説明

オーディオ信号処理装置

【課題】 オーディオ信号処理装置において、ヘッドホンに2チャンネル信号を出力するか4チャンネル信号を分けて出力するかを自動的に切り換える
【解決手段】 オーディオ信号処理装置において、2チャンネルオーディオ信号をヘッドホンに出力する第1及び第2の出力端子と、4チャンネルオーディオ信号を第1及び第2の出力端子に分けて出力するか2チャンネルオーディオ信号を第1及び第2の出力端子にそれぞれ出力するかを切り換える切換部と、第1及び第2の出力端子の接続の有無を検出する接続検出部と、第1及び第2の出力端子に接続されたことを検出したとき検出時間差を検出する時間差検出部と、検出した時間差が予め設定した時間差以内であれば4チャンネルオーディオ信号を第1及び第2の出力端子に分けて出力させ、検出した時間差が予め設定した時間差を超えれば2チャンネルオーディオ信号を第1及び第2の出力端子に出力させる制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラウンド再生等の複数チャンネルのオーディオ信号処理を行うオーディオ信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に記録された映像信号及びオーディオ信号を記録媒体再生装置によって再生し、再生した映像信号を映像表示装置によって表示するときに、再生したオーディオ信号の音量及び音質を調節して、視聴者の前方左右及び後方左右等に配置したスピーカに出力するAV(Audio Visual)アンプ等のオーディオ信号処理装置がある。このようなオーディオ信号処理装置が出力するオーディオ信号を聴取するため、前方左右及び後方左右のスピーカユニットを備えたヘッドホンが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−101490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前方左右及び後方左右のスピーカユニットを備えたヘッドホンを使用する場合、オーディオ信号処理装置は、複数チャンネルのヘッドホン出力端子を備える必要がある。対応方法として、オーディオ信号処理装置に2チャンネルのヘッドホン出力端子を2個設け、当該2個のヘッドホン出力端子をそれぞれ2チャンネルオーディオ信号の出力端子として用いる通常の使用方法に加えて、それぞれサラウンド用オーディオ信号の前方左右2チャンネル及び後方左右2チャンネルの接続端子として切り換えて使用することが考えられる。このような方法で、ヘッドホン出力端子を4チャンネル出力用又は2チャンネル出力用に切り換えて使用するとき、ヘッドホンに出力するオーディオ信号の切り換え操作を必要とした。
【0005】
本発明の目的は、オーディオ信号処理装置において、ヘッドホン出力端子に2チャンネルオーディオ信号を出力するか4チャンネルオーディオ信号を出力するかを、手動操作を要さずに切り換える装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のオーディオ信号処理装置は、4チャンネルのオーディオ信号の音量及び音質を調節する第1の調節部と、2チャンネルのオーディオ信号の音量及び音質を調節する第2の調節部と、2チャンネルのオーディオ信号をヘッドホンに出力する第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子と、前記第1の調節部が調節した4チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ2チャンネルずつ分けて出力するか、前記第2の調節部が調節した2チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ出力するかを切り換える出力切換部と、前記第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子におけるヘッドホンの接続の有無を検出するヘッドホン接続検出部と、前記ヘッドホン接続検出部が前記第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にヘッドホンが接続されたことを検出したとき前記第1のヘッドホン出力端子と第2のヘッドホン出力端子におけるヘッドホンの接続を検出した時間の差を検出する接続時間差検出部と、前記接続時間差検出部が検出した時間差が予め設定した時間差以内であるとき前記第1の調節部が調節した4チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ2チャンネルずつ分けて出力させ、前記接続時間差検出部が検出した時間差が予め設定した時間差を超えるとき前記第2の調節部が調節した2チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ出力させるように前記出力切換部を切り換える制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオーディオ信号処理装置によれば、ヘッドホン出力端子に2チャンネルオーディオ信号を出力するか4チャンネルオーディオ信号を出力するかを、手動操作を行わずに、切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明のオーディオ信号処理装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
