説明

オーディオ同期装置、オーディオ同期方法

【課題】マルチ・ストリームの同期を正確に行うこと
【解決手段】アプリケーションは、第1のストリームと第2のストリームとを同期させるためのタグを生成し、タグを第2のストリームに付加する。タグ処理部103はアプリケーションから入力されたタグを第1のストリームのタイムスタンプに基づいて第1のストリームに付加する。ミキサーB50は、第1のストリームに付加されたタグと、第2のストリームに付加されたタグとを比較する。タグの値が一致する場合、ミキサーB50は第1のストリームと第2のストリームとをミキシングして出力する。タグの値が一致しない場合、ミキサーB50は前記第1のストリームを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーディオ同期装置、オーディオ同期方法に関し、特にマルチ・ストリームに関するオーディオ同期装置、オーディオ同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、従来のDVDから次世代のブルーレイ・ディスク(BD: Blu-ray Disc)へと市場が急速に移行している。ブルーレイ・ディスクの規格には、複数のオーディオ・ストリーム(以降 マルチ・ストリームとも記載する。)が規定されている。ブルーレイ・ディスクの入力ストリームは、主にムービー・サウンド・トラックを受け持つプライマリー・オーディオ・ストリームと、ピクチャー・イン・ピクチャーのディレクターズ・コメントなどを受け持つセカンダリー・オーディオ・ストリームと、クリック音に代表される効果音を受け持つインタラクティブ・オーディオ・ストリームと、から構成される。近年、プライマリー・オーディオ・ストリームやセカンダリー・オーディオ・ストリームだけでなく、インタラクティブ・オーディオ・ストリームを利用したブルーレイ・ディスクのコンテンツが多く販売されている。そのため、インタラクティブ・オーディオ・ストリームの使用方法は多様化してきている。
【0003】
マルチ・ストリームはミキシングされた上で利用される。特許文献1は、マルチ・ストリームをミキシングする技術を開示している。図6の構成図は、特許文献1に記載のオーディオデータミキシング装置の構成を示す図である。特許文献1に記載オーディオデータミキシング装置は、デコードとミキシングとをそれぞれ行うために、一対のオーディオ・デコーダD1 320a及びD2 320bと、一対のオーディオ・ミキサーM1 330a及びM2 330bとを含む。このオーディオデータミキシング装置は、プライマリー・オーディオ・ストリームと、セカンダリー・オーディオ・ストリームと、をミキシングパラメータP1、及びP2に基づいてミキシングする。その後、ミキシングされたデータとインタラクティブ・オーディオ・ストリームとをミキシングパラメータP3に基づいてミキシングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−547142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のオーディオデータミキシング装置では、インタラクティブ・オーディオ・ストリームと、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームとのミキシングデータと、が正確に同期できないという問題がある。以下に詳細を記載する。
【0006】
特許文献1に記載のオーディオデータミキシング装置は、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームとを、パケット化エレメンタリー・ストリーム(PES: Packetized Elementary Stream)内にあるタイムスタンプに基づいて同期する。パケット化エレメンタリー・ストリームとは、ストリームデータを適当な大きさのデータに分割し、パケット化したものである。その後、オーディオデータミキシング装置は、同期化されたストリームに対し、デコード処理を行い、LPCM(Linear Pulse Code Modulation)データに変換する。続いて、オーディオデータミキシング装置は、ミキシングされたLPCMデータと、インタラクティブ・オーディオ・ストリームのLPCMデータと、をミキシングする。このとき、LPCMデータにはタイムスタンプ情報が存在しないが、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームと、はすでに同期させているため、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームとを同期させた状態でミキシングすることができる。さらに、ミキシングされたLPCMデータと、インタラクティブ・オーディオ・ストリームのLPCMデータとをミキシングする必要がある。しかし、LPCMデータ内には、タイムスタンプ情報がないため、オーディオデータミキシング装置は、ミキシングされたLPCMデータと、インタラクティブ・オーディオ・ストリームのLPCMデータとを同期することができない。
