オリゴヌクレオチド識別子
【課題】生体分子および化学的相互作用の迅速、ハイスループット、特異的および高感度な検出および分析のための方法、アッセイ、および成分に関し、より具体的には、これらおよび他のアッセイに関与する物の識別のための識別子の提供。
【解決手段】表面に対して固定された化学的または生物学的種を化学的または生物学相互作用に関与させることを含む、相互作用に関与した化学的または生物学的種の同定。表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、場合によっては相互作用パートナーのそれぞれに結合した2つのオリゴヌクレオチド識別子に特有の結合を同定することにより確認することができる。結合した識別子を同定することにより、相互作用対を独自に同定する。一態様において、識別子は、アッセイ中にそれが同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【解決手段】表面に対して固定された化学的または生物学的種を化学的または生物学相互作用に関与させることを含む、相互作用に関与した化学的または生物学的種の同定。表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、場合によっては相互作用パートナーのそれぞれに結合した2つのオリゴヌクレオチド識別子に特有の結合を同定することにより確認することができる。結合した識別子を同定することにより、相互作用対を独自に同定する。一態様において、識別子は、アッセイ中にそれが同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連する出願
本出願は、2000年11月15日に出願された米国仮特許出願第60/248,863号,2000年11月22日に出願された第60/252,650号,2001年1月15日に出願された英国特許出願第0101054.5号、2001年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/276,995号、2001年6月29日に出願された第60/302,231号、2001年10月3日に出願された60/326,937号、および2001年10月3日に出願された60/327,089号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、生体分子および化学的相互作用の迅速、ハイスループット、特異的および高感度な検出および分析のための方法、アッセイ、および成分に関し、より具体的には、これらおよび他のアッセイに関与する物の識別のための識別子に関する。
【0003】
発明の背景
2000年7月27日に公開された国際特許出願第PCT/US00/01504号はコロイドに関連する各種アッセイについて記載する。
【0004】
2000年1月25日に出願された国際特許公開公報第PCT/US00/01997号、および2000年8月3日に出願された米国特許出願第09/631,818号は、疾患に関連した種の分析、および疾患の処置のための候補薬物をスクリーニングするための方法、アッセイ、および成分を記載する。コロイド/コロイド相互作用を含むアッセイが詳細に記載される。
【0005】
蛋白質‐蛋白質相互作用を研究するための現在存在するin vitro技術には、共免疫沈降法、クロマトグラフィーによる共分画法、橋かけ法、サンドウィッチアッセイおよび表面プラスモン共鳴法が含まれる。これらの技術の欠点は、結合パートナー候補を順番に試験しなければならないことである。これは、試験可能な潜在的相互作用蛋白質の数を非常に限定する。実験を順番に行わなければならない理由は2つある。第1はシグナル伝達の問題である。典型的な結合実験では、結合が起きると単一の型のシグナルが生じる。したがって、結合パートナー候補は離れていなければならず、その後対毎の相互作用が順番に試験される。順番の実験のための第2の理由は、記録の問題である。蛋白質を識別することは、とりわけ低濃度の場合、非常に困難なため、単離し、精製した種を追跡すること、そして対毎に結合を試験することが必要である。
【0006】
イーストツーハイブリッド系およびイースト交配系のようなin vivoの細胞を基礎にした結合アッセイは、現在のin vitro結合法に優る重要な利点を提供する。それは、いったん陽性の蛋白質‐蛋白質相互作用を検出していれば、シグナルを提供する宿主細胞には研究中の蛋白質(複数の蛋白質)をコードする十分なDNAが含まれることである。当業者によく知られているように、蛋白質やペプチドよりDNAの配列を決定するほうがずっと容易である。さらに、低濃度のDNAは配列決定の前に酵素的に増幅できるが、蛋白質はできない。このことが精製された蛋白質の個々のアリコートを追跡する必要性を除去し、蛋白質‐蛋白質相互作用を検出するためのハイスループットスクリーニングを容易にする。
【0007】
しかし、in vivo蛋白質検出系には欠点がある。アッセイが基礎にする生体過程
の固有冗長性のため、in vivoアッセイは偽陽性および陰性を欠点として持つ。たとえば、イーストツーハイブリッド系は転写活性化の機序を基礎にする。系の別の欠点は、それが細胞由来の種間の相互作用しか検出できないことである。したがって、この方法を使用して、蛋白質と化学種、たとえば薬物候補または化学的認識エレメント間の相互作用を検出することはできない。
【0008】
多様な生物学的および化学的アッセイ技術が公知であるが、検出の正確さを損なわずに、多様な能力が促進されたアッセイが好都合であろう。したがって、発現された蛋白質または化学種をコードする遺伝物質を利用でき、結合アッセイ後に具体的な種に関連させることができるi vitro結合アッセイは、ハイスループット性と既存の系に優る重要な利点を提供する。
【0009】
発明の概要
本発明は、化学的および生物学的分析に使用するための一連の方法、成分、キットなどを提供する。具体的には、化学的または生物学的種間の結合相互作用、たとえば蛋白質間の結合相互作用を研究するための技術を提供する。本発明は、種間の相互作用のハイスループットな多重スクリーニングを可能にする。すなわち、結合パートナー候補が順番にスクリーニングされる以前の技術とは対照的に、多数の相互作用を同時にスクリーニングすることができる。ハイスループットな多重スクリーニングがin vitroで実行できることは、本発明の重要な利点である。
【0010】
本発明は、多くの結合相互作用が生じうる中、どこで結合相互作用が起きたかを確認し、結合相互作用に関与した種を選択しおよび同定するための技術を提供する。
別の方法は、表面に対して固定された化学的または生物学的種を化学的または生物学相互作用に関与させることを含む。相互作用に関与した化学的または生物学的種の同定は、表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、場合によっては相互作用パートナーのそれぞれに結合した2つのオリゴヌクレオチド識別子に特有の結合を同定することにより確認することができる。結合した識別子を同定することにより、相互作用対を独自に同定する。一態様において、識別子は、アッセイ中にそれが同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0011】
別の方法は、オリゴヌクレオチドにより蛋白質を発現すること、および蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに固定することを含む。
本発明の別の方法は、核酸から蛋白質を発現すること、および蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに固定することを含む。
【0012】
本発明の別の側面はアーティクルを含む。本発明の1アーティクルは、表面に固定されるか、固定されるように適合した、化学的または生物学相互作用に関与することができる化学的または生物学的種を持つ表面を有する。オリゴヌクレオチド識別子も表面に固定されるか、または固定されるように適合する。一態様に従った本側面における上記の方法のように、識別子はそれがアッセイ中に同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0013】
本発明はまた、生物学的または化学的分析のためのキットを提供する。一キットは上記の段落に記載のアーティクルとして定義される。別のキットは、表面、表面に固定されるか、または固定されるように適合した第2の化学的または生物学的種、および表面に固定されるか、または固定されるように適合した第2の識別子を有する少なくとも一つの付加的なアーティクルを含む。キットは、1組のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチド誘導体を含むことが可能であり、それらは任意の2つの相互作用パートナーを独自に同定する、すべての可能なオリゴヌクレオチド識別子配列の組合せを完全に表す。キット
は、2つ以上の相互作用種を含む相互作用に対して1組の核酸識別子を含むことができる。別の態様において、本発明のキットは、表面、表面に固定されるか、または固定されるように適合した蛋白質、および表面に固定されるか、または固定されるように適合した、蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む。
【0014】
別の態様において、本発明のキットは表面よりもむしろポリマーまたはデンドリマーを含む。
別の態様において、本発明のキットは、蛋白質およびお互いに固定されるか、お互いに固定されるように適合した、蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子、結合した蛋白質の結合パートナーを持つ実体を含む。
【0015】
本発明の別の側面は組成物を含む。1組成物は、蛋白質およびお互いに固定されるか、お互いに固定されるように適合した蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む。
【0016】
本発明の別の組成物は化学的または生物学的相互作用に関与可能な化学的または生物学的種、リボソームではないリンカー種、およびオリゴヌクレオチド識別子を含み、ここで化学的または生物学的種およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれはリンカー種に固定されるか、または固定されるように適合する。リンカー種はナノ粒子の表面、チップ、ポリマー、デンドリマー、RNA結合蛋白質、DNA結合蛋白質などであってもよい。
【0017】
本発明は固体支持体の性質により限定されることを意図しない。一態様において、固体支持体はコロイド(たとえば金コロイド)である。本発明は固体支持体へのリガンドの結合の性質により限定されることも意図しない。一態様において、上記リガンドは固体支持体に共有結合(直接的に、または別のリガンドもしくは結合部分を介して)する。別の態様において、リガンドは非共有結合的に、または静電的もしくはイオン的相互作用により結合する。
【0018】
いくつかの態様において、シグナル伝達実体は有用である。そのような態様において、本発明は蛍光分子のような光学的に活性な実体、および色を生み出す基質上に作用できる酵素を含む以下に記載の各種シグナル伝達実体を企図するが、それらに限定されない。好ましいシグナル伝達実体は、シグナル伝達エレメントのように電気活性分子、すなわち、適切で慣用の電気的配列の作用電極に近い、電気的または電気化学的に測定可能な、酸化/還元電位を有する分子を含む。
【0019】
本発明は化学的または生物学作用物質の性質により限定されることを意図しない。多様な作用物質およびそれらの作用物質の結合パートナー、たとえば蛋白質/蛋白質、蛋白質/ペプチド、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補助因子、結合蛋白質/基質、キャリア蛋白質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、蛋白質/核酸レプレッサー/誘導因子、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどは本発明の結合相互作用に使用することができる。ある態様において、作用物質はリガンド、具体的にはペプチドである。好ましい態様において、金属キレートと結合することができる部分(たとえばヒスチジンタグ)により、ペプチドが誘導体化される。本態様では、固体支持体が金属キレートを含み、そして上記ペプチドが上記金属キレートへの上記部分の結合により、上記支持体に結合することが好都合である。
【0020】
いくつかの態様において、細胞表面受容体および細胞内シグナル伝達蛋白質を共に含む細胞由来分子は、事実上表面または粒子様のいずれであってもよい固体支持体に結合する。これらの細胞由来蛋白質の結合パートナーは、既知および未知の両方のリガンドおよび
薬物候補を含んでいてもよいものであって、それらは表面および/または粒子様構造に結合し、そして2つの結合パートナー間の結合が生じるような様式で細胞由来蛋白質と相互作用する。結合パートナーの一つまたはそれに結合した支持体は、検出可能な物質により付加的に誘導体化されてもよい。相互作用複合体は、結合していない結合パートナーと結合複合体を区別する結合複合体の特徴を利用して同定される。共通の固体支持体上に結合パートナーの一つと共に固定されるか、または直接結合パートナーの一つに結合する、検出可能な部分の存在、またはその部分の変化が検出される。適切な相互作用を阻害する分子は、このシグナルの損失を検出することにより同定することができる。相互作用パートナーは感知領域に結合パートナーの一つをとどめ、それに他の結合パートナーを補充することによるか、または結合していない結合パートナーと結合複合体を区別する結合複合体の特徴を操作することにより、または補充可能なエレメントを結合パートナーの一つまたはそれに結合した固体支持体に結合することにより、感知装置に運ばれる。
【0021】
本発明の一態様は、磁気物質を使用して電極に電気的シグナル伝達実体を補充することを含む。本態様は、本発明の多くのアッセイおよび他の技術に用途を見出すことができる。一般に、本発明の方法においてシグナル伝達実体は磁気物質(磁気ビーズであってもよい)に対して固定される能力により提供される。磁気物質およびシグナル伝達実体は本明細書に記載の各種の化学的および/または物理的結合によりお互いに結合することができる。たとえば、第1の種は磁気物質に対して固定されるか、もしくは固定されてもよく、そして第2の種はシグナル伝達実体に対して固定されるか、もしくは固定されてもよく、または第1および第2の種がお互いに結合してもよい。第1および第2の種は本質的に、本明細書に記載されているか、または当技術分野で公知の結合のための任意の種であってもよく、そして一態様では蛋白質である。好ましい態様において、蛋白質は抗体ではなく、たとえばリガンドまたは同系受容体などである。シグナル伝達実体はまた、コロイド粒子のような中間的実体に結合してもよく、結合パートナーとして作用する蛋白質の一つもまたそれに固定される。シグナル伝達実体はまた、磁気物質を使用せずに電極に補充されてもよい。この手順では、シグナル伝達実体は、電極に関しては、一つの種の結合パートナーに対して固定されてもよく、そして結合パートナーはお互いに結合してもよい。本明細書に記載、または当技術分野で公知の任意の結合パートナー相互作用は、本質的にこの技術を促進することができる。
【0022】
オリゴヌクレオチド識別子を含む本発明の複数の側面は、本明細書に記載の任意の側面に関連して使用してもよく、そしてオリゴヌクレオチド識別子が本質的に任意の化学的または生物学結合研究に応用されることを理解すべきである。
【0023】
本発明の他の利点、新規態様、および目的は、添付の図面と合わせて考慮すれば、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるものであり、かかる図面は説明のためであって、一定の比率で描かれることを意図しない。図では、それぞれの図で説明される、それぞれ同一またはほとんど同一の成分は単一の数字で表される。分かり易くするために、当業者が本発明を理解するために説明が必要でない場合、必ずしも本発明のすべての図ですべての成分を標識してはおらず、各態様のすべての成分を示していない。
【0024】
発明の詳細な説明
国際特許出願第PCT/US00/01997号,01/25/00出願、Bamdadら、“Rapid and Sensitive Detection of Aberrant Protein Aggregation in Neurodegenerative Diseases”(07/27/00にWO 00/43791として公開)、国際特許出願第PCT/US00/0150号,01/21/00出願、Bamdadら、“Interaction of Colloid−Immobilized
Species with Species on Non−Colloidal S
tructures”(07/27/00にWO00/34783として公開);および共有の同時係属中の米国特許出願第09/602,778号、08/03/00号、Bamdadら、“Rapid and Sensitive Detection of ProteinAggregation”はすべて参照として本明細書に援用する。
【0025】
本明細書で使用する“小分子”とは、5キロダルトンより小さい、より具体的には1キロダルトンより小さい分子を意味する。本明細書で使用する“小分子”は蛋白質を除外する。
【0026】
本明細書で使用する“候補薬物”はヒト、動物、または植物に使用される任意の薬効のある物質を表す。化合物類似体、天然、合成および組換えの医薬品、ホルモン、抗菌物質、神経伝達物質などがこの定義に包含される。これは任意の物質または前駆体(天然、合成または組換えのいずれか)を含み、神経変性疾患、もしくは異常な凝集が特徴である他の疾患の治療、またはそれらの予防のための薬物としての用途を評価されることになっている。評価は一般に、本発明のスクリーニングアッセイのような、アッセイにおける活性によって行われる。
【0027】
本発明では、各種の粒子を使用することができる。たとえば、“液体に懸濁可能な粒子”は液体中に懸濁液のまま維持されるように作製することができる粒子を意味し、そのような液体(一般に水溶液)中でそれ自体本発明の目的のために使用されるか、または磁場、電磁場、撹拌(stirring)のような撹拌(agitation)、振とう、振動、超音波処理、遠心分離、ボルテキシング(voltexing)などの適用により溶液中に維持することができる。例としては、コロイド粒子、ナノ結晶などが挙げられる。“ナノ粒子”は、わずか500ナノメーター、好ましくはわずか250ナノメーターの最大断面の大きさを有する、液体に懸濁可能な粒子である。“磁気的に懸濁可能な”粒子は、磁場の適用により液体中に懸濁したままでいることができるものである。電磁気的に懸濁可能な粒子は電磁場の適用により液体中に懸濁したままでいることができるものである(たとえば、電荷を持つ粒子、または電荷を持つように改変された粒子)。“自己懸濁可能な粒子”はそれが使用される液体(一般に水溶液)中で、たとえば磁場の補助なしで、少なくとも1時間、懸濁したままでいることができる、充分に小さいサイズおよび/または質量の粒子である。他の“自己懸濁可能な粒子”は、本発明に従って補助なしで5時間、1日、1週間、または1ヶ月でさえも懸濁したままでいるであろう。
【0028】
“蛋白質”および“ペプチド”は当技術分野で公知であり、それぞれが包含するアミノ酸の数に関しては当技術分野では正確に定義しない。本明細書で使用するように、これらの用語は当技術分野における通常の意味を与えられる。一般に、ペプチドは約100アミノ酸長より少ないアミノ酸配列であるが、300アミノ酸までの配列を包含することができる。蛋白質は一般に少なくとも100アミノ酸の分子であると判断される。
【0029】
本明細書で使用する“金属結合タグ”はキレートが配位結合する金属に固定可能な分子の群を表す。そのような分子の適切な群は、一般に約2から約10までのアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。これらはヒスチジンおよびシステインを含むがそれらに限定されない(“ポリアミノ酸タグ”)。そのような結合タグは、それらがヒスチジンを含む場合、“ポリヒスチジン領域”または“ヒスチジンタグ”または“HIS‐タグ”と呼んでもよく、ペプチドもしくは蛋白質、または核酸の、アミノ末端もしくはカルボキシル末端のいずれかにおいて、または任意の暴露領域のいずれかにおいて存在することができる。6〜10残基のポリヒスチジン領域が本発明での使用に好ましい。ポリヒスチジン領域はまた、関心のある蛋白質に添加された、多数の連続したヒスチジン残基であるとして機能的に定義され、金属キレートカラム上での得られた蛋白質の親和性精製、または別の分子(たとえばHIS‐タグに反応性の抗体)との相互作用による蛋白質末端の同定を可能にする
。
【0030】
“親和性タグ”には当技術分野における通常の意味が与えられる。親和性タグは、たとえば金属結合タグ、GST(GST/グルタチオン結合チップにおける)、およびストレプトアビジン(ビオチン/ストレプトアビジン結合における)を含む。本明細書の様々な箇所で、特定の親和性タグが結合相互作用と関連して記載される。本発明は、親和性タグを使用する任意の態様において、本明細書に記載された任意の親和性タグの選択をそれぞれが含む、一連の個々の態様を含む。
【0031】
“金属を配位結合させるキレート”またはキレートにより配位される金属は、金属上のすべての利用可能な配位結合部位を満たさずに、利用可能ないくつかの配位結合部位を金属結合タグのために残しているキレート剤により配位結合される金属を表す。Bamdadらの米国特許第5,620,850号は、代表的なキレートについて記載するが、本明細書に参照として援用する。例としては、ニトリロ三酢酸、2,2′−ビス(サリシリデンアミノ)−6,6′−デメチルジフェニル、および1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンなどが挙げられる。
【0032】
“シグナル伝達実体”は具体的な試料中、または具体的な位置においてその存在を示すことができる実体を意味する。本発明のシグナル伝達実体はヒトの裸眼で同定できるもの、分離すると肉眼では見えなくてもよいが、十分な量があればヒトの裸眼で検出可能なもので、それらを容易に肉眼的に(裸眼または電子顕微鏡などを含む顕微鏡により)、または分光光学的に検出できる波長範囲レベルまたはその範囲内で電磁気放射を吸収または放出する実体、電子的または電気化学的に検出できる電気活性実体、たとえば適切な活性化エネルギーに暴露されると特徴的な酸化/還元パターンを示す酸化還元活性分子(“電子シグナル伝達実体”)などであってもよい。例としては、染料、色素、遷移金属複合体、酸化還元‐活性金属複合体、蛍光もしくはリン光部分(定義によれば、緑色蛍光蛋白質(GFP)のような蛍光またはリン光蛋白質、リン光部分を含む)、アップレギュレートしているリン光体、化学発光実体、電気化学発光実体、またはホースラディッシュペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼを含む酵素結合シグナル伝達部分のような光学活性実体が挙げられる。“シグナル伝達実体の前駆体”とは、本来シグナル伝達能力がなくてもよいが、他の種との化学的、電気化学的、電気的、磁気的、または物理的相互作用によってシグナル伝達実体になる実体である。例としては、他の分子との化学的相互作用によってだけ、特定の、検出可能な波長内の放射光を発する能力を有する発色団が挙げられる。シグナル伝達実体の前駆体は、本明細書に記載の“シグナル伝達実体”と区別可能であるが、その定義内に含まれる。シグナル伝達実体の別の例としては、固有のシグナル伝達能力を有する物質からなる粒子が挙げられ、そのシグナル伝達能力が外部エネルギー源による励起を必要とする物質が含まれる。本発明のシグナル伝達実体として好ましい電気活性分子はメタロセンである。本発明に従って電気活性シグナル伝達エレメントとして機能するメタロセンは公知である。とりわけ好ましい電気活性分子の一例は、フェロセンまたはフェロセニルチオール(C35H24FeS)のようなフェロセン誘導体基もしくは誘導体を含むものである;しかし、他の遷移金属の有機複合体もシグナル伝達エレメントとして企図される。
【0033】
他の種またはアーティクルの表面に関連する種に関して、本明細書で使用する“固定された、または固定されるように適合した”とは、種が共有結合、特定の生物学的結合(たとえばビオチン/ストレプトアビジン)による結合、キレート/金属結合のような配位結合などにより化学的または生物学的に結合することを意味する。たとえば、この場合“固定された”とは、以下のものを含む複数の化学結合、複数の化学的/生物学的結合などを含むが、それらに限定されない:ポリスチレンビーズ上で合成されたペプチドのような結合種、プロテインAのようなビーズに共有結合する蛋白質に結合する抗体にとりわけ生物
学的に結合する結合種、GSTまたはPhageのような分子(それは次に表面に共有結合する結合パートナー(たとえばGSTの場合はグルタチオン)にとりわけ生物学的に結合する)の部分を(遺伝子工学的に)形成する結合種など。別の例では、チオールは金に共有結合するため、チオールに共有結合した部分は金表面に固定されるように適合する。同様に、金属結合タグをもつ種は、表面に共有結合した分子(たとえばチオール/金結合)を持つ表面に固定されるように適合し、その分子はまた金属を配位結合するキレートを提示する。表面が特定のヌクレオチド配列を持ち、種が相補的なヌクレオチド配列を含む場合、種もまた表面に固定されるように適合する。
【0034】
“共有結合的に固定された”とは、1以上の共有結合のみにより固定されることを意味する。たとえば、カルボキシレート提示アルキルチオールにEDC/NHS化学により共有結合し、次に金表面に固定される種はその表面に共有結合的に固定される。
【0035】
“とりわけ固定された”または“とりわけ固定されるように適合した”とは、“固定された、または固定されるように適合した”という定義に関して、上記のように種が別の試料、または表面に化学的または生物学に結合することを意味するが、すべての非特異的結合を除外する。
【0036】
本明細書で使用する“非特異的結合”には、生化学の分野における通常の意味を与えられる。
本明細書で使用する“コロイド”は、ナノ粒子、すなわち非常に小さい、自己懸濁可能、または液体に懸濁可能な粒子を意味し、それらはすなわち、たとえば無機もしくは有機、高分子、セラミック、半導体、金属(たとえば金)、非金属、結晶質、非晶質、または組合せのような物質からなるものを含む。一般に、本発明に従って使用されるコロイド粒子は、任意の面が250nmより小さい断面のもの、より一般的には任意の面が100nmより小さい断面のもの、そして大部分の場合、断面が約2〜30nmのものである。本発明の用途に適切なコロイドの1クラスは断面が10〜30nmで、別のものは断面が約2〜10nmである。本明細書で使用するこの用語は生化学の分野で通例使用される定義を含む。
【0037】
本明細書で使用する“金属を配位結合することができる部分”とは、金属結合タグまたはキレートのような、金属原子上の少なくとも2つの配位結合部位を占有することができる任意の分子を意味する。
【0038】
本明細書で使用する、別の成分“に対して固定される”成分は、他の成分に固定されるか、もしくは、たとえば他の成分もやはり固定される第3成分に固定されることにより、他の成分に間接的に固定されるか、または別の方法で他の成分と翻訳的に関連する。たとえば、シグナル伝達実体が結合種に固定される、結合種が固定されるコロイド粒子に固定される、結合種が固定されるデンドリマーまたはポリマーに固定されるなどの場合、シグナル伝達実体は結合種に対して固定される。第1コロイド粒子の表面に固定された種が実体に結合し、そして第2コロイド粒子の表面上の種が同じ実体に結合する場合、コロイド粒子は別のコロイド粒子に対して固定され、ここで実体は単一の実体、複数の種の複合実体、細胞、別の粒子などであってもよい。本発明のすべての態様において、種が別の実体(別の種、表面など)に対して固定されると記載される場合、いくつかの態様において種は実体に固定可能であると理解すべきであり、ここで当業者は、種が実体に固定されてもよいことを理解するであろう。
【0039】
“多様な生物学的種”とは、マウスおよびハムスター、マウスおよびヤギなどのような様々な動物を意味する。
“試料”という用語は、生物学的供与源(“生物学的試料”)または生物学的もしくは
非生物学的な任意の他の媒体由来である、任意の細胞、組織、もしくは液体を表し、それらは本発明に従って好都合に評価してもよく、以下のものを含むがそれらに限定されない:人間の患者から採取した生物学的試料、動物から採取した試料、人間の消費用の食物から採取した試料、家畜飼料のような動物での消費用の食物を含む試料、ミルク、臓器移植試料、血液供給のための血液試料、上水道由来の試料など。試料の一例として、候補薬物の効果を確認するために薬物が投与されているヒトまたは動物から採取された試料が挙げられる。
【0040】
具体的な成分を“含むと推測される試料”は、成分の量が未知である試料を意味する。たとえば、神経変性疾患、または非神経変性疾患があると推測されるが、疾患があることが既知でないヒト由来の液体試料は、神経変性疾患凝集物‐形成種を含むと推測される試料を定義する。この場合“試料”は、天然に存在する試料、たとえばヒトまたは他の動物由来の生理的試料、食物、家畜飼料などに由来する試料など、および“構造が予め決定された試料”を含み、“構造が予め決定された試料”は、その構造が神経変性疾患のような具体的な過程と関連するか否かを試験するために計画されたアッセイにおいて使用される、化学的もしくは生物学的配列または構造が予め決定された試料を意味すると本明細書で定義する。たとえば、“構造が予め決定された試料”はペプチド配列、ファージディスプレーライブラリーにおけるランダムペプチド配列などを含む。ヒトまたは他の動物から採取される典型的な試料は、細胞、血液、尿、眼水、唾液、脳脊髄液、扁桃由来の液体または他の試料、リンパ節、針生検試料などを含む。
【0041】
本明細書で使用する、“金属結合タグ/金属/キレート結合”は第1の種が金属結合タグに対して固定され、第2の種がキレートに対して固定される、第1および第2の種間の結合を定義し、ここでキレートは金属を配位結合し、金属結合タグもそれに配位結合される。本明細書に参照として援用するBamdadらの米国特許第5,620、850号は、代表的な結合について記載する。
【0042】
“生物学的結合”という用語は、相互親和性または結合能力を示す、対応する分子対間の相互作用を表し、生化学的、生理学的および/または薬剤的相互作用を含む、一般に特異的または非特異的な結合または相互作用を表す。生物学的結合は、蛋白質、核酸、糖蛋白質、炭水化物、ホルモンなどを含む、分子対間で起こる相互作用の型を定義する。具体的な例としては、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、キャリア蛋白質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、蛋白質/核酸受容体/誘導因子、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどが挙げられる。
【0043】
“結合パートナー”という用語は、特定の分子と結合できる分子を表す。例としては、先に例示したような生物学的に結合できる分子対のメンバーが挙げられる。たとえば、プロテインAは生物学的分子IgGの結合パートナーであり、逆も同様である。
【0044】
“測定する”という用語は、たとえば分光法、偏光解析法、圧電測定法、イムノアッセイ、電気化学的測定法などによる、種の定量的または定性的分析を表す。“測定する”とはまた、種間の相互作用を検出または定量すること、たとえば2つの種間の結合を検出することを意味する。
【0045】
“自己組織化単分子膜”(SAM)は表面に自然に化学吸着される比較的整った分子の集合を表し、そこでは分子はお互いにほぼ平行で、表面にだいたい垂直に配置される。それぞれの分子は表面に接着する官能基、および単分子膜の隣接する分子と相互作用して比較的整ったアレイを形成する部分を含む。多様なSAMsが本発明に従って多様な表面上で使用され、電極、コロイド粒子などのようなアーティクルの表面において結合パートナ
ー、シグナル伝達実体などのような所望する種を提示することができる。当業者は、SAMsを形成するために多様な表面、官能基、スペーサー部分などの中から選択することができる。代表的な説明は、米国特許第5,620,850号に見出すことができる。Laibinis,P.E.;Hickman,J.;Wrighton,M.S.;Whitesides,G.M.Science 245,845(1989)、Bain,C.;Evall,J.;Whitesides,G.M.J.Am.Chem.Soc.111,7155−7164(1989),Bain,C.;Evall,J.;Whitesides,G.M.J.Am.Chem.Soc.111,7164−7175(1989)も参照されたい。それらはそれぞれ、参照として本明細書に援用する。コロイド粒子のような液体に懸濁可能な粒子上でのSAMsの形成は、Bamdadらの“Interaction of Colloid Immobilized Species
