説明

オピオイドおよびオピオイド誘導体の高濃度製剤

本発明は、被験体に長期間送達するのに適したオピオイド製剤を与える。本発明の製剤は、オピオイドもしくはオピオイド誘導体(たとえば、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体)、および水性溶媒を含んでなり、この水性溶媒は低分子量カルボン酸(たとえば、C2-4, C2-7)を含んでなる。本発明はこうして、従来の水性製剤をはるかに超える(たとえば現在市販されている製剤のような従来の製剤よりも、およそ2倍程度からおよそ10,000倍程度まで高い)濃度の、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を含んでなる製剤を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国出願第10/305,252号、出願日2002年11月25日、の利益を主張するものであり、この出願の内容は参考としてその全体を本明細書に含めるものとする。
【0002】
本発明は、痛みを緩和するオピオイドの高濃度水溶液製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
アヘン、ヘロインおよびモルヒネを含めたさまざまの形のオピエートは、アヘンの採れるケシに由来するが、これらは強力な鎮痛作用を有し、麻酔ならびに痛みの治療のために、特に痛みが非常に激しい場合に広範に使用されている。これらの天然オピオイドに加えて、その後多数の合成オピオイドが、ヒドロモルホン、フェンタニルおよびフェンタニル同族体、たとえば、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カーフェンタニル、レミフェンタニルなどを含めて、合成されているが、これらはモルヒネより何倍も強力である。
【0004】
もっとも一般的に使用される投与形態は経口投与されるモルヒネであるが、オピオイドは静脈注射(たとえば、Scholz et al. (1996) Clin. Pharmacokinet. 31:275-92; White (1989) Anesth. Analg. 68:161-171を参照されたい)、経口投与(たとえば、米国特許第4,769,372号、第5,202,128号および第5,378,474号を参照されたい)、硬膜外およびくも膜下投与(たとえば、Vercauteren et al. (1998) Anaesthesia 53:1022-7; Stephens (1997) Am. Fam. Physician 56:463-70を参照されたい)、経皮塗布(たとえば、経皮貼付を使用する(たとえば、米国特許第4,588,580号を参照されたい))、または皮下注射(たとえば、Paix et al. (1995) Pain 63:263-9; Bruera et al. (1988) Cancer 62:407-11; Moulin et al. (1992) Can. Med. Assoc. J. 146:891-7を参照されたい)によっても送達することができる。総説については、たとえば、Clotz et al. (1991) Clin. Pharm. 10:581-93; and Anderson et al. (1998) J. Pharm. Care Pain Symptom Control 6:5-21を参照されたい。
【0005】
残念ながら、経口投与にはいくつかの欠点がある。多くの、病状の極めて重い患者は、嚥下不能、もしくは胃腸の閉塞といった、さまざまな理由により、もはや経口で薬物を摂取することができない。その上、長期にわたる経口投与は、不十分な服薬遵守に一般的に関連した投与計画である、一日に何回も多数の丸剤または錠剤を摂取することを必要とする場合が多い。前記および他の理由により、オピオイドの非経口投与は、経口投与の好ましい代替法であるといえる。
【0006】
オピオイドの非経口投与もまた、いくつかの難題に遭遇する。多くの患者、特に慢性疼痛もしくは慢性病を有する患者は、たとえば、何日も、何ヶ月も、何年も、さらに時には患者の一生の間、オピオイドによる長期間の治療を必要とし、したがって長い間に投与される大量の薬物を必要とする。また、激しい痛みのある多くの患者は、痛みをコントロールするために高用量のオピオイドを必要とし、多くの場合、基礎疾患の病状の進行、またはオピオイドに対する耐性の発現に起因して必要量が増大する。さらに、使いやすい、長期間の、または高用量の疼痛治療を与えるために、オピオイドを持続的に、しかも長期間、投与する必要があると考えられる。満足な利便性および移動性を患者に提供するために、ドラッグデリバリー装置は大きさに限度があるはずであり、その大きさが、言い換えれば、装置のリザーバーに入れることができる薬剤量を制限する。従来のオピオイド製剤を用いて長期間オピオイドを投与する場合、ポンプの薬物リザーバーの大きさが限定されているために、装置の詰め替え、または新規充填済み装置との交換が頻繁に必要となる。不便であることに加えて、埋め込まれた薬物送達装置の詰め替えおよび/または交換は熟練した医療従事者の注意を要求し、起こるかもしれない感染に患者をさらすこともありうる。
【0007】
容器の大きさによって強いられる制限に加えて、薬剤が注入される組織の吸収能力によって、吸収される薬剤の量が制限される可能性がある。たとえば、皮下組織の吸収能力は概して1時間に最大で10 mlである(たとえば、Andersonら、上記、を参照されたい)。その上、特定の組織中に大量の液体を注入することは、組織の水腫を引き起こし、それは患者に不快感を引き起こす。
【0008】
現在利用可能な市販のオピオイド製剤は、希薄すぎて、痛みのコントロールのために長期間の治療または高用量の薬物を必要とする患者の要求にこたえられない。たとえば、塩酸ヒドロモルホン(Dilaudid(登録商標))は10 mg/ml、クエン酸スフェンタニル(Sufenta(登録商標))は50 μg/ml、硫酸モルヒネは20 mg/ml、クエン酸フェンタニル(Sublimaze(登録商標))は20μg/ml、および塩酸アルフェンタニルは500gm/mlの濃度の水溶液として現在入手可能である(全般的には、Physician’s Desk Reference, Thomson Healthcare, Montvale, NJ, (2001) 821, 826, 828, 830, 831, 1193 および 1619ページを参照されたい)。米国特許第6,113,937号は、中鎖トリグリセリドとともに、1:1の比率でスフェンタニルと組み合わせた、8から22個の炭素原子を持つカルボン酸(たとえばステアリン酸)から構成される、筋肉内投与に適したスフェンタニル製剤を記載する。しかしながら、製剤中の公開されたスフェンタニル濃度は、0.1から1mg/mlの範囲である。
【0009】
前記の理由により当業界において、使いやすい長期間の送達、または高用量の送達を可能にするが、物理的および化学的には長期間にわたって安定であって、しかも非経口用途に安全であるような、もっと高濃度のオピオイドおよびオピオイド誘導体製剤の必要性があることは明白である。本発明はこの必要性に取り組み、関連する利点も提供する。
【0010】
文献
米国特許第6,113,937号は、中鎖トリグリセリドとともに、1:1の比率でスフェンタニルと組み合わせた、8から22個の炭素原子を持つカルボン酸(たとえばステアリン酸)から構成される、筋肉内投与に適したスフェンタニル製剤を記載する。製剤中の公開されたスフェンタニル濃度は、0.1から1mg/mlの範囲である。
【0011】
Fudin et al. Am J Hospice Pallitave Care 2000 17:347-353は、5%グルコース水溶液中のヒドロモルホン濃度が10mg/mlから100mg/mlまで、ならびに0.9%規定食塩溶液中のヒドロモルホン濃度が10mg/mlから100mg/mlまでのヒドロモルホン製剤を記載する。
【0012】
Wagner et al. Can Pharmakinet 1997 33:426-53は、気持ちの動揺した重症患者の治療における鎮静薬および鎮痛薬の薬物動態学および薬力学を記載する。Willens et al. Heart Lung 1993 22:239-52は、フェンタニル、スフェンタニルおよびアルフェンタニルの薬力学、薬物動態学、および臨床使用を記載する。
【0013】
発明の概要
本発明は、被験体への長期送達に適したオピオイド製剤を提供する。本発明の製剤は、オピオイドもしくはオピオイド誘導体(たとえば、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルまたはフェンタニル同族体)、およびカルボン酸、特に低分子量カルボン酸(たとえばC2-7, C2-4)を包含する水性溶媒を含んでなる。したがって、本発明は、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を、従来の水溶液製剤を著しく上回る濃度、たとえば、現在市販されている製剤のような従来の製剤のおよそ2倍程度から10,000倍程度までの高濃度で含んでなる製剤を提供する。