【0007】
ここで、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームとのミキシング処理等に要する時間を予測しておき、予測遅延時間と上位アプリケーションの制御に基づき、インタラクティブ・オーディオ・ストリームとのミキシング処理を行うことも考えられる。しかしながら、この場合でも、特許文献1に記載のオーディオデータミキシング装置では問題が生じる。上位アプリケーションは、プライマリー・オーディオ・ストリームのタイムスタンプを確認し、インタラクティブ・オーディオ・ストリームと同期させる時間に、処理遅延時間を加算して、インタラクティブ・オーディオ・ストリームを再生するタイミングを決定する。処理遅延時間とは、プライマリー・オーディオ・ストリームのデータ入力処理、デコード処理、及び出力処理と、セカンダリー・オーディオ・ストリームのデータ入力処理、デコード処理、及び出力処理と、ミキサーのミキシング時間等とを指す。しかし、各処理時間は一定ではないため、上位アプリケーションはインタラクティブ・オーディオ・ストリームを正確に同期させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるオーディオ同期方法の一態様は、第1のストリームと第2のストリームとを同期させるためにLPCM(Linear Pulse Code Modulation)データに付加できるタグを生成するステップと、前記タグを前記第2のストリームに付加するステップと、前記タグが付加された第2のストリームと同じタイミングで再生すべき第1のストリームに前記タグを付加するステップと、前記第1のストリームに付加されたタグと、前記第2のストリームに付加されたタグとを比較して、一致した場合に前記第1のストリームと前記第2のストリームとをミキシングして出力するステップと、を備えるものである。
【0009】
本発明にかかるオーディオ同期方法により、第1のストリームと第2のストリームが同期する場合、同じタグを持つことになるため、タグに基づいてストリームをミキシングすることでマルチ・ストリームを正確に同期させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、マルチ・ストリームの同期を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるオーディオ同期システムの構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるオーディオ同期装置の構成図である。
【図3】実施の形態1にかかるオーディオ同期方法のフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかるオーディオ同期方法のフローチャートである。
【図5】実施の形態1にかかるタグが付されたLPCMデータの図である。
【図6】従来のオーディオ同期装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1の構成図は、本実施の形態にかかるオーディオ同期システム100を示す。オーディオ同期システム100は、オーディオ同期装置1と、オーディオ同期装置1を制御する上位アプリケーション2とを備える。オーディオ同期装置1と、上位アプリケーション2は、光学ヘッド等から読み込まれたBD(ブルーレイ・ディスク)3のデータを入力とする。BD(ブルーレイ・ディスク)3のデータは、オーディオ同期装置1に入力される際に、プライマリー・オーディオ・ストリームと、セカンダリー・オーディオ・ストリームと、インタラクティブ・オーディオ・ストリームと、に分離されて入力される。
【0013】
上位アプリケーション2は、プライマリー・オーディオ・ストリーム、及びセカンダリー・オーディオ・ストリームの再生タイミングを制御する。上位アプリケーション2は、プライマリー・オーディオ・ストリーム、及びセカンダリー・オーディオ・ストリームのタイムスタンプ情報を取得することが可能である。さらに、上位アプリケーション2は、インタラクティブ・オーディオ・ストリームの再生タイミングの制御と、インタラクティブ・オーディオ・ストリームのLPCMデータの設定と、を行う。上位アプリケーションによるインタラクティブ・オーディオ・ストリームの再生タイミングの制御については、動作説明において、その都度説明を行う。
