説明

オーニング装置兼用開閉装置

【課題】オーニング装置の機能を発揮できるオーニング装置兼用開閉装置を提供する。
【解決手段】オーニング装置兼用開閉装置1は、開口部3を開閉する上下方向に移動可能な開閉体15を備える。開閉体15の下端部には、開閉体15とともに上下方向に移動するオーニング手段16を設ける。オーニング手段16は、可撓性のオーニング体と、このオーニング体を巻き戻し可能に巻き取る巻取体42とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーニング装置の機能を発揮できるオーニング装置兼用開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたシャッタ装置等の開閉装置が知られている。
【0003】
この開閉装置は、例えば住宅等の建物の開口部を開閉する移動可能な開閉体と、開口部の開口時に開閉体が収納される収納体と、開閉体の移動時にこの開閉体の側端部を案内する左右1対の案内体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193769号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、最近のエコブームにより、例えば太陽光(日光)の室内への入り込みを防止して省エネ化を図ることができるオーニング装置に人気がある。このため、近年、オーニング装置の機能を発揮できるオーニング装置兼用開閉装置が求められていた。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、オーニング装置の機能を発揮できるオーニング装置兼用開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のオーニング装置兼用開閉装置は、開方向に移動して開口部を開口させ、閉方向に移動して前記開口部を閉鎖する移動可能な開閉体と、この開閉体に設けられ、この開閉体とともに開方向および閉方向に移動するオーニング手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載のオーニング装置兼用開閉装置は、請求項1記載のオーニング装置兼用開閉装置において、開閉体は、オーニング支持部材を有し、オーニング手段は、可撓性を有するオーニング体と、前記オーニング支持部材に回転可能に設けられ、前記オーニング体を巻き戻し可能に巻き取る巻取体とを有するものである。
【0009】
請求項3記載のオーニング装置兼用開閉装置は、請求項2記載のオーニング装置兼用開閉装置において、開閉体の移動時にこの開閉体の側端部を案内する案内体を備え、前記開閉体は、オーニング支持部材の側端部に設けられ前記案内体にて案内される被案内部材を有するものである。
【0010】
請求項4記載のオーニング装置兼用開閉装置は、請求項3記載のオーニング装置兼用開閉装置において、案内体は、互いに離間対向する対をなすローラ案内面を有し、被案内部材は、前記対をなすローラ案内面のうちの一方のローラ案内面に沿って移動する一方側ローラ部と、前記対をなすローラ案内面のうちの他方のローラ案内面に沿って移動する他方側ローラ部とを有するものである。
【0011】
請求項5記載のオーニング装置兼用開閉装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載のオーニング装置兼用開閉装置において、オーニング手段は、開閉体の閉方向先端側に設けられているものである。
【0012】
請求項6記載のオーニング装置兼用開閉装置は、請求項2記載のオーニング装置兼用開閉装置において、巻取体から最大に巻き戻された状態のオーニング体の水平成分の長さは、開口部の高さと略等しいかまたはその開口部の高さよりも短いものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動可能な開閉体と、この開閉体に設けられこの開閉体とともに開方向および閉方向に移動するオーニング手段とを備えるため、オーニング装置の機能を発揮でき、しかも、開閉体を移動させることによってオーニング手段の位置を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るオーニング装置兼用開閉装置の正面図である。
【図2】同上オーニング装置兼用開閉装置の縦断面図である。
【図3】同上オーニング装置兼用開閉装置の部分縦断面図である。
【図4】同上オーニング装置兼用開閉装置の部分横断面図である。
【図5】同上オーニング装置兼用開閉装置のオーニング手段の概略平面図である。
【図6】同上オーニング装置兼用開閉装置の作用説明図である。
【図7】同上オーニング装置兼用開閉装置の作用説明図である。
