説明

オフセット印刷用微塗工紙

【課題】 多色カラーオフセット印刷において、印刷後不透明度を顕著に向上でき、しかも印刷トラブルを発生することなく、良好な印刷作業性およびカラー印刷品質を有するオフセット印刷用微塗工紙の提供。
【解決手段】 原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする表面処理剤層を有し、前記原紙が吸油量360〜500mL/100gの填料を0.5〜5.0質量%含有し、前記表面処理剤層が炭酸カルシウムを全顔料100質量部に対して55質量部以上含有したものであり、(1)坪量35〜50g/m、(2)動摩擦係数0.45〜0.65、(3)白色度54%以上、(4)印刷後不透明度90%以上、(5)吸油度60〜200秒、および(6)平滑度20〜200秒の特性を有することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット型輪転印刷機を用いた多色カラー印刷において、インキ着肉性、印刷後不透明度が良好であり、しかも塗工層が印刷時の湿し水で膨潤し、ブランケットに貼りつきやすくなる、いわゆるネッパリ現象やブランケットパイリング、印刷機ロール汚れ、セットオフ不良等のトラブルを発生することなく、良好な印刷作業性およびカラー印刷品質を有するオフセット印刷用微塗工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、折り込み広告、ダイレクトメール等の商業印刷分野ではオフセット化、カラー化、高速化が急速に進んでおり、印刷媒体となる用紙は、より優れたカラー印刷適性や印刷作業性を有する微塗工紙が求められている。刷版の製造工程や原画の鮮明さの進歩も顕著であるものの、通常の微塗工紙の条件でカラー印刷したものの色や鮮明さ等が通常の印刷用塗工紙などに比べ著しく劣るものであり、見た目に訴える力に欠けるものであった。
【0003】
さらに、最近では軽量化が求められており、これに伴い、印刷後も高い不透明度を維持しうる用紙の要求も強まっている。この要求に応えるため、紙の不透明度向上を目的としてホワイトカーボン、炭酸カルシウム、酸化チタンあるいはタルク等の無機顔料が抄紙時の填料として多く使われるようになった。また、環境面で重要視されているDIP(脱墨古紙パルプ)の高率配合化が進んできているが、DIPが、GP、RGP、TMP等のメカニカルパルプに比較し不透明度が出難いため、不透明度の改良とDIPの高率配合化を両立させるのが極めて困難な状況となっている。
【0004】
オフセット印刷用微塗工紙としては、吸油量が65mL/100g以上の顔料を含有する塗工層を設ける技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、吸油量が高い顔料を多量に含む塗工層は、湿潤状態での表面強度が弱くなる傾向があり、印刷機のブランケットへの顔料パイリングを起こしやすい。また吸油量が高い顔料を多量に含む塗工層は、インキ中のビヒクル成分を急速に吸収するため紙面上のインキタックの急激な上昇を招き、印刷機ロールに高タックインキが付着して紙面を汚すことがあった。また、原紙の動的濡れ値を規定し、カオリンと平均粒径を規定した不定形顔料を併用することにより、インキセット適性やインキ濃度を向上させる技術が開示されているが、この方法では不透明度向上効果が小さく、またインキセットが遅くなり、ベタツキの問題が発生することがあった(特許文献2参照)。
高い不透明性を得るために、嵩高い顔料であるサチンホワイトや水和珪酸、中空有機顔料を塗布し白色度、不透明度への改善効果を開示したものもあるが、接着剤との結合強度が弱く、ブランケットパイリングが悪化するため、接着剤比の増加が必要となり、結果的に不透明度への効果が小さくなるうえにコスト的にも好ましくない(特許文献3、4、5参照)。
なお、特定のラテックスと水溶性高分子をバインダーに用い、顔料に有機顔料を用いた塗被紙が開示されているが、有機顔料は白紙不透明度を向上させることには寄与するが、インキ吸収性が劣るため印刷後不透明度への寄与は低い。また有機顔料が紙の最表面に存在すると、固定ロールや固定センサーなどとの摩擦が発生する場所で粕が発生することがある(特許文献6参照)。
一方、原紙での印刷後不透明度向上を狙った技術として、特定の粒子特性を満足する水和珪酸を含む原紙に澱粉やラテックスなどの外添剤を塗工する技術が開示されているが、この内添粒子では吸油量が不十分であり、また粒子径範囲が小さすぎるため抄紙機上での歩留まりが低くなってしまう。さらに、外添剤塗布が不透明度や白色度を低下させるものであるため、高い光学的要求特性を満足させる微塗工紙を得るのは困難であった(特許文献7参照)。
【0005】
以上のような状況から、オフセット印刷において、インキセット性が良好で、かつ、印刷作業性に優れ、印刷後不透明度が高く、カラー多色印刷での色再現性や鮮明性の良好な印刷適性を有する微塗工紙が強く要望されてきた。
【特許文献1】特開平1−174697号公報
【特許文献2】特開平4−57988号公報
【特許文献3】特開2000−34694号公報
【特許文献4】特開2001−164494号公報
【特許文献5】特開2000−314097号公報
【特許文献6】特開平2−74698号公報
【特許文献7】特開平9−176986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多色カラーオフセット印刷方式において、印刷後不透明度を顕著に向上することができ、しかもコスレ汚れやセットオフ不良などの印刷トラブルを発生することなく、良好な印刷作業性及びカラー印刷品質を有するオフセット印刷用微塗工紙(以下、単に「微塗工紙」とも言う。)を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等はオフセット印刷用微塗工紙を構成する原紙と表面処理剤層が、印刷時のインキ着肉性、およびインキセットなどの印刷作業性に与える影響について鋭意検討した。その結果、多色カラー印刷において、その性能が十分に発揮されるためには、原紙に強力な吸油能力を与えることが必要不可欠であり、さらに炭酸カルシウムを主体とする顔料を含む表面処理剤を少量塗布することによって、印刷適性と印刷作業性が両立することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明に係るオフセット印刷用微塗工紙は、原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする表面処理剤層を有し、前記原紙が吸油量360〜500mL/100gの填料を0.5〜5.0質量%含有し、前記表面処理剤層が炭酸カルシウムを全顔料100質量部に対して55質量部以上含有したものであり、下記特性を有することを特徴とするものである。
坪量35〜50g/m
動摩擦係数0.45〜0.65
白色度54%以上
印刷後不透明度90%以上
吸油度60〜200秒
平滑度20〜200秒
【0009】
前記填料は、細孔直径0.01〜10.0μmの積算容積が2.0〜5.0mL/gであり、細孔容積50%の中心細孔直径が0.05〜0.20μmであり、0.01〜0.10μmの細孔径範囲の積算容量が1.0mL/g以上であり、かつレーザー法による平均粒子径が15〜40μmであることが好ましい。また前記顔料100質量部当たりの接着剤量が、40〜150質量部であることが好ましく、前記顔料が、炭酸カルシウムとカオリンを60:40〜90:10(質量比)の割合で含有することがより好ましく、前記カオリンのレーザー法による平均粒子径が、2.0〜8.0μmであることがさらに好ましい。前記炭酸カルシウムが、立方体状軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0010】