【0014】
本発明の製剤の高い濃度は、高用量送達または長期送達に特に有用であって、たとえば薬物送達装置のリザーバーから、たとえば数時間、数週間、数ヶ月もしくは数年もの期間にわたって送達するのに役立つ。長期送達は、さまざまな外部装置もしくは埋込型装置を用いて達成することができる。本発明の製剤は、一般に、大気温度(たとえば室温)、体温、または大気温度と体温の両方で流動性を有する。
【0015】
本発明はさらに、本発明の製剤を含んでなる徐放性投与形態を提供する。この投与形態は、たとえば、外部、一部埋込型、または全体(完全)埋込型装置(たとえば、インプラントまたはポンプ)とすることができるが、これらの装置はたとえば、薬物拡散システム、ポンプ(たとえば、電気機械ポンプ、電気化学ポンプ、浸透圧ポンプ、蒸気圧ポンプ、電気分解ポンプ、発泡ポンプ、圧電ポンプなど)、電気拡散システム、電気浸透システムなどを基にすることができる。ある実施形態において、徐放性投与形態は、放出制御投与形態である。
【0016】
本発明はさらに、患者の痛みを治療する方法を提供するが、その方法は薬物送達装置から、本発明のオピオイドもしくはオピオイド誘導体(たとえば、モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体)製剤を、痛みの除去または予防を必要とする患者に送達することを含んでなる。製剤の送達は、一般に、予め選択された投与期間にわたって持続するが、その期間は数時間から、1〜数週間まで、1〜数ヶ月まで、1年以上にまでに及ぶ。
【0017】
本発明の第1の利点は、少量の水性カルボン酸溶媒中で薬物を溶解可能にすることによって、非常に強力で、しかも濃縮されたオピオイド製剤を得ることができることである。本発明の製剤は、送達装置が比較的小さい場合(たとえば、埋込型システム)、送達が比較的長期間持続して必要とされる場合、または望ましい治療効果を達成するために高い有効用量の薬物が必要とされる場合に、特に有用である。したがって、長期間(数日、数週間、数ヶ月など)にわたって一貫した量の薬物を、送達装置の詰め替えもしくは交換の必要なしに送達することが可能であり、それによって感染および組織の損傷の危険性が低下し、患者の服薬遵守が高まり、一貫した正確な投与が達成される。
【0018】
本発明の製剤のもう一つの利点は、高濃度のオピオイドもしくはオピオイド誘導体(たとえば、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体、ヒドロモルホンなど)が薬物の実質的な沈澱なしに得られることである。
【0019】
本発明の製剤のもう一つの重要な利点は、ごく少ない容量の製剤(たとえば、1日あたりおよそ数μl程度または数nl程度)を使用するだけで、治療に必要な量の薬物を(たとえ高用量であっても)患者に送達することができることである。特定の体内組織、たとえば、皮下スペース、において、少量の送達は、局所組織により薬物がいっそう多く吸収されることを促し、局所組織の障害、損傷または水腫を最小限とする。上記の、および他の、本発明の目的、利点および特徴は、以下にさらに十分に記載される本発明の詳細を読めば当業者に明白となるであろう。
【0020】
本発明を説明する前に理解されるべきことは、本発明が、記載された特定の実施形態に限定されないということであり、それは、そうした実施形態が当然変化する可能性があるためである。また、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ限定されると考えられるので、本明細書で使用される用語法は特定の実施形態の説明のみを目的とし限定を意図しないことも理解されるべきである。
【0021】
別に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明の属する分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施もしくは試行において、本明細書の記載と類似した、もしくは等価な、いかなる方法および材料を使用することも可能であるが、好ましい方法および材料はここに記載される。本明細書で言及されたあらゆる出版物は、その出版物を引用した関連する方法および/または材料を開示して説明するために、参考として本明細書に含めるものとする。
【0022】
本明細書および添付の請求の範囲で使用されるように、単数形の”a”, “and”,および”the”は、文脈上はっきりと別なものとして指示されない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなくてはならない。したがって、たとえば、「製剤(”a formulation”)」への言及は、複数のそのような製剤を包含し、「フェンタニル同族体(”the fentanyl congener”)」への言及は、1つまたは複数のフェンタニル同族体、および当業者に周知のその等価物、等々への言及を包含する。
【0023】
本明細書で論じられる出版物は、本願出願日に先だって、それらの開示のためにのみ提示される。本明細書においては何であれ、本発明が先行発明の効力により、そうした出版物に先行する資格がないということを承認したと解釈されるべきではない。さらに、提示された出版の日付は、実際の出版日と異なる可能性があり、それは別個に確認する必要があるだろう。
【0024】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で相互に置き換えて使用することのできる「薬物」および「治療薬」という用語は、概して、オピオイドおよびオピオイド誘導体、特にモルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体(たとえば、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル(trefentanil)およびミルフェンタニル(mirfentanil))、ならびにこれらの化合物の1つまたは複数を含んでなる製剤を指示するように意図されている。「薬物」の使用または、たとえば、「フェンタニルもしくはフェンタニル同族体」という言いまわしは、前記の選択されたオピオイド化合物のうち1つのみの使用、または1つのみを含んでなる製剤に限定されることを意図しない。
【0025】
「オピオイド」および「オピオイド誘導体」という用語は、モルヒネ関連化合物を指示するために使用され、天然化合物(コデイン、モルヒネ)および合成化合物(フェンタニル、スフェンタニル)をいずれも包含する。「オピオイド誘導体」はまた、モルヒネ様活性を持つアゴニストおよびアンタゴニストにも適用する。
【0026】
「フェンタニル同族体」で使われるような「同族体」という用語は、概して、その化合物の誘導体のような、他の化合物に関連する化合物を指示する。たとえば、「フェンタニル同族体」は、スフェンタニル、アルフェンタニル、カルフェンタニルなどといったフェンタニルの誘導体を包含する。
【0027】
本明細書で使用される場合、特に他に定めない限り、「カルボン酸」という用語は、任意の適当なカルボン酸を表し、通常はモノカルボン酸、ジカルボン酸、もしくはトリカルボン酸を指すが、より普通にはモノカルボン酸もしくはジカルボン酸であり、標準的にはモノカルボン酸を指す。「低分子量カルボン酸」は、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満の炭素原子を有するカルボン酸を指すように意図されるが、通常およそ2から7個まで、およそ2から6個まで、およそ2から5個までであり、標準的には約2から4個までの炭素原子を有するカルボン酸を指すよう意図される。
【0028】
本発明の化合物において「製薬上許容される塩」および「それらの塩」は、酸付加塩および塩基付加塩を表す。
【0029】
「担体」という用語は、本発明で使用される場合、薬物のために賦形剤として使用される実質的に不活性な材料を意味する。
【0030】
「溶媒」という用語は、本発明で使用される場合、流動性を有する組成物を包含するが、これは通常液体であって、たとえば沈澱しないように薬物の溶解性を高めている。溶媒は、ある場合には担体としても機能しうる。流動性を有する溶媒は、大気温度(たとえば室温)、体温、またはその両方で流動性を有する溶媒を包含する。
【0031】
「製剤」という用語は、本発明で使用される場合、薬物を一成分として有する組成物を表す。たとえば、本発明の典型的な製剤は、スフェンタニル、酢酸および水を含んでなる。
【0032】
「被験体」という用語は、あらゆる被験体、一般的には疼痛管理を必要とする哺乳動物(たとえば、ヒト、霊長類、イヌ科、ネコ科、ウマ科、ウシ亜科の動物)を意味する。
【0033】
「治療上有効な量」という用語は、望ましい治療効果を容易とするのに有効な治療薬の量、または治療薬の送達速度を意味する。正確な、望ましい治療効果(たとえば、鎮痛の程度、および軽減された痛みの原因)は、治療すべき状態、投与すべき製剤、および当業者に十分認識されるさまざまな他の要因に応じて変化すると考えられる。一般に、本発明の方法は、さまざまな特定可能、もしくは特定不可能な原因に付随して起こりうる、痛みに苦しむ被験体において、痛みを抑制もしくは緩和することに関わるものである。