【図8】必要となるオーニング体の水平成分の長さの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2において、1はオーニング装置兼用開閉装置(オーニング付きシャッタ)で、このオーニング装置兼用開閉装置1は、日除け装置であるオーニング装置の機能と、窓シャッタ装置等のシャッタ装置である開閉装置の機能とを兼ね備えている。
【0017】
オーニング装置兼用開閉装置1は、図1および図2に示されるように、例えば住宅等の建物2に形成された窓開口部等の開口部3を介して互いに離間対向する上下方向長手状の左右対をなす1対の案内体5を備えている。
【0018】
案内体5は、図4に示されるように、開口部3側に向かって開口する平面視略コ字状をなす上下方向長手状の案内部6を有している。案内部6は、互いに離間対向する前後対をなす1対のローラ案内面7,8を有している。室外側である前側のローラ案内面7および室内側である後側のローラ案内面8は、いずれも上下方向に細長い平面状に形成されている。なお、オーニング装置兼用開閉装置1の前後方向とは、室外内方向を意味する。つまり、前方向とは室外方向を意味し、後方向とは室内方向を意味する。
【0019】
また、オーニング装置兼用開閉装置1は、図1および図2に示されるように、両案内体5の下端部にわたって位置する板状の被当接体である下枠体11と、両案内体5の上端部にわたって位置する箱状の収納体12とを備えている。この収納体12内には、左右方向長手状で円筒状の開閉体巻取体である巻取ドラム13が左右方向の軸線を中心として回転可能に配設されている。なお、巻取ドラム13は、例えば電動モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で回転するものであるが、操作者の人力で回転するもの等でもよい。
【0020】
巻取ドラム13には、開方向である上方に移動して円筒状の開状態となって開口部3を開口させかつ閉方向である下方に移動して平面状の閉状態となって開口部3を閉鎖する上下方向に移動可能な金属製の開閉体(シャッタカーテン)15の開方向先端部である上端部が取り付けられている。つまり、巻取ドラム13は、開閉体15を巻き戻し可能に巻き取るもので、一方向への回転により開閉体15を巻き取り、他方向への回転により開閉体15を巻き戻す。
【0021】
そして、開閉体15の閉方向先端側、すなわち例えば閉方向先端部である下端部(座板部)には、開閉体15の移動の際にこの開閉体15とともに開閉方向である上下方向に移動する日除け手段であるオーニング手段16が設けられている。
【0022】
ここで、開閉体15は、図1ないし図3に示されるように、隣り合うもの同士が互いに回動可能に連結された複数枚のスラット20にて構成された開閉体本体部21を有している。各スラット20は、本体板部20aと、この本体板部20aの上下端部にそれぞれ設けられたカール状の連結部20bとにて構成されている。上端のスラット20は、巻取ドラム13の外周面に取り付けられている。下端のスラット20には、開閉体15の下端部を構成する左右方向長手状の閉方向先端部材であるオーニング支持部材23が回動可能に連結されている。つまり、開口部3の全体が開閉体15にて閉鎖された全閉時に下枠体11に当接する当接部である座板部がオーニング支持部材23にて構成され、このオーニング支持部材23にオーニング手段16が設けられている。
【0023】
オーニング支持部材23は、図3および図4に示されるように、前方に向かって開口する箱状に形成され、オーニング出入用開口部である前面開口部24を有している。つまり、オーニング支持部材23は、前後方向にやや細長い矩形状の左右1対の側板部25と、両側板部25の上端部同士を連結する上板部26と、両側板部25の下端部同士を連結する下板部27と、両側板部25の後端部同士を連結する後板部28とを有している。
【0024】
上板部26の前後方向略中央部からカール状のスラット連結部29が上方に向かって突出し、このスラット連結部29と下端のスラット20の連結部20bとが互いに回動可能に連結されている。上板部26の前端部から上突出板部31が下方に向かって突出し、下板部27の前端部から下突出板部32が上方に向かって突出し、これら互いに離間対向する上突出板部31および下突出板部32間に前面開口部24が形成されている。
【0025】
また、図4に示すように、各側板部25の外面からは、対応する案内体5にて上下方向に沿って案内される被案内部材33が外側方に向かってつまり案内体5の案内部6内に向かってそれぞれ突出しており、この被案内部材33の略全体が案内部6内に位置している。つまり、オーニング支持部材23の左右の側端部には、被案内部材33が外側方に向かってそれぞれ突設されている。
【0026】
被案内部材33は、オーニング支持部材23の側板部25の外面から外側方に向かって突出する突出板部34を有している。突出板部34のうち基端部以外の部分は、案内部6内に位置している。
