説明

オン・デマンドのPOSスキャナ・アクセスのための方法、装置、およびプログラム(オン・デマンドのPOSスキャナ・アクセス)

【課題】スキャナ・デバイスを自動的にユーザに関連付けるための技法を提供する。
【解決手段】モバイル式POSスキャナ・デバイスを特定の買い物客に関連付けるか、あるいは関連付け解除するか、またはそれら両方を行う。買い物客は、バイオメトリクスを用いてスキャンすることで、識別することができる。使用の一例として、買い物客の指紋をスキャンし、これをトリガとしてスキャナを活性化して商品のバーコードをスキャンする。この指紋をスキャンしたバーコードと共にサーバまたは他のデバイスに送信し、以前にストアした情報と比較する。次いで、指紋に対応する買い物客にスキャナを自動的に関連付ける。スキャンを買い物客から関連付け解除することは、センサ・デバイスの一部を形成するセンサ(ライト等)を用いてトリガされる。これによって、買い物客がスキャナ・デバイスから手を離すとセンサが活性化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、POS(point-of-sale)スキャナ・デバイスに関し、更に具体的には、スキャナ・デバイスを買い物客にオン・デマンドで自動的に関連付けると共に関連付けを解除するためのそのようなデバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「ショッピングの相棒(shopping buddy)」アプリケーションを用いると、買い物客は情報伝達デバイスを持って小売店または他の環境を歩き回り、これによって様々なタイプの情報を収集することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある手法の場合、買い物客は、多数のスキャナが利用可能なデパート内の受付所(kiosk)に行く。買い物客が受付所を介して識別情報を提供すると、「ショッピングの相棒」
アプリケーションは利用可能なスキャナの1つを買い物客に割り当てる。通常、ライトが光って、買い物客に使用するスキャナがどれであるかを示す。多数のスキャナが利用可能である場合、買い物客が割り当てられたスキャナを突き止めるのは時間がかかり、あるいは面倒であり、またはその両方である。
【0004】
別の手法では、ショッピング・カートにタブレットの大きさコンピューティング・デバイスが搭載されている。コンピューティング・デバイスには、バーコード・スキャナを装備することができる。買い物客がコンピューティング・デバイスに識別情報を提供すると、商品をショッピング・カートに入れる際にスキャナを用いてその商品のバーコードを読み取ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本発明は、スキャナ・デバイスを自動的にユーザに関連付けるための技法を提供する。この技法は、バイオメトリック・センサを用いて構成されたスキャナ・デバイスによって、ユーザのバイオメトリック情報(biometric information)を捕捉するステップと、スキャナ・デバイスによって商品の商品識別情報(商品のバーコード等)をスキャンするステップと、であって、捕捉したバイオメトリック情報およびスキャンした商品識別情報をコンピューティング・デバイスに送信することができ、このコンピューティング・デバイスが、捕捉したバイオメトリック情報を以前にストアしたバイオメトリック情報と比較してユーザを識別し、これによって識別したユーザにスキャナ・デバイスを(および、結果としてスキャンした商品も)自動的に関連付けるように適合されている、ステップと、を含む。これ以降のスキャンについて、この後にスキャンした商品をユーザに自動的に関連付ける1つの方法は、バイオメトリック情報の代わりに認証トークンをコンピューティング・デバイスに送信することであり、この場合、スキャナ・デバイスのユーザとの関連付けが失われるまで、この認証トークンが有効のままであると好ましい。
【0006】
別の態様において、本発明は、スキャナ・デバイスを自動的にユーザに関連付けるための技法を提供する。この技法は、スキャナ・デバイスによってユーザの顧客愛用カードをスキャンすることで顧客愛用カード情報を捕捉するステップであって、捕捉した顧客愛用カード情報をコンピューティング・デバイスに送信することができ、このコンピューティング・デバイスが、捕捉した顧客愛用カード情報を以前にストアした顧客愛用カード情報と比較してユーザを識別し、これによって識別したユーザにスキャナ・デバイスを(および、結果としてスキャナによってスキャンした商品も)自動的に関連付けるように適合されている、ステップと、ユーザがスキャナ・デバイスとの物理的な接触を失った場合にユーザからスキャナ・デバイスを自動的に関連付け解除するステップと、を含む。任意に、スキャンした顧客愛用カード情報は、スキャンした商品の商品識別情報と共に送信することも可能である。スキャンした商品をユーザに自動的に関連付ける1つの方法は、顧客愛用カード情報を繰り返しスキャンすることあるいは送信することまたはそれら双方を行うのではなく、認証トークンをコンピューティング・デバイスに送信することである。
【0007】
