説明

オートフォーカス付き光学的コード走査装置

光学的走査装置は、走査するコードを距離をおいて照明し、そのコードの反射光による像をイメージセンサ上に結像させる液体レンズを有する。この走査装置は、走査するコードまでの距離を測定するために好ましくはレーザ型の距離検知器を有し、上記液体レンズは、それによって検知された距離に合焦するように制御される。照明の光源は、走査するコードまでの距離に関わらず光強度をほぼ一定に保つように制御されることはない。これは、照明の光強度を(直接的に)制御すること、あるいは距離に関連して照明の分散角を制御することによって達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオートフォーカス付き走査装置(スキャナ)に関し、特に、近くから遠くまで広い距離範囲に亘って効率よく読み取り可能なコード走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的走査装置は、産業全般に亘って幅広い用途に使われている。バーコードスキャナは、コード走査装置の一般的な形態である。このタイプのスキャナには手持式のものがあり、大きなサイズ範囲及び距離範囲に亘るラベル上のコードを認識する必要がある。例えば、バーコード読取装置は、理想的には50mmの距離(近距離)で解像度が0.127mmの極めて小さなラベルから、3mの距離で解像度が1.4mmの大きなラベルまで、どんなものでも読み取り可能であるべきである。二次元コードを認識する必要があるスキャナについては、さらに厳しい要求になる。
【0003】
基本的な問題は、走査装置は近くから遠くまでを含む距離の深い被写界深度(DOF)に亘って、シャープなピント(合焦)を保持しなければならないことである。被写界深度は、オートフォーカス(自動焦点調整)やズームフォーカス機構を用いることにより効果的に増加させることができ、例えば、光学素子等を操作するためにボイスコイルモータを備えたものもある。しかしながら、このような走査装置は、可動部品(信頼性の問題)の使用も関係して、応答がかなり遅い傾向があり、さらに、焦点範囲が比較的制限される。これらは光学素子の中央部に導入しなければならないので、既存装置を改良することは容易ではなく、全レンズの再設計を要する。
【0004】
オートフォーカス機構の欠点を克服できたとしても、理想的な被写界深度を達成することはできない。走査装置によってなされるコード読み取りのための照明は、距離とともに急激に減衰する。その結果、遠い被写界でやっと足りる照明は、近い被写界では明るすぎてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広く云えば、この発明の目的は、近い被写界から遠い被写界まで全ての距離に亘って効率よくコード画像を検知可能な光学的コード走査装置を提供することである。
この発明の他の目的は、比較的早く、望ましくは20ms以下でコード画像を検知可能な光学的コード走査装置を提供することである。
この発明の他の目的は、可動部品の使用を避けて、それによる信頼性の問題をなくした光学的コード走査装置を提供することである。
この発明の他の目的は、従来の光学的コード走査装置よりも十分大きな焦点調整範囲を有する光学的コード走査装置を提供することである。
この発明の他の目的は、既存の走査装置に対して容易に改良可能な光学的コード走査装置を提供することである。
この発明の他の目的は、便利でかつ使用に信頼性があり、さらに比較的単純で製造コストが安価な光学的コード走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の1つの特徴によれば、コード走査装置が、走査するコードを距離を置いて照明し、そのコードの反射光による像をイメージセンサ上に結像させる液体レンズを有する。また、その走査装置が、走査するコードまでの距離を測定する距離検知器、好ましくはレーザ型の距離検知器を有し、上記液体レンズは検知された距離に合焦するように制御される。
この発明の他の特徴によれば、コード走査装置が、走査するコードを距離をおいて照明し、その走査するコードまでの距離を測定する距離検知器、好ましくはレーザ型の距離検知器を有し、照明の光源は、走査するコードまでの距離に関わらず光強度をほぼ一定に保つようには制御されない。これは上記距離に関連して、照明の光強度を(直接的に)制御するか、あるいは照明の分散角を制御することにより達成され得る。
【0007】
この発明の前述の簡単な説明、および他の目的や特徴と利点は、添付図面を参照しながらこの発明の好適な実施例を詳細に説明することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明によるコード走査装置の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、図面の詳細を説明すると、図1はこの発明の実施例であるコード走査装置10を示す概略図である。この走査装置10は、例えばバーコードのような光学的コード14を、ある距離をおいて照明する光源12を備える。そのバーコード14から反射した光Lはイメージセンサ16上に画像を形成し、その画像はバーコード14に復号するために処理される。
【0010】
液体レンズ18は、バーコード14とイメージセンサ16との間の光Lの光路中に配置される。当業者であれば、これは2つの透明層の間に光学的界面を有する電子光学型の装置であることが分かるであろう。 印加電圧の調整によってその界面の形状が変化し、レンズの焦点距離が変化する。レンズ18とイメージセンサ16との間の距離は固定されているが、印加電圧によってレンズ18の左側のレンズが合焦する平面までの距離が変化する。そのため、コントローラ20がレンズ18に印加する電圧を変えるだけで、イメージセンサ16の距離にバーコード14を結像させることができる。レンズの機械的な動作は不要である。しかし、当然のことながら、レンズ18に印加する制御電圧は、レンズ18およびイメージセンサ16からバーコード14までの実際の距離と相関しなければならない。
【0011】
レンズ18の制御を適切に行うために、好ましくはレーザ装置とレーザ検知器24からなる測距装置が設けられる。2種類のレーザ測距技術がよく知られている。パルス技術は、レーザパルスの開始とその反射の戻りの間の遅延時間を測定する。視差技術は、対象物にスポットを形成する光線を照射し、その後対象物上のスポットの検知位置を測定する。ターゲットの距離は、検知されたスポットの位置から測定できる。レーザ装置22とレーザ検知器24によって視差測距装置を構成するとよい。レーザ22はバーコード14上に光線を照射し、検知器24はそれによるドットを検知して、バーコード14までの距離を測定する。そして、その検知器24は、コントローラ20に印加する距離を示す信号を生成する。それによって、コントローラ20は、その信号に応じてレンズ18に対してその距離に合焦させるのに適切な電圧を印加することができる。
【0012】
