説明

カットシート処理のための定着挟み込み部を係合および解放するための装置、方法、およびシステム

【課題】カットシートの熱定着処理に関し、定着挟み込み部を係合および解放するための装置、方法を提供する。
【解決手段】定着機器は第1の定着部材110および第2の定着部材120を備え、第1の定着部材110および第2の定着部材120は、第1の定着部材110および第2の定着部材120によって画定される定着挟み込み部130を係合および解放するように移動可能である。定着挟み込み部130は、カットシートが入ること、および出ることに対応するために解放され、カットシートへのマーキング材料像104の温間圧定着に対応するために係合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印刷システムの定着挟み込み部を係合および解放するための装置、方法、およびシステムが開示される。より詳細には、実施形態の装置、方法、およびシステムは、定着システムの挟み込み部の解放および係合に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の印刷システムにおいて、トナーのようなマーキング材料が基材に塗布され、画像を形成する。マーキング材料は、熱融着によって基材に定着されることができる。電子写真印刷において使用されているもののような熱融着装置は通常、高温で、例えば約150℃から約210℃で動作する。トナー粒子同士の結合を促進し、粒子の基材への付着を促進するのにエネルギーが使用される。熱融着に必要とされる高温は、高価で煩雑な冷却設備を必要とする場合がある。このような高温は、基材の選択肢を制限し、例えば、費用および時間のかかる準備、ならびに基材ごとの特有のパラメータの必要性とともに、短い稼働時間の必要性により、有効性を制限する場合もある。
【発明の概要】
【0003】
マーキング材料を基材に温間圧定着させるための定着システム、印刷装置およびシステム、ならびにマーキング材料を基材に定着させる方法が、熱定着に関連付けられる問題に対処する。温間圧定着は、定着挟み込み部における、熱定着プロセスにおいて通常使用されるものよりも著しく低減された温度、および熱定着プロセスにおいて通常使用されるものよりも著しく増大された圧力を使用することを含む。例えば、挟み込み部は、約50℃から約120℃の範囲内の温度まで加熱され得る。マーキング材料をカットシートのような基材へ温間圧定着させるための定着システムにおいて、第1の定着部材および第2の定着部材のうちの少なくとも一方は、圧力を定着挟み込み部において受け取られる基材およびトナーに加えて、トナーを基材に定着させるように動作可能である。トナーを定着させるために定着挟み込み部において加えるための例示的な圧力は、約300psiから約1500psiの範囲内にある。例えば、約400psiから1000psiおよび好ましくは約500psiの範囲内の圧力が、挟み込み部において加えられ得る。範囲は使用されるマーキング材料の種類に応じて変化し得る。
【0004】
温間圧定着技法をカットシート媒体印刷に対応するシステムに組み込むことが望ましい。より具体的には、例えば、温間圧定着ゼログラフィックシステムがカットシート媒体に対応することが望ましい。しかしながら、カットシート媒体は温間圧定着挟み込み部において詰まりやすいことが分かってきている。例えば、直径が約162mmのハードフューザドラム、直径が約70mm径の圧力ロール、および、約500psiから1000psiの挟み込み部に加えられる圧力を有する定着システムでは、媒体は挟み込み部の入り口において、工程方向に対して詰まりやすい。
【0005】
実施形態による装置において、定着機器は、第1の定着部材と、第2の定着部材とを含むことができる。第1の定着部材と第2の定着部材とが、定着挟み込み部を画定する。実施形態において、第1の定着部材および第2の定着部材の少なくとも一方は、第1の定着部材および第2の定着部材を係合および/または解放するように移動可能であり、それぞれ係合された定着挟み込み部および解放された定着挟み込み部を画定する。
【0006】
方法の実施形態において、温間圧定着機器のためのカットシート処理方法は、定着挟み込み部に接近しているカットシートを感知することを含むことができ、定着挟み込み部は第1の定着部材および第2の定着部材によって画定されており、第1の定着部材および第2の定着部材の少なくとも一方は、第1の定着部材および第2の定着部材を係合および解放するように移動可能である。方法は、カットシートが定着挟み込み部に入る前に第1の定着部材および第2の定着部材を解放することと、カットシートが定着挟み込み部に入ると第1の定着部材および第2の定着部材を係合することとを含むことができる。実施形態において、方法は、カットシートが定着挟み込み部を出る前に定着挟み込み部を解放することを含むことができる。
【0007】
