説明

オゾン水製造設備及びオゾン水製造方法

【課題】電極への化合物の析出・付着を防止してオゾン水の生成能力の低下を防ぐことができるオゾン水製造設備およびオゾン水製造方法を提供すること。
【解決手段】オゾン水製造設備100は、原料水中の陽イオンを除去する軟水器1・2と、原料水中の陰イオンを除去する陰イオン除去装置3と、軟水器1・2及び陰イオン除去装置3によって陽イオン及び陰イオンが除去された原料水を電気分解してオゾン水を製造するオゾン水製造装置4とを備えている。そして、陰極電極33への化合物の析出・付着を防止して、オゾン水製造装置4の電気分解性能の低下を防ぎ、オゾン水の生成能力の低下を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極への化合物の析出・付着を防止してオゾン水の生成能力の低下を防ぐことができるオゾン水製造設備およびオゾン水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オゾンは強力な酸化力を有していることから、殺菌、消毒、脱色、脱臭、酸化分解や酸化処理等、様々な分野で利用されている。そして、オゾンを溶解しているオゾン水は、オゾンガスに比べて安全で利用し易いという理由でその需要が増加している。そのオゾン水を製造するには、水を電気分解する方法が従来からよく知られている(例えば、特開平3−267390号、特開平8−134677号、特開平8−134678号等)。
【0003】
特開平8−134677号や特開平8−134678号には、電気分解に用いる原料水として、水道水或いは天然水、またはこれらを活性炭層に通して塩素を除去した水等を使用して、高濃度オゾン水を製造するオゾン水製造装置が紹介されている。
【0004】
しかしながら、これらの装置においては、原料水中にCa2+、Mg2+等の硬度成分やSO2−、PO3−、NOが含有されているため、これらの原料水を使用する場合には、電気分解が行われる電解槽中の陽極側から固体電解質膜を透過して陰極側に原料水中のCa2+、Mg2+等の陽イオンが移動し、陰極側のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンと結合し、陰極電極や固体電解質膜に不溶性のCaSO、MgSO等の化合物が析出・付着しやすくなる。特にその傾向は、陽極側がアルカリ性の場合に顕著となる。そして、これらの化合物が陰極電極や固体電解質膜に析出・付着すると電気伝導率が低下し、オゾン水の生成能力が著しく低下することになる。なお、固体電解質膜には、陽イオンを透過させるが陰イオンは透過させない性質を持つ陽イオン交換膜等が使われるため、電気分解が行われる電解槽中の陰極側から固体電解質膜を透過して陽極側に原料水中の陰イオンが移動することはなく、また、陽極側の原料水のpH値は中性であるので陽極側には化合物は析出しない。この様に陰極電極や固体電解質膜に析出・付着した化合物は、塩酸等により溶解することで除去可能であるが、操業を中断しなければならないだけでなく、除去・洗浄作業に長時間を要する。
【0005】
この問題を解決するために、特許3269784号には、原料水を、Na型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換部に通して原料水中のCa2+、Mg2+等の陽イオンを除去し、その原料水を電気分解してオゾン水を製造する装置が記載されている。この様な装置の場合には、原料水に含まれているCa2+、Mg2+等の陽イオンは前記Na型強酸性陽イオン交換樹脂で除去されているので、陰極電極や固体電解質膜にCaSO、MgSO等の化合物が析出・付着しにくくなる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−267390号公報
【特許文献2】特開平8−134677号公報
【特許文献3】特開平8−134678号公報
【特許文献4】特許3269784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
もっとも、この様な装置を使用して原料水を陽イオン交換樹脂に通したとしても、原料水中には、微量のCa2+、Mg2+等の陽イオンが残留してしまうことがある。そして、当該装置の長時間の運転に伴い、残留したCa2+、Mg2+等の陽イオンが陰極側のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンと結合し、陰極電極や固体電解質膜にCaSO、MgSO等の化合物を析出・付着させてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は上述の様な状況に着目してなされたものであり、その目的は、原料水から、陽イオン交換樹脂を利用して原料水中のCa2+、Mg2+等の硬度成分の陽イオンを除去する利点を活かしながら、原料水中に微量のCa2+、Mg2+等の硬度成分の陽イオンが残留していたとしても、係る陽イオンの結合対象となるSO2−、PO3−、NO等の陰イオンを除去することにより、陰極電極や固体電解質膜へのCaSO、MgSO等の化合物の析出・付着を防止してオゾン水の生成能力の低下を防ぐことができるオゾン水製造設備およびオゾン水製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するための第1の発明に係るオゾン水製造設備は、原料水中の陽イオンを除去する陽イオン除去装置と、原料水中の陰イオンを除去する陰イオン除去装置と、前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置によって陽イオン及び陰イオンが除去された前記原料水を電気分解してオゾン水を製造するオゾン水製造装置と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