with on Non−Colloidal Structures”という標題の2000年6月23日に出願された米国特許出願第09/602/778号に記載され、これを本明細書に参照として援用する。本発明のある態様は、コロイド粒子の表面のような表面上の自己組織化単分子膜(SAMs)、およびSAMsで被覆された表面を有するコロイド粒子のようなアーティクルを使用する。1組の好ましい態様のでは、合成分子から完全に形成されたSAMsが、たとえばコロイド粒子の表面を完全に覆うように、表面、または表面の部分を覆う。この場合の“合成分子”は、天然に存在せず、むしろヒトの管理、またはヒトが作製するか、または管理した制御のもとに合成された分子を意味する。この場合の“完全に覆う”とは、SAMによる完全で直接的な被覆を妨げる蛋白質、抗体、または他の種と直接接触する表面の部分または領域がないことを意味する。すなわち、好ましい態様において、表面または領域は、全体にわたり完全に天然に存在しない分子(すなわち合成分子)からなるSAMを含む。SAMは、表面で堅く圧縮されたSAMsを形成するSAM‐形成種、または分子ワイヤもしくはSAMを通過する電気的連絡を促進することができる他の種(SAMに関与可能な欠陥促進種を含む)と組み合わせたこれらの種、またはSAMに関与可能な他の種、およびこれらの任意の組合せから構成されていてもよい。好ましくは、SAMに関与する種のすべては、金表面に共有結合するチオールのように、表面に、場合によっては共有結合的に結合する官能基を含む。表面上の自己組織化単分子膜は、本発明に従って任意の化学的または生物学的官能基を本質的に提示(暴露)することができる種(たとえば、金が表面の場合のチオール種)の混合物からなっていてよい。たとえば、それらには非特異的吸着を阻害するためのトリ‐エチレングリコール‐停止種(たとえば、トリ‐エチレングリコール停止チオール)、およびニトリロ三酢酸(ニッケル原子との複合体の場合、ヒスチジンで標識された結合種のような金属結合標識種を捕捉する)のような、金属を配位結合することができるキレートで停止する他の種(たとえば、チオール)を挙げることができる。本発明は、コロイド表面、または任意の他の表面上に提示された、本質的に任意の化学的または生物学的種の濃度を厳密に管理する方法を提供する。それぞれのコロイド粒子上のペプチド密度をこのように厳密に管理しないと、共固定されるペプチドはお互いに容易に凝集して微小疎水性領域を形成し、試料中に凝集体形成種がなくてもコロイド‐コロイド凝集を触媒するであろう。これは、既存のコロイド凝集アッセイに優る本発明の利点である。本発明の多くの態様において、自己組織化単分子膜は金コロイド粒子上に形成される。自己組織化単分子膜は電気伝導性であるように作製することができる。実施例として、図16は、対照に対する、促進された自己組織化単分子膜にわたる電気的連絡、および細胞表面への蛋白質固定の酸化還元シグナル伝達をACVにより表す。
【0046】
“自己組織化単分子膜形成種”は、他の類似の種と共に適切な表面に暴露される、たとえば適切な溶液中に類似の種と共に提供され、そして適切な表面に暴露される場合、表面上に自然に自己組織化単分子膜を形成する種を含む。
【0047】
“自己組織化単分子膜に統合されることが可能な”種(自己組織化単分子膜形成種であ
ってもよい)は、自己組織化単分子膜に好都合に関与する化学的官能基を有する種であり、化学的に不適合ではない種および他の自己組織化単分子膜形成種を含む。たとえば、種は自己組織化単分子膜が形成される表面に接着させるために選択された官能基を含んでいてもよく、ほぼ線状(高度に分枝しない)であってもよいが、堅い圧縮を促進しない残りの部分を含んでいてもよい。例としては、たとえば一連の相互結合した芳香環のような、かなりの量の不飽和結合を含む分子が挙げられる。そのような種は、自己組織化単分子膜形成種であってもよく、なくてもよい。一般に、自己組織化単分子膜に統合されてもよいが、それ自体自己組織化単分子膜を形成できない種は、化学的に適合した自己組織化単分子膜形成種を含む、全体の種の約50%まで存在する場合、自己組織化単分子膜の形成に関与し、そしてそれに統合されることが可能であろう。
【0048】
“自己組織化混合単分子膜”という用語は、不均一の自己組織化単分子膜、すなわち、少なくとも2つの異なる分子の比較的整った集合から作られるものを表す。
本明細書で使用する“分子ワイヤ”は、液体がSAM‐被覆電極と電気的に連絡するために電極と接触する能力を高めるワイヤを意味する。これには、電気伝導性分子、または電極と連絡できるようにSAMに欠陥を生じることができる分子が挙げられる。付加的な分子ワイヤのリストには、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオスレイトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン‐エタンチオール、および2−メルカプトエチルエーテルが挙げられるが、それらに限定的されない。単分子膜の伝導性はまた、電極の平面で伝導性を促進する分子の添加により高めることができる。伝導性SAMsは、以下のものからなるが、それらに限定されない:1)硫黄で停止するポリ(エチニルフェニル)鎖;2)ベンゼン環で停止するアルキルチオール;3)DNA塩基で停止するアルキルチオール;4)単分子膜中に不十分に収まった、いずれかの硫黄停止種;5)非特異的吸着を阻害するためのエチレングリコール単位またはメチル基のいずれかで停止する、上記のプラスまたはマイナスアルキルチオールスペーサー分子のすべて。本明細書にMF1:
【0049】
【化1】
として表されるポリ(エチルフェニルチオール)(すなわち、C16H10S)を含む各種分子をこの目的に使用することができるが、それらに限定されない。チオールはSAMの好都合な形成において金に親和性があるために記載される。米国特許第5,620,820号および他の参考文献に基づいて、チオールを当技術分野で公知の他の分子と置換してもよい。分子ワイヤは一般に電子的に伝導性であるか、またはそれらのかさおよび他の形状のために、他の点では堅く詰まったSAM中に欠陥を作り、暴露される液体に対してSAMが表面をしっかり密閉するのを妨げる。分子ワイヤは堅く詰まった自己組織化構造の破壊を引き起こし、それによって表面が暴露される液体と表面が電気的に連絡可能な欠陥を説明する。この場合、液体は表面に接触するか、またはトンネル効果などにより電子的に連絡できるように十分表面に接近して、表面と電気的に連絡する。
【0050】
“キメラオリゴソリューション”は、DNAのようなオリゴヌクレオチド配列であり、2つのオリゴヌクレオチド識別子に同時に相補的であり、それぞれは2つの異なる結合パートナーに対応する。完全なキメラオリゴソリューションの組は、任意の与えられた手順における相互作用結合パートナーのすべての可能な組合せの組を表す。
【0051】
本発明は、種の全ゲノムによりコードされるような多数の蛋白質を、ゲノムの任意の既知もしくは未知の成分との、または任意の化学的種との相互作用に関して同時に試験することができる方法を提供する。本発明はまた、蛋白質を含む相互作用を検出するための方法を提供し、その方法では蛋白質がいったん相互作用種として選択されれば、それらをコ
ードする核酸が直ちに利用可能になる。
【0052】
本発明はまた、生物学的および生化学的研究のための新しい親和性試薬を同定するために、遺伝的にコードされた種と化学的種間の相互作用を検出するための方法を提供する。以下の説明の大部分は、薬物スクリーニングに有用な技術を含む、化学種または生物学種間の相互作用をモニターする(検出する)ための各種方法、組成物および種、およびアーティクルを含む。本発明の以下の側面における主要な態様は以下のものを含む。シグナル伝達相互作用、および2粒子系のような多粒子系のための蛋白質チップおよび粒子を含むプロテオミック研究のための手段。多粒子系において、一粒子は補充可能な粒子であってもよく、そして他の粒子は補充可能な粒子により提示される作用物質の結合パートナーを持っていてもよく、そしてシグナル伝達実体であってもよく、または補助シグナル伝達実体を持っていてもよい。別の主要部分は、細胞研究、とりわけリガンドと細胞表面蛋白質および受容体間の相互作用に関連する技術を含む。これらの相互作用に影響を与えることができる薬物を含む、発見および治療法も記載される。とりわけ、血管新生を阻害または促進することができる、細胞受容体/リガンド相互作用が記載される。別の部分は診断目的のために、溶液中または無傷細胞の表面上のいずれかで蛋白質を検出することを含む。
【0053】
既存のin vitro結合アッセイの主な欠点は、それらがハイスループットに適合しないことである。蛋白質は以下の理由から、対で行う結合アッセイでは連続的に試験しなければならない:1)蛋白質は核酸のように増幅することができないため、結合アッセイ後の配列決定による同定は困難、または不可能である;したがってそれぞれの結合パートナー候補の実体は注意深く追跡しなければならない;2)一般的な結合アッセイは単一の型のシグナルを生み出すため、試験される各対は離されなければならず、その結果陽性のシグナルを適切な結合パートナーに割り当てることができる。
【0054】
他の側面のなかで、本発明は、蛋白質および化学的種を含む推定結合種に結合するコーディングタグ(識別子)の使用により、プールされている蛋白質を追跡する都合のよい方法を提供し、これらの問題を解決する。本発明の方法は、共通表面(好ましい態様においては粒子の表面である)上に共固定することにより、コーディング識別子を生物学的または化学的種に“連結する”ための技術を詳述する。別の好ましい態様において、オリゴは生物学的または化学的種を同定するために使用され、ここでDNAの4ビットコードは独自に共固定された種を同定する。とりわけ好ましい態様において、研究中の生物学的種は独自にそれを同定するコーディングDNAから発現される蛋白質である。本発明はまた、生物学的または化学的種も結合する表面への識別子の結合を促進する。好ましい態様において、発現された蛋白質およびそれをコードするプラスミドDNAは、粒子上の金属キレートに結合する蛋白質上の親和性タグ、および粒子表面上のDNA結合蛋白質に結合するプラスミド内に含まれたDNA認識モチーフを介して共通表面に結合する。本発明はさらに、相互作用パートナーを検出および選択し、その後速やかに相互作用パートナーを同定するためのハイスループット法について説明する。
【0055】
各種アッセイ、キット、検出方法などに関連する各種技術および成分について以下に記載する。本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術は本質的に任意の生物学的または化学的アッセイと一緒に使用できるため、オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質を含む本発明の技術は本明細書に記載の任意の具体的なアッセイと一緒に使用してもよく、そしてこれらのアッセイは例としてだけに提供されることを理解すべきである。本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術は、以下に記載の相互作用物質候補のプールから相互作用蛋白質パートナーを速やかに同定するための、粒子、ビーズ、チップおよびコロイドを含むアッセイにとりわけ適合する。
【0056】
当業者は以下の説明により、本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術が使用可能な場合
、および本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術が本質的に任意のアッセイ技術において使用可能な場合を明らかに理解するであろう。
【0057】
一側面において、本発明は分析、薬物スクリーニングなどのための化学的または生物学的作用物質間の相互作用を企図する。本発明は、蛋白質‐蛋白質相互作用、蛋白質‐化学的種相互作用、リガンド‐核酸相互作用、リガンド‐受容体相互作用を分析すること、および/または阻害することを含むがそれらに限定されず、リガンドは(電極上、または溶液中もしくは懸濁液中で増殖する)無傷細胞上のリガンドを含むがそれらに限定されない。本発明は、薬物候補、既知または推定のリガンド、および小分子薬物ライブラリーの使用を含む、各種態様を企図する。
【0058】
本発明の一側面は、オリゴヌクレオチド識別子を含み、それらは定義によると任意の数の塩基(ヌクレオチド)を含み、そこではいくつかの天然または合成材料を独自に同定する配列を形成するための4‐ビット核酸コードが使用される。これは表面に固定されるように適合し、また潜在的な化学的または生物学的結合パートナーを持つことができる、天然もしくは合成の核酸配列、または核酸の誘導体(DNAおよびチオール改変DNA、ポリマー骨格に固定されたヌクレオチドを含む)を含む。オリゴヌクレオチド識別子は短DNA配列、たとえば約2〜約20塩基長、好ましくは約6〜約12塩基長であってもよい。より長いオリゴヌクレオチド識別子、たとえば50,または100,または数百塩基長までのものも同様に使用することができる。
【0059】
本発明に従って、オリゴヌクレオチド識別子は、対応する化学的または生物学的作用物質も結合する表面に結合し、そしてそれを独自に同定する。表面は本質的に、上記のすべての表面、たとえば液体に懸濁可能な粒子または懸濁可能でない粒子のような粒子の表面、チップの表面のような大きい表面、マイクロアレイチップ、電子的検出アッセイに関与する表面、細胞表面などを含む、化学的または生物学的分析に有用な任意の表面であってもよい。たとえば、表面はコロイドの表面であってもよく、それぞれのコロイドまたはコロイドの組は単一の結合種および単一のオリゴヌクレオチド識別子を提示する。あるいは、表面は空間的にアドレス可能なアレイチップであってもよく、ここで作用物質および識別子の複数の対は比較的近接して固定されるが、それらは個々に形成されて、分析可能な程度に離れている。チップのそれぞれ異なる空間的アドレスは、潜在的結合パートナーおよび隣接するオリゴヌクレオチド識別子を提示する。
【0060】
対象となる種はそれらの特有のコーディング識別子に関して表面に固定され、溶液中の他の種と相互作用するか、または他の表面または粒子に結合する。相互作用種は各種技術のいずれかを使用して単離する。その後、相互作用種の実体は、結合した識別子の配列を決定するための配列決定法、ハイブリダイゼーション、または他の方法により速やかに確認される。
【0061】
本発明のオリゴヌクレオチド識別子が固定されるか、または固定されるように適合した表面はまた、本明細書および本明細書に参照として援用したBamdadらによる“Electroactive Surface−Confinable Molecules”という標題の05/25/01に出願された国際特許出願第PCT/US01/40801号、ならびに本明細書に参照として援用した他の文書に記載されたような、固定されたシグナル伝達実体を持っていてもよい。以下の説明から明らかなように、コロイド粒子のような粒子は、オリゴヌクレオチドに識別される相互作用に関与してもよく、そして補助シグナル伝達実体を持っていてもよく、持っていなくてもよい。たとえば、1組の態様では、補助シグナル伝達実体のないコロイド粒子が使用され、ここではコロイド粒子自体が凝集時に色彩変化によりシグナル伝達実体として役立つ。別の組の態様では、コロイド粒子または他の表面は、たとえば蛍光マーカー(場合により、異なる粒子には異なる波長
の異なる蛍光マーカー)、フェロセン(場合により異なるアーティクルに対して異なる酸化/還元電位を有する異なるフェロセン)のような電気活性種などの補助シグナル伝達実体を持つ。
【0062】
表面への結合パートナーであってもよいオリゴヌクレオチド識別子および化学的または生物学的種の固定は、当技術分野で公知の任意の技術に従って行うことができる。好ましい技術は、表面上の自己組織化単分子膜の使用を含む。自己組織化単分子膜形成種、または自己組織化単分子膜に統合可能な種は、研究されることになっている化学的もしくは生物学的種またはオリゴヌクレオチド識別子を含んでいてもよく、そしてそれによりSAMsに組み込まれてもよい。あるいは、SAMsを形成するか、またはそれに統合されることが可能な種は、化学的もしくは生物学的種またはオリゴヌクレオチド識別子に結合するためのリンカーを含んでいてもよく、オリゴヌクレオチドはSAMs形成後、リンカーにより表面に結合することができる。そのようなリンカーは親和性タグまたは親和性タグに結合する種、EDC/NHSカップリングに適切な種、オリゴヌクレオチドリンカー、ビオチン‐ストレプトアビジン相互作用、DNA連結技術に関与可能な種などを含む。DNA連結技術の例としては、制限部位をコードする具体的なオリゴヌクレオチド配列のSAMへの組み込み、および同じ制限部位で停止する第2のオリゴヌクレオチド配列を初めのオリゴヌクレオチド配列に連結することを含む。一般的に使用されるリガーゼの例としては、T4リガーゼが挙げられる。あるいは、ブラントエンド(blunt−end)オリゴヌクレオチドは、ブラントエンド連結技術を使用して添加することができる。親和性タグとの使用に好ましい種は、ポリアミノ酸タグとの使用のためのキレートが配位結合した金属を含む。たとえば、表面はキレートが配位結合した金属を暴露するSAMsにより被覆されてもよく、そして化学的もしくは生物学的種、またはオリゴヌクレオチド識別子は金属に配位結合し、それによって化学的もしくは生物学的種、またはオリゴヌクレオチド識別子を表面に結合するためのポリアミノ酸タグを持っていてもよい。異なる化学、または同じ化学が本発明に含まれる任意の種、または識別子の単一表面への結合に使用されてもよい。
【0063】
図1では、任意の化学的または生物学的種に本質的に結合するために適合したコロイド粒子40の表面を図式的に説明する。コロイド140はその上がSAM144である表面142を含む。SAM144は部分的にだけ図解される。このSAMは好ましくは完全に表面142を被覆することになる。SAM144は、金属を配位結合することができるキレート、または金属を配位結合するキレート148(図ではNTA、ニトリロ三酢酸として表される)で終わる、表面142から離れて並ぶ1つの種146を含む。ポリアミノ酸タグ156を含む化学的または生物学的種154は、コロイド140に暴露された場合、キレート/金属148に固定されるであろう。
【0064】
SAM144はまた、オリゴヌクレオチドリンカー152を含む種150を含む。リンカー152の相補体であるリンカー部分160およびオリゴヌクレオチド識別子を特徴付ける部分162を含むオリゴヌクレオチド種158は、コロイド粒子140に暴露されると、それに結合する。したがって、それぞれが同一に誘導体化された表面を含む複数のコロイド粒子140は、キットとして提供されてもよい。アッセイでは、異なる化学的または生物学的種154は特有のオリゴヌクレオチド識別子162が結合する1組のコロイド粒子に結合してもよい。異なるバッチのコロイド粒子が、異なる化学的または生物学的種および対応するオリゴヌクレオチド識別子を持っていてもよい。もちろん、化学的または生物学的種およびオリゴヌクレオチド識別子がそれぞれポリアミノ酸タグ156を含む場合、コロイド粒子は単に種146を含んでいてもよく、または化学的または生物学的種の両方、およびオリゴヌクレオチド識別子がそれぞれオリゴヌクレオチドリンカー160を含む場合、コロイド粒子は単に種150を含んでいてもよい。すなわち、表面に結合した種を独自に同定するオリゴヌクレオチド識別子は、共通表面に直接結合する必要がない。
たとえば、便宜上表面は一般的なオリゴヌクレオチドで誘導体化されてもよい。普遍的なDNA配列に相補的な部分からなる第2のオリゴヌクレオチドは直接表面に結合し、そして化学的または生物学的種を独自に識別する第2の部分も表面に結合する。
【0065】
図1の配置は1組のコロイド粒子を提供するために使用してもよく、それぞれは生物学結合パートナー(たとえば蛋白質または小分子)のような固定された化学的または生物学的種、およびそれぞれは固定されたオリゴヌクレオチド識別子を持つ。記録は識別子の配列、および同じコロイド粒子に固定された識別子としての化学的または生物学的種の実体(潜在的結合パートナー)からなる。手順の例では、それぞれ異なる種を持つコロイドの組を溶液中に一緒にプールし、相互作用させる。次の段階では、相互作用種を同定するために、相互作用粒子‐固定された種を分離するかわりに、結合したオリゴ識別子を順次離し、配列決定する。本発明者らが“キメラオリゴソリューション”と呼ぶ1組のオリゴが添加される。この組のそれぞれのDNA鎖は、2つのオリゴヌクレオチド識別子に相補的なキメラ配列からなる。“キメラオリゴソリューション”のすべての組は、どの種がお互いに相互作用するかという問題へのすべての可能な解答を表すキメラ配列を含むであろう。次にこれらの“キメラオリゴソリューション”は、結合パートナー候補および結合したオリゴ識別子を提示するコロイドとインキュベートする。相互作用パートナーを持つ2組のコロイド上のオリゴヌクレオチド識別子に同時にハイブリダイズしているこれらの“キメラオリゴソリューション”は、どの結合パートナー候補がお互いに相互作用するかを識別する。ハイブリダイズした“キメラオリゴソリューション”は、溶液中で遊離しているオリゴおよびただ一つの配列識別子にハイブリダイズしているオリゴから分離される必要がある。遊離オリゴは、コロイドをペレットにし、上清を捨てることにより容易に除去される。1本鎖核酸鎖を分解する酵素により遊離末端を酵素的に分解することにより、ただ一つの配列識別子にハイブリダイズするキメラオリゴソリューションは、2つにハイブリダイズするものと区別できる。次に、キメラオリゴソリューションは加熱水による分離、化学的分離などを含む多数の方法のいずれか一つにより粒子から遊離される。キメラオリゴソリューションは次に、相互作用パートナーの実体を明らかにするために配列決定される。キメラオリゴソリューションはまた、配列決定段階前に(たとえばPCRにより)酵素的に増幅されてもよい。
【0066】
一態様において、本発明は独自に蛋白質を同定するオリゴヌクレオチド識別子を含み、ここでオリゴヌクレオチド識別子は蛋白質をコードする真の配列である。発現された蛋白質およびそれをコードするオリゴヌクレオチド識別子(たとえばDNA)の両方はお互いに対して固定され、たとえばそれぞれはリンカー種に対して固定され、その結果蛋白質が結合研究のために提示され、そのオリゴヌクレオチド識別子が蛋白質の相互作用対の選択後に回収できる。
【0067】
オリゴヌクレオチド識別子は、本質的に任意の形状、たとえば蛋白質発現ベクターとしてのプラスミド型、または線状型、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作製された核酸鎖であってもよい。PCRにより作製されたフラグメントは転写開始部位のような配列を含むように操作し、蛋白質発現、その後の翻訳を促進することができる。これらの核酸鋳型はin vitro、無細胞蛋白質発現系、たとえばRoche Diagnosticsが販売するRapid Translation System(RTS)にとりわけよく適する。
【0068】
本発明のこの態様は以下のように促進される。蛋白質は発現ベクターまたは鋳型から発現される。その場合蛋白質が発現される溶液は、対象となる発現された蛋白質(結合パートナー候補であってもよい)および蛋白質をコードするDNA(オリゴヌクレオチド識別子として役立つであろう)を共に含むであろう。対象となる蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子は共に、各種の方法により共通のリンカー種に固定されて
もよい。リンカー種がアーティクルの場合、オリゴヌクレオチド識別子は本明細書に記載の各種の方法により、アーティクルの表面に対して固定されてもよい。たとえば、表面は対象となる蛋白質の結合を促進するための部分、および本明細書に記載のオリゴヌクレオチド識別子の結合を促進する部分を共に提示するために誘導体化されてもよい。蛋白質は、蛋白質の親和性タグの結合パートナーも提示する表面へのDNAの結合を促進する都合のよい官能基を含むDNA鋳型由来の親和性タグとともに発現されてもよい。たとえば、親和性タグを持つ蛋白質はビオチンを持つDNA鋳型から発現されてもよい。金属結合タグ/金属/キレート結合およびストレプトアビジンを共に持つ表面に暴露されると、遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子の部分)および遺伝子産物(蛋白質)は共に捕捉され、共通表面に提示されるであろう。都合のよい方法はビオチン化鋳型からヒスチジンタグを持つ蛋白質を発現することである。コロイドのような粒子を含む表面は、NTA‐ニッケル(ヒスチジンタグの結合パートナー)およびビオチンを共に持つ不均質なSAMsにより被覆される。表面は初めに、ビオチンに対して4つの結合部位を有するストレプトアビジンに結合する。次にこの表面はヒスチジンタグの付いた遺伝子産物およびそれをコードするDNA配列を捕捉し、提示するであろう。別の例としてグルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)に融合した対象となる蛋白質はグルタチオンを提示する実体またはアーティクルに結合することができる。あるいは、対象となる蛋白質はチオレドキシンとの融合蛋白質として発現され、その後チオレドキシンの結合パートナーを提示する表面に結合してもよい。GSTおよびチオレドキシンは二重の目的に役立つ。初めに、これらの蛋白質は対象となる蛋白質に対する都合のよい親和性タグを提供する。第2に、融合パートナーとして一般的に使用される蛋白質は対象となる発現された蛋白質の溶解度を増し、したがって蛋白質の効果的な濃度を増す。
【0069】
リンカー種によりコードする蛋白質に対して固定されるオリゴヌクレオチド識別子を形成するための別の技術では、オリゴヌクレオチド識別子はまた、DNA/RNA‐結合蛋白質に対する結合部位を含んでいてもよい。この配列は、好ましくは発現されることになっている遺伝子の下流に挿入される。オリゴヌクレオチド識別子上の結合部位に結合する蛋白質は、次に表面(たとえば粒子上)に固定されてもよく、かかる表面はまた発現される蛋白質の結合のための部分(たとえばNTA/ニッケル)を提示する。一態様において、核酸結合蛋白質は、表面に固定され、オリゴヌクレオチド識別子を捕捉するために使用される。核酸結合蛋白質は、具体的な核酸配列モチーフを認識するか、または三次構造を認識するかのいずれかにより、DNAまたはRNAに結合する。たとえば、一般的なDNA結合イースト蛋白質はGal4である。それは2本鎖DNAの具体的な配列にダイマーとして結合し、一方、1本鎖結合蛋白質は1本鎖DNAに結合する。他の蛋白質は、たとえば十字形DNA、ヘアピンまたは特異的RNAループへの結合のように、DNAまたはRNAの構造エレメントに結合する。
【0070】
理想的には、対象となる蛋白質をコードする鋳型に挿入された結合部位配列は、発現系の種とは異なる種由来の蛋白質に対する認識モチーフである。たとえば、蛋白質が大腸菌を基にした系を使用して発現される場合、オリゴヌクレオチド識別子はGal4のようなイースト蛋白質に結合することにより共通表面に結合する。このようにして、蛋白質発現系はオリゴヌクレオチド識別子上の同系結合部位に対して競合する外来蛋白質を包含、または産生しない。
【0071】
代わりの方法では、対象となる蛋白質はオリゴヌクレオチド識別子に結合することができる結合パートナーを有する蛋白質フラグメントとの融合蛋白質として(オリゴヌクレオチド識別子により)発現される。これは対象となる蛋白質にオリゴヌクレオチド識別子を結合するための方法を提供する。対象となる蛋白質に遺伝的に融合することができる各種蛋白質または蛋白質フラグメントがあり、それらはまた、DNAを改変するために使用することができる小分子に結合する。そのように改変されたDNAの短鎖をPCR反応のプ
ライマーとして使用して、それら自体のオリゴヌクレオチド識別子を捕捉する融合蛋白質を産生できる発現鋳型を産生することができる。
【0072】
たとえば、対象となる蛋白質をコードする配列、およびストレプトアビジンをコードする配列を含むPCR産物はビオチン化プライマーを使用して作製することができる。転写/翻訳に必要なエレメントも含むであろう、得られたPCR産物は、蛋白質発現のための鋳型として働き、そしてまたビオチン‐ストレプトアビジン結合により発現された蛋白質に結合するように適合しているオリゴヌクレオチド識別子を生じる。所望するならば、ストレプトアビジンは1ビオチンだけに結合するフラグメントとして発現されてもよい。さらに、ストレプトアビジンおよび対象となる蛋白質を含む融合蛋白質はまた、親和性タグを含み、共通表面または粒子への蛋白質/オリゴヌクレオチド識別子の結合を促進してもよい。
【0073】
別の例において、対象となる蛋白質は、LexAのためのDNA結合部位を含む発現ベクターまたは鋳型から、LexAのようなDNA結合蛋白質との融合蛋白質として発現される。このようにして、遺伝子産物と遺伝子はお互いに結合する。
【0074】
対象となる蛋白質間の結合事象の検出を促進するために、蛋白質の一つがシグナル伝達実体に改変されてもよい。これを達成するための一方法は、対象となる蛋白質にシグナル伝達実体を直接結合させることである。別の方法は、シグナル伝達能力を有する蛋白質に対象となる蛋白質を遺伝的に融合することである。たとえば、対象となる蛋白質は緑色蛍光蛋白質(GFP)融合蛋白質として発現されてもよい。
【0075】
あるいは、対象となる蛋白質が共通表面上にシグナル伝達実体と共に共固定される場合、それらはシグナル伝達能力を有する。たとえば、対象となる蛋白質が、Ru複合体のようなシグナル伝達実体も結合しているポリマーに結合してもよい。結合パートナーは磁気ビーズのような補充可能な粒子に結合し、その後ECL法により検出される。同様に、対象となる蛋白質はシグナル伝達実体も提示する粒子上に共固定されてもよい。たとえば、対象となる蛋白質は蛍光もしくはリン光または酸化還元活性部分のようなシグナル伝達実体も提示する粒子またはコロイドに結合して、光学的または電気化学的検出をそれぞれ容易にすることができる。
【0076】
さらに別の態様では、対象となる蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子は、それもまたシグナル伝達能力を有するように作製される。たとえば、DNA発現鋳型は、少なくとも塩基のいくつかがフェロセン誘導体のような酸化還元活性部分により化学的に改変されているプライマーを使用して、PCRにより作製されてもよい。次に対象となる蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子(発現鋳型)はコロイド粒子のような共通表面に結合する。粒子は磁気ビーズに結合した結合パートナー候補と混合し、感知電極に磁気的に引き寄せられ、ここで酸化還元活性分子、したがって相互作用が検出される。あるいは、シグナル伝達官能基により改変された塩基をポリメラーゼ連鎖反応に使用し、シグナル伝達可能な発現鋳型を作製してもよい。同様に、対象となる蛋白質は蛍光またはリン光部分により改変されているDNA鋳型から発現される。
【0077】
合成および使用の一例では、(NTA‐Ni++部分を提示する表面への蛋白質の結合のために)ヒスチジンで標識された対象となる蛋白質をコードし、そしてまた共通表面にオリゴヌクレオチド識別子を結合するためのGal4結合部位を含む核酸が作製される。蛋白質は好ましくは無細胞系において発現され、バックグラウンドDNAおよび蛋白質のレベルを最小にする。蛋白質発現後、反応混合物は蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子をそれぞれ固定するために金属/キレート(たとえばNTA‐Ni)部分およびGal4を提示する粒子(たとえばコロイドまたはビーズ)と共にインキュベートする。粒子に
固定されたNTA‐Ni++部分は対象となる蛋白質を(結合タグにより)捕捉および提示し、そして粒子に固定されたGal4は発現された蛋白質をコードするDNAを捕捉する。なぜなら、かかるDNAもGal4認識部位を含むからである。このようにして、識別のためのオリゴヌクレオチド識別子は発現される蛋白質に対して固定されている。
【0078】
さらにこれらの粒子は各種アッセイ形式において使用することができる。以下のアッセイは、多数の可能性のある結合パートナーを含む蛋白質‐蛋白質相互作用の検出に適合する。結合パートナー候補の部分は蛋白質をコードする核酸の結合のためのGal4も持つ1組のコロイドに結合する。コロイドはまたシグナル伝達実体を持つ。シグナル伝達実体は電気活性、電気化学発光性、光学的などであってもよい。結合パートナー候補の2番目の組は磁気粒子に結合する。多数の磁気粒子およびコロイド粒子を合わせて混合し、ビーズおよび粒子に対して固定された蛋白質間に結合を生じさせる。さらに感知部位において磁気粒子を集めるために磁場が使用され、そこではコロイドに運ばれたシグナルが検出できる。
【0079】
上記のように、遺伝子産物(蛋白質)および遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)はリンカー種への結合によりお互いに連結する。蛋白質認識モチーフ(DNAまたはRNA配列)は、対象となる遺伝子をコードする配列の上流または下流の発現(または翻訳)ベクターに挿入される。これらのDNA認識モチーフは、同系DNA結合蛋白質を提示する表面または粒子への遺伝子の結合を促進する。表面はまた、遺伝子産物の結合を促進する部分を提示する。たとえば、NTA‐NiおよびGal4を共に提示する表面はヒスチジンで標識された蛋白質およびGal4認識配列(モチーフ)を持つDNAを捕捉するであろう。本明細書で参照する核酸は、対象となる遺伝子をコードし、転写または翻訳を促進する能力を有する任意の核酸であってよく、以下のものを含む:蛋白質発現ベクター(プラスミド);in vitroでの蛋白質発現または翻訳のために設計されたものを含む、PCR産物のような、2本鎖DNAの線状部分。
【0080】
対象となる遺伝子をコードする核酸は、化学的に改変されて表面または粒子への結合を促進する。たとえば、蛋白質は無細胞発現系において、ビオチン化PCR産物から発現される。対象となる遺伝子がGSTのような親和性タグにより改変されている場合、遺伝子産物および遺伝子は共に、グルタチオンおよびストレプトアビジン(または他のアビジン誘導体)を提示する表面に結合することができる。
【0081】
対象となる遺伝子は、コーディング遺伝子に容易に結合することができる蛋白質との融合蛋白質として発現される。たとえば、対象となる遺伝子は、蛋白質発現または翻訳に使用されるLexA融合蛋白質およびDNA鋳型またはプラスミドとして発現され、またLexAに関するDNA結合部位を含む。別の例では、対象となる遺伝子は、蛋白質発現または翻訳に使用されるストレプトアビジン融合蛋白質およびDNA鋳型として発現され、ビオチン化される。
【0082】
