説明

オーブントースター

【課題】温度過昇防止用サーモスタットのオフによって庫内温度の過昇を防止しながら、温度過昇防止用サーモスタットのオフ復帰を待たずに、熱的安全を図って調理を続けられるようにする。
【解決手段】ヒータ2に庫内1の温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路18と、この通電回路18上で、庫内1の温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタット19とを備え、この温度過昇防止用サーモスタット19に、開き習性を持った常開の短絡スイッチ21を並列に接続することにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブントースターに関し、詳しくは、温度過昇防止サーモスタットを採用したオーブントースターに関する。
【背景技術】
【0002】
サーモスタットによる温度制御機能を有したオーブントースターは、下記特許文献1〜3などに見られるように多く知られている。
【0003】
特許文献1に開示のサーモスタットは、庫内温度と専用の補助ヒータの温度とに応動してオン、オフするもので、補助ヒータを専用のスイッチで入り切りし、補助ヒータを働かさないことで、庫内を例えば220℃にまで昇温させられ、補助ヒータを働かせることで、サーモスタットのオフ時期を早め庫内を例えば180℃に抑えられるようにしている。
【0004】
特許文献2に開示のサーモスタットは、調理開始後5分から7分で動作してヒータに通電し始め、その後約1分の幅でオン、オフを繰り返すように設定され、これに並列接続されたスイッチのオンによってサーモスタットがヒータの通電回路から短絡されるようになっている。これにより、グラタンなどの冷凍食品を調理するときは、スイッチを開いてサーモスタットの短絡を解きヒータと直列に接続させることで、冷凍食品の解凍が済み表面に焼き色がつき始めるころ、1度オフした後、サーモスタットが早期にオン、オフしての低温調理機能により内部までじっくり火が通り、表面に適度な焼き色が付くころには食品の内部も60℃〜70℃と適度な温度になる。通常食品については、スイッチを閉じてサーモスタットがヒータに対して働かない短絡状態として対応できる。
【0005】
特許文献3に開示のサーモスタットは、通常調理時の温度調節を行う温度調節用サーモスタットと、焦げ過ぎやバターなど油脂分の発火を未然に防ぐなど異常防止のために設定した上限温度時にオフしてそれ以上に温度過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットと、であり、温度調節用サーモスタットによって通常の調理ができ、温度過昇防止用サーモスタットによって万一の場合の温度過昇を防止して食品や機器の安全が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−87413号公報
【特許文献2】実公平7−28483号公報
【特許文献3】特開2009−287886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示の技術は、1つのサーモスタットを利用するだけの簡単な構成にて、サーモスタットに対向させた補助ヒータを働かせるかどうかで、庫内を通常温度と、それよりも低い温度とに保っての2通りの調理ができる利点はあるが、高温での調理時間が連続焼きといったことで長くなるなど何らかの理由で調理物が焦げ過ぎたり、発火するような温度に過昇する場合がある異常に対応できない。特許文献2に開示の技術は、並列な2つのヒータを交流電源に接続する1つのスイッチと、このスイッチに並列に接続されてグラタン等の冷凍食品の調理時に、初回5分から7分で動作するサーモスタットとによって、スイッチによりサーモスタットを短絡させた通常調理と、スイッチを開いてサーモスタットを働かせた冷凍食品に適した調理とが行えるが、特許文献1に記載の技術同様に、何らかの理由で温度が過昇する場合がある異常に対応できない。
【0008】
一方、特許文献3に開示の技術は、万一の場合に起こる温度過昇には、温度過昇防止用サーモスタットの働きによって対応し、食品が焦げ過ぎたり、発火するようなことを未然に防止できるが、温度過昇防止用サーモスタットは、当然のことながら温度調節用サーモスタットに比してオフ温度が高く、オンへの復帰が遅く再調理できるまでに比較的長い時間が掛かってしまう。
【0009】
したがって、温度過昇防止用サーモスタットが一旦オフして熱的安全が図られた後、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰するまでの待ち時間が長く、ユーザーに強い不満を与えている。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑み、温度過昇防止用サーモスタットのオフによって庫内温度の過昇を防止しながら、温度過昇防止用サーモスタットのオフ復帰を待たずに、熱的安全を図って調理を続けられるオーブントースターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のオーブントースターは、ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、開き習性を持った常開の短絡スイッチを並列に接続したことを1つの特徴としている。