この構成によると、陰イオン除去装置及び陽イオン除去装置によって陽イオン及び陰イオンが除去された原料水を電気分解してオゾン水を製造することができる。このため、たとえ陽イオンを除去した原料水中に微量の陽イオンが残留していたとしても、係る陽イオンの結合対象となる陰イオンを除去することで、オゾン水製造装置内での陽イオン及び陰イオンの化合物の析出・付着を防止することができる。そして、化合物の析出・付着を防止することで電気分解性能の低下を防ぎ、オゾン水の生成能力の低下を防ぐことができる。
【0011】
また、第2の発明に係るオゾン水製造設備は、第1の発明において、前記オゾン水製造装置は、固体電解質膜と前記固体電解質膜の一方に設けられた陽極側流路と前記固体電解質膜の他方に設けられた陰極側流路と前記陽極側流路内に設けられた陽極電極と前記陰極側流路内に設けられた陰極電極とを有し、前記陰極側流路内に前記原料水を送給する陰極側送給経路に、前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置が設けられており、前記陽極側流路内に前記原料水を送給する陽極側送給経路に、前記陽イオン除去装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
一般に、固体電解質膜には、陽イオンを透過させるが陰イオンは透過させない性質を持つ陽イオン交換膜等が使われるため、電気分解が行われる陰極側流路の陰極側から固体電解質膜を透過して陽極側流路内の陽極電極に原料水中の陰イオンが移動することはなく、また、陽極側流路の原料水のpH値はアルカリ性を示さないため陽極側には化合物は析出しない。また、電気分解が行われる陽極側流路の陽極側から固体電解質膜を透過して陰極側流路内の陰極電極に原料水中の陰イオンが移動することはない。一方で、固体電解質膜は、陽イオンを透過させるため、電気分解が行われる陽極側流路の陽極側から固体電解質膜を透過して陰極側流路内の陰極電極に原料水中の陽イオンが移動し、陰極側に化合物が析出・付着する。とすれば、陰イオンに関しては、陰極側流路内に送給される原料水中の陰イオンのみを除去すれば、陰極側に化合物が析出・付着するのを防ぐことができる。
【0013】
そこで、本発明の構成によると、オゾン水製造設備において、陰極側流路内に原料水を送給する陰極側送給経路に、陽イオン除去装置及び陰イオン除去装置が設けられており、陽極側流路内に原料水を送給する陽極側送給経路に、陽イオン除去装置が設けられているため、陰イオンの除去が、陰極側流路内に供給される原料水についてのみ行われる。このため、陽極側流路に供給される原料水には、陰イオンの除去を行わないので陰イオン除去装置をコンパクトにすることができる。また、陰イオン除去装置を通す原水量を陰極側流路内での電気分解に必要な量に制限できるため、陰イオン除去装置の寿命を長持ちさせることができる。
【0014】
また、第3の発明に係るオゾン水製造設備は、第1又は第2の発明において、前記陽イオン除去装置は、原料水中の陽イオンをイオン交換する陽イオン交換樹脂を有し、前記陰イオン除去装置は、原料水中の陰イオンをイオン交換する陰イオン交換樹脂を有することを特徴とするものである。
【0015】
原料水中のイオン化物が減少すると、原料水の電気伝導率が下がり電気分解性能が低下する場合がある。そこで、本構成によると、陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)と陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に吸着除去されるCa2+、Mg2+等の硬度成分の陽イオン(陽イオンの結合対象となるSO2−、PO3−、NO等の陰イオン)とが交換されることになる。このため、原料水中の陽イオン(陰イオン)を吸着除去したとしても、代わりに陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)が原料水中に含まれるため、原料水中のイオン化物の減少を防ぐことができ、電気伝導率の低下を防ぐことができる。
【0016】
また、第4の発明に係るオゾン水製造設備は、第3の発明において、前記陽イオン交換樹脂は、Na型陽イオン交換樹脂であって、前記陰イオン交換樹脂は、Cl型陰イオン交換樹脂であることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によると、Na型陽イオン交換樹脂により、原料水中のCa2+、Mg2+等の陽イオンとNaとをイオン交換し、Cl型陰イオン交換樹脂により、原料水中のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンとClとをイオン交換して、原料水中のイオン物質を維持して電気伝導率の低下を防ぐことができる。また、イオン交換されて排出されるイオンが、それぞれ化合物化しにくく昜水溶性のNaとClであるため化合物が陰極電極や電解質膜に析出・付着しにくくすることができる。
【0018】
また、第5の発明に係るオゾン水製造設備は、第4の発明において、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を貯留する塩化ナトリウム水溶液タンクと、前記塩化ナトリウム水溶液タンクに貯留された前記塩化ナトリウム水溶液を前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置の一方に供給し、その排液を他方に供給して、前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂を再生する塩化ナトリウム水溶液供給装置と、を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
