説明

オンライン座標値修正装置およびオンライン座標値修正プログラム

【課題】 自動処理により検出される検出対象の座標値の修正を手動処理により行う場合に、修正された座標値の連続性を損なうことなく、時間的に滑らかに修正を行うことが可能なオンライン座標値修正装置を提供する。
【解決手段】 オンライン座標値修正装置1は、位置検出装置2から、検出座標値とその検出座標値に対する信頼性値とを入力する検出情報入力手段10と、操作者によって操作される座標指示装置3から、操作者が指示する位置を示す指示座標値と、操作者が座標指示装置3に対して加えた加圧値とを入力する指示情報入力手段20と、信頼性値と加圧値とに基づいて、検出座標値と指示座標値とを加重合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出する加重合成手段30とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列に検出される検出対象の位置を示す検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置およびオンライン座標値修正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像計測等において、時間とともに位置が変化する対象を検出し、その位置を示す座標(検出座標値)を出力する技術(位置検出装置)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、時間とともに変化する対象を検出する場合、対象が複数存在したり、画像にノイズ等が発生したりすることで、その検出された位置は必ずしも正確であるとはいえない。
そこで、特許文献1に開示されている映像オブジェクト検出・追跡装置では、検出されたオブジェクトの位置の信頼度(確度を示す信頼性値)を、オブジェクト毎に付し、検出対象となるオブジェクトの検出精度を高めている。
【0003】
しかし、このように検出精度を高めても、100%の検出精度を得ることはできない。そこで、このような位置検出装置で検出対象を自動で検出する場合、その自動検出された座標値の時系列が所望の結果でないときには、操作者は、自動の検出動作から手動の修正動作に切り替え、マウス、ペンタブレット等のポインティングデバイスによる入力、あるいは、キーボードからの数値入力によって、座標値を修正する必要がある。
なお、手動で画面上の対象の座標位置を指定する際に、操作者が誤差を伴って入力した座標値を、画面内のオブジェクト配置等の情報に基づいて、適応的に修正し、再入力の手間を軽減する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−358526号公報(段落0019〜76、図1)
【特許文献2】特開平8−272526公報(段落0017〜0022、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自動で行っていた検出動作を手動に切り替えて座標値の修正を行うと、切り替えの前後において、連続性が損なわれるため、検出対象の位置(座標)の「飛び」が発生し、時間的な滑らかさが失われてしまうという問題がある。また、逆に、手動処理から自動処理に切り替える場合においても、同様に連続性が損なわれてしまう。
例えば、検出対象の位置(座標)を映像とともに放送する場合に、座標値の連続性が損なわれると、視聴者に対して、放送局側あるいはテレビ受像機において故障が発生したのではないかと思わせてしまうという問題がある。
一方、特許文献2に記載の技術は、手動処理と自動処理とを連携させてはいるものの、入力した座標値を対象(オブジェクト)の座標位置に修正するものであって、検出対象の位置を滑らかに繋ぐことを目的とはしていない。すなわち、特許文献2に記載の技術においても、手動により座標値の修正を行うと、座標値の連続性が損なわれ、時間的な滑らかさが失われてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、自動処理により検出される検出対象の座標値を、手動処理により修正する場合であっても、検出対象の座標値の修正を、連続性を損なうことなく、時間的に滑らかに行うことを可能にしたオンライン座標値修正装置およびオンライン座標値修正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のオンライン座標値修正装置は、位置検出装置によって検出された検出対象の位置を示す検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置であって、検出情報入力手段と、指示情報入力手段と、加重合成手段とを備える構成とした。
【0007】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、検出情報入力手段によって、位置検出装置から時系列に検出座標値を入力し、指示情報入力手段によって、操作者が操作する座標指示装置から出力される指示座標値と、操作者がその座標指示装置に対して加えた加圧値とを入力する。
この位置検出装置は、検出対象の位置を座標値(検出座標値)として出力するものであれば何でもよい。例えば、この位置検出装置は、映像から被写体を検出し、その位置を示す座標値を出力するものや、GPS衛星からの電波、タイヤの回転速度、ジャイロセンサ情報等に基づいて、車両やロボットを検出し、その位置を示す座標値を出力するものであってもよい。
【0008】
しかし、この検出座標値は、ノイズ等によって誤った位置を示す場合がある。そこで、オンライン座標値修正装置は、操作者が指し示す位置(指示座標値)に座標値を修正するように動作する。このとき、オンライン座標値修正装置は、加重合成手段によって、予め定めた検出座標値の確度を示す信頼性値と加圧値とに基づいて、検出座標値と指示座標値とを加重合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出する。
これによって、操作者が座標指示装置に対して強く圧力を加えるほど、検出座標値は指示座標値に近い位置に修正されることになる。例えば、座標指示装置を筆圧感知機能付きのペンタブレット装置とすることで、オンライン座標値修正装置は、その筆圧値(加圧値)に応じて、検出座標値が修正されることになる。
【0009】
なお、信頼性値は、使用する位置検出装置の精度が高い場合は高い値に、精度が低い場合は低い値に予め設定しておく。これによって、同じ加圧値が入力された場合であっても、信頼性値が高い場合は検出座標値の修正量が少なく、信頼性値が低い場合は検出座標値の修正量が多くなる。
【0010】
また、請求項2に記載のオンライン座標値修正装置は、位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置であって、検出情報入力手段と、指示情報入力手段と、加重合成手段とを備える構成とした。
【0011】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、検出情報入力手段によって、位置検出装置から時系列に検出座標値と信頼性値とを入力し、指示情報入力手段によって、操作者が操作する座標指示装置から出力される指示座標値と、操作者がその座標指示装置に対して加えた加圧値とを入力する。
そして、オンライン座標値修正装置は、加重合成手段によって、信頼性値と加圧値とに基づいて、検出座標値と指示座標値とを加重合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出する。
これによって、信頼性値が高い場合は検出座標値の修正量が少なく、加圧値が高い場合は検出座標値の修正量が多くなる。
【0012】
さらに、請求項3に記載のオンライン座標値修正装置は、請求項1または請求項2に記載のオンライン座標値修正装置において、前記加重合成手段が、第1重み係数算出手段と、第2重み係数算出手段と、座標値修正手段とを備える構成とした。
【0013】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、第1重み係数算出手段によって、予め定めた算出式により、加重合成を行うための信頼性値の重みを第1重み係数として算出する。例えば、この算出式は、信頼性値が高いほど重み係数の値を大きくし、信頼性値が低いほど重み係数の値を小さくするものとする。
また、オンライン座標値修正装置は、第2重み係数算出手段によって、予め定めた算出式により、加重合成を行うための加圧値の重みを第2重み係数として算出する。例えば、この算出式は、加圧値が高いほど重み係数の値を大きくし、加圧値が低いほど重み係数の値を小さくするものとする。
【0014】
そして、オンライン座標値修正装置は、座標値修正手段によって、検出座標値と第1重み係数との乗算値と、指示座標値と第2重み係数との乗算値との加算値に対して、第1重み係数と第2重み係数との加算値を除算することで修正座標値を算出する。
これによって、修正座標値は、検出座標値と指示座標値に対して、第1重み係数と第2重み係数との比に対応して比例案分された座標値として算出されることになる。
【0015】
また、請求項4に記載のオンライン座標値修正装置は、請求項1または請求項2に記載のオンライン座標値修正装置において、前記加重合成手段が、第1観測共分散行列算出手段と、第2観測共分散行列算出手段と、第1濾波推定手段と、第2濾波推定手段と、予測推定手段と、選択手段とを備える構成とした。