【0012】
このような構成では、通電回路は、温度過昇防止用サーモスタットがオンしていることを条件に、ヒータに温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると、温度過昇防止用サーモスタットがオフしてヒータへの通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、常閉の短絡スイッチを開き習性に抗してオン操作すれば、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタットを短絡させてそれに依存せずヒータに通電して調理を継続させられるし、オン操作を解除すれば短絡スイッチは開いて調理が継続できなくなるので、ユーザが短絡スイッチをオン操作し続けることを必須とする規制のもとに調理の継続を可能にする。
【0013】
本発明のオーブントースターは、また、ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、オン操作後庫内温度が過昇に至らないための安全時間内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチを並列に接続したことを別の特徴としている。
【0014】
このような構成では、通電回路は、温度過昇防止用サーモスタットがオンしていることを条件に、ヒータに温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると、温度過昇防止用サーモスタットがオフして温度調節用通電制御回路への通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、タイマー連動短絡スイッチをオン操作すれば、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタットを短絡させてこれに依存せずヒータに通電して調理を継続させられるし、調理の継続はタイマー連動短絡スイッチに設定された庫内温度が過昇に至らないための安全時間内に限って可能にする。
【0015】
本発明のオーブントースターは、また、ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための第1の上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、扉が開いて閉じるのに応動してオンし庫内温度が過昇に至らないための安全時間内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチを並列に接続したことを他の特徴としている。
【0016】
このような構成では、通電回路は、温度過昇防止用サーモスタットがオンしていることを条件に、ヒータに温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると、温度過昇防止用サーモスタットがオフしてヒータへの通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、扉を開いて閉じるとタイマー連動短絡スイッチがオンして、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタットを短絡させてこれに依存せずヒータに通電して調理を継続させられるし、調理の継続はタイマー連動短絡スイッチに設定された庫内温度が過昇に至らないための安全時間内に限って実現させられる。
【0017】
本発明のオーブントースターは、また、ヒータに温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための第1の上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタット、または、これに並列に接続されて第1の上限温度よりも低い第2の上限温度でオフする準温度過昇防止サーモスタットを、扉が開かれると冷めやすい開口部まわりまたはこれを開閉する扉に設けたことをさらなる特徴としている。
【0018】
このような構成では、通電回路は、温度過昇防止用サーモスタットまたは準温度過昇防止サーモスタットがオンしていることを条件に、ヒータに温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための第1の上限温度に達して温度過昇防止用サーモスタットがオフするか、準温度過昇防止サーモスタットを有してこれが第1の上限温度よりも低い第2の上限温度に庫内が達してオフするかして、ヒータへの通電を第1または第2の上限温度のもとに絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットまたは準温度過昇防止サーモスタットのオン状態への復帰は、それらのオフ温度に見合った比較的長い時間が掛かるが、扉が開くと放熱や外気の影響で冷めやすい開口まわりまたは扉に設けられていることにより、扉を開くと早期に降温して短時間でオン状態に復帰するので、扉を閉じてヒータに通電すれば調理を再開することができ、庫内に熱がこもって冷めにくい分庫内温度が第1または第2の上限温度に早期に達するので、再加熱は短時間で終了させられる。
