説明

カテコールポリエチレングリコール誘導体と蛋白質またはペプチドの接合体、及びこれの製造方法

本発明はカテコールを持つポリエチレングリコール誘導体を利用して、蛋白質またはペプチドの特定部位であるN末端にポリエチレングリコール誘導体を単一接合させた蛋白質またはペプチドとカテコールポリエチレングリコール誘導体の接合体及びこれの製造方法に関する。本発明によると、カテコール−PEG誘導体が蛋白質またはペプチドの特定部位であるN末端アミングループに位置特異的かつ単一分子で結合して、均一なポリエチレングリコール蛋白質、またはペプチド接合体を高い収率で収得することができる。収得された接合体は、従来技術に比べて、蛋白質自体の化学的変形がないまま、蛋白質活性度阻害を最小化できて、接合体の薬学的効果が優れ、その均質性によって製造工程を単純化でき、また生体内での生物学的薬効性が均一に予測され、加水分解に強く、生体内の持続時間が長くなるため、蛋白質薬物の体内薬効及び安全性を増進させる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテコールを持つポリエチレングリコール誘導体を利用して、蛋白質またはペプチドの特定部位のN末端にポリエチレングリコール誘導体を単一接合させた蛋白質またはペプチド−カテコールポリエチレングリコール誘導体の接合体及びこれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内では、私たちの体の成長及び分化に係る多様な種類の蛋白質またはペプチドが発現するようになる。このような蛋白質またはペプチドは、細胞壁に存在する受容体と結合して、多様な信号伝達物質(signaling molecules)の発現を誘導することによって生体恒常性(homeostasis)を維持する役割を果たす。しかし、このような蛋白質またはペプチドの量が生体内に適正水準を維持できない場合、生体内の信号伝達物質の不足現象や過発現現象によって、生体恒常性に問題が生じて、種々の問題点が現れるようになる。例えば、ヒト成長に係る成長ホルモンや傷の治癒に係る上皮成長因子等の濃度が低い場合、背が伸びないか、傷が癒えないことがある。
【0003】
1962年カンフィールド(R. Canfield)、1985年エチ(F. Esch)、1962年コーヘン(S. Cohen)、1985年メトカーフ(D. Metcalf)等は、アミノ酸で構成された蛋白質因子のリゾチーム(Lysozyme)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、上皮成長因子(EGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)等を発見し、さらに各々のアミノ酸配列を確認した(R. Canfield, J. Biol. Chem. 238, 2698., 1963; F. Esch, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6507., 1985; S. Cohen, J. Biol. Chem. 237, 1555., 1962; D. Metcalf, Science 229, 16, 1985)。
【0004】
このような蛋白質因子は、傷治療(Lysozyme/bFGF/EGF)、白血球形成(G−CSF)に影響を及ぼすと知られており、糖尿病患者に発生しやすい足部潰瘍治療剤や抗癌剤治療後の好中球減少症(Neutropenia)治療剤として常用される。
【0005】
しかし、このような蛋白質の場合、血液及び組織内でその体内半減期(half-life)が非常に短いと知られており、治療用として蛋白質を投与する場合、生体内の薬効持続性と安全性が非常に低下する問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、最近10年間生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(polyethyleneglycol;PEG)を蛋白質またはペプチド物質に接合させようとする試みが続けられてきた(G. Pasut & F. M. Veronese Prog. Polym. Sci.32, 933, 2007; F. M. Veronese, Biomaterials22, 405.2001; P. Bailon, Pharm. Sci. Tech. Today 1, 352, 1998)。
【0007】
ポリエチレングリコール(PEG)は、生体内で免疫反応を起こさない生体適合性が優れた高分子として米国食品医薬品局(FDA)が承認した合成高分子中の一つである。この合成高分子を利用して、蛋白質接合体を製造することによって、増加した分子量を持った蛋白質ポリエチレングリコール接合体を得ることができ、これにより、腎臓におけるろ過(filtration)効果による蛋白質の透過を抑制することができる。さらに、ポリエチレングリコールのステルス作用(stealth effect)を介して生体内の蛋白質酵素による分解を抑制する効果を示すことによって究極的に生体内での半減期及び安全性を増加させるようになる。このような方法で薬効を増進させた蛋白質は、ヒト成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロン、インシュリン、インターロイキン、カルシトニン等、多くの種類がある。
【0008】
しかし、蛋白質薬物の体内安全性及び持続性向上のためにポリエチレングリコールを使う際に、ポリエチレングリコールが蛋白質薬物が持っている複数の結合部位と反応することによって、結果的に生成される産物が不均一な多重接合体混合物(a mixture of multi-PEGylated species)になる問題点があった。特に、不均一な多重接合体混合物の場合、薬物の持続効果と安全性を測定し難い問題がある。
【0009】
一方、条件を厳しくして、一分子のポリエチレングリコールが結合した(mono-PEGylated)接合体を製造するとしても、その結合部位に応じて薬物の生物学的または体内活性度が顕著に影響を受けるという問題がある。これを解決するために、多くの治療用蛋白質(therapeutic proteins,EPO,G−CSF,成長ホルモンなど)は、活性部位(active site)がN末端(N-terminal)の隣接部位に位置していないため、蛋白質またはペプチドのN末端にPEGを結合させようとする試みがなされてきた。なぜなら、N末端ペグ化反応は、ペグ化反応の最も大きい短所である蛋白質活性化低下を最小化できる技術である。
【0010】
従って、上のようなN末端位置特異的単一ペグ化を実現するために、多くの方法を使って蛋白質またはペプチドのN末端アミン基の一級アミン(primary amine)に位置特異的(site-specific)に、ポリエチレングリコールを単一体で(mono-PEG)接合させようとする試みがなされてきた。
【0011】
従来、このような試みに利用されたポリエチレングリコールは、一級アミンに特異的に反応する物質であるN−ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide)またはN−スクシニミジルプロピオネート(succinimidyl propionate)が片方末端についているメトキシポリエチレングリコール誘導体であった(T. H. Kim, Biomaterials, 23, 2311, 2002; H. Lee, Pharm. Res., 19, 845, 2002)。スクシンイミドポリエチレングリコール誘導体を使って、製造されたモノ−ペグ化(mono-PEGylated)接合体の場合、体内活性も変化度が非常に低いと知られているが、蛋白質またはペプチドと接合する反応途中N−ヒドロキシスクシンイミドまたはN−スクシンイミジルプロピオネートの加水分解(hydrolysis)が早く起きて、蛋白質またはペプチド接合体を作る工程上に困難があって、接合体を獲得する収率が低い問題があった。
【0012】
また、位置特異的タンパク質変異(Site-specific protein mutation)(single mutation)を利用した他の試みで、95%以上のシステインを蛋白質(ペプチド)薬物のN末端に導入して、ペグ化(PEGylation)を行う技術が試みられてきた。ただ、前記技術によると、蛋白質薬物を化学的に変形させることであったため、変形による薬物の生活性減少等付随的問題を抱えていた。
【0013】
