説明

オルガノシランの製造法

【課題】良好な選択性の際に高い変換率を可能にし、固体のアルカリ金属硫化物水和物の使用を不用とし、かつ硫化原料物質中でのアルカリ金属水酸化物を許容する、ポリ硫化物のオルガノシランの製造法を提供する。
【解決手段】一般式Iのオルガノシランを、式IIの(ハロゲンオルガニル)アルコキシシランと含水アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩とのアルコール中での反応によって製造するための方法において、この方法は、式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランとアルカリ金属硫化水素とのモル比が1:0.40〜1:0.75であり、アルカリ金属硫化水素とアルカリ金属炭酸塩とのモル比が1:0.5〜1:1.5であることによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノシランの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1130023号明細書の記載から、一般式R123Si−R4−Xのオルガノシリルアルキルハロゲン化物からの一般式(R123Si−R4−)2qのオルガノシリルアルキルポリスルファンの製造は、公知である。この反応は、極性の有機溶剤中に元素状の硫黄およびオルガニルアルキルハロゲン化物を装入し、この懸濁液に無水のイオン性硫化物または殆んど無水のイオン性硫化物を添加することにより実施される。オルガニルシリルアルキルハロゲン化物のSi−アルコキシ結合の加水分解敏感性のために、イオン性硫化物は、無水または殆んど無水でなければならない。
【0003】
欧州特許第1700861号明細書の記載から、硫黄含有のアルコキシシランを含水の硫化試薬を使用してアルコール中で合成することは、公知である。
【0004】
異なる原料物質を使用した場合、得られたポリ硫化物のアルコキシシランのモノマー含量の大きな差異が確認される。工業的規模での信頼できる安定した製品品質は、こうして達成することができない。その上、公知方法での4つの固体の使用は、工業的規模にとって不利である。
【0005】
WO 2008025580A1の記載から、一般式[R(R)(R'O)Si−R''−]2mの硫黄含有アルコキシシランを製造することは、公知であり、この場合全ての使用物質のアルカリ金属水酸化物含量は、0.44質量%未満でなければならない。
【0006】
この公知方法の欠点は、無水または殆んど無水の出発物質の使用にあるか、或いは含水の出発物質の際の原料物質特性、殊にアルカリ金属水酸化物の割合による製品特性の強い依存性にある。含水の硫化試薬を使用する公知方法の場合、4つを上廻る原料物質の使用は、望ましくない。その上、アルカリ金属硫化物水和物を硫化原料物質として計量供給しかる使用することは、問題である。それというのも、製造によって必要とされる固体のアルカリ金属硫化物水和物は、大量のアルカリ金属水酸化物を含有しうるからである。
【0007】
最終製品中の(メルカプトオルガニル)アルキルオキシシランの低い含量が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1130023号明細書
【特許文献2】欧州特許第1700861号明細書
【特許文献3】WO 2008025580A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、良好な選択性の際に高い変換率を可能にし、固体のアルカリ金属硫化物水和物の使用を不用とし、かつ硫化原料物質中でのアルカリ金属水酸化物を許容する、ポリ硫化物のオルガノシランの製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、一般式(I)
【化1】

〔式中、
Rは、同一かまたは異なり、C1〜C8−アルキル基、特にCH3またはCH2CH3、C1〜C8−アルケニル基、C1〜C8−アリール基、C1〜C8−アラルキル基またはOR'基であり、
R'は、同一かまたは異なり、C1〜C24−、特にC1〜C4−またはC12〜C18−、特に有利にCH2CH3、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基またはアルケニル基、アリール基、アラルキル基、水素(−H)、アルキルエーテル基−(CRIII2y'−O−Alk、但し、y'は、1〜20、有利に2〜10、特に有利に2〜5であるかまたはアルキルポリエーテル基−(CRIII2O)y−Alkまたは−(CRIII2−CRIII2−O)y−Alk、但し、yは、2〜20、有利に2〜10、特に有利に2〜5であり、
IIIは、互いに無関係にHまたはアルキル基、特にCH3基であり、Alkは、分枝鎖状または非分枝鎖状で飽和または不飽和の脂肪族、芳香族または混合された脂肪族/芳香族の一価のC1〜C30−、有利にC2〜C20−、特に有利にC6〜C18−、殊に特に有利にC10〜C18−、炭化水素基であり、
R''は、場合によってはF−、Cl−、Br−、I−、HS−、NH2−またはNHR’で置換されている、分枝鎖状または非分枝鎖状で飽和または不飽和の脂肪族、芳香族または混合された脂肪族/芳香族の2価のC1〜C30−、有利にC1〜C20−、特に有利にC1〜C10−、殊に有利にC1〜C7−炭化水素基であり、
mは、1.5〜4.5、有利に2〜2.6および3.5〜3.9、特に有利に2.1〜2.3および3.6〜3.8の平均硫黄鎖長である〕示されるオルガノシランを、式II
【化2】

〔式中、R、R'およびR''は、上記の意味を有し、Halは、塩素、臭素、弗素または沃素である〕で示される(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと含水アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩とのアルコール中での反応によって製造するための方法であり、この方法は、
式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランとアルカリ金属硫化水素とのモル比が1:0.40〜1:0.75、特に1:0.45〜1:0.65、特に有利に1:0.5〜1:0.6、殊に有利に1:0.5〜1:0.55であり、アルカリ金属硫化水素とアルカリ金属炭酸塩とのモル比が1:0.5〜1:1.5、特に1:0.65〜1:1.3、特に有利に1:0.85〜1:1.2、殊に有利に1:0.95〜1:1.1であることによって特徴付けられる。
【0011】
R''は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)−、−CH(CH3)CH2−、−C(CH32−、−CH(C25)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2
または
【化3】