システムの実施形態において、カットシート温間圧定着システムは、カットシートを工程方向において搬送するカットシート輸送システムを使用してカットシートを輸送することを含むことができる。システムは、センサを使用してカットシートを検知することを含むことができ、当該センサは、カットシート輸送システムに隣接して配置されることができる。さらに、システムは、定着挟み込み部において、カットシートが挟み込み部に入る前に定着挟み込み部を解放するとともに、カットシートが定着挟み込み部にほぼ入るときに、または入った後に、定着挟み込み部を実質的に係合する定着装置を使用してマーキング材料像をカットシートに温間圧定着させることを含むことができる。さらに、システムは、カットシートが係合された定着挟み込み部を出る前に解放する定着機器を使用して温間圧定着させることを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、定着機器の側面図である。
【図2】図2は、実施形態によるカットシート温間圧定着プロセスの流れ図である。
【図3】図3は、実施形態によるカットシート温間圧定着プロセスの流れ図である。
【図4】図4は、実施形態によるカットシート温間圧定着プロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
温間圧定着システムにおいて、定着機器は、第1の表面を有する第1の定着部材と、第2の表面を有する第2の定着部材とを含むことができ、第1の表面および第2の表面は定着挟み込み部を画定し、当該定着挟み込み部において温間圧定着条件が、マーキング材料を基材に定着させるために適用される。定着挟み込み部において熱を加えるために、第1の表面および第2の表面のうちの少なくとも一方を加熱する熱源が実装されることができる。挟み込み部は、約150℃を下回る温度、すなわち、熱定着に一般的な温度まで加熱されることができる。例えば、挟み込み部は、約50℃から約120℃の温度の範囲内の温度まで加熱され得る。
【0010】
第1の定着部材および第2の定着部材は、マーキング材料を基材に定着させるために、定着挟み込み部において基材およびマーキング材料に圧力を加えるように動作可能である。温間圧定着のために定着挟み込み部において加えるための例示的な圧力は、約300psiから約3000psiの範囲内にある。例えば、温間圧定着システムは、定着挟み込み部において、約400psから約1500psi、および好ましくは約500psiから約1000psiの圧力を加えることができる。範囲は使用されるマーキング材料の種類に応じて変化し得る。媒体、特にカットシート媒体は、温間圧定着条件が適用されると、定着挟み込み部において詰まりやすいことが分かってきている。
【0011】
従って、マーキング材料を用いて基材上に画像を形成するのに使用されるさまざまな種類の装置を包含することが可能である印刷装置およびシステムは、実施形態による温間圧定着システムを組み込むことができる。これらの装置およびシステムは、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、多機能機器などを含むことができる。
【0012】
比較的低い温度および適度な圧力を使用することによって、トナー材料の組成および特性に対する要求を緩和することができる。定着システム、印刷装置および方法の実施形態は、高い画質、高いレベルの印刷された画像の耐久性、および全体的な印刷コストの低減を提供することができる。実施形態において、例えば、定着挟み込み部に到着する前に、マーキング材料を軟化するための軟化機器を使用して、比較的低い温度においてトナー定着プロセスを多段階プロセスとして実行することによって、定着機器の構成要素に課される要求が低くなり、頑丈で寿命の長い構成要素を適用することが可能となる。これらの利点は中でも、装置、方法、およびシステムの実施形態による係合および解放する定着挟み込み部を有する定着システムを使用して、他の媒体種類に加えてカットシート媒体について実現されることができる。
【0013】
マーキング材料を基材に定着させるための装置、方法、およびシステムを理解するために、図面が参照される。図面において、類似または同一の要素を指定するために、同様の参照符号が全体を通じて使用される。図面はさまざまな実施形態、ならびに、マーキング材料を基材に温間圧定着させる例示的な方法、装置、およびシステムの実施形態に関連するデータを示す。
【0014】
図1は、例示的な定着機器を示す。定着機器100が図示されており、当該定着機器は、第1の定着部材、および第2の定着部材、例えば、共に定着挟み込み部130を画定する、定着ロール110および圧力ロール115を含む。基材102が、定着挟み込み部130を通じて給送され、当該定着挟み込み部において、基材102およびマーキング材料104が加熱を受けることができ、定着ロール110および/または圧力ロール115によって加えられる圧力を受けることができる。他の実施形態において、定着機器は、1つまたは複数のロールの上に乗るとともに圧力ロール120と組み合わせて配置されて、定着挟み込み部であって、当該定着挟み込み部において熱エネルギーおよび圧力が例えば基材およびトナーに与えられる、定着挟み込み部を形成する定着ベルトのような、定着部材のうちの1つまたは複数のためのベルト構成を含む構造を有してもよい。