この構成によると、Na型陽イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のNaイオンによって再生され、Cl型陰イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のClイオンによって再生される。このため、Na型陽イオン交換樹脂及びCl型陰イオン交換樹脂の再生に必要な塩化ナトリウム水溶液を、陽イオン除去装置及び陰イオン除去装置に、直列的に供給することができ、効率化を図ることができる。また、オゾン水製造設備から排出される排液量を少なくすることができる。
【0020】
また、第6の発明に係るオゾン水製造方法は、オゾン水製造装置で原料水を電気分解してオゾン水を製造するオゾン水製造方法において、前記原料水を電気分解する前に、前記原料水中の陽イオンを除去する陽イオン除去過程、及び、前記原料水中の陰イオンを除去する陰イオン除去過程を含むことを特徴とするものである。
【0021】
この方法によると、陰イオン除去過程及び陽イオン除去過程によって陽イオン及び陰イオンが除去された原料水を電気分解してオゾン水を製造することができる。このため、たとえ陽イオンを除去した原料水中に微量の陽イオンが残留していたとしても、係る陽イオンの結合対象となる陰イオンを除去することで、オゾン水製造装置内での陽イオン及び陰イオンの化合物の析出・付着を防止することができる。そして、化合物の析出・付着を防止することで電気分解性能の低下を防ぎ、オゾン水の生成能力の低下を防ぐことができる。
【0022】
また、第7の発明に係るオゾン水製造方法は、第6の発明において、前記オゾン水製造装置は、固体電解質膜と、前記固体電解質膜の一方に設けられた陽極側流路と、前記固体電解質膜の他方に設けられた陰極側流路と、前記陽極側流路内に設けられた陽極電極と、前記陰極側流路内に設けられた陰極電極とを有し、前記陰極側流路内において、前記陽イオン除去過程及び前記陰イオン除去過程で陽イオン及び陰イオンを除去した前記原料水を電気分解し、前記陽極側流路内において、前記陽イオン除去過程で陽イオンを除去した前記原料水を電気分解してオゾン水を製造することを特徴とするものである。
【0023】
この方法によると、陰極側流路内において、陽イオン除去過程及び陰イオン除去過程で陽イオン及び陰イオンを除去した原料水を電気分解し、陽極側流路内において、陽イオン除去過程で陽イオンを除去した原料水を電気分解してオゾン水を製造することができる。即ち、陰イオンの除去が、陰極流路側に供給される原料水についてのみ行われる。このため、陽極流路側に供給される原料水には、陰イオンの除去を行わないのでイオン除去の過程を効率化することができる。
【0024】
また、第8の発明に係るオゾン水製造方法は、第6又は第7の発明における前記陽イオン除去過程において、陽イオン交換樹脂によって前記原料水中の陽イオンをイオン交換して除去し、前記陰イオン除去過程において、陰イオン交換樹脂によって前記原料水中の陰イオンをイオン交換して除去することを特徴とするものである。
【0025】
この方法によると、陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)と陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に吸着除去されるCa2+、Mg2+等の硬度成分の陽イオン(陽イオンの結合対象となるSO2−、PO3−、NO等の陰イオン)とが交換されることになる。このため、原料水中の陽イオン(陰イオン)を吸着除去したとしても、代わりに陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)が原料水中に含まれるため、原料水中のイオン化物の減少を防ぐことができ、電気伝導率の低下を防ぐことができる。なお、陽イオン交換樹脂に予め吸着する陽イオンには、Na(塩型)などが用いられる。また、陰イオン交換樹脂に予め吸着する陰イオンには、Cl(塩型)などが用いられる。
【0026】
また、第9の発明に係るオゾン水製造方法は、第8の発明において、前記陽イオン交換樹脂は、Na型陽イオン交換樹脂であって、前記陰イオン交換樹脂は、Cl型陰イオン交換樹脂であることを特徴とするものである。
【0027】
この方法によると、Na型陽イオン交換樹脂により、原料水中のCa2+、Mg2+等の陽イオンとNaとをイオン交換し、Cl型陰イオン交換樹脂により、原料水中のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンとClとをイオン交換して、原料水中のイオン物質を維持して電気伝導率の低下を防ぐことができる。また、イオン交換されて排出されるイオンが、それぞれ化合物化しにくく昜水溶性のNaとClであるため化合物が陰極電極や電解質膜に析出・付着しにくくすることができる。
【0028】
また、第10の発明に係るオゾン水製造方法は、第9の発明において、塩化ナトリウム水溶液を前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂の一方に供給し、その排液を他方に供給して、前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂を再生する再生過程を含むことを特徴とするものである。
【0029】
この方法によると、Na型陽イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のNaイオンによって再生され、Cl型陰イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のClイオンによって再生される。このため、塩化ナトリウム水溶液を効率的に使用して、Na型陽イオン交換樹脂及びCl型陰イオン交換樹脂を再生させることができる。
