説明

カウンタウェイト重量検出装置

【課題】部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイトの固定作業に伴ってそのカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得することが可能なカウンタウェイト重量検出装置を提供する。
【解決手段】カウンタウェイト重量検出装置1は、クレーン100の上部旋回体104の後部に積層されたカウンタウェイト積層体106aに設けられ、その積層方向におけるカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を取得する情報取得部6と、カウンタウェイト積層体106aをその積層方向に貫通する第1締結部材2aに設けられ、カウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を情報取得部6に与える情報付与部4と、情報取得部6が取得したカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報に基づいてカウンタウェイト積層体106aの重量を求める重量導出部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタウェイト重量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラクレーン等の移動式クレーンでは、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体の後部にカウンタウェイトが積載される。カウンタウェイトは、複数用意されており、上部旋回体の後部に適当な数のカウンタウェイトを積層することによって、カウンタウェイトの総積載重量を調節するようになっている。そして、カウンタウェイトの積載重量によってクレーンの吊り能力が変わるため、カウンタウェイトの積載重量のデータを取得することが必要となる。このため、従来では、カウンタの積載重量のデータを取得するための様々な技術が実施されている。
【0003】
例えば、作業者が、上部旋回体の後部に複数のカウンタウェイトを積層してそれらのカウンタウェイト同士を互いに固定する作業を行った後、カウンタウェイトの積層数を端末で入力し、その入力されたデータに基づいてカウンタウェイトの積載重量を算出することが行われている。
【0004】
しかし、この場合には、作業者が誤入力を行えば、誤った積載重量が求められる虞がある。
【0005】
また、従来、各カウンタウェイトにコネクタがそれぞれ接続されており、カウンタウェイトを積載した後、そのカウンタウェイトに接続されているコネクタを検出装置のコネクタと接続することにより、検出装置が接続されたコネクタの数に基づいてカウンタウェイトの積層数を検出し、その検出結果からカウンタウェイトの積載重量を算出することが行われている。
【0006】
しかし、この場合には、各段のカウンタウェイト毎にコネクタの接続作業を行う必要があり、その接続作業は煩雑なものとなる。
【0007】
そこで、以上のような従来の技術の問題点を解消するために、上部旋回体の後部にカウンタウェイトを積載するだけで自動的にカウンタウェイトの積載重量が算出される検出装置が下記特許文献1に提案されている。
【0008】
この特許文献1に提案された検出装置は、クレーンの上部旋回体においてブームをワイヤーロープを介して支持するフレームの後脚に設けられた複数の近接スイッチを備えている。そして、この検出装置では、カウンタウェイトが上部旋回体の後部に積載される毎に対応する近接スイッチがそのカウンタウェイトの積載を検出し、その近接スイッチの検出データに基づいてカウンタウェイトの積層数を導出するとともに、カウンタウェイトの総積載重量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−217382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、上部旋回体に積載する可能性のあるカウンタウェイトの数に応じた数の近接スイッチを設ける必要があるため、部品点数が増大するという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイトの固定作業に伴ってそのカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得することが可能なカウンタウェイト重量検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上部旋回体と、その上部旋回体の後部に積層される複数のカウンタウェイトとを備えたクレーンに設けられ、前記上部旋回体の後部に積層された前記カウンタウェイトの総重量を検出するカウンタウェイト重量検出装置であって、前記上部旋回体の後部に積層された複数の前記カウンタウェイトからなるカウンタウェイト積層体をその積層方向に貫通し、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の一方側の端面に当接する当接部を有する第1締結部材と、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の他方側で前記第1締結部材と結合することにより、前記当接部との間で積層された前記カウンタウェイト同士をその積層方向において締結する第2締結部材と、前記カウンタウェイト積層体に設けられ、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を取得する情報取得部と、前記第1締結部材に設けられ、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を前記情報取得部に与える情報付与部と、前記情報取得部が取得した前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報に基づいて前記カウンタウェイト積層体の重量を求める重量導出部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
この請求項1に記載の発明によれば、上部旋回体の後部にカウンタウェイトを積層してそれらのカウンタウェイトを第1締結部材と第2締結部材で互いに固定するだけで、上部旋回体の後部に積層されたカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得することができる。