を意味する。
【0012】
意外なことに、全ての存在するSiORがSiOHに変換され、その結果、縮合によって相応するSi−O−Si−結合を含有するシロキサンに変換されることが必要とされる場合には、塩基性の反応条件が存在し、化学量論的の過剰量の水が存在しているとしても、硫化試薬中に含有されている水は、アルコキシシランの完全な加水分解および縮合を生じないことが見出された。
【0013】
オルガノシランを製造するための本発明による方法の場合には、一般式Iの化合物が生じてよいし、一般式Iの化合物からなる混合物が生じてもよい。
【0014】
式Iのオルガノシランからなる混合物は、−S2−単位を有する式Iのオルガノシランを50質量%超、有利に60質量%超、特に有利に70質量%超、殊に有利に80質量%超含有することができる。
【0015】
好ましくは、式Iのオルガノシランからなる混合物は、−S2−単位を有する式Iのオルガノシランを50〜100質量%、有利に60〜95質量%、特に有利に70〜95質量%、殊に有利に75〜90質量含有することができる。
【0016】
式Iのオルガノシランからなる混合物は、−S3−単位を有する式Iのオルガノシランを60質量%未満、有利に45質量%未満、特に有利に35質量%未満、殊に有利に25質量%未満含有することができる。
【0017】
好ましくは、式Iのオルガノシランからなる混合物は、−S3−単位を有する式Iのオルガノシランを60質量%まで、有利に5〜45質量%、特に有利に8〜35質量%、殊に有利に10〜25質量含有することができる。
【0018】
式Iのオルガノシランからなる混合物は、−S4−単位を有する式Iのオルガノシランを50質量%未満、有利に30質量%未満、特に有利に20質量%未満、殊に有利に10質量%未満含有することができる。
【0019】
本発明による方法で生じる、一般式Iの化合物または一般式Iの化合物からなる混合物は、2質量%未満、有利に1質量%未満、特に有利に0.5質量%未満、殊に有利に0.1質量%未満の含水量を有することができる。含水量は、H2O−およびHS種(H2S等)を区別しうるために、沃素還元滴定(iodometrischer Ruecktitration)を含むDIN EN180 12937により測定される。
【0020】
式IおよびIIのアルキルポリエーテル基(R')は、酸化エチレン単位(CH2−CH2−O)および酸化プロピレン単位、例えば(CH(0%)−CH2−O)または(CH2−CH(CH2)−O)を含有することができる。
【0021】
式IおよびII中のアルキルポリエーテル基−(CRIII2O)y−AlkまたはO−(CRIII2−CRIII2O)y−Alkは、次のものであることができる:

【0022】

【0023】
一般式Iのオルガノシランは、次のものであることができる:

【0024】

【0025】
式Iの混合物の成分であってよい化合物の特殊な例は、次の通りである:

【0026】

【0027】
特に、式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランとしては、次のものが使用されてよい:

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】

【0034】

【0035】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランは、式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランまたは式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランからなる混合物であることができる。
【0036】
アルカリ金属硫化水素は、NaSH、LiSH、KSHまたはCsSHであることができる。アルカリ金属硫化水素は、精製された形であってもよいし、副成分を含有する形であってもよい。
【0037】
好ましくは、硫化水素ナトリウムを使用することができる。
【0038】
アルカリ金属硫化水素は、固体として使用されてよい。
【0039】
固体の含水アルカリ金属硫化水素は、水を1〜80質量%、有利に5〜65質量%、特に有利に10〜55質量%、極めて有利に20〜45質量%含有することができる。
【0040】
アルカリ金属硫化水素は、水中に溶解して存在することができる。
【0041】
水中に溶解されたアルカリ金属硫化水素は、水を15質量%まで、有利に25質量%まで、特に有利に35質量%まで、殊に有利に45質量%まで含有することができる。
【0042】
使用されるアルカリ金属硫化水素は、固体としてまたは溶液で反応に添加されてよい。
【0043】
含水アルカリ金属硫化水素および硫黄は、一緒にまたは互いに独立に固体としてまたは溶液で反応に添加されてよい。
【0044】
含水アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩は、一緒にまたは互いに独立に固体としてまたは溶液で反応に添加されてよい。
【0045】
アルカリ金属硫化水素は、次のように、例示的にはNaSH水和物に対して実施して分析されることができる:
試料(硫化水素ナトリウム)約3gは、100mlの測定フラスコ中に計量供給され(計量供給量(読取り可能性1mgまたはそれ以上)、最も純粋な水約75ml中に溶解される。
【0046】
引続き、塩化バリウム10ml(最も純粋な水中の塩化バリウム溶液10%)が添加され、振盪され、マークに到達するまで充填される。
【0047】
充填後、生じる沈殿物が析出するまで1時間待つ。上方に存在する澄明な溶液から、10mlを全量ピペットで150mlのフラスコ中に移入し、最も純粋な水約100mlで希釈する。引続き、動的pH滴定をHCl c(HCl)=0.1mol/lで実施する(pH電極、滴定システム)。
【0048】
この場合、第1の転換点は、pH9〜pH10の間で次の反応によりNaOH含量(溶液中)に対応する:
Na2S + H2O → NaOH + NaSH
pH4〜pH5の間の第2の転換点の場合、溶液中に存在するNaSHは、次の方程式に従って反応される:
NaSH +HCl → NaCl + H2S↑
計算式:
【数1】

i=第1の転換点(ml)、
NaOH=NaOHの分子量(39.99g/mol)、
HCl=塩酸溶液のモル濃度、
E=mgでの計量供給量、
F=塩酸の滴定量、
P=ピペットの容量(ml)、
MK=計量フラスコの容量(ml)。
【0049】
【数2】

2=第2の転換点(ml)、
i=第1の転換点(ml)、
NaSH=NaSHの分子量(56.064g/mol)、
HCl=塩酸溶液のモル濃度、
E=mgでの計量供給量、
F=塩酸の滴定量、
P=ピペットの容量(ml)、
MK=計量フラスコの容量(ml)。
【0050】
固体の原料物質中に含有されているアルカリ金属硫化水素は、次の方程式により定めることができる:
【数3】