【0014】
図2の構成図は、本実施の形態にかかるオーディオ同期装置1を示す図である。オーディオ同期装置1は、プライマリー・オーディオ処理部10と、セカンダリー・オーディオ処理部20と、インタラクティブ・オーディオ処理部30と、ミキサーA40と、ミキサーB50とを備える。
【0015】
プライマリー・オーディオ処理部10は、バッファ101と、デコーダ102と、タグ付加処理部103と、を備える。プライマリー・オーディオ処理部10は、パケット化エレメンタリー・ストリームを入力とする。バッファ101は、入力されたパケット化エレメンタリー・ストリームを一時的に格納する記憶装置である。
【0016】
デコーダ102は、バッファ101から入力されたパケット化・エレメンタリー・ストリームをデコード処理し、LPCMデータ(以降では、プライマリー・オーディオLPCMデータと記載する。)に変換する。デコーダ102はデコード処理したプライマリー・オーディオLPCMデータをタグ付加処理部103へ出力する。同時に、デコーダ102は、デコード時にパケット化・エレメンタリー・ストリーム内のタイムスタンプを抽出し、抽出したタイムスタンプをタグ付加処理部103へ出力する。
【0017】
タグ付加処理部103は、デコーダ102からのプライマリー・オーディオLPCMデータと、タイムスタンプと、上位アプリケーション2からのタイムスタンプと、タグと、を入力とする。
【0018】
タグ付加処理部103は、上位アプリケーション2から入力されたタイムスタンプとデコーダ102から入力されたタイムスタンプとを比較する。両者が一致した場合、タグ付加処理部103は、上位アプリケーション2から入力されたタイムスタンプに対応するタグをプライマリー・オーディオLPCMデータに付加し、ミキサーA40へ出力する。両者が一致しない場合、タグ付加処理部103は、プライマリー・オーディオLPCMデータをそのままミキサーA40へ出力する。
【0019】
セカンダリー・オーディオ処理部20は、バッファ201と、デコーダ202と、を備える。セカンダリー・オーディオ処理部20は、パケット化エレメンタリー・ストリームを入力とする。バッファ201は、入力されたパケット化エレメンタリー・ストリームを一時的に格納する記憶装置である。
【0020】
デコーダ202は、バッファ201からのパケット化エレメンタリー・ストリームを入力とする。デコーダ202は、入力されたパケット化・エレメンタリー・ストリームをデコード処理し、LPCMデータ(以降では、セカンダリー・オーディオLPCMデータと記載する。)に変換する。デコーダ202は、セカンダリー・オーディオLPCMデータをミキサーA40へ出力する。同時に、デコーダ202は、デコード時に、パケット化・エレメンタリー・ストリーム内のメタデータを抽出し、メタデータ内に規定されているプライマリー・オーディオ・ストリームの利得値とセカンダリー・オーディオ・ストリームの利得値とをミキサーA40へ出力する。
【0021】
インタラクティブ・オーディオ処理部30は、バッファ301を備える。上位アプリケーション2は、インタラクティブ・オーディオ処理部30にインタラクティブ・オーディオLPCMデータを入力する。このとき、インタラクティブ・オーディオLPCMデータには、再生タイミングを指示するタグが付加されている。バッファ301は、入力されたインタラクティブ・オーディオLPCMデータを格納する。
【0022】
ミキサーA40は、上位アプリケーションから入力される利得値と、セカンダリー・オーディオ・ストリームに含まれるプライマリー・オーディオ・ストリームの利得値と、に基づいて、タグ付加処理部103から入力されるプライマリー・オーディオLPCMデータの利得を調整する。また、ミキサーA40は、上位アプリケーション2から入力される利得値と、セカンダリー・オーディオ・ストリームに含まれるセカンダリー・オーディオ・ストリームの利得値とを基に、セカンダリー・オーディオLPCMデータの利得を調整する。
【0023】
ミキサーA40は、利得調整を行ったプライマリー・オーディオLPCMデータと、利得調整を行ったセカンダリー・オーディオLPCMデータと、をミキシングする。ミキサーA40は、ミキシングしたLPCMデータをミキサーB50内のタグ分離処理部501へ出力する。
【0024】