【0019】
本発明のオーブントースターは、また、ヒータに温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットを短絡させて庫内が温度の過昇を防止する熱的安全を図る通電条件にてヒータに通電する熱的安全短絡回路を設けたことを今1つの特徴としている。
【0020】
このような構成では、通電回路は、温度過昇防止用サーモスタットがオンしていることを条件に、ヒータを温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると、温度過昇防止用サーモスタットがオフして温度調節用通電制御回路への通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットに設定されるオン温度にまで庫内が降温して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、この温度過昇防止用サーモスタットを熱的安全短絡回路により短絡させて、例えば、タイマーなどによる通電時間の制限、通電容量による温度の制限、継続した通電操作を強いるユーザー制限の少なくともいずれか1つで庫内の温度が過昇するのを防止して熱的安全を図る通電条件にて調理の継続を実現させられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のオーブントースターの1つの特徴によれば、ヒータを温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電しての調理中、庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると温度過昇防止用サーモスタットがオフして庫内温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、短絡スイッチのオン操作により温度過昇防止用サーモスタットを短絡させてこれに依存せず調理を継続させられるので、調理を引き続き仕上げるのに便利となる。それには、ユーザーは、短絡スイッチをオン操作し続けるためにオーブントースターから離れられない関係から、調理状態を目視しながら、焦げ過ぎや発火には、短絡スイッチの操作解除によって即対応でき、熱的安全が確保される。
【0022】
本発明のオーブントースターの別の特徴によれば、ヒータを温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電しての調理中、庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると温度過昇防止用サーモスタットがオフして庫内温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、タイマー連動短絡スイッチのオン操作により温度過昇防止用サーモスタットを短絡させて調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となる。しかも、調理の継続は庫内温度が過昇に至らないための安全時間内で自動的に行われ、ユーザーがオーブントースターから離れることができ、それによっても熱的安全が損なわれることはないし、あと少しの仕上げに便利である。万一、調理が仕上がらない場合は、再調理を繰り返して対応できる。
【0023】
本発明のオーブントースターの他の特徴によれば、ヒータを温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電しての調理中、庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると温度過昇防止用サーモスタットがオフして庫内温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、扉を開いて閉じるとタイマー連動短絡スイッチがオンすることにより温度過昇防止用サーモスタットを短絡させて調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となる。しかも、短絡スイッチは扉の開け閉めによってオンするので庫内温度が幾分低下する上、タイマー連動でオン後、庫内温度が過昇に至らないための安全時間内でオフするので、あと少しの仕上げに便利なようにしながら熱的安全がより確保される上、さらなる再調理の都度扉の開け閉めが条件になって庫内温度を下げやすく、熱的安全性が高まる。
【0024】