【0034】
「疼痛管理」という用語は、概して、主観的基準、客観的基準、またはその両方から判断して被験体がもっと快適となるように、急性および慢性疼痛を含めた痛みを後退させ、抑制し、もしくは緩和することを述べるために本明細書で使用される。一般に、痛みは、医療専門家が患者の年齢、文化的背景、環境、および、痛みに対する人の主観的反応を変えることが知られている、他の心理的背景要因を考慮しつつ、患者の報告によって主観的に評価される。
【0035】
「送達部位」は、本明細書で使用される場合、薬物が送達される身体の領域を指すものとする。こうした送達部位は、静脈内、髄腔内(たとえば、硬膜外、硬膜下、またはくも膜下)、大脳内、経皮、リンパ管内、脂肪内(たとえば、脂肪組織内)、皮内、経皮、または皮下の送達部位などを包含するが必ずしもそれらに限定されない。典型的な皮下送達部位には、外部皮下部位(腕、肩、首、背中、または脚の皮膚の下)および体腔内(たとえば、口腔内)の内部皮下部位がある。
【0036】
「パターン化された」もしくは「時間的」は、薬物送達の文脈で使用される場合、あるパターン、一般的にはほぼ規則的なパターンで、予め選択された期間(たとえば、迅速投与と関連した期間以外)にわたって薬物送達することを意味する。「パターン化された」または「時間的」薬物送達は、速度もしくは速度範囲(たとえば、単位時間あたりの薬物量、または単位時間あたりの薬物製剤の容量)が増加する、減少する、ほぼ一定である、またはパルス型である薬物送達を包含するものとし、さらに、持続的もしくは実質的に持続的である、または長期にわたる送達を包含する。
【0037】
「薬物放出制御装置」または「放出制御投与形態」という用語は、薬物またはそれに含まれる他の望ましい物質の放出速度(たとえば、放出時の速度)が装置もしくは投与形態それ自体によって制御されるが使用環境によっては実質的に制御されない、何らかの装置であって、本発明における使用に適合させることができる前記装置、たとえば体内の部位への治療上有効な量の薬物の送達を達成するのに適した速度で、薬物の放出制御を与える投与形態を包含することを意味している。「装置」および「投与形態」という用語は、概して本明細書では相互に交換して使用することができる。
【0038】
「徐放性投与形態」という用語は、(たとえば、注射もしくは経口投与による)迅速投与時のように一時ではなく、予め選択された期間にわたって薬物製剤(たとえば、オピオイド)を放出するのに適合した薬物投与形態を指示するものとする。徐放性投与形態は、薬物の制御された放出またはパターン化された放出を行うことができる投与形態を包含することができる。
【0039】
「埋め込みに適した投与形態」は、被験体内の部位、一般に被験体内の腸管外部位(たとえば、皮下部位、筋肉内部位など)、に導入して保持するのに適した何らかの投与形態を意味するよう意図されている。
【0040】
「痛みの治療」の場合のように「治療」は、本明細書において、痛みの激しさ、および/または強さの軽減をいずれも包含して使用され、疼痛および/または疼痛症状の部分的または完全な除去を与える。完全に、または部分的に痛みの激しさを抑え、または軽減するという観点から、その効果は予防的であるといえる。
【0041】
概要
本発明は、低分子量カルボン酸を含んでなる水性溶媒を使用すると、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルおよびその同族体といった、オピオイドおよびオピオイド誘導体を高濃度に製剤することができるという発見に基づいている。
【0042】
溶媒としてカルボン酸を使用して高濃度オピオイド標品を作製することは、予想外の結果であって、なぜならば、一般にオピオイドは水溶液製剤において比較的低い溶解度を有するためである。この溶解度が低いという問題のために、オピオイド製剤の濃度を高めることに向けての以前の試みは、非水性製剤、特にアルコール溶媒に重点を置いてきた。本発明の製剤は、カルボン酸および水とともに調製されたオピオイドを含んでなり、およそ400-600 mg/ml以上の終濃度を与えるが、言い方を変えると、カルボン酸の薬物に対するモル比が0.5〜1.5より大であり、それは使用される薬物および製剤によって決まる。
【0043】
本発明は、何らかの望ましいオピオイドもしくはオピオイド誘導体の製剤を与えるが、ヒドロモルホン、フェンタニル、およびフェンタニル同族体は特に重要である。これらの製剤は一般に次のような特徴を有する:(1)市販の製剤よりおよそ2から10,000倍高い濃度を有する;ならびに(2)体温でも良好な安定性を示す。
【0044】
当該製剤が安定である(すなわち、体温で、容認できない量にまで分解されにくい)ならば、オピオイドもしくはオピオイド誘導体は、非経口送達に適したさまざまな製剤のうちいかなる製剤としても与えられる。製剤の濃度は、約0.1重量%から約50ないし75重量%まで変化しうる。薬物は、薬物送達装置によって運ばれ、非経口で全身に分布するよう放出されるのに適した、いかなる形態としても与えられるが、一般に、大気温度(室温)で、体温で、または大気温度と体温の両方で、流動性のある製剤、たとえばゲル、液体、懸濁液、乳濁液などである。
【0045】
モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体は、概して製剤に溶解性であって、沈澱は、概してほとんどない、検出できない、またはまったく存在しない。さらに、好ましい実施形態において、製剤を、体液のような水性環境と接触させたとき、有意な量(たとえば、薬物製剤の治療効果に有意な影響を及ぼすと考えられる量)の薬物の沈澱は存在しない。ある実施形態において、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、もしくはフェンタニル同族体の沈澱が少しでも存在するならば、その沈澱は、重量比で、製剤中の全薬物の約10%より少量、約7.5%より少量、約5%より少量、約2.5%より少量、約1%より少量、または約0.1%より少量、製剤中に存在する。沈澱が生じているかどうかは、当業界で既知のいかなる方法によっても判定することが可能であり、その方法は肉眼による、または低倍率(たとえば、10倍ないし25倍)での外観検査を包含するがそれらに限定されない。
【0046】
本発明の有用な製剤は、不活性成分および/または他の活性成分を(たとえば、オピオイドもしくはオピオイド誘導体に加えて)含んでなることができる。
【0047】
カルボン酸溶媒
全身送達に適した、医薬品グレードの有機もしくは無機担体および/または希釈剤を、本発明の送達に適した製剤に含めることができる。このような生理学的に許容される担体は、当業界においてよく知られている。本発明にしたがって使用する液体担体の例は、滅菌水溶液であるが、これは水およびカルボン酸、たとえば酢酸、乳酸もしくはそれらの塩、を含有する。適当な水性担体は、場合によってはさらに、1つ以上のバッファー塩、ならびに他の塩(たとえば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)および/または他の溶質を含んでなることができる。
【0048】
好ましい実施形態において、製剤は、水およびカルボン酸、たとえば酢酸もしくは乳酸またはそれらの塩、および/またはそれらの混合物もしくは混合製剤を含んでなる。使用に適したカルボン酸は、2, 3, 4, 5, 6, または7個の炭素原子、通常2から4個までの炭素原子を有するカルボン酸を包含し;モノ-、ジ-、およびトリ-カルボン酸を包含するが、通常はモノ-またはジ-カルボン酸であって、この場合、この化合物はα、β、および/またはγヒドロキシル、アルキル、またはアルキルヒドロキシ基を含んでなることができる。
【0049】
フェンタニル/フェンタニル同族体製剤の作製に用いる、特に関心の高いカルボン酸は、C1-C3カルボン酸、ならびにそれらのα-ヒドロキシル、β-ヒドロキシルおよび/またはγ-ヒドロキシル誘導体を包含する。本発明で使用可能な酸の具体的な例は、下記を包含するがそれに限定されない:

およびそれらの塩、混合物および混合製剤。入手できるならば、カルボン酸はいかなる異性体型であってもよく、たとえば、D-もしくはL-立体異性体とすることができる。本発明で使用されるカルボン酸溶媒は、薬物のモル濃度とほぼ等しい、またはそれより高いモル濃度で存在することができる(たとえば、カルボン酸対薬物が1:1(すなわち1)または2:1(すなわち2)のモル比で存在する)。たとえば、製剤中のカルボン酸の薬物に対するモル比は、約1、約0.5より大、約1より大、約1.5、約1.8、約2、約2.2、約2.5、約2.8、約3、約3.5またはそれより大とすることができる。
【0050】
