説明

オゾンガス滅菌装置

【課題】陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とのうちから、滅菌対象物に適した滅菌処理を適宜択一的に選択できるようにし、選択されたいずれの滅菌処理に際しても、オゾンが効率よく反応できる環境条件を整えることができるようにすること。
【解決手段】滅菌対象物を気密に収納する滅菌室33内の気体を排気して滅菌室33内を陰圧にできるようにしておき、滅菌室33内にオゾンガスを導入して滅菌対象物を滅菌するに際して、滅菌室33を陰圧にする陰圧滅菌処理と滅菌室33を陰圧にしない常圧滅菌処理とを択一的に選択可能とし、また、滅菌室33内の湿度、オゾン濃度、圧力、温度を適宜調節できる仕組みを設けておき、陰圧滅菌処理をする場合にも常圧滅菌処理をする場合にもそれらの環境条件が最適になるよう制御できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガスを滅菌対象物に浸透させて滅菌するようにしたオゾンガス滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、介護、製薬等の機関では、手術用具、白衣、マスク、寝具類、実験器具、精密機械等、様々な対象物について滅菌処理が必要である。滅菌処理としては、高温加熱滅菌処理が従来から広く普及している。ところが、耐熱性に乏しい滅菌対象物には高温加熱滅菌処理をすることができない。そこで、高温加熱滅菌処理をすることができない滅菌対象物を滅菌する方法として、従来、エチレンオキサイドを用いた低温滅菌の方法が知られている。
【0003】
これに対して、上記エチレンオキサイドには急性毒性、慢性毒性のほか、発がん性もあるので、安全性の面で問題がある。しかも、残留ガスの脱気に長時間を要するために処理に10時間以上もの時間がかかるという弱点も有し、効率性の面でも問題を抱えている。そこで、この出願の発明者は、かねてより、安全性が高く、しかも効率良く滅菌処理をすることができる低温滅菌の手法として、オゾンガスを用いた滅菌の実現に向けて研究開発を重ねている(非特許文献1参照)。オゾンガスを用いた滅菌の方法は、安全性が高く、しかも効率よく滅菌を行なうことができるという利点を有している。
【0004】
このようなオゾンガスを用いた滅菌については、従来から広く研究開発が進められている。とりわけ、特許文献1および2に記載されている陰圧下でのオゾンガス滅菌は、上記例示の白衣、マスク、寝具類等のようなガスが浸透しにくい滅菌対象物に対しても、高い滅菌効果を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−115540号公報
【特許文献2】特開2007−506484公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】オゾン殺菌装置の開発,石川島播磨技報 Vol.43 No.4(2003-7), 釜瀬 幸広 他4名
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明が解決しようとする課題の一つは、滅菌対象物に適合したオゾン滅菌方法の選択性の問題である。つまり、上記例示の滅菌対象物でいうと、白衣、マスク、寝具などの繊維類、並びに、手術用具、実験器具等の真空にしても損傷するおそれが無い物品は、繊維内部や器具の隙間の奥まで効率的にオゾンガスを浸透させるために、陰圧下でのオゾンガス滅菌が適している。その反面、内部に密閉した空洞を持つ精密機械、例えはパソコン等のような滅菌対象物は、陰圧にすると損傷するおそれがあるので、常圧下でのオゾンガス滅菌が適する。
【0008】
このようなことから、この出願の発明者は、陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とを適宜択一的に選択できるオゾンガス滅菌装置の研究開発に着手した。ところが、この際に問題となるのが、陰圧滅菌処理の実行時と常圧滅菌処理の実行時とで、滅菌処理中に求められる環境条件に変動をきたしてしまうということである。つまり、オゾンガスを用いた滅菌処理に際しては、オゾンが効率よく反応する環境条件を整えてやらなければならない。例えば、特許文献1および2には、相対湿度90%以上という条件が例示されている。このような相対湿度の高さが滅菌効果を高めることについては、この出願の発明者も、非特許文献1で報告済みである。また、特許文献2は、良好な結果が得られるオゾン濃度について、1〜5mg/l(相対湿度90%)という値を開示している。さらに、特許文献3は、理想的な温度条件および真空圧力条件についても言及している。このように、オゾンガスを用いた滅菌処理に際しては、オゾンが効率よく反応する環境条件を整えてやることが極めて重要である。
【0009】
これに対して、オゾンが効率よく反応する環境条件は、常圧滅菌処理に際しては比較的容易に維持されるのに対して、陰圧滅菌処理に際しては容易に変動してしまう。このため、オゾンガス滅菌装置の製品化に際しては、オゾンが効率よく反応できるように環境条件を制御するための仕組み作りが重要となる。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とを適宜択一的に選択できるようにし、選択されたいずれの滅菌処理に際しても、オゾンが効率よく反応できる環境条件を整えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、滅菌対象物を気密に収納する滅菌室を内部に形成する滅菌庫と、前記滅菌室内にオゾンガスを導入するオゾンガス導入部と、前記滅菌室内の気体を排気して前記滅菌室内を陰圧にする陰圧生成部と、前記オゾンガス導入部によって前記滅菌室内にオゾンガスを導入して滅菌対象物を滅菌するに際して、前記陰圧生成部によって前記滅菌室を陰圧にする陰圧滅菌処理と前記滅菌室を陰圧にしない常圧滅菌処理とを択一的に選択可能とする選択手段と、を備えるオゾンガス滅菌装置によって、上記陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とを適宜択一的に選択できるようにするという課題を解決するようにした。
【0012】
本発明は、また、上記オゾンガス滅菌装置において、前記滅菌室内に配置した加湿槽と、前記オゾンガス導入部が有するオゾンガスの導入位置を、前記加湿槽に溜めた水の外部に定める乾燥ガス供給と内部に定める湿潤ガス供給とに択一的に切り替える切替機構と、前記切替機構によって前記湿潤ガス供給に切り替えると共に、前記加湿槽に溜めた水を加熱制御して室温よりも水温を所定温度だけ高くすることで、前記滅菌室内の相対湿度を上昇させる昇湿機構と、前記滅菌室内の相対湿度を計測する湿度計と、前記湿度計によって計測される前記滅菌室内の相対湿度が所定湿度範囲となるように前記乾燥ガス供給と前記湿潤ガス供給とを切り替え制御する湿度調節手段と、を備えることによって(第二の構成)、上記オゾンが効率よく反応できる環境条件に整えられるようにするという課題を解決するようにした。
【0013】
