説明

カウルルーバ

【課題】歩行者保護性能を満足し従来より熱風遮断性能が高いカウルルーバの提供。
【解決手段】本発明のカウルルーバ10は、車両前方かつ上方に開いた凹部21を有し車両左右方向に延びるカウルルーバ本体20と、カウルルーバ本体20の車両左右方向両端部に凹部21を遮断するように設けられた遮蔽リブ40と、を有する。カウルルーバ本体20は前壁28および後壁25と底壁26とを有する。遮蔽リブ40はカウルルーバ本体20に一体に形成されている。遮蔽リブ40は底壁26と前壁および後壁の上部のみでつながっており、前壁および後壁の下部では離れている。遮蔽リブ40は車両前後方向に前側リブ40aと後側リブ40bとに分割されてもよい。前側リブ40aの後部と後側リブ40bの前部とは車両側面視でオーバラップしている。遮蔽リブ40の上端部の前端部および/または後端部には破断の起点となる切欠41が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のカウルルーバに関し、歩行者保護性能および熱風遮断性能の両方を満足するカウルルーバに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウインドシールドガラス(以下、「フロントガラス」という)とフードパネルとの間の隙間でカウルの上方にカウルルーバが配置される。
カウルルーバには歩行者保護性能および熱風遮断性能が要求される。また、低コストで作製される必要がある。
歩行者保護性能は、試験においてインパクタによる上方からの入力に対してカウルルーバが十分に変形し衝撃を和らげる性能であり、所定の頭部傷害基準値を満足することが求められる。熱風の遮断性能は、カウルルーバ本体の凹部の車両左右方向両端部に設けられた遮蔽リブにより、エンジンルームからの熱風がカウルルーバ本体の凹部に回り込みそこから空調ダクトに流入するのを抑制する性能である。
【0003】
特許文献1は、図7に示すように、カウルルーバ本体2とは別ピースの遮蔽リブ4をカウルルーバ本体2の凹部3の車両左右方向両端部に組み付けたカウルルーバ1を開示している。
また、従来、図8および図9に示すように、カウルルーバ本体6の凹部7に設けた遮蔽リブ8をカウルルーバ本体6の凹部底壁に一体成形したカウルルーバ5も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−137363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図7の別ピースからなる遮蔽リブ4の場合、カウルルーバ本体2と遮蔽リブ4との2つの成形型が必要となって型費が増加し、かつ、組み付けるための組立工程が増えるため、コストアップを招く。
また、図8および図9のカウルルーバ本体6に一体成形の遮蔽リブ8の場合、歩行者保護性能を考慮して図9に実線で示すようにインパクタ90による上方からの入力に対してカウルルーバ5の大きな変形を容易に得るため、遮蔽リブ8の前端、後端と凹部7の前壁、後壁との間に比較的大きな幅の隙間9をもたせることが必要である。その結果、隙間9を通ってエンジンコンパートメントの熱源からの熱風が凹部7に流れ込み、熱風遮蔽率が低下する。図9において2点鎖線はカウルルーバの変形前の状態を示す。
【0006】
本発明の目的は、歩行者保護性能を満足し従来よりも熱風遮断性能が高いカウルルーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のカウルルーバはつぎのとおりである。
(1) 上記目的を達成する本発明のカウルルーバは、車両前方かつ上方に開いた凹部を有し車両左右方向に延びるカウルルーバ本体と、カウルルーバ本体の車両左右方向両端部に上記凹部を遮断するように設けられた遮蔽リブと、を有する。
カウルルーバ本体は上記凹部の前後で車両左右方向に延びる前壁および後壁と凹部の下側で車両左右方向に延びる底壁とを有する。
遮蔽リブはカウルルーバ本体に一体に形成されている。
遮蔽リブは前記底壁と前壁および後壁の上部のみでつながっており、前壁および後壁の下部では離れている。
【0008】
(2) 上記(1)のカウルルーバにおいて、遮蔽リブが車両前後方向に前側リブと後側リブとに分割されており、前側リブの後部と後側リブの前部とは車両側面視でオーバラップしている。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)のカウルルーバにおいて、遮蔽リブの上端部における前端部および/または後端部には、破断の起点となる切欠が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)のカウルルーバによれば、つぎの効果が得られる。