本発明は非常に大きな規模における、蛋白質‐蛋白質結合相互作用のような化学的または生物学的種間の相互作用の研究を可能にする。多数の潜在的結合相互作用を単一溶液中で研究することができる。いったん多くの潜在的結合パートナーが集められると、それらはどれが結合相互作用に関与したかを識別するために分離しなければならない。以下は、相互作用に関与した種と関与しなかった種を分離するための技術の説明である。
【0083】
一例として、Bamdadによる、“Magnetic In Situ Dilution”という標題の、10/03/01に出願された米国特許出願に記載のように、磁気in situ選択/希釈が使用されてもよく、これを本明細書に参照として援用する。
【0084】
磁気in situ選択/希釈技術は、潜在的結合パートナーが磁石に引き寄せられることができる粒子に対して固定される任意の形式とともに使用してもよく、ここで粒子はいったん磁石に引き寄せられれば、種が結合相互作用に関与したかどうかを検出することができる。たとえば、潜在的結合パートナーは磁気粒子に対して固定されてもよく、これらの粒子と結合できる種はシグナル伝達実体により標識されてもよく、いったん粒子が磁石に引き寄せられれば、磁石付近でのシグナル伝達実体の有無を検出することができる。たとえば、参照として援用した上記の特許出願に記載のように、電極のアレイは表面上に提供されてもよく、それぞれの電極はアドレス可能であり、そしてそれぞれの電極は対応する個々にアドレス可能な磁石を持つ。複数の磁気ビーズが提供されてもよく、それぞれが固定された潜在的結合パートナーを持つ。磁気ビーズ上に固定された結合パートナーの結合パートナー候補である、複数の種が提供されてもよく、これらの種のそれぞれはシグナル伝達実体に対して固定される。ビーズ上の結合パートナーは、同じでも異なっていてもよく、それらの結合パートナー候補である種は同じでも異なっていてもよい。磁気ビーズに固定された結合パートナーと、それらの結合パートナー候補である種を混合した結果、シグナル伝達実体(結合はパートナー候補間で生じている)に対して固定されたいくつかの磁気ビーズ、およびシグナル伝達実体に対して固定されない他の磁気ビーズが生じてもよい。結合パートナー候補の液体媒質内で混合後、そして場合によりいずれの洗浄段階もなしに、溶液を電極アレイに暴露することができる。ビーズは電極に磁気的に引き寄せられ、そして測定は、どの電極がシグナル伝達実体に固定されたビーズを引き寄せなかったかに関して行うことができる(たとえば、シグナル伝達実体が光学的シグナル伝達実体である場合は光学的に、または磁気ビーズに対応する電極が、シグナル伝達実体が近くにあるか、ないかのシグナル決定因を発生する場合は電気化学的に)。この後、固定されたシグナル伝達実体を持つビーズを引き寄せなかった個々の磁気領域は消磁し、ビーズを離し、洗浄する。シグナル伝達実体を持つビーズが引き寄せられた磁石は、上記の洗浄および除去段階中、磁化されたままである。除去後、すべての磁石は遊離され、統計的にそれぞれの磁石に対して1つの磁気ビーズだけが存在するようになるまで、工程を継続する。この時点において、磁気的誘引段階後、固定されたシグナル伝達実体を持つビーズを引き寄せなかったそれぞれの磁石は遊離され、そしてすべての残りの磁石は磁石におけるシグナル伝達実体の存在により示される1対の結合パートナーを持つ磁気ビーズだけを引き寄せるであろう。この時点で、これらの種は遊離され、結合パートナーの実体は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド識別子により識別される。これが上記の米国特許出願に記載された技術の概要である。
【0085】
具体例として、遺伝子産物(蛋白質)の第1の組およびそれらのそれぞれの遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)は磁気ビーズに結合する。第2の組の遺伝子産物およびそれらのそれぞれの遺伝子は、電子的シグナル伝達部分も持つコロイドのような粒子に結合する。2つの粒子集団は溶液中で一緒にインキュベートされ、異なる粒子上に固定された蛋白質間での結合相互作用が可能になる。磁気ビーズ上の蛋白質と電気活性基を持つコロイド上の蛋白質間で相互作用が起きる場合、補充可能な粒子(磁気ビーズ)はシグナル伝達粒子に連結される。磁場は、電子シグナルが変換される感知電極に複合体を引き寄せる。感知電極は、それぞれの電極パッドへの磁気ビーズの補充が個々に制御されるように設計された電極のアレイである。これは、それぞれの電極パッドを個々に制御可能な電磁石と連結することにより作製することができる。すなわち、個々にアドレス可能な電磁石のアレイが作製される(当技術分野で公知の技術を使用して)。電子的シグナル伝達実体がフェロセンのような酸化還元活性分子である場合、電極はそれぞれの磁石に結合し、ビーズが磁石に引き寄せられた場合、磁石に結合した電極は循環し、酸化還元活性シグナル伝達実体が(結合パートナー相互作用により)ビーズに対して固定される場合、シグナル伝達実体の酸化還元信号が検出されるであろう。
【0086】
別の例としては、光学的選択が挙げられる。この技術では、結合相互作用に関与する固定されたオリゴヌクレオチド識別子により識別される結合パートナーは本明細書に記載の任意の技術、たとえばコロイド‐コロイド凝集、凝集時のビーズのコロイド“装飾”などの場合における色彩変化の視覚的または自動観察により、光学的に検出する。具体例として、異なる粒子型に結合した相互作用パートナーは各種の方法により光学的に選択することができる。遺伝子産物(結合パートナー候補である蛋白質)と遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)の第1の組は、非磁気ビーズに結合してもよい。遺伝子産物の第2の組は、蛍光またはリン光部分により直接的または間接的に改変されてもよい。たとえば、第2の組の遺伝子産物は、やはり蛍光またはリン光部分を持つコロイドに結合してもよい。ビーズ固定およびコロイド固定蛋白質間の相互作用は、より大きいビーズ上に蛍光またはリン光コロイドの凝集を引き起こし、相互作用に関与している蛋白質を提示するビーズとして、それ(ビーズ)を検出可能および同定可能にする。代わりの方法では、遺伝子産物の第2の組は、DNA結合蛋白質またはドメインとの融合蛋白質として発現され、そして蛍光またはリン光標識された核酸から発現または翻訳される。先の場合のように、ビーズ固定蛋白質および融合蛋白質間の相互作用は、ビーズ上に蛍光またはリン光種の凝集を引き起こし、相互作用に関与する蛋白質を提示するビーズとして、それ(ビーズ)を検出可能および同定可能にする。
【0087】
相互作用種を同定する前に、蛍光発光するビーズを単に選び、分析することにより、光学的に検出可能な種により装飾されたビーズを手動的に単離することができる。
あるいは、相互作用種の単離は自動的に行うことができる。蛍光またはリン光部分を持つビーズは当業者に公知の技術であるFACS(蛍光分析細胞ソーティング)系を使用して選択し、単離することが可能である。
【0088】
相互作用粒子‐結合種が初めに単離される。相互作用種を単離後、結合した核酸配列は配列決定法、PCR、ハイブリダイゼーションまたはこれらの技術の組合せにより同定される。あるいは、蛋白質がプラスミドDNAから発現されている場合、コードするDNAを粒子から離し、増殖培地で培養することができる。一度新しいコロニーが増殖すると、これらは上記の方法(配列決定法、PCR、ハイブリダイゼーションまたはこれらの技術の組合せ)のいずれかによる分析のための再生可能なコーディングDNA供与源を提供する。
【0089】
本発明の利点は、いずれかの蛋白質の同定についての演繹的な知識なしに、相互作用対を同定するために多数の蛋白質を同時に試験できることである。標準技術を使用して、本明細書に記載のコードされた蛋白質への直接的または間接的結合を促進するために改変されている、蛋白質発現プラスミドまたは線状核酸鋳型に相補的DNA(cDNA)のライブラリーが挿入されてもよい。たとえば、全哺乳動物cDNAが、ヒスチジンタグおよびイーストDNA結合蛋白質の結合部位をコードする配列も含むプラスミドに挿入されてもよく、それらは発現された蛋白質の捕捉のためのNTA‐Niも提示する粒子上に提示されるであろう。このようにして、発現された蛋白質およびそのコーディングDNAが共通粒子への固定によりお互いに“結合”するであろう。同様の遺伝的操作は相互作用パートナーを検出し、選択するために設計された本発明の方法と一緒になった場合、多数の相互作用蛋白質の性状決定および全ゲノムの相互作用ネットワークの解明を可能にする。
【0090】
本発明の方法はまた、対象となる未知の蛋白質を機能的に特徴付けるために使用される。最近ヒトゲノムの配列が決定されたことから、新規に同定された遺伝子の機能を確定することが現在重要である。ヒトゲノムの遺伝子の数は約40,000と推定される。しかし、いくつかの蛋白質に共通の蛋白質認識モチーフがある。未知の遺伝子の性状を決定するための一方法は、遺伝子産物がどの遺伝子と相互作用するかを確定することである。より簡潔な方法は、どの既知の蛋白質認識モチーフが性状未知の蛋白質と相互作用するかを
確定することである。それぞれが異なる蛋白質認識モジュール、たとえばキナーゼドメイン、ホスホリラーゼ、PDZドメイン、GRB1および2ドメイン、ERK、kringle、WWドメインなどを提示するナノ粒子のライブラリーが作製されてもよい。性状決定されていない蛋白質およびそれらをコードするDNAは別々に磁気ビーズに結合し、それぞれが相互作用ドメインおよびそれに結合したDNAを持つコロイド粒子のライブラリーと混合する。次に相互作用粒子は光学的または磁気的のいずれかにより選択され、その後結合した核酸または他のコーディング識別子の分析により同定される。
【0091】
蛋白質をコードするDNAのフラグメントは容易にプラスミドまたは線状核酸鋳型に挿入されて、コードされた蛋白質の発現を促進することができる。線状発現/翻訳鋳型(in vitro翻訳のための)に挿入されるcDNAライブラリーには、プラスミドへの挿入に優る、ある利点がある。ハイブリッド核酸発現鋳型はまた、発現される蛋白質のための親和性タグをコードする配列、および共通表面への遺伝子産物およびそのコーディングDNAの両方の結合を促進する官能基を共に含むプライマーを持つcDNAライブラリーを作製することにより作製してもよい。線状発現鋳型は化学的官能基により容易に改変されて、表面またはシグナル伝達能力を与える官能基への結合を促進する。たとえば、蛋白質をコードする核酸フラグメントは、ビオチン部分を持つ核酸鎖に遺伝的に融合されてもよい。任意の配列のビオチン化核酸が市販されている。ストレプトアビジンはそれに対して4つの結合部位を有する。したがって、ビオチン化核酸発現鋳型はストレプトアビジンを提示する表面に結合する。
【0092】
プラスミドに挿入されているcDNAsライブラリーは別の利点を提供する。一度相互作用が検出されれば、相互作用種およびそれらをコードするプラスミドを単離することができる。その後プラスミドは宿主細胞に導入されて、配列決定または別のアッセイでの使用前にプラスミドが増幅される。
【0093】
本発明の別の方法は、たとえば全哺乳動物ゲノムを表すcDNAライブラリーの成分を、DNA結合蛋白質、またはそのフラグメントをコードする核酸、およびそれが結合するDNA配列に融合することを含む。これらの鋳型から発現された融合蛋白質は、それらをコードする核酸に結合することができるであろう。
【0094】
本発明はまた、蛋白質精製、固定および他の一般的な生化学的技術に使用する親和性試薬を識別するための方法を提供する。本発明の相互作用は宿主細胞では行われないため、相互作用成分は完全に遺伝物質から作製される必要はない。この態様において、化学的種の第1の組は、固定された化合物の化学的正体をコードする識別子と一緒に補充可能なビーズに結合する。遺伝的にコードされた種の第2の組はシグナル伝達能力を有するリンカー種(好ましくは4〜14アミノ酸長のポリアミノ酸)に結合する。化学的および生物学的成分は、それらの一つまたは両方が表面に結合してもよく、結合相互作用が起きるように一緒に混合される。本発明の方法は、相互作用成分を選択するために使用される。それぞれの相互作用対の成分はその後同定される。これは結合した核酸識別子またはコードするプラスミドを配列決定するような本発明の方法を使用するか、または化合物およびペプチドの識別により適した、他の分析手段を使用することにより行うことができる。これらの方法は、質量分析技術およびペプチド配列決定法を含むがそれらに限定されない。本発明の方法はまた、表面がチップの表面である場合も使用することができる。図2では、一態様においてそれぞれが結合パートナー候補および識別子を持つ1組の誘導体化されたコロイドが、オリゴヌクレオチド識別子の非常に近くに結合種候補を提示する、空間的にアドレス可能なアレイチップに導入される。チップに固定された種はコロイドに固定された種に結合し、その後結合した種を持たないコロイドを洗い流す。結合パートナー候補を識別する配列のすべての可能な対毎の組合せに相補的な配列を含む1組のオリゴ(識別子)は、次にコロイドで装飾されたチップとインキュベートする。洗浄後、コロイド上の識別
子にハイブリダイズしているオリゴおよびチップが、お互いに相互作用した結合パートナー候補を表す。“識別子”オリゴは、加熱水、化学的遊離などによる分離を含む、多数の方法のいずれか一つにより表面から分離され、その後、配列決定される相互作用パートナーの実体を明らかにする。識別子オリゴはまた、配列決定段階前に、チップ上の特定の部位で酵素的に(たとえばPCRにより)増幅されてもよい。図2に示すように、表面166を有するチップ164は、複数の空間的にアドレス可能な領域168,170などを含む。それぞれの領域は化学的または生物学的種(結合パートナー候補)174,176,および178などを含む。それぞれの領域はまた、オリゴヌクレオチド識別子180,182,184などを含む。識別子180,182,および184は独自にそれぞれ化学的または生物学的種174,176,および178を識別する。
【0095】
上記の反応に続いて、1コロイド粒子186は表面166に結合したままである。固定されたコロイド186は種174に結合する化学的または生物学的種188、およびオリゴヌクレオチド識別子190を含む。種174および188の結合は識別子180および190を非常に近くに引き寄せ、それにより相互作用ハイブリダイゼーション識別子192が識別子180および190の組合せに結合する。識別子192は、識別子180および190の配列を識別し、化学的または生物学的種174および188の一つまたは両方を識別する。
【0096】
結合パートナー候補である多数の化学的または生物学的種を提示するアレイチップおよび隣接する特有の識別のためのオリゴは、各種技術により作製することができる。一方法は、蛋白質の結合を促進する実体(たとえば、SAMに関与することができるキレート/金属‐停止種)、および核酸種の結合を促進する第2の実体(たとえばSAMに関与可能な核酸リンカー‐停止種)を組み込む表面上で不均質自己組織化単分子膜(SAMs)を形成することを含む。たとえば、混合SAMは、チオールにより改変されたDNA鎖およびニトリロ三酢酸(NTA)で停止するチオールを含む混合チオール種から形成されてもよい。NTAはニッケルと混合すると、ヒスチジンで標識された蛋白質を選択的に捕捉する。したがってこの不均質SAMは、チップ上に提示された配列に相補的な配列を含む、任意のヒスチジンで標識された蛋白質および任意のDNA鎖を捕捉できるであろう。あるいは、単一の結合種(たとえばキレート/金属)を暴露するSAMが形成され、ポリアミノ酸タグを持つ結合パートナーおよびポリアミノ酸タグにより改変されたオリゴヌクレオチドの両方と共に使用されてもよい。SAM形成段階は通常、有機溶媒中で、各種チオールと金被覆表面をインキュベートすることにより行われる。有機溶媒は金属表面に広がる。しかし、いったんSAMが形成されると、蛋白質を表面とインキュベートし、次に表面に固定されたオリゴにハイブリダイズする共通の“尾”により表面に特有の核酸鎖をハイブリダイズする段階は、SAM被覆表面上で玉のようになる水性バッファー中で共に行われる。このようにして、全表面が共通のSAMで被覆されてもよく、その後アレイチップを作製するために小容積の蛋白質およびDNAがその表面に“点在”する。
【0097】
あるいは、水溶液中で、たとえばチオール改変により表面に結合することができる各種DNA識別子が、誘導体化されていない金被覆表面上に点在してもよい。しばらくインキュベートした後、チップは“フィルター”チオールを含む溶媒に暴露される。これらのフィルター種はまた、空間的にアドレス可能な方法で行うことができる、表面への蛋白質の結合を促進するチオール種を含んでいてもよい。
【0098】
標準遺伝子チップは、それらが識別子の非常に近くに蛋白質を配置できるように改変されれば、本明細書に記載の方法により使用することができる。
図3では、本発明の別の態様を説明する。チップ240は複数の化学的または生物学的種244〜250などが固定される表面242を含む。それぞれが化学的または生物学的種254およびオリゴヌクレオチド識別子256を持つコロイド粒子252に表面を暴露
すると、図に示すように種246および256間に結合が生じる。その後、局所的な開裂および識別子256による識別、または局所的なPCRまたはハイブリダイゼーションが結合を識別することができる。コロイドに結合した同一でない種と種244〜250が同一であってもよく、またはコロイドに結合した同一の種と種244〜250が異なってもよく、または表面に結合した種およびコロイドに結合した種の両方が異なっていてもよい。
【0099】
図4では、表面にオリゴヌクレオチドを固定するための一つの配置を説明する。図4は、オリゴヌクレオチド識別子に組み込まれた自己組織化単分子膜を説明する。とりわけ、自己組織化単分子膜は長鎖アルキルチオールであり、制限酵素開裂部位100,開裂部位に結合したDNAプライミング領域102、およびプライミング領域に結合した5塩基オリゴヌクレオチド識別子104を含む。プライミング領域はオリゴヌクレオチド識別子を自己組織化単分子膜形成種に結合することができる任意の実体により定義され、そしてまた図5に関して以下に記載することになる配列決定を促進してもよいことを理解すべきである。また、図4の配置は例にすぎず、オリゴヌクレオチド識別子を表面に結合するための他の技術を使用してもよい。
【0100】
図6は、表面、とりわけコロイド表面上の自己組織化単分子膜への図4の種の組み込み、および同じ表面への生物学的結合パートナーの固定を説明する。コロイド粒子106はチオールが結合する金表面を有し、そこでチオール含有自己組織化単分子膜形成種は自己組織化単分子膜を形成することになる。自己組織化単分子膜108はコロイド106の表面110上で形成され、図4の種および固定された生物学的結合パートナー(蛋白質)112を含む。図に示すように、種112はSAM108に組み込まれる自己組織化単分子膜形成種に固定される。とりわけ、種は金属タグ/金属/キレート結合114により自己組織化単分子膜形成種に結合する。
【0101】
図7は、結合種112を持つコロイド粒子106、および種112の生物学的結合パートナーである化学的または生物学的種120を持つ第2のコロイド118を図式的に説明する。図に示すように、種112および120はそれぞれ蛋白質であるが、当業者は理解するように、他の結合種も使用することができる。たとえば、各種蛋白質、ペプチド、または他の種のいずれかが種112および120を定義してもよく、種112および120は他の親和性タグによりコロイド粒子に固定されてもよい。オリゴヌクレオチド識別子および/または化学的または生物学的種はまた、各種親和性タグのいずれか、またはEDC/NHSカップリングを介してカルボン酸チオールによりコロイド表面に固定されてもよい。あるいは、対象となる種はコロイドへの直接結合のためにチオールに結合してもよい。図に示すように、自己組織化単分子膜形成種はたとえば11炭素以上の長い炭素鎖を含んでいてもよい。
【0102】
種112および120がいったん結合アッセイ(ビーズ呈色アッセイ、コロイド‐コロイドアッセイなどのような、参照として本明細書に援用された文書に記載された任意のアッセイを含む)に関与すれば、種112または120の一つがアッセイにおいて結合パートナーとして識別され、その実体が望ましくは既知である場合、種の実体は以下の様に明らかにすることができる。この検討のために、コロイド116は既知の結合パートナー112を持ち、そしてコロイド118は種112の生物学的結合パートナーであることが未知である種120を持つと考える。こうして種112および120間の結合がいったん分かれば(たとえばコロイド粒子の凝集により)、ここでは120以外の種を持つ各種の他のコロイド粒子がアッセイに関与し、種112に結合していてもよく、その時種120の実体が確認されることが好ましい。図8では、制限酵素が添加され、コロイド粒子118(プライミング領域102と一緒に)からオリゴヌクレオチド識別子104を開裂する。その後、図5ではプライミング領域102に相補的なオリゴヌクレオチド識別子122が
添加され、そして通常のPCRを基にした配列決定法、または他の標準配列決定法が開裂されたオリゴヌクレオチド上で行われ、オリゴヌクレオチド識別子の配列を明らかにする。たとえば、標準蛍光配列決定法が行われてもよい。いったんオリゴヌクレオチド識別子104の配列が同定されると、つぎにそれは識別子104も結合しているコロイド粒子118に結合している種として120を同定する;識別子104はアッセイを行う前に種120に結合していた。
【0103】
次に、オリゴヌクレオチド識別子使用のための別の技術が図9〜15で記載される。図9は、自己組織化単分子膜形成種125の部分であるオリゴヌクレオチド識別子124を説明する。識別子124は任意の技術によりSAM形成種125に固定され、その部分を形成してもよく、そして上記の図で説明するように、制限酵素開裂部位またはプライミング領域100および102をそれぞれ含む必要がない。図9はまた、識別子124および化学的または生物学的種126を説明し、それぞれは自己組織化単分子膜形成種によりコロイド粒子128の表面に固定される。すなわち、コロイド128の表面上のSAMは識別子124および種126を共に含む。識別子124および種126は、本明細書に記載の任意の様式を含む、当業者に公知の任意の様式でコロイド128に固定されてもよい。次に図10では、コロイド128は第2のコロイド粒子130の近くに運ばれ、130はそれ自体のオリゴヌクレオチド識別子132およびそれ自体の化学的または生物学的種134を持つ。化学的または生物学的種126および134が結合する場合、たとえばそれらが生物学的結合パートナーである場合、オリゴヌクレオチド識別子124および132はお互いに近くに引き寄せられるであろう。図10に示すアッセイの例として、それぞれが複数の結合パートナー126を持つ複数のコロイド128が提供され、種126の結合パートナーであってもよく、なくてもよい異なる種をそれぞれが持つ複数のコロイド130と混合される。たとえば、コロイド粒子128とコロイド粒子130の凝集により確認されるように、コロイド130は種126の結合パートナーである種134を持つ。(この例において)種126および134の結合が確認されていれば、種134の実体を確認することが望ましい。
【0104】
あるいは、多様な潜在的結合パートナーを持つ多数のコロイド粒子を混合してもよく、ここでは各種の異なる結合相互作用が起こってもよい。
任意の事象において、いったん種126と134間の結合が生じると(たとえばコロイド粒子の凝集が起きるときのピンクから青への色彩変化の検出により)、種126、または134、または両方の実体が決定される。次に図11では、識別子124および132は、相互作用ハイブリダイゼーション識別子136に相補的である配列を一緒に定義する。これが事例である場合、識別子136は識別子124および132の組合せに結合するであろう。これは、各種相互作用ハイブリダイゼーション識別子がアッセイに添加される場合に起こり、それぞれはコロイド粒子に固定されたオリゴヌクレオチド識別子の異なる潜在的組合せに対応する。蛋白質または小分子のような2つの種だけが結合に関してアッセイされる場合、ただ一つの相補的配列だけが添加される必要があるだろう。
【0105】
その後、たとえば1本鎖DNAを分解するDNAアーゼを添加することにより、すべての非結合オリゴヌクレオチドが脱活性化される(図12)。これは結合事象に関与しなかった非相互作用コロイド上に存在する任意のオリゴヌクレオチド識別子、および任意の付加的な、非結合相互作用ハイブリダイゼーション識別子(138および140)を除去する。図13はこれらの段階の結果を説明する。
【0106】
図14では、相互作用ハイブリダイゼーション識別子136が、たとえば変性(煮沸または塩もしくはTriton溶液の添加などによる)により識別子124および132から除去され、そして単離される。次に識別子136が配列決定される(図15)。種136の識別と共に、識別子124および132の実体が確認され、それによって種126お
よび134の一つまたは両方の実体を確認することができる(アッセイの実行前に、識別子124は種126に関連付けられ、そして識別子132は種134に関連付けられていた)。
【0107】
実施例:電子に対するSAM透過性の制御の証明
この実施例は、促進された電子的連絡を含むSAMを形成する能力を証明する。SAMは第1の、堅く充填された種、および電子的連絡に対するSAMの透過性を促進する異なる分子構造の第2の種の混合物を含む表面上に形成される。欠陥、または開口がSAMに形成され、表面が暴露される液体が表面と電気的に連絡する。とりわけ、全体として、SAMに関して破壊的な構造を有するある硫黄含有小化合物がSAMに安定して組み込まれ、そして電子に対するより高い透過性が証明された。本実施例は、表面を相対的に伝導性にし、細胞増殖を支持できることを表す。
【0108】
水溶性フェロセン誘導体は、電解質溶液に溶解した(500uM NaClO4中のフェロセンジカルボン酸の100mM溶液)。作用電極は、様々な量の2ユニット分子ワイヤ(MFI)からなるSAMにより誘導体化された金被覆電極であった。特徴的なフェロセン電位におけるピーク高は分子ワイヤ密度の関数としてプロットした。陰性対照として、金被覆電極を100% トリエチレングリコール停止チオールからなる絶縁SAMで誘導体化した。この系は1群の硫黄含有化合物により改変された電極の伝導度を試験するために使用された。候補化合物50%およびトリエチレングリコール停止チオール50%の割合で、化合物をDMFに溶かした。電極は実施例1に記載のように誘導体化した。SAMsを、DMF中の500マイクロモルのトリエチレングリコール停止チオールおよび500マイクロモルのメルカプトベンゾチアゾールまたは2−メルカプトエチルエーテルのいずれかから金チップ上で形成した。平らな基質と1ml容量のシリコンガスケットとの間に、チップをしっかり固定した。フェロセンジカルボン酸溶液は500マイクロモルNaClO4中に溶解し、Ag/AgCl参照電極およびPt補助電極を持つシリコンガスケット中に配置した。金チップを作用電極として連結した。系をACVにより分析した。電極と接触する溶液中で、フェロセンから得られた電流ピークの大きさは、試験化合物がSAM内に欠陥を作製することにより、SAMを電子流に対して、より透過可能にするための能力の指標であった。
【0109】
実施例:蛋白質‐蛋白質相互作用の検出
本実施例は固定されたシグナル伝達実体および固定された蛋白質を有するコロイド粒子の有用性を証明する。(図18参照)。
【0110】
ヒスチジンで標識されたグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−His)はNTA‐SAM‐被覆コロイドに結合し、40uMのNTA−Niおよび100uMのフェロセン‐チオールを提示する。プロテインAを提示する市販の磁気ビーズは抗GST抗体により1/10の割合の結合能力に被覆され、GST−コロイドに1:5の比で添加され、そして磁石の先端に配置された50% MF‐1 SAM‐被覆電極上で測定された。磁石は磁気ビーズを電極表面に引き寄せ、厚く、可視の沈降物を形成した。GST‐コロイドは磁気ビーズ上のGST−抗体との相互作用により、電極表面に運ばれ、約280mVの電流ピークを与えた。GSTがコロイド表面に結合しないもの、およびGST抗体が磁気ビーズに結合しないものの2つの陰性対照を使用した。陰性対照はいずれも電流ピークを与えなかった。図17は、この実証の結果をプロットする。実線は、GST‐His‐提示コロイドと磁気ビーズ上の抗‐GST/Ab間の相互作用を表す。○はGSTを提示しなかったコロイドとインキュベートした、抗体を提示する磁気ビーズを表す。●はGSTを提示したコロイドとインキュベートした、抗体を提示しないビーズを表す。
【0111】
予言的実施例:蛋白質‐蛋白質相互作用の大規模な並行分析:ヒトプロテオームの相互
作用マップの解明
以下の予言的実施例は、蛋白質‐蛋白質相互作用の大規模な並行分析をどのように行うかを説明し、蛋白質の特徴が不明の場合とりわけ有用である。ここで、本方法はヒトプロテオームの蛋白質相互作用マップを解明するために使用される。プロテオームの蛋白質のサブセット、または全セットは粒子の組への発現された蛋白質の結合を促進するために、親和性タグとともに発現される。粒子に固定された蛋白質は一緒にプールされ、相互作用を可能にする。相互作用対は、反復磁気選択/希釈手順により、プールされた混合物から選択される。選択/希釈手順後、相互作用パートナーの実体が確認される。選択段階は、非相互作用蛋白質を分析する必要を取り除くことにより、問題の複雑さを軽減する。
【0112】
磁気補充により2つの結合パートナーがどのように検出可能であるかを説明する図が、図18で提供される。図に示すように、ナノ粒子9は電気活性シグナル伝達実体10に結合する。種11に結合するオリゴヌクレオチド識別子12はナノ粒子9に固定されるため、固定された化学的または生物学的種11もナノ粒子9に固定される。第2の化学的または生物学的種14は磁気ビーズ13に固定される。第2のオリゴヌクレオチド識別子15も磁気ビーズ13に対して固定され、したがって第2の種14に結合する。結合が種11と14の間で起こるため(図18参照)、電磁石16によって感知電極17に磁気的に引き寄せることが可能な、単一のヘテロ粒子が形成される。検出はシグナル伝達実体10により促進することができる。
【0113】
より具体的な例では、蛋白質およびそれらのコーディングDNA分子は共通表面またはビーズ上に共に固定されることにより、お互いに間接的に連結し、ここでそれぞれの粒子(ビーズ)は単一の蛋白質種およびそのコーディングDNAを提示する。発現された蛋白質とそのコーディングDNAとの連結は、選択/希釈手順後における相互作用蛋白質のそれぞれの組を識別することを促進する。それぞれの蛋白質とそのコーディングDNA分子は2つの異なる種類の粒子:補充可能な粒子およびシグナル伝達粒子上に固定される。粒子のサイズはまた異なり、より小さな粒子がそれぞれより大きい補充可能な粒子のまわりに付随体を形成してもよい。本実施例において、それぞれの蛋白質とそのコーディングDNA分子は単一の4〜10ミクロン磁気ビーズ上、および直径が4〜40nmで、電気活性シグナル伝達実体を持つ、多数の液体懸濁可能な粒子上に固定される。磁気ビーズ上の第1の種がシグナル伝達ナノ粒子上の第2の種と生物学的に相互作用する場合、補充可能な粒子はシグナル伝達実体に“連結”される。これらのヘテロ粒子複合体は次に感知電極に磁気的に補充され(図19を参照されたい)、ここでそれらは電子的または電気化学的シグナルのようなシグナルを送達することができる。多重分析を促進するために、粒子は、多数の個々にアドレス可能な電極パッドを有する電極アレイに磁気的に引き寄せられる。個々に制御可能な電磁石はそれぞれの電極パッドの下にあり、その結果それぞれのパッド上方の磁場を選択的に消したり、かけたりすることができる。しかし、シグナル伝達粒子に連結していない磁気粒子は、シグナルを送達することが不可能であり、陽性シグナルを送達する同じ電極にさらに補充することができる。これらの非シグナル伝達磁気ビーズはパッドから電磁気的に離され、相互作用容器から洗い流される。磁気粒子上の種と相互作用しないシグナル伝達ナノ粒子は、均一な懸濁液のままであり、シグナルの伝達をせずに、同じように相互作用容器から洗い流される。陽性シグナルを送達する電極パッドの下方に磁場を維持し、相互作用複合体を保持することによりこれらの浄化機能の両方が果たされ、一方陽性シグナルを送達しないパッド下方の磁場はゼロに操作され、非相互作用磁気ビーズを遊離する。ポート150(図19)が開口すると、液体は相互作用容器から洗い流され、非相互作用磁気ビーズおよび非相互作用ナノ粒子を運び去る。ポートが閉じると、すべての磁場はゼロに操作され、第2ポート60から機械的撹拌をしながら、さらにバッファーを添加し、粒子を再懸濁し、そして再分配する。すべての電極パッドの下方のすべての磁場を再びかけ、そして陽性シグナルを送達するそれぞれのパッドが多数のシグナル伝達ナノ粒子に結合した単一の磁気ビーズを統計的に含むまで、選択/希釈手順が反
復される。
【0114】
相互作用蛋白質の実体を確認するために、大きさが電極アレイの大きさに対応する磁気ピンのアレイを電極アレイに近付け、それぞれの磁気ピンが単一のヘテロ粒子複合体を捕捉するように、全電極アレイの下方の磁場をゼロに操作する。負荷されたピンアレイは、それぞれのウェルがDNA増幅試薬を含む溶液で満たされた、適合した大きさのマルチウェルプレートに浸す。(ナノ粒子およびビーズに固定された)個々のコーディングDNA配列はPCRまたは類似の技術により増幅し、配列を決定し、相互作用蛋白質のそれぞれの組の実体を明らかにする。
【0115】
予言的実施例:同様にコーディング識別子を提示する表面への共固定のための蛋白質の製造
プロテオームのそれぞれの蛋白質メンバーをコードするDNA配列は細菌の蛋白質発現ベクターに挿入される。発現ベクターは、親和性タグ、この場合(His)6、Gal4コンセンサス配列の直列反復、および蛋白質識別配列に隣接する2配列を持ち、PCRプライマーはそれに結合する。ヒスチジンタグは、発現された蛋白質の粒子への結合を促進する。Gal4コンセンサス配列は、認識モチーフと粒子に固定されたイーストDNA結合ドメイン間の相互作用により、コーディングDNAを粒子に結合するために作用し、この場合それはGST‐Gal4融合蛋白質である。Gal4(aa′1〜100)のDNA結合ドメインはコンセンサス配列
