オーディオ再生装置
【課題】運転者および乗客が共にひろがり感のあるステレオ再生音を聴取することを可能とする。
【解決手段】
運転席に座った運転者1Fの前方中央位置の右側に第1のスピーカDRが設置され、運転者1Fの前方中央位置の左側に第2のスピーカPRが設置される。助手席に座った乗客2Fの前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカPRの左側に、第3のスピーカDLが設置され、助手席に座った乗客2Fの前方中央位置の左側に第4のスピーカPLが設置される。スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給される。右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分がサブウーファMに対して供給される。
【解決手段】
運転席に座った運転者1Fの前方中央位置の右側に第1のスピーカDRが設置され、運転者1Fの前方中央位置の左側に第2のスピーカPRが設置される。助手席に座った乗客2Fの前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカPRの左側に、第3のスピーカDLが設置され、助手席に座った乗客2Fの前方中央位置の左側に第4のスピーカPLが設置される。スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給される。右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分がサブウーファMに対して供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載用オーディオ再生装置に対して適用されるオーディオ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車載用のステレオ再生装置の場合、図7に示すように、左右のドア内側にそれぞれスピーカL、Rが埋め込まれている。さらに、重低音再生用のウーファWが後部座席の背後に設置されている。以下の説明では、一例として、聴取者1F(以下、運転者と称する)が座る右側前部座席(以下、運転席と適宜称する)と、聴取者2F(以下、助手と称する)が座る左側前部座席(以下、助手席と適宜称する)とが備えられている。さらに、乗客1Rが座る右側後部座席と、乗客2Rが座る左側後部座席とが備えられている。
【0003】
運転席に座った運転者(●で示す)1Fの前方中央付近に音像3を定位させるには、右スピーカRに比して左スピーカLの音圧をより大とする必要がある。その結果、助手席に座った助手(◎で示す)2Fにおいては、左スピーカL周辺に音像3が定位して良好なステレオ再生ができない問題がある。
【0004】
逆に、図8に示すように、助手2Fの前方中央付近に音像3を定位させるには、左スピーカLに比して右スピーカRの音圧をより大とする必要がある。その結果、運転者1Fに対しては、右スピーカR周辺に音像3が定位して良好なステレオ再生ができない問題がある。
【0005】
かかる問題を解決するために、図9に示すように、運転者1Fおよび助手2Fの前方の例えばダッシュボードに対して、左右対称にスピーカLおよびRを設置する。なお、ダッシュボードは、フロントウインドウの下で、前席の正面に位置するボードおよび内装部品を意味する。これらのスピーカLおよびRから等しい音圧でもって左右のチャンネルのオーディオ信号を再生する。音像3がスピーカLおよびRの間のほぼ中央に形成される。したがって、運転者1Fおよび助手2Fの前方位置より若干内側に向く位置に、音像3が定位し、両方の席に関して良好なステレオ再生が可能となる。
【0006】
実際には、車のダッシュボードには、ハンドル、計器類、グローブボックス、エアコンディショナーの吹き出し口等が設置されるので、通常の12cm程度の径のスピーカを設置することが困難である。そこで、設置の容易性を考慮して各スピーカをより小型のスピーカに分割して、合計4個のスピーカを使用することが考えられる。
【0007】
図10に示すように、運転者1Fの前方中央位置に対して左右対称にスピーカDRおよびDLが設けられ、助手2Fの前方中央位置に対して左右対称にスピーカPRおよびPLが設けられる。スピーカDRおよびPRに対して同一の右チャンネル信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して同一の左チャンネル信号が供給される。
【0008】
このスピーカ配置の場合では、図11に示すように、スピーカDRおよびPRの中間位置に合成右チャンネルの音源Rchが形成され、スピーカDLおよびPLの中間位置に合成左チャンネルの音源Lchが形成される。これらの合成された音源RchおよびLchの間隔が狭いために、左右の拡がりが不充分なものとなり、運転者1Fおよび助手2Fの何れにおいても充分なステレオ感が得られない問題がある。
【0009】
さらに、図12に示すように、左側後部座席の乗客2Rは、スピーカとの距離が遠くなるために、合成された音源RchおよびLchの間隔がより狭いものとなり、ステレオ感が希薄なものとなる。右側後部座席の乗客1Rに関しても同様の問題が生じる。
【0010】
従来、運転席および助手席の前方に4個のスピーカを配置することが下記の特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開昭64−29200号公報
【特許文献2】特開2007−324907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の車載オーディオ装置は、図7または図8に示すような従来のスピーカL、Rに対して中央位置に一対のセンタースピーカを設けるものである。センタースピーカの一方L’に左チャンネル信号が供給され、その他方R’に右チャンネル信号が供給される。センタースピーカL’の左チャンネルの音が運転席のみで聴取できるようにされ、センタースピーカR’の右チャンネルの音が助手席のみで聴取できるようにされる。運転席に関しては、スピーカL’に対する左チャンネル信号の位相を調整してスピーカLと共に左チャンネルの音像が形成される。助手席に関しては、スピーカR’に対する右チャンネル信号の位相を調整してスピーカRと共に右チャンネルの音像が形成される。すなわち、センタースピーカL’およびR’の分離された補助的なチャンネルを使用して、運転席および助手席で別個に左右の分離を調整するものである。かかる特許文献1に記載のものは、センタースピーカでの分離度が高いことが必要とされ、センタースピーカの形状が大型化する問題が生じる。