【0014】
具体的には、この請求項1に記載の発明では、上部旋回体の後部にカウンタウェイトが積層されかつそれらのカウンタウェイトが第1締結部材と第2締結部材で互いに固定されるときに、第1締結部材に設けられた情報付与部からカウンタウェイト積層体に設けられた情報取得部にカウンタウェイト積層体の高さに関する情報が自動的に与えられ、情報取得部が取得したカウンタウェイト積層体の高さに関する情報に基づいて重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求める。その結果、上部旋回体の後部に積層されたカウンタウェイトの固定作業に伴ってそのカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得される。
【0015】
また、この請求項1に記載の発明では、第1締結部材に設けられた情報付与部がカウンタウェイト積層体に設けられた情報取得部にカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を与えるため、1つの情報取得部でカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を取得することが可能である。そして、その1つの情報取得部が取得したカウンタウェイト積層体の高さに関する情報から重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求めることができるため、従来のように、積層される各段のカウンタウェイトに対応する検出装置を個別に設けてそれらの検出装置でカウンタウェイトの積層数を検出しなくても、カウンタウェイトの総積載重量を求めることができる。
【0016】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイトの固定作業に伴ってそのカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカウンタウェイト重量検出装置において、前記第1締結部材として、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の複数種の高さにそれぞれ対応する長さを有する複数の第1締結部材を具備し、前記情報付与部は、前記各第1締結部材にそれぞれ設けられ、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報として当該情報付与部が設けられた前記第1締結部材の長さに関する情報を前記情報取得部に与えることを特徴とするものである。
【0018】
カウンタウェイト積層体を積層方向に貫通する第1締結部材の長さは、カウンタウェイト積層体の高さに対応する。このため、この請求項2に記載の発明のように、カウンタウェイト積層体の各種高さに対応する長さの各第1締結部材に設けられた情報付与部が、その情報付与部が設けられた第1締結部材の長さに関する情報を情報取得部に与えれば、その情報取得部に与えられた第1締結部材の長さに関する情報をカウンタウェイト積層体の高さに関する情報として用いて重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求めることができる。すなわち、この発明では、情報取得部がカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を取得して、その情報から重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求める具体的な構成を得ることができる。
【0019】
請求項3に記載のカウンタウェイト重量検出装置は、請求項1又は2に記載のカウンタウェイト重量検出装置において、前記情報付与部は、その情報付与部が設けられた前記第1締結部材のうちの前記当接部に配設され、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を表示する表示部を有し、前記情報取得部は、前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面のうち前記表示部を検出可能な位置に設けられ、前記表示部が表示する前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を読み取る読取装置を有することを特徴とするものである。
【0020】
この請求項3に記載の発明によれば、カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面に設けられた読取装置は、カウンタウェイト積層体の積層方向における高さにかかわらず、第1締結部材のうち貫通穴からカウンタウェイト積層体の前記一方側に突出する部分に設けられた表示部からカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を読み取ることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のカウンタウェイト重量検出装置において、前記第1締結部材は、前記カウンタウェイト積層体に前記積層方向に貫通するように設けられた貫通穴に前記一方側から挿通され、前記情報付与部は、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報として前記第1締結部材のうち前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過して前記貫通穴に挿通される部分の長さに関する情報を前記情報取得部に与えることを特徴とするものである。
【0022】