【0051】
アルカリ金属硫化水素は、水と共に、他の副成分を30質量%未満、有利に20質量%未満、特に有利に10質量%未満、殊に有利に5質量%未満含有することができる。
【0052】
使用されたアルカリ金属硫化水素原料物質中のアルカリ金属硫化水素量に対して、このアルカリ金属硫化水素原料物質中には、アルカリ金属硫化物が0〜10質量%、有利に0.4〜8質量%、特に有利に0.6〜5質量%、殊に有利に0.8〜3質量%含有されていてよい。
【0053】
使用されたアルカリ金属硫化水素原料物質中のアルカリ金属硫化水素量に対して、このアルカリ金属硫化水素原料物質中には、アルカリ金属水酸化物が10質量%未満、有利に8質量%未満、特に有利に5質量%未満、殊に有利に3質量%未満含有されていてよい。
【0054】
溶解された硫化物原料物質中には、アルカリ金属水酸化物0.44質量%超が含有されていてよい。
【0055】
この方法は、固体の形または溶解された形でのアルカリ金属硫化物水和物の別の添加なしに実施されてよい。
【0056】
アルカリ金属硫化水素の他の副成分は、水と共にアルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属硫化水素、アルカリ金属チオ硫酸塩および/またはアルカリ金属チオ硫酸水素であってよい。
【0057】
アルカリ金属硫化水素の含水量は、DIN 51777と同様にカール−フィッシャー滴定によって測定される。
【0058】
この場合、硫黄含有成分の支障のある影響は、沃素還元滴定によって公知の原理および方法により考慮される。
【0059】
アルカリ金属炭酸塩は、Na2CO3、Li2CO3、K2CO3またはCs2CO3であることができる。好ましいのは、Na2CO3であることができる。
【0060】
本発明による方法は、殆んどダスト不含のアルカリ金属炭酸塩および/または微粒状のアルカリ金属炭酸塩を用いて実現されることができる。
【0061】
殆んどダスト不含のアルカリ金属炭酸塩は、有利にレーザー回折分析法または篩別により測定された、50μmを上廻る、有利に100μmを上廻る、特に有利に200μmを上廻る、殊に有利に300μmを上廻る平均粒度(中央値)を有することができる。
【0062】
殆んどダスト不含のアルカリ金属炭酸塩は、レーザー回折分析法または篩別により測定された、50〜2000μm、有利に100〜1500μm、特に有利に150〜1000μm、殊に有利に200〜500μmの平均粒度(中央値)を有することができる。
【0063】
微粒状のアルカリ金属炭酸塩は、レーザー回折分析法または篩別により測定された、500μm未満、有利に250μm未満、特に有利に150μm未満、殊に有利に100μm未満の平均粒度(中央値)を有することができる。
【0064】
微粒状のアルカリ金属炭酸塩は、レーザー回折分析法または篩別により測定された、20〜200μm、有利に30〜180μm、特に有利に40〜150μm、殊に有利に50〜150μmの平均粒度(中央値)を有することができる。
【0065】
レーザー回折分析法による試料の粒度分布の測定は、超音波処理なしにDry Powder Modulを備えたクールター(Coulter)LS 100(Beckman-Coulter社)を用いて一般に公知の規則および走査規定により行なわれる。測定すべき試料の元来の未処理の粒子の連続的な流れは、60秒間、空気噴流中でレーザービームに導通される。粒子の流れは、放射線透過され、異なる粒度(粒径)が検出され、統計的に評価される。測定可能な粒度は、最少0.4μmおよび最大900μmである。
【0066】
篩別による粒度分布は、次のように測定される:
一定量の試料は、異なる標準の目開きのスクリーンのスタックで分離される。
【0067】
個々の画分の割合は、秤量によって算出される。そのために使用される機器:
機械的篩別機(Ro-tap);正確な秤量:
精度±0.01g(Mettler社)。
【0068】
標準スクリーンU.S.標準No.120,高さ25mm、φ;200mm;目開き、例えば:300μm(50メッシュ);150μm(100メッシュ);75μm(200メッシュ)。
【0069】
スクリーンおよび捕集容器は、設けられた順序で、即ち上方から下方へ減少する開口幅で差し込まれている。試験すべき試料1.00gは、秤量され、この場合には、適切なブレードが使用される。流出(Ausgiessen)または注ぎ込み(Umgiessen)による材料の前選択は、回避させることができる。最も上方のスクリーン上への秤量された材料の移送後、蓋が置かれ、スタックは、約1.5mmの遊びがそのまま残り、したがってスクリーンが自由に回転しうるように篩別機中に挿入される。
【0070】
スクリーンは、前記機械中で固定され、次に5分間、振動機または叩解機(Klopfwerk)を運転しながら振動される。その後に、スクリーンは、順次に分解され、それぞれスクリーン中に存在する材料量は、0.1gに正確に秤量される。全ての試料によって二重測定が実施される。それぞれ個々のスクリーン中および捕集容器中に見出される%での材料量の平均値が記載される。中央値は、画分に関する値から算出されうる。
【0071】
本発明による方法は、殆んどダスト不含の硫黄および/または微粒状の硫黄を用いて実施されることができる。
【0072】
殆んどダスト不含の硫黄は、200μm超、有利に500μm超、特に有利に1000μm超、殊に有利に2000μm超の、篩別によって測定された平均粒度を有することができる。
【0073】
殆んどダスト不含の硫黄は、1μm〜20000μm、有利に100μm〜10000μm、特に有利に200μm〜5000μm、殊に有利に500μm〜2000μmの、篩別によって測定された平均粒度を有することができる。
【0074】
微粒状の硫黄は、1μm〜200μm、有利に10μm〜150μm、特に有利に10μm〜100μm、殊に有利に10μm〜75μmの、篩別によって測定された平均粒度を有することができる。
【0075】
微粒状の硫黄は、500μm未満、有利に250μm未満、特に有利に100μm未満、殊に有利に80μm未満の、篩別によって測定された平均粒度を有することができる。
【0076】
式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと硫黄とのモル比は、1:0.4未満、有利に1:0.45未満、特に有利に1:0.5未満、殊に有利に1:0.55未満、極めて有利に1:0.6未満であることができる。
【0077】
式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと硫黄とのモル比は、1:0.4〜1:1.5、有利に1:0.45〜1:1.4、特に有利に1:0.5〜1:1.35、殊に有利に1:0.55〜1:1.3、極めて有利に1:0.6〜1:1.15であることができる。
【0078】
式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと硫黄とのモル比は、1:0.25未満、有利に1:0.45未満、特に有利に1:0.5未満、殊に有利に1:0.55未満、極めて有利に1:0.6未満であることができる。
【0079】
アルカリ金属炭酸塩と式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランとのモル比は、1:0.1〜1:2、有利に1:0.2〜1:1.5、特に有利に1:0.3〜1:1.0、殊に有利に1:0.4〜1:0.8、極めて有利に1:0.45〜1:0.7であることができる。
【0080】
硫黄とアルカリ金属硫化水素とのモル比は、1:0.25未満、有利に1:0.45未満、特に有利に1:0.7未満、殊に有利に1:0.9未満、極めて有利に1:1.0未満であることができる。
【0081】
アルカリ金属硫化水素と硫黄とのモル比は、1:0.1〜1:3、有利に1:0.3〜1:2.75、特に有利に1:0.5〜1:2、殊に有利に1:0.7〜1:1.7、極めて有利に1:0.85〜1:1.4であることができる。
【0082】
mが2.5未満である場合、硫黄とアルカリ金属炭酸塩とのモル比は、1:1.5超、有利に1:1.4超、特に有利に1:1.3超、殊に有利に1:1.2超、極めて有利に1:1.1超であることができる。
【0083】
mが2.5超である場合、アルカリ金属炭酸塩と硫黄とのモル比は、1:1.5未満、有利に1:1.8未満、特に有利に1:2.0未満、殊に有利に1:2.3未満、極めて有利に1:2.5未満であることができる。
【0084】
アルカリ金属炭酸塩と硫黄とのモル比は、1:0.1〜1:3、有利に1:0.3〜1:2.75、特に有利に1:0.5〜1:2、殊に有利に1:0.7〜1:1.55、極めて有利に1:0.85〜1:1.4であることができる。
【0085】
本発明による方法は、相間移動触媒なしに実施されることができる。本発明による方法は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物なしに実施されることができる。
【0086】
反応前、反応中または反応後に、添加剤は、添加されてよい。
【0087】
添加剤は、非アルコール性溶剤であることができる。
【0088】
非アルコール性溶剤である添加剤として、有利に純粋な品質または工業用の品質で、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたはオクタン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールまたはプロピレングリコール、芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キシレン、またはカルボニル含有溶剤、例えばジメチルホルムアミドを使用することができる。
【0089】
反応前および/または反応中および/または反応の終結時および/または後処理中に、極性、プロトン性、非プロトン性、塩基性または酸性の添加剤は、反応混合物に供給されてよい。
【0090】
添加剤は、例えば有機酸または無機酸、または有機塩基または無機塩基であることができる。
【0091】
無機酸は、例えばHCl、H2S、H2SO4、H3PO4、(アルカリ金属)H2PO4、(アルカリ金属)2HPO4、H3CO3または(アルカリ金属)HSO4の組成の化合物であることができる。
【0092】
無機塩基は、例えばアルカリ金属HCO3、(アルカリ金属)2HPO4または(アルカリ金属)3PO4の組成の化合物であることができる。
【0093】
処理前、処理中または処理の終結時に反応混合物に添加される酸性または塩基性の添加剤は、アルカリ金属HCO3、(アルカリ金属)H2PO4、(アルカリ金属)2HPO4、(アルカリ金属)3PO4、(アルカリ金属)2SO4または(アルカリ金属)HSO4の構造式を有することができる。
【0094】
アルカリ金属HCO3は、有利に処理中または処理の終結時、または後処理中に添加されてよい。
【0095】
添加剤としては、(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランが使用されてよい。
【0096】
(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランとしては、一般式III
(RIV2(Hal)Si−R''−Hal III
〔式中、Hal、RおよびR''は、上記の意味を有し、RIVは、互いに無関係にRまたはHalである〕で示される化合物が使用されてよい。
【0097】
特に、(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランとしては、(クロロオルガニル)クロロシランが使用されてよい。
【0098】
(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランは、一般式IIIの(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランまたは式IIIの(ハロゲン化オルガニル)クロロシランからなる混合物であることができる。
【0099】
記載された分析法で測定することができる、(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランとの混合物中の加水分解可能な珪素ハロゲン化物の量は、2〜800000mg/kg、有利に2〜50000mg/kg、特に有利に5〜10000mg/kg、殊に有利に10〜500mg/kgであることができる。
【0100】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと(ハロゲン化オルガニル)ハロゲン化シランとからなる使用された混合物中の加水分解可能なハロゲン化物の量は、次の方法によって測定される:試料最大20gには、150mlのフラスコ中でエタノール80mlおよび酢酸10mlが添加される。ハロゲン化物含量は、ポテンシャルグラフ的に(potentiographisch)硝酸銀溶液(c(AgNO3)=0.01mol/l)で滴定される。
【0101】
添加剤としては、反応前および/または反応中および/または反応の終了時に、アルコールと結合して無機酸または有機酸を遊離する化合物を添加することができる。
【0102】
添加剤としては、反応前および/または反応中および/または反応の終了時に、アルコールと結合して無機塩基または有機塩基を遊離する化合物を添加することができる。
【0103】
アルコールとしては、1〜24個、特に1〜6個、特に有利に1〜4個の炭素原子を有する第1アルコール、第2アルコールまたは第3アルコールが使用されてよい。
【0104】
アルコールとしては、式HO−(CRV2y'−O−Alk〔式中、y'は、上記の意味を有する〕で示されるアルキルエーテル、または式HO−(CRV2O)y−AlkまたはHO−(CRV2−CRV2−O)y−Alk〔式中、yは、上記の意味を有し、RVは、互いに無関係にHまたはアルキル基、特にCH3基であり、Alkは、上記の意味を有する〕で示されるアルキルポリエーテルを使用することができる。
【0105】
第1アルコール、第2アルコールまたは第3アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノールまたはオクタデカノールを使用することができる。アルキルポリエーテルとしては、aが2〜20、有利に2〜10、特に有利に2〜8、殊に有利に3〜6であり、かつbが1〜30、有利に2〜20、特に有利に6〜18、殊に有利に10〜18であるO−(CH2−CH2−O)a−Cb2b+1を使用することができる。
【0106】
アルコールとしては、有利にエタノールを使用することができる。第1アルコールは、次のものであることができる。
【0107】