【0015】
定着ロール110は、熱エネルギー源によって所望の温度まで内部においておよび/または外部から加熱されることができる。図示されるように、熱エネルギー源は、軸方向に伸びる電灯のような、定着ロール110の内部に配置されるとともに給電されて外面115を定着温度まで加熱する内部加熱要素133を含むことができる。電源140が、加熱要素133に接続されることができる。電源140はコントローラ145に接続されることができ、当該コントローラは、加熱要素133への電力の供給を制御するように構成されることができる。他の実施形態において、外面115は伝導、対流および/または放射による熱エネルギー源によって外部から加熱されてもよい。例えば、少なくとも1つの外部加熱ロールが、外面115と接するように提供されてもよい。
【0016】
実施形態において、定着ロール110の外面115は、金属材料、セラミック材料、または複合材料から構成することができる。例えば、定着ロール110は、外面110を含む基材の表面領域を多孔質陽極酸化アルミニウム(酸化アルミニウム、Al)に変換するために陽極酸化処理が施されたアルミニウム基材を含むことができる。陽極酸化された表面領域の開口部に、開口部を封入するために適切な材料を充填することができる。例えば、開口部に、開口部を封入するために、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))などのような、潤滑性を有する物質を充填することができる。得られる外面115は、望ましい硬さ特性および離型特性を提供する。
【0017】
封入プロセスに続いて、外面115を研磨して、滑らかに仕上げることができる。加えられる圧力範囲全体にわたって定着ロール110の長手方向軸に沿って定着挟み込み部130において一定の圧力を実現するために、定着ロール110または圧力ロール120を被覆することができる。
【0018】
他の実施形態では、定着ロール110は、1つまたは複数の外層を含むことができ、外層のそれぞれは、ポリマーまたはポリマー複合材料を含む。最も外側の外層が、外面115を含む。例えば、ポリマーは、ポリウレタン、ニトリル・ブタジエン・ゴムなどであることができる。各外層は、例えば約1mmから約15mmの厚さを有することができる。熱伝導率を改善して約50℃から約120℃の温度範囲において望ましい定着性能を可能にするために、外層の厚さを最小化することが望ましい。外層は、熱伝導率を向上させ、耐久力を改善し、および/または、静電荷の蓄積を改善するために、1つまたは複数の充填材料を含むことができる。外層は、定着プロセス中のトナーの拡散を改善することができると共に、定着ロール110による離型性能を改善することができる。
【0019】
温間圧定着機器100が操作されることができる低温適圧方式では、陽極酸化アルミニウムから成る外面115を含む定着ロール110の実施形態、および、1つまたは複数のポリマー外層を含む実施形態が、基材にトナーを定着させる間に定着挟み込み部130において生じる複雑な機械的および化学的な相互作用への耐性を提供する。
【0020】
実施形態において、圧力ロール120は、コアと、コアの上を覆って外面125を形成するポリマー材料を含むことができる。例えば、ポリマー材料は、ポリウレタン、ニトリル・ブタジエン・ゴムなどであることができる。ポリマー材料は、単層または2つ以上の層として塗布されることができる。多層構造のうちの異なる複数の層が、互いに、異なる組成および異なる特性、例えば異なる弾性率を有することができる。圧力ロール120は加熱されてもよい。
【0021】
温間圧定着機器100において、定着ロール110の外面115は、基材102へのトナーの形成を温間圧定着させるために適切である温度に加熱されることができる。実施形態では、基材102上に軟化されたトナーを定着させるために、外面115の温度(すなわち、定着温度)を、約50℃から約120℃、約70℃から約110℃、約80℃から約110℃、または約80℃から約100℃のような、約50℃以上に設定することができる。トナーが予熱によって軟化される場合、トナーが軟化機器において予熱されることなく軟化される実施形態と比較して、さらに低い定着温度が定着機器180において使用される場合がある。外面115を、トナーの予熱温度に近い、例えば、予熱温度を10℃未満、または5℃未満の範囲で上回る定着温度において操作することができる。
【0022】
