オーバーキャップ付容器
【課題】殊に落下時の衝撃を阻止して破れ難くく、しかも開封は少ない破り荷重で簡易に樹脂層を破断でき、併せて廉価に提供できるオーバーキャップ付容器を提供する。
【解決手段】バリア性を備えたシート状の蓋3が容器本体2の開口部2Aの周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成され、前記蓋3の樹脂層8には蓋3の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部13が備わり、この樹脂層8の上に剥離層11を介して前記蓋3の金属箔層12が貼着され、この蓋3の上方からオーバーキッャプ4が嵌着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、このオーバーキャップ4の天板4Aの内面に前記蓋3の前記金属箔層13がオーバーキャップ3の開放と共に樹脂層8と剥離可能になるように接着剤で一体化されている。
【解決手段】バリア性を備えたシート状の蓋3が容器本体2の開口部2Aの周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成され、前記蓋3の樹脂層8には蓋3の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部13が備わり、この樹脂層8の上に剥離層11を介して前記蓋3の金属箔層12が貼着され、この蓋3の上方からオーバーキッャプ4が嵌着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、このオーバーキャップ4の天板4Aの内面に前記蓋3の前記金属箔層13がオーバーキャップ3の開放と共に樹脂層8と剥離可能になるように接着剤で一体化されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙カップや紙管の開口にバリア性を備えたシート状の蓋を貼着し、更に蓋の上方にオーバーキッャプを嵌着して容器本体の開口部を密封してなり、蓋の開封を容易にするためにシート状蓋の樹脂層にミシン目やカット線、更には破断線などの強度弱点部を設けて成り、密閉性、バリア性を保ち、しかもミシン目などの強度弱点部を押し破ることによって容易に開封できるオーバーキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
破ることで開封する蓋は、以上のようなミシン目やカット線更には破断線などの強度弱点部を設けて開封の便を図る提案も多くなされ、また、現に市販されている。
【0003】
ところで、このような従来の蓋は、一般的には、合成樹脂シート、紙シート、アルミ箔或いはアルミシートの幾つかを組み合わせて、これらを積層して一体化して構成され、蓋の下面から上層適宜の範囲にわたって強度弱点部の一例としてミシン目やカット線、更には破断線などが設けられている。また、一般的には、この強度弱点部は紙カップや紙管などの容器開口の縁から縁にわたって直線的に設けられることが多い。また、紙カップ用の蓋には、ホットメルトを最内層にする場合が多い。
【0004】
【特許文献1】特開2002−104515号公報
【特許文献2】特開平09―110077号公報
【特許文献3】特開平06―001375号公報
【特許文献4】実開平06−085295号公報
【特許文献5】実開平07−017762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の蓋はその強度弱点部が紙カップや紙管などの容器開口の縁から縁にわたって直線的に設けられるケースが多く、その結果として容器を不用意に落とした時、特に開口側が床面などに追突した場合には、簡単にこの強度弱点部が破断し、内容物、例えばインスタントコーヒー、粉ミルク、コピー機のトナー、更には各種の粉体などのが容器から零れ落ちてしまうおそれがあった。また、ホットメルトを採用すると、ホットメルトの清浄性に問題が生じるおそれがあり(ホットメルトの滓が生じる)、また、高温に晒されると溶融して不用意に開封してしまい、しかもホットメルト特有の臭気が商品価値を損ねるという問題もあった。
【0006】
しかも、この種のものは、言うまでもなく、前記強度弱点部に沿ってバリアフィルムと共に破る必要があるために、容器の径が大きくなればなる程、破る荷重が大きくなり、開封し難い。逆にバリアフィルムの突き破り強度を低くすると開封し易くなるが、外力に対して弱くなり、蓋が容易に破断してしまうおそれがある。これを補うためには勢いオーバーキャップの肉厚を厚くしい変形強度を高めることが考えられるが、コスト高になる。
【0007】
そこで、本発明者らは、容器が落下したときに蓋が破損されるメカニズムを考察したところ、落下の衝撃で容器が歪み、蓋に張力が働くのが原因であることが分かった。この新知見を基にこの容器に掛かる落下時の衝撃を阻止する方途を鋭意模索した。その結果、先ず思い至ったのは、蓋をミシン目などの強度弱点部を備えた樹脂層とバリア性と強度を備えるバリアフィルムから構成し、もってこの樹脂層の強度を高め、開封にあたっては、このバリアフィルムを樹脂層の破断に先立って剥離する手法を試みた。
【0008】
しかしながら、この手段は開封に先立ってバリアフィルムを剥離する手間を要する。また、その剥離のための特別な摘みなどをこのバリアフィルムに設ける必要が生じ、実用的でないとの結論に達した。
【0009】
この経験を基に更により望ましい手段の開発を再度試みた。そこで新たに思い至った構成は、この種容器には本来的に用いられているオーバーキャップで蓋の強度を確保することであった。オーバーキャップは必ず容器から取り外されるものであるから、このオーバーキャップの作動にバリアフィルムの剥離を負担させる手段を種々検討、実験を試みた。得られた結果は満足の行くものであったので、ここに提案する。
【0010】
したがって本発明は、バリア性、カップに対する安定したシール性、更には易開封性が従来品に対して格段に優れ、殊に落下時の衝撃を阻止して破れ難くく、しかも開封は少ない破り荷重で簡易に樹脂層を破断でき、併せて廉価に提供できるオーバーキャップ付容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1記載のオーバーキャップ付容器は、最内層がポリエチレンのシーラント層を含む樹脂層とその上方にバリアフィルムが積層されてなるバリア性を備えたシート状の蓋がカップ状の容器本体の開口部周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成されているとともに、前記蓋の樹脂層には蓋の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部が備わり、この樹脂層の上に剥離層を介して前記バリアフィルムが貼着され、この蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、このオーバーキャップの天板の内面に前記蓋の前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離可能になるように取り付け手段によって一体的に取り付けられたものである。
【0012】
最内層は最下層がポリエチレンのシーラント層で、このポリエチレン樹脂層の上に押出しによりポリエチレンテレフタレート樹脂を積層して二層から形成することができる。また、このシーラント層の上には前記最内層の前記ポリエチレンテレフタレート樹脂層の外側に、例えば押出しポリエチレン樹脂層など介してバリア性と強度を備えたアルミ箔などの金属箔層を備えたバリアフィルムが剥離層を介して貼着されて形成される。更に、前記最内層には中央から放射状に、望ましくは3〜8本の、ミシン目やカット線で形成される強度弱点部が設けられている。この強度弱点部は、シーラント層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の二層を貫いて設けられる。そして、このバリアフィルムの上からオーバーキャップが嵌着されて容器本体の開口部が密封されて、機密性を保つ。
【0013】
前記シーラント層とバリアフィルムとの間に介在させる剥離層は、例えばアルミニウムフィルムを介在させたり、弱接着性の接着剤を塗布するなどの手段が採用される。
【0014】