入力端子1a、1bは、サラウンド再生を行う場合、使用者の前方に位置する左右のスピーカ用のオーディオ信号を音量音質調節部2aに入力する。入力端子1c、1dは、サラウンド再生を行う場合、使用者の後方に位置する左右のスピーカ用のオーディオ信号を音量音質調節部2bに入力する。入力端子1e、1fは、2チャンネル再生を行う場合、2チャンネルオーディオ信号を音量音質調節部2cに入力する。
【0009】
音量音質調節部2aは、入力端子1a、1bから入力された前方左右のサラウンド用オーディオ信号の音量と音質を調節する。音量は、オーディオ信号全体の振幅レベルを増減させて調節する。音質は、予め定められた範囲の周波数帯域のオーディオ信号、即ち調節対象とする周波数帯域の低音又は高音の振幅レベルを増減させて調節する。音量音質調節部2bは、入力端子1c、1dから入力された後方左右のサラウンド用オーディオ信号の音量と音質を調節する。音量音質調節部2cは、入力端子1e、1fから入力された2チャンネルオーディオ信号の音量と音質を調節する。
【0010】
アンプ3a、3bは、音量音質調節部2aから入力されるオーディオ信号を増幅する。アンプ3c、3dは、音量音質調節部2bから入力されるオーディオ信号を増幅する。アンプ3e、3fは、音量音質調節部2cから入力されるオーディオ信号を増幅する。リレー4aは、アンプ3a、3bから入力される前方左右のサラウンド用オーディオ信号とアンプ3e、3fから入力される2チャンネルオーディオ信号とを切り換える。
リレー4bは、アンプ3c、3dから入力される後方左右のサラウンド用オーディオ信号とアンプ3e、3fから入力される2チャンネルオーディオ信号とを切り換える。
ヘッドホン端子5a、5bは、それぞれ、ヘッドホンを接続するための端子であり、ヘッドホンの接続の有無を検出し、検出信号をマイコン8に出力する。
【0011】
サラウンド用ヘッドホン6は、前方左右のサラウンド用オーディオ信号を出力するスピーカユニット及び後方左右のサラウンド用オーディオ信号を出力するスピーカユニット、並びに前方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグ及び後方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグを備える。前方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグと後方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグとは、オーディオ信号処理装置のヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bの間隔に一致する間隔をもたせた一体のヘッドホンプラグとして構成されている。
サラウンド用ヘッドホン6の前方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグはヘッドホン端子5aに接続され、サラウンド用ヘッドホン6の後方左右用スピーカユニットにオーディオ信号を入力するためのヘッドホンプラグをヘッドホン端子5bに接続される。
【0012】
マイクロコンピュータ(以下、マイコンと言う。)7は、音量音質調節部2a、2b、2c、リレー4a、4bを制御する。マイコン7には、ヘッドホン端子5a、5bの検出信号が入力される。マイコン7は、ヘッドホン接続検出部7a、接続時間差検出部7bを備える。ヘッドホン接続検出部7aは、ヘッドホン端子5a、5bから入力される検出信号によって、ヘッドホン端子5a、5bそれぞれの、ヘッドホンの接続の有無を検出する。接続時間差検出部7bは、ヘッドホン端子5a、5bにヘッドホンが接続されたとき、即ち、ヘッドホン端子5a、5bから入力される検出信号が接続無しから接続有りに変化したとき、ヘッドホン端子5aが接続無しから接続有りに変化した時間とヘッドホン端子5bが接続無しから接続有りに変化した時間との差を検出する。接続時間差検出部7bは、検出した時間差を、接続時間差検出部7b内に予め設定された時間差と比較する。接続時間差検出部7b内に予め設定された時間差は、例えば0.5秒である。
操作部8は、操作ボタン等を備え、マイコン7に操作信号を入力する。また、操作部8は、接続時間差検出部7b内に予め時間差を設定する操作キーを備える。表示部9は、マイコン7から入力される表示信号により文字等を表示する。
【0013】
サラウンド用ヘッドホン6をヘッドホン端子5a、5bに接続する場合、一体に構成されたヘッドホンプラグを使用するので、ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bに同時にヘッドホンプラグが接続される。接続時間差検出部7bは、ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bのヘッドホンプラグの接続時間差が、予め設定された時間差0.5秒以内であることを検出する。予め設定された時間差以内であるとき、マイコン7は、リレー4a、4bを制御して、入力端子1a、1bから入力された前方左右のサラウンド用オーディオ信号をヘッドホン端子5aに出力させ、入力端子1c、1dから入力された前方左右のサラウンド用オーディオ信号をヘッドホン端子5bに出力させる。マイコン7は、サラウンド用オーディオ信号をヘッドホン端子5a、5bに出力している旨、表示部9に表示させる。
【0014】
