説明

オートフォーカスレンズ装置

【課題】 AF機能備えながら操作性に優れたレンズ装置を提供する。またAF機能を持たない既存の撮影レンズに対しても低コストでAF機能を追加できるレンズ装置を提供する。
【解決手段】 ズームレンズLとレンズを駆動する駆動部品を格納するドライブユニットDから構成されるレンズ装置において、被写体光を用いて被写体との距離を測定する外部測定ユニット31を、ドライブユニットDの外部接続用コネクタ23に着脱自在に設ける。ドライブユニットDのCPU21は、距離測定ユニット31とその他の外部接続装置との接続を区別する接続判別手段32を持ち、AFスイッチ34の操作に応じて、距離測定ユニット31の検出結果に基づきズームレンズLを合焦状態へ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮影装置に関し、特にテレビジョン撮影に用いられるテレビレンズに好適なレンズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用のビデオカメラでは広く普及しているオートフォーカス(AF)機能が、テレビ局で使用する放送用のテレビレンズに搭載されることは少ない。カメラマンは手動でフォーカスのピント合わせをしている。その理由はカメラマンの意図通りに正確にピント合わせを行うことが何よりも重要視されているからである。しかしテレビ映像のHD化が進展するにつれて、被写界深度が浅い特徴を持つHD用のテレビレンズを使用する機会が増え、ピント合わせに苦労するケースは少なくない。特にニュース取材等で使用される肩担ぎタイプのテレビレンズは、カメラのビューファインダの解像力が低いことに加え画面サイズが小さいため、正確なピント合わせが困難なケースも多い。テレビレンズに対するAF機能への要求が高まる中で、AF機能を搭載した放送用テレビレンズが幾つか提案されている。
【0003】
その中に撮像素子で得た映像情報を利用してピント検出をするコントラスト検出方法がある。山登り方式とも呼ばれるこの方式は、合焦光学系を微小に往復駆動(ウォブリング)して、所定のサンプリング間隔で撮像素子の映像信号から高周波成分を抽出する。高周波成分のレベル値がピークに達する時を合焦状態と判定する方式である。この方式は映像信号を用いて合焦状態を判定するために、温度環境や経時変化に影響を受けることなく、高い精度で合焦を得ることができる特徴を持つ。
【0004】
また他のAF方式として光路長差方式と呼ばれるAF方式がある(特許文献1参照)。光路長差方式は撮影レンズ光学系の中にハーフミラー等の分岐光学系を設ける。被写体から入射した光がカメラ撮影用の撮像素子へ到達すると同時に、入射光の一部を分岐光学系によりピント検出用の光学系へ分岐する構造を持つ。ピント検出用の光学系へと分岐した光はさらに2つに分割し、2つのピント検出用の撮像素子にそれぞれ結像させる。この時ピント検出用の撮像素子の撮像面は、本線の撮影用撮像素子の撮像面に対して、1つは短い光路長に設定し、もう一方は等間隔に長い光路長に設定する。この2つのピント検出用の撮像素子が得るコントラスト信号を比較することで、被写体に対してピントが至近側かあるいは無限側かを判別してAFを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−296492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像素子の映像情報を利用してピント検出をするコントラスト検出方法をテレビレンズに採用すると次のような問題がある。放送用ズームレンズの合焦光学系はズーム光学系より被写体側に配置することが一般的であるが、大径で質量の重い合焦光学系を高速でウォブリングすることは現実的に不可能である。そこでズーム光学系より結像面側に配置される光学系の一部をウォブリングする構成が考えられるが、構造上従来と同じマニュアル操作性を維持することが難しい。また合焦光学系とズーム光学系を連動制御する必要があるために、高速でズーム操作をすると合焦光学系が追従できずにズーム中にピントずれが発生する。そのためズーム速度を制限する必要があり、テレビレンズの操作性が低下する問題点がある。プロのカメラマンがAF機能を使用するケースは限られた撮影条件の時のみである。それゆえAF機能を搭載することにより、これまでの操作性や使い勝手を犠牲にすることは好ましくない。
