説明

オゾン発生装置

【課題】ギャップ長が狭いオゾン発生器の外部電極管内に複数の内部電極管を、安定した接触力を保持して接触できるとともに、複数の内部電極管を容易にかつ信頼性高く組立てることが可能な、低コストのオゾン発生装置を提供することにある。
【解決手段】オゾンを発生するオゾン発生装置において、複数の内部電極管1を、直列に複数配設されて外周面が外部電極管15の内周面と対向して放電空間14を形成する内管3と、該複数の内管3の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒5と、内周部が連結棒5の外周に固定され外周部が内管3の内周面にそれぞれ当接され、かつ半径方向に変形可能な給電用部材9と、連結棒5に嵌挿され連結棒5の軸方向に移動させることによって給電用部材9を内管3の内周面に押し付ける押圧部材10,30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下水処理、パルプ漂白処理、殺菌処理などに用いられるオゾンを得るオゾン発生装置であって、外部電極管と、該外部電極管の内部に複数の内部電極管等を空間を形成して配設し、該空間に酸素を含むガスを供給して、これら外部電極管と内部電極管等との間の空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オゾン発生装置は、オゾンが有する殺菌・脱色・脱臭力を利用する目的で、水処理施設などの広い分野で使用されている。
図8はオゾンを生成するオゾン発生装置の一例を示す軸心に沿う断面構成図である。
図8において、オゾン発生器100は、ステンレス鋼等の導電材3の表面にガラスなどの誘電体層4をライニングした円筒管からなる内部電極管(高圧電極管)1と、該内部電極管1の外周側にギャップ形成材13によって形成される放電空間14を介して並行に設置され、耐オゾン性ステンレス鋼からなる管状の外部電極管(接地電極管)15等で構成されている。
外部電極管15の外側には、内部に冷却水16を流通させる筒状の水路形成体17が設けられている。外部電極管15及び水路形成体17の両端部は、カバー21a,21bによって覆われている。
【0003】
このように構成されたオゾン発生器100では、導電材3を備えた内部電極管(高圧電極管)1と外部電極管(接地電極管)15との間の放電空間14に原料ガス18を外部から供給し、両電極1,15間に交流電源19によって交流高電圧(例えば、周波数7000Hz、ピーク電圧11kVの高周波電圧)を印加すると、放電空間14に無声放電が発生し、オゾン20が生成されることになる。
ところで、オゾン発生器100は、そのコストを低減するために外部電極管あたりのオゾン発生量を高めることが要求されており、これに対応して、内部電極管1を複数連結して一つの外部電極管15の管に装着する手段が採られている。
【0004】
図9は、特許文献1(特許第3404405号公報)にて提供されているオゾン発生器の要部縦断面図である。図9において、内部電極管1は、オゾン発生器100の軸方向に沿って2個直列に連設されている。これら内部電極管1の中心部には長尺の連結棒5が貫通されており、該連結棒5によって内部電極管1が連結されている。かかるオゾン発生器100においては、放電空間14に原料ガス18を導入し、交流高電圧を外部電極管15及び連結棒5を介して内部電極管1に印加すると、放電空間14に無声放電が発生し、オゾン20が生成されることになる。
【0005】
また、図10は特許文献2(特開2003−146622号公報)にて提供されているオゾン発生器を示し、(A)は要部縦断面図、(B)は接続端子の側面図、(C)は接続端子の組付け要領を示す側面図である。図10において、オゾン発生器100の軸方向には2個の高圧電極管(内部電極管)1が配設され、これら高圧電極管(内部電極管)1の両端接続部には、プラグ27aとジャック27bとを嵌合してなる接続端子27が設けられ、該接続端子27によって高圧電極管(内部電極管)1が機械的かつ電気的に接続されている。なお、ここで18は原料ガス、20はオゾン発生器100にて生成されるオゾンを示している。
また、図11は、特許文献3(特公昭59-48761号公報)にて提供されている高圧電極管(内部電極管)1に外部電源を接続する手段であり、この接続手段では、ブラシ式の給電端子51の先端部に取り付けたブラシ52を高圧電極管(内部電極管)1の内周面1aに押圧して接触させることにより、給電端子51側と高圧電極管(内部電極管)1側とが電気的に接続されている。なお、ここで15は接地電極管(外部電極管)である。
【0006】
さらに、図12及び図13は従来のオゾン発生器の電極構造を示し、図12は基本的なオゾン発生器の電極の横断面図、図13は円筒電極型オゾン発生器の電極の横断面図である。
図12に示すオゾン発生器では、一対の平板電極(金属電極)81が対向して配置され、一方の平板電極81の片面側に絶縁層82が配置されており、平板電極81は、交流高電圧電源80と接続され、対向する平板電極81と絶縁層82とによって形成される放電空間83において無声放電が生じ、放電柱84が形成されるようになっている。かかるオゾン発生器では、放電空間83に酸素を含んだ原料ガス85を供給し、交流高電圧を平板電極81に印加すると、放電空間83の放電柱84により生じた電子と酸素分子が衝突し、酸素原子に解離後、解離していない酸素分子と結合し、オゾン化ガス86が生成されることになる。
【0007】
また、図13に示すオゾン発生器では、ガラスあるいはセラミックス等の絶縁・誘電体材料で構成された片面開放型管の絶縁管91の内面に、高圧電極とする導電性金属膜を形成した高圧電極管(内部電極管)92が配置され、該高圧電極管92の外側には、放電空間93となる一定空隙を保持したまま、絶縁管91を包み込むように接地電極管(外部電極管)94が配置されており、高圧電極管92内の給電電極95と接地電極管94は、交流高電圧電源90とそれぞれ接続され、放電空間93において無声放電が生じるようになっている。かかるオゾン発生器では、放電空間93内に酸素を含んだ原料ガス96を供給し、当該電極間に交流高電圧電源90により交流高電圧を供給して、両電極間に交流高電圧を印加すると、放電空間93内に無声放電(オゾンナイザ放電)が一様に生じ、オゾン化ガス97が生成されることになる。