さらに、アルデヒドPEGを利用したN末端特異的ペグ化も試みられた。これはAmgen社のNeulasta(商標)の生産に適用された方法である。しかし、前記技術の場合、その工程において反応条件が必ず酸性条件でなければならないという制約があり(pH4〜6、通常pH5.0〜5.5)、必ず還元剤であるNaBHを共に使わなければならないため、このような制限された反応条件による制限性が問題となってきた。
【0014】
そこで本発明者等は、カテコールを持つ化合物が結合されたPEG誘導体を利用して、蛋白質またはペプチドと前記PEG誘導体の接合体を製造する場合、工程が簡単で、結果が加水分解に強く、特に、蛋白質またはペプチドのN末端の一級アミンに位置特異的で単一PEG(mono-PEGylated)接合された接合体を高い収率で生成する可能性があることを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、蛋白質またはペプチドの特定部位のN末端アミン基にポリエチレングリコール誘導体を単一接合させた蛋白質またはペプチドとポリエチレングリコール誘導体の接合体及びこれの製造方法を提供することにある。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明はカテコールを持つ化合物が結合されたポリエチレングリコール誘導体、前記誘導体が蛋白質またはペプチドの特定部位のN末端に単一接合されている(mono-PEGylated)、蛋白質またはペプチドと前記ポリエチレングリコール誘導体の接合体及びこれの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】メトキシポリエチレングリコールと3,4−ジヒドロキシ桂皮酸の反応模式図である。
【図2】ヒンジ−3ペプチドのアミノ酸配列である。
【図3】mPEG−CT及びヒンジ−3を混合した結果のRP−HPLの結果である。
【図4】mPEG−CT及びヒンジ−3を混合した結果のMALDI−TOFの結果である。
【図5】ヒンジ−3に存在するペグ化候補(candidate)を示した模式図である。
【図6】PEG−ヒンジ−3のトリプシン分解後、切片に対するRP−HPLの結果グラフで、黒線13分のピークは、T1切片、赤線13分のピークは希釈不足の結果、23.5分のピークはペグ化された切片を示す。
【図7】PEG−ヒンジ−3のトリプシン分解後、MALDI−TOFの結果のグラフで、mPEG(MW:5000)またはmPEGとT1切片が加えられた値(MW:5883)にピークが現れた。
【図8】カテコールグループとスクシンイミジルコハク酸の結合形態に対する模式図である。
【図9】スクシンイミジルコハク酸−PEG−リゾチーム(3列)及びカテコール−PEG−リゾチーム(4列)のSDS−PAGEの結果で、単一結合されたカテコール−PEG−リゾチームは、一つのバンドだけを示すことが見られる。
【図10】スクシンイミジルコハク酸−PEG−bFGF(2列)及びカテコール−PEG−bFGF(3列)のSDS−PAGEの結果(10A)、bFGFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果(MW:2495、10B)及びカテコール−PEG−bFGFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果(MW:7468、10C)である。
【図11】スクシンイミジルコハク酸−PEG−G−CSF(2列)及びカテコール−PEG−G−CSF(3列)のSDS−PAGEの結果(11A)、G−CSFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果(MW:1792、11B)及びカテコール−PEG−G−CSFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果(MW:6792、11C)である。
【図12】リゾチーム蛋白質ペグ化反応時、pH6.0で、カテコールに対して0、0.5、1、1.5、2:1の割合でNalOを添加した結果のSDS−PAGEゲル写真である。
【図13】リゾチーム蛋白質ペグ化反応時、pH6.0でカテコールに対して0、0.5、1、1.5、2:1の割合でNalOを添加した場合のペグ化収率の相手値を示したグラフである。
【図14】mPEG−CTとEPO反応の結果の混合物(2列、二つのバンド)及びFPLCシステムを利用した精製されたmPEG−CT−EPO(PEG−EPO、3列、一つのバンド)のSDS−PAGE結果である。
【図15】RP−HPLの結果のグラフで、黒線ピークはmPEG−CT−EPO(98分)、EPO混合物(140分)を意味し、赤線ピークは各単一PEG(105分)、二重PEG(98分)、多重−PEG(85分)を意味する。
【図16】単一PEG−EPO、多重−PEG−EPO、EPOの生体内の半減期を示したグラフである。
【図17】単一PEG−EPOとEPOの赤血球の相対的容積(hematocrit)を測定したグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明は、下記化学式1のカテコール(catechol)を持つ化合物が結合されたポリエチレングリコール誘導体と前記誘導体が蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で選択的に接合されていることを特徴とする蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体を提供する。
【化1】

【0019】
本発明の発明者等は、前記公示技術の問題点を解決するために研究中、蛋白質のN末端アミン基と特異的に結合する作用基を発見し、これはドーパ基(3,4-dihydroxy-L-phenylalanine group)として、ムール貝接着物質に多く含まれているアミノ酸(amino acid)として知られている。ドーパミンあるいはより広くはカテコールに対する研究としては、本発明の発明者によって発表された研究論文により、多様な表面にカテコール基が吸着できることを証明し、このような接着力を利用して、蛋白質を選択的に多様な表面にコーティングできることを証明した(H. Lee, PNAS, 103, 12999, 2006; H. Lee, Science, 318, 426, 2007; H. Lee, Adv. Mater. 21, 431, 2009)。
【0020】
従って、本発明は、ポリエチレングリコールにカテコールを持つ化合物を結合させて、反応性を持つポリエチレングリコール誘導体を使う。前記のようなポリエチレングリコール誘導体は、蛋白質またはペプチド等のN末端アミン基に選択的に結合して、接合体を形成でき、この場合、ポリエチレングリコール誘導体は蛋白質またはペプチドの特定部位に単一分子で接合され(site-specific mono-PEGylation)、蛋白質またはペプチドの生理活性度が維持されると同時に、生体内で持続性と安全性が増加した蛋白質またはペプチド製剤を製造することができる。また、蛋白質/ペプチド等の誘導体を製造する際に発生する加水分解に非常に安定したカテコール基を利用することによって、反応効率が長時間維持できる長所がある。
【0021】
本発明に使われた用語「ポリエチレングリコール」は、当業界で一般的にPEG、Polyethyleneglycolと併用して使われる用語であり、また下記メトキシアルデヒドポリエチレングリコール等の誘導体の概念を含む。
【0022】
本発明で使われるポリエチレングリコールは、メトキシアルデヒドポリエチレングリコール、スクシンイミドプロピオン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミドブタン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミジルコハク酸ポリエチレングリコール、メトキシベンゾトリアゾールカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシエポキシドポリエチレングリコール、メトキシカルボニルイミダゾールポリエチレングリコール、メトキシp−ニトロフェニルカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシイソシアン酸ポリエチレングリコール、一級アミンを含むメトキシアミンポリエチレングリコール、メトキシヒドラジドポリエチレングリコール及びカルボキシル基を含むメトキシカルボキシルポリエチレングリコールからなる群より選択される一つであることが好ましいか、これに限定されない。前記ポリエチレングリコールは、アミン基またはカルボキシル基と反応でき、カテコール基と結合して、誘導体を形成することができる。