この場合、一例として、前記湿度計は、前記滅菌室内の圧力を計測する機能と、前記滅菌室内に配置した湿球槽に溜めた水に浸したウィックに覆われた湿球の温度と水に浸さない乾球の温度とを計測する機能と、を有し、前記湿球の温度と前記乾球の温度と前記圧力計が計測する前記滅菌室内の圧力とに基づいて前記滅菌室内の相対湿度を算出する。相対湿度の算出は、一例として、「JIS Z8806:2001 湿度−測定方法」内の通風乾湿計の項に記載された方法により実施することができる。そして、本例では、前記滅菌室内のオゾン濃度を計測するオゾン濃度計と、前記陰圧滅菌処理に際して、前記計測される前記滅菌室内の圧力が所定陰圧範囲となるように前記陰圧生成部を断続制御する圧力調節手段と、前記陰圧滅菌処理に際して、前記オゾン濃度計によって計測される前記滅菌室内のオゾン濃度が所定濃度範囲となるように前記オゾン発生装置を断続制御する濃度調節手段と、を備えるようにしてもよい。
【0014】
本発明は、また、上記第二の構成を有するオゾンガス滅菌装置において、前記滅菌室内の圧力を計測する圧力計と、前記滅菌室内のオゾン濃度を計測するオゾン濃度計と、前記陰圧滅菌処理に際して、前記圧力計によって計測される前記滅菌室内の圧力が所定陰圧範囲となるように前記陰圧生成部を断続制御する圧力調節手段と、前記陰圧滅菌処理に際して、前記オゾン濃度計によって計測される前記滅菌室内のオゾン濃度が所定濃度範囲となるように前記オゾン発生装置を断続制御する濃度調節手段と、を備えることによって、上記オゾンが効率よく反応できる環境条件に整えられるようにするという課題を解決するようにした。
【0015】
本発明は、また、上記オゾンガス滅菌装置において、前記滅菌室内の温度を計測する温度計と、前記温度計によって計測される前記滅菌室内の室温が所定温度範囲となるように前記滅菌室内を加熱制御する温度調節手段と、を備えることによって、上記オゾンが効率よく反応できる環境条件に整えられるようにするという課題を解決するようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、選択手段を設けたので、陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とのうちから滅菌対象物に適合する滅菌処理を容易に選択することができ、また、湿度調節手段、圧力調節手段、濃度調節手段、温度調節手段等を設けたので、選択したいずれの滅菌処理に際しても、オゾンが効率よく反応できる環境条件が整えられて効果的な滅菌処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の一形態であるオゾンガス滅菌装置の外観を示す正面図。
【図2】実施の一形態であるオゾンガス滅菌装置の各部を示す模式図。
【図3】滅菌室内の温度と加湿槽内の水温との温度差と、滅菌室内の湿度との関係を示すグラフ。
【図4】実施の一形態であるオゾンガス滅菌装置の電気的接続を示すブロック図。
【図5】実施の一形態であるオゾンガス滅菌装置の制御回路が実行する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】陰圧滅菌処理に際しての滅菌室内の圧力とオゾン濃度との関係を経時的に示すタイミングチャート。
【図7】常圧滅菌処理に際しての滅菌室内の圧力とオゾン濃度との関係を経時的に示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、オゾンガス滅菌装置11の外観を示す正面図である。オゾンガス滅菌装置11は、ハウジング21の上部に滅菌対象物(図示せず)を収納して滅菌処理をするための滅菌庫31を内蔵し、上部左側にユーザインターフェース41を配置し、下部に機械室51を内蔵している。
【0020】
滅菌庫31は、扉32によって開閉自在であり、扉32を開けた内部に滅菌室33(図2参照)を形成している。滅菌室33には、扉32を開けることで、滅菌対象物の出し入れが可能である。実施に際しては、ハウジング21の裏面側にも扉(図示せず)を設け、表裏両側から使用できるようにしても良い。扉32は、ヒンジ34によって回転自在に支持され、ハンドル35を持って開閉することができる。扉32は、ハンドル35のロック片35aをロックするロック機構36によってロック可能である。ハンドル35を回転させてそのロック片35aをロックすると、扉32が完全に閉じられた状態でロックされ、滅菌室33が気密に保たれる。
【0021】
ユーザインターフェース41は、表示器42を有している。表示器42にはタッチパネル43が積層され、タッチパネル43のタッチ指定によって各種の指示を後述する制御回路61(図4参照)に伝えることができる。ユーザインターフェース41には、その他に、記録計44、電源スイッチ45、および非常停止スイッチ46が設けられている。
【0022】
図2は、オゾンガス滅菌装置11の各部を示す模式図である。オゾンガス滅菌装置11は、オゾンガス導入部101、陰圧生成部111、加熱部121、昇湿機構131、切替機構141、湿度計測部151、オゾン濃度計測部161、および循環ファン171を有している。以下、それぞれについて説明する。
【0023】
まず、オゾンガス導入部101は、滅菌室33内にオゾンガスを導入する。このようなオゾンガス導入部101は、PSA式酸素発生装置102およびオゾン発生装置103を備えている。PSA式酸素発生装置102で生成された酸素は、配管P1を介してオゾン発生装置103に至り、オゾン発生装置103からさらに滅菌室33に導かれる。配管P1は、オゾン発生装置103と滅菌室33との間の位置で二股に分かれ、配管P1a,P1bに分岐している。配管P1aは電磁弁V1aによって開閉され、配管P1bは電磁弁V1bによって開閉される。そして、一方の配管P1aは滅菌室33内の気中を導入位置とし、もう一方の配管P1bは滅菌室33内の水中を導入位置としている。これについては、後述する切替機構141の説明箇所で詳しく述べる。
【0024】
オゾンガス導入部101が有しているもう一つの重要な構成要素は、HEPAフィルタ104である。HEPAフィルタ104は、配管P2を介して滅菌室33の内部に連絡している。配管P2は、電磁弁V2によって開閉される。電磁弁V2が開くと、滅菌室33の内部は配管P2およびHEPAフィルタ104を介して外部に連絡する。
【0025】
陰圧生成部111は、滅菌室33内の気体を排気して滅菌室33内を陰圧にする。陰圧生成部111の主要部は、排気ポンプ112である。排気ポンプ112は、配管P11を介して滅菌室33の内部に連絡しており、その動作によって滅菌室33内の気体を外部に排気する。そこで、滅菌室33内が気密である状態で排気ポンプ112を駆動すると、滅菌室33内が陰圧となる。
【0026】
陰圧生成部111は、滅菌室33から排気ポンプ112に向けて、配管P11上に、電磁弁V11、ドレンタンク113、およびオゾン分解ユニット114を配置している。電磁弁V11は、配管P11それ自体を開閉する。ドレンタンク113は、滅菌室33に溜められる水(後述する)を引き込み、排水するために用いられる。オゾン分解ユニット114は、排気ポンプ112が滅菌室33内の気体を真空引きするに際して、オゾンガス導入部101によって滅菌室33内に導入されたオゾンガスを分解して外部に放出するためのものである。そして、オゾン分解ユニット114と排気ポンプ112との間で配管P11から分岐管P12が分岐し、この分岐管P12には電磁弁V12が配置されている。電磁弁V12は、分岐管P12を開閉する。
