説明

オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達

本発明は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子を送達するための組成物および方法に関する。本開示は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子および経皮ビヒクル含む組成物を、それを必要とする患者の皮膚に投与するステップを含む、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達方法も提供する。一態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、経皮的である。別の態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、局所的である。別の態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、局所的適用後の表皮および真皮にである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月17日に出願された米国仮出願第61/187,759号の、35 U.S.C. § 119(e)のもとの優先権の利益を主張し、また本出願は、2009年1月8日に出願された米国仮出願第61/143,293号および2009年4月15日に出願された米国仮出願第61/169,384号の、35 U.S.C. § 119(e)のもとの優先権の利益を主張する、2010年1月8日に出願された米国仮出願第12/684,836号の一部継続出願であり、それらの全ての開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府権益に関する記述
本発明は、国立衛生研究所(NIH)より与えられた助成金番号5DP1 OD000285およびU54 CA0119341のもと、政府の援助を受けて行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子(ON−NP)抱合体ならびに細菌タンパク質生成の阻害方法を対象とする。本発明はまた、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子を送達する組成物および方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
遺伝子発現を制御するための遺伝的物質の細胞および組織への導入は、遺伝子経路および機能に関与する研究に大きく影響し、治療用途に有望である。遺伝子レベルのアプローチは、大多数の薬物では得られない固有の特異性を有する。siRNAは、潜在的な治療手段としての有望性が高く、現在、癌を含む広範な臨床問題を対象とする臨床試験中である。遺伝子発現抑制は、さらに費用効率が高く、小分子阻害剤より大きな潜在的特異性で、タンパク質発現および機能の下方調節をもたらす。特に、siRNA治療は、遺伝子内の一点変異を標的とすることができ、一方小分子療法は、これまで変異体と正常遺伝子産物とを正確に区別していない。ホットスポット変異の識別、直接的遺伝子配列決定、または遺伝子増幅のためのアッセイにより、各メラノーマにおける特異的な遺伝子の変化を決定する能力を鑑みて、メラノーマに、特異的遺伝子標識を指定することができる。siRNAは、多くの細胞によって取り込まれるかもしれないが、変異遺伝子または活性化シグナル伝達タンパク質を有する細胞のみが、標的遺伝子療法の影響を受け、これによって、正常な細胞に悪影響を及ぼすことなく、メラノーマにおいてシグナル伝達する経路の正常化を可能にする。
【0005】
多くのタンパク質の送達と同様に、核酸の分解および消化管からの生体利用性の低さが、siRNAの経口送達に対する大きなハードルである。静脈内送達でさえ、従来のsiRNAは血清因子によって迅速に分解され、その標的に到達しない。核酸の局所適用は、病変皮膚における遺伝子の抑制(例えば、これに限定されないが、皮膚における転移の治療のため)、および内部標的への経皮送達の両方に、大きな治療の利点を呈する。適用は無痛であり、制御が容易であり、皮膚は非常に接触しやすい。表皮における効果的な物理的障壁は、主に、表皮の最も外側の領域である角質層に、そして、それほどではないが、深部表皮に局在する。この表皮障壁は、大量の水分損失(内側から外側)および核酸を含む環境中の物質の進入(外側から内側)に対して保護する。超音波、レーザー、および注射等の機械的アプローチが、マウス角質層を通る浸透を促進し、siRNAを皮膚内に入れるために使用されてきたが、特殊な装置を必要とし、送達範囲を限定し、皮膚を損傷する可能性がある。これらの課題は、角質層を通過できる抑制型核酸を送達するための、適用が容易な経皮システムの必要性を強調している。
【0006】
皮膚疾患の直接的標的化は、遺伝子抑制療法において理想的なモデルである。しかしながら、生体外で遺伝子を抑制するための商業的に入手可能な物質は、良くても、角化細胞(KC)およびメラニン細胞等の一次培養細胞の中に遺伝子物質を送達するのにわずかに成功しただけであった。さらに、皮膚機能の外層は、従来、核酸およびタンパク質の皮膚への、および真皮から循環流への透過を防止する細胞学的障壁として機能する[非特許文献1]。よって、十分な量のオリゴヌクレオチドを移動させるためにこの層を横断することは、困難な課題であった。
【0007】
皮膚は、身体のうちで最も広い器官であり、表皮、真皮、および皮下組織の3つの層を含む。表皮は皮膚の外層である。表皮の厚さは、異なる種類の皮膚により異なる。眼瞼は最も薄く.05mmであり、手掌および足底は最も厚く1.5mmである。表皮は、進行的により分化細胞である4つの主層を含む。底層から上層まで、層は、
●基底層
●有棘層
●顆粒層
●角質層と名付けられる。
【0008】
底層の基底層は、円柱のような形状の細胞を有する。本層において、細胞は分裂し、既に形成された細胞を上層に押し上げる。細胞は上層に移動するにつれて平らになり、より成熟し、最終的には「死」に、剥がれる。表皮の上層の角質層は、剥がれた平らな皮膚細胞から成り、基底層の細胞から角質層に達し、その後剥がれるまでに約4週間かかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Prausnitz et al.,Nat Biotechnol26:1261−1268(2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子を送達するための組成物および方法を提供する。
【0011】
幾つかの実施形態において、本開示は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子(ON−NP)および経皮ビヒクル含む経皮組成物を提供する。
【0012】
本開示は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子および経皮ビヒクル含む組成物を、それを必要とする患者の皮膚に投与するステップを含む、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達方法も提供する。
【0013】
一態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、経皮的である。別の態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、局所的である。別の態様において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は、局所的適用後の表皮および真皮にである。
【0014】
幾つかの実施形態において、経皮ビヒクルは軟膏を含む。幾つかの態様において、軟膏はAquaphorである。
【0015】
別の実施形態において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子が標的とハイブリッド形成し、遺伝子発現を調節する条件下で、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子を含む治療上有効量の組成物を皮膚に投与するステップを含む、遺伝子発現の調節方法を提供する。
【0016】
幾つかの態様において、標的は、ポリヌクレオチドである。関連する態様において、ポリヌクレオチドはRNAである。幾つかの態様において、標的はポリペプチドである。
【0017】
本開示のさらなる実施形態において、組成物の投与は皮膚疾患を軽減する。
【0018】
種々の実施形態において、皮膚疾患は、癌、遺伝的疾患、老化、炎症、感染、および美容上の変形から成る群から選択される。
【0019】
幾つかの態様において、癌は、扁平上皮癌、基底細胞癌、乳癌、およびメラノーマから成る群から選択される。
【0020】
またさらなる実施形態において、標的は、Ras、IkBα、ヘッジホッグ、B−Raf、Akt、およびサイクリンDから成る群から選択される遺伝子により発現する遺伝子産物である。
【0021】
幾つかの態様において、遺伝的疾患は、単純性表皮水疱症、水疱性魚鱗癬、先天性爪肥厚症、コステロ症候群、および結節性硬化症から成る群から選択される。さらなる態様において、標的は変異を含む遺伝子産物であり、前記遺伝子産物は、K5、K14、K1、K10、H−Ras、およびm−Torから成る群から選択される遺伝子により発現する。
【0022】
幾つかの実施形態において、老化性疾患は、UV損傷および早老症から成る群から選択される。幾つかの態様において、標的は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1およびプロジェリンから成る群から選択される遺伝子により発現する遺伝子産物である。
【0023】
幾つかの実施形態において、炎症は、乾癬によるものである。幾つかの態様において、標的はインターロイキン−23である。
【0024】
一実施形態において、ウイルス感染は、疣贅をもたらす。幾つかの態様において、標的はE6/E7である。
【0025】
さらなる実施形態において、美容上の変形は、脂漏性角化症、表皮母斑、および色素性母斑から成る群から選択される。種々の態様において、標的は変異を含む遺伝子産物であり、前記遺伝子産物は、FGFR3、K10、およびB−Rafから成る群から選択される遺伝子により発現する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】プロモーター複合体結合(A)および完全なmRNA転写物形成(B)の形成を阻害する、オリゴヌクレオチド金ナノ粒子(Au−NP)抱合体の概略図を示す。
【図2】抱合体処理後の大腸菌の電子顕微鏡像を示す。
【図3】ナノ粒子の使用による、細菌ルシフェラーゼ発現の阻害についての結果の要約を示す。ナンセンスは、大腸菌ゲノムまたは形質移入されたプラスミド上に相補領域を持たない配列を表す。アンチセンスは、配列標的ルシフェラーゼを表す。相対的なルシフェラーゼ活性は、棒内のパーセンテージとして示され、ウミシイタケ発現に基準化される。
【図4】二重鎖侵入スキームを示す。A)ナノ粒子による二重鎖(二重鎖の末端のフルオレセインと隣接するダブシル)の侵入により蛍光シグナルを発する概略図。B)結果は、短い(20塩基対)二重鎖と長い(40塩基対)二重鎖の両方において、二重鎖の侵入とともに蛍光が増大したことを例証する(灰色の棒はナンセンス配列を表し、黒色の棒はアンチセンス配列を表す)。
【図5】適用後24時間内の、約25nMのsiRNA−金ナノ粒子の表皮、真皮、および皮下組織への浸透を示す。A)マウス皮膚におけるsiRNA−Au NPの共焦点像。左側のパネル=Cy3。明るい色は、角質層(外側皮膚層)であり、これは、密度の高い粒子蓄積および自然蛍光の両方による明るい蛍光であり得る。毛(卵胞内の縦断面に見られる)も強い蛍光である、中央=核のDAPI染色、右=重複像。画像は、約100%の表皮細胞における蛍光siRNA−Au NPの取り込みを示す。B)下層間葉組織(+)の脂肪細胞(矢印)および線維芽細胞も、ほぼ全体に蛍光粒子を取り込む。棒=20μm。
【図6】siRNA−Au NPを用いた4週間の治療後のC57BL/6−Tg(UBC−GFP)30Scha/JマウスにおけるGFPノックダウンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
局所的に、または全身送達のために経皮的に投与することができるナノ粒子送達システムを、本明細書に開示する。幾つかの実施形態において、本システムは、ナノ粒子(siRNA−NP)の表面上に濃密に詰められるsiRNA二重鎖を利用する。これらの抱合体は、生物学的条件下でのオリゴヌクレオチド殻の保持を含むが、これに限定されない多くの独特の特性を示し、同時に形質移入および遺伝子調節できる単一薬剤をもたらす。オリゴヌクレオチド−NP(ON−NP)は、有害な形質移入試薬を添加せずに細胞膜を容易に横断することができる。重要なことは、これらの構造は、核酸送達のビヒクルとして単に機能しないが、細胞内で構造体として抱合されたままである。蛍光分光試験は、チオール化されたオリゴヌクレオチドが、細胞内在化後、NPに結合されたままであることを示し、ナノ物質の複合特性をうまく利用することができる。ON−NPが示す別の特性は、生理学的環境におけるそれらのけた外れた安定性である。他のナノ物質および遺伝子形質移入試薬と違い、オリゴヌクレオチド−NPは、生物学的に意義のある条件下で容易に操作することができる。これらは、高低塩濃度、極端なpH、および温度変動を含む。ON−NPのさらなる特性は、ヌクレアーゼによる分解に対するそれらの耐性である。エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼは、体液中に存在し、外来遺伝子物質を破壊するように機能するため、核酸の酵素安定性を増加するための方法は、非常に重要である。核酸の酵素安定性を増加するための先だっての戦略は、化学修飾に依存するが、オリゴヌクレオチド−NPの増強した耐性は、ナノ粒子表面の高濃度機能付与に基づくという点で独特である。本環境は、ナノ粒子表面の近隣内に高局所誘電体を作製し、よって、高親和性標的認識および酵素分解に対する耐性の両方を提供する。ON−NPが示すさらなる特性は、補助試薬を使用せずに、「形質移入が困難な」一次細胞を含む、種々の細胞種に進入するそれらの能力である。ON−NPの別の特性は、明らかな毒性がないことである。これらのナノ抱合体は、独特の大きさ、電荷、および表面機能を有し、特性はオリゴヌクレオチドとNPの組み合わせに由来する。これらの独特な物質についての予備的な毒性学スクリーニングは、動物モデルの高用量で、急性毒性を示さなかった。
【0028】
ON−NPの局所的適用が、損傷性皮膚、リンパ節に対する、または内部標的への経皮送達のために循環流の中への選択的遺伝子抑制を送達するための新規手段であることを、本明細書に開示する。一実施形態において、ON−NPを損傷性皮膚に直接送達することにより、副作用の可能性を最小に抑えながら、最大腫瘍量の部位でオリゴヌクレオチド−NP濃度を最大にする。
【0029】
一態様において、本開示は、抗菌性組成物およびその使用方法を提供する。一態様において、抗菌性組成物は、オリゴヌクレオチドを含むように修飾されたナノ粒子を含み、オリゴヌクレオチドが、ハイブリッド形成を可能にする条件下で標的とハイブリッド形成するように、オリゴヌクレオチドは、原核生物遺伝子の標的非コード配列に十分に相補的である。本ハイブリッド形成により、抗菌性組成物は、標的原核生物細胞の成長を阻害する。標的細胞における特定の態様において、ハイブリッド形成は、標的配列によりコードされる機能タンパク質の発現を阻害する。種々の態様において、標的配列によりコードされる原核生物タンパク質の転写、翻訳、または両方は、阻害される。本開示はさらに、細胞を抗菌性組成物と接触させるステップを含む、細胞での標的原核生物遺伝子産物の生成を阻害するために、本明細書に開示される抗菌性組成物を利用する用法を提供し、該組成物のナノ粒子と関連するオリゴヌクレオチドは、ハイブリッド形成を可能にする条件下で、細菌遺伝子の標的非コード配列と十分に相補的であり、ハイブリッド形成は、標的遺伝子によりコードされる機能原核生物遺伝子産物の阻害をもたらす。標的原核生物配列の転写または翻訳のいずれか、または転写および翻訳の両方の阻害は、標的原核生物配列によりコードされる機能タンパク質の生成の阻害をもたらすことを、当業者は理解するであろう。
【0030】
オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子および標的原核生物配列のハイブリッド形成は、本明細書に定義されるように、「複合体」を形成する。本明細書に使用される、「複合体」とは、二本鎖(または二重鎖)複合体、または三本鎖(または三重鎖)複合体のいずれかである。本明細書において、三重鎖複合体および二重鎖複合体は、標的細菌原核生物酸の翻訳または転写を阻害することが意図される。
【0031】
本明細書に使用される、「非コード配列」とは、当該分野において認められる意味を有する。一般に、非コード配列は、遺伝子によりコードされるタンパク質を翻訳するためのコドンを含有しないポリヌクレオチド配列を表現する。幾つかの態様において、非コード配列は染色体である。幾つかの態様において、非コード配列は染色体外である。一態様において、非コード配列は、遺伝子のコード配列全てまたはその一部に相補的である。非コード配列は、発現のプロモーター、エンハンサー、およびサイレンサー等の調節要素を含む。非コード配列の例は、5’非コード配列および3’非コード配列である。「5’非コード配列」とは、コード配列に対して5’(上流)に位置するポリヌクレオチド配列を指す。5’非コード配列は、開始コドンの完全に処理されたmRNA上流に存在し得、RNAへの一次転写物、mRNAの安定性、または翻訳効率の処理に影響を及ぼす場合がある。「3’非コード配列」とは、コード配列に対して3’(下流)に位置するヌクレオチド配列を指し、mRNA処理または遺伝子発現に影響を及ぼすことができるポリアデニル化シグナル配列および他の配列コードシグナルを含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、ポリアデニル酸配列のmRNA前駆体の3’端への付加に影響を及ぼすその能力を特徴とする。
【0032】
一実施形態において、非コード配列はプロモーターを含む。「プロモーター」とは、構造遺伝子の転写を方向づけるポリヌクレオチド配列である。典型的に、プロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近い、遺伝子の5’非コード配列に位置する。転写の開始に機能するプロモーター内の配列要素は、多くの場合、コンセンサスヌクレオチド配列を特徴とする。これらのプロモーター要素は、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配位列、CAAT配列、分化特異的要素[DSEs;McGehee et al.,Mol.Endocrinol.7:551(1993)]、環式AMP応答要素(CRE)、血清応答要素[SREs;Treisman,Seminars in Cancer Biol.1:47(1990)]、糖質コルチコイド応答要素(GRE)、およびCRE/ATF[O’Reilly et al.,J.Biol.Chem.267:19938(1992)]、AP2[Ye et al.,J.Biol.Chem.269:25728(1994)]、SP1、cAMP応答要素結合タンパク質[CREB;Loeken,Gene Expr.3:253(1993)]、およびオクタマー因子[一般に、Watson et al.,eds.,Molecular Biology of the Gene,4th ed.(The Benjamin/Cummings Publishing Company,Inc.1987)、およびLemaigre and Rousseau,Biochem.J.303:1 (1994)を参照]等の他の転写因子の結合部位を含む。プロモーターが誘導性プロモーターである場合、転写速度は、誘発剤に応じて増加する。逆に、プロモーターが構成プロモーターである場合、転写速度は、誘発剤により調節されない。抑制プロモーターも公知である。「コアプロモーター」は、TATAボックスおよび転写開始を含む、プロモーター機能に必須であるヌクレオチド配列を含有する。本定義により、コアプロモーターは、活性を強化する、または組織特異的活性を付与してもよい特定の配列の不在下で、検出可能な活性を有しても、有さなくてもよい。
【0033】
別の実施形態において、非コード配列は調節要素を含む。「調節要素」は、コアプロモーターの活性を調節するポリヌクレオチド配列である。例えば、調節要素は、特定の原核生物において、排他的に、または優先的に転写を可能にする細胞因子と結合するポリヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0034】
別の実施形態において、非コード配列はエンハンサーを含む。「エンハンサー」は、転写の開始部位に対するエンハンサーの距離または配向に関わらず、転写の効率を増大することができる調節要素の種類である。
【0035】
