説明

カチオン性アゾモノマーまたは対称性ダイマー、これらの調製、これを含む組成物

【課題】ヒトのケラチン物質、とりわけ繊維の染色のための直接染料として有用であり、茶色などの自然な着色を得ることを可能にするが、様々な染料の混合物の使用が不要であり、従来品に比べて迅速性が改善された染色化合物を提供する。
【解決手段】下式(I)及び(II)


の化合物及びその合成方法に関する。これはまた、前記化合物をカチオン性直接染料として含む染色組成物、及びこれらの組成物を使用するケラチン繊維、とりわけ人のケラチン繊維の染色方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマーもしくは対称性ダイマーの形態のカチオン性アゾ化合物またはそれらの付加塩、並びにこれらの調製方法に関する。これはまた、前記化合物をカチオン性直接染料として含む染色組成物、並びにケラチン繊維、特にこれら組成物を使用するヒトのケラチン繊維の染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、とりわけケラチン物質、特にヒトのケラチン物質の染色に関し、とりわけヒトのケラチン繊維の染色に関する。この用語は好ましくは髪を示す。
【0003】
当初より、髪を染色するしないによらず、髪の色を変化させようと試みがなされているが、ほとんどの場合、所望の色は自然な色合いの範囲にとどまっている。
【0004】
いくつかのタイプの染色が存在し、その中にはパーマネント染色(または酸化染色)及び、前記繊維への明色化効果のあるなしによらない直接染色(または準パーマネント染色)がある。
【0005】
酸化染色の分野では、使用される化合物は酸化染色前駆体、とりわけ任意に1つ以上のカップラーと組み合わせられる酸化ベースである。これらの化合物は無色の物質もしくは僅かに有色の物質であり、酸化剤の存在下での酸化縮合処置によって繊維を染色する化合物を生成する。
【0006】
準パーマネント染色の分野では、繊維に適用された組成物は、一般的に、着色化合物もしくは有色化合物である少なくとも1つの直接染料を含み、更に着色と共に明色化効果を得ることが所望ならば、少なくとも1つの酸化剤を任意に含んでも良い。
【0007】
遭遇する主な問題の一つは、こうした着色を達成するためには、染料を、染料の性質とそのそれぞれの割合との両方に関して正確な混合物として使用する必要があるという事実である。
【0008】
染色直後の結果が十分である一方で、しかしながら、経時的に変化する色についての問題がある。これは、混合物として使用される染料が、繊維に対して全て同等の親和性を有するわけではなく、これらの相違が繊維の敏感化状態によっておそらくは更に増幅されるためであろう。これらは、とりわけ紫外線などの外的要因に対しても、シャンプーなどの前記繊維に使用される処理に対しても、同等の耐性をもってはいない。このことはしばしば、存在する染料の1つ以上が解離することによる少なからず著しい色の変化をもたらす。
【0009】
存在する直接染料は、それ自体で自然な着色を得ることを可能にする。これらの直接染料の中で、ベーシックブラウン16染料(カラーインデックス12250)またはベーシックブラウン17染料(カラーインデックス12251)を挙げることができる。
【0010】
問題は、これらの染料がシャンプーに対して穏やかな耐性を示すのみであることである。
【特許文献1】特許FR2586913号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の目的は、ヒトのケラチン物質、とりわけ繊維の染色のための直接染料として有用である化合物であって、例えば茶色などの自然な着色を得ることを可能にするが、様々な染料の混合物の使用が不要であり、且つ上述のベーシックブラウン16及び17染料に比べてその迅速性が改善されたものを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの、また更なる目的は、本発明によって達成されるが、その第一の主題は然るに下式(I)及び(II):
【化1】

[式中、
R1、R2、及びR3は同一または相違してよく、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、無置換であるかまたは
−ヒドロキシル基;
−直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
−アミノ基;
−同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基
で置換されており、
R1、R2、またはR3基の二つが、酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含み、且つ任意に置換されている、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環を任意に形成可能であり;
R4、R'4、及びR5は同一または相違してよく、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素;
・ヒドロキシル基;
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・下記:
−ヒドロキシル基;
−アミノ基;
−同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基;
−置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
から選択されるから選択される、一つまたは二つの基で置換されたアミノ基;
・−SO2NHR基であって、Rは水素原子、または任意に一つ以上のヒドロキシル基で置換されたC1-C4アルキル基、アミノ基、または同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくは直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基、
二つの隣接する炭素原子によって担持される二つの基R5は、各々が結合する炭素原子と共に任意に置換された6員の芳香環を形成することも可能であり;
R6、R'6、及びR7は、同一もしくは相違し、
・水素原子;
・無置換の、あるいは、ヒドロキシル基、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、アミノ基、または同一または相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基で置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C8アルキル基であって;酸素及び窒素から選択されるヘテロ原子によって、または好ましくはCOもしくはSO2などのヘテロ原子を含む基によって介入可能であり;
・R'6及びR'7基が、酸素と窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和または不飽和の5員もしくは6員の複素環を任意に形成することが可能であり;前記複素環は任意に置換されており;
R7は下記:
【化2】