【0027】
突出板部34の先端側の前面から一方側ローラ支持部35が前方に向かって突出し、突出板部34の先端側の後面から他方側ローラ支持部36が後方に向かって突出している。
【0028】
一方側ローラ支持部35には、複数、例えば2個の一方側ローラ部37が左右方向の軸線を中心として回転可能に設けられている。他方側ローラ支持部36には、複数、例えば2個の他方側ローラ部38が左右方向の軸線を中心として回転可能に設けられている。つまり、左右の各被案内部材33は、案内体5の案内部6内に位置する4個のローラ部37,38を有している。
【0029】
そして、開閉体15の移動時には、一方側ローラ部37は、案内部6の一方のローラ案内面7に接触した状態で回転しながらその一方のローラ案内面7に沿って上下方向に移動し、かつ、他方側ローラ部38は、案内部6の他方のローラ案内面8に接触した状態で回転しながらその他方のローラ案内面8に沿って上下方向に移動する。
【0030】
また、開閉体15の開閉体本体部21は、左右の側端部に被案内部分21aを有し、この被案内部分21aが案内体5の案内部6内に位置するようになっている(図1参照)。そして、開閉体15の移動時には、開閉体本体部21の被案内部分21aが、案内部6にて案内されながら、案内部6に沿って上下方向に移動する。
【0031】
オーニング手段16は、図3ないし図5に示されるように、可撓性を有するシート状の樹脂製の日除け体であるオーニング体(キャンバス)41と、開閉体15のオーニング支持部材23に左右方向の軸線を中心として回転可能に設けられこのオーニング支持部材23内に位置しオーニング体41を巻き戻し可能に巻き取る左右方向の丸軸状の巻取体42とを有している。この巻取体42は、オーニング支持部材23に左右1対のブラケット43を介して回転可能に設けられ、この箱状のオーニング支持部材23内に位置している。なお、巻取体42は、例えば電動モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で回転するものであるが、操作者の人力で回転するもの等でもよい。
【0032】
また、オーニング手段16は、ブラケット43にて支持された前後動可能な左右1対のアーム体44と、これら両アーム体44の前端部間に架設された左右方向長手状で板状の前枠体45とを有している。オーニング体41の先端部である前端部はオーニング支持部材23外の前枠体45に取り付けられ、オーニング体41の基端部である後端部はオーニング支持部材23内の巻取体42に取り付けられている。なお、オーニング体41およびアーム体44は、前面開口部24を通ってオーニング支持部材23内に対して出入りする。また、ブラケット43は、例えばオーニング支持部材23の後板部28の左右方向両端部に固着されている。
【0033】
ここで、オーニング体41は、太陽光(日光)が開口部3を通って建物2の室内へ入り込むのを防止可能な1枚の可撓性シート部材のみで構成されている。なお、オーニング体41は、雨天時には雨除けにもなる。
【0034】
そして、オーニング体41は、巻取体42から巻き戻されることにより開方向である前斜め下方(前方)に移動して円筒状の開状態となって被閉鎖部40を開口させ、かつ、巻取体42にて巻き取られることにより閉方向である後斜め上方(後方)に移動して平面状の閉状態となって被閉鎖部40を閉鎖する。つまり、オーニング体41は、巻取体42の回転に基づいて、水平方向に対して所定の傾斜角度α(例えば約20度)をもって傾斜した前後方向に移動する。なお、傾斜角度αは、45度以内が好ましく、さらには30度以内がより好ましい。
【0035】
アーム体44は、ブラケット43に対して前後動可能(展開・折畳可能)なもので、この前後動により前面開口部24を通ってオーニング支持部材23内に対して出入りする。アーム体44は、例えば互いに回動可能に連結された2本のアーム部材47にて構成されている。なお、アーム部材47内には、アーム体44が付勢力で展開するようにアーム部材47を展開方向に付勢するコイルばね等の付勢手段(図示せず)が設けられている。
【0036】
そして、アーム体44は、オーニング体41で被閉鎖部40を閉鎖する際には展開によりオーニング体41とともに前斜め下方に移動し、被閉鎖部40を開口させる際には折畳によりオーニング体41とともに後斜め上方に移動する。被閉鎖部40の開口時(オーニング体41の非突出時)には、2本の折畳状態のアーム体44は、円筒状の開状態のオーニング体41とともにオーニング支持部材23内に収納される。このとき、前枠体45は、前面開口部24の全体を前方側から閉鎖する。なお、被閉鎖部40の閉鎖時、つまり、オーニング体41が開閉体15の下端部から傾斜角度αの前斜め下方に向かって突出した状態時(オーニング体41の突出時)には、平面状の閉状態のオーニング体41の全体の重量が左右のアーム体44のみで支えられているため、特別な支持部材を必要としない。