また、このバリアフィルムはオーバーキャップの天板の内面に一体的に取り付ける取り付け手段、例えば接着剤や粘着剤を介して熱や熱圧によって貼着されて一体化され、もってバリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離し、分離して取り外せるようになっている。オーバーキャップとバリアフィルムとの一体化は、前記の手法の他にも、例えばバリアフィルムの上面の少なくとも周縁部が高周波溶着手段或いは超音波溶着手段で互いに貼着される構成を採用できる。その他にも、バリアフィルムの周縁を係止するためにオーバーキャップの内面に設けられた係止体なども採用できる。
【0015】
更に、最内層に放射状に設けられた強度弱点部は、これを押し破ろうとする外圧が負荷されると、強度弱点部に沿って、中心から周辺に向けて複数の扇状に容易に分割されて押し破られる。また、この最内層はポリエチレンのシーラント層を有しているので、紙製容器に用いると、そのフランジやカールに生じる段差を埋めて気密性を実現する。更には、ホットメルトを採用しないために、高温に晒されても溶融が生じず、また、特有の臭気は全くない。
【0016】
このようなオーバーキャップ付容器にあって、本発明では、蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、また、このオーバーキャップの天板の内側に前記蓋の前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に内側の樹脂層と剥離可能に構成されている。
したがって、容器が落下したときの衝撃によって、容器が歪もうとするが、この衝撃はオーバーキャップで阻止してその落下衝撃が蓋に伝わることを極力阻止する。更に、開封時にオーバーキャップを容器本体の開口から取り外すと、その取り外し動作に伴って、蓋の上層のバリアフィルムが下層のシーラント層から簡単に剥離し、このオーバーキャップと共に下層のシーラント層から分離する。バリアフィルムが分離した後の容器本体の開口部には強度弱点部を備えたシーラント層のみが残るので、大変軽い荷重でこの樹脂層を破断できる。
【発明の効果】
【0017】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
本発明のオーバーキャップ付容器は、内容物を他の容器に移し替えるまではオーバーキャップによって、容器に対する外力に対しては強度を保って、不用意に蓋が破断するするおそれを上手く防止できる。また、オーバーキャップを外すときは、その作動によってバリアフイルムを同時に外すことができるため、開封のための動作数を増やすことなく容易に開封できる。更に、オーバーキャップの変形強度を低下させることができるため樹脂量を低減でき、コストの削減に寄与する。
【0018】
また、内側の層にミシン目やカット線などの強度弱点部をその中心から放射状に設けることによって、容易に押し破ることができ、併せて蓋の破片が生じるおそれも上手く解消できるようになった。また、最内層はポリエチレンのシーラント層を有するので、カップのフランジやカールにある段差の存在にかかわらず、これを上手く密閉でき、気密性を十分に確保できるようになった。更には、ホットメルトを採用しないために、安定したシール性が得られ、また、臭気の影響もなくすことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明のオーバーキャップ付容器を、インスタントコーヒーの詰め替え用容器1に適用した場合の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
尚、この発明は、基本的には、紙製容器にシールされるバリア性を有する蓋で、蓋を破ることによって開封する態様のもの全般に適用できる。したがって、以下の実施例に記載の構造に限定されるものではないことは改めて言うまでもない。
【0020】
先ず、詰め替え用容器1は、図3,4に示すように、筒状の容器本体2、バリア性を有するシート状の蓋3、保護キャップであるオーバーキャップ4からなる。
【0021】
容器本体2は有底の円筒形で、基材には矩形の紙片が用いらる。この紙製の円筒は、その最外層から内に向かって順に、インク層、紙層、エチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)、更に低密度ポリエチレン(LDPE)が積層されてなる複合積層シートから成る。湿気や通気を一切遮断するためである。紙層とアルミニウム箔との間のエチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)はこのアルミニウム箔を紙層にしっかりと貼着するためである。また、内面の低密度ポリエチレン(LDPE)は蓋3との接着性を確保するためである。前記紙層には上質紙を採用するのが望ましく、坪量15〜150g/m2 の範囲から適宜のものが選定される。また、エチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)は10〜50μmの範囲、アルミニウム箔は6〜20μmの範囲、ポリエチレンテレフタレート(PET)は5〜50μmの範囲、更に低密度ポリエチレン(LDPE)は30〜150μmの範囲でそれぞれ適宜選定される。
【0022】
また、この積層シートを得るための手段は公知の技術が採用される。例えば、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。容器本体2を作成するには、前記のように表面処理された矩形の紙片を筒状に丸め、左右両サイドを重合させ、この重合部を糊代として適宜に接着する。接着手段は、接着剤を使用したり、熱融着させたり、適宜公知の手段が採用される。そして、上端は、図3、4に示すように、外方へ環状に巻込んだ環状巻込み部(以下単にカール部と言う)5が形成されている。したがって、このカール部5の上面で前記両サイドの重合部では、どうしても上下方向で段差6が生じる。この段差6は気密性を損なうために、その始末が重要である。
【0023】
この容器本体2の開口部2A内には、図4に示すように、円筒形のホッパ7が嵌め込まれている。このホッパ7は前記容器本体2と同一の素材或いは厚みがほぼ0.8mmに設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂素材で形成されている。このホッパ7は周囲に、上端に外向きフランジを備えないストレートな立ち上がり壁7Aを備える。この立ち上がり壁7Aが、その上端を容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部5の上端面と同じ高さ位置にして、この開口部2A内に嵌め込まれている。また、この立ち上がり壁7Aの下端縁から一体に、上方かつ中央に向かって順次傾斜した漏斗7Bが備わっている。そしてこの漏斗7Bのテーパ角は、少なくとも20°、更に好ましくは40〜45°に設定される。
【0024】
ホッパ7はその漏斗7Bの上端が前記立ち上がり壁7A並びに容器本体2の開口部2Aの上端とほぼ同じ高さ位置、つまりはほぼ同一平面上に配置されるように、しっかりと位置合わせして、この開口部2Aに嵌め込まれ、開口部2Aの内周面に適宜に固定される。固定の手段は熱融着、高周波溶着、接着剤使用など適宜の好ましい手段が採用される。
【0025】
前記ホッパ7の上端にはバリア性を有するシート状の前記蓋3がシールされている。
このバリア性を有する蓋3は、図1に示すように、最内層8はポリエチレンのシーラント層9を含む樹脂層で、この最内層8の樹脂層の外側に押出し樹脂フィルム層10としてポリエチレンテレフタレート(PET)がラミネートされている。そしてこの押出し樹脂フィルム層10の外側に剥離層11としての弱接着剤を介してバリア性と強度を備えた金属箔層12が弱貼着された複合シートが採用され、更に前記最内層8には、図2に示すように、その中央から放射状に複数本の強度弱点部13が設けられている。
【0026】
以上の構成を更に具体的に詳述する。