【発明の効果】
【0030】
陰イオン除去装置及び陽イオン除去装置によって陽イオン及び陰イオンが除去された原料水を電気分解してオゾン水を製造することができる。このため、たとえ陽イオンを除去した原料水中に微量の陽イオンが残留していたとしても、係る陽イオンの結合対象となる陰イオンを除去することで、オゾン水製造装置内での陽イオン及び陰イオンの化合物の析出・付着を防止することができる。そして、化合物の析出・付着を防止することで電気分解性能の低下を防ぎ、オゾン水の生成能力の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係るオゾン水製造設備を示すブロック図である。
【図2】原料水中に含まれる各種のイオン量を調べた結果を示す説明図である。
【図3】時間経過に伴う電解電流の値を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るオゾン水製造設備を示すブロック図である。
【図5】変形例に係るオゾン水製造設備を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るオゾン水製造設備100を示すブロック図である。図1に示すように、オゾン水製造設備100は、軟水器1(陽イオン除去装置)と、軟水器2(陽イオン除去装置)と、陰イオン除去装置3と、オゾン水(電解オゾン水)を生成するオゾン水製造装置4と、ミクロフィルター6と、活性炭フィルター7と、陽極側送給経路8と、陰極側送給経路9と、流量調整電磁弁10・11から構成されている。
【0034】
軟水器1及び軟水器2は、Na型陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン除去装置であり、Na型陽イオン交換樹脂によって原料水中のCa2+イオンおよびMg2+イオン等の陽イオンとNaイオンとをイオン交換して、原料水中のCa2+イオンおよびMg2+イオン等の硬度成分の陽イオンを除去する。また、陰イオン除去装置3は、Cl型陰イオン交換樹脂を充填した陰イオン除去装置であり、Cl型陰イオン交換樹脂によって原料水中のSO2−イオン、PO3−イオン、NOイオン等の陰イオンとClイオンとをイオン交換する。そして、原料水中のCa2+イオンおよびMg2+イオン等の硬度成分の陽イオンの結合対象となる、同じく原料水中のSO2−イオン、PO3−イオン、NOイオン等の陰イオンを除去する。また、ミクロフィルター6及び活性炭フィルター7は、原料水中に含まれる鉄分やシリカ、塩素等を除去する。
【0035】
次に、図1に示すようにオゾン水製造装置4は、固体電解質膜31と、その一方に設けられた陽極側流路34と、他方に設けられた陰極側流路35と、陽極側流路34内に設けられた陽極電極32と、陰極側流路35内に設けられた陰極電極33とから構成されている。そして、オゾン水製造装置4は、陽極側流路34に供給された原料水を電気分解して、陽極側流路34内において電解オゾン水を発生させる。なお、固体電解質膜31には、陽イオンを透過させるが陰イオンは透過させない性質を持つ陽イオン交換膜等が使用されている。
【0036】
また、陽極側送給経路8は、活性炭フィルター7を通過した原料水を陽極側流路34内に軟水器1を経由して送給する役割を果たす。また、陰極側送給経路9は、活性炭フィルター7を通過した原料水を陰極側流路35内に軟水器2及び陰イオン除去装置3を経由して送給する役割を果たす。また、流量調整弁10は、陽極側送給経路8への原料水の送給量を調整する役割を果たし、流量調整弁11は、陰極側送給経路9への原料水の送給量を調整する役割を果たす。
【0037】
次に、図1に基づいて本実施形態のオゾン水製造設備100の動作(本設備を用いたオゾン水製造方法)を説明する。
【0038】
まず、給水口5から、鉄分、シリカ、塩素、Ca2+及びMg2+等の陽イオン、SO2−、PO3−、NO等の陰イオン等を含む原料水を、オゾン水製造設備100に供給して、ミクロフィルター6及び活性炭フィルター7を経て、鉄分やシリカ、塩素等を除去する。
【0039】
次に、流量調整弁10・11を開ける。そして、原料水を、陽極側送給経路8を介してNa型陽イオン交換樹脂を充填した軟水器1に送給する。そして、軟水器1内のNa型陽イオン交換樹脂によって、原料水中のCa2+及びMg2+等の陽イオンをNaイオンとイオン交換した後、陽極側送給経路8を介してオゾン水製造装置4の陽極側流路34内へ送給する。そして、陽極側流路34内に送給された原料水が、電気分解されることにより、陽極側流路34からはオゾン水やNaイオンが、排出される。
【0040】
また、上記原料水が陽極側送給経路8に送給されるのと同時に、原料水を、陰極側送給経路9を介してNa型陽イオン交換樹脂を充填した軟水器2に送給する。そして、軟水器1と同様に、軟水器2内のNa型陽イオン交換樹脂によって、原料水中のCa2+及びMg2+等の陽イオンをNaイオンとイオン交換した後、陰極側送給経路9を介して陰イオン除去装置3に原料水を送給する。そして、陰イオン除去装置3内のCl型陰イオン交換樹脂によって、原料水中のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンをClイオンとイオン交換した後、陰極側送給経路9を介してオゾン水製造装置4の陰極側流路35内へ送給する。そして、陰極側流路35内に送給された原料水が、電気分解されることにより、陰極側流路35からはH2やNaClを含む水溶液やNaOHを含む水溶液が、排出される。
【0041】
ここで、軟水器1及び軟水器2内においては、下記の様な反応により、Ca2+イオン、Mg2+イオンがNaイオンと交換されて原料水中から除去される。