【0016】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、第1観測共分散行列算出手段によって、信頼性値の共分散行列を、検出情報入力手段において観測される第1観測共分散行列として算出する。なお、信頼性値が高い場合に共分散行列の成分の値を小さくし、信頼性値が低い場合に共分散行列の成分の値を大きくすることで、信頼性値を、共分散行列で表すことができる。
また、オンライン座標値修正装置は、第2観測共分散行列算出手段によって、信頼性値と同様に、加圧値の共分散行列を、指示情報入力手段において観測される第2観測共分散行列として算出する。
【0017】
そして、オンライン座標値修正装置は、第1濾波推定手段によって、検出座標値および第1観測共分散行列に基づいて、検出対象の位置を示す座標値を含んだ状態ベクトルおよび状態共分散行列を予測した状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値から、現在の状態(状態ベクトルの各成分)を推定した仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を算出する。
なお、状態ベクトルには、検出対象の位置だけでなく、その検出対象が移動する単位時間あたりの移動量(速度)等を含ませることで、推定の精度を高めることができる。
このように、第1濾波推定手段は、1時点前の情報により予測された状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値から、現時点で観測された情報である検出座標値および第1観測共分散行列に基づいて、現在の状態を推定(濾波)するカルマンフィルタの濾波推定部として機能する。
【0018】
また、オンライン座標値修正装置は、第2濾波推定手段によって、指示座標値および第2観測共分散行列に基づいて、仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を補正した状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を算出する。
すなわち、第2濾波推定手段は、第1濾波推定手段で推定された仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列から、現時点で観測された情報である指示座標値および第2観測共分散行列に基づいて、さらに、現在の状態を推定(濾波)するカルマンフィルタの濾波推定部として機能する。
【0019】
そして、オンライン座標値修正装置は、予測推定手段によって、第2濾波推定手段で算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延し、予め定めた状態遷移規則に基づいて、状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値を予測する。すなわち、予測推定手段は、1時点前の状態ベクトルおよび状態共分散行列から、現時点の状態ベクトルおよび状態共分散行列を予測する。この予測結果である状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値は、第1濾波推定手段の濾波推定に利用される。これによって、オンライン座標値修正装置は、濾波推定処理と予測推定処理とにおいてループを形成し、逐次状態ベクトルと状態共分散行列とが推定されることになる。
【0020】
また、第2濾波推定手段で算出された状態ベクトル濾波推定値(状態ベクトル)には、常に検出座標値が修正された値が含まれることになる。
そこで、オンライン座標値修正装置は、選択手段によって、第2濾波推定手段で算出された状態ベクトル濾波推定値(状態ベクトル)から、検出対象の位置(検出座標値)を選択し、修正座標値とする。
【0021】
さらに、請求項5に記載のオンライン座標値修正装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置において、前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、修正座標位置図形作画手段と、映像合成手段とを備えた映像表示手段を備える構成とした。
【0022】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における修正座標位置図形作画手段によって、修正座標値で示される位置に対応する図形を作画する。なお、この図形は、位置を視覚的に特定することができる図形であれば、点、直線、矩形等その形状は問わない。
また、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における映像合成手段によって、修正座標位置図形作画手段で作画された図形と、位置検出装置が位置検出を行った映像とを合成する。これによって、オンライン座標値修正装置は、修正された位置が、映像内のどの位置に対応するのかを操作者に視覚的に提示する。
【0023】
また、請求項6に記載のオンライン座標値修正装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置において、前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、検出座標位置図形作画手段と、映像合成手段とを備えた映像表示手段を備える構成とした。
【0024】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における検出座標位置図形作画手段によって、検出座標値で示される位置に対応する図形を作画する。そして、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における映像合成手段によって、検出座標位置図形作画手段で作画された図形と、位置検出装置が位置検出を行った映像とを合成する。これによって、オンライン座標値修正装置は、位置検出装置が映像内のどの位置で検出対象を検出したかを操作者に視覚的に提示する。
【0025】
また、請求項7に記載のオンライン座標値修正装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置において、前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、検出座標位置図形作画手段と、修正座標位置図形作画手段と、映像合成手段とを備えた映像表示手段を備える構成とした。
【0026】
かかる構成において、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における検出座標位置図形作画手段によって、検出座標値で示される位置に対応する図形を作画し、映像表示手段における修正座標位置図形作画手段によって、修正座標値で示される位置に対応する図形を作画する。そして、オンライン座標値修正装置は、映像表示手段における映像合成手段によって、検出座標位置図形作画手段で作画された図形と、修正座標位置図形作画手段で作画された図形と、位置検出装置が位置検出を行った映像とを合成する。
これによって、オンライン座標値修正装置は、位置検出装置が映像内のどの位置で検出対象を検出したか、また、その位置がどの位置に修正されたかを操作者に視覚的に提示する。
【0027】
さらに、請求項8に記載のオンライン座標値修正プログラムは、位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を、操作者によって操作される座標指示装置から出力される指示座標値と、前記座標指示装置に対して加えられた加圧値とに基づいて修正するために、コンピュータを、第1重み係数算出手段、第2重み係数算出手段、座標値修正手段として機能させる構成とした。
【0028】
かかる構成において、オンライン座標値修正プログラムは、第1重み係数算出手段によって、加重合成を行うための信頼性値の重みを第1重み係数として算出する。例えば、信頼性値が高いほど重み係数の値を大きくし、信頼性値が低いほど重み係数の値を小さくする。
また、オンライン座標値修正装置は、第2重み係数算出手段によって、加重合成を行うための加圧値の重みを第2重み係数として算出する。例えば、加圧値が高いほど重み係数の値を大きくし、加圧値が低いほど重み係数の値を小さくする。
そして、オンライン座標値修正装置は、座標値修正手段によって、検出座標値と第1重み係数との乗算値と、指示座標値と第2重み係数との乗算値との加算値に対して、第1重み係数と第2重み係数との加算値を除算することで修正座標値を算出する。
これによって、修正座標値は、検出座標値と指示座標値に対して、第1重み係数と第2重み係数との比に対応して比例案分された座標値として算出されることになる。
【0029】
また、請求項9に記載のオンライン座標値修正プログラムは、位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を、操作者によって操作される座標指示装置から出力される指示座標値と、前記座標指示装置に対して加えられた加圧値とに基づいて修正するために、コンピュータを、第1観測共分散行列算出手段、第2観測共分散行列算出手段、第1濾波推定手段、第2濾波推定手段、予測推定手段、選択手段として機能させる構成とした。