【0007】
特許文献1記載の光路長差方式を利用したAF方式は、合焦状態を検知するAFアダプターをテレビレンズとカメラの間に装着する形態である。しかし肩担ぎ用のポータブルテレビレンズにこのアダプターを装着すると、アダプターの形状が大きくて重いために、ポータブルカメラに必要な軽量性と機動性が失われる問題がある。AF機能を付加した時でも使い勝手の良いレンズが望まれる。AFアダプターを取り外した時は従来と同じ使い勝手でテレビレンズが操作できる。しかしテレビレンズとカメラの間にAFアダプターを取り付ける構造のため、アダプター着脱の作業は簡単ではない。撮影現場におけるその時の状況に応じて迅速にAFアダプターが着脱できる利便性を持ち合わせてはいない。
【0008】
また放送用テレビレンズの特徴の1つに製品寿命が長いことが挙げられる。製品が高額なこともあり、新しい撮影機材を購入することも簡単ではない。同じ撮影装置を長年使い続けるケースが多いのが現状である。それゆえ従来のテレビレンズに対してAF機能やピントボケの表示手段が簡単に付加できる方法があれば、低コストで付加価値の高いテレビレンズを提供できることになる。
【0009】
本発明は上記課題を克服するために考案されたものである。AF機能を持ちながら操作性や使い勝手に優れ、またAF機能を持たない通常の撮影レンズに対しても低コストでAF機能を付加することができるレンズ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明のレンズ装置は、フォーカスレンズを含む撮影光学系を有するレンズ装置において、前記撮影光学系に入射する光とは異なる被写体光を用いて被写体とレンズ装置との距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体距離検出手段の検出結果に基づき前記撮影光学系の合焦状態を演算する演算手段と、合焦状態を表示する表示手段を備え、前記被写体距離検出手段は前記レンズ装置に対して着脱自在に装着する装着手段を持つことを特徴としている。
【0011】
さらに、フォーカスレンズを含む撮影光学系を有するレンズ装置において、前記撮影光学系に入射する光とは異なる被写体光を用いて被写体とレンズ装置との距離を検出する被写体距離検出手段と、前記撮影光学系の合焦を指示する指示手段と、前記指示手段の操作に応じて、前記被写体距離検出手段の検出結果に基づき前記フォーカスレンズを合焦状態へ制御する制御手段を備え、前記被写体距離検出手段は前記レンズ装置に対して着脱自在に装着する装着手段を持つことを特徴としている。
【0012】
さらに、前記レンズ装置は、前記撮影光学系を有するレンズ本体と、前記レンズ本体を制御する駆動手段と制御回路を格納するドライブユニットの2つから構成され、前記ドライブユニットは前記撮影光学系を遠隔から駆動指示するデマンド装置を含む外部機器と接続するコネクタを持ち、前記被写体距離検出手段は前記コネクタに対して着脱自在に装着する装着手段を備え、前記ドライブユニットは前記被写体距離検出手段と前記外部機器との接続を区別する接続判別手段を持つことを特徴としている。
【0013】
さらに、前記被写体距離検出手段は、レンズ装置の任意の位置に固定するための固定手段とケーブルを有することを特徴としている。
【0014】
さらに前記レンズ装置と、前記レンズ装置の前記撮影光学系が結像する撮像素子を有するカメラ装置とを備えた撮影装置としてシステム構成していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部測距センサをレンズ装置に対して着脱自在に設ける構造にすることにより、AF機能を持ちながら高いマニュアル操作性と使い勝手に優れたレンズ装置を提供することができる。またAF機能を持たない通常のレンズ装置に対しても低コストでAF機能を付加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による撮影装置の構成図
【図2】本発明による撮影装置の外観図
【図3】本発明による外部測距ユニットの接続図
【図4】本発明によるデマンド装置の接続図
【図5】本発明によるAF処理のフローチャート
【図6】本発明によるカメラファインダーの表示図