【0108】
アルコールの量は、使用されたシラン成分に対して少なくとも0.1体積%、有利に10〜500体積%、特に有利に15〜300体積%、殊に有利に50〜200体積%であることができる。
【0109】
アルコールの量は、使用された式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランに対して少なくとも0.1質量%、有利に10〜500質量%、特に有利に15〜200質量%、殊に有利に25〜100質量%、極めて有利に25〜50質量%であることができる。
【0110】
アルコールとしては、アルコールの混合物を使用することができる。
【0111】
使用されたアルコールは、水を含有することができる。
【0112】
アルコールは、アルコール−水混合物から蒸留によって共沸混合物として取得することができる。
【0113】
使用されたアルコールは、水を1〜80質量%、有利に5〜60質量%、特に有利に7〜40質量%、殊に有利に8〜30質量%、極めて有利に10〜20質量%含有することができる。
【0114】
アルコールは、水を50質量%未満、有利に40質量%未満、特に有利に30質量%未満、殊に有利に20質量%未満含有することができる。
【0115】
反応は、0〜180℃、有利に30〜150℃、特に有利に50〜100℃の温度で行なうことができる。
【0116】
本発明による方法は、開いた容器中または閉鎖された容器中で実施されることができる。
【0117】
本発明による方法は、生じるガスが反応空間から逃出し得ないように実施されることができる。
【0118】
反応は、有利に閉鎖された容器中で実施されることができる。
【0119】
閉鎖された容器は、有利に、20バールまでの圧力および200℃までの温度で作業することを可能にする、公知技術水準から公知の反応容器であることができる。
【0120】
閉鎖された容器は、特に有利に、6バールまでの圧力および150℃までの温度で作業することを可能にする、公知技術水準から公知の反応容器であることができる。
【0121】
閉鎖された容器は、加熱/冷却循環路を有することができる。
【0122】
反応および後処理は、有利に、例えばガラス、テフロン、プラスチック材料、琺瑯加工された鋼または被覆された鋼、特殊鋼、ハステロイ(Hastelloy)またはタンタルからなる耐蝕性の反応容器またはオートクレーブ中で行なうことができる。
【0123】
反応は、一般式Iのオルガノシランの製造の際に0.1バール〜20バール、有利に0.1バール〜15バール、特に有利に0.5バール〜10バール、殊に有利に0.5バール〜6バールの高められた圧力下で実施されることができる。
【0124】
反応容器中での圧力は、反応容器中での充填高さに依存することができる。高い充填度は、反応容器中の圧力を反応中に6バール未満、有利に5バール未満、特に有利に4バール未満に維持することができる。
【0125】
反応は、有利に空気の遮断下に実施されることができる。
【0126】
一般式Iの化合物は、有利にアルコール中で閉鎖された容器中でH2Sの存在下に製造されることができる。
【0127】
一般式Iの化合物は、有利にアルコール中で閉鎖された容器中および高められた圧力でH2Sの存在下に製造されることができる。
【0128】
粗製生成物懸濁液の後処理は、固体成分の濾過および分離を含むことができる。
【0129】
粗製生成物懸濁液の後処理は、揮発性成分の蒸留および分離を含むことができる。
【0130】
粗製生成物懸濁液の後処理は、最初に蒸留および次に濾過を含むことができる。
【0131】
粗製生成物懸濁液の後処理は、最初に濾過および次に蒸留を含むことができる。
【0132】
粗製生成物懸濁液の後処理は、最初に濾過、その後に蒸留および引続きさらに濾過を含むことができる。
【0133】
粗製生成物懸濁液の後処理は、最初に蒸留、その後に濾過および引続きさらに高められた温度および真空下での処理を含むことができる。
【0134】
粗製生成物懸濁液を後処理するために、アルコール/水混合物は、除去されることができ、引続き一般式Iの形成された生成物は、固体と分離されることができる。
【0135】
粗製生成物懸濁液を後処理するために、固体は、分離されることができ、引続きアルコール/水混合物は、一般式Iの形成された生成物と分離されることができる。アルコール/水混合物は、一般式Iの形成された生成物と蒸留または相分離によって分離されることができる。
【0136】
粗製生成物懸濁液を後処理するために、アルコール/水混合物は、除去されることができ、一般式(I)のオルガノシランおよびアルカリ金属ハロゲン化物を含有する、残存する粗製生成物懸濁液は、水と混合されることができ、形成する相は、分離されることができる。
【0137】
反応後に存在する、塩含有粗製生成物懸濁液は、常圧または減圧下で、有利に1〜600ミリバール、特に有利に5〜250ミリバール、殊に有利に10〜100ミリバールの減圧下で後処理されることができる。
【0138】
粗製生成物の後処理中、含水アルコールは、真空中および高められた温度で除去されることができる。
【0139】
粗製生成物の後処理中、含水アルコールは、真空中および高められた温度で、蒸留の最初の数時間中に含水アルコール0.1〜75質量%、有利に5〜60質量%、特に有利に5〜50質量%、殊に有利に10〜40質量%が除去されるように除去されることができる。
【0140】
粗製生成物の後処理中、含水アルコールは、真空中および高められた温度で、蒸留の第2の数時間中に含水アルコール5〜70質量%、有利に10〜60質量%、特に有利に15〜50質量%、殊に有利に20〜45質量%が除去されるように除去されることができる。
【0141】
当業者に公知の水連行剤(wasserschleppede Substanze)(共沸混合物形成剤)が添加されかつ使用されてよい。
【0142】
アルコール、共沸混合物形成剤および水を分離するためには、当業者に公知の助剤および装置を使用することができる。
【0143】
アルコール/水混合物は、エタノールを含有することができる。
【0144】
好ましくは、垂直方向管状蒸発器、水平方向管状蒸発器、循環蒸発器、傾斜管状蒸発器、流下液膜蒸発器、板状蒸発器、吹込管蒸発器、ローター蒸発器、遠心分離蒸発器、渦巻き管状蒸発器、薄膜蒸発器および薄膜ストリッパーがアルコール、共沸混合物形成剤および水の分離のために使用されてよい。
【0145】
反応後に存在する塩含有生成物懸濁液は、0〜200℃、有利に5〜100℃、特に有利に10〜70℃、殊に有利に20〜60℃の温度で後処理されることができる。
【0146】
生じた粗製生成物懸濁液は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaCl、アルカリ金属炭酸水素塩、例えばNaHCO3、および一般式Iのオルガノシランを含有することができる。
【0147】
粗製生成物懸濁液から、アルコールは、除去されることができ、一般式Iの単数の化合物または複数の化合物およびアルカリ金属ハロゲン化物を含有する残存する混合物は、水と混合されることができ、形成する相は、分離されることができる。生じた懸濁液は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaCl、アルカリ金属炭酸水素塩、例えばNaHCO3、および一般式Iの化合物を含有することができる。
【0148】
生成物は、反応後に相分離によって塩含有水相から分離することができる。生成物は、相分離後に塩含有水相から分離することができる。生成物は、塩含有相の分離後に乾燥することができる。
【0149】
粗製生成物懸濁液から、アルコールは、除去されることができ、一般式Iの化合物およびアルカリ金属ハロゲン化物を含有する混合物は、水と混合されることができ、形成する相は、分離されることができる。
【0150】
生成物と固体、場合によってはアルコールおよび/または水とからなる混合物に付加的に水を供給することができる。
【0151】
後処理の場合、水は、式Iの単数の化合物または複数の化合物に対して1〜500質量%、有利に1〜300質量%、特に有利に5〜150質量%、殊に有利に5〜75質量%の量で添加されてよい。
【0152】
後処理の場合、添加される水は、脱イオン水であることができる。後処理の場合、添加される水は、緩衝液、例えば炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを含有することができる。水の緩衝液含量は、1質量%〜20質量%、有利に2質量%〜10質量%、特に有利に2質量%〜5質量%であることができる。
【0153】
添加される水は、3〜11、有利に4〜10、特に有利に5〜9.5、殊に有利に7〜9.5のpH値を有することができる。
【0154】
添加される水のpH値は、緩衝液によって調節されることができる。