【0030】
かかる構成において、オンライン座標値修正プログラムは、第1観測共分散行列算出手段によって、信頼性値の共分散行列を第1観測共分散行列として算出する。また、オンライン座標値修正プログラムは、第2観測共分散行列算出手段によって、加圧値の共分散行列を第2観測共分散行列として算出する。
そして、オンライン座標値修正プログラムは、第1濾波推定手段によって、検出座標値および第1観測共分散行列に基づいて、検出対象の位置を示す座標値を含んだ状態ベクトルおよび状態共分散行列を予測した状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値から、現在の状態(状態ベクトルの各成分)を推定した仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を算出する。
また、オンライン座標値修正プログラムは、第2濾波推定手段によって、指示座標値および第2観測共分散行列に基づいて、仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を補正した状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を算出する。
【0031】
そして、オンライン座標値修正プログラムは、予測推定手段によって、第2濾波推定手段で算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延し、予め定めた状態遷移規則に基づいて、状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値を予測する。さらに、オンライン座標値修正プログラムは、選択手段によって、第2濾波推定手段で算出された状態ベクトル濾波推定値(状態ベクトル)から、検出対象の位置(検出座標値)を選択し、修正座標値とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、位置検出装置によって自動検出された検出座標値を、操作者が座標指示装置によって指示する指示座標値によって修正を行うため、自動検出中においても位置の修正が可能になる。また、本発明は、座標指示装置に対して加えられた加圧値に基づいて検出座標値の修正を行うため、操作者が加圧値を制御することで、急激に修正座標を変化させることなく、時間的に滑らかに座標値の修正を行うことができる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、位置検出装置によって自動検出された検出座標値の信頼性値と、操作者が座標指示装置に対して加えた加圧値とに基づいて、検出座標値と指示座標値とを比例案分することで修正座標値を算出するため、この修正座標値は、一度に指示座標値に修正されることがない。このため、時間的に滑らかに修正を行うことができる。
【0034】
請求項3または請求項8に記載の発明によれば、位置検出装置によって自動検出された検出座標値と、操作者が座標指示装置によって指示する指示座標値とを、信頼性値と加圧値との比による単純な四則演算のみで算出することができるため、構成の単純化や、処理の高速化を実現することができる。
【0035】
請求項4または請求項9に記載の発明によれば、座標の修正を、濾波および予測の各処理によって、回帰型処理で実現している。このため、位置検出装置によって自動検出された検出座標値や、操作者が座標指示装置によって指示する指示座標値のいずれか一方または両方が一時的に欠落しても、時系列の修正座標値が出力されるため、修正座標値が大きく変化することがなく、時間的に滑らかな修正座標値が出力される。
【0036】
請求項5に記載の発明によれば、操作者が、映像内において、修正された修正座標値を図形によって視覚的に確認することができるため、その位置の正誤を素早く認識することができ、操作性を高めることができる。
【0037】
請求項6に記載の発明によれば、操作者が、映像内において、位置検出装置によって自動検出された検出座標値を図形によって視覚的に確認することができるため、操作者は、映像を見ながら操作を行うことができ、操作性を高めることができる。
【0038】
請求項7に記載の発明によれば、操作者が、映像内において、位置検出装置によって自動検出された検出座標値と修正された修正座標値とを図形によって、映像上で確認することができるため、座標値の修正作業の操作性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
≪第1の実施の形態≫
[オンライン座標値修正装置の構成]
まず、図1を参照して、オンライン座標値修正装置の構成について説明する。図1は、本発明における第1の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の構成を示すブロック図である。
図1に示したオンライン座標値修正装置1は、位置検出装置2から出力される検出対象の位置を示す検出座標値を修正するものである。なお、オンライン座標値修正装置1には、位置検出装置2以外に、座標指示装置3と、表示装置4とが接続されている。
【0040】
位置検出装置2は、検出対象の位置を示す検出座標値を時系列に出力するものである。なお、ここでは、位置検出装置2は、映像から、その映像に含まれるオブジェクト(検出対象)を検出するものとし、そのオブジェクトの検出座標値と、その確度を示す信頼性値とを出力することとする。例えば、位置検出装置2は、特開2002−358526号公報で開示されている映像オブジェクト検出・追跡装置を用い、映像オブジェクト検出・追跡装置で検出される推定位置を検出座標値とし、その推定位置の信頼度を信頼性値とする。なお、この検出座標値および信頼性値は、1次元の値であってもよいし、多次元のベクトル値であってもよい。
【0041】
座標指示装置3は、操作者が指示した座標を検出するとともに、操作者が当該座標指示装置3に対して加えた圧力の強さを示す加圧値を検出し、その座標である指示座標値と加圧値とを出力するものである。例えば、座標指示装置3は、筆圧感知機能付きのペンタブレット装置や、タッチパネル装置を用い、検出された2次元座標値を指示座標値とし、筆圧値を加圧値とする。なお、指示座標値は、2次元座標値のうちの1つである1次元座標値のみとしてもよいし、2次元座標を幾何変換することで、1次元乃至多次元の座標とすることとしてもよい。また、加圧値は、ペンタブレット装置におけるスタイラスペンにおいて検知される圧力値を用いてもよいし、タッチパネル装置において、スタイラスペン、タッチパネル装置本体、あるいは操作者の身体に装着された圧力センサによって検知された圧力値を用いることとしてもよい。
【0042】
表示装置4は、ブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の一般的な表示手段であって、位置検出装置2が検出を行うための映像や、位置検出装置2において検出された検出座標値や、オンライン座標値修正装置1において修正された修正座標値を表示するものである。なお、表示装置4は、例えば、タブレット(座標指示装置3)が一体化された液晶ディスプレイ装置としてもよい。また、表示装置4は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイス上に、透明または半透明のタッチパネル(座標指示装置)を備える構成であってもよい。
【0043】
以下、オンライン座標値修正装置1の構成について詳細に説明を行う。ここでは、オンライン座標値修正装置1は、検出情報入力手段10と、指示情報入力手段20と、加重合成手段30と、映像表示手段40とを備えている。
【0044】
検出情報入力手段10は、位置検出装置2において映像から検出された、オブジェクトの検出座標値と、その信頼性値とを入力するものである。この入力された検出座標値と信頼性値とは、加重合成手段30に出力される。なお、検出座標値は、映像表示手段40にも出力される。
【0045】
指示情報入力手段20は、操作者によって操作された座標指示装置3において検出された指示座標値と加圧値(以下、筆圧値とする)とを入力するものである。この入力された指示座標値と筆圧値とは、加重合成手段30に出力される。
【0046】
加重合成手段30は、検出情報入力手段10から入力された信頼性値と、指示情報入力手段20から入力された筆圧値とに基づいて、検出情報入力手段10から入力された検出座標値と、指示情報入力手段20から入力された指示座標値とを加重合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出するものである。ここでは、加重合成手段30は、第1重み係数算出手段31と、第2重み係数算出手段32と、座標値修正手段33とを備えている。
【0047】
第1重み係数算出手段31は、検出情報入力手段10から入力された信頼性値に基づいて、第1重み係数を算出するものである。例えば、第1重み係数算出手段31は、信頼性値の取り得る最小値から最大値までの値を、“0”から“1”の範囲の値に変換する。
すなわち、第1重み係数算出手段31は、信頼性値をr、その信頼性値rが高い場合に大きなスカラ量を出力する関数(第1重み係数算出関数)をf(r)としたとき、第1重み係数waを、以下の式(1)により算出する。なお、第1重み係数waの値は、“0”以上であるとする。
【0048】
【数1】