最内層8は最下層が30〜200μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)のシーラント層9で、このポリエチレンのシーラント層9の上面に5〜50μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレンテレフタレート(PET)の押出し樹脂フィルム層10がラミネートされている。また、金属箔層12は6〜50μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたアルミニウム箔14が採用されていて、このアルミニウム箔14の下面に7〜100μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム15がラミネートされている。そして、前記最内層8の前記ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート:PET)の押出し樹脂フィルム層10と金属箔層12の前記ポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム15とが剥離層11となる弱接着剤を介して互いに弱く接着されて、複合シートに形成されている。この複合シートの処理の手段は、上記以外にも公知の技術が採用され、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。
【0027】
前記剥離層11は、前記弱接着剤の他にも、例えば剥離紙、更にはアルミニウムシートなどを最内層8の前記ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート:PET)の押出し樹脂フィルム層10と金属箔層12の下の前記ポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム14との間に介在させる手段も採用できる。
【0028】
以上の蓋3の全体形状は、図3、4示すように、前記容器本体2の開口部2Aとほぼ同径、具体的には約90mmφの円形を呈し、その周縁部4Aが容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部5の上端面に適宜に貼着される。一般的には熱融着される。但し、前記ホッパの立ち上がり壁7Aの上端面に貼着されても良いが、このホッパー7の前記漏斗7Bの上端縁、つまりは開口7B1の上縁に対しては、単に接触するのみの構成としてある。
【0029】
更にこのバリア性を有する蓋3の前記最内層8には、図1、2に示すように、中央から放射状に複数本の前記強度弱点部13としてのミシン目又はカット線(図例ではミシン目)が最内層8並びに前記ポリエチレンテレフタレート(PET)の押出し樹脂フィルム層10に達するようにして設けられている。この強度弱点部13であるミシン目又はカット線によって前記最内層8が容易に破れて、開封し易くなようにしてある。ミシン目又はカット線は、図2に示すように、中央で互いに交差する3本の直線状で、ミシン目の長さは9mm、つなぎは1mmに設定されている。尚、3本という本数は、本発明の所期の目的を達成するための最低限の本数である。また、蓋3の大きさにもよるが、望ましい上限は10本である。10本以上であると逆にこの蓋3の強度を弱めるおそれが生じ、好ましくない。理想的には3〜8本(8本の例を図10に示す)である。
【0030】
保護キャップとしてのオーバーキャップ4は、前記保容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mm程度に設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂が採用され、前記容器本体2の開口部2Aに外嵌合し、前記蓋3を保護し、併せて内部を衛生的に保つように働く。
【0031】
更にこの発明において重要な構成は、第1点に、上述したように蓋3の前記最内層8と金属箔層12とが剥離層11によって上下に互いに分離できる構造になっていることと、第2点として、以下に詳述するが、金属箔層12がオーバーキャップ4に一体的に取り付けられている点である。
つまり、外側の金属箔層12は、図1に示すように、保護キッャプとしてのオーバーキャップ4の天板4Aの内面に、友連れ素子16の一例としての強接着などの手段で一体的に貼着されている。強接着の手段としては接着剤や粘着剤が用いられる。これらはこのオーバーキャップ4の天板4Aの内面若しくは金属箔層12の外側の前面又は周縁部に塗布された後、熱或いは熱圧により互いに接着する。更には、剥離紙としてアルミニウムシートを用いた場合には、最内層8と金属箔層12との間にこのアルミニウムシートを挟み込んで蓋3を得、その後この蓋3を容器本体2の開口部2A上に載置して、オーバーキャップ4を嵌着する。その後に高周波を用いて互いに溶着する。更には、前記のように蓋3を容器本体2の開口部2A上に載置して、オーバーキャップ4を嵌着した後、オーバーキャップ4のカール部5に相当する位置にエネルギーダイレクターを設けて、超音波溶着によって互いに接着するなどの手段を採用できる。
【0032】
このように本発明では、蓋3の上方からオーバーキッャプ4が嵌着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、また、このオーバーキャップ4の天板4Aの内側に前記蓋3の前記金属箔層12がオーバーキャップ4の開放と共に最内層8と剥離可能に構成されている(図4参照)。
【0033】
したがって、容器が落下したときの衝撃によって、容器本体2が歪もうするが、この歪みをオーバーキャップ4で阻止してその落下衝撃が蓋3に伝わることを極力少なくする。その結果、最内層12が強度弱点部13に沿って簡単に破断してしまうおそれを可及的に少なくしてくれる。更に、開封時にオーバーキャップ4を容器本体2の開口部2Aから取り外すと、金属箔層12はオーバーキャップ4の天板4Aの内面に一体的に貼着されているので、このオーバーキャップ4の取り外し動作に伴って、蓋3の上層の金属箔層12が剥離層11を介して最内層8から簡単に剥離し、このオーバーキャップ4と共に最内層8から分離する。したがって、開封のための動作数を増やすことなく簡便に開封が行える。また、金属箔層12が分離(図4参照)された後の容器本体2の開口部2Aには強度弱点部13を備えた最内層8のみが残るので、大変軽い荷重でこの樹脂層を破断できる。また、金属箔層12の存在によってオーバーキャップ4の変形強度を低下させることができるようになるから、オーバーキャップの製造に要する樹脂量を低減でき、コストの低減化に寄与する。
【0034】
この発明による前記詰め替え用容器1の器内部に粉状のインスタントコーヒーPを収容する作業は、一般に、ホッパ7の開口7B1を介して行われる。
【0035】
次に、このように構成された実施例1の詰め替え用容器1の使用の仕方について説明する。
先ず、オーバーキャップ4を取り外すと、その作動によって、蓋3の金属箔層12も下側の最内層8から剥離される。次いで図6並びに図7に示すように、容器本体2を逆さにし、ホッパ7の漏斗7Bを補充用の容器の一例であるジャー17の円筒状の口部17Aに内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体2内のインスタントコーヒーPはホッパ7から漏斗7B内にも流下してきているが、まだ蓋3の最内層8によって保持されている。次いで、図8並びに図9に示すように、容器本体2に、その漏斗7Bをジャー17の口部17Aへ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャー17の口部17A、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋3を押し破るための力として働く。すなわち、このジャー17の口部17Aが蓋3の最内層8を押し上げて、これをホッパ7の立ち上がり壁7Aと漏斗7Bとの間の断面三角形状の空間S内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋3の最内層8は、強度弱点部13であるミシン目が放射状に設けられているために、たちまちの内に極めて容易にこのミシン目に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗7Bはジャー17の口部17A内に入り込む。その結果、前記ホッパ7の漏斗7Bの開口7B1が開放され、容器本体2内のインスタントコーヒーPが、ホッパ7の漏斗7Bによって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー17内へ案内流下される。ジャー17へ補充を終えたこの詰め替え用容器1は破棄される。図中2Bは容器本体2の底部である。
【0036】
したがって、ジャー17の口部17Aに内嵌合された漏斗7BはインスタントコーヒーPをジャー17の外部へ零れ落とすことも無くジャー17内へ案内流下され、また、外気に必要以上触れさせるおそれもなく、したがって香りや風味が損なわれるおそれも可及的に少なくすることができるようになった。
【0037】
