カッタヘッドおよびローラカッタおよび改築推進工法
【課題】 鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径管推進機によって新設管に更新する際、上記既設管を確実に破砕し、既設管の更新を支障なく実施し得るカッタヘッド、ローラカッタ、および改築推進工法を提供する。
【解決手段】 カッタヘッドは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであり、該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様でローラカッタの刃先面を傾斜させている。 ローラカッタは、上記カッタヘッドに設けられるローラカッタであり、設置された状態において、カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で刃先面を傾斜させている。 改築推進工法は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新するものであり、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、上記カッタヘッドを備えた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設する。
【解決手段】 カッタヘッドは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであり、該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様でローラカッタの刃先面を傾斜させている。 ローラカッタは、上記カッタヘッドに設けられるローラカッタであり、設置された状態において、カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で刃先面を傾斜させている。 改築推進工法は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新するものであり、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、上記カッタヘッドを備えた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小口径管推進機の先導体におけるカッタヘッドの構造、上記先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの形状、および小口径管推進機を用いた改築推進工法の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水用の鉄筋コンクリート管等、地中に埋設された既設管が老朽化した場合に、この既設管を新設管に敷設替え(更新)する方法として、小口径管推進機を用いた改築推進工法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この改築推進工法は、図25に示す如く、既設管(鉄筋コンクリート管)Oの更新区間を挟んで地盤Gに発進立坑Gaと到達立坑Gbとを設け、既設管Oの内部と外周域とにモルタル等の充填材Fを注入して、上記既設管Oの内外を周囲の地盤圧力に近い状態としたのち、小口径管推進機Mの先導体Tにより既設管Oに沿って掘削しつつ、鉄筋コンクリート管やFRP管等から成る新設管Nを、発進立坑Gaに設置した推進装置Pにより推進して敷設するものである。
【0004】
ここで、既設管Oである鉄筋コンクリート管は、管状を呈するコンクリート部の内部に、円筒状に組んだ鉄筋(縦筋とフープ筋)が埋め込まれており、このような構造の鉄筋コンクリート管を破砕するために、コンクリート部の破砕と鉄筋の切断とが可能なカッタヘッドが提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
図26に示したカッタヘッドHにおいては、フラットな面板Haから前方へ突出する態様で複数のローラカッタ、詳しくはディスクカッタCdとスパイラルカッタCsとが設置されており、カッタヘッドHの回転に伴って、上記ディスクカッタCdにより主に礫やコンクリート部を破砕し、かつ上記スパイラルカッタCsにより主に鉄筋コンクリート管の鉄筋を切断している。
【特許文献1】特許第3511429号公報
【特許文献2】特開平10−37680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した如き小口径管推進機を用いた改築推進工法においては、既設管の内部および外周域に充填材としてのモルタルFを注入しているため、施工に際しての準備作業が煩雑なものとなるばかりでなく、施工に関わる諸々のコストが徒らに高騰してしまう問題があった。
【0007】
そこで、上述の如き問題点を解消するべく、既設管の内部にのみ充填材を注入した状態で施工を行う改築推進工法が提案されており、この改築推進工法によれば充填材の注入に伴う準備作業の繁雑化や施工コストの高騰を抑えることが可能となる。
【0008】
しかしながら、既設管の内部にのみ充填材を注入する改築推進工法においては、既設管の端部にローラカッタ(ディスクカッタ、スパイラルカッタ等)を押し付けて破砕する際、図27に示す如く既設管Oの外周域は充填材Fによって拘束されていないため、破砕に伴う亀裂は外周方向に進展し易いものと成り、推進方向に沿って既設管Oの外周へ向かう態様で破砕面Qが傾斜することとなる。
【0009】
このため、破砕面Qから露出した鉄筋Orを切断するべく、図27(b)中の矢印aで示す如くスパイラルカッタCsを既設管Oの端部に押し付けた際、上記鉄筋Orは傾斜した破断面Qに沿って矢印bで示す如く逃げてしまい、この結果、鉄筋Orの切断が困難となるために既設管の敷設替え(更新)に大きな支障を招来する問題があった。
【0010】
上述の如き実状に鑑みて本発明は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機を用いて新設管に更新する際、上記既設管を確実に破砕することを可能とし、もって既設管の更新を支障なく実施し得るカッタヘッド、ローラカッタ、および改築推進工法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するべく、請求項1の発明に関わるカッタヘッドは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであって、該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、ローラカッタの刃先面を傾斜させて成ることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2の発明に関わるカッタヘッドは、請求項1の発明に関わるカッタヘッドにおいて、ローラカッタの刃先面を、カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3の発明に関わるローラカッタは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドに設けられるローラカッタであって、カッタヘッドに設置された状態において、カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、刃先面を傾斜させて成ることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4の発明に関わるローラカッタは、請求項3の発明に関わるローラカッタにおいて、刃先面を、カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項5の発明に関わる改築推進工法は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新する改築推進工法であって、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明に関わるカッタヘッドによれば、ローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明に関わるカッタヘッドによれば、ローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して35°〜45°の角度範囲において傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0018】