【0023】
また、前記ポリエチレングリコールとしては、直線型、分枝型、ブラシ型、またはスター型のような全種類のポリエチレングリコールが使える。
【0024】
本発明で使われるカテコールを持つ化合物は、カルボキシル基とアミン基を含むジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(3,4-dihydroxy-L-phenylalanine)、アミン基を含む3−ヒドロキシ−チラミン(3-hydroxy-tyramine)、カルボキシル基を含む3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸(3,4-dihydroxy hydrocinnamic acid)、アルデヒド基を含む3,4−ジヒドロキシベンゾアルデヒド(3,4-dihydroxybenzaldehyde)及びノルエピネフリン(Norepinephrine)で形成された群から選択される一つであることが好ましいか、これに限定されるのではない。さらに、本発明で使われるカテコールを持つ化合物の分子量は、1,000以下であることが好ましい。
【0025】
本発明に係るポリエチレングリコール誘導体の分子量は、好ましくは500〜100,000であり、最も好ましくは2,000〜40,000である。分子量が100,000を超えるとポリエチレングリコール誘導体を確保し難く、製造上の問題が生じ、500未満の場合ポリエチレングリコールが液状形態になって、物理的性質による問題が生じる等、反応効率性が落ちる問題がある。
【0026】
ポリエチレングリコール誘導体が蛋白質に接合される場合、増加した分子量を持った蛋白質−ポリエチレングリコール誘導体の接合体を得られ、これによって腎臓でのろ過効果による蛋白質の透過を抑制できる長所がある。また、ポリエチレングリコールのステルス作用によって、生体内の蛋白質酵素による分解を抑制する効果が現れ、これは、生体内において半減期及び安全性を増加させる長所を意味する。
【0027】
本発明に係る蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体は、前記の通り特定部位に単一分子で接合するため、不均一な接合体混合物が生成される問題を防止できる長所がある。これによって、薬物の持続効果と安全性を測定する場合、信頼すべきデータを得ることができ、所望の生物学的活性または体内活性を持つ薬物を容易に製造することができるようにする長所がある。またN末端という特定部位に接合するため、蛋白質薬物の化学的変形が全くないまま薬理学的効果を最大化できる長所がある。
【0028】
本発明で使われる前記蛋白質はリゾチーム、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、上皮細胞成長因子(EGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、インターフェロン(IFN)、インターロイキン−2(IL−2)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ウリカーゼ(mammalian urate oxidase,uricase)、及びアルギニンデイミナーゼ(arginine deiminase,ADI)からなる群より選択される一つであってもよいが、これに限定されることなく、この時使われるリゾチーム、bFGF、EGF、GCSF等のような蛋白質は、遺伝子組み換え方法によって産生されるもので、ほ乳動物から抽出する方式と、遺伝子のDNAベクターから複製した後、原核生物、または真核生物宿主の発明をとおして得られる。一方、前記使われる原核生物の宿主は大腸菌(Escherichia coli)を含み、真核生物の宿主はメチロトローフ酵母(Hansenula polymorpha)、サッカロマイセス、セレビシエを含むと共に、ほ乳動物は、ラット、犬、及び豚等から各蛋白質を得ることができる。
【0029】
本発明で使われる前記ペプチドは、ヒンジ−7(Hinge-7)、ヒンジ−3(Hinge-3)、ブフォリン(buforin)、ヒストニン(histonin)、プロテグリン(protegrin)、インドリシジン(indolicidin)、ヒスタチン(histatin)、BIP、マガイニン2(magainin 2)、グルカゴン類似ペプチド(glucagon-like peptide:GLP−1)、GNRH/LHRHアゴニスト(GNRH/LHRH agonist)、ソマトスタチン類似体(somatostatin analogue)、免疫調節ペプチドのグラチラマー(glatiramer)、サーモンカルシトニン(salmon calcitonin)、テスモプレシン(desmopressin)、血小板凝固抑制ペプチド、エプチフィバチド(eptifibatide)、及びHIV細胞流入抑制剤であるエンフュービルタイド(enfuvirtide)で形成された群から選択される一つであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
また、本発明は、
(a)反応槽内の極性有機溶媒にポリエチレングリコールを溶解させる工程;
(b)他の反応槽内の極性有機溶媒に架橋剤及び化学式1のカテコールを持つ化合物を溶解させる工程;
(c)前記工程(b)で製造された溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(N,N-Diisopropylethylamine;DIPEA)を添加して、反応させる工程;及び
(d)前記工程(a)の溶液に前記工程(c)の溶液を添加して、反応させる工程を含む。
【0031】
前記化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されたポリエチレングリコール誘導体の製造方法を提供する。前記製造方法によって製造されたポリエチレングリコール誘導体は、蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で接合できることを特徴とする。
【0032】
以下、本発明を各工程別に詳細に説明する。
本発明に係る工程(a)及び工程(b)は、反応物質の溶液を各々製造する工程である。物質を溶解させる溶媒として、極性有機溶媒が使えるが、好ましくはアルコール、DMSO(Dimethyl sulfoxide)、DMF(Dimethylformaldehyde)、アセトン(Acetone)及びNMP(N-Methylpyrrolidone)が利用でき、最も好ましくはDMFが使える。DMFは、カテコール基の酸化を防止できる。
【0033】
カテコールを持つ化合物の溶液に添加される架橋剤は、ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(Benzotriazolyloxytris(dimethylamino)phosphonium Hexafluorophosphate;BOP)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(Hydroxybenzotriazole;HOBt)、エチル−(ジメチルアミノ)プロピルカルボイミドハイドロクロライド(ethyl-(N',N’-dimethylamino)propylcarboiimide hydrochloride;EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(Dicyclohexylcarbodiimide;DCC)、N−ジヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びシアノヒドリドほう酸ナトリウム(Sodium Cyanoborohydride)で構成された群で選択された一つ以上である。アミン基とカルボキシル基の結合に利用される架橋剤の好ましい一例としては、HOBt及びBOP;EDC及びNHS;またはDCC及びNHSが挙げられる。アミン基とアルデヒド基の結合に利用される架橋剤の好ましい一例として、シアノヒドリドほう酸ナトリウムが挙げられる。
【0034】
例えば、BOP及びHOBtは、ゼロオーダー(zero order)架橋剤として添加される。最も好ましい様態としては、BOP:HOBt:カテコールを持つ化合物のモル比は、1:1:1〜10:10:1の範囲であることが好ましい。これは、モル比が前記範囲を超える場合、反応性が落ちる問題があるためである。