定着している間、トナー像は高い粘性を有している。基材に適切に接着できるように、および、耐久性と高い画質とがうまく融合できるように、定着挟み込み部130において適度な圧力が加えられる。実施形態では、定着挟み込み部130において基材102に加えられる圧力量は、約300psiから約1500psi、または、約400psiから約1000psiのような、約300psiから約3000psiに及ぶことができる。温間圧定着のために、定着機器100における定着圧力を増大させることによって、より低い定着温度を使用することが可能となる。
【0023】
印刷装置において、予熱および/または加熱温度ならびに定着温度は種々の基材材料および種類に応じて調整されることができる。(被覆されているか、または、被覆されていない)重い紙基材102については、軽い紙基材102に使用される予熱および定着温度と比較して、所定のドウェル時間において予熱温度および/または定着温度を上げることができる。
【0024】
軟化機器および/または定着機器100において使用される温度および圧力の条件を、印刷物の形成に使用されるトナー材料の融点に基づいて選択することができる。例えば、一実施形態では、軟化機器を、約80℃から約90℃の予熱温度で操作することができ、基材に第1のトナー材料を定着させるために、定着機器180を、約80℃から約100℃の定着温度、および、約400psiから約700psiの挟み込み部の圧力で操作することができる。第1のトナー材料よりも融点が高い第2のトナー材料については、基材に第2のトナー材料を定着させるために、軟化機器を、約90℃から約110℃の予熱温度で操作することができ、定着機器100を、約100℃から約110℃の定着温度、および、約400psiから約700psiの挟み込み部の圧力で操作することができる。実施形態では、定着挟み込み部においてトナー材料を融解させるために、予熱温度および/または定着温度を設定することができる。
【0025】
定着機器100の実施形態では、定着挟み込み部130での比較的低い温度の使用に組み合わされるトナーの軟化を、さらに、低い温度で融解するトナー材料、および、非常に低い温度で融解するトナー材料を使用することによって実現することができる。低い温度で融解するトナー材料は、閾値温度よりも高い温度までトナーを加熱することによって変更された(下がった)融点を有し、非常に低い温度で融解するトナー材料は、次に、下がった融点を有するトナーを再加熱することによって変更された(下がった)融点を有するという特徴を示す。これらの特徴を有する非常に低い温度で融解する例示的なトナーは、結晶性ポリエステル材料のような結晶性ポリマー材料、および非結晶性ポリエステル材料のような非結晶性ポリマー材料を含む。ここで、非結晶性材料は、結晶性材料の融点(Tm)から離れたガラス転移温度(Tg)を有する。これらのトナーでは、結晶性ポリマー材料は、トナーに低い融点を与える。
【0026】
このような温度変更可能融解特性を有するトナーは、定着機器100内で、定着プロセスにおいて基材102およびトナーの予熱の効率をさらに高めるのに使用されることができる。これらのトナーは、定着挟み込み部130において基材102に定着される前に、軟化機器を使用して予熱されることによって、それらの融点において還元を受けることができる。基材102が定着挟み込み部130に進むと、加熱された定着ロール110によって追加の熱エネルギーが基材102およびトナーに加えられる。
【0027】
融点の低いトナー材料を使用することにより、温度(熱エネルギー入力量)、圧力および/またはドウェル(印刷速度)のプロセス条件を、定着機器110の定着挟み込み部130において下げることができる。最適の画質を提供するために、適切なトナー材料を、溶解に関する他の手法に広げてもよく、材料費を抑えることができる。
【0028】
温間圧定着システム、印刷装置、および方法の実施形態において低減されたトナー温度で動作することにより、出力スタックにおけるトナーブロッキング問題のない改善されたシステム/基材の経路の堅牢性が達成されることができる。
【0029】
定着システムおよび印刷装置の実施形態において使用される動作設定地点は、低い基材温度に対応する。従って、プロセス温度が高くなると生じる可能性がある基材のゆがみ問題を回避することができる。この特徴は、ゼログラフィック印刷システムによって達成された基材の塗布領域を拡大することができる。例えば、包装に使用されるポリマー膜材料が、定着システムおよび印刷装置における基材として使用されてもよい。低い動作温度を使用することにより、水分蒸散および紙による再吸収を低減または回避し、結果として、紙のゆがみのこの潜在的な原因を最小化または除去することもできる。
【0030】