請求項3の発明に関わるローラカッタによれば、カッタヘッドに設置された状態においてカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で刃先面を傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0019】
請求項4の発明に関わるローラカッタによれば、刃先面をカッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して35°〜45°の角度範囲において傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0020】
請求項5の発明に関わる改築推進工法によれば、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において記述するローラカッタとは、後述する各実施例からも明らかなように、小口径管推進機におけるカッタヘッドの回転に伴なって切羽(すなわち被掘削面)を転動しながら掘削するカッタと、該カッタを上記カッタヘッドに対して回転自在に支承するサポートとを備えて成るもので、具体的には転動方向に平行に刃が形成されたディスクカッタ、転動方向と直角に刃が形成された歯車カッタ、転動方向に平行でも直角でもなく所定角度傾斜した方向に刃が形成されたスパイラルカッタ等を包含するものである。
【0022】
図1は、小口径管推進機を用いた本発明に関わる改築推進工法の実施例を示しており、図2〜図6は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第1実施例を示している。
【0023】
図1に示す如く、本発明に関わる改築推進工法の実施例は、鉄筋コンクリート管から成る既設管Oの更新区間を挟んで、地盤Gに発進立坑Gaと到達立坑Gbとを設け、既設管Oの内部にのみモルタル等の充填材Fを注入し、上記既設管Oの内部を周囲の地盤圧力に近い状態としたのち、小口径管推進機1の先導体2により既設管Oに沿って掘削しつつ、鉄筋コンクリート管やFRP管等から成る新設管Nを、発進立坑Gaに設置した推進装置3により推進して敷設するものである。
【0024】
ここで、上述した如き改築推進工法においては、モルタル等の充填材Fを既設管Oの外周域へ注入することなく、上記既設管Oの内部にのみ注入すれば事足りるため、施工に際しての準備作業を簡易なものとすることができ、併せて施工に関わる諸々のコストを廉価に抑えることが可能となる。
【0025】
一方、上述した改築推進工法において使用される、小口径管推進機1の先導体2に装備されたカッタヘッド10には、図2〜図6に示す如く、ボディー10Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)11、11、12、12、13、13、14、14がボルトにより装着されているとともに、ボディー10Aの前方縁部に所定個数のカッタビット15、15…がボルトにより装着されている。
【0026】
ここで、上記スパイラルカッタ11、12は、それぞれ傘形状を呈するカッタ11Aと該カッタ11Aを回転自在に支承するサポート11B、および傘形状を呈するカッタ12Aと該カッタ12Aを回転自在に支承するサポート12Bとを有するアッセンブリである。
【0027】
また、上記スパイラルカッタ13、14は、それぞれ円筒形状を呈するカッタ13Aと該カッタ13Aを回転自在に支承するサポート13B、および円筒形状を呈するカッタ14Aと該カッタ14Aを回転自在に支承するサポート14Bとを有するアッセンブリである。
【0028】
なお、カッタ11A、12A、13A、14Aには、図3〜図6に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0029】
上述した一対のスパイラルカッタ11、11は、図3および図4に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い互いに同一の軌跡に沿って旋回移動する。
【0030】
さらに、個々のスパイラルカッタ11においては、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ11Aの刃先面11tが傾斜しており、具体的にはカッタヘッド10の中心軸o−oと直交する基準面fに対し、35°〜45°の角度範囲αにおいて刃先面11tが傾斜している。
【0031】
また、一対のスパイラルカッタ12、12は、図3および図5に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い、上述したスパイラルカッタ11の軌跡よりも内方の軌跡に沿って旋回移動する。
【0032】
さらに、個々のスパイラルカッタ12においては、上述したスパイラルカッタ11と同じく、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ12Aの刃先面12tが傾斜しており、この刃先面12tは上記スパイラルカッタ11の刃先面11tを含む面tに沿って傾斜している。
【0033】
また、一対のスパイラルカッタ13、13は、図3および図6に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い、上述したスパイラルカッタ12の軌跡よりも更に内方の軌跡に沿って旋回移動する。
【0034】
さらに、個々のスパイラルカッタ13においては、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ13Aの刃先面13tが傾斜しており、この刃先面13tは、上記スパイラルカッタ11の刃先面11t、および上記スパイラルカッタ12の刃先面12tを含む面tに沿って傾斜している。
【0035】
また、一対のスパイラルカッタ14、14は、図3〜図5に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んで設置されており、個々のスパイラルカッタ14におけるカッタ14の刃先面14tは、カッタヘッド10の中心軸o−oと直交する面に沿って位置している。
【0036】
施工に際して上記構成のカッタヘッド10が回転すると、上述した一対のスパイラルカッタ11、11、および一対のスパイラルカッタ12、12によって、図7に示す如く既設管Oのコンクリート部Ocが破砕されるとともに、一対のスパイラルカッタ13、13、および一対のスパイラルカッタ14、14によって、既設管Oの内部に注入されて固化した充填材Fが破砕される。なお、図7においては、カッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11のみを図示している。
【0037】
既設管Oにおけるコンクリート部Ocの端部に、スパイラルカッタ11およびスパイラルカッタ12を押し付けて破砕する際、上記既設管Oの外周域は充填材Fによって拘束されていないため、破砕面Qはカッタヘッド10の推進方向に沿って既設管Oの外周へ向かう態様で、既設管Oの中心軸と直交する面に対して約40°ほど傾斜することとなる。
【0038】
これに対して、上述した如くスパイラルカッタ11の刃先面11t、およびスパイラルカッタ12の刃先面12tは、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様で、具体的にはカッタヘッド10の中心軸o−oと直交する基準面fに対して35°〜45°の角度範囲αで傾斜しているので、図8中の矢印aで示すようにスパイラルカッタ11(およびスパイラルカッタ12)を既設管Oの破砕面Qに押し付けた際、破砕面Qから露出した鉄筋Orが破砕面Qに沿って逃げることがない。
【0039】
また、スパイラルカッタ11(およびスパイラルカッタ12)を押し付けた際、鉄筋Orに作用する合力は図8中の矢印bで示すように破砕面Qと直角な方向となるが、既設管Oの内部における充填材Fによって十分な反力を取ることができるため、上記鉄筋Orは確実に切断されることとなり、もって既設管Oの敷設替え(更新)がスムーズに実施されることとなる。
【0040】