このようなカルボン酸含有製剤は、非常に高い薬物濃度を可能にする。こうした高濃度は、長く持続する薬物送達を提供し、さらに、スフェンタニル製剤に優れた化学的安定性を与える。たとえば、乳酸塩を含んでなるカルボン酸製剤中のモルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体は、少なくとも600mg/mlの濃度を有することができるが、たとえば約100から600mg/ml、またはたとえば約300mg/mlから600mg/ml、または約500から600mg/mlの濃度を有することができる。酢酸塩を含んでなるカルボン酸製剤中のモルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体の濃度は、少なくとも約400mg/mlであるが、たとえば100mg/mlから400mg/ml、またはたとえば、300mg/mlから400mg/mlとすることができる。
【0051】
製剤中の薬物は、遊離塩基、または薬物の適当な製薬上許容される塩とすることができる。たとえば、薬物は酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、および他のカルボン酸塩とすることができる。一般に、薬物は遊離塩基の形であるか、選択されたカルボン酸と適合する薬物の塩であるかのいずれかであって、たとえば、カルボン酸溶媒が乳酸である場合には、薬物の塩は乳酸塩とすることができる。
【0052】
製剤の例を下記に、より詳細に記載する。
【0053】
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体製剤
本発明は、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を含んでなる製剤、特に医薬製剤を与える。
【0054】
本発明の製剤は、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を含んでなり、その濃度は少なくとも約0.1 mg/ml、1 mg/ml、5 mg/ml、10 mg/ml、25 mg/ml、50 mg/ml、75 mg/ml、100 mg/ml、150 mg/ml、200 mg/ml、225 mg/ml、250 mg/ml、300 mg/ml、350 mg/ml、400 mg/ml、450 mg/ml、500 mg/mlであるが、約600 mg/ml以下、またはそれより大とすることができる。フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を含んでなる本発明の製剤は水溶液の状態であって、たとえば、水を含んでなる製剤中に溶解している。
【0055】
本発明の製剤は、非常に高い薬物濃度を可能にするので、薬物送達をもっと長期間持続することが可能となり、(特に関心の高い酢酸および乳酸塩を有する)製剤に優れた化学的安定性をあたえる。たとえば、本発明の製剤中の薬物濃度は、約600 mg/ml以下であるが、たとえば約100から600 mg/mlまで、または、たとえば約300から600 mg/mlまで、または約400から600 mg/mlまでとすることができる。酢酸塩を含んでなる水性製剤中のフェンタニルもしくはフェンタニル同族体の濃度は、約400 mg/ml以下であるが、たとえば100 mg/mlから400 mg/mlまで、またはたとえば300 mg/mlから400 mg/mlまでとすることができる。
【0056】
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体は、従来の製剤、たとえば現在市販されている製剤より実質的に高い濃度で製剤中に存在する。「実質的に高い」とは、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体が、市販のフェンタニルもしくはフェンタニル同族体の溶解度よりも少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約250、少なくとも約500、少なくとも約1000、少なくとも約1500、少なくとも約2000、少なくとも約2500、少なくとも約3000、少なくとも約3500、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10,000倍、またはさらに高い濃度で製剤中に存在することを意味している。
【0057】
フェンタニル、フェンタニル同族体、およびフェンタニルもしくはフェンタニル同族体の特定の誘導体または類似体(たとえば、他のモルヒネ誘導体、特に4-アニリドピペリジン誘導体)について、本発明にしたがって送達を検討するが、ただし本明細書で与えられる開示内容を読めば、本発明の範囲に含まれる変更が、当業者に容易に明らかとなるであろう。フェンタニル同族体の例には、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニルおよびミルフェンタニルがあるが、必ずしもそれらに限定されない。
【0058】
使用する具体的なフェンタニル同族体は、達成したいと望む治療効果、患者の耐性、および/またはオピオイドへの曝露歴などを含めた、さまざまな要因によって変化しうる。フェンタニルもしくはフェンタニル同族体の相対効力も、送達される薬物の選択において考慮されると考えられる。たとえば、モルヒネと比較したフェンタニルおよび選択されたフェンタニル同族体の効力の順序は、次の通りである:モルヒネ<アルフェンタニル<フェンタニル<スフェンタニル<ロフェンタニル<カルフェンタニル。スフェンタニル、フェンタニル、および他のフェンタニル同族体の薬物動態学に関わる総説については、たとえば、Meert (1996) Pharm. World Sci. 18:1-15; および Scholz et al. (1996) Clin. Pharmacokinet. 31:275-92を参照されたい。
【0059】
フェンタニル、スフェンタニルおよび他のフェンタニル同族体を製造する方法は、当業界でよく知られており、たとえば、スフェンタニル(たとえば、米国特許第3,998,834号;化学名:N-[4-(メチオキシメチル)-1-[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジニル]-N-フェニルプロパンアミド 2-ヒドロキシ-1,2,3,-プロパントリカルボキシラート (1:1);C22H30N2O2S)、フェンタニル(たとえば、米国特許第3,141,823号;化学名:N-フェニル-N-[1-(2-フェニルエチル)-4-ピペリジニル]プロパンアミド)、アルフェンタニル(たとえば、米国特許第4,167,574号;化学名:N-[1-[2-(4-エチル-4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-テトラゾール-1-イル)エチル]-4-(メトキシメチル)-4-ピペリジニル]-N-フェニルプロパンアミド; C21H32N6O3)、ロフェンタニル(たとえば、米国特許第3,998,834号;化学名:3-メチル-4-[(1-オキソプロピル)フェニルアミノ]-1-(2-フェニルエチル)-4-ピペリジンカルボン酸 メチル エステル)、カルフェンタニル(化学名:メチル-4-[(1-オキソプロピル)フェニルアミノ]-1-(2-フェニルエチル)-4-ピペリジンカルボン酸;C24H30N2O3)、レミフェンタニル(化学名:3-[4-メトキシカルボニル-4-[(1-オキソプロピル) フェニルアミノ]1-ピペリジン]プロパン酸)、トレフェンタニル(化学名:N-(1-(2-(4-エチル-4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-テトラゾール-1-イル)エチル)-4-フェニル-4-ピペリジニル)-N-(2 フルオロフェニル)-プロパンアミド)、およびミルフェンタニル(化学名:N-(2-ピラジニル)-N-(1-フェネチル-4-ピペリジニル)-2-フルアミド)を参照されたい。
【0060】
フェンタニルおよびフェンタニル同族体は、たとえばGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Chapter 23, 「オピオイド鎮痛薬およびアンタゴニスト」pp. 521-555 (9th Ed. 1996); Baly et al. (1991) Med Res. Rev. 11:403-36 (4-アニリドピペジリジンオピオイドの発展); および Feldman et al. (1991) J. Med. Chem. 34:2202-8 (オピオイド鎮痛薬の設計、合成および薬理学的評価)において詳細に検討されている。フェンタニルおよびフェンタニル同族体について追加の情報としては、たとえば、Scholz et al. (1996) Clin. Pharmacokinet. 31:275-92 (アルフェンタニル、フェンタニルおよびスルフェンタニルの臨床動態学); Meert (1996) Pharmacy World Sci. 18:1-15 (モルフィネ、フェンタニル、およびフェンタニル同族体の薬物療法を記載する。); Lemmens et al. (1995) Anesth. Analg. 80:1206-11 (ミルフェンタニルの薬物動態学); Minto et al., (1997) Int. Anesthesiol. Clin. 35:49-65 (最近開発されたオピオイド鎮痛薬の概観); James (1994) Expert Opin. Invest. Drugs 3:331-40 (レミフェンタニルの検討); Rosow (1993) Anesthesiology 79:875-6 (レミフェンタニルの検討); Glass (1995) Eur. J. Anaesthesiol. Suppl. 10:73-4 (レミフェンタニルの薬理学); および Lemmens et al. (1994) Clin. Pharmacol. Ther.56:261-71 (トレフェンタニルの薬物動態学)を参照されたい。