まず、遮蔽リブは底壁と前壁および後壁の上部のみでつながり、前壁および後壁の下部ではつながっていないので、上方からの荷重入力時に前壁および後壁の下部が容易に屈曲し、遮蔽リブの前壁上部および後壁上部とのつながり部が破断する。破断後は上部での支持がなくなるので、遮蔽リブは容易に車両左右方向に倒れ、カウルルーバ本体は上下方向に大きく変形でき、歩行者保護性能が容易に満足される。
また、従来の一体成形リブでは、歩行者保護性能を考慮すると遮蔽リブと凹部の前後壁との間の隙間を大きくとらざるを得ず、熱風遮断性能が低下していた。これに対し本発明では、遮蔽リブがカウルルーバ本体の車両左右方向両端部に凹部を遮断するように設けられているので、従来の遮蔽リブより熱風遮蔽率が向上し、従来よりも熱風遮断性能が高い。また、本発明では、遮蔽リブがカウルルーバ本体と一体に成形されているので、カウルルーバ本体成形時に遮蔽リブも同時に成形される。その結果、遮蔽リブとカウルルーバ本体に対して成形型が1つで済み、遮蔽リブをカウルルーバ本体に組み付ける工程も不要であり、コストダウンがはかられる。
【0011】
上記(2)のカウルルーバによれば、つぎの効果が得られる。
遮蔽リブが車両前後方向に前側リブと後側リブとに分割されているので、遮蔽リブが分割されない場合に比べて上方からの荷重入力時に前壁および後壁が非分割の場合より容易に屈曲変形でき、歩行者保護性能がより容易に満足される。
また、前側リブの後部と後側リブの前部とが車両側面視でオーバラップしているので、遮蔽リブが非分割の場合とほぼ同程度に良好な熱風遮断性能が維持される。
【0012】
上記(3)のカウルルーバによれば、つぎの効果が得られる。
遮蔽リブの上端部における前壁につながった前端部および/または後壁につながった後端部には、破断の起点となる切欠が形成されているので、上方からの荷重入力時に遮蔽リブと前壁および後壁とのつながり部が切欠が無い場合より容易に破断し、歩行者保護性能が容易に満足される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係るカウルルーバの斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係るカウルルーバとその近傍の構造を含む断面図である。
【図3】図2のうちカウルルーバとその近傍の構造を含む断面図である。
【図4】インパクタの荷重入力時における図3のカウルルーバとその近傍の構造の変形状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係るカウルルーバとその近傍の構造を含む断面図である。
【図6】図5のうちカウルルーバ本体とバッテリ脱着用カバーの斜視図である。
【図7】特許文献1のカウルルーバと別ピース遮蔽リブの斜視図である。
【図8】比較例の遮蔽リブが一体成形されたカウルルーバとその近傍の構造を含む断面図である。
【図9】インパクタの荷重入力時における図8のカウルルーバとその近傍の構造の変形状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例に係るカウルルーバを、図1〜図6を参照して、説明する。図1〜図4は本発明の実施例1を示し、図5および図6は本発明の実施例2を示す。本発明の実施例1、2にわたって共通する構造部分には、両実施例にわたって同じ符号を付してある。
図中、FRは車両前後方向の前方を示し、UPは上方を示す。
【0015】
〔実施例1〕
本発明の実施例1に係るカウルルーバ10は、図1〜図4に示すように、車両のフロントガラス60とフードパネル50との間の隙間でカウル70の上方に配置される。
カウルルーバ10は樹脂製でカウルルーバ本体20と遮蔽リブ40を有する。
【0016】
カウルルーバ本体20は、フロントガラス60の下端部に沿って車両幅方向にフロントガラス60のほぼ全長にわたって延びる。
カウルルーバ本体20は、車両前後方向にフロントガラス60の下端部前面からフードパネル50の後端部下方まで延び、途中に車両前方かつ上方に開いた凹部21を有する。
【0017】