【0027】
ここで、本実施の形態のオゾンガス滅菌装置11は、後述する給水用の給水タンク134を備えている。陰圧生成部111は、給水タンク134とドレンタンク113とを配管P13で連絡している。配管P13は、電磁弁V13によって開閉される。ドレンタンク113には、内部に溜めた水を排水するための排水管P14が取り付けられている。この排水管P14は、排水弁として機能する電磁弁V14によって開閉される。
【0028】
加熱部121は、通電によって発熱する調温ヒータ122を備えており、滅菌室33の内部空間を暖めて室温を上昇させる。滅菌処理に際しては、滅菌室33内の室温を20℃〜50℃の範囲に調温する。このような温度制御は、調温ヒータ122を駆動制御する制御回路61によって実現される。制御回路61は、滅菌室33内の室温を計測する温度センサとしての乾球温度センサS1の出力に基づいて室温を認識し、その室温が20℃〜50℃の範囲で所望の値となるよう、調温ヒータ122を駆動制御する。
【0029】
昇湿機構131は、滅菌室33内の相対湿度を上昇させるための機構である。相対湿度を上昇させるために、昇湿機構131は、室温と水温との温度差を利用している。室温と水温とに温度差を生じさせるために、昇湿機構131は、滅菌室33の内部に加湿槽132を配置し、この加湿槽132の内部に調湿ヒータ133を設置している。加湿槽132には、二つの電磁弁V31,V32によって開閉自在の配管P31を介して、前述した給水タンク134から給水が可能である。つまり、電磁弁V31,V32を開いた状態で滅菌室33内を陰圧にすると、給水タンク134に溜められた水が加湿槽132に吸引され、加湿槽132に対する給水が行われる。この状態で調湿ヒータ133を動作させると、加湿槽132内に給水された水を加熱することができる。滅菌処理に際しては、加湿槽132内の水温を20℃〜50℃の範囲に調温する。このような温度制御は、調湿ヒータ133を駆動制御する制御回路61によって実現される。制御回路61は、加湿槽132内に配置された水温センサS2の出力に基づいて水温を認識し、その水温が20℃〜50℃の範囲で所望の値となるよう、調湿ヒータ133を駆動制御する。
【0030】
図3は、滅菌室33内の温度と加湿槽132内の水温との温度差と、滅菌室33内の湿度との関係を示すグラフである。実験の結果、加湿槽132内の水温を滅菌室33内の室温よりも所定温度だけ高くすると、結露しない範囲でもっとも高い湿度に設定できることが分かった。このような水温と室温との温度差と、滅菌室33内の湿度との関係は、図3のグラフに示す通りであり、温度差が所定温度以上になると結露が発生する。
【0031】
そこで、本実施の形態では、制御回路61によって、加湿槽132内の水温を滅菌室33内の室温よりも少し高く設定する。この場合の温度差は、求める相対湿度の値に応じて決定する。例えば、相対湿度90%RHを得たい場合であれば、室温よりも図3のグラフに示す所定温度高くなるように水温を制御すれば良いし、相対湿度99%RHを得たい場合であれば、室温よりも図3のグラフに示す所定温度高くなるように水温を制御すれば良い。
【0032】
図2に示すように、切替機構141は、オゾンガス導入部101による滅菌室33内へのオゾンガスの導入位置を、気中と水中とのいずれか一方または両方に切り替えるための機構である。つまり、前述したように、オゾンガス導入部101は、配管P1を二股に分岐させ、一方を配管P1a、もう一方を配管P1bとしている。そこで、切替機構141は、一方の配管P1aの終端部を滅菌室33内の気中に開口させ、もう一方の配管P1bの終端部を滅菌室33内に配置した加湿槽132内に開口させている。こうすることで、制御回路61により、一方の配管P1aを開閉する電磁弁V1aともう一方の配管P1bを開閉する電磁弁V1bとを開閉制御することで、滅菌室33内へのオゾンガスの導入位置を気中と水中とのいずれか一方または両方に切り替えることができる。つまり、電磁弁V1aおよび電磁弁V1bの両方を開ければ、配管P1aが開かれて気中にオゾンガスが導入されると共に、配管P1bも開かれて水中にもオゾンガスが導入される。また、電磁弁V1aを開けて電磁弁V1bを閉じれば、配管P1aのみが開かれて気中にオゾンガスが導入される。これにより、滅菌室33内には乾燥ガス供給がなされる。反対に、電磁弁V1aを閉じて電磁弁V1bを開ければ、配管P1bのみが開かれて水中にオゾンガスが導入される。これにより、滅菌室33内に湿潤ガス供給がなされる。
【0033】
切替機構141は、配管P1bの終端部にバブラ135を取り付けている。これにより、配管P1bから加湿槽132内の水中にオゾンガスが吐出されるに際して、オゾンガスを含むバブルが発生する。オゾンガスを含むバブルは、加湿槽132に溜められた水に対して、オゾンガスの接触面積を増加させる。
【0034】
ここで、本実施の形態においては、滅菌室33内の湿度を上昇させるために、昇湿機構131と切替機構141とを利用している。つまり、滅菌室33内の湿度は、加湿槽132内に溜めて加熱された水に、PSA式酸素発生装置102からの酸素またはオゾン発生装置103によって生成されたオゾンガスを導入して得た湿潤ガスを供給することによって上昇する。そこで、昇湿機構131によって加湿槽132内に水を給水してこれを加熱した上で、切替機構141によって酸素またはオゾンガスの導入位置を水中にのみ規定することで、滅菌室33内の湿度を上昇させることができる。
【0035】
湿度計測部151は、滅菌室33内の相対湿度を計測する湿度計152を備えている。この湿度計152は、滅菌室33内に配置した湿球温度と乾球温度と滅菌室33内の圧力とを計測し、これらの計測値に基づく制御回路61の演算処理によって相対湿度を算出する。このような湿度計152を実現するために、湿度計測部151は、滅菌室33の内部に湿球槽153を配置し、この湿球槽153の内部に溜めた水(純水)に浸した木綿製のウィックWKに覆わせて湿球温度センサS3を配置し、滅菌室33内に圧力計としての圧力センサS4を配置している。湿球槽153は、電磁弁V51によって開閉自在の配管P51を介して給水タンク134に連絡しており、給水タンク134から給水を受ける。湿球槽153に給水するには、電磁弁V51を開いた状態で滅菌室33内を陰圧にする。すると、給水タンク134に溜められた水が湿球槽153に吸引され、湿球槽153が水で満たされる。これにより、ウィックWKが湿球槽153内の水に浸けられた状態となり、ウィックWKに覆われた湿球温度センサS3に水分が回り込む。これにより、湿度計152は、湿球温度を湿球温度センサS3によって計測し、乾球温度を乾球温度センサS1によって計測し、滅菌室33内の圧力を圧力センサS4によって計測することが可能となる。そこで、湿度計測部151は、制御回路61の演算処理機能を利用し、それらの計測値に基づいて滅菌室33内の相対湿度を算出することができる。相対湿度の算出は、一例として、「JIS Z8806:2001 湿度−測定方法」内の通風乾湿計の項に記載された方法により実施することができる。