【図7】本発明による外部測距ユニットの接続図
【図8】本発明による撮影装置の外観図
【図9】本発明による外部測距ユニット固定方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の一例を示した撮影装置を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。図1はニュース取材等のテレビ撮影に用いられるテレビ放送用の撮影装置のブロック図を表している。図中Lはズームレンズで、ズームレンズLの近傍にはレンズを駆動する制御部品を格納するドライブユニットDが配置され、ドライブユニットDはズームレンズLに対して着脱可能に固定している。ズームレンズLとドライブユニットDをあわせてレンズ装置を構成する。また図中CはズームレンズLが集光した光を電子映像に変換するカメラ装置で、レンズ装置をカメラ装置Cに装着して撮影を行う。即ちズームレンズCとドライブユニットDとカメラ装置Cをあわせて撮影装置を構成している。
【0019】
図1を用いてズームレンズの基本的な構成について説明し、その後に本発明の特徴的なAF機能について詳しく説明する。図中1は合焦光学系でフォーカスリング2を手動および電動駆動して光軸方向にレンズを繰り出してフォーカスのピント合わせを行う。3は変倍光学系でバリエータ3aとコンペンセータ3bで構成され、ズームリング4を手動および電動で回転操作してズーミングを行う。5は光量を調整する絞りで、アイリスリング6を手動および電動で回転操作して被写体映像の明るさを調整する。7は光線をアフォーカルにするためのリレーレンズ群。8は光軸上に挿入・退避が切換可能なエクステンダ−レンズ群で焦点距離を2倍あるいは等倍に切換える。9は結像レンズ群で被写体像をカメラ装置Cに配置したCCD10に結像する。CCD10で電気信号へ変換した映像情報は映像信号処理回路11でデジタルビデオ信号に変換し、CPU12の指示に従いビューファインダ13に被写体映像を表示する。またビューファインダ13には被写体映像だけでなく、カメラ装置Cの設定情報など、撮影に関わるキャラクタ情報も表示される。パターン生成部14でビューファインダ13に表示する表示パターンを生成し、CPU12の指示に基づいてビューファインダ13へ表示する。
【0020】
次にドライブユニットDの構成について説明する。ズームレンズLのフォーカス、ズーム、絞りは手動と電動の両方で調整することが可能である。電動時にはフォーカスリング2をフォーカスモータ15で駆動し、フォーカス位置をエンコーダ16で検出する。ズームを電動駆動する時には、図2に示したドライブユニットDの外装面に設けたズーム操作部材50を操作して、ズームリング4をズームモータ17で駆動する。ズーム位置はエンコーダ18で検出する。アイリスリング6はアイリスモータ19で駆動し、アイリス位置をエンコーダ20で検出する。各モータはCPU21から出力される指令に基づき、制御回路22でフィードバック制御する。ドライブユニットDの外装面に設けた3つのコネクタ23、24、25は外部接続機器と接続するためのコネクタである。撮影装置を肩に担いで撮影する場合、ドライブユニットDは手のひらで掌握してレンズ装置を保持する。そのため図2に示すように3つのコネクタはドライブユニットDを掌握した時に邪魔にならないようにドライブユニットDの下側に配置している。ズームをレンズ装置から離れた位置から操作する時には、ズームデマンド26のコネクタ26aをコネクタ24に接続し、ズーム操作部26bを操作する。同じくフォーカスを電動で操作する時には、フォーカスデマンド27のコネクタ27aをコネクタ23に接続し、フォーカス操作部27bを操作する。ズームデマンド26及びフォーカスデマンド27は3つのコネクタ23,24,25のいずれに接続しても構わない。またズームデマンド26及びフォーカスデマンド27と、ドライブユニットDとの間の接続はアナログ接続とデジタル通信の両方の接続が可能で、使用するデマンドのタイプに応じて対応できる構造になっている。アナログタイプのデマンドと接続する時には28,29,30で示したA/Dコンバータを介してレンズを駆動する指令信号をCPU21に取り込み、制御回路22で各モータを制御する。またCPU21とカメラ装置CのCPU12はシリアル通信していて、カメラのビューファインダ13には図6(a)に示すようにAFエリア枠43を表示する。このAF枠はドライブユニットDの外装面に配置したクロスキー32を操作して動かすことができる。