2R−SO Na + Ca2+→(R−SO Ca + 2Na
2R−SO Na + Mg2+→(R−SO Mg + 2Na
(R−SONaはNa型陽イオン交換樹脂を示す)
【0042】
上式中では、Na型イオン交換樹脂の1例としてスルホン酸基を交換基として持つ樹脂(R−SONa)を挙げたが、本発明に用いることができるNa型陽イオン交換樹脂は同様の機能を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
【0043】
なお、上記イオン交換により新たにNaイオンがCa2+イオン、Mg2+イオン等と置き換わるため、原料水の電気伝導率は保たれたままである。
【0044】
更に、陰イオン除去装置3内においては、下記の様な反応により、SO2−イオン、PO3−イオン、NOイオン等の陰イオンがClイオンと交換されて原料水中から除去される。
2R−N(CH) Cl + SO2−
→(R−N(CH)) SO + 2Cl
R−N(CH) Cl + NO
→R−N(CH) NO + Cl
(R−N(CH) ClはCl型陰イオン交換樹脂を示す)
【0045】
上式中では、Cl型イオン交換樹脂の1例としてR−N(CH) Clを挙げたが、本発明に用いることができるCl型陰イオン交換樹脂は同様の機能を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
【0046】
なお、上記イオン交換により新たにClイオンがSO2−イオン、PO3−イオン、NOイオン等と置き換わるため、原料水の電気伝導率は保たれたままである。
【0047】
ここで、図1に示すオゾン水製造設備100を用いて、軟水器1又は軟水器2の入り側での原料水と軟水器1又は軟水器2の出側での原料水と陰イオン除去装置3の出側での原料水中に含まれるMg2+イオン、Ca2+イオン、Cl-イオン、NOイオン、PO3−イオン及びSO2−イオンの量を調べた結果を図2に示す。なお、陽極側送給経路8への通水量は、3L/minであり、陰極側送給経路9への通水量は、0.7L/minである。また、オゾン水製造装置4で生成されるオゾン水の濃度は、10mg/Lである。
【0048】
図2に示すように、給水口5から送給された原料水は、軟水器1又は軟水器2を通したことによりMg2+イオンは、9.18mg/Lから<0.01mg/Lまで減少しており、Ca2+イオンは、13mg/Lから0.9mg/Lまで減少している。ただし、Ca2+イオンは、0.9mg/L残留していることになる。ここで、「<0.01mg/L」とは、0.01mg/Lより小の値を示す。
【0049】
また、給水口5から送給された原料水は、軟水器2及び陰イオン除去装置3を通したことによりNOイオンは、0.4mg/Lから<0.1mg/Lまで減少しており、PO3−イオンは、0.5mg/Lから<0.1mg/Lまで減少しており、SO2−イオンは、110mg/Lから<0.1mg/Lまで減少している。なお、Cl-イオンが、56mg/Lから150mg/Lまで増加しているのは、陰イオン除去装置3のCl型陰イオン交換樹脂によりイオン交換がなされて、原料水中にCl-イオンが放出されたためである。
【0050】
更に、時間経過に伴うオゾン水製造装置4での電解電流の値を従来のオゾン水を製造する装置(特許3269784号参照)と比較した結果を図3に示す。図3の実線Aは、本実施形態に係るオゾン水製造設備100におけるオゾン水製造装置4での電解電流(電流値)の変化を示している。また、図3の実線Bは、従来のオゾン水を製造する装置(特許3269784号参照)での電解電流(電流値)の変化を示している。なお、図3の横軸は、オゾン水製造装置4及び従来のオゾン水を製造する装置を運転開始させてからの経過時間を示している。また、縦軸は、オゾン水製造装置4及び従来のオゾン水を製造する装置での電解電流の値(電流値(A))を示している。ここで、電解電流の値(電流値(A))は、オゾン水濃度10mg/Lでオゾン水を生成するのに必要な値である。
【0051】
図3の実線Bが示すように、従来のものは、時間経過とともに電流値が上昇している。即ち、時間経過とともに、オゾン水濃度10mg/Lでオゾン水を生成するのに必要な電解電流値が増加しており、オゾン水生成能力が低下していることを示している。これは、原料水を陽イオン交換樹脂を備えた軟水器に通したとしても、原料水中には、微量のCa2+、Mg2+等の陽イオンが残留してしまい、長時間の運転に伴い、残留したCa2+、Mg2+等の陽イオンが陰極側のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンと結合し、陰極電極や固体電解質膜にCaSO、MgSO等の化合物を析出・付着させてしまうことによる。
【0052】
一方、図3の実線Aが示すように、本実施形態のオゾン水製造設備100によれば、時間が経過しても電流値には増加はなく、ほぼ安定した値を示している。即ち、時間経過とともに、オゾン水濃度10mg/Lでオゾン水を生成するのに必要な電解電流値が増加しておらず、オゾン水生成能力が安定していることを示している。これは、原料水を軟水器2に通した場合に原料水中に微量のCa2+、Mg2+等の陽イオンが残留していたとしても、陰イオン除去装置3において残留した陽イオンの結合対象となるSO2−、PO3−、NO等の陰イオンを除去することにより、陰極電極33や固体電解質膜31へのCaSO、MgSO等の化合物の析出・付着を防止しているためである。
【0053】