第1締結部材のうちカウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過して貫通穴に挿通される部分の長さは、カウンタウェイト積層体の高さに対応する。このため、この請求項4に記載の発明のように、情報付与部が、第1締結部材のうちカウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過して貫通穴に挿通される部分の長さに関する情報を情報取得部に与えれば、その情報取得部に与えられた情報をカウンタウェイト積層体の高さに関する情報として用いて重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求めることができる。すなわち、この発明では、情報取得部がカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を取得して、その情報から重量導出部がカウンタウェイト積層体の重量を求める具体的な構成を得ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のカウンタウェイト重量検出装置において、前記情報付与部は、前記第1締結部材のうち前記貫通穴に挿通される部分にその挿通方向に沿って間隔をあけて配設された複数の標識からなり、前記情報取得部は、前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面に設けられ、前記複数の標識のうち前記第1締結部材が前記貫通穴に前記一方側から挿通される際に前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過する標識を検出する検出装置を有することを特徴とするものである。
【0024】
この請求項5に記載の発明によれば、カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面に設けられた検出装置は、そのカウンタウェイト積層体の積層方向における高さにかかわらず、第1締結部材に設けられた複数の標識のうち第1締結部材がカウンタウェイト積層体の貫通穴に前記一方側から挿通される際にカウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過する標識を検出することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカウンタウェイト重量検出装置において、前記第1締結部材が前記貫通穴に前記一方側から挿通される際に前記検出装置によって検出された前記標識の数を算出する算出部を備えることを特徴とするものである。
【0026】
この請求項6に記載の発明によれば、第1締結部材がカウンタウェイト積層体の貫通穴に一方側から挿通される際に検出装置によって検出された標識の数を算出して、その標識の数から第1締結部材のうち前記貫通穴に挿通される部分の長さの情報、すなわちカウンタウェイト積層体の高さに関する情報を求めることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイトの固定作業に伴ってそのカウンタウェイトの積載重量を自動的に取得することが可能なカウンタウェイト重量検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置が搭載されるクローラクレーンの概略的な側面図である。
【図2】第1実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置によって求められるカウンタウェイトの積載重量を用いてクレーン作業の実施又は不実施を決定する過負荷防止装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】カウンタウェイト積層体を後方から見た図である。
【図4】最上カウンタウェイトの上部の斜視図である。
【図5】図3に示したカウンタウェイト積層体のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図5中の第1締結部材を構成するボルトの頭部及び情報取得部近傍の部分を拡大して示す図である。
【図7】第1実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置を構成する第1締結部材のボルトの正面図である。
【図8】第1実施形態による第1締結部材のボルトの頭部近傍の部分を拡大して示す図である。
【図9】第1実施形態のカウンタウェイト重量検出装置によるカウンタウェイトの積載重量の導出プロセス及びその導出された積載重量を用いて過負荷防止装置がクレーン作業の実施許可と実施不許可を決定するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置が適用されたクレーンの最上カウンタウェイトの上部の斜視図である。
【図11】第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置が設けられたカウンタウェイトにおける図6に対応する図である。
【図12】第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置を構成する第1締結部材のボルトの正面図である。
【図13】第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置によって求められるカウンタウェイトの積載重量を用いてクレーン作業の実施又は不実施を決定する過負荷防止装置の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0030】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1の構成について説明する。
【0031】
本実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1は、例えば、図1に示すようなクローラクレーン100に設けられる。このクローラクレーン100は、クローラ式の下部走行体102と、その下部走行体102上に旋回自在に搭載された上部旋回体104と、その上部旋回体104の後部に積載される複数のカウンタウェイト106と、過負荷防止装置108(図2参照)とを備えている。
【0032】
上部旋回体104には、ブーム110が起伏自在に設けられており、このブーム110の先端からフック用ロープ111を介してフック装置112により吊荷が吊られるようになっている。フック用ロープ111は、上部旋回体104に搭載された図略の巻上ウィンチによって巻き取り又は繰り出しされ、それによって吊荷の昇降が行われるようになっている。また、ブーム110の先端部には、ガイケーブル114の一端が接続されており、そのガイケーブル114の他端には、上部スプレッダ115が接続されている。そして、上部旋回体104には、後部にガントリ116が立設されているとともに、そのガントリ116の頂部に下部スプレッダ117が設けられている。この下部スプレッダ117の図略のシーブと上部スプレッダ115の図略のシーブとの間にブーム起伏用ロープ118が掛け回されている。そして、そのブーム起伏用ロープ118が上部旋回体104に搭載された図略のブーム起伏ウィンチによって巻き取り又は繰り出しされることにより、前記両スプレッダ115,117間の間隔が拡縮し、ブーム110が起伏されるようになっている。