【0013】
特許文献2に記載の車載オーディオ装置は、2個のRチャンネルのスピーカに対して正相のRチャンネルの信号と、逆相のRチャンネルの信号とがそれぞれ供給される。2個のLチャンネルのスピーカに対して正相のLチャンネルの信号と、逆相のLチャンネルの信号とがそれぞれ供給される。これによって広いステレオ感を得るものである。特許文献2に記載のものは、運転席の前方正面、助手席の前方正面にそれぞれ2個のスピーカを設置するものである。しかしながら、上述したように、運転席の前方のダッシュボードには、ハンドル、計器類等が設置されるので、2個のスピーカを前方正面に設置することが実際には、困難である。
【0014】
したがって、この発明の目的は、車に対して設置が容易で、ひろがり感が得られるオーディオ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、この発明は、車両の右側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側に第1のスピーカが設置され、右側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第2のスピーカが設置され、
車両の左側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカの左側に、第3のスピーカが設置され、左側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第4のスピーカが設置され、
第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、
第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給され、
右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給されるオーディオ再生装置である。
【0016】
好ましくは、第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給される。
【0017】
好ましくは、第5のスピーカに対して供給される低中域成分に対して、右チャンネルのオーディオ信号と左チャンネルのオーディオ信号との相関を減少させる相関低減処理がなされる。
【0018】
設置する場合では、第1乃至第5のスピーカがダッシュボード上に取り付けられ、または第1乃至第5のスピーカがダッシュボード内に埋め込まれる。
第5のスピーカがダッシュボードのほぼ中央位置に設置される。
【0019】
さらに、加算信号の低域成分が供給される第6のスピーカを有する。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、4個のスピーカがDR,PR,DL,PLの順に配置されているので、DLおよびPLの間の中央付近に合成Lチャンネルの音源が位置し、DRおよびPRの間の中央付近に合成Rチャンネルの音源が位置する。したがって、運転席または助手席座っている聴取者がひろがり感のあるステレオ再生を楽しむことができる。さらに、後部座席でもひろがり感を確保することができる。さらに、低中域成分を再生するスピーカMを設置することによって、4個のスピーカを中高域再生用の小型なものとしても周波数レンジのひろいステレオ再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。
【0022】
この発明の一実施の形態について説明する。一実施の形態と特許請求の範囲に記載との対応関係は下記の通りである。
運転席に座った運転者1Fの前方中央位置の右側に第1のスピーカDRが設置され、運転者の前方中央位置の左側に第2のスピーカPRが設置される。
助手席に座った助手2Fの前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカPRの左側に、第3のスピーカDLが設置され、助手席に座った助手2Fの前方中央位置の左側に第4のスピーカPLが設置される。
スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給される。
右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカ(サブウーファ)Mに対して供給される。
【0023】
図1に示すように、車両例えば4ドアセダンの運転席に座った運転者1F(●で示す)の前方中央位置の右側に運転席右チャンネルスピーカDRが設置される。運転者1Fの前方中央位置の左側に助手席右チャンネルスピーカPRが設置される。スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給される。
【0024】
助手2F(◎で示す)の前方中央位置の右側で、且つスピーカPRの左側に、運転席左チャンネルスピーカDLが設置される。助手2Fの前方中央位置の左側に助手席左チャンネルスピーカPLが設置される。スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給される。
【0025】
これらのスピーカDR、PR、DL、PLは、中高域再生用のスピーカである。中高域再生に関しては、低域再生に比してより明確な指向特性の変化が生じる。すなわち、スピーカユニットの正面軸方向に対して角度にズレの影響が大きくなる。したがって、スピーカDRおよびDLから放射される音が運転者1Fに向うように、これらのスピーカのユニットの向きが設定され、スピーカPRおよびPLから放射される音が助手2Fに向うように、これらのスピーカのユニットの向きが設定され、