更に別の態様において、本発明は、スキャナ・デバイスを自動的にユーザから関連付け解除する技法を提供する。この技法は、スキャナ・デバイスによって捕捉された特定のユーザの識別情報を、複数のユーザの以前にストアされた識別情報と照合して、特定のユーザをスキャナ・デバイスに自動的に関連付けるステップと、スキャナ・デバイスが特定のユーザに関連付けられている間、スキャナ・デバイスがスキャンした商品を特定のユーザのショッピング・カートに追加するステップと、スキャナ・デバイスのセンサによって、特定のユーザのスキャナ・デバイスとの物理的な接触が失われたことを検出するステップと、この検出に応答して、特定のユーザからスキャナ・デバイスを自動的に関連付け解除するステップと、を含む。スキャナ・デバイスがユーザに関連付けれられている間に認証トークンを用いる場合、関連付け解除は、認証トークンを無効にすることを含むと好ましい。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、ユーザとの自動的な関連付けを行うように適合されたスキャナ・デバイスを提供する。このスキャナ・デバイスは、ユーザのバイオメトリック情報を取得するためのバイオメトリック・センサと、商品の商品識別情報をスキャンするための商品スキャナ部と、取得したバイオメトリック情報をコンピューティング・デバイスに送信するために適合された送信器であって、このコンピューティング・デバイスが、送信されたバイオメトリック情報を以前にストアしたバイオメトリック情報と比較してユーザを識別し、これによって識別したユーザにスキャナ・デバイスを自動的に関連付け、更に、商品識別情報をコンピューティング・デバイスに送信する、送信器と、を含む。
【0009】
更に別の態様において、本発明は、スキャナ・デバイスをユーザに関連付けるための技法を提供する。この技法は、スキャナ・デバイスから、ユーザのバイオメトリック情報および商品の商品識別情報を受信するステップであって、バイオメトリック情報がスキャナ・デバイスのバイオメトリック・センサによって捕捉され、商品識別情報がスキャナ・デバイスの商品スキャニング部によって捕捉される、ステップと、受信したバイオメトリック情報を以前にストアしたバイオメトリック情報と比較することによってユーザを識別するステップと、識別したユーザにスキャナ・デバイスを自動的に関連付けるステップと、ユーザのショッピング・リストに商品を追加するステップと、を含む。
【0010】
前述のことは要約であり、従って、必要に応じて、詳細の簡略化、一般化、および省略を含む。このため、この要約が例示のみであり、いかなる点でも限定を意図していないことは、当業者には認められよう。本発明の他の態様、新規の特徴、および利点は、特許請求の範囲によって規定されるように、以下に明記する非限定的な詳細な説明において明らかとなろう。
【0011】
本発明について、以下の図面を参照して説明する。図面全体を通じて、同様の参照番号は同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】買い物客の識別のためにバイオメトリクスを利用する実施形態を示す。
【図2】本発明の1つ以上の実施形態と共に使用可能である代表的なスキャナ・デバイスを示す。
【図3】買い物客の識別のために顧客愛用カード(shopper loyalty card)を利用する実施形態を示す。
【図4】買い物客からのスキャナ・デバイスの自動的な関連付け解除を示す。
【図5】プログラム・コードのストアあるいは実行またはそれら両方を行うのに適切なデータ処理システムを示す。
【図6】本発明の1つ以上の実施形態を使用可能な代表的なネットワークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態によって、モバイル式POSスキャナ・デバイスを特定の買い物客に対して迅速に関連付けし、あるいは関連付け解除し、またはそれら両方を行うことができ、これによって、スキャナ・デバイスによってスキャンした商品を、買い物客のショッピング・カートまたはショッピング・リスト等、買い物客に関連付けたリスト(または他のデータ構造)に加えることができる。買い物客をスキャナに対して識別するための代替的な方法には、バイオメトリクス(biometrics)および顧客愛用カードのスキャンが含まれる。
【0014】
既存の「ショッピングの相棒」アプリケーションにおいては、買い物客は自身をアプリケーションに対して明確に識別し、これによって、デバイス(受付所に搭載されたスキャナまたはカートに搭載されたコンピューティング・デバイス)を買い物客に別個に関連付ける。買い物客が買い物を終えると、買い物客は明確にデバイスからの関連付けを解除する。買い物客は店員とやり取りして清算をするか、または他の方法でそのショッピングを完了しなければならない場合がある。このために、「急ぎの(quick trip)」買い物客はこれらのデバイスの使用を控えることがある。
【0015】