【0021】
次に本実施形態のオートフォーカス機能について説明する。31は被写体までの距離を測定する外部測距ユニットである。外部測距ユニット31は撮影レンズの光学系に入射する光を用いることなく被写体距離を求めるセンサユニットである。図1に例示した外部測距ユニット31は、被写体からの受光信号を用いて被写体距離を求めるパッシブ型の外測位相検出方式を用いている。センサ部31aでは2分割された被写体からの光束を1組のラインセンサに受光する。信号処理部31bではセンサ31aで出力した被写体像信号のずれ量から、三角測量方法により被写体距離を求める。CPU31cは信号処理部31bに対して、被写体距離の測定に必要とされるセンサ31aの蓄積時間の指示や、どの被写体の距離を測定するかというエリア指定など、測定に関わる様々な条件を指示する。コネクタ31dはドライブユニットDのコネクタ23,24,25に対して着脱自在であり、装着時にはセンサ31aがズームレンズLの光軸と略平行となる向きに取り付く構造を持つ。コネクタ接続によりドライブユニットDのCPU21は、外部測距ユニット31のCPU31cとシリアル通信を行う。図2は外部測距ユニット31をレンズ装置に装着する様子を表わしている。外部測距ユニット31はドライブユニットDの下側に取り付く構造のため、ドライブユニットDを手のひらで掌握した時に邪魔になることはない。本実施例の外部測距ユニットはパッシブ型の外測位相差検出方式を例示したが、被写体に対して測距用の光を投光し、反射光を受光して被写体距離を求めるアクティブ方式の距離測定ユニットでも構わない。またパッシブ測距方式とアクティブ測距方式の2つを併用することも可能である。さらに超音波センサを用いて超音波の伝播速度から被写体までの距離を測定する方法を用いることもできる。外部測距ユニット31は被写体距離の測定方式を限定するものではない。
【0022】
ドライブユニットDのコネクタ23,24,25はレンズ装置を遠隔から制御するデマンドと外部測距ユニット31の両方を装着することが可能である。そのためドライブユニットDはどちらの外部装置が接続されたのかを判別する必要がある。図3はドライブユニットDを外部測距ユニット31と接続した状態を表わし、図4はドライブユニットDとフォーカスデマンド27を接続した状態を表わす。2つの図を用いてドライブユニットDに接続した外部装置の判別方法を説明する。図3及び図4において図1と同じ番号で示した図は、同一の部位であるため説明は省略する。図3は外部測距センサ31のコネクタ31dをドライブユニットDのコネクタ23へ接続した様子を表わした図であり、特徴的な信号ラインについて説明する。L1は外部測距ユニット31の信号処理部31bからの被写体距離情報をアナログ信号でドライブユニットDへ送る信号ラインで、A/Dコンバータ28を介してCPU21へ取り込む。L2は2つのCPUの間をシリアル通信する信号ラインで、CPU21から被写体距離の測定に必要とされるセンサ31aの蓄積時間の指示や、どの被写体の距離を測定するかというエリア指定など、被写体距離の測定に関わる様々な条件をCPU31cへ指示している。L3はドライブユニットDのコネクタ23が接続される外部装置を判別する専用の信号ラインである。信号ラインL3の外部測距ユニット側はグランド31eに接続し、反対にドライブユニットD側はプルアップ抵抗をかけて5V(図中42)に接続する。即ち外部測距ユニット31をデマンドDに接続した時には信号ラインL3はグランドに落ち、外部測距ユニット31が接続されていない時には5Vとなる。この他に外部測距ユニット31にドライブユニットDから電源を供給する図示しない電源ラインもある。図4はアナログタイプのフォーカスデマンド27のコネクタ27aをドライブユニットDのコネクタ23へ接続した様子を表わしている。L4はフォーカス駆動を指示するアナログ信号をフォーカスデマンド27からドライブユニットDへ送る信号ラインである。フォーカスデマンド27のフォーカス操作部27bの操作に応じて、信号回路27cから指令されるフォーカス指令信号は、A/Dコンバータ28を介してCPU21へ取り込む。L3は図3で説明したように、コネクタ23が接続される外部装置を判別する専用の信号ラインである。