【0026】
さらに、中央部付近のスピーカPRおよびDRの近傍に、サブウーファMが設置される。サブウーファMに対しては、右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号(モノラル信号)の低中域成分が供給される。車内のリアデッキ5に対してウーファWが設置される。ウーファWに対しては、右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号(モノラル信号)の低域成分が供給される。
【0027】
ウーファWは、重低音を再生するものであり、指向特性を気にする必要がない。例えば後部デッキに対してユニットの正面軸方向が上向きとなるように、ウーファWが取り付けられる。サブウーファMの場合は、指向特性が比較的強い周波数帯域を再生する。しかしながら、後述するように、この発明の一実施の形態では、サブウーファMの指向特性の影響を受けないように、サブウーファMに対して供給される信号に対して信号処理がなされる。
【0028】
図2に示すように、スピーカDR、DL、PR、PLおよびサブウーファMは、車のダッシュボード6上に取り付けられる。ダッシュボード6には、計器盤7、エアコンディショナーの吹き出し口8等が設けられている。右側のスピーカDRが運転席のAピラー付近に配置され、左側のスピーカPLが助手席のAピラー付近に配置される。スピーカDR、DL、PR、PLは、例えば口径が3cm程度のゴルフボール程度の小型なダイナミック型スピーカであり、ダッシュボード6に対して取り付けることが比較的容易である。なお、図2の例では、スピーカDR、DL、PR、PLがダッシュボード6の上に置かれているが、これらのスピーカは、ダッシュボード6の中に埋め込むように設置されても良い。
【0029】
サブウーファMは、ダッシュボード6のほぼ中央部にユニットの放射方向が上向きとなるように設けられている。サブウーファMは、例えば12cm程度の口径を有するダイナミック型スピーカである。さらに、ウーファWは、口径24cmを有するダイナミック型スピーカである。ウーファWとして、ボックス型のスピーカを使用してデッキ上に置くようにしても良い。なお、スピーカの口径、形式(ダイナミック型)は、一例であって、上述したもの以外のスピーカを使用するようにしても良い。
【0030】
この発明の一実施の形態において、各スピーカに対して、図3に示すように、オーディオ信号が供給される。入力端子11Lおよび11Rのそれぞれにステレオオーディオ信号のL(左)チャンネル信号およびR(右)チャンネル信号がそれぞれ供給される。ステレオオーディオ信号は、CD(コンパクトディスク)プレーヤ、レシーバ等から供給されるものである。
【0031】
音量調整器12Lを介されたLチャンネル信号がバランス調整器13Lを介してハイパスフィルタ15Lに供給されると共に、バランス調整器14Lを介してハイパスフィルタ16Lに供給される。ハイパスフィルタ15Lおよび16Lの出力信号(中高域成分)がそれぞれアンプ17Lおよび18Lを介してスピーカPLおよびDLに供給される。
【0032】
音量調整器12Rを介されたRチャンネル信号がバランス調整器13Rを介してハイパスフィルタ15Rに供給されると共に、バランス調整器14Rを介してハイパスフィルタ16Rに供給される。ハイパスフィルタ15Rおよび16Rの出力信号(中高域成分)がそれぞれアンプ17Rおよび18Rを介してスピーカPRおよびDRに供給される。
【0033】
音量調整器12Lおよび12Rから出力される左右チャンネルの信号が加算器19によって加算され、その出力に加算信号(モノラル信号)が出力される。加算信号がバンドパスフィルタ20に供給され、バンドパスフィルタ20の出力信号(低中域成分)がDSP(Digital Signal Processor)21に供給される。DSP21によって、低中域信号が生成され、アンプ22を介してサブウーファMに供給される。
【0034】
加算器19からの加算信号がローパスフィルタ23を介してDSP24に供給される。DSP24によって、低域信号が生成され、アンプ25を介してウーファWに供給される。
【0035】
図4に示すように、ハイパスフィルタ15L,15R,16L,16R、バンドパスフィルタ20およびローパスフィルタ23によって、破線で示す入力オーディオ信号の帯域例えば20Hz〜20kHzが低域31、低中域32および中高域33に分割される。これらの帯域は、互いに多少オーバーラップしている。一例として、ローパスフィルタ23の高域クロスオーバー周波数が150Hz、バンドパスフィルタ20の低域クロスオーバー周波数が150Hzとされ、その高域クロスオーバー周波数が800Hzとされる。ハイパスフィルタ15L〜16Rの低域クロスオーバー周波数が800Hzとされる。これらの周波数を中心として±50Hz〜±100Hz程度の範囲で周波数の値は、適宜設定できる。したがって、例えば低域とは、高域クロスオーバー周波数が150Hzのローパスフィルタにより選択される成分、低中域とは、低域クロスオーバー周波数が150Hz且つ高域クロスオーバー周波数が800Hzであるバンドパスフィルタにより選択される成分、中高域とは、低域クロスオーバー周波数が800Hzのハイパスフィルタによって選択される成分である。
【0036】
DSP21および24は、サブウーファMおよびウーファWに対して供給される信号に対して相関低減処理を施すものである。すなわち、中高域用のスピーカPL〜DRに供給される中高域信号と、サブウーファMおよびウーファWに対して供給される低域信号および低中域信号との間の相関を低減させる処理を行う。この処理によって、スピーカPL〜DRにより形成される音像がサブウーファMおよびウーファWにより形成される音像によって乱されることが防止される。なお、ウーファWに関しては、かなり周波数が低い成分であるので、相関低減処理を施さなくても良い。
【0037】