より選択される基を表し、
R8は下記の基:
【化3】

を表し、
R1、R2、R3、R4、R'4、R5、R6、R'6、及びR'7は、式(a)、(b)、及び(c)において上記と同様の意味を有し;
R9及びR10は同一または相違して良く、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のアミノ、ヒドロキシル、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、またはピリジニウム基から選択される同一もしくは相違して良い一つ以上の基で置換されたアミノ基、あるいは同一もしくは相違して良い一つ以上の直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
・R9及びR10は、同一もしくは相違してよく、同時には塩素もしくはフッ素原子を表すことができず;
Xは窒素原子、-CR11を表し;
R11は下記:
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素;
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基、及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のアミノ基で任意に置換された直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基、あるいは、同一もしくは相違して良い、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基から選択される、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
L1は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、直鎖状、分枝状、もしくは環状の飽和もしくは不飽和のC2-C20炭化水素ベースの鎖を表し、これは一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の芳香族もしくは非芳香族の置換もしくは無置換の複素環もしくは環によって任意に介入されており;
L2は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、
・飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状、もしくは環状のC1-C20炭化水素ベースの鎖であって、一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の任意に置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって任意に介入もしくは終端されたもの;
・芳香族もしくは非芳香族の(複素)環基であって、任意に少なくとも1つのヘテロ原子を含む基、好ましくはCOもしくはSO2基によって窒素原子に結合したもの;
を表し;
L3は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、直鎖状、分枝状、もしくは環状の飽和もしくは不飽和のC2-C20炭化水素ベースの鎖を表し、これは一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の任意に置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって任意に介入されており;
係数nは2以下であり;
係数n’は3以下であり;
係数mは4以下であり;
係数rは0または1であり;
係数sは0または1であり;
Anは、式(I)及び(II)の化合物またはその塩の電気的中性を担保するための、化粧品として許容される一つ以上のカウンターイオンを表す]
の化合物及びその付加塩である。
【0013】
本発明の主題はまた、こうした化合物の合成方法である。
本発明は更に、化粧品として許容される媒質中に式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物またはこれらの付加塩を直接染料として含む染色組成物に関する。
【0014】
本発明の主題は、更に、ケラチン繊維の染色方法であって、上述の染色組成物が乾燥したもしくは湿った繊維に適用され、最終的な濯ぎを行うかまたは行わない方法である。
【0015】
しかしながら、本発明の別の特徴及び利点は、以降の詳細な説明及び実施例を読むにつれてより明らかになるであろう。
【0016】
これに続く本文中では、特記のない限り、数値範囲を限定する限界は、子の範囲内であると理解される。
【0017】
更にまた、式(I)(式中R7は式(b)によって表される)のダイマーは、以下の場合に「対称性」であると呼称される。
【0018】
sが1であり、同一でも相違しても良い式(I)のR1、R2、R3、R4、R’4、R5、及びR6と、同一でも相違しても良い式(b)のR1、R2、R3、R4、R’4、R5、及びR6とが、一致し、且つ式(I)及び式(b)において同等の位置に配置されている。
【0019】
sが0であり、同一でも相違しても良い式(I)のR1、R2、R3、R4、R’4、及びR5と、同一でも相違しても良い式(b)のR1、R2、R3、R4、R’4、及びR5とが、一致し、且つ式(I)及び式(b)において同等の位置に配置されている。
【0020】
式(II)(式中R8は式(c)によって表される)のダイマーは、同一でも相違しても良い式(II)のR1、R2、R3、R4、R’4、R5、R’6、及びR’7と、同一でも相違しても良い式(c)のR1、R2、R3、R4、R’4、R5、R’6、及びR’7が、一致し、且つ式(II)及び式(c)において同等の位置に配置されている場合に「対称性」であると呼称される。
【0021】
換言すれば、式(I)のR1基、式(I)のR2基、式(I)のR3基、式(I)のR4基等は、それぞれが式(II)のR1基、式(II)のR2基、式(II)のR3基、式(II)のR4基等と同一である。更に、これらの基はそれぞれ、一方の環における位置と同等の位置に他方の環においても位置し、係数n、n’、及びmの値が他方の式のものとそれぞれ同一である。
【0022】
更に、式(I)、(II)、(b)、及び(c)においては、芳香環によって担持される置換基の数を決定する係数n、n’、mがこれらの最大値をとらない場合は、無置換の炭素原子が水素原子を担持する。
【0023】
最後に、以降の本文中では、特記のない限り環状基もしくは複素環基は、以下より選択される少なくとも一つの基を担持する場合には「置換された」と呼称する。
・ ヒドロキシル基、
・ 直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、
・ 直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、
・ 直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキルアミド基、
・ アミノ基、
・ 同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4アルコキシ基で置換されたアミノ基、
・ アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、またはピリジニウム基、
・ -SO2NHR基もしくは-NHRSO2R’基であって、Rは水素原子、または任意に一つ以上のヒドロキシル基もしくはアミノ基で、または同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくは直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基を表し、R’は任意に置換された直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表すもの。
【0024】
上述の通り、本発明は上記の式(I)及び(II)の化合物に関する。
【0025】
とりわけ、式(I)及び(II)においては、R1、R2、及びR3基が同一または相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、無置換であるかまたは、少なくとも1つのヒドロキシル基、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、アミノ基、あるいは同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基で置換されている。
【0026】
好ましい実施態様によれば、R1、R2、及びR3基は同一または相違してよく、無置換もしくはヒドロキシル基で置換された、直鎖状のC1-C4アルキル基を表す。
【0027】
式(I)及び(II)のR4、R'4、及びR5基については、前記基は同一または相違してよく、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素;
・ヒドロキシル基;
・ニトロ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、1つ以上のヒドロキシル、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基で任意に置換されたもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシアルキル基で、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム基で、または-SO2NHR基(式中Rは水素原子またはC1-C4アルキル基を表す)で任意に置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基から選択される、同一または相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基;
・-SO2NHR基(式中Rは水素原子またはC1-C4アルキル基を表す)
を表す。
【0028】
好ましい実施態様によれば、R4、R'4、及びR5が、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素、
・ヒドロキシル基、
・ニトロ基、
・一つ以上のヒドロキシル基で任意に置換された直鎖状C1-C2アルキル基、
・直鎖状C1-C2アルコキシ基
を表す。
【0029】
本発明の変形によれば、R6、R'6、及びR7は、同一もしくは相違し、水素原子;無置換の、あるいは、ヒドロキシル基もしくはC1-C4アルコキシ基で置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表す。
【0030】
好ましくは、R6、R'6及びR'7基が、同一もしくは相違して良く、水素原子または直鎖状のC1-C4アルキル基を表す。
【0031】
R9及びR10については、これらは同一または相違して良く、有利には、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基、
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のアルコキシ基、
・アミノ基、
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシル基で置換されたアミノ基で任意に置換された直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基、またはアンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、またはピリジニウム基から選択される、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されており;前記複素環が任意に置換されているもの、
を表す。
【0032】
好ましくは、R9及びR10が、同一もしくは相違してよく、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ヒドロキシル基、
・アミノ基、
・ヒドロキシルで任意に置換された直鎖状のC1-C4アルキル基または一つまたは二つの同一の直鎖状C1-C4アルキル基、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム基またはイミダゾリウム基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで窒素を任意に含む5員もしくは6員の不飽和複素環が形成されており、前記複素環が任意に置換されているもの;
を表す。
【0033】
R11基が、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基、
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、
・アミノ基、
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または同一もしくは相違して良い一つ以上の直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基で任意に置換されたアミノ基で任意に置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基から選択される、同一もしくは相違していて良い一つ以上の基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで窒素を任意に含む5員もしくは6員の不飽和複素環が形成されており、前記複素環が任意に置換されているもの;
を表す。
【0034】
同一の窒素原子に結合する2つの基が互いに結合して複素環を形成する場合、前記複素環は、好ましくはピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、及びジアゼパン複素環から選択される。更に、該複素環は任意に置換されていて良い。
【0035】
特に例示のためには、該複素環は、ピロリジン、3-ヒドロキシピロリジン、3-アミノピロリジン、3-ピロリジン、3-N,N-ジメチルアミノピロリジン、3-トリメチルアンモニウムピロリジン、3-アセタミドピロリジン、3-(メチルスルホニルアミノ)ピロリジン、プロリン、3-ヒドロキシプロリン、ピペリジン、ヒドロキシピペリジン、ホモピペリジン、ジアゼパン、N-メチルホモピペラジン、及びN-β-ヒドロキシエチルホモピペラジンから選択される。
【0036】
本発明の特定の実施態様によれば、係数rが1である場合には、L1またはL3基は、
・直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは無置換のC1-C20アルキレン鎖であって、任意に少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基によって、少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって、少なくとも1つのカルボニル基によって、あるいは少なくとも1つの任意に置換された、カチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって、任意に介入され、任意にカルボニル基によって終端されたものを表す。
【0037】
L1またはL3基が、少なくとも1つの任意に置換された、カチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって介入された、C1-C20、好ましくはC1-C8のアルキレン鎖を表す場合には、前記複素環は、ピペラジン、ホモピペラジン、ジアゼパン、ピロリジン、(ホモ)ピペリジン、及びトリアジン複素環から選択される。
【0038】
好ましくは、L1及びL3は、置換もしくは無置換の、直鎖状C1-C8アルキレン鎖を表し、これは少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)によって、あるいは直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基によって、少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって、あるいはピペラジン、ピロリジン、トリアジン、及びイミダゾリウムから選択される少なくとも1つの任意に置換された複素環によって任意に介入され、任意にカルボニル基によって終端されたものを表す。
【0039】
本発明のいっそう特定的な変形によれば、L1及びL3は、直鎖状C1-C8アルキレン鎖を表し、これは少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)によって、直鎖状C1-C4アルキル基によって、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一であり、直鎖状C1-C4アルキル基を表す)によって任意に介入されたものを表す。
【0040】
本発明の別の特定の実施態様によれば、係数rが0である。
【0041】
本発明のいっそう特定される別の実施態様によれば、係数sは1であり、L2は、
・置換もしくは無置換の、直鎖状もしくは分枝状のC1-C20アルキレン鎖であって、少なくとも1つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)、あるいは直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって任意に介入され、少なくとも1つのカルボニル基または少なくとも1つの任意に置換されたカチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族複素環もしくは環で任意に介入もしくは終端されたもの;
・フェニレン;
・飽和もしくは不飽和の、少なくとも二つのヘテロ原子を含む6員もしくは7員の複素環であって、前記R6及びこれを担持する窒素原子が前記複素環に含まれているもの;
を表す。
【0042】
L2が、少なくとも1つの置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族複素環もしくは環によって介入もしくは終端されたC1-C20、好ましくはC1-C8のアルキレン鎖を表す場合、前記複素環はピペラジン、ホモピペラジン、ジアゼパン、及びトリアジン複素環から選択され、前記複素環は任意に置換されている。
【0043】
好ましくは、L2は、
・置換もしくは無置換の、直鎖状C1-C8アルキレン鎖であって、少なくとも1つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子または直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)、少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基、ピペラジニウム、ホモピペラジニウム、イミダゾリウムを表し、少なくとも1つのカルボニル基、または少なくとも1つの任意に置換された芳香族もしくは非芳香族複素環によって任意に終端されたものを表す)によって任意に介入されたもの;
・フェニレン;
・前記R6及びこれを担持する窒素原子を含む、無置換ピペラジンまたはホモピペラジン複素環;
を表す。
【0044】
本発明の一層好ましい変形によれば、L2は、
・直鎖状C1-C8アルキレン鎖であって、少なくとも一つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子または直鎖状C1-C4アルキル基を表す)、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状C1-C4アルキル基、イミダゾリウムを表し、少なくとも1つの任意に置換された芳香族または非芳香族複素環、好ましくは任意に置換されたトリアジンで任意に介入されたもの;
・フェニレン;
・前記R6及びこれを担持する窒素原子、無置換のピペラジンまたはホモピペラジン複素環;
を表す。
【0045】
本発明の特定の実施態様によれば、L2は、下式(d):
【化4】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R'6、R9、及びXは上記と同様の意味を有し、
L'2及びL"2は同一もしくは相違し、単結合、C1-C6アルキレン鎖を表し、L'2がNR6基に結合しており、
L4は置換もしくは無置換の、直鎖状もしくは分枝状の、C1-C20アルキレン鎖を表し、これが少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-(Rは水素原子または直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)あるいは少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって任意に介入されており;
係数pが0または1である]
の基を表す。
【0046】
式(I)及び(II)の化合物及びその塩がカチオン性化合物であるため、これら化合物の電気的中性は1つ以上の化粧品として許容され、同一でも相違しても良いカウンターイオンAnの存在によって充足される。前記カウンターイオンは、定法に従い、無機酸の塩、例えばクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、サルフェート、硫化水素、ホスフェート;有機酸の塩、例えばフォルメート、アセテート、シトレート、スクシネート、タルトレート、ラクテート、トシレート、メシレート、ベンゼンスルホネート、またはアルキルスルホネート、並びにこれらの混合物から選択される。
【0047】
式(I)及び(II)の化合物の付加塩については、これらは直前に挙げた塩に相当する酸との付加塩から選択される。これらはまた、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アミン、またはアルカノールアミン等の塩基との付加塩に相当する。
【0048】
本発明の第一の特定の変形によれば、下式(III):
【化5】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R'4、R5、R6、R9、及びR10、並びに係数n及びn’は上記と同様の一般的意味及びより特定的な意味を有する]
の化合物またはこれらの塩である。
【0049】
好ましくは、
R1、R2、及びR3が、同一でも相違しても良く、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表し;
R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R6は水素原子、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、好ましくはメチル基を表し;
R9及びR10は、同一でも相違しても良く、水素原子、塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、同一もしくは相違しても良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基の1つもしくは二つで置換されたアミノ基、同一もしくは相違して良い少なくとも1つのヒドロキシル基、好ましくはメチル基、直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、好ましくはメチルを持つトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム基を担持する、同一もしくは相違してよいC1-C4アルキル基で置換されたアミノ基で任意に置換されたピロリジン環を表し;
R9及びR10は、同一でも相違しても良く、同時には塩素原子またはフッ素原子を表さず;
式(III)の化合物またはその塩の電気的中性が、同一でも相違しても良く、特に以上に列挙したものから選択される1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保される。
【0050】
特定の実施態様によれば、前記アンモニウム基がナフタレン環に対して7位に位置することが更に特定される。
【0051】
本発明の第二の特定の実施態様によれば、当該化合物は下式(IVa)に相当する化合物またはこれらの塩に相当する。
【0052】
【化6】