【0033】
カウンタウェイト106は、上部旋回体104の後部に積層され、ブーム110による吊り荷重とのバランスを取ってクレーン100の車体の安定性を確保するためのものである。上部旋回体104の後部に積層される複数のカウンタウェイト106によって、カウンタウェイト積層体106aが構成される。上部旋回体104の後部に積載されるカウンタウェイト106の積載重量によってクレーン100の吊り能力が変わってくる。なお、上部旋回体104の後部に積層される複数段のカウンタウェイト106のうち最上に位置するカウンタウェイト106である最上カウンタウェイト106bは決まっていて、カウンタウェイト106の積層数が変更される場合や、カウンタウェイト106の積層の組み合わせが変更される場合でも、その決まった最上カウンタウェイト106bが常に最上に積載される。
【0034】
最上カウンタウェイト106b及びその1段下に配置されるカウンタウェイト106は、図3に示すように、左右に分かれて配設され、それよりも下段の各カウンタウェイト106は、それぞれ1枚で構成されている。最上カウンタウェイト106bとその1段下のカウンタウェイト106とは、等しい高さを有している。また、それら最上カウンタウェイト106b及びその1段下のカウンタウェイト106よりも下段の各カウンタウェイト106は、等しい高さを有しており、その高さは、最上カウンタウェイト106b及びその1段下のカウンタウェイト106の高さに比べて小さくなっている。
【0035】
左右の各最上カウンタウェイト106bには、上から見てその最上カウンタウェイト106bの中心近傍の位置に貫通穴106c(図5参照)がそれぞれ設けられている。この貫通穴106cは、最上カウンタウェイト106bを高さ方向(上下方向)に貫通している。また、最上カウンタウェイト106bよりも下に積層される各カウンタウェイト106には、最上カウンタウェイト106bの貫通穴106cに対応する位置に高さ方向(上下方向)に貫通する貫通穴106cがそれぞれ設けられている。すなわち、各カウンタウェイト106が積層された状態で、全てのカウンタウェイト106の貫通穴106cの位置が一致してそれらカウンタウェイト106の貫通穴106cが上から下まで連通する。これにより、カウンタウェイト積層体106aを積層方向の全領域において貫通する貫通穴106dが形成される。
【0036】
過負荷防止装置108は、ブーム110に過大な吊り荷重が掛かってクレーン100の転倒等が生じるのを防止するための装置である。この過負荷防止装置108は、図2に示すように、コントローラ120を有しており、このコントローラ120は、巻上げウィンチ油圧駆動部122及びブーム起伏ウィンチ油圧駆動部124に作業停止信号を出力することにより、それらの油圧駆動部122,124を駆動停止させ、クレーン作業を実施不能にする一方、作業停止信号の出力を解除することによって、前記各油圧駆動部122,124を駆動可能とし、クレーン作業を実施可能にする。このコントローラ120は、各種演算を行う演算部120aと、各種データ及び設定値等を記憶する記憶部8とを備えている。なお、この記憶部8は、本実施形態のカウンタウェイト重量検出装置1の記憶部としても用いられている。
【0037】
そして、本実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1は、上記のようなクレーン100に設けられ、上部旋回体104の後部に積層されるカウンタウェイト106の総重量(積載重量)を検出するものである。
【0038】
具体的には、このカウンタウェイト重量検出装置1は、第1締結部材2aと、第2締結部材2bと、情報付与部4と、情報取得部6と、記憶部8(図2参照)と、重量導出部10(図2参照)とを備えている。
【0039】
第1締結部材2a及び第2締結部材2bは、上部旋回体104の後部に積層された複数のカウンタウェイト106をその積層方向(上下方向)において互いに締結するためのものである。
【0040】
具体的には、第1締結部材2aは、カウンタウェイト積層体106aをその積層方向(上下方向)に貫通する。この第1締結部材2aは、カウンタウェイト積層体106aに設けられた貫通穴106dに上から挿通されるボルトであり、その貫通穴106dへの挿通によりカウンタウェイト積層体106aをその積層方向に貫通する。
【0041】
第1締結部材2aを構成するボルトは、図7に示すように、挿通部2dと、頭部2eと、取手部2fと、螺子部2gとを有する。
【0042】
挿通部2dは、カウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに上から挿通される部分であり、一方向に延びる丸棒状に形成されている。この挿通部2dは、前記積層方向におけるカウンタウェイト積層体106aの高さに略等しい長さを有する。
【0043】
頭部2eは、挿通部2dの軸方向の一端部(上端部)に設けられており、挿通部2dの軸方向に垂直な断面が矩形状となるように形成されている。この頭部2eは、本発明の当接部の概念に含まれるものであり、挿通部2dがカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通されたときにカウンタウェイト積層体106aの積層方向における一方側の端面である上面(最上カウンタウェイト106bの上面)に当接する。また、頭部2eは、挿通部2dがカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通された状態で図4〜図6に示すようにカウンタウェイト積層体106aの上面から突出するように配置される。
【0044】
取手部2fは、頭部2eの上面に立設されており、ボルトの挿通部2dをカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通させる際に把持する部分である。
【0045】
螺子部2gは、挿通部2dの軸方向の他端部(下端部)に設けられている。前記挿通部2dが前記カウンタウェイト積層体106aの高さに略等しい長さを有することから、挿通部2dがカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに上から挿通されたときには、螺子部2gは、カウンタウェイト積層体106aの下面から突出する。