DSP21および24によりなされる相関低減処理に関しては、本願出願人の提案にかかる特開2007−2888677号公報に記載されているものを使用できる。すなわち、DSPによってIIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタ(相関低下フィ
ルタ)を構成し、音圧レベルを変化させずに位相のみを周波数に応じて変化させることによって相関を低下させる。
【0038】
さらに、相関低下フィルタに対してDSPにより構成される遅延回路が接続される。遅延回路は、中高域スピーカPL〜DRから放射される中高域音像に対してサブウーファMおよびウーファWからの低中音が遅れるようにするものである。この遅延によって、聴取者に対して先に音像が到達する中高域スピーカPL〜DRの方向に音源が位置しているように、聴取者が認識できる。相関低減処理によって、サブウーファMおよびウーファWの位置に音源があることが聴取者にとって分かりにくくすることができる。
【0039】
図5に示すように、この発明の一実施の形態によるスピーカ配置の場合では、図5に示すように、スピーカDRおよびPRの中間位置に合成右チャンネルの音源Rchが形成され、スピーカDLおよびPLの中間位置に合成左チャンネルの音源Lchが形成される。これらの合成された音源RchおよびLchの間隔が図11を参照して説明したスピーカ配置に比してより広いために、左右の拡がりが充分なものとなり、運転者1Fおよび助手2Fの何れにおいても充分なステレオ感が得られる。
【0040】
さらに、図6に示すように、スピーカとの距離が遠くなる左側後部座席の乗客2Rは、合成された音源RchおよびLchの間隔が広いので、ステレオ感が希薄となることを防止することができる。右側後部座席の乗客1Rに関しても同様にステレオ感のあるオーディオ再生が可能となる。
【0041】
この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば低中域再生用のサブウーファMは、ダッシュボードの中央位置以外に設置しても良く、さらに、ダッシュボードの下方に設置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施の形態におけるスピーカ配置を示す略線図である。
【図2】この発明の一実施の形態におけるスピーカの具体的設置例を示す略線図である。
【図3】この発明の一実施の形態のブロック図である。
【図4】この発明の一実施の形態の帯域分割の一例を示す略線図である。
【図5】この発明の一実施の形態において、助手席の助手のステレオ再生を説明するための略線図である。
【図6】この発明の一実施の形態において、後部席の乗客のステレオ再生を説明するための略線図である。
【図7】従来のオーディオ再生装置の一例の問題点を説明するための略線図である。
【図8】従来のオーディオ再生装置の一例の問題点を説明するための略線図である。
【図9】従来のオーディオ再生装置の他の例の問題点を説明するための略線図である。
【図10】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例のスピーカ配置を説明するための略線図である。
【図11】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例の問題点を説明するための略線図である。
【図12】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例の問題点を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0043】
PL,DL,PR,DR・・・中高域再生用スピーカ
M・・・低中域再生用サブウーファ
W・・・低域再生用ウーファ
1F・・・運転者
1R・・・後部座席の乗客
2F・・・助手
2R・・・後部座席の乗客
3・・・音像
6・・・ダッシュボード
15L,16L,15R,16R・・・ハイパスフィルタ
19・・・加算器
20・・・バンドパスフィルタ
21,24・・・DSP
23・・・ローパスフィルタ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載用オーディオ再生装置に対して適用されるオーディオ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車載用のステレオ再生装置の場合、図7に示すように、左右のドア内側にそれぞれスピーカL、Rが埋め込まれている。さらに、重低音再生用のウーファWが後部座席の背後に設置されている。以下の説明では、一例として、聴取者1F(以下、運転者と称する)が座る右側前部座席(以下、運転席と適宜称する)と、聴取者2F(以下、助手と称する)が座る左側前部座席(以下、助手席と適宜称する)とが備えられている。さらに、乗客1Rが座る右側後部座席と、乗客2Rが座る左側後部座席とが備えられている。
【0003】
運転席に座った運転者(●で示す)1Fの前方中央付近に音像3を定位させるには、右スピーカRに比して左スピーカLの音圧をより大とする必要がある。その結果、助手席に座った助手(◎で示す)2Fにおいては、左スピーカL周辺に音像3が定位して良好なステレオ再生ができない問題がある。
【0004】
逆に、図8に示すように、助手2Fの前方中央付近に音像3を定位させるには、左スピーカLに比して右スピーカRの音圧をより大とする必要がある。その結果、運転者1Fに対しては、右スピーカR周辺に音像3が定位して良好なステレオ再生ができない問題がある。
【0005】
かかる問題を解決するために、図9に示すように、運転者1Fおよび助手2Fの前方の例えばダッシュボードに対して、左右対称にスピーカLおよびRを設置する。なお、ダッシュボードは、フロントウインドウの下で、前席の正面に位置するボードおよび内装部品を意味する。これらのスピーカLおよびRから等しい音圧でもって左右のチャンネルのオーディオ信号を再生する。音像3がスピーカLおよびRの間のほぼ中央に形成される。したがって、運転者1Fおよび助手2Fの前方位置より若干内側に向く位置に、音像3が定位し、両方の席に関して良好なステレオ再生が可能となる。
【0006】