なお、上述したカッタヘッド10は、例えば呼び径500mm前後の大径の既設管Oを、同じ管径の新設管Nに更新する際に使用されるものであって、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等の混入がなく、また既設管Oに破損がないため充填材Fに礫等が混入していない等、極めて良好な施工条件において使用されるものである。
【0041】
図9〜図12は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第2実施例を示しており、このカッタへッド20には、ボディー20Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)21S、22S、23S、24Sと、歯車カッタ(ローラカッタ)21G、22G、23G、24Gとがボルトにより装着されているとともに、ボディー20Aの前方縁部に所定個数のカッタビット25、25…がボルトにより装着されている。
【0042】
ここで、上記スパイラルカッタ21S、22Sは、それぞれ傘形状を呈する螺旋歯のカッタ21Saと該カッタ21Saを回転自在に支承するサポート21Sb、および傘形状を呈する螺旋歯のカッタ22Saと該カッタ22Saを回転自在に支承するサポート22Sbとを有するアッセンブリである。
【0043】
また、上記歯車カッタ21G、22Gは、それぞれ傘形状を呈する直歯のカッタ21Gaと該カッタ21Gaを回転自在に支承するサポート21Gb、および傘形状を呈する直歯のカッタ22Gaと該カッタ22Gaを回転自在に支承するサポート22Gbとを有するアッセンブリである。
【0044】
また、上記スパイラルカッタ23S、24Sは、それぞれ円筒形状を呈する螺旋歯のカッタ23Saと該カッタ23Saを回転自在に支承するサポート23Sb、および円筒形状を呈する螺旋歯のカッタ24Saと該カッタ24Saを回転自在に支承するサポート24Sbとを有するアッセンブリである。
【0045】
また、上記歯車カッタ23G、24Gは、それぞれ円筒形状を呈する直歯のカッタ23Gaと該カッタ23Gaを回転自在に支承するサポート23Gb、および円筒形状を呈する直歯のカッタ24Gaと該カッタ24Gaを回転自在に支承するサポート24Gbとを有するアッセンブリである。
【0046】
なお、カッタ21Sa、21Ga、22Sa、22Ga、23Sa、23Ga、24Sa、24Gaには、図9〜図12に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0047】
ここで、図9〜図12に示したカッタヘッド20は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11、11の一方、スパイラルカッタ12、12の一方、スパイラルカッタ13、13の一方、およびスパイラルカッタ14、14の一方を、スパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0048】
これにより、上述した構成のカッタヘッド20よれば、第1実施例のカッタヘッド10と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施し得ることと併せ、ローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも製作コスト(加工費)の安価な直歯の歯車カッタを採用したことで、カッタヘッドにおける製造コスト、延いては施工に関わるコストの可及的な低減を達成することが可能となる。
【0049】
図13〜図16は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第3実施例を示しており、このカッタへッド30には、ボディー30Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)31S、32S、33S、34Sと、ディスクカッタ(ローラカッタ)31D、32D、33D、34Dとがボルトにより装着されているとともに、ボディー30Aの前方縁部に所定個数のカッタビット35、35…がボルトにより装着されている。
【0050】
ここで、上記スパイラルカッタ31S、32Sは、それぞれ傘形状を呈するカッタ31Saと該カッタ31Saを回転自在に支承するサポート31Sb、および傘形状を呈するカッタ32Saと該カッタ32Saを回転自在に支承するサポート32Sbとを有するアッセンブリである。
【0051】
また、上記ディスクカッタ31D、32Dは、それぞれ傘形状を呈するカッタ31Daと該カッタ31Daを回転自在に支承するサポート31Db、および傘形状を呈するカッタ32Daと該カッタ32Daを回転自在に支承するサポート32Dbとを有するアッセンブリである。
【0052】
また、上記スパイラルカッタ33S、34Sは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ33Saと該カッタ33Saを回転自在に支承するサポート33Sb、および円筒形状を呈するカッタ34Saと該カッタ34Saを回転自在に支承するサポート34Sbとを有するアッセンブリである。
【0053】
また、上記ディスクカッタ33D、34Dは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ33Daと該カッタ33Daを回転自在に支承するサポート33Db、および円筒形状を呈するカッタ34Daと該カッタ34Daを回転自在に支承するサポート34Dbとを有するアッセンブリである。
【0054】
なお、カッタ31Sa、31Da、32Sa、32Da、33Sa、33Da、34Sa、34Daには、図13〜図16に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0055】
ここで、図13〜図16に示したカッタヘッド30は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11、11の一方、スパイラルカッタ12、12の一方、スパイラルカッタ13、13の一方、およびスパイラルカッタ14、14の一方を、スパイラルカッタに換えてディスクカッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えてディスクカッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0056】
これにより、上述した構成のカッタヘッド30よれば、第1実施例のカッタヘッド10と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0057】
なお、上述したカッタヘッド30は、例えば呼び径500mm前後の大径の既設管Oを、同じ管径の新設管Nに更新する際に使用されるものであり、またローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも礫等の破砕性能に優れたディスクカッタッタを採用したことで、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等が混入しており、また既設管Oが破損しているために充填材Fに礫等が混入している等、極めて劣悪な施工条件において有効に使用されるものである。
【0058】
図17〜図20は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第4実施例を示しており、このカッタへッド40には、ボディー40Aの前方に露呈する態様で、歯車カッタ(ローラカッタ)41G、42G、43G、44Gと、ディスクカッタ(ローラカッタ)41D、42D、43D、44Dとがボルトにより装着されているとともに、ボディー40Aの前方縁部に所定個数のカッタビット45、45…がボルトにより装着されている。
【0059】
ここで、上記歯車カッタ41G、42Gは、それぞれ傘形状を呈する直歯のカッタ41Gaと該カッタ41Gaを回転自在に支承するサポート41Gb、および傘形状を呈する直歯のカッタ42Gaと該カッタ42Gaを回転自在に支承するサポート42Gbとを有するアッセンブリである。
【0060】
また、上記ディスクカッタ41D、42Dは、それぞれ傘形状を呈するカッタ41Daと該カッタ41Daを回転自在に支承するサポート41Db、および傘形状を呈するカッタ42Daと該カッタ42Daを回転自在に支承するサポート42Dbとを有するアッセンブリである。
【0061】