実施形態のシステム、装置、および方法は、画像定着後処理も増進する。例えば、関連する熱融着装置は、非常に高温で、例えば、約150℃から約210℃で動作する。定着後であり冷却前のトナーは、隣接する表面に対するずれ、どんなものであれ接触することになるものの表面上に乗ること、および接触のために温度差により冷却されることに対して脆弱である。結果として画質が劣ることになる。融点が非常に低いトナーは、画像アーティファクトの可能性を増大させる傾向にある。温間圧定着はこれらの問題に対処する。実施形態による、定着挟み込み部を係合および解放するために移動可能な第1の定着部材および第2の定着部材のうちの少なくとも一方を有する定着機器を使用することによって、これらの利点をカットシート媒体に対して実現することができる。
【0031】
図2は、実施形態による方法の工程図を示す。例えば、図2に示すように、定着挟み込み部を解放および係合するための方法は、定着挟み込み部に接近しているカットシートを検出するステップS201を含むことができる。例えば、輸送されるカットシートを検知するために、カットシート輸送システムに近接または隣接してセンサを配置することができる。カットシート輸送システムは定着挟み込み部を通じて通過する。センサはカットシートを検知して、信号を生成して処理のためにコントローラに送信することができる。実施形態において、センサは、カットシートの、例えば定着挟み込み部の位置に対する位置を求めるのに使用されることができる。
【0032】
実施形態において、1つまたは複数のセンサが、カットシートの先端部および/またはカットシートの後端部を検出するのに使用されることができる。例えば、センサは、カットシートの先端部の位置を求めるのに使用されることができる。センサは、カットシートの後端部の位置を検知するのに使用されることもできる。代替的な実施形態において、定着挟み込み部に接近しているカットシートの厚さを、定着挟み込み部に接近しているカットシートを検知することによって求めることができる。さらに代替的な実施形態において、カットシートの部分が挟み込み部に入る時刻、および挟み込み部を出る時刻を求めることができる。上記の検知技法のうちの1つまたは複数は中でも、定着挟み込み部による処理のためにカットシートを検知することに対応するために実施されることができる。
【0033】
第1の定着部材および第2の定着部材のうちの少なくとも一方は、定着挟み込み部の係合および解放に対応するために移動するように構成されることができる。図2の実施形態において、ステップS203は、検知されたカットシートが定着挟み込み部に入る前に定着挟み込み部を解放することを含むことができる。例えば、ステップS203において定着挟み込み部を解放する前に、ともに定着挟み込み部を画定する第1の定着部材および第2の定着部材は、係合位置にあることができ、それによって、係合された定着挟み込み部が画定される。例えばS201による、カットシートが接近しているという判断に基づいて、定着挟み込み部は、検知されたカットシートが挟み込み部に入るのに対応するためにS203において解放されることができる。例えば、S203において、温間圧定着によって定着されるべき画像をその上に有するカットシートの先端部が入ることに対応するために定着挟み込み部が解放されることができる。
【0034】
カットシートが定着挟み込み部に入った後、定着挟み込み部、第1の定着部材および第2の定着部材は、解放された定着挟み込み部を画定する解放位置にある。S206において、定着挟み込み部が係合されることができ、カットシートが係合された定着挟み込み部において温間圧定着を受ける。図2に示す実施形態を含むいくつかの実施形態において、係合された定着挟み込み部における温間圧定着の後にカットシートが出るのに対応するために、ステップS208において定着挟み込み部が解放されることができる。例えば、係合された定着挟み込み部は、カットシートが定着挟み込み部を出る前に、ステップS208において解放されることができる。一実施形態では、定着挟み込み部は、カットシートの後端部が定着挟み込み部を出る前に、ステップS208において解放されることができる。
【0035】
図2に示すステップのうちのいずれか1つまたは複数は、複数のカットシートの温間圧定着のために反復されることができる。例えば、図2に示す実施形態の例示的な方法を用いて、複数のカットシートが高速で温間圧定着されることができる。実施形態の装置、方法、およびシステムは、例えば、画像がカットシートに温間圧定着される、1分間当たり100から200プリントの大量のカットシート印刷に対応することができる。
【0036】
図3は、方法の別の例示的な実施形態を示す。例えば、図3に示す実施形態の方法は、定着挟み込み部に接近しているカットシートの厚さを求めるS302を含むことができる。ステップS303の前に、定着挟み込み部は係合位置にあることができる。ステップS303において、定着挟み込み部は、カットシートが定着挟み込み部に入る前に解放されることができる。カットシートが定着挟み込み部に入った後、求められた厚さを有するカットシートに対応するために、ステップS305において定着挟み込み部が係合されることができる。例えば、カットシートの先端部が定着挟み込み部に入った後に、定着挟み込み部が係合されることができる。定着挟み込み部が係合される度合いは、カットシートの求められた厚さに応じて設定されることができる。S305において、挟み込み部が求められた厚さを有するカットシートの効果的な温間圧定着に対応する限りにおいて、定着挟み込み部が係合される。