【0053】
上記式中、R1、R2、R3、R4、R’4、R5、R6、及びR9並びに係数n及びn’は上述と同様の意味を有する。
本発明のこの特定の実施態様によれば、当該化合物は下式(IVb)に相当する。
【0054】
【化7】

【0055】
式中、R1、R2、R3、R4、R’4、R5、R6、及びR9並びに係数n及びn’が上述と同様の一般的及びより特定的な意味を有する。
【0056】
好ましくは、式(IVa)及び(IVb)において、
R1、R2、及びR3は、同一でも相違しても良く、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表し;
R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R6は水素原子、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、好ましくはメチル基を表し;
R9は水素原子、塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、同一もしくは相違しても良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基の1つもしくは二つで置換されたアミノ基、同一もしくは相違して良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を持つ、好ましくはメチル基を持つトリアルキルアンモニウム基で任意に置換されたピロリジン環を表し、
式(IV)の化合物またはその塩の電気的中性が、以上に特に列挙したものから選択される、同一でも相違しても良い1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保される。
【0057】
特定の実施態様によれば、式(IVa)及び(IVb)の前記アンモニウム基がナフタレン環に対して7位にあることが更に特定される。
【0058】
本発明の第三の特定の変形によれば、該化合物は下式(V):
【化8】

[式中、R4、R’4、R5、R’6、R’7、R1、及びR2、並びに係数n及びn’が上述と同様の一般的及びより特定的な意味を有する]
に相当する。
【0059】
好ましくは、R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R’6及びR’7は水素原子を表し、
R1及びR2は、同一でも相違しても良く、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表し;
L3は、1乃至10の炭素原子を含む、好ましくは2乃至8の炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基を表し;
式(V)の化合物またはその塩の電気的中性が、特に以上に列挙したものから選択される1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保される。
【0060】
式(I)及び(II)の化合物並びにこれらの特定の変形(III)及び(V)の調製方法を以下に説明する。
【0061】
然るに、式(I)及び特に式(III)の化合物の第一の調製方法は、少なくとも1つの下式(VI):
【化9】

の化合物を、溶媒もしくは溶媒混合物の存在下にてハロゲン化シアヌルと接触させ、化学式(I)(式中、R7が式(a)の基を表す)の化合物またはその塩を得ることからなる。
一般的に、式(VI)の化合物は、適当な溶媒中に可溶化させた形態で使用される。
【0062】
有利には、前記溶媒は水または水と1つ以上の有機溶媒との混合物であって良い。好ましくは、前記有機溶媒は水溶性混和性溶媒、例えばエタノール、グリコール、ベンジルアルコール、アセトン、またはこれらの混合物から選択される。
【0063】
前記反応は、少なくとも1つの添加剤、例えばpH調整剤などの存在下で行って良い。好ましくは、反応媒質のpHは3乃至6の範囲である。
【0064】
このpH調整剤は、例示のために挙げれば、アンモニア水、アルキル金属カーボネート、アルキル金属水素カーボネート、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-、及びトリ-エタノールアミン、並びにこれらの誘導体、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、並びに下式(A):
【化10】