前記接着剤が澱粉と合成ラテックス(以下、単に「ラテックス」とも言う。)を主成分とし、澱粉100質量部に対する合成ラテックスの比率が10〜100質量部であり、かつ前記表面処理剤層表面と水との接触角が、水滴下後0.1秒後の値で80°以上であることが好ましく、前記ラテックスが、コアシェル型のラテックスであることがより好ましい。
【0011】
前記オフセット印刷用微塗工紙が、緊度0.55〜0.70g/cmであることが好ましく、前記原紙の古紙パルプ配合率が、60質量%以上であることがより好ましく、前記表面処理剤層における片面当たりの塗工量が0.1〜1.4g/mであることが好ましい。また該オフセット印刷用微塗工紙は、その表面に1mm当り10〜1000個の凸状部を有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るオフセット印刷用微塗工紙は、オフセット印刷機を用いた多色カラー印刷において、インキ着肉性、印刷後不透明度が良好で、しかもネッパリ現象、ブランケットパイリング、印刷機ロール汚れやセットオフ不良等のトラブルを発生することなく、良好な印刷作業性およびカラー印刷品質を有するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
優れたカラー印刷適性及び良好な印刷作業性を有するオフセット印刷用微塗工紙を提供するためには、原紙中に、吸油量360〜500mL/100gの填料が0.5〜5.0質量%、より好ましくは2.0〜4.5質量%含まれることが必要である。このような填料としては、高い吸油能力があり、不透明度向上に効果的なシリカ系填料が好ましい。
【0014】
表面処理剤層を設けた微塗工紙は、一般的にインキセットが遅くなる傾向がある。これは、表面処理剤が原紙表面の細孔の多くを覆ってしまうためであるが、原紙中に含まれる填料の吸油能力が高い場合はインキセットが悪化しない。特に、0.01〜10.0μmの範囲の細孔直径の積算容積が2.0〜5.0mL/g、細孔容積50%の中心細孔直径が0.05〜0.20μmの範囲にあり、0.01〜0.1μmの細孔径範囲の積算容量が1.0mL/g以上であり、かつレーザー法による平均粒子径が15〜40μmである填料は吸油能力が高く、セットオフトラブルが発生しにくい。これらの物性の中で特に重要なのは0.01〜0.10μmの細孔径範囲の積算容量であり、この細孔径範囲の積算容量は高いほどインキ乾燥能力が優れていると考えられ、1.0mL/g以上あると、必要かつ充分なインキ吸収能力が発現する。
【0015】
なお、これら填料の細孔容量および細孔径は水銀ポロシメーター(形式:ポアサイザ9320、島津製作所社製)を用いて測定した値である。吸油量については、360mL/100g未満では充分な吸油能力が得られないことがあり、500mL/100gを超えると、オイル吸収速度が速すぎて印刷面のインキタックの急激な上昇が起こり、印刷機上のロールにインキのトラレが発生してしまうことがある。
【0016】
なお、吸油量はJIS K 5101の方法で測定した値である。原紙への填料含有量が0.5質量%未満では、吸油能力が不足し充分な効果が得られないことがある。一方、填料含有量が5.0質量%を越えると、印刷機ブランケットへの填料の“トラレ”が発生しやすくなり、また、吸油能力が高すぎてインキタックの急激な上昇が起こり、印刷機上のロールにインキの“トラレ”が発生してしまうことがある。レーザー法による平均粒子径が15μmより小さいと、抄紙機での歩留まりが悪化してしまうことがある。平均粒子径が40μmを超えると、印刷機ブランケットへの填料パイリングが激しくなり、場合によっては印刷面のカスレが発生することがあることがある。なお、この平均粒子径は、分散剤を0.2質量%添加混合した填料スラリーをレーザー回折式粒度分布測定装置(形式:SALD−2000、島津製作所社製)にて粒度分布を測定し得られたメディアン径のことをいう。
【0017】
本発明に係るオフセット印刷用微塗工紙の原紙は、以下の如くして得られる。まず、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKPなど)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMPなど)、古紙パルプ(DIPなど)の1種以上が適宜混合されて、紙料の調成が行なわれる。資源の有効利用の点から古紙パルプは60質量%以上配合することが好ましい。さらに資源保護の観点から、いわゆる森林認証された認証林、植林木または間伐材チップから得たパルプを使用することが好ましい。次いで、紙料中に吸油量が360〜500mL/100gの填料を原紙中の含有量が0.5〜5.0質量%となるよう添加する。
【0018】
原紙中には、必要に応じて、他の填料を配合できる。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイオカーボン、水和珪酸、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂ならびにそれらの微小中空粒子等の有機顔料が挙げられる。
【0019】
なお紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤などの内添サイズ剤、耐水化剤、紫外線防止剤などの一般に公知公用の抄紙用薬品が添加されて、従来から慣用されている抄紙機により抄紙して原紙が製造される。
【0020】
近年、環境対応から用紙の軽量化が望まれてきているが、本願のように35〜50g/mの坪量では、抄造方向と直交する方向、すなわちCD方向のこわさが低く、印刷機の搬送系内で、ブランケットへの貼りつき、紙折等のトラブルの発生が観られる。そこでVoith社などからは、従来の抄紙機のワイヤー上で行うシェイキング条件を著しく高めたデュオシェイク技術を用いた装置が上市されている。この装置を用いると、CD方向へのパルプの配列が進み、繊維配向比が小さくなるとともにCDこわさも高くなる。また繊維配向比が小さくなることによりCD伸縮率が小さくなり、寸法安定性が向上する。さらにデュオシェイク技術によって、パルプ繊維がランダムに配向することから地合いも改善でき、且つ原紙の繊維配向表裏差も小さくでき、好ましく使用できる。
【0021】
本発明のオフセット印刷用微塗工紙は、上述のようにして得た原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする表面処理剤組成物による表面処理剤層を形成させて成るものであるが、原紙としては、上述のようにして得た原紙を基に、サイズプレス、ビルブレード、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレスを使用して、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙や、ピグメントと接着剤を含む塗工液を1層以上予備塗工した塗工原紙も使用可能である。
【0022】
顔料と接着剤を主成分とする表面処理剤組成物の片面当り塗工量は0.1〜1.4g/mであることが好ましい。1.4g/mを超えると、セットオフなどの印刷作業性に問題が発生することがある。また、0.1g/m未満の塗工量では不透明度効果が出ないため好ましくない。