【0061】
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体は、製剤中に、オピオイド塩基として、および/またはオピオイドの製薬上許容される塩として与えられるが、好ましくは製剤中でオピオイド塩基として与えられる。製薬上許容される塩は、無機および有機塩を包含する。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、ムコン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、n-オキシド、硫酸塩、マロン酸塩、酢酸塩、二塩基性リン酸塩、一塩基性リン酸塩、酢酸塩・三水和物、ビ(ヘプタフルオロ酪酸塩)、マレイン酸塩、ビ(メチルカルバミン酸塩)、ビ(ペンタフルオロプロピオン酸塩)、メシラート、ビ(ピリジン 3 カルボン酸塩)、ビ(トリフルオロ酢酸塩)、重酒石酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、および硫酸塩・五水和物からなる一群から選択される化合物を包含する。薬物製剤がスフェンタニルを含んでなる場合、スフェンタニル塩基の使用が、使用のために特に検討された。
【0062】
ヒドロモルホン製剤
本発明は、ヒドロモルホンを含んでなる製剤、特に医薬製剤を与える。
【0063】
本発明の製剤は、ヒドロモルホンを含んでなり、その濃度は少なくとも20 mg/ml、50 mg/ml、75 mg/ml、100 mg/ml、150 mg/ml、200 mg/ml、225 mg/ml、250 mg/ml、300 mg/ml、350 mg/ml、400 mg/ml、450 mg/ml、500 mg/mlであるが、約600 mg/ml以下、またはそれより大とすることができる。ヒドロモルホンを含んでなる本発明の製剤は水溶液の状態であって、たとえば、水を含んでなる製剤中に溶解している。
【0064】
塩酸ヒドロモルホン(Dilaudid(登録商標))は、モルヒネの水素化されたケトンであって、その効果および効力により、皮下経路による使用のために理想的なオピオイドである。高い効力を有する市販製品であるDilaudid(登録商標)は、注射用滅菌水中10 mg/mlの濃度を有する(Physician’s Desk Reference, pp. 1619-1621 (2001))。本発明のカルボン酸製剤は、比較すると、約600 mg/mlのヒドロモルホン濃度を有する。このことは、患者に注入される液体の同容量を、もっと長い期間にわたって与えることを可能にする。ヒドロモルホン製剤の長期安定性は、28日間にわたって確認されている(Fudin, J. et al. (2000) Am. J. Hosp. Pall. Care 17(5):347-353)。ヒドロモルホン溶液は、長い間に酸化を受けやすい。分解の速度は、pHおよび酸素によって決まるが、すなわち、分解は5より高いpHで速くなる。しかしながら、この分解速度は、製剤によって変化する可能性がある。
【0065】
ヒドロモルホンは、従来の製剤、たとえば現在市販されている製剤より実質的に高い濃度で製剤中に存在する。「実質的に高い」とは、ヒドロモルホンが、市販のヒドロモルホンの溶解度よりも少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約35、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約250、少なくとも約500、少なくとも約1000、少なくとも約1500、少なくとも約2000、少なくとも約2500、少なくとも約3000、少なくとも約3500、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10,000倍、またはさらに高い濃度でクレームされた製剤中に存在することを意味している。
【0066】
本発明の方法に有用な投与形態
さまざまな投与形態はいずれも、本発明の製剤と関連して用いることができる。本発明の製剤とともに使用するために適した送達方法および投与形態は、さまざまな薬物放出機構をいずれも利用することができる。
【0067】
一般に、本発明の製剤とともに使用するのに適した、関心のある投与形態は、事前に選択された期間の治療に十分な(たとえば、薬物リザーバー中に含まれる、または賦形剤、基体、もしくはマトリックス中に可溶化され、懸濁され、もしくは組み入れられた)薬物製剤の量を保持することに適している。概して、本発明で使用される投与形態は、製剤の徐放に適している。投与形態の例としては、薬物送達装置(たとえば、薬物ポンプ)、経皮送達装置、生分解性挿入物、徐放性注射可能物質(たとえば、注射可能な粘性の高い製剤、コラーゲンヒドロゲルのようなヒドロゲルを含むゲル)、微粒子懸濁液、ミクロスフェア懸濁液、リポソーム製剤、ミセル製剤、油性懸濁液(乳濁液を含む)、およびカプセル化粒子懸濁液がある。本発明で使用するために適当であると考えられる薬物送達投与形態は、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery (1999), E. Mathiowitz (Ed.), John Wiley & Sons, Incに記載されている。投与形態は、たとえば、外部エレメント(たとえば外部ポンプ)または薬物送達系埋め込み型エレメントとして従来から使用されている、さまざまな従来の薬物放出装置のいずれからも選択することができる。
【0068】
ある実施形態において、投与形態(本明細書では送達装置とも称される)は、長期間にわたる薬物の送達に適合するものである。このような送達装置は、数時間(たとえば2時間、12時間、24時間、48時間もしくはそれ以上)から数日まで(たとえば、2日から5日までまたはそれ以上、約100日から、またはそれ以上)、数ヶ月まで、または数年までにわたるフェンタニルもしくはフェンタニル同族体の投与に適していると考えられる。これらの実施形態の一部では、装置は約1ヶ月から約12ヶ月まで、またはそれ以上にわたる期間の送達に適している。薬物送達装置は、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体を個体に、次のような期間にわたって投与するのに適したものであって、その期間は、たとえば、約2時間から約72時間まで、約4時間から約36時間まで、約12時間から約24時間まで;約2日から約30日まで、約5日から約20日まで、約7日から約100日あるいはそれ以上まで、約10日から約50日まで;約1週間から約4週間まで;約1ヶ月から約24ヶ月あるいはそれ以上まで、約2ヶ月から約12ヶ月まで、約3ヶ月から約9ヶ月まで;または、必要に応じて上記の範囲内で追加の範囲を含めた他の期間である。
【0069】
投与形態からの薬物の放出、特に薬物の徐放もしくは制御放出は、当業界でよく知られている方法にしたがってさまざまなやり方のいずれによっても達成することができるが、たとえば、賦形剤に薬物を可溶化もしくは懸濁すること、またはポリマーの内部から薬物が実質的に制御されて拡散することを与える、そうしたポリマーに薬物を組み込むこと、浸透圧駆動装置からの薬物送達を与える生分解性ポリマーに薬物を組み込むこと、などによる。薬物送達装置が、薬物送達カテーテルを含んでなる場合には、装置および/またはカテーテルを通して、毛管現象の結果として、薬物装置から生じる圧力の結果として、拡散によって、電気的拡散によって、もしくは電気浸透圧によって、薬物を、薬物送達カテーテルを通して送達部位に送達することができる。
【0070】
一般に、投与形態は、予め設定された期間にわたる治療のために、治療上必要とされる量および濃度で、薬物製剤を運ぶのに適合し、治療が持続する間、身体作用による分解から製剤を十分に保護しなくてはならない。たとえば、代謝プロセスに起因する分解、および、たとえば漏出、ひび割れ、破損、もしくは歪みの危険から保護する特性を有する材料で作られた外装で、投与形態の周囲を包むことができる。これによって、たとえば、被験体の動作の結果として薬物放出装置に働く物理的な力によって、またはたとえば、伝達性薬物送達において、リザーバー内部で生じる圧力に伴う物理的な力によって、使用中に受けやすいと思われるストレス下で、投与形態の内容物の制約のない放出を防止することができる。薬物リザーバー、または他の薬物を保持もしくは収容する手段は、活性薬剤との予期せぬ反応を回避するような材料でできていなくてはならないが、生体適合性であることが好ましい(たとえば、投与形態が埋め込まれる場合、被験体の身体もしくは体液に対して実質的に反応しない)。