本明細書および付属の特許請求の範囲に使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明確に記載のない限り、複数形の参照を含むことを、ここに記載しておく。
【0036】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され、当該分野に認められる意味を有することを記載しておく。
【0037】
「結合される」、「抱合される」、「修飾される」、および「機能化される」という用語も、本明細書において互換的に使用され、オリゴヌクレオチドのナノ粒子との結合を指すことをさらに記載しておく。
【0038】
「ハイブリッド形成」とは、ワトソン−クリックDNA相補性、フーグスティーン結合、または当該分野に公知の他の配列特異的結合の規則に従う水素結合により、核酸の二本鎖間または三本鎖間の相互作用を意味する。ハイブリッド形成は、当該分野に公知の異なる厳密性条件下で実施することができる。
【0039】
「オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子」および「ナノ抱合体」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0040】
本明細書に使用される、融解温度または「T」は、ハイブリッド形成される2つの特定の核酸が、50%解離する温度である。
【0041】
本明細書に使用される、「真皮」という用語は、皮膚またはそれに関連する意味であり、本明細書において「皮膚(cutaneous)」と互換的に使用される。本明細書に使用される、「経皮」は、皮膚を超えて皮下組織まで、多くの場合は、全身血管またはリンパ循環内までを意味する。本明細書に使用される「局所的」という用語は、皮膚に関する意味である。よって、組成物が局所的に適用される時、皮膚に適用される。しかしながら、「局所的」という用語は、必ずしも組成物がどこに留まるかではなく、むしろどのように適用されるかを指すことを当業者は理解するであろう。
【0042】
本開示の組成物および方法は、種々の実施形態において、これに限定されないが、例えば、特定の関心標的に応じて、異なる深度の皮膚を標的とするように意図される。種々の実施形態において、本開示の組成物は、表皮を標的とする。幾つかの実施形態において、本開示の組成物は真皮を標的とする。さらなる実施形態において、本開示の組成物は、経皮的に移動し、皮下組織、全身血管、またはリンパ循環に達する。
【0043】
本開示の組成物の浸透の深度に影響を及ぼす要因および方法は、ナノ粒子の大きさ、およびナノ粒子の表面上の機能化されたオリゴヌクレオチドの密度を含むが、これらに限定されない。これらの態様は、以下で本明細書にさらに詳細に記載される。よって、幾つかの態様において、本開示は、本開示の組成物が移動できる深度をオリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子自体が促進することを意図する。幾つかの態様において、組成物中のビヒクルは、本開示の組成物が移動できる深度を促進する。またさらなる態様において、ビヒクルとオリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の組み合わせは、本開示の組成物が移動できる深度を一緒に促進する。
【0044】
メラノーマは、発癌性変異およびゲノム増幅の異なるパターンを有する、不均一な腫瘍群を表す。色素性母斑等の前駆体病変からメラノーマへの進行は、シグナル伝達経路の活性化につながる遺伝的変化を伴う段階的経路をたどると考えられる。RAS/RAF/MEK/ERK経路の活性化が最も一般的である(約60%のメラノーマが、活性化BRAF変異および25%NRAS変異を有する)。日光に曝された部位は、最も一般的にBRAF変異を示し、一方、粘膜または肢端部位では、BRAF変異は稀であった。
【0045】
BRAF変異の95%以上[Dhomen et al.,Hematol Oncol Clin North Am 23,529−545,ix(2009)]は、バリンをグルタミン酸(V600E)に置換する点変異(T1799A)であり、BRAF活性化を500倍増加する。この変異は、マウスモデルにおいて、機能亢進性メラニン細胞ERKシグナル伝達および移植された腫瘍の成長因子依存性増殖をもたらす[Wellbrock et al.,Cancer Res.64(7):2338−42(2004)]。
【0046】
しかしながら、BRAF/ERK経路のみの活性化は、メラノーマ形質転換を説明しない。実際、転移性メラノーマは、1つ以上の遺伝子変化を持つ傾向にあり[Goel et al.,Oncogene28:2289−2298(2009)](以下の表Aを参照)、BRAF/ERK活性化に加え、最も一般的に、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)/タンパク質キナーゼB(AKT)経路の活性化につながる(散発性メラノーマの約70%)[Cheung et al.,Cancer Res68:3429−3439(2008)]。メラノーマのBRAFV600E変異媒介進行における恒常的PI3K/AKT活性化の重要な役割は、現在、生体外およびマウス研究の両方で例証されている。BRAF変異は、PTEN損失/不活性化(細胞株の約30%およびメラノーマ転移の少なくとも58%)(Birck et al.,2000)またはAKT3変異の活性化(43−50%のメラノーマ)[Davies et al.,Br J Cancer99:1265−1268(2008)、Lin et al.,Cancer Res68:664−673(2008)、Stahl et al.,Cancer Res64:7002−7010(2004)、Tsao et al.,J Invest Dermatol122:337−341(2004)]のいずれかとの組み合わせで頻繁に発見される。
【0047】
【表A】

【0048】
抗菌性組成物
幾つかの実施形態において、本開示は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子およびビヒクルを含む抗菌性組成物を提供し、該オリゴヌクレオチドは、ハイブリッド形成を可能にする条件下で、標的とハイブリッド形成する原核生物遺伝子の標的非コード配列に十分に相補的である。種々の実施形態において、抗菌性組成物は、原核生物細胞感染の治療のために、それを必要とする哺乳類に治療上有効量で投与するために製剤化される。幾つかの態様において、哺乳類はヒトである。
【0049】
種々の実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子の原核生物遺伝子とのハイブリッド形成は、原核生物細胞の成長を阻害(または防止)することを意図する。よって、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子の原核生物遺伝子とのハイブリッド形成は、原核生物細胞が細菌である態様において、静菌作用または殺菌効果をもたらすことを意図する。ハイブリッド形成が生体内で生じる態様において、原核生物細胞の成長は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞の成長と比較して、約5%阻害される。種々の態様において、原核生物細胞の成長は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞の成長と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0050】
ハイブリッド形成が生体外で生じる態様において、原核生物細胞の成長は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞の成長と比較して、約5%阻害される。種々の態様において、原核生物細胞の成長は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞の成長と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0051】
阻害が生体内または生体外であるかどうかに関わらず、当業者は、慣用的な技法を使用して、原核生物の細胞成長の阻害レベルを決定することができる。例えば、原核生物細胞数の直接的定量化は、試料が一定期間にわたり収集される一連の試料を得(例えば、生体内阻害の場合には体液、生体外阻害の場合には液体培養試料)、固体の成長許容培地上で試料を培養し、成長することができる原核生物細胞の得られた数を数えることにより行われる。初期の時間点の原核生物細胞数に対する後期の時間点の原核生物細胞数により、原核生物細胞成長の阻害パーセントを得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子の原核生物遺伝子とのハイブリッド形成は、原核生物遺伝子によりコードされる機能化原核生物タンパク質の発現を阻害する。本明細書に使用される、「機能化原核生物タンパク質」とは、原核生物遺伝子によりコードされる完全長野生型タンパク質を指す。一態様において、機能化原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない細胞と比較して、約5%阻害される。種々の態様において、機能化原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない細胞と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。つまり、提供される方法は、標的遺伝子産物の発現の任意の阻害の程度をもたらす方法を包含する。
【0053】
関連する態様において、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子の原核生物遺伝子とのハイブリッド形成は、原核生物細胞成長に必須の機能タンパク質の発現を阻害する。一態様において、原核生物細胞成長に必須の機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない細胞と比較して、約5%阻害される。種々の態様において、原核生物細胞成長に必須の機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない細胞と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0054】
成長に必須の原核生物タンパク質は、グラム陰性遺伝子産物、グラム陽性遺伝子産物、細胞周期遺伝子産物、DNA複製に関与する遺伝子産物、細胞分裂遺伝子産物、タンパク質合成に関与する遺伝子産物、細菌ジャイレース、およびアシル担体遺伝子産物を含むが、これらに限定されない。これらのクラスは、以下で本明細書に詳細に記載される。
【0055】
本開示は、原核生物遺伝子の標的非コード配列とのハイブリッド形成が、活性変化を伴う原核生物遺伝子によりコードされるタンパク質の発現をもたらす抗菌性組成物にも関する。一態様において、原核生物遺伝子によりコードされるタンパク質の活性は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞のタンパク質の活性と比較して、約5%低下する。種々の態様において、原核生物タンパク質の活性は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞のタンパク質の活性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%阻害される。別の態様において、原核生物遺伝子によりコードされるタンパク質の活性は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞のタンパク質の活性と比較して、約5%増加する。種々の態様において、原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子と接触がない原核生物細胞のタンパク質の活性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上増加する。
【0056】
原核生物細胞のタンパク質の活性は、ナノ粒子に結合するオリゴヌクレオチドの配列、標的にされる原核生物遺伝子(および遺伝子によりコードされるタンパク質)、およびナノ粒子の大きさを含むが、これらに限定されない幾つかのパラメータの機能として増加または低下する。
【0057】
種々の実施形態において、本開示の抗菌性組成物は、原核生物遺伝子の転写を阻害することを意図する。幾つかの実施形態において、本開示の抗菌性組成物は、原核生物遺伝子の翻訳を阻害することを意図する。
【0058】
幾つかの実施形態において、抗菌性組成物は、抗生物質耐性を付与する原核生物遺伝子の標的非コード配列とハイブリッド形成する。これらの遺伝子は、当業者に公知であり、例えば、Liu et al.,Nucleic Acids Research37:D443-D447,2009(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される。幾つかの態様において、抗菌性組成物の、抗生物質に耐性を付与する原核生物遺伝子の標的非コード配列とのハイブリッド形成は、原核生物の抗生物質への感受性の増加をもたらす。一態様において、原核生物の抗生物質への感受性は、抗菌性組成物と接触しなかった原核生物の感受性と比較して、約5%増加する。種々の態様において、原核生物の抗生物質への感受性は、抗菌性組成物と接触しなかった原核生物の感受性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上増加する。抗生物質に対する相対的感受性は、本明細書に記載される、慣用的な技法を使用して、当業者が決定することができる。
【0059】
抗生物質との併用療法
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体を含む抗菌性組成物は、抗生剤との組み合わせで、投与用に製剤化され、各抗生剤は治療上有効量である。
【0060】
本明細書に使用される、「抗生剤」という用語は、細菌および他の微生物の成長を阻害する、またはそれを死滅させる能力を有し、主に感染症の治療に使用される化学物質の任意の群を意味する。例えば、米国特許第7,638,557号を参照のこと(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。抗生剤の例としては、ペニシリンG、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、イミペネム、アズトレオナム、セファロチン、セファクロル、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、フレロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、グルコヘプタン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、クロラムフェニコロール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、ムピロシン、メトロニダゾール、セファレキシン、ロキシスロマイシン、Co−アモキシクラブラン酸、ピペラシリンとタゾバクタムの組み合わせ、ならびにこれらの種々の塩、酸、塩基、および他の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。抗菌抗生剤は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、およびフルオロキノロンを含むが、これらに限定されない。
【0061】
用量および薬学的組成物
本明細書に使用される、「治療上有効量」という用語は、識別された疾病または病状を治療する、軽減する、もしくは防止する、または認識できる治療効果、予防効果、もしくは阻害作用を示すのに十分な組成物の量を指す。効果は、例えば、臨床状態の改善、症状の低減、または本明細書に記載されるアッセイにより認めることができる。対象に対する正確な有効量は、対象の体重、体の大きさ、および一般の健康状態、病状の性質および程度、ならびに投与に選択される抗菌性組成物または組成物の組み合わせに依存する。所与の状態の治療上有効量は、臨床医の技能および判断の内である日常の実験により決定することができる。
【0062】
本明細書に記載される組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とともに、薬学的組成物に製剤化されてもよい。化合物または組成物は、原核生物感染または病状の治療を可能にする任意の経路により投与することができる。本明細書に記載されるように、局所適用に有用であるON−NPおよびビヒクルを含む、本開示の組成物を提供する。さらなる投与経路は経口投与である。加えて、化合物または組成物は、任意の標準投与経路を使用して、患者に送達されてもよく、静脈内、腹腔内、肺内、皮下的、もしくは筋肉内等の非経口的、くも膜下内、経皮的、直腸的、経口的、経鼻的、または吸引を含む。徐放製剤も、胃腸管の体液と接触する活性剤の放出制御を達成するために、および血漿中に十分に一定した、有効レベルの活性剤を提供するために、本明細書に記載される薬剤から調製されてもよい。本目的のために、生物分解性重合体、水溶性重合体、またはその両方の混合物の重合体マトリックス、および任意に適切な界面活性剤に結晶形態を埋め込んでもよい。本内容において、埋め込みとは、重合体のマトリックスへのマイクロ粒子の組み込みを意味してもよい。放出制御製剤も、既知の分散剤またはエマルジョンコーティング技術を介して、分散されたマイクロ粒子または乳化マイクロ液体粒子のカプセル封入により得られる。
【0063】
投与は、単回投与の形態を取るか、または実施形態の化合物は、分割量で、または連続放出製剤もしくは投与方法(例えば、ポンプ)のいずれかで、一定期間にわたり投与することができる。しかしながら、実施形態の化合物は対象に投与され、投与された化合物の量および選択された投与経路は、疾病状態の効果的な治療を可能にするように選択されなければならない。
【0064】
ある実施形態において、薬学的組成物は、特定の投与形式および投与形態に応じて、担体、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤等の薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化することができる。薬学的組成物は、一般に、生理学的に相溶性のpHを達成するように製剤化されるべきであり、製剤および投与経路に応じて、約3のpH〜約11のpH、好ましくは約pH3〜約pH7の範囲であってもよい。代替の実施形態において、pHが約pH5.0〜約pH8の範囲に調節されることが好ましい場合がある。より具体的には、薬学的組成物は、種々の態様において、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに、治療上有効量または予防的有効量の、本明細書に記載される少なくとも1つの組成物を含む。本明細書に記載される、薬学的組成物は、任意に、本明細書に記載される化合物の組み合わせを含んでもよい。
【0065】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書に記載される化合物等の、薬学的薬剤の投与用の賦形剤を指す。本用語は、過度の毒性なしに投与され得る任意の薬学的賦形剤を指す。
【0066】
薬学的に許容される賦形剤は、一部には、投与される特定の組成物ならびに該組成物を投与するために使用される特定の方法により決定される。したがって、広範な薬学的組成物の適切な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照のこと)。
【0067】
適切な賦形剤は、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体、および不活性ウイルス粒子等の、大きく、ゆっくり代謝される巨大分子を含む担体分子であってもよい。他の例示的な賦形剤は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、キレート剤(例えば、EDTA)、炭水化物(例えば、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、および/またはヒドロキシアルキルメチルセルロース)、ステアリン酸、液体(例えば、油、生理食塩水、グリセロールおよび/またはエタノール)、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質等を含む。リポソームも薬学的に許容される賦形剤の定義内に含まれる。
【0068】
加えて、薬学的組成物は、減菌の注入可能な水性エマルジョンまたは油性懸濁液等の、減菌の注入可能な調製物の形態であってもよい。本エマルジョンまたは懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当業者により調合されてもよい。減菌の注入可能な調製物も、1,2−プロパン−ジオール中の溶液等、非毒性の非経口的に許容される希釈液または溶媒中の減菌の注入可能な溶液または懸濁液であってもよい。