また、出来上がった蓋の性能試験を行った結果、中央部分が上手く押し破られた。また、紙カップを用いた開口部2Aの段差6における浸透液のチェック試験では、漏れの発生が全く見られなかった。更に、高温保存時にも蓋が紙カップの開口部2Aから剥離する例は見られなかった。また、蓋全体のバリア性はアルミ蓋と遜色なく好ましい結果を得た。ホットメルト蓋と比較して臭気の発生は全くなかった。
【0038】
このように、蓋3の最内層8がポリエチレン(線状手低密度ポリエチレン:LLDPE)のシーラント層9を備えているために、紙コップ特有の口部の段差6の存在にかかわりなく、蓋3で直接紙カップの開口部をシールした場合でも、これを上手くシールでき、気密性を十分に確保できるようになった。更には、ホットメルトを採用しないために、安定したシール性が得られ、また、臭気の影響もなくすことができた。
【0039】
尚、この発明は、図11に示すように、前記ホッパ7を備えない各種容器にも適用される。つまり、上記実施の形態に示した容器本体2にホッパなしのものを採用し、その開口部2Aに蓋3を設ける構成である。蓋の落下耐性も含めて、前記実施の形態に示した効果と同等の結果が得られた。図中4Aはアンダーカットで、前記カール部5に係止され、その嵌着状態を的確に維持する。
【0040】
また、前記立ち上がり壁7Aの上端には、容器本体2の開口縁に、気密的に当接する外向きのフランジが備わっていてもよい。蓋3そのものの上述した実施形態に言う開封性、高温保持性、バリア性、臭気、開封感、更には強度弱点部13の落下耐性、加工性、更には安定性等の利点は全く削がれることはなく、同等の効果を発揮できる。
【0041】
また、以上の実施例では内容物としてインスタンの粉コーヒーを対象としているが、その他にも食品、非食品の他の分流体に適用できる。例えば、水溶性のミルク(粉ミルク)、ココア、茶、またはこれらの組み合わせの粉など。更には乾燥マッシュポテトや他の乾燥食品、ソースまたはグレービー粉、スープ粉などの他に複写機のトナーなどである。
【0042】
また、ジャー17に替わるものとして、コーヒー作成装置のコーヒー粉タンク、更には粉ミルクや複写機のトナーの補充容器にも適用できる。
【0043】
更に、前記蓋3のバリア材としてはアルミニウム箔が採用されているが、これに代えて、例えばアルミ蒸着フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)などのバリア性フイルム、更にはポリ酢酸ビニル(PVAC)やポリビニルアルコールコートフィルムなどのバリア性コーティングフィルムを採用できる。
【0044】
(実施例)
まず、ラミネート加工法によって、容器本体用として、〔容器外側〕紙層(坪量350g/m2 )/接着剤層(25μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/低密度ポリエチレン層(60μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。また、ボトム部材として、〔容器外側〕低密度ポリエチレン層(20μm)/紙層(坪量230g/m2 )/低密度ポリエチレン層(20μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。これらの積層材料を用い、PMC社製カップ成形機で、胴部上端の外周にカール部をもつカップ状容器本体を作製した。次に、高密度ポリエチレン(三井化学 2100K)を用いて射出成形により、漏斗7Bを備え、周囲にリングを備えたホッパを作製した。漏斗7B並びにリングは共にほぼ0.8mm厚となるよう成形した。更に、〔上側〕アルミニウム箔層(7μm)/低密度ポリエチレン層(15μm)/弱接着剤/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/低密度ポリエチレン層(100μm)〔下側〕構成の積層材料を作製し、この積層材料を用いて蓋を作製した。
【0045】
また、蓋としては、前記弱接着剤の代わりにアルミニウムシート、剥離紙を介在させて剥離層を構成したものも作製した。
【0046】
次に、上述のカップ状の容器本体をアンビルに挿着して、胴部上端のカール部を下側から支えると共に胴部を固定し、胴部上端内側の開口部に、ホッパーをリングの上端がカール部上端から上方へ突出しないようにして挿入して挿着し、溶着機を用い、開口部の内面にリングの外面を接合した。
【0047】
次いで、前記パーツの漏斗の開口を介してインスタントコーヒーを容器本体に充填した。最後に、前記カール部の上面に、ヒートシール法で前述の蓋を熱融着して容器上端側を密封し、更にこの蓋の上からオーバーキャップを被せることでオーバーキャップ付容器を作製した。
【0048】
得られた製品は何れも、従来の容器と違って、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行え、併せてインスタントコーヒーを外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が保たれていることが判明した。
【0049】
また、何れの試験体もオーバーキッャプが開封されるまでは落下しても不用意に強度弱点部から蓋が破断することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のオーバーキッャプ付容器の一実施形態を示し、図2中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図2】図1の蓋の底面図である。
【図3】図1のバリア性を有する蓋が適用される容器の一部を取り出して拡大表示した拡大図を含む全体分解斜視図である。
【図4】図3の容器が閉まっているときのこの容器の一端の断面図である。
【図5】オーバーキャップを取り除いた後のオーバーキャップと容器を示す一部省略断面図である。
【図6】図1のバリア性を有する蓋の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する前の蓋と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図7】図5に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図8】図1のバリア性を有する蓋の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する途中の蓋と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図9】図7に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図10】強度弱点部を8本にした場合の図2に対応する蓋の底面図である。
【図11】本発明のバリア性を有する容器の別の構造を示した一部省略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…詰め替え用容器
2…容器本体
2A…開口部
3…蓋
4…オーバーキャップ
5…カール
6…段差
7…ホッパ
8…最内層
9…シーラント層
10…押出し樹脂層
11…剥離層
12…金属箔層
13…強度弱点部
16…友連れ素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙カップや紙管の開口にバリア性を備えたシート状の蓋を貼着し、更に蓋の上方にオーバーキッャプを嵌着して容器本体の開口部を密封してなり、蓋の開封を容易にするためにシート状蓋の樹脂層にミシン目やカット線、更には破断線などの強度弱点部を設けて成り、密閉性、バリア性を保ち、しかもミシン目などの強度弱点部を押し破ることによって容易に開封できるオーバーキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
破ることで開封する蓋は、以上のようなミシン目やカット線更には破断線などの強度弱点部を設けて開封の便を図る提案も多くなされ、また、現に市販されている。
【0003】
ところで、このような従来の蓋は、一般的には、合成樹脂シート、紙シート、アルミ箔或いはアルミシートの幾つかを組み合わせて、これらを積層して一体化して構成され、蓋の下面から上層適宜の範囲にわたって強度弱点部の一例としてミシン目やカット線、更には破断線などが設けられている。また、一般的には、この強度弱点部は紙カップや紙管などの容器開口の縁から縁にわたって直線的に設けられることが多い。また、紙カップ用の蓋には、ホットメルトを最内層にする場合が多い。