【0037】
次に、オーニング装置兼用開閉装置1の作用等を説明する。
【0038】
例えば建物2の開口部3を閉鎖する場合には開閉体15を下方に移動させ、開口部3を開口させる場合には開閉体15を上方に移動させる。なお、開閉体15を所望位置で停止させることにより、開口部3を部分的に開口させることも可能である。
【0039】
また、例えば建物2の開口部3の開口時において、その開口した開口部3の前方の室外空間部の上方に位置する被閉鎖部40を閉鎖する場合にはオーニング手段16のオーニング体41を前斜め下方に移動させ、被閉鎖部40を開口させる場合にはオーニング体41を後斜め上方に移動させる。なお、オーニング体41を所望位置で停止させることにより、被閉鎖部40を部分的に閉鎖することも可能である。また、開閉体15の停止位置の変更によりオーニング体41の高さ位置が変わるため、被閉鎖部40の位置も一定ではなく変動する。
【0040】
ここで、例えば太陽高度が低い場合には、図6に示すように、開閉体15を上限位置から少しだけ(例えば3枚のスラット20に相当する量)下方へ移動させた状態とし、かつ、オーニング体41を大きな突出量をもって前方(前斜め下方)へ移動させて開閉体15の下端部から前方へ突出させた状態とする。
【0041】
このような図6の状態とすることで、太陽光が開口部3を通って建物2の室内へ入り込むことを防止できる。なお、オーニング体41を雨除けとして使用する場合も、図6の状態とすることで、雨水が開口部3を通って建物2の室内へ入り込むことを防止できる。
【0042】
また、例えば太陽高度が高い場合には、図7に示すように、開閉体15を上限位置まで上方へ移動させた状態とし、かつ、オーニング体41を図6の状態よりも小さな突出量をもって前方(前斜め下方)へ移動させて開閉体15の下端部から前方へ突出させた状態とする。
【0043】
このような図7の状態とすることで、太陽光が開口部3を通って建物2の室内へ入り込むことを防止できる。なお、この図7の状態は、建物2の外壁に従来のオーニング装置を直接取り付けた場合と略同じ状態である。
【0044】
そして、このようなオーニング装置兼用開閉装置1によれば、上下方向に移動可能な開閉体15とこの開閉体15の閉方向先端側に設けられこの開閉体15とともに上下方向に移動するオーニング手段16とを備えるため、オーニング装置の機能を発揮でき、例えばオーニング手段16で太陽光(日光)の室内への入り込み(侵入)を防止して省エネ化を図ることができる。
【0045】
しかも、開閉体15を上下方向に移動させることによってオーニング手段16の高さ位置を容易に調整できるため、例えば太陽高度に対応して開閉体15を上げ下げ調節することで、太陽光の建物内部への入り込みを効果的に防止でき、特に物販店舗等においては商品の色あせや商品の温度上昇等を防ぐことができる。
【0046】
また、オーニング手段16は、可撓性を有するオーニング体41と、開閉体15のオーニング支持部材23にて回転可能に支持されオーニング体41を巻き戻し可能に巻き取る巻取体42とを有するため、この巻取体42から巻き戻したオーニング体41によってオーニング装置の機能を適切に発揮でき、オーニング手段16の不使用の際にはオーニング体41を巻取体42で巻き取ることによりオーニング支持部材23内に収納できる。
【0047】
さらに、開閉体15は、オーニング支持部材23の側端部に設けられ案内体5にて案内される被案内部材33を有するため、案内体5によって開閉体15を適切に案内できる。
【0048】
また、開閉体15の被案内部材33は、案内体5の一方のローラ案内面7に沿って移動する一方側ローラ部37と、案内体5の他方のローラ案内面8に沿って移動する他方側ローラ部38とを有するため、オーニング手段16の使用の際にオーニング支持部材23が案内体5に対して傾動することを防止できる。つまり、オーニング体41が開閉体15に対して前後方向に移動すると、オーニング手段16の重心位置が変わるが、重心位置が変わっても、両ローラ部37,38が両ローラ案内面7,8に接触しているため、座板部であるオーニング支持部材23は傾かず、オーニング支持部材23の姿勢が維持される。
【0049】
さらに、オーニング手段16の不使用の際に、オーニング体41およびアーム体44を開閉体15のオーニング支持部材23内に収納できるため、外観も良好であり、オーニング体41およびアーム体44を保護できる。
【0050】
また、従来のように窓シャッタ装置とオーニング装置とを別々に設置する場合等に比べて、設置スペースを容易に確保でき、設置場所の制限を受けにくい。よって、例えば建物2の外壁から突出する軒やバルコニ等の突出部分と建物2の開口部3の上端との間のスペースが狭くても、オーニング装置を設置できることとなる。