【0046】
第2締結部材2bは、カウンタウェイト積層体106aの下側で第1締結部材2aと結合することにより、前記頭部2eとの間で積層されたカウンタウェイト106同士をその積層方向において締結する。具体的には、この第2締結部材2bは、カウンタウェイト積層体106aの下側で前記螺子部2gと螺合するナットであり、その螺子部2gと螺合して締め込まれることによりカウンタウェイト106をその積層方向において締結する。
【0047】
そして、この第1実施形態では、前記第1締結部材2aを構成するボルトとして、前記積層方向におけるカウンタウェイト積層体106aの複数種の高さにそれぞれ対応する長さを有する複数のものが用意されている。すなわち、カウンタウェイト106の積層数が異なると、カウンタウェイト積層体106aの高さが異なるので、その積層されたカウンタウェイト106を締結するために必要な第1締結部材2aのボルトの長さ(挿通部2dの長さ)が異なる。このため、カウンタウェイト106の積層高さが変わったとしても、その積層されたカウンタウェイト106を締結できるように、各積層高さにそれぞれ略等しい長さの挿通部2dを有するボルトが第1締結部材2aとして用意されている。作業者は、カウンタウェイト積層体106aの高さに応じて適切な長さのボルトをカウンタウェイト106の締結のために選択する。
【0048】
情報付与部4は、前記積層方向におけるカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を情報取得部6に与えるものである。この第1実施形態では、情報付与部4は、カウンタウェイト積層体106aの複数種の高さにそれぞれ対応する長さを有する前記各第1締結部材2aにそれぞれ設けられ、前記積層方向におけるカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報として、当該情報付与部4が設けられた第1締結部材2aのボルトの軸方向の長さに関する情報(以下、ボルトの長さ情報という)を情報付与部4に与える。そして、この情報付与部4は、カウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報として前記ボルトの長さ情報を表示する表示部4a(図8参照)からなる。この表示部4aは、バーコードからなり、第1締結部材2aのボルトの頭部2eの四方の側面のうちの一側面に配設されている。第1締結部材2aのボルトは、カウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通される際、その頭部2eのうち表示部4aのバーコードが付された側面が後述する読取装置6aに対して向き合うように配置される。
【0049】
情報取得部6は、情報付与部4が与えるカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報、すなわち、第1締結部材2aのボルトの長さ情報を取得するものである。この情報取得部6は、カウンタウェイト積層体106aの上面(最上カウンタウェイト106bの上面)のうち第1締結部材2aのボルトが貫通穴106cに挿通されたときにそのボルトの頭部2eに付された表示部4aのバーコードを検出可能な位置に設けられた読取装置6aからなる。この読取装置6aは、表示部4aのバーコードが表示する第1締結部材2aのボルトの長さ情報を読み取るものであり、前記表示部4aのバーコードを読み取るバーコード読み取りセンサからなる読取器6b(図6参照)と、その読取器6bを保持するホルダ6cとを有する。
【0050】
ホルダ6cは、カウンタウェイト積層体106aの上面(最上カウンタウェイト106bの上面)のうち貫通穴106dに隣接した位置に設けられており、その貫通穴106dに挿通されたボルトのうち頭部2eの情報付与部4が付された側面に対してバーコードを読み取る読取器6bの検出部6dが向き合うようにその読取器6bを保持する。
【0051】
読取器6bは、表示部4aのバーコードから読み取った情報を重量導出部10に送信するようになっている。
【0052】
記憶部8は、図2に示すように、前記過負荷防止装置108のコントローラ120に組み込まれており、第1締結部材2aのボルトの長さ情報に対応するカウンタウェイト積層体106aの重量のデータが格納されたデータテーブルを記憶している。具体的には、カウンタウェイト106の積層数毎にカウンタウェイト積層体106aの高さ及びそのカウンタウェイト積層体106aの締結に用いるボルトの長さが変わるため、カウンタウェイト106の積層数と、これらのカウンタウェイト106の総積載重量と、これらのカウンタウェイト106の締結に必要なボルトの長さとの関係が予め調べられ、使用するボルトの長さ情報とカウンタウェイト106の積載重量とが関連付けられて前記データテーブルが作成される。そして、その作成されたデータテーブルが、予め記憶部8に記憶されている。
【0053】
重量導出部10は、前記過負荷防止装置108のコントローラ120の演算部120aに組み込まれている。この重量導出部10は、情報取得部6が取得したカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報、すなわち、読取器6bが読み取ったボルトの長さ情報に基づいてカウンタウェイト積層体106aの重量を求める。具体的には、重量導出部10は、読取器6bから送信されたボルトの長さ情報に応じたカウンタウェイト積層体106aの重量を記憶部8に記憶された前記データテーブルから導出する。
【0054】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、この第1実施形態のカウンタウェイト重量検出装置1によるカウンタウェイト106の積載重量の導出プロセス及びその検出された積載重量を用いて過負荷防止装置108がクレーン100のクレーン作業の実施許可と実施不許可を決定するプロセスについて説明する。
【0055】
まず、作業者が、上部旋回体104の後部にカウンタウェイト106を積層し、その積層高さに応じた長さの第1締結部材2aのボルトを選択してそのボルトの挿通部2dをカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに上から挿通する。この際、ボルトの頭部2eに付された表示部4aのバーコードが読取器6bの検出部6dに向き合うように、ボルトの挿通部2dを貫通穴106dに挿通する。そして、カウンタウェイト積層体106aの下面から突出するボルトの螺子部2gに第2締結部材2bのナットを螺合させてそのナットを締め込むことにより、積層したカウンタウェイト106をその積層方向において締結する。なお、過負荷防止装置108のコントローラ120は、作業停止信号を出力しており、それによって、クレーン100は、クレーン作業を実施できない状態となっている。