ミキサーB50は、タグ分離処理部501と、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502と、ミキシング処理部503と、を備える。タグ分離処理部501は、ミキサーA40から入力されたLPCMデータにタグが付加されているか否かを判定する。タグが付加されている場合、タグ分離処理部501は、タグとLPCMデータに分離する。タグ分離処理部501は、分離したタグをインタラクティブ・オーディオ同期処理部502へ出力する。また、タグ分離処理部501は、分離したLPCMデータをミキシング処理部503へ出力する。
【0025】
インタラクティブ・オーディオ同期処理部502は、タグ分離処理部501と同様に、バッファ301から入力されたインタラクティブ・オーディオLPCMデータをタグとLPCMデータとに分離する。続いて、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502は、インタラクティブ・オーディオLPCMデータから分離したタグと、タグ分離処理部501から入力されたタグとを比較する。タグの値が一致した場合、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502は、インタラクティブ・オーディオLPCMデータをミキシング処理部503へ出力する。
【0026】
ミキシング処理部503は、上位アプリケーション2から入力された利得値に基づいて、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502から入力されたインタラクティブ・オーディオLPCMデータの利得を調整する。続いて、ミキシング処理部503は、タグ分離処理部501から入力されたLPCMデータと、利得が調整されたインタラクティブ・オーディオLPCMデータと、をミキシングする。ミキシング処理部503は、ミキシングしたLPCMデータを後段の回路に出力する。
【0027】
続いて、LPCMデータに付加するタグについて説明する。マイコンやDSP(Digital Signal Processor)において、32ビット単位でのデータ処理が主流となっている。一方、ブルーレイ・ディスク規格に規定されているタイムスタンプのサイズは33ビットである。そのため、例えば24ビットのデータ領域を持つLPCMデータとブルーレイ規格に定められたタイムスタンプとを組み合わせた場合、32ビット以下とすることができない。しかし、タイムスタンプに対応する任意のビット数のタグを設定することで、32ビット以下とすることができる。すなわち、24ビットLPCMデータの空き領域である8ビットの空きフィールドにタグを付与することにより、32ビット以下のデータとすることができる。図3は、タグの付加されたLPCMデータの一例を示す。図3に示すように、タグと、タグを付加したLPCMデータの合計サイズを32ビット以下とすることで、マイコンやDSPにおいて、高速な処理が可能となる。なお、LPCMデータに付加するタグのサイズや、LPCMデータのデータサイズは上述のものに限られない。
【0028】
上位アプリケーション2は、インタラクティブ・オーディオLPCMデータを再生するタイミングを指示するタグを生成し、このタグをインタラクティブ・オーディオLPCMデータに埋め込んでおく。同時に、上位アプリケーション2は、再生するタイミングを表すタイムスタンプとともに、タグをタグ付加処理部103に入力する。そして、タグ付加処理部103において、タイムスタンプが一致するパケットにタグが付加される。これにより、同じタイミングで再生されるべき、インタラクティブ・オーディオLPCMデータとプライマリー・オーディオLPCMデータとには、同じタグが付加される。
【0029】
次に、本実施の形態のオーディオ・ストリーム同期方法の処理手順を説明する。図4及び図5は、本実施の形態のオーディオ・ストリーム同期方法の処理を示すフローチャートである。
【0030】
プライマリー・オーディオ処理部10内のデコーダ102は、バッファ101からパケット化エレメンタリー・ストリームを取得する(S100)。デコーダ102はパケット化エレメンタリー・ストリームのデコード処理を行う。デコーダ102は、デコード処理により、パケット化・エレメンタリー・ストリームをプライマリー・オーディオLPCMデータに変換する(S101)。デコーダ102は、変換したプライマリー・オーディオLPCMデータをタグ付加処理部103へ出力する。デコーダ102はパケット化エレメンタリー・ストリームのタイムスタンプを抽出する(S102)。デコーダ102は、抽出したタイムスタンプをタグ付加処理部103へ出力する。
【0031】
この例では、プライマリー・オーディオLPCMデータへの変換処理(S101)の後に、タイムスタンプの抽出処理(S102)を行ったが、これに限らず、タイムスタンプの抽出処理(S102)の後に、プライマリー・オーディオLPCMデータへの変換処理(S101)を実行するようにしてもよい。さらにプライマリー・オーディオLPCMデータへの変換処理(S101)とタイムスタンプの抽出処理(S102)を同時に実行してもよい。