【0004】
【特許文献1】特開2002−104515号公報
【特許文献2】特開平09―110077号公報
【特許文献3】特開平06―001375号公報
【特許文献4】実開平06−085295号公報
【特許文献5】実開平07−017762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の蓋はその強度弱点部が紙カップや紙管などの容器開口の縁から縁にわたって直線的に設けられるケースが多く、その結果として容器を不用意に落とした時、特に開口側が床面などに追突した場合には、簡単にこの強度弱点部が破断し、内容物、例えばインスタントコーヒー、粉ミルク、コピー機のトナー、更には各種の粉体などのが容器から零れ落ちてしまうおそれがあった。また、ホットメルトを採用すると、ホットメルトの清浄性に問題が生じるおそれがあり(ホットメルトの滓が生じる)、また、高温に晒されると溶融して不用意に開封してしまい、しかもホットメルト特有の臭気が商品価値を損ねるという問題もあった。
【0006】
しかも、この種のものは、言うまでもなく、前記強度弱点部に沿ってバリアフィルムと共に破る必要があるために、容器の径が大きくなればなる程、破る荷重が大きくなり、開封し難い。逆にバリアフィルムの突き破り強度を低くすると開封し易くなるが、外力に対して弱くなり、蓋が容易に破断してしまうおそれがある。これを補うためには勢いオーバーキャップの肉厚を厚くしい変形強度を高めることが考えられるが、コスト高になる。
【0007】
そこで、本発明者らは、容器が落下したときに蓋が破損されるメカニズムを考察したところ、落下の衝撃で容器が歪み、蓋に張力が働くのが原因であることが分かった。この新知見を基にこの容器に掛かる落下時の衝撃を阻止する方途を鋭意模索した。その結果、先ず思い至ったのは、蓋をミシン目などの強度弱点部を備えた樹脂層とバリア性と強度を備えるバリアフィルムから構成し、もってこの樹脂層の強度を高め、開封にあたっては、このバリアフィルムを樹脂層の破断に先立って剥離する手法を試みた。
【0008】
しかしながら、この手段は開封に先立ってバリアフィルムを剥離する手間を要する。また、その剥離のための特別な摘みなどをこのバリアフィルムに設ける必要が生じ、実用的でないとの結論に達した。
【0009】
この経験を基に更により望ましい手段の開発を再度試みた。そこで新たに思い至った構成は、この種容器には本来的に用いられているオーバーキャップで蓋の強度を確保することであった。オーバーキャップは必ず容器から取り外されるものであるから、このオーバーキャップの作動にバリアフィルムの剥離を負担させる手段を種々検討、実験を試みた。得られた結果は満足の行くものであったので、ここに提案する。
【0010】
したがって本発明は、バリア性、カップに対する安定したシール性、更には易開封性が従来品に対して格段に優れ、殊に落下時の衝撃を阻止して破れ難くく、しかも開封は少ない破り荷重で簡易に樹脂層を破断でき、併せて廉価に提供できるオーバーキャップ付容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1記載のオーバーキャップ付容器は、最内層がポリエチレンのシーラント層を含む樹脂層とその上方にバリアフィルムが積層されてなるバリア性を備えたシート状の蓋がカップ状の容器本体の開口部周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成されているとともに、前記蓋の樹脂層には蓋の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部が備わり、この樹脂層の上に剥離層を介して前記バリアフィルムが貼着され、この蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、このオーバーキャップの天板の内面に前記蓋の前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離可能になるように取り付け手段によって一体的に取り付けられたものである。
【0012】
最内層は最下層がポリエチレンのシーラント層で、このポリエチレン樹脂層の上に押出しによりポリエチレンテレフタレート樹脂を積層して二層から形成することができる。また、このシーラント層の上には前記最内層の前記ポリエチレンテレフタレート樹脂層の外側に、例えば押出しポリエチレン樹脂層など介してバリア性と強度を備えたアルミ箔などの金属箔層を備えたバリアフィルムが剥離層を介して貼着されて形成される。更に、前記最内層には中央から放射状に、望ましくは3〜8本の、ミシン目やカット線で形成される強度弱点部が設けられている。この強度弱点部は、シーラント層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の二層を貫いて設けられる。そして、このバリアフィルムの上からオーバーキャップが嵌着されて容器本体の開口部が密封されて、機密性を保つ。
【0013】
前記シーラント層とバリアフィルムとの間に介在させる剥離層は、例えばアルミニウムフィルムを介在させたり、弱接着性の接着剤を塗布するなどの手段が採用される。
【0014】
また、このバリアフィルムはオーバーキャップの天板の内面に一体的に取り付ける取り付け手段、例えば接着剤や粘着剤を介して熱や熱圧によって貼着されて一体化され、もってバリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離し、分離して取り外せるようになっている。オーバーキャップとバリアフィルムとの一体化は、前記の手法の他にも、例えばバリアフィルムの上面の少なくとも周縁部が高周波溶着手段或いは超音波溶着手段で互いに貼着される構成を採用できる。その他にも、バリアフィルムの周縁を係止するためにオーバーキャップの内面に設けられた係止体なども採用できる。
【0015】
更に、最内層に放射状に設けられた強度弱点部は、これを押し破ろうとする外圧が負荷されると、強度弱点部に沿って、中心から周辺に向けて複数の扇状に容易に分割されて押し破られる。また、この最内層はポリエチレンのシーラント層を有しているので、紙製容器に用いると、そのフランジやカールに生じる段差を埋めて気密性を実現する。更には、ホットメルトを採用しないために、高温に晒されても溶融が生じず、また、特有の臭気は全くない。
【0016】
このようなオーバーキャップ付容器にあって、本発明では、蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、また、このオーバーキャップの天板の内側に前記蓋の前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に内側の樹脂層と剥離可能に構成されている。
したがって、容器が落下したときの衝撃によって、容器が歪もうとするが、この衝撃はオーバーキャップで阻止してその落下衝撃が蓋に伝わることを極力阻止する。更に、開封時にオーバーキャップを容器本体の開口から取り外すと、その取り外し動作に伴って、蓋の上層のバリアフィルムが下層のシーラント層から簡単に剥離し、このオーバーキャップと共に下層のシーラント層から分離する。バリアフィルムが分離した後の容器本体の開口部には強度弱点部を備えたシーラント層のみが残るので、大変軽い荷重でこの樹脂層を破断できる。
【発明の効果】
【0017】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
本発明のオーバーキャップ付容器は、内容物を他の容器に移し替えるまではオーバーキャップによって、容器に対する外力に対しては強度を保って、不用意に蓋が破断するするおそれを上手く防止できる。また、オーバーキャップを外すときは、その作動によってバリアフイルムを同時に外すことができるため、開封のための動作数を増やすことなく容易に開封できる。更に、オーバーキャップの変形強度を低下させることができるため樹脂量を低減でき、コストの削減に寄与する。
【0018】
また、内側の層にミシン目やカット線などの強度弱点部をその中心から放射状に設けることによって、容易に押し破ることができ、併せて蓋の破片が生じるおそれも上手く解消できるようになった。また、最内層はポリエチレンのシーラント層を有するので、カップのフランジやカールにある段差の存在にかかわらず、これを上手く密閉でき、気密性を十分に確保できるようになった。更には、ホットメルトを採用しないために、安定したシール性が得られ、また、臭気の影響もなくすことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明のオーバーキャップ付容器を、インスタントコーヒーの詰め替え用容器1に適用した場合の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