【0049】
この第1重み係数算出手段31で算出された第1重み係数は、座標値修正手段33に出力される。
【0050】
第2重み係数算出手段32は、指示情報入力手段20から入力された筆圧値に基づいて、第2重み係数を算出するものである。例えば、第2重み係数算出手段32は、筆圧値の取り得る最小値から最大値までの値を、“0”から“1”の範囲の値に変換する。
すなわち、第2重み係数算出手段32は、筆圧値をp、その筆圧値pが高い場合に大きなスカラ量を出力する関数(第2重み係数算出関数)をg(p)としたとき、第2重み係数wmを、以下の式(2)により算出する。なお、第2重み係数wmの値は、“0”以上であるとする。ただし、wa+wm>0とする。
【0051】
【数2】

【0052】
なお、ここでは、式(2)は、筆圧値pが高い場合に大きなスカラ量を出力することとして説明を行ったが、例えば、ペンタブレット(座標指示装置3)に常に筆圧を加えておき、指示を行いたいときに、筆圧を減らすような動作を行わせたいときは、式(2)は、筆圧値pが低い場合に大きなスカラ量を出力する関数とする。
この第2重み係数算出手段32で算出された第2重み係数は、座標値修正手段33に出力される。
【0053】
座標値修正手段33は、第1重み係数算出手段31および第2重み係数算出手段32からそれぞれ入力された第1重み係数および第2重み係数に基づいて、検出情報入力手段10および指示情報入力手段20からそれぞれ入力された検出座標値および指示座標値を比例案分することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出するものである。
すなわち、座標値修正手段33は、検出座標値をya、指示座標値をymとしたとき、第1重み係数waおよび第2重み係数wmを用いて、修正座標値youtを以下の式(3)により算出する。
【0054】
【数3】

【0055】
この座標値修正手段33で算出された修正座標値は、オンライン座標値修正装置1において修正された座標として、外部に出力される。なお、修正座標値は、映像表示手段40にも出力される。
これによって、操作者が座標指示装置3の操作において、筆圧をより強くすることで、検出座標値は、操作者が指示した位置により近づく方向に修正(大きく修正)される。また、筆圧を弱くすることで、検出座標値に対する修正量は小さくなる。
【0056】
映像表示手段40は、オンライン座標値修正装置1において修正される座標を視覚的に提示するものである。ここでは、映像表示手段40は、検出座標位置図形作画手段41と、修正座標位置図形作画手段42と、映像合成手段43とを備えている。
【0057】
検出座標位置図形作画手段41は、検出情報入力手段10から入力された検出座標値に対応する位置を示す図形を、図示を省略したメモリ(ビデオメモリ等)に作画するものである。これによって、位置検出装置2が検出した検出対象の位置を視覚的に示すことが可能になる。
【0058】
修正座標位置図形作画手段42は、加重合成手段30の座標値修正手段33から入力された修正座標値に対応する位置を示す図形を、図示を省略したメモリ(ビデオメモリ等)に作画するものである。これによって、検出座標値が修正された位置を視覚的に示すことが可能になる。
【0059】
映像合成手段43は、検出座標位置図形作画手段41および修正座標位置図形作画手段42において、図示を省略したメモリに作画された図形を、位置検出装置2に入力された映像と同一の映像に対して合成し、外部の表示装置4に出力するものである。
これによって、位置検出装置2が検出した検出対象の位置および検出座標値が修正された位置が表示装置4の画面上に表示されることになり、操作者は、視覚的にその修正が正しいかどうかを確認することができる。
【0060】
ここで、図5を参照(適宜図1参照)して、オンライン座標値修正装置1が、表示装置4に表示する映像について説明する。図5は、オンライン座標値修正装置が表示装置に表示する表示画面の例を示す図である。
図5に示すように、ここでは、一例として、サッカー競技場を撮影した映像を表示した例を示している。また、ここでは、位置検出装置2は、映像上の選手(図示せず)を追跡することで、オフサイドラインの位置を検出し、逐次、オフサイドラインのサイドライン方向の座標を検出座標値とし、その信頼性値とともに出力するものとしている。
【0061】
すなわち、オンライン座標値修正装置1は、位置検出装置2が検出したオフサイドラインの位置である検出座標値に基づいて作画された検出座標図形La(ここでは、破線の線分)を、表示画面D上に表示する。これによって、操作者は、位置検出装置2が検出したオフサイドラインの位置を確認しながら操作を行うことができる。
また、オンライン座標値修正装置1は、修正座標値に基づいて作画された修正座標図形Lout(ここでは、実線の線分)を、表示画面D上に表示する。これによって、操作者は、位置修正後におけるオフサイドラインの位置の正誤を視覚的に確認することができる。
【0062】
このようにオンライン座標値修正装置1を構成することで、オンライン座標値修正装置1は、位置検出装置2によって検出された検出対象の位置(検出座標値)と、操作者が座標指示装置3によって指示した位置(指示座標値)とを、信頼性値と筆圧値(加圧値)とに基づいて比例案分するため、修正座標値が、検出座標値から指示座標値に一度に変化することがない。このため、検出座標値は、操作者の筆圧の変化に伴って、滑らかに修正が行われることになる。
【0063】
なお、オンライン座標値修正装置1は、一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させることで実現することができる。このプログラム(オンライン座標値修正プログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0064】
以上、本発明に係るオンライン座標値修正装置の構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、位置検出装置2が信頼性値を出力せず、時系列に検出座標値のみを出力するものである場合、検出情報入力手段10は、検出座標値のみを入力し、第1重み係数算出手段31では、予め定めた検出座標値の信頼性値により、第1重み係数として固定の重み係数を出力することとする。例えば、前記式(3)において、第1重み係数waを“0.5”とする。
【0065】
また、映像表示手段40において、映像合成手段43が、検出座標位置図形作画手段41で作画された図形と、修正座標位置図形作画手段42で作画された図形との両方を映像に合成することとしたが、いずれか一方のみを映像と合成することとしてもよい。この場合、検出座標位置図形作画手段41または修正座標位置図形作画手段42のいずれか一方を構成から省略することとしてもよい。
【0066】
また、ここでは、加重合成手段30において、信頼性値および筆圧値から重み係数を算出し、その重み係数に基づく比例案分により、検出座標値を修正することとしたが、信頼性値および筆圧値の共分散に基づいて、検出座標値を修正することとしてもよい。なお、この信頼性値および筆圧値の共分散に基づいて、検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置については、第2の実施の形態として、後で詳細に説明を行う。
【0067】
[オンライン座標値修正装置の動作]
次に、図2を参照(構成については、適宜図1参照)して、オンライン座標値修正装置の動作について説明する。図2は、本発明における第1の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、オンライン座標値修正装置1において修正座標値を算出する加重合成手段30の動作を主に説明することとする。
【0068】
まず、オンライン座標値修正装置1は、検出情報入力手段10において、位置検出装置2から、検出対象の位置である検出座標値と、その確度を示す信頼性値とが入力されたかどうかを判定し(ステップS1)、入力されるまで待機する(ステップS1でNo)。
そして、オンライン座標値修正装置1は、検出座標値と信頼性値とが入力された段階(ステップS1でYes)で、加重合成手段30の第1重み係数算出手段31によって、信頼性値から第1重み係数を前記式(1)により算出する(ステップS2)。
【0069】
また、オンライン座標値修正装置1は、指示情報入力手段20において、座標指示装置3から、操作者が指示した位置である指示座標値と、筆圧の強さを示す筆圧値とが入力されたかどうかを判定する(ステップS3)。
そして、オンライン座標値修正装置1は、指示座標値と筆圧値とが入力された場合(ステップS3でYes)、加重合成手段30の第2重み係数算出手段32によって、筆圧値から第2重み係数を前記式(2)により算出し(ステップS4)、ステップS6に進む。
一方、指示座標値と筆圧値とが入力されていない場合(ステップS3でNo)、オンライン座標値修正装置1は、座標値修正手段33において、第2重み係数に“0”を設定する(ステップS5)。
【0070】
そして、オンライン座標値修正装置1は、座標値修正手段33によって、ステップS2で算出された第1重み係数と、ステップS4で算出された(またはステップS5で設定された)第2重み係数との比により、検出情報入力手段10および指示情報入力手段20からそれぞれ入力された検出座標値および指示座標値を、前記式(3)に示すように比例案分することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出し、出力する(ステップS6)。そして、オンライン座標値修正装置1は、ステップS1に戻って動作を継続する。
これによって、オンライン座標値修正装置1は、時系列に入力される検出座標値を、操作者が操作する座標指示装置3における筆圧の変化に伴って、滑らかに修正することができる。
【0071】
なお、フローチャートとしては図示していないが、オンライン座標値修正装置1は、検出座標値が入力された段階で、検出座標位置図形作画手段41によって、検出座標値に対応する位置を示す図形を、図示を省略したメモリに描画する。また、オンライン座標値修正装置1は、ステップS6において、修正座標値が算出された段階で、修正座標位置図形作画手段42によって、修正座標値に対応する位置を示す図形をメモリに描画する。
【0072】
そして、オンライン座標値修正装置1は、映像合成手段43によって、メモリ上に描画された図形を、位置検出装置2に入力された映像と同一の映像に対して合成し、外部の表示装置4に出力する。
これによって、操作者は検出座標値および修正座標値の位置を視認することができる。
【0073】
≪第2の実施の形態≫
[オンライン座標値修正装置の構成]
次に、図3を参照して、第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の構成について説明する。図3は、本発明における第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の構成を示すブロック図である。この第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置1Bは、図1で説明したオンライン座標値修正装置1と比較して、加重合成手段30(30B)のみが異なっているため、ここでは、その異なる構成となる加重合成手段についてのみ説明を行う。また、加重合成手段以外の構成については、オンライン座標値修正装置1と同一であるため、適宜図1を参照することとし、図示および説明を省略する。
【0074】
加重合成手段30Bは、検出情報入力手段10から入力された信頼性値と、指示情報入力手段20から入力された筆圧値とのそれぞれの共分散に基づいて、検出情報入力手段10から入力された検出座標値と、指示情報入力手段20から入力された指示座標値とを加重合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出するものである。ここでは、加重合成手段30Bは、第1観測共分散行列算出手段31Bと、第2観測共分散行列算出手段32Bと、座標値修正手段33Bとを備えている。
【0075】
第1観測共分散行列算出手段(第1重み係数算出手段)31Bは、検出情報入力手段10から入力された信頼性値から、第1重み係数となる共分散(第1観測共分散行列)を算出するものである。例えば、第1観測共分散行列算出手段31Bは、以下の式(4)により、信頼性値rを第1観測共分散行列Raに変換する。
【0076】
【数4】