【0071】
本発明での使用に適した薬物放出装置は、さまざまな作動形態のいずれに基づいていてもよい。たとえば、薬物放出装置は拡散システム、ポンプシステム、または侵食によるシステムに基づくことができる。機械的または電気機械的な輸液ポンプに基づく薬物放出装置も、本発明での使用に適していると考えられる。こうした装置の例には、たとえば、米国特許第4,692,147号;第4,360,019号;第4,487,603号;第4,725,852号などに記載のものがある。一般に、本発明の薬物送達の方法は、詰め替え可能、交換不可能なさまざまなポンプシステムのいずれを使用しても達成することができる。ポンプおよび他の対流システムは、長時間にわたって概して一貫した、制御された放出であるため、一般に好ましい。浸透圧ポンプは一貫した、コントロールされた放出であって、しかも比較的大きさが小さいという組み合わせた利点のために、特に好ましい。本発明での使用に適した浸透圧駆動性の装置の例は、米国特許第3,760,984; 3,845,770; 3,916,899; 3,923,426; 3,987,790; 3,995,631; 3,916,899; 4,016,880; 4,036,228; 4,111,202; 4,111,203; 4,2440; 4,203,442; 4,210,139; 4,327,725; 4,627,850; 4,865,845; 5,057,318; 5,059,423; 5,112,614; 5,137,727; 5,234,692; 5,234,693; 5,728,396; 5,985,305号などに記載の装置が挙げられるが、必ずしもそれらに限定されない。
【0072】
ある実施形態において、薬物放出装置は、浸透圧駆動型装置の形をとる、制御された薬物放出装置である。好ましい浸透圧駆動性薬物放出システムは、約0.01 mg/時間から約1000 mg/時間までの速度範囲内で薬剤の放出ができるシステムであって、約0.001 ml/日から約100 ml/日まで(すなわち、約0.0004 ml/時間から約4 ml/時間まで)、約0.04 ml/日から約10 ml/日まで、約0.2 ml/日から約5 ml/日まで、約0.5 ml/日から約1 ml/日までの容量速度範囲で薬剤を送達することができる。概して、本発明においては、薬物放出システムは、約0.001 ml/日(1 ml/日)から少なくとも約500 ml/日または約1 ml/日まで(すなわち、約0.04 ml/時間から約21 ml/時間または約42 ml/時間まで)、約2 ml/日から約250 ml/日または500 ml/日まで、 約4 ml/日から約100 ml/日まで、 約5 ml/日から約50 ml/日または250 ml/日までの速度で薬物送達が送達されるように選択される。
【0073】
ある実施形態において、徐放性投与形態はデポー型注射可能物質であって、たとえば、米国特許第6,183,781; 6,174,547; 6,156,331; 6,143,314; 6,130,200; 6,120,789; 6,051,558; 5,989,463; 5,968,542; 5,912,015; 5,747,058; 5,702,716; 5,654,008 および 5,650,173号を参照されたい。
【0074】
特に興味深いある実施形態において、容量/時間の送達速度は、実質的に一定である(たとえば、送達は、概して、記載された期間にわたって、記載された容量の約5%から10%までの速度である)。ある実施形態において、薬物送達装置は、浸透圧駆動型装置の形態をとる継続的な薬物放出装置である。好ましい浸透圧駆動型薬物放出システムは、約0.1 mg/時間から約1000 mg/時間まで速度範囲内で薬物を放出することができるシステムであって、それは約0.25 ml/日から約100 ml/日まで(すなわち、約0.0004 ml/時間から約4 ml/時間まで)、約0.04 ml/日から約10 ml/日までの容量速度で送達可能であるが、約0.2 ml/日から約5 ml/日まで、または約0.5 ml/日から約1 ml/日までの速度で送達することができる。ある実施形態において、容量/時間の送達速度は実質的に一定である(たとえば、送達は、概して、記載された期間にわたって、記載された容量の約5%から10%までの速度である)。
【0075】
本発明は、本発明の製剤を送達することによって痛みを管理する方法を特徴とする。ある実施形態において、本発明の製剤はほぼ持続的に送達される。さまざまな送達部位のいずれにも本発明の製剤を送達することができるが、その製剤は、皮膚の部位もしくは皮膚の下の部位にヒドロモルホン、フェンタニルまたはフェンタニル同族体を送達するのに特に有用であると考えられ、皮下もしくは皮内部位は特に重要である。
【0076】
本発明の方法による管理に敏感に反応する痛み
一般に、本発明の製剤の投与を用いて、多種多様な障害、状態、もしくは疾患のいずれにともなう痛みの管理も、容易にすることができる。痛みの原因は特定可能もしくは特定不可能であってもよい。特定できる場合には、痛みの原因はたとえば、悪性の、悪性でない、感染性の、感染性でない、または自己免疫性の、原因であると考えられる。特に問題となるのは、長期間の治療を必要とする障害、疾患もしくは状態、たとえば、慢性および/または持続性の疾患もしくは状態に伴う痛みの管理であるが、そうした状態の治療は、数日間(たとえば、約3日から10日まで)から数週間まで(たとえば、約3から4週間ないし6週間まで)、数ヶ月または数年までの期間、被験体の残りの生存期間を含む期間に達するまで必要とする。現在は疾患または状態に苦しんではいないが、その影響を受けやすい被験体も、たとえば外傷の手術の前に、本発明の装置および方法を用いた予防的疼痛管理から恩恵を受けることができる。本発明の治療に敏感に反応する痛みは、痛みのない間隙と交互に生じる疼痛の長引く発作、または激しさの変化する実質上絶え間のない痛みを包含すると考えられる。
【0077】
一般に、痛みは身体性、神経性、または心因性であると考えられる。身体性の痛みは、筋肉性もしくは骨格性(すなわち、変形性関節症、腰仙背痛、外傷後、筋膜症候群)、内臓性(すなわち、慢性膵炎、潰瘍、過敏性大腸)、虚血性(すなわち、閉塞性動脈硬化症)であり、または(たとえば悪性である、もしくは悪性でない)がんの進行に関連する。神経性の痛みは、外傷後および手術後の神経症に起因していると考えられ、神経障害(すなわち糖尿病、毒性など)と関連し、さらに神経絞扼、顔面神経痛、会陰神経痛、切断後、視床、灼熱痛、および反射性交感神経性ジストロフィーに伴うことがある。
【0078】
本発明の管理に敏感に反応する状態、疾患、障害、および痛みの原因の具体例には、癌性疼痛(たとえば、転移癌または転移性でない癌)、慢性炎症性疾患の痛み、神経障害性の痛み、術後疼痛、医療行為が原因の痛み(たとえば、侵襲的手技もしくは高線量放射線療法後の痛み、これは、たとえば運動の自由の衰弱性障害および相当な慢性疼痛をもたらす瘢痕組織形成を含む)、複合性局所疼痛症候群、脊椎手術後の痛み(慢性背痛)、軟部組織痛、関節および骨の痛み、中心性疼痛、損傷(例としては、衰弱性の損傷、たとえば、対麻痺、四肢麻痺など、ならびに衰弱性でない損傷、たとえば、背、頸、脊椎、関節、脚、腕、手、足などに対する損傷)、関節痛(たとえば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、原因不明の関節症候群など)、遺伝性疾患(たとえば、鎌状赤血球貧血)、感染症およびその結果起こる症候群(ライム病、AIDSなど)、慢性頭痛(たとえば、偏頭痛)、灼熱痛、知覚過敏、交感神経ジストロフィー、幻覚肢症候群、神経除去などがあるが、必ずしもそれに限らない。痛みは、たとえば、筋骨格系、内臓、皮膚、神経系などといった、身体のあらゆる部分に関わるものである。
【0079】
癌性疼痛は、本発明の方法によって緩和することのできる、ある広範な痛みの範疇の一例である。癌性疼痛の根本的な原因の1つは、腫瘍病変による組織の局所的な激しい引き伸ばしである。たとえば、癌細胞の無制限な増殖のために、癌細胞が増殖する局所の組織は、組織をずらして腫瘤が占める体積の増加を受け入れるために必要な、機械的なストレスを受ける。腫瘍の生体内総量が、骨髄のように、小さく囲まれた区画に限局している場合には、その結果生じる圧力が激しい痛みをもたらすことがある。別の痛みの原因は、患者の癌と闘うために行われる積極的治療、たとえば、放射線療法、化学療法などに起因することもある。こうした癌の治療は、局部的または広範な組織の損傷を伴い、結果として痛みを生じる可能性がある。
【0080】