尚、この発明は、基本的には、紙製容器にシールされるバリア性を有する蓋で、蓋を破ることによって開封する態様のもの全般に適用できる。したがって、以下の実施例に記載の構造に限定されるものではないことは改めて言うまでもない。
【0020】
先ず、詰め替え用容器1は、図3,4に示すように、筒状の容器本体2、バリア性を有するシート状の蓋3、保護キャップであるオーバーキャップ4からなる。
【0021】
容器本体2は有底の円筒形で、基材には矩形の紙片が用いらる。この紙製の円筒は、その最外層から内に向かって順に、インク層、紙層、エチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)、更に低密度ポリエチレン(LDPE)が積層されてなる複合積層シートから成る。湿気や通気を一切遮断するためである。紙層とアルミニウム箔との間のエチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)はこのアルミニウム箔を紙層にしっかりと貼着するためである。また、内面の低密度ポリエチレン(LDPE)は蓋3との接着性を確保するためである。前記紙層には上質紙を採用するのが望ましく、坪量15〜150g/m2 の範囲から適宜のものが選定される。また、エチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)は10〜50μmの範囲、アルミニウム箔は6〜20μmの範囲、ポリエチレンテレフタレート(PET)は5〜50μmの範囲、更に低密度ポリエチレン(LDPE)は30〜150μmの範囲でそれぞれ適宜選定される。
【0022】
また、この積層シートを得るための手段は公知の技術が採用される。例えば、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。容器本体2を作成するには、前記のように表面処理された矩形の紙片を筒状に丸め、左右両サイドを重合させ、この重合部を糊代として適宜に接着する。接着手段は、接着剤を使用したり、熱融着させたり、適宜公知の手段が採用される。そして、上端は、図3、4に示すように、外方へ環状に巻込んだ環状巻込み部(以下単にカール部と言う)5が形成されている。したがって、このカール部5の上面で前記両サイドの重合部では、どうしても上下方向で段差6が生じる。この段差6は気密性を損なうために、その始末が重要である。
【0023】
この容器本体2の開口部2A内には、図4に示すように、円筒形のホッパ7が嵌め込まれている。このホッパ7は前記容器本体2と同一の素材或いは厚みがほぼ0.8mmに設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂素材で形成されている。このホッパ7は周囲に、上端に外向きフランジを備えないストレートな立ち上がり壁7Aを備える。この立ち上がり壁7Aが、その上端を容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部5の上端面と同じ高さ位置にして、この開口部2A内に嵌め込まれている。また、この立ち上がり壁7Aの下端縁から一体に、上方かつ中央に向かって順次傾斜した漏斗7Bが備わっている。そしてこの漏斗7Bのテーパ角は、少なくとも20°、更に好ましくは40〜45°に設定される。
【0024】
ホッパ7はその漏斗7Bの上端が前記立ち上がり壁7A並びに容器本体2の開口部2Aの上端とほぼ同じ高さ位置、つまりはほぼ同一平面上に配置されるように、しっかりと位置合わせして、この開口部2Aに嵌め込まれ、開口部2Aの内周面に適宜に固定される。固定の手段は熱融着、高周波溶着、接着剤使用など適宜の好ましい手段が採用される。
【0025】
前記ホッパ7の上端にはバリア性を有するシート状の前記蓋3がシールされている。
このバリア性を有する蓋3は、図1に示すように、最内層8はポリエチレンのシーラント層9を含む樹脂層で、この最内層8の樹脂層の外側に押出し樹脂フィルム層10としてポリエチレンテレフタレート(PET)がラミネートされている。そしてこの押出し樹脂フィルム層10の外側に剥離層11としての弱接着剤を介してバリア性と強度を備えた金属箔層12が弱貼着された複合シートが採用され、更に前記最内層8には、図2に示すように、その中央から放射状に複数本の強度弱点部13が設けられている。
【0026】
以上の構成を更に具体的に詳述する。
最内層8は最下層が30〜200μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)のシーラント層9で、このポリエチレンのシーラント層9の上面に5〜50μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレンテレフタレート(PET)の押出し樹脂フィルム層10がラミネートされている。また、金属箔層12は6〜50μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたアルミニウム箔14が採用されていて、このアルミニウム箔14の下面に7〜100μmの範囲から適宜に選択された厚みを備えたポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム15がラミネートされている。そして、前記最内層8の前記ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート:PET)の押出し樹脂フィルム層10と金属箔層12の前記ポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム15とが剥離層11となる弱接着剤を介して互いに弱く接着されて、複合シートに形成されている。この複合シートの処理の手段は、上記以外にも公知の技術が採用され、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。
【0027】
前記剥離層11は、前記弱接着剤の他にも、例えば剥離紙、更にはアルミニウムシートなどを最内層8の前記ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート:PET)の押出し樹脂フィルム層10と金属箔層12の下の前記ポリエチレン(低密度ポリエチレン:LDPE)の押出し樹脂フィルム14との間に介在させる手段も採用できる。
【0028】
以上の蓋3の全体形状は、図3、4示すように、前記容器本体2の開口部2Aとほぼ同径、具体的には約90mmφの円形を呈し、その周縁部4Aが容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部5の上端面に適宜に貼着される。一般的には熱融着される。但し、前記ホッパの立ち上がり壁7Aの上端面に貼着されても良いが、このホッパー7の前記漏斗7Bの上端縁、つまりは開口7B1の上縁に対しては、単に接触するのみの構成としてある。
【0029】
更にこのバリア性を有する蓋3の前記最内層8には、図1、2に示すように、中央から放射状に複数本の前記強度弱点部13としてのミシン目又はカット線(図例ではミシン目)が最内層8並びに前記ポリエチレンテレフタレート(PET)の押出し樹脂フィルム層10に達するようにして設けられている。この強度弱点部13であるミシン目又はカット線によって前記最内層8が容易に破れて、開封し易くなようにしてある。ミシン目又はカット線は、図2に示すように、中央で互いに交差する3本の直線状で、ミシン目の長さは9mm、つなぎは1mmに設定されている。尚、3本という本数は、本発明の所期の目的を達成するための最低限の本数である。また、蓋3の大きさにもよるが、望ましい上限は10本である。10本以上であると逆にこの蓋3の強度を弱めるおそれが生じ、好ましくない。理想的には3〜8本(8本の例を図10に示す)である。
【0030】
保護キャップとしてのオーバーキャップ4は、前記保容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mm程度に設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂が採用され、前記容器本体2の開口部2Aに外嵌合し、前記蓋3を保護し、併せて内部を衛生的に保つように働く。