【0008】
このように、図12と図13に示す電極構造は、基本的に平板と円筒体とを置き換える形式であり、図13では図12中の平板電極81を円筒の絶縁管91、高圧電極管92及び円筒の接地電極管94に置き換えた構成となっており、基本的に同等である。また、図中には明記されていないが、図12及び図13に示すオゾン発生器には、電極を冷却する装置が電極の片面、あるいは両面に付設され、電極を冷却するように構成されている。
なお、生成されたオゾン化ガス86,97は、上水原水、下水処理水等に直接注入され、殺菌、脱色、脱臭等の処理に用いられている。また、このようなオゾン化ガス86,97を水に溶解させ、医療機器や食品などの洗浄殺菌にも用いられている。
【特許文献1】特許第3404405号公報
【特許文献2】特開2003−146622号公報
【特許文献3】特公昭59-48761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14は、かかるオゾン発生器100において、放電空間14の高さ、すなわち図8に示されるギャップ長Tとオゾン発生濃度の関係を示すグラフである。かかるオゾン発生器100においては、図14に示すように、生成ガス中のオゾン濃度を高める(オゾンの高濃度化)ために、放電空間14の高さつまり前記ギャップ長Tを短くすることが必要である。このようにギャップ長Tを短くすることによって、ギャップ間の電界強度を高くし、放電空間14の電子のエネルギー分布を高くすることができ、オゾン濃度を高めることが可能となる。
【0010】
近年、処理水の増大などの理由から、オゾン発生量の増加が必要とされ、接地電極管(外部電極管)の1本当たりのオゾン発生量を多くするために、接地電極管内に長大の高圧電極管(内部電極管)を配置したり、あるいは複数本の高圧電極管(内部電極管)を配置して連結したりすることが行われている。
このうち、図8に示すオゾン発生器100においては、オゾン濃度を高め、オゾン発生量を増大させるために、上記のような放電空間14の短ギャップ化と内部電極管1の長大化とが進めてられている。しかしながら、放電ギャップ長Tが小さくなると、外部電極管15と内部電極管1との反りや曲がりを考慮すると、該内部電極管1と外部電極管15とが同心円筒状に形成されたオゾン発生器100では内部電極管1及び外部電極管15の製作に困難を伴い、製作コストが高くなって実用性に問題がある。
【0011】
一方、図9(特許文献1)や図10(特許文献2)に示すように、内部電極管(高圧電極管)1を複数連結して長尺化すると、ギャップ長Tを小さくした場合における上記のような製作の困難さは解決できるが、図9(特許文献1)の場合には、内部電極管(高圧電極管)1,1間の接触に不安定性があるため、内部電極管(高圧電極管)1,1を連結してもこのような接触の不安定性によって放電を形成しない可能性が出てくる。
また、図10(特許文献2)に示すように、2個の内部電極管(高圧電極管)1,1の両端接続部を接続端子27によって堅固に接続する手段では、接続部品コストが高くなるとともに、接続端子27を用いるために組み立て工数が多くなって、装置コストが上昇するという問題がある。
さらには、図11(特許文献3)に示すように、外部からの内部電極管(高圧電極管)1への給電をブラシ52を介して行う手段では、内部電極管(高圧電極管)1の内周面とブラシ52の先端との接触力が小さくなって、接触性が不安定性になることがある。
【0012】
また、図13に示すような片面開放型管の絶縁管91では、そのままの態様で2本の高圧電極管92を連結できないため、1本の接地電極管94の管内において左右対向配置した2本の高圧電極管92が組み込まれている。従って、所望のオゾン発生量を確保するには、高圧電極管92を長くする必要がある。しかしながら、高圧電極管92を長くすると、上記したように、管の曲がりが大きくなり、放電空間93のギャップを確保できず、オゾンの発生効率が低下するという問題がある。しかも、管の曲がりの精度を向上させるのに伴って、高圧電極管92の製作コストが上昇するとともに、絶縁管91の製作も困難となる。さらに、現状の片面開放型管の絶縁管91では、片面部を封止する必要から、ガラス管を用いた絶縁管91では加熱溶融により封止しているが、この方法は、加工による変形が大きくて、寸法精度の低下がある上に、これら加工が片面開放型管の製作コスト高を招くおそれがある。
【0013】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ギャップ長が狭いオゾン発生器の外部電極管内に複数の内部電極管を、安定した接触力を保持して接触できるとともに、複数の内部電極管を容易にかつ信頼性高く組立てることが可能な、低コストのオゾン発生装置を提供することにある。また、絶縁管の片面を熱加工封止することなく製作コストを低減させ、これら製作された複数の内部電極管を連結して、オゾン発生量を増大させ、オゾン発生を安定して維持することが可能なオゾン発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明は、外部電極管と、該外部電極管の内部に複数の内部電極管を空間を形成して配設し、前記空間に酸素を含むガスを供給して、前記外部電極管と前記内部電極管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する前記内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、内周部が前記連結棒の外周に固定されるとともに外周部が前記複数の内部電極管の内周面にそれぞれ当接され、かつ半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材と、前記連結棒に嵌挿され前記連結棒の軸方向に移動させることによって前記給電用部材を前記各内部電極管の内周面に押し付ける押圧部材とを備えている。
【0015】
この発明において、具体的には次の請求項2〜4のように構成するのが好ましい。