検知器24の出力信号は、光源12にも印加され、それによって光源の光強度が制御される。最も単純な形態としては、光源12が発光ダイオードアレイであり、その光強度はアレイ上の点灯する発光ダイオードの数によって制御される(光学的出力を変化することによってより単純になる)。光源12の光強度は、光の中央における分散角(dispersion angle)を変化させることによっても制御し得る。当業者であれば、これは、バインライク(vain-like)装置等の角度を制御することによって機械的になし得るか、あるは集光レンズを用いて光学的になし得ることが分かるであろう。それは、複数の集光レンズを用いてそれらを選択することにより、若しくはズームレンズ、あるいは液体レンズを用いることによりなし得る。
【0013】
いずれにしても、バーコードの距離と関連したコントローラによる焦点距離と光源の照明とによって、被写界深度(DOF)の性能は理想に近づくことが可能である。
【0014】
液体レンズ18は、バリオプティック社製のARCTIC−414又はARCTIC−416であるとよい。しかし、他の液体レンズを用いてもよい。
【0015】
好ましい配置において、レーザはカメラの側面や底面ではなく、カメラの上部に搭載するとよい。加えて、レーザは光軸から約6mmから15mm程度ずらして配置するとよい。さらに、照明用にLEDを用いる場合は、反射の影響を最小にするために、モジュールのレーザとは反対側に搭載すべきである。
【0016】
前述したように、この発明は、より速くコード画像の焦点合わせをすることができる点、可動部品を使用せず、それに伴う信頼性の問題を排除することができる点、大きな焦点範囲を有する点、既存の走査装置を容易に改良できる点において、先行技術より優れた利点を示す。
【0017】
説明により、この発明の好適な実施例を明らかにしてきたが、当業者であれば、特許請求の範囲によって規定されるこの発明の範囲及び精神から逸脱することなく、種々の追加、変更および置き換えが可能なことが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離れた光学的コードを撮像するための走査装置であって、
前記コードからの反射光によって作られる前記コードの画像を受け取るイメージセンサと、
前記コードと前記イメージセンサとの間に配置されて前記イメージセンサ上に画像を形成し、レンズの焦点を制御する信号のための制御入力部を有す液体レンズと、
前記光学的コードまでの距離に関する信号を生成し、その距離に関する信号を前記液体レンズの前記制御入力部に印加する距離検知器とを備えたことを特徴とする走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走査装置において、
前記距離検知器が、前記光学的コード上にスポットを形成するためにビームを照射するレーザ発光体と、前記スポットからの反射光を検知して、前記光学的コードまでの距離を測定するレーザ検知器とから成ることを特徴とする走査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走査装置において、
前記センサが前記スポットの検知位置に応答することを特徴とする走査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の走査装置において、
前記光学的コードに向けた照明の光源と、前記距離に関する信号に関連して前記照明を制御するように構成されたコントローラとを備えたことを特徴とする走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して前記照明の強さを制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。
【請求項6】
請求項4に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して前記照明の射出角度(the angle of disbursement)を制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。
【請求項7】
請求項4に記載の走査装置において、
前記距離検知器が、前記光学的コード上にスポットを形成するためにビームを照射するレーザ発光体と、前記スポットからの反射光を検知して、前記光学的コードまでの距離を測定するレーザ検知器とから成ることを特徴とする走査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の走査装置において、
前記センサが前記スポットの検知位置に応答することを特徴とする走査装置。
【請求項9】
離れた光学的コードを撮像するための走査装置であって、
前記コードからの反射光によって作られる前記コードの画像を受け取るイメージセンサと、
該イメージセンサ上に前記画像を形成するために、前記コードと前記イメージセンサとの間に配置された光学素子と、
前記光学的コードまでの距離に関する信号を生成する距離検知器と、
前記光学的コードに向けた照明の光源と、
前記距離に関する信号に関連して前記照明を制御するように構成されたコントローラとを備えたことを特徴とする走査装置。
【請求項10】
請求項9に記載の走査装置において、
前記距離検知器が、前記光学的コード上にスポットを形成するためにビームを照射するレーザ発光体と、前記スポットからの反射光を検知し、前記光学的コードまでの距離を測定するレーザ検知器とから成ることを特徴とする走査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の走査装置において、
前記センサが前記スポットの検知位置に応答することを特徴とする走査装置。
【請求項12】
請求項10に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して照明の強さを制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。
【請求項13】
請求項10に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して照明の射出角度を制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。
【請求項14】
請求項9に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して照明の強さを制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。
【請求項15】
請求項9に記載の走査装置において、
前記コントローラは、前記距離に関する信号に関連して照明の射出角度を制御するように構成されていることを特徴とする走査装置。

【図1】
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【公表番号】特表2011−504247(P2011−504247A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533055(P2010−533055)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/084043
【国際公開番号】WO2009/061317
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【出願人】(592252968)オプチコン インコーポレイテッド (31)
【Fターム(参考)】