本発明のオーブントースターのさらなる特徴によれば、ヒータを温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電しての調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための第1の上限温度に達して温度過昇防止用サーモスタットがオフするか、準温度過昇防止サーモスタットを有してこれが第1の上限温度よりも低い第2の上限温度に庫内が達してオフするか、してヒータへの通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタットまたは準温度過昇防止サーモスタットのオン状態への復帰は、それらのオフ温度に見合った比較的長い時間が掛かるが、扉が開くと放熱や外気の影響で冷めやすい開口まわりまたは扉に設けられていることにより、扉を開くと早期に降温して短時間でオン状態に復帰するので、扉を閉じてヒータに通電すれば調理を再開することができ、待ち時間少なく調理を仕上げるのに便利であるし、庫内に熱がこもって冷めにくい分庫内温度が第1または第2の上限温度に早期に達するので焦げ過ぎや発火を防止する熱的安全も図れる。
【0025】
本発明のオーブントースターの今1つの特徴によれば、ヒータを設定調理モードで通電制御しての調理中、庫内が温度過昇防止のための上限温度に達すると温度過昇防止用サーモスタットがオフして庫内温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタットがオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、熱的安全短絡回路により温度過昇防止用サーモスタットを短絡させて調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となる。しかも、温度の過昇防止は、既述の時間的制限、ユーザー制限、の他、庫内温度を低く抑える温度制限を含めた少なくとも1つによっても対応でき、熱的安全短絡回路がこの機能を有することにより、あと少しの仕上がりに便利にしながら熱的安全が確保されるし、温度制限は、時間的制限やユーザー制限と複合して実施し、安全性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用されるオーブントースターの一般構成例を、扉を閉じて示す断面図。
【図2】同オーブントースターの一般構成例を、扉を開いて示す断面図。
【図3】同オーブントースターに本発明を適用した幾つかの具体例を(a)〜(d)に示す通電回路図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態に係るオーブントースターの幾つかの具体例につき、図1〜図3を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0028】
図1、図2に示すオーブントースター100は、本発明が適用される一般構成例として、庫内1内に調理用のヒータ2を配した調理庫3と、この調理庫3の食品5を出し入れする前面の開口部8を開閉する扉4とを備えている。通常ヒータ2は庫内1の上下に適数配され、上下のヒータ2間にパンなどの食品5を受載してヒータ2による調理に供する調理網6が配されている。この調理網6は図1、図2に示すように枠線6aの前端が扉4の連結片4aのフック部4bと着脱できるように連結され、庫内1の左右内壁のガイド穴7の案内を伴い、扉4の開閉に連動して図1に示すヒータ2からの輻射熱を食品5に設定通りに曝す調理位置と、図2に示す開口部8から外部に張り出す食品5の載置や取り出しに便利な引き出し位置との間で出入りさせられる。
【0029】
調理は、ヒータ2に通電して行うが、一般に、低級器では庫内1の温度の調節機能なしにて、高級器では庫内1の温度の調節機能を有して行われる。また、通電は、図3(a)〜(d)に示すようにタイマー9による調理時間の設定操作に連動してスタートスイッチ10をオンして開始される。さらに、温度調節は、図3(a)〜(d)に示すように設定温度範囲の下限温度以下でオンし、上限温度以上でオフする温度調節用サーモスタット11で行われる。なお、図3(a)〜(d)に示すように、機種によって通電W数を切り替えるW数切り替えスイッチ回路12が設けられることもある。図3(a)はスイッチ13のオン、オフによって全波通電と、整流子14を用いた半波通電とに切り替える簡略タイプを示しているが、既に知られる種々の方式を採用できる。図1、図2に通電オン、調理時間設定用のつまみ15と、W数切換えつまみ16とを示している。
【0030】
一方、温度調節機能がない場合はもとより、温度調節機能があっても、高温での長時間調理、連続調理など何らかの理由によって過昇温して焦げ過ぎたり油脂類が発火することが時としてあることにつき、特許文献3に記載のように庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタット19を設けて熱的安全を図るようにしている。
【0031】
しかし、以上の具体例に限られることはなく、本実施の形態は、ヒータ2に庫内1の温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路18と、この通電回路18上で、庫内温度が温度過昇防止のための第1の上限温度T1に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタット19とを少なくとも備えたオーブントースター100に適用して有効であり、図3(a)に示す例では、温度過昇防止用サーモスタット19に、開き習性を持った常開の短絡スイッチ21を並列に接続してある。常開の短絡スイッチ21は図示するように復帰ばね22を働かせて開き習性を持たせ常開となるようにしているが、開き習性を与える方式は特に問うものではない。