図2〜図4に示すように、カウルルーバ本体20はフロントガラス60側からフードパネル50側に向かって順に、意匠部22、意匠部22に連なる構造部23、構造部23に連なるフードシール部24を有する。意匠部22は、外部に露出しており、上方に向かってなだらかに凹状となっている。構造部23は凹部21の後壁25と底壁26を有する。後壁25は意匠部22の前端から折れ曲がって下方に延び途中に屈曲部27を有する。後壁25の屈曲部27は、車両前方に向かって凹となるように屈曲している。後壁25の屈曲部27より上側の部分は、意匠部22の前端から折れ曲がって下方にかつ斜め後方に延び、後壁25の屈曲部27より下側の部分は屈曲部27から下方かつ斜め前方に延びる。底壁26は後壁25の下端から折れ曲って前方に延びる。フードシール部24は、凹部21の前壁28と、前壁28の上端から折れ曲がって前方に延びるシール部材装着部29を有する。凹部21は後壁25と前壁28との間で底壁26上方の空間から構成される。
【0018】
シール部材装着部29には車両左右方向に延びるゴム製のシール部材80が装着される。シール部材装着部29には車両左右方向に複数箇所孔31が形成され、孔31にシール部材80の脚81が嵌め込まれることにより、シール部材80シール部材装着部29に取り付けられる。フードパネル50はアウタパネル51とインナパネル52を有する。シール部材80はインナパネル52によって押されて変形し、インナパネル52とシール部材装着部29との間をシールする。
【0019】
図1に示すように、意匠部22および後壁25には空調用の外気導入口30が設けられている。図2に示すように、カウルルーバ10の下側には金属製または樹脂製のカウル70が配置されている。カウル70の後壁71には開口部72が設けられ、開口部72には樹脂製の外気導入ダクト73が接続している。カウルルーバ本体20の外気導入口30からカウル70内に導入された外気は、外気導入ダクト73を通って空調装置に流れ、さらに車室に流れる。カウルルーバ本体20の外気導入口30からカウル70内に浸入した雨水は雨樋として機能するカウル70内を車両左右方向に流れ、カウル70の車両左右方向両端かまたは端部近傍にある図示しない開口から下方へ排出される。
【0020】
図1〜図3に示すように、遮蔽リブ40はエンジンコンパートメントからの熱風がカウルルーバ10の車両左右方向両端部からまわり込んで凹部21内に流れさらに外気導入ダクト73へと流れることを防止または抑制するための遮蔽板である。遮蔽リブ40はカウルルーバ本体20の車両左右方向両端部に凹部21を遮断するように設けられる。遮蔽リブ40は樹脂製でカウルルーバ本体20に一体形成される。遮蔽リブ40の板面は車両左右方向と直交する方向に延びている。
【0021】
遮蔽リブ40は、カウルルーバ本体20の底壁26と前壁28の上部および後壁25の上部とのみでつながっており、前壁28の下部および後壁25の下部では後壁25と前壁28から離れている。遮蔽リブ40はカウルルーバ本体20の後壁25の屈曲部27では後壁25から離れている。
【0022】
符号33は遮蔽リブ40の底壁26および前壁28および後壁25とのつながり部を示す。図3において、カウルルーバ本体20の前壁28の下部および後壁25の下部では、前壁28および後壁25は遮蔽リブ40の断面延長上には存在せず、遮蔽リブ40の断面延長より紙面奥側に存在する。前壁28および後壁25と遮蔽リブ40との車両左右方向視での隙間32は零かほぼ零に設定されている。零に設定されても、前壁28および後壁25が遮蔽リブ40の断面延長上に存在しないため、前壁28および後壁25が遮蔽リブ40と干渉することはない。
【0023】
遮蔽リブ40におけるカウルルーバ本体20の前壁28および/または後壁25とのつながり部33の上端および/または下端には、図2および図3に示すように、カウルルーバ10が試験用治具であるインパクタ90(図4)からの荷重またはそれに相当する大きさの荷重を受けた時につながり部の破断の起点となる切欠41が形成されている。図示例は、切欠41が遮蔽リブ40の上端部における前端部および/または後端部に形成された場合を示している。切欠41はカウルルーバ本体20の前壁28および/または後壁25とのつながり部33の下端部に設けられてもよいし、あるいは、前壁28および/または後壁25とのつながり部33の上端部と下端部との両方に設けられてもよい。前壁28および/または後壁25とのつながり部33が破断した時には遮蔽リブ40はカウルルーバ本体20に底壁26のみでつながり、上部での支持を失い、遮蔽リブ40は容易に車両左右方向に倒れる。
以上の構成は、本発明の全実施例に適用可能である。
【0024】
本発明の実施例1はさらにつぎの構成を有する。