ここに開示する教示を用いて、買い物客とモバイル式POSスキャナ・デバイスとののオン・デマンドの関連付けおよび関連付け解除が行われる。これによって、買い物客は、「ショッピングの相棒」アプリケーションを用いる際に、店内に入っていき、スキャナを手に取り、いくつかの商品をスキャンし、終わったらスキャナを置けば良い。商品をスキャンすると、その識別子が無線伝送を用いてサーバに送信され、買い物客のバーチャル・ショッピング・カートまたは買い物客のショッピング・リストに入れられることが好ましい。買い物客が1つ以上の商品のスキャンを終えると、彼または彼女は、理想的には店員の助けを必要とせずに、清算することができる。
【0016】
ここに開示するオン・デマンドの技法は、自動的に買い物客をスキャナに関連付けること、あるいは自動的に買い物客をスキャナから関連付け解除すること、またはそれら両方を行う。従って、好適な実施形態は、ショッピングにおけるステップの数を減らし、更にショッピングに必要な時間も短縮する。
【0017】
一実施形態において、買い物客を識別するため、これによってその買い物客がスキャンした商品に買い物客を関連付けるために、指紋スキャン等のバイオメトリクス技術を用いる。ここで図1を参照すると、この実施形態が更に詳細に記載されている。
【0018】
買い物客が、ここでは指紋スキャナと称するバイオメトリック・スキャナに接触すると(ブロック100)、買い物客の指紋がスキャンされ(ブロック110)、スキャナ・デバイスは、バーコード・スキャンのためにそのレーザをオンにすると好ましい(ブロック120)。スキャナがバーコードを見つけると(ブロック130)、好ましくは、バーコードおよびスキャンされたバイオメトリック情報がサーバまたは他のデバイス(ここでは参照を容易にするためにサーバと称する)に送信され(ブロック140)、送信された情報は以前にストアされた情報と比較される(ブロック150)。以前にストアされた情報は、買い物客がショッピングしている商店の店主専用のものである場合がある。別の例として、多数の店主(または他のエンティティ)が共有するレポジトリを調べる場合がある。送信されたバイオメトリック情報を以前にスキャンされた情報の入力と照合して、バイオメトリック情報に対応する買い物客を識別し(ブロック160)、バイオメトリック情報をスキャンしたスキャナに関連付ける。次いで、バーコードに対応するスキャンした商品を、その買い物客のバーチャル・ショッピング・カートまたはショッピング・リストに追加する(ブロック170)。
【0019】
ブロック100における接触は、買い物客がスキャナのトリガまたはボタンを活性化した場合に起こり得る(例えば、以下に述べる図2のトリガ220を参照)。別の手法では、ブロック100における接触は、買い物客が最初にスキャナを手に取った場合に起こり得る。どちらの手法においても、ブロック160の処理の後、関連付け解除が行われるまで、スキャナはこの特定の買い物客に関連付けられたままであることが好ましい。(関連付け解除については、図4を参照して以下で更に詳細に述べる)。従って、好ましくは、ブロック130、140、および170の処理を、以降スキャンする商品について繰り返す。留意すべきことは、いったん最初に買い物客を識別すると、スキャナおよびサーバは買い物客をそれ以降に識別するための手段を手配して、買い物客のバイオメトリック情報を繰り返しスキャンするかあるいは送信するかまたはその両方を行う必要がないようにすることができる。いくつかの実施形態においては、これは、サーバにおいて認証トークンを発生し、このトークンをスキャナに渡し、次いで、ブロック140の以降の繰り返しにおいてスキャナから認証トークンを送信することを含む。
【0020】
ここで図2を参照すると、本発明の1つ以上の実施形態と共に使用可能である代表的なスキャナ・デバイス200が示されている。スキャナ・デバイス200は、商品スキャニング部210を含み、これは商品のバーコードを読み取るためにレーザ技術を用いることができる。スキャナ・デバイス200のハンドル部260は、買い物客がデバイスを把持する部分であり、好ましくは、トリガ部230およびバイオメトリック・スキャニング部220を含む。バイオメトリック・スキャニング部220は、図示のように、トリガ部230の一部から成るものとすることができる。あるいは、トリガ部230の全体またはデバイスの全く別の部分を、バイオメトリック・スキャニングのために適合させることができる。センサ部250は、好適な実施形態において、買い物客からスキャナ・デバイス200を自動的に関連付け解除するために用いられ(図4を参照して更に詳細に述べる)、好ましくは、ハンドル部260内の1つ以上の位置に配置されて、買い物客がスキャナ・デバイス200を置いたかまたはそれを格納場所に戻した場合にこのセンサ部250がトリガされるようになっている。
【0021】
スキャナ・デバイス200は、買い物客がスキャンした商品を購入することなく価格のチェックをすること、ショッピング・カートまたはリストから以前にスキャンした商品を除去すること等、ショッピング機能のためのボタンを含むことができる。かかるボタンは図2に示していない。
【0022】
本発明の別の実施形態においては、買い物客の識別のために顧客愛用カードを利用し、これによって買い物客が以降スキャンする商品に買い物客を関連付ける。この実施形態について、これより図3を参照して更に詳細に説明する。
【0023】