【0077】
この関数J(r)は、半正定値行列(固有値がすべて“0”以上)を出力する関数(第1観測共分散行列算出関数)とする。例えば、検出座標値が2次元(例えば、x座標値、y座標値)の場合、関数J(r)は、2行2列の半正定値行列とする。
また、検出座標値がN次元の場合、関数J(r)は、以下の式(5)に示すN行N列のような対角行列を用いることができる。
【0078】
【数5】

【0079】
なお、fk(r)(k=1,2,…,N)は、検出座標値の第k成分の信頼性値rの分散を示し、分散値が小さいほど、信頼性が高いといえる。そこで、すべてのkにおいて、fk(r)>0とし、信頼性値rが、検出座標値の第k成分の信頼性が高いことを表す場合には、fk(r)に小さな値を設定するものとする。例えば、fk(r)は、検出座標値の第k成分の信頼性値rが取り得る最大値から最小値までの値を、“0”から“1”の範囲で設定する。
この第1観測共分散行列算出手段31Bで算出された第1観測共分散行列は、座標値修正手段33Bに出力される。
【0080】
第2観測共分散行列算出手段(第2重み係数算出手段)32Bは、指示情報入力手段20から入力された筆圧値から、第2重み係数となる共分散(第2観測共分散行列)を算出するものである。例えば、第2観測共分散行列算出手段32Bは、以下の式(6)により、筆圧値pを第2観測共分散行列Rmに変換する。
【0081】
【数6】

【0082】
この関数G(p)は、半正定値行列(固有値がすべて“0”以上)を出力する関数(第2観測共分散行列算出関数)とする。例えば、指示座標値が2次元(例えば、x座標値、y座標値)の場合、関数G(p)は、2行2列の半正定値行列とする。
また、指示座標値がN次元の場合、関数G(p)は、以下の式(7)に示すN行N列のような対角行列を用いることができる。
【0083】
【数7】

【0084】
なお、gk(p)(k=1,2,…,N)は、指示座標値の第k成分の筆圧値pの分散を示し、すべてのkにおいて、gk(p)>0とする。そして、筆圧値pが高い場合には、gk(p)に小さな値を設定するものとする。例えば、gk(p)は、指示座標値の第k成分の筆圧値pが取り得る最大値から最小値までの値を、“0”から“1”の範囲で設定する。
【0085】
また、ここでは、式(7)のgk(p)は、筆圧値pが高い場合に小さな値を設定することとして説明を行ったが、例えば、ペンタブレット(座標指示装置3)に常に筆圧を加えておき、指示を行いたいときに、筆圧を減らすような動作を行わせたいときは、gk(p)は、筆圧値pが低い場合に大きな値を設定することとする。
この第2観測共分散行列算出手段32Bで算出された第2観測共分散行列は、座標値修正手段33Bに出力される。
【0086】
座標値修正手段33Bは、第1観測共分散行列算出手段31Bおよび第2観測共分散行列算出手段32Bからそれぞれ入力(観測)された第1観測共分散行列および第2観測共分散行列に基づいて、検出情報入力手段10および指示情報入力手段20からそれぞれ入力された検出座標値および指示座標値を合成することで、検出座標値を修正した修正座標値を算出するものである。
この座標値修正手段33Bは、現在の内部状態を推定する「濾波」および未来の内部状態を推定する「予測」を行うことで時系列に内部状態を推定し、その内部状態に基づいて、検出座標値および指示座標値の合成を行う。ここで、内部状態とは、出力値となる修正座標値を含む状態ベクトルとする。例えば、座標値(修正座標値)をy、その単位時間差分(以下、速度という)をvとしたとき、状態ベクトルxを、以下の式(8)により定義する。
【0087】
【数8】