【0069】
減菌の注入可能な調製物は、凍結乾燥された粉末としても調製することができる。利用されてもよい許容される溶媒は、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム液である。加えて、減菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として利用することができる。本目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激性固定油が利用されてもよい。加えて、同様に、脂肪酸(例えば、オレイン酸)も、注入可能物の調製に使用することができる。
【0070】
原核生物タンパク質の阻害
幾つかの態様において、本開示は、特定の核酸を標的にする方法を提供する。あらゆる種の原核生物核酸が標的とされてもよく、本方法は、例えば、機能性原核生物遺伝子産物の生成を阻害するために使用することができる。本発明の方法により標的とさえ得る核酸の例としては、遺伝子および原核生物RNAまたはDNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
種々の態様における、原核生物標的核酸について、核酸は、ゲノムDNAからRNA転写される。
【0072】
阻害の程度は、例えば、標的原核生物が見つかり、原核生物タンパク質の阻害が望ましい個人の体液試料から、または標的原核生物が見つかり、原核生物タンパク質の阻害が望ましい個人における、当該分野に周知の撮像技術により、生体内で判断される。代替的に、阻害の程度は、初期の時間点での細胞培養物または生物に存在した原核生物の量と比較して、細胞培養物または生物に残存する原核生物の量を定量化することにより生体内で判断される。
【0073】
三重鎖複合体が形成される実施形態において、変異は原核ゲノムに導入されることが意図される。これらの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体は変異を含み、三重鎖複合体の形成は、ナノ粒子に結合されるオリゴヌクレオチドと原核生物ゲノムの鎖との間の組み換え事象を開始する。
【0074】
オリゴヌクレオチドハイブリッド形成および設計
本開示のオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド配列とハイブリッド形成する時、少なくとも約45℃、典型的に、約50℃〜60℃の間のTを有するが、Tは、例えば、65℃等、高くてもよい。標的が原核生物ポリヌクレオチドである態様において、原核生物標的ポリヌクレオチド配列、および原核生物mRNA標的ポリヌクレオチド配列の選択は、以下に本明細書で考慮される。
【0075】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、生理学的条件下で、標的オリゴヌクレオチド配列とハイブリッド形成されるように設計され、Tは、実質的に37℃を超え、例えば、少なくとも45℃、幾つかの態様において、約60℃〜80℃である。オリゴヌクレオチドは、核酸に対して高結合親和性を有するように設計され、一態様において、標的オリゴヌクレオチド配列に100%相補的であるか、またはミスマッチを含んでもよい。オリゴヌクレオチドが、標的オリゴヌクレオチド配列に95%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に90%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に80%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に75%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に70%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に65%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に60%を超えて相補的である、標的オリゴヌクレオチド配列に55%を超えて相補的である、または標的オリゴヌクレオチド配列に50%相補的である方法を提供する。
【0076】
当業者は、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体のための適切な標的を容易に判断し、当該分野に公知の技法を使用して、オリゴヌクレオチドを設計し合成してもよいことを理解するであろう。標的は、例えば、関心の標的核酸の配列を得(例えば、GenBankから)、例えば、MacVector6.0プログラム、ClustalWアルゴリズム、BLOSUM30マトリックス、およびデフォルトパラメータを使用することにより、それを他の核酸と整合することにより識別することができ、これは、核酸整合について、10の開始ギャップペナルティーおよび5.0の伸長ギャップペナルティーを含む。
【0077】
任意の不可欠な原核生物遺伝子は、本開示の方法を使用することにより、標的遺伝子として意図される。上述のように、任意の原核生物種の不可欠な原核生物遺伝子は、大腸菌についてGerdesによって説明されるものを含む、種々の方法を使用して決定することができる[Gerdes et al.,J Bacteriol.185(19):5673−84,2003]。多くの不可欠な遺伝子は、細菌界全域で保存され、よって、標的の選択において、さらなるガイダンスを提供する。標的遺伝子配列は、国立生物工学情報センター(NCBI)により維持されるもの等、容易に利用可能な生物情報科学の手段を使用して識別することができる。多数の微生物種の完全な基準ゲノム配列を得ることができ、不可欠な細菌遺伝子の配列を識別することができる。一態様において、細菌株は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)からも入手することができる。任意の所与の種に適切な培養培地と条件を使用することにより、簡単な細胞培養法を確立して、オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体の抗菌活性を決定することができる。
【0078】
次いで、最適な活性を示すオリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体は、ヒトの感染の治療に使用される前に、動物モデルまたは獣医動物で試験される。
【0079】
治療上の標的
細胞分裂および細胞周期標的タンパク質の標的配列
本開示のオリゴヌクレオチドは、不可欠な原核細胞遺伝子をコードする原核生物核酸の配列とハイブリッド形成するように設計される。例示的な遺伝子は、細胞分裂、細胞周期タンパク質に必要なもの、または脂質生合成もしくは核酸の複製に必要な遺伝子を含むが、これらに限定されない。遺伝子の必須性が決定されると、任意の不可欠な細菌遺伝子は標的である。生物のどの遺伝子が不可欠であるかを決定するためのアプローチの1つは、記載されるように[Gerdes et al.,J Bacteriol.185(19):5673−84,2003、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる]、遺伝子フットプリント技術を使用することである。本報告において、620大腸菌遺伝子は、健全な好気成長の培養条件下で成長に不可欠であると識別され、3,126遺伝子は、不要であると識別された。進化的状況分析は、細菌界全体で、十分な数の不可欠な大腸菌遺伝子、特に、DNA複製、細胞分裂、およびタンパク質合成等の主要な細胞プロセスのサブセットが保存されたことを実証した。
【0080】
種々の態様において、本開示は、以下を含む不可欠な細菌タンパク質をコードする標的配列に、安定的かつ特異的に結合するのに有効な核酸配列であるオリゴヌクレオチドを提供する:(1)食中毒に関係する大腸菌株、例えば、O157:H7(米国特許出願第20080194463号の表1を参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)等の所与の細菌種の特定株に特異的な配列、(2)2つ以上の細菌種に共通する配列、(3)2つの関連する細菌属に共通する配列(すなわち、類似する系統発生起源の細菌属)、(4)グラム陰性細菌の中で一般に保存される配列、(5)グラム陽性細菌の中で一般に保存される(配列)、または(6)一般に、不可欠な細菌タンパク質コード核酸配列のコンセンサス配列。
【0081】
一般に、本開示の方法を使用する、遺伝子発現の調節のための標的は、細胞分裂の遺伝子および細胞壁合成(分裂細胞壁またはdcw)遺伝子クラスターから転写されたmRNA配列等の、活性原核生物成長または複製中に発現する原核生物核酸を含み、zipA、sulA、secA、dicA、dicB、dicC、dicF、ftsA、ftsI、ftsN、ftsK、ftsL、ftsQ、ftsW、ftsZ、murC、murD、murE、murF、murg、minC、minD、minE、mraY、mraW、mraZ、seqA、およびddlBを含むが、これらに限定されない。大腸菌の細菌細胞分裂および細胞周期の一般的な報告については、それぞれ、[Bramhill,Annu Rev Cell Dev Biol.13:395−424,1997]および[Donachie,Annu Rev Microbiol.47:199−230,1993]を参照し、両方とも、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。さらなる標的は、脂質生合成(例えば、acpP)および複製(例えば、gyrA)に関与する遺伝子を含む。
【0082】
大腸菌の細胞分裂は、細胞表層の全3層(細胞膜、剛性ペプチドグリカン層、および外膜)の協調された陥入を含む。中隔の収縮は、細胞を2つの区画に切断し、複製されたDNAを分離する。少なくとも9つの不可欠な遺伝子産物が、本プロセスに関与する:ftsZ、ftsA、ftsQ、ftsL、ftsI、ftsN、ftsK、ftsW、およびzipA[Hale et al.,J Bacteriol.181(1):167−76,1999]。意図されるタンパク質標的は、以下に記述される3つであり、特に、以下に記載されるGyrAおよび標的である。
【0083】
大腸菌の最も初期の不可欠な細胞分裂遺伝子の1つであるFtsZは、細菌細胞の分裂部位で膜関連環を形成する可溶性のチューブリン様GTPaseである。環は、細胞収縮を促進すると考えられ、細胞壁陥入に影響を及ぼすように思われる。FtsZは、大腸菌の細胞分裂を媒介する中隔環構造の必須区画である、zipAと呼ばれる大腸菌の新しい内膜内在性タンパク質に直接結合する[Lutkenhaus et al.,Annu Rev Biochem.66:93−116,1997]。
【0084】
GyrAは、細菌ジャイレース酵素のサブユニット、したがって、遺伝子を指す。細菌ジャイレースは、細胞のDNAの高次コイルのレベルを制御する細菌DNAトポイソメラーゼの1つであり、DNA複製に必要である。
【0085】
AcpPは、脂質生合成において不可欠な補助因子である、アシル担体タンパク質をコードする。脂肪酸生合成経路は、熱に安定した補助因子であるアシル担体タンパク質が、経路の中間体を結合することを必要とする。
【0086】
これらの3つのタンパク質のそれぞれについて、米国特許出願第20080194463号の表1は、多数の重要な病原菌のそれぞれについての標的配列を含有する例示的な細菌配列を提供する。遺伝子配列は、各細菌株において、GenBank Referenceの完全ゲノム配列に由来する。
【0087】
原核生物16SリボソームRNAの標的配列
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、生理学的条件下で、細菌16S rRNA核酸配列をコードする配列とハイブリッド形成されるように設計され、Tは、実質的に、37℃を超え、例えば、少なくとも45℃、好ましくは60℃〜80℃である。
【0088】
より具体的には、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の以下の特徴を有する標的16S rRNA遺伝子配列に、安定的かつ特異的に結合するのに有効である配列を有する:(1)16s rRNAの二本鎖配列に見られる配列、例えば、ペプチジルトランスフェラーゼ中心、α−サルシナループ、および16S rRNA配列のmRNA結合配列、(2)細菌16s rRNAの一本鎖配列に見られる配列、(3)所与の細菌種の特定株に特異的な配列、すなわち、食中毒に関連する大腸菌株、(4)特定の細菌種に特異的な配列、(5)2つ以上の細菌種に共通する配列、(6)2つの関連する細菌属に共通の配列(すなわち、類似する系統発生起源の細菌属)、(7)グラム陰性細菌16S rRNA配列の中で一般に保存される配列、(6)グラム陽性細菌16S rRNA配列の中で一般に保存される配列、または(7)一般に、細菌16S rRNA配列のコンセンサス配列。
【0089】
16S rRNA 配列についての例示的な細菌および関連するGenBank Accession番号は、米国特許第6,677,153号の表1に提供され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
大腸菌(E.coli)は、胃腸管の常在菌叢の一部である、グラム陰性細菌である。数百の大腸菌株が存在し、大半は無害であり、健康なヒトおよび動物の胃腸管に生存する。現在、ヒトに胃腸炎を引き起こす、認識される腸病原性大腸菌(「EEC群」)のクラスが4つ存在する。これらの中には、腸病原性(EPEC)株、および病原性メカニズムが典型的な大腸菌エンテロトキシンの排出に関連するものを含む。そのような大腸菌株は、胃腸管および尿管の感染、敗血症、肺炎、および髄膜炎に関連するものを含む、種々の疾病を引き起こす可能性がある。抗生物質は、幾つかの株に対して効果がなく、感染の再発を必ずしも防止しない。
【0091】
例えば、大腸菌株0157:H7は、毎年、米国において、10,000〜20,000件の感染を引き起こすと推定される(疾病予防管理センター)(Federal Centers for Disease Control and Prevention)。出血性大腸炎は、大腸菌株O157:H7によって引き起こされる急性疾病の名称である。就学前の児童および高齢者は、重篤な合併症のリスクが最も高い。大腸菌株0157:H7は、近年、太平洋北西のファーストフードレストランからの調理不足のハンバーガーを食べた4人の子供の死亡の原因として報告された[例えば、Jackson et al.,Epidemiol.Infect.120(1):17−20,1998を参照]。
【0092】
腸病原性大腸菌株の例示的な配列は、GenBank Accession番号X97542、AF074613、Y11275およびAJ007716を含む。
【0093】
ネズミチフス菌は、臨床的に、局所的な胃腸感染である胃腸炎(下痢、腹部疝痛、および発熱)から重篤な全身疾患である腸熱(腸チフスを含む)までに及ぶ、種々の病状を引き起こすグラム陰性細菌である。サルモネラ感染は、実質的な家畜の損失も引き起こす。
【0094】
グラム陰性桿菌に特有である、サルモネラspp.の細胞壁は、細胞の溶解によって遊離された複雑なリポ多糖(LPS)構造を含有し、内毒素として機能する場合があり、これは生物の病原性に寄与する。
【0095】
汚染食品は、完全に調理されない肉類および畜産物にサルモネラが残存するという事実により、非チフス性感染における主な伝染様式である。数多くの他の家畜および野生動物に加え、最も一般的な動物源は、ニワトリ、シチメンチョウ、ブタ、およびウシである。サルモネラspp.により引き起こされた腸チフスおよび他の腸熱の疫学は、ヒトの糞便で汚染された水と関係する。
【0096】
腸チフスに対するワクチンが入手可能であり、一部有効であるが、非チフス性サルモネラ感染に対するワクチンは入手不可能である。非チフス性サルモネラ症は、衛生的な食肉処理の実践ならびに食品の調理および冷凍を通して制御される。抗生物質は、全身疾患について示され、ある程度の成功のため、アンピシリンが使用されている。しかしながら、過剰な量の抗生物質を用いた治療下の患者において、胃手術後に免疫抑制剤を用いた治療下の患者において、および溶血性貧血、白血病、リンパ腫、またはAIDS、サルモネラ感染の患者において、医療上の問題が残る。
【0097】
シュードモナスspp.は、多くの抗生物質に耐性であり、病院内(院内)感染の主な原因のため、臨床的に重要である、運動型のグラム陰性桿体である。感染は、易感染性の個人、やけどの被害者、呼吸器を使用している個人、留置カテーテルを有する個人、IV麻酔使用者、および慢性の肺疾患(例えば、嚢胞性線維症)を有する個人に多くみられる。感染は健康な個人においては稀であるが、多くの部位で生じ、尿管感染、敗血症、肺炎、咽頭炎、および数多くの他の問題につながる可能性があり、治療は、多くの場合、役に立たず、死亡率は非常に顕著である。
【0098】
緑膿菌は、単極運動性を伴うグラム陰性の好気性桿体形状の細菌である。日和見性ヒト病原菌である緑膿菌は、植物の日和見性病原菌でもある。他のシュードモナス菌と同様、緑膿菌は、種々の色素を分泌する。緑膿菌の決定的な臨床識別は、ピオシアニンおよびフルオレセイン両方の生成を識別すること、ならびに菌の42℃で成長する能力を含む。緑膿菌は、ディーゼルおよびジェット燃料で成長することもでき、そのため、炭化水素資化微生物(または「HUMムシ」)として知られ、細菌性腐食を引き起こす。
【0099】
コレラ菌は、ヒトに感染するグラム陰性桿体であり、衛生状態の不良により広がる疾病であるコレラの原因であり、給水の汚染となる。コレラ菌は、ヒトの小腸にコロニーを形成することができ、そこで、粘膜にわたってイオン輸送を妨害する毒素を生成する。コレラ菌に感染した個人は、電解質を含有する溶液を用いて静脈内または経口的のいずれかで水分補強する必要がある。疾病は、一般に自己限定であるが、脱水症状および必須の電解質の欠乏により死亡する可能性がある。テトラサイクリン等の抗生物質は、疾病の経過を短くすることが実証されており、現在、経口ワクチンが開発途中である。
【0100】
淋菌は、グラム陰性球菌であり、これは、一般的な性交感染症の起因菌である淋病である。淋菌は、その表面抗原を変化させることができ、再感染のための免疫の発生を防止する。およそ750,000件の淋病が、毎年、米国で報告されており、さらに750,000件が、毎年、未報告であると推定され、その大部分は10代の若者および若年成人である。アンピシリン、アモキシリン、またはペニシリンの幾つかの種類が、淋病の治療に推奨されていた。しかしながら、ペニシリン耐性淋病の発生率が増加し、注入による新しい抗生物質、例えば、セフトリアキソンまたはスペクチノマイシンが、現在、ほとんどの淋菌感染の治療に使用されている。
【0101】
黄色ブドウ球菌は、通常、ヒトの鼻にコロニーを形成するグラム陽性球菌であり、時折、皮膚で見られる。ブドウ球菌は、血流感染、肺炎、および院内感染を引き起こす可能性がある。黄色ブドウ球菌は、重度の食中毒を引き起こす可能性があり、多くの株は、食品中で成長し、外毒素を生成する。一般的な抗生物質、例えば、バンコマイシンに耐性のブドウ球菌が、地域および病院内の両方の主要な公共衛生問題として、米国および国外に出現した。近年、バンコマイシン耐性ブドウ球菌単離体(isolate)も、日本で確認された。
【0102】
結核菌は、結核の起因菌であるグラム陽性細菌であり、時折、致命的な、死に至る疾病である。結核は増えており、世界的であり、単一感染症からの主要な死因である(現在、毎年、300万人の死亡率である)。脳、腎臓、および骨を含む、ヒト身体の幾つかの器官に影響を及ぼす可能性があるが、最も一般的には、肺に影響を及ぼす。
【0103】
米国において、陽性の皮膚試験により示されるように、約1000万人が結核菌に感染し、毎年、約26,000件が新しい活動性疾病である。結核(TB)症例の増加は、HIV/AIDS、ホームレス、薬物乱用、および活動性感染を有する個人の移民と関連している。全てのTB病原菌を単一薬剤で破壊できないため、薬物に影響されやすいTBに対する現在の治療プログラムは、6〜9ヶ月の間、2つまたは4つの薬物(例えば、イソニアジド、リファンピン、プラジナミド、エタンブトール、またはストレプトマイシン)を服用することを含む。加えて、薬物耐性および多剤耐性の結核菌株の記録は増加している。
【0104】
ピロリ菌(H.pylori)は、胃の裏層に感染する、らせん状またはS字形態の、微好気性でグラム陰性の低成長鞭毛生物である。ピロリ菌は、胃腺癌をもたらす慢性表層性胃炎、消化性潰瘍、および慢性萎縮性胃炎に関連するヒト胃病原菌である。ピロリ菌は、ヒトにおいて最も一般的な慢性細菌感染の1つであり、活動性胃炎を有する患者の90%に見られる。現在の治療法は、大半の症例において、ピロリ菌を根絶する、ビスマス、メトロニダゾール、およびテトラサイクリンまたはアモキシリンのいずれかを用いた三剤療法を含む。三剤療法を用いた問題は、患者のコンプライアンス、副作用、およびメトロニダゾール耐性を含む。有望な二剤療法の代替レジメンは、アモキシリンとメトロニダゾール、またはオメプラゾールとアモキシリンである。
【0105】
