説明

オートサンプラ,液体クロマトグラフ、及びバルブ

【課題】試料の残留が少ない、オートサンプラを提供する。
【解決手段】流路切換バルブ11はシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループ17に保持されたサンプルが移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、前記第1の状態においてサンプルが通過する溝と、前記第2の状態においてサンプル及び移動相が通過する溝が同じ溝であるオートサンプラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフの分析流路に試料を導入するオートサンプラの流路切換バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5にループ計量方式を用いた従来の液体クロマトグラフ用オートサンプラの流路構成を示す。図5において、11は流路切換バルブであって、ステータ上に等間隔に配置された6つのポートの隣り合う2つずつを連通するようにローターシール上の円周方向に沿って溝が配置され、バルブの回転によりローターシール上の溝の位置が移動することで流路を切換えることができる。
【0003】
分析すべき試料液体を収容する試料容器12はサンプルラック13上に配置されている。この試料容器12から試料液体を吸引採取するサンプリングニードル14は吸引力および吐出力を発生するシリンジ15と接続され、図示されない駆動部により位置を制御することができる。サンプリングニードル14はサンプルラック13上の試料容器12から試料液体を吸引した後、注入ポート16に移動・挿入され、注入ポート16から流路切換バルブ11を介して接続されたサンプリングループ17に吸引した試料液体を送入する。サンプリングループ17内に保持された試料液体は、流路切換バルブ11の切換えにより、移動相と共に分析流路へと送られ、分析カラム18へと導入される。この液体クロマトグラフの移動相は移動相送液ポンプ19から移動相送液流路を経て流路切換バルブ11内を通過し、さらに分析カラム上流部配管21を経て分析カラム18へと流れる。分析カラム18を通過した移動相は図示されない検出器に導入され、検出器を通過した後は廃液ビンに排出される。流路切換バルブ11には試料導入側と試料注入側の2つの切換位置があり、これを切換えることで移動相の流通経路を換えることができる。試料導入側における流路切換バルブの流路は図5の実線で示され、移動相は移動相送液ポンプ19から流路切換バルブ11内を短絡して分析カラム上流部配管21へと流れる。この時、注入ポート16からの流路は流路切換バルブ11内の流路を通ってサンプリングループ17を流れ、再度流路切換バルブ11内の流路を通って廃液チューブへと流れる。試料注入側における流路は図8の破線で示され、移動相は移動相送液ポンプ19から流路切換バルブ11内の流路を通ってサンプリングループ17へと流れた後、再度流路切換バルブ11内の流路を通って分析カラム上流部配管21へと流れる。これにより、サンプリングループ17内に保持されていた試料液体は移動相と共に分析カラム18へ流れる。この時、注入ポート16からの流路は流路切換バルブ11内の流路を短絡して廃液チューブへと流れる。
【0004】
図中の30は低圧バルブであり、サンプリングニードル14やシリンジ15,洗浄機構40が接続されている。40は洗浄ポートなどを含む洗浄機構であり、試料液体の採取動作前後に適宜サンプリングニードル14などを洗浄して、前回の分析試料による汚染を防ぐ役割を担う。
【0005】
このオートサンプラによる試料導入は以下のようなシーケンスで行われる。ループ計量方式の試料注入方法としては、全量注入方式,カット方式,フルループ方式が知られる。ここではフルループ方式を例に説明する。
(1)サンプリングニードル14はサンプルラック13上の試料容器12上に移動し、サンプリングニードル14を試料容器12に挿入し、シリンジ15を作動させて所定量の試料液体を吸引採取する。試料液体吸引後のサンプリングニードル14の洗浄時などに試料液体と洗浄液などとが接触してサンプリングニードル14の先端部の試料液体が拡散することを防止するために、適宜、試料液体の吸引前後に分節空気を吸引する方法もある。
(2)サンプリングニードル14を注入ポート16上に移動させ、注入ポート16に挿入し、シリンジ15を作動させて所定量の試料液体をサンプリングループ14内に送入する。このとき、流路切換バルブ11は実線で示すパスが連通する状態で、注入ポート16→流路切換バルブ11→サンプリングループ17→流路切換バルブ11→廃液チューブの順番に連通する。
(3)流路切換バルブ11を60度回転させ、点線で示すパスが連通する状態とすると、移動相送液ポンプ19から送られる移動相は流路切換バルブ11を介してサンプリングループ17に流れ込む。移動相はサンプリングループ17内に保持されていた試料液体と共に流路切換バルブ11内の流路を介して分析カラム上流部配管21を通って分析カラム18へと流れる。これにより試料液体は分析カラム18へと導入されて分析が開始される。