【0031】
更にこの発明において重要な構成は、第1点に、上述したように蓋3の前記最内層8と金属箔層12とが剥離層11によって上下に互いに分離できる構造になっていることと、第2点として、以下に詳述するが、金属箔層12がオーバーキャップ4に一体的に取り付けられている点である。
つまり、外側の金属箔層12は、図1に示すように、保護キッャプとしてのオーバーキャップ4の天板4Aの内面に、友連れ素子16の一例としての強接着などの手段で一体的に貼着されている。強接着の手段としては接着剤や粘着剤が用いられる。これらはこのオーバーキャップ4の天板4Aの内面若しくは金属箔層12の外側の前面又は周縁部に塗布された後、熱或いは熱圧により互いに接着する。更には、剥離紙としてアルミニウムシートを用いた場合には、最内層8と金属箔層12との間にこのアルミニウムシートを挟み込んで蓋3を得、その後この蓋3を容器本体2の開口部2A上に載置して、オーバーキャップ4を嵌着する。その後に高周波を用いて互いに溶着する。更には、前記のように蓋3を容器本体2の開口部2A上に載置して、オーバーキャップ4を嵌着した後、オーバーキャップ4のカール部5に相当する位置にエネルギーダイレクターを設けて、超音波溶着によって互いに接着するなどの手段を採用できる。
【0032】
このように本発明では、蓋3の上方からオーバーキッャプ4が嵌着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、また、このオーバーキャップ4の天板4Aの内側に前記蓋3の前記金属箔層12がオーバーキャップ4の開放と共に最内層8と剥離可能に構成されている(図4参照)。
【0033】
したがって、容器が落下したときの衝撃によって、容器本体2が歪もうするが、この歪みをオーバーキャップ4で阻止してその落下衝撃が蓋3に伝わることを極力少なくする。その結果、最内層12が強度弱点部13に沿って簡単に破断してしまうおそれを可及的に少なくしてくれる。更に、開封時にオーバーキャップ4を容器本体2の開口部2Aから取り外すと、金属箔層12はオーバーキャップ4の天板4Aの内面に一体的に貼着されているので、このオーバーキャップ4の取り外し動作に伴って、蓋3の上層の金属箔層12が剥離層11を介して最内層8から簡単に剥離し、このオーバーキャップ4と共に最内層8から分離する。したがって、開封のための動作数を増やすことなく簡便に開封が行える。また、金属箔層12が分離(図4参照)された後の容器本体2の開口部2Aには強度弱点部13を備えた最内層8のみが残るので、大変軽い荷重でこの樹脂層を破断できる。また、金属箔層12の存在によってオーバーキャップ4の変形強度を低下させることができるようになるから、オーバーキャップの製造に要する樹脂量を低減でき、コストの低減化に寄与する。
【0034】
この発明による前記詰め替え用容器1の器内部に粉状のインスタントコーヒーPを収容する作業は、一般に、ホッパ7の開口7B1を介して行われる。
【0035】
次に、このように構成された実施例1の詰め替え用容器1の使用の仕方について説明する。
先ず、オーバーキャップ4を取り外すと、その作動によって、蓋3の金属箔層12も下側の最内層8から剥離される。次いで図6並びに図7に示すように、容器本体2を逆さにし、ホッパ7の漏斗7Bを補充用の容器の一例であるジャー17の円筒状の口部17Aに内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体2内のインスタントコーヒーPはホッパ7から漏斗7B内にも流下してきているが、まだ蓋3の最内層8によって保持されている。次いで、図8並びに図9に示すように、容器本体2に、その漏斗7Bをジャー17の口部17Aへ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャー17の口部17A、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋3を押し破るための力として働く。すなわち、このジャー17の口部17Aが蓋3の最内層8を押し上げて、これをホッパ7の立ち上がり壁7Aと漏斗7Bとの間の断面三角形状の空間S内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋3の最内層8は、強度弱点部13であるミシン目が放射状に設けられているために、たちまちの内に極めて容易にこのミシン目に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗7Bはジャー17の口部17A内に入り込む。その結果、前記ホッパ7の漏斗7Bの開口7B1が開放され、容器本体2内のインスタントコーヒーPが、ホッパ7の漏斗7Bによって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー17内へ案内流下される。ジャー17へ補充を終えたこの詰め替え用容器1は破棄される。図中2Bは容器本体2の底部である。
【0036】
したがって、ジャー17の口部17Aに内嵌合された漏斗7BはインスタントコーヒーPをジャー17の外部へ零れ落とすことも無くジャー17内へ案内流下され、また、外気に必要以上触れさせるおそれもなく、したがって香りや風味が損なわれるおそれも可及的に少なくすることができるようになった。
【0037】
また、出来上がった蓋の性能試験を行った結果、中央部分が上手く押し破られた。また、紙カップを用いた開口部2Aの段差6における浸透液のチェック試験では、漏れの発生が全く見られなかった。更に、高温保存時にも蓋が紙カップの開口部2Aから剥離する例は見られなかった。また、蓋全体のバリア性はアルミ蓋と遜色なく好ましい結果を得た。ホットメルト蓋と比較して臭気の発生は全くなかった。
【0038】
このように、蓋3の最内層8がポリエチレン(線状手低密度ポリエチレン:LLDPE)のシーラント層9を備えているために、紙コップ特有の口部の段差6の存在にかかわりなく、蓋3で直接紙カップの開口部をシールした場合でも、これを上手くシールでき、気密性を十分に確保できるようになった。更には、ホットメルトを採用しないために、安定したシール性が得られ、また、臭気の影響もなくすことができた。
【0039】
尚、この発明は、図11に示すように、前記ホッパ7を備えない各種容器にも適用される。つまり、上記実施の形態に示した容器本体2にホッパなしのものを採用し、その開口部2Aに蓋3を設ける構成である。蓋の落下耐性も含めて、前記実施の形態に示した効果と同等の結果が得られた。図中4Aはアンダーカットで、前記カール部5に係止され、その嵌着状態を的確に維持する。
【0040】
また、前記立ち上がり壁7Aの上端には、容器本体2の開口縁に、気密的に当接する外向きのフランジが備わっていてもよい。蓋3そのものの上述した実施形態に言う開封性、高温保持性、バリア性、臭気、開封感、更には強度弱点部13の落下耐性、加工性、更には安定性等の利点は全く削がれることはなく、同等の効果を発揮できる。
【0041】
また、以上の実施例では内容物としてインスタンの粉コーヒーを対象としているが、その他にも食品、非食品の他の分流体に適用できる。例えば、水溶性のミルク(粉ミルク)、ココア、茶、またはこれらの組み合わせの粉など。更には乾燥マッシュポテトや他の乾燥食品、ソースまたはグレービー粉、スープ粉などの他に複写機のトナーなどである。
【0042】
また、ジャー17に替わるものとして、コーヒー作成装置のコーヒー粉タンク、更には粉ミルクや複写機のトナーの補充容器にも適用できる。
【0043】
更に、前記蓋3のバリア材としてはアルミニウム箔が採用されているが、これに代えて、例えばアルミ蒸着フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)などのバリア性フイルム、更にはポリ酢酸ビニル(PVAC)やポリビニルアルコールコートフィルムなどのバリア性コーティングフィルムを採用できる。
【0044】
(実施例)
