red 48、C.I.Basic Yellow 11、C.I.Basic Yellow 12、C.I.Basic Yellow 13、C.I.Basic Yellow 14、C.I.Basic Yellow 21、C.I.Basic Yellow 22、C.I.Basic Yellow 23、C.I.Basic Yellow 24、C.I.Basic Violet 7、C.I.Basic Violet 15、C.I.Basic Violet 16、C.I.Basic Violet 20、C.I.Basic Violet 21、C.I.Basic Violet 39、C.I.Basic Blue 62、C.I.Basic Blue 63等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0028】
これらの染料の含有量は、用いる染料の種類、所望の変色性(検知精度)等にもよるが、通常はインキ組成物中0.1〜5重量%、特に1〜4重量%とすることが望ましい。
【0029】
上記インキ組成物は、カチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。カチオン系界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン系界面活性剤を好適に用いることができる。4級アンモニウム塩型のカチオン系界面活性剤(以下単に「カチオン系界面活性剤」ともいう)としては、特に制限されず、通常はアルキルアンモニウム塩を用いることができ、これは市販品も使用できる。また、これらは1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、これらカチオン系界面活性剤を用いることによって、より優れた変色効果を得ることができる。
【0030】
これらカチオン系界面活性剤の中でも、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が好ましい。具体的には、塩化ヤシアルキルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ラウリルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0031】
カチオン系界面活性剤の含有量は、用いるカチオン系界面活性剤の種類、所望の変色性(検知精度)等にもよるが、通常はインキ組成物中0.01〜8重量%、特に0.1〜4重量%とすることが望ましい。上記範囲内に設定することによって、オゾン検知感度をより効果的に制御することができる。
【0032】
上記インキ組成物は、その他にも必要に応じて、オゾンで変色しない着色料、樹脂系バインダー、増量剤、溶剤等の公知のインキ組成物に用いられている成分を適宜配合することができる。
【0033】
樹脂系バインダーとしては、基材の種類等に応じて適宜選択すれば良く、例えば筆記用、印刷用等のインキ組成物に用いられている公知の樹脂成分をそのまま採用できる。具体的には、例えばマレイン酸樹脂、アミド樹脂、ケトン樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、セルロース系樹脂等を挙げることができる。
【0034】
樹脂系バインダーの含有量は、通常はインキ組成物中1〜25重量%、特に1〜20重量%とすることが望ましい。かかる範囲内に設定することによって、より良好な塗膜(印刷層)を形成することができる。
【0035】
増量剤としては、特に制限されず、例えばベントナイト、活性白土、酸化アルミニウム、シリカゲル等を挙げることができる。その他にも公知の体質顔料として知られている材料を用いることができる。この中でも、多孔質のものが好ましく、特にシリカゲルがより好ましい。これら増量剤を添加することにより、主として検知感度を調節することができる。
【0036】
増量剤の含有量は、通常はインキ組成物中1〜20重量%、特に1〜10重量%とすることが望ましい。上記範囲内にすることによって、より滑らかな塗膜面(印刷面)を得ることができる。
【0037】
本発明で使用できる溶剤としては、通常、印刷用、筆記用等のインキ組成物に用いられる溶剤であればいずれも使用できる。例えば、アルコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系、炭化水素系等の各種溶剤が使用でき、使用する染料、樹脂系バインダーの溶解性等に応じて適宜選択すれば良い。
【0038】
オゾン雰囲気下で変色しない着色料としては、オゾン雰囲気下で変色しない着色料のいずれも使用することができる。オゾン雰囲気下で変色しない着色料としては、普通色インキ等の公知のものを使用することができる。例えば、水性インキ、油性インキ、無溶剤型インキ等を用いることができる。また、印刷する場合は印刷方法に応じて公知の凸版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、オフセットインキ等を適宜使い分けることができる。これらのインキは、そのまま単独で用いたり、あるいは2種以上を混合して調色しても良い。また、非変色層におけるインキには、公知のインキ組成物に配合されている成分(例えば、樹脂系バインダー、増量剤、溶剤等)が含まれていても良い。
【0039】
前記着色剤の含有量は、通常はインキ組成物中0.01〜10重量%、特に0.1〜4重量%とすることが望ましい。
【0040】
インキ組成物の製造方法は限定的でなく、これら各成分を同時に又は順次に配合し、ホモジナイザー、デゾルバー等の公知の攪拌機を用いて均一に混合すれば良い。例えば、まず溶剤にオキサジン系染料、カチオン系界面活性剤、樹脂系バインダー、増量剤等を順に配合し、混合・攪拌すれば良い。
【0041】
本発明のオゾンインジケーターは、特にCT値が300ppm・min以上、特に500ppm・min以上、好ましくは1000ppm・min以上、より好ましくは1000ppm・min以上の高濃度の領域でも変色することが可能である。なお、CT値の上限値は限定的ではないが、一般的には100000ppm・min程度である。かかる性能は、オゾンインジケーターの変色層がオゾン雰囲気に直接曝露されるように配置されている状態でも同様の効果を発揮することができる。すなわち、本発明のオゾンインジケーターは、変色層上に保護層等がなくても良い。
【0042】
また、水蒸気に関しては、本発明インジケーターは、通常は湿度10%以上の範囲、特に90%以上という高湿度下でも精度良くオゾンを検知することができる。
【0043】
このため、例えばオゾン水で被処理体を滅菌する装置において、そのオゾン水から発せられたオゾンガスを検知するためのオゾンインジケーターとして好適に用いることができる。かかるオゾンガスは、高濃度であり、しかも水蒸気を多量に含んでいる。このような高オゾン濃度・高湿度雰囲気下では、従来のオゾンインジケーターで正確にオゾンを検知することは困難である。これに対し、本発明のオゾンインジケーターでは、そのような雰囲気下であっても、オゾンの存在、さらにはオゾン濃度、オゾン曝露時間又はCT値(CT値=濃度×曝露時間)をより正確に検知することが可能になる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。ただし、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0045】
実施例1〜4
表1に示す各成分を攪拌機にて均一に混合することによって、各インキ組成物を調製した。具体的には、まず溶剤及び染料をディゾルバーで攪拌混合した。次いで、樹脂系バインダー及び非変色色素を投入してさらに攪拌した後、常温に戻して界面活性剤及び増量剤を添加し、均一に攪拌することによって、インキ組成物を得た。
【0046】
【表1】