【0056】
そして、上記のボルトとナットによるカウンタウェイト106の締結(固定)が行われると、情報取得部6は、情報付与部4が与えるカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を取得する(ステップS1)。具体的には、情報取得部6の読取器6bは、ボルトの頭部2eに付された表示部4aのバーコードを検出してそのバーコードが表示するボルトの長さ情報を読み取る。そして、読取器6bは、読み取った情報を重量導出部10へ送信する。
【0057】
次に、重量導出部10は、読取器6bから送信された情報に基づいて、記憶部8に記憶されたデータテーブルからカウンタウェイト106の積載重量を導出する(ステップS3)。このようにして、この第1実施形態のカウンタウェイト重量検出装置1により、上部旋回体104の後部に積層されたカウンタウェイト106の積載重量が導出される。
【0058】
次に、オペレータが図略の端末によりコード入力を行い、そのコードに含まれるカウンタウェイト106の種類及び設定積載数から過負荷防止装置108の演算部120aがカウンタウェイト106の設定積載重量を求める(ステップS5)。
【0059】
次に、過負荷防止装置108のコントローラ120は、カウンタウェイト106の実際の積載重量(ステップS3で導出された積載重量)とカウンタウェイト106の設定積載重量(ステップS5で求めた積載重量)とが等しいか否かを判断する(ステップS7)。
【0060】
ここで、コントローラ120は、カウンタウェイト106の実際の積載重量と設定積載重量とが等しいと判断した場合には、作業停止信号の出力を解除する(ステップS9)。これにより、クレーン100では、クレーン作業の実施が許可され、巻上げウィンチ油圧駆動部122及びブーム起伏ウィンチ油圧駆動部124が駆動可能となり、クレーン作業が実施可能となる。
【0061】
一方、コントローラ120は、前記ステップS7でカウンタウェイト106の実際の積載重量と設定積載重量とが等しくないと判断した場合には、カウンタウェイト106の実際の積載重量が設定積載重量に一致していないことを上部旋回体104の運転室119内に設置された表示装置126(図2参照)に表示させることによってオペレータに通知すし(ステップS11)、作業停止信号の出力を維持する(ステップS13)。この場合には、クレーン100によるクレーン作業の実施が許可されず、クレーン作業を行うことができない。
【0062】
以上のようにして、カウンタウェイト重量検出装置1によるカウンタウェイト106の積載重量の導出及びその導出された積載重量を用いた過負荷防止装置108によるクレーン作業の実施許可又は実施不許可の決定が行われる。
【0063】
以上説明したように、この第1実施形態では、上部旋回体104の後部にカウンタウェイト106が積層され、それらのカウンタウェイト106が第1締結部材2aと第2締結部材2bで固定されるときに、第1締結部材2aのボルトの頭部2eに設けられた情報付与部4の表示部4aからカウンタウェイト積層体106aの上面に設けられた情報取得部6の読取器6bにカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報(ボルトの長さ情報)が自動的に与えられ、情報取得部6が取得した情報に基づいて重量導出部10がカウンタウェイト積層体106aの重量を求める。その結果、上部旋回体104の後部に積層されたカウンタウェイト106の固定作業に伴ってそのカウンタウェイト106の積載重量が自動的に取得される。
【0064】
また、この第1実施形態では、第1締結部材2aのボルトの頭部2eに設けられた情報付与部4がカウンタウェイト積層体106aの上面に設けられた情報取得部6の読取器6bにカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報(ボルトの長さ情報)を与えるため、1つの情報取得部6でカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を取得することが可能である。そして、その1つの情報取得部6が取得した情報から重量導出部10がカウンタウェイト積層体106aの重量を求めることができるため、従来のように、積層される各段のカウンタウェイトに対応する検出装置を個別に設けてそれらの検出装置でカウンタウェイトの積層数を検出しなくても、カウンタウェイト106の総積載重量を求めることができる。
【0065】
従って、この第1実施形態によれば、部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイト106の固定作業に伴ってそのカウンタウェイト106の積載重量を自動的に取得することができる。
【0066】
また、この第1実施形態では、情報付与部4の表示部4aが第1締結部材2aのボルトのうちカウンタウェイト積層体106aの上面から突出する頭部2eに設けられ、情報取得部6の読取装置6aがカウンタウェイト積層体106aの上面のうち表示部4aを検出可能な位置に設けられているため、読取装置6aの読取器6bは、カウンタウェイト積層体106aの積層方向における高さにかかわらず、表示部4aからカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報(ボルトの長さ情報)を読み取ることができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、図10〜図13を参照して、本発明の第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1の構成について説明する。
【0068】
この第2実施形態のカウンタウェイト重量検出装置1は、上記第1実施形態と異なり、情報付与部14が、カウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報として第1締結部材2aのボルトのうちカウンタウェイト積層体106aの上面の位置を通過して貫通穴106dに挿通される部分(挿通部2d)の長さに関する情報を情報取得部16に与える。