【0155】
本発明による方法の粗製生成物の収率は、式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランの使用された量に関連して理論的収率に対して70%超、有利に80%超、特に有利に85%超、殊に有利に90%超であることができる。
【0156】
粗製生成物の収率は、アルコール、水および固体が除去された後の全ての単離された液状化合物の質量測定による一定の総和であることができる。
【0157】
反応中に遊離されるH2Sの量は、反応後または既に反応中に測定されることができる。定量的な測定のために、H2Sは、例えば硫酸銅または酢酸鉛溶液に導通されることができ、沈殿した固体は、質量測定により測定されることができる。
【0158】
2Sの量は、反応の終結時に、使用されたアルカリ金属炭酸塩の量に関連して50モル%未満、有利に30モル%未満、特に有利に20モル%未満、殊に有利に10モル%未満であることができる。
【0159】
2Sの量は、反応の終結時に、使用されたアルカリ金属硫化水素の量に関連して50モル%未満、有利に30モル%未満、特に有利に20モル%未満、殊に有利に10モル%未満であることができる。
【0160】
2Sの量は、反応の終結時に、使用された式IIの使用されたオルガノシランのモル量に関連して50モル%未満、有利に30モル%未満、特に有利に20モル%未満、殊に有利に10モル%未満であることができる。
【0161】
反応の経過中に遊離されるH2Sの量の最少化は、好ましい。
【0162】
相応する(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと添加剤とからなる使用された混合物は、使用される装置および望ましい、一部分が互いに無関係に影響を及ぼし合う効果、例えば反応の選択性、反応時間、反応器の処理量、(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと硫化試薬との互いの反応、mの値、アルカリ金属硫化水素と硫黄との反応、反応器の材料または処理順序に依存して、既に硫化試薬の添加前に製造されることができる。
【0163】
アルカリ金属硫化水素、硫黄、アルカリ金属炭酸塩および添加剤からなる使用された混合物は、使用される装置および望ましい、一部分が互いに無関係に影響を及ぼし合う効果に依存して、既にハロゲン化オルガニル(アルコキシシラン)の添加までに製造されることができる。
【0164】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランおよび添加剤は、互いに任意の順序、形式、温度および時間で混合されることができ、次に初めてアルコールとアルカリ金属硫化水素、硫黄とアルカリ金属炭酸塩は、一緒にかまたは順次に添加されることができる。
【0165】
添加剤、アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩、およびアルコールは、互いに任意の順序、形式、温度および時間で混合されることができ、次に初めて(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランは、添加されることができる。
【0166】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシラン、アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩、およびアルコールは、互いに任意の順序、形式、温度および時間で混合されることができ、次に初めて添加剤は、添加されることができる。
【0167】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシラン、アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩、および添加剤は、互いに任意の順序、形式、温度および時間で混合されることができ、次に初めてアルコールは、添加されることができる。
【0168】
アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩は、互いに任意の順序、形式、温度および時間で混合されることができ、次に初めてアルコールと(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランは、一緒にかまたは順次に添加されることができる。
【0169】
含水アルカリ金属硫化水素は、互いに無関係に反応前および/または反応中に反応混合物に添加されることができる。
【0170】
含水アルカリ金属硫化水素は、互いに無関係に硫黄またはH2Sと混合されることができ、反応前、反応中または反応の終結時に反応混合物に添加されることができる。
【0171】
副生成物の量は、式Iのオルガノシラン量に対して40質量%未満、有利に30質量%未満、特に有利に20質量%未満、殊に有利に15質量%未満であることができる。
【0172】
副生成物の1つは、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)であることができる。
【0173】
メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の含量は、最終製品中で10質量未満、有利に4質量未満、特に有利に2質量未満、殊に有利に1.5質量未満であることができる。
【0174】
メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の量は、1H−NMR、29Si−NMR、13C−NMRまたはガスクロマトグラフィーによって測定されることができる。
【0175】
内部標準としてのドデカンを用いてのガスクロマトグラフィーによるメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の量の測定は、好ましい。
【0176】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランの残留出発物質量は、反応条件(例えば、反応時間および温度)の選択により、15質量%未満、有利に10質量%未満、特に有利に5質量%未満、殊に有利に3質量%未満であることができる。
【0177】
ハロゲン化オルガニル(アルコキシシラン)の残留出発物質量は、0.5〜5質量%、有利に1〜4質量%、特に有利に1〜3質量%、殊に有利に1〜2質量%であることができる。
【0178】
(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランの残留出発物質量は、1H−NMR、29Si−NMR、13C−NMRまたはガスクロマトグラフィーによって測定されることができる。
【0179】
内部標準としてのドデカンを用いてのガスクロマトグラフィーによる残留出発物質量の測定は、好ましい。
【0180】
残留出発物質量は、ガスクロマトグラフィーおよび"Standard test Method for Silanes used in Rubber Formulations (Bis-(triethoxysilylpropyl)sulfanes): Characterization by Gas Chromatography (GC), D 6843 - 02"に関連して測定されることができる。
【0181】
本発明による方法の利点は、良好な選択性で変換率が高いこと、固体のアルカリ金属硫化物水和物の使用が省略されること、およびアルカリ金属水酸化物量の影響が僅かであることにある。
【実施例】
【0182】
GC分析:
単離された粗製生成物のGC分析は、内部標準としてのドデカンを用いてのガスクロマトグラフィー(FID)で実施される。
【0183】
実施例のガスクロマトグラフィーによる試験は、"Standard test Method for Silanes used in Rubber Formulations (Bis-(triethoxysilylpropyl)sulfanes): Characterization by Gas Chromatography (GC), D 6843 - 02"の記載と同様に実施される。
【0184】
HPLC分析:
HPLC測定のための方法は、"Luginsland, H-D, Reactivity of the Sulfur Functions of the Disulfane Silane TESPD and Tetrasulfane Silane TESPT, paper presented at the ACS Meeting, April 1999, Chicago"中に記載されている。
【0185】
平均硫黄鎖長は、次のように算出される:
【数4】