(4)サンプリングニードル14および流路切換バルブ11内の流路は次回の試料採取および注入動作に備えて洗浄機構40により洗浄が行われる。洗浄終了後は次回の試料採取および注入動作まで待機する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−317307号公報
【特許文献2】特開2001−242181号公報
【特許文献3】特開平10−318999号公報
【特許文献4】特開昭62−32365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5に示したオートサンプラでは、分析する試料液体を注入ポート16よりサンプリングループ17内に送入した後、流路切換バルブ11を切換えることで移動相と共にサンプリングループ17内の試料液体は分析カラム18へと送られて分析が行われる。このとき、移動相は流路切換バルブ11やサンプリングループ17の流路内に残留した試料液体を洗い流す役割も担っている。しかし、従来の方式では、試料液体をサンプリングループ17に送入する際に試料液体が通過する流路切換バルブ11内の流路と、流路切換バルブ11を切換えて試料液体を分析カラム18へ送る時に移動相が通過する流路切換バルブ11内の流路が異なるため、流路切換バルブ内の流路には移動相により洗浄されない部分があった。移動相により洗浄されない部分に残存した試料液体は次回以降の分析実行時にキャリーオーバーとして現れ、分析精度を低下させる要因となる。
【0008】
このため、従来は特開平10−318999号公報のように、サンプリングニードルで試料液体を注入ポートより注入して分析を開始した後に、サンプリングニードルで洗浄液を吸引して注入ポートから送入し、試料液体により汚染された流路を洗浄する工程が別途必要であった。しかし、試料液体の濃度が大きい場合や洗浄しても落ちにくい成分が含まれる場合には流路の洗浄に長時間を要する、または大量の洗浄液を流して洗浄を行う必要があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のオートサンプラは、複数の貫通孔を有するステータと、貫通孔を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、サンプルを吸引・吐出するサンプル吸引・吐出手段と、サンプル吸引・吐出手段から吐出されたサンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラであって、前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルが移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、前記第1の状態においてサンプルが通過する溝と、前記第2の状態においてサンプル及び移動相が通過する溝が同じ溝であることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の液体クロマトグラフは、複数の貫通孔を有するステータと貫通孔同士を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、サンプルを吸引・吐出する吸引・吐出手段と、サンプル吸引・吐出手段から吐出されたサンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラと、移動相を送液する送液ポンプと、サンプルを分離する分析カラムと、分析カラムにて分離されたサンプルを検出する検出部とを備えた液体クロマトグラフであって、前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルが移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、前記溝のうち前記第1の状態においてサンプルが通過する溝と、前記第2の状態においてサンプル及び移動相が通過する溝が同じ溝であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の液体クロマトグラフは、複数の貫通孔を有するステータと貫通孔同士を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、サンプルを吸引・吐出する吸引・吐出手段と、サンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラと、移動相を送液する送液ポンプと、サンプルを分離する分析カラムと、分析カラムにて分離されたサンプルを検出する検出部とを備えた液体クロマトグラフであって、前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルが移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、貫通孔を時計回りに第1の貫通孔〜第6の貫通孔とした場合、第1の貫通孔には分析カラムが接続され、第2の貫通孔及び第5の貫通孔はサンプリングループに接続され、第3の貫通孔はサンプリングニードルに接続され、第4の貫通孔は送液ポンプに接続され、第6の貫通孔はドレインに接続されており、第1の貫通孔及び第2の貫通孔は互いに溝によって導通され、第3の貫通孔及び第6の貫通孔は互いに溝によって導通され、第4の貫通孔及び第5の貫通孔は互いに溝によって導通されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のバルブは、複数の貫通孔を有するステータと、貫通孔を導通させる溝を有するシールを備えたバルブであって、前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルが移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、いずれかの溝は互いに隣り合わない貫通孔を導通する溝であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