(1)前記給電用部材は、内端部を前記連結棒の外周に固定され、外端部を前記複数の内部電極管の内周面に当接されて前記内部電極管の周方向に複数配置された帯状材からなり、前記押圧部材はリング状に形成されて前記連結棒に嵌挿されるとともに、外周部を前記帯状材に当接可能に構成されており、前記リング状の押圧部材を前記連結棒の軸方向に移動させることによって前記押圧部材の外周面で前記帯状材からなる給電用部材を押し広げて前記給電用部材の内面を押圧し、前記給電用部材の外端部が前記内部電極管の内周面に圧接するように構成されている。
【0016】
(2)前記給電用部材は、前記複数の内部電極管内に前記連結棒に沿って1箇所または複数箇所設けられ、前記リング状の押圧部材を前記給電用部材と同数設けて該押圧部材を前記連結棒に沿って締結部材で締め込むことにより、前記給電用部材が前記内部電極管 の内周面に圧接するように構成されている。
【0017】
(3)前記複数の内部電極管の間には、前記リング状の押圧部材が前記各内部電極管のそれぞれに設けた前記各給電用部材に当接可能な状態で前記連結棒に半径方向に組み付けて対をなして設けられ、前記各内部電極管の軸方向対向面と前記対をなす押圧部材との間には、軸方向に弾力性を有するスペーサ部材が挿入されており、該スペーサ部材の挿入により互いに逆方向に前記対をなす押圧部材に軸方向力を生起して前記各押圧部材を介して前記各給電用部材が前記複数の内部電極管の内周面に圧接するように構成されている。
【0018】
また、請求項5の本発明は、前記オゾン発生装置において、直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、内周部が前記連結棒の外周に固定されて該固定部から半径方向外方に変形可能な弾性材からなり半径方向への変形により外周部が前記複数の内部電極管の内周面に所定圧力で圧接される給電用部材とを備えている。
【0019】
さらに、請求項6の本発明は、前記オゾン発生装置において、直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する前記内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、外周部が前記内部電極管 の内周に固定されて該固定部から半径方向内方に変形可能な弾性材からなり内周部に前記連結棒が挿通される給電用部材とを備え、該給電用部材の内周部への前記連結棒の挿通により、前記給電用部材の内周部を前記連結棒の外周面に所定圧力で圧接するように構成している。
なお、内部電極管が高圧電極管であり、外部電極管が接地電極管であっても、または、内部電極管が接地電極管で、外部電極管が高圧電極管であっても、いずれでもよく、特に限定されはない。
【0020】
また、請求項7の本発明は、両面が開口している円筒状の外部電極管と、該外部電極管の内部に空間を形成して同心円筒状に配設され、絶縁管の内側に位置して金属層で構成された高圧電極を有する内部電極管とを備え、前記空間に酸素を含むガスを供給しながら、交流高電圧を印加することにより前記外部電極管と前記絶縁管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、前記絶縁管が両面開口の円筒状体であり、前記絶縁管の内側に隔壁を設置することによって、前記内部電極管内を密閉するように構成している。
【0021】
この発明において、具体的には次の請求項8〜10のように構成するのが好ましい。
(1)前記絶縁管内の前記隔壁は、耐オゾン性樹脂を用いて開口部側が広がる凹形状に形成され、前記隔壁の底面部側は、前記内部電極管の中心部を貫通して設けた連結棒に固定されているとともに、前記隔壁の開口部側は、前記絶縁管の内面に密着して配置されている。
(2)前記絶縁管内の前記高圧電極に加わる電圧は、前記連結棒より供給されるように構成されている。
(3)前記内部電極管は、前記外部電極管の内側において直列に複数配設され、前記複数の内部電極管は、前記連結棒を介して互いに連結されている。
【発明の効果】
【0022】
1本の外部電極管内周の狭い放電空間ギャップ内に複数の内部電極管を、前記放電空間のギャップ長を適正に保持して直列に挿入するためには、内部電極管の連結態様をフレキシブルにすることと、フレキシブルにした場合に外部電源と内部電極管の電気的接続を安定的に保持することが必須要件である。前記内部電極管の連結態様がフレキシブルになされない場合は、内部電極管や外部電極管の曲がりなどによる形状公差のために、内部電極管を外部電極管の内周に挿入することが不能となる。
【0023】
然るに、請求項1〜4の本発明によれば、直列に複数配設されて外部電極管の内周面との間に放電空間を形成する内部電極管、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒、内周部が連結棒に固定されるとともに外周部が前記複数の内部電極管の内周面にそれぞれ当接された半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材とにより構成し、前記連結棒に嵌挿された押圧部材を軸方向に移動させることによって給電用部材の外周を前記各内部電極管の内周面に押し付ける構成としたので、半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材と、複数の内部電極管の間を軸方向に貫通して設けられた連結棒とを用いて、該給電用部材を内側から押し広げて、その外周を各内部電極管の内周面に強く押し付けることによって、前記複数の内部電極管の間が、フレキシブルな接続を維持しつつ電気的な接続を強固になし得ることができる。
【0024】
従って、本発明によれば、上記特許文献1のような高圧電極管(内部電極管)間における接触の不安定性や、上記特許文献3のような高圧電極管(内部電極管)の内周面とブラシの先端との接触力が小さいことによる接触の不安定性を解消でき、ギャップ長が狭い外部電極管(接地電極管)の内側に複数の内部電極管(高圧電極管)を容易に組立て、かつフレキシブルな接続を維持して電気的な接続を安定的に保持することができる。