【0037】
図3に示すような実施形態では、1つまたは複数のステップは、複数のカットシートのために反復されることができる。例えば、第1の厚さを有する第1の検知されるカットシートの厚さに対応するが、第2の厚さを有する後続の第2の検知されるカットシートには対応しない度合いまで、定着挟み込み部が係合される場合がある。従って、実施形態では、S302〜S308が第1のカットシートのために実行されることができ、S302〜S308は後続のカットシートのために反復されることができる。S302において、各後続のカットシートについて新たな厚さを求めることができ、この厚さは、S305において、各後続のカットシートの厚さが互いに異なるものになる場合であっても、各後続のカットシートに適切である度合いまで定着挟み込み部を係合するために使用されることができる。従って、実施形態の方法は、異なる厚さを有するカットシートの高速大量印刷に対応する。
【0038】
図4は、実施形態による方法の工程図を示す。例えば、図4に示すように、温間圧定着のための圧力挟み込み部を解放および係合するための方法は、定着挟み込み部に接近しているカットシートを検出するステップS401を含むことができる。例えば、輸送されるカットシートを検知するために、カットシート輸送システムに近接または隣接してセンサを配置することができる。カットシート輸送システムは定着挟み込み部を通じて通過する。センサは、例えば、カットシートを検知して、信号を生成して処理のためにコントローラに送信することができる。実施形態において、センサは、カットシートの、例えば定着挟み込み部の位置に対する位置を求めるのに使用されることができる。
【0039】
実施形態において、1つまたは複数のセンサが、カットシートの先端部および/またはカットシートの後端部を検出するのに使用されることができる。センサは、カットシートの先端部の位置を求めるのに使用されることができる。センサは、カットシートの後端部の位置を求めるのに使用されることもできる。代替的な実施形態において、定着挟み込み部に接近しているカットシートの厚さを、定着挟み込み部に接近しているカットシートを検知することによって求めることができる。さらに代替的な実施形態において、カットシートの部分が挟み込み部に入る時刻、および挟み込み部を出る時刻を求めることができる。上記の検知技法のうちの1つまたは複数は中でも、定着挟み込み部による処理のためにカットシートを検知することに対応するために実施されることができる。
【0040】
第1の定着部材および第2の定着部材のうちの少なくとも一方は、定着挟み込み部の係合および解放に対応するために移動するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、これは、カットシートが温間圧定着挟み込み部に入り、および/または当該挟み込み部を出る時刻を求めることによって達成されることができる。図4の実施形態では、ステップS404は、カットシートが定着挟み込み部に入る時刻xを求めることを含むことができる。例えばS401によって、例えば、方法は、定着挟み込み部に対するカットシートの位置、および、例えば、カットシートがカットシート輸送手段上で輸送される速度を求めることを含むことができる。実施形態は、S407に示すように、カットシートが定着挟み込み部を出る時刻yを求めることを含むことができる。
【0041】
図4に示すような実施形態による方法は、検知されたカットシートが定着挟み込み部に入る前に定着挟み込み部を解放することを含むことができる。例えば、ステップS410において定着挟み込み部を解放する前に、ともに定着挟み込み部を画定する第1の定着部材および第2の定着部材は、係合位置にあることができ、それによって、係合された定着挟み込み部が画定される。例えばS401による、カットシートが接近しているという判断に基づいて、定着挟み込み部は、検知されたカットシートが挟み込み部に入るのに対応するためにS410において解放されることができる。例えば、S410において、温間圧定着によって定着されるべき画像をその上に有するカットシートの先端部が入ることに対応するために定着挟み込み部が解放されることができる。実施形態において、カットシートが挟み込み部に入る時刻を、S404において時刻xとして求めることができる。S410は、定着挟み込み部をほぼ時刻xにおいて、または時刻xの前に解放するために実施することができる。
【0042】