【0036】
湿度計測部151が測定する滅菌室33内の相対湿度は、滅菌室33内の上昇した湿度を所望の範囲に維持することに役立てられる。つまり、滅菌室33内の上昇した湿度を所望の湿度環境に維持するには、相対湿度の測定値を参照しながら、切替機構141を用いて、酸素またはオゾンガスの導入位置を水中と気中とに択一的に切り替えればよい。より詳細には、滅菌室33内の湿度が所望範囲よりも高くなった場合には、酸素またはオゾンガスの導入位置を気中に切り替えて乾燥ガスを導入する。これにより、滅菌室33内の湿度を下げることができる。反対に、滅菌室33内の湿度が所望範囲よりも低くなった場合には、酸素またはオゾンガスの導入位置を水中に切り替えて湿潤ガスを導入する。これにより、滅菌室33内の湿度を上昇させることができる。
【0037】
ここで、本実施の形態では、昇湿機構131の加湿槽132に対する給水動作と湿度計測部151の湿球槽153に対する給水動作とに関連性を持たせている。つまり、加湿槽132を湿球槽153よりも大容量に形成して両者を隣り合わせて配置し、湿球槽153から溢れ出した水を加湿槽132に給水できるようにしている。そこで、加湿槽132内の水位を例えばフロートスイッチ(図示せず)によって監視し、フロートスイッチがオンになったら給水タンク134からの給水動作を停止する。こうすることで、湿球槽153には満杯の水、加湿槽132には所望量の水を給水することができる。
【0038】
なお、圧力センサS4の計測出力は、滅菌室33内の湿度計測にのみ利用されるわけではなく、滅菌室33内の真空圧力調節のためにも用いられる。これについては、後述する。
【0039】
オゾン濃度計測部161は、オゾン濃度を計測可能なオゾン濃度計162を備え、滅菌室33内のオゾン濃度をオゾン濃度計162によって計測できるようにしている。オゾン濃度計162は、滅菌室33の外部に配置されている。そこで、オゾン濃度計測部161は、滅菌室33から出て滅菌室33に戻る循環配管P61中にオゾン濃度計162と循環ポンプ163とを配置している。滅菌室33内の気体は循環ポンプ163に引き込まれて循環配管P61内を循環し、オゾン濃度計162によるオゾン濃度計測に供せられる。
【0040】
循環ファン171は、制御回路61によって駆動制御されるモータ(図示せず)の回転軸にファン172を取り付けた構造のもので、ファン172を回転させることによって滅菌室33内の気体を攪拌する。
【0041】
図4は、オゾンガス滅菌装置11の電気的接続を示すブロック図である。オゾンガス滅菌装置11が有する各部を制御するのは、制御回路61である。制御回路61は、一例として、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPUに、制御プログラム等が書き込まれたROM、それにRAMが接続されたマイクロコンピュータによって形成されている(全て図示せず)。RAMは、可変データを書き換え自在に記録し、ワークエリア等として用いられる。制御回路61としてこのようなマイクロコンピュータ構成のものが用いられる場合、上記各部は、I/O(図示せず)等を介して制御回路61に信号送受信可能に接続されている。あるいは、別の一例として、制御回路61は、シーケンスが固定記録された集積回路によって構成されていても良い。いずれにしても制御回路61は、乾球温度センサS1、水温センサS2、湿球温度センサS3、および圧力センサS4からの出力を取り込み、各部を予め決められた手順通りに制御処理できる構成を有している。
【0042】
制御回路61に接続されて制御される各部については、図4に明記されているので、重複記載を避けるために逐次の列挙を避ける。
【0043】
図5は、オゾンガス滅菌装置11の制御回路61が実行する処理の流れを示すフローチャートである。滅菌対象物を滅菌するには、図5に示すフローチャートに示す処理を実行するに先立ち、事前準備として人間による手作業を必要とする。
【0044】
人間による手作業として、まず、滅菌室33内に滅菌対象物を収納して扉32を閉める。これに前後し、給水タンク134に水(純水)を補給する。この際、表示器42の表示を参照し、滅菌対象物の種類に応じて、陰圧滅菌処理をするか常圧滅菌処理をするかを選択する。例えば、白衣、マスク、寝具のような繊維類、並びに、手術用具、実験器具等の真空にしても損傷するおそれが無い物品を滅菌しようとする場合には、繊維内部や器具の隙間の奥まで効率的にオゾンガスを浸透させるために、陰圧滅菌処理を選択する。これに対して、内部に密閉した空洞を持つ精密機械、例えはパソコン等を滅菌しようとする場合には、陰圧にすると損傷するおそれがあるので、常圧滅菌処理を選択する。陰圧滅菌処理をするか常圧滅菌処理をするかの選択は、タッチパネル43でのタッチ指定によって行なう(選択手段)。陰圧滅菌処理をする場合には、さらに、後述する真空引きエアレーション(ステップS41参照)の回数も入力する。その後、制御回路61は、図5に示すように、陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とのいずれが選択されたのかを判定する(ステップS11)。
【0045】
制御回路61は、陰圧滅菌処理の選択を判定した場合(ステップS11のYES)、加湿槽132および湿球槽153に対する給水処理を実行する(ステップS31)。後述する図6中の「給水」を参照されたい。制御回路61は、昇湿機構131の電磁弁V31,V32、湿度計測部151の電磁弁V51、そして、陰圧生成部111の電磁弁V11を開き、排気ポンプ112を駆動する。これにより、滅菌室33内の気体が外部に排気され、給水タンク134に溜められた水(純水)が配管P31,P51内に吸引されて加湿槽132と湿球槽153とに供給される。前述したように、湿球槽153には満杯の水、加湿槽132には所望量の水を給水することができる。
【0046】
ついで、制御回路61は、調温制御を実行する(ステップS32)。後述する図6中の「調温」を参照されたい。制御回路61は、加熱部121の調温ヒータ122を駆動制御して滅菌室33内の室温を調整し、昇湿機構131の調湿ヒータ133を駆動制御して加湿槽132に給水された水の水温を調整する。この際、室温および水温とも、20℃〜50℃の範囲で一定温度および一定湿度となるように調整する。但し、前述したように、滅菌室33内に求める相対湿度の値に応じて、室温よりも水温の方を少し高く調整する。
【0047】
ついで、制御回路61は、調湿制御を実行する(ステップS33)。後述する図6中の「調湿」を参照されたい。制御回路61は、電磁弁V1b,V11,V12のみを開き、それ以外の電磁弁を閉じる。そして、PSA式酸素発生装置102を動作させ、加湿槽132内に溜められた水にバブラ135を介して酸素を吹き込む。これにより、滅菌室33内の相対湿度を、例えば80〜99%RH程度に上昇させることができる。
【0048】