【0035】
本発明に係る工程(c)は、工程(b)で製造されたカテコールを持つ化合物溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加して、反応させる工程である。本工程で、DIPEAは、有機ベース(base)としてカテコールを持つ化合物溶液に添加されると共に、添加後約10〜20分間反応させることが好ましい。
【0036】
本発明に係る工程(d)は、前記工程(a)で製造された溶液に前記工程(c)で製造された溶液を添加して反応させる工程である。本工程の反応は、常温で約10〜14時間行われることが好ましい。本発明の一実施例によると、本工程によってメトキシポリエチレングリコールとカテコールを持つ化合物が接合されて、ポリエチレングリコール誘導体が形成されることを確認した。
【0037】
さらに、本発明に係る工程(d)の溶液を透析する(e)工程を含む。本発明に係る工程(e)は、反応終了後、未反応物質を取り除くため透析する工程である。前記透析は、分子量除去量が2,000〜10,000である透析膜を利用して、10〜14時間行われることが好ましい。この時使われる透析溶液は、pHが1〜6である蒸留水を使用することが好ましい。透析過程でのpHが前記範囲を終える場合、カテコールが酸化される問題が生じ好ましくない。
【0038】
さらにまた、本発明に係る工程(e)で透析された溶液を凍結乾燥する(f)工程を含める。本発明に係る工程(f)は、白粉状のポリエチレングリコール誘導体を得るため、透析が完了した溶液を凍結乾燥する工程である。これは当業者に自明な凍結乾燥方法で行われ、これを介して、溶媒が昇華された後、白粉状のポリエチレングリコール誘導体が得られる。この時、溶媒の完全除去のため、加えて乾燥が行われる。
【0039】
さらに本発明は、
(a)反応槽内に蛋白質またはペプチドを溶解させる工程;
(b)他の反応槽内に前記ポリエチレングリコール誘導体を溶解させる工程;及び
(c)前記工程(a)の溶液を工程(b)の溶液に添加して反応させる工程を含む、
ポリエチレングリコール誘導体が蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で接合された蛋白質またはペプチドとポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法を提供する。
【0040】
以下、各工程を詳細に説明する。
本発明に係る工程(a)は、N末端アミン基を持つ蛋白質またはペプチドを反応槽内に溶解させる工程である。好ましくは、緩衝溶液に溶解させられ、使われる緩衝溶液は、リン酸塩緩衝溶液、イミダゾール緩衝溶液、トリメチルアミン緩衝溶液、トリエタノールアミン緩衝溶液、ソジウムジエチルバルビツレート緩衝溶液、ビシン(bicine)緩衝溶液、アミノメチルプロパンジオール緩衝溶液中で選択されたいずれかひとつが使える。また、前記緩衝溶液のpHは、好ましくは5.5〜10である。緩衝溶液のpHが5.5未満の場合、反応性が落ちる問題があり、10を超える場合、蛋白質またはペプチド薬物の安定性が低下する問題がある。
【0041】
本発明に係る工程(b)は、本発明で提供するポリエチレングリコール誘導体を他の反応槽内に溶解させる工程である。好ましくは、前記工程(a)のような緩衝溶液に溶解させられる。
【0042】
本発明に係る工程(c)は、本発明に係る工程(a)の溶液を工程(b)の溶液に添加して反応させる工程で、ペグ化反応を行う工程である。前記ペグ化反応は、2〜100時間、4〜35℃で行うことが好ましい。
【0043】
また、ポリエチレングリコール誘導体の活性度を増加する酸化剤は、好ましくは、NaIO、MnCl、FeCl、FeCl、KMnO、H、NaCr、NaVOで構成された群で選択される一つ以上である。酸化剤は、ポリエチレングリコール誘導体の溶解時に添加して、反応を進められ、この時添加される酸化剤は、カテコール基と1:1〜1:10のモル比を持つことが好ましい。最も好ましくは、NaIOを1.5:1のモル比で添加して、反応を進められる。反応時間が2時間未満であれば、ポリエチレングリコールの接合効率が低くなる問題があり、100時間を越えると蛋白質またはペプチドの安定性が低下する問題がある。また、反応温度が4℃未満であると、反応速度が遅くなりすぎる問題があり、35℃を超える場合、蛋白質またはペプチドが変形される問題がある。
【0044】
また、本発明に係る工程(c)以降、工程(c)の溶液を透析した後、接合体を分離する工程(d)をさらに実施することが好ましい。本発明に係る工程(d)は、前記ペグ化反応終了後、未反応物質を取り除くため透析するか、または液状クロマトグラフィー(HPLCまたはFPLC)を利用して分離する工程である。前記工程は当業者に自明な透析方法、または液体クロマトグラフィー方法を利用して行う。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0046】
実施例1:カテコール−ポリエチレングリコール(PEG)誘導体の合成
カテコールを持つ化合物が結合されたポリエチレングリコール(PEG)誘導体を合成するために、PEGの一例であるメトキシポリエチレングリコールを使って、カテコールを持つ化合物の一例である3,4−ジヒドロキシ桂皮酸を利用した。
【0047】
アミン基を末端に持っているメトキシポリエチレングリコール(methoxy-polyethyleneglycol;m−PEG,MW:5k)1000mgを反応槽内の15mLの極性有機溶媒であるDMF(dimethylformamide)溶液内で、3,4−ジヒドロキシけい皮酸(HCA)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ベンゾトリアゾリルオキシトリスホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と共にかき混ぜて720分間反応させた。使われた化合物の量は、各々38mg、110mg及び44μLであった。一方、溶媒として使われたDMFは、HCAのカテコール基の酸化を防止できるため好ましい。
【0048】
図1に示したような反応が終了した後、残っている未反応物質を取り除くために、24時間透析過程を経た後、凍結乾燥して、白粉状の3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−PEGを収得して、カテコールを持っているPEG誘導体(以下、mPEG−CT)が合成されたことを確認した。
【0049】
実施例2:mPEG−CTを利用したPEG−ヒンジ−3接合体の製造及び製造形態確認
(1)mPEG−CTを利用したPEG−ヒンジ−3接合体の製造
ポリエチレングリコール誘導体とペプチドを接合させるために実施例1の方法と同様にmPEG−CTを準備した(図1)。即ち、mPEG−amine(MW:5k)及びHCAをDMF溶液内でHOBt、BOP、DIPEAと共に反応させて、mPEG−CTを収得した。
その後、弱酸性条件で(pH6.5)、mPEG−CT及びヒンジ−3ペプチド(図2参照)を4度で混合して反応させた。その結果、PEG−ヒンジ−3接合体が成功的に製造された。
(2)RP−HPLC及びMALDI−TOFを介した単一ペグ化の可否確認
前記実施例2−(1)で製造されたPEG−ヒンジ−3接合体の形態がヒンジ−3ペプチドにPEGが単一体で接合した形態か否かを確認するために、RP−HPLC(Reverse phase-High performance liquid chromatography)及びMALDI−TOF(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization Time of Flight)分析を行った。
HPLC systemは、Agilent 1200 seriesを使って、カラムはsupelco Discovery(商標) BIO Wide Pore C18 5cm×4.6mm,3μmを使った。移動相は、水(0.1%TFA):アセトニトリル(0.1%TFA)=95:5から30分まで水(0.1%TFA):アセトニトリル(0.1%TFA)=5:95で流し、35分まで再び水95%に合わせて流した。
【0050】
その結果、図3に示したように、RP−HPLの結果、二つのピークだけが検出された。この二つのピークは、各々変形されないヒンジ−3(16.2分)、単一ペグ化ヒンジ−3(17分)を示しており、多重ペグ化は起きず単一ペグ化だけ起きたことを確認することができた。
【0051】