肺炎球菌は、グラム陽性球菌であり、細菌性肺炎ならびに中耳感染(中耳炎)および髄膜炎の最も一般的な原因の1つである。米国において、毎年、肺炎球菌疾病は、約50,000件の菌血症、3,000件の髄膜炎、100,000〜135,000件の入院、および700万件の中耳炎の原因である。肺炎球菌感染は、米国において、毎年、推定40,000人の死亡を引き起こす。2歳未満の子供、65歳以上の成人、および例えば、鬱血性心臓病、糖尿病、気腫、肝臓病、鎌状赤血球、HIVを含む、基礎疾患を有するいずれの年齢の個人、および特殊環境、例えば、養護施設および長期療養施設等で生活するものは、感染のリスクが最も高い。
【0106】
薬物耐性肺炎球菌株は、米国で一般的になっており、多くのペニシリン耐性肺炎球菌は、エリスロマイシンまたはトリメトプリム−スルファメトキサゾール等の他の抗菌剤にも耐性である。
【0107】
梅毒トレポネーマは、梅毒を引き起こすスピロヘータである。梅毒トレポネーマは、排他的に、梅毒、いちご腫、および非性病の地方病性梅毒またはピンタを引き起こす病原菌である。梅毒トレポネーマは、生体外で成長することができないが、哺乳類細胞なしで増殖する。初感染は、感染部位で潰瘍を引き起こすが、細菌は、全身に移動し、時間とともに多くの臓器を損傷する。その後期段階で、未治療の梅毒は、感染性ではないが、重篤な心臓異常、精神疾患、失明、他の神経性問題、および死を引き起こす可能性がある。
【0108】
梅毒は、通常、ペニシリンで治療され、注入により投与される。他の抗生物質は、ペニシリンにアレルギーがある患者、または常用量のペニシリンに応答しない患者に利用可能である。梅毒の全段階において、適切な治療は、疾病を治癒するが、後期の梅毒において、既に身体器官を損傷し、反転させることができない。
【0109】
クラミジアトラコマティスは、米国において、最も一般的な細菌の性感染症であり、毎年、400万件の新しい症例が生じると推定される。最も高い感染率は、15〜19歳である。クラミジアは、非淋菌性尿道炎(NGU)、子宮頚炎、細菌性膣炎、および骨盤内炎症性疾患(PID)の主な原因である。クラミジア感染症は、非常に軽度の症状であるか、または症状がないかもしれないが、治療しないままだと、クラミジア感染症は、特に女性の生殖器官に重篤な損傷をもたらす可能性がある。アジスロマイシン、エリスロマイシン、オフロキサシン、アモキシリン、またはドキシサイクリン等の抗生物質が、典型的に、クラミジア感染を治療するために処方される。
【0110】
ヘンセラ菌ネコ引っかき熱(CSF)もしくはネコ引っかき病(CSD)は、ネコとの接触を通してもたらされるヒトの疾病であり、もともとはロシャメリアヘンセラと名付けられ、現在はヘンセラ菌として知られる、グラム陰性桿体により引き起こされる。症状は、発熱およびリンパ節の腫大を含み、CSFは、一般に、比較的良性で、個人の自己限定性疾病であるが、ヘンセラ菌感染は、易感染性の個人に明確な臨床症状を生じ、菌血症を伴う急性熱病、細菌性血管腫症、肝臓紫斑病、細菌性脾炎、およびAIDS脳症等の他の慢性疾病徴候を含む。疾病は、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、リファンピン、ペニシリン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、およびアジスロマイシン等の抗生物質で治療される。
【0111】
インフルエンザ菌(H.influenza)は、グラム陰性細菌のファミリーであり、6種が知られており、最もインフルエンザ菌に関連する疾病は、B型または「HIB」により引き起こされる。HIBのワクチンが開発されるまで、HIBは、中耳炎、副鼻腔感染、気管支炎の一般的な原因であり、髄膜炎の最も一般的な原因であり、肺炎、敗血症性関節炎(関節感染)、蜂巣炎(軟組織の感染)、および心膜炎(心臓を囲む膜の感染)の場合には、頻繁な原因であった。インフルエンザ菌B型細菌はヒトに広まり、通常、疾病を引き起こさずに喉および鼻に生存する。5歳未満のワクチン接種をしていない子供は、HIB疾病のリスクがある。インフルエンザ菌感染により引き起こされる髄膜炎および他の重篤な感染は、脳損傷または死に至る。
【0112】
志賀赤痢菌(Shigella dys.)は、赤痢を引き起こすグラム陰性桿体である。結腸において、細菌は、粘膜細胞に進入し、粘膜細胞内で分裂し、大規模な炎症性応答をもたらす。赤痢菌感染は、脱水症状につながる重度の下痢を引き起こす可能性があり、きわめて若年な、きわめて老年な、または慢性的に病気の人にとっては危険である可能性がある。志賀赤痢菌は、強力な毒素(志賀毒素)を形成し、これは細胞毒性、腸管毒性、神経毒性であり、タンパク質合成の阻害剤として作用する。アンピシリンおよびTMP−SMX等の抗生物質への耐性が発達したが、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、およびエノキサシン等の新しく、高価な抗生物質は、有効である。
【0113】
リステリアは、ヒトおよび動物の糞便にみられる、グラム陽性の運動性細菌である。リステリア菌は、リステリア症、髄膜脳炎、および髄膜炎等の疾病を引き起こす。この菌は、特に妊娠中の女性、新生児、高齢者、および易感染性の個人において、食物媒介性病原菌による死亡の主な原因の1つである。植物質の腐食、下水、水、および土壌等の環境で発見され、両極限温度で生存し、塩濃度は、特に再加熱されない食物において、菌を非常に危険な植物食物媒介性病原菌にさせる。細菌は、腸の感染部位から中枢神経系および胎児−胎盤部に広がる可能性がある。髄膜炎、胃腸炎、および敗血症は、感染の結果起こる。ウシおよびヒツジにおいて、リステリア感染は、脳炎および自然流産を引き起こす。
【0114】
プロテウスミラビリスは、腸内グラム陰性共生菌であり、大腸菌の遠縁に当たる。通常、ヒトの尿道にコロニーを形成するが、カテーテル処置された個人の尿路感染の主な原因である日和見病原性菌である。プロテウスミラビリスは、例外的な特徴が2つある:1)非常に迅速な運動性を有し、これは、培養プレート上で、群泳現象として自身を示す、および2)ウレアーゼを生成し、これは、それに尿素を分解し、尿生殖器管で生存する能力を付与する。
【0115】
ペスト菌は、疫病の起因菌であり(腺および肺)、世界中で数百万の死者を出した壊滅的な疾病である。病原菌は、感染したノミの咬合を介してラットからヒトに、または広がった感染中の空気を介してヒトからヒトに伝播し得る。ペスト菌は、疾病を発症させるのに非常に少ない数を必要とする、非常に病原性の菌であり、多くの場合、治療せずに放置すると、致命的である。菌は腸管侵入性であり、宿主全体に全身的に広がる前に、マクロファージで生存し、増殖する。
【0116】
炭疽菌は炭疽病としても知られる。ヒトは、汚染された動物と接触すると感染する。炭疽病は、ヒトとヒトの接触により伝播されない。疾病の3つの形態は、皮膚性(皮膚)、肺性(肺)、および腸管を含む感染部位を示す。肺および腸管感染は、治療せずに放置すると、多くの場合、致命的である。胞子は、マクロファージにより取り込まれ、ファゴリソソーム(膜区画)の中に内部移行し、発芽が開始する。細菌は、感染したマクロファージが溶解すると、血流の中に放出され、急速に増殖し、敗血性ショック、呼吸困難、および臓器不全をもたらすプロセスである、循環系統およびリンパ系全体に広がる。本病原菌の胞子は、テロ兵器として使用された。
【0117】
鼻疽菌は、主に、ウマ、ラバ、およびロバに生じる感染症である、鼻疽を引き起こすグラム陰性の好気性の細菌である。ヒト感染とはほとんど関係がなく、一般には、家畜に見られる。この菌は、類鼻疽菌に類似し、非運動性であることによって区別される。病原体は、宿主適応であり、その宿主の外部の環境では見られない。鼻疽は、抗生物質で治療されないと、多くの場合、致命的であり、伝播は、空気を通して、またはより一般的には、感染した動物と接触すると起こる可能性がある。迅速な発症の肺炎、菌血症(血液を通した病原菌の蔓延)、嚢胞、および死亡は、感染中の一般的な結果である。サルモネラ菌のものと類似するIII型分泌系が必要であるが、病原性のメカニズムは、良く理解されていない。生物テロ物質としての可能性を有すると考えられる、この潜在的に危険な菌のワクチンは存在しない。本病原菌のゲノムは、関連する類鼻疽菌(以下)と比較すると、多数の挿入配列、および細胞表面タンパク質の抗原変異において機能してもよい多数の単純配列反復を持つ。
【0118】
類鼻疽菌は、ヒトおよび動物に類鼻疽を引き起こす、グラム陰性細菌である。類鼻疽は、アジア、タイ、およびオーストラリアの特定地域に見られる疾病である。類鼻疽は、典型的に、土壌菌であり、水田および湿性熱帯土壌から回収されたが、日和見病原体として、真性糖尿病を患うもの等の、感受性の高い個人に疾病を引き起こす可能性がある。菌は、細胞内に存在し、肺炎および菌血症(血流を通した細菌の蔓延)を引き起こす可能性がある。潜伏期は非常に長く、感染は疾病を数十年先行する場合があり、治療は、数ヶ月の抗生物質の使用を要し、再発は、一般的に見られる現象である。細胞内蔓延は、細胞の一極でのアクチン重合の誘発を介して生じる場合があり、細胞質を通した、および細胞から細胞の移動を可能にする。本菌は、鼻疽菌ゲノムで見られるものと類似する抗原変異を促進する場合がある、多数の小さい配列反復を持つ。
【0119】
セパシア菌は、少なくとも7つの異なる亜種からなるグラム陰性細菌であり、バークホルデリアマルティボランス、バークホルデリアベトナミエンシス、バークホルデリアスタビリス、バークホルデリアセノセファシア、およびバークホルデリアアムビファリアを含む。セパシア菌は、基礎肺疾患((慢性肉芽腫症等の)嚢胞性線維症または免疫問題等)を有する個人に多くの場合、肺炎を引き起こす、重要なヒト病原体である。セパシア菌は、典型的に、水および土壌で発見され、湿潤環境で長期間生存することができる。ヒトからヒトへの感染が記録されており、結果として、嚢胞性線維症を有する患者のための多くの病院、クリニック、およびキャンプは、セパシア菌の厳密な隔離予防を実行した。細菌を有する個人は、多くの場合、蔓延を制限するために、細菌を保有しない個人とは別の場所で治療される。これは、セパシア菌の感染が、死をもたらす肺機能の急激な低下につながる可能性があるためである。セパシア菌の診断は、喀痰培養物から細菌を単離することを含む。セパシア菌は、アミノグリコシド(トブラマイシン等)を含む、多くの一般的な抗生物質に自然に耐性であるため、治療は困難である。治療は、典型的に、複数の抗生物質を含み、セフタジジム、ドキシサイクリン、ピペラシリン、クロラムフェニコロール、およびコトリモキサゾールを含んでもよい。
【0120】
野兎病菌は、Edward Francisにより、20世紀初期に、カルフォルニアのトゥーレアリ郡のリスに感染した、疫病様疾病の起因菌として最初に認められた。病原菌は、今や、その同名を持つ。疾病は、野兎病(tularemia)と呼ばれ、履歴全体にわたって記述された。菌は、感染したダニまたはアブから、感染した肉を通して、またはエアロゾルを介してヒトに伝播することができ、よって、生物テロ物質の可能性がある。水性菌であり、原虫内での生存が発見でき、レジオネラで認められるものと類似する。感染率が高く、食作用細胞および非食作用細胞に侵入することができ、急速に増殖する。マクロファージ内に入ると、菌は、ファゴソームを逃れ、細胞基質に生存する。
【0121】
獣医適用
家畜の胃腸管の健康な細菌叢は、健康および関連する食品の対応する産生にきわめて重要である。ヒトと同様、健康な動物の胃腸管は、多数の種類の細菌(すなわち、大腸菌、緑膿菌およびサルモネラspp.)を含有し、相互と生態的均衡に生存する。本均衡は、飼料の変化、ストレス、または抗生物質もしくは他の治療上の処置に応答して乱される場合があり、サルモネラ、カンピロバクター、腸球菌、野兎病、および大腸菌等の、細菌により一般に引き起こされる細菌病を動物にもたらす。これらの動物の細菌感染は、多くの場合、治療的介入を必要とし、これは、治療費がかかり、また頻繁に生産能の低下に関係する。
【0122】
結果として、家畜を抗生物質で慣用的に治療し、胃腸管の叢のバランスを維持する。本アプローチの欠点は、抗生物質耐性菌が発生し、そのような抗生物質および耐性菌が、ヒトが消費する食品に持ち越されることである。
【0123】
皮膚疾患を軽減するための標的
本開示の幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるON−NPを含む組成物を投与し、標的遺伝子の発現を調節することが意図される。種々の実施形態において、組成物は皮膚疾患を軽減するために投与される。
【0124】
幾つかの態様において、軽減される皮膚疾患は、過剰増殖疾患、腫瘍性疾患、遺伝的疾患、老化、炎症、感染、および美容上の変形を含むが、これらに限定されない。さらなる態様において、皮膚疾患は、癌を含むが、これに限定されない。またさらなる態様において、癌は、扁平上皮癌、基底細胞癌、メラノーマ、および乳癌を含むが、これらに限定されない。関連する態様において、本発明の組成物により標的にされる遺伝子産物は、Ras、IkBα、ヘッジホッグ、B−Raf、AktおよびサイクリンDを含むが、これらに限定されない。
【0125】
幾つかの実施形態において、本開示の組成物は、単純性表皮水疱症、水疱性魚鱗癬、先天性爪肥厚症、コステロ症候群、および結節性硬化症を含むが、これらに限定されない遺伝的疾患を軽減するために投与される。幾つかの態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、変異を含む遺伝子産物であり、該遺伝子産物は、K5、K14、K1、K10、H−Ras、N−Ras、K−Ras、NF−kB、Akt、B−raf、ERK、Mek1、Mek2およびm−Torを含むが、これらに限定されない遺伝子により発現する。
【0126】
幾つかの実施形態において、本開示の組成物は、UV損傷および早老を含むが、これらに限定されない老化による疾患を軽減するために投与される。幾つかの態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1およびプロジェリンを含むが、これらに限定されない。
【0127】
さらなる実施形態において、本開示の組成物は、アトピー性皮膚炎および乾癬を含むが、これらに限定されない炎症性疾患を軽減するために投与される。幾つかの態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、インターロイキン−23を含むが、これに限定されない。種々の態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、IL1−a、IL1−β、IL6、TNF−a、白血病阻害因子(LIF)、IFN−γ、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、TGF−β、GM−CSF、IL−11、IL−12、IL−17、IL−18、IL−8を含むが、これらに限定されない。
【0128】
またさらなる実施形態において、本開示の組成物は、感染を軽減するために投与される。幾つかの態様において、感染はウイルス感染である。幾つかの態様において、感染は、本明細書に開示される細菌感染である。感染はウイルス感染である幾つかの態様において、ウイルス感染は疣贅をもたらすと考えられる。これらの態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、E6/E7を含むが、これに限定されない。
【0129】
幾つかの実施形態において、本開示の組成物は、脂漏性角化症、表皮母斑、および色素性母斑を含むが、これらに限定されない美容上の変形を軽減するために投与される。幾つかの態様において、投与された組成物により標的にされる遺伝子産物は、変異を含む遺伝子産物であり、該遺伝子産物は、FGFR3、K10、およびB−Rafを含むが、これらに限定されない遺伝子により発現する。
【0130】
ビヒクル
幾つかの実施形態において、本開示のON−NP組成物および方法はビヒクルを含む。本明細書に使用される、「ビヒクル」とは、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子が関連する塩基化合物である。
【0131】
本開示の組成物および方法に有用なビヒクルは、当該分野の当業者に公知であり、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、泡状物、緩衝液、または水を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ビヒクルは、角質層への浸透を強化する、サリチル酸、α−ヒドロキシ酸、または尿素を含むが、これらに限定されない、1つ以上の追加物質を含む。
【0132】
種々の態様において、本開示の組成物および方法の使用に意図されるビヒクルは、Aquaphor(登録商標)治癒軟膏、A+D、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、鉱物油、バセリン集中ケアクリーム(鉱物油およびグリセリンを含む)、石油ゼリー、DML(ワセリン、グリセリン、およびPEG20を含む)、DML(ワセリン、グリセリン、およびPEG100を含む)、Eucerin保湿クリーム、セタフィル(ワセリン、グリセロール、およびPEG30を含む)、セタフィルCeraVe(ワセリンおよびグリセリンを含む)、CeraVe(グリセリン、EDTA、およびコレステロールを含む)、Jergens(ワセリン、グリセリン、および鉱物油を含む)、およびNivea(ワセリン、グリセリン、および鉱物油を含む)を含むが、これらに限定されない。当業者は、上記のリストから、追加のビヒクルは、本開示の組成物および方法に有用であることを理解するであろう。
【0133】
本明細書に使用される、軟膏は油中水型の製剤である。本明細書に使用される、クリームは水中油型の製剤である。一般に、ローションは、クリームまたは軟膏より水分が多く、ゲルはアルコールを含み、泡状物は気泡を液体中に閉じ込めることにより形成される物質である。これらの用語は、当業者に理解される。
【0134】
ナノ粒子
それに結合されるポリヌクレオチドを有するように機能化されるナノ粒子を提供する。ナノ粒子の大きさ、形状、および化学組成は、得られるポリヌクレオチド機能化ナノ粒子の特性の一因となる。これらの特性は、例えば、光学特性、光電子特性、電気化学特性、電子特性、種々の溶液における安定性、磁気特性、および細孔およびチャネルの大きさの変化を含む。異なる大きさ、形状、および/または化学組成を有するナノ粒子の混合物、ならびに均一な大きさ、形状、および化学組成を有するナノ粒子の使用、したがって、特性の混合が意図される。適切な粒子の例としては、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,238,472号および国際公開第WO2003/08539号に記載されるもの等、集合粒子、等方性粒子(球形粒子等)、異方性粒子(非球形桿体、四面体、および/または角柱等)、およびコア−シェル粒子を含むが、これらに限定されない。
【0135】
一実施形態において、ナノ粒子は金属性であり、種々の態様において、ナノ粒子はコロイド性金属である。よって、種々の実施形態において、本発明のナノ粒子は、金属(例えば、銀、金、白金、アルミニウム、パラジウム、銅、コバルト、インジウム、ニッケル、またはナノ粒子形成に受け入れられる任意の他の金属を含むが、これらに限定されない)、半導体(例えば、CdSe、CdS、およびCdSまたはZnSでコーティングされるCdSeを含むが、これらに限定されない)、および磁性(例えば、強磁性)コロイド性物質が挙げられる。
【0136】
また、米国特許公開第2003/0147966号に記載されるように、本発明のナノ粒子は、商業的に入手可能なもの、ならびに合成されるもの、例えば、溶液中の進行性核形成から(例えば、コロイド反応により)、またはスパッタ蒸着法等の種々の物理および化学蒸着プロセスにより生成されるものを含む。例えば、HaVashi,Vac.Sci.Technol.A5(4):1375−84(1987)、Hayashi,Physics Today,44−60(1987)、MRS Bulletin,January 1990,16−47を参照のこと。米国特許公開第2003/0147966号にさらに記載されるように、意図されるナノ粒子は、代替的に、当該分野に公知の方法を使用して、HAuClおよびクエン酸還元剤を使用して生成される。例えば、Marinakos et al.,Adv.Mater.11:34−37(1999)、Marinakos et al.,Chem.Mater.10:1214−19(1998)、Enustun & Turkevich, J.Am.Chem.Soc.85: 3317(1963)を参照のこと。
【0137】
幾つかの実施形態において、ナノ粒子の大きさは、皮膚に浸透するその能力に関連する。一般に、ナノ粒子の直径が小さいほど、皮膚の中にまたは皮膚を通してより深く浸透する。一態様において、ナノ粒子の直径は、ON−NPが皮膚を横断し、血液に進入することを可能にし、ON−NPの全身送達を達成する。別の態様において、ナノ粒子の直径は、ON−NPが皮膚を横断することを防止し、ON−NPは皮膚の表面で保持される。種々の態様において、ナノ粒子の大きさは、投与されるON−NPの所望の浸透深度を達成するように調節することができることを、当業者は理解する。