実際には、車のダッシュボードには、ハンドル、計器類、グローブボックス、エアコンディショナーの吹き出し口等が設置されるので、通常の12cm程度の径のスピーカを設置することが困難である。そこで、設置の容易性を考慮して各スピーカをより小型のスピーカに分割して、合計4個のスピーカを使用することが考えられる。
【0007】
図10に示すように、運転者1Fの前方中央位置に対して左右対称にスピーカDRおよびDLが設けられ、助手2Fの前方中央位置に対して左右対称にスピーカPRおよびPLが設けられる。スピーカDRおよびPRに対して同一の右チャンネル信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して同一の左チャンネル信号が供給される。
【0008】
このスピーカ配置の場合では、図11に示すように、スピーカDRおよびPRの中間位置に合成右チャンネルの音源Rchが形成され、スピーカDLおよびPLの中間位置に合成左チャンネルの音源Lchが形成される。これらの合成された音源RchおよびLchの間隔が狭いために、左右の拡がりが不充分なものとなり、運転者1Fおよび助手2Fの何れにおいても充分なステレオ感が得られない問題がある。
【0009】
さらに、図12に示すように、左側後部座席の乗客2Rは、スピーカとの距離が遠くなるために、合成された音源RchおよびLchの間隔がより狭いものとなり、ステレオ感が希薄なものとなる。右側後部座席の乗客1Rに関しても同様の問題が生じる。
【0010】
従来、運転席および助手席の前方に4個のスピーカを配置することが下記の特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開昭64−29200号公報
【特許文献2】特開2007−324907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の車載オーディオ装置は、図7または図8に示すような従来のスピーカL、Rに対して中央位置に一対のセンタースピーカを設けるものである。センタースピーカの一方L’に左チャンネル信号が供給され、その他方R’に右チャンネル信号が供給される。センタースピーカL’の左チャンネルの音が運転席のみで聴取できるようにされ、センタースピーカR’の右チャンネルの音が助手席のみで聴取できるようにされる。運転席に関しては、スピーカL’に対する左チャンネル信号の位相を調整してスピーカLと共に左チャンネルの音像が形成される。助手席に関しては、スピーカR’に対する右チャンネル信号の位相を調整してスピーカRと共に右チャンネルの音像が形成される。すなわち、センタースピーカL’およびR’の分離された補助的なチャンネルを使用して、運転席および助手席で別個に左右の分離を調整するものである。かかる特許文献1に記載のものは、センタースピーカでの分離度が高いことが必要とされ、センタースピーカの形状が大型化する問題が生じる。
【0013】
特許文献2に記載の車載オーディオ装置は、2個のRチャンネルのスピーカに対して正相のRチャンネルの信号と、逆相のRチャンネルの信号とがそれぞれ供給される。2個のLチャンネルのスピーカに対して正相のLチャンネルの信号と、逆相のLチャンネルの信号とがそれぞれ供給される。これによって広いステレオ感を得るものである。特許文献2に記載のものは、運転席の前方正面、助手席の前方正面にそれぞれ2個のスピーカを設置するものである。しかしながら、上述したように、運転席の前方のダッシュボードには、ハンドル、計器類等が設置されるので、2個のスピーカを前方正面に設置することが実際には、困難である。
【0014】
したがって、この発明の目的は、車に対して設置が容易で、ひろがり感が得られるオーディオ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、この発明は、車両の右側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側に第1のスピーカが設置され、右側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第2のスピーカが設置され、
車両の左側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカの左側に、第3のスピーカが設置され、左側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第4のスピーカが設置され、
第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、
第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給され、
右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給されるオーディオ再生装置である。
【0016】
好ましくは、第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給される。
【0017】
好ましくは、第5のスピーカに対して供給される低中域成分に対して、右チャンネルのオーディオ信号と左チャンネルのオーディオ信号との相関を減少させる相関低減処理がなされる。
【0018】
設置する場合では、第1乃至第5のスピーカがダッシュボード上に取り付けられ、または第1乃至第5のスピーカがダッシュボード内に埋め込まれる。
第5のスピーカがダッシュボードのほぼ中央位置に設置される。
【0019】
さらに、加算信号の低域成分が供給される第6のスピーカを有する。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、4個のスピーカがDR,PR,DL,PLの順に配置されているので、DLおよびPLの間の中央付近に合成Lチャンネルの音源が位置し、DRおよびPRの間の中央付近に合成Rチャンネルの音源が位置する。したがって、運転席または助手席座っている聴取者がひろがり感のあるステレオ再生を楽しむことができる。さらに、後部座席でもひろがり感を確保することができる。さらに、低中域成分を再生するスピーカMを設置することによって、4個のスピーカを中高域再生用の小型なものとしても周波数レンジのひろいステレオ再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。