[式中、Wは、ヒドロキシル基もしくはC1-C6アルキル基で任意に置換されたプロピレン残基;R’基は同一でも相違しても良い水素原子、C1-C6アルキル基、もしくはC1-C6ヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物から定法に従い選択される。
【0065】
必要ならば、塩酸、オルト燐酸、硫酸、または酢酸などの無機または有機の酸を使用してよい。
有利には、pHは、反応中のpH調整剤の添加によって3乃至6の範囲に維持される。
【0066】
シアノ官能を有する化合物中への化合物(VI)の導入の間、反応温度を常温未満の温度に、好ましくは0乃至10℃に維持することが好ましい。
反応物の導入が完了したら、反応混合物を常温以上の温度に維持する。
前記反応は、通常は1乃至10時間継続する。
【0067】
生成物は、例えば溶媒蒸発、濾過などの定法を利用して回収する。
【0068】
R9がハロゲン原子を表さない化合物を得るためには、ハロゲン原子を所望の基で置換することからなる反応を、当業者に周知の方法で実行可能である。
【0069】
式(I)(式中R7が式(b)の基を表す)の化合物の第二の調製方法は、少なくとも1つの下式(VI):
【化11】

の化合物を、溶媒もしくは溶媒混合物の存在下にてL2の前駆体である化合物、もしくはL2及び化合物(VI)のアミン官能基と反応することのできる2つの官能基を含む化合物と接触させることからなる。
【0070】
第一の変形は、式(VI)の化合物とハロゲン化シアヌルの適当な量を用いて上述の処置を実行し、式(I)(式中、R7が式(a)の基を表す)の化合物を得ることからなる。
有利には、得られる中間体生成物を単離する必要がない。
【0071】
ここで再度、R10がハロゲン元素を表さない化合物の場合には、該反応はハロゲン原子を所望の基で置換することからなり、当業者に周知の方法で実行可能である。前記生成物は、例えば、適当な溶媒中で、加熱を行いつつ、アミン、水と接触させることができる。
【0072】
第二の変形によれば、下式(VII):
【化12】

の化合物を、式R6NH-L2-NHR6のジアミンと接触させて下式(VIII):
【化13】

の化合物を得る。
【0073】
この工程は、当業界では常用の方法で実行される。
これは一般的に溶媒の存在下で実行される。適当な溶媒の中では、例えばトルエン、ジクロロメタン、メタノール、またはエタノール、あるいはこれらの混合物を挙げて良い。
該反応が実行される温度は、定法に従い5乃至80℃である。
【0074】
次に、こうして得られた化合物のニトロ基の還元からなる工程を行い、次いでジアゾ化工程を行う。下式(VIII):
【化14】

の化合物が得られる。
【0075】
ニトロ基の還元は、定法に従って、例えば触媒、例えばパラジウムの存在下にて水素圧下で実行される。
【0076】
定法に従い、水素圧は0.01乃至10バールである。
反応温度は、特に5乃至80℃である。
【0077】
還元は、適当な溶媒中で実行される。定法に従い、有機溶媒は、例えば、トルエン、ジクロロメタン、メタノール、またはエタノール、あるいはこれらの混合物から選択される。
【0078】
ジアゾ化工程は、還元性生物を窒化ナトリウム(NaNO2)と接触させることからなる。温度は一般的に0乃至10℃である。
【0079】
この工程の最後に、得られた生成物を下式(IXa)もしくは(IXb):
【化15】

の化合物と接触させる。
この工程は、定法に従い0乃至10℃の温度にて実行される。
【0080】
さらにまた、該反応を行うpHは通常6乃至10である。
前記反応溶媒は、有利には水である。
【0081】
アミン官能(IXb)を含む化合物を使用する場合は、前工程から誘導される生成物の第四級化からなる、付加的な従来の工程が実行される。
【0082】
前記生成物を従来どおり、例えば溶媒蒸発によって、または濾過によって回収する。
各工程において得られる製品が、非適合性(例えば溶媒が相違するなど)でない限りにおいては後続の工程において使用する前に単離する必要のないことも特定される。
【0083】
式(II)の化合物は、下式(X):
【化16】

の化合物を、式H2N-L3-NH2のジアミンと接触させて下式(XI):
【化17】

の化合物を得る工程を実行することにより得られる。
【0084】
この反応は、溶媒または溶媒混合物の存在下で実行される。適当な溶媒としては、例えば、アルコール、トルエン、ジクロロメタン、及び水、並びにこれらの混合物を挙げて良い。
【0085】
この工程が実行される温度は、一般的に0乃至110℃である。
該化合物は、その後N-アルキル化し、次いで定法により第四級化する。
こうして得られる生成物は、その後下式(XII):
【化18】