あらゆるタイプの悪性の、もしくは悪性でない癌に伴う痛みは、本発明による緩和を受けやすい。痛み(癌それ自体の性質、または癌を治療する療法に起因する)を伴う可能性のある癌の具体例には、肺癌、膀胱癌、黒色腫、骨癌、多発性骨髄腫、脳腫瘍、非ホジキンリンパ腫、乳癌、口腔癌、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、内分泌癌、前立腺癌、頭頸部癌、肉腫、ホジキン病、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、白血病、睾丸癌、肝癌、子宮癌、および再生不良性貧血があるが必ずしもそれらに限定されない。ある種の神経障害性の痛みも、本発明による治療に敏感に反応することがある。
【0081】
慢性背部痛も本発明の方法による管理に敏感に反応し、本発明の方法の適用によって緩和することのできる、もう一つの広範な痛みの範疇である。慢性背部痛は、一般に下記の6つの原因のうち1つまたは複数に起因している:(i)ずれ、関節炎、楔状変形もしくは脊柱側湾症によって引き起こされる椎間関節へのストレス;(ii)神経根障害、すなわち、突出した椎間板もしくは腫瘍による神経根の機械的な圧迫;(iii)腱炎もしくは腱捻挫;(iv)筋肉の痙攣もしくは筋肉の捻挫;(v)虚血、循環する血流の局所的な不足;ならびに(vi)神経障害、すなわち、代謝系の原因による、または脊髄腫瘍もしくは中枢神経系疾患に起因する、神経組織の損傷。
【0082】
本発明の方法を用いて、オピオイド投与を受けたことのない患者、またはオピオイド投与を受けたことのある患者において痛みを管理することができる。オピオイド未投与の患者はたとえば、疼痛管理を目的とする長期間のオピオイド治療を受けたことのない患者である。オピオイド投与を受けたことのある患者とは、たとえば、短期もしくは長期オピオイド治療を受けたことがあり、耐性、依存性もしくは他の望ましくない副作用が生じている患者である。たとえば、経口、静脈内もしくは、くも膜下腔内のモルヒネ、フェンタニルの経皮パッチ、または他の従来のオピオイド送達の方法および装置で難治性の不都合な副作用を有する患者は、上記の用量範囲および/または低い容量速度で投与されるとき、フェンタニルもしくはフェンタニル同族体の送達によって、良好な痛覚消失を達成し、有利な副反応の特徴を維持することができる。
【0083】
実施例
本発明の実施方法および使用方法についての完全な開示および説明を当業者に提供するために、下記の実施例を提示するが、本発明者らが本発明と見なす範囲に限定する意図はなく、下記の実験が実行されたすべての実験である、またはそれだけが実施された実験であることを示す意図もない。用いられた数字(たとえば、量、温度など)について正確さを保証するよう勤めたが、ある程度の実験誤差および偏りを計上すべきである。特に指示しない限り、部分は重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は摂氏であって、圧力はちょうど大気圧、またはほぼ大気圧である。
【0084】
実施例1:乳酸溶媒中のスフェンタニル製剤
600 mg/mlの濃度でスフェンタニルを含む製剤を作製するために、約30 gのスフェンタニルを14 mlの88% L-乳酸に加え、次に15 ml水を加えて、溶質がすべて溶解するまで混合物を撹拌した。得られた溶液に、総容量が50 mlとなるように水を加えた。最終的な製剤におけるL-乳酸の薬物に対するモル比は、約2で、最終pHは4.1であった。
【0085】
実施例2:酢酸溶媒中のスフェンタニル製剤
約500 mg/mlのスフェンタニル製剤を調製するために、約1.03 gのスフェンタニル遊離塩基を、50:50の酢酸:水混合物0.7 mlに加えた後、0.5 mlの水を加えた。混合物を撹拌して溶解させた。得られた溶液に水を加えて容量2 mlとした。酢酸の薬物に対するモル比は約2.3で、最終pHは4.5であった。
【0086】
実施例3:酢酸溶媒中のヒドロモルホン製剤
約600 mg/mlヒドロモルホン製剤を調製するために、約15 gのヒドロモルホン塩基を9 ml氷酢酸に加え、その後0.5 ml水を加えた。混合物を撹拌して薬物を溶解した。得られた溶液に水を加えて、容量25 mlとした。酢酸の薬物に対するモル比は約3で、最終pHは4.5であった。
【0087】
実施例4:ヒドロモルホン乳酸製剤の調製
約600 mg/mlヒドロモルホン製剤を調製するために、約15 gのヒドロモルホン塩基を85% L-乳酸6.75 mlに加えた後、水1.5 mlを加えた。混合物を撹拌して溶解させた。得られた溶液に水を加えて、容量25 mlとした。L-乳酸の薬物に対するモル比は約1.5で、最終pHは4.6であった。
【0088】
本発明の具体的な実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当業者には当然のことながら、本発明の本質的な精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が可能であり、等価なもので置き換えることができる。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップまたは複数のステップを本発明の目的、精神および範囲に適合させるために、多くの修正を行うことができる。こうした修正はいずれも本明細書に添付の請求の範囲に含まれることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子量カルボン酸もしくはその塩;および
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体からなる一群から選択される薬物;
を含んでなる医薬製剤であって、その薬物が少なくとも約5 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、前記医薬製剤。
【請求項2】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記薬物がスフェンタニルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記薬物がフェンタニルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記薬物が少なくとも約50 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記薬物が少なくとも約100 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記薬物が少なくとも約200 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記薬物が少なくとも約500 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
低分子量カルボン酸もしくはその塩;および
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体からなる一群から選択される薬物;
を含んでなる医薬製剤であって、その製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約0.5より大きい、前記医薬製剤。
【請求項11】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記薬物がスフェンタニルである、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記薬物がフェンタニルである、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項15】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約1より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項16】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約2より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項17】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の薬物に対するモル比が約2.5より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項18】
低分子量カルボン酸もしくはその塩;および
オピオイドもしくはオピオイド誘導体;
を含んでなる医薬製剤であって、そのオピオイドもしくはオピオイド誘導体が、少なくとも約20 mg/mlの濃度の製剤をもたらし、水性担体がカルボン酸もしくはその塩を含んでなる、前記医薬製剤。
【請求項19】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