試料の残留が少ない、オートサンプラ,液体クロマトグラフ、及びバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を6方2ポジションバルブに適用した実施例1の一実施形態で、流路切換バルブが試料導入ポジションにある状態を示す図である。
【図2】本発明を6方2ポジションバルブに適用した実施例1の一実施形態で、流路切換バルブが試料注入ポジションにある状態を示す図である。
【図3】本発明を8方2ポジションバルブに適用した実施例2の一実施形態で、流路切換バルブが試料導入ポジションにある状態を示す図である。
【図4】本発明を8方2ポジションバルブに適用した実施例2の一実施形態で、流路切換バルブが試料注入ポジションにある状態を示す図である。
【図5】従来のオートサンプラの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の一実施形態を図1,図2に示す。同図は、本発明を6方2ポジションバルブに採用したループ計量方式のオートサンプラの流路構成を示したものである。流路切換バルブ11のステータ上の各ポートには1から6の番号がついているものとする。本発明を用いた実施形態では、流路切換バルブ11のローターシール上に配置された溝の構造が従来例と異なる。従来は、隣り合う二つのポートを導通する形でシールの円周に沿って3つの溝が配置され、バルブポジションの変更により、1−2,3−4,5−6の各ポートが導通される場合と、1−6,2−3,4−5の各ポートが導通される場合とが切換わる。それに対し、本発明では、1−4のようにステータの対角線上にあるポートを導通するようにローターシール中央部を横断する形の溝が配置され、ポート1およびポート4以外のポートの隣り合うもの(2−3,5−6)を導通する形で計3つの溝が配置される。ここで、図1,図2に示すようにローターシール上の各溝をそれぞれA,B,Cとする。
【0017】
流路切換バルブの各ポートにはそれぞれ次のものが接続される。
1:分析カラムへの配管、2:サンプリングループ、3:注入ポート、4:移動相送液用ポンプからの配管、5:サンプリングループ、6:廃液チューブ
【0018】
図1,図2は流路切換バルブの各ポジションにおける流路構造を示す。各図には、流路切換バルブ11,サンプリングループ17,注入ポート16およびこれに挿入されたサンプリングニードル14が図示されている。図1は流路切換バルブ11が試料導入ポジションにある時の流路を示しており、溝Aはポート5−ポート6、溝Bはポート1−ポート4、溝Cはポート2−ポート3をそれぞれ導通する。注入ポート16から送入される試料液体はローターシール溝Cを通ってサンプリングループ17に入り、サンプリングループ17の容量以上に送入された試料液体はローターシール溝Aを通って廃液チューブへと排出される。移動相送液ポンプ19から送液される移動相はローターシール溝Bを通って分析カラム18へと流れる。
【0019】
図2は流路切換バルブ11を試料注入ポジションに切換えた場合の流路構造を示しており、溝Aはポート4−ポート5、溝Bはポート3−ポート6、溝Cはポート1−ポート2をそれぞれ導通する。移動相送液ポンプ19から流れる移動相はローターシール溝Aを通ってサンプリングループ17に入り、サンプリングループ17内に保持されていた試料液体と共にローターシール溝Cを通って分析カラム18へと流れる。ローターシール溝Bは注入ポート16と廃液チューブを導通する。
【0020】
試料導入時に試料液体が接液するシール溝A,シール溝Cおよびサンプリングループ17には、試料注入時に移動相が流れるため、試料注入と同時に試料液体が接液した流路の洗浄も行われ、流路切換バルブ11内の流路に試料液体が残存することがなくなる。
【0021】
ここで、試料液体をサンプリングループ17に送入する方法は、サンプリングニードル14を用いて注入ポート16から送入する方法に限定するものではなく、流路切換バルブ11が試料導入ポジションにあるとき、ポート6にサンプリングニードル14,ポート3にシリンジなどの吸引力を発生するユニットを接続することで、サンプリングニードル14から吸引した試料液体を直接サンプリングループ17に吸引導入する方法も可能である。
【0022】
また、図1,図2の流路図,流路切換バルブ11の構造図は本発明の実施例を示すもので、本発明をこれに限定するものではない。
【実施例2】
【0023】