顧客愛用カードをスキャンする(ブロック300)。スキャンした顧客愛用カード情報を、サーバまたは他のデバイスに送信する(ブロック310)。送信された顧客愛用カード情報を以前にストアした情報と比較する(ブロック320)。スキャンした顧客愛用カード情報を以前にストアした情報の入力と照合して、顧客愛用カードに対応する買い物客を識別し(ブロック330)、顧客愛用カードをスキャンしたスキャンに関連付ける。買い物客がスキャナを把持している(または他の方法でスキャナと物理的な接触を保っている)間、行われるあらゆる商品スキャン(ブロック340)も、スキャンした顧客愛用カード情報と共にサーバまたは他のデバイスに送信する(ブロック350)ことが好ましい。スキャンした商品をその買い物客のバーチャル・ショッピング・カートまたはショッピング・リストに追加する(ブロック360)。
【0024】
いったんブロック330に示した関連付けが行われると、関連付け解除が行われるまで、スキャナはこの特定の買い物客に関連付けられたままであることが好ましい。従って、好ましくは、これ以降スキャンされる商品について、ブロック340から360の処理を繰り返す。上述のように、いったん買い物客が最初に識別されると、スキャナおよびサーバは、サーバにおいて認証トークンを発生させ、このトークンをスキャナに渡し、次いでスキャナから認証トークンを送信する(すなわちブロック350の以降の繰り返しにおいて)等、買い物客をそれ以降に識別するための手段を手配することができる。図3に示した論理フローに対する代替的な方法として、ブロック310における送信は、買い物客が最初の商品をスキャンするまで遅らせることができる。いったんここに開示した教示が理解されれば、図3に示す処理をこの代替案について変更可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0025】
ここで、図4を参照して、特定の買い物客との自動的な関連付け解除について述べる。好ましくは、光によってトリガされるセンサ等のセンサがスキャナ・デバイスに配置されており、買い物客がデバイスと物理的に接触しなくなるとセンサが活性化するようになっている。通常、これが起こるのは、買い物客がデバイスを置いた場合である。例えば、センサは、買い物客がスキャナ・デバイスを把持している間は買い物客の手がセンサを覆い、これによってセンサの活性化を防ぐように配置されていると好ましい。(上述の図2のセンサ部250についての説明を参照。)センサ活性化によって示すように(ブロック400)、いったん買い物客がデバイスとの充分な接触を失うと、好適な実施形態では、自動的な関連付け解除が開始し、関連付け解除タイマを用いて偶発的なセンサ活性化を防ぐ。あるいは、デバイスを置くとすぐに関連付け解除をトリガすることも可能である。従って、ブロック410では、関連付け解除タイマが用いられるか否かを調べる。関連付け解除をすぐにトリガする場合、ブロック410における調査では否定の結果が出る。任意に、本発明の実施形態では、買い物客が、例えば、すぐに関連付け解除を行うために設定されたスキャナ上のボタンを押すことによって、タイマの使用を無効にすることも可能である。買い物客がこのタイマ無効を用いる場合も、ブロック410における調査では否定の結果が出る。ブロック410における否定の結果の後、制御は以下に述べるブロック460に移る。
【0026】
ブロック410における調査で肯定の結果が出た場合(すなわち関連付け解除タイマを用いる場合)、ブロック420ではタイマを開始させる。タイマ長は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な方法で決定することができる。一例として、買い物客が識別されている場合、買い物客プロファイルから買い物客に固有のタイムアウト値を取得することができる。(買い物客プロファイルは、買い物客がタイマよりもブロック410を参照して上述した無効ボタン手法の使用を好むことを明記する等、他の情報を提供することができる。従って、ブロック410の調査では買い物客プロファイルからの情報を用いることができる。)別の例として、店主に固有の値を取得することも可能である(例えば、図1または図3の処理中に、店主のサーバまたは他のレポジトリから買い物客情報にアクセスした場合)。更に別の例として、タイムアウト値(または無効デフォルト値)は、スキャナ・デバイス200においてその製造業者によって設定することも可能である。
【0027】
ブロック430では、タイマが作動している間に割込が発生したか否かを調べる。この割込みは、買い物客がスキャナ・デバイスを使用し続けていることを示す。例えば、別の商品のバーコード(および認証トークン、またはバイオメトリックの実施形態ではおそらく買い物客の指紋)が送信される場合がある。ブロック430における調査で肯定の結果が出た場合、買い物客との関連付けを維持し(ブロック440)、関連付け解除の処理が完了する前にこれを終了する。このようにして、偶発的なセンサの活性化(例えばスキャナ・デバイス200が買い物客の手から落ちてしまうことによる)はプログラムによって無視することができる。次いで図4の制御は終了する。
【0028】