また、上記歯車カッタ43G、44Gは、それぞれ円筒形状を呈する直歯のカッタ43Gaと該カッタ43Gaを回転自在に支承するサポート43Gb、および円筒形状を呈する直歯のカッタ44Gaと該カッタ44Gaを回転自在に支承するサポート44Gbとを有するアッセンブリである。
【0062】
また、上記ディスクカッタ43D、44Dは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ43Daと該カッタ43Daを回転自在に支承するサポート43Db、および円筒形状を呈するカッタ44Daと該カッタ44Daを回転自在に支承するサポート44Dbとを有するアッセンブリである。
【0063】
なお、カッタ41Ga、41Da、42Ga、42Da、43Ga、43Da44Ga、44Daには、図17〜図20に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0064】
ここで、図17〜図20に示したカッタへッド40は、図13〜図16に示した第3実施例のカッタヘッド30におけるスパイラルカッタ(ローラカッタ)31S、32S、33S、34Sを、それぞれ直歯の歯車カッタ(ローラカッタ)41G、42G、43G、44Gとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタを採用した以外の構成は、先に説明した第4実施例のカッタヘッド40と何ら変わるところはない。
【0065】
これにより、上述した構成のカッタヘッド40によれば、第3実施例のカッタヘッド30と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施し得ることと併せ、ローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも製作コスト(加工費)の安価な直歯の歯車カッタを採用したことで、カッタヘッドにおける製造コスト、延いては施工に関わるコストの可及的な低減を達成することが可能となる。
【0066】
図21〜図24は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第5実施例を示しており、このカッタへッド50には、ボディー50Aの前方に露呈する態様で、ディスクカッタ(ローラカッタ)51、51、52、52、54、54と、スパイラルカッタ(ローラカッタ)53、53とがボルトにより装着されているとともに、ボディー50Aの前方縁部に所定個数のカッタビット55、55…がボルトにより装着されている。
【0067】
ここで、上記ディスクカッタ51、52は、それぞれ傘形状を呈するカッタ51aと該カッタ51aを回転自在に支承するサポート51b、および傘形状を呈するカッタ52aと該カッタ52aを回転自在に支承するサポート52bとを有するアッセンブリである。
【0068】
また、上記スパイラルカッタ53は、円筒形状を呈するカッタ53aと該カッタ53aを回転自在に支承するサポート53bとを有するアッセンブリである。
【0069】
また、上記ディスクカッタ54は、円筒形状を呈するカッタ54aと該カッタ54aを回転自在に支承するサポート54bとを有するアッセンブリである。
【0070】
なお、カッタ51a、52a、53a、54aには、図21〜図24に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0071】
ここで、図21〜図24に示したカッタヘッド50は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10における、一対のスパイラルカッタ13、13以外を、スパイラルカッタに換えてディスクカッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えてディスクカッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0072】
なお、上述したカッタヘッド50は、例えば呼び径250mm前後の小径の既設管Oを、呼び径500mm前後の大径の新設管Nに更新する際に使用されるものであり、一対のスパイラルカッタ53、53によって既設管Oを破砕するとともに、ディスクカッタ51、52、54によって既設管Oの外部と内部とを破砕するものである。
【0073】
さらに、一対のスパイラルカッタ53、53以外を、礫等の破砕性能に優れたディスクカッタとしたことから明らかなように、上記カッタヘッド50は、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等が混入しており、また既設管Oが破損しているために充填材Fに礫等が混入している等、極めて劣悪な施工条件において有効に使用されるものである。
【0074】
施工に際して上記構成のカッタヘッド50が回転すると、上述した一対のスパイラルカッタ53、53によって、図24に示す如く既設管Oのコンクリート部Ocが破砕され、その破砕面は上述した如く既設管Oの中心軸と直交する面に対して約40°傾斜するが、上記スパイラルカッタ53の刃先面53tが基準面fに対して35°〜45°の角度範囲αで傾斜しているため、スパイラルカッタ53を既設管Oの破砕面に押し付けた際、鉄筋Orが破砕面に沿って逃げることなく確実に切断されることとなり、もって既設管Oの敷設替え(更新)がスムーズに実施されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に関わる改築推進工法の一実施例を示す概念図。
【図2】本発明に関わるカッタヘッドの第1実施例を示す外観斜視図。
【図3】本発明に関わるカッタヘッドの第1実施例を示す正面図。
【図4】図3中のA−A線断面図。
【図5】図3中のB−B線断面図。
【図6】図3中のC−C線断面図。
【図7】本発明に関わるカッタヘッドによる既設管の破砕状況を示す概念図。
【図8】本発明に関わるカッタヘッドによる既設管の破砕状況を示す概念図。
【図9】本発明に関わるカッタヘッドの第2実施例を示す正面図。
【図10】図9中のA−A線断面図。
【図11】図9中のB−B線断面図。
【図12】図9中のC−C線断面図。
【図13】本発明に関わるカッタヘッドの第3実施例を示す正面図。
【図14】図13中のA−A線断面図。
【図15】図13中のB−B線断面図。
【図16】図13中のC−C線断面図。
【図17】本発明に関わるカッタヘッドの第4実施例を示す正面図。
【図18】図17中のA−A線断面図。
【図19】図17中のB−B線断面図。
【図20】図17中のC−C線断面図。
【図21】本発明に関わるカッタヘッドの第5実施例を示す正面図。
【図22】図21中のA−A線断面図。
【図23】図21中のB−B線断面図。
【図24】図21中のC−C線断面図。
【図25】従来の小口径管推進機を用いた改築推進工法を示す概念図。
【図26】(a)および(b)は、従来の小口径管推進機における先導体を示す側面図および正面図。
【図27】(a)および(b)は、従来の改築推進工法による既設管の破砕状況を示す概念図。
【符号の説明】
【0076】
1…小口径管推進機、
2…先導体、
3…推進装置、
10、20、30、40、50…カッタヘッド、
11、12、21S、22S、
31S、32S、53…スパイラルカッタ(ローラカッタ)、
21G、22G、41G、42G…歯車カッタ(ローラカッタ)、
11t、12t、21t、22t、
31t、32t、41t、42t、53t…刃先面、
O…既設管(鉄筋コンクリート管)、
Oc…コンクリート部、
Or…鉄筋、
Q…破砕面、
N…新設管、
G…地盤、
F…充填材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、小口径管推進機の先導体におけるカッタヘッドの構造、上記先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの形状、および小口径管推進機を用いた改築推進工法の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水用の鉄筋コンクリート管等、地中に埋設された既設管が老朽化した場合に、この既設管を新設管に敷設替え(更新)する方法として、小口径管推進機を用いた改築推進工法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この改築推進工法は、図25に示す如く、既設管(鉄筋コンクリート管)Oの更新区間を挟んで地盤Gに発進立坑Gaと到達立坑Gbとを設け、既設管Oの内部と外周域とにモルタル等の充填材Fを注入して、上記既設管Oの内外を周囲の地盤圧力に近い状態としたのち、小口径管推進機Mの先導体Tにより既設管Oに沿って掘削しつつ、鉄筋コンクリート管やFRP管等から成る新設管Nを、発進立坑Gaに設置した推進装置Pにより推進して敷設するものである。