【0032】
プライマリー・オーディオ・ストリームとインタラクティブ・オーディオ・ストリームを同期させる場合、上位アプリケーション2は、同期するタイミングを示すタイムスタンプと、タイムスタンプに対応するタグとをタグ付加処理部103へ入力する(S103)。
【0033】
タグ付加処理部104は、上位アプリケーション2から入力されたタイムスタンプと、デコーダ102から入力されたタイムスタンプとを比較する(S104)。タイムスタンプ同士が一致しない場合(S104:No)、タグ付加処理部104は、デコーダ102から入力されたプライマリー・オーディオLPCMデータをミキサーA40へ出力する。
【0034】
一方、タイムスタンプ同士が一致した場合(S104:Yes)、タグ付加処理部103は、上位アプリケーション2から入力されたタイムスタンプに対応するタグを、プライマリー・オーディオLPCMデータに付加する(S105)。その後、タグを付加したプライマリー・オーディオLPCMデータをミキサーA40へ出力する。
【0035】
また一方、セカンダリー・オーディオ処理部20内のデコーダ202は、バッファ201からパケット化エレメンタリー・ストリームを取得する(S106)。デコーダ202は、デコード処理により、パケット化・エレメンタリー・ストリームをセカンダリー・オーディオLPCMデータに変換する(S107)。デコーダ202は、変換したセカンダリー・オーディオLPCMデータをミキサーA40へ出力する。デコーダ202は、入力されたパケット化エレメンタリー・ストリームからメタデータを抽出し、メタデータ内のプライマリー・オーディオ・ストリームの利得値とセカンダリー・オーディオ・ストリームの利得値とをミキサーA40へ出力する(S108)。
【0036】
この例では、プライマリー・オーディオ処理部10内での処理(S100〜S105)の後に、セカンダリー・オーディオ処理部20内での処理(S106〜S108)を行ったが、これに限らず、セカンダリー・オーディオ処理部20内での処理(S106〜S108)の後に、プライマリー・オーディオ処理部10内での処理(S100〜S105)を実行するようにしてもよい。さらに、プライマリー・オーディオ処理部10内での処理(S100〜S105)とセカンダリー・オーディオ処理部20内での処理(S106〜S108)を同時に実行してもよい。
【0037】
ミキサーA40は、上位アプリケーション2から入力されたプライマリー・オーディオ・ストリームの利得値とデコーダ202から入力された利得値とに基づいて、タグ付加処理部103から入力されたプライマリー・オーディオLPCMデータの利得を調整する(S109)。
【0038】
ミキサーA40は、上位アプリケーション2から入力されたセカンダリー・オーディオ・ストリームの利得値とデコーダ202から入力された利得値とに基づいて、デコーダ202から入力されたセカンダリー・オーディオLPCMデータの利得を調整する(S110)。なお、S109の処理とS110の処理は、必ずしもこの順序で行われる必要はなく、処理順序が異なってもよい。また、これらの処理は同時に行われてもよい。
【0039】
ミキサーA40は利得の調整されたプライマリー・オーディオLPCMデータと、利得の調整されたセカンダリー・オーディオLPCMデータと、をミキシングする(S111)。ミキサーA40は、ミキシングしたLPCMデータをミキサーB50内のタグ分離処理部501へ出力する。
【0040】
タグ分離処理部501は、入力されたLPCMデータからタグを分離し、LPCMデータのみとタグとに分割する(S112)。タグ分離処理部501は、LPCMデータをミキシング処理部503へ出力する。また、タグ分離処理部501は、タグをインタラクティブ・オーディオ同期処理部502へ出力する。タグ分離処理部501は、入力されたLPCMデータにタグが付加されていない場合であっても、LPCMデータを必ずミキシング処理部503へ出力する。
【0041】
ここで、プライマリー・オーディオ・ストリームとインタラクティブ・オーディオ・ストリームを同期させる場合、上位アプリケーション2は、前述のように同期するタイミングを示すタイムスタンプに対応するタグをタグ付加処理部103に入力するが、同じ値を持つタグをインタラクティブ・オーディオLPCMデータにも付加する。インタラクティブ・LPCMデータはバッファ301に格納される。バッファ301は、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502へインタラクティブ・オーディオLPCMデータを出力する。