m=平均硫黄鎖長、
i=シラン成分中の硫黄原子の数、
i=硫黄原子iを有するシラン成分のモル質量、
i=硫黄原子iを有するシラン成分の信号の面積、
i=硫黄原子iを有する硫化シラン成分の応答ファクター。
【0186】
式IのオルガノシランがSiを有する化合物を含有する場合、平均硫黄鎖長は、分子量を考慮しながら補正される。
【0187】
29Si−NMR:
Siスペクトルは、99.35MHz(H−NMR500.13MHz)のSiに対する測定周波数を有するBrucker Advance 500-NMRスペクトロメーターで記録される。スペクトルは、内部でテトラメチルシラン(TMS=0ppm)を基準とする。試料は、CDCl3中の約30%の溶液として、緩和促進剤としてのクロムアセチルアセトネート(約0.05〜0.1モルの溶液)の添加下に測定される。パルスシーケンスとして、プロトン脱カップリングを有する逆ゲートシーケンスは、収集時間中ならびに5秒間の緩和遅延でのみ使用される。
【0188】
実施例1:
耐圧性の反応器中で、6.9+/−1質量%の純度(固体中)、NaOH含量0.67質量%(溶液中)および含水量25質量%を有するICS-Chemie Wolfen社のNaSH水和物50kg、384μmのレーザー回折による粒子分布(中央値)を有するSolvay社のNa2CO374.8kg、17μmのレーザー回折による粒子分布(中央値)を有するCS Additive社の硫黄粉末20kg(粉砕硫黄)、エタノール193kgおよび水34kgを互いに混合する。
【0189】
反応器中で、Evonik-Degussa Gmbh社の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)269kg(加水分解可能なクロリド22ppm)を55℃で30分間、生じるガスが逃出し得ないように計量供給する。引続き、この反応混合物を閉鎖された反応器中で70〜80℃で80分間および70℃で130分間加熱する。反応に引続き、溶剤の除去を真空中で高められた温度で行なう。単離された全部の溶剤混合物の11%を最初の時間内で真空中で除去し、第2の時間内で21%を真空中で除去する。塩の除去は、遠心分離機を用いて行なう。液状の澄明な生成物242kgを単離する。
【0190】
組成:
【表1】