一方、ブロック430における調査で否定の結果が出た場合、制御はブロック450に移動し、タイマが切れたか否かを調べる。切れていない場合、制御はブロック430に戻り、タイマは作動を続ける。(明らかに、ブロック430および450に示すループは、一般的な意味でタイマを用いたイベントの使用を例示することを意図している。)ブロック450における調査においてタイマが切れたと判定されると、スキャナ・デバイスは買い物客から関連付け解除される(ブロック460)。次いで図4の処理は終了する。
【0029】
本発明に開示する技法は、多種多様な商品と共に、様々な商店において使用可能である。ここで言及する「買い物客」は、より一般的には「ユーザ」と称することができる。ここに開示した本発明の教示から逸脱することなく、指紋スキャン以外のバイオメトリック情報をスキャナによって捕捉して、買い物客を識別するために用いることができる。更に、図2に示したもの等のスキャナ・デバイス200の使用を参照して好適な実施形態を説明したが、これは例示であり、限定ではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプのモバイル・デバイスも使用可能である。更に、ここではバーコードのスキャンを参照して実施形態を記載したが、これは例示であり限定ではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプの商品識別情報をデバイスによって捕捉することができる。
【0030】
当業者には認められようが、本発明の選択した構成要素を、方法、システム、あるいはコンピュータ読み取り可能プログラム・コードをコンピュータ・プログラム、またはそれら全てとして提供することができる。従って、本発明は、全体的にハードウェアの実施形態の形態を取ることが可能である。あるいは、ソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態を用いることができる。あるいは、本発明の構成要素をソフトウェアの実施形態において提供することも可能である(特許請求の範囲に述べるように)。
【0031】
更に、本発明の構成要素は、コンピュータもしくはいずれかの命令実行システムによって、またはそれに関連付けて用いられるプログラム・コードを提供するコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ読み取り可能媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムの形態を取ることができる。この記載の目的のため、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ読み取り可能媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって、またはそれに関連付けて用いられるプログラムを含有、格納、伝達、伝搬、または伝送することができるいずれかの装置とすることができる。
【0032】
この媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム(もしくは装置もしくはデバイス)、または伝搬媒体とすることができる。コンピュータ読み取り可能媒体の例は、半導体または固体メモリ、磁気テープ、着脱可能コンピュータ・ディスケット、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、リード・オンリ・メモリ(「ROM」)、リジッド(rigid)磁気ディスク、および光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、リード・オンリ・メモリ(「ROM」)を有するコンパクト・ディスク、リード/ライト(「CD−R/W」)のコンパクト・ディスク、およびDVDを含む。
【0033】
ここで図5を参照すると、プログラム・コードのストアあるいは実行またはそれら両方に適したデータ処理システム500は、システム・バス514を介してメモリ要素に直接または間接に結合された少なくとも1つのプロセッサ512を含む。メモリ要素は、プログラム・コードの実際の実行中に用いられるローカル・メモリ528、バルク・ストレージ530、および、実行中にバルク・ストレージからコードを検索しなければならない回数を減らすために少なくともいくつかのプログラム・コードの一時的なストレージを提供するキャッシュ・メモリ(図示せず)を含むことができる。
【0034】
入/出力(I/O)デバイス(キーボード518、ディスプレイ524、ポインティング・デバイス520、他のインタフェース・デバイス522等を含むが、これらには限定されない)を、直接にまたは介在するI/Oコントローラもしくはアダプタを介してのいずれかで(516、526)、システムに結合することができる。
【0035】
また、システムにネットワーク・アダプタを結合することで、データ処理システムは、介在する構内網または公衆網を介して(一般的に532に示す)、他のデータ処理システムまたは遠隔のプリンタもしくはストレージ・デバイスに結合することができる。現在利用可能なネットワーク・アダプタのタイプのいくつかとして、モデム、ケーブル・モデム装置、ワイヤレス・アダプタ、およびイーサネット(登録商標)・カードが挙げられる。
【0036】