【0032】
以上により、通電回路18は、温度過昇防止用サーモスタット19がオンしていることを条件に、ヒータ2に温度の調節機能なしにまたは調節機能を有して通電し調理が行われるようにする。調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内が温度過昇防止のための上限温度T1に達すると、温度過昇防止用サーモスタット19がオフしてヒータ2への通電を絶ち、庫内温度が過昇するのを防止することができる。このとき、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、常開の短絡スイッチ21を開き習性に抗してオン操作すれば、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタット19を短絡させてそれに依存せずヒータ2に通電して調理を継続させられるし、オン操作を解除すれば短絡スイッチ21は復帰ばね22の付勢によって自動的に開き調理が継続できなくなるので、ユーザーが短絡スイッチ21をオン操作し続けることを必須とする規制のもとに調理の継続を可能にする。
【0033】
この結果、ヒータ2を温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電しての調理中、庫内1が温度過昇防止のための上限温度に達すると温度過昇防止用サーモスタット19がオフして庫内1の温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、短絡スイッチ21のオン操作により温度過昇防止用サーモスタット19を通電回路から短絡させてこれに依存せず調理を継続させられるので、調理を引き続き仕上げるのに便利となる。それには、ユーザーは、短絡スイッチ21をオン操作し続けるためにオーブントースター100から離れられない関係から、調理状態を目視しながら、焦げ過ぎや発火には、短絡スイッチ21の操作解除によって即対応でき、熱的安全が確保される。
【0034】
また、図3(b)に示す例では、温度過昇防止用サーモスタット19に、オン操作後庫内1の温度が過昇に至らないための熱的安全時間t1内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチ23を並列に接続している。これにより、調理中何らかの理由で庫内1が温度過昇防止のための上限温度T1に達して温度過昇防止用サーモスタット19がオフし庫内1の温度が過昇するのを防止するのに、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、タイマー23aに連動したタイマー連動短絡スイッチ23をオン操作すれば、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタット19を通電回路18から短絡させてこれに依存せずヒータ2に通電して調理を継続させられるし、調理の継続はタイマー連動短絡スイッチ23のタイマー23aに設定された庫内1の温度が過昇に至らないための熱的安全時間t1内に限って可能にする。
【0035】
したがって、調理中、庫内1が温度過昇防止のための上限温度T1に達して温度過昇防止用サーモスタット19がオフし庫内1の温度が過昇するのを防止するのに、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、タイマー連動短絡スイッチ23のオン操作により温度過昇防止用サーモスタット19を短絡させて調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となる。しかも、調理の継続は庫内1の温度が過昇に至らないための熱的安全時t1内で自動的に行われ、ユーザーがオーブントースター100から離れることができ、それによっても熱的安全が損なわれることはないし、あと少しの仕上げに便利である。万一、調理が仕上がらない場合は、再調理を繰り返して対応できる。
【0036】
これには、熱的安全時間t1は、熱的安全性から2分以下、よりよくは1分以下に設定するのがよく、焦げ始めからの焦げ具合の進行は早く、再調理の繰り返しが可能なことを考慮すれば、数秒程度の設定でも実用上は特に不便になることはない。なお、他の構成は図3(a)に示す例の場合と特に変わるところはなく、重複する説明は省略する。
【0037】
また、図3(c)に示す例は、温度過昇防止用サーモスタット19に、扉4が開いて閉じるのに応動してオンし庫内1の温度が過昇に至らないための安全時間t1内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチ24を並列に接続している。これにより、調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内1が温度過昇防止のための上限温度T1に達して温度過昇防止用サーモスタット19がオフし庫内1の温度が過昇するのに、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、扉4を開いて閉じるとタイマー連動短絡スイッチ24がオンして、オフ状態の温度過昇防止用サーモスタット19を通電回路18から短絡させてこれに依存せずヒータ2に通電して調理を継続させられるし、調理の継続はタイマー連動短絡スイッチ24のタイマー24aに設定された庫内1の温度が過昇に至らないための安全時間t1内に限って実現させられる。