以上説明したように、オゾン水製造設備100によると、陰イオン除去装置3及び軟水器1・2によって陽イオン及び陰イオンが除去された原料水を電気分解してオゾン水を製造することができる。このため、たとえ陽イオンを除去した原料水中に微量の陽イオンが残留していたとしても、係る陽イオンの結合対象となる陰イオンを除去することで、オゾン水製造装置4内の陰極電極33への陽イオン及び陰イオンが結合した化合物の析出・付着を防止することができる。そして、化合物の析出・付着を防止することでオゾン水製造装置4の電気分解性能の低下を防ぎ、オゾン水の生成能力の低下を防ぐことができる。
【0054】
また、一般に、原料水中のイオン化物が減少すると、原料水の電気伝導率が下がり電気分解性能が低下する場合がある。そこで、上記オゾン水製造設備100によると、陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)と陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に吸着除去されるCa2+、Mg2+等の陽イオン(SO2−、PO3−、NO等の陰イオン)とが交換されることになる。このため、原料水中の陽イオン(陰イオン)を吸着除去したとしても、代わりに陽イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)に予め吸着された陽イオン(陰イオン)が原料水中に含まれるため、原料水中のイオン化物の減少を防ぐことができ、電気伝導率の低下を防ぐことができる。なお、陽イオン交換樹脂に予め吸着する陽イオンには、Na(塩型)などを用いてもよい。また、陰イオン交換樹脂に予め吸着する陰イオンには、Cl(塩型)などを用いてもよい。
【0055】
また、上記オゾン水製造設備100においては、陽イオン交換樹脂は、Na型陽イオン交換樹脂であって、陰イオン交換樹脂は、Cl型陰イオン交換樹脂である。この構成によると、Na型陽イオン交換樹脂により、原料水中のCa2+、Mg2+等の陽イオンとNaとをイオン交換し、Cl型陰イオン交換樹脂により、原料水中のSO2−、PO3−、NO等の陰イオンとClとをイオン交換して、原料水中のイオン物質を維持して電気伝導率の低下を防ぐことができる。また、イオン交換されて排出されるイオンが、それぞれ化合物化しにくく昜水溶性のNaとClであるため化合物が陰極電極33や固体電解質膜31に析出・付着しにくくすることができる。
【0056】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るオゾン水製造設備200を示すブロック図である。尚、以下の説明においては、上述の第1実施形態に係るオゾン水製造設備100と同一の構成部材については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0057】
軟水器1に充填されたNa型陽イオン交換樹脂及び陰イオン除去装置3に充填されたCl型陰イオン交換樹脂も長時間使用を続けると破過してしまうが、破過したNa型陽イオン交換樹脂及びCl型陰イオン交換樹脂に塩化ナトリウム水溶液を通すことにより再生する。そこで、NaCl水溶液を使用してNa型陽イオン交換樹脂を再生した後、その排液をCl型陰イオン交換樹脂の再生にも利用すれば、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液の有効利用が可能である。
【0058】
具体的には、図4に示すように、第1実施形態同様にオゾン水製造設備200は、軟水器1、陰イオン除去装置3、ミクロフィルター6、活性炭フィルター7、オゾン水製造装置4、陽極側流路34内に軟水器1を経由して原料水を送給する陽極側送給経路8、及び、陰極側流路35内に軟水器1及び陰イオン除去装置3を経由して原料水を送給する陰極側送給経路9を備えている。
【0059】
更に、第2実施形態におけるオゾン水製造設備200は、図4に示すように、NaCl水溶液を使用してNa型陽イオン交換樹脂を再生した後、その排液をCl型陰イオン交換樹脂の再生に利用する構成として、主に、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を貯留する塩化ナトリウム水溶液タンク201、NaCl水溶液を使用してNa型陽イオン交換樹脂を再生した後の排液を貯留する再生排液タンク202(塩化ナトリウム水溶液供給装置)とを加えたものとしている。
【0060】
また、オゾン水製造設備200は、塩化ナトリウム水溶液タンク201から軟水器1に塩化ナトリウム水溶液を送給する経路217と塩化ナトリウム水溶液を汲み上げるポンプ203、軟水器1と再生排液タンク202とを接続する経路214、排水経路204、給水口5と陰イオン除去装置3とを接続する経路205、排水経路206、再生排液タンク202と陰イオン除去装置3と接続する経路216、再生排液タンク202に貯留された排水を汲み上げるポンプ210、各経路の開閉を制御する電磁弁207・電磁弁209・流量調整弁211・三方電磁弁208・三方電磁弁215、各経路中の原料水または排水の逆流を防止する逆止弁212・213を備えている。なお、これらは、塩化ナトリウム水溶液供給装置として機能する。
【0061】
次に、図4に基づいて本実施形態のオゾン水製造設備200の動作(本設備を用いたオゾン水製造方法)を説明する。以下の説明では、軟水器1に充填されたNa型陽イオン交換樹脂及び陰イオン除去装置3に充填されたCl型陰イオン交換樹脂の再生工程を中心に説明する。
【0062】
まず、電磁弁207及び電磁弁209を閉じて、三方電磁弁208を排水経路204に通じた状態にする。この状態で、給水口5から送給される原料水によって軟水器1内が洗浄される(第1洗浄過程)。なお、洗浄に使用された原料水は、排水経路204から排水される。これにより、軟水器1に充填されたNa型陽イオン交換樹脂の再生過程に不要な不純物が除去される。
【0063】