カットシートが定着挟み込み部に入った後、第1の定着部材および第2の定着部材は、解放された定着挟み込み部を画定する解放位置にある。S414において、定着挟み込み部が係合されることができ、検知されたカットシートが係合された定着挟み込み部において温間圧定着を受ける。
【0043】
図4に示す実施形態を含むいくつかの実施形態において、係合された定着挟み込み部における温間圧定着の後にカットシートが出るのに対応するために、ステップS417において定着挟み込み部が解放されることができる。例えば、係合された定着挟み込み部は、カットシートが定着挟み込み部を出る前に、ステップS417において解放されることができる。一実施形態では、定着挟み込み部は、温間圧定着されるカットシートの後端部が定着挟み込み部を出る前に、ステップS417において解放されることができる。図4に示すステップのうちのいずれか1つまたは複数は、複数のカットシートの温間圧定着のために反復されることができる。例えば、実施形態の装置、方法、およびシステムを用いて、複数のカットシートが高速で温間圧定着されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温間圧定着機器であって、
第1の定着部材と、
第2の定着部材とを備え、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材は定着挟み込み部を画定し、
前記第1の定着部材および前記第2の定着部材のうちの少なくとも一方は、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材を係合および解放するように移動可能である、温間圧定着機器。
【請求項2】
輸送経路上のカットシートを検知するように構成されるセンサをさらに備え、前記カットシート輸送経路は、前記定着挟み込み部を通じて伸びる、請求項1に記載の定着機器。
【請求項3】
前記センサは前記カットシートの先端部および後端部のうちの少なくとも一方を検知するように構成される、請求項2に記載の定着機器。
【請求項4】
前記センサは前記カットシート輸送経路上で前記定着挟み込み部に接近している前記カットシートの先端部を検知するように構成される、請求項2に記載の定着機器。
【請求項5】
前記センサは前記カットシート輸送経路上で前記定着挟み込み部に接近しているカットシートのカットシート厚を検知するように構成される、請求項2に記載の定着機器。
【請求項6】
温間圧定着機器のためのカットシート処理方法であって、
定着挟み込み部に接近しているカットシートを検知することであって、前記定着挟み込み部は第1の定着部材および第2の定着部材によって画定されており、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材の少なくとも一方は、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材を係合および解放するように移動可能である、検知することと、
前記カットシートが前記定着挟み込み部に入る前に前記第1の定着部材および前記第2の定着部材を解放することと、前記カットシートが前記定着挟み込み部に入ると、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材を係合することであって、それによって、前記定着挟み込み部を係合することとを含む、カットシート処理方法。
【請求項7】
前記カットシートが前記係合された定着挟み込み部を出る前に、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材を解放することをさらに含む、請求項6に記載のカットシート処理方法。
【請求項8】
前記カットシートの厚さを求めることをさらに含み、前記係合された定着挟み込み部は、前記求められたカットシート厚に対応する、請求項6に記載のカットシート処理方法。
【請求項9】
カットシートが挟み込み部に入る時刻を求めることをさらに含み、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材は、前記求められたカットシートが挟み込み部に入る時刻において係合される、請求項6に記載のカットシート処理方法。
【請求項10】
カットシートが挟み込み部を出る時刻を求めることをさらに含み、前記第1の定着部材および前記第2の定着部材は、前記カットシートが挟み込み部を出る時刻の前に解放される、請求項7に記載のカットシート処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3579(P2013−3579A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118114(P2012−118114)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】