説明

オーガヘッド交換装置

【課題】 簡易な構成で作業員が容易かつ安全にオーガヘッドの交換ができ、作業時間も短縮できるオーガヘッド交換装置を提供する。
【解決手段】 圧入機1に水平アーム11を水平方向回動自在に取り付け、上記水平アーム11の先端に吊下アーム13を取り付けると共に、上記吊下アーム13を水平アーム11に対して上下方向移動可能に取り付け、かつ吊下アーム13には過荷重を吸収する緩衝材15を取り付けると共に、上記吊下アーム13の下端に支持アーム17を水平方向回動自在に取り付け、この支持アーム17の先端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台19を固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースオーガを備えた掘削装置に設けられ、アースオーガ先端部のオーガヘッドを交換する際に用いるオーガヘッド交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硬質地盤に鋼矢板等の杭を圧入する際には、アースオーガを備えた圧入機が用いられ、杭の圧入前にアースオーガで硬質地盤を掘削する。この掘削作業において、アースオーガ先端に装着されたオーガヘッドは硬質地盤を掘削するため摩耗が激しく、定期的に交換しなくてはならない。
このオーガヘッドの交換作業において、従来からオーガヘッド交換装置が使用されていた。例えば特許文献1に示す装置には、圧入機にブラケットを設け、このブラケットとアームとをピンで水平方向回動自在に固定すると共に、アームとオーガヘッド支持台からほぼ水平方向に延出する延出部とを、ピンで水平方向回動自在に固定したものである。さらに、このオーガヘッド支持台にはオーガヘッドを設置し、かつ水平方向に回動させる機構を備えたヘッド支持部が設けられているものである。
【特許文献1】特開2002−81286号
【0003】
上記の装置では、アームを圧入機のサドルに取り付けていたためアームが長く重くなり、そのため一人の作業員で持ち上げることが困難であった。また、アームがサドルに取り付けられているため、装置が圧入機の側方に張り出してしまうため、圧入機の運搬、保管姿勢が悪くなっていた。さらに作業現場では他の作業の邪魔になるという問題点もあった。
また重量が大きいため、サドルへの取付には大型ボルトを使用し、さらにオーガヘッド交換時の過負荷によりこの取付ボルトが破損することもおこった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、簡易な構成で作業員が容易かつ安全にオーガヘッドの交換ができ、作業時間も短縮できるオーガヘッド交換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨とするところは、圧入機のマストに水平アームを水平方向回動自在に取り付け、上記水平アームの先端に吊下アームを取り付けると共に、上記吊下アームの下端に支持アームを水平方向回動自在に取り付け、この支持アームの先端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台を固定したオーガヘッド交換装置にある。
【0006】
また本発明の要旨とするところは、上記吊下アームを水平アームに対して上下方向移動可能に取り付け、かつ吊下アームには過荷重を吸収する緩衝材を取り付けると共に、支持アームにヘッド支持台を構成したオーガヘッド交換装置にある。
【0007】
また本発明の要旨とするところは、圧入機に水平アームを水平方向回動自在に取り付け、上記水平アームの先端に吊下アームを取り付けると共に、上記吊下アームを水平アームに対して上下方向移動可能に取り付け、かつ吊下アームには過荷重を吸収する緩衝材を取り付けると共に、上記吊下アームの下端に支持アームを水平方向回動自在に取り付け、この支持アームの先端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台を固定したオーガヘッド交換装置にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の如き構成であるため、簡易な構成かつ軽量であり一人の作業員で容易にオーガヘッドの交換ができ、交換作業も安全であり作業時間も短縮できる。
さらには交換装置がマストに取り付けられているため、圧入機の運搬、保管姿勢も良くなり、他の作業の邪魔になることもなくなった。
また装置の重量が軽いためマストへの取り付けには小型ボルトを使用でき、オーガヘッド交換時の過負荷によりボルトが破損することもおこらない等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態は、圧入機のマストの先端に水平アームを水平方向回動自在に取り付け、上記水平アームの先端に吊下アームを上下方向移動可能に取り付けると共に、上記吊下アームの外周にはスプリングを巻装し、吊下アームを常時上方に付勢すると共に、上記吊下アームの下端に支持アームを水平方向回動自在に取り付け、この支持アームの両端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台を固定したオーガヘッド交換装置である。
【実施例】
【0010】