フォーカスデマンド27をドライブユニットDへ接続した時においても、信号ラインL3はフォーカスデマンド27の信号回路27cに接続されていないため開放状態となり、信号ラインL3の電圧は5Vとなる。これはズームデマンド26を接続した時も同じである。即ちコネクタ23の信号ラインL3の電圧がグランド時のみ外部測距ユニット31が接続されていると判別している。外部接続装置の判別は図1の接続判別部32がその役割を果たしており、コネクタ23だけでなくコネクタ24と25についても同様に外部測距ユニットの接続の有無を判別する。このように専用の信号識別ラインを設けることで外部測距ユニット31の識別が可能となるが、信号の識別ラインを設けることなく、シリアル通信を使用したコマンド送受により判別を行うことも可能である。
【0023】
外部測距ユニット31と、デマンドやパソコンなどの外部装置との接続を判別する方法は、前述した手法に限定するものではない。接続する相手が判別できれば如何なる方法でも構わない。
【0024】
次に外部測距ユニット31を用いた時にCPU21が実行するAF処理の流れについて図1,図5,図6を用いて説明する。図5のフローチャートのS101において、外部測距ユニット31がドライブユニットDのコネクタ23,24,25に接続されているかを接続判別部32で判別する。外部測距ユニット31が接続されていると判別した時には、CPU21は外部測距ユニット31に対して被写体距離の測定に関わる様々な測定条件を設定する。例えば、ドライブユニットDのCPU21はクロスキー32が指定する合焦エリアを外部測距ユニット31へ指示する。そのほか、CPU21は被写体距離の測定に必要とされるセンサ31aの蓄積時間など、被写体距離の測定に関わる設定を外部測距ユニット31に対して行う。S103では外部測距ユニット31の信号処理部31bから得た被写体距離情報をA/Dコンバータ28を介してドライブユニットDのCPU21へ取り込む。S104ではCPU21が外部測距ユニット31からの被写体距離情報とズームレンズLのフォーカスエンコーダ16が検知するフォーカス位置情報に基づいてフォーカスの合焦状態を演算する。次にS105では、S104で演算した合焦状態をカメラ装置Cのビューファインダ13あるいは、ドライブユニットDの外装面に設けた表示部33へ表示する。CPU21はカメラ装置CのCPU12へ合焦状態を示すコマンドをシリアル通信で送信する。カメラ装置Cのパターン生成部14には、合焦状態を表示するためのキャラクタが事前に登録してあり、合焦状態に対応したキャラクタ文字をビューファインダ13に表示する。例えば図6(a)はピントが合焦している状態、図6(b)はピントが無限側にずれている場合、図6(c)はピントが至近側にずれている状態を表わし、ぞれぞれの合焦状態に対応したキャラクタ文字44,45,46を表示する。S106においてドライブユニットDの外装面に設けたAFスイッチ34が押されているかを判断し、押された時にはS107でAF制御処理を行う。CPU21は合焦光学系1が合焦するために必要な移動量を計算し、フォーカスモータ15を制御する。AFスイッチ34は押した1回だけAF制御を処理するワンショットAFやスイッチ34を押し続ける間AF処理を続けるモード、そして常にAFを機能させるフルタイムAFモードの3つのAF処理モードをAFモード設定スイッチ35で設定することができる。またS101でドライブユニットDに外部測距ユニット31が接続されていないと判別した時には、CPU21はS108でズームデマンド26あるいはフォーカスデマンド27の指令信号の有無を確認する。デマンドからの指令信号を確認した場合には、S109で指令信号に基づいてズームモータ17あるいはフォーカスモータ15を制御する。
【0025】
なお、本実施例では外部測距ユニット31からの被写体距離情報はアナログ値としてA/Dコンバータで読み込んでいるが、外部測距ユニット31とドライブユニットDの間でシリアルデータ通信を行っても良い。
【0026】
また、ドライブユニットDの3つのコネクタは、外部測距ユニット31とズームデマンド26、フォーカスデマンド27を同時に取り付けることが可能である。外部測距ユニット31を用いたAFと、フォーカスデマンド27の操作が同時に操作された時に、どちらの指令を優先するかを決める必要がある。モード切換スイッチ36はAFの指令とフォースデマンド操作が同時に発生した時に、指令の優先順位を設定するモード切換スイッチである。