【0191】
実施例2:
耐圧性の反応器中で、45.5質量%のNaSH含量を有するAkzo Nobel社のNaSH溶液85.6g、360μmのレーザー回折による粒度分布(中央値)を有するMerck社のNa2CO375kg、1mm超の粒度分布(中央値)を有するKemmax社の硫黄ペレット57.1kg、エタノール153gおよび水17gを互いに混合する。
【0192】
反応器中で、Evonik-Degussa Gmbh社の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)330g(加水分解可能なクロリド102ppm)を65〜75℃で60分間、生じるガスが逃出し得ないように計量供給する。引続き、この反応混合物を閉鎖された反応器中で75℃で150分間加熱する。反応に引続き、溶剤の除去を真空中で105℃で3時間行なう。塩を溶剤分離の終結後に濾過によって除去する。液状の澄明な生成物212.4kgを単離する。塩を溶剤で洗浄し、引続き後処理することによって、生成物86.3gを単離することができる。
【0193】
単離された生成物の組成:
【表2】

【0194】
実施例3:
耐圧性の反応器中で、45.5質量%のNaSH含量を有するAkzo Nobel社のNaSH溶液96g、360μmのレーザー回折による粒度分布(中央値)を有するMerck社のNa2CO375kg、1mm超の粒度分布(中央値)を有するKemmax社の硫黄ペレット29.1g、エタノール150gおよび水20gを互いに混合する。
【0195】
反応器中で、Evonik-Degussa Gmbh社の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)300g(加水分解可能なクロリド102ppm)を65〜75℃で60分間、生じるガスが逃出し得ないように計量供給する。引続き、この反応混合物を閉鎖された反応器中で75℃で180分間加熱する。反応に引続き、溶剤の除去を真空中で105℃で3時間行ない、この場合圧力は、60分間常圧、60分間860ミリバールおよび60分間80ミリバールであった。塩を溶剤分離の終結後に濾過によって除去する。溶剤3×200mlでの塩の洗浄および蒸留を含めて、全部で液状の澄明な生成物300.1gが単離される。
【0196】
【表3】