【0042】
インタラクティブ・オーディオ同期処理部502は、バッファ301から入力されたインタラクティブ・オーディオLPCMデータからタグを分離し(S113)、インタラクティブ・オーディオLPCMデータのみとタグとに分割する。
【0043】
インタラクディブ・オーディオ同期処理部502は、インタラクティブ・オーディオLPCMデータにタグが付加されているか否かを判定する(S114)。タグが付加されていなかった場合(S114:No)、後述のインタラクティブ・オーディオLPCMデータの出力処理(S117)に移行する。
【0044】
インタラクティブ・オーディオLPCMデータにタグが付加されていた場合(S114:Yes)、インタラクディブ・オーディオ同期処理部502は、タグ分離処理部501からタグが入力されているか否かを判定する(S115)。タグ分離処理部501からタグが入力されていない場合(S115:No)、インタラクディブ・オーディオ同期処理部502は、インタラクティブ・オーディオLPCMデータをミキシング処理部503へ出力しない。この場合、ミキシング処理部503は、タグ分離処理部501から入力されたLPCMデータのみを後段回路に出力する(S121)。
【0045】
一方、タグ分離処理部501からタグが入力されている場合(S115:Yes)、インタラクディブ・オーディオ同期処理部502は、タグ分離処理部501から入力されたタグの値と、インタラクティブ・オーディオLPCMデータのタグの値とが一致するか否かを判定する(S116)。
【0046】
タグ分離処理部501から入力されたタグの値と、インタラクティブ・オーディオLPCMデータのタグの値とが一致しない場合(S116:No)、ミキシング処理部503は、タグ分離処理部501から入力されたLPCMデータのみを後段回路に出力する(S121)。
【0047】
タグ分離処理部501から入力されたタグの値と、インタラクティブ・オーディオLPCMデータのタグの値と、が一致する場合(S116:Yes)、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502は、ミキシング処理部503へインタラクディブ・オーディオLPCMデータを出力する(S117)。
【0048】
ミキシング処理部503は、上位アプリケーション2から入力された利得値に基づいて、インタラクティブ・オーディオ同期処理部502から入力されたインタラクティブLPCMデータの利得を調整する(S118)。ミキシング処理部503は、タグ分離処理部501からタグが分離されたLPCMデータの入力を受け付ける(S119)。
【0049】
ミキシング処理部503は、タグ分離処理部501から入力されたLPCMデータと、利得調整をされたインタラクティブLPCMデータとをミキシングする。ミキシング処理部503は、ミキシングしたLPCMデータを後段回路に出力する。
【0050】
上記の処理(S100〜S121)の後、入力データがあるか否かを判定し、入力データがない場合、処理を終了する。入力データがある場合、S100へ戻り、処理を継続する(S122)。
【0051】
上記一連の処理により、本実施の形態にかかるオーディオ同期装置は、再生タイミングを指示するタグに基づいて、プライマリー・オーディオ・ストリームとセカンダリー・オーディオ・ストリームのミキシングデータと、インタラクティブ・オーディオ・ストリームと、ミキシングすることができる。このため、インタラクティブ・オーディオ・ストリームを正確なタイミングで再生することが可能となる。
【0052】
ストリームデータの再生タイミングを同期させる場合にはタイムスタンプを用いることが一般的であるが、ブルーレイ・ディスクのLPCMデータには、タイムスタンプを埋め込むことが困難であり、マルチ・ストリームの同期を正確にとることができなかった。この点、本発明では、デコーダが復号化に加えて、ストリームデータのタイムスタンプを抽出し、そのタイムスタンプに基づいて、プライマリー・オーディオ・ストリームにタグを付加している。同様に、上位アプリケーションは、インタラクティブ・オーディオ・ストリームに対してもタグを付加している。ストリームデータにタグを設定することにより、インタラクティブ・オーディオを含むすべてのマルチ・ストリーム間で同期をとることができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 プライマリー・オーディオ処理部
20 セカンダリー・オーディオ処理部
30 インタラクティブ・オーディオ処理部
40 ミキサーA
50 ミキサーB
101 バッファ
102 デコーダ
103 タグ付加処理部
201 バッファ
202 デコーダ