また、本発明によれば、上記特許文献2における高圧電極管(内部電極管)の両端接続部を接続端子を用いて接続する手段で生ずるような、接続部品コストが高くなるとともに組み立て工数が多くなって装置コストが上昇するという問題を解消でき、複数の管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、内周部が連結棒に固定され外周部が複数の内部電極管の内周面に当接された弾性材からなる給電用部材と、前記連結棒に嵌挿され給電用部材の外周を各内部電極管の内周面に押し付ける押圧部材とを組合せるという、簡単で、かつ信頼性の高い組立てが容易な手段によって、上記したように電気的な接続を安定的になし得ることが可能となり、高信頼度のオゾン発生装置を得ることができる。
【0025】
さらに、請求項5の本発明によれば、複数の内部電極管と、内周部が軸方向に貫通した連結棒と、該連結棒の外周に固定され半径方向外方への変形により外周部が複数の内部電極管の内周面に所定圧力で圧接される給電用部材とにより、前記請求項1〜4の発明よりも簡単な構造で且つ部品点数の少ない構造で持って、複数の内部電極管の電気的な接続を安定的に行うことができる。そして、請求項6の本発明によれば、複数の内部電極管と、内周部が軸方向に貫通した連結棒と、外周部が内部電極管の内周に固定され半径方向内方への変形により内周部が連結棒の外周面に所定圧力で圧接される給電用部材とにより、請求項5の本発明と同様の効果が得られる。
【0026】
また、請求項7の本発明は、両面が開口している円筒状の外部電極管と、該外部電極管の内部に空間を形成して同心円筒状に配設され、絶縁管の内側に位置して金属層で構成された高圧電極を有する内部電極管とを備え、前記空間に酸素を含むガスを供給しながら、交流高電圧を印加することにより前記外部電極管と前記絶縁管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するものにおいて、前記絶縁管が両面開口の円筒状体であり、前記絶縁管の内側に隔壁を設置することによって、前記内部電極管内を密閉するように構成している。具体的には、請求項8〜10の発明のように、前記絶縁管内の前記隔壁は、耐オゾン性樹脂を用いて開口部側が広がる凹形状に形成され、前記隔壁の底面部側は、前記内部電極管の中心部を貫通して設けた連結棒に固定されているとともに、前記隔壁の開口部側は、前記絶縁管の内面に密着して配置され、前記絶縁管内の前記高圧電極に加わる電圧は、前記連結棒より供給されるように構成され、前記内部電極管は、前記外部電極管の内側において直列に複数配設され、前記複数の内部電極管は、前記連結棒を介して互いに連結されているので、管の片面側熱封止加工を必要とせず、連結した複数の内部電極管によって放電空間の面積を広くすることが可能となり、外部電極管1本当たりの高濃度オゾンの発生量を増大させ、かつ安定した濃度のオゾンを得ることができるとともに、製作コストを低減できる。
【0027】
すなわち、本発明では、両面開口の絶縁管の内側に設置した耐オゾン性樹脂の隔壁によって、片面部を封止する必要がないから、熱溶融により片面部を封止した管と比べて変形や曲がりが小さくなり、放電空間の精度を維持できるとともに、製作コストを低減させることができる。しかも、隔壁の開口部側の先端が絶縁管の内面に密着し、原料ガスの流入圧力及び放電空間での放電最適圧力(例えば、0.05〜0.2MPa)に耐えられる気密性が保たれるから、外部電極管と絶縁管との間の放電空間に原料ガスを流入させることができる。この気密性は、隔壁の広がり側の方向からの原料ガス圧に対して、特に効果が得られる。
また、本発明では、隔壁が連結棒及び内面に導電性の金属層を塗布した内部電極管と同電位であることから、隔壁及び管内面接触部では放電を生ぜず、放電によって隔壁などが損傷を受けることはない。従って、耐オゾン性樹脂で可塑性を示す絶縁材料であれば、隔壁の材料としていずれのものでも良い。
さらに、本発明では、連結棒によって1本の外部電極管内に複数本の内部電極管を挿入して連結することが可能であるから、放電空間の面積を広くすることができる。その結果、高濃度オゾンの発生量を増大させ、安定した濃度のオゾンを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係るオゾン発生装置について、その実施形態を詳細に説明する。
【0029】
図8は、本発明が適用されるオゾン発生器の軸心に沿う断面構成図である。本発明は、図8のように構成されたオゾン発生器100における内部電極管の改良に関するものであり、内部電極管1は長さ1m程度、径50〜100mm程度の円筒管がコストの点から実用に供されている。
【0030】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係るオゾン発生器における内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図であり、(A)は組立途中の状態、(B)は組立後の状態を示している。また、図2(A)は上記第1実施形態における図1(B)のZ部拡大図、図2(B)は図2(A)におけるA−A線断面図である。
【0031】
図1及び図2において、複数(本実施形態では2個)の内部電極管1,1は、オゾン発生器100の軸方向に沿って直列に2個(3個以上でもよい)配設されており、外周面が外部電極管15の内周面と対向配置されて放電空間14を形成する内管3、該内管3の中心部を軸方向に貫通して設けられたステンレス製の連結棒5(断面形状は円形、三角形や四角形などの多角形等、いずれでもよい)、内周部が連結棒5の外周に固定されるとともに外周部が各内管3の内周面にそれぞれ当接され、半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材9、連結棒5に嵌挿され、連結棒5の軸方向に移動させることによって給電用部材9を押し広げて各内管3の内周面に押し付ける押圧部材10,30等によって構成されている。
【0032】