【0088】
ここでは、座標値修正手段33Bは、第1濾波推定手段33aと、第2濾波推定手段33bと、予測推定手段33cと、選択手段33dとを備えている。
【0089】
第1濾波推定手段33aは、検出情報入力手段10から入力された検出座標値と、第1観測共分散行列算出手段31Bで算出された第1観測共分散行列とに基づいて、後記する予測推定手段33cによって予測された状態ベクトル予測推定値と、状態共分散行列予測推定値とから、現在の状態を推定(濾波)した仮状態ベクトルと仮状態共分散行列とを算出するものである。
すなわち、第1濾波推定手段33aは、観測された情報(検出座標値および第1観測共分散行列)に基づいて、予測推定手段33cで予測された状態ベクトル(状態ベクトル予測推定値)および状態共分散行列(状態共分散行列予測推定値)から、現在の状態ベクトル(仮状態ベクトル)および状態共分散行列(仮状態共分散行列)を推定(濾波)するものである。なお、現在の状態は、後記する第2濾波推定手段33bによって、さらに推定が行われるため、この段階では仮の状態となる。
【0090】
例えば、第1濾波推定手段33aは、一般的なカルマンフィルタの濾波推定部による逐次推定処理により推定を行う。ここで、観測された情報である検出座標値をya、第1観測共分散行列をRa、予測推定手段33cにおいて時刻〔t−1〕までの状態から予測した時刻tの状態である状態ベクトル予測推定値をxt|t-1、状態共分散行列予測推定値をPt|t-1としたとき、第1濾波推定手段33aは、仮状態ベクトルxtmpおよび仮状態共分散行列Ptmpを、以下の式(9)により算出する。
【0091】
【数9】

【0092】
なお、ここで、Kaはカルマンフィルタにおけるゲイン(カルマンゲイン)を示している。また、Haは状態量(状態ベクトル)と観測量(座標値)との関係を示す観測行列を示している。また、Tは転置を表している。
例えば、観測行列Haは、前記式(8)に示したように、状態ベクトルxとして、N次元の座標値(修正座標値)yと、その速度vとを用いる場合、以下の式(10)とすることができる。なお、IN×NはN行N列の単位行列、ON×NはN行N列の零行列を示している。
【0093】
【数10】

【0094】
さらに一般化して、推定すべき座標(出力値となる修正座標値)を含んだ状態量(状態ベクトルx)と、観測量(検出座標値ya)との関係を関数(観測関数)ha(x)で表した場合、第1濾波推定手段33aは、以下の式(11)により、仮状態ベクトルxtmpおよび仮状態共分散行列Ptmpを算出する。なお、観測行列Haは、観測関数ha(x)を偏微分することにより算出される。
【0095】
【数11】

【0096】
このように算出された仮状態ベクトルxtmpおよび仮状態共分散行列Ptmpは、第2濾波推定手段33bに出力される。
【0097】
第2濾波推定手段33bは、指示情報入力手段20から入力された指示座標値と、第2観測共分散行列算出手段32Bで算出された第2観測共分散行列とに基づいて、第1濾波推定手段33aによって推定された仮状態ベクトルと、仮状態共分散行列とから、現在の状態を推定(濾波)した状態ベクトル濾波推定値と状態共分散行列濾波推定値とを算出するものである。
すなわち、第2濾波推定手段33bは、観測された情報(指示座標値および第2観測共分散行列)に基づいて、第1濾波推定手段33aで推定された状態ベクトル(仮状態ベクトル)および状態共分散行列(仮状態共分散行列)から、現在の状態ベクトル(状態ベクトル濾波推定値)および状態共分散行列(状態共分散行列濾波推定値)を推定(濾波)するものである。
【0098】
例えば、第2濾波推定手段33bは、一般的なカルマンフィルタの濾波推定部による逐次推定処理により推定を行う。ここで、観測された情報である指示座標値をym、第2観測共分散行列をRm、第1濾波推定手段33aで推定(濾波)された仮状態ベクトルをxtmp、仮状態共分散行列をPtmpとしたとき、第2濾波推定手段33bは、状態ベクトル濾波推定値xt|tおよび状態共分散行列濾波推定値Pt|tを、以下の式(12)により算出する。
【0099】
【数12】

【0100】
なお、ここで、Kmはカルマンフィルタにおけるゲイン(カルマンゲイン)を示している。また、Hmは状態量(状態ベクトル)と観測量(座標値)との関係を示す観測行列を示している。また、Tは転置を表している。
例えば、観測行列Hmは、前記式(8)に示したように、状態ベクトルxとして、N次元の座標値(修正座標値)yと、その速度vとを用いる場合、以下の式(13)とすることができる。なお、IN×NはN行N列の単位行列、ON×NはN行N列の零行列を示している。
【0101】
【数13】

【0102】
さらに一般化して、推定すべき座標(出力値となる修正座標値)を含んだ状態量(状態ベクトルx)と、観測量(指示座標値ym)との関係を関数(観測関数)hm(x)で表した場合、第2濾波推定手段33bは、以下の式(14)により、状態ベクトル濾波推定値xt|tおよび状態共分散行列濾波推定値Pt|tを算出する。なお、観測行列Hmは、観測関数hm(x)を偏微分することにより算出される。
【0103】
【数14】

【0104】
このように算出された状態ベクトル濾波推定値xt|tは、予測推定手段33cと選択手段33dとに出力される。また、状態共分散行列濾波推定値Pt|tは、予測推定手段33cに出力される。
【0105】
予測推定手段33cは、第2濾波推定手段33bによって算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延し、予め定めた状態遷移規則に基づいて、現在の状態を推定(予測)した状態ベクトル(状態ベクトル予測推定値)と、その状態ベクトルの共分散行列(状態共分散行列予測推定値)とを算出するものである。
ここでは、予測推定手段33cは、遅延手段331と、予測推定値算出手段332とを備えている。
【0106】
遅延手段331は、第2濾波推定手段33bによって算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延させるものである。この遅延手段331は、一般的なメモリ(図示せず)に、状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を保持し、1時点前(現在の時刻をtとしたときの〔t−1〕時点)の状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値をメモリから読み出して、予測推定値算出手段332に出力する。
【0107】
予測推定値算出手段332は、遅延手段331によって遅延されて出力された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値から、現在の状態を推定(予測)した状態ベクトル予測推定値と、状態共分散行列予測推定値とを算出するものである。
例えば、予測推定値算出手段332は、1時点前(時刻〔t−1〕)の状態ベクトル濾波推定値をxt-1|t-1、状態共分散行列濾波推定値をPt-1|t-1、状態遷移規則を示す状態遷移行列をF、プロセス雑音の共分散行列をQとしたとき、現時点(時刻t)の状態ベクトル予測推定値xt|t-1および状態共分散行列予測推定値Pt|t-1を、以下の式(15)により算出する。
【0108】
【数15】