【0027】
本実施例で示したドライブユニットDが持つ3つのコネクタ23,24,25は、デマンドやパソコンなどの外部装置との接続用に従来から配置されたコネクタである。このコネクタに外部測距ユニット31を接続可能にすることにより、別途専用のコネクタを設けてレンズ装置を大型化そしてコストアップすることなくAF制御ができるメリットがある。また合焦状態を検知するセンサを撮影装置の内部ではなく、外部に設けているので着脱時の作業性に優れ、撮影状況に応じて迅速に着脱することができる。また外部測距ユニット31の接続用コネクタをデマンド用コネクタと兼用するのではなく、専用のコネクタをドライブユニットDの下側あるいは、被写体側の位置へ新たに設けることも当然可能である。
【0028】
このように従来の放送用テレビレンズの光学系および機構系を変更することなく、外部測距ユニットを加えることにより、これまでのマニュアルリングの操作性や使い勝手を維持したまま、AF機能を付加することができる。プロのカメラマンは自分の意図通りにピント合わせを行うことを重視しているため、AF機能を使用するケースは限られた撮影条件の時のみである。本実施例は外部測距ユニット外している時はもちろん、装着した時の質量増加も少なく、AF機能を持ちながら高いレンズの操作性と使い勝手を備えている。
【0029】
本実施例においては外部測距ユニット31が検出する被写体距離情報に基づいて、AF制御する例を説明したが、肩担ぎ用のポータブルレンズ装置には、フォーカスモータ15を内蔵していないケースも多い。そのような場合においても、カメラ装置のビューファインダやドライブユニットの表示部に合焦状態が表示されるので、表示内容を確認しながら手動でフォーカスリング2を操作してピント合わせが可能である。機動性が重視される肩担ぎタイプの撮影装置は軽量であることが求められるので、モータ駆動によるAF制御ができなくても、合焦状態を確認しながら手動でフォーカス操作ができるメリットは大きい。
【0030】
放送用に使用する撮影装置は製品寿命が長く、レンズ装置も長年使い続けるケースが多い。既存のレンズ装置に対してAF機能が容易に付加できればそのメリットも大きい。ハード的にはドライブユニットDが持つコネクタに、外部測距ユニット31を取り付けることは可能であるが、レンズ装置のAF制御や合焦状態を表示するには既存のソフトウェア処理を変更する必要がある。図1における37はドライブユニットDに内部にある基板上に設けたコネクタで、ドライブユニットDのケースを開けて、図5のフローチャートで説明したAF処理を含むソフトウェアをメモリ38へインストールする。ソフトウェアをインストールする別の方法として、パソコン39を用いる方法もある。外部接続用のコネクタ24とパソコン39のコネクタ39bを接続し、パソコン39aからソフトウェアをメモリ38へ記憶する。同様にカメラ装置Cに対しても、ビューファインダ13へ合焦状態を表示するために、ドライブユニットDとのシリアル通信処理を行う専用のソフトウェアをインストールする。このように本発明のシステム構成によれば、AF機能や合焦状態の表示手段が簡単に付加できるので既存の撮影装置を低コストで付加価値の高い撮影機材へ簡単に改造することができる。
【0031】
本実施例で示したレンズ装置は肩担ぎタイプのポータブルレンズを例示したが、スタジオやフィールドで用いる箱型タイプのレンズ装置でも構わない。また外部測距ユニットはレンズ装置に取り付けるのではなく、カメラ装置に取り付けることも可能である。
【0032】
以上説明したように、外部測距センサを撮影装置に対して着脱自在に設ける構造にすることにより、AF機能を持ちながら高いマニュアル操作性と使い勝手に優れた撮影装置を提供することができる。またAF機能を持たない通常の撮影レンズに対しても低コストでAF機能を付加することが可能となる。
【実施例2】
【0033】