図2は、本発明のオーディオ信号処理装置の一実施例の構成を示すブロック図である。図2は、図1のサラウンド用ヘッドホン6を2チャンネルのヘッドホン10a、10bに置き換えた構成である。図2の、図1と共通の構成部分には同符号を付して説明を省略する。
【0015】
ヘッドホン10aをヘッドホン端子5aに接続し、ヘッドホン10bをヘッドホン端子5bに接続する場合、ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bのヘッドホンプラグは、別々に接続される。ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bのヘッドホンプラグは別々に接続されるので、特に同時に接続しようと意識して接続しなければ、通常、ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bのヘッドホンプラグの接続時間差は予め設定された時間差0.5秒を超えると考えられる。
【0016】
接続時間差検出部7bが検出した、ヘッドホン端子5aとヘッドホン端子5bのヘッドホンプラグの接続時間差が、予め設定された時間差0.5秒を超えたとき、マイコン7は、リレー4a、4bを制御して、入力端子1e、1fから入力された2チャンネルオーディオ信号をヘッドホン端子5a、5bに、それぞれ出力させる。マイコン7は、2チャンネルオーディオ信号をヘッドホン端子5a、5bに出力している旨、表示部9に表示させる。
【0017】
ヘッドホン端子5a、5bに2チャンネルオーディオ信号を出力させたい場合、予め設定された時間差を超える時間をおいて、ヘッドホン端子5a、5bにヘッドホン10a、10bのヘッドホンプラグを接続すれば良い。
【0018】
本実施例では、ヘッドホン6のヘッドホンプラグを一体とする構成について説明したが、本発明を実施する場合、当該構成に限定されるものではなく、ヘッドホンプラグが一体に構成されていない場合であっても、使用者が、ヘッドホン端子5aに接続するヘッドホンプラグとヘッドホン端子5bに接続するヘッドホンプラグとを同時に接続することによって、サラウンド用オーディオ信号をヘッドホンに出力することができる。ここで、使用者が同時に接続しようとしても0.5秒以内に接続することが難しいときには、操作部8を操作して、接続時間差検出部7bに設定する時間差を1秒など長めに設定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のオーディオ信号処理装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のオーディオ信号処理装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0020】
1a、1b、1c、1d、1e、1f 入力端子
2a、2b、2c 音量音質調節部
3a、3b、3c、3d、3e、3f アンプ
4a、4b リレー
5a、5b ヘッドホン端子
6 サラウンド用ヘッドホン
7 マイコン
7a ヘッドホン接続検出部
7b 接続時間差検出部
操作部
9 表示部
10a、10b ヘッドホン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4チャンネルのオーディオ信号の音量及び音質を調節する第1の調節部と、2チャンネルのオーディオ信号の音量及び音質を調節する第2の調節部と、2チャンネルのオーディオ信号をヘッドホンに出力する第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子と、前記第1の調節部が調節した4チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ2チャンネルずつ分けて出力するか、前記第2の調節部が調節した2チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ出力するかを切り換える出力切換部と、前記第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子におけるヘッドホンの接続の有無を検出するヘッドホン接続検出部と、前記ヘッドホン接続検出部が前記第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にヘッドホンが接続されたことを検出したとき前記第1のヘッドホン出力端子と第2のヘッドホン出力端子におけるヘッドホンの接続を検出した時間の差を検出する接続時間差検出部と、前記接続時間差検出部が検出した時間差が予め設定した時間差以内であるとき前記第1の調節部が調節した4チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ2チャンネルずつ分けて出力させ、前記接続時間差検出部が検出した時間差が予め設定した時間差を超えるとき前記第2の調節部が調節した2チャンネルのオーディオ信号を第1のヘッドホン出力端子及び第2のヘッドホン出力端子にそれぞれ出力させるように前記出力切換部を切り換える制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−261875(P2006−261875A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74257(P2005−74257)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(301066006)株式会社デノン (61)
【Fターム(参考)】