図3に示すように、カウルルーバ本体20の車両左右方向各端に設けられる遮蔽リブ40は、車両前後方向に非分割であり、車両前後方向に1枚の一体ものに形成されている。
【0025】
つぎに、本発明の実施例1に係るカウルルーバ10の作用および効果を説明する。
遮蔽リブ40が底壁26と前壁28および後壁25の上部のみでつながり、前壁28および後壁25の下部ならびに後壁25の屈曲部27ではつながっていない。そのため、インパクタ90からの荷重またはそれに相当する荷重がかかった時に前壁28および屈曲部27を含む後壁25の下部が容易に屈曲し、遮蔽リブ40の前壁28および後壁25上部とのつながり部に応力集中が生じて破断する。破断後は上部での支持がなくなるので、遮蔽リブ40は荷重がかかると容易に車両左右方向に倒れ、カウルルーバ本体20は上下方向に大きく変形でき、歩行者保護性能が容易に満足される。
【0026】
従来の一体成形リブ8では、図8および図9に示すように歩行者保護性能を考慮すると遮蔽リブ8と凹部7の前後壁との間の隙間9を大きくとらざるを得ず、熱風遮断性能が低下する。これに対し本発明では図1および図3に示すように、遮蔽リブ40が、カウルルーバ本体20の車両左右方向両端部に凹部21を遮断するように設けられているので、隙間32を零かほぼ零にすることができ、従来の遮蔽リブ8より遮蔽率が向上し、従来よりも熱風遮断性能が高い。その結果、エンジンコンパートメントからまわり込む熱風によって冷房性能が影響を受けることが抑制される。図1でaはエンジンコンパートメント内の熱風を示し、bは凹部21にまわり込む熱風を示し、cは熱風bが遮断された状態を示し、dは外気導入孔30からの導入された外気の流れを示す。
【0027】
また、遮蔽リブ40がカウルルーバ本体20に一体に形成されているので、カウルルーバ本体20の成形時に遮蔽リブ40も同時に成形される。すなわち、遮蔽リブ40をカウルルーバ本体20と別に形成してカウルルーバ本体20に接合する必要がない。その結果、遮蔽リブ40とカウルルーバ本体20に対して成形型が1つで済む。すなわち、遮蔽リブ40とカウルルーバ本体20の各々に対して型を設ける必要がない。また、遮蔽リブ40をカウルルーバ本体20に組み付ける工程も不要である。その結果、型費が安くなり、組み付け費も安くなるので、カウルルーバ10の製造コストを低減できる。
【0028】
遮蔽リブ40の前壁28および後壁25とのつながり部33に、たとえば遮蔽リブ40の上端部の前端部および/または後端部に、破断の起点となる切欠41が形成されている場合は、インパクタ90またはそれに相当する荷重の入力時に、遮蔽リブ40と前壁28および後壁25とのつながり部33が、切欠が無い場合に比べてより容易に破断し、歩行者保護性能が容易に満足される。
以上の作用、効果は本発明の全実施例に適用される。
【0029】
本発明の実施例1ではさらにつぎの作用および効果が得られる。
遮蔽リブ40が車両前後方向に非分割であるため、分割の場合のように前側リブと後側リブとを車両側面視でオーバラップさせる必要がなく、オーバラップ分の重量増加を伴わず、軽量化上有利である。
また、遮蔽リブ40が車両前後方向に非分割であるため、カウルルーバ本体20はつながり部33が破断するまでは車両左右方向両端部で凹部21の形状を容易に維持することができ、車両への組み付け時の取扱上有利となる。
【0030】
〔実施例2〕
本発明の実施例1で全実施例に適用可能とした部分は本発明の実施例2にも適用される。本発明の実施例2のカウルルーバ10はさらに以下の構成、作用および効果を有する。
【0031】
本発明の実施例2のカウルルーバ10では、図5および図6に示すように、カウルルーバ本体20が車両左右方向の一部にバッテリ脱着用の開口部20bを有する本体部20aと開口部20bを覆うように本体部20aに取り付けられるバッテリ脱着用のカバー20cとを有する。カバー20cはカウルルーバ本体20の一部を構成する。ただし、図6は遮蔽リブ40、40a、40bを除去した状態で示してある。カバー20cは係合爪20eを有し、本体部20aは係合孔20fを有する。カバー20cは係合爪20eを係合孔20fに差し込んで係合させることにより本体部20aに固定される。
【0032】