の化合物と反応させる。
【0086】
この化合物は、対応する芳香族ジアミンのジアゾ化による通常の方法で得られる。この工程を実行するための条件は、以上に詳説した方法において想起されるものと同様である。
生成物は定法により、例えば溶媒蒸発または濾過によって回収される。
【0087】
本発明の別の主題は、その詳細に付いては以上に説明した、ケラチン繊維の染色に適した媒質中に式(I)及び(II)の化合物またはその付加塩から選択される少なくとも1つの直接染料を含む染色組成物からなる。
【0088】
有利には、式(I)もしくは(II)の化合物またはこれらの塩のそれぞれの含量は、当該染色組成物の重量に対して0.001乃至20重量%の範囲である。好ましくは、これら化合物それぞれの含量が、当該染色組成物の重量に対して0.01乃至10重量%の範囲である。
【0089】
本発明による染色組成物は、式(I)及び(II)の化合物とは相違する、1つ以上の付加的直接染料を含んでも良い。
【0090】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色の分野で従来より使用される直接染料を使用することができる。
【0091】
この点に関して、ベンゼン系のニトロ染料、更なるアゾ直接染料、及びメチレン直接染料を挙げて良い。これらの直接染料は、性質として非イオン性、アニオン性、もしくはカチオン性であってよい。好ましくは、これらの付加的直接染料は、性質としてカチオン性である。
【0092】
本発明の特定の実施態様によれば、当該染色組成物は、各直接染料を染色組成物全重量に対して0.001乃至10重量%の含量で含む。
【0093】
本発明の染色組成物はまた、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色に従来より使用されている、一つ以上の酸化ベース及び/または1つ以上のカップラーを更に含んで良い。
【0094】
酸化ベースの中では、パラ-フェニレンジアミン類、ビスフェニルアルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、ビス-パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類、複素環ベース、及びこれらの付加塩を挙げて良い。
【0095】
本発明の組成物中に存在する酸化ベースは、染色組成物全重量に対して、それぞれ一般的に0.001乃至10重量%、好ましくは0.005乃至6重量%の量で使用される。
【0096】
使用可能なカップラーの中では、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレンカップラー類、複素環カップラー、及びこれらの付加塩を挙げて良い。
【0097】
本発明の組成物中に、カップラーは、染色組成物全重量に対してそれぞれ一般的に0.001乃至10重量%、好ましくは0.005乃至6重量%の量で存在する。
【0098】
一般的に、本発明の意味において使用可能な酸化ベースとカップラーとの付加塩は、特に酸との付加塩、例えばヒドロクロライド、ヒドロブロマイド、サルフェート、シトレート、スクシネート、タルトレート、ラクテート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ホスフェート、及びアセテート、並びに塩基との付加塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アミン、またはアルカノールアミンから選択される。
【0099】
染色支持体とも呼称される染色に好適な媒質は、一般的に水、または水と十分に水溶性でない化合物を可溶化させるための少なくとも1つの有機溶媒との混合物からなる化粧品媒質である。
【0100】
有機溶媒としては、例えば、直鎖状または分枝状であり、好ましくは飽和した、2乃至10の炭素原子を含むモノアルコール、例えばエチルアルコールまたはイソプロピルアルコール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェニルエチルアルコール;ポリオールまたはポリオールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルのエーテル、プロピレングリコールまたはそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、ネオペンチルグリコール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール;並びにジエチレングリコールアルキルエーテル、特にC1-C4アルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテルを単独または混合物として挙げて良い。
【0101】
溶媒は、好ましくは、当該染色組成物全重量に対しておよそ1乃至40重量%、一層好ましくはおよそ5乃至30重量%の範囲の割合を占める。
【0102】
本発明による染色組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、とりわけ髪の染色用組成物に従来使用されている様々なアジュバント、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、または双性イオン性界面活性剤、あるいはこれらの混合物;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、または双性イオン性ポリマー、あるいはこれらのブレンド;無機または有機の増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性のポリマー性会合性増粘剤;酸化防止剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;バッファ;分散剤;調整剤、例えば揮発性もしくは不揮発性であって、変性されていてもいなくても良いシリコーン;フィルム形成性剤;セラミドまたはシュードセラミド;保存料;不透化剤等を更に含んで良い。
【0103】
上記アジュバントは、組成物全重量に対して一般的にそれぞれ0.01乃至20重量%の量で存在する。
【0104】
本発明の組成物はまた、少なくとも一つの酸化剤を含んで良い。
【0105】
従来ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の酸化染色に使用されている酸化剤は、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート、またはフェリシアニド、ペル塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、またはマグネシウムのペルボレート及びペルスルフェートの単独または混合物、ペル酸及びオキダーゼ酵素、これらの中でペルオキダーゼ、2電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼ、及び4電子オキゲナーゼ、例えばラッカーゼである。過酸化水素が特に好ましい。
【0106】
本発明の組成物は、化粧品の分野で従来使用されているものから選択して良い少なくとも1つのアルカリ化剤を更に含んでも良い。既に示したこれら化合物の列挙を参照することができる。
【0107】
本発明の組成物、すなわち酸化剤を含まない組成物のpHは、好ましくは5乃至12、好ましくは7乃至11である。
【0108】
むろん、当業者であればこれら任意の付加的化合物を、その予定する付加によって本発明の組成物に本質的に付随する有利な特性を損なうことのないよう、または実質的に損なうことのないように注意して選択するであろう。
【0109】
本発明による染色組成物は、様々な形態、例えば液体、クリーム、またはゲルの形態、あるいはケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、とりわけ髪の染色に適した他のあらゆる形態であってよい。
【0110】
本発明の方法は、以上に定義される本発明による組成物が、乾燥していてもしていなくてもよい前記繊維に適用される方法である。
【0111】
第一の変形によれば、ケラチン繊維に適用される組成物は如何なる酸化剤も含まない。この変形は、該染色組成物が本発明による少なくとも1つの染料及び、任意に少なくとも1つの付加的直接染料を含む場合に特に適当である。
【0112】
本発明の第二の変形によれば、該方法は少なくとも1つの酸化剤を用いて行われる。この第二の変形は、存在する染料(本発明による染料、付加的直接染料、酸化ベース及び/またはカップラー)の性質がいかなるものであっても適当である。
【0113】
この第二の変形によれば、酸化剤は使用時に該染色組成物に添加してよい。あるいはまた、前記酸化剤を含み、染料を含む染色組成物と同時にまたはこれに引き続いて適用される、酸化組成物の形態で使用することも可能である。後者の場合には、前記酸化剤は染料を含むもの以外の組成物中に存在する。
【0114】
特定の実施態様によれば、前記染料を含む組成物を、好ましくは使用時に、染色に適した媒質中に少なくとも1つの酸化剤を含む組成物と混合するが、この酸化剤は所望の明色化を得るために十分な量で存在するものとする。
【0115】
得られる混合物を、その後ケラチン繊維に適用する。
【0116】
通常はおよそ3分間乃至1時間、好ましくはおよそ5乃至40分間に亘る、所望の着色を得るために十分な適用時間の後、ケラチン繊維を好ましくは濯ぎ、その後任意にシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、その後乾燥させるか風乾させる。
【0117】
さらにまた、従来通り、前記組成物を適用し、15乃至80℃、好ましくは15乃至40℃の範囲の温度にてそのままおいて作用させる。
【0118】
前記酸化組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色のための組成物中に従来使用されており、以上に定義される様々なアジュバントをさらに含んでも良い。
【0119】
酸化剤を含む酸化組成物のpHは、前記染色組成物と混合した後に、ケラチン繊維に適用される生成組成物(すなわち、換言すれば即時に使用できる組成物)のpHが、好ましくはおよそ7乃至12、さらに好ましくは7乃至11の範囲である。これは、酸性化剤もしくは塩基性化剤を用いて所望の値に調整可能である。
【0120】
酸性化剤の中では、例として、無機または有機の酸、例えば塩酸、オルト燐酸、硫酸、または酢酸を挙げて良い。
【0121】
即時に使用できる組成物、即ち、換言すれば最終的にケラチン繊維に適用される組成物は、様々な形態、例えば液体、クリーム、またはゲルの形態、あるいはケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、とりわけ髪の染色に適した他のあらゆる形態であってよい。
【0122】
本発明の主題はまた、多区画装置であって、その第1の区画には上述の少なくとも1つの染料を含む染色組成物、及び任意に前記染料とは相違する少なくとも1つの直接染料、任意に少なくとも1つの酸化ベース、任意に少なくとも1つのカップラーが実装され、別の区画には酸化剤が実装されている。
【0123】
前記染料、任意に付加的直接染料、酸化ベース、及びカップラーが同一の区画中にまたは数個の区画中にあってよく、前記の同じ区画には単一の種類の染料(混合の、付加的直接もしくは酸化染料)または幾つかの染料の組合せが実装されていて良い。
【0124】
この装置は、特許FR2586913号に記載の装置のように、所望の混合物を処理しようとする繊維に送達させる手段を装備していてよい。
【0125】
以下の実施例は、本発明をその範囲を制限することなく詳説するという役割を果たす。
【実施例】
【0126】
(A−染料の合成)
(実施例1)
化合物1:8-{(E)-[4-({4-クロロ-6-[(4-{(E)-[2-ヒドロキシ-7-(トリメチルアンモニオ)-1-ナフチル]-ジアゼニル}フェニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル}アミノ)-フェニル]ジアゼニル}-7-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルナフタレン-2-アミニウムジクロライドの合成
【0127】
【化19】

【0128】
ベーシックブラウン16染料(20g)を200mlの水に溶解させる。得られた溶液は、その後ゆっくりと塩化シアヌル(0.5mol等量)、アセトン(30ml)、及び氷(50g)を含む溶液に導入する。
添加の間、温度は氷水浴を用いて0乃至5℃に維持する。pHは固体重炭酸ナトリウムを加えることによって3乃至6に維持される。
【0129】
導入の後、前記反応混合物を1時間に亘って撹拌しつつ40℃に維持し、その後6時間に亘って50℃に維持される。
pHの安定化により、反応の完了が示される。
その後、反応混合物を撹拌しつつ常温にて16時間維持すると、微細な析出物が得られる。これを濾過し、真空下で乾燥させる。
プロトンNMRスペクトル分析及び質量分析により、予期する生成物が得られたことが確認される。
【0130】
(実施例2及び3)
化合物2:7-ヒドロキシ-8-{(E)-[4-({4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-6-[(4-{(E)-[2-ヒドロキシ-7-(トリメチルアンモニオ)-1-ナフチル]-ジアゼニル}フェニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル}アミノ)-フェニル]ジアゼニル}-N,N,N-トリメチルナフタレン-2-アミニウムジフォルメートの合成
【0131】
化合物3:7-ヒドロキシ-8-{(E)-[4-({4-ヒドロキシ-6-[(4-{(E)-[2-ヒドロキシ-7-(トリメチルアンモニオ)-1-ナフチル]-ジアゼニル}フェニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル}アミノ)-フェニル]ジアゼニル}-N,N,N-トリメチルナフタレン-2-アミニウムジフォルメートの合成
【0132】
【化20】