上記内管3はステンレス管の表面に誘電体層4を被覆して構成されている。一方、給電用部材9は、各内管3内で、連結棒5に沿って2箇所(1箇所でも3箇所以上でもよい)互いに向かい合うように配設されている。また、給電用部材9は、半径方向に変形可能なばね特性を有するステンレス製帯状板等によって、略円錐型筒状体に構成されており、図2(A)、(B)に示すように、内周側を連結棒5の外周面に溶接、ろう付け等によって固定され、該固定部9aよりも外周側は自由端になっているとともに、円周方向には切り込み部12が散開しやすいように設けられている。
【0033】
上記2つの内部電極管1,1の接続部に位置する中央部には、第1の押圧部材10が設置されている。この押圧部材10は、連結棒5の軸方向に移動可能に嵌挿され、先端がテーパ状の押圧ピース10−1、該押圧ピース10−1を給電用部材9側に押し込むための固定ピース10−2,10−3等によって構成されている。これら固定ピース10−2,10−3の一側には、断面略U字状の嵌合溝10−2a,10−3aがそれぞれ刻設されている。しかも、固定ピース10−3は、フッ素樹脂等の耐オゾン材料からなり、軸方向に弾力性を有している。
また、2つの内部電極管1,1の外側両端部には、第2の押圧部材30が設置されている。この押圧部材30は、連結棒5の軸方向に移動可能に嵌挿され、先端がテーパ状で固定ピース10−2よりも細長い形状の押圧ピース11、該押圧ピース11を給電用部材9側に押し込むための押えピース(スペーサ部材)7等によって構成されている。
【0034】
かかる中央部に位置する第1の押圧部材10によって、中央側の2個の給電用部材9を内管3の内面に押し付けるには、先ず、2個の押圧ピース10−1を連結棒5の軸方向に移動可能に嵌挿して、図1(A)に示すように、そのテーパ状先端部を各給電用部材9の自由端部内側に当接させておく。
次いで、2個の固定ピース10−2を、嵌合溝10−2aを介して連結棒5に嵌め込むことにより、各押圧ピース10−1の背面側に設置する。そして、固定ピース10−3を、嵌合溝10−3aを介して連結棒5に嵌め込むことにより、連結棒5における2個の固定ピース10−2の間に設置する。
かかる固定ピース10−3の嵌め込みによる弾力により生起される軸方向力で各固定ピース10−2を介して2つの押圧ピース10−1,10−1が給電用部材9側に移動してこれら各押圧ピース10−1,10−1のテーパ状先端部が各給電用部材9の外周自由端部を外側に押し開き、外周自由端部が各内管3の内面に強固に押し付けられる。
その後、2つ割りの形状に形成されている円筒状のカバー管6で固定ピース10−3の外周を覆えば、中央部に位置する第1の押圧部材10が組み込まれることになる。
【0035】
このようにして、中央部に位置する第1の押圧部材10の組み込みが終了したら、内部電極管1,1の両端部側に位置する第2の押圧部材30を次の要領で組み込む。
先ず、押圧ピース11を連結棒5の軸方向に移動可能に嵌挿して、そのテーパ状先端部を各給電用部材9の自由端部内側に当接させてから図1(A)の矢印で示すように中央側に押し込む。すると、図1(B)で示すように、両端部側の押圧ピース11,11が中央側に移動して各押圧ピース11,11のテーパ状先端部が各給電用部材9の外周自由端部を外側に押し開き、外周自由端部が各内管3の内面に強固に押し付けられる。この状態で、連結棒5の両端部から、端部側にねじが形成されている押えピース7を嵌挿し、該押えピース7のねじにナット8を螺合させて、内部電極管1,1の両端部側からナット8をねじ込むことにより前記押圧ピース11,11を固定すれば、両端部に位置する第2の押圧部材30が組み込まれることになる。
【0036】
このように本発明の第1実施形態に係るオゾン発生装置は、複数(本実施形態では2個)の内部電極管1,1を、直列に複数(この例では2個)配設されて外部電極管15の内周面との間に放電空間14を形成する内管3、該複数の内管3の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒5、内周部が連結棒5に固定されるとともに外周部が複数の内管3の内周面にそれぞれ当接された半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材9とにより構成し、連結棒5に嵌挿された押圧部材10,30を軸方向に移動させることによって給電用部材9の外周を各内管3の内周面に押し付ける構成とされているので、半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材9と、複数の内部電極管1,1の間を軸方向に貫通して設けられた連結棒5とを用いて、該給電用部材9を内側から押し広げてその外周を各内管3の内周面に強く押し付けることによって、複数の内部電極管1,1の間が、フレキシブルな接続を維持しながら電気的な接続を強固に行うことができる。
【0037】
従って、かかる第1実施形態によれば、上記特許文献1のような高圧電極管(内部電極管)間における接触の不安定性や上記特許文献3のような高圧電極管(内部電極管)の内周面とブラシの先端との接触力が小さいことによる接触の不安定性を解消でき、ギャップ長T(図8参照)が狭い外部電極管15の内側に複数の内部電極管1を容易に組立て、かつフレキシブルな接続を維持して電気的な接続を安定的に保持することができる。
また、第1実施形態によれば、上記特許文献2における高圧電極管(内部電極管)の両端接続部を接続端子を用いて接続する手段のような、接続部品コストが高くなるとともに組み立て工数が多くなって装置コストが上昇するという問題を解消でき、複数の管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒5と、内周部が連結棒5に固定され外周部が複数の内管3の内周面に当接された弾性材からなる給電用部材9と、連結棒5に嵌挿され給電用部材9の外周を各内管3の内周面に押し付ける押圧部材10,30とを組合せるという簡単で、かつ信頼性の高い組立てが容易な手段により、電気的な接続を安定的になし得て高信頼度のオゾン発生器100を得ることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図3は本発明の第2実施形態に係る内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