301 バッファ
501 タグ分離処理部
502 インタラクティブ・オーディオ同期処理部
503 ミキシング処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のストリームと第2のストリームとを同期させるためにLPCM(Linear Pulse Code Modulation)データに付加できる第1のタグと第2のタグとを生成するステップと、
前記第2のタグを前記第2のストリームに付加するステップと、
前記第1のストリームに、前記第1のストリームのタイムスタンプに基づいて前記第1のタグを付加するステップと、
前記第1のストリームに付加された第1のタグと、前記第2のストリームに付加された第2のタグとを比較して、一致した場合に前記第1のストリームと前記第2のストリームとをミキシングして出力するステップと、を備えるオーディオ同期方法。
【請求項2】
前記第1のストリームは、プライマリー・オーディオのストリームデータ、セカンダリー・オーディオのストリームデータ、または、プライマリー・オーディオのストリームデータとセカンダリー・オーディオのストリームデータとをミキシングしたストリームデータであり、前記第2のストリームは、インタラクティブ・オーディオのストリームデータであることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ同期方法。
【請求項3】
前記第1のタグ、及び第2のタグのデータは8ビット以下であり、前記タグを付加されるストリームのデータは24ビットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーディオ同期方法。
【請求項4】
第1のストリームと、第2のストリームとを同期処理するオーディオ同期装置であって、
前記第1のストリームと第1のタグが入力され、前記第1のストリームのタイムスタンプに基づいて前記第1のストリームに前記第1のタグを付加して出力するタグ付加処理部と、
前記第1のタグが付加された第1のストリームと前記第2のストリームが入力され、前記第1のタグと、前記第2のストリームに含まれる第2のタグとが一致する場合に前記第1のストリームと前記第2のストリームとをミキシングするミキサーと、を備えるオーディオ同期装置。
【請求項5】
前記ミキサーは、前記第1のストリームに付加された第1のタグを抽出するタグ分離処理部と、
前記第1のストリームに付加された第1のタグと、前記第2のストリームに付加された第2のタグとを比較するオーディオ同期処理部と、
前記オーディオ同期処理部による比較に基づき、タグが一致する場合に前記第1のストリームと前記第2のストリームとをミキシングして出力するミキシング処理部と、を備える請求項4に記載のオーディオ同期装置。
【請求項6】
前記第1のストリームは、プライマリー・オーディオのストリームデータ、セカンダリー・オーディオのストリームデータ、または、プライマリー・オーディオのストリームデータとセカンダリー・オーディオのストリームデータとをミキシングしたストリームデータであり、前記第2のストリームは、インタラクティブ・オーディオのストリームデータであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のオーディオ同期装置。
【請求項7】
前記第1のタグ、及び第2のタグのデータは8ビット以下であり、前記タグを付加されるストリームのデータは24ビットであることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかの一に記載のオーディオ同期装置。
【請求項8】
前記第1のストリームから前記タイムスタンプを抽出するデコーダを備える、請求項4から請求項7のいずれかの一に記載のオーディオ同期装置。
【請求項9】
請求項4から請求項8のいずれかの一に記載のオーディオ同期装置と、
前記第1のストリームと前記第2のストリームとを同期させるための前記第1のタグと前記第2のタグと、を生成し、前記第2のタグを前記第2のストリームに付加するとともに、前記第1のタグの再生タイミングを示すタイムスタンプと、前記第1のタグとを前記オーディオ同期装置に出力する上位アプリケーションと、を備えるオーディオ同期システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−8847(P2011−8847A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149608(P2009−149608)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】