【0023】
本発明では、原紙上に表面処理剤層を設けた後の製品坪量を、35〜50g/mとする。さらに35〜45g/mとしたとき、本発明が所望とする印刷後不透明度向上効果が極めて顕著に発揮されるので、特に好ましい。
【0024】
表面処理剤組成物の主成分である顔料としては、炭酸カルシウムを全顔料に対して60質量%以上、さらに好ましくは70〜90質量%含有する。炭酸カルシウムとしては、針状、柱状、立方体状、球状、紡錘状等があり、なかでも立方体状軽質炭酸カルシウムは塗工層中で粗な構造をとりやすく、インキ吸収性であるインキ中のビヒクル分を吸収する能力が高いため、セットオフ抑制効果が高く、また構造的に摩擦係数を高くし、滑り抑制効果を有する。55%未満の場合、インキ中のビヒクル分を吸収する能力が低く、セットオフ抑制効果が低くなり、且つ摩擦係数も低下する。
【0025】
炭酸カルシウムの粒子径は、小さいほうが塗工層の孔径が小さくなり、また比表面積が大きくなるため、セットオフおよび不透明度に有利となる。炭酸カルシウムは不透明度向上効果が高いが、動摩擦係数が上昇する傾向にある。一般的に高速で運転される輪転印刷機の場合には摩擦係数が低すぎると、ウェブテンションが掛かり難くなり、皺や紙流れ等を生じ問題となるが、高すぎても皺になることがある上に、印刷版摩耗を起こす懸念があるため、動摩擦係数を0.45〜0.65の範囲とする必要がある。動摩擦係数調整方法としては、表面処理剤層の顔料含有量の調整だけでなく、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属石鹸や、アルキルケテンダイマー、エチレン系化合物などの一般に用いられている滑剤でも調整可能であるが、不透明度向上効果とのバランスを考えてカオリンを併用することが好ましい。
【0026】
カオリンの不透明度向上効果は炭酸カルシウムに比べると劣るが、サチンや水和珪酸、有機顔料にくらべて接着剤の必要量が少ない上、表面平滑性への効果が大きいことから両者を併用することにより、少ない塗工量で表面性と不透明度のバランスをとることが可能となる。炭酸カルシウムとカオリンとの比率(質量比)は、60:40〜90:10の割合で含有することが好ましい。カオリンの割合を40より増やすと、摩擦係数が低下しすぎ、また不透明度が低下するため好ましくない。また10未満では動摩擦係数低下に寄与できないため好ましくない。カオリンとしては、レーザー法による平均粒子径が2〜8μmであるものが、不透明度向上効果を有するため好ましい。なお、この平均粒子径は、分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成社製)を0.2質量%添加混合した顔料スラリーをレーザー回折式粒度分布測定装置(形式:SALD−2000、島津製作所社製)にて粒度分布を測定し得られたメディアン径のことをいう。
【0027】
本発明では、原紙中の填料の吸油量、填料含有量、および原紙上に設ける表面処理剤層中に含有する全顔料中に占める炭酸カルシウムの配合量を規定値内とすることで、吸油度を所定の範囲に制御しやすくなり、さらに動摩擦係数、平滑度を所定の範囲内とすることによって、良好な印刷後不透明度と印刷作業性、印刷面品質を両立出来るようになる。すなわち、坪量35〜50g/m、白色度54%以上、印刷後不透明度90%以上、吸油度60〜200秒、動摩擦係数0.45〜0.65、平滑度20〜200秒とすることで、良好なインキ着肉性及び白色度を有し、印刷光沢が高く、印刷物のベタツキが少ない、オフセット印刷用微塗工紙が得られる。坪量は、35〜50g/mが好ましく、35〜45g/mとしたとき、印刷後不透明度向上効果が顕著に発揮されるので、特に好ましい。白色度は54%以上、さらに好ましくは55%以上にする。白色度は、高いほうが印刷面のコントラストを得られるため、カラー印刷では高いほうが特に好ましい。また印刷後不透明度は90%以上であり、裏映りの点から高いほうが好ましい。印刷後不透明度が低いと、両面に印刷を行う場合には、表面の印刷が裏面に見えるために、裏面の印刷品質を低下させるため好ましくない。吸油度は、60〜200秒が好ましく、75〜110秒がより好ましい。60秒未満では印刷機のロール汚れが発生しやすくなることがあり、200秒を超えるとセットオフが起こりやすくなることがある。動摩擦係数は、前述の理由で0.45〜0.65の範囲が好ましい。平滑度は、20〜200秒が好ましい。20秒未満では、粗い表面となり印刷画質が劣ったり、ガイドローラー汚れによる作業性低下を招くことがある。また200秒を超えると、搬送系内ローラーでのスリップで蛇行が起こったり、紙こわさが低い場合はブランケットへの貼りつきが生じ易く、安定した印刷が出来ないことがある。
【0028】
本発明では表面処理剤に、パイリングなどに代表される表面強度に関わるトラブルを回避するため、前記顔料とともに接着剤を配合する。
【0029】
表面強度と不透明度の両者を高めるための接着剤としては、澱粉類および合成ラテックス類が好ましい。これらの接着剤は顔料との相溶性が良好で、塗布時に凝集などを起し難いため、特に好ましく用いられる。澱粉類は、親水性成分である繊維との接着能力が高く、固形分塗工量が片面当り0.1〜1.4g/mとなるような少ない塗工量の場合において紙表面から脱落し易い微細繊維なども強力に接着するため好ましく用いられる。
【0030】
前記澱粉類としては、酵素変性澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、疎水化澱粉などが例示される。なお、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース化合物、ポリビニルアルコール化合物やポリアクリルアミド類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類などの通常使用される塗工紙用接着剤を一種類以上併用しても良い。
【0031】
本発明においては、接着剤として澱粉とともにラテックスを併用するのがさらに好ましい。ラテックスのTgとしては特に制限は無いが、表面強度とネッパリ防止のバランスを考慮して−50〜20℃のものが好ましく用いられる。このTg範囲内にあるものは常温で粘着性を発現し、顔料/填料への接着性が良好となるが、分子の極性が非常に低く、強親水性のセルロース繊維に接着性が発現にくいため、セルロース繊維との接着力が高い澱粉と併用し、澱粉のみでは弱い顔料/填料への接着性をカバーする働きを持つ。
【0032】
本発明のような低塗工量の場合には、このラテックスと澱粉による相互の働きの効果が大きく影響する。ラテックスとしてはコアシェル型のものが好ましい。低Tgラテックスは造膜性が高く、常温でもゴム状であるため粘着性を発現し易く、顔料間を接着する能力が高い。ただし、ブランケットに貼り付き易く、ネッパリ現象が起こり易い。一方、高Tgラテックスは、接着強度は弱いものの、ネッパリ現象が起き難くい。紙塗工用のコアシェル型ラテックスは一般にシェルを高Tgポリマーとし、コアを低Tgポリマーとしている。この構造では、ラテックス粒子の表層が大きく影響しているネッパリ現象を抑制しながらも、コアポリマーのTgに由来する良好な造膜性、粘着性により顔料の接着強度を向上できる。シェルポリマーのTgは0〜20℃が好ましく、コアポリマーのTgは−50〜0℃が好ましい。シェルポリマーのTgが0℃未満では、粘着性が強すぎるためネッパリ現象が発生し易くなり、20℃を超えると顔料の接着強度が低下してしまうことがある。コアポリマーのTgが−50℃未満では強撥水成分であるスチレン量が少なくなってしまうため、吸水性や着肉性が悪化し、0℃を超えると顔料接着能力が不足し、表面強度発現性が低下することがある。なお、濃度勾配型と呼ばれる、粒子の内部から外部への組成が連続的に変化しているラテックスについても同様の効果があるが、コアシェル型のほうがより明確にTg制御の影響が現れるため、好ましく用いられる。