この第2実施形態では、オゾン発生器100において、複数(本実施形態では2個)の内部電極管1,1が、直列に複数(本実施形態では2個)配設されて外周面が外部電極管15の内周面と対向配置されて放電空間14を形成する内管3と、該複数の内管3の中心部の貫通孔3a,3bを軸方向に貫通して設けられた連結棒5と、内周部が連結棒5の外周に固定されて該固定部9aから半径方向外方に変形可能な弾性材からなり、半径方向への変形により外周部が複数の内管3の内周面に所定圧力で圧接される給電用部材9とをそれぞれ備えている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示されている。
【0039】
かかる第2実施形態において、上記のように構成された複数2個の内部電極管1,1を、図3の左側の状態からY矢印で示す方向に移動させると、図3の右側のように、給電用部材9がその弾力によって半径方向外側に開いて、給電用部材9の外周部が内管3の内周面に所定圧力で圧接されることになる。
従って、本発明の第2実施形態によれば、内管3と、内周部が軸方向に貫通した連結棒5と、該連結棒5の外周に固定され半径方向外方への変形により外周部が複数の内管3の内周面に所定圧力で圧接される給電用部材9とにより、上記第1実施形態よりも簡単な構造でかつ部品点数の少ない構造で持って、複数の内部電極管1,1の電気的な接続を安定的に行うことができる。
【0040】
[第3実施形態]
図4は本発明の第3実施形態に係る内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
この第3実施形態では、オゾン発生器100において、複数(この例では2個)の内部電極管1,1が、直列に複数(本実施形態では2個)配設されて外周面が外部電極管15の内周面と対向配置されて放電空間14を形成する内管3と、該複数の内管3の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒5と、外周部が内管3の内周に固定されて該固定部9bから半径方向内方に変形可能な弾性材からなり、内周部に連結棒5が挿通される給電用部材9とを備え、該給電用部材9の内周部への連結棒5の挿通により給電用部材9の内周部が連結棒5の外周面に所定圧力で圧接されるように構成されている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示されている。
【0041】
かかる第3実施形態において、上記のように構成された複数2個の内部電極管1,1は、外周部が内管3の内周に固定された給電用部材9の内周に連結棒5をW矢印で示す方向に挿通させると、給電用部材9がその弾力によって半径方向内側に縮小して、給電用部材9の内周部が連結棒5の外周面に所定圧力で圧接されることになる。
従って、本発明の第3実施形態によれば、内管3と、内周部が軸方向に貫通した連結棒5と、該連結棒5の外周に固定され半径方向内方への変形により内周部が連結棒5の外周面に所定圧力で圧接される給電用部材9とにより、上記第1実施形態よりも簡単な構造でかつ部品点数の少ない構造で持って、複数の内部電極管1,1の電気的な接続を安定的に行うことができる。
【0042】
[第4実施形態]
図5は本発明の第4実施形態に係るオゾン発生器の軸心に沿う断面構成図、図6は図5のオゾン発生器の一部拡大図である。
この第4実施形態のオゾン発生器200は、図5及び図6に示すように、両面が開口している円筒状の外部電極管(接地電極管)51と、該外部電極管51の内部に空間を形成して同心円筒状に配設され、絶縁管52の内側に位置して金属層で構成された高圧電極を有する内部電極管(高圧電極管)53とを備えている。絶縁管52は、直管の両面開口の円筒状体によって構成されている。また、内部電極管53は、ガラス管やセラミックス管の内面にアルミニウム蒸着による被覆や銀、銅、ニッケル、アルミニウムを含む金属粉と溶剤及び結合材とを混合した導電性塗料を塗布して、乾燥及び焼付けにより被覆し、導電性の金属層を有して構成されている。内部電極管53の中心部には、高電圧を導入するためのステンレス製の連結棒(給電棒)54が貫通して設けられており、この連結棒54の外周には、雄ねじが切られ、締付ナット55が螺合するようになっている。外部電極管51及び連結棒54には、高電圧電源50が接続されている。また、外部電極管51の外周部には、当該外部電極管51を冷却する冷却部70が設けられている。
このような絶縁管52及び内部電極管53は、外部電極管51の内部に挿入され、絶縁管52の外周面と外部電極管51の内周面との間に放電空間56となるギャップを設けながら設置されており、放電空間56に酸素を含む原料ガス57を供給しながら、高電圧電源50より交流高電圧(正弦波のほか、パルス波やノコギリ波等でも可能)を印加することにより当該放電空間56に放電を生じせしめてオゾン化ガス58を発生するように構成されている。なお、内部電極管53の片側開口寄りの内部には、1個または複数個の給電電極59が設置されており、該給電電極59は、一対の締付ナット55aによって連結棒54に固定されている。
【0043】
上記絶縁管52の両面開口付近の内側には、隔壁60がそれぞれ設置されており、該隔壁60を設置することによって、内部電極管53内を密閉するように構成されている。このような隔壁60は、耐オゾン性で可塑性のあるフッ素樹脂のコーンを用いて開口部60a側が広がる凹形状に形成されている。また、隔壁60は、連結棒54及び内部電極管53と同電位になるように設定されており、隔壁60及び内部電極管53の接触部での放電は生ぜず、放電による損傷を受けない構造となっている。さらに、隔壁60の底面部60b側は、貫通孔61を介して内部電極管53の中心部の連結棒54に嵌入され、一対の締付ナット55の間に配置された状態で締付ナット55を締付けることにより連結棒54に固定されている。この連結棒54への締付けにより、隔壁60の開口部60a側は外方に向かって広がり、管内面の接触圧が加わって、絶縁管52の内面に密着して配置され、管内が封止さることになり、絶縁管52内への原料ガス57の流入が止められるように構成されている。特に、隔壁60の開口部60aが原料ガス57の流入側に臨んで配置されているため、コーンの広がり側の方向からの原料ガス57の圧力に対して加圧されることになり、これにより、絶縁管52の内面と隔壁60の開口部60aの先端接触点での密着性が良好となり、更に優れた気密性が得られることになる。