【0038】
したがって、庫内1が温度過昇防止のための上限温度T1に達すると温度過昇防止用サーモスタット19がオフして庫内1の温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰し再調理が可能になるまで時間が掛かることにつき、扉4を開いて閉じるとタイマー連動短絡スイッチ24がオンすることにより温度過昇防止用サーモスタット19を短絡させて調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となる。しかも、タイマー連動短絡スイッチ24は扉4の開け閉めによってオンするので庫内1の温度が幾分低下する上、タイマー24aの連動でオン後、庫内1の温度が過昇に至らないための安全時間t1内でオフするので、あと少しの仕上げに便利なようにしながら熱的安全がより確保される上、さらなる再調理の都度扉4の開け閉めが条件になって庫内1の温度を下げやすく、熱的安全性が高まる。
【0039】
ここで、タイマー連動短絡スイッチ24は、図3(c)に模式的に示しているように、扉4の開き閉じるのに連動してオンするマイクロスイッチ24bおよびタイマー24aを直列に接続して、これらをヒータ2と並列に設けることにより、扉4が開き閉じるとマイクロスイッチ24bがオンしてタイマー24aをスタートさせてタイマー連動短絡スイッチ24をオンさせ、タイマー24aがタイムアップすることで、タイマー連動短絡スイッチ24をオフするようにしている。しかし、具体的な方法はこれに限られることはない。なお、他の構成は図3(a)に示す例の場合と特に変わるところはなく、重複する説明は省略する。
【0040】
図3(d)に示す例は、温度過昇防止用サーモスタット19、または、これに並列に接続して設けられ温度過昇防止用サーモスタット19がオフする第1の上限温度T1よりも低い第2の上限温度T2でオフする準温度過昇防止サーモスタット25を、扉4が開かれると冷めやすい開口部8まわりまたはこれを開閉する扉4に設けるようにしている。具体的には、図1、図2に破線で示すように開口部8まわりの前面域内側に配置している。
【0041】
これにより、通電回路18は、温度過昇防止用サーモスタット19または準温度過昇防止サーモスタット25がオンしていることを条件に、ヒータ2に通電しての調理中、高温調理が長時間続くなど何らかの理由で庫内1が温度過昇防止のための第1の上限温度T1に達して温度過昇防止用サーモスタット19がオフするか、準温度過昇防止サーモスタット25を有してこれが第1の上限温度T1よりも低い第2の上限温度T2に庫内1が達してオフするかして、ヒータ2への通電を第1または第2の上限温度T1またはT2のもとに絶ち、庫内1の温度が過昇するのを防止するが、温度過昇防止用サーモスタット19または準温度過昇防止サーモスタット25がオン状態に復帰するには、それらのオフ温度に見合った比較的長い時間が掛かるが、扉4が開くと放熱や外気の影響で冷めやすい開口部8まわりまたは扉4に設けられていることにより、扉4を開くと早期に降温して短時間でオン状態に復帰するので、扉4を閉じてヒータ2に通電すれば調理を再開することができ、庫内1に熱がこもって冷めにくい分庫内1の温度が第1または第2の上限温度T1、T2に早期に達するので、再加熱は短時間で終了させられる。
【0042】
したがって、調理中、庫内1が温度過昇防止のための第1の上限温度T1に達して温度過昇防止用サーモスタット19がオフするか、準温度過昇防止サーモスタット25を有してこれが第1の上限温度T1よりも低い第2の上限温度T2に庫内1が達してオフするか、してヒータ2への通電を絶ち、庫内1の温度が過昇するのを防止するのに、温度過昇防止用サーモスタット19または準温度過昇防止サーモスタット25のオン状態への復帰は、それらのオフ温度に見合った比較的長い時間が掛かるが、扉4が開くと放熱や外気の影響で冷めやすい開口部8まわりまたは扉4に設けられていることにより、扉4を開くと早期に降温して短時間でオン状態に復帰するので、扉4を閉じてヒータ2に通電すれば調理を再開することができ、待ち時間少なく調理を仕上げるのに便利であるし、庫内1に熱がこもって冷めにくい分庫内1の温度が第1または第2の上限温度T1またはT2に早期に達するので焦げ過ぎや発火を防止する熱的安全も図れる。
【0043】