【0004】
ここで、既設管Oである鉄筋コンクリート管は、管状を呈するコンクリート部の内部に、円筒状に組んだ鉄筋(縦筋とフープ筋)が埋め込まれており、このような構造の鉄筋コンクリート管を破砕するために、コンクリート部の破砕と鉄筋の切断とが可能なカッタヘッドが提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
図26に示したカッタヘッドHにおいては、フラットな面板Haから前方へ突出する態様で複数のローラカッタ、詳しくはディスクカッタCdとスパイラルカッタCsとが設置されており、カッタヘッドHの回転に伴って、上記ディスクカッタCdにより主に礫やコンクリート部を破砕し、かつ上記スパイラルカッタCsにより主に鉄筋コンクリート管の鉄筋を切断している。
【特許文献1】特許第3511429号公報
【特許文献2】特開平10−37680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した如き小口径管推進機を用いた改築推進工法においては、既設管の内部および外周域に充填材としてのモルタルFを注入しているため、施工に際しての準備作業が煩雑なものとなるばかりでなく、施工に関わる諸々のコストが徒らに高騰してしまう問題があった。
【0007】
そこで、上述の如き問題点を解消するべく、既設管の内部にのみ充填材を注入した状態で施工を行う改築推進工法が提案されており、この改築推進工法によれば充填材の注入に伴う準備作業の繁雑化や施工コストの高騰を抑えることが可能となる。
【0008】
しかしながら、既設管の内部にのみ充填材を注入する改築推進工法においては、既設管の端部にローラカッタ(ディスクカッタ、スパイラルカッタ等)を押し付けて破砕する際、図27に示す如く既設管Oの外周域は充填材Fによって拘束されていないため、破砕に伴う亀裂は外周方向に進展し易いものと成り、推進方向に沿って既設管Oの外周へ向かう態様で破砕面Qが傾斜することとなる。
【0009】
このため、破砕面Qから露出した鉄筋Orを切断するべく、図27(b)中の矢印aで示す如くスパイラルカッタCsを既設管Oの端部に押し付けた際、上記鉄筋Orは傾斜した破断面Qに沿って矢印bで示す如く逃げてしまい、この結果、鉄筋Orの切断が困難となるために既設管の敷設替え(更新)に大きな支障を招来する問題があった。
【0010】
上述の如き実状に鑑みて本発明は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機を用いて新設管に更新する際、上記既設管を確実に破砕することを可能とし、もって既設管の更新を支障なく実施し得るカッタヘッド、ローラカッタ、および改築推進工法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するべく、請求項1の発明に関わるカッタヘッドは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであって、該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、ローラカッタの刃先面を傾斜させて成ることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2の発明に関わるカッタヘッドは、請求項1の発明に関わるカッタヘッドにおいて、ローラカッタの刃先面を、カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3の発明に関わるローラカッタは、小口径管推進機における先導体のカッタヘッドに設けられるローラカッタであって、カッタヘッドに設置された状態において、カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、刃先面を傾斜させて成ることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4の発明に関わるローラカッタは、請求項3の発明に関わるローラカッタにおいて、刃先面を、カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項5の発明に関わる改築推進工法は、鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新する改築推進工法であって、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明に関わるカッタヘッドによれば、ローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明に関わるカッタヘッドによれば、ローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して35°〜45°の角度範囲において傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0018】
請求項3の発明に関わるローラカッタによれば、カッタヘッドに設置された状態においてカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で刃先面を傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0019】
請求項4の発明に関わるローラカッタによれば、刃先面をカッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して35°〜45°の角度範囲において傾斜させたことで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0020】
請求項5の発明に関わる改築推進工法によれば、既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面をカッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、既設管を充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することで、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋をローラカッタにより切断することができ、もって既設管を確実に破砕し得るために既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において記述するローラカッタとは、後述する各実施例からも明らかなように、小口径管推進機におけるカッタヘッドの回転に伴なって切羽(すなわち被掘削面)を転動しながら掘削するカッタと、該カッタを上記カッタヘッドに対して回転自在に支承するサポートとを備えて成るもので、具体的には転動方向に平行に刃が形成されたディスクカッタ、転動方向と直角に刃が形成された歯車カッタ、転動方向に平行でも直角でもなく所定角度傾斜した方向に刃が形成されたスパイラルカッタ等を包含するものである。
【0022】
図1は、小口径管推進機を用いた本発明に関わる改築推進工法の実施例を示しており、図2〜図6は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第1実施例を示している。
【0023】
図1に示す如く、本発明に関わる改築推進工法の実施例は、鉄筋コンクリート管から成る既設管Oの更新区間を挟んで、地盤Gに発進立坑Gaと到達立坑Gbとを設け、既設管Oの内部にのみモルタル等の充填材Fを注入し、上記既設管Oの内部を周囲の地盤圧力に近い状態としたのち、小口径管推進機1の先導体2により既設管Oに沿って掘削しつつ、鉄筋コンクリート管やFRP管等から成る新設管Nを、発進立坑Gaに設置した推進装置3により推進して敷設するものである。
【0024】