ついで、制御回路61は、滅菌室33内の圧力制御を実行する(ステップS34)。後述する図6中の「陰圧化」を参照されたい。制御回路61は、電磁弁V11を開き、その他の全ての電磁弁を閉じて、陰圧生成部111の排気ポンプ112を駆動する。これにより、滅菌室33内の気体が配管P11を通って外部に排気され、滅菌室33内は陰圧化される。この際、制御回路61は、滅菌室33内が−90kPa〜−20kPa程度の高真空となるまで排気ポンプ112を駆動し、目標値(以下、「制御目標値(kPa)」と呼ぶ)になったらその駆動を停止する。
【0049】
もっとも、滅菌室33は、その内部圧力が低下することによって湿度が少し下がる。そこで、後続するオゾンガス導入(ステップS35)に先立ち、滅菌室33内を加湿する。そのために、制御回路61は、電磁弁V1bを開き、それ以外の電磁弁を閉じた状態で、PSA式酸素発生装置102を動作させる。すると、ガス導入位置が水中に規定されるので、バブラ135を介して加湿槽132に酸素が吹き込まれ、水分を含んだ酸素が滅菌室33内に供給される。これにより、内部圧力の低下に伴い下がった滅菌室33内の湿度が再び上昇する。ところが、このような滅菌室33内への酸素供給によって、滅菌室33内の真空度が再び下がる。そこで、制御回路61は、排気ポンプ112を断続駆動すると共にこれにタイミングを合わせて電磁弁V11を断続的に開閉するか、あるいは、排気ポンプ112を連続駆動して電磁弁V11を断続的に開閉するかする。このような昇湿動作と降圧動作とを繰り返すことで、滅菌室33内の真空度と相対湿度とを所望範囲に収めることができる。以上の動作については、図6中の「真空下調湿」を参照されたい。
【0050】
ついで、制御回路61は、オゾンガスの導入処理を実行する(ステップS35)。後述する図6中の「オゾン連続発生」を参照されたい。この際、制御回路61は、電磁弁V1a,V1bを開き、PSA式酸素発生装置102によって発生させた酸素を配管P1(P1a,P1b)を介して滅菌室33に導く。この過程で、オゾン発生装置103を動作させることによって、滅菌室33に導くガスをオゾンガスとする。この際、制御回路61は、電磁弁V1(V1aまたはV1bのいずれか一方)を開く。つまり、滅菌室33内の湿度が目標湿度より高いときは電磁弁V1aを開き、低いときは電磁弁V1bを開く。これにより、滅菌室33内の湿度が目標湿度より高いときは、気中に開口する配管P1aから滅菌室33内に乾燥ガス供給がなされ、目標湿度より低いときは、水中に開口する配管P1bのバブラ135から滅菌室33内に湿潤ガス供給がなされる。
【0051】
ここで、オゾンガスの導入処理に際して重要なことは、オゾン濃度、およびオゾン濃度(ppm)×時間(min)によって算出されるCT値である。制御回路61は、オゾン濃度計162の出力を取り込んでCT値(オゾン濃度(ppm)×時間(min))を算出し、このCT値が滅菌に必要な値となるように、オゾンガス導入部101を駆動制御する。この際、CT値の算出には、オゾン濃度一定となっている時間におけるオゾン濃度の値を用いるが、オゾン濃度の上昇中または下降中であっても、台形公式等の数値積分を使用してCTを算出することができる。
【0052】
その後、制御回路61は、滅菌室33内の環境制御を実行しながら、予め設定したCT値に達するまで、滅菌室33に対してオゾンガスを供給する(ステップS36、ステップS37のNO)。
【0053】
図6は、陰圧滅菌処理に際しての滅菌室33内の圧力とオゾン濃度との関係を経時的に示すタイミングチャートである。上記ステップS34の処理によって、滅菌室33内の圧力が0(kPa)から下がり始め、制御目標値(kPa)に達している。前述したように、制御回路61は、滅菌室33内の圧力が制御目標値(kPa)になったら、排気ポンプ112の駆動を停止する。もしも、この瞬間の状態が維持されているのならば、滅菌室33内の圧力は制御目標値(kPa)を維持するはずである。これに対して、制御回路61は、滅菌室33内の圧力が制御目標値(kPa)となったら、ステップS35のオゾンガス導入処理を実行する。この際、制御回路61は、オゾン濃度計162の出力を取り込んでCT値(オゾン濃度(ppm)×時間(min))を算出し、オゾン濃度とともにこのCT値を監視する。そして、CT値が目標値に達したならば、オゾンガス排出の工程(ステップS38)に進む。一方、CT値が目標値に達する前にオゾン濃度が目標値に達した場合には、オゾン発生装置103の駆動を断続駆動に切り替える。このタイミングが、図5のフローチャート中のステップS35からステップS36への遷移である。図6に示すように、オゾン発生装置103が断続駆動されると、オゾン濃度は一定値を保つ。というよりも、制御回路61は、オゾン濃度が目標値に達した後、そのオゾン濃度を維持するようにオゾン発生装置103を断続駆動するわけである。なお、オゾン発生装置103の駆動を断続駆動に切り替えている期間は、滅菌室33内の真空度が所定の値(以下、「制御下限値(kPa)」)に達するまでであり、その後はオゾン発生装置103の駆動を断続駆動から連続駆動に再度切り替える。滅菌室33内の真空度が制御下限値(kPa)に達した後は、再び排気ポンプ112を駆動して真空引きを行なうので、滅菌室33内のオゾン濃度が急激に低下するからである。これについて後述する。
【0054】
ここで、このようなオゾンガスの導入に際して、滅菌室33内の圧力について着目する。図6に示すように、制御目標値(kPa)になって排気ポンプ112の駆動を停止した直後から、滅菌室33内の圧力は0(kPa)に向けてリニアに変動する。これは、滅菌室33内の圧力が最初に制御目標値(kPa)に達した後は、オゾン発生装置103によるオゾンの発生の有無にかかわらず、PSA式酸素発生装置102によって発生する酸素が定常的に滅菌室33内に供給され続けるからである。
【0055】
制御回路61は、圧力センサS4の出力を取り込んで滅菌室33内の圧力を監視している。制御回路61は、滅菌室33内の圧力が制御圧力の下限値である制御下限値(kPa)まで達したならば、図5のフローチャート中のステップS36の環境制御の一つとして、再び陰圧化処理を実行する。つまり、陰圧生成部111の排気ポンプ112を駆動する。これにより、滅菌室33内は再び、目標値である制御目標値(kPa)まで高真空化する。滅菌室33内の圧力が制御目標値(kPa)に達したらならば、再び、排気ポンプ112の駆動を停止する。
【0056】
この際、滅菌室33では、排気ポンプ112を駆動しての真空引きによって、オゾンガスも外部に放出される。このため、オゾンガスの濃度低下が発生する。そこで、制御回路61は、再びオゾン発生装置103を連続運転し、オゾン濃度を目標値に復活させる。その後は、オゾン発生装置103を断続運転に切り替え、オゾン濃度を目標値に維持する。なお、陰圧化をより短時間で行うために、別の実施の形態として、排気ポンプ112の駆動中はオゾン供給を停止するようにしてもよい。このようにするには、排気ポンプ112の駆動中、オゾン発生装置103を停止するとともに、電磁弁V1a及びV1bを閉じる。
【0057】
こうして、制御回路61は、滅菌室33にオゾンガスを導入してから目標のCT値に達するまで(図5のフローチャート中のステップS35〜ステップS37のYES)、滅菌室33内の圧力調整とオゾン濃度調整とを繰り返し実行する。ここに、圧力調節手段および濃度調節手段の機能が実行される。