【0109】
なお、式(15)における状態遷移行列Fは、状態遷移を行うための規則(状態遷移規則)として、予め図示を省略した記憶手段に記憶しておく。この状態遷移行列Fは、前記式(8)に示したように、状態ベクトルxとして、N次元の座標値(修正座標値)yと、その速度vとを用いる場合、以下の式(16)とすることができる。なお、IN×NはN行N列の単位行列、ON×NはN行N列の零行列を示している。
【0110】
【数16】

【0111】
この式(16)に示した状態遷移行列Fを用いることで、前記式(15)における状態遷移の予測は、等速度モデルによる予測となる。なお、状態遷移行列Fは等速度モデルのみならず、他のモデル(例えば、等加速度モデル等)を予測するための規則を設定することとしてもよい。
【0112】
また、前記式(15)におけるプロセス雑音の共分散行列Qは、状態ベクトル濾波推定値xt-1|t-1から、状態ベクトル予測推定値xt|t-1への遷移において考慮すべき不確かさを共分散行列で表したものであって、等速度モデルのモデル化誤差、外部から加えられるノイズ、外部振動等による外乱を考慮して設定する行列である。
例えば、プロセス雑音の共分散行列Qは、半正定値行列として与えることができ、前記式(8)に示したように、状態ベクトルxとして、N次元の座標値(修正座標値)yと、その速度vとを用いる場合、非負のスカラ値qを用いて、以下の式(17)とすることができる。なお、IN×NはN行N列の単位行列、ON×NはN行N列の零行列を示している。
【0113】
【数17】

【0114】
この予測推定値算出手段332で算出(予測)された状態ベクトル予測推定値と、状態共分散行列予測推定値とは、第1濾波推定手段33aに出力される。
【0115】
選択手段33dは、第2濾波推定手段33bによって算出された状態ベクトル濾波推定値から、検出対象の位置を選択し、修正座標値として出力するものである。
すなわち、選択手段33dは、時刻tにおける状態ベクトル予測推定値xt|tから、以下の式(18)に示すような関数ζを定義することで座標値(修正座標値yout)を取り出す。
【0116】
【数18】

【0117】
この関数ζは、前記式(8)に示したように、状態ベクトルxとして、N次元の座標値(修正座標値)yと、その速度vとを用いる場合、以下の式(19)とすることができる。なお、IN×NはN行N列の単位行列、ON×NはN行N列の零行列を示している。
【0118】
【数19】

