説明

カップホルダー

【課題】 保持部内の視認性を良好にでき、外観特性を維持して使い勝手を向上する。
【解決手段】ホルダー本体1が、容器を出し入れする凹状の保持部11A,11Bと、前記保持部内へ突設されて保持部に収容される容器の周囲に弾接する容器周囲拘束用のフラップ2と、外部に設けられた光源6からの光を前記保持部内へ導く導光部材5とを備えているカップホルダーにおいて、前記保持部11A,11Bが光を透過しない材料で、前記フラップ2が光を透過する材料でそれぞれ形成されていると共に、導光部材5が光源6からの光を下側から前記フラップに向けて照射可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダー本体が凹状の保持部を有し、該保持部内に飲料缶等の容器を出し入れするカップホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7のカップホルダーは特許文献1に開示されているものである。この構造では、ホルダー本体50が、容器を出し入れする凹状の保持部51と、保持部51に対応して設けられている容器周囲拘束用のフラップ(押さえ部材)52と、外部に設けられた光源(LED)53からの光を保持部51内へ導く導光部材(導光体)54とを備えている。また、導光部材51は、保持部51の下部一側から保持部底面に沿って配置されており、光源53の光を保持部51の底面中央の開口55より保持部内の上向きに照射する。なお、このフラップ52は、軸56を介して揺動可能に枢支されていると共に、不図示のスプリングの付勢力にて同図のごとく略水平となる非使用位置から、保持部51内に収容される容器に当たって下向きに傾斜し先端を容器周囲に弾接する使用位置に切り換えられる。符号57はフラップ52の揺動範囲を規制する規制部である。
【0003】
【特許文献1】特開2002−144965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構造では、光源53の光を導光部材54を介して照射するため、光源53を邪魔にならずかつ当たり難い箇所に設置でき、又、光源53の光を保持部51内の任意の箇所から照射できるようにし易い。しかしながら、保持部51内で光を照射した場合には、フラップ52が光を透過しない材料(樹脂材)であるため、フラップ52により影ができてかえって保持部51内の視認性を悪化し易くなることも多い。この点は、例えば、保持部51内を区画している縦壁の上側より照射しても同様である。そこで、本発明の目的は、上述した課題を簡易な構成により解消して、保持部内の視認性を良好にでき、外観特性を維持して使い勝手を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、ホルダー本体が、容器を出し入れする凹状の保持部と、前記保持部内へ突設されて保持部に収容される容器の周囲に弾接する容器周囲拘束用のフラップと、外部に設けられた光源からの光を前記保持部内へ導く導光部材とを備えているカップホルダーにおいて、前記保持部が光を透過しない材料で、前記フラップが光を透過する材料でそれぞれ形成されていると共に、前記導光部材が光源からの光を下側から前記フラップに向けて照射可能に設けられていることを特徴としている。
【0006】
以上の本発明では、従来構造に比べて、フラップが光透過性の材料で形成されており、光源の光が導光部材を通って下側からその光透過性フラップに向けて照射されることから、従来のようにフラップに起因した影ができず、フラップを中心として保持部内の全体を合理的に照明できる。この構造では、前記フラップが透明又は半透明の平板状に形成されていること(請求項2)、前記フラップにシボ加工を施していること(請求項3)、前記フラップは前記保持部を区画している区画部の上面に取り付けられ、かつ、前記保持部内に突出している部分を除いて光を透過しないカバー材により覆われていること(請求項4)、前記ホルダー本体は前記保持部を区画している区画部を介して前後又は左右に有しており、前記フラップが前記各保持部に対応したフラップ部分を形成していると共に、前記導光部材が同じ光源からの光を前記各フラップ部分に向けてそれぞれ照射可能になっていること(請求項5)が好ましい。
【発明の効果】
【0007】
以上の本発明は次のような効果を有している。
・請求項1の発明では、光源の光が導光部材を通って下側からフラップに向けて照射されると、光がフラップを通り抜ける関係で、従来のようにフラップに起因した影が生じなくなる。この結果、本発明では、フラップ及び保持部内を照明でき、それにより視認性を良好にして、車室等における使い勝手を向上できる。
・請求項2の発明では、簡易なフラップ構成により経費を抑えて実施できるようにする。
・請求項3の発明は、フラップがシボ加工されていると、光の一部が乱反射したり散光してフラップ全体を淡く光らせ、それにより視認性を良好にしたり高級感を付与できるようにする。
・請求項4の発明は、フラップの取付性及び視認性に加え、光がフラップ取付部から漏れないようにして外観特性も維持可能にする。
・請求項5の発明は、例えば、保持部が複数で構成される場合にも、単一の光源で照射して簡易化を実現できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の形態例について図面を参考しながら説明する。なお、図1はカップホルダーのホルダー本体を示す概略構成図、図2はホルダー本体の上面図、図3はホルダー本体の側面図、図4はホルダー本体の前後中間で断面した図、図6はホルダー本体の要部を模式的に断面した図である。図5は導光部材を示し、同(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は斜視図である。以下の説明では、装置構造を詳述した後、作動に言及する。