【0133】
上記で得られる化合物1(1g)を、100mlの水に溶解させ、モノエタノールアミン(1g)を加える。
導入の後、反応混合物を撹拌しつつ48時間に亘って90℃に維持し、その後蒸発乾燥させる。
反応混合物のサンプルを、同時にカウンターイオン交換(Cl-からCH3COO-へ)を行いつつクロマトグラフィーによって精製する。
染料2(RがNHCH2CH2OHを表す)及び染料3(Rがヒドロキシル基を表す)がこうして得られる。
【0134】
(実施例4)
化合物4:8-((E)-{4-[(4,6-ジピロリジン-1-イル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]-フェニル}ジアゼニル)-7-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルナフタレン-2-アミニウムクロライドの合成
【0135】
【化21】

【0136】
中間体化合物1は、以下の方法で得られる。
実施例1の場合には、ベーシックブラウン16染料(20g)を200mlの水に溶解させる。得られる溶液を塩化シアヌル(0.5mol等量)、アセトン(30ml)、及び氷(50g)を含む溶液にゆっくりと導入する。
【0137】
添加の間、氷水浴を用いて温度を0乃至5℃に維持する。pHを、固体重炭酸ナトリウムを加えることによって3乃至6に維持する。
pHの安定化により反応の完了が示される。
その後アセトンを用いて生成物を析出させ、これを濾過して最後に真空としたデシケーター中で乾燥させる。
プロトンNMRスペクトル分析及び質量分析によって中間体化合物Iが得られたことが確認される。
【0138】
中間体化合物I(1g)を水とメタノールとからなる混合物(1/1)8mlに溶解させる。
4等量のピロリジンを滴々と流し、1Nの塩酸溶液を使用してpHを4乃至6の値に維持する。ピロリジンの添加の後に反応媒質を12時間撹拌しておき、その後2時間に亘り40℃に加熱する。
次いで、反応媒質を50mlのアセトンに注入し、その後濾過する。得られる粉末を50mlのアセトンで3回洗い、その後50mlのジイソプロピルエーテルで3回洗い、真空下のデシケーター中で乾燥させる。
プロトンNMRスペクトル分析及び質量分析によって予期した生成物が得られたことが確認される。
【0139】
(実施例5)
化合物5:8-{(E)-[4-({4,6-ビス[3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-1,3,5-トリアジン-2-イル}アミノ)-フェニル]ジアゼニル}-7-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルナフタレン-2-アミニウムクロライドの合成
【0140】
【化22】

【0141】
中間体化合物I(1g)を10mlのジメチルホルムアミド中に40℃にて溶解させる。
2等量のN,N-ジメチルピロリジン-3-アミン(2mlのDMFで希釈したもの)を加え、前記反応媒質を1時間に亘って40℃に維持し、その後2時間に亘って80℃で加熱する。
さらに2等量のN,N-ジメチルピロリジン-3-アミン(2mlのDMFで希釈したもの)を加え、前記反応媒質を1時間に亘って80℃に維持する。
【0142】
次いで、反応混合物を50mlのアセトンに注ぎ、得られる沈殿物を濾過する。
得られた粉末を50mlのアセトンで3回洗い、次いで50mlのジイソピロピルエーテルで3回洗う。生成物を真空下のデシケーター中で乾燥させる。
プロトンNMRスペクトル分析及び質量分析によって予期した生成物が得られたことが確認される。
【0143】
(実施例6)
化合物6:1-{4-[(4-{(E)-[2-ヒドロキシ-7-(トリメチルアンモニオ)-1-ナフチル]ジアゼニル}-フェニル)アミノ]-6-[3-(トリメチルアンモニオ)ピロリジン-1-イル]-1,3,5-トリアジン-2-イル}-N,N,N-トリメチルピロリジン-3-アミニウムクロライド/ビス(メチルスルフェート)の合成
【0144】
【化23】

【0145】
上記の通り得られる化合物5(0.1g)を2mlの1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)に溶解させる。
2等量のジメチルスルフェートを注入し、反応媒質を撹拌しつつ24時間に亘り常温におく。
さらに2等量のジメチルスルフェートを加え、反応媒質を72時間に亘って60℃に加熱する。
次いで、反応混合物を30mlのジイソプロピルエーテルに注入し、その後濾過する。得られる粉末を50mlのジイソプロピルエーテルで3回洗う。
プロトンNMRスペクトル分析及び質量分析によって予期した生成物が得られたことが確認される。
【0146】
B−染色実施例
pH9にバッファされた溶液を、30mlの水中に2gのアンモニウムアセテートと10mlのベンジルアルコールとを混合することによって調製し、その後アンモニア水を加えることによってpHを調整し、脱塩水を加えることによって体積を100mlとする。
上記実施例で得られた化合物があるだけなるべく多くのサンプルを調製するが、各サンプルは単一の染料を含み、前記染料は前述のバッファ溶液中に100g当たり5×10-4molの濃度である。
【0147】
各サンプルについて、敏感化した白髪の毛束と得られた溶液とを、浴比1対10にて接触させる。
30分間の適用の後、各毛束を脱塩水で濯いで過剰の染色溶液を除去する。
各染料について、茶色の髪の毛束が得られる。
【0148】
(比較試験)
二つのサンプルを調製するが、第1のものはベーシックブラウン16染料を含み、第二のものは実施例1で得られた染料1を含み、各サンプルが上述のバッファ溶液中に5×10-4mol%の染料を含む。
各サンプルについて、敏感化した白髪の毛束と得られた溶液とを、浴比1対10にて接触させる。
30分間の適用の後、各毛束を脱塩水で濯いで過剰の染色溶液を除去する。
【0149】
(シャンプー試験)
前工程により着色された髪の各毛束を、1体積%のMixa Bebeシャンプーを含む溶液で30秒間手洗いし、その後200mlの水で濯ぐ。前記処置を10回繰り返す。
【0150】
(シャンプー試験の結果)
二例で得られる毛束は同様の色を維持したが、本発明による染料1で染色した毛束の色の強度は、本発明の範囲外であるベーシックブラウン16染料で染色した毛束の色の強度よりも、事実上大である。
【0151】
従って、これは本発明の染色組成物によればシャンプーに対してより耐性のある着色が得られることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)及び(II):
【化1】

[式中、
R1、R2、及びR3は同一または相違してよく、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、無置換であるかまたは
−ヒドロキシル基;
−直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
−アミノ基;
−同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基
で置換されており、
R1、R2、またはR3基の二つが、酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含み、且つ任意に置換されている、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環を任意に形成可能であり;
R4、R'4、及びR5は同一または相違してよく、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素;
・ヒドロキシル基;
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・下記:
−ヒドロキシル基;
−アミノ基;
−同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基;
−置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
から選択されるから選択される、一つまたは二つの基で置換されたアミノ基;
・−SO2NHR基であって、Rは水素原子、または任意に一つ以上のヒドロキシル基で置換されたC1-C4アルキル基、アミノ基、または同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくは直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基、
二つの隣接する炭素原子によって担持される二つの基R5は、各々が結合する炭素原子と共に任意に置換された6員の芳香環を形成することも可能であり;
R6、R'6、及びR7は、同一もしくは相違し、
・水素原子;
・無置換の、あるいは、ヒドロキシル基、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、アミノ基、または同一または相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基で置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C8アルキル基であって;酸素及び窒素から選択されるヘテロ原子によって、または好ましくはCOもしくはSO2などのヘテロ原子を含む基によって介入可能であり;
・R'6及びR'7基が、酸素と窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和または不飽和の5員もしくは6員の複素環を任意に形成することが可能であり;前記複素環は任意に置換されており;
R7は下記:
【化2】