【0119】
なお、出力される修正座標値youtは、検出情報入力手段10から入力された検出座標値や、指示情報入力手段20から入力された指示座標値と、必ずしも同じ座標系や同じ次元である必要はない。例えば、検出座標値や指示座標値には、画像上(表示装置4の画面上)の2次元座標を用い、修正座標値youtには、図5で示したサッカー競技場における地面上に対応する2次元座標を用いてもよい。この場合、選択手段33dには、映像に対応して、サッカー競技場を撮影したカメラのズーム、パン、チルト等のカメラパラメータを入力することとし、前記式(18)の関数ζは、そのカメラパラメータに基づいて、座標変換を行うこととする。
【0120】
以上説明したように、座標値修正手段33Bは、過去の状態から現在の状態を推定(予測)するとともに、観測情報に基づいて、現在の状態を推定(濾波)するため、観測情報が入力されない場合であっても、適宜座標値を推定して出力することができ、滑らかに修正を行うことができる。
【0121】
なお、オンライン座標値修正装置1Bは、一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させることで実現することができる。このプログラム(オンライン座標値修正プログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0122】
[オンライン座標値修正装置の動作]
次に、図4を参照(構成については、適宜図1および図3参照)して、オンライン座標値修正装置の動作について説明する。図4は、本発明における第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の主要動作を示すフローチャートである。ここでは、オンライン座標値修正装置1Bにおいて修正座標値を算出する加重合成手段30Bの動作を主に説明することとする。
【0123】
まず、オンライン座標値修正装置1Bは、検出情報入力手段10において、位置検出装置2から、検出対象の位置である検出座標値と、その確度を示す信頼性値とが入力されたかどうかを判定する(ステップS10)。
ここで、検出座標値と信頼性値とが入力された場合(ステップS10でYes)、オンライン座標値修正装置1Bは、第1観測共分散行列算出手段31Bによって、入力された信頼性値から、第1重み係数となる共分散(第1観測共分散行列)を前記式(4)により算出する(ステップS11)。
【0124】
そして、オンライン座標値修正装置1Bは、座標値修正手段33Bの第1濾波推定手段33aによって、ステップS10において入力された検出座標値と、ステップS11において算出された第1観測共分散行列とに基づいて、予測推定手段33cによって予測された状態ベクトル(状態ベクトル予測推定値)と状態共分散行列(状態共分散行列予測推定値)とから、現在の状態を推定した仮状態ベクトルと仮状態共分散行列とを前記式(9)により算出する(第1の濾波推定:ステップS12)。
一方、検出座標値と信頼性値とが入力されていない場合(ステップS10でNo)、第1濾波推定手段33aは、予測推定手段33cによって予測された状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値を、そのまま仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列とする(ステップS13)。
【0125】
次に、オンライン座標値修正装置1Bは、指示情報入力手段20において、座標指示装置3から、操作者が指示した位置である指示座標値と、筆圧の強さを示す筆圧値とが入力されたかどうかを判定する(ステップS14)。
ここで、指示座標値と筆圧値とが入力された場合(ステップS14でYes)、オンライン座標値修正装置1Bは、第2観測共分散行列算出手段32Bによって、入力された筆圧値から、第2重み係数となる共分散(第2観測共分散行列)を前記式(6)により算出する(ステップS15)。
【0126】
そして、オンライン座標値修正装置1Bは、座標値修正手段33Bの第2濾波推定手段33bによって、ステップS14において入力された指示座標値と、ステップS15において算出された第2観測共分散行列とに基づいて、第1濾波推定手段33aによって算出(濾波)された状態ベクトル(仮状態ベクトル)と状態共分散行列(仮状態共分散行列)とから、現在の状態を推定した状態ベクトル濾波推定値と状態共分散行列濾波推定値とを前記式(12)により算出する(第2の濾波推定:ステップS16)。
一方、指示座標値と筆圧値とが入力されていない場合(ステップS14でNo)、第2濾波推定手段33bは、第1濾波推定手段33aによって算出(濾波)された仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を、そのまま状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値とする(ステップS17)。
【0127】
そして、オンライン座標値修正装置1Bは、選択手段33dによって、第2濾波推定手段33bで算出(濾波)された状態ベクトル濾波推定値から、検出対象の位置を選択し、修正座標値として出力する(ステップS18)。
【0128】
さらに、オンライン座標値修正装置1Bは、予測推定手段33cによって、1時点前の状態ベクトル(状態ベクトル濾波推定値)および状態共分散行列(状態共分散行列濾波推定値)から、現時点の状態ベクトル(状態ベクトル予測推定値)および状態共分散行列(状態共分散行列予測推定値)を、前記式(15)により算出する(予測推定:ステップS19)。
そして、オンライン座標値修正装置1は、ステップS10に戻って動作を継続する。また、ステップS19で算出(予測)された状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値は、ステップS12およびステップS13で使用される。
【0129】
なお、映像表示手段40の動作は、第1の実施の形態で説明したオンライン座標値修正装置1と同じであるため、説明を省略する。
以上の動作によって、オンライン座標値修正装置1Bは、時系列に入力される検出座標値を、操作者の筆圧の変化に伴って、滑らかに修正することができる。また、オンライン座標値修正装置1Bは、検出座標値や指示座標値の入力がない場合であっても、適宜濾波推定、予測推定を行うことで、修正座標値を時系列に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明における第1の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における第1の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明における第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明における第2の実施の形態に係るオンライン座標値修正装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るオンライン座標値修正装置が表示装置に表示する表示画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0131】
1、1B オンライン座標値修正装置
2 位置検出装置
3 座標指示装置
4 表示装置
10 検出情報入力手段
20 指示情報入力手段
30、30B 加重合成手段
31 第1重み係数算出手段
31B 第1観測共分散行列算出手段(第1重み係数算出手段)
32 第2重み係数算出手段
32B 第2観測共分散行列算出手段(第2重み係数算出手段)
33、33B 座標値修正手段
33a 第1濾波推定手段
33b 第2濾波推定手段
33c 予測推定手段
33d 選択手段
40 映像表示手段
41 検出座標位置図形作画手段
42 修正座標位置図形作画手段
43 映像合成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出装置によって検出された検出対象の位置を示す検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置であって、
前記位置検出装置から前記検出座標値を入力する検出情報入力手段と、
操作者によって操作される座標指示装置から、修正を指示する位置を示す指示座標値と、前記操作者が前記座標指示装置に対して加えた加圧値とを入力する指示情報入力手段と、
予め定めた前記検出座標値の確度を示す信頼性値と前記加圧値とに基づいて、前記検出座標値と前記指示座標値とを加重合成することで、前記検出座標値を修正した修正座標値を算出する加重合成手段と、
を備えていることを特徴とするオンライン座標値修正装置。
【請求項2】
位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を修正するオンライン座標値修正装置であって、
前記位置検出装置から前記検出座標値と前記信頼性値とを入力する検出情報入力手段と、
操作者によって操作される座標指示装置から、前記操作者が指示する位置を示す指示座標値と、前記操作者が前記座標指示装置に対して加えた加圧値とを入力する指示情報入力手段と、
前記信頼性値と前記加圧値とに基づいて、前記検出座標値と前記指示座標値とを加重合成することで、前記検出座標値を修正した修正座標値を算出する加重合成手段と、
を備えていることを特徴とするオンライン座標値修正装置。
【請求項3】
前記加重合成手段は、
予め定めた算出式に基づいて、前記信頼性値から第1重み係数を算出する第1重み係数算出手段と、
予め定めた算出式に基づいて、前記加圧値から第2重み係数を算出する第2重み係数算出手段と、
前記検出座標値と前記第1重み係数との乗算値と、前記指示座標値と前記第2重み係数との乗算値との加算値に対して、前記第1重み係数と前記第2重み係数との加算値を除算することで前記修正座標値を算出する座標値修正手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオンライン座標値修正装置。
【請求項4】
前記加重合成手段は、
前記信頼性値の共分散行列を、前記検出情報入力手段において観測される第1観測共分散行列として算出する第1観測共分散行列算出手段と、
前記加圧値の共分散行列を、前記指示情報入力手段において観測される第2観測共分散行列として算出する第2観測共分散行列算出手段と、
前記検出座標値および前記第1観測共分散行列に基づいて、前記検出対象の位置を示す座標値を含んだ状態ベクトルおよび状態共分散行列を予測した状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値から、現在の状態を推定した仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を算出する第1濾波推定手段と、
前記指示座標値および前記第2観測共分散行列に基づいて、前記第1濾波推定手段で算出された仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を補正した状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を算出する第2濾波推定手段と、
この第2濾波推定手段によって算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延し、予め定めた状態遷移規則に基づいて、前記状態ベクトル予測推定値および前記状態共分散行列予測推定値を予測する予測推定手段と、
前記第2濾波推定手段によって算出された状態ベクトル濾波推定値から、前記検出対象の位置を示す座標値を選択し、前記修正座標値とする選択手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオンライン座標値修正装置。
【請求項5】
前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、
前記修正座標値で示される位置に対応する図形を作画する修正座標位置図形作画手段と、
この修正座標位置図形作画手段で作画された図形と、前記映像とを合成する映像合成手段と、
を備えた映像表示手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置。
【請求項6】
前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、
前記検出座標値で示される位置に対応する図形を作画する検出座標位置図形作画手段と、
この検出座標位置図形作画手段で作画された図形と、前記映像とを合成する映像合成手段と、
を備えた映像表示手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置。
【請求項7】
前記位置検出装置は、映像から前記検出対象の位置を検出するものであって、
前記検出座標値で示される位置に対応する図形を作画する検出座標位置図形作画手段と、
前記修正座標値で示される位置に対応する図形を作画する修正座標位置図形作画手段と、
この修正座標位置図形作画手段で作画された図形と、前記検出座標位置図形作画手段で作画された図形と、前記映像とを合成する映像合成手段と、
を備えた映像表示手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオンライン座標値修正装置。
【請求項8】
位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を、操作者によって操作される座標指示装置から出力される指示座標値と、前記座標指示装置に対して加えられた加圧値とに基づいて修正するために、コンピュータを、
前記信頼性値に基づいて、第1重み係数を算出する第1重み係数算出手段、
前記加圧値に基づいて、第2重み係数を算出する第2重み係数算出手段、
前記検出座標値と前記第1重み係数との乗算値と、前記指示座標値と前記第2重み係数との乗算値との加算値に対して、前記第1重み係数と前記第2重み係数との加算値を除算することで前記検出座標値を修正した修正座標値を算出する座標値修正手段、
として機能させることを特徴とするオンライン座標値修正プログラム。
【請求項9】
位置検出装置から確度を示す信頼性値とともに出力される、検出対象の位置を示す検出座標値を、操作者によって操作される座標指示装置から出力される指示座標値と、前記座標指示装置に対して加えられた加圧値とに基づいて修正するために、コンピュータを、
前記信頼性値の共分散行列を、第1観測共分散行列として算出する第1観測共分散行列算出手段、
前記加圧値の共分散行列を、第2観測共分散行列として算出する第2観測共分散行列算出手段、
前記検出座標値および前記第1観測共分散行列に基づいて、前記検出対象の位置を示す座標値を含んだ状態ベクトルおよび状態共分散行列を予測した状態ベクトル予測推定値および状態共分散行列予測推定値から、現在の状態を推定した仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を算出する第1濾波推定手段、
前記指示座標値および前記第2観測共分散行列に基づいて、前記第1濾波推定手段で算出された仮状態ベクトルおよび仮状態共分散行列を補正した状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を算出する第2濾波推定手段、
この第2濾波推定手段によって算出された状態ベクトル濾波推定値および状態共分散行列濾波推定値を遅延し、予め定めた状態遷移規則に基づいて、前記状態ベクトル予測推定値および前記状態共分散行列予測推定値を予測する予測推定手段、
前記第2濾波推定手段によって算出された状態ベクトル濾波推定値から、前記検出対象の位置を示す座標値を選択し、前記検出座標値を修正した修正座標値とする選択手段、
として機能させることを特徴とするオンライン座標値修正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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