【0009】
(装置構造)形態例のカップホルダーは、例えば、自動車のセンターコンソール等に組み込まれるもので、図1〜図4に示されるように、ホルダー本体1が前後略中間に位置する区画部10を挟んだ前後部1a,1bに2つの円筒状保持部11A,11B及び2つの矩形筒状保持部12A,12Bを形成していると共に、区画部10の上面に付設されて前後の円筒状保持部11A,11Bに収容される容器の周囲に弾接する容器周囲拘束用のフラップ2と、フラップ2の取付部を覆うカバー材3と、区画部10の背面側に設けられた配置部17に枠部材4を介して保持されている導光部材5と、導光部材5の基端5a側に対向して設けられている光源(LED)6とを備えている。
【0010】
なお、ホルダー本体1は、光を透過しない樹脂成形体であり、上面に突設された比較的高い前後壁部19a,19b及び左右に突設された比較的低い側壁19c,19cを有している。そして、細部的には、図4に一点鎖線で示したようにリッド半体6A,6Bが開閉機構(例えば、特願2004−141616に記載の機構)を介して左右に回動可能に組み付けられ、保持部11A,11Bに容器を収容したり保持部12A,12Bに容器や携帯電話等の物品を収容したり保持する際に開操作される。前側の保持部11Aと保持部12A、後側の保持部11Bと保持部12Bはそれぞれ幅方向に並んでいると共に、縦方向に欠如した開口13を介して連通されている。
【0011】
区画部10の上側は、左右部分及び幅方向の一部を除いて一段低い段差面14に形成されている。段差面14には、カバー材3を取り付ける4つの係合穴15と、フラップ2を位置決めする2つの筒状ボス16と、導光部材5を露出する2つの小窓14aとが設けられている。係合穴15は、段差面14の左右及び略中間部に設けられている。ボス16は段差面14の左右に突設されている。小窓14aは、段差面14の左右に位置し、かつ段差面14の縁部分のうち各保持部11A,11Bの中央部に位置した状態で設けられている。これに対し、区画部10の下側ないしは背面側は、両側の縦壁18及び各保持部を形成している突出部とで区画されている逆凹状の配置部17となっている。縦壁18には係合穴18aが設けられている。
【0012】
そして、段差面14には、フラップ2がカバー材3により押さえられた状態で取り付けられる。ここで、フラップ2は、透明又は半透明のシリコンゴム製からなり、細くなった中間部21の両側に保持部12A内に突出するフラップ部分20Aと保持部12B内に突出するフラップ部分20Bとを形成している。フラップ2の材質は弾性変位可能であると共に光が透過する材料であればよい。各フラップ部分20A,20Bには、少なくとも保持部11A,11Bに突出される部分にシボ加工が施されていると共に、段差面14上のボス16を挿通する孔23が設けられている。また、フラップ部分20A,20Bの先端22は円弧状に形成されている。一方、カバー材3は、段差面14に対応した形状からなると共に、光を透過しない樹脂成形品である。下面には、前記係合穴15に弾性的に係合する係止爪3aと、ボス16の筒内に差し込まれる軸部3bとが下設されている。
【0013】
取付操作では、フラップ2が図1に示されるごとく段差面14上にボス16と孔23との係合を伴って配置された後、カバー材3が軸部3bをボス16の筒内に挿入しかつ各係止爪3aを対応する係合穴15に係止することで位置固定される。取付状態では、図2及び図6に示されるごとくフラップ2が段差面14とカバー材3との間に挟持され、かつ、フラップ部分20A,20Bの先端側が保持部11A,11Bの内側へ突出される。
【0014】
これに対し、配置部17には、導光部材5が枠部材4などを介して取り付けられていると共に、光源6がホルダー8及び該ホルダー用取付板7を介して装着されている。枠部材4は、中央部に略コ形の空間部を形成していると共に、両側に設けられた係止爪4aを有し、前記空間部に2つの導光部材5を収容した状態で前記係止爪4aが対応する縦壁18の係合穴18aに係合することで取り付けられる。導光部材5は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製であり、図5に示されるように、略L形からなり、L形水平部の基端5aが配置部17の左右中間に位置し、L形垂直部の上端5bが側面から突設されている。また、上端5bは、爪形に形成されていると共に、傾斜した上端面5cの先端付近まで及び上端面5cの角部5d並びに上端面5cと対向した下面5gが鏡面に処理され、上端面5cの先端5e及び先端5eから下向きになった端面5fが荒い面に処理されている(図5(b)の拡大図を参照)。そして、2つの導光部材5は、図4に示されるように、枠部材4内にそれぞれ収容されかつ押さえ部材等にて保持された状態から、配置部17に枠部材4を介して取り付けられる。取付状態では、導光部材5の上端5が上記した区画部10の小窓14aに配置される。その後、枠部材4の下側には取付板7が取り付けられる。すると、光源6は、ホルダー8に装着された状態で各導光部材5の基端5aに対向配置される。この光源6は、従来と同様に不図示の電源及びスイッチにより点灯・消灯されるようになっている。
【0015】
(作動)以上のカップホルダーは次の様な利点が得られるよう工夫されている。