【0069】
具体的には、情報付与部14は、第1締結部材2aの挿通部2dに貫通穴106dへの挿通方向に沿って一定の間隔をあけて配設された複数の標識14a(図12参照)からなる。各標識14aは、挿通部2dの外面に形成された凹部からなる。この凹部が挿通部2dの長手方向(軸方向)に沿って一定間隔置きに設けられている。そして、この第2実施形態でも、第1締結部材2aとして、カウンタウェイト積層体106aの積層方向における複数種の高さにそれぞれ対応する長さを有する複数のボルトが用意されている。その各ボルトの挿通部2dには、それぞれ異なる数の前記標識14a(凹部)が設けられている。
【0070】
情報取得部16(図10及び図11参照)は、第1締結部材2aの挿通部2dに設けられた複数の標識14aのうち挿通部2dが貫通穴106dに上側から挿通される際にカウンタウェイト積層体106aの上面の位置を通過する標識14aを検出するための検出装置16aからなる。この検出装置16aは、カウンタウェイト積層体106aの上面のうち上記第1実施形態の読取装置6aが設けられた位置と同様の位置に設けられている。
【0071】
検出装置16aは、図11に示すように、近接センサからなる検出器16bと、その検出器16bを保持するホルダ6cとを有する。検出器16bは、第1締結部材2aのボルトの挿通部2dがカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通される際、その挿通部2dに設けられた標識14aを検出可能な姿勢でホルダ6cに保持されている。換言すれば、挿通部2dは、その標識14aが設けられた面が検出器16bの検出部16dに向き合うようにして貫通穴106dに挿通される。
【0072】
検出器16bは、当該検出器16bの検出部16dとボルトの挿通部2dの表面との距離が一定未満の場合にのみオンの信号を後述の算出部20へ出力する。すなわち、検出器16bは、その検出部16dに対して挿通部2dのうち前記凹部以外の面が対向しているときにはオンの信号を算出部20へ出力し、検出部16dに対して前記凹部が対向しているときにはその信号の出力が停止する。
【0073】
そして、この第2実施形態では、カウンタウェイト重量検出装置1は、第1締結部材2aの挿通部2dが貫通穴106dに上側から挿通される際に検出器16bによって検出された標識14aの数を算出する算出部20(図13参照)を備えている。この算出部20は、過負荷防止装置108のコントローラ120の演算部120aに組み込まれている。算出部20は、検出器16bから送られてくるオンの信号の回数を計測することによって検出器16bが検出した標識14aの数を算出する。前記ボルトの挿通部2dの長さによってその挿通部2dに設けられた標識14a(凹部)の数は異なるため、検出器16bが検出した標識14aの数を算出することによって挿通部2dの長さに関する情報が得られるようになっている。
【0074】
そして、この第2実施形態では、検出器16bが検出する標識14aの数とカウンタウェイト積層体106aの重量との相関関係を示すデータテーブルが予め作成されて記憶部8に記憶されており、重量導出部10は、算出部20が算出した検出器16bによる標識14aの検出数に基づいてこのデータテーブルからカウンタウェイト積層体106aの重量を求める。
【0075】
この第2実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1の上記以外の構成は、上記第1実施形態によるカウンタウェイト重量検出装置1の構成と同様である。
【0076】
以上説明したように、この第2実施形態では、上部旋回体104の後部に積層されたカウンタウェイト106の固定のために第1締結部材2aのボルトをカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに挿通する際、ボルトの挿通部2dに設けられた複数の標識14aがカウンタウェイト積層体106aの上面に設けられた情報取得部16の検出器16bにボルトの挿通部2dの長さに関する情報、すなわちカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を与えるため、1つの情報取得部16でカウンタウェイト積層体106aの高さに関する情報を取得して、その情報から重量導出部10がカウンタウェイト積層体106aの重量を求めることができる。このため、この第2実施形態でも、上記第1実施形態と同様、部品点数の増大を防ぎつつ、カウンタウェイト106の固定作業に伴ってそのカウンタウェイト106の積載重量を自動的に取得することができる。
【0077】
また、この第2実施形態では、情報付与部14の複数の標識14aが第1締結部材2aの挿通部2dに設けられ、情報取得部16検出装置16aがカウンタウェイト積層体106aの上面に設けられているため、検出装置16aは、カウンタウェイト積層体106aの積層方向における高さにかかわらず、挿通部2dに設けられた複数の標識14aのうちその挿通部2dがカウンタウェイト積層体106aの貫通穴106dに上側から挿通される際にカウンタウェイト積層体106aの上面の位置を通過する標識14aを検出することができる。
【0078】
この第2実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
【0079】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0080】
例えば、第1締結部材は、ボルトに限定されない。例えば、第1締結部材は、カウンタウェイト積層体の貫通穴に挿通されるピンであってもよい。そして、そのピンのうちカウンタウェイト積層体の上面から突出する部位にそのピンの長さ情報を情報取得部に与える情報付与部を設けたり、そのピンのうちカウンタウェイト積層体の貫通穴に挿通される部分に長さ方向に沿って情報付与部を構成する複数の標識を間隔をあけて設けたりしてもよい。
【0081】
また、第1締結部材のうちカウンタウェイト積層体の上面から突出する部分に設ける表示部は、カウンタウェイト積層体の高さに関する情報(第1締結部材の長さ情報)を表示できるものであればバーコードに限定されない。そして、その表示部の表示する情報を読み取る読取器としては、表示部の形態に合わせてその表示部が表示する情報を読み取ることができるものが用いられる。
【0082】