図6は、本発明を実施可能なデータ処理ネットワーク600を示す。データ処理ネットワーク600は、無線ネットワーク642およびネットワーク644等、複数の個別のネットワークを含む場合がある。無線ネットワーク642では、複数のスキャナ・デバイス610(および、図示しないが、他のデバイスも)が通信を行うことができ、ネットワーク644では、ワークステーション611のような(例示として)図示する複数のデバイスが通信を行うことができる。更に、当業者には認められようが、1つ以上のローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)を含むことがある(図示せず)。この場合、LANは、ホスト・プロセッサに結合された複数のデバイスを含む場合がある。
【0037】
更に図6を参照すると、ネットワーク642および644は、ゲートウェイ・コンピュータ646またはアプリケーション・サーバ647(データ・レポジトリ648にアクセスすることができる)等のメインフレーム・コンピュータまたはサーバも含むことができる。ゲートウェイ・コンピュータ646は、各ネットワーク644に対するエントリ・ポイントとして機能する。ゲートウェイ646は、好ましくは、通信リンク650aによって別のネットワーク642に結合することができる。また、ゲートウェイ646は、通信リンク650b、650cを用いて1つ以上のワークステーション611に直接結合するか、あるいは、かかるデバイスに間接的に結合するか、またはそれら両方とすることができる。ゲートウェイ・コンピュータ646は、International Business Machines Corporation(IBM(登録商標)から入手可能なEnterprise Systems Architecture/370(登録商標)、Enterprise Systems Architecture/390(登録商標)コンピュータ等を用いて実施することができる。用途に応じて、Application System/400(登録商標)(AS/400(登録商標)としても知られる)等の中型コンピュータも使用可能である。(「Enterprise Systems Architecture/370」はIBM社の商標である。「IBM」、「Enterprise Systems Architecture/390」、「Application Systems/400」、および「AS/400」はIBM社の登録商標である。)
【0038】
また、ゲートウェイ・コンピュータ646は、ストレージ・デバイス(データ・レポジトリ648等)に結合することができる(649)。
【0039】
ゲートウェイ・コンピュータ646は、ネットワーク642から地理的に大きい距離をおいて配置することができ、同様に、スキャナ・デバイス610あるいはワークステーション611またはそれら両方は、ネットワーク642および644からそれぞれある程度の距離をおいて配置することができることは、当業者には認められよう。例えば、ネットワーク642をカリフォルニア州に配置し、ゲートウェイ646をテキサス州に配置し、ワークステーション611の1つ以上をフロリダ州に配置することができる。スキャナ・デバイス610は、携帯電話、無線周波数ネットワーク、衛星ネットワーク等、多数の代替的な接続媒体によって、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等のネットワーキング・プロトコルを用いて無線ネットワーク642に接続する
ことができる。無線ネットワーク642は、好ましくは、IP上のTCPまたはユーザ・データグラム・プロトコル(「UDP」)、X.25、フレーム・リレイ、統合デジタル通信網(「ISDN」)、公衆交換電話網(「PSTN」)等のネットワーク接続650aを用いてゲートウェイ646に接続する。ワークステーション611は、ダイアル接続650bまたは650cを用いて直接ゲートウェイ646に接続することができる。更に、無線ネットワーク642およびネットワーク644は、図6に示したのと同様の方法で、1つ以上の他のネットワーク(図示せず)に接続することができる。
【0040】
本発明の好適な実施形態を説明したが、当業者が基本的な本発明の概念を学んだら、これらの実施形態における更に別の変更および変形も想起されよう。従って、特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲内に該当する好適な実施形態ならびに全てのかかる変更および変形を含有すると解釈されることが意図される。更に、特許請求の範囲において「a」または「an」を用いることは、本発明の実施形態においてこの冠詞を用いた要素を単数に限定することを意図していないと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ・デバイスを自動的にユーザに関連付ける方法であって、
バイオメトリック・センサを用いて構成されたスキャナ・デバイスによって、ユーザのバイオメトリック情報を捕捉するステップと、