【0033】
本発明においては、オフセット印刷用微塗工紙の製造工程での良好な塗工適性と良好な印刷作業性を提供する上で、接着剤の配合比を顔料100質量部に対するバインダーの比率が乾燥質量で40〜150質量部、好ましくは40〜70質量部となるように配合する。40質量部未満では顔料および原紙の表面繊維に対して充分な接着力が得られないことがある。150質量部を超えると、表面強度は強くなるものの、印刷後不透明度および白色度が低下し、またセットオフトラブルが発生しやすくなるため好ましくない。接着剤量は、特に40〜70質量部の範囲とすることで充分な表面強度が得られ、かつ接着剤に起因する印刷後不透明度や白色度の低下が抑えられるため、品質的にも経済的にも好ましい。
【0034】
澱粉100質量部に対するラテックスの比率は10〜100質量部が好ましく、10〜70質量部がさらに好ましい。ラテックスの比率が10質量部未満では顔料や填料に対する接着性が不足し、印刷機上でパイリングなどのトラブルが起こりやすくなることがある。100質量部を超えると、インキ中のビヒクル分が急速に吸収されてインキタックが上昇して印刷機のロールに付着・堆積し、これに起因するコスレ汚れトラブルが起こる可能性がある。またドライピックが悪化することによる印刷面カスレの懸念がある。なお、ラテックスの配合により紙表面の水に対する接触角を向上できるが、水滴下後0.1秒後の接触角が80°以上、好ましくは80〜110°である。水滴下後0.1秒後の接触角が80°以上では、インキに対しての充分な親和性が確保され、インキ着肉性が良好となる。また、オフセット印刷用微塗工紙において必要とされるウェット表面強度が得やすくなる。
【0035】
上述した表面処理剤組成物を原紙へ塗布するための装置としては、特に限定されるものではなく、例えば、インクラインまたはバーティカルツーロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコータなどのロールコーター、トレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエルなどのベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどの公知公用の装置が適宜使用される。なお、表面処理剤組成物を塗布後の湿潤塗工層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電機ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥などの各種方式が採用できる。
【0036】
本発明に係るオフセット印刷用微塗工紙の製造に関しては、表面処理剤組成物による表面処理剤層を形成後に、各種キャレンダー装置にて平滑化処理が施される。かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダーなどの一般に使用されているキャレンダーが適宜使用される。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前水分などが、要求される品質に応じて適宜選択される。また、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプと、コーターと一体になっているオンタイプとがあるが、どちらでも使用可能である。使用するキャレンダー装置のロール材質は、剛性ロールでは、金属もしくは、その表面に硬質クロムメッキなどで鏡面処理したロールである。また弾性ロールはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂などの樹脂ロール、コットン、ナイロン、アラミド樹脂などを成形したロールが適宜使用される。さらに、キャレンダーによる仕上げ後の塗工紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置などを適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0037】
本発明では、平滑化処理にあたって使用するキャレンダー装置として、本発明の効果を十分に発現する上で、ソフトニップのオンマシンキャレンダーが望ましい。その理由として、オンマシン、1スタックなどソフトキャレンダーで通常行われるキャレンダー処理において、十分な平滑性が得られること、また本発明で適用される高速生産に適していることがあげられる。さらに、以下に詳述するように、本発明が所望とする印刷後不透明度に対し好ましい設備であることに因る。すなわち紙はパルプスラリーをシート状にしたものであるため、完全に厚みが均一なものとはなっていない。ソフトニップキャレンダーでは、紙に圧が加えられるとき紙面に凹凸があっても比較的均一な圧力が加えられるために、全面に亘り緊度としてほぼ一定となっている。これは厚み一定になっている場合と比較すると、インキの浸透や光散乱性などが均一となり、印刷後不透明度に好ましいからである。ゆえに、本発明の適用にあたっては、オンマシンのソフトニップキャレンダーで行われることが望ましい。その他のキャレンダーであるスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に使用されているものでは、本発明の効果が十分に発現できない場合がある。上述のソフトニップキャレンダーとしては、キュースタ社のMOL、バルメット社のオプティニップなどが使用できる。ソフトニップキャレンダーを掛ける方法として、1ニップのキャレンダーを1台通す方法(1ニップ×1スタック)、あるいは1ニップのキャレンダーを2台通す方法(1ニップ×2スタック)のいずれでも良く、2スタックの場合、通常は、金属ロールに接触する面を1台目と2台目で逆にすることが好ましい。キャレンダーの線圧としては、5〜200Kg/cm、好ましくは50〜150Kg/cmである。
【0038】
本発明のオフセット印刷用微塗工紙は、平滑度については、前述の理由から20〜200秒の範囲に仕上げる。すなわち、20秒未満では、粗い表面となり印刷画質が劣ったり、ガイドローラー汚れによる作業性低下を招くことがあり、200秒を超えると、搬送系内ローラーでのスリップにより蛇行や、紙こわさが低い場合はブランケットへの貼りつきが生じ易く、安定した印刷が出来ないことがある。
【0039】
本発明になるオフセット印刷用微塗工紙の緊度は0.55〜0.70g/cm3であることが望ましい。これは前提条件となる坪量35〜50g/mのオフセット印刷用微塗工紙において、適切な印刷後不透明度および高速印刷に耐えうる表面強度を持たせる為に必要であり、0.55g/cm3未満では、紙表面がインキのタックに耐えられず剥けたり、含まれる無機微粒子の脱落が生じる懸念がある。また、0.70g/cm3を超えると、印刷後不透明度が低くなり、インキセット性が劣るため問題となることがある。
【0040】