より選択される基を表し、
R8は下記の基:
【化3】

を表し、
R1、R2、R3、R4、R'4、R5、R6、R'6、及びR'7は、式(a)、(b)、及び(c)において上記と同様の意味を有し;
R9及びR10は同一または相違して良く、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のアミノ、ヒドロキシル、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、またはピリジニウム基から選択される同一もしくは相違して良い一つ以上の基で置換されたアミノ基、あるいは同一もしくは相違して良い一つ以上の直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
・R9及びR10は、同一もしくは相違してよく、同時には塩素もしくはフッ素原子を表すことができず;
Xは窒素原子、-CR11を表し;
R11は下記:
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素;
・ニトロもしくはシアノ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、少なくとも1つのアミノ基、及び/または、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基を任意に担持するもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のアミノ基で任意に置換された直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基、あるいは、同一もしくは相違して良い、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基から選択される、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む、飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されているもの、前記複素環が任意に置換されているもの;
L1は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、直鎖状、分枝状、もしくは環状の飽和もしくは不飽和のC2-C20炭化水素ベースの鎖を表し、これは一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の芳香族もしくは非芳香族の置換もしくは無置換の複素環もしくは環によって任意に介入されており;
L2は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、
・飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状、もしくは環状のC1-C20炭化水素ベースの鎖であって、一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の任意に置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって任意に介入もしくは終端されたもの;
・芳香族もしくは非芳香族の(複素)環基であって、任意に少なくとも1つのヘテロ原子を含む基、好ましくはCOもしくはSO2基によって窒素原子に結合したもの;
を表し;
L3は、カチオン性もしくは非カチオン性であってよく、直鎖状、分枝状、もしくは環状の飽和もしくは不飽和のC2-C20炭化水素ベースの鎖を表し、これは一つ以上のヘテロ原子を含む基によって任意に介入もしくは終端され、一つ以上の任意に置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって任意に介入されており;
係数nは2以下であり;
係数n’は3以下であり;
係数mは4以下であり;
係数rは0または1であり;
係数sは0または1であり;
Anは、式(I)及び(II)の化合物またはその塩の電気的中性を担保するための、化粧品として許容される一つ以上のカウンターイオンを表す]
の化合物及びその付加塩。
【請求項2】
R1、R2、及びR3基が同一または相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、無置換であるかまたは、ヒドロキシル基、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、アミノ基、あるいは同一もしくは相違してよい、一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基で置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1、R2、及びR3基が同一または相違してよく、無置換もしくはヒドロキシル基で置換された、直鎖状のC1-C4アルキル基を表すことを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)及び(II)のR4、R'4、及びR5基が、同一または相違してよく、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素;
・ヒドロキシル基;
・ニトロ基;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基であって、1つ以上のヒドロキシル、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基で任意に置換されたもの;
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基;
・アミノ基;
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシアルキル基で、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム基で、または-SO2NHR基(式中Rは水素原子またはC1-C4アルキル基を表す)で任意に置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基から選択される、同一または相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基;
・-SO2NHR基(式中Rは水素原子またはC1-C4アルキル基を表す)
を表すことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R4、R'4、及びR5が、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素、
・ヒドロキシル基、
・ニトロ基、
・一つ以上のヒドロキシル基で任意に置換された直鎖状C1-C2アルキル基、
・直鎖状C1-C2アルコキシ基
を表すことを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R6、R'6、及びR7は、同一もしくは相違し、水素原子;無置換の、あるいは、ヒドロキシル基もしくはC1-C4アルコキシ基で置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R6、R'6及びR'7基が、同一もしくは相違して良く、水素原子または直鎖状のC1-C4アルキル基を表すことを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R9及びR10は同一または相違して良く、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基、
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のアルコキシ基、
・アミノ基、
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または同一もしくは相違して良い一つまたは二つの直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4ヒドロキシル基で置換されたアミノ基で任意に置換された直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基、またはアンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、またはピリジニウム基から選択される、同一もしくは相違して良い一つまたは二つの基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで酸素及び窒素から選択される別のヘテロ原子を任意に含む不飽和の5員もしくは6員の複素環が形成されており;前記複素環が任意に置換されているもの、
を表すことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R9及びR10が、同一もしくは相違してよく、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ヒドロキシル基、
・アミノ基、
・ヒドロキシルで任意に置換された直鎖状のC1-C4アルキル基または一つまたは二つの同一の直鎖状C1-C4アルキル基、アンモニウムもしくは(C1-C4)アルキルアンモニウム基またはイミダゾリウム基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで窒素を任意に含む5員もしくは6員の不飽和複素環が形成されており、前記複素環が任意に置換されているもの;
を表すことを特徴とする、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R11基が、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素、
・ニトロもしくはシアノ基、
・ヒドロキシル基、
・直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルコキシ基、
・アミノ基、
・一つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、または同一もしくは相違して良い一つ以上の直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基で任意に置換されたアミノ基で任意に置換された、直鎖状もしくは分枝状のC1-C6アルキル基から選択される、同一もしくは相違していて良い一つ以上の基で置換されたアミノ基、
・置換アミノ基であって、ここで窒素を任意に含む5員もしくは6員の不飽和複素環が形成されており、前記複素環が任意に置換されているもの;
を表すことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R11基が、置換アミノ基であって、ここでは5員もしくは6員の複素環が形成され、前記複素環がピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、及びジアゼパンから選択され、さらに前記複素環が任意に置換されている、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記複素環が、ピロリジン、3-ヒドロキシピロリジン、3-アミノピロリジン、3-ピロリジン、3-N,N-ジメチルアミノピロリジン、3-トリメチルアンモニウムピロリジン、3-アセタミドピロリジン、3-(メチルスルホニルアミノ)ピロリジン、プロリン、3-ヒドロキシプロリン、ピペリジン、ヒドロキシピペリジン、ホモピペリジン、ジアゼパン、N-メチルホモピペラジン、及びN-β-ヒドロキシエチルホモピペラジンから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
係数rが1であり、L1またはL3基が直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは無置換のC1-C20アルキレン鎖であって、任意に少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基によって、少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって、少なくとも1つのカルボニル基によって、あるいは少なくとも1つの任意に置換された、カチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって、任意に介入され、任意にカルボニル基によって終端されたものを表すことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
L1またはL3基が、ピペラジン、ホモピペラジン、ジアゼパン、ピロリジン、(ホモ)ピペリジン、及びトリアジン複素環から選択される、少なくとも1つの任意に置換された、カチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族の複素環もしくは環によって介入された、C1-C20、好ましくはC1-C8のアルキレン鎖を表すことを特徴とする、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
L1及びL3は、置換もしくは無置換の、直鎖状C1-C8アルキレン鎖を表し、これは少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)によって、あるいは直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基によって、少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって、あるいはピペラジン、ピロリジン、トリアジン、及びイミダゾリウムから選択される少なくとも1つの任意に置換された複素環によって任意に介入され、任意にカルボニル基によって終端されたものを表すことを特徴とする、請求項13または14に記載の化合物。
【請求項16】
L1及びL3は、直鎖状C1-C8アルキレン鎖を表し、これは少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)によって、直鎖状C1-C4アルキル基によって、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一であり、直鎖状C1-C4アルキル基を表す)によって任意に介入されたものを表すことを特徴とする、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
係数rが0であることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
係数sが1であり、L2が、
・置換もしくは無置換の、直鎖状もしくは分枝状のC1-C20アルキレン鎖であって、少なくとも1つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子を表す)、あるいは直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって任意に介入され、少なくとも1つのカルボニル基または少なくとも1つの任意に置換されたカチオン性もしくは非カチオン性の芳香族もしくは非芳香族複素環もしくは環で任意に介入もしくは終端されたもの;
・フェニレン;
・飽和もしくは不飽和の、少なくとも二つのヘテロ原子を含む6員もしくは7員の複素環であって、前記R6及びこれを担持する窒素原子が前記複素環に含まれているもの;
を表すことを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
L2が、ピペラジン、ホモピペラジン、ジアゼパン、及びトリアジン複素環から選択される、少なくとも1つの置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族複素環もしくは環によって介入もしくは終端されたC1-C20、好ましくはC1-C8のアルキレン鎖を表すことを特徴とする、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
L2が、
・置換もしくは無置換の、直鎖状C1-C8アルキレン鎖であって、少なくとも1つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子または直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)、少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基、ピペラジニウム、ホモピペラジニウム、イミダゾリウムを表し、少なくとも1つのカルボニル基、または少なくとも1つの任意に置換された芳香族もしくは非芳香族複素環によって任意に終端されたものを表す)によって任意に介入されたもの;
・フェニレン;
・前記R6及びこれを担持する窒素原子を含む、無置換ピペラジンまたはホモピペラジン複素環;
を表すことを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
L2が、
・直鎖状C1-C8アルキレン鎖であって、少なくとも一つの酸素原子、少なくとも1つの-NR-基(Rは水素原子または直鎖状C1-C4アルキル基を表す)、あるいは少なくとも1つの基-N+(R')(R")-(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状C1-C4アルキル基、イミダゾリウムを表し、少なくとも1つの任意に置換された芳香族または非芳香族複素環、好ましくは任意に置換されたトリアジンで任意に介入されたもの;
・フェニレン;
・前記R6及びこれを担持する窒素原子、無置換のピペラジンまたはホモピペラジン複素環;
を表すことを特徴とする、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
L2が、下式(d):
【化4】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R'6、R9、及びXは上記と同様の意味を有し、
L'2及びL"2は同一もしくは相違し、単結合、C1-C6アルキレン鎖を表し、L'2がNR6基に結合しており、
L4は置換もしくは無置換の、直鎖状もしくは分枝状の、C1-C20アルキレン鎖を表し、これが少なくとも1つの酸素原子によって、少なくとも1つの-NR-(Rは水素原子または直鎖状もしくは分枝状C1-C4アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)あるいは少なくとも1つの-N+(R')(R")-基(R'及びR"は同一もしくは相違してよく、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す)によって任意に介入されており;
係数pが0または1である]
の基を表すことを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
前記化粧品として許容されるカウンターイオンが、無機酸の塩、例えばクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、サルフェート、硫化水素、ホスフェート;有機酸の塩、例えばフォルメート、アセテート、シトレート、スクシネート、タルトレート、ラクテート、トシレート、メシレート、ベンゼンスルホネート、またはアルキルスルホネート、並びにこれらの混合物から選択されること特徴とする、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
下式(III):
【化5】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R'4、R5、R6、R9、及びR10、並びに係数n及びn’は上記と同様の一般的意味及びより特定的な意味を有する]
の化合物またはこれらの塩である、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
R1、R2、及びR3が、同一でも相違しても良く、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表し;
R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R6は水素原子、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、好ましくはメチル基を表し;
R9及びR10は、同一でも相違しても良く、水素原子、塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、同一もしくは相違しても良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基の1つもしくは二つで置換されたアミノ基、同一もしくは相違して良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を持つ、好ましくはメチル基を持つトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム基で任意に置換されたピロリジン環;
R9及びR10は、同一でも相違しても良く、同時には塩素原子またはフッ素原子を表さず;
式(III)の化合物またはその塩の電気的中性が、同一でも相違しても良い1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保され、前記アンモニウム基がナフタレン環に対して7位にあることを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の、下式(IVa)及び(IVb):
【化6】