【0197】
実施例4:
耐圧性の反応器中で、71質量%のNaSH含量を有するICS社のNaSH55g、41μmのレーザー回折による粒度分布(中央値)を有する硫黄粉末21.9g(粉砕硫黄)、エタノール128gおよび水32gを互いに混合する。
【0198】
反応器中で、Evonik-Degussa Gmbh社の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)300g(加水分解可能なクロリド42ppm)を70℃で7分間、生じるガスが逃出し得ないように計量供給する。引続き、この反応混合物を閉鎖された反応器中で80℃で145分間加熱する。
【0199】
引続き、内圧を50℃でガス状のCO2(Aldrich)で2.5バールに上昇させ、懸濁液を圧力遮断下に10分間攪拌する。
【0200】
引続き、過圧を放出し、懸濁液を濾過する。濾液に水30gを添加し、混合物を15分間攪拌し、次に2つの液状相を互いに分離する。
【0201】
有機相を95℃で溶剤残基から遊離し、この場合液状の澄明な生成物190.9gが単離される。前記塩から溶剤200gでの洗浄によってさらに生成物70gを取得することができた。この試験の場合、塩に対する処理損失および生成物残基は、約25gに査定される。
【0202】
単離された生成物の組成:
【表4】

【0203】
例5:
耐圧性の反応器中で、45.5質量%のNaSH含量を有するAkzo Nobel社のNaSH溶液85.6g、BASF社のNa2CO375g、1mm超の粒度分布(中央値)を有するKemmax社の硫黄ペレット57.1g、エタノール146.2gおよび水23.8gを互いに混合する。
【0204】
反応器中で、Evonik-Degussa Gmbh社の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)330g(加水分解可能なクロリド102ppm)を65〜75℃で60分間、生じるガスが逃出し得ないように計量供給する。引続き、この反応混合物を閉鎖された反応器中で75℃で150分間加熱する。
【0205】
引続き、過圧を放出し、懸濁液を濾過する。2つの得られた液状相を互いに分離する。塩をエタノール170g(含水量15%)で洗浄し、引続き濾液を液状の有機相と合わせる。
【0206】
合わせた有機相から40℃/20ミリバールで溶剤残基を遊離し、この場合液状の生成物335.8gを単離する。
【0207】
前記塩から抽出によって他の生成物を単離することができた。
【0208】
単離された生成物の組成:
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

〔式中、
Rは、同一かまたは異なり、C1〜C8−アルキル基、C1〜C8−アルケニル基、C1〜C8−アリール基、C1〜C8−アラルキル基またはOR'基であり、
R'は、同一かまたは異なり、C1〜C24−分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基またはアルケニル基、アリール基、アラルキル基、水素、アルキルエーテル基−(CRIII2y'−O−Alk、但し、y'は、1〜20であるかまたはアルキルポリエーテル基−(CRIII2O)y−Alkまたは−(CRIII2−CRIII2−O)y−Alk、但し、yは、2〜20であり、
IIIは、互いに無関係にHまたはアルキル基であり、Alkは、分枝鎖状または非分枝鎖状で飽和または不飽和の脂肪族、芳香族または混合された脂肪族/芳香族の一価のC1〜C30−炭化水素基であり、
R''は、場合によってはF−、Cl−、Br−、I−、HS−、NH2−またはNHR’で置換されている、分枝鎖状または非分枝鎖状で飽和または不飽和の脂肪族、芳香族または混合された脂肪族/芳香族の2価のC1〜C30−炭化水素基であり、
mは、1.5〜4.5の平均硫黄鎖長である〕で示されるオルガノシランを、
式II
【化2】

〔式中、R、R'およびR''は、上記の意味を有し、Halは、塩素、臭素、弗素または沃素である〕で示される(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランと含水アルカリ金属硫化水素、硫黄およびアルカリ金属炭酸塩とのアルコール中での反応によって製造するための方法において、式IIの(ハロゲン化オルガニル)アルコキシシランとアルカリ金属硫化水素とのモル比が1:0.4〜1:0.75であり、アルカリ金属硫化水素とアルカリ金属炭酸塩とのモル比が1:0.5〜1:1.5であることを特徴とする、一般式Iのオルガノシランの製造法。
【請求項2】
反応前、反応中または反応後に添加剤を添加する、請求項1記載のオルガノシランの製造法。
【請求項3】
添加剤は、非アルコール性溶剤であるかまたは極性、プロトン性、非プロトン性、塩基性または酸性の添加剤である、請求項2記載のオルガノシランの製造法。
【請求項4】
粗製生成物懸濁液からアルコール/水混合物を除去し、引続き一般式Iの形成された生成物を、固体から分離する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のオルガノシランの製造法。
【請求項5】
粗製生成物懸濁液から固体を分離し、引続きアルコール/水混合物を一般式Iの形成された生成物から分離する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のオルガノシランの製造法。
【請求項6】
アルコール/水混合物を一般式Iの形成された生成物から蒸留によって分離する、請求項5記載のオルガノシランの製造法。
【請求項7】
アルコール/水混合物を一般式Iの形成された生成物から相分離によって分離する、請求項5記載のオルガノシランの製造法。
【請求項8】
粗製生成物懸濁液からアルコール/水混合物を除去し、一般式(I)の有機珪素化合物およびアルカリ金属ハロゲン化物を含有する、残存する粗製生成物懸濁液を水と混合し、形成する相を分離する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のオルガノシランの製造法。

【公開番号】特開2010−37340(P2010−37340A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177297(P2009−177297)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】