【0051】
さらに、オーニング装置兼用開閉装置1の設置作業については、従来の窓シャッタ装置と同様、例えば外壁取付工事前(または外壁取付工事後)に行う1回の設置作業で済むため、例えば従来のように窓シャッタ装置を外壁取付工事前に設置しかつオーニング装置を外壁取付工事後に設置する場合等に比べて、設置作業に伴う費用を低減でき、現場工程管理も容易となる。
【0052】
また、従来ではオーニング装置を建物2に後付けする場合には、下地部分の構造上の強度が足りない場合には下地部分を補強する必要があったが、本実施の形態ではその必要がなく、下地部分の状況に拘らず、オーニング装置を設置できることとなる。
【0053】
なお、オーニング体41の大きさは、開口部3の大きさ等によって適宜設定されるが、巻取体42から最大に巻き戻された状態のオーニング体41の水平成分の長さ(水平成分のキャンバス長)は、開口部3の高さの略半分が好ましい。
【0054】
ここで、全開状態のオーニング体41の水平成分の長さは任意であるが、最長でも、開口部3の高さ程度あればよい。日除けのためには、ある程度の長さを有する必要はあるものの、オーニング体41の材料の量や費用の低減、オーニング体41の前後動や、開閉体15の開閉動作等のためには、軽量であることが好ましく、このこと等を考慮すれば、オーニング体41の大きさは、なるべく小さい方が好ましい。例えば、オーニング体41の水平成分の長さは、開口部3の高さ分までは必ずしも必要ではなく、開口部3の高さの1/3〜2/3程度、さらには開口部3の高さの1/4〜3/4程度でもよい。
【0055】
そして、図8を参照して説明すると、仮に、春分・秋分の日に開閉体15で開口部3の半部を閉鎖した場合、開口部3の高さをHとすると、必要となるオーニング体41の水平成分の長さLは、tan(緯度)×(H/2)で表される。そこで、稚内市宗谷岬(北緯45度31.2分)の場合に当てはめると、L=略H/2となる。
【0056】
なお、稚内市宗谷岬(北緯45度31.2分)で開口部3が全開した場合には、L=略Hとなる。
【0057】
宗谷岬より南の地では緯度がもっと小さいので、tan(緯度)×(H/2)はH/2よりも小さくなり、このことは、必要となるLは、宗谷岬の場合よりも短くて済むことを意味している。
【0058】
夏の南中高度は春分・秋分の日よりも高くなるので、必要となるLはもっと短くてもよい。なお、南中でないときには、太陽高度は低くなるが、日除けのためには、開閉体15を下方へ移動させればよい。
【0059】
冬の南中高度は春分・秋分の日よりも低いため、必要となるLはもっと長くなるが、気温は低くなるので、太陽の日差しがある方が好ましいと考えられ、必要とされるLを充足していなくてもそれほど支障はない。なお、日除けをしたければ、開閉体15を下方へ移動させ、もっと開口部3を閉鎖すればよい。
【0060】
なお、上記実施の形態では、オーニング体41が所定の傾斜角度αをもって傾斜した前後方向に移動する構成について説明したが、オーニング体41が水平な前後方向(開閉方向)に移動する構成等でもよい。
【0061】
また、例えばオーニング体41の傾斜角度αを任意の角度に調整できるようにしてもよい。
【0062】
さらに、例えば太陽光が室内に入り込まないように、太陽の位置を検知して開閉体15の開閉動作(上下動)やオーニング体41の開閉動作(前後動)を制御する制御手段を備えた構成等でもよい。
【0063】
また、例えばオーニング体41を支持する両アーム体44を有さず、例えば前枠体45に対して脱着可能な支持部材によって、閉状態のオーニング体41を支持するようにしてもよい。
【0064】
さらに、開閉体15の移動方向は、上下方向には限定されず、例えば水平方向や傾斜方向でもよく、複数の方向を組合せてもよい。
【0065】
また、例えばオーニング手段16が開閉体15の開閉方向中間部、すなわち例えば上下方向中央部に設けられた構成等でもよい。
【0066】
さらに、回転体である巻取体42がオーニング支持部材23にブラケット43を介して設けられた構成には限定されず、例えば巻取体42の端部がオーニング支持部材23の側板部25に回転可能に取り付けられ、巻取体42が両側板部25にて回転可能に支持された構成等でもよい。
【0067】
また、オーニング装置兼用開閉装置1の開閉装置部分は、窓開口部の周囲に固定された窓シャッタ装置には限定されず、例えば図示しないが、その他の開口部の周囲に固定された他のシャッタ装置や、ブラインド装置、パネル装置等、或いはこれら装置のうちの同種または異種を複数並設したもの等でもよい。
【0068】