ア)、この構造では、保持部11A,11Bに対し相対的に大きな外径の円筒状容器を挿入すると、フラップ部分20A,20Bの先端側を容器で下向きに弾性変形し、かつ、当該容器をその変形した部分と保持部内の対向内周面側との間でがたつき無く保持できる。また、保持部11A,11Bに対し相対的に小さな外径の容器を挿入すると、フラップ部分20A,20Bの先端22を容器周面に弾接し、かつ、当該容器をその先端22と保持部内の対向内周面側との間でがたつき無く保持できる。勿論、保持部12A,12Bには、矩形容器を収容保持したり携帯電話等の小物類を収容保持できる。
イ)、この構造では、例えば、自動車のセンターコンソールに対し複数の保持部、特に円筒状容器と矩形容器と言うように形状が全く異なる容器をそれぞれ専用の保持部11A,11Bや保持部12A,12Bに保持可能にする場合、保持部11Aと保持部12A、保持部11Bと保持部12Bとをそれぞれ開口13を介して連通形成することで、両保持部内に亘って小物類や書類等を収容しておくことも可能となり、便利性を向上できる。
【0016】
ウ)、この構造では、ホルダー本体1を夜間使用する場合、光源6が点灯される。すると、図5及び図6に示されるように、光源6の光は導光部材5を通って基端5aより上端5b側へ導かれ、上端5bの鏡面に処理されている上端面5cと角部5dで反射される。そして、該反射光のうち、角部5dで反射されたものは荒く処理された端面5fから保持部12A(12B)内に下斜めに投光され、上端面5cで反射されたものは下面5gで再び反射されて荒く処理された上端面5cの先端5eから斜め上向きに投光される。この斜め上向きの光はフラップ2のフラップ部分20A(20B)に入る。フラップ2は透明又は半透明の光透過性であるため、従来のごとくフラップによる影が生ぜず、全体の視認性及び使い勝手を大幅に向上できる。なお、図6では煩雑性を避けるため光線を簡略化している。
エ)、この構造では、フラップ2が光透過性と共にフラップ部分20A(20B)にシボ加工を施しているため、フラップの突出部分を淡く光らせ、それにより視認性と共に斬新性を付与できる。また、この構造では、単一の光源6を2つの導光部材5を介して保持部11A,11B内を同時に照明し、かつフラップ部分20A(20B)を介して全体を視認できるようにしているため、構成部材を少なくできるだけではなく、電力消費量も倹約できる。
【0017】
以上の形態は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項1の特定要件を除いて、この形態例を基にして種々変形可能なものである。その一例としては、本発明のフラップは図7のような揺動可能に枢支されるタイプでも差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明形態のカップホルダー要部を模式的に示す分解図である。
【図2】上記カップホルダー要部を上から見た図である。
【図3】上記カップホルダーの側面図である。
【図4】図2のA−A線矢視断面図である。
【図5】上記カップホルダーの導光部材を示す図である。
【図6】本発明形態の作用を模式的に示す模式図である。
【図7】従来カップホルダーの問題を説明する図である。
【符号の説明】
【0019】
1…ホルダー本体(1aは前側、1bは後側、19a,19bは前後壁部)
2…フラップ(20A,20Bはフラップ部分、21は中間部)
3…カバー材(3aは係止爪、3bは軸部)
4…枠部材
5…導光部材
6…光源
10…区画部(14は段差面、15は係合穴、16はボス、14aは小窓)
11A,11B…保持部
12A,12B…保持部
13…開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体が、容器を出し入れする凹状の保持部と、前記保持部内へ突設されて保持部に収容される容器の周囲に弾接する容器周囲拘束用のフラップと、外部に設けられた光源からの光を前記保持部内へ導く導光部材とを備えているカップホルダーにおいて、
前記保持部が光を透過しない材料で、前記フラップが光を透過する材料でそれぞれ形成されていると共に、前記導光部材が光源からの光を下側から前記フラップに向けて照射可能に設けられていることを特徴とするカップホルダー。
【請求項2】
前記フラップが透明又は半透明の平板状に形成されている請求項1に記載のカップホルダー。
【請求項3】
前記フラップにシボ加工を施している請求項1又は2に記載のカップホルダー。
【請求項4】
前記フラップは、前記保持部を区画している区画部の上面に取り付けられ、かつ、前記保持部内に突出している部分を除いて光を透過しないカバー材により覆われている請求項1から3の何れかに記載のカップホルダー。
【請求項5】
前記ホルダー本体は、前記保持部を区画している区画部を介して前後又は左右に有しており、前記フラップが前記各保持部に対応したフラップ部分を形成していると共に、前記導光部材が同じ光源からの光を前記各フラップ部分に向けてそれぞれ照射可能になっている請求項1から4の何れかに記載のカップホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−69356(P2006−69356A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254765(P2004−254765)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】