【0116】
【化2】
に結合し、そしてGSTは粒子上のグルタチオン部分に結合する。蛋白質は無細胞翻訳系に別々に発現されて、多くの無関係な蛋白質と細胞破片を減少させる。蛋白質発現後、それぞれの発現混合物はコーディングDNAおよび発現された蛋白質を含む。それぞれの蛋白質発現混合物は2アリコートに分割される。単一の磁気ビーズ(直径4〜10ミクロン)は第1のアリコートに添加され、NTA‐グルタチオン‐SAM‐被覆ナノ粒子は第2アリコートに添加される。粒子はペレットにし、洗浄して粒子に結合しない蛋白質を除去する。粒子とビーズは、プール毎に1000種のサブセットで一緒にプールし、磁気選択/希釈および電気化学的分析にかける。このようにして、同定されていない蛋白質は対応するコーディングDNAにも結合する、同じビーズまたは粒子に結合することができる。
【0117】
実施例ではコロイド粒子(ナノ粒子)が使用され、それらは先に参照した国際特許公開公報第WO00/43791号およびWO00/34783号に記載のように製造することができる。
【0118】
予言的実施例:電気化学的分析
CH Instruments(Austin,TX)の電気化学的分析機を使用して、磁気ビーズ上に固定された種と、やはり酸化還元活性金属を持つコロイド上に固定された種間の相互作用を検出する。装置は多重検出を容易にするために改変される。この場合、酸化還元活性金属はフェロセン誘導体である。電極アレイのパッドは個々にアドレス可能であり、作用電極として作用する。この場合、パッドは金で被覆し、伝導性自己組織化単分子膜で誘導体化する。Ag対Ag/Cl参照電極はPt補助電極と共に使用する。電極は交流ボルタンメトリー(ACV)を使用して、周波数10Hz,過電圧25mVで読みとる。
【0119】
予言的実施例:個々にアドレス可能な電磁石間に挟まれた電極アレイの設計
300〜500電極パッド110を有する電極アレイ100(図19)は、Ni++を
金で覆うことにより構築する。電極パッドは端から50〜500ミクロンにあり、個々にアドレス可能なHelmholtz(ヘルムホルツ)電磁石120の組間にはさまれ、磁場グラジエントが補充されるように作製し、そしてパッド表面に磁気ビーズを保持することができる(図19参照)。磁気ビーズを表面から離し、洗い流すか、または分配することを所望する場合、電流の方向は磁場をゼロに操作するために反対になる。相互作用容器が電磁石アレイから熱的に分離し、熱が溶液中の蛋白質を変性させないことを確実にするために、絶縁材料130の層が電磁石と相互作用容器140の間に置かれる。
【0120】
予言的実施例:蛋白質の組と電極パッド数の計算
全プロテオームの蛋白質相互作用マップを作製するために、プロテオームをサブセットに分割する必要があり、次に、サブセット毎の相互作用が試験される。約50,000の対象となる蛋白質があると仮定すると、プロテオームはそれぞれ1000蛋白質からなる50の組に分割される。1000蛋白質それぞれの群は、1000の群毎の相互作用に関して試験され、結果として50X50マトリクスまたは2500の異なる実験を生じる。各サブセットの蛋白質の数が、それぞれのアレイの電極パッドの数を決定する。それぞれの蛋白質が単一の結合パートナーを有すると仮定する場合、50の蛋白質のサブセットの一つとの相互作用に関して試験すると、それぞれの蛋白質はそのパートナーを見出す1/50のチャンスを有する。しかし、それぞれの蛋白質はおそらく平均して5つの適切な結合パートナーを有し、サブセット内で結合パートナーを発見する確率は1/10に上昇する。それは、1つのプールされた相互作用混合物中の2000蛋白質に対して、200が陽性シグナルとして送達されることを意味し、電極アレイが300〜500パッドを有するべきであることを意味する。非特異的結合事象からの低レベルのシグナルは、適切なバインダーによる競合的阻害のために最小である。しかし、偽陽性の発生はシグナル閾値が設定されれば最小化され、閾値以下のシグナルは陰性として計数される。相対的親和性は、第1結合種および第2結合種の相互作用の程度と、第1および第2結合種が結合する第3標的蛋白質との比較により決定される。
【0121】
予言的実施例:大きなプールの結合パートナー候補からの単一の標的蛋白質の結合パートナーの確定
この予言的実施例は、結合パートナー候補の大きなプールから、どのようにして単一標的蛋白質と相互作用する蛋白質を識別するかを記載する。大きなプール由来の蛋白質は実施例30に記載のように製造し、シグナル伝達ナノ粒子上にだけ固定される。標的蛋白質は1組の磁気ビーズ上に固定される。標的蛋白質の実体は既知のため、そのコーディングDNAを共固定することは必要でない。相互作用パートナーは上記のように電気化学的分析により選択される。
【0122】
予言的実施例:FACS分析による相互作用蛋白質パートナーの選択
本実施例は単一の標的蛋白質の結合パートナーをどのように識別するかについて記載する。標的蛋白質は直径4〜25ミクロンの1組のビーズ上に固定される。結合パートナー候補は、上記のように作製されるか、またはcDNAライブラリーから作製されてもよく、それらは蛍光シグナル伝達部分を持つナノ粒子上にそれらのコーディングDNAと一緒に共固定される。ビーズに固定された蛋白質がナノ粒子上に固定された種と相互作用する場合、ビーズは蛍光ナノ粒子により装飾され、FACS(蛍光活性化細胞ソーティング)分析により単離することが可能であり、その後それぞれの相互作用種毎に結合したDNAは配列決定され、結合パートナーが同定される。
【0123】
当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータが代表的なものであり、実際のパラメータは本発明の方法および装置が使用される具体的用途に依存することになるということを容易に理解するであろう。したがって、上記の態様は例としてのみ提示され、添付の請求項およびそれに相当するものの範囲内で、本発明は具体的に記載されたものと異な
って実施されてもよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本質的に任意の化学的または生物学的種に結合し、そしてまたオリゴヌクレオチド識別子に結合するために適合したコロイド粒子140の態様を図式的に説明する。
【図2】複数の空間的にアドレス可能な領域を含むチップを図式的に説明し、各領域は化学的または生物学的種(推定結合種)およびオリゴヌクレオチド識別子を有する。
【図3】1以上の化学的または生物学的種が固定されるチップを示す別の態様を図式的に説明する。
【図4】具体的には自己組織化単分子膜形成種を介して表面に固定されるように適合した本発明のオリゴヌクレオチド識別子を説明する。
【図5】図4〜8のポリアミノ酸タグの同定、続いてそれが固定されていたコロイド粒子の表面からの分離を説明する。
【図6】オリゴヌクレオチド識別子(図4)および生物学的結合パートナーが固定されるコロイド粒子の表面を説明する。
【図7】それぞれ、第1および第2のコロイド粒子に結合した第1および第2の生物学的結合パートナー間の生物学的結合を説明する。
【図8】オリゴヌクレオチド識別子が固定されていたコロイド粒子の表面からのかかるオリゴヌクレオチド識別子の分離を説明する。
【図9】コロイド粒子の表面にそれぞれ固定される、オリゴヌクレオチド識別子および生物学的結合パートナーを説明する。
【図10】他のコロイド粒子種に生物学的に結合する生物学的種をそれぞれが持ち、そしてそれぞれがオリゴヌクレオチド識別子を持つ、2つのコロイド粒子を説明する。
【図11】それぞれが図10のコロイド粒子に結合したオリゴヌクレオチド識別子の組合せへの相互作用ハイブリダイゼーション識別子の結合を説明する。
【図12】任意のハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドを脱活性化することを説明する。
【図13】図12の段階の結果を説明する。
【図14】図11〜13の相互作用ハイブリダイゼーション識別子の変性を説明する。
【図15】キメラオリゴソリューションの同定、およびそれによる図10〜13のオリゴヌクレオチド識別子の同定を説明する。
【図16】対照に対する、自己組織化単分子膜を横切る促進された電気的連絡、および細胞表面への蛋白質固定の酸化還元シグナル伝達のACVによる証明を示す。
【図17】磁気ビーズへのコロイドの結合により測定した蛋白質/蛋白質相互作用のACV分析を示す。
【図18】磁気補充により2つの結合パートナーがどのように検出できるかを説明する。
【図19】連続表面上の複数の位置において磁気力を適用および解除するための多重装置を説明する。
【発明の開示】
【0001】
関連する出願
本出願は、2000年11月15日に出願された米国仮特許出願第60/248,863号,2000年11月22日に出願された第60/252,650号,2001年1月15日に出願された英国特許出願第0101054.5号、2001年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/276,995号、2001年6月29日に出願された第60/302,231号、2001年10月3日に出願された60/326,937号、および2001年10月3日に出願された60/327,089号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、生体分子および化学的相互作用の迅速、ハイスループット、特異的および高感度な検出および分析のための方法、アッセイ、および成分に関し、より具体的には、これらおよび他のアッセイに関与する物の識別のための識別子に関する。
【0003】
発明の背景
2000年7月27日に公開された国際特許出願第PCT/US00/01504号はコロイドに関連する各種アッセイについて記載する。
【0004】
2000年1月25日に出願された国際特許公開公報第PCT/US00/01997号、および2000年8月3日に出願された米国特許出願第09/631,818号は、疾患に関連した種の分析、および疾患の処置のための候補薬物をスクリーニングするための方法、アッセイ、および成分を記載する。コロイド/コロイド相互作用を含むアッセイが詳細に記載される。
【0005】
蛋白質‐蛋白質相互作用を研究するための現在存在するin vitro技術には、共免疫沈降法、クロマトグラフィーによる共分画法、橋かけ法、サンドウィッチアッセイおよび表面プラスモン共鳴法が含まれる。これらの技術の欠点は、結合パートナー候補を順番に試験しなければならないことである。これは、試験可能な潜在的相互作用蛋白質の数を非常に限定する。実験を順番に行わなければならない理由は2つある。第1はシグナル伝達の問題である。典型的な結合実験では、結合が起きると単一の型のシグナルが生じる。したがって、結合パートナー候補は離れていなければならず、その後対毎の相互作用が順番に試験される。順番の実験のための第2の理由は、記録の問題である。蛋白質を識別することは、とりわけ低濃度の場合、非常に困難なため、単離し、精製した種を追跡すること、そして対毎に結合を試験することが必要である。
【0006】
イーストツーハイブリッド系およびイースト交配系のようなin vivoの細胞を基礎にした結合アッセイは、現在のin vitro結合法に優る重要な利点を提供する。それは、いったん陽性の蛋白質‐蛋白質相互作用を検出していれば、シグナルを提供する宿主細胞には研究中の蛋白質(複数の蛋白質)をコードする十分なDNAが含まれることである。当業者によく知られているように、蛋白質やペプチドよりDNAの配列を決定するほうがずっと容易である。さらに、低濃度のDNAは配列決定の前に酵素的に増幅できるが、蛋白質はできない。このことが精製された蛋白質の個々のアリコートを追跡する必要性を除去し、蛋白質‐蛋白質相互作用を検出するためのハイスループットスクリーニングを容易にする。
【0007】
しかし、in vivo蛋白質検出系には欠点がある。アッセイが基礎にする生体過程
の固有冗長性のため、in vivoアッセイは偽陽性および陰性を欠点として持つ。たとえば、イーストツーハイブリッド系は転写活性化の機序を基礎にする。系の別の欠点は、それが細胞由来の種間の相互作用しか検出できないことである。したがって、この方法を使用して、蛋白質と化学種、たとえば薬物候補または化学的認識エレメント間の相互作用を検出することはできない。
【0008】
多様な生物学的および化学的アッセイ技術が公知であるが、検出の正確さを損なわずに、多様な能力が促進されたアッセイが好都合であろう。したがって、発現された蛋白質または化学種をコードする遺伝物質を利用でき、結合アッセイ後に具体的な種に関連させることができるi vitro結合アッセイは、ハイスループット性と既存の系に優る重要な利点を提供する。
【0009】
発明の概要
本発明は、化学的および生物学的分析に使用するための一連の方法、成分、キットなどを提供する。具体的には、化学的または生物学的種間の結合相互作用、たとえば蛋白質間の結合相互作用を研究するための技術を提供する。本発明は、種間の相互作用のハイスループットな多重スクリーニングを可能にする。すなわち、結合パートナー候補が順番にスクリーニングされる以前の技術とは対照的に、多数の相互作用を同時にスクリーニングすることができる。ハイスループットな多重スクリーニングがin vitroで実行できることは、本発明の重要な利点である。
【0010】
本発明は、多くの結合相互作用が生じうる中、どこで結合相互作用が起きたかを確認し、結合相互作用に関与した種を選択しおよび同定するための技術を提供する。
別の方法は、表面に対して固定された化学的または生物学的種を化学的または生物学相互作用に関与させることを含む。相互作用に関与した化学的または生物学的種の同定は、表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、場合によっては相互作用パートナーのそれぞれに結合した2つのオリゴヌクレオチド識別子に特有の結合を同定することにより確認することができる。結合した識別子を同定することにより、相互作用対を独自に同定する。一態様において、識別子は、アッセイ中にそれが同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0011】
別の方法は、オリゴヌクレオチドにより蛋白質を発現すること、および蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに固定することを含む。
本発明の別の方法は、核酸から蛋白質を発現すること、および蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに固定することを含む。
【0012】
本発明の別の側面はアーティクルを含む。本発明の1アーティクルは、表面に固定されるか、固定されるように適合した、化学的または生物学相互作用に関与することができる化学的または生物学的種を持つ表面を有する。オリゴヌクレオチド識別子も表面に固定されるか、または固定されるように適合する。一態様に従った本側面における上記の方法のように、識別子はそれがアッセイ中に同定する蛋白質をコードするオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0013】
本発明はまた、生物学的または化学的分析のためのキットを提供する。一キットは上記の段落に記載のアーティクルとして定義される。別のキットは、表面、表面に固定されるか、または固定されるように適合した第2の化学的または生物学的種、および表面に固定されるか、または固定されるように適合した第2の識別子を有する少なくとも一つの付加的なアーティクルを含む。キットは、1組のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチド誘導体を含むことが可能であり、それらは任意の2つの相互作用パートナーを独自に同定する、すべての可能なオリゴヌクレオチド識別子配列の組合せを完全に表す。キット
は、2つ以上の相互作用種を含む相互作用に対して1組の核酸識別子を含むことができる。別の態様において、本発明のキットは、表面、表面に固定されるか、または固定されるように適合した蛋白質、および表面に固定されるか、または固定されるように適合した、蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む。
【0014】
別の態様において、本発明のキットは表面よりもむしろポリマーまたはデンドリマーを含む。
別の態様において、本発明のキットは、蛋白質およびお互いに固定されるか、お互いに固定されるように適合した、蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子、結合した蛋白質の結合パートナーを持つ実体を含む。
【0015】
本発明の別の側面は組成物を含む。1組成物は、蛋白質およびお互いに固定されるか、お互いに固定されるように適合した蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む。
【0016】
本発明の別の組成物は化学的または生物学的相互作用に関与可能な化学的または生物学的種、リボソームではないリンカー種、およびオリゴヌクレオチド識別子を含み、ここで化学的または生物学的種およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれはリンカー種に固定されるか、または固定されるように適合する。リンカー種はナノ粒子の表面、チップ、ポリマー、デンドリマー、RNA結合蛋白質、DNA結合蛋白質などであってもよい。
【0017】
本発明は固体支持体の性質により限定されることを意図しない。一態様において、固体支持体はコロイド(たとえば金コロイド)である。本発明は固体支持体へのリガンドの結合の性質により限定されることも意図しない。一態様において、上記リガンドは固体支持体に共有結合(直接的に、または別のリガンドもしくは結合部分を介して)する。別の態様において、リガンドは非共有結合的に、または静電的もしくはイオン的相互作用により結合する。
【0018】
いくつかの態様において、シグナル伝達実体は有用である。そのような態様において、本発明は蛍光分子のような光学的に活性な実体、および色を生み出す基質上に作用できる酵素を含む以下に記載の各種シグナル伝達実体を企図するが、それらに限定されない。好ましいシグナル伝達実体は、シグナル伝達エレメントのように電気活性分子、すなわち、適切で慣用の電気的配列の作用電極に近い、電気的または電気化学的に測定可能な、酸化/還元電位を有する分子を含む。
【0019】
本発明は化学的または生物学作用物質の性質により限定されることを意図しない。多様な作用物質およびそれらの作用物質の結合パートナー、たとえば蛋白質/蛋白質、蛋白質/ペプチド、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補助因子、結合蛋白質/基質、キャリア蛋白質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、蛋白質/核酸レプレッサー/誘導因子、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどは本発明の結合相互作用に使用することができる。ある態様において、作用物質はリガンド、具体的にはペプチドである。好ましい態様において、金属キレートと結合することができる部分(たとえばヒスチジンタグ)により、ペプチドが誘導体化される。本態様では、固体支持体が金属キレートを含み、そして上記ペプチドが上記金属キレートへの上記部分の結合により、上記支持体に結合することが好都合である。
【0020】
いくつかの態様において、細胞表面受容体および細胞内シグナル伝達蛋白質を共に含む細胞由来分子は、事実上表面または粒子様のいずれであってもよい固体支持体に結合する。これらの細胞由来蛋白質の結合パートナーは、既知および未知の両方のリガンドおよび
薬物候補を含んでいてもよいものであって、それらは表面および/または粒子様構造に結合し、そして2つの結合パートナー間の結合が生じるような様式で細胞由来蛋白質と相互作用する。結合パートナーの一つまたはそれに結合した支持体は、検出可能な物質により付加的に誘導体化されてもよい。相互作用複合体は、結合していない結合パートナーと結合複合体を区別する結合複合体の特徴を利用して同定される。共通の固体支持体上に結合パートナーの一つと共に固定されるか、または直接結合パートナーの一つに結合する、検出可能な部分の存在、またはその部分の変化が検出される。適切な相互作用を阻害する分子は、このシグナルの損失を検出することにより同定することができる。相互作用パートナーは感知領域に結合パートナーの一つをとどめ、それに他の結合パートナーを補充することによるか、または結合していない結合パートナーと結合複合体を区別する結合複合体の特徴を操作することにより、または補充可能なエレメントを結合パートナーの一つまたはそれに結合した固体支持体に結合することにより、感知装置に運ばれる。
【0021】
本発明の一態様は、磁気物質を使用して電極に電気的シグナル伝達実体を補充することを含む。本態様は、本発明の多くのアッセイおよび他の技術に用途を見出すことができる。一般に、本発明の方法においてシグナル伝達実体は磁気物質(磁気ビーズであってもよい)に対して固定される能力により提供される。磁気物質およびシグナル伝達実体は本明細書に記載の各種の化学的および/または物理的結合によりお互いに結合することができる。たとえば、第1の種は磁気物質に対して固定されるか、もしくは固定されてもよく、そして第2の種はシグナル伝達実体に対して固定されるか、もしくは固定されてもよく、または第1および第2の種がお互いに結合してもよい。第1および第2の種は本質的に、本明細書に記載されているか、または当技術分野で公知の結合のための任意の種であってもよく、そして一態様では蛋白質である。好ましい態様において、蛋白質は抗体ではなく、たとえばリガンドまたは同系受容体などである。シグナル伝達実体はまた、コロイド粒子のような中間的実体に結合してもよく、結合パートナーとして作用する蛋白質の一つもまたそれに固定される。シグナル伝達実体はまた、磁気物質を使用せずに電極に補充されてもよい。この手順では、シグナル伝達実体は、電極に関しては、一つの種の結合パートナーに対して固定されてもよく、そして結合パートナーはお互いに結合してもよい。本明細書に記載、または当技術分野で公知の任意の結合パートナー相互作用は、本質的にこの技術を促進することができる。
【0022】
オリゴヌクレオチド識別子を含む本発明の複数の側面は、本明細書に記載の任意の側面に関連して使用してもよく、そしてオリゴヌクレオチド識別子が本質的に任意の化学的または生物学結合研究に応用されることを理解すべきである。
【0023】
本発明の他の利点、新規態様、および目的は、添付の図面と合わせて考慮すれば、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるものであり、かかる図面は説明のためであって、一定の比率で描かれることを意図しない。図では、それぞれの図で説明される、それぞれ同一またはほとんど同一の成分は単一の数字で表される。分かり易くするために、当業者が本発明を理解するために説明が必要でない場合、必ずしも本発明のすべての図ですべての成分を標識してはおらず、各態様のすべての成分を示していない。
【0024】
発明の詳細な説明
国際特許出願第PCT/US00/01997号,01/25/00出願、Bamdadら、“Rapid and Sensitive Detection of Aberrant Protein Aggregation in Neurodegenerative Diseases”(07/27/00にWO 00/43791として公開)、国際特許出願第PCT/US00/0150号,01/21/00出願、Bamdadら、“Interaction of Colloid−Immobilized
Species with Species on Non−Colloidal S
tructures”(07/27/00にWO00/34783として公開);および共有の同時係属中の米国特許出願第09/602,778号、08/03/00号、Bamdadら、“Rapid and Sensitive Detection of ProteinAggregation”はすべて参照として本明細書に援用する。
【0025】
本明細書で使用する“小分子”とは、5キロダルトンより小さい、より具体的には1キロダルトンより小さい分子を意味する。本明細書で使用する“小分子”は蛋白質を除外する。
【0026】
本明細書で使用する“候補薬物”はヒト、動物、または植物に使用される任意の薬効のある物質を表す。化合物類似体、天然、合成および組換えの医薬品、ホルモン、抗菌物質、神経伝達物質などがこの定義に包含される。これは任意の物質または前駆体(天然、合成または組換えのいずれか)を含み、神経変性疾患、もしくは異常な凝集が特徴である他の疾患の治療、またはそれらの予防のための薬物としての用途を評価されることになっている。評価は一般に、本発明のスクリーニングアッセイのような、アッセイにおける活性によって行われる。
【0027】
本発明では、各種の粒子を使用することができる。たとえば、“液体に懸濁可能な粒子”は液体中に懸濁液のまま維持されるように作製することができる粒子を意味し、そのような液体(一般に水溶液)中でそれ自体本発明の目的のために使用されるか、または磁場、電磁場、撹拌(stirring)のような撹拌(agitation)、振とう、振動、超音波処理、遠心分離、ボルテキシング(voltexing)などの適用により溶液中に維持することができる。例としては、コロイド粒子、ナノ結晶などが挙げられる。“ナノ粒子”は、わずか500ナノメーター、好ましくはわずか250ナノメーターの最大断面の大きさを有する、液体に懸濁可能な粒子である。“磁気的に懸濁可能な”粒子は、磁場の適用により液体中に懸濁したままでいることができるものである。電磁気的に懸濁可能な粒子は電磁場の適用により液体中に懸濁したままでいることができるものである(たとえば、電荷を持つ粒子、または電荷を持つように改変された粒子)。“自己懸濁可能な粒子”はそれが使用される液体(一般に水溶液)中で、たとえば磁場の補助なしで、少なくとも1時間、懸濁したままでいることができる、充分に小さいサイズおよび/または質量の粒子である。他の“自己懸濁可能な粒子”は、本発明に従って補助なしで5時間、1日、1週間、または1ヶ月でさえも懸濁したままでいるであろう。
【0028】
“蛋白質”および“ペプチド”は当技術分野で公知であり、それぞれが包含するアミノ酸の数に関しては当技術分野では正確に定義しない。本明細書で使用するように、これらの用語は当技術分野における通常の意味を与えられる。一般に、ペプチドは約100アミノ酸長より少ないアミノ酸配列であるが、300アミノ酸までの配列を包含することができる。蛋白質は一般に少なくとも100アミノ酸の分子であると判断される。
【0029】
本明細書で使用する“金属結合タグ”はキレートが配位結合する金属に固定可能な分子の群を表す。そのような分子の適切な群は、一般に約2から約10までのアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。これらはヒスチジンおよびシステインを含むがそれらに限定されない(“ポリアミノ酸タグ”)。そのような結合タグは、それらがヒスチジンを含む場合、“ポリヒスチジン領域”または“ヒスチジンタグ”または“HIS‐タグ”と呼んでもよく、ペプチドもしくは蛋白質、または核酸の、アミノ末端もしくはカルボキシル末端のいずれかにおいて、または任意の暴露領域のいずれかにおいて存在することができる。6〜10残基のポリヒスチジン領域が本発明での使用に好ましい。ポリヒスチジン領域はまた、関心のある蛋白質に添加された、多数の連続したヒスチジン残基であるとして機能的に定義され、金属キレートカラム上での得られた蛋白質の親和性精製、または別の分子(たとえばHIS‐タグに反応性の抗体)との相互作用による蛋白質末端の同定を可能にする
。
【0030】
“親和性タグ”には当技術分野における通常の意味が与えられる。親和性タグは、たとえば金属結合タグ、GST(GST/グルタチオン結合チップにおける)、およびストレプトアビジン(ビオチン/ストレプトアビジン結合における)を含む。本明細書の様々な箇所で、特定の親和性タグが結合相互作用と関連して記載される。本発明は、親和性タグを使用する任意の態様において、本明細書に記載された任意の親和性タグの選択をそれぞれが含む、一連の個々の態様を含む。
【0031】
“金属を配位結合させるキレート”またはキレートにより配位される金属は、金属上のすべての利用可能な配位結合部位を満たさずに、利用可能ないくつかの配位結合部位を金属結合タグのために残しているキレート剤により配位結合される金属を表す。Bamdadらの米国特許第5,620,850号は、代表的なキレートについて記載するが、本明細書に参照として援用する。例としては、ニトリロ三酢酸、2,2′−ビス(サリシリデンアミノ)−6,6′−デメチルジフェニル、および1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンなどが挙げられる。
【0032】
“シグナル伝達実体”は具体的な試料中、または具体的な位置においてその存在を示すことができる実体を意味する。本発明のシグナル伝達実体はヒトの裸眼で同定できるもの、分離すると肉眼では見えなくてもよいが、十分な量があればヒトの裸眼で検出可能なもので、それらを容易に肉眼的に(裸眼または電子顕微鏡などを含む顕微鏡により)、または分光光学的に検出できる波長範囲レベルまたはその範囲内で電磁気放射を吸収または放出する実体、電子的または電気化学的に検出できる電気活性実体、たとえば適切な活性化エネルギーに暴露されると特徴的な酸化/還元パターンを示す酸化還元活性分子(“電子シグナル伝達実体”)などであってもよい。例としては、染料、色素、遷移金属複合体、酸化還元‐活性金属複合体、蛍光もしくはリン光部分(定義によれば、緑色蛍光蛋白質(GFP)のような蛍光またはリン光蛋白質、リン光部分を含む)、アップレギュレートしているリン光体、化学発光実体、電気化学発光実体、またはホースラディッシュペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼを含む酵素結合シグナル伝達部分のような光学活性実体が挙げられる。“シグナル伝達実体の前駆体”とは、本来シグナル伝達能力がなくてもよいが、他の種との化学的、電気化学的、電気的、磁気的、または物理的相互作用によってシグナル伝達実体になる実体である。例としては、他の分子との化学的相互作用によってだけ、特定の、検出可能な波長内の放射光を発する能力を有する発色団が挙げられる。シグナル伝達実体の前駆体は、本明細書に記載の“シグナル伝達実体”と区別可能であるが、その定義内に含まれる。シグナル伝達実体の別の例としては、固有のシグナル伝達能力を有する物質からなる粒子が挙げられ、そのシグナル伝達能力が外部エネルギー源による励起を必要とする物質が含まれる。本発明のシグナル伝達実体として好ましい電気活性分子はメタロセンである。本発明に従って電気活性シグナル伝達エレメントとして機能するメタロセンは公知である。とりわけ好ましい電気活性分子の一例は、フェロセンまたはフェロセニルチオール(C35H24FeS)のようなフェロセン誘導体基もしくは誘導体を含むものである;しかし、他の遷移金属の有機複合体もシグナル伝達エレメントとして企図される。
【0033】
他の種またはアーティクルの表面に関連する種に関して、本明細書で使用する“固定された、または固定されるように適合した”とは、種が共有結合、特定の生物学的結合(たとえばビオチン/ストレプトアビジン)による結合、キレート/金属結合のような配位結合などにより化学的または生物学的に結合することを意味する。たとえば、この場合“固定された”とは、以下のものを含む複数の化学結合、複数の化学的/生物学的結合などを含むが、それらに限定されない:ポリスチレンビーズ上で合成されたペプチドのような結合種、プロテインAのようなビーズに共有結合する蛋白質に結合する抗体にとりわけ生物
学的に結合する結合種、GSTまたはPhageのような分子(それは次に表面に共有結合する結合パートナー(たとえばGSTの場合はグルタチオン)にとりわけ生物学的に結合する)の部分を(遺伝子工学的に)形成する結合種など。別の例では、チオールは金に共有結合するため、チオールに共有結合した部分は金表面に固定されるように適合する。同様に、金属結合タグをもつ種は、表面に共有結合した分子(たとえばチオール/金結合)を持つ表面に固定されるように適合し、その分子はまた金属を配位結合するキレートを提示する。表面が特定のヌクレオチド配列を持ち、種が相補的なヌクレオチド配列を含む場合、種もまた表面に固定されるように適合する。
【0034】
“共有結合的に固定された”とは、1以上の共有結合のみにより固定されることを意味する。たとえば、カルボキシレート提示アルキルチオールにEDC/NHS化学により共有結合し、次に金表面に固定される種はその表面に共有結合的に固定される。
【0035】
“とりわけ固定された”または“とりわけ固定されるように適合した”とは、“固定された、または固定されるように適合した”という定義に関して、上記のように種が別の試料、または表面に化学的または生物学に結合することを意味するが、すべての非特異的結合を除外する。
【0036】
本明細書で使用する“非特異的結合”には、生化学の分野における通常の意味を与えられる。
本明細書で使用する“コロイド”は、ナノ粒子、すなわち非常に小さい、自己懸濁可能、または液体に懸濁可能な粒子を意味し、それらはすなわち、たとえば無機もしくは有機、高分子、セラミック、半導体、金属(たとえば金)、非金属、結晶質、非晶質、または組合せのような物質からなるものを含む。一般に、本発明に従って使用されるコロイド粒子は、任意の面が250nmより小さい断面のもの、より一般的には任意の面が100nmより小さい断面のもの、そして大部分の場合、断面が約2〜30nmのものである。本発明の用途に適切なコロイドの1クラスは断面が10〜30nmで、別のものは断面が約2〜10nmである。本明細書で使用するこの用語は生化学の分野で通例使用される定義を含む。
【0037】
本明細書で使用する“金属を配位結合することができる部分”とは、金属結合タグまたはキレートのような、金属原子上の少なくとも2つの配位結合部位を占有することができる任意の分子を意味する。