さらに、印刷物同士のコスレ汚れや印刷搬送系内ロールとの密着によるコスレ汚れの防止に対しては、用紙表面に1mm当たり10〜1000個の凸状部を形成することも効果が高く、好ましい。10個未満の場合は、所望とする印刷搬送系内ロールとの密着によるコスレ汚れの防止効果が十分に得られない場合がある。一方1000個を越えると印刷インキの良好な転移を阻害して転移斑を生じることがある。用紙表面に凸状部を形成する手段としては種々挙げられるが、一例として平均粒子径3.0〜20.0μmの球状粒子をサイズプレスあるいは表面処理剤層中に含有させることが挙げられる。
【0041】
前記球状粒子としては、無機顔料または/および有機顔料からなるものが使用できる。また、前記有機顔料としては、密実型、中空型、貫通孔型であるものを適宜選択して用いることが好ましい。本発明に係るオフセット印刷用紙は、良好な白色度を有し、印刷光沢が高く、印刷物のベタツキが少ないので印刷作業性が良好である、特にカラー多色印刷時に網点の太りがなく、また軽量でありながら裏映りも少ないため、高品質な画像を得ることが可能となる。
【0042】
また、近年では固定情報をオフセット印刷し、その後、可変情報の高速印字が可能で騒音の発生がない利点を有するため、熱・圧力定着やフラッシュ定着、オーブン定着による電子写真方式で出力することが主流になっている。熱・圧着方式の印字装置では、粉体トナーを用紙へ転写した後、約200℃に加熱したヒートロールに紙を押し付けることにより、粉体トナー定着が行われ、機種によってはヒートロールの前に、約100℃のプレヒーター部を設けているものがある。またフラッシュ定着方式は、感光体または中間転写部材から転写紙上に転写された粉体トナー像に、たとえば、キセノン、ハロゲンフラッシュランプなどの閃光を照射し、その輻射熱によりトナー像を溶融して転写紙上に定着する方法である。
【0043】
オーブン定着方式は、感光体または中間転写部材から転写紙上に転写された粉体トナー像に、たとえば、オーブン雰囲気下で赤外線を照射し、その輻射熱によりトナー像を溶融して転写紙上に定着する方法である。
【0044】
定着方式としてのでフラッシュやオーブン定着方式のような非接触加熱定着方式は以下に述べるような優れた特徴をもつことから、注目されている。
(1)粉体トナー像がいかなる部材にも接触することなく溶融して定着する非接触定着方式であるので、定着用ロール等の部材による像つぶれがなく現像時の解像度を劣化させない。
(2)定着時間が極めて短時間であるため、高速定着が可能である。
(3)定着ロールの予熱が不要なため、クィックスタートが可能である。
(4)厚さ、紙質の異なる転写紙に容易に対応可能である。
【0045】
本発明に係るオフセット印刷用微塗工紙は、上記方式の熱・圧力定着やフラッシュ定着、オーブン定着による電子写真方式の出力に対して、良好な画質と走行性が得られる用紙である。特に用紙の不透明度が高いため、両面印字品での画像の裏映りが小さくなるといった利点がある。
【0046】
前記画像記録において、特に、5〜7μm程度のトナー粒子によって画像が形成される電子写真方式では、上述の塗工紙を用いることによって極めて高品位な画像を得ることができる。例えば、ISO−13660ドラフトスタンダード・QEA(Quality Engineering Assosiates,Inc.)に準拠した方法に基づいて、電子写真方式プリンターを用いて画像を形成、評価すると、タイルサイズ40μmにおけるモトルが、10GSV(Grey Scale Value)以下、ラインのラジェドネス(ギザギザ度)が10μm以下、ブラリネス(ぼやけ度)が11μm以下であり、極めて良好な画像を得ることが出来る。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はそれらの例に限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。本発明で使用される填料、顔料、原紙、ならびに各実施例、各比較例により得られるオフセット印刷用微塗工紙について、下記の物性を測定し、その結果を表1、表2に示した。
【0048】
本発明で使用される填料および顔料の各特性値は、粒子スラリーの場合は濾過水洗した後、粉体の場合はそのままを乾燥機にて105℃で乾燥し、この乾燥物を下記の測定方法により測定して得た。
(吸油量)
JIS K5101の方法により、試料5gにJIS K5421規定の亜麻仁油をビュレットから滴下し、全体がパテ状の固まりになるまでに使用した亜麻仁油量を試料100g当りの量に換算し、求めた。
(細孔容量、細孔直径)
水銀ポロシメーター(形式:ポアサイザ9320、マイクロメリティックス社製)を用いて測定した。なお、細孔直径10Å以下の細孔表面積、細孔容量については、細孔直径が12Å〜105Åの細孔について測定した。
(平均粒子径)
レーザー回折式粒度分布測定装置(形式:SALD−2000、島津製作所社製)において、メディアン径を平均粒子径とした。
(填料含有量)
JIS P 8251に準じて温度525℃、3時間を適用した。また、JIS P8252に準じて温度900℃、3時間で炭酸カルシウム分を酸化カルシウムに転化させ、その差分より炭酸カルシウム分を求めた。
【0049】
(坪量)
JIS P 8124−1998に準拠した。
(緊度)
JIS P 8118−1998に準拠した。
(白色度)
本発明における白色度は、分光白色度測色計(スガ試験機社製)を使用してISO 3688に記載の方法で測定した。
(平滑度)
JAPAN TAPPI紙パルプ試験法No.5Bによる王研式平滑度計(旭精工社製)を用いて測定した。
(不透明度)
JIS P 8147に準拠して測定した。
【0050】
(印刷後不透明度)
JAPAN TAPPI No.45に準拠した。本発明の実施例においては、印刷インキ(News Webmaster;タック3〜5)を使用し、印刷面反射率が9%の時の、印刷後不透明度が90%以上であれば、良好である。
(動摩擦係数)
JIS P 8147に準拠した。なお表裏−縦縦での測定で、引張速度は200mm/分で測定した。
(吸油度)
実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙の表面に動粘性係数を3cStに調整した軽油を、マイクロシリンジを用いて5μL滴下し、表面の光沢がみえなくなるまでの時間を測定した。
(接触角)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙について、23℃、50%RH雰囲気下で、動的表面接触角測定装置(ダイナミックアブソープションテスタ DAT1100、Fibro社製)を用い、水滴を滴下後0.1秒後の表面接触角を測定した。
【0051】
(ドライピック)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙から巾2cm長さ20cmの試料を切り取り、これをサンプル台紙(OK特アートポスト 256g/m2)に貼りつけ、RI印刷試験機(石川島産業機械社製)にて、印刷インキ(紙試験 SD50紅B T&K TOKA社製)を0.4cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:繊維の取られが全くみられず、白抜けが発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生し、白抜け部がわずかに(1〜5個所/36cm程度)みられる。
3:一部で繊維の取られが発生するが、実用上問題のないレベル。白抜け部は6〜20個所/36cm程度。
2:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%未満。
1:全面で繊維の取られや紙面の剥けがみられ、白抜け部面積率が5%以上。
【0052】
(ウェットピック)
上記ドライピック試験と同様にして、各実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、RI印刷試験機にて、湿らせたガーゼで水を付けたゴムロールで微塗工紙面に水を付けた後、直ちに印刷インキ(T&K TOKA社製)を0.5cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:繊維の取られが全くみられず、白抜けが発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生し、白抜け部がわずかに(1〜5個所程度)みられる。
3:一部で繊維の取られが発生するが、実用上問題のないレベル。
2:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%未満。
1:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%以上。
【0053】
(インキセット)
各実施例及び比較例で得た、オフセット印刷用微塗工紙を短冊状に切り、サンプル台紙(OK特アートポスト 256g/m)に横並びに貼り付けたものを作成する。インキ練り用のゴムロールを4胴目にセットしたRI印刷試験機(石川島産業機械社製)にて該当する金属ロールとの間でオフセット輪転機用新聞印刷インキ(NEWS WEBMASTER/プロセス墨G2:サカタインクス社製)を0.5cc練った後、インキ練り用のゴムロールを2胴目に移動し、新たに4胴目に比較的平滑性の高いインキ転写用片面塗工紙を巻いたゴムロールを装着し、2胴目で印刷を行う。4胴目のロールにタッチした時点で一旦回転を止め、そこから一定時間毎に2cmずつ4胴目のロールにインキを転写し、その転写濃度変化を目視評価した。評価は5段階で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。なお、下記において基準品とは比較例1で得られたオフセット印刷用微塗工紙である。以下のコスレ汚れおよびネッパリに関する評価でも同じ基準品を使用した。
〈評価基準〉
5:基準品と比較して、印刷終了後のオフセット印刷用微塗工紙の表面を転写した片面塗工紙のインキ濃度が明確に低い
4:基準品と比較して、印刷終了後のオフセット印刷用微塗工紙の表面を転写した片面塗工紙のインキ濃度がやや低い
3:基準品と同等のインキ濃度。
2:基準品と比較して、印刷終了後のオフセット印刷用微塗工紙の表面を転写した片面塗工紙のインキ濃度がやや高い
1:基準品と比較して、印刷終了後オフセット印刷用微塗工紙の表面を転写した片面塗工紙のインキ濃度が明確に高い
【0054】
(コスレ汚れ)
各実施例及び比較例で得た、オフセット印刷用微塗工紙をタワー型多色輪転印刷機で12万部/時の速度で印刷し、そのコスレによる紙面の汚れ具合を目視で評価し、5段階での順位付けを行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:基準品と比較して、印刷物のコスレ汚れがなく、優れている
4:基準品と比較して、印刷物のコスレ汚れが若干あるが、やや優れている
3:基準品と同等のコスレ汚れの程度。
2:基準品と比較して、印刷物のコスレ汚れの程度がやや劣っている
1:基準品と比較して、印刷物のコスレ汚れの程度が著しく劣っている
【0055】
(ネッパリ)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙について、非画線部のみのアルミ版とブランケット(DAYインターナショナル社製DAYブランケット8891)をセットしたオフセット印刷機(三菱リソピアLーBT3ー1100)を用いて、インキをのせずに1〜4胴すべてで水刷りを行い、200部印刷を行った後、水供給を停止し、用紙のブランケットへの貼りつき度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:繊維の取られが全く発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生。
3:繊維の取られは発生するが、実用上問題のないレベル。
2:一部で紙層破壊発生。
1:全面で紙層破壊発生。
【0056】
(印刷濃淡ムラ)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用微塗工紙から巾2cm長さ20cmの試料を切り取り、これをサンプル台紙(OK特アートポスト 256g/m2)に貼りつけ、RI印刷試験機(石川島産業機械社製)にて、印刷インキ(紙試験 GEOS−G 墨 DIC社製)を0.2cc使用して印刷を行い、印刷面の濃淡ムラの程度を目視評価した。評価は5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:濃淡ムラが全く発生していない。
4:ごくわずかに濃淡ムラが発生している。
3:一部で濃淡ムラの発生がみられるが、実用上問題のないレベル。
2:全面で濃淡ムラが発生している。
1:全面で著しく濃淡ムラが発生している。
【0057】
(表面処理層表面の凸状部の計数)
電子顕微鏡で200倍に拡大して、表面処理層表面100mmの凸状部を計数し、1mmあたりの個数に換算した。
【0058】
電子写真方式での印字評価
(裏映り)
各実施例および比較例で得た嵩高上質印刷用紙について、昭和情報機器(株)のSR3000、コニカミノルタの連続紙フルカラープリンタCP1275C(非接触フラッシュ定着方式)を用いて、両面印字を行い、裏映り度合い、並びに画像濃淡ムラを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:表の画像が全く見えない。
4:表の画像がごくわずかに見られる。
3:表の画像が見えるが、実用上問題のないレベル。
2:表の画像が良く見える。
1:表の画像が極めて良く見える。
【0059】
(画像濃淡ムラ)
〈評価基準〉
5:中間調の均一濃度部分に、濃淡が観られず良好。
4:中間調の均一濃度部分に、若干濃淡ムラが観られるが、良好。
3:中間調の均一濃度部分に、やや濃淡ムラが観られるが、実用上問題ない。
2:中間調の均一濃度部分に、濃淡ムラが観られ、実用上問題がある。
1:中間調の均一濃度部分に、著しい濃淡ムラが観られ、実用上問題がある。