【0138】
ナノ粒子は、大きさが、平均直径約1nm〜約250nm、平均直径約1nm〜約240nm、平均直径約1nm〜約230nm、平均直径約1nm〜約220nm、平均直径約1nm〜約210nm、平均直径約1nm〜約200nm、平均直径約1nm〜約190nm、平均直径約1nm〜約180nm、平均直径約1nm〜約170nm、平均直径約1nm〜約160nm、平均直径約1nm〜約150nm、平均直径約1nm〜約140nm、平均直径約1nm〜約130nm、平均直径約1nm〜約120nm、平均直径約1nm〜約110nm、平均直径約1nm〜約100nm、平均直径約1nm〜約90nm、平均直径約1nm〜約80nm、平均直径約1nm〜約70nm、平均直径約1nm〜約60nm、平均直径約1nm〜約50nm、平均直径約1nm〜約40nm、平均直径約1nm〜約30nm、または平均直径約1nm〜約20nm、平均直径約1nm〜約10nmの範囲であり得る。他の態様において、ナノ粒子の大きさは、約5nm〜約150nm(平均直径)、約5〜約50nm、約10〜約30nm、約10〜150nm、約10〜約100nm、または約10〜約50nmである。ナノ粒子の大きさは、約5nm〜約150nm(平均直径)、約30〜約100nm、約40〜約80nmである。本方法に使用されるナノ粒子の大きさは、それらの特定の使用または用途に応じて変動する。大きさの変動は、ナノ粒子の特定の物理的特徴、例えば、本明細書に記載されるように機能化することができる、光学特性または表面積の量を最適化するように有利に使用される。
【0139】
オリゴヌクレオチド
本明細書に使用される、「ヌクレオチド」という用語、またはその複数形は、本明細書に記載されるように、修飾形態と代替可能であり、そうでなければ当該分野において公知である。特定の場合において、当該技術は、自然に生じるヌクレオチドを包含する「核酸塩基」という用語、および修飾ヌクレオチドを含む非天然ヌクレオチドを使用する。よって、ヌクレオチドまたは核酸塩基は、Bennerらの米国特許第5,432,272号およびSusan M.Freier and Karl−Heinz Altmann,1997,Nucleic Acids Research,vol.25:pp4429−4443に記載される、自然に生じる核酸塩基アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)を意味する。非天然核酸塩基は、例えば、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N’,N’−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン(mC)、5−(C-C)−アルキニル−シトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、プソイドイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、および「非天然」核酸塩基を含むが、これらに限定されない。「核酸塩基」という用語はまた、既知のプリンおよびピリミジン複素環だけでなく、複素環式類似体およびその互変異性体も含む。さらなる自然に生じる、および非天然の核酸塩基は、米国特許第3,687,808号(Merigan,et al.)、Chapter 15 by Sanghvi,in Antisense Research and Application,Ed. S.T.Crooke and B.Lebleu,CRC Press,1993、in Englisch et al.,1991,Angewandte Chemie,International Edition,30:613−722(特に、ページ622および623、およびConcise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,J.I.Kroschwitz Ed.,John Wiley&Sons,1990,ページ858−859,Cook,Anti−Cancer Drug Design 1991,6,585−607を参照し、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含む。種々の態様において、ポリヌクレオチドは、核酸塩基のように機能できる複素環式化合物等の化合物を含む、非天然ヌクレオチドの分類である、1つ以上の「ヌクレオシド塩基」または「塩基部」も含み、最も伝統的な意味でヌクレオシド塩基ではないが、ヌクレオシド塩基として機能する、特定の「普遍的塩基」を含む。普遍的塩基は、3−ニトロピロール、任意に、置換インドール(例えば、5−ニトロインドール)、および任意に、置換ヒポキサンチンを含む。他の望ましい普遍的塩基は、ピロール、ジアゾール、またはトリアゾール誘導体を含み、当該分野に公知のこれらの普遍的塩基を含む。
【0140】
修飾されたヌクレオチドは、第EP1 072 679号および国際公開WO97/12896号に記載されており、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。修飾された核酸塩基は、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルおよび他のアデニンとグアニンのアルキル誘導体、2−プロピルおよび他のアデニンとグアニンのアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシンならびに他のピリミジン塩基のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンを含むが、これらに限定されない。さらなる修飾された塩基は、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)等の三環ピリミジン、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)等のG−クランプ、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)を含む。修飾された塩基は、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、および2−ピリドンと置換されるものも含んでもよい。さらなる核酸塩基は、米国特許第3,687,808号に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,ページ858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,1991,Angewandte Chemie,International Edition,30:613に開示されるもの、およびthose disclosed by Sanghvi,Y.S.,Chapter15,Antisense Research and Applications,pages289−302,Crooke,S.T. and Lebleu,B.,ed.,CRC Press,1993に開示されるものを含む。これらの塩基の幾つかは、結合親和性を増大するのに有用であり、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6およびO−6置換プリンを含み、これは、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含む。5−メチルシトシン置換は、0.6〜1.2℃で核酸二重鎖安定性を増加することを示しており、特定の態様において、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされる。それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121,第5,596,091号、第5,614,617号、第5,645,985号、第5,830,653号、第5,763,588号、第6,005,096号、第5,750,692号、および第5,681,941号を参照のこと。
【0141】
所定の配列のポリヌクレオチドを作製する方法は周知である。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.1989)およびF.Eckstein(ed.)Oligonucleotides and Analogues,1st Ed.(Oxford University Press,New York,1991)を参照のこと。固相合成は、ポリリボヌクレオチドおよびポリデオキシリボヌクレオチドの両方に好適である(周知のDNA合成方法も、RNA合成に有用である)。ポリリボヌクレオチドは、酵素的に調製することもできる。非天然核酸塩基は、ポリヌクレオチドの中に組み込むこともできる。例えば、米国特許第7,223,833号、Katz, J.Am.Chem.Soc.,74:2238(1951)、Yamane,et al.,J.Am.Chem.Soc.,83:2599(1961)、Kosturko,et al.,Biochemistry,13:3949(1974)、Thomas,J.Am.Chem.Soc.,76:6032(1954)、Zhang,et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:74−75(2005)、およびZimmermann,et al.,J.Am.Chem.Soc.,124:13684−13685(2002)を参照のこと。
【0142】
ポリヌクレオチドで機能化される、またはその修飾形態であるナノ粒子が提供され、本明細書に定義されるドメインは、一般に、長さが約5ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドのポリヌクレオチドを含む。より具体的には、ナノ粒子は、長さが約5〜約90ヌクレオチド、長さが約5〜約80ヌクレオチド、長さが約5〜約70ヌクレオチド、長さが約5〜約60ヌクレオチド、長さが約5〜約50ヌクレオチド、長さが約5〜約45ヌクレオチド、長さが約5〜約40ヌクレオチド、長さが約5〜約35ヌクレオチド、長さが約5〜約30ヌクレオチド、長さが約5〜約25ヌクレオチド、長さが約5〜約20ヌクレオチド、長さが約5〜約15ヌクレオチド、長さが約5〜約10ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドが所望の結果を達成することができる範囲において特に開示される大きさの長さの全ポリヌクレオチド中間体であるポリヌクレオチドで機能化される。したがって、長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはそれ以上のヌクレオチドのポリヌクレオチドが意図される。
【0143】
幾つかの態様において、ナノ粒子が細胞によって取り込まれる効率に影響を及ぼすドメインをさらに含むオリゴヌクレオチドが、ナノ粒子と結合される、それに結合されるオリゴヌクレオチドを有するナノ粒子を提供する。したがって、ドメインは、効率を増加または低下させる。本明細書に使用される、「効率」とは、細胞における/細胞によるナノ粒子の取り込みの数または割合を指す。ナノ粒子の細胞への進入およびそこからの退出のプロセスは、動的なものであるため、効率は、多くのナノ粒子を取りこむことにより、または細胞に進入するそれらのナノ粒子を長期間保持することにより増加することができる。同様に、効率は、少ないナノ粒子を取りこむことにより、または細胞に進入するそれらのナノ粒子を短期間保持することにより低下させることができる。
【0144】
幾つかの態様において、ドメインは、オリゴヌクレオチドと隣接/共線的であり、ナノ粒子に対して近位に位置する。幾つかの態様において、ドメインは、オリゴヌクレオチドと隣接/共線的であり、ナノ粒子に対して遠位に位置する。「近位」および「遠位」という用語は、オリゴヌクレオチドの中間点に対する位置を指す。幾つかの態様において、ドメインは、オリゴヌクレオチド内の内部領域に位置する。さらなる態様において、ドメインは、ナノ粒子に結合される第2のオリゴヌクレオチド上に位置する。したがって、幾つかの実施形態において、ドメインは、オリゴヌクレオチドとは個別の実体として、ナノ粒子に結合されるように意図される。
【0145】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される位置のいずれかに位置する、1つ以上のドメインを含むことをさらに意図する
【0146】
幾つかの実施形態において、ドメインは、細胞によるオリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の取り込みの効率を増加させる。幾つかの態様において、ドメインは、チミジン残基(ポリT)またはウリジン残基(ポリU)の配列を含む。さらなる態様において、ポリTまたはポリU配列は、2つのチミジンまたはウリジンを含む。種々の態様において、ポリTまたはポリU配列は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、またはそれ以上のチミジンもしくはウリジン残基を含む。
【0147】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より多大な効率で、細胞によって取り込まれることを意図する。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より1%より効率的に細胞によって取り込まれる。種々の態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%,32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、またはそれ以上、より効率的に細胞によって取り込まれる。
【0148】
幾つかの実施形態において、ドメインは、細胞によるオリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の取り込みの効率を低下させる。幾つかの態様において、ドメインは、2つのリン酸から成るリン酸重合体(C3残基)を含む。種々の態様において、C3残基は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、またはそれ以上のリン酸を含む。
【0149】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より低い効率で、細胞により取り込まれることを意図する。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より1%低い効率で細胞により取り込まれる。種々の態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインで機能化されるナノ粒子は、同じオリゴヌクレオチドで機能化されるが、ドメインを欠損するナノ粒子より2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%,32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、またはそれ以上、低い効率で細胞によって取り込まれる。
【0150】
ナノ粒子への結合について意図されるポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドから発現する遺伝子産物の発現を調節するものを含む。本開示により意図されるポリヌクレオチドは、以下で本明細書に定義される、DNA、RNA、およびその修飾された形態を含む。したがって、種々の態様において、標的ポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、標的ヌクレオチドの転写または翻訳の低下を開始するポリヌクレオチド、二本鎖ポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、転写を阻害する三重らせん形成ポリヌクレオチド、および標的ポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、翻訳を阻害するリボザイムが意図される。
【0151】
種々の態様において、特定のポリヌクレオチドが標的にされる場合、単一の機能化オリゴヌクレオチド−ナノ粒子組成物は、同じ転写物の複数のコピーに結合する能力を有する。一態様において、同一ポリヌクレオチド、すなわち、各ポリヌクレオチドが同じ長さであり、同じ配列であるポリヌクレオチドで機能化されるナノ粒子を提供する。他の態様において、ナノ粒子は、同一でない2つ以上のポリヌクレオチド、すなわち、異なる長さ、および/または異なる配列を有するという点で、結合したポリヌクレオチドの少なくとも1つが、少なくとも1つの他の結合したポリヌクレオチドと異なるポリヌクレオチドで機能化される。異なるポリヌクレオチドがナノ粒子に結合される態様において、これらの異なるポリヌクレオチドは、同じ単一標的ポリヌクレオチドだが、異なる位置で結合するか、または異なる遺伝子産物をコードする異なる標的ポリヌクレオチドに結合する。
【0152】
修飾されたオリゴヌクレオチド
上述のように、ナノ粒子を機能化するために、修飾されたオリゴヌクレオチドが意図される。種々の態様において、ナノ粒子上で機能化されたオリゴヌクレオチドは、完全に修飾されるか、部分的に修飾される。よって、種々の態様において、1つ以上もしくは全ての糖類および/またはポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド部の1つ以上もしくは全てのヌクレオチド間結合は、「非天然」群と置換される。
【0153】
一態様において、本実施形態は、ペプチド核酸(PNA)を意図する。PNA化合物において、ポリヌクレオチドの糖骨格は、骨格を含有するアミドと置換される。それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号ならびにNielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500を参照のこと。
【0154】
開示されるポリヌクレオチドについて意図されるヌクレオチドと非天然ヌクレオチドとの間の他の結合は、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号、米国特許公開第20040219565号、国際特許公開第WO98/39352号および第WO99/14226号、Mesmaeker et. al.,Current Opinion in Structural Biology 5:343−355(1995)ならびにSusan M.Freier and Karl−Heinz Altmann,Nucleic Acids Research,25:4429−4443(1997)に記載されているものを含み、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
オリゴヌクレオチドの特定の例としては、修飾された骨格または非天然ヌクレオシド間結合を含有するものが挙げられる。修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドは、骨格にリン原子を保持するもの、および骨格にリン原子を持たないものを含む。それらのヌクレオシド間骨格にリン原子を持たない修飾されたオリゴヌクレオチドは、「オリゴヌクレオチド」の意味内であるとみなされる。
【0156】
リン原子を含有する修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネート、およびキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、正常3’−5’結合を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、それらの2’−5’結合類似体、ならびに1つ以上のヌクレオチド間結合が3’〜3’、5’〜5’または2’〜2’結合である反転極性を有するものを含む。3’末端ヌクレオチド間結合で単一3’〜3’結合を含む反転極性を有するポリヌクレオチド、すなわち、非塩基であってもよい(ヌクレオチドが欠損しているか、またはその位置にヒドロキシル基を有する)単一の反転ヌクレオシド残基が意図される。塩類、混合塩、および遊離酸形態も意図される。
【0157】
上記のリン含有結合の調製を教示する代表的な米国特許は、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,194,599号、第5,565,555号、第5,527,899号、第5,721,218号、第5,672,697号および第5,625,050号を含み、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