【0038】
本明細書で使用する、別の成分“に対して固定される”成分は、他の成分に固定されるか、もしくは、たとえば他の成分もやはり固定される第3成分に固定されることにより、他の成分に間接的に固定されるか、または別の方法で他の成分と翻訳的に関連する。たとえば、シグナル伝達実体が結合種に固定される、結合種が固定されるコロイド粒子に固定される、結合種が固定されるデンドリマーまたはポリマーに固定されるなどの場合、シグナル伝達実体は結合種に対して固定される。第1コロイド粒子の表面に固定された種が実体に結合し、そして第2コロイド粒子の表面上の種が同じ実体に結合する場合、コロイド粒子は別のコロイド粒子に対して固定され、ここで実体は単一の実体、複数の種の複合実体、細胞、別の粒子などであってもよい。本発明のすべての態様において、種が別の実体(別の種、表面など)に対して固定されると記載される場合、いくつかの態様において種は実体に固定可能であると理解すべきであり、ここで当業者は、種が実体に固定されてもよいことを理解するであろう。
【0039】
“多様な生物学的種”とは、マウスおよびハムスター、マウスおよびヤギなどのような様々な動物を意味する。
“試料”という用語は、生物学的供与源(“生物学的試料”)または生物学的もしくは
非生物学的な任意の他の媒体由来である、任意の細胞、組織、もしくは液体を表し、それらは本発明に従って好都合に評価してもよく、以下のものを含むがそれらに限定されない:人間の患者から採取した生物学的試料、動物から採取した試料、人間の消費用の食物から採取した試料、家畜飼料のような動物での消費用の食物を含む試料、ミルク、臓器移植試料、血液供給のための血液試料、上水道由来の試料など。試料の一例として、候補薬物の効果を確認するために薬物が投与されているヒトまたは動物から採取された試料が挙げられる。
【0040】
具体的な成分を“含むと推測される試料”は、成分の量が未知である試料を意味する。たとえば、神経変性疾患、または非神経変性疾患があると推測されるが、疾患があることが既知でないヒト由来の液体試料は、神経変性疾患凝集物‐形成種を含むと推測される試料を定義する。この場合“試料”は、天然に存在する試料、たとえばヒトまたは他の動物由来の生理的試料、食物、家畜飼料などに由来する試料など、および“構造が予め決定された試料”を含み、“構造が予め決定された試料”は、その構造が神経変性疾患のような具体的な過程と関連するか否かを試験するために計画されたアッセイにおいて使用される、化学的もしくは生物学的配列または構造が予め決定された試料を意味すると本明細書で定義する。たとえば、“構造が予め決定された試料”はペプチド配列、ファージディスプレーライブラリーにおけるランダムペプチド配列などを含む。ヒトまたは他の動物から採取される典型的な試料は、細胞、血液、尿、眼水、唾液、脳脊髄液、扁桃由来の液体または他の試料、リンパ節、針生検試料などを含む。
【0041】
本明細書で使用する、“金属結合タグ/金属/キレート結合”は第1の種が金属結合タグに対して固定され、第2の種がキレートに対して固定される、第1および第2の種間の結合を定義し、ここでキレートは金属を配位結合し、金属結合タグもそれに配位結合される。本明細書に参照として援用するBamdadらの米国特許第5,620、850号は、代表的な結合について記載する。
【0042】
“生物学的結合”という用語は、相互親和性または結合能力を示す、対応する分子対間の相互作用を表し、生化学的、生理学的および/または薬剤的相互作用を含む、一般に特異的または非特異的な結合または相互作用を表す。生物学的結合は、蛋白質、核酸、糖蛋白質、炭水化物、ホルモンなどを含む、分子対間で起こる相互作用の型を定義する。具体的な例としては、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、キャリア蛋白質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、蛋白質/核酸受容体/誘導因子、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどが挙げられる。
【0043】
“結合パートナー”という用語は、特定の分子と結合できる分子を表す。例としては、先に例示したような生物学的に結合できる分子対のメンバーが挙げられる。たとえば、プロテインAは生物学的分子IgGの結合パートナーであり、逆も同様である。
【0044】
“測定する”という用語は、たとえば分光法、偏光解析法、圧電測定法、イムノアッセイ、電気化学的測定法などによる、種の定量的または定性的分析を表す。“測定する”とはまた、種間の相互作用を検出または定量すること、たとえば2つの種間の結合を検出することを意味する。
【0045】
“自己組織化単分子膜”(SAM)は表面に自然に化学吸着される比較的整った分子の集合を表し、そこでは分子はお互いにほぼ平行で、表面にだいたい垂直に配置される。それぞれの分子は表面に接着する官能基、および単分子膜の隣接する分子と相互作用して比較的整ったアレイを形成する部分を含む。多様なSAMsが本発明に従って多様な表面上で使用され、電極、コロイド粒子などのようなアーティクルの表面において結合パートナ
ー、シグナル伝達実体などのような所望する種を提示することができる。当業者は、SAMsを形成するために多様な表面、官能基、スペーサー部分などの中から選択することができる。代表的な説明は、米国特許第5,620,850号に見出すことができる。Laibinis,P.E.;Hickman,J.;Wrighton,M.S.;Whitesides,G.M.Science 245,845(1989)、Bain,C.;Evall,J.;Whitesides,G.M.J.Am.Chem.Soc.111,7155−7164(1989),Bain,C.;Evall,J.;Whitesides,G.M.J.Am.Chem.Soc.111,7164−7175(1989)も参照されたい。それらはそれぞれ、参照として本明細書に援用する。コロイド粒子のような液体に懸濁可能な粒子上でのSAMsの形成は、Bamdadらの“Interaction of Colloid Immobilized Species
with on Non−Colloidal Structures”という標題の2000年6月23日に出願された米国特許出願第09/602/778号に記載され、これを本明細書に参照として援用する。本発明のある態様は、コロイド粒子の表面のような表面上の自己組織化単分子膜(SAMs)、およびSAMsで被覆された表面を有するコロイド粒子のようなアーティクルを使用する。1組の好ましい態様のでは、合成分子から完全に形成されたSAMsが、たとえばコロイド粒子の表面を完全に覆うように、表面、または表面の部分を覆う。この場合の“合成分子”は、天然に存在せず、むしろヒトの管理、またはヒトが作製するか、または管理した制御のもとに合成された分子を意味する。この場合の“完全に覆う”とは、SAMによる完全で直接的な被覆を妨げる蛋白質、抗体、または他の種と直接接触する表面の部分または領域がないことを意味する。すなわち、好ましい態様において、表面または領域は、全体にわたり完全に天然に存在しない分子(すなわち合成分子)からなるSAMを含む。SAMは、表面で堅く圧縮されたSAMsを形成するSAM‐形成種、または分子ワイヤもしくはSAMを通過する電気的連絡を促進することができる他の種(SAMに関与可能な欠陥促進種を含む)と組み合わせたこれらの種、またはSAMに関与可能な他の種、およびこれらの任意の組合せから構成されていてもよい。好ましくは、SAMに関与する種のすべては、金表面に共有結合するチオールのように、表面に、場合によっては共有結合的に結合する官能基を含む。表面上の自己組織化単分子膜は、本発明に従って任意の化学的または生物学的官能基を本質的に提示(暴露)することができる種(たとえば、金が表面の場合のチオール種)の混合物からなっていてよい。たとえば、それらには非特異的吸着を阻害するためのトリ‐エチレングリコール‐停止種(たとえば、トリ‐エチレングリコール停止チオール)、およびニトリロ三酢酸(ニッケル原子との複合体の場合、ヒスチジンで標識された結合種のような金属結合標識種を捕捉する)のような、金属を配位結合することができるキレートで停止する他の種(たとえば、チオール)を挙げることができる。本発明は、コロイド表面、または任意の他の表面上に提示された、本質的に任意の化学的または生物学的種の濃度を厳密に管理する方法を提供する。それぞれのコロイド粒子上のペプチド密度をこのように厳密に管理しないと、共固定されるペプチドはお互いに容易に凝集して微小疎水性領域を形成し、試料中に凝集体形成種がなくてもコロイド‐コロイド凝集を触媒するであろう。これは、既存のコロイド凝集アッセイに優る本発明の利点である。本発明の多くの態様において、自己組織化単分子膜は金コロイド粒子上に形成される。自己組織化単分子膜は電気伝導性であるように作製することができる。実施例として、図16は、対照に対する、促進された自己組織化単分子膜にわたる電気的連絡、および細胞表面への蛋白質固定の酸化還元シグナル伝達をACVにより表す。
【0046】
“自己組織化単分子膜形成種”は、他の類似の種と共に適切な表面に暴露される、たとえば適切な溶液中に類似の種と共に提供され、そして適切な表面に暴露される場合、表面上に自然に自己組織化単分子膜を形成する種を含む。
【0047】
“自己組織化単分子膜に統合されることが可能な”種(自己組織化単分子膜形成種であ
ってもよい)は、自己組織化単分子膜に好都合に関与する化学的官能基を有する種であり、化学的に不適合ではない種および他の自己組織化単分子膜形成種を含む。たとえば、種は自己組織化単分子膜が形成される表面に接着させるために選択された官能基を含んでいてもよく、ほぼ線状(高度に分枝しない)であってもよいが、堅い圧縮を促進しない残りの部分を含んでいてもよい。例としては、たとえば一連の相互結合した芳香環のような、かなりの量の不飽和結合を含む分子が挙げられる。そのような種は、自己組織化単分子膜形成種であってもよく、なくてもよい。一般に、自己組織化単分子膜に統合されてもよいが、それ自体自己組織化単分子膜を形成できない種は、化学的に適合した自己組織化単分子膜形成種を含む、全体の種の約50%まで存在する場合、自己組織化単分子膜の形成に関与し、そしてそれに統合されることが可能であろう。
【0048】
“自己組織化混合単分子膜”という用語は、不均一の自己組織化単分子膜、すなわち、少なくとも2つの異なる分子の比較的整った集合から作られるものを表す。
本明細書で使用する“分子ワイヤ”は、液体がSAM‐被覆電極と電気的に連絡するために電極と接触する能力を高めるワイヤを意味する。これには、電気伝導性分子、または電極と連絡できるようにSAMに欠陥を生じることができる分子が挙げられる。付加的な分子ワイヤのリストには、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオスレイトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン‐エタンチオール、および2−メルカプトエチルエーテルが挙げられるが、それらに限定的されない。単分子膜の伝導性はまた、電極の平面で伝導性を促進する分子の添加により高めることができる。伝導性SAMsは、以下のものからなるが、それらに限定されない:1)硫黄で停止するポリ(エチニルフェニル)鎖;2)ベンゼン環で停止するアルキルチオール;3)DNA塩基で停止するアルキルチオール;4)単分子膜中に不十分に収まった、いずれかの硫黄停止種;5)非特異的吸着を阻害するためのエチレングリコール単位またはメチル基のいずれかで停止する、上記のプラスまたはマイナスアルキルチオールスペーサー分子のすべて。本明細書にMF1:
【0049】
【化1】
として表されるポリ(エチルフェニルチオール)(すなわち、C16H10S)を含む各種分子をこの目的に使用することができるが、それらに限定されない。チオールはSAMの好都合な形成において金に親和性があるために記載される。米国特許第5,620,820号および他の参考文献に基づいて、チオールを当技術分野で公知の他の分子と置換してもよい。分子ワイヤは一般に電子的に伝導性であるか、またはそれらのかさおよび他の形状のために、他の点では堅く詰まったSAM中に欠陥を作り、暴露される液体に対してSAMが表面をしっかり密閉するのを妨げる。分子ワイヤは堅く詰まった自己組織化構造の破壊を引き起こし、それによって表面が暴露される液体と表面が電気的に連絡可能な欠陥を説明する。この場合、液体は表面に接触するか、またはトンネル効果などにより電子的に連絡できるように十分表面に接近して、表面と電気的に連絡する。
【0050】
“キメラオリゴソリューション”は、DNAのようなオリゴヌクレオチド配列であり、2つのオリゴヌクレオチド識別子に同時に相補的であり、それぞれは2つの異なる結合パートナーに対応する。完全なキメラオリゴソリューションの組は、任意の与えられた手順における相互作用結合パートナーのすべての可能な組合せの組を表す。
【0051】
本発明は、種の全ゲノムによりコードされるような多数の蛋白質を、ゲノムの任意の既知もしくは未知の成分との、または任意の化学的種との相互作用に関して同時に試験することができる方法を提供する。本発明はまた、蛋白質を含む相互作用を検出するための方法を提供し、その方法では蛋白質がいったん相互作用種として選択されれば、それらをコ
ードする核酸が直ちに利用可能になる。
【0052】
本発明はまた、生物学的および生化学的研究のための新しい親和性試薬を同定するために、遺伝的にコードされた種と化学的種間の相互作用を検出するための方法を提供する。以下の説明の大部分は、薬物スクリーニングに有用な技術を含む、化学種または生物学種間の相互作用をモニターする(検出する)ための各種方法、組成物および種、およびアーティクルを含む。本発明の以下の側面における主要な態様は以下のものを含む。シグナル伝達相互作用、および2粒子系のような多粒子系のための蛋白質チップおよび粒子を含むプロテオミック研究のための手段。多粒子系において、一粒子は補充可能な粒子であってもよく、そして他の粒子は補充可能な粒子により提示される作用物質の結合パートナーを持っていてもよく、そしてシグナル伝達実体であってもよく、または補助シグナル伝達実体を持っていてもよい。別の主要部分は、細胞研究、とりわけリガンドと細胞表面蛋白質および受容体間の相互作用に関連する技術を含む。これらの相互作用に影響を与えることができる薬物を含む、発見および治療法も記載される。とりわけ、血管新生を阻害または促進することができる、細胞受容体/リガンド相互作用が記載される。別の部分は診断目的のために、溶液中または無傷細胞の表面上のいずれかで蛋白質を検出することを含む。
【0053】
既存のin vitro結合アッセイの主な欠点は、それらがハイスループットに適合しないことである。蛋白質は以下の理由から、対で行う結合アッセイでは連続的に試験しなければならない:1)蛋白質は核酸のように増幅することができないため、結合アッセイ後の配列決定による同定は困難、または不可能である;したがってそれぞれの結合パートナー候補の実体は注意深く追跡しなければならない;2)一般的な結合アッセイは単一の型のシグナルを生み出すため、試験される各対は離されなければならず、その結果陽性のシグナルを適切な結合パートナーに割り当てることができる。
【0054】
他の側面のなかで、本発明は、蛋白質および化学的種を含む推定結合種に結合するコーディングタグ(識別子)の使用により、プールされている蛋白質を追跡する都合のよい方法を提供し、これらの問題を解決する。本発明の方法は、共通表面(好ましい態様においては粒子の表面である)上に共固定することにより、コーディング識別子を生物学的または化学的種に“連結する”ための技術を詳述する。別の好ましい態様において、オリゴは生物学的または化学的種を同定するために使用され、ここでDNAの4ビットコードは独自に共固定された種を同定する。とりわけ好ましい態様において、研究中の生物学的種は独自にそれを同定するコーディングDNAから発現される蛋白質である。本発明はまた、生物学的または化学的種も結合する表面への識別子の結合を促進する。好ましい態様において、発現された蛋白質およびそれをコードするプラスミドDNAは、粒子上の金属キレートに結合する蛋白質上の親和性タグ、および粒子表面上のDNA結合蛋白質に結合するプラスミド内に含まれたDNA認識モチーフを介して共通表面に結合する。本発明はさらに、相互作用パートナーを検出および選択し、その後速やかに相互作用パートナーを同定するためのハイスループット法について説明する。
【0055】
各種アッセイ、キット、検出方法などに関連する各種技術および成分について以下に記載する。本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術は本質的に任意の生物学的または化学的アッセイと一緒に使用できるため、オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質を含む本発明の技術は本明細書に記載の任意の具体的なアッセイと一緒に使用してもよく、そしてこれらのアッセイは例としてだけに提供されることを理解すべきである。本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術は、以下に記載の相互作用物質候補のプールから相互作用蛋白質パートナーを速やかに同定するための、粒子、ビーズ、チップおよびコロイドを含むアッセイにとりわけ適合する。
【0056】
当業者は以下の説明により、本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術が使用可能な場合
、および本発明のオリゴヌクレオチド識別子技術が本質的に任意のアッセイ技術において使用可能な場合を明らかに理解するであろう。
【0057】
一側面において、本発明は分析、薬物スクリーニングなどのための化学的または生物学的作用物質間の相互作用を企図する。本発明は、蛋白質‐蛋白質相互作用、蛋白質‐化学的種相互作用、リガンド‐核酸相互作用、リガンド‐受容体相互作用を分析すること、および/または阻害することを含むがそれらに限定されず、リガンドは(電極上、または溶液中もしくは懸濁液中で増殖する)無傷細胞上のリガンドを含むがそれらに限定されない。本発明は、薬物候補、既知または推定のリガンド、および小分子薬物ライブラリーの使用を含む、各種態様を企図する。
【0058】
本発明の一側面は、オリゴヌクレオチド識別子を含み、それらは定義によると任意の数の塩基(ヌクレオチド)を含み、そこではいくつかの天然または合成材料を独自に同定する配列を形成するための4‐ビット核酸コードが使用される。これは表面に固定されるように適合し、また潜在的な化学的または生物学的結合パートナーを持つことができる、天然もしくは合成の核酸配列、または核酸の誘導体(DNAおよびチオール改変DNA、ポリマー骨格に固定されたヌクレオチドを含む)を含む。オリゴヌクレオチド識別子は短DNA配列、たとえば約2〜約20塩基長、好ましくは約6〜約12塩基長であってもよい。より長いオリゴヌクレオチド識別子、たとえば50,または100,または数百塩基長までのものも同様に使用することができる。
【0059】
本発明に従って、オリゴヌクレオチド識別子は、対応する化学的または生物学的作用物質も結合する表面に結合し、そしてそれを独自に同定する。表面は本質的に、上記のすべての表面、たとえば液体に懸濁可能な粒子または懸濁可能でない粒子のような粒子の表面、チップの表面のような大きい表面、マイクロアレイチップ、電子的検出アッセイに関与する表面、細胞表面などを含む、化学的または生物学的分析に有用な任意の表面であってもよい。たとえば、表面はコロイドの表面であってもよく、それぞれのコロイドまたはコロイドの組は単一の結合種および単一のオリゴヌクレオチド識別子を提示する。あるいは、表面は空間的にアドレス可能なアレイチップであってもよく、ここで作用物質および識別子の複数の対は比較的近接して固定されるが、それらは個々に形成されて、分析可能な程度に離れている。チップのそれぞれ異なる空間的アドレスは、潜在的結合パートナーおよび隣接するオリゴヌクレオチド識別子を提示する。
【0060】
対象となる種はそれらの特有のコーディング識別子に関して表面に固定され、溶液中の他の種と相互作用するか、または他の表面または粒子に結合する。相互作用種は各種技術のいずれかを使用して単離する。その後、相互作用種の実体は、結合した識別子の配列を決定するための配列決定法、ハイブリダイゼーション、または他の方法により速やかに確認される。
【0061】
本発明のオリゴヌクレオチド識別子が固定されるか、または固定されるように適合した表面はまた、本明細書および本明細書に参照として援用したBamdadらによる“Electroactive Surface−Confinable Molecules”という標題の05/25/01に出願された国際特許出願第PCT/US01/40801号、ならびに本明細書に参照として援用した他の文書に記載されたような、固定されたシグナル伝達実体を持っていてもよい。以下の説明から明らかなように、コロイド粒子のような粒子は、オリゴヌクレオチドに識別される相互作用に関与してもよく、そして補助シグナル伝達実体を持っていてもよく、持っていなくてもよい。たとえば、1組の態様では、補助シグナル伝達実体のないコロイド粒子が使用され、ここではコロイド粒子自体が凝集時に色彩変化によりシグナル伝達実体として役立つ。別の組の態様では、コロイド粒子または他の表面は、たとえば蛍光マーカー(場合により、異なる粒子には異なる波長
の異なる蛍光マーカー)、フェロセン(場合により異なるアーティクルに対して異なる酸化/還元電位を有する異なるフェロセン)のような電気活性種などの補助シグナル伝達実体を持つ。
【0062】
表面への結合パートナーであってもよいオリゴヌクレオチド識別子および化学的または生物学的種の固定は、当技術分野で公知の任意の技術に従って行うことができる。好ましい技術は、表面上の自己組織化単分子膜の使用を含む。自己組織化単分子膜形成種、または自己組織化単分子膜に統合可能な種は、研究されることになっている化学的もしくは生物学的種またはオリゴヌクレオチド識別子を含んでいてもよく、そしてそれによりSAMsに組み込まれてもよい。あるいは、SAMsを形成するか、またはそれに統合されることが可能な種は、化学的もしくは生物学的種またはオリゴヌクレオチド識別子に結合するためのリンカーを含んでいてもよく、オリゴヌクレオチドはSAMs形成後、リンカーにより表面に結合することができる。そのようなリンカーは親和性タグまたは親和性タグに結合する種、EDC/NHSカップリングに適切な種、オリゴヌクレオチドリンカー、ビオチン‐ストレプトアビジン相互作用、DNA連結技術に関与可能な種などを含む。DNA連結技術の例としては、制限部位をコードする具体的なオリゴヌクレオチド配列のSAMへの組み込み、および同じ制限部位で停止する第2のオリゴヌクレオチド配列を初めのオリゴヌクレオチド配列に連結することを含む。一般的に使用されるリガーゼの例としては、T4リガーゼが挙げられる。あるいは、ブラントエンド(blunt−end)オリゴヌクレオチドは、ブラントエンド連結技術を使用して添加することができる。親和性タグとの使用に好ましい種は、ポリアミノ酸タグとの使用のためのキレートが配位結合した金属を含む。たとえば、表面はキレートが配位結合した金属を暴露するSAMsにより被覆されてもよく、そして化学的もしくは生物学的種、またはオリゴヌクレオチド識別子は金属に配位結合し、それによって化学的もしくは生物学的種、またはオリゴヌクレオチド識別子を表面に結合するためのポリアミノ酸タグを持っていてもよい。異なる化学、または同じ化学が本発明に含まれる任意の種、または識別子の単一表面への結合に使用されてもよい。
【0063】
図1では、任意の化学的または生物学的種に本質的に結合するために適合したコロイド粒子40の表面を図式的に説明する。コロイド140はその上がSAM144である表面142を含む。SAM144は部分的にだけ図解される。このSAMは好ましくは完全に表面142を被覆することになる。SAM144は、金属を配位結合することができるキレート、または金属を配位結合するキレート148(図ではNTA、ニトリロ三酢酸として表される)で終わる、表面142から離れて並ぶ1つの種146を含む。ポリアミノ酸タグ156を含む化学的または生物学的種154は、コロイド140に暴露された場合、キレート/金属148に固定されるであろう。
【0064】
SAM144はまた、オリゴヌクレオチドリンカー152を含む種150を含む。リンカー152の相補体であるリンカー部分160およびオリゴヌクレオチド識別子を特徴付ける部分162を含むオリゴヌクレオチド種158は、コロイド粒子140に暴露されると、それに結合する。したがって、それぞれが同一に誘導体化された表面を含む複数のコロイド粒子140は、キットとして提供されてもよい。アッセイでは、異なる化学的または生物学的種154は特有のオリゴヌクレオチド識別子162が結合する1組のコロイド粒子に結合してもよい。異なるバッチのコロイド粒子が、異なる化学的または生物学的種および対応するオリゴヌクレオチド識別子を持っていてもよい。もちろん、化学的または生物学的種およびオリゴヌクレオチド識別子がそれぞれポリアミノ酸タグ156を含む場合、コロイド粒子は単に種146を含んでいてもよく、または化学的または生物学的種の両方、およびオリゴヌクレオチド識別子がそれぞれオリゴヌクレオチドリンカー160を含む場合、コロイド粒子は単に種150を含んでいてもよい。すなわち、表面に結合した種を独自に同定するオリゴヌクレオチド識別子は、共通表面に直接結合する必要がない。
たとえば、便宜上表面は一般的なオリゴヌクレオチドで誘導体化されてもよい。普遍的なDNA配列に相補的な部分からなる第2のオリゴヌクレオチドは直接表面に結合し、そして化学的または生物学的種を独自に識別する第2の部分も表面に結合する。
【0065】
図1の配置は1組のコロイド粒子を提供するために使用してもよく、それぞれは生物学結合パートナー(たとえば蛋白質または小分子)のような固定された化学的または生物学的種、およびそれぞれは固定されたオリゴヌクレオチド識別子を持つ。記録は識別子の配列、および同じコロイド粒子に固定された識別子としての化学的または生物学的種の実体(潜在的結合パートナー)からなる。手順の例では、それぞれ異なる種を持つコロイドの組を溶液中に一緒にプールし、相互作用させる。次の段階では、相互作用種を同定するために、相互作用粒子‐固定された種を分離するかわりに、結合したオリゴ識別子を順次離し、配列決定する。本発明者らが“キメラオリゴソリューション”と呼ぶ1組のオリゴが添加される。この組のそれぞれのDNA鎖は、2つのオリゴヌクレオチド識別子に相補的なキメラ配列からなる。“キメラオリゴソリューション”のすべての組は、どの種がお互いに相互作用するかという問題へのすべての可能な解答を表すキメラ配列を含むであろう。次にこれらの“キメラオリゴソリューション”は、結合パートナー候補および結合したオリゴ識別子を提示するコロイドとインキュベートする。相互作用パートナーを持つ2組のコロイド上のオリゴヌクレオチド識別子に同時にハイブリダイズしているこれらの“キメラオリゴソリューション”は、どの結合パートナー候補がお互いに相互作用するかを識別する。ハイブリダイズした“キメラオリゴソリューション”は、溶液中で遊離しているオリゴおよびただ一つの配列識別子にハイブリダイズしているオリゴから分離される必要がある。遊離オリゴは、コロイドをペレットにし、上清を捨てることにより容易に除去される。1本鎖核酸鎖を分解する酵素により遊離末端を酵素的に分解することにより、ただ一つの配列識別子にハイブリダイズするキメラオリゴソリューションは、2つにハイブリダイズするものと区別できる。次に、キメラオリゴソリューションは加熱水による分離、化学的分離などを含む多数の方法のいずれか一つにより粒子から遊離される。キメラオリゴソリューションは次に、相互作用パートナーの実体を明らかにするために配列決定される。キメラオリゴソリューションはまた、配列決定段階前に(たとえばPCRにより)酵素的に増幅されてもよい。
【0066】
一態様において、本発明は独自に蛋白質を同定するオリゴヌクレオチド識別子を含み、ここでオリゴヌクレオチド識別子は蛋白質をコードする真の配列である。発現された蛋白質およびそれをコードするオリゴヌクレオチド識別子(たとえばDNA)の両方はお互いに対して固定され、たとえばそれぞれはリンカー種に対して固定され、その結果蛋白質が結合研究のために提示され、そのオリゴヌクレオチド識別子が蛋白質の相互作用対の選択後に回収できる。
【0067】
オリゴヌクレオチド識別子は、本質的に任意の形状、たとえば蛋白質発現ベクターとしてのプラスミド型、または線状型、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作製された核酸鎖であってもよい。PCRにより作製されたフラグメントは転写開始部位のような配列を含むように操作し、蛋白質発現、その後の翻訳を促進することができる。これらの核酸鋳型はin vitro、無細胞蛋白質発現系、たとえばRoche Diagnosticsが販売するRapid Translation System(RTS)にとりわけよく適する。
【0068】
本発明のこの態様は以下のように促進される。蛋白質は発現ベクターまたは鋳型から発現される。その場合蛋白質が発現される溶液は、対象となる発現された蛋白質(結合パートナー候補であってもよい)および蛋白質をコードするDNA(オリゴヌクレオチド識別子として役立つであろう)を共に含むであろう。対象となる蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子は共に、各種の方法により共通のリンカー種に固定されて
もよい。リンカー種がアーティクルの場合、オリゴヌクレオチド識別子は本明細書に記載の各種の方法により、アーティクルの表面に対して固定されてもよい。たとえば、表面は対象となる蛋白質の結合を促進するための部分、および本明細書に記載のオリゴヌクレオチド識別子の結合を促進する部分を共に提示するために誘導体化されてもよい。蛋白質は、蛋白質の親和性タグの結合パートナーも提示する表面へのDNAの結合を促進する都合のよい官能基を含むDNA鋳型由来の親和性タグとともに発現されてもよい。たとえば、親和性タグを持つ蛋白質はビオチンを持つDNA鋳型から発現されてもよい。金属結合タグ/金属/キレート結合およびストレプトアビジンを共に持つ表面に暴露されると、遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子の部分)および遺伝子産物(蛋白質)は共に捕捉され、共通表面に提示されるであろう。都合のよい方法はビオチン化鋳型からヒスチジンタグを持つ蛋白質を発現することである。コロイドのような粒子を含む表面は、NTA‐ニッケル(ヒスチジンタグの結合パートナー)およびビオチンを共に持つ不均質なSAMsにより被覆される。表面は初めに、ビオチンに対して4つの結合部位を有するストレプトアビジンに結合する。次にこの表面はヒスチジンタグの付いた遺伝子産物およびそれをコードするDNA配列を捕捉し、提示するであろう。別の例としてグルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)に融合した対象となる蛋白質はグルタチオンを提示する実体またはアーティクルに結合することができる。あるいは、対象となる蛋白質はチオレドキシンとの融合蛋白質として発現され、その後チオレドキシンの結合パートナーを提示する表面に結合してもよい。GSTおよびチオレドキシンは二重の目的に役立つ。初めに、これらの蛋白質は対象となる蛋白質に対する都合のよい親和性タグを提供する。第2に、融合パートナーとして一般的に使用される蛋白質は対象となる発現された蛋白質の溶解度を増し、したがって蛋白質の効果的な濃度を増す。
【0069】
リンカー種によりコードする蛋白質に対して固定されるオリゴヌクレオチド識別子を形成するための別の技術では、オリゴヌクレオチド識別子はまた、DNA/RNA‐結合蛋白質に対する結合部位を含んでいてもよい。この配列は、好ましくは発現されることになっている遺伝子の下流に挿入される。オリゴヌクレオチド識別子上の結合部位に結合する蛋白質は、次に表面(たとえば粒子上)に固定されてもよく、かかる表面はまた発現される蛋白質の結合のための部分(たとえばNTA/ニッケル)を提示する。一態様において、核酸結合蛋白質は、表面に固定され、オリゴヌクレオチド識別子を捕捉するために使用される。核酸結合蛋白質は、具体的な核酸配列モチーフを認識するか、または三次構造を認識するかのいずれかにより、DNAまたはRNAに結合する。たとえば、一般的なDNA結合イースト蛋白質はGal4である。それは2本鎖DNAの具体的な配列にダイマーとして結合し、一方、1本鎖結合蛋白質は1本鎖DNAに結合する。他の蛋白質は、たとえば十字形DNA、ヘアピンまたは特異的RNAループへの結合のように、DNAまたはRNAの構造エレメントに結合する。
【0070】
理想的には、対象となる蛋白質をコードする鋳型に挿入された結合部位配列は、発現系の種とは異なる種由来の蛋白質に対する認識モチーフである。たとえば、蛋白質が大腸菌を基にした系を使用して発現される場合、オリゴヌクレオチド識別子はGal4のようなイースト蛋白質に結合することにより共通表面に結合する。このようにして、蛋白質発現系はオリゴヌクレオチド識別子上の同系結合部位に対して競合する外来蛋白質を包含、または産生しない。
【0071】
代わりの方法では、対象となる蛋白質はオリゴヌクレオチド識別子に結合することができる結合パートナーを有する蛋白質フラグメントとの融合蛋白質として(オリゴヌクレオチド識別子により)発現される。これは対象となる蛋白質にオリゴヌクレオチド識別子を結合するための方法を提供する。対象となる蛋白質に遺伝的に融合することができる各種蛋白質または蛋白質フラグメントがあり、それらはまた、DNAを改変するために使用することができる小分子に結合する。そのように改変されたDNAの短鎖をPCR反応のプ
ライマーとして使用して、それら自体のオリゴヌクレオチド識別子を捕捉する融合蛋白質を産生できる発現鋳型を産生することができる。
【0072】