【0060】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(A)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が380mL/100gの水和珪酸、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が380mL/100gの水和珪酸を2.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0061】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(B)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が470mL/100gの水和珪酸、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が470mL/100gの水和珪酸を2.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0062】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(C)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が380mL/100gの水和珪酸を、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が380mL/100gの水和珪酸を4.8%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0063】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(D)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が380mL/100gの水和珪酸、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が380mL/100gの水和珪酸を1.0%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0064】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(E)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が200mL/100gの水和珪酸(商品名:トクシールGUーN、トクヤマ社製)、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量42.3g/mで、吸油量が200mL/100gの水和珪酸を2.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0065】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(F)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が200mL/100gの水和珪酸(商品名:トクシールGUーN、トクヤマ社製)、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が200mL/100gの水和珪酸を2.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0066】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(G)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が80mL/100gの軽質炭酸カルシウム、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が80mL/100gの軽質炭酸カルシウムを6.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0067】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(H)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mのオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0068】
オフセット印刷用微塗工紙用原紙(I)の製造
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)12部、サーモメカニカルパルプ(TMP)27部、脱墨パルプ(DIP)61部の割合で混合して離解し、レファイナーで叩解処理したパルプスラリーに、カチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH Co.Ltd社製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業社製)を0.8%、填料として吸油量が380mL/100gの水和珪酸を、これら全てを対絶乾パルプ質量%の割合で添加し、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整後、得られた紙料をギャップフォーマー抄紙機で抄紙し、坪量41.2g/mで、吸油量が380mL/100gの水和珪酸を5.5%含有するオフセット印刷用微塗工用原紙を得た。
【0069】
実施例1
軽質炭酸カルシウム(TP222HS、奥多摩工業社製)75部、カオリン(商品名:ミラグロスOP、シール社製、平均粒子径1.0μm)25部に対し、分散剤(商品名:アロンTー50、東亜合成社製)0.1部を添加し、分散させた60%分散スラリーにスチレン−ブタジエンラテックス(商品名:T−2531E、JSR社製)9部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)50部、潤滑剤(商品名:SN239、サンノプコ社製)0.20部、耐水化剤(商品名:スミレーズ SPI−203、住友化学工業社製)0.2部、蛍光染料(商品名:カヤホールPASリキッド、日本化薬社製)0.5部からなる固形分濃度25%の塗料を調整し、これを上記原紙(A)の両面に、ゲートロールコータを使用して乾燥後の塗工量が片面当り0.8g/mとなるように塗布、乾燥後、1ニップ×2スタックのソフトニップキャレンダー(キュースタ社製)にて平滑度が40秒となるような条件で仕上げを行い、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0070】
実施例2
実施例1の原紙を原紙(B)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0071】
実施例3
実施例1の原紙を原紙(C)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0072】
実施例4
実施例1の顔料を、軽質炭酸カルシウムを90部、カオリンを10部とした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0073】
実施例5
実施例1の原紙を原紙(D)とし、軽質炭酸カルシウムを60部、カオリンを40部にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0074】
実施例6
実施例1の軽質炭酸カルシウムを80部とし、カオリン(商品名:ミラグロスOP、シール社製、平均粒子径1.0μm)15部に替えて大粒子径カオリン(商品名:Contour1500、イメリス社製、平均粒子径4.6μm)20部とした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0075】
実施例7
実施例1のスチレン−ブタジエンラテックス(商品名:T−2531E、JSR社製)を21部とし、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)を43部とした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0076】
実施例8