本発明の一実施形態を図3,図4に示す。図3は、本発明を8方2ポジションバルブに採用したループ計量方式のオートサンプラの流路構成を示したものである。流路切換バルブ11のステータ上の各ポートには1から8の番号がついているものとする。本発明を用いた実施形態では、流路切換バルブ11のローターシール上に配置された溝の構造が従来例と異なる。従来は、隣り合う二つのポートを導通する形でシールの円周に沿って4つの溝が配置され、バルブポジションの変更により、1−2,3−4,5−6,7−8のポートが導通される場合と、1−8,2−3,4−5,6−7が導通される場合が切換わる。それに対し、本発明では、1−6のようにステータ上の隣り合わないポートを導通するようにローターシール面に溝が配置され、ポート1およびポート6以外のポートの隣り合うもの(2−3,4−5,7−8)を導通する形で計4つの溝が配置される。また、バルブポジションを切換えることで1−8,2−7,3−4,5−6の各ポートが導通される。ここで、図3,図4に示すようにローターシール上の各溝をそれぞれD,E,F,Gとする。
【0024】
本実施例における流路切換バルブ11の各ポートにはそれぞれ次のものが接続される。
1:移動相送液用ポンプからの配管、2:無し(または洗浄ポンプ)、3:廃液チューブ、4:注入ポート、5:サンプリングループ、6:分析カラムへの配管、7:廃液チューブ、8:サンプリングループ
【0025】
図3,図4は流路切換バルブ11の各ポジションにおける流路構造を示す図である。各図には、流路切換バルブ11,サンプリングループ17,注入ポート16およびこれに挿入されたサンプリングニードル14が図示されている。注入ポート16は中央に貫通穴の開いたニードルシールとそれを押さえるナットから構成される。ニードルシールにサンプリングニードル14を挿入した際、ニードルシールとサンプリングニードル14の外壁が密着することによりシール性が保たれるため、液漏れすることなく試料液体を送入することができる。
【0026】
図3は流路切換バルブ11が試料導入ポジションにある時の流路を示しており、溝Dはポート7−ポート8、溝Eはポート1−ポート6、溝Fはポート2−ポート3、溝Gはポート4−ポート5をそれぞれ導通する。流路切換バルブ11が試料導入ポジションにある時、注入ポート16から送入される試料液体は流路切換バルブ11のローターシール溝Gを通ってサンプリングループ17に保持される。サンプリングループ17の容量以上に送入された試料液体はローターシール溝Dを通って廃液チューブへと排出される。移動相送液ポンプ19から送液される移動相はローターシール溝Eを通り、分析カラム18へと流れる。
【0027】
図4は流路切換バルブ11が試料注入ポジションにある時の流路を示しており、溝Dはポート1−ポート8、溝Eはポート2−ポート7、溝Fはポート3−ポート4、溝Gはポート5−ポート6をそれぞれ導通する。流路切換バルブ11が試料注入ポジションにある時、移動相送液ポンプ19から流れる移動相はローターシール溝Dを通った後サンプリングループ17を通過し、ローターシール溝Eを通って分析カラム18へ流れる。これにより、サンプリングループ17内に保持されていた試料液体は移動相と共に分析カラム18へと送られる。
【0028】
試料導入時に試料液体が接液するシール溝D,シール溝Gおよびサンプリングループ17には、試料注入時には移動相が流れるため、試料注入と同時に試料液体が接液した流路の洗浄も行われ、流路切換バルブ11内の流路に試料が残存することがなくなる。
【0029】
ここで、試料液体をサンプリングループ17に送入する方法は、サンプリングニードル14を用いて注入ポート16から送入する方法に限定するものではない。例えば、流路切換バルブ11が試料導入ポジションにあるとき、ポート4にサンプリングニードル14,ポート7にシリンジなどの吸引力を発生するユニットを接続することで、サンプリングニードル14から吸引した試料液体を直接サンプリングループ17まで吸引導入する方法も可能である。
【0030】
また、図3,図4の流路図および流路切換バルブ11の構造図は本発明の実施例を示すもので、本発明をこれに限定するものではない。
【0031】
なお、本発明は、次のように表現することもできる。
【0032】
吸引力および吐出力を発生する計量ユニットに接続されたサンプリングニードルにより試料容器から試料液体を吸引採取し、サンプリングニードルを注入ポートに挿入して計量ユニットの吐出力でサンプリングループ内に試料液体を送入した後、あるいはサンプリングニードルとサンプリングループと計量ユニットが直列に接続されている場合は計量ユニットの吸引力により試料液体をサンプリングループまで吸引導入した後、流路切換バルブを切換えることで移動相の流れがサンプリングループを経由して試料液体を分析カラムへ導入するように構成したオートサンプラの流路切換バルブにおいて、サンプリングループ内に試料液体を送入する際に試料液体が通過する流路切換バルブ内の流路と、流路切換バルブの切換え後にサンプリングループ内の試料液体を移動相の流れと共に分析カラムへと送入する際に移動相が通過する流路切換バルブ内の流路とが同じになるように、ステータ上の隣り合わないポートを導通する溝または流路を一つ以上配置したローターシールを使用して構成した。
【0033】
移動相送液ポンプに接続された移動相送液流路と、前記移動相送液流路から送られる移動相を分析カラムへと送る分析カラム上流側流路と、試料液体を導入するための試料導入手段と、前記試料導入手段により導入された試料液体を保持する試料液体保持手段とを備えた液体クロマトグラフ用オートサンプラの流路切換バルブにおいて、ステータ上の隣り合わないポートを導通する溝または流路を一つ以上配置したローターシールを有する流路切換バルブ。