【0022】
この発明の一実施の形態について説明する。一実施の形態と特許請求の範囲に記載との対応関係は下記の通りである。
運転席に座った運転者1Fの前方中央位置の右側に第1のスピーカDRが設置され、運転者の前方中央位置の左側に第2のスピーカPRが設置される。
助手席に座った助手2Fの前方中央位置の右側で、且つ第2のスピーカPRの左側に、第3のスピーカDLが設置され、助手席に座った助手2Fの前方中央位置の左側に第4のスピーカPLが設置される。
スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給される。
右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカ(サブウーファ)Mに対して供給される。
【0023】
図1に示すように、車両例えば4ドアセダンの運転席に座った運転者1F(●で示す)の前方中央位置の右側に運転席右チャンネルスピーカDRが設置される。運転者1Fの前方中央位置の左側に助手席右チャンネルスピーカPRが設置される。スピーカDRおよびPRに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給される。
【0024】
助手2F(◎で示す)の前方中央位置の右側で、且つスピーカPRの左側に、運転席左チャンネルスピーカDLが設置される。助手2Fの前方中央位置の左側に助手席左チャンネルスピーカPLが設置される。スピーカDLおよびPLに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給される。
【0025】
これらのスピーカDR、PR、DL、PLは、中高域再生用のスピーカである。中高域再生に関しては、低域再生に比してより明確な指向特性の変化が生じる。すなわち、スピーカユニットの正面軸方向に対して角度にズレの影響が大きくなる。したがって、スピーカDRおよびDLから放射される音が運転者1Fに向うように、これらのスピーカのユニットの向きが設定され、スピーカPRおよびPLから放射される音が助手2Fに向うように、これらのスピーカのユニットの向きが設定され、
【0026】
さらに、中央部付近のスピーカPRおよびDRの近傍に、サブウーファMが設置される。サブウーファMに対しては、右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号(モノラル信号)の低中域成分が供給される。車内のリアデッキ5に対してウーファWが設置される。ウーファWに対しては、右チャンネルのオーディオ信号および左チャンネルのオーディオ信号の加算信号(モノラル信号)の低域成分が供給される。
【0027】
ウーファWは、重低音を再生するものであり、指向特性を気にする必要がない。例えば後部デッキに対してユニットの正面軸方向が上向きとなるように、ウーファWが取り付けられる。サブウーファMの場合は、指向特性が比較的強い周波数帯域を再生する。しかしながら、後述するように、この発明の一実施の形態では、サブウーファMの指向特性の影響を受けないように、サブウーファMに対して供給される信号に対して信号処理がなされる。
【0028】
図2に示すように、スピーカDR、DL、PR、PLおよびサブウーファMは、車のダッシュボード6上に取り付けられる。ダッシュボード6には、計器盤7、エアコンディショナーの吹き出し口8等が設けられている。右側のスピーカDRが運転席のAピラー付近に配置され、左側のスピーカPLが助手席のAピラー付近に配置される。スピーカDR、DL、PR、PLは、例えば口径が3cm程度のゴルフボール程度の小型なダイナミック型スピーカであり、ダッシュボード6に対して取り付けることが比較的容易である。なお、図2の例では、スピーカDR、DL、PR、PLがダッシュボード6の上に置かれているが、これらのスピーカは、ダッシュボード6の中に埋め込むように設置されても良い。
【0029】
サブウーファMは、ダッシュボード6のほぼ中央部にユニットの放射方向が上向きとなるように設けられている。サブウーファMは、例えば12cm程度の口径を有するダイナミック型スピーカである。さらに、ウーファWは、口径24cmを有するダイナミック型スピーカである。ウーファWとして、ボックス型のスピーカを使用してデッキ上に置くようにしても良い。なお、スピーカの口径、形式(ダイナミック型)は、一例であって、上述したもの以外のスピーカを使用するようにしても良い。
【0030】
この発明の一実施の形態において、各スピーカに対して、図3に示すように、オーディオ信号が供給される。入力端子11Lおよび11Rのそれぞれにステレオオーディオ信号のL(左)チャンネル信号およびR(右)チャンネル信号がそれぞれ供給される。ステレオオーディオ信号は、CD(コンパクトディスク)プレーヤ、レシーバ等から供給されるものである。
【0031】
音量調整器12Lを介されたLチャンネル信号がバランス調整器13Lを介してハイパスフィルタ15Lに供給されると共に、バランス調整器14Lを介してハイパスフィルタ16Lに供給される。ハイパスフィルタ15Lおよび16Lの出力信号(中高域成分)がそれぞれアンプ17Lおよび18Lを介してスピーカPLおよびDLに供給される。
【0032】
音量調整器12Rを介されたRチャンネル信号がバランス調整器13Rを介してハイパスフィルタ15Rに供給されると共に、バランス調整器14Rを介してハイパスフィルタ16Rに供給される。ハイパスフィルタ15Rおよび16Rの出力信号(中高域成分)がそれぞれアンプ17Rおよび18Rを介してスピーカPRおよびDRに供給される。
【0033】
音量調整器12Lおよび12Rから出力される左右チャンネルの信号が加算器19によって加算され、その出力に加算信号(モノラル信号)が出力される。加算信号がバンドパスフィルタ20に供給され、バンドパスフィルタ20の出力信号(低中域成分)がDSP(Digital Signal Processor)21に供給される。DSP21によって、低中域信号が生成され、アンプ22を介してサブウーファMに供給される。