たとえば、対象となる蛋白質をコードする配列、およびストレプトアビジンをコードする配列を含むPCR産物はビオチン化プライマーを使用して作製することができる。転写/翻訳に必要なエレメントも含むであろう、得られたPCR産物は、蛋白質発現のための鋳型として働き、そしてまたビオチン‐ストレプトアビジン結合により発現された蛋白質に結合するように適合しているオリゴヌクレオチド識別子を生じる。所望するならば、ストレプトアビジンは1ビオチンだけに結合するフラグメントとして発現されてもよい。さらに、ストレプトアビジンおよび対象となる蛋白質を含む融合蛋白質はまた、親和性タグを含み、共通表面または粒子への蛋白質/オリゴヌクレオチド識別子の結合を促進してもよい。
【0073】
別の例において、対象となる蛋白質は、LexAのためのDNA結合部位を含む発現ベクターまたは鋳型から、LexAのようなDNA結合蛋白質との融合蛋白質として発現される。このようにして、遺伝子産物と遺伝子はお互いに結合する。
【0074】
対象となる蛋白質間の結合事象の検出を促進するために、蛋白質の一つがシグナル伝達実体に改変されてもよい。これを達成するための一方法は、対象となる蛋白質にシグナル伝達実体を直接結合させることである。別の方法は、シグナル伝達能力を有する蛋白質に対象となる蛋白質を遺伝的に融合することである。たとえば、対象となる蛋白質は緑色蛍光蛋白質(GFP)融合蛋白質として発現されてもよい。
【0075】
あるいは、対象となる蛋白質が共通表面上にシグナル伝達実体と共に共固定される場合、それらはシグナル伝達能力を有する。たとえば、対象となる蛋白質が、Ru複合体のようなシグナル伝達実体も結合しているポリマーに結合してもよい。結合パートナーは磁気ビーズのような補充可能な粒子に結合し、その後ECL法により検出される。同様に、対象となる蛋白質はシグナル伝達実体も提示する粒子上に共固定されてもよい。たとえば、対象となる蛋白質は蛍光もしくはリン光または酸化還元活性部分のようなシグナル伝達実体も提示する粒子またはコロイドに結合して、光学的または電気化学的検出をそれぞれ容易にすることができる。
【0076】
さらに別の態様では、対象となる蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子は、それもまたシグナル伝達能力を有するように作製される。たとえば、DNA発現鋳型は、少なくとも塩基のいくつかがフェロセン誘導体のような酸化還元活性部分により化学的に改変されているプライマーを使用して、PCRにより作製されてもよい。次に対象となる蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子(発現鋳型)はコロイド粒子のような共通表面に結合する。粒子は磁気ビーズに結合した結合パートナー候補と混合し、感知電極に磁気的に引き寄せられ、ここで酸化還元活性分子、したがって相互作用が検出される。あるいは、シグナル伝達官能基により改変された塩基をポリメラーゼ連鎖反応に使用し、シグナル伝達可能な発現鋳型を作製してもよい。同様に、対象となる蛋白質は蛍光またはリン光部分により改変されているDNA鋳型から発現される。
【0077】
合成および使用の一例では、(NTA‐Ni++部分を提示する表面への蛋白質の結合のために)ヒスチジンで標識された対象となる蛋白質をコードし、そしてまた共通表面にオリゴヌクレオチド識別子を結合するためのGal4結合部位を含む核酸が作製される。蛋白質は好ましくは無細胞系において発現され、バックグラウンドDNAおよび蛋白質のレベルを最小にする。蛋白質発現後、反応混合物は蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子をそれぞれ固定するために金属/キレート(たとえばNTA‐Ni)部分およびGal4を提示する粒子(たとえばコロイドまたはビーズ)と共にインキュベートする。粒子に
固定されたNTA‐Ni++部分は対象となる蛋白質を(結合タグにより)捕捉および提示し、そして粒子に固定されたGal4は発現された蛋白質をコードするDNAを捕捉する。なぜなら、かかるDNAもGal4認識部位を含むからである。このようにして、識別のためのオリゴヌクレオチド識別子は発現される蛋白質に対して固定されている。
【0078】
さらにこれらの粒子は各種アッセイ形式において使用することができる。以下のアッセイは、多数の可能性のある結合パートナーを含む蛋白質‐蛋白質相互作用の検出に適合する。結合パートナー候補の部分は蛋白質をコードする核酸の結合のためのGal4も持つ1組のコロイドに結合する。コロイドはまたシグナル伝達実体を持つ。シグナル伝達実体は電気活性、電気化学発光性、光学的などであってもよい。結合パートナー候補の2番目の組は磁気粒子に結合する。多数の磁気粒子およびコロイド粒子を合わせて混合し、ビーズおよび粒子に対して固定された蛋白質間に結合を生じさせる。さらに感知部位において磁気粒子を集めるために磁場が使用され、そこではコロイドに運ばれたシグナルが検出できる。
【0079】
上記のように、遺伝子産物(蛋白質)および遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)はリンカー種への結合によりお互いに連結する。蛋白質認識モチーフ(DNAまたはRNA配列)は、対象となる遺伝子をコードする配列の上流または下流の発現(または翻訳)ベクターに挿入される。これらのDNA認識モチーフは、同系DNA結合蛋白質を提示する表面または粒子への遺伝子の結合を促進する。表面はまた、遺伝子産物の結合を促進する部分を提示する。たとえば、NTA‐NiおよびGal4を共に提示する表面はヒスチジンで標識された蛋白質およびGal4認識配列(モチーフ)を持つDNAを捕捉するであろう。本明細書で参照する核酸は、対象となる遺伝子をコードし、転写または翻訳を促進する能力を有する任意の核酸であってよく、以下のものを含む:蛋白質発現ベクター(プラスミド);in vitroでの蛋白質発現または翻訳のために設計されたものを含む、PCR産物のような、2本鎖DNAの線状部分。
【0080】
対象となる遺伝子をコードする核酸は、化学的に改変されて表面または粒子への結合を促進する。たとえば、蛋白質は無細胞発現系において、ビオチン化PCR産物から発現される。対象となる遺伝子がGSTのような親和性タグにより改変されている場合、遺伝子産物および遺伝子は共に、グルタチオンおよびストレプトアビジン(または他のアビジン誘導体)を提示する表面に結合することができる。
【0081】
対象となる遺伝子は、コーディング遺伝子に容易に結合することができる蛋白質との融合蛋白質として発現される。たとえば、対象となる遺伝子は、蛋白質発現または翻訳に使用されるLexA融合蛋白質およびDNA鋳型またはプラスミドとして発現され、またLexAに関するDNA結合部位を含む。別の例では、対象となる遺伝子は、蛋白質発現または翻訳に使用されるストレプトアビジン融合蛋白質およびDNA鋳型として発現され、ビオチン化される。
【0082】
本発明は非常に大きな規模における、蛋白質‐蛋白質結合相互作用のような化学的または生物学的種間の相互作用の研究を可能にする。多数の潜在的結合相互作用を単一溶液中で研究することができる。いったん多くの潜在的結合パートナーが集められると、それらはどれが結合相互作用に関与したかを識別するために分離しなければならない。以下は、相互作用に関与した種と関与しなかった種を分離するための技術の説明である。
【0083】
一例として、Bamdadによる、“Magnetic In Situ Dilution”という標題の、10/03/01に出願された米国特許出願に記載のように、磁気in situ選択/希釈が使用されてもよく、これを本明細書に参照として援用する。
【0084】
磁気in situ選択/希釈技術は、潜在的結合パートナーが磁石に引き寄せられることができる粒子に対して固定される任意の形式とともに使用してもよく、ここで粒子はいったん磁石に引き寄せられれば、種が結合相互作用に関与したかどうかを検出することができる。たとえば、潜在的結合パートナーは磁気粒子に対して固定されてもよく、これらの粒子と結合できる種はシグナル伝達実体により標識されてもよく、いったん粒子が磁石に引き寄せられれば、磁石付近でのシグナル伝達実体の有無を検出することができる。たとえば、参照として援用した上記の特許出願に記載のように、電極のアレイは表面上に提供されてもよく、それぞれの電極はアドレス可能であり、そしてそれぞれの電極は対応する個々にアドレス可能な磁石を持つ。複数の磁気ビーズが提供されてもよく、それぞれが固定された潜在的結合パートナーを持つ。磁気ビーズ上に固定された結合パートナーの結合パートナー候補である、複数の種が提供されてもよく、これらの種のそれぞれはシグナル伝達実体に対して固定される。ビーズ上の結合パートナーは、同じでも異なっていてもよく、それらの結合パートナー候補である種は同じでも異なっていてもよい。磁気ビーズに固定された結合パートナーと、それらの結合パートナー候補である種を混合した結果、シグナル伝達実体(結合はパートナー候補間で生じている)に対して固定されたいくつかの磁気ビーズ、およびシグナル伝達実体に対して固定されない他の磁気ビーズが生じてもよい。結合パートナー候補の液体媒質内で混合後、そして場合によりいずれの洗浄段階もなしに、溶液を電極アレイに暴露することができる。ビーズは電極に磁気的に引き寄せられ、そして測定は、どの電極がシグナル伝達実体に固定されたビーズを引き寄せなかったかに関して行うことができる(たとえば、シグナル伝達実体が光学的シグナル伝達実体である場合は光学的に、または磁気ビーズに対応する電極が、シグナル伝達実体が近くにあるか、ないかのシグナル決定因を発生する場合は電気化学的に)。この後、固定されたシグナル伝達実体を持つビーズを引き寄せなかった個々の磁気領域は消磁し、ビーズを離し、洗浄する。シグナル伝達実体を持つビーズが引き寄せられた磁石は、上記の洗浄および除去段階中、磁化されたままである。除去後、すべての磁石は遊離され、統計的にそれぞれの磁石に対して1つの磁気ビーズだけが存在するようになるまで、工程を継続する。この時点において、磁気的誘引段階後、固定されたシグナル伝達実体を持つビーズを引き寄せなかったそれぞれの磁石は遊離され、そしてすべての残りの磁石は磁石におけるシグナル伝達実体の存在により示される1対の結合パートナーを持つ磁気ビーズだけを引き寄せるであろう。この時点で、これらの種は遊離され、結合パートナーの実体は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド識別子により識別される。これが上記の米国特許出願に記載された技術の概要である。
【0085】
具体例として、遺伝子産物(蛋白質)の第1の組およびそれらのそれぞれの遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)は磁気ビーズに結合する。第2の組の遺伝子産物およびそれらのそれぞれの遺伝子は、電子的シグナル伝達部分も持つコロイドのような粒子に結合する。2つの粒子集団は溶液中で一緒にインキュベートされ、異なる粒子上に固定された蛋白質間での結合相互作用が可能になる。磁気ビーズ上の蛋白質と電気活性基を持つコロイド上の蛋白質間で相互作用が起きる場合、補充可能な粒子(磁気ビーズ)はシグナル伝達粒子に連結される。磁場は、電子シグナルが変換される感知電極に複合体を引き寄せる。感知電極は、それぞれの電極パッドへの磁気ビーズの補充が個々に制御されるように設計された電極のアレイである。これは、それぞれの電極パッドを個々に制御可能な電磁石と連結することにより作製することができる。すなわち、個々にアドレス可能な電磁石のアレイが作製される(当技術分野で公知の技術を使用して)。電子的シグナル伝達実体がフェロセンのような酸化還元活性分子である場合、電極はそれぞれの磁石に結合し、ビーズが磁石に引き寄せられた場合、磁石に結合した電極は循環し、酸化還元活性シグナル伝達実体が(結合パートナー相互作用により)ビーズに対して固定される場合、シグナル伝達実体の酸化還元信号が検出されるであろう。
【0086】
別の例としては、光学的選択が挙げられる。この技術では、結合相互作用に関与する固定されたオリゴヌクレオチド識別子により識別される結合パートナーは本明細書に記載の任意の技術、たとえばコロイド‐コロイド凝集、凝集時のビーズのコロイド“装飾”などの場合における色彩変化の視覚的または自動観察により、光学的に検出する。具体例として、異なる粒子型に結合した相互作用パートナーは各種の方法により光学的に選択することができる。遺伝子産物(結合パートナー候補である蛋白質)と遺伝子(オリゴヌクレオチド識別子)の第1の組は、非磁気ビーズに結合してもよい。遺伝子産物の第2の組は、蛍光またはリン光部分により直接的または間接的に改変されてもよい。たとえば、第2の組の遺伝子産物は、やはり蛍光またはリン光部分を持つコロイドに結合してもよい。ビーズ固定およびコロイド固定蛋白質間の相互作用は、より大きいビーズ上に蛍光またはリン光コロイドの凝集を引き起こし、相互作用に関与している蛋白質を提示するビーズとして、それ(ビーズ)を検出可能および同定可能にする。代わりの方法では、遺伝子産物の第2の組は、DNA結合蛋白質またはドメインとの融合蛋白質として発現され、そして蛍光またはリン光標識された核酸から発現または翻訳される。先の場合のように、ビーズ固定蛋白質および融合蛋白質間の相互作用は、ビーズ上に蛍光またはリン光種の凝集を引き起こし、相互作用に関与する蛋白質を提示するビーズとして、それ(ビーズ)を検出可能および同定可能にする。
【0087】
相互作用種を同定する前に、蛍光発光するビーズを単に選び、分析することにより、光学的に検出可能な種により装飾されたビーズを手動的に単離することができる。
あるいは、相互作用種の単離は自動的に行うことができる。蛍光またはリン光部分を持つビーズは当業者に公知の技術であるFACS(蛍光分析細胞ソーティング)系を使用して選択し、単離することが可能である。
【0088】
相互作用粒子‐結合種が初めに単離される。相互作用種を単離後、結合した核酸配列は配列決定法、PCR、ハイブリダイゼーションまたはこれらの技術の組合せにより同定される。あるいは、蛋白質がプラスミドDNAから発現されている場合、コードするDNAを粒子から離し、増殖培地で培養することができる。一度新しいコロニーが増殖すると、これらは上記の方法(配列決定法、PCR、ハイブリダイゼーションまたはこれらの技術の組合せ)のいずれかによる分析のための再生可能なコーディングDNA供与源を提供する。
【0089】
本発明の利点は、いずれかの蛋白質の同定についての演繹的な知識なしに、相互作用対を同定するために多数の蛋白質を同時に試験できることである。標準技術を使用して、本明細書に記載のコードされた蛋白質への直接的または間接的結合を促進するために改変されている、蛋白質発現プラスミドまたは線状核酸鋳型に相補的DNA(cDNA)のライブラリーが挿入されてもよい。たとえば、全哺乳動物cDNAが、ヒスチジンタグおよびイーストDNA結合蛋白質の結合部位をコードする配列も含むプラスミドに挿入されてもよく、それらは発現された蛋白質の捕捉のためのNTA‐Niも提示する粒子上に提示されるであろう。このようにして、発現された蛋白質およびそのコーディングDNAが共通粒子への固定によりお互いに“結合”するであろう。同様の遺伝的操作は相互作用パートナーを検出し、選択するために設計された本発明の方法と一緒になった場合、多数の相互作用蛋白質の性状決定および全ゲノムの相互作用ネットワークの解明を可能にする。
【0090】
本発明の方法はまた、対象となる未知の蛋白質を機能的に特徴付けるために使用される。最近ヒトゲノムの配列が決定されたことから、新規に同定された遺伝子の機能を確定することが現在重要である。ヒトゲノムの遺伝子の数は約40,000と推定される。しかし、いくつかの蛋白質に共通の蛋白質認識モチーフがある。未知の遺伝子の性状を決定するための一方法は、遺伝子産物がどの遺伝子と相互作用するかを確定することである。より簡潔な方法は、どの既知の蛋白質認識モチーフが性状未知の蛋白質と相互作用するかを
確定することである。それぞれが異なる蛋白質認識モジュール、たとえばキナーゼドメイン、ホスホリラーゼ、PDZドメイン、GRB1および2ドメイン、ERK、kringle、WWドメインなどを提示するナノ粒子のライブラリーが作製されてもよい。性状決定されていない蛋白質およびそれらをコードするDNAは別々に磁気ビーズに結合し、それぞれが相互作用ドメインおよびそれに結合したDNAを持つコロイド粒子のライブラリーと混合する。次に相互作用粒子は光学的または磁気的のいずれかにより選択され、その後結合した核酸または他のコーディング識別子の分析により同定される。
【0091】
蛋白質をコードするDNAのフラグメントは容易にプラスミドまたは線状核酸鋳型に挿入されて、コードされた蛋白質の発現を促進することができる。線状発現/翻訳鋳型(in vitro翻訳のための)に挿入されるcDNAライブラリーには、プラスミドへの挿入に優る、ある利点がある。ハイブリッド核酸発現鋳型はまた、発現される蛋白質のための親和性タグをコードする配列、および共通表面への遺伝子産物およびそのコーディングDNAの両方の結合を促進する官能基を共に含むプライマーを持つcDNAライブラリーを作製することにより作製してもよい。線状発現鋳型は化学的官能基により容易に改変されて、表面またはシグナル伝達能力を与える官能基への結合を促進する。たとえば、蛋白質をコードする核酸フラグメントは、ビオチン部分を持つ核酸鎖に遺伝的に融合されてもよい。任意の配列のビオチン化核酸が市販されている。ストレプトアビジンはそれに対して4つの結合部位を有する。したがって、ビオチン化核酸発現鋳型はストレプトアビジンを提示する表面に結合する。
【0092】
プラスミドに挿入されているcDNAsライブラリーは別の利点を提供する。一度相互作用が検出されれば、相互作用種およびそれらをコードするプラスミドを単離することができる。その後プラスミドは宿主細胞に導入されて、配列決定または別のアッセイでの使用前にプラスミドが増幅される。
【0093】
本発明の別の方法は、たとえば全哺乳動物ゲノムを表すcDNAライブラリーの成分を、DNA結合蛋白質、またはそのフラグメントをコードする核酸、およびそれが結合するDNA配列に融合することを含む。これらの鋳型から発現された融合蛋白質は、それらをコードする核酸に結合することができるであろう。
【0094】
本発明はまた、蛋白質精製、固定および他の一般的な生化学的技術に使用する親和性試薬を識別するための方法を提供する。本発明の相互作用は宿主細胞では行われないため、相互作用成分は完全に遺伝物質から作製される必要はない。この態様において、化学的種の第1の組は、固定された化合物の化学的正体をコードする識別子と一緒に補充可能なビーズに結合する。遺伝的にコードされた種の第2の組はシグナル伝達能力を有するリンカー種(好ましくは4〜14アミノ酸長のポリアミノ酸)に結合する。化学的および生物学的成分は、それらの一つまたは両方が表面に結合してもよく、結合相互作用が起きるように一緒に混合される。本発明の方法は、相互作用成分を選択するために使用される。それぞれの相互作用対の成分はその後同定される。これは結合した核酸識別子またはコードするプラスミドを配列決定するような本発明の方法を使用するか、または化合物およびペプチドの識別により適した、他の分析手段を使用することにより行うことができる。これらの方法は、質量分析技術およびペプチド配列決定法を含むがそれらに限定されない。本発明の方法はまた、表面がチップの表面である場合も使用することができる。図2では、一態様においてそれぞれが結合パートナー候補および識別子を持つ1組の誘導体化されたコロイドが、オリゴヌクレオチド識別子の非常に近くに結合種候補を提示する、空間的にアドレス可能なアレイチップに導入される。チップに固定された種はコロイドに固定された種に結合し、その後結合した種を持たないコロイドを洗い流す。結合パートナー候補を識別する配列のすべての可能な対毎の組合せに相補的な配列を含む1組のオリゴ(識別子)は、次にコロイドで装飾されたチップとインキュベートする。洗浄後、コロイド上の識別
子にハイブリダイズしているオリゴおよびチップが、お互いに相互作用した結合パートナー候補を表す。“識別子”オリゴは、加熱水、化学的遊離などによる分離を含む、多数の方法のいずれか一つにより表面から分離され、その後、配列決定される相互作用パートナーの実体を明らかにする。識別子オリゴはまた、配列決定段階前に、チップ上の特定の部位で酵素的に(たとえばPCRにより)増幅されてもよい。図2に示すように、表面166を有するチップ164は、複数の空間的にアドレス可能な領域168,170などを含む。それぞれの領域は化学的または生物学的種(結合パートナー候補)174,176,および178などを含む。それぞれの領域はまた、オリゴヌクレオチド識別子180,182,184などを含む。識別子180,182,および184は独自にそれぞれ化学的または生物学的種174,176,および178を識別する。
【0095】
上記の反応に続いて、1コロイド粒子186は表面166に結合したままである。固定されたコロイド186は種174に結合する化学的または生物学的種188、およびオリゴヌクレオチド識別子190を含む。種174および188の結合は識別子180および190を非常に近くに引き寄せ、それにより相互作用ハイブリダイゼーション識別子192が識別子180および190の組合せに結合する。識別子192は、識別子180および190の配列を識別し、化学的または生物学的種174および188の一つまたは両方を識別する。
【0096】
結合パートナー候補である多数の化学的または生物学的種を提示するアレイチップおよび隣接する特有の識別のためのオリゴは、各種技術により作製することができる。一方法は、蛋白質の結合を促進する実体(たとえば、SAMに関与することができるキレート/金属‐停止種)、および核酸種の結合を促進する第2の実体(たとえばSAMに関与可能な核酸リンカー‐停止種)を組み込む表面上で不均質自己組織化単分子膜(SAMs)を形成することを含む。たとえば、混合SAMは、チオールにより改変されたDNA鎖およびニトリロ三酢酸(NTA)で停止するチオールを含む混合チオール種から形成されてもよい。NTAはニッケルと混合すると、ヒスチジンで標識された蛋白質を選択的に捕捉する。したがってこの不均質SAMは、チップ上に提示された配列に相補的な配列を含む、任意のヒスチジンで標識された蛋白質および任意のDNA鎖を捕捉できるであろう。あるいは、単一の結合種(たとえばキレート/金属)を暴露するSAMが形成され、ポリアミノ酸タグを持つ結合パートナーおよびポリアミノ酸タグにより改変されたオリゴヌクレオチドの両方と共に使用されてもよい。SAM形成段階は通常、有機溶媒中で、各種チオールと金被覆表面をインキュベートすることにより行われる。有機溶媒は金属表面に広がる。しかし、いったんSAMが形成されると、蛋白質を表面とインキュベートし、次に表面に固定されたオリゴにハイブリダイズする共通の“尾”により表面に特有の核酸鎖をハイブリダイズする段階は、SAM被覆表面上で玉のようになる水性バッファー中で共に行われる。このようにして、全表面が共通のSAMで被覆されてもよく、その後アレイチップを作製するために小容積の蛋白質およびDNAがその表面に“点在”する。
【0097】
あるいは、水溶液中で、たとえばチオール改変により表面に結合することができる各種DNA識別子が、誘導体化されていない金被覆表面上に点在してもよい。しばらくインキュベートした後、チップは“フィルター”チオールを含む溶媒に暴露される。これらのフィルター種はまた、空間的にアドレス可能な方法で行うことができる、表面への蛋白質の結合を促進するチオール種を含んでいてもよい。
【0098】
標準遺伝子チップは、それらが識別子の非常に近くに蛋白質を配置できるように改変されれば、本明細書に記載の方法により使用することができる。
図3では、本発明の別の態様を説明する。チップ240は複数の化学的または生物学的種244〜250などが固定される表面242を含む。それぞれが化学的または生物学的種254およびオリゴヌクレオチド識別子256を持つコロイド粒子252に表面を暴露
すると、図に示すように種246および256間に結合が生じる。その後、局所的な開裂および識別子256による識別、または局所的なPCRまたはハイブリダイゼーションが結合を識別することができる。コロイドに結合した同一でない種と種244〜250が同一であってもよく、またはコロイドに結合した同一の種と種244〜250が異なってもよく、または表面に結合した種およびコロイドに結合した種の両方が異なっていてもよい。
【0099】
図4では、表面にオリゴヌクレオチドを固定するための一つの配置を説明する。図4は、オリゴヌクレオチド識別子に組み込まれた自己組織化単分子膜を説明する。とりわけ、自己組織化単分子膜は長鎖アルキルチオールであり、制限酵素開裂部位100,開裂部位に結合したDNAプライミング領域102、およびプライミング領域に結合した5塩基オリゴヌクレオチド識別子104を含む。プライミング領域はオリゴヌクレオチド識別子を自己組織化単分子膜形成種に結合することができる任意の実体により定義され、そしてまた図5に関して以下に記載することになる配列決定を促進してもよいことを理解すべきである。また、図4の配置は例にすぎず、オリゴヌクレオチド識別子を表面に結合するための他の技術を使用してもよい。
【0100】
図6は、表面、とりわけコロイド表面上の自己組織化単分子膜への図4の種の組み込み、および同じ表面への生物学的結合パートナーの固定を説明する。コロイド粒子106はチオールが結合する金表面を有し、そこでチオール含有自己組織化単分子膜形成種は自己組織化単分子膜を形成することになる。自己組織化単分子膜108はコロイド106の表面110上で形成され、図4の種および固定された生物学的結合パートナー(蛋白質)112を含む。図に示すように、種112はSAM108に組み込まれる自己組織化単分子膜形成種に固定される。とりわけ、種は金属タグ/金属/キレート結合114により自己組織化単分子膜形成種に結合する。
【0101】
図7は、結合種112を持つコロイド粒子106、および種112の生物学的結合パートナーである化学的または生物学的種120を持つ第2のコロイド118を図式的に説明する。図に示すように、種112および120はそれぞれ蛋白質であるが、当業者は理解するように、他の結合種も使用することができる。たとえば、各種蛋白質、ペプチド、または他の種のいずれかが種112および120を定義してもよく、種112および120は他の親和性タグによりコロイド粒子に固定されてもよい。オリゴヌクレオチド識別子および/または化学的または生物学的種はまた、各種親和性タグのいずれか、またはEDC/NHSカップリングを介してカルボン酸チオールによりコロイド表面に固定されてもよい。あるいは、対象となる種はコロイドへの直接結合のためにチオールに結合してもよい。図に示すように、自己組織化単分子膜形成種はたとえば11炭素以上の長い炭素鎖を含んでいてもよい。
【0102】
種112および120がいったん結合アッセイ(ビーズ呈色アッセイ、コロイド‐コロイドアッセイなどのような、参照として本明細書に援用された文書に記載された任意のアッセイを含む)に関与すれば、種112または120の一つがアッセイにおいて結合パートナーとして識別され、その実体が望ましくは既知である場合、種の実体は以下の様に明らかにすることができる。この検討のために、コロイド116は既知の結合パートナー112を持ち、そしてコロイド118は種112の生物学的結合パートナーであることが未知である種120を持つと考える。こうして種112および120間の結合がいったん分かれば(たとえばコロイド粒子の凝集により)、ここでは120以外の種を持つ各種の他のコロイド粒子がアッセイに関与し、種112に結合していてもよく、その時種120の実体が確認されることが好ましい。図8では、制限酵素が添加され、コロイド粒子118(プライミング領域102と一緒に)からオリゴヌクレオチド識別子104を開裂する。その後、図5ではプライミング領域102に相補的なオリゴヌクレオチド識別子122が
添加され、そして通常のPCRを基にした配列決定法、または他の標準配列決定法が開裂されたオリゴヌクレオチド上で行われ、オリゴヌクレオチド識別子の配列を明らかにする。たとえば、標準蛍光配列決定法が行われてもよい。いったんオリゴヌクレオチド識別子104の配列が同定されると、つぎにそれは識別子104も結合しているコロイド粒子118に結合している種として120を同定する;識別子104はアッセイを行う前に種120に結合していた。
【0103】
次に、オリゴヌクレオチド識別子使用のための別の技術が図9〜15で記載される。図9は、自己組織化単分子膜形成種125の部分であるオリゴヌクレオチド識別子124を説明する。識別子124は任意の技術によりSAM形成種125に固定され、その部分を形成してもよく、そして上記の図で説明するように、制限酵素開裂部位またはプライミング領域100および102をそれぞれ含む必要がない。図9はまた、識別子124および化学的または生物学的種126を説明し、それぞれは自己組織化単分子膜形成種によりコロイド粒子128の表面に固定される。すなわち、コロイド128の表面上のSAMは識別子124および種126を共に含む。識別子124および種126は、本明細書に記載の任意の様式を含む、当業者に公知の任意の様式でコロイド128に固定されてもよい。次に図10では、コロイド128は第2のコロイド粒子130の近くに運ばれ、130はそれ自体のオリゴヌクレオチド識別子132およびそれ自体の化学的または生物学的種134を持つ。化学的または生物学的種126および134が結合する場合、たとえばそれらが生物学的結合パートナーである場合、オリゴヌクレオチド識別子124および132はお互いに近くに引き寄せられるであろう。図10に示すアッセイの例として、それぞれが複数の結合パートナー126を持つ複数のコロイド128が提供され、種126の結合パートナーであってもよく、なくてもよい異なる種をそれぞれが持つ複数のコロイド130と混合される。たとえば、コロイド粒子128とコロイド粒子130の凝集により確認されるように、コロイド130は種126の結合パートナーである種134を持つ。(この例において)種126および134の結合が確認されていれば、種134の実体を確認することが望ましい。
【0104】
あるいは、多様な潜在的結合パートナーを持つ多数のコロイド粒子を混合してもよく、ここでは各種の異なる結合相互作用が起こってもよい。
任意の事象において、いったん種126と134間の結合が生じると(たとえばコロイド粒子の凝集が起きるときのピンクから青への色彩変化の検出により)、種126、または134、または両方の実体が決定される。次に図11では、識別子124および132は、相互作用ハイブリダイゼーション識別子136に相補的である配列を一緒に定義する。これが事例である場合、識別子136は識別子124および132の組合せに結合するであろう。これは、各種相互作用ハイブリダイゼーション識別子がアッセイに添加される場合に起こり、それぞれはコロイド粒子に固定されたオリゴヌクレオチド識別子の異なる潜在的組合せに対応する。蛋白質または小分子のような2つの種だけが結合に関してアッセイされる場合、ただ一つの相補的配列だけが添加される必要があるだろう。
【0105】
その後、たとえば1本鎖DNAを分解するDNAアーゼを添加することにより、すべての非結合オリゴヌクレオチドが脱活性化される(図12)。これは結合事象に関与しなかった非相互作用コロイド上に存在する任意のオリゴヌクレオチド識別子、および任意の付加的な、非結合相互作用ハイブリダイゼーション識別子(138および140)を除去する。図13はこれらの段階の結果を説明する。
【0106】
図14では、相互作用ハイブリダイゼーション識別子136が、たとえば変性(煮沸または塩もしくはTriton溶液の添加などによる)により識別子124および132から除去され、そして単離される。次に識別子136が配列決定される(図15)。種136の識別と共に、識別子124および132の実体が確認され、それによって種126お
よび134の一つまたは両方の実体を確認することができる(アッセイの実行前に、識別子124は種126に関連付けられ、そして識別子132は種134に関連付けられていた)。
【0107】
実施例:電子に対するSAM透過性の制御の証明
この実施例は、促進された電子的連絡を含むSAMを形成する能力を証明する。SAMは第1の、堅く充填された種、および電子的連絡に対するSAMの透過性を促進する異なる分子構造の第2の種の混合物を含む表面上に形成される。欠陥、または開口がSAMに形成され、表面が暴露される液体が表面と電気的に連絡する。とりわけ、全体として、SAMに関して破壊的な構造を有するある硫黄含有小化合物がSAMに安定して組み込まれ、そして電子に対するより高い透過性が証明された。本実施例は、表面を相対的に伝導性にし、細胞増殖を支持できることを表す。
【0108】
水溶性フェロセン誘導体は、電解質溶液に溶解した(500uM NaClO4中のフェロセンジカルボン酸の100mM溶液)。作用電極は、様々な量の2ユニット分子ワイヤ(MFI)からなるSAMにより誘導体化された金被覆電極であった。特徴的なフェロセン電位におけるピーク高は分子ワイヤ密度の関数としてプロットした。陰性対照として、金被覆電極を100% トリエチレングリコール停止チオールからなる絶縁SAMで誘導体化した。この系は1群の硫黄含有化合物により改変された電極の伝導度を試験するために使用された。候補化合物50%およびトリエチレングリコール停止チオール50%の割合で、化合物をDMFに溶かした。電極は実施例1に記載のように誘導体化した。SAMsを、DMF中の500マイクロモルのトリエチレングリコール停止チオールおよび500マイクロモルのメルカプトベンゾチアゾールまたは2−メルカプトエチルエーテルのいずれかから金チップ上で形成した。平らな基質と1ml容量のシリコンガスケットとの間に、チップをしっかり固定した。フェロセンジカルボン酸溶液は500マイクロモルNaClO4中に溶解し、Ag/AgCl参照電極およびPt補助電極を持つシリコンガスケット中に配置した。金チップを作用電極として連結した。系をACVにより分析した。電極と接触する溶液中で、フェロセンから得られた電流ピークの大きさは、試験化合物がSAM内に欠陥を作製することにより、SAMを電子流に対して、より透過可能にするための能力の指標であった。
【0109】
実施例:蛋白質‐蛋白質相互作用の検出
本実施例は固定されたシグナル伝達実体および固定された蛋白質を有するコロイド粒子の有用性を証明する。(図18参照)。
【0110】