ここで、上述した如き改築推進工法においては、モルタル等の充填材Fを既設管Oの外周域へ注入することなく、上記既設管Oの内部にのみ注入すれば事足りるため、施工に際しての準備作業を簡易なものとすることができ、併せて施工に関わる諸々のコストを廉価に抑えることが可能となる。
【0025】
一方、上述した改築推進工法において使用される、小口径管推進機1の先導体2に装備されたカッタヘッド10には、図2〜図6に示す如く、ボディー10Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)11、11、12、12、13、13、14、14がボルトにより装着されているとともに、ボディー10Aの前方縁部に所定個数のカッタビット15、15…がボルトにより装着されている。
【0026】
ここで、上記スパイラルカッタ11、12は、それぞれ傘形状を呈するカッタ11Aと該カッタ11Aを回転自在に支承するサポート11B、および傘形状を呈するカッタ12Aと該カッタ12Aを回転自在に支承するサポート12Bとを有するアッセンブリである。
【0027】
また、上記スパイラルカッタ13、14は、それぞれ円筒形状を呈するカッタ13Aと該カッタ13Aを回転自在に支承するサポート13B、および円筒形状を呈するカッタ14Aと該カッタ14Aを回転自在に支承するサポート14Bとを有するアッセンブリである。
【0028】
なお、カッタ11A、12A、13A、14Aには、図3〜図6に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0029】
上述した一対のスパイラルカッタ11、11は、図3および図4に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い互いに同一の軌跡に沿って旋回移動する。
【0030】
さらに、個々のスパイラルカッタ11においては、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ11Aの刃先面11tが傾斜しており、具体的にはカッタヘッド10の中心軸o−oと直交する基準面fに対し、35°〜45°の角度範囲αにおいて刃先面11tが傾斜している。
【0031】
また、一対のスパイラルカッタ12、12は、図3および図5に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い、上述したスパイラルカッタ11の軌跡よりも内方の軌跡に沿って旋回移動する。
【0032】
さらに、個々のスパイラルカッタ12においては、上述したスパイラルカッタ11と同じく、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ12Aの刃先面12tが傾斜しており、この刃先面12tは上記スパイラルカッタ11の刃先面11tを含む面tに沿って傾斜している。
【0033】
また、一対のスパイラルカッタ13、13は、図3および図6に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んだ対称位置に設置され、カッタヘッド10の回転に伴い、上述したスパイラルカッタ12の軌跡よりも更に内方の軌跡に沿って旋回移動する。
【0034】
さらに、個々のスパイラルカッタ13においては、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様でカッタ13Aの刃先面13tが傾斜しており、この刃先面13tは、上記スパイラルカッタ11の刃先面11t、および上記スパイラルカッタ12の刃先面12tを含む面tに沿って傾斜している。
【0035】
また、一対のスパイラルカッタ14、14は、図3〜図5に示す如く、カッタヘッド10の中心軸o−oを挟んで設置されており、個々のスパイラルカッタ14におけるカッタ14の刃先面14tは、カッタヘッド10の中心軸o−oと直交する面に沿って位置している。
【0036】
施工に際して上記構成のカッタヘッド10が回転すると、上述した一対のスパイラルカッタ11、11、および一対のスパイラルカッタ12、12によって、図7に示す如く既設管Oのコンクリート部Ocが破砕されるとともに、一対のスパイラルカッタ13、13、および一対のスパイラルカッタ14、14によって、既設管Oの内部に注入されて固化した充填材Fが破砕される。なお、図7においては、カッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11のみを図示している。
【0037】
既設管Oにおけるコンクリート部Ocの端部に、スパイラルカッタ11およびスパイラルカッタ12を押し付けて破砕する際、上記既設管Oの外周域は充填材Fによって拘束されていないため、破砕面Qはカッタヘッド10の推進方向に沿って既設管Oの外周へ向かう態様で、既設管Oの中心軸と直交する面に対して約40°ほど傾斜することとなる。
【0038】
これに対して、上述した如くスパイラルカッタ11の刃先面11t、およびスパイラルカッタ12の刃先面12tは、カッタヘッド10の中心から径外方向へ行くに従って前方へ迫り出す態様で、具体的にはカッタヘッド10の中心軸o−oと直交する基準面fに対して35°〜45°の角度範囲αで傾斜しているので、図8中の矢印aで示すようにスパイラルカッタ11(およびスパイラルカッタ12)を既設管Oの破砕面Qに押し付けた際、破砕面Qから露出した鉄筋Orが破砕面Qに沿って逃げることがない。
【0039】
また、スパイラルカッタ11(およびスパイラルカッタ12)を押し付けた際、鉄筋Orに作用する合力は図8中の矢印bで示すように破砕面Qと直角な方向となるが、既設管Oの内部における充填材Fによって十分な反力を取ることができるため、上記鉄筋Orは確実に切断されることとなり、もって既設管Oの敷設替え(更新)がスムーズに実施されることとなる。
【0040】
なお、上述したカッタヘッド10は、例えば呼び径500mm前後の大径の既設管Oを、同じ管径の新設管Nに更新する際に使用されるものであって、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等の混入がなく、また既設管Oに破損がないため充填材Fに礫等が混入していない等、極めて良好な施工条件において使用されるものである。
【0041】
図9〜図12は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第2実施例を示しており、このカッタへッド20には、ボディー20Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)21S、22S、23S、24Sと、歯車カッタ(ローラカッタ)21G、22G、23G、24Gとがボルトにより装着されているとともに、ボディー20Aの前方縁部に所定個数のカッタビット25、25…がボルトにより装着されている。
【0042】
ここで、上記スパイラルカッタ21S、22Sは、それぞれ傘形状を呈する螺旋歯のカッタ21Saと該カッタ21Saを回転自在に支承するサポート21Sb、および傘形状を呈する螺旋歯のカッタ22Saと該カッタ22Saを回転自在に支承するサポート22Sbとを有するアッセンブリである。
【0043】
また、上記歯車カッタ21G、22Gは、それぞれ傘形状を呈する直歯のカッタ21Gaと該カッタ21Gaを回転自在に支承するサポート21Gb、および傘形状を呈する直歯のカッタ22Gaと該カッタ22Gaを回転自在に支承するサポート22Gbとを有するアッセンブリである。
【0044】
また、上記スパイラルカッタ23S、24Sは、それぞれ円筒形状を呈する螺旋歯のカッタ23Saと該カッタ23Saを回転自在に支承するサポート23Sb、および円筒形状を呈する螺旋歯のカッタ24Saと該カッタ24Saを回転自在に支承するサポート24Sbとを有するアッセンブリである。
【0045】
また、上記歯車カッタ23G、24Gは、それぞれ円筒形状を呈する直歯のカッタ23Gaと該カッタ23Gaを回転自在に支承するサポート23Gb、および円筒形状を呈する直歯のカッタ24Gaと該カッタ24Gaを回転自在に支承するサポート24Gbとを有するアッセンブリである。
【0046】
なお、カッタ21Sa、21Ga、22Sa、22Ga、23Sa、23Ga、24Sa、24Gaには、図9〜図12に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0047】