実施例1のスチレン−ブタジエンラテックス(商品名:T−2531E、JSR社製)を19部とし、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)を19部とした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0077】
実施例9、10
実施例1のソフトニップキャレンダー(キュースタ社製)を変更し、平滑度が30秒(実施例9)と120秒(実施例10)なるような条件で仕上げを行い、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0078】
実施例11
実施例1で、原紙(A)の坪量を41.2g/mから34.4g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、坪量36g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0079】
実施例12
軽質炭酸カルシウム(TP222HS、奥多摩工業社製)75部の5部を球状粒子(成分;直径10μmの軽質炭酸カルシウム、米庄石灰工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0080】
実施例13
軽質炭酸カルシウム(TP222HS、奥多摩工業社製)75部の70部を球状粒子(成分;直径10μmの軽質炭酸カルシウム、米庄石灰工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0081】
比較例1
酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)100部からなる固形分濃度7%の塗料を調整し、これを上記原紙(E)の両面に、ゲートロールコータを使用して乾燥後の塗工量が片面当り0.25g/mとなるように塗布、乾燥して坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0082】
比較例2
実施例1の原紙を原紙(F)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0083】
比較例3
実施例1の原紙を原紙(G)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0084】
比較例4
実施例1のカオリン(商品名:ミラグロスOP、シール社製、平均粒子径1.0μm)を100部とし、軽質炭酸カルシウムを使用しなかった以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0085】
比較例5
実施例1の軽質炭酸カルシウム(TP222HS、奥多摩工業社製)を40部、カオリン(商品名:ミラグロスOP、シール社製、平均粒子径1.0μm)を60部とした以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0086】
比較例6
実施例1の原紙を原紙(H)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0087】
比較例7
実施例1の原紙を原紙(I)にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0088】
比較例8
実施例1で平滑度を10秒にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0089】
比較例9
実施例1で平滑度を300秒にした以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g
/mのオフセット印刷用微塗工紙を得た。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする表面処理剤層を有するオフセット印刷用微塗工紙において、前記原紙が吸油量360〜500mL/100gの填料を0.5〜5.0質量%含有し、前記表面処理剤層が、炭酸カルシウムを全顔料100質量部に対して55質量部以上含有したものであり、かつ下記特性を有することを特徴とするオフセット印刷用微塗工紙。
坪量35〜50g/m
動摩擦係数0.45〜0.65
白色度54%以上
印刷後不透明度90%以上
吸油度60〜200秒
平滑度20〜200秒
【請求項2】
前記填料は、細孔直径0.01〜10.0μmの積算容積が2.0〜5.0mL/gであり、細孔容積50%の中心細孔直径が0.05〜0.20μmであり、0.01〜0.10μmの細孔径範囲の積算容量が1.0mL/g以上であり、かつレーザー法による平均粒子径が15〜40μmである請求項1に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項3】
前記顔料100質量部当たりの接着剤量が、40〜150質量部である請求項1または2に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項4】
前記顔料が、炭酸カルシウムとカオリンを60:40〜90:10(質量比)の割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項5】
前記カオリンのレーザー法による平均粒子径が、2.0〜8.0μmである請求項4に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項6】
前記炭酸カルシウムが、立方体状軽質炭酸カルシウムである請求項1〜5のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項7】
前記接着剤が澱粉と合成ラテックスを主成分とし、澱粉100質量部に対する合成ラテックスの比率が10〜100質量部であり、かつ前記表面処理剤層表面と水との接触角が、水滴下後0.1秒後の値で80°以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項8】
前記ラテックスが、コアシェル型のラテックスである請求項7に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項9】
前記オフセット印刷用微塗工紙が、緊度0.55〜0.70g/cmである請求項1〜8のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項10】
前記原紙の古紙パルプ配合率が、60質量%以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項11】
前記表面処理剤層における片面当たりの塗工量が0.1〜1.4g/mである請求項1〜10のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。
【請求項12】
前記表面処理剤層を有するオフセット印刷用微塗工紙において、表面に1mm当り10〜1000個の凸状部を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のオフセット印刷用微塗工紙。

【公開番号】特開2008−255551(P2008−255551A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314387(P2007−314387)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】