本実施例のオーガヘッド交換装置1の構成を図に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す正面図及び図2は本発明の一実施例を示す平面図である。
【0011】
圧入機1のチャック3に取り付けたアースオーガ(図示せず)の下端にスクリュー4を介してオーガヘッド92が固定されている。
【0012】
上記圧入機1のマスト2の下部先端にはピン21によって水平アーム11が水平方向回動自在に取り付けられ、この水平アーム11の先端に、吊下アーム13が取り付けられている。
上記吊下アーム13は外筒13aと内軸13bとからなり、内軸13bの周囲には過荷重を吸収する緩衝材としてのスプリング15が巻装されていて、内軸13bはこのスプリング15によって常時上方に付勢されているため、上記吊下アーム13は水平アーム11対して上下動可能に取り付けられているのである。
【0013】
上記吊下アーム13の内軸13bの下端に支持アーム17を水平方向回動自在に取り付け、この支持アーム17の両端にそれぞれヘッド支持台19を固定する。
【0014】
上記のように構成した本実施例を用いたオーガヘッドの交換作業を説明する。
まず、圧入機1のチャック3と間接的に固定されたスクリュー4を上昇させることによって、交換するオーガヘッド92を一定高さに保持する。
その後、水平アーム11と支持アーム17を水平方向に回動して、支持アーム11先端のヘッド支持台19を交換するオーガヘッド92の真下に配置し、スクリュー4よりオーガヘッド92を外してヘッド支持台19上に載せる。
【0015】
一方、他方のヘッド支持台20上にはあらかじめ新しいオーガヘッド91が載置されており、その後、上記のように交換するオーガヘッド92を外してヘッド支持台19上に載せてから、支持アーム17を水平方向に回動させる。
これによって、交換するオーガヘッド92は圧入機1の外側に運ばれてくると共に、新しいオーガヘッド91がスクリュー4の真下に運ばれてくる。
【0016】
この後、スクリュー4を下降させて、その下端にオーガヘッド91を取り付ける。このスクリュー4にオーガヘッド91を取り付けるとき、オーガヘッド91には、上方からスクリュー4による力が加えられる。
【0017】
従来の交換装置は、このスクリュー4による力に耐えるために強度を持たせた大型の構造となっていた。
しかし、本実施例は吊下アーム13は、内軸13bに巻装したスプリング15によって常時上方に付勢されていると共に、吊下アーム13は水平アーム11に対して上下方向移動可能に取り付けられている。そのため、上から押し付ける力が過度に加えられた場合には、内軸13bと支持アーム17がスプリング15の弾発力に抗して下降して、上方からの力を吸収して、交換装置自体の損傷を防止する構成になっている。そのため本実施例では従来例に比べ吊下アーム13や支持アーム17等の構成要素を強度の大きくない小型のもので作れるようになった。
【0018】
以上のように、本実施例によれば簡易な構成であり、容易な操作でオーガヘッドの交換作業が安全に行なえ、作業時間も短縮できるオーガヘッド交換装置を提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のオーガヘッド交換装置の一実施例を示す正面図
【図2】本発明のオーガヘッド交換装置の一実施例を示す平面図
【符号の説明】
【0020】
1 圧入機
2 マスト
3 チャック
4 スクリュー
11 水平アーム
13 吊下アーム
15 スプリング(緩衝材)
17 支持アーム
19 ヘッド支持台
91 オーガヘッド
92 オーガヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧入機のマストに水平アームを水平方向回動自在に取り付け、上記水平アームの先端に吊下アームを取り付けると共に、上記吊下アームの下端に支持アームを水平方向回動自在に取り付け、この支持アームの先端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台を固定したオーガヘッド交換装置。
【請求項2】
上記吊下アームを水平アームに対して上下方向移動可能に取り付け、かつ吊下アームには過荷重を吸収する緩衝材を取り付けると共に、支持アームにヘッド支持台を構成した請求項1記載のオーガヘッド交換装置。
【請求項3】
圧入機に水平アームを水平方向回動自在に取り付け、上記水平アームの先端に吊下アームを取り付けると共に、上記吊下アームを水平アームに対して上下方向移動可能に取り付け、かつ吊下アームには過荷重を吸収する緩衝材を取り付けると共に、上記吊下アームの下端に支持アームを水平方向回動自在に取り付け、この支持アームの先端に、オーガヘッドを載置するヘッド支持台を固定したオーガヘッド交換装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−37373(P2006−37373A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215102(P2004−215102)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000141521)株式会社技研製作所 (83)
【Fターム(参考)】