MALDI−TOF分析のために、アセトニトリル(Acetonitrile)溶液(0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid:TFA))を水(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))と1:1比となるよう混ぜた後、ジップチップ(zip tip)を使ってチップの先にある固定相に蛋白質を吸着させた後、水で洗浄して緩衝溶液に入っている塩を取り除き、1:1のアセトニトリル、水の混合液を使って純粋なPEG−ヒンジ−3のみを精製して、MALDI−TOF用プレートに乗せて試料を準備した後、分析を行った。MALDI−TOF分析機器は、Applied Biosystems,Inc社のVoyager DE−STR機器を使った。
【0052】
その結果、図4に示したように、MALDI−TOF分析結果もPEG(MW:5000)及び単一PEG−ヒンジ−3(MW:7238)だけが検出されたため、カテコール−ポリエチレングリコール誘導体を利用して、ペプチド−ポリエチレングリコール接合体を製造する場合、ポリエチレングリコールが単一体でペプチドに接合されたことを確認した。
【0053】
(3)トリプシン分解を介した単一ペグ化位置確認
前記実施例2−(1)で製造されたPEG−ヒンジ−3接合体の形態が、ヒンジ−3ペプチドのN末端位置に特異的に接合された形態か否かを確認するために、tryptic分解方法後、RP−HPL及びMALDI−TOF分析を行った。ヒンジ−3と命名されたペプチドは、20個のアミノ酸を持っている(図2参照)。一方、露出された一級アミン、潜在的ペグ化位置は、合わせて7個で、リシン(K)の6個のエプシロン−アミングループとN末端のアルファ−アミングループである。全てのアミンは、ペグ化位置の候補である(図5参照)。従って、これらの位置中、N末端のアルファ−アミングループにだけペグ化されたかを確認した。ヒンジ−3配列は、ただ一つのトリプトファンアミノ酸を含有するため(図2参照)、トリプシン分解でヒンジ−3蛋白質が分解される場合、N末端にだけPEGが接合されたか否かをその切片の形態で確認することができた。
【0054】
ヒンジ−3ペプチドはシステインを持っていないため、4Mウレア(Urea)に溶かした状態で少量の塩化カルシウム(CaCl)の添加後、直ちにトリプシンの量を蛋白質の1/20の割合で溶解させて、37℃で12時間トリプシン分解過程を実行した。その後、RP−HPL分析を行った。
【0055】
その結果、図6のようなグラフが観測された。280nmUVで、トリプトファン残基だけが検出された。これが、分解されたヒンジ−3がT1切片(検定13min)で単一ピークだけが見られる理由である。仮に、カテコールがエプシロン−アミン(K12、K13、K16、K17、K20)と反応したとすると、単一切片のピークは変わらない。しかし、図6に示された結果のように、単一切片のピークは確かに減少した(赤線)。即ち、カテコールグループによって、ピークの強度はT1切片が存在する時にだけ増加した。前ピーク(13分、赤線)の存在は、十分な希釈過程を経なかったためである(MWCO:6000で希釈)。
【0056】
RP−HPL分析後、ペグ化候補は、K9とN末端アミンだけが残るようになる。仮に、mPEG−CTがK9と反応したとすると、トリプシンがペグ化されたリシン(K9)を認識できないため、ペグ化され消化された切片、即ちmPEG−CTとT1+2切片が加わった分子量は6254.49になる。従って、MALDI−TOF分析を介して、mPEG−CTがどの位置にペグ化されたかを分析した。分析方法は、前記実施例2−(2)で行われた方法と同様である。
【0057】
その結果を図7に示した。図7によると、2個のピークだけが存在する:5000、5883。この結果によると、5000ピークは、mPEG−CTで、5883ピークは、mPEG−CTとヒンジ−3のT1切片(MW:899)が加わったことが確実で、mPEG−CTとT1+2切片が加わった分子量6254.49は観測されなかったため、この5883ピークはN末端ペグ化の確実な証拠である。これにより、実施例2−(1)でmPEG−CTを利用して製造されたPEG−ヒンジ−3接合体は、ヒンジ−3ペプチドのN末端にPEGが単一体の形態で接合された形態であることを確認した。
【0058】
実施例3:mPEG−SS及びmPEG−CTを利用したPEG−リゾチーム接合体との比較
(1)mPEG−SSを利用したPEG−リゾチーム接合体の製造
ペプチドだけでなく、蛋白質もN末端ペグ化できる。従来、アミンペグ化させる最も有用な方法は、表面露出された一級アミングループと共有結合を生成できるスクシンイミジルコハク酸(succinimidyl succinate)を使うことであった。しかし、このような方法は位置特異的でない問題があった。
カテコールグループとは異なって、スクシンイミジルコハク酸は、無作為的な一級アミン基と反応するためである(図8)。従って、蛋白質の例としてリゾチームを利用して、カテコールグループとスクシンイミジルコハク酸を比較するために、mPEG−SSを利用してPEG−リゾチーム接合体を製造した。
一般に知らされた条件であるpH8.5でmPEG−SS20mgとリゾチーム5mgを入れて、4℃で12時間反応をさせてPEG−リゾチーム接合体を製造した。
その結果、PEG−リゾチーム接合体が製造されたことを確認した。
【0059】
(2)mPEG−CTを利用したPEG−リゾチーム接合体の製造
実施例1のmPEG−CTを利用してPEG−リゾチーム接合体を製造するために、実施例2−(1)と同様に製造したが、蛋白質の特性を考慮してpH8.5でmPEG−CT(5k)5mgをリゾチーム5mgと共に混ぜて4度で12時間混合した。
その結果、PEG−リゾチーム接合体が製造されたことを確認した。
【0060】
(3)SDS−PAGE Gel分析方法を利用した単一または多重ペグ化有無確認
前記実施例3−(1)及び3−(2)のPEG−リゾチーム接合体に対してSDS−PAGE Gel分析を行って、前記接合体が単一ペグ化された形態であるか、多重ペグ化された形態であるかを確認した。
アクリルアミド(Acrylamide)分率が15%のであるDS PAGE Gelを製造し電圧をかけて、リゾチーム及びPEG−リゾチーム接合体を大きさに応じて分離した。
【0061】
その結果を図9に示した。図9の1列目はリゾチームだけを対照群としてかけたもので、2列目は実施例3−(1)のPEG−リゾチーム接合体、3列目は実施例3−(2)のPEG−リゾチーム接合体をローディングした結果である。その結果、2列目のメトキシ−ポリエチレングリコールスクシンイミジルコハク酸(mPEG−SS)を利用して製造した接合体は、3個のアミン基と反応した(バンドが3つ現れる)K33、K97、K116)。しかし、3列目で確認できるように、mPEG−CTを利用して製造したPEG−リゾチーム接合体は、ただ一つのバンドだけが見られたため、ただ一つのアミン基と反応したことが分かった。これにより、スクシンイミジルコハク酸−PEG誘導体とは異なって、カテコール−PEG誘導体の場合、蛋白質と接合するに当たり、単一体の形態で接合されたことを確認した。
【0062】
実施例4:mPEG−CTを利用したPEG−bFGF接合体の製造及び製造形態確認
(1)mPEG−CTまたはmPEG−SSを利用したPEG−bFGF接合体の製造
bFGF(MW:17.1kDa)は、塩基性線維芽細胞成長因子(basic Fibroblast Growth Factor)であり、FGFの一種である。成体器官で、傷反応及び組織再生に対して機能する。前記実施例2−(1)で使った方法と同様にmPEG−CTを利用してPEG−bFGF接合体を製造して、その結果PEG−bFGF接合体が製造されたことを確認した。
一方、実施例3−(1)と同様な方法でmPEG−SSを利用してPEG−bFGF接合体を製造した。
【0063】
(2)SDS PAGE Gel分析を介した単一ペグ化の可否確認
実施例2−(2)と同様な方法でPEG−bFGFのSDS−PAGE分析及びMALDI−TOF分析を介して、単一体にペグ化されたか否かに対して確認した。ただpH値は異ならせて実験した。それは、N末端アミンの環境は異なるため、互いに異なったpKa値を持つためである。bFGFは、pH6.5でペグ化の可否を観察した。
【0064】
その結果を図10のAに示した。
図10のAの2列目にローディングされた蛋白質は、mPEG−CTを使ってpH6.5でペグ化を行った結果であるが、既存bFGFのバンドとモノペグ化されたPEG−bFGF接合体のバンド、二つのバンドを観察することができ、3列目にローディングされた蛋白質は、これをFPLCで分離して、精製したモノペグ化されたPEG−bFGF接合体である。これにより、カテコール−ポリエチレングリコール誘導体を利用して、蛋白質−ポリエチレングリコール接合体を製造する場合、ポリエチレングリコールが単一体で蛋白質に接合されることを確認した。