以上を総合して、オーブントースター100は、さらに、この温度過昇防止用サーモスタット19を短絡させて熱的安全を図っての再調理を可能にするのに、庫内1が温度の過昇を防止するための上限温度T1に至らない熱的安全を図る通電条件にてヒータ2に通電する図3(b)に例示するような熱的安全短絡回路26を設けたものとすることもできる。これにより、温度過昇防止用サーモスタット19がオフしてヒータ2への通電を絶ち、庫内1の温度が過昇するのを防止するのに、温度過昇防止用サーモスタット19がオン状態に復帰して再調理が可能になるまで時間が掛かるが、この温度過昇防止用サーモスタット19を熱的安全短絡回路26により短絡させて、例えば、タイマー23aなどによる通電時間の制限、抵抗27による通電容量、つまりW数の低下による調理温度の制限、継続した通電操作を強いるユーザー制限の少なくともいずれか1つで、庫内1の温度が過昇するのを防止する熱的安全を図る通電条件にて、調理の継続を実現させられる。
【0044】
従って、温度過昇防止用サーモスタット19がオフして庫内1の温度が過昇するのを防止するのに、熱的安全短絡回路26により温度過昇防止用サーモスタット19を短絡させてこれに依存せず調理を継続させられるので、調理を仕上げるのに便利となるし、温度の過昇防止は、既述の時間的制限、ユーザー制限、の他、庫内温度を低く抑える温度制限を含めた少なくとも1つによって対応でき、熱的安全短絡回路26がこの機能を有することにより、あと少しの仕上がりに便利にしながら熱的安全が確保されるし、熱的制限は、時間的制限やユーザー制限と複合して実施し、安全性を高められる。図3(b)の例では、タイマー連動短絡スイッチ23による時間制限と、抵抗27によるW数制限による温度制限とを併用している。従って、W数を低減した分だけ、タイマー連動短絡スイッチ23がオンしてからオフするまでのタイマー設定時間を長くしても、熱的安全が図れるので、調理の最終段階では焦げの進行や発火への移行が急速になるのを、W数を低減しての長めの調理によって対応し、調理をより失敗なく仕上げやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、オーブントースターでの調理において、温度過昇防止用サーモスタットのオフ機能によって、庫内の温度が万一にも過昇するのを防止する際、温度過昇防止用サーモスタットのオン復帰が遅く、調理を長い時間再開できないのを、熱的安全を損なうことなく回避するのに実用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 庫内
2 ヒータ
3 調理庫
4 扉
5 食品
8 開口部
9 タイマー
10 スタートスイッチ
11 温度調節用サーモスタット
12 W数切り替えスイッチ回路
15 通電オン、調理時間設定用のつまみ
16 W数切換えつまみ
18 通電回路
19 温度過昇防止用サーモスタット
21 常開の短絡スイッチ
22 復帰ばね
23、24 タイマー連動短絡スイッチ
25 準温度過昇防止サーモスタット
26 熱的安全短絡回路
27 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、開き習性を持った常開の短絡スイッチを並列に接続したことを特徴とするオーブントースター。
【請求項2】
ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、オン操作後庫内温度が過昇に至らないための安全時間内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチを並列に接続したことを特徴とするオーブントースター。
【請求項3】
ヒータに庫内温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための第1の上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットに、扉が開いて閉じるのに応動してオンし庫内温度が過昇に至らないための安全時間内でタイムアップしオフするタイマー連動短絡スイッチを並列に接続したことを特徴とするオーブントースター。
【請求項4】
ヒータに温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための第1の上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタット、または、これに並列に接続されて第1の上限温度よりも低い第2の上限温度でオフする準温度過昇防止サーモスタット、を、扉が開かれると冷めやすい開口部まわりまたはこれを開閉する扉に設けたことを特徴とするオーブントースター。
【請求項5】
ヒータに温度の調節機能なしに、または調節機能を有して通電する通電回路と、この通電回路上で、庫内温度が温度過昇防止のための上限温度に達したときオフして温度が過昇するのを防止する温度過昇防止用サーモスタットとを備え、この温度過昇防止用サーモスタットを短絡させて庫内が温度の過昇を防止する熱的安全を図る通電条件にてヒータに通電する熱的安全短絡回路を設けたことを特徴とするオーブントースター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−11105(P2012−11105A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152507(P2010−152507)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】