【0058】
ついで、図5のフローチャート中のステップS36の環境制御として、本実施の形態では、滅菌室33内の相対湿度調整も実行する。本実施の形態では、滅菌対象物に滅菌処理を施している間(図5のフローチャート中のステップS35〜ステップS37のNO)、相対湿度の値(%RH)も微妙に変動する。そこで、制御回路61は、切替機構141を駆動制御し、オゾンガス導入部101から滅菌室33内へのオゾンガスまたは酸素の供給を、乾燥ガス供給か湿潤ガス供給かに択一的に切り替える。つまり、制御回路61は、湿度計測部151によって滅菌室33内の相対湿度の値を知ることができる。そこで、滅菌室33内の相対湿度が目標湿度に達したならば、電磁弁V1aを開いて電磁弁V1bを閉じ、湿潤ガス供給から乾燥ガス供給に切り替える。これにより、相対湿度を低下させることができる。これに対して、滅菌室33内の相対湿度が目標湿度を下回った場合、電磁弁V1aを閉じて電磁弁V1bを開け、乾燥ガス供給から湿潤ガス供給に切り替える。これにより、相対湿度を上昇させることができる。ここに、湿度調節手段の機能が実行される。
【0059】
さらに、本実施の形態では、滅菌処理に際して、ファン172を駆動し続ける。これにより、滅菌室33内における温度、相対湿度、オゾン濃度の均一化を図ることができる。
【0060】
図5のフローチャートの説明に戻る。制御回路61は、目標のCT値に達した後(ステップS37のYES)、滅菌室33内からオゾンガスを排出する(ステップS38)。つまり、電磁弁V11,V12,V2を開いて他の全ての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。これにより、HEPAフィルタ104で清浄化された空気を滅菌室33に取り込みつつ、滅菌室33内のオゾンガスをオゾン分解ユニット114で酸素に分解して外部に放出することができる。
【0061】
ついで、制御回路61は、排水処理を実行する(ステップS39)。これを実行するには、まず、電磁弁V2,V13,V32を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、加湿槽132に溜めた水(純水)が配管P31,P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。次に、電磁弁V2,V13,V51を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、湿球槽153に溜めた水(純水)が配管P51,P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。次に、電磁弁V2,V13,V31を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、給水タンク134に溜めた水(純水)が配管P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。ドレンタンク113内に引き込んだ水(純水)は、電磁弁V2,V11,V14を開くことによって排水管P14から外部に排水することができる。
【0062】
ついで、制御回路61は、乾燥処理を実行する(ステップS40)。つまり、加熱部121の調温ヒータ122を駆動し、滅菌室33内を加温する。これにより、滅菌室33内の水分量(絶対湿度)は変わらなくても、相対湿度が下がるため、結露を防止することができる。
【0063】
ついで、制御回路61は、予め設定した回数がアップするまで(ステップS42のNO)、真空引きエアレーション(オゾン除去処理)を実行する(ステップS41)。つまり、電磁弁V11を開いて他の全ての電磁弁を閉じ、この状態で排気ポンプ112を駆動する。排気ポンプ112の駆動は、滅菌室33内が制御目標値(kPa)である高真空状態になるまで続行する。これにより、滅菌室33内の雰囲気ガスが外部に放出される。そして、制御回路61は、滅菌室33内が制御目標値(kPa)である高真空状態になったならば、電磁弁V2を開く。すると、HEPAフィルタ104を通過した清浄な空気が滅菌室33に流れ込む。これにより、滅菌室33内にまだある滅菌対象物に浸透していたオゾンガスを滅菌対象物から吸引し、これをオゾン分解ユニット114で分解して放出することができる。このような真空引きエアレーションは、予め設定した回数がアップするまで実行される(ステップS42のYES)。なお、ステップS41の真空引きエアレーションに際しては、滅菌室33内を制御目標値(kPa)よりもさらに高真空にするようにしてもよい。
【0064】
ついで、制御回路61は、予め設定した時間だけ常圧エアレーション(オゾン除去処理)を実行する(ステップS43)。つまり、電磁弁V2およびV11を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、この状態で排気ポンプ112を駆動する。これにより、滅菌室33内に残ったオゾンガスが排出され、HEPAフィルタ104を通過した清浄な空気が滅菌室33に流れ込む。制御回路61は、常圧エアレーションを予め設定した時間がタイムアップするまで実行したならば、陰圧滅菌処理を終了する。
【0065】
一方、制御回路61は、常圧滅菌処理の選択を判定した場合(ステップS11のNO)、加湿槽132および湿球槽153に対する給水処理を実行する(ステップS51)。後述する図7中の「給水」を参照されたい。制御回路61は、昇湿機構131の電磁弁V31,V32、湿度計測部151のV51、そして、陰圧生成部111の電磁弁V11を開き、排気ポンプ112を駆動する。これにより、滅菌室33内の気体が外部に排気され、給水タンク134に溜められた水(純水)が配管P31,P51内に吸引されて加湿槽132と湿球槽153とに供給される。前述したように、湿球槽153には満杯の水、加湿槽132には所望量の水を給水することができる。
【0066】
ついで、制御回路61は、調温制御を実行する(ステップS52)。後述する図7中の「調温」を参照されたい。制御回路61は、加熱部121の調温ヒータ122を駆動制御して滅菌室33内の室温を調整し、昇湿機構131の調湿ヒータ133を駆動制御して加湿槽132に給水された水の水温を調整する。この際、室温および水温とも、20℃〜50℃の範囲で一定温度となるように調整する(温度調節手段)。但し、前述したように、滅菌室33内に求める相対湿度の値に応じて、室温よりも水温の方を少し高く調整する。これにより、次段階の調湿制御(ステップS53)を実行することで、滅菌室33内の相対湿度を、例えば80〜99%RH程度に上昇させることができる。
【0067】
ついで、制御回路61は、加湿処理を実行する(ステップS53)。後述する図7中の「調湿」を参照されたい。制御回路61は、電磁弁V1b、V11,V12を開き、PSA式酸素発生装置102によって発生させた酸素を、配管P1bを介して滅菌室33内に導く。こうして、加湿槽132を通過する間に水分を取り込んだ湿潤酸素ガスが滅菌室33内に供給され、これによって、滅菌室33内の湿度が上昇する。制御回路61は、目標湿度に達したならば、次の処理に進む。
【0068】