次に、三方電磁弁208を経路214に通じた状態にする。この状態で、塩化ナトリウム水溶液タンク201に貯留された塩化ナトリウム水溶液をポンプ203によって軟水器1に送給する(Na型陽イオン交換樹脂の再生過程)。このとき、塩化ナトリウム水溶液がNa型陽イオン交換樹脂を通過する。
【0064】
これにより、下記の様な反応が生じて、Na型陽イオン交換樹脂が再生する。
(R−SO Ca+2NaCl
→2R−SO Na+Ca2++2Cl
(R−SO Mg+2NaCl
→2R−SO Na+Mg2++2Cl
【0065】
そして、上記のように塩化ナトリウム水溶液を使用してNa型陽イオン交換樹脂を再生した後、その排液(Clイオンを含有した排液)を再生排液タンク202に貯留する。なお、再生排液タンク202に所定量の排液が貯留されたところで、塩化ナトリウム水溶液タンク201から軟水器1への塩化ナトリウム水溶液の送給が止められる。
【0066】
次に、再び三方電磁弁208を排水経路204に通じた状態にする。この状態で、給水口5から送給される原料水によって軟水器1内が再び洗浄される(第2洗浄過程)。なお、洗浄に使用された原料水は、排水経路204から排水される。これにより、軟水器1内に残存した塩化ナトリウムが除去される。
【0067】
次に、電磁弁207を開けた状態にし、三方電磁弁208を閉めた状態にし、三方電磁弁215を排水経路206に通じた状態にする。この状態で、給水口5から経路205を経由して送給される原料水によって陰イオン除去装置3内が洗浄される(第3洗浄過程)。なお、洗浄に使用された原料水は、排水経路206から排水される。これにより、陰イオン除去装置3に充填されたCl型陰イオン交換樹脂の再生過程に不要な不純物が除去される。
【0068】
次に、電磁弁207を閉めた状態にする。この状態で、ポンプ210を使用して、再生排液タンク202に貯留された排液を経路216を経由して陰イオン除去装置3に送給する(Cl型陰イオン交換樹脂の再生過程)。このとき、Clイオンを含有した排液がCl型陰イオン交換樹脂を通過する。
【0069】
これにより、下記の様な反応が生じて、Cl型陰イオン交換樹脂が再生する。
(R−N(CH)) SO + 2Cl
→2R−N(CH) Cl + SO2−
R−N(CH) NO + Cl
→R−N(CH) Cl + NO
【0070】
そして、上記のようにClイオンを含有した排液を使用してCl型陰イオン交換樹脂を再生した後、Cl型陰イオン交換樹脂の再生に使用された排液は、排水経路206から排水される。なお、再生排液タンク202内の排液が所定量まで減ったところで、再生排液タンク202から陰イオン除去装置3への排液の送給が止められる。
【0071】
次に、再び電磁弁207を開けた状態にする。この状態で、給水口5から送給される原料水によって陰イオン除去装置3内が再び洗浄される(第4洗浄過程)。なお、洗浄に使用された原料水は、排水経路206から排水される。これにより、陰イオン除去装置3内に残存したClイオンを含有した排液が除去される。以上で軟水器1に充填されたNa型陽イオン交換樹脂及び陰イオン除去装置3に充填されたCl型陰イオン交換樹脂の再生工程が完了する。
【0072】
この後、電磁弁207、三方電磁弁208及び三方電磁弁215の排水経路206への経路は閉じた状態にされ、電磁弁209は開けた状態にされる。また、流量調整弁211は所定の開度に調整されたうえで開けた状態にされる。この状態で、ミクロフィルター6、活性炭フィルター7及び軟水器1を経由した原料水が、陽極側流路34内に送給され、ミクロフィルター6、活性炭フィルター7、軟水器1及び陰イオン除去装置3を経由した原料水が、陰極側流路35内に送給され、電気分解されることにより、陽極側流路34からはオゾン水が排出される。
【0073】
上記第2実施形態のオゾン水製造設備200によると、Na型陽イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のNaイオンによって再生され、Cl型陰イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のClイオンによって再生される。このため、Na型陽イオン交換樹脂及びCl型陰イオン交換樹脂の再生に必要な塩化ナトリウム水溶液を、軟水器1及び陰イオン除去装置3に、直列的に供給することができ、塩化ナトリウム水溶液の消費量の削減・効率化を図ることができる。また、オゾン水製造設備200から排出される排液量を少なくすることができる。また、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂の再生に、塩化ナトリウム水溶液を使うことで、異なる種類の溶液を使用せずにすみ、管理面でも簡易化することができる。
【0074】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0075】
例えば、第1実施形態では、2つの軟水器1・2を使用していたが、図5に示すように1つの軟水器102でオゾン水製造設備101を構成してもよい。この場合、軟水器102で陽イオンが除去された原料水が陽極側流路34及び陰イオン除去装置3を経由して陰極側流路35の双方へ送給されることになる。
【0076】