本発明の第2の実施例による撮影装置を図7〜図9に基づいて説明する。図の中で第1の実施例と同一記号の図は同じ部位を表しているので説明を省略する。図7は外部測距ユニット40をドライブユニットDへ接続した状態を表わしている。外部測距ユニット40のコネクタ40dはドライブユニットDのコネクタ23に接続している。図7における40a,40b,40cはそれぞれ図1における31a,31b,31cに相当するので説明は省略する。本実施例の特徴は、外部測距ユニット40の測距センサ40aがドライブユニットDのコネクタ近傍に装着されるのではなく、撮影装置の任意の場所へ取り付け可能な点である。40eは測距ユニット40を任意の位置へ配置するためのケーブルで、図8および図9ではではレンズフード41に取り付けた様子を表わしている。40fは測距ユニット40をフード41に取り付ける固定ネジで、フードに限らず如何なる場所にも固定することができる。また固定方法は固定ネジに限定されるものではなく、マジックテープ(登録商標)など撮影装置に固定が容易な方法であればどのような形でも構わない。外部測距ユニット40を例えば図8に示すようにフードに固定することにより、測距位置を光軸に近づけてパララックスによる被写体距離の測定誤差を減少することができる。外部測距ユニット40の設定場所によってはパララックスの影響が異なるので、必要に応じて図1に示したドライブユニットDの表示部33と設定用のクロスキー32を用いて被写体距離の演算方法を補正する。実施例1と同様に、AF機能が不要な時には外部測距ユニット40は簡単に取り外すことができる。
【0034】
このように外部測距センサを撮影装置に対して着脱自在に設ける構造にすることにより、高いマニュアル操作性と使い勝手に優れたAF機能付きの撮影装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
L ズームレンズ
C カメラ装置
D ドライブユニット
21 CPU
31 外部測距ユニット
23 コネクタ
32 接続判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを含む撮影光学系を有するレンズ装置において、前記撮影光学系に入射する光とは異なる被写体光を用いて被写体とレンズ装置との距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体距離検出手段の検出結果に基づき前記撮影光学系の合焦状態を演算する演算手段と、合焦状態を表示する表示手段を備え、前記被写体距離検出手段は前記レンズ装置に対して着脱自在に装着する装着手段を持つことを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
フォーカスレンズを含む撮影光学系を有するレンズ装置において、前記撮影光学系に入射する光とは異なる被写体光を用いて被写体とレンズ装置との距離を検出する被写体距離検出手段と、前記撮影光学系の合焦を指示する指示手段と、前記指示手段の操作に応じて、前記被写体距離検出手段の検出結果に基づき前記フォーカスレンズを合焦状態へ制御する制御手段を備え、前記被写体距離検出手段は前記レンズ装置に対して着脱自在に装着する装着手段を持つことを特徴とするレンズ装置。
【請求項3】
前記レンズ装置は、前記撮影光学系を有するレンズ本体と、前記レンズ本体を制御する駆動手段と制御回路を格納するドライブユニットの2つから構成され、前記ドライブユニットは前記撮影光学系を遠隔から駆動指示するデマンド装置を含む外部機器と接続するコネクタを持ち、前記被写体距離検出手段は前記コネクタに対して着脱自在に装着する装着手段を備え、前記ドライブユニットは前記被写体距離検出手段と前記外部機器との接続を区別する接続判別手段を持つことを特徴とする請求項1〜2記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記被写体距離検出手段は、レンズ装置の任意の位置に固定するための固定手段とケーブルを有することを特徴とする請求項1〜3記載のレンズ装置
【請求項5】
請求項1〜4記載の前記レンズ装置と、前記レンズ装置の前記撮影光学系が結像する撮像素子を有するカメラ装置とを備えた撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−75965(P2011−75965A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229246(P2009−229246)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】