リン原子を含まない修飾されたポリヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合により形成される骨格を有する。これらは、モルホリノ結合、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、および混合N、O、SおよびCH構成要素を有する他のものを有するものを含む。また他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を用いて提供され、オリゴヌクレオシドはヘテロ原子を用いて提供され、米国特許第5,489,677号および第5,602,240号に記載される、-CH-NH-O-CH-、-CH-N(CH)-O-CH-、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-および-O-N(CH)-CH-CH-を含む。例えば、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、第5,792,608号、第5,646,269号および第5,677,439号を参照のこと。
【0159】
種々の形態において、オリゴの2つの連続したモノマー間の結合は、-CH2、--O-、-S-、-NRH-、>C=O、>C=NRH、>C=S、-Si(R”)-、-SO-、-S(O)-、-P(O)-、-PO(BH)-、-P(O,S)-、-P(S)-、-PO(R”)-、-PO(OCH)-、および-PO(NHRH)-から選択される、2〜4、望ましくは、3基/原子から成り、RHは、水素およびC1−4−アルキルから選択され、R”は、C1−6−アルキルおよびフェニルから選択される。そのような結合の例示的な例は、-CH-CH-CH-、-CH-CO-CH-、-CH-CHOH-CH-、-O-CH2-O-、-O-CH2-CH2-、-O-CH2-CH=(後続モノマーへの結合として使用される時、R5を含む)、-CH-CH-O-、-NRH-CH-CH-、-CH-CH-NRH-、-CH-NRH-CH-−、-O-CH-CH-NRH-、-NRH-CO-O-、-NRH-CO-NRH-、-NRH-CS-NRH-、-NRH-C(=NRH)-NRH-、-NRH-CO-CH-NRH-O-CO-O-、-O-CO-CH-O-、-O-CH-CO-O-、-CH-CO-NRH-、-O-CO-NRH-、-NRH-CO-CH-、-O-CH-CO-NRH-、-O-CH-CH-NRH-、-CH=N-O-、-CH-NRH-O-、-CH-O-N=(後続モノマーへの結合として使用される時、R5を含む)、-CH-O-NRH-、-CO-NRH-CH-、-CH-NRH-O-、-CH-NRH-CO-、-O-NRH-CH-、-O-NRH、-O-CH-S-、-S-CH-O-、-CH-CH-S-、-O-CH-CH-S-、-S-CH-CH=(後続モノマーへの結合として使用される時、R5を含む)、-S-CH-CH-、-S-CH-CH−O-、-S-CH-CH-S-、-CH-S-CH-、-CH-SO-CH-、-CH-SO-CH-、-O-SO-O-、-O-S(O)-O-、-O-S(O)-CH-、-O-S(O)-NRH-、-NRH-S(O)-CH-;-O-S(O)-CH-、-O-P(O)-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)-O-、-S-P(O)-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)-O-、-O-P(O)-S-、-O-P(O,S)-S-、-O-P(S)-S-、-S-P(O)-S-、-S-P(O,S)-S-、-S-P(S)-S-、-O-PO(R”)-O-、-O-PO(OCH)-O-、-O-PO(O CHCH)-O-、-O-PO(O CHCHS-R)-O-、-O-PO(BH)-O-、-O-PO(NHRN)-O-、-O-P(O)-NRH H-、-NRH-P(O)-O-、-O-P(O,NRH)-O-、-CH-P(O)-O-、-O-P(O)-CH-、および-O-Si(R”)-O-であり;その中でも、-CH-CO-NRH-、-CH-NRH-O-、-S-CH-O-、-O-P(O)-O-O-P(−O,S)-O-、-O-P(S)-O-、-NRH P(O)-O-、-O-P(O,NRH)-O-、-O-PO(R”)-O-、-O-PO(CH)-O-、および-O-PO(NHRN)-O-が意図され、RHは、水素およびC1−4−アルキルから選択され、R”は、C1−6−アルキルおよびフェニルから選択される。さらなる例示的な例は、Mesmaeker et. al.,1995,Current Opinion in Structural Biology,5:343−355およびSusan M.Freier and Karl−Heinz Altmann,1997,Nucleic Acids Research,vol 25:pp4429−4443に記載される。
【0160】
またポリヌクレオチドの他の修飾された形態は、米国特許出願第20040219565号に詳細に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0161】
修飾されたポリヌクレオチドは、1つ以上の置換糖部分も含有してもよい。特定の態様において、ポリヌクレオチドは、2’位置で、次の:OH;F;O−、S−もしくはN−アルキル;O−、SもしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキルの1つを含み、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換された、または非置換されたC〜C10アルキルまたはC〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。他の実施形態は、nおよびmが1〜約10である時、O[(CHO]CH、O(CH2)OCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCHを含む。他のポリヌクレオチドは、2’位置で、以下の1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物、ポリヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはポリヌクレオチドの薬物動力特性を改善するための基、および類似する特性を有する他の置換基。一態様において、修飾は2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)(Martin et al.,1995,Helv.Chim.Acta,78:486−504)、すなわち、アルコキシアルコキシ基を含む。他の修飾は、2’−DMAOEとしても知られる、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、O(CHON(CH基、および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該分野で、2’−O−ジメチル−アミノ−エトキシ−エチルまたは2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’−O-CH-O-CH-N(CHを含む。
【0162】
また他の修飾は、2’−メトキシ(2’−O-CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH-CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O-CH-CH=CH)、および2’−フルオロ(2’−F)を含む。2’−修飾は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置であってもよい。一態様において、2’−アラビノ修飾は2’−Fである。同様の修飾は、ポリヌクレオチド上の他の位置、例えば、3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置、または2’−5’結合ポリヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位置でも行われ得る。ポリヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分等の糖模擬体も有してもよい。例えば、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号を参照のこと。
【0163】
一態様において、糖修飾は、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’または4’炭素原子に結合され、これによって二環式糖部分を形成する、ロックされた核酸(LNA)を含む。特定の態様において、結合は、2’酸素原子と4’炭素原子を架橋するメチレン(-CH-)n基であり、nは、1または2である。LNAおよびその調製物は、国際公開第WO98/39352号および第WO99/14226号に記載されており、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
ポリペプチド
本明細書に使用される、「ポリペプチド」という用語は、天然由来の、合成生成された、または組み換えにより生成される、ペプチド、タンパク質、アミノ酸の重合体、ホルモン、ウイルス、および抗体を指す。
【0165】
幾つかの実施形態において、本開示の組成物は、標的ポリペプチドの活性を調節する。したがって、種々の態様において、ナノ粒子は、アプタマーで機能化される。本明細書に使用される、「アプタマー」とは、特定の標的分子に結合する、オリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。よって、幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子は、標的ポリペプチドに結合し、その活性を調節する。
【0166】
一態様において、標的ポリペプチドの活性は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子と接触しない細胞と比較して、約5%阻害される。種々の態様において、標的ポリペプチドの発現は、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子と接触しない細胞と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、99%、またはそれ以上阻害される。つまり、提供される方法は、標的ポリペプチドの活性の任意の阻害の程度をもたらすものを包含する。
【0167】
面密度
NPの表面上のオリゴヌクレオチドの密度は、所与の用途のために調節することができる。例えば、Seferosらの研究[Nano Lett.,9(1):308-311,2009]は、NP表面上のDNAの密度が、ヌクレアーゼにより分解される速度に影響を及ぼしたことを例証した。本密度修飾は、例えば、薬物およびON−NPが細胞に進入し、ONが制御された速度で分解される、NPベースの薬物送達系で使用されるが、これに限定されない。
【0168】
本明細書に提供されるナノ粒子は、ナノ粒子の表面上に圧縮密度のポリヌクレオチドを有し、種々の態様において、ナノ粒子間および単一ナノ粒子上のポリヌクレオチド鎖間の協同作用をもたらすのに十分である。別の態様において、ナノ粒子間の協同作用は、ポリヌクレオチドのヌクレアーゼ分解への耐性を増大する。さらに別の態様において、細胞によるナノ粒子の取り込みは、ナノ粒子と結合するポリヌクレオチドの密度により影響を受ける。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、第PCT/US2008/65366号に記載されるように、ナノ粒子の表面上の高密度のポリヌクレオチドは、細胞によるナノ粒子の取り込みの増加と関連する。
【0169】
幾つかの実施形態において、NPの表面上のオリゴヌクレオチドの面密度は、皮膚に浸透するその能力に関連する。一般に、ON−NPの表面上の面密度が高いほど、皮膚の中に、または皮膚を通してより深く浸透する。幾つかの態様において、面密度は、ON−NPが皮膚を横断し、血液に入ることを可能にし、ON−NPの全身送達を達成する。別の態様において、面密度は、ON−NPが皮膚を横断することを防止し、ON−NPは皮膚の表面で保持される。種々の態様において、ナノ粒子の表面上のオリゴヌクレオチドの面密度は、投与されるON−NPの所望の浸透深度を達成するように調節することができることを、当業者は理解する。
【0170】
ナノ粒子とポリヌクレオチドの所望の組み合わせについて、ナノ粒子を安定させるのに適した面密度、およびそれを得るために必要な条件は、経験的に判断することができる。一般に、少なくとも2ピコモル/cmの面密度が、安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物を提供するのに適している。幾つかの態様において、面密度は、少なくとも15ピコモル/cmである。ポリヌクレオチオが、少なくとも2pmol/cm、少なくとも3pmol/cm、少なくとも4pmol/cm、少なくとも5pmol/cm、少なくとも6pmol/cm、少なくとも7pmol/cm、少なくとも8pmol/cm、少なくとも9pmol/cm、少なくとも10pmol/cm、少なくとも約15pmol/cm、少なくとも約20pmol/cm、少なくとも約25pmol/cm、少なくとも約30pmol/cm、少なくとも約35pmol/cm、少なくとも約40pmol/cm、少なくとも約45pmol/cm、少なくとも約50pmol/cm、少なくとも約55pmol/cm、少なくとも約60pmol/cm、少なくとも約65pmol/cm、少なくとも約70pmol/cm、少なくとも約75pmol/cm、少なくとも約80pmol/cm、少なくとも約85pmol/cm、少なくとも約90pmol/cm、少なくとも約95pmol/cm、少なくとも約100pmol/cm、少なくとも約125pmol/cm、少なくとも約150pmol/cm、少なくとも約175pmol/cm、少なくとも約200pmol/cm、少なくとも約250pmol/cm、少なくとも約300pmol/cm、少なくとも約350pmol/cm、少なくとも約400pmol/cm、少なくとも約450pmol/cm、少なくとも約500pmol/cm、少なくとも約550pmol/cm、少なくとも約600pmol/cm、少なくとも約650pmol/cm、少なくとも約700pmol/cm、少なくとも約750pmol/cm、少なくとも約800pmol/cm、少なくとも約850pmol/cm、少なくとも約900pmol/cm、少なくとも約950pmol/cm、少なくとも約約1000pmol/cm、またはそれ以上の面密度でナノ粒子に結合される方法も提供する。
【0171】
ナノ粒子へのオリゴヌクレオチド結合
本方法に使用するために意図されるオリゴヌクレオチドは、任意の手段によりナノ粒子に結合されるものを含む。オリゴヌクレオチドがナノ粒子に結合される手段に関わらず、種々の態様における結合は、5’結合、3’結合、内部結合の一種、またはそれらの結合の任意の組み合わせを通してもたらされる。
【0172】
結合方法は、当業者に公知であり、米国公開第2009/0209629号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。RNAをナノ粒子に結合する方法は、一般に、第PCT/US2009/65822号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、幾つかの実施形態において、本開示は、ナノ粒子に結合されるポリヌクレオチドは、RNAであることを意図する。
【0173】
幾つかの態様において、ドメインをさらに含むオリゴヌクレオチドが、ナノ粒子と結合される、それに結合されるオリゴヌクレオチドを有するナノ粒子を提供する。幾つかの態様において、ドメインはポリチミジン配列である。他の態様において、ドメインは、リン酸重合体(C3残基)である。
【0174】
幾つかの実施形態において、ナノ粒子に結合されるオリゴヌクレオチドはDNAである。DNAがナノ粒子に結合される時、ナノ粒子に結合されるDNAオリゴヌクレオチドおよび標的ポリヌクレオチドのハイブリッド形成が生じるように、DNAはポリヌクレオチドの標的配列に十分に相補的である配列から成り、これによって、標的ポリヌクレオチドをナノ粒子に結合する。二本鎖分子が、標的ポリヌクレオチドの単一鎖配列とハイブリッド形成する単鎖配列も含む限り、種々の態様におけるDNAは、一本鎖または二本鎖である。幾つかの態様において、ナノ粒子上で機能化されたオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成は、二本鎖標的ポリヌクレオチドと三重鎖構造を形成することができる。別の態様において、三重鎖構造は、ナノ粒子上で機能化された二本鎖オリゴヌクレオチドの単鎖標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成により形成することができる。
【0175】
スペーサー
特定の態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインがスペーサーを介してナノ粒子に結合されるものを含む、機能化ナノ粒子が意図される。本明細書に記載される、「スペーサー」とは、遺伝子発現自体の調節に関与しないが、複数のコピーにおいてナノ粒子に結合される時、ナノ粒子と機能オリゴヌクレオチドとの間の距離を増加するように、または個別のオリゴヌクレオチド間の距離を増加するように機能する部分を意味する。よって、オリゴヌクレオチドが同じ配列を有するか、または異なる配列を有するかに関わらず、スペーサーは、直列型で個別のオリゴヌクレオチド間に位置するように意図される。ドメインがナノ粒子に直接結合される本発明の態様において、ドメインは、任意に、スペーサーを介してナノ粒子に機能化される。直列型のドメインがナノ粒子に機能化される態様において、スペーサーは、任意に、直列型構造のドメイン単位の幾つかまたは全ての間に存在する。一態様において、スペーサーは、存在する場合、有機部分である。別の態様において、スペーサーは重合体であり、水溶性重合体、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖、炭水化物、脂質、エチルグリコール、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0176】
特定の態様において、ポリヌクレオチドは、ナノ粒子に共有結合的に結合されるスペーサーを有する。これらのポリヌクレオチドは、上述と同じポリヌクレオチドである。スペーサーのナノ粒子との結合の結果として、ポリヌクレオチドは、ナノ粒子の表面から離れ、その標的とのハイブリッド形成に利用できる。スペーサーがポリヌクレオチドである場合において、種々の実施形態におけるスペーサーの長さは、少なくとも約10ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、または30ヌクレオチド以上でさえある。スペーサーは、ポリヌクレオチドのナノ粒子または標的ポリヌクレオチドと結合する能力に干渉しない、任意の配列を有してもよい。スペーサーは、相互に、またはオリゴヌクレオチドのそれに相補的な配列を有するべきではないが、標的ポリヌクレオチドに完全に、または部分的に相補的であってもよい。特定の態様において、ポリヌクレオチドスペーサの塩基は、全てアデニン、全てチミン、全てシチジン、全てグアニン、全てウラシル、または全て他の何らかの修飾塩基である。
【実施例】
【0177】
実施例1
ナノ粒子の調製
公開された手順を使用して、クエン酸塩安定化された金ナノ粒子(1〜250nm)を調製する[G.Frens,Nature Physical Science.1973,241,20]。本実施例では、13および5nmの大きさが使用されたが、他の実施例は、1nm〜500nmの大きさのナノ粒子を含む。つまり、テトラクロロ金酸は、還流水中のクエン酸塩を用いた処理により還元される。透過型電子顕微鏡法およびuv/vis吸光分光法を使用して、粒子の大きさおよび分散度を確認することができる。チオール化されたオリゴヌクレオチドは、標準固相ホスホラミダイト法を使用して合成される[Pon,R.T.Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis.Methods in Molecular Biology(Totowa,NJ,United States)(1993),20(Protocols for Oligonucleotides and Analogs),465−496]。チオール修飾されたオリゴヌクレオチドは、次に、10nMコロイドの1mL当り3nmolのオリゴヌクレオチドの濃度で、13±1および5nm金コロイドに添加され、一晩、振蘯される。12時間後、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液(10%)を混合物に添加し、0.1%SDS濃度とし、リン酸緩衝剤(0.1M、pH=7.4)を混合物に添加し、0.01リン酸濃度とし、塩化ナトリウム溶液(2.0M)を混合物に添加し、0.1M塩化ナトリウム濃度とする。次いで、塩化ナトリウム溶液(2.0M)の6つのアリコートを8時間にわたって混合物に添加し、0.3Mの最終塩化ナトリウム濃度とし、一晩、振蘯して、機能化プロセスを完了する。溶液を遠心分離し(13,000rpm、20分)、減菌リン酸緩衝生理食塩水に3回再懸濁して、精製された抱合体を生成する。