ヒスチジンで標識されたグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−His)はNTA‐SAM‐被覆コロイドに結合し、40uMのNTA−Niおよび100uMのフェロセン‐チオールを提示する。プロテインAを提示する市販の磁気ビーズは抗GST抗体により1/10の割合の結合能力に被覆され、GST−コロイドに1:5の比で添加され、そして磁石の先端に配置された50% MF‐1 SAM‐被覆電極上で測定された。磁石は磁気ビーズを電極表面に引き寄せ、厚く、可視の沈降物を形成した。GST‐コロイドは磁気ビーズ上のGST−抗体との相互作用により、電極表面に運ばれ、約280mVの電流ピークを与えた。GSTがコロイド表面に結合しないもの、およびGST抗体が磁気ビーズに結合しないものの2つの陰性対照を使用した。陰性対照はいずれも電流ピークを与えなかった。図17は、この実証の結果をプロットする。実線は、GST‐His‐提示コロイドと磁気ビーズ上の抗‐GST/Ab間の相互作用を表す。○はGSTを提示しなかったコロイドとインキュベートした、抗体を提示する磁気ビーズを表す。●はGSTを提示したコロイドとインキュベートした、抗体を提示しないビーズを表す。
【0111】
予言的実施例:蛋白質‐蛋白質相互作用の大規模な並行分析:ヒトプロテオームの相互
作用マップの解明
以下の予言的実施例は、蛋白質‐蛋白質相互作用の大規模な並行分析をどのように行うかを説明し、蛋白質の特徴が不明の場合とりわけ有用である。ここで、本方法はヒトプロテオームの蛋白質相互作用マップを解明するために使用される。プロテオームの蛋白質のサブセット、または全セットは粒子の組への発現された蛋白質の結合を促進するために、親和性タグとともに発現される。粒子に固定された蛋白質は一緒にプールされ、相互作用を可能にする。相互作用対は、反復磁気選択/希釈手順により、プールされた混合物から選択される。選択/希釈手順後、相互作用パートナーの実体が確認される。選択段階は、非相互作用蛋白質を分析する必要を取り除くことにより、問題の複雑さを軽減する。
【0112】
磁気補充により2つの結合パートナーがどのように検出可能であるかを説明する図が、図18で提供される。図に示すように、ナノ粒子9は電気活性シグナル伝達実体10に結合する。種11に結合するオリゴヌクレオチド識別子12はナノ粒子9に固定されるため、固定された化学的または生物学的種11もナノ粒子9に固定される。第2の化学的または生物学的種14は磁気ビーズ13に固定される。第2のオリゴヌクレオチド識別子15も磁気ビーズ13に対して固定され、したがって第2の種14に結合する。結合が種11と14の間で起こるため(図18参照)、電磁石16によって感知電極17に磁気的に引き寄せることが可能な、単一のヘテロ粒子が形成される。検出はシグナル伝達実体10により促進することができる。
【0113】
より具体的な例では、蛋白質およびそれらのコーディングDNA分子は共通表面またはビーズ上に共に固定されることにより、お互いに間接的に連結し、ここでそれぞれの粒子(ビーズ)は単一の蛋白質種およびそのコーディングDNAを提示する。発現された蛋白質とそのコーディングDNAとの連結は、選択/希釈手順後における相互作用蛋白質のそれぞれの組を識別することを促進する。それぞれの蛋白質とそのコーディングDNA分子は2つの異なる種類の粒子:補充可能な粒子およびシグナル伝達粒子上に固定される。粒子のサイズはまた異なり、より小さな粒子がそれぞれより大きい補充可能な粒子のまわりに付随体を形成してもよい。本実施例において、それぞれの蛋白質とそのコーディングDNA分子は単一の4〜10ミクロン磁気ビーズ上、および直径が4〜40nmで、電気活性シグナル伝達実体を持つ、多数の液体懸濁可能な粒子上に固定される。磁気ビーズ上の第1の種がシグナル伝達ナノ粒子上の第2の種と生物学的に相互作用する場合、補充可能な粒子はシグナル伝達実体に“連結”される。これらのヘテロ粒子複合体は次に感知電極に磁気的に補充され(図19を参照されたい)、ここでそれらは電子的または電気化学的シグナルのようなシグナルを送達することができる。多重分析を促進するために、粒子は、多数の個々にアドレス可能な電極パッドを有する電極アレイに磁気的に引き寄せられる。個々に制御可能な電磁石はそれぞれの電極パッドの下にあり、その結果それぞれのパッド上方の磁場を選択的に消したり、かけたりすることができる。しかし、シグナル伝達粒子に連結していない磁気粒子は、シグナルを送達することが不可能であり、陽性シグナルを送達する同じ電極にさらに補充することができる。これらの非シグナル伝達磁気ビーズはパッドから電磁気的に離され、相互作用容器から洗い流される。磁気粒子上の種と相互作用しないシグナル伝達ナノ粒子は、均一な懸濁液のままであり、シグナルの伝達をせずに、同じように相互作用容器から洗い流される。陽性シグナルを送達する電極パッドの下方に磁場を維持し、相互作用複合体を保持することによりこれらの浄化機能の両方が果たされ、一方陽性シグナルを送達しないパッド下方の磁場はゼロに操作され、非相互作用磁気ビーズを遊離する。ポート150(図19)が開口すると、液体は相互作用容器から洗い流され、非相互作用磁気ビーズおよび非相互作用ナノ粒子を運び去る。ポートが閉じると、すべての磁場はゼロに操作され、第2ポート60から機械的撹拌をしながら、さらにバッファーを添加し、粒子を再懸濁し、そして再分配する。すべての電極パッドの下方のすべての磁場を再びかけ、そして陽性シグナルを送達するそれぞれのパッドが多数のシグナル伝達ナノ粒子に結合した単一の磁気ビーズを統計的に含むまで、選択/希釈手順が反
復される。
【0114】
相互作用蛋白質の実体を確認するために、大きさが電極アレイの大きさに対応する磁気ピンのアレイを電極アレイに近付け、それぞれの磁気ピンが単一のヘテロ粒子複合体を捕捉するように、全電極アレイの下方の磁場をゼロに操作する。負荷されたピンアレイは、それぞれのウェルがDNA増幅試薬を含む溶液で満たされた、適合した大きさのマルチウェルプレートに浸す。(ナノ粒子およびビーズに固定された)個々のコーディングDNA配列はPCRまたは類似の技術により増幅し、配列を決定し、相互作用蛋白質のそれぞれの組の実体を明らかにする。
【0115】
予言的実施例:同様にコーディング識別子を提示する表面への共固定のための蛋白質の製造
プロテオームのそれぞれの蛋白質メンバーをコードするDNA配列は細菌の蛋白質発現ベクターに挿入される。発現ベクターは、親和性タグ、この場合(His)6、Gal4コンセンサス配列の直列反復、および蛋白質識別配列に隣接する2配列を持ち、PCRプライマーはそれに結合する。ヒスチジンタグは、発現された蛋白質の粒子への結合を促進する。Gal4コンセンサス配列は、認識モチーフと粒子に固定されたイーストDNA結合ドメイン間の相互作用により、コーディングDNAを粒子に結合するために作用し、この場合それはGST‐Gal4融合蛋白質である。Gal4(aa′1〜100)のDNA結合ドメインはコンセンサス配列
【0116】
【化2】
に結合し、そしてGSTは粒子上のグルタチオン部分に結合する。蛋白質は無細胞翻訳系に別々に発現されて、多くの無関係な蛋白質と細胞破片を減少させる。蛋白質発現後、それぞれの発現混合物はコーディングDNAおよび発現された蛋白質を含む。それぞれの蛋白質発現混合物は2アリコートに分割される。単一の磁気ビーズ(直径4〜10ミクロン)は第1のアリコートに添加され、NTA‐グルタチオン‐SAM‐被覆ナノ粒子は第2アリコートに添加される。粒子はペレットにし、洗浄して粒子に結合しない蛋白質を除去する。粒子とビーズは、プール毎に1000種のサブセットで一緒にプールし、磁気選択/希釈および電気化学的分析にかける。このようにして、同定されていない蛋白質は対応するコーディングDNAにも結合する、同じビーズまたは粒子に結合することができる。
【0117】
実施例ではコロイド粒子(ナノ粒子)が使用され、それらは先に参照した国際特許公開公報第WO00/43791号およびWO00/34783号に記載のように製造することができる。
【0118】
予言的実施例:電気化学的分析
CH Instruments(Austin,TX)の電気化学的分析機を使用して、磁気ビーズ上に固定された種と、やはり酸化還元活性金属を持つコロイド上に固定された種間の相互作用を検出する。装置は多重検出を容易にするために改変される。この場合、酸化還元活性金属はフェロセン誘導体である。電極アレイのパッドは個々にアドレス可能であり、作用電極として作用する。この場合、パッドは金で被覆し、伝導性自己組織化単分子膜で誘導体化する。Ag対Ag/Cl参照電極はPt補助電極と共に使用する。電極は交流ボルタンメトリー(ACV)を使用して、周波数10Hz,過電圧25mVで読みとる。
【0119】
予言的実施例:個々にアドレス可能な電磁石間に挟まれた電極アレイの設計
300〜500電極パッド110を有する電極アレイ100(図19)は、Ni++を
金で覆うことにより構築する。電極パッドは端から50〜500ミクロンにあり、個々にアドレス可能なHelmholtz(ヘルムホルツ)電磁石120の組間にはさまれ、磁場グラジエントが補充されるように作製し、そしてパッド表面に磁気ビーズを保持することができる(図19参照)。磁気ビーズを表面から離し、洗い流すか、または分配することを所望する場合、電流の方向は磁場をゼロに操作するために反対になる。相互作用容器が電磁石アレイから熱的に分離し、熱が溶液中の蛋白質を変性させないことを確実にするために、絶縁材料130の層が電磁石と相互作用容器140の間に置かれる。
【0120】
予言的実施例:蛋白質の組と電極パッド数の計算
全プロテオームの蛋白質相互作用マップを作製するために、プロテオームをサブセットに分割する必要があり、次に、サブセット毎の相互作用が試験される。約50,000の対象となる蛋白質があると仮定すると、プロテオームはそれぞれ1000蛋白質からなる50の組に分割される。1000蛋白質それぞれの群は、1000の群毎の相互作用に関して試験され、結果として50X50マトリクスまたは2500の異なる実験を生じる。各サブセットの蛋白質の数が、それぞれのアレイの電極パッドの数を決定する。それぞれの蛋白質が単一の結合パートナーを有すると仮定する場合、50の蛋白質のサブセットの一つとの相互作用に関して試験すると、それぞれの蛋白質はそのパートナーを見出す1/50のチャンスを有する。しかし、それぞれの蛋白質はおそらく平均して5つの適切な結合パートナーを有し、サブセット内で結合パートナーを発見する確率は1/10に上昇する。それは、1つのプールされた相互作用混合物中の2000蛋白質に対して、200が陽性シグナルとして送達されることを意味し、電極アレイが300〜500パッドを有するべきであることを意味する。非特異的結合事象からの低レベルのシグナルは、適切なバインダーによる競合的阻害のために最小である。しかし、偽陽性の発生はシグナル閾値が設定されれば最小化され、閾値以下のシグナルは陰性として計数される。相対的親和性は、第1結合種および第2結合種の相互作用の程度と、第1および第2結合種が結合する第3標的蛋白質との比較により決定される。
【0121】
予言的実施例:大きなプールの結合パートナー候補からの単一の標的蛋白質の結合パートナーの確定
この予言的実施例は、結合パートナー候補の大きなプールから、どのようにして単一標的蛋白質と相互作用する蛋白質を識別するかを記載する。大きなプール由来の蛋白質は実施例30に記載のように製造し、シグナル伝達ナノ粒子上にだけ固定される。標的蛋白質は1組の磁気ビーズ上に固定される。標的蛋白質の実体は既知のため、そのコーディングDNAを共固定することは必要でない。相互作用パートナーは上記のように電気化学的分析により選択される。
【0122】
予言的実施例:FACS分析による相互作用蛋白質パートナーの選択
本実施例は単一の標的蛋白質の結合パートナーをどのように識別するかについて記載する。標的蛋白質は直径4〜25ミクロンの1組のビーズ上に固定される。結合パートナー候補は、上記のように作製されるか、またはcDNAライブラリーから作製されてもよく、それらは蛍光シグナル伝達部分を持つナノ粒子上にそれらのコーディングDNAと一緒に共固定される。ビーズに固定された蛋白質がナノ粒子上に固定された種と相互作用する場合、ビーズは蛍光ナノ粒子により装飾され、FACS(蛍光活性化細胞ソーティング)分析により単離することが可能であり、その後それぞれの相互作用種毎に結合したDNAは配列決定され、結合パートナーが同定される。
【0123】
当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータが代表的なものであり、実際のパラメータは本発明の方法および装置が使用される具体的用途に依存することになるということを容易に理解するであろう。したがって、上記の態様は例としてのみ提示され、添付の請求項およびそれに相当するものの範囲内で、本発明は具体的に記載されたものと異な
って実施されてもよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本質的に任意の化学的または生物学的種に結合し、そしてまたオリゴヌクレオチド識別子に結合するために適合したコロイド粒子140の態様を図式的に説明する。
【図2】複数の空間的にアドレス可能な領域を含むチップを図式的に説明し、各領域は化学的または生物学的種(推定結合種)およびオリゴヌクレオチド識別子を有する。
【図3】1以上の化学的または生物学的種が固定されるチップを示す別の態様を図式的に説明する。
【図4】具体的には自己組織化単分子膜形成種を介して表面に固定されるように適合した本発明のオリゴヌクレオチド識別子を説明する。
【図5】図4〜8のポリアミノ酸タグの同定、続いてそれが固定されていたコロイド粒子の表面からの分離を説明する。
【図6】オリゴヌクレオチド識別子(図4)および生物学的結合パートナーが固定されるコロイド粒子の表面を説明する。
【図7】それぞれ、第1および第2のコロイド粒子に結合した第1および第2の生物学的結合パートナー間の生物学的結合を説明する。
【図8】オリゴヌクレオチド識別子が固定されていたコロイド粒子の表面からのかかるオリゴヌクレオチド識別子の分離を説明する。
【図9】コロイド粒子の表面にそれぞれ固定される、オリゴヌクレオチド識別子および生物学的結合パートナーを説明する。
【図10】他のコロイド粒子種に生物学的に結合する生物学的種をそれぞれが持ち、そしてそれぞれがオリゴヌクレオチド識別子を持つ、2つのコロイド粒子を説明する。
【図11】それぞれが図10のコロイド粒子に結合したオリゴヌクレオチド識別子の組合せへの相互作用ハイブリダイゼーション識別子の結合を説明する。
【図12】任意のハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドを脱活性化することを説明する。
【図13】図12の段階の結果を説明する。
【図14】図11〜13の相互作用ハイブリダイゼーション識別子の変性を説明する。
【図15】キメラオリゴソリューションの同定、およびそれによる図10〜13のオリゴヌクレオチド識別子の同定を説明する。
【図16】対照に対する、自己組織化単分子膜を横切る促進された電気的連絡、および細胞表面への蛋白質固定の酸化還元シグナル伝達のACVによる証明を示す。
【図17】磁気ビーズへのコロイドの結合により測定した蛋白質/蛋白質相互作用のACV分析を示す。
【図18】磁気補充により2つの結合パートナーがどのように検出できるかを説明する。
【図19】連続表面上の複数の位置において磁気力を適用および解除するための多重装置を説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のことを含む方法:
化学種または生物学種を表面に対して固定し、化学的または生物学的な相互作用に関与させること;および
表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、化学的または生物学的な相互作用における化学種または生物学種の関与を確認すること。
【請求項2】
前記表面が金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面が金コロイド粒子の表面である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学種または生物学種が自己組織化単分子膜により表面に対し固定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記化学種または生物学種が金属結合タグ/金属/キレート結合により表面に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固定段階において、オリゴヌクレオチド識別子が表面に固定され、前記確認段階が、表面からオリゴヌクレオチド識別子を離し、その後オリゴヌクレオチド識別子を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固定段階において、オリゴヌクレオチド識別子が自己組織化単分子膜により表面に固定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチド識別子を蛍光配列決定法により同定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記固定段階が以下のことを含む請求項1に記載の方法:
第1の種が第1表面に固定され、第2表面に固定された第2の種に生物学的に結合すること;
第2表面に対して第1表面の固定化を確認すること;および
前記固定段階中に、第2アーティクルの表面に固定されたオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、第2表面に固定された種を同定すること。
【請求項10】
第1および第2アーティクルのそれぞれがコロイド粒子である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド識別子に相補的な第1部分および第2オリゴヌクレオチド識別子に相補的な第2部分を有する、相補的なオリゴヌクレオチドを同定することにより、オリゴヌクレオチド識別子を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
以下のことを含む請求項1に記載の方法:
第1の化学種または生物学種を第1アーティクルの表面に対して固定し、第2アーティクルの表面に対して固定された第2の化学種または生物学種と化学的または生物学的に相互作用させること;および
第1アーティクルの表面に固定された第1オリゴヌクレオチド識別子、および第2アーティクルの表面に固定された第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である相互作用ハイブリダイゼーション識別子を同定することにより、化学的または生物学的相互作用を確認すること。
【請求項13】
以下のことを含む請求項12に記載の方法:
第1コロイド粒子、第1コロイド粒子に固定された第1の種、および第1コロイド粒子に固定された第1オリゴヌクレオチド識別子、第2コロイド粒子、第2コロイド粒子に固定された第2の種、および第2コロイド粒子に固定された第2オリゴヌクレオチド識別子を提供すること;
第1および第2の種を生物学的に結合させて、第1および第2コロイド粒子をお互いに固定し、第1オリゴヌクレオチド識別子と第2オリゴヌクレオチド識別子を接近させること;
第1および第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である、相互作用ハイブリダイゼーション識別子を第1および第2オリゴヌクレオチド識別子に暴露し、相互作用ハイブリダイゼーション識別子を第1および第2オリゴヌクレオチド識別子に結合させること;および
相互作用ハイブリダイゼーション識別子を同定し、それによって第1および第2オリゴヌクレオチド識別子を同定し、そしてそれによって生物学的結合を同定すること。
【請求項14】
同定段階の前に、任意のハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドを非活性化することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以下のものを含むキット:
表面を有するアーティクル;
表面に固定されるか、または固定されるように適合した、化学的または生物学的相互作用に関与することができる、化学種または生物学種;および
表面に固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子。
【請求項16】
アーティクルがコロイド粒子である、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
アーティクルが第1アーティクルであり、化学種または生物学種が第1化学種または生物学種であり、そしてオリゴヌクレオチド識別子が第1オリゴヌクレオチド識別子であり、さらに以下のものを含む請求項15に記載のキット:
表面を有する第2アーティクル;
第2表面に固定されるか、または固定されるように適合した、化学的または生物学的相互作用に関与することができる、化学種または生物学種;および
表面に固定されるか、または固定されるように適合させた第2オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項18】
第1および第2アーティクルのそれぞれがコロイド粒子である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
第1および第2化学種または生物学種のそれぞれが、金属結合タグ/金属/キレート結合により、それぞれ第1または第2表面に固定されるか、固定されるように適合した、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
第1および第2化学種または生物学種ならびに第1および第2オリゴヌクレオチド識別子のそれぞれが、自己組織化単分子膜形成種により、第1または第2表面に固定されるか、固定されるように適合した、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
第1および第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である、相互作用ハイブリダイゼーション識別子をさらに含む、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
それぞれが粒子を結合パートナーに結合させる化学的または生物学的官能基を持ち、そしてそれぞれがオリゴヌクレオチド識別子に固定された相補的なオリゴヌクレオチドへの結合のために構築された同一のオリゴヌクレオチドリンカーを持つ、複数の粒子を含むキット。
【請求項23】
以下のものを含む組成物:
化学的または生物学的相互作用に関与できる化学種または生物学種;
リボソームではないリンカー種;および
化学種または生物学種およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがリンカー種に固定されるか、または固定されるように適合した、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項24】
以下のものを含む組成物:
蛋白質;
リボソームではないリンカー種;および
蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子、ここで蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれはリンカー種に対して固定されるか、または固定されるように適合する。
【請求項25】
リンカー種がナノ粒子であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがナノ粒子の表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
リンカー種がチップであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがチップの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
リンカー種がポリマーであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがポリマーの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
リンカー種がデンドリマーであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがデンドリマーの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
リンカー種がRNA結合蛋白質であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがRNA結合蛋白質の表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
リンカー種がDNA結合蛋白質であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがDNA結合蛋白質に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の結合パートナーをコードする第2オリゴヌクレオチド識別子の両方に相補的なキメラオリゴソリューションをさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
以下のものを含むキット:
表面;
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質;お
よび
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質をコードする、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項33】
少なくとも表面の一部が自己組織化単分子膜により被覆された、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが自己組織化単分子膜により共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
表面が補充可能な粒子の表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項36】
表面が磁気ビーズの表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項37】
表面がコロイド粒子の表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項38】
表面がチップの表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項39】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズされるか、またはハイブリダイズ可能である、請求項32に記載のキット。
【請求項40】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定された自己組織化単分子膜の部分を形成するオリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズされるか、ハイブリダイズ可能である、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
オリゴヌクレオチド識別子がプラスミドDNAを含む請求項32に記載のキット。
【請求項42】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現ベクターを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項43】
オリゴヌクレオチド識別子が線状DNAを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項44】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
オリゴヌクレオチド識別子がポリメラーゼ連鎖反応の産物を含む、請求項43に記載のキット
【請求項46】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項48】
オリゴヌクレオチド識別子が核酸結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項32に記載のキット。
【請求項49】
オリゴヌクレオチド識別子が認識蛋白質による表面への結合を促進するように改変された、請求項32に記載のキット。
【請求項50】
オリゴヌクレオチド識別子がビオチン化されて、ストレプトアビジンによる表面への結合を促進する、請求項32に記載のキット。
【請求項51】
オリゴヌクレオチド識別子がDNA結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項47に記載のキット。
【請求項52】
少なくともオリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の一つに対して固定されるか、または固定されるように適合したシグナル伝達実体をさらに含んでなる、請求項32に記載のキット。
【請求項53】
オリゴヌクレオチド識別子がシグナル伝達実体を含むように改変された、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
オリゴヌクレオチド識別子がシグナル伝達実体により改変されたプライマーを使用してPCTにより産生される、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
オリゴヌクレオチド識別子がPCR部位を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項56】
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質がオリゴヌクレオチド識別子から発現される、請求項32に記載のキット。
【請求項57】
以下のものを含むキット:
ポリマーまたはデンドリマー;
ポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるか、またはポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるように適合した蛋白質;および
ポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるか、またはポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるように適合した蛋白質をコードする、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項58】
お互いに対して固定されるか、お互いに対して固定されるように適合した、蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む組成物。
【請求項59】
以下のものを含むキット:
お互いに対して固定されるか、お互いに対して固定されるように適合した、蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子;
および
固定された蛋白質の結合パートナーを持つ実体。
【請求項60】
実体がそれに固定された複数の蛋白質結合パートナーを持つことができる、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
実体がそれに固定された複数の蛋白質結合パートナーを持つ、請求項59に記載のキット。
【請求項62】
実体が補充可能な粒子である、請求項59に記載のキット。
【請求項63】
実体が磁気ビーズである、請求項59に記載のキット。
【請求項64】
実体がコロイド粒子である、請求項59に記載のキット。
【請求項65】
実体がチップの表面である、請求項59に記載のキット。
【請求項66】
結合パートナーに固定されるか、固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子
をさらに含む、請求項59に記載のキット。
【請求項67】
蛋白質が融合蛋白質である、請求項59に記載のキット。
【請求項68】
蛋白質が結合パートナーおよび親和性タグを含む、請求項66に記載のキット。
【請求項69】
以下のことを含む方法:
オリゴヌクレオチドにより蛋白質を発現すること;
蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに対して固定すること。
【請求項70】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも表面の一部が自己組織化単分子膜により被覆される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが自己組織化単分子膜により共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
表面が補充可能な粒子の表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
表面が磁気ビーズの表面である、請求項73に記載の方法
【請求項75】
表面がコロイド粒子の表面である、請求項73に記載の方法
【請求項76】
表面がチップの表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通ポリマーに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通デンドリマーに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定されるか、または固定されるように適合した、オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズするか、またはハイブリダイズ可能である、請求項70に記載の方法。
【請求項80】