また、第1締結部材のボルトをカウンタウェイト積層体の貫通穴に下方から挿通し、カウンタウェイト積層体の上側でそのボルトの螺子部に対して第2締結部材のナットが螺合してもよい。この場合には、情報取得部の読取装置又は検出装置は、カウンタウェイト積層体の下面に設けられる。そして、読取装置又は検出装置が設けられる最下段のカウンタウェイトは常に同じものが用いられる。
【0083】
また、第1締結部材として用いるボルトは、頭部付きのボルトに限定されない。すなわち、頭部なしのボルトに本発明の当接部としてのナットを螺合させたものを第1締結部材として用いてもよい。
【0084】
また、上記第2実施形態において、カウンタウェイトの最大積層高さよりも大きい長さを有し、その長手方向全体にねじ溝が形成されたボルトに本発明の当接部としてのナットを螺合させたものを第1締結部材として用いてもよい。この場合には、カウンタウェイト積層体の高さに応じてボルトの長さ方向における当接部としてのナットの位置を変更することにより、カウンタウェイト積層体の高さ(カウンタウェイトの積層数)が変わった場合でも1つの第1締結部材でその積層高さに対応した長さの挿通部を形成することができる。すなわち、この構成によれば、1つの第1締結部材でカウンタウェイト積層体の各種高さに全て対応することができる。
【0085】
また、第1締結部材の挿通部に設ける情報付与部を構成する標識は、上記のような凹部に限定されない。
【0086】
また、本発明のカウンタウェイト重量検出装置が適用されるクレーンは、クローラクレーンに限定されない。カウンタウェイトが積載されるクレーンであれば、どのようなクレーンであっても、本発明のカウンタウェイト重量検出装置を適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 カウンタウェイト重量検出装置
2a 第1締結部材
2b 第2締結部材
2e 頭部(当接部)
4、14 情報付与部
4a 表示部
6、16 情報取得部
6a 読取装置
10 重量導出部
14a 標識
16a 検出装置
20 算出部
100 クレーン
104 上部旋回体
106 カウンタウェイト
106a カウンタウェイト積層体
106d 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体と、その上部旋回体の後部に積層される複数のカウンタウェイトとを備えたクレーンに設けられ、前記上部旋回体の後部に積層された前記カウンタウェイトの総重量を検出するカウンタウェイト重量検出装置であって、
前記上部旋回体の後部に積層された複数の前記カウンタウェイトからなるカウンタウェイト積層体をその積層方向に貫通し、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の一方側の端面に当接する当接部を有する第1締結部材と、
前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の他方側で前記第1締結部材と結合することにより、前記当接部との間で積層された前記カウンタウェイト同士をその積層方向において締結する第2締結部材と、
前記カウンタウェイト積層体に設けられ、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を取得する情報取得部と、
前記第1締結部材に設けられ、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を前記情報取得部に与える情報付与部と、
前記情報取得部が取得した前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報に基づいて前記カウンタウェイト積層体の重量を求める重量導出部とを備えた、カウンタウェイト重量検出装置。
【請求項2】
前記第1締結部材として、前記積層方向における前記カウンタウェイト積層体の複数種の高さにそれぞれ対応する長さを有する複数の第1締結部材を具備し、
前記情報付与部は、前記各第1締結部材にそれぞれ設けられ、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報として当該情報付与部が設けられた前記第1締結部材の長さに関する情報を前記情報取得部に与える、請求項1に記載のカウンタウェイト重量検出装置。
【請求項3】
前記情報付与部は、その情報付与部が設けられた前記第1締結部材のうちの前記当接部に配設され、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を表示する表示部を有し、
前記情報取得部は、前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面のうち前記表示部を検出可能な位置に設けられ、前記表示部が表示する前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報を読み取る読取装置を有する、請求項1又は2に記載のカウンタウェイト重量検出装置。
【請求項4】
前記第1締結部材は、前記カウンタウェイト積層体に前記積層方向に貫通するように設けられた貫通穴に前記一方側から挿通され、
前記情報付与部は、前記カウンタウェイト積層体の高さに関する情報として前記第1締結部材のうち前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過して前記貫通穴に挿通される部分の長さに関する情報を前記情報取得部に与える、請求項1に記載のカウンタウェイト重量検出装置。
【請求項5】
前記情報付与部は、前記第1締結部材のうち前記貫通穴に挿通される部分にその挿通方向に沿って間隔をあけて配設された複数の標識からなり、
前記情報取得部は、前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面に設けられ、前記複数の標識のうち前記第1締結部材が前記貫通穴に前記一方側から挿通される際に前記カウンタウェイト積層体の前記一方側の端面の位置を通過する標識を検出する検出装置を有する、請求項4に記載のカウンタウェイト重量検出装置。
【請求項6】
前記第1締結部材が前記貫通穴に前記一方側から挿通される際に前記検出装置によって検出された前記標識の数を算出する算出部を備えた、請求項5に記載のカウンタウェイト重量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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