ここで、図9〜図12に示したカッタヘッド20は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11、11の一方、スパイラルカッタ12、12の一方、スパイラルカッタ13、13の一方、およびスパイラルカッタ14、14の一方を、スパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0048】
これにより、上述した構成のカッタヘッド20よれば、第1実施例のカッタヘッド10と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施し得ることと併せ、ローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも製作コスト(加工費)の安価な直歯の歯車カッタを採用したことで、カッタヘッドにおける製造コスト、延いては施工に関わるコストの可及的な低減を達成することが可能となる。
【0049】
図13〜図16は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第3実施例を示しており、このカッタへッド30には、ボディー30Aの前方に露呈する態様で、スパイラルカッタ(ローラカッタ)31S、32S、33S、34Sと、ディスクカッタ(ローラカッタ)31D、32D、33D、34Dとがボルトにより装着されているとともに、ボディー30Aの前方縁部に所定個数のカッタビット35、35…がボルトにより装着されている。
【0050】
ここで、上記スパイラルカッタ31S、32Sは、それぞれ傘形状を呈するカッタ31Saと該カッタ31Saを回転自在に支承するサポート31Sb、および傘形状を呈するカッタ32Saと該カッタ32Saを回転自在に支承するサポート32Sbとを有するアッセンブリである。
【0051】
また、上記ディスクカッタ31D、32Dは、それぞれ傘形状を呈するカッタ31Daと該カッタ31Daを回転自在に支承するサポート31Db、および傘形状を呈するカッタ32Daと該カッタ32Daを回転自在に支承するサポート32Dbとを有するアッセンブリである。
【0052】
また、上記スパイラルカッタ33S、34Sは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ33Saと該カッタ33Saを回転自在に支承するサポート33Sb、および円筒形状を呈するカッタ34Saと該カッタ34Saを回転自在に支承するサポート34Sbとを有するアッセンブリである。
【0053】
また、上記ディスクカッタ33D、34Dは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ33Daと該カッタ33Daを回転自在に支承するサポート33Db、および円筒形状を呈するカッタ34Daと該カッタ34Daを回転自在に支承するサポート34Dbとを有するアッセンブリである。
【0054】
なお、カッタ31Sa、31Da、32Sa、32Da、33Sa、33Da、34Sa、34Daには、図13〜図16に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0055】
ここで、図13〜図16に示したカッタヘッド30は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10におけるスパイラルカッタ11、11の一方、スパイラルカッタ12、12の一方、スパイラルカッタ13、13の一方、およびスパイラルカッタ14、14の一方を、スパイラルカッタに換えてディスクカッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えてディスクカッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0056】
これにより、上述した構成のカッタヘッド30よれば、第1実施例のカッタヘッド10と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施することが可能となる。
【0057】
なお、上述したカッタヘッド30は、例えば呼び径500mm前後の大径の既設管Oを、同じ管径の新設管Nに更新する際に使用されるものであり、またローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも礫等の破砕性能に優れたディスクカッタッタを採用したことで、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等が混入しており、また既設管Oが破損しているために充填材Fに礫等が混入している等、極めて劣悪な施工条件において有効に使用されるものである。
【0058】
図17〜図20は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第4実施例を示しており、このカッタへッド40には、ボディー40Aの前方に露呈する態様で、歯車カッタ(ローラカッタ)41G、42G、43G、44Gと、ディスクカッタ(ローラカッタ)41D、42D、43D、44Dとがボルトにより装着されているとともに、ボディー40Aの前方縁部に所定個数のカッタビット45、45…がボルトにより装着されている。
【0059】
ここで、上記歯車カッタ41G、42Gは、それぞれ傘形状を呈する直歯のカッタ41Gaと該カッタ41Gaを回転自在に支承するサポート41Gb、および傘形状を呈する直歯のカッタ42Gaと該カッタ42Gaを回転自在に支承するサポート42Gbとを有するアッセンブリである。
【0060】
また、上記ディスクカッタ41D、42Dは、それぞれ傘形状を呈するカッタ41Daと該カッタ41Daを回転自在に支承するサポート41Db、および傘形状を呈するカッタ42Daと該カッタ42Daを回転自在に支承するサポート42Dbとを有するアッセンブリである。
【0061】
また、上記歯車カッタ43G、44Gは、それぞれ円筒形状を呈する直歯のカッタ43Gaと該カッタ43Gaを回転自在に支承するサポート43Gb、および円筒形状を呈する直歯のカッタ44Gaと該カッタ44Gaを回転自在に支承するサポート44Gbとを有するアッセンブリである。
【0062】
また、上記ディスクカッタ43D、44Dは、それぞれ円筒形状を呈するカッタ43Daと該カッタ43Daを回転自在に支承するサポート43Db、および円筒形状を呈するカッタ44Daと該カッタ44Daを回転自在に支承するサポート44Dbとを有するアッセンブリである。
【0063】
なお、カッタ41Ga、41Da、42Ga、42Da、43Ga、43Da44Ga、44Daには、図17〜図20に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0064】
ここで、図17〜図20に示したカッタへッド40は、図13〜図16に示した第3実施例のカッタヘッド30におけるスパイラルカッタ(ローラカッタ)31S、32S、33S、34Sを、それぞれ直歯の歯車カッタ(ローラカッタ)41G、42G、43G、44Gとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えて直歯の歯車カッタを採用した以外の構成は、先に説明した第4実施例のカッタヘッド40と何ら変わるところはない。
【0065】
これにより、上述した構成のカッタヘッド40によれば、第3実施例のカッタヘッド30と同様、鉄筋コンクリート管から成る既設管の破砕面が傾斜した場合であっても、上記破砕面から露呈した鉄筋を確実に切断することができ、もって既設管の更新を支障なく実施し得ることと併せ、ローラカッタの一部にスパイラルカッタよりも製作コスト(加工費)の安価な直歯の歯車カッタを採用したことで、カッタヘッドにおける製造コスト、延いては施工に関わるコストの可及的な低減を達成することが可能となる。
【0066】
図21〜図24は、図1の改築推進工法において使用されるカッタヘッドおよびローラカッタの第5実施例を示しており、このカッタへッド50には、ボディー50Aの前方に露呈する態様で、ディスクカッタ(ローラカッタ)51、51、52、52、54、54と、スパイラルカッタ(ローラカッタ)53、53とがボルトにより装着されているとともに、ボディー50Aの前方縁部に所定個数のカッタビット55、55…がボルトにより装着されている。
【0067】