【0047】
表1に示す成分は具体的には下記の通りである。
(1)C.I.Basic Blue 3:オキサジン系染料
(2)C.I.Basic Red 13:メチン系染料
(3)C.I.Disperse Violet 1:オキサジン系染料
(4)C.I.Basic Violet 7:メチン系染料
(5)ブチルセロソルブ:溶剤
(6)マイクロリスエロー3R−T:非変色色素、製品名「マイクロリスエロー3R−T」チバスペシャリティケミカル製
(7)マイクロリスグリーンG−T:非変色色素、製品名「マイクロリスグリーンG−T」チバスペシャリティケミカル製
(8)ジョンクリル690:樹脂系バインダー、製品名「ジョンクリル690」ジョンソンポリマー製
(9)硝化綿HIG1/2:樹脂系バインダー、製品名「硝化綿HIG1/2」ダイセル化学製
(10)エトセル10:樹脂系バインダー、製品名「エトセル10」ダウケミカル社製
(11)NIKKOL CA−2580:4級アンモニウム塩型界面活性剤、製品名「NIKKOL CA−2580」日光ケミカルズ製
(12)NIKKOL CA−2150:4級アンモニウム塩型界面活性剤、製品名「NIKKOL CA−2150」日光ケミカルズ製品
(13)アエロジルR−972:シリカゲル、製品名「アエロジルR−972」日本アエロジル製
試験例1
各実施例のインキ組成物を用い、図1に示すように上質紙上にA〜Dのスポット(直径約1cmの円形)を表2の組み合わせでスクリーン印刷し、オゾンインジケーターとした。それぞれのスポットは、図1の左から順にCT値(オゾン濃度×曝露時間)が5000ppm・min、10000ppm・min、25000ppm・min及び50000ppm・minで変色するように設定している。
【0048】
【表2】

【0049】
実際に、オゾンガス雰囲気下に上記オゾンインジケーターを晒すと、上記設定のようにAから順に段階的に変色することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】試験例1で使用されたオゾンインジケーターの印刷層を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、オゾンにより変色する変色層の2以上が互いに重ならないように形成されてなるオゾンインジケーターであって、前記変色層がオキサジン系染料、アゾ系染料、メチン系染料及びアントラキノン系染料の少なくとも1種を含むことを特徴とするオゾンインジケーター。
【請求項2】
各変色層が、異なるオゾン濃度及び/又はオゾン曝露時間で変色する、請求項1に記載のオゾンインジケーター。
【請求項3】
前記変色層の少なくとも1層がオキサジン系染料を含む第1変色層である、請求項1又は2に記載のオゾンインジケーター。
【請求項4】
第1変色層がカチオン系界面活性剤をさらに含有する、請求項3に記載のオゾンインジケーター。
【請求項5】
カチオン系界面活性剤が、4級アンモニウム塩型のカチオン系界面活性剤である、請求項4に記載のオゾンインジケーター。
【請求項6】
カチオン系界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム塩である、請求項5に記載のオゾンインジケーター。
【請求項7】
第1変色層が、CT値として1000ppm・min以上のオゾンガス雰囲気下で変色する、請求項1又は2に記載のオゾンインジケーター。
【請求項8】
前記雰囲気中の湿度が90%以上である、請求項7に記載のオゾンインジケーター。

【図1】
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【公開番号】特開2007−292464(P2007−292464A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117039(P2006−117039)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【Fターム(参考)】