【0034】
加算器19からの加算信号がローパスフィルタ23を介してDSP24に供給される。DSP24によって、低域信号が生成され、アンプ25を介してウーファWに供給される。
【0035】
図4に示すように、ハイパスフィルタ15L,15R,16L,16R、バンドパスフィルタ20およびローパスフィルタ23によって、破線で示す入力オーディオ信号の帯域例えば20Hz〜20kHzが低域31、低中域32および中高域33に分割される。これらの帯域は、互いに多少オーバーラップしている。一例として、ローパスフィルタ23の高域クロスオーバー周波数が150Hz、バンドパスフィルタ20の低域クロスオーバー周波数が150Hzとされ、その高域クロスオーバー周波数が800Hzとされる。ハイパスフィルタ15L〜16Rの低域クロスオーバー周波数が800Hzとされる。これらの周波数を中心として±50Hz〜±100Hz程度の範囲で周波数の値は、適宜設定できる。したがって、例えば低域とは、高域クロスオーバー周波数が150Hzのローパスフィルタにより選択される成分、低中域とは、低域クロスオーバー周波数が150Hz且つ高域クロスオーバー周波数が800Hzであるバンドパスフィルタにより選択される成分、中高域とは、低域クロスオーバー周波数が800Hzのハイパスフィルタによって選択される成分である。
【0036】
DSP21および24は、サブウーファMおよびウーファWに対して供給される信号に対して相関低減処理を施すものである。すなわち、中高域用のスピーカPL〜DRに供給される中高域信号と、サブウーファMおよびウーファWに対して供給される低域信号および低中域信号との間の相関を低減させる処理を行う。この処理によって、スピーカPL〜DRにより形成される音像がサブウーファMおよびウーファWにより形成される音像によって乱されることが防止される。なお、ウーファWに関しては、かなり周波数が低い成分であるので、相関低減処理を施さなくても良い。
【0037】
DSP21および24によりなされる相関低減処理に関しては、本願出願人の提案にかかる特開2007−2888677号公報に記載されているものを使用できる。すなわち、DSPによってIIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタ(相関低下フィ
ルタ)を構成し、音圧レベルを変化させずに位相のみを周波数に応じて変化させることによって相関を低下させる。
【0038】
さらに、相関低下フィルタに対してDSPにより構成される遅延回路が接続される。遅延回路は、中高域スピーカPL〜DRから放射される中高域音像に対してサブウーファMおよびウーファWからの低中音が遅れるようにするものである。この遅延によって、聴取者に対して先に音像が到達する中高域スピーカPL〜DRの方向に音源が位置しているように、聴取者が認識できる。相関低減処理によって、サブウーファMおよびウーファWの位置に音源があることが聴取者にとって分かりにくくすることができる。
【0039】
図5に示すように、この発明の一実施の形態によるスピーカ配置の場合では、図5に示すように、スピーカDRおよびPRの中間位置に合成右チャンネルの音源Rchが形成され、スピーカDLおよびPLの中間位置に合成左チャンネルの音源Lchが形成される。これらの合成された音源RchおよびLchの間隔が図11を参照して説明したスピーカ配置に比してより広いために、左右の拡がりが充分なものとなり、運転者1Fおよび助手2Fの何れにおいても充分なステレオ感が得られる。
【0040】
さらに、図6に示すように、スピーカとの距離が遠くなる左側後部座席の乗客2Rは、合成された音源RchおよびLchの間隔が広いので、ステレオ感が希薄となることを防止することができる。右側後部座席の乗客1Rに関しても同様にステレオ感のあるオーディオ再生が可能となる。
【0041】
この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば低中域再生用のサブウーファMは、ダッシュボードの中央位置以外に設置しても良く、さらに、ダッシュボードの下方に設置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施の形態におけるスピーカ配置を示す略線図である。
【図2】この発明の一実施の形態におけるスピーカの具体的設置例を示す略線図である。
【図3】この発明の一実施の形態のブロック図である。
【図4】この発明の一実施の形態の帯域分割の一例を示す略線図である。
【図5】この発明の一実施の形態において、助手席の助手のステレオ再生を説明するための略線図である。
【図6】この発明の一実施の形態において、後部席の乗客のステレオ再生を説明するための略線図である。
【図7】従来のオーディオ再生装置の一例の問題点を説明するための略線図である。
【図8】従来のオーディオ再生装置の一例の問題点を説明するための略線図である。
【図9】従来のオーディオ再生装置の他の例の問題点を説明するための略線図である。
【図10】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例のスピーカ配置を説明するための略線図である。
【図11】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例の問題点を説明するための略線図である。
【図12】従来のオーディオ再生装置のさらに他の例の問題点を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0043】
PL,DL,PR,DR・・・中高域再生用スピーカ
M・・・低中域再生用サブウーファ
W・・・低域再生用ウーファ
1F・・・運転者
1R・・・後部座席の乗客
2F・・・助手
2R・・・後部座席の乗客
3・・・音像
6・・・ダッシュボード
15L,16L,15R,16R・・・ハイパスフィルタ
19・・・加算器
20・・・バンドパスフィルタ
21,24・・・DSP