ここで、上記ディスクカッタ51、52は、それぞれ傘形状を呈するカッタ51aと該カッタ51aを回転自在に支承するサポート51b、および傘形状を呈するカッタ52aと該カッタ52aを回転自在に支承するサポート52bとを有するアッセンブリである。
【0068】
また、上記スパイラルカッタ53は、円筒形状を呈するカッタ53aと該カッタ53aを回転自在に支承するサポート53bとを有するアッセンブリである。
【0069】
また、上記ディスクカッタ54は、円筒形状を呈するカッタ54aと該カッタ54aを回転自在に支承するサポート54bとを有するアッセンブリである。
【0070】
なお、カッタ51a、52a、53a、54aには、図21〜図24に示すように、その転動方向に対して所定角度傾斜した方向に刃が形成されている。
【0071】
ここで、図21〜図24に示したカッタヘッド50は、図2〜図6に示した第1実施例のカッタヘッド10における、一対のスパイラルカッタ13、13以外を、スパイラルカッタに換えてディスクカッタとしたものであり、上述の如くスパイラルカッタに換えてディスクカッタを採用した以外の構成は、先に説明した第1実施例のカッタヘッド10と何ら変わるところはない。
【0072】
なお、上述したカッタヘッド50は、例えば呼び径250mm前後の小径の既設管Oを、呼び径500mm前後の大径の新設管Nに更新する際に使用されるものであり、一対のスパイラルカッタ53、53によって既設管Oを破砕するとともに、ディスクカッタ51、52、54によって既設管Oの外部と内部とを破砕するものである。
【0073】
さらに、一対のスパイラルカッタ53、53以外を、礫等の破砕性能に優れたディスクカッタとしたことから明らかなように、上記カッタヘッド50は、既設管Oの外周域における埋め戻し土に礫や砂利等が混入しており、また既設管Oが破損しているために充填材Fに礫等が混入している等、極めて劣悪な施工条件において有効に使用されるものである。
【0074】
施工に際して上記構成のカッタヘッド50が回転すると、上述した一対のスパイラルカッタ53、53によって、図24に示す如く既設管Oのコンクリート部Ocが破砕され、その破砕面は上述した如く既設管Oの中心軸と直交する面に対して約40°傾斜するが、上記スパイラルカッタ53の刃先面53tが基準面fに対して35°〜45°の角度範囲αで傾斜しているため、スパイラルカッタ53を既設管Oの破砕面に押し付けた際、鉄筋Orが破砕面に沿って逃げることなく確実に切断されることとなり、もって既設管Oの敷設替え(更新)がスムーズに実施されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に関わる改築推進工法の一実施例を示す概念図。
【図2】本発明に関わるカッタヘッドの第1実施例を示す外観斜視図。
【図3】本発明に関わるカッタヘッドの第1実施例を示す正面図。
【図4】図3中のA−A線断面図。
【図5】図3中のB−B線断面図。
【図6】図3中のC−C線断面図。
【図7】本発明に関わるカッタヘッドによる既設管の破砕状況を示す概念図。
【図8】本発明に関わるカッタヘッドによる既設管の破砕状況を示す概念図。
【図9】本発明に関わるカッタヘッドの第2実施例を示す正面図。
【図10】図9中のA−A線断面図。
【図11】図9中のB−B線断面図。
【図12】図9中のC−C線断面図。
【図13】本発明に関わるカッタヘッドの第3実施例を示す正面図。
【図14】図13中のA−A線断面図。
【図15】図13中のB−B線断面図。
【図16】図13中のC−C線断面図。
【図17】本発明に関わるカッタヘッドの第4実施例を示す正面図。
【図18】図17中のA−A線断面図。
【図19】図17中のB−B線断面図。
【図20】図17中のC−C線断面図。
【図21】本発明に関わるカッタヘッドの第5実施例を示す正面図。
【図22】図21中のA−A線断面図。
【図23】図21中のB−B線断面図。
【図24】図21中のC−C線断面図。
【図25】従来の小口径管推進機を用いた改築推進工法を示す概念図。
【図26】(a)および(b)は、従来の小口径管推進機における先導体を示す側面図および正面図。
【図27】(a)および(b)は、従来の改築推進工法による既設管の破砕状況を示す概念図。
【符号の説明】
【0076】
1…小口径管推進機、
2…先導体、
3…推進装置、
10、20、30、40、50…カッタヘッド、
11、12、21S、22S、
31S、32S、53…スパイラルカッタ(ローラカッタ)、
21G、22G、41G、42G…歯車カッタ(ローラカッタ)、
11t、12t、21t、22t、
31t、32t、41t、42t、53t…刃先面、
O…既設管(鉄筋コンクリート管)、
Oc…コンクリート部、
Or…鉄筋、
Q…破砕面、
N…新設管、
G…地盤、
F…充填材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであって、
該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、ローラカッタの刃先面を傾斜させて成ることを特徴とするカッタヘッド。
【請求項2】
前記ローラカッタの刃先面を、前記カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴とする請求項1記載のカッタヘッド。
【請求項3】
小口径管推進機における先導体のカッタヘッドに設けられるローラカッタであって、
前記カッタヘッドに設置された状態において、前記カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、刃先面を傾斜させて成ることを特徴とするローラカッタ。
【請求項4】
前記刃先面を、前記カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴とする請求項3記載のローラカッタ。
【請求項5】
鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新する改築推進工法であって、
前記既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面を前記カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、前記既設管を前記充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することを特徴とする改築推進工法。
【請求項1】
小口径管推進機における先導体のカッタヘッドであって、
該カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、ローラカッタの刃先面を傾斜させて成ることを特徴とするカッタヘッド。
【請求項2】
前記ローラカッタの刃先面を、前記カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴とする請求項1記載のカッタヘッド。
【請求項3】
小口径管推進機における先導体のカッタヘッドに設けられるローラカッタであって、
前記カッタヘッドに設置された状態において、前記カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で、刃先面を傾斜させて成ることを特徴とするローラカッタ。
【請求項4】
前記刃先面を、前記カッタヘッドの中心軸と直交する基準面に対して、35°〜45°の角度範囲において傾斜させて成ることを特徴とする請求項3記載のローラカッタ。
【請求項5】
鉄筋コンクリート管から成る既設管を小口径推進機によって新設管に更新する改築推進工法であって、
前記既設管の内部にのみ充填材を注入するとともに、先導体のカッタヘッドにおけるローラカッタの刃先面を前記カッタヘッドの中心から径外方向へ行く程に前方へ迫り出す態様で傾斜させた小口径管推進機を用い、前記既設管を前記充填材と共に掘削しつつ新設管を敷設することを特徴とする改築推進工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−28870(P2006−28870A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208708(P2004−208708)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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