なお、オーニング体41と開閉体15との干渉を考慮すれば、オーニング手段16のオーニング支持部材23、オーニング体41、前面開口部24は、開閉体15の開閉動作時(上下動時)に案内体5との干渉を避けるため、図1や図4等に示すように、両案内体5間の幅と略同等かまたは若干小さい範囲に入っていることが好ましい。また、同様の理由で、オーニング体41の前端部、前枠体45は、案内体5よりも前方に位置している。なお、開閉体15の開閉動作時にオーニング手段16が案内体5との干渉を避け、またオーニング体41の開閉動作時(前後動時)にオーニング体41が案内体5や開閉体15との干渉を避けられれば、その構成は任意である。
【0069】
また、前記実施の形態では、開閉体15の任意状態でオーニング体41が開閉動作可能となっており、かつ、オーニング体41の任意状態で開閉体15が開閉動作可能となっている。ただし、これには限定されず、ある所定の状態時においてのみ、オーニング体41や開閉体15が開閉動作可能となるような構成でもよい。すなわち例えば、案内体5にこの案内体5から前方に突出する突出部材が取り付けられ、開閉体15がここを開閉方向に通過する際、オーニング体41の閉状態(収納状態)時には通過できるが、オーニング体41の開状態(突出状態)時にはこの開状態のオーニング体41が突出部材に衝突して干渉してしまうような場合を含む。
【0070】
さらに、オーニング手段16が開閉体15の閉方向先端側の座板部に設けられた構成には限定されず、オーニング手段16が開閉体15の開閉方向中間部に設けられた構成等でもよい。ただし、日除け効果をより発揮するためには、なるべく下部(より好ましくは下端部)に設けることが好ましい。
【0071】
また、開閉体15の全開状態時にもオーニング手段16で日除けを行えるのが好都合なため、開閉体15の全開状態時においても、オーニング手段16は、収納体12よりも下方に位置することが好ましく、また収納体12も小さくてすむ。
【0072】
さらに、オーニング体41は、利用目的の範囲で日除けや雨除けができればその構成は任意であり、例えば複数のシートを接続して1枚のシート状にしたものや、可撓性で肌理の細かな網状シート状のもの等でもよい。
【0073】
また、オーニング支持部材23内にオーニング体41や巻取体42等を組み込んだ構成には限定されず、例えば座板部の前方にオーニング支持部材23やオーニング手段16に相当する部材等を取り付けた構成等でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 オーニング装置兼用開閉装置
3 開口部
5 案内体
7,8 ローラ案内面
15 開閉体
16 オーニング手段
23 オーニング支持部材
33 被案内部材
37 一方側ローラ部
38 他方側ローラ部
41 オーニング体
42 巻取体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開方向に移動して開口部を開口させ、閉方向に移動して前記開口部を閉鎖する移動可能な開閉体と、
この開閉体に設けられ、この開閉体とともに開方向および閉方向に移動するオーニング手段と
を備えることを特徴とするオーニング装置兼用開閉装置。
【請求項2】
開閉体は、オーニング支持部材を有し、
オーニング手段は、
可撓性を有するオーニング体と、
前記オーニング支持部材に回転可能に設けられ、前記オーニング体を巻き戻し可能に巻き取る巻取体とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のオーニング装置兼用開閉装置。
【請求項3】
開閉体の移動時にこの開閉体の側端部を案内する案内体を備え、
前記開閉体は、オーニング支持部材の側端部に設けられ前記案内体にて案内される被案内部材を有する
ことを特徴とする請求項2記載のオーニング装置兼用開閉装置。
【請求項4】
案内体は、互いに離間対向する対をなすローラ案内面を有し、
被案内部材は、
前記対をなすローラ案内面のうちの一方のローラ案内面に沿って移動する一方側ローラ部と、
前記対をなすローラ案内面のうちの他方のローラ案内面に沿って移動する他方側ローラ部とを有する
ことを特徴とする請求項3記載のオーニング装置兼用開閉装置。
【請求項5】
オーニング手段は、開閉体の閉方向先端側に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のオーニング装置兼用開閉装置。
【請求項6】
巻取体から最大に巻き戻された状態のオーニング体の水平成分の長さは、開口部の高さと略等しいかまたはその開口部の高さよりも短い
ことを特徴とする請求項2記載のオーニング装置兼用開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241324(P2012−241324A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109376(P2011−109376)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】