なお、本実施形態では、隔壁60の開口部60aの先端が絶縁管52の内面に接触しているが、気密性が保たれれば、これら接触点は、内部電極管53内の金属層の表面にあっても良い。また、隔壁60及び給電電極59の設置数は、本実施形態に限定されず、設置箇所も絶縁管52内であれば、その位置は任意に選択可能である。
【0044】
本発明の第4実施形態のオゾン発生器200では、所定の位置及び方向へ向けて隔壁60及び給電電極59が設置された絶縁管52及び内部電極管53を外部電極管51の内部に挿入し、絶縁管52の外周面と外部電極管51の内周面との間のギャップである放電空間56を0.2〜1mmに形成し、高電圧電源50より50〜5000Hzの正弦波の交流高電圧4〜15kVを印加すると、当該放電空間56に無声放電が生じることになる。そして、この放電空間56内に酸素または空気及び酸素を含む原料ガス57を流すことにより、放電空間56においてオゾン化ガス58が生成されることになる。
従って、本発明の第4実施形態によれば、絶縁管52及び内部電極管53が両面開口型の管であっても、絶縁管52内には隔壁60が気密性を保った状態で設置されて封止されているため、内部電極管53内に原料ガス57が流入することは無く、全て絶縁管52の外周面と外部電極管51の内周面との間の放電空間56に流れることになる。しかも、本実施形態の絶縁管52には、従来の片面部の封止による熱加工が不要となるため、熱による変形や管の曲がりが増大せず、寸法精度が高く、放電空間56のギャップ精度を維持でき、より長い管の使用が可能となり、オゾン発生器200の製造コストの低減化を図ることができる。
【0045】
[第5実施形態]
図7は本発明の第5実施形態に係るオゾン発生器の軸心に沿う断面構成図である。
この第5実施形態のオゾン発生器300では、図7に示すように、1本の外部電極管51の内側において直列に複数(本実施形態では3本)の絶縁管52及び内部電極管53が配設されており、これら内部電極管53は、各接続部71で結合する連結棒54を介して互いに連結されている。また、第5実施形態のオゾン発生器300では、複数本(本実施形態では4本)の外部電極管51が容器72内に多段に設置されており、大容量のオゾン発生器として構成されている。このため、容器72の一方側には、各段の連結棒54と接続する給電端子73が設けられているとともに、原料ガス57の流入口74が配設されている。容器72の他方側には、オゾン化ガス58の流出口75が配設されている。なお、高電圧電源50は、容器72及び給電端子73に接続されている。その他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
従って、かかる第5実施形態によれば、放電空間56における放電面積が大幅に増大することになるため、従来構造のオゾン発生装置に比べて、より高濃度、大容量でかつ安定した濃度のオゾン化ガス58を得ることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
特に、誘電体層4は、内部電極管1の外周面または外部電極管15の内周面のいずれか一方にライニングされていても、両方にライニングされていても良い。また、内部電極管が高圧電極管であり、外部電極管が接地電極管であっても、または、内部電極管が接地電極管で、外部電極管が高圧電極管であっても、いずれでもよく、特に限定されはない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係るオゾン発生器における内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図であり、(A)は組立途中の状態、(B)は組立後の状態を示している。
【図2】(A)は上記第1実施形態における図1(B)のZ部拡大図、(B)は(A)におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係るオゾン発生器の構成を示す断面図である。
【図6】図5におけるオゾン発生器の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るオゾン発生器の構成を示すものであって、複数の内部電極管を連結した構造の断面図である。
【図8】本発明が適用されるオゾン発生器の軸心に沿う断面構成図である。
【図9】従来の第1例に係るオゾン発生器における内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
【図10】従来の第2例に係るオゾン発生器を示し、(A)は要部縦断面図、(B)は接続端子の側面図、(C)は接続端子の組付け要領を示す側面図である。
【図11】従来の第3例に係るオゾン発生器における内部電極管の構成を示す軸心に沿う断面構成図である。
【図12】従来の第4例に係るオゾン発生器の構成を示す断面図である。
【図13】従来の第5例に係るオゾン発生器の構成を示す断面図である。
【図14】オゾン発生器において、放電空間のギャップ長とオゾン発生濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0048】
1 内部電極管
3 内管
4 誘電体層
5 連結棒
6 カバー管
7 押えピース(スペーサ部材)
8 ナット
9 給電用部材
10,30 押圧部材
10−1,11 押圧ピース
15 外部電極管
50 高電圧電源
51 外部電極管
52 絶縁管
53 内部電極管
54 連結棒
55 ナット
56 放電空間
57 原料ガス
58 オゾン化ガス
59 給電電極
60 隔壁
60a 開口部
60b 底面部
61 貫通孔
71 接続部
72 容器
100,200,300 オゾン発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極管と、該外部電極管の内部に複数の内部電極管を空間を形成して配設し、前記空間に酸素を含むガスを供給して、前記外部電極管と前記内部電極管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、