【0034】
移動相送液ポンプに接続された移動相送液流路と、前記移動相送液流路から送られる移動相を分析カラムへと送る分析カラム上流側流路と、試料液体を導入するための試料導入手段と、前記試料導入手段により導入された試料液体を保持する試料液体保持手段とを備えた液体クロマトグラフ用オートサンプラの流路切換バルブにおいて、ステータ上のポートを導通する流路をローターシールの内部に有する流路切換バルブ。
【0035】
ステータ上のポートを導通するローターシール内部の流路を、試料液体保持手段として用いる流路切換バルブ。
【符号の説明】
【0036】
11 流路切換バルブ
12 試料容器
13 サンプルラック
14 サンプリングニードル
15 シリンジ
16 注入ポート
17 サンプリングループ
18 分析カラム
19 移動相送液ポンプ
21 分析カラム上流部配管
22 外部流路
30 低圧バルブ
40 洗浄機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔を有するステータと、貫通孔を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、
サンプルを吸引・吐出するサンプル吸引・吐出手段と、
サンプル吸引・吐出手段から吐出されたサンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラであって、
前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルを移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、
前記第1の状態においてサンプルが通過する溝と、前記第2の状態においてサンプル及び移動相が通過する溝が同じ溝であることを特徴とするオートサンプラ。
【請求項2】
複数の貫通孔を有するステータと貫通孔同士を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、サンプルを吸引・吐出する吸引・吐出手段と、サンプル吸引・吐出手段から吐出されたサンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラと、
移動相を送液する送液ポンプと、
サンプルを分離する分析カラムと、
分析カラムにて分離されたサンプルを検出する検出部とを備えた液体クロマトグラフであって、
前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルを移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、
前記溝のうち前記第1の状態においてサンプルが通過する溝と、前記第2の状態においてサンプル及び移動相が通過する溝が同じ溝であることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項3】
複数の貫通孔を有するステータと貫通孔同士を導通させる溝を有するシールを備えたバルブと、サンプルを吸引・吐出する吸引・吐出手段と、サンプルを保持するサンプリングループを備えたオートサンプラと、
移動相を送液する送液ポンプと、
サンプルを分離する分析カラムと、
分析カラムにて分離されたサンプルを検出する検出部とを備えた液体クロマトグラフであって、
前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルを移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、
貫通孔を時計回りに第1の貫通孔〜第6の貫通孔とした場合、第1の貫通孔には分析カラムが接続され、第2の貫通孔及び第5の貫通孔はサンプリングループに接続され、第3の貫通孔はサンプリングニードルに接続され、第4の貫通孔は送液ポンプに接続され、第6の貫通孔は計量ポンプに接続されており、
第1の貫通孔及び第2の貫通孔は互いに溝によって導通され、第3の貫通孔及び第6の貫通孔は互いに溝によって導通され、第4の貫通孔及び第5の貫通孔は互いに溝によって導通されていることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項4】
複数の貫通孔を有するステータと、貫通孔を導通させる溝を有するシールを備えたバルブであって、
前記バルブはシールをステータに対して回転させることにより、サンプルをサンプリングループに保持する第1の状態と、サンプリングループに保持されたサンプルを移動相によって分析カラム側へ移動させる第2の状態とを切換え可能であり、
いずれかの溝は互いに隣り合わない貫通孔を導通する溝であることを特徴とするバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−169455(P2010−169455A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10485(P2009−10485)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】