まず、ラミネート加工法によって、容器本体用として、〔容器外側〕紙層(坪量350g/m2 )/接着剤層(25μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/低密度ポリエチレン層(60μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。また、ボトム部材として、〔容器外側〕低密度ポリエチレン層(20μm)/紙層(坪量230g/m2 )/低密度ポリエチレン層(20μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。これらの積層材料を用い、PMC社製カップ成形機で、胴部上端の外周にカール部をもつカップ状容器本体を作製した。次に、高密度ポリエチレン(三井化学 2100K)を用いて射出成形により、漏斗7Bを備え、周囲にリングを備えたホッパを作製した。漏斗7B並びにリングは共にほぼ0.8mm厚となるよう成形した。更に、〔上側〕アルミニウム箔層(7μm)/低密度ポリエチレン層(15μm)/弱接着剤/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/低密度ポリエチレン層(100μm)〔下側〕構成の積層材料を作製し、この積層材料を用いて蓋を作製した。
【0045】
また、蓋としては、前記弱接着剤の代わりにアルミニウムシート、剥離紙を介在させて剥離層を構成したものも作製した。
【0046】
次に、上述のカップ状の容器本体をアンビルに挿着して、胴部上端のカール部を下側から支えると共に胴部を固定し、胴部上端内側の開口部に、ホッパーをリングの上端がカール部上端から上方へ突出しないようにして挿入して挿着し、溶着機を用い、開口部の内面にリングの外面を接合した。
【0047】
次いで、前記パーツの漏斗の開口を介してインスタントコーヒーを容器本体に充填した。最後に、前記カール部の上面に、ヒートシール法で前述の蓋を熱融着して容器上端側を密封し、更にこの蓋の上からオーバーキャップを被せることでオーバーキャップ付容器を作製した。
【0048】
得られた製品は何れも、従来の容器と違って、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行え、併せてインスタントコーヒーを外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が保たれていることが判明した。
【0049】
また、何れの試験体もオーバーキッャプが開封されるまでは落下しても不用意に強度弱点部から蓋が破断することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のオーバーキッャプ付容器の一実施形態を示し、図2中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図2】図1の蓋の底面図である。
【図3】図1のバリア性を有する蓋が適用される容器の一部を取り出して拡大表示した拡大図を含む全体分解斜視図である。
【図4】図3の容器が閉まっているときのこの容器の一端の断面図である。
【図5】オーバーキャップを取り除いた後のオーバーキャップと容器を示す一部省略断面図である。
【図6】図1のバリア性を有する蓋の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する前の蓋と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図7】図5に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図8】図1のバリア性を有する蓋の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する途中の蓋と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図9】図7に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図10】強度弱点部を8本にした場合の図2に対応する蓋の底面図である。
【図11】本発明のバリア性を有する容器の別の構造を示した一部省略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…詰め替え用容器
2…容器本体
2A…開口部
3…蓋
4…オーバーキャップ
5…カール
6…段差
7…ホッパ
8…最内層
9…シーラント層
10…押出し樹脂層
11…剥離層
12…金属箔層
13…強度弱点部
16…友連れ素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層がポリエチレンのシーラント層を含む樹脂層とその上方にバリアフィルムが積層されてなるバリア性を備えたシート状の蓋がカップ状の容器本体の開口部周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成されているとともに、前記蓋の樹脂層には蓋の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部が備わり、この樹脂層の上に剥離層を介して前記バリアフィルムが貼着され、この蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、このオーバーキャップの内面に前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離可能になるように取り付け手段によって一体的に取り付けられていることを特徴とするオーバーキャップ付容器。
【請求項2】
取り付け手段は、バリアフィルムの上面の少なくとも周縁部に塗布された接着剤又は粘着剤が加熱若しくは熱圧によってオーバーキャップの天板の内面に貼着されたものである請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項3】
取り付け手段は、バリアフィルムの上面の少なくとも周縁部が高周波溶着手段或いは超音波溶着手段でオーバーキャップの天板の内面に貼着されたものである請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項4】
取り付け手段は、バリアフィルムの周縁を係止するためにオーバーキャップの内面に設けられた係止体である請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項5】
剥離層はアルミニウムフィルム、剥離紙若しくは弱接着剤のいずれかで形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項1】
最内層がポリエチレンのシーラント層を含む樹脂層とその上方にバリアフィルムが積層されてなるバリア性を備えたシート状の蓋がカップ状の容器本体の開口部周縁に貼着されて容器内部を密封するように構成されているとともに、前記蓋の樹脂層には蓋の中心から放射状に、且つ、周方向に所定間隔で強度弱点部が備わり、この樹脂層の上に剥離層を介して前記バリアフィルムが貼着され、この蓋の上方からオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、このオーバーキャップの内面に前記バリアフィルムがオーバーキャップの開放と共に樹脂層と剥離可能になるように取り付け手段によって一体的に取り付けられていることを特徴とするオーバーキャップ付容器。
【請求項2】
取り付け手段は、バリアフィルムの上面の少なくとも周縁部に塗布された接着剤又は粘着剤が加熱若しくは熱圧によってオーバーキャップの天板の内面に貼着されたものである請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項3】
取り付け手段は、バリアフィルムの上面の少なくとも周縁部が高周波溶着手段或いは超音波溶着手段でオーバーキャップの天板の内面に貼着されたものである請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項4】
取り付け手段は、バリアフィルムの周縁を係止するためにオーバーキャップの内面に設けられた係止体である請求項1記載のオーバーキャップ付容器。
【請求項5】
剥離層はアルミニウムフィルム、剥離紙若しくは弱接着剤のいずれかで形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のオーバーキャップ付容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−52826(P2010−52826A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222918(P2008−222918)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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