前記スキャナ・デバイスによって商品の商品識別情報をスキャンするステップであって、前記捕捉したバイオメトリック情報および前記スキャンした商品識別情報をコンピューティング・デバイスに送信することができ、前記コンピューティング・デバイスが、前記捕捉したバイオメトリック情報を以前にストアしたバイオメトリック情報と比較して前記ユーザを識別し、これによって前記識別したユーザに前記スキャナ・デバイスを自動的に関連付けるように適合されており、前記商品識別情報をスキャンした前記商品も前記ユーザに関連付けられる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記商品識別情報をスキャンした前記商品を、前記ユーザに関連付けたバーチャル・ショッピング・カートに追加するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスを手に取ると前記捕捉ステップが自動的に呼び出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザが前記バイオメトリック・センサに接触すると前記捕捉ステップが自動的に呼び出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スキャナ・デバイスがトリガ部を有するように構成され、
前記バイオメトリック・センサが前記トリガ部に配置され、
前記ユーザが前記トリガ部を押すと前記捕捉ステップが自動的に呼び出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピューティング・デバイスにおいて、前記捕捉したバイオメオトリック情報および前記スキャンした商品識別情報を受信するステップと、
前記受信したバイオメトリック情報を前記以前にストアしたバイオメトリック情報と比較し、これによって前記ユーザを識別するステップと、
前記比較するステップに応答して、前記スキャナ・デバイスを自動的に前記ユーザに関連付けるステップであって、前記スキャナ・デバイスが前記ユーザに関連付けられている間、以降スキャンされたあらゆる商品を自動的に前記ユーザに関連付けるようになっている、ステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
自動的な関連付け解除が行われるまで、前記スキャナ・デバイスが前記識別されたユーザに関連付けされたままである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスのセンサを活性化した場合に前記自動的な関連付け解除が行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスとの物理的な接触を失った場合に前記センサが活性化されるように前記スキャナ・デバイスが構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記センサが、前記ユーザが前記スキャナ・デバイスとの前記物理的な接触を維持している間は覆われたままであるライトである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記センサの偶発的な活性化をプログラムによって無視するために関連付け解除タイマを用い、これによって前記自動的な関連付け解除を防ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
スキャナ・デバイスを自動的にユーザに関連付ける方法であって、
スキャナ・デバイスによってユーザの顧客愛用カードをスキャンすることで顧客愛用カード情報を捕捉するステップであって、前記捕捉した顧客愛用カード情報をコンピューティング・デバイスに送信することができ、前記コンピューティング・デバイスが、前記捕捉した顧客愛用カード情報を以前にストアした顧客愛用カード情報と比較して前記ユーザを識別し、これによって前記識別したユーザに前記スキャナ・デバイスを自動的に関連付けるように適合されている、ステップと、
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスとの物理的な接触を失った場合に前記ユーザから前記スキャナ・デバイスを自動的に関連付け解除するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記スキャナ・デバイスによって少なくとも1つの商品の商品識別情報をスキャンするステップと、
前記スキャンした商品識別情報を前記コンピューティング・デバイスに送信するステップであって、前記商品識別情報をスキャンした前記商品を、前記ユーザに関連付けたバーチャル・ショッピング・カートに追加することができるステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピューティング・デバイスにおいて、前記捕捉した顧客愛用カード情報を受信するステップと、
前記受信した顧客愛用カード情報を前記以前にストアした顧客愛用カード情報と比較し、これによって前記ユーザを識別するステップと、