【0178】
実施例2
オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合方法
本実施例のオリゴヌクレオチド設計は、2つの可能な作用メカニズムを含む。第1に、配列は、アンピシリン耐性(AmpR)遺伝子β−ラクタマーゼのプロモーター部位のセンス鎖と優先的にハイブリッド形成する、公開されたプラスミド配列を使用して設計された。これは、抱合体が細菌ゲノムのAmpRのプロモーター配列と優先的にハイブリッド形成する(好適な結合定数および/または患者の細胞内濃度により付与される)利点を利用することにより、細菌をアンピシリンに対して感作させる。これは、プロモーター複合体がその標的部位に結合することを防止し、mRNA転写物(Amp耐性遺伝子)の転写を防止し、したがって、細菌をアンピシリンに対して感作させる。使用された配列は、5’−AT TGT CTC ATG AGC GGA TAC ATA TTT GAA AAA AAA AAA A−SH−3’(配列番号1)および5’−AT TGT CTC ATG AGC GGA TAC AAA AAA AAA A−SH−3’(配列番号2)であった。
【0179】
第2の戦略は、AmpR遺伝子の内部領域とハイブリッド形成するように設計された配列を利用する。そうすることにより、これは、完全なmRNA転写の完了を防止する。これの下流作用は、機能mRNA転写物(Amp耐性遺伝子)の完全な転写を防止し、よって、細菌をアンピシリンに対して感作させることである。本戦略において、センス鎖は、標的二重鎖DNAとハイブリッド形成するように選択される。これの配列は、5’−ACT TTT AAA GTT CTG CTA TAA AAA AAA AA−SH−3’(配列番号3)であった。両戦略のスキームを図1に表す。代替的に、従来のアンチセンス戦略を使用して、mRNAを結合し、タンパク質生成を防止し、よって細菌を抗生物質に対して感作させる。
【0180】
公開された手順に従い(PromegaおよびInvitrogen)、アンピシリン含有プラスミド(Promega社のpsiCHECK 2またはInvitrogen社のpScreen−iTのいずれか)を使用して、JM109大腸菌コンピテント細胞を形質転換し、抗生物質含有(Amp)プレート上で成長させた。コロニーを1つ選択し、12時間、アンピシリンを有する液体培地で成長させた。本培養物は、後続の実験に使用するために、凍結(10%グリセロール)保存物を形成するために使用された。
【0181】
大腸菌の保存物を解凍した後、以下に記載するように、少量を、アンピシリンを有する、または有さないいずれかの液体ブロス中で成長させ、対応するLBプレート上で平板培養した。一実施例において、5μLの冷凍細菌ブロスを、30nMの粒子を有する1mLのLBブロス中で5.5時間成長させた。この1mLから、100μLを平板培養し、一晩、成長させた。透過型電子顕微鏡法を使用して、細菌の進入を確認した(図2)。
【0182】
数時間、ナノ粒子で処理した後、少量のバクテリアを、アンピシリン陽性またはアンピシリン陰性プレートのいずれか上で平均培養した。さらに12時間、細菌をこれらのプレート上で成長させ、各条件下で成長したコロニーの数を評価した。以下に結果を以下の表1に要約する。本戦略を使用して、細菌成長の66%阻害を得た。日常的な条件の最適化により、100%の良好な細菌の感作を得られることが予測される。
【0183】
【表1】

プロトコル:30nM粒子を有する1mLブロス中の5μLの細菌ブロスを、3.5時間成長させた。100μLを平均培養し、一晩、成長させた。
【表2】

プロトコル:30nM粒子を有する1mLブロス中の5μLの細菌ブロスを、5.5時間成長させた。100μLを平均培養し、一晩、成長させた。
【0184】
実施例3
オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体は転写ノックダウンをもたらす
さらなる戦略を利用して、プラスミド由来のルシフェラーゼ遺伝子において転写ノックダウンを検査する。本モデルは、ルシフェラーゼノックダウンを、ウミシイタケ発現をコードするプラスミド上の個別の領域と区別することにより、部位選択性遺伝子ノックダウンを例証するために使用された。本作用をアッセイするために、二重ルシフェラーゼリポーターアッセイシステム(Promega)を使用した。本モデルに利用された戦略は、ルシフェラーゼ遺伝子の完全なmRNA転写物の形成を遮断することであった。これは、ウミシイタケに関して、ルシフェラーゼシグナルの減少をもたらす。これに使用された配列は、5’−CCC GAG CAA CGC AAA CGC AAA AAA AAA AA−SH−3’(配列番号4)であった。代替的に、プロモーター複合体がその標的部位を結合することを遮断するように、上に使用されたものに類似する戦略を使用することができる。本実施例において、5nm粒子が使用された。300nM濃度の粒子を使用した、12時間後に得られたノックダウンは、59%であった(p値=0.0004)。これらの結果は、転写レベルでの遺伝子調節をもたらす別の方法を例証する。データの要約を図3に示す。
【0185】
実施例4
オリゴヌクレオチド修飾されたナノ粒子抱合体は転写を遮断する
二本鎖ゲノムDNAとハイブリッド形成することにより、転写および後続のタンパク質生成を遮断するこれらの抱合体の能力を例証するために、生体外転写アッセイを行った。オリゴヌクレオチド機能化金ナノ粒子を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードする二本鎖プラスミドDNAを含有する生体外転写反応(Promega)に添加した。オリゴヌクレオチド配列は、ルシフェラーゼ遺伝子のセンス鎖を標的にし、よって、転写のみを遮断することができ、翻訳は遮断しない。対照として、非相補的配列で機能化されたナノ粒子抱合体も、同じ方式で使用された。転写反応を進行させ、市販のキット(Promega)を使用して、ルシフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ遺伝子を標的にするナノ粒子抱合体を含有した試料において、非相補的配列を有するナノ粒子抱合体を含有する対照反応物と比較して、ルシフェラーゼ活性の有意な減少(>75%)が観察された。
【0186】
加えて、ノックダウンの基礎原理を明らかにするために、緩衝剤中で実験を行い、予備成形された二重鎖のオリゴヌクレオチド金ナノ粒子抱合体の侵入を検査した。概略的な、得られたデータを図4(AおよびB)に示す。粒子は、予備成形された二重鎖(三重鎖形成)を結合してもよい。代替的に、粒子は、標的配列のそのより高い結合定数を介して、予備成形された二重鎖を置換してもよい。次いで、粒子を13,000RPMで遠心分離し、PBS中で3回洗浄し、KCNで酸化させた。結合鎖の蛍光度を測定した。理論によって拘束されることなく、これは、フルオレセインキャップされたオリゴヌクレオチド(アンチセンス鎖)の解放、および蛍光シグナルの増加をもたらすと推測される。ナノ粒子の添加前に、消光剤(ダブシル、センス鎖)およびフルオロフォア(フルオレセイン、アンチセンス鎖)を有する二重鎖を形成した。濃度範囲に渡って、本戦略において配列特異性が見られる。
【0187】
実施例5
生体外で毒性のない遺伝子抑制
DNA−Au NPおよびsiRNA−Au NPの両方は、生体外の複数の細胞において、遺伝子機能を抑制することを示した。例えば、サバイビンに対するsiRNA−Au NPは、T−24およびHT−1376膀胱癌細胞の細胞死をもたらした。加えて、siRNA−Au NPは、単回治療後、培養物中、4日にわたり、HeLa細胞におけるルシフェラーゼの発現を斬進的に低減し、一方、ルシフェラーゼ発現は、従来のsiRNAで治療した後、4日でベースラインレベルまで戻った[Giljohann et al.,J Am Chem Soc 131:2072−2073(2009)]。細胞毒性は、遺伝子発現抑制に必要な濃度で観察されず、免疫媒介作用は、従来の核酸よりも顕著に低い。オリゴヌクレオチド−Au NPを用いた1つ以上の遺伝子の同時抑制も示され、ガングリオシド生合成の2つの酵素(GM2/GD2シンターゼおよびGD3シンターゼ)に対するDNA−Au NPの培養したケラチノサイト(KC)への同時添加は、開始後3日で、ケラチノサイト膜でGM3基質の蓄積をもたらし、目に見える膜発現が、アンチセンス封鎖後、少なくとも1週間継続した。
【0188】
これらのナノ抱合体に対する細胞応答を検査するために、13nmのクエン酸塩安定化された金ナノ粒子およびオリゴヌクレオチド修飾された粒子を比較した。クエン酸塩安定化された粒子は、HeLa細胞(127遺伝子上方または下方制御)の遺伝子発現プロファイルにおいて、有意な変化を含んだが、組み換えsiRNAまたはDNA機能化ナノ粒子は、遺伝子発現プロファイルにおいて、有意な変化を示さなかった。
【0189】
実施例6
ナノ粒子抱合体は、局所適用後、経皮的に送達される
DNA−Au NPまたはsiRNA−Au NPを使用した試験は、一次ヒトケラチノサイトが、2時間以内に約100%の効率で、DNA−Au NPおよびsiRNA−Au NPを取りこむことを示す。金ナノ粒子の取り込みを測定するために、誘電結合プラズマ質量分析(ICP−MS)を使用し[Giljohannet al.,Nano Lett7:3818−3821(2007)]、DNA−Au NPの培養されたケラチノサイトによる取り込みは、任意の他の細胞の取り込みより少なくとも10倍大きく、siRNA−Au NPのKCへの取り込みは、他の細胞種より20倍高かったことが分かった。例えば、低カルシウム培地中のKCを用いた、50pMのsiRNA−Au NPの6時間のインキュベーションは、細胞当り約6×10NPの取り込みをもたらし、従来のsiRNAの細胞取り込みより非常に高い。
【0190】
混合の容易性、適用部位での保持性、およびナノ抱合体の安定性(ナノ粒子の特徴のある赤色の持続性により決定される)を確実にする、可能性のある局所的送達用の軟膏、クリーム、およびローションの群を識別した。Cy5標識センスDNA−Au NP軟膏(Aquaphor ointment(登録商標)のDNA−Au NP)のマウスの背側皮膚への適用は、単回適用後、2時間で、角質層を通って表皮への浸透、6〜8時間で、上部真皮への浸透、および24および48時間で、真皮全体にわたる広域の分布を示した。例証される蛍光の持続性は、ICP−MSにより測定されるように、組織中の金ナノ粒子の持続性と良く相関した。同様に、Cy3修飾されたsiRNA−Au NP軟膏は、マウスの皮膚を通して迅速に取り込まれ、適用後24時間で、表皮の基部から、真皮を通って皮下組織までの優れた浸透を示す(図5A、B)。これらの試験は、ナノ粒子が、角質層に浸透し、表皮を横断し、その脈管構造を有する真皮に達したことを示した。
【0191】
局所適用は、毒性の痕跡を示さなかった。C57BL/6マウスの背側皮膚への1ヶ月の15nMの組み換えsiRNA−Au NPの適用は、認められる全身または皮膚の臨床変化をもたらさなかった。対照(ビヒクルの適用または未治療)と比較して、金粒子蓄積は、メラノーマ転移の部位:皮膚、リンパ節、肺、および程度は低いが、肝臓および腎臓で最も著しかった。組織切片は、炎症、アポトーシスの痕跡、または増殖/皮膚の厚さにおける変化を示さなかった。予備毒性試験において、50nM〜500nM(各群にn=5)の範囲の用量で、組み換えsiRNA−Au NPを局所的に適用し、10日間、毎日、マウスを治療した。皮膚、リンパ節、肝臓、胃腸管、および糞便で金粒子を検出し、これらの臓器で、適用されたナノ粒子の濃度に比例して、濃度は増加した。
【0192】
実施例7
局所適用されたsiRNA−Au NPは、遺伝子発現を抑制する
局所アプローチを使用する遺伝子発現を標的にする試験において、緑色蛍光タンパク質(GFP)が、導入遺伝子(C57BL/6−Tg(UBC−GFP)30Scha/J)を遍在的に発現するマウスにおいて標的にされた。Aquaphorビヒクルを使用して、GFPに対してsiRNA−Au NPを15nM濃度で局所的に適用した。マウスを、4週間、連続して3回治療し、マウスの背部の半分を抗GFP siRNA−Au NPで治療し、もう半分を組み換えsiRNA−Au NPで治療した。治療した皮膚を単離した後、対照群と抗GFP siRNA−Au NPで治療された群との間のGFPレベルを比較するために、蛍光定量法を使用した。治療されたマウス(n=5)において、本レジメンは、蛍光的に測定された時、GFP発現において43%の減少をもたらした(p<0.0036)(図6)。組み換え(対照)siRNA−Au NPで半分を治療されたマウスの皮膚から見られる約12%のノックダウンは、抗GFP siRNA−Au NPの全身取り込みを示した。
【0193】
実施例8
治療標的としての転移性メラノーマ
異なる遺伝子型のヒトメラノーマ細胞株(例えば、SK−MEL−28、1205Lu、A375P、C8161、およびWM3211株)およびヒトメラノーマ組織の試験から、転移性細胞は、ガングリオシドGM3の独特の脱アセチル化形態の存在により、非転移性メラノーマ細胞および正常なメラニン細胞と区別できることが分かった。脱N−アセチルGM3は、抗原的に明確なマーカーであるだけでなく、細胞移動および侵入も促進する[Liu J de−N−acetyl GM3 promotes melanoma cell migration and invasion via urokinase plasminogen activator receptor signaling−dependent matrix metalloproteinase−2 activation.Cancer Res (2009)]。移植片マウスモデルを用いた試験は、マウスの転移性株の肺および肝臓への転移の蔓延の抑制において、脱N−アシルGM3の有用性を検証した。これらの試験の間、皮膚および転移性メラノーマの確立の時間推移は、2つのBRAF V600E/ PTEN欠損モデルである、SK−MEL−28および1205Luを用いた移植片モデルで調査された。これらのモデルにおいて、10細胞の皮下接種は、肉眼、顕微鏡、およびRT−PCR評価により、接種後、数週間内で大半のマウスに皮膚腫瘍および肺および肝臓への転移をもたらす。siRNA−Au NPのメラノーマ細胞に浸透し、サバイビンの発現を抑制する能力も試験された。SK−MEL 28メラノーマ細胞株を使用して、siRNA Au−NPは、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)により測定された時、サバイビンmRNAレベルを91%低下させることを示した。
【0194】
実施例9
既知の遺伝子を標的にする多機能siRNA−Au NPは、組み合わせの生体外アプローチを使用する転移性メラノーマに関与する
遺伝的にシグナル伝達経路を標的にする多機能ナノ粒子の能力を検討する。抱合体を設計し、組み合わせ形式で複数の変異を標的にするように例証する。比率測定基準アプローチを使用して、複数の遺伝子を同時に調節する目的のために、機能化された抱合体を最適化する。
【0195】
複数のシグナル伝達経路、特にBRAF/ERKおよびAKT3シグナル伝達は、転移性メラノーマにおいて上方制御されることが知られている。組み合わせアプローチを使用して、共通のBRAF変異および活性化されたAKT3を標的にする。加えて、各実験において、BRAF V600EおよびAKT3 siRNA−Au NPによるノックダウンの結果を、非相補的対照siRNA−Au NPの結果と比較した。これは、遺伝子ノックダウンの特異性を決定し、共役毒性の評価を可能にする。
【0196】
これらの2つのメラノーマ標的を個別に標的にする最適な戦略を決定する。第1に、siRNA抱合体は、BRAFにおいて、T1799A(V600E)変異を標的にするように設計される。siRNA設計アルゴリズムを使用して、または文献からの選択を介して[Sharma et al.,Cancer Res65:2412−2421(2005)]、標的毎に少なくとも3つの配列を設計する。BRAF抱合体を個別に評価して、BrafVE Ptenloxマウス細胞株、ヒトBRAF V600E含有細胞株3つ(A375P、SK−MEL−28、1205Lu)、ならびに陰性対照として、正常なメラニン細胞(ScienCell Research Labs,Carlsbad,CA)、および野生型BRAFのみを示すC8161転移性メラノーマ細胞株において、遺伝子ノックダウンに最適な濃度を決定する(表Aを参照)。
【0197】
第2の配列は、AKT3を標的にするように設計され[Sharma et al.,Clin Cancer Res15:1674−1685(2009)]、BRAF V600E含有細胞株3つ、同様にAKT活性を有するC8161株、および対照として、正常なヒトメラニン細胞において試験された。BrafVE発現を誘発するために、遺伝子導入マウス株からの細胞を4−HT(および対照として、4−HTなし)の存在下で成長させた。siRNA−Au NP治療後の特定の時間点で細胞を収集した後、qRT−PCRおよびウエスタンブロット解析を使用して、ヒトならびにマウスのBRAF V600EおよびAKT3のmRNAとタンパク質発現のレベルを決定する[Dankort et al.,Nat Genet41:544−552(2009)、Dankort et al.,Genes Dev21:379−384(2007)]。ノックダウンの特異性を確認するために、qRT−PCRおよび免疫ブロットにより、siRNA−Au NP治療の効果を野生型BRAF、CRAF、AKT1、およびAKT2で評価した[Stahl et al.,Cancer Res64:7002−7010(2004)]。技法は、NRAS(例えば、Q61L)またはc−KIT等における、ERK活性の増加をもたらす頻度が低い変異の標的も可能にする。
【0198】
金ナノ粒子は、分子結合の足場として機能するため、BRAF V600E およびAKT3を同時に標的にするための組み合わせアプローチの使用を検討する。各変異を標的にするsiRNA二重鎖を、異なる割合でナノ粒子に添加する。抱合体の化学量を制御する能力を使用して、siRNAの細胞への送達は厳密に作用され、各標的の量は微調節されるため、ノックダウンおよび細胞応答の調査を可能にする。
【0199】
実施例10
シグナル伝達経路変更および細胞機能の評価
選択された個別の、および多機能のsiRNA−Au NPのシグナル伝達および細胞の生物学的様態への影響が、記載されるように比較される[Sun et al.,J Invest Dermatol119:107−117(2002)、Wang et al.,J Invest Dermatol126:2687−2696(2006)、Wang et al.,J Biol Chem276:44504−44511(2001)、Wang et al., J Biol Chem278:25591−25599(2003)]。BRAF V600E/AKT3 siRNA−Au NPは、ERKリン酸化ならびにAKT発現およびリン酸化の両方を抑制する。これは、pERK、ERK、pAKT、およびAKTに対する抗体を用いた免疫ブロットにより確認される。メラノーマ細胞増殖の増加および生存におけるBRAF/ERKおよびAKTシグナル伝達の主要な役割を考えると、生体外メラノーマ細胞機能における著明な変化は、ノックダウンの結果として生じる。アポトーシスの誘発は、PARP切断を判定するための免疫ブロットおよびアネキシンV流動試験により判断される。BRAF V600E抑制およびAKT3抑制の相対的な役割は、Bim(BRAF活性化により誘発される)、BCL−2(AKT活性化により誘発される)、およびBAD(AKT活性により抑制される)のタンパク質発現を特定することにより分析される。組み換え配列を有する対照における誘発されたアポトーシスの欠損は、アポトーシスがsiRNA−Au NP毒性ではなく意図される標的に起因することを確実にする。増殖は、細胞計数およびWST−1[(4−[3−(4−インドフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼンジスルホネート)]アッセイにより判定され、サイクリンD1発現は、免疫ブロットにより評価される。メラノーマ細胞は、血管新生(特に、IL−8およびVEGF)および侵入(特に、MMP−2)の一因となる因子を発現する[Liu J et al., de−N−acetyl GM3 promotes melanoma cell migration and invasion via urokinase plasminogen activator receptor signaling−dependent matrix metalloproteinase−2 activation.Cancer Res(2009)]。腫瘍VEGF、Hif−1α、およびMMP−2の発現は、免疫ブロット細胞計数および上澄みにより判定され、培養物の上澄みのMMP−2機能酵素電気泳動アッセイの判定は、前述のように行われる[Liu J et al., de−N−acetyl GM3 promotes melanoma cell migration and invasion via urokinase plasminogen activator receptor signaling−dependent matrix metalloproteinase−2 activation.Cancer Res(2009)、Wang et al.,J Biol Chem278:25591−25599(2003)]。IL−8発現は、ELISAにより、細胞の上澄みで判定される[Crawford et al.,Mol Cancer Ther7:492−499(2008)]。細胞侵入アッセイは、マトリゲル浸潤チャンバを使用して行われる[Wang et al.,J Biol Chem278:25591−25599(2003)]。