【0065】
(3)トリプシン分解を介したペグ化位置確認
実施例2−(3)と同様な方法でPEG−bFGFのトリプシン分解を介してペグ化位置を確認した。
その結果、図10のCに示したように、T1切片ピークは7468で観察された。変形されないbFGFのT1切片の分子量は2495であるため(図10のB)、7468ピークはmPEG−CT(MW:5000)とbFGFのT1切片(MW:2495)が加わったことが確実になったため、この7468ピークはN末端ペグ化の確実な証拠である。これにより、mPEG−CTを利用して製造されたPEG−bFGF接合体は、bFGF蛋白質のN末端にPEGが単一体の形態で接合された形態であることを確認した。
【0066】
実施例5:mPEG−CTを利用したPEG−G−CSF接合体の製造及び製造形態確認
(1)mPEG−CTまたはmPEG−SSを利用したPEG−G−CSF接合体の製造
G−CSF(Granulocyte Colony-Stimulating Factor;MW:18.8kDa)もヒト血液システムの最も重要な蛋白質であり、骨髄を刺激して、血流に放出されるようにする役割を果たす。前記実施例2−(1)と同様な方法でPEG−G−CSF接合体を製造し、その結果PEG−G−CSF接合体が製造されたことを確認した。
一方、実施例3−(1)と同様な方法でmPEG−SSを利用してPEG−G−CSF接合体を製造した。
(2)SDS−PAGE Gel分析を介したペグ化の可否確認
実施例2−(2)と同様な方法でPEG−bFGFのSDS−PAGE Gel分析及びMALDI−TOF分析を介して、単一体にペグ化されたか否かに対して確認した。
【0067】
その結果を図11に示した。
図11のAに示したように、mPEG−CTを使ってペグ化させた結果、ペグ化される前のG−CSFとモノペグ化されたG−CSFバンドだけを観察することができ(2列目)、これをFPLCで精製した結果、モノペグ化されたG−CSFだけを分離することができた(3列目)。これにより、G−CSF蛋白質に対し単一体にペグ化されたことを確認した。
【0068】
(3)トリプシン分解を介したN末端に単一ペグ化されたか否かの確認
実施例4−(3)と同様な方法で、G−CSF及びPEG−G−CSFのトリプシン分解を介してペグ化位置を確認した。
その結果、図11のBに示したように、G−CSFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果、T1切片の分子量は1792であった。一方、図11のCに示したように、カテコール−PEG−G−CSFのトリプシン分解のMALDI−TOFの結果、T1の分子量は6792であった。従って、前記結果はT1切片とPEG(MW:5000)が加わった結果と考えられるため、このことからスクシンイミジルコハク酸−PEG誘導体とは異なって、カテコール−PEG誘導体の場合、蛋白質と接合されるに当たり、単一体の形態で接合されたことを確認した。
【0069】
前記実施例1〜5から、成功的にカテコールを持つ化合物が結合されたポリエチレン誘導体(PEG−CT)を合成し、PEG−CTを蛋白質またはペプチドに接合させる場合、単一体の形態でN末端特異的に結合が可能であることを確認した。
【0070】
実施例6:過ヨウ素酸ナトリウム(Sodium Periodate)を利用したペグ化効率増進
ペグ化効率を増進させるために、酸化剤である過ヨウ素酸ナトリウムを使った。低pH条件でアルファアミン(N末端アミン)はエプシロンアミン(リシン残基アミン)に比べてNH3+陽イオン形態で存在する比が高い。このため、N末端アミンだけが過ヨウ素酸塩によって酸化されたキノンと反応することができる。従って、それぞれ違異なる過ヨウ素酸ナトリウム比率条件下でペグ化を行った。
pH6.0のバッファー溶液に5mgのリゾチーム、5mgのmPEG−CTを溶かして4℃で720分間反応させた。この時、過ヨウ素酸ナトリウムは、mPEG−CTと各々0、0.5、1、2:1の割合で添加した。
対照群実験は実施例3−(2)と共に実験した。
【0071】
その結果を図12、13にpH6.0以下で互いに異なる過ヨウ素酸塩比率でペグ化効率を比較して示した。SDS−PAGE gelの最後のカラム及びグラフのpH8.5のペグ化収率の値は、化学反応のないまま形成された対照群である。実験結果、最も収率が高いのは、過ヨウ素酸塩:カテコールが1.5:1である時に57.94%と示された。
【0072】
実施例7:PEG−EPO接合体の生体内の持続時間確認(in vivo)
(1)mPEG−CTまたはmPEG−SSを利用したPEG−EPO接合体の製造及び確認
エリスロポエチン(MW:30kDa)は、腎臓で生成されるホルモンで、骨髄で赤血球の生成を促進する。最も重要な機能は、赤血球の分化と発生を促進することである。本実験では、mPEG−CT(MW:30kDa)を使っているが、その理由は少なくとも20kDaのPEGを付着するペグ化がin vivo環境で効果があるためである。
【0073】
実施例2−(1)及び3−(1)に記載された方法で製造する際に、mPEG−CTとEPOを反応させる時、過ヨウ素酸ナトリウムを1.5:1の割合で添加しており、pH環境は7.5であった。pKa値が蛋白質毎に異なるため、リゾチームに比べて多少高いpH条件を使った。反応終了後、PEG接合されたEPOをFPLCシステム(Shephacryl TM Hiprep 26/60 S−200−HR 320mL)を利用して精製した。
【0074】
その結果を図14及び図15に示した。SDS−PAGE gelの結果から分かるように、FPLC過程後、EPO混合物(図15において、黒線、140分)及びmPEG−CT−EPO(PEG−EPO、図14において、2番目のlineまたは図15において、黒線、98分)が完璧に精製された(図14において3番目のline)。ペグ化収得率は77%であった。MALDI−TOFの結果から単一ペグ化EPOを確認することができた(data not shown)。
【0075】
mPEG−SS(MW:20kDa)を蛋白質多重−ペグ化対照群として使った。単一ペグ化EPOは105分で、2重ペグ化EPO(di-PEGylated)は95分で検出され、FPLCで精製した(図15、赤線)。ピークは、85分で検出され、これは接合された蛋白質及び多重−ペグ化蛋白質を示すものである。ペグ化は、mPEG−CTに比べてmPEG−SSがずっと低い収率で形成されたが、比較の便宜のために図面では高さを調整して示した。
【0076】
(2)In vivo持続時間確認
In vivo薬物動態学(pharmacokinetic)実験のために、陽性対照群として多重−ペグ化EPO、即ち、前記実施例7−(1)で製造したmPEG−SSを利用して製造した多重PEG−EPOを使った。
マウスに対して100μg蛋白質/kg(マウス体重)の量を静脈注射でEPOを投入後、In vivoを循環する時間を測定した。各蛋白質に対し、5匹のマウスを使って、各マウスに〜2.5μgの蛋白質を注入した。これは、転化因子が2.56×10mIUだと仮定した時、6.4×10mIUのEPOに該当する量である。プラズマの蛋白質はELISAで定量し、定量値は各蛋白質サンプル、即ちPEG−EPO、多重PEG−EPOとEPOの各々異なるELISA抗体の親和度に応じて調整した。
【0077】
その結果を図16に示した。図16に示したように、全ての蛋白質サンプルの半減期は、約4〜96時間と測定された。初期(0.25〜4時間)において類似する傾向を示したものの、正確な半減期を測定するには多少不正確な結果と考えられる。中期(4〜48時間)において、EPOは循環しており、6時間の半減期を持つ。また、注射後72時間、血漿(plasma)から検出されなかった。多重PEG−EPOはさらに半減期が長かった(30時間)。ただ、後期(48〜96時間)において、より速い半減期を持った(15時間)。一方、単一PEG−EPOは、最も長い半減期(30時間)を持っており、最も長い時間(96時間)観察された。この結果から、多重PEG−EPOと単一PEG−EPOは、長い半減期によって通常のEPOより優れた効能を示し、単一PEG−EPOが多重PEG−EPOより優れた半減期を持つことを確認し、生体内で持続時間が長く、蛋白質薬物の体内薬効及び安全性を極大化する可能性があることが予測された。
【0078】
(3)生物学的活性測定