前記比較するステップに応答して、前記スキャナ・デバイスを自動的に前記ユーザに関連付けるステップであって、前記スキャナ・デバイスが前記ユーザに関連付けられている間、以降スキャンされたあらゆる商品を自動的に前記ユーザに関連付けるようになっている、ステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記自動的な関連付け解除が行われるまで、前記スキャナ・デバイスが前記識別されたユーザに関連付けされたままである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスとの前記物理的な接触を失ったときをセンサが検出する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスを把持している前記スキャナ・デバイスの部分に前記センサが配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記物理的な接触が偶発的に失われることをプログラムによって無視するために関連付け解除タイマを用い、これによって前記偶発的に接触が失われた場合に前記自動的な関連付け解除を防ぐ、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記関連付け解除タイマがユーザに固有の時間長だけ作動する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記関連付け解除タイマが、前記スキャナ・デバイスの製造業者が設定した時間長だけ作動する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記関連付け解除タイマが作動している間に前記スキャナ・デバイスが別の商品の商品識別情報をスキャンした場合、前記自動的な関連付け解除がプログラムによって無視される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
スキャナ・デバイスを自動的にユーザから関連付け解除する方法であって、
スキャナ・デバイスによって捕捉された特定のユーザの識別情報を、複数のユーザの以前にストアされた識別情報と照合して、前記特定のユーザを前記スキャナ・デバイスに自動的に関連付けるステップと、
前記スキャナ・デバイスが前記特定のユーザに関連付けられている間、前記スキャナ・デバイスがスキャンした商品を前記特定のユーザのショッピング・カートに追加するステップと、
前記スキャナ・デバイスのセンサによって、前記特定のユーザの前記スキャナ・デバイスとの物理的な接触が失われたことが検出されると、前記特定のユーザから前記スキャナ・デバイスを自動的に関連付け解除するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記特定のユーザの前記識別情報が前記特定のユーザのバイオメトリック情報である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記バイオメトリック情報が前記特定のユーザの指紋である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記特定のユーザの前記識別情報が前記特定のユーザの顧客愛用カードからスキャンされた顧客愛用カード情報である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ユーザとの自動的な関連付けを行うように適合されたスキャナ・デバイスであって、
ユーザのバイオメトリック情報を取得するためのバイオメトリック・センサと、
商品の商品識別情報をスキャンするための商品スキャナ部と、
前記取得したバイオメトリック情報をコンピューティング・デバイスに送信するために適合された送信器であって、前記コンピューティング・デバイスが、前記送信されたバイオメトリック情報を以前にストアしたバイオメトリック情報と比較して前記ユーザを識別し、これによって前記識別したユーザに前記スキャナ・デバイスを自動的に関連付け、更に、前記商品識別情報を前記コンピューティング・デバイスに送信する、送信器と、
を含む、スキャナ・デバイス。
【請求項27】
前記ユーザが前記スキャナ・デバイスとの接触を失ったときを検出するセンサを更に含み、前記ユーザが前記接触を失ったことを前記センサが検出すると前記ユーザの前記スキャナ・デバイスとの前記関連付けが自動的に解除される、請求項26に記載のスキャナ・デバイス。
【請求項28】
スキャナ・デバイスをユーザに関連付けるためのコンピュータ・プログラムであって、1つ以上のコンピュータ使用可能媒体上で具現化されるコンピュータ読み取り可能コードを含み、該コンピュータ読み取り可能コードが、コンピュータ上で実行されると前記コンピュータに請求項1から25のいずれかのステップを全て実行させる命令を含む、コンピュータ・プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−216236(P2012−216236A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−143202(P2012−143202)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願2008−512812(P2008−512812)の分割
【原出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
【復代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
【Fターム(参考)】