【0200】
多機能siRNA−AuNPは、別の遺伝子変異を標的にするための(WM1366細胞株等における)、または追加の標的siRNAをBRAF V600EおよびAKT3を標的にする多機能siRNA−Au NPに追加するための機会を提供する。したがって、細胞株のそれぞれの遺伝子プロファイルならびにそれらの既知の遺伝子変異を使用する、3つ以上の遺伝子を標的にする能力も意図される(表A)。例えば、SK−MEL−28および1205Lu細胞の両方は、特定のCDK4点変異を有し、これらの変異は、BRAF抑制に対する応答に影響を及ぼすように見えないが、追加の標的は、これらの変異の機能的作用の探索を可能にする。同様に、SK−MEL−28および1205Luは、転移性メラノーマ形質転換および進行におけるそれらの有意性を探索するように標的にされる、p53(SK−MEL−28)およびCDKN2A(1205Lu)において、追加の標識変異を有する。これらの細胞株は、両方とも生体内異種移植モデルに広範に使用されている。
【0201】
実施例11
siRNAナノ抱合体の経皮および静脈内送達のための条件、安全性、および体内分布
静脈内および経皮的に投与される組み換えsiRNA−Au NPの送達、クリアランス、および毒性を、免疫応答性マウスで比較する。加えて、抱合体の毒性および薬物動態プロファイルを判定する。多機能ナノ粒子は、本明細書に上述される、ヒトの皮膚に浸透するようにも最適化される。
【0202】
siRNA−Au NPは、経皮送達により全身に送達され、それらの動態を金粒子の蓄積により追跡する。臓器中の金粒子のレベルは、前述のように、ICP−MSにより測定される[Giljohann et al.,Nano Lett7:3818−3821(2007)]。これらの試験において、6匹のマウスを、各siRNA−Au NP治療群で試験し、対照として、各パラメータの2匹のマウスにビヒクルを適用する。体内分布試験において、送達は、メラノーマ転移の最も一般的な部位であり、局所投与を用いた試験においてsiRNA−Au NPが到達する部位である、肝臓、肺、皮膚、およびリンパ節に焦点を当てる。腎臓、脾臓、副腎、および胃腸管(毒性の可能性がある部位)も監視され、脳(到達するのが困難である、ヒトにおける偶発的な転移部位)も監視される。これらの試験で、500nMのsiRNA−Au NPを投与するが、これは、本濃度が経皮送達を通して良好に内部標的に達するためである。
【0203】
経皮送達
表皮、真皮、および皮下細胞による25nMのフルオロフォア抱合siRNA−Au NPの広範な取り込みは、適用後、24時間内(図5)示され、僅か15nMの非機能性siRNA−Au NPの適用後でも、金粒子の皮膚、リンパ節、肺、肝臓、および腎臓への送達が示された。試験は、形質転換マウスメラノーマモデルにおいて治療が開始する週齢である、7〜8週齢の免疫応答性C57BL/6マウスで行われる。
【0204】
単回投与での送達、クリアランスおよび毒性
多機能siRNA−Au NPを用いた時間経過実験は、1)経皮浸透の時間経過および効率性、2)内部臓器への送達の有効性、3)単回適用後のクリアランス、および4)刺激性および毒性の可能性を判断するために行われる。マウスを一度治療した後、治療後2時間〜7週までの8つの時間点で安楽死させる。これらの試験において、初期時間点(すなわち、2、4、24、および72時間)でのsiRNA−Au NPの分布は、皮膚への浸透、臓器への送達、およびクリアランスを確実にするために比較される。局所的に治療されたマウスにおいて、皮膚の治療部位は、金粒子濃度を定量化するためのICP−MS用に、および−80℃での保存用(例えば、後のELISAアッセイ用)に毒性がないことを確実にするために、組織学分析用に3等分される。ICP−MS用の皮膚切片を短時間60℃の水に曝し、血管新生化された真皮から表皮を単離し、これによって、真皮/皮下送達に対する表皮送達を判断する。致死する時に、金含有量について、臓器(上に記述する)および遠隔の皮膚をICP−MSにより判定し、組織学判定(以下を参照)のために各臓器の一部を取り出した。
【0205】
反復投与での蓄積
マウスが提案された実験において、単に単回適用ではなく繰り返し治療されることから、これらの試験も、金ナノ粒子の蓄積を定量化するために、10日、4週間、および7週間の間、毎週2〜3回治療されるマウス(単回適用後の皮膚における金粒子の持続性に基づく)を用いて行われる。
【0206】
毒性の判定
2日に1回マウスの体重を量り、眼に見える皮膚の変化または行動の変化を観察する。有害な影響を検査するために、臓器レベルで組織学および免疫組織化学評価を行った。特に、全組織および皮膚における壊死および炎症の存在、表皮成熟の変化、およびメラニン沈着の存在(色素ダンピング)を判断した。皮膚および内臓の萎縮の痕跡が見られる場合、細胞増殖は、Ki67の検出により、免疫組織化学的に判定される。疑わしいアポトーシスの存在が免疫組織化学的に確認される(ApopTag In Situアポトーシス検出)[Lannutti et al.,Cancer Res.57(23):5277−80(1997)]。皮膚が先天性免疫臓器であり、アポトーシス促進性サイトカインを発現できることから、治療された皮膚で、表皮アポトーシスが見られる場合、対照治療された皮膚に対するsiRNA−Au NP皮膚において、TNF−α発現用のELISAアッセイが行われる。
【0207】
最終段階前に、心穿刺により、全動物において血液を得る。単回用量試験において、必要に応じて、後の分析のために血清を凍結する。10日以上治療されたマウスからの血液を、血球数、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(肝臓機能)、およびクレアチニンレベル(腎臓機能)について分析する(Charles River Labs)。
【0208】
ヒトの皮膚における経皮送達
フランツ拡散セルを用いた生体外実験を行うために、腹壁形成術からの正常なヒトの皮膚を使用して、siRNA−Au NPのヒトの皮膚を横断する能力を試験する。これらのフランツセルは、過去数十年間、ヒトの皮膚を通る流束(flux)を検査するための判断基準であった。これらは、ヒトの生体内条件に一致するように、そして重要な点は、浸透圧勾配視入レーション皮膚を提供するように、温度および湿度制御される。siRNAおよび金粒子は抱合されたままであるため、ヒトの皮膚を通した金粒子の輸送は、浸透のマーカーとして、ICP−MSにより定量化される。真皮から角質層/表皮を分離した後、再構成された皮膚を得る。再構成されたヒトの皮膚試料の整合性は、解剖顕微鏡下で、視覚的に確認される。組織が無損傷であることをさらに確認するために、組織が無損傷である場合、最初の30分内で、回収された試料中で金は検出できないという想定のもとに、最初の30分に、受容液試料を回収する。皮膚をフランツセルに搭載した後、siRNA−Au NP(500nMから始め、100pMの低さまで減らす)を、対照としてのAquaphorとともに適用する。試験は、少なくとも三通りで、少なくとも3回行われる。これらの試験は、時間とともにcmの皮膚表面全体を通過する薬物の量(ng/cm/時間)である、ヒトの表皮を通る流束を示す。6時間および24時間の終わりに、皮膚を刻み、組織中の残留Au NPを測定するために、ICP−MS測定用に金粒子を抽出する。
【0209】
実施例12
マウスモデルの確立
前述のように、6週齢で、左および右の脇腹に、3日間連続でDMSO中5mMの4−HTを局所投与することにより、メラノーマを誘発する[Dankort et al.,Nat Genet41:544−552(2009)]。これらの有色メラノーマは、有色腫瘍と同様に、最初に、形質転換されたモデルにおいて、4−HT投与後7〜10日で、明らかになる[Dankort et al.,Nat Genet41:544−552(2009)]。マウスモデルを生成するための試験において、溶媒のみの適用は対照として使用される。少なくとも皮膚の腫瘍が最初に検出されるまで療法が始まらない、ヒト疾病をシミュレーションするために、メラノーマが目に見えるか、または少なくとも5mmの最低領域で明白になるまで、療法の開始は、両方のマウスモデルで保留される。
【0210】
用量設定試験
50nMから500nMの間の3用量のそれぞれで、8匹のマウスを試験する。用量設定試験の対照は、組み換えsiRNAおよびAquaphor単独を含む。検死のために、療法後7週間で、マウスを致死した。原発性メラノーマおよび任意の皮膚の転移の写真を撮り、カリパスで各治療の時に容積を測定する。目に見える、または明白な皮膚転移の数を記述する。肺、肝臓、リンパ節、腎臓、および脳の肉眼の転移を数え(それらは暗褐色のため容易である)、微視的転移の痕跡について、各臓器全体の複数の個所で、組織学的に臓器を検査する。微視的転移は、顕微鏡的に容易に目に見えるが、必要に応じて、色素沈着をさらに顕著にするために、フォンタナ−マッソン染色を使用する。任意の毒性の痕跡なしに転移を低減するのに最も効果的な用量が、後続の試験に使用される。
【0211】
転移の発生の時間経過およびsiRNA−Au NP療法によるその変化
前回の試験に基づく用量および頻度で、siRNA−Au NP、組み換えsiRNA−Au NP、または対照ビヒクル(局所Aquaphor)をマウスに投与する。一組各8匹のマウスを、治療の開始後、1、3、5および7週で致死し、上述のように、肉眼で、および組織学的に内臓転移を評価する。
【0212】
siRNA−Au NPの作用のメカニズム
原発性腫瘍を、定期的な組織学試験と免疫組織化学試験、免疫ブロット分析とqPCRのために分けた。これらの試験における対照は、組み換えsiRNA−Au NPまたはビヒクルで治療されたマウスからの腫瘍、および正常/未治療皮膚(例えば、形質転換マウスの上背部からの皮膚)である。以下を調査する:i)Ki67染色を用いた腫瘍細胞増殖、ii)抗CD31抗体を用いた腫瘍周囲の血管増生、iii)TUNELアッセイまたはカスパーゼ3染色を用いた腫瘍細胞アポトーシス、iv)前述のプライマーを用いるqPCRを使用した、形質転換モデルにおけるBrafVE、野生型Braf、およびAkt3の発現の直接的抑制[Dankort et al.,Nat Genet41:544−552(2009)、Sharma et al.,Clin Cancer Res15:1674−1685(2009)、Sharma et al.,Cancer Res66:8200−8209(2006)、Sharma et al.,Cancer Res65:2412−2421(2005)]、およびv)全Braf;Craf;p−Akt/全Akt;およびp−ERK1/2/全ERK1/2のタンパク質発現の変化。血管新生および侵入のマーカーについて(VEGF、MMP−2、およびHif−1)、免疫ブロットにより腫瘍試料から抽出したタンパク質をアッセイする。siRNA−Au NPの最終投与後2時間の致死でのベースライン眼球内出血および心穿刺は、ELISAによってIL−8レベルを判定するために行われる[Crawford et al.,Mol Cancer Ther7:492−499(2008)]。免疫応答性形質転換モデルにおいて、Brafおよび/またはAkt3活性の抑制が免疫応答に影響を与え、細胞毒性を促進するかどうかに関わらずT細胞機能も判定される。これらの試験は、未治療または組み換えsiRNA−Au NP治療したマウスからの細胞BrafVE Akt3 siRNA−Au NP治療した形質転換マウスと比較する。免疫組織化学検査を使用して、腫瘍切片のFoxp3+(調節T細胞)およびCTLA4+/CD152(細胞毒性CD8+T細胞)の数を数える。抗体の視覚化を確実にするために、AEC色素原(赤色)を使用する。腫瘍浸潤性リンパ球を皮膚の腫瘍[Lin et al.,J Immunol182:6095−6104(2009)]、および治療開始後1、4、および7週で致死したマウスから抽出する。CD4、CD25、Foxp3、CD8、およびCTLA4に対して、蛍光色素抱合された抗体を用いて染色した後、細胞はFACS分析を受ける。
【0213】
siRNA抑制の持続
個別の試験において、原発生腫瘍成長および転移を制御するために、マウスを7週間、siRNA−Au NPで治療する。マウスの半分(n=12)は、療法を中断する。治療なしのマウスおよび治療を継続する同齢集団を、2、4、8、および12週後に致死する。原発性メラノーマを毎週2回測定し、終了時に内臓転移を数える。加えて、皮膚および内臓腫瘍において、Au−NPを定量化し、それらのクリアランスがどのように腫瘍抑制の反転と相関するかを判断する。
【0214】
生存期間の延長
形質転換マウスは、25〜50日で安楽死を要する[Dankort et al.,Nat Genet41:544−552(2009)](例えば、腫瘍がその最大直径で2cmに達するか、または栄養不良、1週間で20%の体重の損失、もしくは2週間連続で10%の体重の損失、異常呼吸、または痛みを示す体勢を示す等、マウスが病的であるかのいずれかの時)。siRNA−Au NPの作用を判定するための上述の試験において、マウスは、最高10週の時間点で致死される。マウスの治療を継続し、最高3ヶ月の生存試験のために、未治療および組み換えsiRNA−Au NP治療したマウスとの比較を行う。マウス生存率は、カプラン−マイヤー生存曲線を使用してプロットされる。
【0215】
毒性の判定
2日に1回マウスの体重を量り、行動または食欲の変化の痕跡を観察する。定期的な病理組織学的染色法によって、組織毒性の痕跡(例えば、アポトーシスまたは炎症)について、肝臓および腎臓組織を判定し、当該分野に公知の方法に従い、骨髄、肝臓、および腎臓機能のスクリーニング血液試験を行う。毒性の痕跡が疑われる場合、さらなる免疫組織化学評価(TUNELおよびKi67等)を行う。siRNA誘発の非特異的作用は、全ゲノム配列(Affymetrix)を行うために、心穿刺により得られる血清で判定される。遺伝子整列試験は、少なくとも7週間、BrafVE Akt 3 siRNA−Au NPに曝されたマウスおよびそれらの対照群からの試料で、少なくとも三通りで行われ、試料を保存(banked)し、非特異的作用が検出される場合、整列は、曝露が短いマウスで行われる。
【0216】
統計分析
合成抱合体の遺伝子をノックダウンし、タンパク質発現に影響を与える能力を、P<0.05の有意性を有する両側スチューデントt検定を使用して判定する。ノンパラメトリックマン−ウィットニーU検定およびPRISMソフトウェアを使用して、皮膚メラノーマの大きさの差の有意性ならびに肺および肝臓転移の数を決定する。生存試験における有意性は、生存プロットのログランク検定により判断される。
【0217】
本発明は、種々の実施形態および実施例に関して説明されたが、当業者には、変形および改善が生じることは理解されるであろう。したがって、特許請求の範囲に示されるそのような制限のみが、本発明に提示されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の経皮送達の方法であって、前記オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子および経皮ビヒクルを含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする患者の皮膚に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は経皮的である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子の送達は局所的である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記経皮ビヒクルは軟膏である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軟膏は、Aquaphorである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
遺伝子発現を調節する方法であって、オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子を含む治療上有効量の組成物を、前記オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子が標的とハイブリッド形成し、遺伝子発現を調節する条件下で皮膚に投与するステップを含む、方法。
【請求項7】
前記標的はポリペプチドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的はポリヌクレオチドである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリヌクレオチドはRNAである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物の投与は、皮膚疾患を軽減する、請求項1または請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚疾患は、癌、遺伝的疾患、老化、炎症、感染、および美容上の変形から成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記癌は、扁平上皮癌、基底細胞癌、乳癌、およびメラノーマから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記標的は、Ras、IkBα、ヘッジホッグ、B−Raf、Akt、およびサイクリンDから成る群から選択される遺伝子により発現する遺伝子産物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遺伝的疾患は、単純性表皮水疱症、水疱性魚鱗癬、先天性爪肥厚症、コステロ症候群、および結節性硬化症から成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記標的は、変異を含む遺伝子産物であって、前記遺伝子産物は、K5、K14、K1、K10、H−Ras、およびm−Torから成る群から選択される遺伝子により発現する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記老化性疾患は、UV損傷および早老症から成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記標的は、マトリックスメタロプロテアーゼ1およびプロジェリンから成る群から選択される遺伝子により発現する遺伝子産物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症は乾癬によるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記標的はインターロイキン−23である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ウイルス感染は疣贅をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記標的はE6/E7である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記美容上の変形は、脂漏性角化症、表皮母斑、および色素性母斑から成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記標的は、変異を含む遺伝子産物であって、前記遺伝子産物は、FGFR3、K10、およびB−Rafから成る群から選択される遺伝子により発現する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
オリゴヌクレオチド機能化ナノ粒子および経皮ビヒクルを含む、経皮組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の組成物を使用する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−524067(P2012−524067A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505903(P2012−505903)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/027363
【国際公開番号】WO2010/120420
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511124183)ノースウェスタン ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】