生物学的活性を測定するために、血サンプルにある血液の容積に対する赤血球の相対的容積比率(hematocrit)を測定した。
マウスから抽出した血にEDTAを混ぜて凝固を防いだ後、VetScan HM5(Abaxis社)を使って、赤血球の相対的容積比率を測定した。
【0079】
その結果、図17に示したように、注射後0日から3日間、EPOとPEG−EPOは類似する活性を持っており、7〜10日後にも同様であった。ただ、EPOはin vivo活性を14日目に多くが喪失したのに対して、PEG−EPOの場合、そのまま効果が維持された。この結果から、蛋白質薬物の化学的変形がない本発明によると、蛋白質薬物の体内薬効が優れたものになると予測される。
【0080】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によると、カテコール−PEG誘導体が蛋白質またはペプチドの特定部位であるN末端アミングループに位置特異的かつ単一分子で結合して、均一なポリエチレングリコール蛋白質、またはペプチド接合体を高い収率で収得することができる。収得された接合体は、従来技術に比べて、蛋白質自体の化学的変形がないまま、蛋白質活性度阻害を最小化できて、接合体の薬学的効果が優れ、その均質性によって製造工程を単純化でき、また生体内での生物学的薬効性が均一に予測され、加水分解に強く、生体内の持続時間が長くなるため、蛋白質薬物の体内薬効及び安全性を増進させる効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体:
【化1】

【請求項2】
前記誘導体は蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で接合できることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項3】
前記ポリエチレングリコールは、メトキシアルデヒドポリエチレングリコール、スクシンイミドプロピオン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミドブタン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミジルコハク酸ポリエチレングリコール、メトキシベンゾトリアゾールカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシエポキシドポリエチレングリコール、メトキシカルボニルイミダゾールポリエチレングリコール、メトキシp−ニトロフェニルカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシイソシアン酸ポリエチレングリコール、一級アミンを含むメトキシアミンポリエチレングリコール、メトキシヒドラジドポリエチレングリコール及びカルボキシル基を含むメトキシカルボキシルポリエチレングリコールからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコールとしては、直線型、分枝型、ブラシ型、及びスター型からなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項5】
前記カテコールを持つ化合物は、カルボキシル基とアミン基を含むジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、アミン基を含む3−ヒドロキシ−チラミン、カルボキシル基を含む3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、アルデヒド基を含む3,4−ジヒドロキシベンゾアルデヒド及びノルエピネフリンからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項6】
前記カテコールを持つ化合物の分子量は、1,000以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項7】
前記誘導体の分子量は、500〜100,000Daであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコール誘導体。
【請求項8】
下記化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体が蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で接合されていることを特徴とする蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体:
【化2】

【請求項9】
前記ポリエチレングリコールは、メトキシアルデヒドポリエチレングリコール、スクシンイミドプロピオン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミドブタン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミジルコハク酸ポリエチレングリコール、メトキシベンゾトリアゾールカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシエポキシドポリエチレングリコール、メトキシカルボニルイミダゾールポリエチレングリコール、メトキシp−ニトロフェニルカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシイソシアン酸ポリエチレングリコール、一級アミンを含むメトキシアミンポリエチレングリコール、メトキシヒドラジドポリエチレングリコール及びカルボキシル基を含むメトキシカルボキシルポリエチレングリコールからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールとしては、直線型、分枝型、ブラシ型、及びスター型からなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項11】
前記カテコールを持つ化合物は、カルボキシル基とアミン基を含むジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、アミン基を含む3−ヒドロキシ−チラミン、カルボキシル基を含む3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、アルデヒド基を含む3,4−ジヒドロキシベンゾアルデヒド及びノルエピネフリンからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項10に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項12】
前記カテコールを持つ化合物の分子量は、1,000以下であることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコール誘導体の分子量は、500〜100,000Daであることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項14】
前記蛋白質はリゾチーム、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、上皮細胞成長因子(EGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、インターフェロン(IFN)、インターロイキン−2(IL−2)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ウリカーゼ(uricase)、及びアルギニンデイミナーゼ(ADI)からなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項15】
前記ペプチドは、ヒンジ−7、ヒンジ−3、ブフォリン、ヒストニン、プロテグリン、インドリシジン、ヒスタチン、BIP、マガイニン2、グルカゴン類似ペプチド(GLP−1)、GNRH/LHRHアゴニスト、ソマトスタチン類似体、免疫調節ペプチドのグラチラマー、サーモンカルシトニン、テスモプレシン、血小板凝固抑制ペプチド、エプチフィバチド、及びHIV細胞流入抑制剤のエンフュービルタイドからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項8に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体。
【請求項16】