ついで、制御回路61は、オゾンガスの導入処理を実行する(ステップS54)。後述する図7中の「オゾン連続発生」を参照されたい。制御回路61は、電磁弁V1(V1aまたはV1b),V11,V12を開き、PSA式酸素発生装置102によって発生させた酸素を、配管P1(P1aまたはP1b)を介して滅菌室33に導く。この過程で、オゾン発生装置103を動作させることによって、滅菌室33に導くガスをオゾンガスとする。この際、制御回路61は、滅菌室33内の相対湿度に応じて、電磁弁V1aと電磁弁V1bとのいずれか一方を開く。つまり、滅菌室33内の湿度が目標湿度より高いときは電磁弁V1aを開き、低いときは電磁弁V1bを開く。これにより、滅菌室33内の湿度が目標湿度より高いときは、気中に開口する配管P1aから滅菌室33内に乾燥ガス供給がなされ、目標湿度より低いときは、水中に開口する配管P1bのバブラ135から滅菌室33内に湿潤ガス供給がなされる。
【0069】
ここで、オゾンガスの導入処理に際して重要なことは、オゾン濃度、およびオゾン濃度(ppm)×時間(min)によって算出されるCT値である。制御回路61は、オゾン濃度計162の出力を取り込んでCT値(オゾン濃度(ppm)×時間(min))を算出し、このCT値が滅菌に必要な値に達するまで、オゾンガス導入部101を駆動制御する。この際、CT値の算出には、オゾン濃度一定となっている時間におけるオゾン濃度の値を用いるが、オゾン濃度の上昇中または下降中であっても、台形公式等の数値積分を使用してCTを算出することができる。
【0070】
その後、制御回路61は、滅菌室33内の環境制御を実行しながら、予め設定されたCT値に達するまで、滅菌室33に対してオゾンガスを供給する(ステップS55、ステップS56のNO)。
【0071】
図7は、常圧滅菌処理に際しての滅菌室33内の圧力とオゾン濃度との関係を経時的に示すタイミングチャートである。常圧滅菌処理に際しては、滅菌室33内の圧力は0(kPa)に維持され続ける。制御回路61は、オゾンガス導入工程(ステップS54)に入ると、PSA式酸素発生装置102およびオゾン発生装置103を駆動する。これにより、滅菌室33内のオゾン濃度が上昇し始める。この際、制御回路61は、オゾン濃度計162の出力を取り込んでCT値(オゾン濃度(ppm)×時間(min))を算出し、オゾン濃度とCT値とを監視する。そして、オゾン濃度が目標値に達したならば、オゾン発生装置103の駆動を断続駆動に切り替える。このタイミングが、図5のフローチャート中のステップS54からステップS55への遷移である。図7に示すように、オゾン発生装置103が断続駆動されると、オゾン濃度は一定値を保つ。というよりも、制御回路61は、オゾン濃度が目標値に達した後、そのオゾン濃度を維持するようにオゾン発生装置103を断続駆動するわけである。なお、オゾン発生装置103は、CT値が目標に達するまで、断続駆動に切り替えられている。
【0072】
ついで、図5のフローチャート中のステップS55の環境制御として、本実施の形態では、滅菌室33内の相対湿度調整も実行する。本実施の形態では、滅菌対象物に滅菌処理を施している間(図5のフローチャート中のステップS54〜ステップS56のNO)、相対湿度の値(%RH)も微妙に変動する。そこで、制御回路61は、切替機構141を駆動制御し、オゾンガス導入部101から滅菌室33内へのオゾンガスまたは酸素の供給を、乾燥ガス供給か湿潤ガス供給かに択一的に切り替える。つまり、制御回路61は、湿度計測部151によって滅菌室33内の相対湿度の値を知ることができる。そこで、滅菌室33内の相対湿度が目標湿度に達したならば、電磁弁V1aを開いて電磁弁V1bを閉じ、湿潤ガス供給から乾燥ガス供給に切り替える。これにより、相対湿度を低下させることができる。これに対して、滅菌室33内の相対湿度が目標湿度を下回った場合、電磁弁V1aを閉じて電磁弁V1bを開け、乾燥ガス供給から湿潤ガス供給に切り替える。これにより、相対湿度を上昇させることができる。ここに、湿度調節手段の機能が実行される。
【0073】
さらに、本実施の形態では、滅菌処理に際して、循環ファン171を駆動し続ける。これにより、滅菌室33内における温度、相対湿度、オゾン濃度の均一化を図ることができる。
【0074】
図5のフローチャートの説明に戻る。制御回路61は、目標のCT値に達した後(ステップS56のYES)、滅菌室33内からオゾンガスを排出する(ステップS57)。つまり、電磁弁V11,V12,V2を開いて他の全ての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。これにより、HEPAフィルタ104で清浄化された空気を滅菌室33に取り込みつつ、滅菌室33内のオゾンガスをオゾン分解ユニット114で酸素に分解して外部に放出することができる。
【0075】
ついで、制御回路61は、排水処理を実行する(ステップS58)。これを実行するには、まず、電磁弁V2,V13,V32を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、加湿槽132に溜めた水(純水)が配管P31,P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。次に、電磁弁V2,V13,V51を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、湿球槽153に溜めた水(純水)が配管P51,P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。次に、電磁弁V2,V13,V31を開いて他のすべての電磁弁を閉じ、排気ポンプ112を駆動する。すると、ドレンタンク113内が陰圧になり、給水タンク134に溜めた水(純水)が配管P13を通ってドレンタンク113に引き込まれる。ドレンタンク113内に引き込んだ水(純水)は、電磁弁V2,V11,V14を開くことによって、排水管P14から外部に排水することができる。
【0076】
ついで、制御回路61は、乾燥処理を実行する(ステップS59)。つまり、加熱部121の調温ヒータ122を駆動し、滅菌室33内を加温する。これにより、滅菌室33内の水分量(絶対湿度)は変わらなくても、相対湿度が下がるため、結露を防止することができる。
【0077】
ついで、制御回路61は、常圧エアレーション(オゾン除去処理)を実行する(ステップS60)。つまり、電磁弁V2,V11を開いて他の全ての電磁弁を閉じ、この状態で排気ポンプ112を駆動する。これにより、HEPAフィルタ104を通過した清浄な空気を滅菌室33に取り込みつつ、滅菌室33内のオゾンガスをオゾン分解ユニット114で分解して外部に放出することができる。その後、常圧滅菌処理を終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、陰圧滅菌処理と常圧滅菌処理とのうちから滅菌対象物に適合する滅菌処理を容易に選択することができる(図5のフローチャート中のステップS11)。そして、常圧滅菌処理では十分な滅菌効果を期待できない滅菌対象物であっても、陰圧滅菌処理を選択した場合には、滅菌対象物の内部までオゾンガスを浸透させることができるので、高い滅菌効果を得ることができる。また、制御回路61が、湿度調節手段、圧力調節手段、濃度調節手段、温度調節手段の機能を実行するので、選択したいずれの滅菌処理に際しても、オゾンガスが効率よく反応できる環境条件を整えて効果的な滅菌処理を行なうことができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、水の移動を排気ポンプ112と電磁弁Vのみによって行なっている。これにより、次に示す利点がある。