図5に示すように、カバー20cは前壁28と底壁26を有する。本体部20aは開口部20bにおいては前壁28と底壁26をもたない。本体部20aは開口部20b以外で前壁28と底壁26をもつ。カバー20cが開口部20bに取り付けられた時、カバー20cの前壁28と底壁26がカウルルーバ本体20の前壁28と底壁26を構成する。本体部20aの紙面の奥側にある前壁28および底壁26と、カバー20cの前壁28および底壁26とは、車両側面視で互いに重なり合う位置にあってもよいし、重なり合う位置になくてもよい。たとえば車両側面視の図5において、カバー20cの前壁28は本体部20aの前壁28より車両前後方向に後方にあり、カバー20cの底壁26は本体部20aの底壁26より上方にある。
【0033】
実施例2では、車両左右方向両端部のうちバッテリ脱着用のカバー20cがある方の端部において、遮蔽リブ40が車両前後方向に前側リブ40aと後側リブ40bとに分割されている。前側リブ40aはカバー20cに一体に形成されており、後側リブ40bは本体部20aに一体に形成されている。車両左右方向両端部のうちバッテリ脱着用のカバー20cがない方の端部では、遮蔽リブ40は前後に分割されず、実施例1の非分割遮蔽リブ構造がそのまま用いられる。
遮蔽リブ40は開口部20bより車両左右方向外側にある本体部部分20d(図6)に設けられる。開口部20bと反対側の本体部20aに設けられる遮蔽リブ40は車両前後方向に非分割の遮蔽リブである。
【0034】
前側リブ40aはカバー20cの前壁28の上部と底壁26のみでカバー20cとつながっており、カバー20cの前壁28の下部とはつながっていない。33はつながり部を示す。前側リブ40aとカバー20cの前壁28の下部との間には隙間32がある。
後側リブ40bは本体部20aの後壁25の上部と底壁26のみで本体部20aとつながっており、本体部20aの後壁25の下部とはつながっていない。33はつながり部を示す。後側リブ40bと本体部20aの後壁25の下部との間には隙間32がある。
【0035】
前側リブ40aの後部と後側リブ40bの前部とは車両側面視で互いにオーバラップしている。40cはオーバラップ部を示す。前側リブ40aの後部と後側リブ40bの前部とは上下方向視で互いに位置ずれしており、前側リブ40aの後部の側面と後側リブ40bの前部の側面とが接触するかまたは微小隙間をもって対向している。
【0036】
本発明の実施例2のカウルルーバ10ではつぎの作用および効果が得られる。
遮蔽リブ40が車両前後方向に前側リブ40aと後側リブ40bとに分割されているので、遮蔽リブ40が分割されない場合に比べて上方からの入力時にカウルルーバ本体20の前壁28および後壁25がより容易に屈曲変形できる。その結果、遮蔽リブ40の上部と前壁28および後壁25との破断がより容易に生じ、歩行者保護性能がより容易に満足される。
また、前側リブ40aの後部と後側リブ40bの前部とが車両側面視でオーバラップするので、遮蔽リブ40が分割されない場合とほぼ同程度に熱風遮断性能が維持される。
【0037】
10 カウルルーバ
20 カウルルーバ本体
21 凹部
25 後壁
26 底壁
28 前壁
33 遮蔽リブにおける底壁と前壁および後壁とのつながり部
40 遮蔽リブ
40a 前側リブ
40b 後側リブ
40c オーバラップ部
41 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方かつ上方に開いた凹部を有し車両左右方向に延びるカウルルーバ本体と、
該カウルルーバ本体の車両左右方向両端部に前記凹部を遮断するように設けられた遮蔽リブと、
を有するカウルルーバであって、
前記カウルルーバ本体は前記凹部の前後で車両左右方向に延びる前壁および後壁と凹部の下側で車両左右方向に延びる底壁とを有し、
前記遮蔽リブは前記カウルルーバ本体に一体に形成されており、
前記遮蔽リブは前記底壁と前記前壁および後壁の上部のみでつながっており前記前壁および後壁の下部では離れている、カウルルーバ。
【請求項2】
前記遮蔽リブが車両前後方向に前側リブと後側リブとに分割されており、前記前側リブの後部と前記後側リブの前部とは車両側面視でオーバラップしている請求項1記載のカウルルーバ。
【請求項3】
前記遮蔽リブにおける上端部の前端部および後端部の少なくとも何れか一方には、破断の起点となる切欠が形成されている請求項1または請求項2記載のカウルルーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−116294(P2012−116294A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266850(P2010−266850)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】