次の工程を含む、下記化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法:
【化3】

(a)反応槽内の極性有機溶媒にポリエチレングリコールを溶解させる工程;
(b)他の反応槽内の極性有機溶媒に架橋剤及び化学式1のカテコールを持つ化合物を溶解させる工程;
(c)上記工程(b)で製造された溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加して、反応させる工程;及び
(d)上記工程(a)の溶液に上記工程(c)の溶液を添加して、反応させる工程。
【請求項17】
前記極性有機溶媒はアルコール、DMSO、DMF、アセトン及びNMPからなる群より選択される一つ以上であることを特徴とする請求項16に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールは、メトキシアルデヒドポリエチレングリコール、スクシンイミドプロピオン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミドブタン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミジルコハク酸ポリエチレングリコール、メトキシベンゾトリアゾールカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシエポキシドポリエチレングリコール、メトキシカルボニルイミダゾールポリエチレングリコール、メトキシp−ニトロフェニルカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシイソシアン酸ポリエチレングリコール、一級アミンを含むメトキシアミンポリエチレングリコール、メトキシヒドラジドポリエチレングリコール及びカルボキシル基を含むメトキシカルボキシルポリエチレングリコールからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項16に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項19】
前記架橋剤は、ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、エチル−(ジメチルアミノ)プロピルカルボイミドハイドロクロライド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−ジヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びシアノヒドリドほう酸ナトリウムからなる群より選択された一つ以上であることを特徴とする請求項16に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項20】
前記カテコールを持つ化合物は、カルボキシル基とアミン基を含むジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、アミン基を含む3−ヒドロキシ−チラミン、カルボキシル基を含む3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、アルデヒド基を含む3,4−ジヒドロキシベンゾアルデヒド及びノルエピネフリンからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項16に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項21】
(e)前記工程(d)の溶液を透析する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項22】
(f)前記工程(e)で透析された溶液を凍結乾燥する工程をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の化学式1のカテコールを持つ化合物が結合されているポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項23】
次の工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項のポリエチレングリコール誘導体が蛋白質またはペプチドのN末端アミン基に単一体で接合されていることを特徴とする蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法:
(a)反応槽内の蛋白質またはペプチドを溶解させる工程;
(b)他の反応槽内の前記ポリエチレングリコール誘導体を溶解させる工程;及び
(c)前記工程(a)の溶液に前記工程(b)の溶液を添加して、反応させる工程。
【請求項24】
前記ポリエチレングリコールは、メトキシアルデヒドポリエチレングリコール、スクシンイミドプロピオン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミドブタン酸ポリエチレングリコール、メトキシスクシンイミジルコハク酸ポリエチレングリコール、メトキシベンゾトリアゾールカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシエポキシドポリエチレングリコール、メトキシカルボニルイミダゾールポリエチレングリコール、メトキシp−ニトロフェニルカルボン酸ポリエチレングリコール、メトキシイソシアン酸ポリエチレングリコール、一級アミンを含むメトキシアミンポリエチレングリコール、メトキシヒドラジドポリエチレングリコール及びカルボキシル基を含むメトキシカルボキシルポリエチレングリコールからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項25】
前記カテコールを持つ化合物は、カルボキシル基とアミン基を含むジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、アミン基を含む3−ヒドロキシ−チラミン、カルボキシル基を含む3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、アルデヒド基を含む3,4−ジヒドロキシベンゾアルデヒド及びノルエピネフリンからなる群より選択される一つであることを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項26】
(d)前記工程(c)の溶液を透析したあと接合体を分離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項27】
前記工程(d)で接合体を分離する方法は液状クロマトグラフィーを利用することを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項28】
前記工程(d)はポリエチレングリコール誘導体と酸化剤を1:1〜1:10のモルとして反応槽内で溶解させることを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項29】
前記酸化剤は、NaIO、MnCl、FeCl、FeCl、KMnO、H、NaCr及びNaVOからなる群より選択される一つ以上であることを特徴とする請求項28に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。
【請求項30】
前記工程(b)の反応は2〜100時間の間4〜25℃の温度で行われることを特徴とする請求項23に記載の蛋白質またはペプチド−ポリエチレングリコール誘導体の接合体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2013−509402(P2013−509402A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536696(P2012−536696)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007567
【国際公開番号】WO2011/053065
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(502318478)コリア アドバンスド インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジィ (27)
【出願人】(512114752)イノ セラピー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】