【0080】
(1)水ポンプが不要である。
このため、装置の構造が簡単になる。
また、水ポンプを用いた場合には不可避である運転終了後における水ポンプ内の水の残留がなく、水ポンプの残水を排出するが如き機構が不要である。呼び水も不要である。
【0081】
(2)重力で水を移動する構造ではない。
これにより、各種水槽(ドレンタンク113、給水タンク134、加湿槽132、湿球槽153)の配置の自由度が高まる。
例えば、給水タンク134を装置の下部に配置し、ドレンタンク113を装置の上部に配置することができる。給水タンク134を下部に配置すると、装置に水を入れるに際して高い位置まで水を持ち上げる必要がないので、作業が楽にできる。また、ドレンタンク113を上部に配置すると、通常のシンク(流し台)にそのまま排水できるので、特別な排水工事なしで据付をすることができる。
もっとも、別の実施の形態として、給水タンク134を上部に、ドレンタンク113を下部に配置し、重力を併用して水を流すようにしてもよい。
【0082】
また、本実施の形態によれば、滅菌庫31の温度制御を調温ヒータ122のみによって行なっている。これに対して、実施に際しては、冷凍機を設け、調温ヒータ122と冷凍機とを併用して、より精密に温度を制御するようにしてもよい。
【0083】
さらに、本実施の形態によれば、加湿槽132内の水温制御を調湿ヒータ133のみによって行なっている。これに対して、実施に際しては、加湿槽132内の水温が上がり過ぎた場合に、加湿槽132内の水を一部ドレンタンク113に排出し、給水タンク134から再び補充することにより水温を下げるように各部を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
31 滅菌庫
33 滅菌室
101 オゾンガス導入部
102 PSA式酸素発生装置
103 オゾン発生装置
111 陰圧生成部
131 昇湿機構
132 加湿槽
141 切替機構
152 湿度計
153 湿球槽
162 オゾン濃度計
S1 乾球温度センサ(温度計)
S4 圧力センサ(圧力計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌対象物を気密に収納する滅菌室を内部に形成する滅菌庫と、
前記滅菌室内にオゾンガスを導入するオゾンガス導入部と、
前記滅菌室内の気体を排気して前記滅菌室内を陰圧にする陰圧生成部と、
前記オゾンガス導入部によって前記滅菌室内にオゾンガスを導入して滅菌対象物を滅菌するに際して、前記陰圧生成部によって前記滅菌室を陰圧にする陰圧滅菌処理と前記滅菌室を陰圧にしない常圧滅菌処理とを択一的に選択可能とする選択手段と、
を備える、ことを特徴とするオゾンガス滅菌装置。
【請求項2】
前記滅菌室内に配置した加湿槽と、
前記オゾンガス導入部が有するオゾンガスの導入位置を、前記加湿槽に溜めた水の外部に定める乾燥ガス供給と内部に定める湿潤ガス供給とに択一的に切り替える切替機構と、
前記切替機構によって前記湿潤ガス供給に切り替えると共に、前記加湿槽に溜めた水を加熱制御して室温よりも水温を所定温度だけ高くすることで、前記滅菌室内の相対湿度を上昇させる昇湿機構と、
前記滅菌室内の相対湿度を計測する湿度計と、
前記湿度計によって計測される前記滅菌室内の相対湿度が所定湿度範囲となるように前記乾燥ガス供給と前記湿潤ガス供給とを切り替え制御する湿度調節手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項3】
前記湿度計は、
前記滅菌室内の圧力を計測する機能と、
前記滅菌室内に配置した湿球槽に溜めた水に浸したウィックに覆われた湿球の温度と水に浸さない乾球の温度とを計測する機能と、
を有し、前記湿球の温度と前記乾球の温度と前記圧力計が計測する前記滅菌室内の圧力とに基づいて前記滅菌室内の相対湿度を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項4】
前記滅菌室内のオゾン濃度を計測するオゾン濃度計と、
前記陰圧滅菌処理に際して、前記計測される前記滅菌室内の圧力が所定陰圧範囲となるように前記陰圧生成部を断続制御する圧力調節手段と、
前記陰圧滅菌処理に際して、前記オゾン濃度計によって計測される前記滅菌室内のオゾン濃度が所定濃度範囲となるように前記オゾン発生装置を断続制御する濃度調節手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項3に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項5】
前記滅菌室内の圧力を計測する圧力計と、
前記滅菌室内のオゾン濃度を計測するオゾン濃度計と、
前記陰圧滅菌処理に際して、前記圧力計によって計測される前記滅菌室内の圧力が所定陰圧範囲となるように前記陰圧生成部を断続制御する圧力調節手段と、
前記陰圧滅菌処理に際して、前記オゾン濃度計によって計測される前記滅菌室内のオゾン濃度が所定濃度範囲となるように前記オゾン発生装置を断続制御する濃度調節手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項2に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項6】
前記滅菌室内の温度を計測する温度計と、
前記温度計によって計測される前記滅菌室内の室温が所定温度範囲となるように前記滅菌室内を加熱制御する温度調節手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項7】
前記陰圧滅菌処理の後処理として、前記滅菌室内の水を排水して前記滅菌室内を加熱する乾燥処理を実行する、
ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一に記載のオゾンガス滅菌装置。
【請求項8】
前記陰圧滅菌処理の後処理として、前記乾燥処理の後、前記陰圧生成部によって前記滅菌室内を所定の真空度まで陰圧にした後に常圧に戻すオゾン除去処理を実行する、
ことを特徴とする請求項7に記載のオゾンガス滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−40143(P2012−40143A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183303(P2010−183303)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000198330)株式会社IHIシバウラ (74)
【Fターム(参考)】