オピオイドもしくはオピオイド誘導体が、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルおよびスフェンタニルからなる一群から選択される、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項21】
オピオイドもしくはオピオイド誘導体がヒドロモルホンである、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
薬物が少なくとも約100 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項24】
薬物が少なくとも約500 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項25】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項1に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項26】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項1に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項27】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項10に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項28】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項18に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項29】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項1に記載の医薬製剤の使用。
【請求項30】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項10に記載の医薬製剤の使用。
【請求項31】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項18に記載の医薬製剤の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子量カルボン酸もしくはその塩を含む溶媒;および
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体からなる一群から選択される薬物;
を含んでなる医薬製剤であって、その薬物が少なくとも約10 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、前記医薬製剤。
【請求項2】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記薬物がスフェンタニルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記薬物がフェンタニルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記薬物が少なくとも約50 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記薬物が少なくとも約100 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記薬物が少なくとも約200 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記薬物が少なくとも約500 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
低分子量カルボン酸もしくはその塩を含む溶媒;および
フェンタニルもしくはフェンタニル同族体からなる一群から選択される薬物;
を含んでなる医薬製剤であって、その製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約1より大きい、前記医薬製剤。
【請求項11】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記薬物がスフェンタニルである、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記薬物がフェンタニルである、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項15】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約1より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項16】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の、薬物に対するモル比が約2より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項17】
製剤中のカルボン酸もしくはカルボン酸塩の薬物に対するモル比が約2.5より大きい、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項18】
低分子量カルボン酸もしくはその塩を含む溶媒;および
オピオイドまたはオピオイドの天然もしくは合成誘導体;
を含んでなる医薬製剤であって、そのオピオイドまたはオピオイドの天然もしくは合成誘導体が、カルボン酸もしくはその塩を含む溶媒中少なくとも約20 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、前記医薬製剤。
【請求項19】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
オピオイドもしくはオピオイド誘導体が、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルおよびスフェンタニルからなる一群から選択される、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項21】
オピオイドもしくはオピオイド誘導体がヒドロモルホンである、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記カルボン酸が酢酸、乳酸もしくはその塩である、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
薬物が少なくとも約100 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項24】
薬物が少なくとも約500 mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項25】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項1に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項26】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項1に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項27】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項10に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項28】
薬物の被験体への持続的送達に適した投与形態であって、請求項18に記載の医薬製剤を含んでなる前記投与形態。
【請求項29】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項1に記載の医薬製剤の使用。
【請求項30】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項10に記載の医薬製剤の使用。
【請求項31】
痛みを治療するための医薬品の製造における、請求項18に記載の医薬製剤の使用。

【公表番号】特表2006−509772(P2006−509772A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555827(P2004−555827)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/038174
【国際公開番号】WO2004/047839
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505080839)デュレクト コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】