オリゴヌクレオチド識別子がプラスミドDNAを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現ベクターを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
オリゴヌクレオチド識別子が線状DNAを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
オリゴヌクレオチド識別子がポリメラーゼ連鎖反応の産物を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
オリゴヌクレオチド識別子が核酸結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項70に記載の方法。
【請求項87】
オリゴヌクレオチド識別子がDNA結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質が、それぞれが固定される共通表面が無い場合お互いに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項89】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の少なくとも一つに対して固定されるか、または固定されるように適合したシグナル伝達実体をさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
実体がそれに固定された蛋白質の結合パートナーを持つ、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
実体がそれに固定された、蛋白質の複数の結合パートナーを持つことができる、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
実体がそれに固定された、複数の蛋白質の結合パートナーを持つ、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
実体が補充可能な粒子である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
実体が磁気ビーズである、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
実体がコロイド粒子である、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
表面がチップの表面である、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
結合パートナーに固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
蛋白質が融合蛋白質である、請求項69に記載の方法。
【請求項99】
蛋白質が結合パートナーおよび親和性タグを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子に対して固定されたシグナル伝達実体をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
シグナル伝達実体が融合蛋白質の部分である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
以下のことを含む方法:
化学種または生物学種が化学的または生物学的相互作用に関与すること;および
オリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、化学的または生物学的相互作用における化学種または生物学種の関与を確認すること、ここでオリゴヌクレオチド識別子は化学種または生物学種をコードする。
【請求項103】
cDNAライブラリーの成分および表面への結合を促進する官能基を含む、核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項104】
核酸ライブラリーの産物がin vitroアッセイで使用される、cDNAライブラリーの成分および官能基を含む、前記核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項105】
cDNAライブラリーの成分および核酸結合蛋白質が結合する配列を含む、核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項106】
cDNAライブラリーの成分および表面への結合を促進するための官能基を含む、プラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項107】
プラスミドのライブラリーの産物がin vitroアッセイで使用される、cDNAライブラリーの成分および官能基を含む、前記プラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項108】
cDNAライブラリーの成分および核酸結合蛋白質が結合する配列を含む、プラスミドライブラリーを作製すること。
【請求項109】
cDNAライブラリーの成分、DNA結合ドメインをコードする配列およびコードされたDNA結合ドメインが結合する複数の配列を含む、核酸またはプラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項110】
cDNAライブラリーの成分、DNA結合ドメインをコードする配列およびコードされたDNA結合ドメインが結合する複数の配列を含む、核酸またはプラスミドのライブラリーを作製すること、ここで結合モチーフ配列はレポーター遺伝子に近接しない。
【請求項111】
以下のものを含むキット:
少なくとも1つのコロイド粒子;
少なくとも1つの磁気ビーズ;
少なくとも1つのコロイド粒子への固定に適合した、少なくとも1つの蛋白質認識モチーフ;および
少なくとも1つのビーズへの固定に適合した性状が未知の蛋白質または薬物。
【請求項112】
少なくとも1つのビーズへの固定に適合したDNAをさらに含む、請求項111に記載のキット。
【請求項113】
性状が未知の蛋白質をDNAがコードする、請求項112に記載のキット。
【請求項114】
以下のことを含む方法:
それぞれが固定された蛋白質認識モチーフを持つ複数のコロイド粒子を、固定された、性状が未知の蛋白質または薬物を有するビーズに暴露すること;
蛋白質認識モチーフおよび性状が未知の蛋白質または薬物間の相互作用により少なくとも1つの粒子のビーズへの固定を確認すること。
【請求項115】
性状が未知の蛋白質または薬物がどの蛋白質認識モチーフに結合するかを確認することにより、その実体を確認することをさらに含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
ビーズに結合した識別子を検出することにより未知の蛋白質または薬物の存在が確認される請求項115に記載の方法であって、性状が未知の蛋白質または薬物に識別子が対応する前記方法。
【請求項117】
識別子がDNAである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
性状未知の蛋白質をDNAがコードする、請求項117の方法。
【請求項1】
以下のことを含む方法:
化学種または生物学種を表面に対して固定し、化学的または生物学的な相互作用に関与させること;および
表面に結合したオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、化学的または生物学的な相互作用における化学種または生物学種の関与を確認すること。
【請求項2】
前記表面が金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面が金コロイド粒子の表面である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学種または生物学種が自己組織化単分子膜により表面に対し固定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記化学種または生物学種が金属結合タグ/金属/キレート結合により表面に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固定段階において、オリゴヌクレオチド識別子が表面に固定され、前記確認段階が、表面からオリゴヌクレオチド識別子を離し、その後オリゴヌクレオチド識別子を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固定段階において、オリゴヌクレオチド識別子が自己組織化単分子膜により表面に固定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチド識別子を蛍光配列決定法により同定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記固定段階が以下のことを含む請求項1に記載の方法:
第1の種が第1表面に固定され、第2表面に固定された第2の種に生物学的に結合すること;
第2表面に対して第1表面の固定化を確認すること;および
前記固定段階中に、第2アーティクルの表面に固定されたオリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、第2表面に固定された種を同定すること。
【請求項10】
第1および第2アーティクルのそれぞれがコロイド粒子である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド識別子に相補的な第1部分および第2オリゴヌクレオチド識別子に相補的な第2部分を有する、相補的なオリゴヌクレオチドを同定することにより、オリゴヌクレオチド識別子を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
以下のことを含む請求項1に記載の方法:
第1の化学種または生物学種を第1アーティクルの表面に対して固定し、第2アーティクルの表面に対して固定された第2の化学種または生物学種と化学的または生物学的に相互作用させること;および
第1アーティクルの表面に固定された第1オリゴヌクレオチド識別子、および第2アーティクルの表面に固定された第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である相互作用ハイブリダイゼーション識別子を同定することにより、化学的または生物学的相互作用を確認すること。
【請求項13】
以下のことを含む請求項12に記載の方法:
第1コロイド粒子、第1コロイド粒子に固定された第1の種、および第1コロイド粒子に固定された第1オリゴヌクレオチド識別子、第2コロイド粒子、第2コロイド粒子に固定された第2の種、および第2コロイド粒子に固定された第2オリゴヌクレオチド識別子を提供すること;
第1および第2の種を生物学的に結合させて、第1および第2コロイド粒子をお互いに固定し、第1オリゴヌクレオチド識別子と第2オリゴヌクレオチド識別子を接近させること;
第1および第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である、相互作用ハイブリダイゼーション識別子を第1および第2オリゴヌクレオチド識別子に暴露し、相互作用ハイブリダイゼーション識別子を第1および第2オリゴヌクレオチド識別子に結合させること;および
相互作用ハイブリダイゼーション識別子を同定し、それによって第1および第2オリゴヌクレオチド識別子を同定し、そしてそれによって生物学的結合を同定すること。
【請求項14】
同定段階の前に、任意のハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドを非活性化することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以下のものを含むキット:
表面を有するアーティクル;
表面に固定されるか、または固定されるように適合した、化学的または生物学的相互作用に関与することができる、化学種または生物学種;および
表面に固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子。
【請求項16】
アーティクルがコロイド粒子である、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
アーティクルが第1アーティクルであり、化学種または生物学種が第1化学種または生物学種であり、そしてオリゴヌクレオチド識別子が第1オリゴヌクレオチド識別子であり、さらに以下のものを含む請求項15に記載のキット:
表面を有する第2アーティクル;
第2表面に固定されるか、または固定されるように適合した、化学的または生物学的相互作用に関与することができる、化学種または生物学種;および
表面に固定されるか、または固定されるように適合させた第2オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項18】
第1および第2アーティクルのそれぞれがコロイド粒子である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
第1および第2化学種または生物学種のそれぞれが、金属結合タグ/金属/キレート結合により、それぞれ第1または第2表面に固定されるか、固定されるように適合した、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
第1および第2化学種または生物学種ならびに第1および第2オリゴヌクレオチド識別子のそれぞれが、自己組織化単分子膜形成種により、第1または第2表面に固定されるか、固定されるように適合した、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
第1および第2オリゴヌクレオチド識別子の組合せに相補的である、相互作用ハイブリダイゼーション識別子をさらに含む、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
それぞれが粒子を結合パートナーに結合させる化学的または生物学的官能基を持ち、そしてそれぞれがオリゴヌクレオチド識別子に固定された相補的なオリゴヌクレオチドへの結合のために構築された同一のオリゴヌクレオチドリンカーを持つ、複数の粒子を含むキット。
【請求項23】
以下のものを含む組成物:
化学的または生物学的相互作用に関与できる化学種または生物学種;
リボソームではないリンカー種;および
化学種または生物学種およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがリンカー種に固定されるか、または固定されるように適合した、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項24】
以下のものを含む組成物:
蛋白質;
リボソームではないリンカー種;および
蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子、ここで蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれはリンカー種に対して固定されるか、または固定されるように適合する。
【請求項25】
リンカー種がナノ粒子であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがナノ粒子の表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
リンカー種がチップであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがチップの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
リンカー種がポリマーであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがポリマーの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
リンカー種がデンドリマーであり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがデンドリマーの表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
リンカー種がRNA結合蛋白質であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがRNA結合蛋白質の表面に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
リンカー種がDNA結合蛋白質であり、蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子のそれぞれがDNA結合蛋白質に対して固定されるか、固定されるように適合した、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の結合パートナーをコードする第2オリゴヌクレオチド識別子の両方に相補的なキメラオリゴソリューションをさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
以下のものを含むキット:
表面;
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質;お
よび
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質をコードする、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項33】
少なくとも表面の一部が自己組織化単分子膜により被覆された、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが自己組織化単分子膜により共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
表面が補充可能な粒子の表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項36】
表面が磁気ビーズの表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項37】
表面がコロイド粒子の表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項38】
表面がチップの表面である、請求項32に記載のキット。
【請求項39】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズされるか、またはハイブリダイズ可能である、請求項32に記載のキット。
【請求項40】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定された自己組織化単分子膜の部分を形成するオリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズされるか、ハイブリダイズ可能である、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
オリゴヌクレオチド識別子がプラスミドDNAを含む請求項32に記載のキット。
【請求項42】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現ベクターを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項43】
オリゴヌクレオチド識別子が線状DNAを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項44】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
オリゴヌクレオチド識別子がポリメラーゼ連鎖反応の産物を含む、請求項43に記載のキット
【請求項46】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項48】
オリゴヌクレオチド識別子が核酸結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項32に記載のキット。
【請求項49】
オリゴヌクレオチド識別子が認識蛋白質による表面への結合を促進するように改変された、請求項32に記載のキット。
【請求項50】
オリゴヌクレオチド識別子がビオチン化されて、ストレプトアビジンによる表面への結合を促進する、請求項32に記載のキット。
【請求項51】
オリゴヌクレオチド識別子がDNA結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項47に記載のキット。
【請求項52】
少なくともオリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の一つに対して固定されるか、または固定されるように適合したシグナル伝達実体をさらに含んでなる、請求項32に記載のキット。
【請求項53】
オリゴヌクレオチド識別子がシグナル伝達実体を含むように改変された、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
オリゴヌクレオチド識別子がシグナル伝達実体により改変されたプライマーを使用してPCTにより産生される、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
オリゴヌクレオチド識別子がPCR部位を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項56】
表面に対して固定されるか、または表面に対して固定されるように適合した蛋白質がオリゴヌクレオチド識別子から発現される、請求項32に記載のキット。
【請求項57】
以下のものを含むキット:
ポリマーまたはデンドリマー;
ポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるか、またはポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるように適合した蛋白質;および
ポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるか、またはポリマーまたはデンドリマーに対して固定されるように適合した蛋白質をコードする、オリゴヌクレオチド識別子。
【請求項58】
お互いに対して固定されるか、お互いに対して固定されるように適合した、蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子を含む組成物。
【請求項59】
以下のものを含むキット:
お互いに対して固定されるか、お互いに対して固定されるように適合した、蛋白質および蛋白質をコードするオリゴヌクレオチド識別子;
および
固定された蛋白質の結合パートナーを持つ実体。
【請求項60】
実体がそれに固定された複数の蛋白質結合パートナーを持つことができる、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
実体がそれに固定された複数の蛋白質結合パートナーを持つ、請求項59に記載のキット。
【請求項62】
実体が補充可能な粒子である、請求項59に記載のキット。
【請求項63】
実体が磁気ビーズである、請求項59に記載のキット。
【請求項64】
実体がコロイド粒子である、請求項59に記載のキット。
【請求項65】
実体がチップの表面である、請求項59に記載のキット。
【請求項66】
結合パートナーに固定されるか、固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子
をさらに含む、請求項59に記載のキット。
【請求項67】
蛋白質が融合蛋白質である、請求項59に記載のキット。
【請求項68】
蛋白質が結合パートナーおよび親和性タグを含む、請求項66に記載のキット。
【請求項69】
以下のことを含む方法:
オリゴヌクレオチドにより蛋白質を発現すること;
蛋白質およびオリゴヌクレオチドをお互いに対して固定すること。
【請求項70】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも表面の一部が自己組織化単分子膜により被覆される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが自己組織化単分子膜により共通表面に対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
表面が補充可能な粒子の表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
表面が磁気ビーズの表面である、請求項73に記載の方法
【請求項75】
表面がコロイド粒子の表面である、請求項73に記載の方法
【請求項76】
表面がチップの表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通ポリマーに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質のそれぞれが共通デンドリマーに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
オリゴヌクレオチド識別子が、表面に固定されるか、または固定されるように適合した、オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズするか、またはハイブリダイズ可能である、請求項70に記載の方法。
【請求項80】
オリゴヌクレオチド識別子がプラスミドDNAを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現ベクターを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
オリゴヌクレオチド識別子が線状DNAを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
オリゴヌクレオチド識別子がポリメラーゼ連鎖反応の産物を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
オリゴヌクレオチド識別子が蛋白質発現鋳型を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
オリゴヌクレオチド識別子が核酸結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項70に記載の方法。
【請求項87】
オリゴヌクレオチド識別子がDNA結合蛋白質により表面に固定されるか、または固定されるように適合した、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質が、それぞれが固定される共通表面が無い場合お互いに対して固定されるか、または固定されるように適合した、請求項69に記載の方法。
【請求項89】
オリゴヌクレオチド識別子および蛋白質の少なくとも一つに対して固定されるか、または固定されるように適合したシグナル伝達実体をさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
実体がそれに固定された蛋白質の結合パートナーを持つ、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
実体がそれに固定された、蛋白質の複数の結合パートナーを持つことができる、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
実体がそれに固定された、複数の蛋白質の結合パートナーを持つ、かかる実体に蛋白質を暴露することをさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
実体が補充可能な粒子である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
実体が磁気ビーズである、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
実体がコロイド粒子である、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
表面がチップの表面である、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
結合パートナーに固定されるか、または固定されるように適合したオリゴヌクレオチド識別子をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
蛋白質が融合蛋白質である、請求項69に記載の方法。
【請求項99】
蛋白質が結合パートナーおよび親和性タグを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
蛋白質およびオリゴヌクレオチド識別子に対して固定されたシグナル伝達実体をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
シグナル伝達実体が融合蛋白質の部分である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
以下のことを含む方法:
化学種または生物学種が化学的または生物学的相互作用に関与すること;および
オリゴヌクレオチド識別子を同定することにより、化学的または生物学的相互作用における化学種または生物学種の関与を確認すること、ここでオリゴヌクレオチド識別子は化学種または生物学種をコードする。
【請求項103】
cDNAライブラリーの成分および表面への結合を促進する官能基を含む、核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項104】
核酸ライブラリーの産物がin vitroアッセイで使用される、cDNAライブラリーの成分および官能基を含む、前記核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項105】
cDNAライブラリーの成分および核酸結合蛋白質が結合する配列を含む、核酸ライブラリーを作製すること。
【請求項106】
cDNAライブラリーの成分および表面への結合を促進するための官能基を含む、プラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項107】
プラスミドのライブラリーの産物がin vitroアッセイで使用される、cDNAライブラリーの成分および官能基を含む、前記プラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項108】
cDNAライブラリーの成分および核酸結合蛋白質が結合する配列を含む、プラスミドライブラリーを作製すること。
【請求項109】
cDNAライブラリーの成分、DNA結合ドメインをコードする配列およびコードされたDNA結合ドメインが結合する複数の配列を含む、核酸またはプラスミドのライブラリーを作製すること。
【請求項110】
cDNAライブラリーの成分、DNA結合ドメインをコードする配列およびコードされたDNA結合ドメインが結合する複数の配列を含む、核酸またはプラスミドのライブラリーを作製すること、ここで結合モチーフ配列はレポーター遺伝子に近接しない。
【請求項111】
以下のものを含むキット:
少なくとも1つのコロイド粒子;
少なくとも1つの磁気ビーズ;
少なくとも1つのコロイド粒子への固定に適合した、少なくとも1つの蛋白質認識モチーフ;および
少なくとも1つのビーズへの固定に適合した性状が未知の蛋白質または薬物。
【請求項112】
少なくとも1つのビーズへの固定に適合したDNAをさらに含む、請求項111に記載のキット。
【請求項113】
性状が未知の蛋白質をDNAがコードする、請求項112に記載のキット。
【請求項114】
以下のことを含む方法:
それぞれが固定された蛋白質認識モチーフを持つ複数のコロイド粒子を、固定された、性状が未知の蛋白質または薬物を有するビーズに暴露すること;
蛋白質認識モチーフおよび性状が未知の蛋白質または薬物間の相互作用により少なくとも1つの粒子のビーズへの固定を確認すること。
【請求項115】
性状が未知の蛋白質または薬物がどの蛋白質認識モチーフに結合するかを確認することにより、その実体を確認することをさらに含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
ビーズに結合した識別子を検出することにより未知の蛋白質または薬物の存在が確認される請求項115に記載の方法であって、性状が未知の蛋白質または薬物に識別子が対応する前記方法。
【請求項117】
識別子がDNAである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
性状未知の蛋白質をDNAがコードする、請求項117の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−142244(P2010−142244A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23936(P2010−23936)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2002−561064(P2002−561064)の分割
【原出願日】平成13年11月15日(2001.11.15)
【出願人】(501291558)ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2002−561064(P2002−561064)の分割
【原出願日】平成13年11月15日(2001.11.15)
【出願人】(501291558)ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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