[式中、R1、R2、R3、R4、R’4、R5、R6、及びR9並びに係数n及びn’が上述と同様の意味を有する]
【化7】

[式中、R1、R2、R3、R4、R’4、R5、R6、及びR9並びに係数n及びn’が上述と同様の意味を有する]
の化合物またはこれらに対応する塩。
【請求項27】
R1、R2、及びR3が、同一でも相違しても良く、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を表し;
R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R6は水素原子、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、好ましくはメチル基を表し;
R9は水素原子、塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、同一もしくは相違しても良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基の1つもしくは二つで置換されたアミノ基、同一もしくは相違して良い直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基を持つ、好ましくはメチル基を持つトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム基で任意に置換されたピロリジン環を表し、
式(IV)の化合物またはその塩の電気的中性が、以上に特に列挙したものから選択される、同一でも相違しても良い1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保され、式(IVa)及び(IVb)の前記アンモニウム基が二芳香環に対して7位にあることを特徴とする、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれか一項に記載の、下式(V):
【化8】

[式中、R4、R’4、R5、R’6、R’7、R1、及びR2、並びに係数n及びn’が上述と同様の意味を有する]
の化合物。
【請求項29】
R4及びR’4は水素原子を表し;
R5は水素原子またはニトロ基を表し;
R’6及びR’7は水素原子を表し、
R12及びR13は、同一でも相違しても良く、水素原子、直鎖状もしくは分枝状のC1-C4アルキル基、または直鎖状もしくは分枝状のC1-C4ヒドロキシアルキル基を表し;
L3は、1乃至10の炭素原子を含む、好ましくは2乃至8の炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基を表し;
式(V)の化合物またはその塩の電気的中性が、同一でも相違しても良い1つ以上の化粧品として許容されるカウンターイオンAnによって担保されることを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式(VI):
【化9】

の化合物を、溶媒もしくは溶媒混合物の存在下にてハロゲン化シアヌルと接触させ、化学式(I)(式中、R7が式(a)の基を表す)の化合物を得る、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
【請求項31】
下式(VI):
【化10】

の化合物を、溶媒もしくは溶媒混合物の存在下にてL2の前駆体である化合物、もしくはL2及び化合物(VI)のアミン官能基と反応することのできる2つの官能基を含む化合物と接触させ、化学式(I)(式中、R7が式(b)の基を表す)の化合物を得る、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
【請求項32】
式(VI)の化合物とハロゲン化シアヌルとの適当な量を接触させることを特徴とする、請求項31に記載の調製方法。
【請求項33】
(a)下式(VII):
【化11】

の化合物を、式R6NH-L2-NHR6のジアミンと接触させて下式(VIII):
【化12】

の化合物を得る工程;
(b)こうして得られた化合物のニトロ基の還元を水素と触媒との存在下にて行うことからなる工程;
(c)前記生成物を接触させてジアゾ化を行うことにより下式(VIII):
【化13】

の化合物を得る工程;
(d)前記生成物(VIII)を、下式(IXa)もしくは(IXb):
【化14】

の化合物と接触させる工程、
が実行され、アミン官能基を含む前記化合物(IXb)を使用する場合には、生成物の第四級化からなる付加的工程が実行されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
(a)下式(X):
【化15】

の化合物を、式H2N-L3-NH2のジアミンと接触させて下式(XI):
【化16】

の化合物を得る工程;
(b)N-アルキル化を行い、次いで得られた生成物の第四級化を行う工程;
(c)生成物と下式(XII):
【化17】

の化合物を反応させて、式(II)の化合物を得る工程;
を実行することを特徴とする、請求項1乃至33に記載の方法。
【請求項35】
ケラチン繊維の染色に適した媒質中に、請求項1乃至29のいずれか一項から選択される少なくとも1つの直接染料を含む染色組成物。
【請求項36】
式(I)及び(II)の化合物またはこれらの塩それぞれの含量が、当該染色組成物の重量に対して0.001乃至20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
請求項35及び36のいずれか一項に記載の染色組成物を、乾燥したもしくは湿った繊維に適用し、最終的な濯ぎを行わない、ケラチン繊維の染色方法。
【請求項38】
請求項35及び36のいずれか一項に記載の染色組成物を、乾燥したもしくは湿った繊維に発色に十分な時間に亘って適用し、その後前記繊維を濯ぎ、且つ/またはシャンプーで洗浄する、ケラチン繊維の染色方法。

【公開番号】特開2006−45226(P2006−45226A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−213262(P2005−213262)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】