直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する前記内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、内周部が前記連結棒の外周に固定されるとともに外周部が前記複数の内部電極管の内周面にそれぞれ当接され、かつ半径方向に変形可能な弾性材からなる給電用部材と、前記連結棒に嵌挿され前記連結棒の軸方向に移動させることによって前記給電用部材を前記各内部電極管の内周面に押し付ける押圧部材とを備えたことを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
前記給電用部材は、内端部を前記連結棒の外周に固定され、外端部を前記複数の内部電極管の内周面に当接されて前記内部電極管の周方向に複数配置された帯状材からなり、前記押圧部材はリング状に形成されて前記連結棒に嵌挿されるとともに、外周部を前記帯状材に当接可能に構成されており、前記リング状の押圧部材を前記連結棒の軸方向に移動させることにより前記押圧部材の外周面で前記帯状材からなる給電用部材を押し広げて前記給電用部材の内面を押圧し、前記給電用部材の外端部が前記内部電極管の内周面に圧接するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記給電用部材は、前記複数の内部電極管内に前記連結棒に沿って1箇所または複数箇所設けられ、前記リング状の押圧部材を前記給電用部材と同数設けて該押圧部材を前記連結棒に沿って締結部材で締め込むことにより、前記給電用部材が前記内部電極管の内周面に圧接するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記複数の内部電極管の間には、前記リング状の押圧部材が前記各内部電極管のそれぞれに設けた前記各給電用部材に当接可能な状態で前記連結棒に半径方向に組み付けて対をなして設けられ、前記各内部電極管の軸方向対向面と前記対をなす押圧部材との間には、軸方向に弾力性を有するスペーサ部材が挿入されており、該スペーサ部材の挿入により互いに逆方向に前記対をなす押圧部材に軸方向力を生起して前記各押圧部材を介して前記各給電用部材が前記複数の内部電極管の内周面に圧接するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
外部電極管と、該外部電極管の内部に複数の内部電極管を空間を形成して配設し、前記空間に酸素を含むガスを供給して、前記外部電極管と前記内部電極管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、
直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する前記内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、内周部が前記連結棒の外周に固定されて該固定部から半径方向外方に変形可能な弾性材からなり半径方向への変形により外周部が前記複数の内部電極管の内周面に所定圧力で圧接される給電用部材とを備えたことを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項6】
外部電極管と、該外部電極管の内部に複数の内部電極管を空間を形成して配設し、前記空間に酸素を含むガスを供給して、前記外部電極管と前記内部電極管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、
直列に複数配設されて外周面が前記外部電極管の内周面と対向して放電空間を形成する前記内部電極管と、該複数の内部電極管の中心部を軸方向に貫通して設けられた連結棒と、外周部が前記内部電極管の内周に固定されて該固定部から半径方向内方に変形可能な弾性材からなり内周部に前記連結棒が挿通される給電用部材とを備え、該給電用部材の内周部への前記連結棒の挿通により、前記給電用部材の内周部を前記連結棒の外周面に所定圧力で圧接するように構成したことを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項7】
両面が開口している円筒状の外部電極管と、該外部電極管の内部に空間を形成して同心円筒状に配設され、絶縁管の内側に位置して金属層で構成された高圧電極を有する内部電極管とを備え、前記空間に酸素を含むガスを供給しながら、交流高電圧を印加することにより前記外部電極管と前記絶縁管との間の前記空間に放電を生じせしめてオゾンを発生するオゾン発生装置において、
前記絶縁管が両面開口の円筒状体であり、前記絶縁管の内側に隔壁を設置することによって、前記内部電極管内を密閉するように構成したことを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項8】
前記絶縁管内の前記隔壁は、耐オゾン性樹脂を用いて開口部側が広がる凹形状に形成され、前記隔壁の底面部側は、前記内部電極管の中心部を貫通して設けた連結棒に固定されているとともに、前記隔壁の開口部側は、前記絶縁管の内面に密着して配置されていることを特徴とする請求項7に記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記絶縁管内の前記高圧電極に加わる電圧は、前記連結棒より供給されるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
前記内部電極管は、前記外部電極管の内側において直列に複数配設され、前記複数の内部電極管は、前記連結棒を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項7に記載のオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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