23・・・ローパスフィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の右側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側に第1のスピーカが設置され、上記右側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第2のスピーカが設置され、
車両の左側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側で、且つ上記第2のスピーカの左側に、第3のスピーカが設置され、上記左側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第4のスピーカが設置され、
上記第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、
上記第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給され、
上記右チャンネルのオーディオ信号および上記左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給されるオーディオ再生装置。
【請求項2】
上記第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
上記第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
上記加算信号の低中域成分が上記第5のスピーカに対して供給される請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項3】
上記第5のスピーカに対して供給される低中域成分に対して、上記右チャンネルのオーディオ信号と上記左チャンネルのオーディオ信号との相関を減少させる相関低減処理がなされる請求項2記載のオーディオ再生装置。
【請求項4】
上記第1乃至第5のスピーカがダッシュボード上に取り付けられた請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項5】
上記第1乃至第5のスピーカがダッシュボード内に埋め込まれた請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項6】
上記第5のスピーカが上記ダッシュボードのほぼ中央位置に設置された請求項4または5記載のオーディオ再生装置。
【請求項7】
さらに、上記加算信号の低域成分が供給される第6のスピーカを有する請求項1または2記載のオーディオ再生装置。
【請求項8】
上記第1および第3のスピーカの音の放射方向が車両の右側座席に座った聴取者に向くように設定され、
上記第2および第4のスピーカの音の放射方向が車両の左側座席に座った聴取者に向くように設定された請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項1】
車両の右側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側に第1のスピーカが設置され、上記右側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第2のスピーカが設置され、
車両の左側座席に座った聴取者の前方中央位置の右側で、且つ上記第2のスピーカの左側に、第3のスピーカが設置され、上記左側座席に座った聴取者の前方中央位置の左側に第4のスピーカが設置され、
上記第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号が供給され、
上記第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号が供給され、
上記右チャンネルのオーディオ信号および上記左チャンネルのオーディオ信号の加算信号の低中域成分が第5のスピーカに対して供給されるオーディオ再生装置。
【請求項2】
上記第1および第2のスピーカに対して右チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
上記第3および第4のスピーカに対して左チャンネルのオーディオ信号の中高域成分が供給され、
上記加算信号の低中域成分が上記第5のスピーカに対して供給される請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項3】
上記第5のスピーカに対して供給される低中域成分に対して、上記右チャンネルのオーディオ信号と上記左チャンネルのオーディオ信号との相関を減少させる相関低減処理がなされる請求項2記載のオーディオ再生装置。
【請求項4】
上記第1乃至第5のスピーカがダッシュボード上に取り付けられた請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項5】
上記第1乃至第5のスピーカがダッシュボード内に埋め込まれた請求項1記載のオーディオ再生装置。
【請求項6】
上記第5のスピーカが上記ダッシュボードのほぼ中央位置に設置された請求項4または5記載のオーディオ再生装置。
【請求項7】
さらに、上記加算信号の低域成分が供給される第6のスピーカを有する請求項1または2記載のオーディオ再生装置。
【請求項8】
上記第1および第3のスピーカの音の放射方向が車両の右側座席に座った聴取者に向くように設定され、
上記第2および第4のスピーカの音の放射方向が車両の左側座席に座った聴取者に向くように設定された請求項1記載のオーディオ再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−260628(P2009−260628A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106917(P2008−106917)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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