この場合、オゾン水製造設備101において、陰極側流路35内に原料水を送給する陰極側送給経路106に、軟水器102(陽イオン除去装置)及び陰イオン除去装置3が設けられており、陽極側流路34内に原料水を送給する陽極側送給経路105に、軟水器102が設けられているため、陰イオンの除去が、陰極側流路35内に供給される原料水についてのみ行われる。このため、陽極側流路34に供給される原料水には、陰イオンの除去を行わないので陰イオン除去装置3をコンパクトにすることができる。また、陰イオン除去装置3を通す原水量を陰極側流路35内での電気分解に必要な量に制限できるため、陰イオン除去装置3内に充填された陰イオン交換樹脂の寿命を長持ちさせることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、軟水器1・2(陽イオン除去装置)に陽イオン交換樹脂を使用し、陰イオン除去装置3には陰イオン交換樹脂を使用しているが、オゾン水製造装置4の陰極電極33に析出する化合物を生成する陽イオン及び陰イオンを除去するものであればよい。例えば、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜や、陽イオン又は陰イオンを吸着する金属や、除去する陽イオン又は陰イオンの大きさに対応した網目を持ったイオン除去フィルターなどが上げられる。
【符号の説明】
【0078】
1、2 軟水器
3 陰イオン除去装置
4 オゾン水製造装置
8 陽極側送給経路
9 陰極側送給経路
31 固体電解質膜
32 陽極電極
33 陰極電極
34 陽極側流路
35 陰極側流路
100、200 オゾン水製造設備
201 塩化ナトリウム水溶液タンク
202 再生排液タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料水中の陽イオンを除去する陽イオン除去装置と、
原料水中の陰イオンを除去する陰イオン除去装置と、
前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置によって陽イオン及び陰イオンが除去された前記原料水を電気分解してオゾン水を製造するオゾン水製造装置と、
を備えたことを特徴とするオゾン水製造設備。
【請求項2】
前記オゾン水製造装置は、
固体電解質膜と
前記固体電解質膜の一方に設けられた陽極側流路と
前記固体電解質膜の他方に設けられた陰極側流路と
前記陽極側流路内に設けられた陽極電極と
前記陰極側流路内に設けられた陰極電極と
を有し、
前記陰極側流路内に前記原料水を送給する陰極側送給経路に、前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置が設けられており、
前記陽極側流路内に前記原料水を送給する陽極側送給経路に、前記陽イオン除去装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水製造設備。
【請求項3】
前記陽イオン除去装置は、原料水中の陽イオンをイオン交換する陽イオン交換樹脂を有し、
前記陰イオン除去装置は、原料水中の陰イオンをイオン交換する陰イオン交換樹脂を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオゾン水製造設備。
【請求項4】
前記陽イオン交換樹脂は、Na型陽イオン交換樹脂であって、
前記陰イオン交換樹脂は、Cl型陰イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のオゾン水製造設備。
【請求項5】
塩化ナトリウム水溶液を貯留する塩化ナトリウム水溶液タンクと、
前記塩化ナトリウム水溶液タンクに貯留された前記塩化ナトリウム水溶液を前記陽イオン除去装置及び前記陰イオン除去装置の一方に供給し、その排液を他方に供給して、前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂を再生する塩化ナトリウム水溶液供給装置と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載のオゾン水製造設備。
【請求項6】
オゾン水製造装置で原料水を電気分解してオゾン水を製造するオゾン水製造方法において、
前記原料水を電気分解する前に、前記原料水中の陽イオンを除去する陽イオン除去過程、及び、前記原料水中の陰イオンを除去する陰イオン除去過程を含むことを特徴とするオゾン水製造方法。
【請求項7】
前記オゾン水製造装置は、固体電解質膜と、前記固体電解質膜の一方に設けられた陽極側流路と、前記固体電解質膜の他方に設けられた陰極側流路と、前記陽極側流路内に設けられた陽極電極と、前記陰極側流路内に設けられた陰極電極とを有し、
前記陰極側流路内において、前記陽イオン除去過程及び前記陰イオン除去過程で陽イオン及び陰イオンを除去した前記原料水を電気分解し、前記陽極側流路内において、前記陽イオン除去過程で陽イオンを除去した前記原料水を電気分解してオゾン水を製造することを特徴とする請求項6に記載のオゾン水製造方法。
【請求項8】
前記陽イオン除去過程において、陽イオン交換樹脂によって前記原料水中の陽イオンをイオン交換して除去し、
前記陰イオン除去過程において、陰イオン交換樹脂によって前記原料水中の陰イオンをイオン交換して除去することを特徴とする請求項6又は7に記載のオゾン水製造方法。
【請求項9】
前記陽イオン交換樹脂は、Na型陽イオン交換樹脂であって、
前記陰イオン交換樹脂は、Cl型陰イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のオゾン水製造方法。
【請求項10】
塩化ナトリウム水溶液を前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂の一方に供給し、その排液を他方に供給して、前記Na型陽イオン交換樹脂及び前記Cl型陰イオン交換樹脂を再生する再生過程を含むことを特徴とする請求項9に記載のオゾン水製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−209370(P2010−209370A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54095(P2009−54095)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】